JP6489028B2 - 燃料電池システムおよび燃料電池システムにおける触媒の回復処理方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムにおける触媒の回復処理方法 Download PDF

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Description

本発明は燃料電池システムおよび燃料電池システムにおける触媒の回復処理方法に関する。
燃料電池システムにおいて、稼働に伴い低下したカソード触媒の性能(活性)を回復させるための回復処理を実行するに当たり、燃料電池の出力状態(電流−電圧特性)に基づいてカソード触媒の性能低下を判定し、回復処理の実行時期を決定する技術が知られている(例えば、引用文献1)。
特開2012−119165号公報
しかしながら、燃料電池の出力状態は、カソード触媒の活性状態のみならず、電解質膜の劣化状態や湿潤状態といった他の要素の影響を受けて変動する。したがって、燃料電池の出力状態は、カソード触媒の性能低下を高い精度で判断できる指標とは言えず、回復処理の実行時期を適切に決定できないという問題がある。
適切でない時期における回復処理の実行は、回復処理の頻度を上げることとなり、カソード触媒の劣化、例えば、シンタリングをもたらし、触媒性能の不可逆的劣化を促進するおそれがある。また、触媒性能の不可逆的変化は、燃料電池の燃料消費率の増大をもたらす。一方、回復処理が適切な時期に実行されず、実行回数の頻度が低い場合には回復処理による触媒性能の向上効果を得られにくくなる。
したがって、カソード触媒の性能低下を精度良く判定し、適切な実行時期にカソード触媒の性能を回復させる回復処理を実行することが求められている。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の態様として実現することが可能である。
第1の態様は、燃料電池システムを提供する。第1の態様に係る燃料電池システムは、触媒を有するカソードを備える燃料電池と、前記燃料電池の電圧を測定する電圧測定部と、前記燃料電池の電圧を調整する電圧調整部と、前記電圧調整部を動作させ、前記燃料電池の電圧を低下させて前記触媒の性能を回復させる回復処理を実行する制御部とを備える。制御部は、前回の前記回復処理からの経過時間が所定の時間間隔を超えると前記回復処理を実行し、前記回復処理の実行中に前記電圧測定部により測定された電圧値を用いて前記所定の時間間隔を再設定する。
第1の態様に係る燃料電池システムによれば、カソード触媒の性能回復の度合いの判断指標として、回復度との相関性が高い回復処理時における燃料電池の電圧を用いるので、カソード触媒の性能低下を精度良く判定し、適切な実行時期にカソード触媒の性能を回復させる回復処理を実行することができる。
第1の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記所定の時間間隔の期間に前記電圧測定部により測定される電圧値が基準電圧値以上である時間の積算値を、前記経過時間として計時し得る。この場合には、経過時間として、カソード触媒の性能低下、劣化に影響を与える時間を経過時間として計時することができる。
第1の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値に応じて重み付けされた重み付け経過時間を前記経過時間として用い、前記重み付けは前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値が高くなるほど大きくなり得る。この場合には、経過時間として、さらに、カソード触媒の性能低下、劣化に影響を与える時間を経過時間として計時することができる。
第1の態様に係る記載の燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記経過時間に対して、前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値に応じて加算時間を加え、前記加算時間は前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値が高くなるほど長くなり得る。この場合には、経過時間として、カソード触媒の性能低下、劣化に影響を与える時間を経過時間として計時することができる。
第1の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記回復処理の際に測定された前記電圧値が高くなるほど前記所定の時間間隔が短くなるように決定し得る。この場合には、所定の時間間隔として、回復処理の状態に応じた間隔を所定の時間間隔として再設定することができる。
第1の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記回復処理の際に測定された最低の電圧値を用いて前記所定の時間間隔を再設定し得る。この場合には、さらに、所定の時間間隔を精度良く決定することができる。
第1の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記制御部は、予め用意された時間間隔を前記所定の時間間隔の初期値に設定し得る。この場合には、回復処理の開始時における所定の時間間隔を規定することができる。
第1の態様に係る燃料電池システムはさらに、前記燃料電池システムに対する出力要求を検出する出力要求検出部を備え、前記制御部は、前記出力要求検出部によって前記出力要求が検出されない期間、前記回復処理を実行し得る。この場合には、出力要求を考慮することなく、回復処理を実行するために燃料電池システムを作動させることができる。
第1の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記制御部はさらに、前記所定の時間間隔の期間、前記電圧調整部を制御して、前記燃料電池の電圧を維持電圧に維持する間欠処理を実行し得る。この場合には、燃料電池システムに対する出力要求が入力された場合に、速やかに要求される出力を供給することができる。
