JP4992235B2 - 高炉への還元材吹込み方法及び装置 - Google Patents
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Description
(1)微粉炭を170kg/t以上吹込んでも、その燃焼性を確保してコークスとの置換率を高く保ち、生産量、燃料比を維持することを目的とした高炉操業方法であって、微粉炭吹込み位置の手前より燃料ガスを吹込むことを特徴とする高炉操業方法(特許文献1参照)。
(2)合成樹脂の多量吹き込みを実現することを主目的とした高炉操業方法であって、羽口部の送風支管に設置した補助燃料吹込みノズルから天然ガス等の補助燃料を吹き込むとともに、該補助燃料吹込み位置よりも送風の上流側に設置されたノズルから合成樹脂粒を吹き込むことを特徴とする高炉操業方法(特許文献2参照)。
したがって、本願のように燃料ガス等を微粉炭と同様に還元材として用いるものとは、基本的に異なるものである。
本発明は天然ガス等を気体還元材として高炉羽口から吹込む場合について、具体的な問題点の指摘、およびその解決手段を示すものである。
また、天然ガス等がブローパイプ内で燃焼すると、その熱は羽口やブローパイプの周囲を冷却する冷却装置によって奪われることになり、熱が無駄になる。また、冷却装置の冷却効率の低下にもなる。
微粉炭および/または微粒化した合成樹脂を吹込む微粉炭等吹込みランスは、先端に微粉炭等吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
前記都市ガスを吹込む気体還元材吹込みランスは、先端に気体還元材吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
微粉炭または微粒の合成樹脂材の着火、燃焼により酸素が消費され、酸素濃度が低下した領域である微粉炭および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置の下流側0〜150mmの範囲を都市ガスの吹込み位置とし、前記送風管及び高炉羽口内での前記都市ガスの燃焼を抑制するようにしたことを特徴とするものである。
なお、下流側とは送風管における送風方向の下流側を意味しており、微粉炭の吹込み位置の下流側とは微粉炭の吹込み位置よりも炉内に近い側をいう。
微粉炭および/または微粒化した合成樹脂を吹込む微粉炭等吹込みランスと、都市ガスを吹込む気体還元材吹込みランスを備え、
微粉炭等吹込みランスは、先端に微粉炭等吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
気体還元材吹込みランスは、先端に気体還元材吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
前記気体還元材吹込みランスの吹込み口を前記微粉炭等吹込みランスの吹込み口の下流側0〜150mmの範囲に設定し、前記微粉炭および/または微粒化した合成樹脂の着火、燃焼により酸素が消費され、酸素濃度が低下した領域に前記都市ガス吹込みを可能にしてなることを特徴とするものである。
なお、都市ガスとしては、液化天然ガスを主に、増燃用として液化プロパンガスを加えたもので、発熱量を11000±100kcal/m3に管理されたものを使用した。
また、微粒化した合成樹脂とは、最大径が2mm以下でかつ平均粒径が500μm以下のものをいう。なお、工業的に通常使用できる微粒化した合成樹脂は平均粒径が200〜500μm程度である。
微粒化した合成樹脂の大きさを上記のように規定したのは、このような大きさに微粒化することで微粉炭と同程度の着火性を有するからである。
微粉炭等吹込みランス7は、気体還元材吹込みランス5と同様にブローパイプの周壁からブローパイプ3の中心に向けて斜めに挿入されて設置されている。そして、微粉炭等吹込みランス7の先端に位置する微粉炭等吹込み口7aは気体還元材吹込みランス5の先端に位置する気体還元材吹込み口5aより100mm炉外側に配置されている。
また、微粉炭等吹込みランス7の後端側は、図示しない微粉炭等製造装置によって製造される微粉炭および/または微粒化した合成樹脂を気流搬送する微粉炭等気流搬送管に連結されている。
そして、本実施の形態においては、微粉炭等吹込みランス7の先端に位置する微粉炭等吹込み口7aは気体還元材吹込みランス5の先端に位置する気体還元材吹込み口5aよりも100mm炉外側に配置したため、微粉炭および/または微粒化した合成樹脂が気体還元材の燃焼に必要な酸素を消費して、結果として気体還元材の燃焼を遅延させるため、気体還元材吹込みランス5から吹込まれた都市ガスはブローパイプ3及び羽口内での燃焼が抑制され、炉内において燃焼して還元性ガスとなる。なお、気体還元材吹込みランス5の先端に位置する気体還元材吹込み口5aを羽口炉内側先端部1aから炉外側に配置したために、炉内の高温ガスに気体還元材吹込みランス5がさらされることが無くなり、溶損が防止できるため、高炉内に気体還元材を安定して吹込むことが可能であった。
なお、微粉炭と微粒化した合成樹脂とは通常の場合単一ランスから混合状態で吹込むが、羽口内の寸法上の取り合いが可能であれば複数の専用ランスを用いて吹込んでも良い。その場合は、気体還元材の吹込み位置は微粉炭等の吹込み位置のうち最も下流側の位置から0〜150mmとなるようにする。
なお、気体還元材とは常温、常圧下で気体である還元材のことを指している。
コークス充填型試験燃焼炉10は、図2に示すように、炉内高さ1000mm、炉内奥行き600mmの矩形の炉であり、炉壁10aに羽口11を一本有している。羽口11には熱風吹き込み用のブローパイプ13が接続され、ブローパイプ13にはブローパイプ内の圧力を測定する入側圧力計15が設けられている。
また、炉の上部にはコークス装入口17と排気口19が設けられ、排気口には排ガスの圧力を測定する出側圧力計21が設けられている。
また、ブローパイプ13には、気体還元材吹込みランスと微粉炭等吹込みランスが設けられている。コークス充填型試験燃焼炉10においては、気体還元材吹込みランスと微粉炭等吹込みランスのそれぞれの設置位置は適宜変更可能になっている。
