JP2017216612A - タイミング信号生成装置、電子機器および移動体 - Google Patents

タイミング信号生成装置、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができるタイミング信号生成装置並びにタイミング信号生成装置を備える電子機器および移動体を提供する。【解決手段】タイミング信号発生装置1は、衛星2からの衛星信号に基づいて、基準信号を出力する受信機10と、クロック信号を出力する発振器30と、クロック信号を基準信号に同期させる同期部26と、時刻ごとの衛星2の配置に関する情報を含む配置情報を記憶している配置情報記憶部61と、配置情報、および、基準信号とクロック信号との位相差を用いて、同期部26の動作を制御する制御部23と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、タイミング信号生成装置、電子機器および移動体に関する。
例えばGPS(Global Positioning System)衛星からの衛星信号等に含まれる正確なタイミング信号を用いてタイミング信号を生成するタイミング信号生成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般に、このようなタイミング信号生成装置は、衛星信号に含まれるタイミング信号に同期させて発振する水晶発振器や原子発振器等の発振器を備え、例えば衛星信号を受信できない状況下になったとき、同期処理を停止させて、発振器を自走させることによりタイミング信号を生成する。
例えば、特許文献1に係る時刻同期装置は、GPS受信器と、内蔵発振器と、内部時計として機能するタイミング信号生成部と、内蔵発振器の制御を行う発振制御部と、GPS受信器が出力する受信同期信号の有無を監視する信号断検出部、ドリフト記録部、信号断時間記録部を備えている。この時刻同期装置では、正常受信時に、発振制御部から出力されている発振周波数制御信号を時刻情報とともに測定してドリフト記録部に記憶しておき、受信できなくなった場合に、その記憶した測定値に基づく発生予想ドリフト量を加算することにより補正した発振周波数制御信号を生成して発振制御部から出力することで内蔵発振器を自走させる。
特開2011−122983号公報
しかし、特許文献1に係る時刻同期装置では、衛星の配置やマルチパスの影響等を考慮しないため、設置環境によっては、内蔵発振器を自走させるか否かの切り換えを的確に行うことができず、その結果、内蔵発振器からのクロックの精度が劣化してしまうという問題がある。
本発明の目的は、設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができるタイミング信号生成装置を提供すること、また、かかるタイミング信号生成装置を備える電子機器および移動体を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のタイミング信号生成装置は、衛星からの衛星信号に基づいて、基準信号を出力する受信機と、
クロック信号を出力する発振器と、
前記クロック信号を前記基準信号に同期させる同期部と、
時刻ごとの前記衛星の配置に関する情報を含む配置情報を記憶している配置情報記憶部と、
前記配置情報、および、前記基準信号と前記クロック信号との位相差を用いて、前記同期部の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
このようなタイミング信号生成装置によれば、時刻ごとの衛星の配置に関する情報を含む配置情報を用いることで、衛星の配置を考慮して、発振器を自走させるか否かの判断を行うことができる。また、受信機からの基準信号と発振器からのクロック信号との位相差を用いることで、マルチパスの影響を考慮して、発振器を自走させるか否かの判断を行うことができる。このように、衛星の配置やマルチパスの影響を考慮して、同期部の動作を制御することで、設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができる。
本発明のタイミング信号生成装置では、前記発振器の設置環境を測定するセンサー部を備え、
前記制御部は、前記センサー部の検出結果をさらに用いて、前記同期部の動作を制御することが好ましい。
これにより、発振器の設置環境をも考慮して、発振器を自走させるか否かの判断を行うことができる。
本発明のタイミング信号生成装置では、前記制御部は、前記位相差がしきい値以上であり、かつ、前記センサー部の測定結果が設定条件の範囲内であるときに、前記同期を停止させることが好ましい。
これにより、受信機からの基準信号と発振器からのクロック信号との位相差が発振器の設置環境により変動しても、その変動を除外して、マルチパスが生じているか否かを高精度に判断し、マルチパスが生じていない期間に発振器を自走させることを低減することができる。
本発明のタイミング信号生成装置では、前記センサー部は、前記発振器の環境温度を検出する温度センサーを有し、
前記制御部は、前記位相差がしきい値以上であり、かつ、前記温度センサーの検出結果が設定温度以下であるときに、前記同期を停止させることが好ましい。