第2の態様は、燃料電池システムにおける触媒の性能の回復処理方法を提供する。第2の態様に係る燃料電池システムにおける触媒の性能の回復処理方法は、前回の回復処理からの経過時間が所定の時間間隔を超えると、前記触媒を有するカソードを備える燃料電池の電圧を低下させて前記触媒の性能を回復させる回復処理を実行し、前記回復処理の実行中に前記燃料電池の電圧値を測定し、前記回復処理を終えた後、前記測定された電圧値を用いて前記所定の時間間隔を再設定すること、を備える。
第2の態様に係る燃料電池システムにおける触媒の性能の回復処理方法によれば、カソード触媒の性能低下を精度良く判定し、適切な実行時期にカソード触媒の性能を回復させる回復処理を実行することができる。第2の態様に係る燃料電池システムにおける触媒の性能の回復処理方法は、第1の態様に係る燃料電池システムと同様にして種々の態様にて実現され得る。
本発明は、燃料電池システムにおける触媒の性能の回復処理プログラムとしても実現可能である。
本実施形態に係る燃料電池システムの構成を模式的に示す説明図。 第1の実施形態に係る燃料電池システムを搭載する車両を示す説明図。 第1の実施形態に係るリフレッシュ処理の処理ルーチンを示すフローチャート。 最低電圧値V1とリフレッシュ間隔T1とを対応付けるマップを示す説明図。 セル電圧とカソード触媒の機能回復度の関係を示す説明図。 第2の実施形態に係る燃料電池制御処理およびリフレッシュ処理の処理ルーチンを示すフローチャート。 第3の実施形態における経過時間を計時するための処理フローを示すフローチャート。 第4の実施形態におけるカソードセル電圧と加算時間との関係を示す説明図。 第4の実施形態におけるカソードセル電圧と経過時間との関係を示す説明図。
本発明に係る燃料電池システムおよび燃料電池システムにおける触媒の回復処理方について以下説明する。
第1の実施形態:
図1は本実施例に係る燃料電池システムの構成を模式的に示す説明図である。燃料電池システムFCは、燃料電池10、燃料ガス供給系、酸化ガス供給系、冷却系および制御部50を備えている。なお、本実施例において、反応ガスは、燃料電池10における電気化学反応に供する燃料ガスおよび酸化ガスの総称である。なお、燃料ガスとしては、例えば、純水素、水素含有量の高い水素リッチガスが含まれ、酸化ガスとしては、例えば、空気(大気)、酸素が含まれる。
燃料電池10は、燃料ガスが供給されるアノードおよび酸化ガスが供給されるカソードを有する。本実施例では、固体高分子型の燃料電池が用いられ、燃料電池10は、電解質膜のそれぞれの面上に、アノード触媒を担持しているアノード触媒層およびカソード触媒を担持しているカソード触媒層を備える膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を備えている。なお、アノード触媒層およびカソード触媒層に加えて、ガス拡散性の高い材質、例えば、多孔質体、エキスパンドメタルから構成されるアノードガス拡散層、およびカソードガス拡散層を備えていても良い。
電解質層は、固体高分子電解質膜、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸を含むフッ素系樹脂からなるプロトン伝導性のイオン交換膜によって形成することができる。アノード触媒層およびカソード触媒層は、電気化学反応を促進する触媒、例えば、貴金属あるいは貴金属と他の金属とから成る貴金属合金、コバルト合金、カーボンアロイからなる触媒とを含む。なお、本実施形態においては、白金(Pt)または白金合金からなる触媒を用いて説明する。各触媒層は電解質層の表面に塗布されることによって形成されても良く、あるいは、各ガス拡散層に触媒金属を担持させることによって、各ガス拡散層と一体に形成されても良い。各ガス拡散層は、導電性及びガス透過性を有する部材、例えば、カーボン製多孔体、カーボンペーパを用いることができる。白金および白金合金は、カソードが高電位の場合に経時的に活性が低下する材料であり、過度なリフレッシュ処理の実行に伴うシンタリングによる触媒劣化が発生する材料であるから、第1の実施形態に好適に用いられる。
燃料電池10は、アノードに燃料ガス供給部100aおよび燃料オフガス排出部100b、カソードに酸化ガス供給部100cおよび酸化オフガス排出部100dを備えている。
燃料ガス供給系は、水素ガスタンク11、水素供給装置12、燃料ガス供給管110、燃料オフガス排出管111、燃料オフガス循環管112を備えている。水素ガスタンク11は、燃料ガスである水素を供給するために水素ガスを高圧で貯蔵する水素貯蔵部である。この他に、水素貯蔵合金、カーボンナノチューブを用いた水素貯蔵部、液体水素を貯蔵する水素貯蔵部が用いられても良い。
燃料電池10の燃料ガス供給部100aと水素ガスタンク11とは燃料ガス供給管110によって接続されている。燃料ガス供給管110には、圧力制御弁21およ水素供給装置12が配置されている。圧力制御弁21は、水素ガスタンク11から供給される燃料ガスの圧力を所定の圧力に調整すると共に、制御部50からの閉弁要求に従って、閉弁状態を取り、水素ガスタンク11から燃料電池10に対する燃料ガスの供給を停止する。水素供給装置12は、制御部50からの制御信号に従い、水素ガスタンク11から放出(供給)された所定圧力の燃料ガスの圧力を減圧し、また燃料ガスの流量を所望の流量に調整して、燃料ガスを燃料電池10に供給する。水素供給装置12としては、例えば、1または複数の水素インジェクタが用いられ得る。
燃料電池10の燃料オフガス排出部100bと燃料ガス供給管110における水素供給装置12の下流部とには燃料オフガス循環管112が接続されている。燃料オフガス循環管112には、気液分離器13および燃料オフガス循環ポンプ31が配置されている。気液分離器13には、アノード封止弁22を介して燃料オフガス排出管111が接続されている。気液分離器13は、燃料オフガスに含まれる気体成分と液体成分とを分離する。アノード封止弁22は制御部50によって制御され、開弁状態にて気液分離器13からの液体成分、主には生成水の排出を許容し、閉弁状態にて気液分離器13らの液体成分の排出を停止する。アノード封止弁22は、通常閉弁されており、アノード封止弁22を定期的に開弁することによって、気液分離器13に蓄積された液体成分を燃料電池10の外部に排出する。
