JP6485501B2 - 信号生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイミング信号生成装置、電子機器、移動体、タイミング信号生成方法及び衛星信号受信機の制御方法に関する。
人工衛星を利用した全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の1つであるGPS(Global Positioning System)が広く知られている。GPS衛星は、極めて精度の高い原子時計が搭載されており、GPS衛星の軌道情報や正確な時刻情報等が重畳された衛星信号を地上に送信している。GPS受信機は、GPS衛星から送信された衛星信号を受信し、衛星信号に重畳されている軌道情報や時刻情報を基に現在位置や現在時刻を算出する処理や、時刻が1秒毎に更新される正確なタイミング信号(1PPS)を生成する処理等を行う。
GPS受信機は、移動体に搭載され、当該移動体の位置を知る目的で使用される場合もあれば、地表に対して移動しない場所(ビル等)に設置され、1PPSの正確なタイミングを得る目的(例えば、証券取引等)で使用される場合もある。前者の場合、GPS受信機は現在位置の計算を継続的に行う必要があるが、後者の場合、GPS受信機は現在位置の計算を継続的に行う必要はない。そのため、GPS受信機には、継続的に測位計算を行う通常測位モードと、あらかじめ設定された位置情報に基づいて1PPSを出力する位置固定モードが設けられているのが一般的である。
通常測位モードでは、位置を決める複数のパラメーター(2次元位置であれば緯度及び経度、3次元位置であれば緯度、経度及び高度)と時刻パラメーターを変数とする方程式を解く処理を行うので、所定数(2次元測位あれば最低3個、3次元測位であれば4個)以上のGPS衛星からの衛星信号が必要である。また、衛星信号を受信可能なGPS衛星の数が多いほど、測位計算の精度が向上する。逆に言えば、衛星信号の受信環境が悪く、多くのGPS衛星からの衛星信号を受信できない状況では、測位結果の位置情報や1PPSの精度が劣化する。これに対して、位置固定モードでは、GPS受信機にあらかじめ位置情報が設定されるので、少なくとも1つのGPS衛星からの衛星信号を受信できれば1PPSを生成することができる。従って、GPS受信機が移動しない場所に設置され、正確な1PPSを必要とする場合、位置固定モードでの使用が適している。
位置固定モードでの1PPSの精度は、設定される位置情報の精度に依存するため、GPS受信機に正確な位置情報を設定することが重要になる。GPS受信機に設定するための正確な位置情報を取得する方法としては、例えば、地図から読み取る方法や測量等が考えられるが、前者は受信場所によっては位置情報を取得することが困難な場合があり、後者は費用や時間等のコストがかかるといった問題がある。
これらの問題を解決するために、特許文献1では、設置したGPS受信機自体が測位計算を行い、測位結果の位置情報を所定時間に亘って平均化して受信点の位置を決定する手法が提案されており、この手法によれば、任意の受信場所での位置情報を取得することが可能であり、コストも低減することができる。
特開平9−178870号公報
しかしながら、マルチパス等何らかのエラーが発生した場合には測位計算の結果の位置情報に大きな誤差が含まれるため、測位計算の結果を平均化する特許文献1の手法では、平均化の結果として得られる受信点の位置の誤差が大きくなる可能性がある。そのため、特許文献1の手法では、測位計算時の受信環境によっては1PPS(タイミング信号)の精度が劣化するおそれがあるという問題がある。このような問題は、GPS受信機だけでなく、その他の全地球航法衛星システム(GNSS)の受信装置についても共通の問題である。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、受信場所の制限を受けず、コストを低減しながら従来よりも正確なタイミング信号を生成可能なタイミング信号生成装置、電子機器、移動体、タイミング信号生成方法及び衛星信号受信機の制御方法を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係るタイミング信号生成装置は、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報及び時刻情報に基づいて測位計算を行う測位計算部と、前記測位計算部による複数の前記測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成する位置情報生成部と、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報と前記受信点の位置情報とに基づいて、基準時刻に同期したタイミング信号を生成するタイミング信号生成部と、を備えている。
位置情報衛星は、受信点の位置情報の計算に使用可能な情報を含む信号を送信する人工衛星であり、例えば、GPS、ガリレオ、GLONASS等の全地球航法衛星システム(GNSS)に使用される衛星、静止衛星、準天頂衛星等である。
本適用例に係るタイミング信号生成装置によれば、複数の測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づく受信点の位置情報に基づきタイミング信号を生成するので、受信環境の劣化により測位計算の誤差が大きくなっても、誤差の大きい測位結果の影響を受けにくく、従来よりも正確なタイミング信号を生成することができる。
また、本適用例に係るタイミング信号生成装置によれば、自己の測位計算の結果に基づく位置情報を使用してタイミング信号を生成することができるので、受信場所の制限を受けず、コストも低減することができる。
[適用例2]
上記適用例に係るタイミング信号生成装置は、複数の前記タイミング信号生成部と、前記複数のタイミング信号生成部の故障の有無を判定し、判定結果に基づいて、前記複数のタイミング信号生成部のうちいずれかが生成したタイミング信号を選択するタイミング信号選択部と、を備えていてもよい。
例えば、前記タイミング信号選択部は、前記複数のタイミング信号の中から、故障が無いと判定された前記タイミング信号生成部により生成された前記タイミング信号を選択するようにしてもよい。
本適用例に係るタイミング信号生成装置によれば、選択中のタイミング信号を生成するタイミング信号生成部が故障した場合、同じ受信点で衛星信号を受信する他のタイミング信号生成部が生成するタイミング信号に切り替えることができる。従って、正確なタイミング信号の出力を継続することができる。
[適用例3]
上記適用例に係るタイミング信号生成装置は、複数の前記測位計算部と、複数の前記タイミング信号生成部と、タイミング信号選択部と、を備え、複数の前記測位計算部は、互いに異なる受信点での前記測位計算を行い、前記位置情報生成部は、前記複数の受信点の位置情報を生成し、複数の前記タイミング信号生成部は、前記互いに異なる受信点での、前記タイミング信号と前記衛星信号の受信状況を示すパラメーター情報とを生成し、前記タイミング信号選択部は、前記複数の前記パラメーター情報に基づいて、前記複数の前記タイミング信号の精度を比較し、比較結果に基づいて前記複数のタイミング信号のいずれかを選択するようにしてもよい。
例えば、前記タイミング信号選択部は、前記複数のパラメーター情報に基づいて、前記複数のタイミング信号の中から最も精度の高い前記タイミング信号を選択するようにしてもよい。
「タイミング信号の精度」とは、例えば、基準時刻に対する同期精度(基準時刻とどの程度の誤差で同期するか)であり、「複数の前記タイミング信号の精度を比較する」とは、例えば、複数のタイミング信号の間で、基準信号との同期精度の大小関係を調べることであってもよい。
本適用例に係るタイミング信号生成装置によれば、互いに異なる受信点で衛星信号を受信する複数のタイミング信号生成部が生成する複数のタイミング信号の中から精度の高いタイミング信号を選択して出力することができる。従って、時間の経過に応じて受信環境が変化しても、正確なタイミング信号の出力を継続することができる。
[適用例4]
