JP6489060B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉の操業方法に関し、詳しくは、高炉羽口から吹き込む、微粉炭を含む還元材を安定して燃焼させることのできる高炉操業方法に関する。
近年、高炉におけるコークスの消費を抑えるために、微粉炭を用いた高炉の操業方法が実用化されている。微粉炭を用いた高炉の操業方法では、熱風を高炉内に供給するブローパイプを通して、微粉炭が熱風とともに高炉内へ供給される。このブローパイプには、ブローパイプ内に微粉炭を吹き込むための吹き込み用ランスが設けられ、微粉炭がブローパイプ内を流れる熱風によって吹き込まれる構成となっている。
吹き込み用ランスから吹き込まれた微粉炭は、ブローパイプ内及び高炉内部のレースウェイと呼ばれる燃焼空間内で燃焼することにより、コークスの代替として機能する。但し、ブローパイプ内の熱風のガス流速は一般に200m/sという極めて高速であるので、吹き込まれた微粉炭が熱風中の酸素と反応可能な時間(すなわち微粉炭の燃焼可能な時間)は極めて短く、20マイクロ秒程度といわれている。よって、微粉炭をコークスの代替として有効活用するためには、この短時間のうちに微粉炭を燃焼させる必要がある。
しかしながら、微粉炭の吹き込み量を増していくと、微粉炭の燃焼率が低下して、レースウェイに至るまでに微粉炭が燃焼しきれずに、未燃焼の未燃チャーとして高炉内に残留する。この未燃チャーは、ソルーションロス反応によって高炉内で消費される分もあるが、高炉内消費量には限界値が存在するので、消費限界値以上に未燃チャーが発生すると、炉況不安定や生産性低下の原因となる。具体的には、限界値以上の未燃チャーの発生は、未燃チャーがダストとして炉頂から排出されて燃料原単位の上昇を招き、更には、未燃チャーが炉芯や溶融帯に蓄積すると、炉芯または溶融帯の通気性及び通液性を阻害することになる。
そこで、微粉炭の燃焼効率を向上させる方法が多数提案されている。たとえば、特許文献1には、2重管ランスなどを用いて固体還元材つまり微粉炭とともに、天然ガスやコークス炉ガスなどの易燃性還元材を吹き込み、易燃性還元材の燃焼熱で固体還元材の温度を上昇させ、固体還元材の燃焼を促進させる方法が提案されている。また、特許文献2には、羽口から微粉炭と気体燃料とを吹き込む高炉操業において、吹き込む気体燃料の量と吹き込む微粉炭中の揮発分の量との合計量に対して、吹き込む微粉炭中の固定炭素の量の比率が所定値以下となるように、気体燃料の量、微粉炭の量、或いは微粉炭の組成を調整し、これによって、炉内の未燃チャーの発生を抑制する方法が提案されている。
また、特許文献3には、羽口から吹き込む微粉炭の粉砕過程において、粒径20μm以下の質量割合を、吹き込む微粉炭の揮発分の含有量に応じて調整する方法、具体的には、吹き込む微粉炭の揮発分の含有量が少なくなるほど、粒径20μm以下の質量割合を多くする方法が提案されている。特許文献3によれば、微粉炭の燃焼性を適正なレベルに維持することができ、安定した高炉操業が実現されるとしている。
特開2013−19008号公報 特開2007−100160号公報 特開2008−240044号公報
本発明者らは、特許文献1及び特許文献2に基づき、さまざまな種類の微粉炭を用いて易燃性還元材と微粉炭との羽口からの同時吹き込み試験を行った。しかしながら、特許文献2の気体燃料の吹き込み条件で微粉炭の燃焼試験を行っても、微粉炭の燃焼性が不十分な結果が時折観測された。また、微粉炭の粒径分布に関しても、特許文献3に基づいて20μm以下の比率を調整した試験を行ったが、幾つか微粉炭の燃焼性が不十分な結果が観測された。
すなわち、これらの詳細な試験の結果から、特許文献1、特許文献2、特許文献3に示された条件だけでは微粉炭の燃焼性を常に高位に維持するには不十分であることが確認された。後述するとおり、これらの従来技術で十分な効果が得られなかった理由は、微粉炭の粒子軌道の影響を加味していないことが原因である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高炉羽口から吹き込む、微粉炭を含む還元材を安定して燃焼させることのできる高炉操業方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]羽口から還元材を吹き込む高炉の操業方法において、