燃料オフガス循環ポンプ31は、制御部50によって制御され、アノードに対して燃料オフガスを再投入すると共に、アノードに供給されるべき燃料ガス流量を調整する。なお、気液分離器13およびアノード封止弁22を備えることなく、燃料電池の燃料オフガス排出部100bに燃料オフガス循環管112が直接接続されていても良い。
酸化ガス供給系は、酸化ガス供給管120、酸化ガスブロワー32、酸化オフガス排出管121、マフラ14を含んでいる。燃料電池10の酸化ガス供給部100cには、酸化ガス供給管120が接続されており、酸化ガスブロワー32と燃料電池10は、酸化ガス供給管120を介して接続されている。酸化ガス供給管120にはカソードを大気から封止するための第1カソード封止弁23が備えられている。燃料電池10の酸化オフガス排出部100dには、酸化オフガス排出管121が接続されている。酸化オフガス排出管121には、第2カソード封止弁24、マフラ14が備えられている。第2カソード封止弁24は、酸化ガスブロワー32と協働してカソード圧力を調整すると共に、第1カソード封止弁と協働してカソードを大気から封止する。マフラ14はカソードオフガスの排出に伴い発生する排気音を低減する。
燃料電池10の出力端子であるアノード端子101およびカソード端子102には、電力制御部40を介して二次電池41および負荷としての駆動用モータ42が接続されている。本実施形態において、二次電池41にはリチウムイオン電池が用いられ、駆動用モータ42には三相交流モータが用いられる。二次電池41としてはこの他に、ニッケル水素電池、キャパシタが用いられても良く、駆動用モータ42としては直流モータまた他の交流モータが用いられても良い。二次電池41は、燃料電池10によって生成された電力または車両の減速時に得られた回生電力によって充電される。二次電池41に蓄えられた電力は、燃料電池10の稼働開始時に補機を駆動するため、あるいは、燃料電池10を稼働させず駆動用モータ42により車両を駆動するために用いられる。燃料電池システムFCが車両に搭載されている場合、負荷としては、例えば、駆動用モータ42の他に燃料電池10を作動させるための補機駆動用のアクチュエータ(図示せず、主にはモータ)が用いられる。
電力制御部40は、二次電池41の出力電圧を降圧して低電圧補機へ出力するための第1のDC−DCコンバータ、駆動用モータ42を駆動するために燃料電池10または二次電池41からの直流電流を交流電流に変換、あるいは回生時に駆動用モータ42による発電により得られた交流電流を直流電流に変換するためのインバータ、二次電池41の出力電圧を駆動用モータ42の駆動電圧まで昇圧し、また、二次電池41を充電するために燃料電池10の出力電圧および回生時における駆動用モータ42の出力電圧を降圧する第2のDC−DCコンバータを備えている。
電力制御部40は、二次電池41の充電または放電を制御し、また、二次電池41の充電状態(SOC:State of Charge)が所定の範囲内となるよう二次電池41の充電状態を制御する。電力制御部40は、制御部50からの制御信号に従い駆動用モータ42の回転を制御し、また、回生時に発電機として機能する駆動用モータ42により発電された電力を二次電池41に蓄える充電制御を実行する。
アノード端子101およびカソード端子102には燃料電池の電圧を測定するための電圧測定部としての電圧計60が接続されており、燃料電池10が備える総セルの出力電圧を計測する。燃料電池10のカソード端子102に接続されている電源ケーブルには電流計61が配置されている。
冷却系は、熱交換器15および冷却液用ポンプ33を含んでいる。燃料電池10と熱交換器15とは冷却液配管130を介して接続されている。冷却液配管130には冷却液配管130内の冷却液を循環させるための冷却液用ポンプ33が配置されている。なお、冷却液は冷媒として用いられており、気体と液体との間で相変化することにより、例えば大気との間で熱の授受を行う冷却物質が用いられても良い。
制御部50は、出力要求検出部65から入力される要求出力に応じて燃料電池システムFCの動きを制御する。出力要求検出部65には、例えば、運転者からの要求出力を検出するアクセルペダル、燃料電池システムFCの補機の制御部が含まれる。制御部50は、中央演算装置(CPU)51、メモリ52、入出力インターフェース53、タイマ54を備えている。CPU51、メモリ52、入出力インターフェース53およびタイマ54は双方向通信バスによって互いに接続されている。CPU51はメモリ52に格納されているプログラムを実行し、燃料電池システムFCの動作を制御する。CPU51はマルチスレッドCPUであっても良く、あるいは、複数のCPUの集合体の総称としても用いられる。メモリ52には、カソード触媒の性能を回復させる処理であるリフレッシュ処理を実行するためのリフレッシュ処理プログラムP1、燃料電池システムFC全体の運転制御を実行するための燃料電池制御プログラムP2、経過時間を計時するための計時プログラムP3が格納されている。これらプログラムP1、P2はCPU51によって実行されることによって、リフレッシュ処理実行部、燃料電池制御部として機能する。また、メモリ52はCPU51による演算結果を一時的に記憶するための作業領域を備えている。入出力インターフェース53は、制御部50の外部に備えられている各種センサおよびアクチュエータと制御部50とを接続するための計測信号線および制御信号線が接続されるインターフェースである。本実施例では、入出力インターフェース53には、水素供給装置12、圧力制御弁21、アノード封止弁22、第1、第2カソード封止弁23、24、燃料オフガス循環ポンプ31、酸化ガスブロワー32、冷却液用ポンプ33、電力制御部40がそれぞれ制御用信号線を介して接続され、図示しない要求出力センサとしてのアクセル開度センサ、電圧計60および電流計61が計測信号線を介して接続されている。タイマ54は内蔵する発振回路により発生される所定周期のタイミング信号を計時する計時回路であり、本実施形態においては、経過時間Trを計時するために用いられる。