本適用例に係るタイミング信号生成装置は、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報及び時刻情報に基づいて測位計算を行う第1のモードと、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報と設定された受信点の位置情報とに基づいて、基準時刻に同期したタイミング信号を生成する第2のモード、に切り替え可能な衛星信号受信部と、複数の前記測位計算の結果を取得し、前記複数の測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成する位置情報生成部と、前記衛星信号受信部に前記受信点の位置情報を設定し、前記衛星信号受信部を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える受信制御部と、を備えている。
本適用例に係るタイミング信号生成装置によれば、衛星信号受信部による第1のモードでの複数の測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づいて、第2のモードにおいて設定すべき受信点の位置情報を生成する。衛星信号の受信環境が劣化すると、マルチパス等に起因する測位計算の誤差が大きくなるため、従来手法のように、第2のモードにおける位置情報として測位結果の平均値を設定した場合、誤差が大きくなる可能性が高いが、本適用例のように、最頻値や中央値を設定することで、誤差の大きい測位結果の影響を受けにくいので、従来手法と比較して、正確なタイミング信号を生成することができる。
また、本適用例に係るタイミング信号生成装置によれば、第1のモードでの測位結果を用いて第2のモードで設定すべき位置情報を計算するので、受信場所の制限を受けず、コストも低減することができる。
[適用例5]
上記適用例に係るタイミング信号生成装置は、クロック信号を出力する発振器と、前記クロック信号を前記タイミング信号に同期させる同期制御部と、を備えていてもよい。
本適用例に係るタイミング信号生成装置によれば、発振器が出力するクロック信号を正確なタイミング信号に同期させることで、発振器の精度よりも高い精度のクロック信号を生成することができる。
[適用例6]
本適用例に係る電子機器は、上記のいずれかのタイミング信号生成装置を含む。
[適用例7]
本適用例に係る移動体は、上記のいずれかのタイミング信号生成装置を含む。
[適用例8]
本適用例に係るタイミング信号生成方法は、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報及び時刻情報に基づいて測位計算を行う測位計算ステップと、前記測位計算ステップでの複数の前記測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成する位置情報生成ステップと、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報と前記受信点の前記位置情報とに基づいて、基準時刻に同期したタイミング信号を生成するタイミング信号生成ステップと、を含む。
本適用例に係るタイミング信号生成方法によれば、複数の測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づく受信点の位置情報に基づきタイミング信号を生成するので、受信環境の劣化により測位計算の誤差が大きくなっても、誤差の大きい測位結果の影響を受けにくく、従来よりも正確なタイミング信号を生成することができる。
また、本適用例に係るタイミング信号生成方法によれば、測位計算の結果に基づく位置情報を使用してタイミング信号を生成することができるので、受信場所の制限を受けず、コストも低減することができる。
[適用例9]
本適用例に係る衛星信号受信機の制御方法は、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報及び時刻情報に基づいて測位計算を行う第1のモードと、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報と設定された受信点の位置情報とに基づいて、基準時刻に同期したタイミング信号を生成する第2のモードと、に切り替え可能な衛星信号受信機の制御方法であって、複数の前記測位計算の結果を取得し、前記複数の測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成する位置情報生成ステップと、前記衛星信号受信機に前記受信点の位置情報を設定し、前記衛星信号受信機を前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える受信制御ステップと、を含む。
本適用例に係る衛星信号受信機の制御方法によれば、衛星信号受信機による第1のモードでの複数の測位計算の結果における最頻値又は中央値に基づいて、第2のモードにおいて設定すべき受信点の位置情報を生成するので、誤差の大きい測位結果の影響を受けにくく、従来手法と比較して、正確なタイミング信号を生成することができる。
また、本適用例に係る衛星信号受信機の制御方法によれば、衛星信号受信機の第1のモードでの測位結果を用いて第2のモードで設定すべき位置情報を計算するので、受信場所の制限を受けず、コストも低減することができる。
第1実施形態のタイミング信号生成装置の構成例を示す図。 航法メッセージの構成を示す図。 本実施形態のGPS受信機10の構成例を示す図。 通常測位モードと位置固定モードでの処理手順の一例を示すフローチャート図。 1PPS出力の処理手順の一例を示すフローチャート図。 GPS受信機の制御の処理手順の一例を示すフローチャート図。 測位計算精度の実験結果を示す図。 第2実施形態のタイミング信号生成装置の構成例を示す図。 第2実施形態における1PPS選択の処理手順の一例を示すフローチャート図。 第3実施形態のタイミング信号生成装置の構成例を示す図。 第3実施形態における1PPS選択の処理手順の一例を示すフローチャート図。 本実施形態の電子機器の機能ブロック図。 本実施形態の移動体の一例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.タイミング信号生成装置
1−1.第1実施形態
図1は、第1実施形態のタイミング信号生成装置の構成例を示す図である。図1に示すように、第1実施形態のタイミング信号生成装置1は、GPS受信機10、処理部(CPU)20、原子発振器30、温度センサー40、GPSアンテナ50を含んで構成されている。ただし、本実施形態のタイミング信号生成装置1は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。なお、本実施形態のタイミング信号生成装置1は、構成要素の一部又は全部が物理的に分離されていてもよいし、一体化されていてもよい。例えば、GPS受信機10と処理部(CPU)20はそれぞれ別個のICで実現されていてもよいし、GPS受信機10と処理部(CPU)20は1チップのICとして実現されていてもよい。
本実施形態のタイミング信号生成装置は、以下に詳細に説明するように、GPS衛星2(位置情報衛星の一例)から送信された信号を受信し、高精度の1PPSを生成するものである。
GPS衛星2は、地球の上空の所定の軌道上を周回しており、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させた衛星信号を地上に送信している。現在、約30個のGPS衛星2が存在しており、衛星信号がどのGPS衛星2から送信されたかを識別するために、各GPS衛星2はC/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1又は−1のいずれかでありランダムパターンのように見える。従って、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
各GPS衛星2が送信する衛星信号には各GPS衛星2の軌道上の位置を示す軌道情報が含まれている。また、各GPS衛星2は原子時計を搭載しており、衛星信号には原子時計で計時された極めて正確な時刻情報が含まれている。従って、4つ以上のGPS衛星2からの衛星信号を受信し、各衛星信号に含まれている軌道情報及び時刻情報を用いて測位計算を行うことで、受信点(GPSアンテナ50の設置場所)の位置と時刻の正確な情報が得られる。具体的には、受信点の3次元位置(x,y,z)及び時刻tを4つの変数とする4次元方程式を立ててその解を求めればよい。