前記還元材を、速燃性還元材と遅燃性還元材との2つに分類し、
前記速燃性還元材の吹き込み原単位Rfと、前記遅燃性還元材の吹き込み原単位Rsとが以下の(1)式を満たすように、前記還元材の種類及び吹き込み量を決定することを特徴とする、高炉の操業方法。
0.65≦Rf/Rs≦2.60 …(1)
ここで、速燃性還元材の吹き込み原単位Rf(kg/溶銑−t)は、下記の(2)式で定義され、遅燃性還元材の吹き込み原単位Rs(kg/溶銑−t)は、下記の(3)式で定義される。
Rf=RGR+S×(1−Ash)×PCR+(1−S)×VM×PCR …(2)
Rs=(1−S)×PCR×(1−Ash−VM)+WPR …(3)
但し、(2)式、(3)式において、RGRは易燃性還元ガス原単位(kg/溶銑−t)、PCRは微粉炭原単位(kg/溶銑−t)、Ashは微粉炭中のアッシュの質量比率(−)、VMは微粉炭中の揮発分の質量比率(−)、WPRは廃プラスチック原単位(kg/溶銑−t)、Sは、高炉に吹き込む微粉炭全量に対して、ρ 2≦3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子の質量比率(−)である。ここで、ρは微粉炭粒子の見掛け密度(kg/m3)、dは微粉炭粒子の粒径(m)である。
本発明によれば、羽口から吹き込む還元材の運動軌跡と燃焼性との両方を考慮したうえで、羽口から吹き込む還元材を、羽口に吹き込んだ後に直ちに燃焼し且つ羽口内のガス流れに追従して流れていく速燃性還元材と、羽口に吹き込んだ後に或る程度の昇温時間を経てから燃焼し且つ吹き込み速度に応じた慣性力の影響を受けて羽口内のガス流れとは異なる軌道を描いて流れていく遅燃性還元材との2つに分けて考え、両者の吹き込み比率を適正な範囲とするので、これにより、さまざまな物性の微粉炭を使用しても、天然ガス、プロパンガス、コークス炉ガスなどの易燃性還元ガスや廃プラスチックなどの還元材との組み合わせによって、高位の燃焼性を安定して確保することができる。
また、微粉炭については、易燃性還元ガスとほぼ同じ運動挙動且つ燃焼速度を示すρ 2≦3.5×10−7kg/mの微粉炭粒子と、吹き込み時の慣性力によってブローパイプ内のガス流とは異なった運動挙動を示し、また易燃性ガスと比べて燃焼速度の遅いρ 2>3.5×10−7kg/mの微粉炭粒子とに分けて考え、前者を易燃性還元ガスと同じ速燃性還元材、後者を遅燃性還元材として分類したので、これにより、微粉炭の粒径分布や密度による燃焼性への影響を、より詳細に反映した最適燃焼条件を定めることが可能となり、高位の燃焼性を安定的に確保することができる。
ブローパイプに設けられた吹き込み用ランスから微粉炭粒子を吹き込む様子を示す図である。 微粉炭粒子のρ 2値と微粉炭粒子の軌道変化との関係を示す図である。 微粉炭の揮発分比率と比(Rf/Rs)との関係を示す図である。 Sと比(Rf/Rs)との関係を示す図である。 還元材の吹き込み原単位(=RGR+PCR+WPR)と比(Rf/Rs)との関係を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
熱風を高炉内に供給するブローパイプ内に設けられた吹き込み用ランスを介して吹き込まれた微粉炭を含む還元材は、熱風とともに羽口内に供給される。羽口内に供給された還元材は、熱風及び吹き込み用ランスから供給される酸素と燃焼反応を起こすが、羽口内に吹き込まれた還元材の運動や燃焼反応速度は、吹き込まれる還元材ごとに大きく異なる。本発明では、吹き込まれる還元材の運動軌道と燃焼反応速度との両方の観点を考慮したうえで、吹き込まれる還元材を速燃性還元材と遅燃性還元材との2つに分けて考える。
たとえば、天然ガス、プロパンガス、コークス炉ガス、高炉ガスなどの易燃性還元ガスは、極めて短時間で燃焼反応を起こし、且つ羽口内の熱風の流れ方向から分散することなく、熱風の流れに追従して流れていく。そして、吹き込み後、短時間で高温の燃焼ガスとなる。本発明では、このような還元材を速燃性還元材と定義する。一方、廃プラスチックなどは、燃焼反応速度が遅く、また慣性力によって熱風のガス流とは異なる運動軌道を描く。本発明では、このような還元材を遅燃性還元材と定義する。