燃料電池システムFCの動作について簡単に説明する。水素ガスタンク11に貯蔵されている高圧水素ガスは、圧力制御弁21によって減圧された後、さらに水素供給装置12によって、所定の圧力および燃料ガス流量に調整され、燃料ガス供給管110および燃料ガス供給部100aを介して燃料電池10のアノードに供給される。燃料電池10内に供給された燃料ガスのうち、起電反応に供されなかった燃料ガスを含む燃料オフガス(アノードオフガス)は、燃料オフガス排出部100bおよび燃料オフガス排出管111を介して、燃料オフガス循環管112に流動する。燃料オフガス循環管112に流動した燃料オフガスは、燃料オフガス循環ポンプ31によって水素供給装置12から供給された燃料ガスと共に流量調整されて、燃料ガス供給管110へと導かれ燃料電池10に再投入される。
燃料電池10のカソードへは、酸化ガスブロワー32によって取り込まれた大気(空気)が酸化ガス供給管120および酸化ガス供給部100cを介して供給される。制御部50は、燃料電池10運転時には、第1および第2カソード封止弁23、24を開弁状態とする。
アノードに供給された水素は、アノード触媒層によって水素イオン(プロトン)と電子とに分離とされ、水素イオンは膜電極接合体を介してカソードに移動し、電子は外部回路を介してカソード触媒層へと移動する。カソードに移動した水素イオンは、カソード触媒層において、カソードに供給された酸素および外部回路を経由した電子と反応し、水が生成される。この一連の反応によって、負荷を駆動するための電流を得ることができる。
図2は第1の実施形態に係る燃料電池システムを搭載する車両を示す説明図である。本実施形態において燃料電池システムFCは、車両(乗用車)80に搭載されている。出力要求検出部65であるアクセルペダルから入力された出力要求に基づいて制御部50は、上述の処理を行い、燃料電池10から駆動用モータ42に対して電力を供給し、車輪81を駆動して車両80を走行させる。
第1の実施形態に係るリフレッシュ処理について説明する。図3は第1の実施形態に係るリフレッシュ処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。第1の実施形態に係るリフレッシュ処理は、制御部50(CPU51)がリフレッシュ処理プログラムP1を実行することによって実現され、燃料電池10に対する出力要求とは無関係に、所定の時間間隔T1で実行されるカソード触媒の性能回復処理である。したがって、車両の走行要求があり、燃料電池10の運転を要しない条件では、制御部50からの制御信号を受けた電力制御部40によって二次電池41を電源として駆動用モータ42の駆動が実行され、車両の走行が実現される。例えば、低速走行時等、出力要求が比較的低い場合が該当する。車両の走行要求があり、燃料電池10の運転を要する条件では、リフレッシュ処理の実行の際して、燃料電池10の運転ポイントを変更し、出力電圧Vが後述する所定の電圧(所定のカソード電位に対応)以下となり、相対的に電流Iが大きくなる運転ポイントにて燃料電池10が運転される。
CPU51は、起動スイッチのオン入力を受け燃料電池制御プログラムP2を実行し燃料電池10を起動させると、リフレッシュ処理プログラムP1の実行を開始する。したがって、酸化ガスブロワー32および燃料ガス供給系によるカソードおよびアノードに対する酸化ガスおよび燃料ガスの供給は実行されている。CPU51は経過時間Trを取得する(ステップS100)。経過時間Trは先のリフレッシュ処理終了時からの経過時間であり、タイマ54によって計時される。なお、リフレッシュ処理プログラムP1の初回実行時には、Tr=0(sec)が初期値として用いられる。CPU51は経過時間Trが予め定められたリフレッシュ間隔(所定の時間間隔)T1を超えるまで待機する(ステップS110:No)。CPU51は、経過時間Trがリフレッシュ間隔T1を超えると(ステップS110:Yes)、リフレッシュ処理を実行する(ステップS120)。なお、リフレッシュ処理後におけるリフレッシュ間隔T1は後述の通り決定されるが、起動時におけるリフレッシュ間隔T1としては最低電圧値V1を0として予め用意された初期値が用いられる。
リフレッシュ処理の原理について説明する。カソード触媒層においては、カソード電位が所定の電位よりも高い場合には酸化雰囲気となりカソード触媒は酸化され、カソード電位が所定の電位よりも低い場合には還元雰囲気となり酸化されたカソード触媒は還元されることが知られている。所定の電位としては、例えば、0.7Vである。カソード触媒の性能低下は、カソード触媒の表面に酸化による酸化皮膜が形成され反応ガスとの接触面積や接触効率が低下することにより発生するので、カソード触媒の表面の酸化皮膜を還元反応により除去することによって触媒性能を回復させることができる。
CPU51は、酸化ガスブロワー32を停止させてカソードへの酸化ガスの供給を停止させる一方、燃料オフガス循環ポンプ31によるアノードに対する燃料ガスの供給を継続するリフレッシュ処理を予め定められた時間実行する。すなわち、カソードに対する酸化ガスの供給停止により、カソードには限られた量の酸素が残留し、この残留酸素は水素と反応して消費され、やがて消失する。この結果、カソード電位は低下し始め、やがて(例えば、数十秒後)、所定の電位以下となる。CPU51は、予め定められた時間が経過すると、リフレッシュ処理を終了、すなわち、車両に対する出力要求と無関係に酸化ガスブロワー32を停止させる。ここで、予め定められた時間は、カソード電位(カソードセル電圧)が0.7V未満となると共に0.4V以上であり、また回復処理により20mV/セル以上のカソードセル電圧の改善が見られる任意の時間であることが望ましい。なお、燃料オフガス循環ポンプ31による燃料ガスの供給は継続されて良い。この時点で、燃料電池10は、車両に対する出力要求に応じて最適な電圧−電流特性線上にて運転を行い電力を供給する通常運転を許されるので、CPU51は、燃料電池制御プログラムP2を実行し、酸化ガス供給系および燃料ガス供給系を制御して反応ガス量を調整する。なお、CPU51は、リフレッシュ処理速度を高める場合には(例えば、1秒程度で所定の電位以下とする場合)、電力制御部40に制御信号を送り、二次電池41と燃料電池10のアノード端子101およびカソード端子102とを電気的に接続し、燃料電池10から電流を引き、カソードに残留する酸素の消費を促しても良い。本実施形態において、酸化ガスブロワー32を含む酸化ガス供給系および燃料オフガス循環ポンプ31を含む燃料ガス供給系、並びに電力制御部40は、電圧調整部と呼ぶことができる。