また、受信点の位置が既知だとすると、1つ以上のGPS衛星2からの衛星信号を受信し、各衛星信号に含まれている時刻情報を用いて受信点の時刻情報が得られる。さらに、各衛星信号に含まれている軌道情報を用いて、各GPS衛星2の時刻と受信点の時刻との差の情報が得られる。なお、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星2に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、衛星信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメーターも含まれており、この時刻補正パラメーターを用いて受信点の時刻を補正することで極めて正確な時刻情報が得られる。
図2(A)〜図2(C)は、航法メッセージの構成を示す図である。図2(A)に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレーム1〜5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星2から6秒で送信される。従って、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星2から30秒で送信される。
サブフレーム1には、週番号データ(WN)等の衛星補正データが含まれている。週番号データは、GPS衛星2の時刻が含まれる週を表す情報である。GPS衛星2の時刻の起点は、UTC(世界標準時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。週番号データは、1週間単位で更新される。
サブフレーム2、3には、エフェメリスパラメータ(各GPS衛星2の詳細な軌道情報)が含まれる。また、サブフレーム4、5には、アルマナックパラメータ(全GPS衛星2の概略軌道情報)が含まれている。
さらに、サブフレーム1〜5には、先頭から、30ビットのTLM(Telemetry word)データが格納されたTLM(Telemetry)ワードと30ビットのHOW(hand over word)データが格納されたHOWワードが含まれている。
従って、TLMワードやHOWワードは、GPS装置衛星2から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータは30秒間隔で送信される。
図2(B)に示すように、TLMワードには、プリアンブルデータ、TLMメッセージ、Reservedビット、パリティデータが含まれている。
図2(C)に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)という時刻情報が含まれている。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報であって、経過時間が1.5秒単位で表した数となっている。ここで、Zカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信される時刻情報を示す。例えば、サブフレーム1のZカウントデータは、サブフレーム2の先頭ビットが送信される時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのIDを示す3ビットのデータ(IDコード)も含まれている。すなわち、図2(A)に示すサブフレーム1〜5のHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」、「101」のIDコードが含まれている。
サブフレーム1に含まれる週番号データとサブフレーム1〜5に含まれるHOWワード(Zカウントデータ)を取得することで、GPS衛星2の時刻を計算することができる。なお、以前に週番号データを取得し、週番号データを取得した時期からの経過時間を内部でカウントしておけば、週番号データを毎回取得しなくてもGPS衛星2の現在の週番号データを得ることができる。従って、Zカウントデータのみを取得すれば、GPS衛星2の現在の時刻が概算で知ることができる。
図1に戻り、GPSアンテナ50は、衛星信号を含む各種の電波を受信するアンテナであり、GPS受信機10に接続されている。GPS受信機10(衛星信号受信部の一例)は、GPSアンテナ50を介して、各GPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、各種の処理を行う。本実施形態では、GPS受信機10は、通常測位モード(第1のモードの一例)と位置固定モード(第2のモードの一例)を有し、処理部(CPU)20からの所定の制御コマンド(モード設定用の制御コマンド)に応じて通常測位モードと位置固定モードのいずれかに設定される。GPS受信機10は、通常測位モードでは、測位計算部として機能し、複数(好ましくは4個以上)のGPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報(エフェメリスデータやアルマナックデータ等)及び時刻情報(週番号データやZカウントデータ等)に基づいて測位計算を行う。また、GPS受信機10は、位置固定モードでは、タイミング信号生成部として機能し、少なくとも1つのGPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報及び時刻情報と設定された受信点の位置情報とに基づいて、1PPS(1 Pulse Per Second)を生成する。1PPS(基準時刻に同期したタイミング信号の一例)は、UTC(世界標準時)と完全同期したパルス信号であり、1秒毎に1パルスを含む。
図3は、本実施形態のGPS受信機10の構成例を示す図である。本実施形態のGPS受信機10は、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルター11、RF処理部12、ベースバンド処理部13、温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)14を含んで構成されている。ただし、GPS受信機10は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
SAWフィルター11は、GPSアンテナ50が受信した電波から衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルター11は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルターとして構成される。
RF処理部12は、PLL(Phase Locked Loop)121、LNA(Low Noise Amplifier)122、ミキサー123、IFアンプ124、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルター125、ADC(A/D変換器)126を含んで構成されている。ただし、RF処理部12は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
PLL121は、数十MHz程度で発振するTCXO14の発振信号を1.5GHz帯の周波数に逓倍したクロック信号を生成する。
SAWフィルター11が抽出した衛星信号は、LNA122で増幅される。LNA122で増幅された衛星信号は、ミキサー123でPLL121が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯(例えば、数MHz)の信号(IF信号)にダウンコンバートされる。ミキサー123でミキシングされた信号は、IFアンプ124で増幅される。
ミキサー123でのミキシングにより、IF信号とともにGHzオーダーの高周波信号も生成されるため、IFアンプ124はIF信号とともにこの高周波信号も増幅する。IFフィルター125は、IF信号を通過させるとともに、この高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルター125を通過したIF信号はADC(A/D変換器)126でデジタル信号に変換される。