羽口から吹き込まれる微粉炭は、速燃性還元材と遅燃性還元材との両方の特性を有していると考えることができる。たとえば、図1に示すようなブローパイプ1と吹き込み用ランス2とが配置された設備において、熱風(「主流ガス」ともいう)がX方向に流速Vg(m/s)で流れており、そこに、吹き込み用ランス2を介して微粉炭粒子3を初速度VPOで吹き込む条件を考える。尚、ブローパイプ1のガス流れ方向の下流側は、羽口(図示せず)と接続されている。
このとき、微粉炭粒子3の運動軌道は下記の(4)式及び(5)式で表せる。
但し、(4)式及び(5)式において、XPは微粉炭粒子のX軸方向の位置座標(m)、YPは微粉炭粒子のY軸方向の位置座標(m)、Vgは熱風の流速(m/s)、tは吹き込み後の経過時間(s)、VPOxは微粉炭吹き込み速度VPOのX方向速度成分(m/s)、VPOyは微粉炭吹き込み速度VPOのY方向速度成分(m/s)、τは緩和時間(s)であり、下記の(6)式で表される。
但し、(6)式において、ρは微粉炭粒子の見掛け密度(kg/m3)、dは微粉炭粒子の粒径(m)つまり直径、μは熱風の粘性係数(Pa・s)である。
(4)式、(5)式、(6)式からもわかるとおり、羽口内に吹き込まれた微粉炭粒子の運動軌道は、微粉炭粒子のρ 2の値に大きく依存する。
微粉炭粒子のρ 2の値と微粉炭粒子の軌道変化との関係を図2に示す。図2に示すように、微粉炭粒子のρ 2が小さいときは、微粉炭粒子はほぼX軸方向に流れていく。すなわち、熱風(主流ガス)と同じ運動軌跡を描く。一方、微粉炭粒子の密度ρ及び粒径dが大きくなると、微粉炭の持つ慣性力の影響が大きくなり、熱風のガス流とは異なる運動軌跡を描くようになる。
図2から、ρ 2≦3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子は熱風(主流ガス)とほぼ同じ運動軌跡になることがわかる。すなわち、ランス先端から300mmの位置(レースウェイ内となる位置)において、ρ 2≦3.5×10−7kg/mの微粉炭粒子のY方向変位をみると2mm以下でありランス肉厚以下となる。よって、この条件の微粉炭粒子はランス先端位置から真っ直ぐ、X軸方向(主流方向)に流れているとみなせる。
加えて、密度ρ及び粒径dが小さい微粉炭粒子は燃焼速度が速いので、ρ 2が小さい微粉炭粒子は燃焼反応速度が速い。逆に、ρ 2が大きい微粉炭粒子は燃焼反応速度が遅い。すなわち、ρ 2が3.5×10−7kg/m以下となる微粉炭粒子は、易燃性ガスと同等の挙動を示すと考えることができる。これらの事象から、微粉炭においては、微粉炭密度及び粒径に基づいて速燃性還元材分と遅燃性還元材分とに分けることができる。
つまり、ρ 2≦3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子は、上記のとおり易燃性ガスと同じ運動軌跡及び速い燃焼速度を示すので、速燃性還元材に分類される。但し、ρ 2>3.5×10−7kg/mの微粉炭粒子が全て遅燃性還元材に分類されるわけではなく、ρ 2>3.5×10−7kg/mの微粉炭粒子では、当該微粉炭粒子中の揮発分は、吹き込み後に直ちにガス化して易燃性の炭化水素ガスに変化するので、速燃性還元材に分類される。一方、ρ 2>3.5×10−7kg/mの微粉炭粒子中のチャー分は、主流ガスとは異なる粒子軌道を描き、且つ昇温後ゆっくりと燃焼反応を起こすので、遅燃性還元材に分類される。尚、微粉炭は、チャーとアッシュ(灰分)と揮発分とに分類される。
上記のことを踏まえると、羽口に吹き込まれる速燃性還元材の吹き込み原単位Rf(kg/溶銑−t)は、下記の(2)式で定義される。
Rf=RGR+S×(1−Ash)×PCR+(1−S)×VM×PCR …(2)
但し、(2)式において、RGRは易燃性還元ガス原単位(kg/溶銑−t)、PCRは微粉炭原単位(kg/溶銑−t)、Ashは微粉炭中のアッシュの質量比率(−)、VMは微粉炭中の揮発分の質量比率(−)、Sは、高炉に吹き込む微粉炭全量に対する、ρ 2≦3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子の質量比率(−)である。
(2)式の第1項は、天然ガスなどの易燃性還元ガスの吹き込み量(kg/溶銑−t)、第2項は、ρ 2≦3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子の吹き込み量(kg/溶銑−t)、第3項は、ρ 2>3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子から発する揮発分の吹き込み量(kg/溶銑−t)に対応する。