CPU51は、リフレッシュ処理が終了した際の燃料電池10の電圧値、すなわち、燃料電池10の電圧値は低下し続けるので最低電圧値V1を電圧計60から取得し、メモリ52に格納する(ステップS130)。なお、上述のように、カソード触媒の性能低下の問題はセル単位の問題であるから各セルにおけるセル電圧を用いたカソード触媒の性能回復、性能低下の判断に技術的意義がある。しかしながら、各セルの電圧を計測することは装置構成が複雑となり容易ではない。そこで、本実施形態においては、電圧計60により測定された燃料電池10の総電圧値を検出し、必要に応じて総電圧値をセル数で除した平均セル電圧(単に、セル電圧ともいう)を用いて、触媒の性能低下・回復について説明する。なお、総電圧値に代えて各セルまたは任意の複数のセルのセル電圧値を検出し、最低セル電圧値または最高セル電圧値、あるいは、平均のセル電圧値を用いて触媒の性能低下・回復の判断がなされても良い。ここで、燃料電池10の内部抵抗を考慮すると、セル電圧とカソード電位とは同一とはならないが、両者の差は微差であり、また本実施形態は当該微差の影響を問題としないので、本明細書においてはセル電圧とカソード電位とを区別することなく用いる。また、最低電圧値V1は、リフレッシュ処理時における最低の電圧値を意味しており、リフレッシュ処理を理想時間継続した場合に到達し得る絶対的な最低電圧値とは異なり得る。
CPU51は、経過時間Trをリセット、すなわち、Tr=0(sec)とし(ステップS140)、最低電圧値V1を用いてリフレッシュ間隔T1を決定し、再設定する(ステップS150)。
図4は最低電圧値V1とリフレッシュ間隔T1とを対応付けるマップを示す説明図である。CPU51は、図4に示すマップを用い、取得した最低電圧値V1に対応するリフレッシュ間隔T1を決定する。マップ上における最低電圧値V1とリフレッシュ間隔T1との交点(マップ値)は離散的であるから、各マップ値間の値については補間演算によって決定される。また、マップ値に代えて各マップ値を結ぶ特性線を関数化した数式を用いて決定しても良い。図4のマップから理解され得るように、リフレッシュ処理時に到達した電圧値、すなわち、最低電圧値V1が低ければ低いほど(V1b<V1a)リフレッシュ間隔T1(T1b>T1a)は長くなる。この理由について図5を参照して説明する。図5はセル電圧とカソード触媒の機能回復度の関係を示す説明図である。
カソード触媒の機能回復度は、セル単位の説明となるので、図5では、電圧として、電圧計60によって計測された燃料電池10の総電圧を構成セル数で除したセル電圧(V/セル)を用いて説明する。電圧変化Vaの例の最低セル電圧値V1aは電圧変化Vbの例の最低セル電圧値V1bよりも大きく、一方、電圧変化Vaの回復度Raは電圧変化Vbの回復度Rbよりも低い。ここで、回復度Rxは、リフレッシュ処理前のカソードセル電圧(リフレッシュ要電圧Vr)とリフレッシュ処理後のカソードセル電圧との差分を意味する。リフレッシュ処理の効果が高いほど、カソード触媒の機能は回復し、起電反応が効率的に行われるためカソードセル電圧は上昇する。回復度が高い場合には、カソードセル電圧がリフレッシュ要電圧まで低下する時間は長くなり、電圧変化Vbに対応する時間Tbは電圧変化Vaに対応する時間Taよりも長い。すなわち、リフレッシュ間隔T1を長く設定することができ、リフレッシュ処理に伴うカソード触媒の劣化、例えば、リフレッシュ処理により溶出する白金および白金金属といった金属系触媒におけるシンタリングを抑制または防止することができる。
CPU51は、新たなリフレッシュ間隔T1を決定し、設定すると、起電スイッチがオフされるまで(ステップS160:No)ステップS100〜S140の処理を繰り返し実行する。CPU51は、起電スイッチがオフされると(ステップS160:Yes)、本処理ルーチンを終了する。すなわち、本実施形態では、本処理ルーチンは、実行中に起動スイッチがオフされても、二次電池41または補機バッテリを電源として、ステップS150完了まで継続して実行される。
以上説明した第1の実施形態に係る燃料電池システムおよび燃料電池システムにおける触媒の回復処理方法によれば、リフレッシュ処理時におけるカソード触媒の性能回復の度合いに応じてリフレッシュ間隔T1を決定し、再設定するので、リフレッシュ間隔T1を精度良く決定することができる。すなわち、カソード触媒の性能回復の度合いの判断指標として、回復度との相関性が高いリフレッシュ処理時における燃料電池の電圧(カソードセル電圧)を用いるのでカソード触媒の性能回復の度合いを精度良く判断することができる。また、カソードセル電圧として、最低電圧値V1(到達最低カソード電位)を用いることにより、カソード触媒の機能をさらに有意に回復させることが可能となり、リフレッシュ間隔T1をより長く取ることができる。この結果、カソード触媒の実際の性能回復の度合いに応じてリフレッシュ間隔T1を決定し、再設定することが可能となり、必要とされるリフレッシュ間隔T1を精度良く再設定することができる。
また、精度の良いリフレッシュ間隔T1に基づいてリフレッシュ処理を実行することができる。したがって、触媒種を問うことなく、リフレッシュ処理の実行不足に伴うカソード触媒の還元不足(機能回復不足)による燃料電池性能の低下といった問題を解決することができる。また、白金および白金合金といった金属系触媒が用いられる場合に問題となる、過度なリフレッシュ処理の実行に伴うカソード触媒のシンタリングによる触媒劣化を抑制または防止し、カソード触媒性能の長寿命化、所定レベルの触媒性能の維持を図ることができる。
さらに、燃料電池10の電流値に基づいてリフレッシュ処理の要否を判定することなく、適切なリフレッシュ間隔T1を決定し、再設定することができるので、リフレッシュ処理の要否判断のために燃料電池10を作動させる必要はなく、燃料電池システムFCの燃費の向上を図ることができる。