ベースバンド処理部13は、DSP(Digital Signal Processor)131、CPU(Central Processing Unit)132、SRAM(Static Random Access Memory)133、RTC(リアルタイムクロック)134を含んで構成されており、TCXO14の発振信号をクロック信号として各種処理を行う。
DSP131とCPU132は、協働しながら、IF信号からベースバンド信号を復調し、航法メッセージに含まれる軌道情報や時刻情報を取得し、通常測位モードの処理あるいは位置固定モードの処理を行う。
SRAM133は、取得された時刻情報や軌道情報、所定の制御コマンド(位置設定用の制御コマンド)に応じて設定された受信点の位置情報等を記憶するためのものである。RTC134は、ベースバンド処理を行うためのタイミングを生成するものである。このRTC134は、TCXO14からのクロック信号でカウントアップされる。
具体的には、ベースバンド処理部13は、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理(衛星サーチ)を行う。そして、ベースバンド処理部13は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードをC/AコードとするGPS衛星2に同期(GPS衛星2を捕捉)したものと判断する。なお、GPSでは、すべてのGPS衛星2が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星2を検索することができる。
また、ベースバンド処理部13は、捕捉したGPS衛星2の軌道情報や時刻情報を取得するために、当該GPS衛星2のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。ミキシングされた信号には、捕捉したGPS衛星2の軌道情報や時刻情報を含む航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド処理部13は、航法メッセージに含まれる軌道情報や時刻情報を取得し、SRAM133に記憶する処理を行う。
また、ベースバンド処理部13は、所定の制御コマンド(モード設定用の制御コマンド)を受信し、通常測位モードと位置固定モードのいずれかに設定される。ベースバンド処理部13は、通常測位モードでは、SRAM133に記憶されている4つ以上のGPS衛星2の軌道情報及び時刻情報を用いて測位計算を行う。
また、ベースバンド処理部13は、位置固定モードでは、SRAM133に記憶されている1つ以上のGPS衛星2の軌道情報と、SRAM133に記憶されている受信点の位置情報とを用いて高精度の1PPSを出力する。具体的には、ベースバンド処理部13は、RTC134の一部に1PPSの各パルスの発生タイミングをカウントする1PPSカウンターを備えており、GPS衛星2の軌道情報と受信点の位置情報とを用いて、GPS衛星2から送信された衛星信号が受信点まで到達するのに要する伝搬遅延時間を計算し、この伝搬遅延時間に基づき1PPSカウンターの設定値を最適値に変更する。
なお、ベースバンド処理部13は、通常測位モードにおいて、測位計算で得られた受信点の時刻情報に基づき1PPSを出力してもよく、位置固定モードにおいて、複数のGPS衛星2が捕捉できれば測位計算を行ってもよい。
また、ベースバンド処理部13は、測位計算の結果の位置情報や時刻情報、受信状況(GPS衛星2の捕捉数、衛星信号の強度等)等の各種情報を含むNMEAデータを出力する。
図1に戻り、処理部(CPU)20(衛星信号受信制御装置の一例)は、GPS受信機10に対して各種の制御コマンドを送信してGPS受信機10の動作を制御し、GPS受信機10が出力する1PPSやNMEAデータを受け取って各種の処理を行う。処理部20は、例えば、任意のメモリーに記憶されているプログラムに従って、各種処理を行ってもよい。
本実施形態では、処理部20は、位相比較器21、ループフィルター22、DSP(Digital Signal Processor)23、分周器24、GPS制御部25を含んで構成されている。
DSP23(位置情報生成部の一例)は、GPS受信機10から定期的に(例えば、1秒毎に)NMEAデータを取得し、NMEAデータに含まれる位置情報(GPS受信機10による通常測位モードでの測位計算の結果)を集めて所定時間における統計情報を作成し、その最頻値又は中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成する処理を行う。例えば、DSP23は、測位計算の結果の最頻値又は中央値をそのまま受信点の位置情報としてもよい。
GPS制御部25(受信制御部の一例)は、GPS受信機10に各種の制御コマンドを送信し、GPS受信機10の動作を制御する。本実施形態では、GPS制御部25は、GPS受信機10にモード設定用の制御コマンドを送信し、GPS受信機10を通常測位モードから位置固定モードに切り替える処理を行う。また、GPS制御部25は、GPS受信機10を通常測位モードから位置固定モードに切り替える前に、GPS受信機10に位置設定用の制御コマンドを送信し、DSP23が生成した受信点の位置情報をGPS受信機10に設定する処理を行う。
分周器24は、原子発振器30が出力するクロック信号(周波数:f)をf分周し、1Hzの分周クロック信号を出力する。
位相比較器21は、GPS受信機10が出力する1PPSと分周器24が出力する1Hzの分周クロック信号とを位相比較し、位相比較器21の比較結果の位相差信号はループフィルター22を介して原子発振器30に入力される。ループフィルター22のパラメーターは、DSP23により設定される。
なお、位相差があまりに小さく位相比較器21の分解能以下の場合、位相差が検出できない可能性があるため、DSP23において、例えば、位相比較器21の分解能以下の位相差を伸長し、正確な位相差を検出する。
分周器24が出力する1Hzの分周クロック信号は、GPS受信機10が出力する1PPSと同期しており、タイミング信号生成装置1は、この分周クロック信号をUTCと同期した極めて周波数精度の高い1PPSとして外部に出力する。また、タイミング信号生成装置1は、1PPSと同期して1秒毎に最新のNMEAデータを外部に出力する。
原子発振器30は、原子のエネルギー遷移を利用した周波数精度の高いクロック信号を出力可能な発振器であり、例えば、ルビジウム原子やセシウム原子を用いた原子発振器が広く知られている。原子発振器30として、例えば、EIT(Electromagnetically Induced Transparency)現象(CPT(Coherent Population Trapping)現象とも呼ばれる)を利用した原子発振器や光マイクロ2重共鳴現象を利用した原子発振器等を利用することができる。タイミング信号生成装置1は、原子発振器30が出力する周波数がfのクロック信号も外部に出力する。
原子発振器30は、ループフィルター22の出力電圧(制御電圧)に応じて周波数を微調整可能に構成されており、前述のように、位相比較器21、ループフィルター22、DSP23及び分周器24により、原子発振器30が出力するクロック信号はGPS受信機10が出力する1PPSに完全に同期する。すなわち、位相比較器21、ループフィルター22、DSP23及び分周器24による構成は、原子発振器30が出力するクロック信号を1PPSに同期させる同期制御部として機能する。なお、原子発振器30は、単体では周波数温度特性が平坦ではないため、原子発振器30の近傍に温度センサー40が配置されており、DSP23は、温度センサー40の検出値(検出温度)に応じて位相比較器21の出力電圧を調整することで、原子発振器30の周波数温度特性を温度補償する処理も行う。
なお、GPS受信機10が衛星信号を受信できない等の状況が発生すると、GPS受信機10が出力する1PPSの精度が劣化し、あるいは、GPS受信機10が1PPSの出力を停止する。そのような場合、処理部20は、原子発振器30が出力するクロック信号をGPS受信機10が出力する1PPSに同期させる処理を停止して原子発振器30を自走発振させるようにしてもよい。このようにすれば、タイミング信号生成装置1は、GPS受信機10が出力する1PPSの精度が劣化した場合でも、原子発振器30の自走発振による周波数精度の高い1PPSを出力することができる。
図4は、GPS受信機10のベースバンド処理部13による通常測位モードと位置固定モードでの処理手順の一例を示すフローチャート図である。