同様に、羽口に吹き込まれる遅燃性還元材の吹き込み原単位Rf(kg/溶銑−t)は、下記の(3)式で定義される。
Rs=(1−S)×PCR×(1−Ash−VM)+WPR …(3)
但し、(3)式において、WPRは廃プラスチック原単位(kg/溶銑−t)であり、(2)式で説明した記号は、上記説明のとおりである。
(3)式の第1項は、ρ 2>3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子のチャー成分の吹き込み量(kg/溶銑−t)、第2項は廃プラスチックの吹き込み量(kg/溶銑−t)に対応する。
速燃性還元材は燃焼性が高いので、どのような条件であっても、ほぼ100%燃焼すると考えてよい。よって、羽口における微粉炭の燃焼性を向上させるためには、燃焼性の悪い遅燃性還元材の燃焼効率を上げることが重要となる。遅燃性還元材を燃焼させるためには、遅燃性還元材の昇温を促進しつつ十分な酸素供給を確保する必要がある。
速燃性還元材は、前述のとおり、吹き込み後に高温の燃焼ガスとなる。この速燃性還元材による高温ガスは遅燃性還元材を昇温する効果があり、遅燃性還元材の燃焼促進に有効である。一方で速燃性還元材の量が多すぎると酸素が涸渇してしまうため、反対に遅燃性還元材の燃焼性を悪化させてしまう懸念がある。
そこで、遅燃性還元材の燃焼効率を最大化するためには、速燃性還元材と遅燃性還元材との比(Rf/Rs)を適正値に調整し、昇温と酸素供給とのバランスを保てるようにすればよい。
本発明者らは、種々の条件下で、比(Rf/Rs)と微粉炭の燃焼効率との関係を求める試験を実施した。その結果、微粉炭の燃焼率を80%以上とするためには、比(Rf/Rs)は下記の(1)式を満たす必要があることを見出した。
0.65≦Rf/Rs≦2.60 …(1)
これは、比(Rf/Rs)が0.65未満になると、速燃性還元材が不足するので、遅燃性還元材の昇温が不十分となって遅燃性還元材の燃焼性が悪化し、一方、比(Rf/Rs)が2.60よりも大きくなると、速燃性還元材によって初期に酸素を過剰消費されてしまうために、遅燃性還元材が燃焼反応を生ずる下流位置において酸素不足となり、遅燃性還元材の燃焼性悪化を招くからである。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、本発明に係る高炉の操業方法は、羽口から還元材を吹き込む高炉の操業方法において、前記還元材を、羽口に吹き込んだ後に直ちに燃焼し且つ羽口内のガス流れに追従して流れていく速燃性還元材と、羽口に吹き込んだ後に或る程度の昇温時間を経てから燃焼し且つ吹き込み速度に応じた慣性力の影響を受けて羽口内のガス流れとは異なる軌道を描いて流れていく遅燃性還元材との2つに分類し、前記速燃性還元材の吹き込み原単位Rfと、前記遅燃性還元材の吹き込み原単位Rsとが上記の(1)式を満たすように、前記還元材の種類及び吹き込み量を決定することを必須とする。
本発明において、羽口から吹き込む還元材は、微粉炭を含む還元材であり、したがって、吹き込む還元材としては、微粉炭単独であっても、微粉炭と天然ガス、プロパンガス、コークス炉ガス、転炉ガス、高炉ガスなどの易燃性還元ガスとの混合であっても、微粉炭と廃プラスチックとの混合であっても、更には、微粉炭と易燃性還元ガスと廃プラスチックとの混合であっても、いずれの場合も本発明を適用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、羽口から吹き込む還元材を、速燃性還元材と遅燃性還元材とに分けて考え、両者の吹き込み比率を適正な範囲とするので、さまざまな物性の微粉炭を使用しても、易燃性還元ガスや廃プラスチックなどの還元材との組み合わせによって、高位の燃焼性を安定して確保することができる。
微粉炭燃焼実験炉を用いて実機羽口を模擬した条件を作成し、微粉炭の燃焼率を調査するため、下記の3条件の検証実験を行った。
[1]揮発分(VM)の影響
揮発分(VM)の質量比率の影響を把握するために、表1に示すように、揮発分の質量比率の異なる6種類の微粉炭を用いて実験(試験番号1〜6)を行った。
揮発分の質量の影響のみを抽出するために、全炭種に対して、Sが0.3程度となるように微粉炭の粒径分布を調整した。易燃性還元ガスとしては天然ガスを用いた。