第2の実施形態:
第2の実施形態に係るリフレッシュ処理について図6を参照して説明する。図6は第2の実施形態に係る燃料電池制御処理およびリフレッシュ処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。第1の実施形態においては、燃料電池10に対する出力要求の有無に関わらす、すなわち、車両の走行させるための燃料電池制御処理とは独立してリフレッシュ処理が開始、実行されたが、第2の実施形態においては、燃料電池10に対する出力要求を考慮して、すなわち、車両の走行させるための燃料電池制御処理の一部としてリフレッシュ処理が実行される。なお、リフレッシュ処理自体は第1の実施形態におけるリフレッシュ処理と同様であり、ステップS220、S230およびS250〜S280は、第1の実施形態におけるリフレッシュ処理におけるステップS100〜S150と同様であり、その説明を省略する。
CPU51は、起動スイッチがオンされると、燃料電池制御プログラムP2の実行を開始する。CPU51は、燃料電池10に対する出力要求の有無を判断し(ステップS200)、出力要求があると判断した場合には(ステップS200:Yes)、通常処理を実行する(ステップS210)。出力要求には、出力要求検出部65であるアクセルペダルを介して入力される車両の走行を求める出力要求および補機の制御装置からの出力要求、並びに二次電池41に対する充電を求める電力制御部40から入力される出力要求であって、燃料電池10の運転を要する出力要求が含まれる。通常処理時には、CPU51は、要求されている電力を出力するために要する電流量を実現するように酸化ガス供給系および燃料ガス供給系を制御する。
CPU51は、出力要求がないと判断した場合には(ステップS200:No)、リフレッシュ処理プログラムP1を実行し、経過時間Trを取得する(S220)。CPU51は、取得した経過時間Trがリフレッシュ間隔T1よりも大きい(長い)か否かを判定し(ステップS230)、経過時間Tr>リフレッシュ間隔T1でない場合には(ステップS230:No)、間欠処理を実行する(ステップS240)。
間欠処理は、燃料電池10による発電を要しない条件においてカソード電位を基準電位(維持電圧)に維持するための処理であり、燃料電池10に対する出力要求のない期間にわたって実行される。基準電位は、出力要求を受けて速やかに発電を開始することが可能となるカソード電位、例えば、0.7V程度であり、CPU51は、カソード電位が基準電位となるように酸化ガス供給系および燃料ガス供給系を制御し間欠的に反応ガスをカソードおよびアノードに供給させる。間欠処理は、例えば、燃料電池10の発電効率が低い低負荷領域にて実行され、間欠処理実行時における車両走行のための電源には二次電池41が用いられる。
CPU51は、経過時間Tr>リフレッシュ間隔T1である場合には(ステップS230:Yes)、リフレッシュ処理を実行し(ステップS250)、最低電圧値V1を記録し(ステップS260)、経過時間Trをリセットし(ステップS270)、リフレッシュ間隔T1を決定し、再設定する(ステップS280)。
CPU51は、通常処置(ステップS210)、間欠処理(ステップS240)の実行中、あるいは、リフレッシュ間隔T1を決定した後(ステップS280)、起動スイッチがオフされたか否かを判定する(ステップS290)。CPU51は、起動スイッチがオフされていない場合(ステップS290:No)は、ステップS200にリターンし、ステップS210〜S280を実行する。CPU51は、起動スイッチがオフされると(ステップS290:Yes)、本処理ルーチンを終了する。
以上説明した第2の実施形態に係る燃料電池システムおよび燃料電池システムにおける触媒の回復処理方法によれば、第1の実施形態に係る燃料電池システムおよび燃料電池システムにおける触媒の回復処理方法により得られる効果に加えて、燃料電池システムFCにおける通常処理および間欠処理と併せてリフレッシュ処理を実現することができる。
したがって、従来における、リフレッシュ処理を間欠処理の際に実行する制御システムに対して容易に組み込むことができる。
第3の実施形態:
第3の実施形態では、リフレッシュ処理自体は第1および第2の実施形態と同様であるが、経過時間Trの計時に際してカソード触媒の性能低下または劣化をもたらす状態にある期間のみを積算し、経過時間Trとして計時する。すなわち、第3の実施形態は、計時時間に関する実施形態であり、リフレッシュ間隔T1を決定する第1および第2の実施形態に組み合わせて実行され得る。図7は第3の実施形態における経過時間を計時するための処理フローを示すフローチャートである。
CPU51は、を実行中のリフレッシュ処理プログラムP1におけるリフレッシュ処理が終了すると、計時プログラムP3の実行を開始する。計時プログラムP3は、リフレッシュ処理を開始するまで、すなわち、リフレッシュ間隔T1の期間、繰り返し実行される、タイマ54の計時実行、計時停止を制御するためのプログラムである。CPU51は、経過時間Trをリセット、すなわち、Tr=0とする(ステップS300)。CPU51は、電圧計60を介して、燃料電池10の電圧値V2(V/セル)を取得し(ステップS310)、取得した電圧値V2が基準電圧値Vref(V/セル)以上であるか否かを判定する(ステップS320)。基準電圧値Vrefは、触媒の性能低下が発生、進行するカソード電位に対応する電圧値である。既述のように、概ね0.7(V/セル)を境にカソード触媒の酸化が進行する酸化雰囲気領域およびカソード触媒の還元が進行する還元領域が切り替わるので、基準電圧値Vref=0.7(V/セル)である。である。CPU51は、V2>Vrefでない場合には(ステップS320:No)、タイマ54による計時を停止して(ステップS330)、ステップS350に移行する。CPU51は、V2>Vrefである場合には(ステップS320:Yes)、タイマ54による計時を実行して(ステップS340)、ステップS350に移行する。