図4に示すように、電源がオンすると(S10のY)、通常測位モードに初期化され、ベースバンド処理部13は、捕捉可能なGPS衛星2を検索する衛星サーチを開始する(S12)。具体的には、ベースバンド処理部13が、RF処理部12が衛星信号を受信して生成したIF信号からベースバンド信号を復調するとともに、各衛星番号のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生させ、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードと各ローカルコードの相関値を計算する。ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードが同じコードであれば相関値は所定のタイミングでピークを持つが、異なるコードであれば相関値はピークをもたず常にほぼゼロとなる。ベースバンド処理部13は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値が最大になるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が所定の閾値以上であればGPS衛星2を捕捉したものと判断する。そして、ベースバンド処理部13は、捕捉した各GPS衛星2の情報(衛星番号等)をSRAM133に記憶する。
ベースバンド処理部13は、少なくとも1つのGPS衛星2を捕捉した場合(S14のY)、捕捉したGPS衛星2から送信された航法メッセージを復調し、航法メッセージに含まれる各種情報の取得を開始する(S16)。具体的には、ベースバンド処理部13は、捕捉した各GPS衛星2からの航法メッセージをそれぞれ復調して時刻情報や軌道情報等の各種情報を取得し、取得した情報をSRAM133に記憶する。
次に、ベースバンド処理部13は、4つ以上のGPS衛星2の情報を取得することができた場合(S18のY)、航法メッセージに含まれる軌道情報、時刻情報等を用いて、受信点の位置を計算(測位計算)する(S20)。具体的には、ベースバンド処理部13は、捕捉している全てのGPS衛星2から4つ以上のGPS衛星2を選択し、選択したGPS衛星2の軌道情報及び時刻情報をSRAM133から読み出して測位計算を行う。そして、ベースバンド処理部13は、測位計算の結果(受信点の位置情報)や受信状況等の各種情報をSRAM133に記憶する。
ベースバンド処理部13は、位置固定モードに変更されるまでステップS18及びS20の処理を繰り返す。位置固定モードに変更されると(S22のY)、ベースバンド処理部13は、1つ以上のGPS衛星2の情報を取得することができた場合(S24のY)、処理部20により設定された受信点の位置情報及び航法メッセージに含まれる軌道情報、時刻情報等を用いて、受信点の時刻及び衛星信号の伝搬遅延時間を計算する(S26)。具体的には、ベースバンド処理部13は、捕捉している全てのGPS衛星2から1つ以上のGPS衛星2を選択し、選択したGPS衛星2の時刻情報(Zカウントデータ等)をSRAM133から読み出し、受信点の時刻(例えば、次のサブフレームの先頭の時刻)を計算する。また、ベースバンド処理部13は、選択したGPS衛星2の軌道情報をSRAM133から読み出してGPS衛星2の位置を計算する。さらに、ベースバンド処理部13は、処理部20により設定された受信点の位置情報をSRAM133から読み出し、GPS衛星2の位置の計算結果と受信点の位置情報を用いてGPS衛星2と受信点の間の距離を計算し、電波速度から衛星信号の伝搬遅延時間を計算する。
次に、ベースバンド処理部13は、衛星信号の伝搬遅延時間(ステップS26の計算結果)を用いて、1PPSカウンターの設定値を更新する(S28)。具体的には、1PPSカウンターは、設定値までカウントすると1PPSのパルスを発生させるカウンターであり、ベースバンド処理部13は、例えば、次のサブフレームの先頭の受信タイミングに対して、1PPSの直近のパルスが衛星信号の伝搬遅延時間分だけ前で発生するように、1PPSカウンターの設定値を更新する。
そして、ベースバンド処理部13は、通常測位モードに変更されるまでステップS24〜S28の処理を繰り返し、通常測位モードに変更された場合は(S30のY)、ステップS18及びS20の処理に移行する。
図5は、GPS受信機10のベースバンド処理部による1PPS出力の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
図5に示すように、ベースバンド処理部13は、電源がオンすると(S50のY)、1PPSカウンターの設定値を初期化する(S52)。
次に、ベースバンド処理部13は、1PPSカウンターのクロックエッジのタイミングで(S54のY)、1PPSカウンターのカウント値が設定値と一致すれば(S56のY)、1パルスとNMEAデータを出力する(S58)。具体的には、ベースバンド処理部13は、SRAM133に記憶されている最新の各種情報を読み出し、NMEAフォーマットのデータに変換して出力する。なお、1PPカウンターの設定値は、図4のステップS28で順次更新される。
一方、1PPSカウンターのクロックエッジのタイミングで、1PPSカウンターのカウント値が設定値と一致していなければ(S56のN)、ベースバンド処理部13は、ステップS56及びS58の処理は行わない。
そして、ベースバンド処理部13は、1PPSカウンターをカウントアップし(S60)、ステップS54以降の処理を繰り返し行う。
図6は、処理部20によるGPS受信機10の制御の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
図6に示すように、処理部20は、電源がオンすると(S100のY)、まず、測位計算結果の統計情報をリセットする(S102)。
次に、処理部20は、所定時間が経過するまで(S104のN)、GPS受信機10の1PPSのパルス出力のタイミング毎に(S106のY)、GPS受信機10が出力するNMEAデータを取得し、GPS受信機10による通常測位モードでの測位計算結果を統計情報に追加する(S108)。
そして、所定時間が経過すると(S104のY)、処理部20は、測位計算結果の統計情報から最頻値又は中央値を選択し、GPS受信機10に受信点の位置情報として設定し(S110)、さらに、GPS受信機10を位置固定モードに設定する(S112)。
なお、ステップS108の所定時間が長いほど受信点の位置情報の精度が向上するので、例えば、1日(24時間)程度の時間を設定するのが好ましい。
このように、本実施形態では、GPS受信機10は、位置固定モードにおける受信点の位置情報として、測位計算結果の統計情報の最頻値又は中央値が設定されるが、GPS受信機10に最頻値又は中央値を設定することによる効果を明らかにするために、GPSシミュレーターとGPS受信機(実機)を用いて実験を行った。本実験では、GPSシミュレーターに、受信位置(緯度、経度、高度)、捕捉される衛星数、衛星信号の強度を設定してシミュレーションを実行し、GPSシミュレーターが出力する信号をGPS受信機に入力し、GPS受信機が通常測位モードで出力する位置情報(緯度、経度、高度)を1秒毎に取得し、その平均値、中央値、最頻値、及び、これらの各々と真位置(GPSシミュレーターに設定した受信位置)との距離を計算した。
図7(A)は、捕捉されるGPS衛星の数が7〜8、衛星信号の強度が−145dBm、測位時間が16時間の条件での実験結果であり、図7(B)は、捕捉される衛星数が3〜5、衛星信号の強度が−130dBm、測位時間が17時間の条件での実験結果である。前者は、測位計算に十分な数のGPS衛星が捕捉されるが、衛星信号の強度が小さい受信環境を想定したものであり、後者は、衛星信号の強度は高いが、測位計算に十分な数のGPS衛星が捕捉されるとは限らない受信環境を想定したものである。図7(A),図7(B)のいずれのシミュレーション結果でも、真位置との距離が小さい順に、最頻値、中央値、平均値であった。このシミュレーション結果から、測位計算により得られる位置の最頻値または中央値を選択し、位置固定モードにおける受信点の位置情報としてGPS受信機に設定することで、平均値を選択する場合と比較して1PPSの精度が向上することがわかる。