検証実験の結果を図3に示す。図3において、横軸が揮発分の質量比率で、縦軸が本発明で指標としている速燃性還元材の原単位と遅燃性還元材の原単位との比(Rf/Rs)である。図3では、各試験結果を、微粉炭の燃焼率が80%以上の試験と80%未満の試験とに区分して表示している。
本発明において、比(Rf/Rs)の範囲は0.65以上2.60以下であり、表1及び図3に示すように、この範囲では、微粉炭の燃焼率は80%以上の高い燃焼率となることがわかった。
[2]Sの影響
本発明では、ρ 2≦3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子の質量比率であるSが速燃性還元材として燃焼に寄与することを提案している。そこで、Sの影響を検証する実験を行った。易燃性還元ガスとしては天然ガスを用いた。
揮発分の質量比率が0.19で、見掛け密度が1330kg/m3の微粉炭に対し、易燃性還元ガスの原単位を5kg/溶銑−tの条件、150kg/溶銑−tの条件の2条件として、粒度分布を変えた実験(試験番号11〜20)を行った。
また、揮発分の質量比率が0.03で、見掛け密度が1550kg/m3の微粉炭に対し、易燃性還元ガスの原単位を10kg/溶銑−tとして、粒度分布を変えた実験(試験番号21〜23)も行った。これら実験条件の詳細を表2に示す。
各条件のSと比(Rf/Rs)との関係を図4に示す。図4では、各試験結果を、微粉炭の燃焼率が80%以上の試験と80%未満の試験とに区分して表示している。
本発明において、比(Rf/Rs)の範囲は0.65以上2.60以下であり、表2及び図4に示すように、この範囲では、微粉炭の燃焼率は80%以上の高い燃焼率となることがわかった。
[3]易燃性還元ガス、微粉炭及び廃プラスチックの吹き込み量の影響
易燃性還元ガスの吹き込み原単位(RGR)、微粉炭の吹き込み原単位(PCR)、廃プラスチックの吹き込み原単位(WRP)に対しても検証実験を行った。易燃性還元ガスとしては天然ガスを用い、同一炭種、同一粉砕条件の微粉炭に対して実験(試験番号31〜42)を行った。実験条件を表3に示す。
また、このときの還元材の吹き込み原単位(RGR+PCR+WPR)と比(Rf/Rs)との関係を図5に示す。図5では、各試験結果を、微粉炭の燃焼率が80%以上の試験と80%未満の試験とに区分して表示している。
本発明において、比(Rf/Rs)の範囲は0.65以上2.60以下であり、表3及び図5に示すように、この範囲では、微粉炭の燃焼率は80%以上の高い燃焼率となることがわかった。
1 ブローパイプ
2 吹き込み用ランス
3 微粉炭粒子

Claims (1)

  1. 羽口から還元材を吹き込む高炉の操業方法において、
    前記還元材として、微粉炭単独、微粉炭と易燃性還元ガスとの混合、微粉炭と廃プラスチックとの混合、微粉炭と易燃性還元ガスと廃プラスチックとの混合のうちのいずれかとし、
    前記還元材を、速燃性還元材と遅燃性還元材との2つに分類し、
    前記速燃性還元材の吹き込み原単位Rfと、前記遅燃性還元材の吹き込み原単位Rsとが以下の(1)式を満たすように、前記還元材の種類及び吹き込み量を決定することを特徴とする、高炉の操業方法。
    0.65≦Rf/Rs≦2.60 …(1)
    ここで、速燃性還元材の吹き込み原単位Rf(kg/溶銑−t)は、下記の(2)式で定義され、遅燃性還元材の吹き込み原単位Rs(kg/溶銑−t)は、下記の(3)式で定義される。
    Rf=RGR+S×(1−Ash)×PCR+(1−S)×VM×PCR …(2)
    Rs=(1−S)×PCR×(1−Ash−VM)+WPR …(3)
    但し、(2)式、(3)式において、RGRは易燃性還元ガス原単位(kg/溶銑−t)、PCRは微粉炭原単位(kg/溶銑−t)、Ashは微粉炭中のアッシュの質量比率(−)、VMは微粉炭中の揮発分の質量比率(−)、WPRは廃プラスチック原単位(kg/溶銑−t)、Sは、高炉に吹き込む微粉炭全量に対して、ρ 2≦3.5×10−7kg/mとなる微粉炭粒子の質量比率(−)である。ここで、ρは微粉炭粒子の見掛け密度(kg/m3)、dは微粉炭粒子の粒径(m)である。
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