本実施例では、羽口炉内側先端位置で微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂を吹込み、都市ガス吹込み位置を微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置(すなわち羽口炉内側先端位置)の上流側で50mmとした場合(比較例1)、羽口炉内側先端位置で都市ガスを吹込み、微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置を都市ガスの吹込み位置(すなわち羽口炉内側先端位置)の上流側で50mmとした場合(本発明例)の2つの場合を行った。
図3に示すように、比較例においては都市ガスの吹込みを開始した時点(実験の開始から約40分の時点)で圧損が約4kPaから約6kPaに上昇している。これは、都市ガスの吹込みによって羽口内で都市ガスが燃焼し、ガスボリュームの増大によって流路抵抗が増し、圧損が上昇したものと考えられる。
他方、本発明の実施例の場合には、都市ガスの吹込みを開始しても圧損の大きな変化はない。
なお、都市ガスの吹込み位置と微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置の間の距離:D{D=(羽口炉内先端位置と微粉炭等吹込みランス先端位置の距離)−(羽口炉内先端位置と都市ガス吹込みランス先端位置の距離)}については、D=−50mm、D=0mm、D=75mm、D=150mm、D>150mmの5つの場合について実験を行った。
図5は圧損変化率と都市ガス吹込み位置との関係を示したグラフであり、縦軸が圧損変化を、横軸が都市ガス吹込み位置の羽口炉内側先端からの距離をそれぞれ示している。
しかし、Dが150mmを超えると微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂の燃焼による高温ガスにより都市ガス吹込みランスが溶損し、安定した都市ガス吹込みができなかった。
一方、都市ガスの吹込み位置を微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置の上流側とした例(D=−50mm)では、都市ガス吹込み位置の羽口炉内側先端からの距離によらず圧損変化率は、都市ガスの吹込み位置を微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置の下流側とした上記3つの例に比較して急上昇した。
以上の結果から、圧損を生ずることなく都市ガスを吹込むことができる位置としては、都市ガスの吹込み位置を微粉炭等および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置の下流側で0〜150mmであると認められる。
図6に示したガス温度および酸素濃度は気体還元材を吹き込む前の計算値(断面平均値)である。
還元材比の欄を見ると、ベース操業では還元材比が500(kg/t-p)であったのが、本発明例では489(kg/t-p)に低下しており、還元効率が向上したことが分かる。このことは、還元効率の高い都市ガスを還元材として効果的に利用できたことを示している。
他方、比較例では本発明例と同量の都市ガスを吹込んでいるにもかかわらず、還元材比は520(kg/t-p)であり、ベース操業の場合よりも還元材比が高くなっている。これは還元効率のよい都市ガスを吹込んだにもかかわらず圧損上昇により、送風量の低下や操業の不安定化が助長され還元材として効果的に利用できなかったことを示している。
他方、比較例では本発明例と同量の都市ガスを吹込んでいるにもかかわらず、コークス比は370(kg/t-p)であり、ベース操業の場合より30(kg/t-p)低下したにすぎない。これは還元効率のよい都市ガスを吹込んだにもかかわらず圧損上昇により、送風量の低下や操業の不安定化が助長されコークスとの置換が効果的にできなかったことを示している。
このように、都市ガスのような還元効率の高い気体還元材を吹込んでも、その吹込み方が不適切であれば、効果的な高炉操業ができない。
この点、本発明によれば、効果的な高炉操業が実現され、その効果は絶大である。
Claims (2)
- 高炉の送風管を貫通して設けられた複数の吹込みランスを介して、高炉羽口内に微粉炭および/または微粒化した合成樹脂と、都市ガスをそれぞれ別々のランスにより吹込む還元材吹込み方法において、
微粉炭および/または微粒化した合成樹脂を吹込む微粉炭等吹込みランスは、先端に微粉炭等吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
前記都市ガスを吹込む気体還元材吹込みランスは、先端に気体還元材吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
微粉炭または微粒の合成樹脂材の着火、燃焼により酸素が消費され、酸素濃度が低下した領域である微粉炭および/または微粒化した合成樹脂の吹込み位置の下流側0〜150mmの範囲を都市ガスの吹込み位置とし、前記送風管及び高炉羽口内での前記都市ガスの燃焼を抑制するようにしたことを特徴とする高炉への還元材吹込み方法。 - 高炉の送風管を貫通して設けられた複数の吹込みランスを介して、高炉羽口内に微粉炭および/または微粒化した合成樹脂と、都市ガスを吹込む還元材吹込み装置であって、
微粉炭および/または微粒化した合成樹脂を吹込む微粉炭等吹込みランスと、都市ガスを吹込む気体還元材吹込みランスを備え、
微粉炭等吹込みランスは、先端に微粉炭等吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
気体還元材吹込みランスは、先端に気体還元材吹込み口を有すると共に前記送風管の周壁から前記送風管の中心に向けて斜めに挿入されて設置され、
前記気体還元材吹込みランスの吹込み口を前記微粉炭等吹込みランスの吹込み口の下流側0〜150mmの範囲に設定し、前記微粉炭および/または微粒化した合成樹脂の着火、燃焼により酸素が消費され、酸素濃度が低下した領域に前記都市ガス吹込みを可能にしてなることを特徴とする高炉への還元材吹込み装置。
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