以上に説明したように、第1実施形態のタイミング信号生成装置によれば、GPS受信機による通常測位モードでの所定時間に亘る測位計算の結果の統計から最頻値又は中央値を選択し、GPS受信機の位置固定モードにおける受信点の位置情報として当該最頻値又は中央値を設定する。衛星信号の受信環境が劣化すると、マルチパス等に起因する測位計算の誤差が大きくなるため、従来手法のように、位置固定モードにおける位置情報として測位結果の平均値を設定した場合、誤差が大きくなる可能性が高いが、本実施形態のように、最頻値や中央値を設定することで、誤差の大きい測位結果の影響を受けにくいので、従来手法と比較して、位置固定モードにおける1PPSの精度を高めることができる。
また、第1実施形態のタイミング信号生成装置によれば、通常測位モードでの測位結果を用いて位置固定モードで設定すべき位置情報を計算するので、受信場所の制限を受けず、コストも低減することができる。
また、第1実施形態のタイミング信号生成装置によれば、原子発振器が出力するクロック信号を正確な1PPSに同期させることで、原子発振器の精度よりも高い精度のクロック信号を生成することができる。さらに、第1実施形態のタイミング信号生成装置によれば、GPS受信機が出力する1PPSの精度が劣化し、あるいは、GPS受信機が1PPSの出力を停止した場合、原子発振器が出力するクロック信号を1PPSに同期させる処理を停止して原子発振器を自走発振させることで、少なくとも原子発振器の周波数精度の1PPSを出力することができる。
このように、本実施形態のタイミング信号生成装置は、極めて精度の高い1PPSを出力するので、例えば、コンピューターの時間を管理するタイムサーバーのクロック入力信号として、本実施形態のタイミング信号生成装置が出力する1PPSを利用することができる。
1−2.第2実施形態
図8は、第2実施形態のタイミング信号生成装置の構成例を示す図である。図8に示すように、第2実施形態のタイミング信号生成装置1は、2つのGPS受信機10A,10B、処理部(CPU)20、原子発振器30、温度センサー40、2つのGPSアンテナ50A,50Bを含んで構成されている。ただし、本実施形態のタイミング信号生成装置1は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
図8に示すように、GPSアンテナ50Aは、GPS受信機10Aに接続されており、GPS受信機10Aは、GPSアンテナ50Aを介して、各GPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、第1実施形態で説明した各種の処理を行う。同様に、GPSアンテナ50Bは、GPS受信機10Bに接続されており、GPS受信機10Bは、GPSアンテナ50Bを介して、各GPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、第1実施形態で説明した各種の処理を行う。
2つのGPSアンテナ50A,50Bは、同じ場所(正確には、ほぼ同じ場所)に設置される。従って、2つのGPS受信機10A,10Bは、同じ若しくはほぼ同じ位置情報を出力する。
処理部20は、第1実施形態と同様に、位相比較器21、ループフィルター22、DSP23、分周器24、GPS制御部25を含み、さらに、選択スイッチ26及び故障判定部27を含んで構成されている。
故障判定部27は、GPSアンテナ50AとGPS受信機10Aのセット、及び、GPSアンテナ50BとGPS受信機10Bのセットの各々が故障しているか否かを判定する処理を行う。故障判定部27は、例えば、GPSアンテナ50A,50Bの出力電流を監視することで、GPSアンテナ50A,50Bの故障を検出し、GPS受信機10A,10Bの出力信号(1PPSやNMEAデータ)を監視することでGPS受信機10A,10Bの故障を検出することができる。
選択スイッチ26は、故障判定部の判定結果に基づいて、GPS受信機10Aが出力する1PPSとGPS受信機10Bが出力する1PPSのいずれか一方を選択して出力する。この選択スイッチ26が出力する1PPSが位相比較器21に入力される。
DSP23は、GPS受信機10A,10Bからそれぞれ定期的に(例えば、1秒毎に)NMEAデータを取得し、各NMEAデータに含まれる位置情報(GPS受信機10A,10Bによる通常測位モードでの測位計算の結果)を集めて所定時間における2つの統計情報を作成し、その各々の最頻値又は中央値に基づいて、2つの受信点の位置情報を生成する処理を行う。
GPS制御部25は、GPS受信機10A,10Bに各種の制御コマンドを送信し、GPS受信機10A,10Bの動作を制御する。本実施形態では、GPS制御部25は、GPS受信機10A,10Bにモード設定用の制御コマンドを送信し、GPS受信機10A,10Bを通常測位モードから位置固定モードに切り替える処理を行う。また、GPS制御部25は、GPS受信機10A,10Bを通常測位モードから位置固定モードに切り替える前に、GPS受信機10A,10Bに位置設定用の制御コマンドを送信し、DSP23が生成した2つの受信点の位置情報をそれぞれGPS受信機10A,10Bに設定する処理を行う。
図9は、処理部20による1PPS選択の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
図9に示すように、処理部20は、電源がオンすると(S200のY)、まず、原子発振器30の発振制御用の1PPS(位相比較器21に入力される1PPS)としてGPS受信機10Aが出力する1PPSを選択する(S202)。
次に、処理部20は、GPS受信機10A,10Bの故障を判定する(S204)。処理部20は、GPS受信機10Aのみが故障していると判定した場合(S206のY)、原子発振器30の発振制御用の1PPSをGPS受信機10Bが出力する1PPSに切り替える(S208)。その後、処理部20は、GPS受信機10Bの故障を判定する(S212)。
処理部20は、ステップS204の判定処理で、処理部20は、GPS受信機10A,10Bの両方が故障していると判定した場合(S206のNかつS210のY)、あるいは、ステップS212の判定処理でGPS受信機10Bが故障していると判定した場合(S214のY)、原子発振器30を自走発振に切り替える(S216)。
なお、処理部20は、GPS受信機10A,10Bの一方又は両方が故障した場合、故障を知らせるための故障通知信号を外部に出力するようにしてもよい。例えば、この故障通知信号に応じた情報を外部のモニターに表示させれば、ユーザーは故障を認識し、故障部品を交換することができる。
このように、第2実施形態のタイミング信号生成装置1は、GPS受信機10BをGPS受信機10Aと同じように動作させておき、GPSアンテナ50AあるいはGPS受信機10Aが故障した時に、位相比較器21に入力される1PPSを、GPS受信機10Aが出力する1PPSからGPS受信機10Bが出力する1PPSに速やかに切り替える。なお、本実施形態では、GPS受信機とGPSアンテナのセットが2つであるが、3つ以上であってもよい。
第2実施形態のタイミング信号生成装置1におけるその他の構成及び動作は、第1実施形態と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
以上に説明したように、第2実施形態のタイミング信号生成装置によれば、同じ場所に設置された複数のGPSアンテナと各GPSアンテナが受信した衛星信号をそれぞれ処理する複数のGPS受信機とを設けておき、選択中のGPSアンテナとGPS受信機のセットの故障を検出して他のGPSアンテナとGPS受信機のセットに切り替える。従って、選択中のGPSアンテナとGPS受信機のセットに故障が発生した場合でも、高精度の1PPSの出力を継続することができる。
その他、第2実施形態のタイミング信号生成装置は、前述した第1実施形態のタイミング信号生成装置が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
1−3.第3実施形態
図10は、第3実施形態のタイミング信号生成装置の構成例を示す図である。図10に示すように、第3実施形態のタイミング信号生成装置1は、3つのGPS受信機10A,10B,10C、処理部(CPU)20、原子発振器30、温度センサー40、3つのGPSアンテナ50A,50B,50Cを含んで構成されている。ただし、本実施形態のタイミング信号生成装置1は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