CPU51は、リフレッシュ処理が開始したか、すなわち、リフレッシュ間隔T1が経過したか否かを判断し(ステップS350)、リフレッシュ間隔T1が経過していないと判定した場合には(ステップS350:No)、ステップS310にリターンする。CPU51は、リフレッシュ間隔T1が経過したと判定した場合には(ステップS350:Yes)、本処理ルーチンを終了する。
第3の実施形態によれば、リフレッシュ間隔T1の期間に、燃料電池10の運転状態がカソード触媒の性能低下が進行する運転状態にある場合に経過時間Trを計時し、カソード触媒の性能低下が進行しない運転状態にある場合には経過時間Trを計時しない。すなわち、カソードのセル電圧に基づき、燃料電池10の運転に伴いカソード触媒が酸化される運転状態にある場合にのみ経過時間を計時する。したがって、カソード触媒の性能低下が問題とならない時間を経過時間Trから除外することが可能となり、リフレッシュ処理の観点からより精度の高い経過時間Trに基づいて、リフレッシュ間隔T1の経過の有無を判定することができる。この結果、不要なリフレッシュ処理の実行の防止または抑制が可能となり、頻度の高いリフレッシュ処理の実行に伴うカソード触媒の劣化を防止または低減することができる。
第4の実施形態:
第4の実施形態では、経過時間Trの計時に際してカソード電位に応じて経過時間Trに加算時間ΔTraを加算して、あるいは、経過時間Trに重み付けをした重み付け経過時間ΔTrを用いてリフレッシュ間隔T1の時間経過を判断する。図8は第4の実施形態におけるカソードセル電圧と加算時間との関係を示す説明図である。図9は第4の実施形態におけるカソードセル電圧と経過時間との関係を示す説明図である。
第4の実施形態が第1および第2の実施形態に対して直接適用される場合には、経過時間Tr=Tr+ΔTraとされ、CPU51は、燃料電池10の電圧値V2(V/セル)を取得し、図8に示すマップに従い、取得した電圧値V2に応じて加算時間ΔTraを決定する。加算時間ΔTraは、カソード触媒の酸化進行と還元進行の境界電圧値である、0.7(V/セル)以下では0を取り、0.7V/セルより大きな電圧値V2では、正の値を取る。したがって、燃料電池10のカソード触媒層がカソード触媒の酸化が進行する条件下にある場合には、見かけ上、経過時間Trは早く進行することになり、カソード触媒の性能劣化をより正確に反映した経過時間Trを計時することができる。この結果、実時間よりも早いタイミングにてリフレッシュ間隔T1が経過し、カソード触媒の性能が所定の性能よりも低下してしまう前のより適切なタイミングにてリフレッシュ処理を実行することができる。
第4の実施形態が第3の実施形態を介して第1および第2の実施形態に対して適用される場合には、経過時間Tr=ΔTrとし、図9に示すマップの特性線L1に従い、取得した電圧値V2に応じて経過時間ΔTrを決定すれば良い。図9のマップにおいて、経過時間ΔTrは、カソード触媒の酸化進行と還元進行の境界電圧値である、0.7(V/セル)で1(sec)を取り、0.7(V/セル)未満では1(sec)未満の値を取り、0.7V/セルより大きな電圧値V2では、1(sec)よりも大きな値を取る。したがって、燃料電池10のカソード触媒層がカソード触媒の酸化が進行する条件下にある場合には、見かけ上、経過時間Trは早く進行することになり、カソード触媒の性能劣化をより正確に反映した経過時間Trを計時することができる。この結果、実時間よりも早いタイミングにてリフレッシュ間隔T1が経過し、カソード触媒の性能が所定の性能よりも低下してしまう前のより適切なタイミングにてリフレッシュ処理を実行することができる。
第4の実施形態は第3の実施形態の変形例としても適用することが可能である。この場合には、経過時間Tr=ΔTrとし、CPU51は、燃料電池10の電圧値V2(V/セル)を取得し、電圧値V2と基準電圧値Vrefとの対比によりタイマ54による計時を制御することなく、図9に示すマップの特性線L2に従い、取得した電圧値V2に応じて経過時間ΔTrを決定すれば良い。図9のマップにおいて、経過時間ΔTrは、カソード触媒の酸化進行と還元進行の境界電圧値である、0.7(V/セル)で1(sec)を取り、0.7(V/セル)未満では0(sec)を取り、0.7V/セルより大きな電圧値V2では、1(sec)よりも大きな値を取る。したがって、燃料電池10のカソード触媒層がカソード触媒の酸化が進行する条件下にある場合には、見かけ上、経過時間Trは早く進行することになり、カソード触媒の性能劣化をより正確に反映した経過時間Trを計時することができる。一方、燃料電池10のカソード触媒層がカソード触媒の酸化が進行しない条件下にある場合には、経過時間Trは見かけ上計時されない(増分されない)。この結果、実時間よりも早いタイミングにてリフレッシュ間隔T1が経過し、カソード触媒の性能が所定の性能よりも低下してしまう前のより適切なタイミングにてリフレッシュ処理を実行することができる。
変形例:
(1)第1の変形例:第1および第2の実施形態では、最低電圧値V1に基づいてリフレッシュ間隔T1が決定されているが、最低電圧値V1に代えて、リフレッシュ処理時における所定の電圧値を用いてリフレッシュ間隔T1が決定されても良い。所定の電圧値としては、例えば、リフレッシュ処理開始から所定時間経過時における電圧値、を用いることができる。図5を用いて説明したように、回復度とリフレッシュ処理時における電圧値とは相関関係を有しているので、所定の電圧値を用いてもカソード触媒の性能回復の度合いに応じたリフレッシュ間隔T1を決定することができる。
(2)第2の変形例:第3の実施形態では、CPU51がタイマ54の計時実行および停止を制御しているが、タイミング信号を受信するCPU51によって計時が行われても良い。すなわち、発振器によって、所定時間間隔、例えば、1sec毎、1msec毎に出力されるタイミング信号をカウントアップすることによって、経過時間Trを計時すれば良い。この場合、CPU51は、V2>Vrefの場合にカウントアップを実行し、V2>Vrefでない場合にカウントアップを実行しない。