図10に示すように、GPSアンテナ50Aは、GPS受信機10Aに接続されており、GPS受信機10Aは、GPSアンテナ50Aを介して、各GPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、第1実施形態で説明した各種の処理を行う。同様に、GPSアンテナ50Bは、GPS受信機10Bに接続されており、GPS受信機10Bは、GPSアンテナ50Bを介して、各GPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、第1実施形態で説明した各種の処理を行う。同様に、GPSアンテナ50Cは、GPS受信機10Cに接続されており、GPS受信機10Cは、GPSアンテナ50Cを介して、各GPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、第1実施形態で説明した各種の処理を行う。
第2実施形態と異なり、3つのGPSアンテナ50A,50B,50Cは、互いに異なる場所に設置される。従って、3つのGPS受信機10A,10B,10Cは、互いに異なる位置情報を出力する。例えば、3つのGPSアンテナ50A,50B,50Cが、それぞれ建物の北側、南側、東側等に設置されていれば、それぞれ衛星信号の受信状況が異なり、時間帯によって衛星信号を最も受信しやすいものが変化する。従って、時間の経過に伴って、GPS受信機10A,10B,10Cがそれぞれ出力する1PPSの精度の優劣順位も変化する。
処理部20は、第1実施形態と同様に、位相比較21、ループフィルター22、DSP23、分周器24、GPS制御部25を含み、さらに、選択スイッチ26を含んで構成されている。
DSP23は、GPS受信機10A,10B,10Cからそれぞれ定期的に(例えば、1秒毎に)NMEAデータを取得し、各NMEAデータに含まれる位置情報(GPS受信機10A,10B,10Cによる通常測位モードでの測位計算の結果)を集めて所定時間における3つの統計情報を作成し、その各々の最頻値又は中央値に基づいて、3つの受信点の位置情報を生成する処理を行う。
また、DSP23は、GPS受信機10A,10B,10Cからそれぞれ取得したNMEAデータに含まれる所定のパラメーター情報(例えば、捕捉しているGPS衛星の数や衛星信号の受信強度等)に基づいて、GPS受信機10A,10B,10Cが出力する1PPSの精度(UTC(世界標準時)の1秒との同期精度)を比較する。例えば、DSP23は、捕捉しているGPS衛星の数が同じであれば衛星信号の受信強度が大きいほど1PPSの精度が高く、受信強度が同程度であれば捕捉しているGPS衛星の数が多いほど1PPSの精度が高いと判定することができる。
選択スイッチ26は、DSP23の比較結果に応じて、GPS受信機10Aが出力する1PPS、GPS受信機10Bが出力する1PPS、GPS受信機10Cが出力する1PPSのいずれかを選択して出力する。この選択スイッチ26が出力する1PPSが位相比較器21に入力される。
また、本実施形態では、DSP23は、選択スイッチ26を制御して1PPSを選択した後は、選択した1PPSを出力するGPS受信機が出力するNMEAデータを監視し、前回との差分が閾値よりも大きい場合、GPS受信機10A,10B,10Cが出力する1PPSの精度を比較する処理を再び行う。
GPS制御部25は、GPS受信機10A,10B,10Cに各種の制御コマンドを送信し、GPS受信機10A,10B,10Cの動作を制御する。本実施形態では、GPS制御部25は、GPS受信機10A,10B,10Cにモード設定用の制御コマンドを送信し、GPS受信機10A,10B,10Cを通常測位モードから位置固定モードに切り替える処理を行う。また、GPS制御部25は、GPS受信機10A,10B,10Cを通常測位モードから位置固定モードに切り替える前に、GPS受信機10A,10B,10Cに位置設定用の制御コマンドを送信し、DSP23が生成した3つの受信点の位置情報をそれぞれGPS受信機10A,10B,10Cに設定する処理を行う。
図11は、処理部20による1PPS選択の処理手順の一例を示すフローチャート図である。
図11に示すように、処理部20は、電源がオンすると(S300のY)、所定時間が経過後(S302のY)、まず、GPS受信機10A,10B,10Cがそれぞれ出力するNMEAデータに基づき、GPS受信機10A,10B,10Cがそれぞれ出力する1PPSの精度を比較する(S304)。
次に、処理部20は、原子発振器30の発振制御用の1PPS(位相比較器21に入力される1PPS)として最も高精度の1PPSを選択する(S306)。
次に、処理部20は、選択した1PPSを出力するGPS受信機が新たに出力するNMEAデータと前回のNMEAデータとの差分を計算する(S308)。
そして、処理部20は、ステップS308で計算した差分が閾値以下であれば(S310のN)ステップS308の処理を繰り返し、差分が閾値よりも大きい場合(S310のY)、ステップS304以降の処理を再び行う。
このように、第3実施形態のタイミング信号生成装置1は、互いに異なる場所に設置された3つのGPSアンテナ50A,50B,50Cにそれぞれ接続された3つのGPS受信機10A,10B,10Cを同じように動作させておき、位相比較器21に入力される1PPSとして最も精度の高い1PPSを選択し、選択中の1PPSの精度が劣化したと判断すると、再び最も精度の高い1PPSを選択しなおす。なお、本実施形態では、GPS受信機とGPSアンテナのセットが3つであるが、2つでもよいし4つ以上であってもよい。
第3実施形態のタイミング信号生成装置1におけるその他の構成及び動作は、第1実施形態と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
以上に説明したように、第3実施形態のタイミング信号生成装置によれば、互いに異なる場所に設置された複数のGPSアンテナと各GPSアンテナが受信した衛星信号をそれぞれ処理する複数のGPS受信機とを設けておき、複数のGPS受信機が出力する複数の1PPSの中から最も精度の高い1PPSを選択して出力する。従って、時間の経過に応じて、受信強度、可視衛星の数、マルチパス等の受信環境が変化しても、高精度の1PPSの出力を継続することができる。
その他、第3実施形態のタイミング信号生成装置は、前述した第1実施形態のタイミング信号生成装置が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
2.電子機器
図12は、本実施形態の電子機器の機能ブロック図である。
本実施形態の電子機器300は、タイミング信号生成装置310、CPU(Central Processing Unit)320、操作部330、ROM(Read Only Memory)340、RAM(Random Access Memory)350、通信部360、表示部370を含んで構成されている。なお、本実施形態の電子機器は、図12の構成要素(各部)の一部を省略又は変更し、あるいは他の構成要素を付加した構成としてもよい。
タイミング信号生成装置310は、例えば、前述した第1実施形態〜第3実施形態のタイミング信号生成装置1であり、先に説明したように、衛星信号を受信して高精度のタイミング信号(1PPS)を生成し、外部に出力する。
CPU320は、ROM340等に記憶されているプログラムに従い、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、CPU320は、タイミング信号生成装置310が出力するタイミング信号(1PPS)やクロック信号に同期して、計時処理、操作部330からの操作信号に応じた各種の処理、外部とデータ通信を行うために通信部360を制御する処理、表示部370に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。
操作部330は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU320に出力する。
ROM340は、CPU320が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。
RAM350は、CPU320の作業領域として用いられ、ROM340から読み出されたプログラムやデータ、操作部330から入力されたデータ、CPU320が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
通信部360は、CPU320と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
表示部370は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、CPU320から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部370には操作部330として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
タイミング信号生成装置310として本実施形態のタイミング信号生成装置1を組み込むことにより、より低コストで信頼性の高い電子機器を実現することができる。
このような電子機器300としては種々の電子機器が考えられ、例えば、標準時刻との同期を実現する時刻管理用のサーバー(タイムサーバー)、タイムスタンプの発行等を行う時刻管理装置(タイムスタンプサーバー)、基地局等の周波数基準装置等が挙げられる。
3.移動体
図13は、本実施形態の移動体の一例を示す図(上面図)である。図13に示す移動体400は、タイミング信号生成装置410、カーナビゲーション装置420、コントローラー430,440,450、バッテリー460、バックアップ用バッテリー470を含んで構成されている。なお、本実施形態の移動体は、図13の構成要素(各部)の一部を省略又は変更してもよいし、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
タイミング信号生成装置410としては、上述の各実施形態のタイミング信号生成装置1を適用することができる。タイミング信号生成装置410は、例えば、移動体400が移動中は、通常測位モードでリアルタイムに測位計算を行って1PPS、クロック信号及びNMEAデータを出力する。また、タイミング信号生成装置410は、例えば、移動体400が停止中は、通常測位モードで複数回の測位計算を行った後、複数回の測位計算結果の最頻値又は中央値を現在の位置情報として設定し、位置固定モードで1PPS、クロック信号及びNMEAデータを出力する。
カーナビゲーション装置420は、タイミング信号生成装置410が出力する1PPSやクロック信号に同期して、タイミング信号生成装置410が出力するNMEAデータを用いて、位置や時刻その他の各種の情報をディスプレイに表示する。
コントローラー430,440,450は、エンジンシステム、ブレーキシステム、キーレスエントリーシステム等の各種の制御を行う。コントローラー430,440,450は、タイミング信号生成装置410が出力するクロック信号に同期して各種の制御を行うようにしてもよい。
本実施形態の移動体400は、タイミング信号生成装置410を備えていることで、移動中も停止中も高い信頼性を確保することができる。
このような移動体400としては種々の移動体が考えられ、例えば、自動車(電気自動車も含む)、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であ
る。
例えば、上述した各実施形態では、原子発振器を含むタイミング信号生成装置を例に挙げたが、原子発振器を水晶発振器やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)発振器等の他の発振器に置き換えてもよい。
また、例えば、上述した第3実施形態のタイミング信号生成装置において、第2実施形態と同様に、GPSアンテナとGPS受信機の各セットに対してそれぞれバックアップ用のセットを設けてもよい。
また、上述した各実施形態では、GPSを利用したタイミング信号生成装置を例に挙げたが、GPS以外の全地球的航法衛星システム(GNSS)、例えば、ガリレオ、GLONASS等を利用してもよい。
上述した各実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 タイミング信号生成装置、2 GPS衛星、10,10A,10B,10C GPS受信機、11 SAWフィルター、12 RF処理部、13 ベースバンド処理部、14 温度補償型水晶発振器(TCXO)、20 処理部(CPU)、21 位相比較器、22 ループフィルター、23 DSP、24 分周器、25 GPS制御部、26 選択スイッチ、27 故障判定部、30 原子発振器、40 温度センサー、50,50A,50B,50C GPSアンテナ、121 PLL、122 LNA、123 ミキサー、124 IFアンプ、125 IFフィルター、126 ADC(A/D変換器)、131 DSP、132 CPU、133 SRAM、134 RTC(リアルタイムクロック)、300 電子機器、310 タイミング信号生成装置、320 CPU、330 操作部、340 ROM、350 RAM、360 通信部、370 表示部、400 移動体、410 タイミング信号生成装置、420 カーナビゲーション装置、430,440,450 コントローラー、460 バッテリー、470 バックアップ用バッテリー

Claims (6)

  1. 第1のモードにおいて、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に基づいて測位計算を繰り返し行って複数の測位計算結果を取得することと、
    前記複数の測位計算結果の最頻値又は中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成することと、
    前記第1のモードとは異なる第2のモードにおいて、前記受信した衛星信号と前記受信点の位置情報とに基づいて、基準時刻に同期したタイミング信号を生成することと、
    前記基準時刻に同期したタイミング信号を生成することの後に、前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えて、前記複数の測位計算結果を取得することと、
    を含む信号生成方法。
  2. 移動体で用いられる信号生成方法であって、
    前記移動体の停止中において、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に基づいて測位計算を繰り返し行って複数の測位計算結果を取得することと、
    前記複数の測位計算結果の最頻値又は中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成することと、
    前記受信した衛星信号と前記受信点の位置情報とに基づいて、基準時刻に同期したタイミング信号を生成することと、
    を含む、信号生成方法。
  3. 前記タイミング信号と発振器が出力するクロック信号との位相比較を行い、前記位相比較の結果に基づいて前記発振器を制御することと、
    前記クロック信号と、前記クロック信号を分周した1Hzの信号とを出力することと、
    を含む請求項1又は2に記載の信号生成方法。
  4. 前記受信点の位置情報を生成することは、前記複数の測位計算結果を取得した処理部が行い、
    前記処理部は、前記測位計算を行う受信機に、前記受信点の位置情報を設定する、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の信号生成方法。
  5. 前記タイミング信号を生成することは、前記設定された前記受信点の位置情報に基づいて、前記受信機が行う、
    請求項に記載の信号生成方法。
  6. 前記移動体の移動中において、位置情報衛星から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に基づいて測位計算を行って基準時刻に同期したタイミング信号を生成することと、
    前記タイミング信号と発振器が出力するクロック信号との位相比較を行い、前記位相比較の結果に基づいて前記発振器を制御することと、
    前記クロック信号と、前記クロック信号を分周した1Hzの信号とを出力することと、
    を含む、請求項2に記載の信号生成方法。
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