(3)第3の変形例:上記の各実施形態において、制御部50は1つ以上のCPU51を備えることが可能であり、各CPU51単位にて個別の制御部と称しても良い。この場合、リフレッシュ処理を実行する制御部と、燃料電池制御処理を実行する制御部とは物理的に別個であっても良く、これら制御部は相互に通信を実行することによって連携して互いの処理を実行することができる。なお、特許請求の範囲における制御部は、少なくとも、一のCPUによってリフレッシュ処理を実行する制御部であり、当該制御部が他のCPUまたはマルチスレッドタイプの一のCPUによって燃料電池制御処理および計時処理を実行しても良い。また、特許請求の範囲における制御部は、リフレッシュ処理を実行する制御部と、当該制御部とは別の燃料電池制御処理および計時処理を実行する制御部とを含む制御部であっても良い。さらに、リフレッシュ処理を狭義のリフレッシュ処理とリフレッシュ間隔T1とを決定し再設定する処理とに分けて個別のCPU51によって実行可能である。
(4)第4の変形例:図3および図6のフローは、起動スイッチのオフを処理ルーチン中に含んでいるが、起動スイッチオフの割り込み信号の受信によって終了されても良い。
(5)第5の変形例:上記の各実施形態では、燃料電池システムFCが車両に搭載される場合について説明したが、車両は、自動車、自動二輪車を問わず適用可能であり、この他にも、鉄道車両、船舶といった移動体に対して適用すれば、同様の技術的効果を得ることができる。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。たとえば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池
11…水素ガスタンク
12…水素供給装置
13…気液分離器
14…マフラ
15…熱交換器
21…圧力制御弁
22…アノード封止弁
23…第1カソード封止弁
24…第2カソード封止弁
31…燃料オフガス循環ポンプ
32…酸化ガスブロワー
33…冷却液用ポンプ
40…電力制御部
41…二次電池
42…駆動用モータ
50…制御部
51…CPU
52…メモリ
53…入出力インターフェース
54…タイマ
60…電圧計
61…電流計
65…出力要求検出部
80…車両
81…車輪
100a…燃料ガス供給部
100b…燃料オフガス排出部
100c…酸化ガス供給部
100d…酸化オフガス排出部
101…アノード端子
102…カソード端子
110…燃料ガス供給管
111…燃料オフガス排出管
112…燃料オフガス循環管
120…酸化ガス供給管
121…酸化オフガス排出管
130…冷却液配管
FC…燃料電池システム
P1…リフレッシュ処理プログラム
P2…燃料電池制御プログラム
P3…計時プログラム

Claims (10)

  1. 燃料電池システムであって、
    触媒を有するカソードを備える燃料電池と、
    前記燃料電池の電圧を測定する電圧測定部と、
    前記燃料電池の電圧を調整する電圧調整部と、
    前記電圧調整部を動作させ、前記燃料電池の電圧を低下させて前記触媒の性能を回復させる回復処理を実行する制御部とを備え、
    前記制御部は、前回の前記回復処理からの経過時間が所定の時間間隔を超えると前記回復処理を実行し、前記回復処理の実行中に前記電圧測定部により測定された電圧値を用いて前記所定の時間間隔を再設定する、
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、前記所定の時間間隔の期間に前記電圧測定部により測定される電圧値が基準電圧値以上である時間の積算値を、前記経過時間として計時する、燃料電池システム。
  3. 請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値に応じて重み付けされた重み付け経過時間を前記経過時間として用い、前記重み付けは前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値が高くなるほど大きくなる、燃料電池システム。
  4. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、前記経過時間に対して、前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値に応じて加算時間を加え、前記加算時間は前記所定の時間間隔の期間に測定された電圧値が高くなるほど長くなる、燃料電池システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、前記回復処理の際に測定された前記電圧値が高くなるほど前記所定の時間間隔が短くなるように再設定する、燃料電池システム。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、前記回復処理の際に測定された最低の電圧値を用いて前記所定の時間間隔を再設定する、燃料電池システム。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、予め用意された時間間隔を前記所定の時間間隔の初期値に設定する、燃料電池システム。
  8. 請求項1から請求項7いずれか一項に記載の燃料電池システムはさらに、
    前記燃料電池システムに対する出力要求を検出する出力要求検出部を備え、
    前記制御部は、前記出力要求検出部によって前記出力要求が検出されない期間、前記回復処理を実行する、燃料電池システム。
  9. 請求項8に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部はさらに、前記所定の時間間隔の期間、前記電圧調整部を制御して、前記燃料電池の電圧を維持電圧に維持する間欠処理を実行する、燃料電池システム。
  10. 燃料電池システムにおける触媒の性能の回復処理方法であって、
    前回の回復処理からの経過時間が所定の時間間隔を超えると、前記触媒を有するカソードを備える燃料電池の電圧を低下させて前記触媒の性能を回復させる回復処理を実行し、
    前記回復処理の実行中に前記燃料電池の電圧値を測定し、
    前記回復処理を終えた後、前記測定された電圧値を用いて前記所定の時間間隔を再設定すること、
    を備える方法。
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