これにより、受信機からの基準信号と発振器からのクロック信号との位相差が発振器の環境温度により変動しても、その変動を除外して、マルチパスが生じているか否かを高精度に判断し、マルチパスが生じていない期間に発振器を自走させることを低減することができる。
本発明のタイミング信号生成装置では、前記衛星の周回周期以上の時間長さ内における時刻ごとの前記位相差に関する情報を含む位相差情報を記憶する位相差情報記憶部を備え、
前記制御部は、前記位相差情報を用いて、前記同期部の動作を制御することが好ましい。
これにより、受信機からの基準信号と発振器からのクロック信号との位相差について、受信機の受信点における変動特性を位相差情報として予め用意しておくことができる。そのため、かかる位相差情報を用いて、予測的に同期部の動作(例えば発振器を自走させるか否かの切換)を制御することができる。
本発明のタイミング信号生成装置では、前記時間長さが12時間以上であることが好ましい。
これにより、的確な位相差情報を予め用意することができる。
本発明のタイミング信号生成装置では、前記同期部は、前記基準信号と前記クロック信号とを位相比較する位相比較器を有することが好ましい。
これにより、同期部が位相比較器の比較結果に基づいて発振器のクロック信号を受信機の基準信号に同期させることができる。また、位相比較器の比較結果を用いて、受信機からの基準信号と発振器からのクロック信号との位相差に関する情報を取得(測定)することができる。
本発明の電子機器は、本発明のタイミング信号生成装置を備えることを特徴とする。
このような電子機器によれば、タイミング信号生成装置の設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができる。
本発明の移動体は、本発明のタイミング信号生成装置を備えることを特徴とする。
このような移動体によれば、タイミング信号生成装置の設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができる。
本発明の実施形態に係るタイミング信号生成装置の概略構成を示す図である。 図1に示すタイミング信号生成装置が備えるGPS受信機の構成例を示すブロック図である。 図1に示すタイミング信号生成装置における時刻と位相比較器での位相差およびその微分値との関係を示すグラフである。 図1に示すタイミング信号生成装置における時刻と位相比較器での位相差および発振器の環境温度との関係を示すグラフである。 図1に示すタイミング信号生成装置における位相差情報および非同期期間情報の生成を説明するフローチャートである。 本発明の電子機器の実施形態を示すブロック図である。 本発明の移動体の実施形態を示す図である。
以下、本発明のタイミング信号生成装置、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.タイミング信号生成装置
図1は、本発明の実施形態に係るタイミング信号生成装置の概略構成を示す図である。
図1に示すタイミング信号生成装置1は、GPS衛星2(位置情報衛星の一例)から送信された衛星信号を受信し、高精度の1PPSを生成するものである。このタイミング信号生成装置1は、GPS受信機10、処理部(CPU)20、原子発振器30(発振器)、センサー部40、GPSアンテナ50、記憶部60およびタイマー70を含んで構成されている。
なお、タイミング信号生成装置1は、構成要素の一部または全部が物理的に分離されていてもよいし、一体化されていてもよい。例えば、GPS受信機10と処理部(CPU)20はそれぞれ別個のICで実現されていてもよいし、GPS受信機10と処理部(CPU)20は1チップのICとして実現されていてもよい。
[GPS受信機]
GPS受信機10は、GPSアンテナ50を介して受信した衛星信号に基づいて各種の処理を行う。
具体的に説明すると、GPS受信機10は、通常測位モードおよび位置固定モードを有し、処理部(CPU)20からの制御コマンドに応じて通常測位モードと位置固定モードのいずれかに設定される。
GPS受信機10は、通常測位モードでは、複数(好ましくは4個以上)のGPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報(具体的には、エフェメリスデータやアルマナックデータ等)および時刻情報(具体的には、週番号データやZカウントデータ等)に基づいて測位計算を行う。ここで、通常測位モードは、継続的に測位計算を行うモードである。
また、GPS受信機10は、位置固定モードでは、少なくとも1つのGPS衛星2から送信された衛星信号を受信し、受信した衛星信号に含まれる軌道情報および時刻情報と設定された受信点の位置情報とに基づいて、「基準信号」として1PPS(1 Pulse Per Second)を生成する。この1PPSは、UTC(世界標準時)と完全同期したパルス信号であり、1秒毎に1パルスを含む。このように、GPS受信機10が基準信号の生成に用いる衛星信号が軌道情報および時刻情報を含んでいることにより、基準時刻に正確に同期した基準信号を生成することができる。ここで、位置固定モードは、あらかじめ設定された位置情報に基づいて1PPSを出力するモードである。
以下、GPS受信機10の構成について詳述する。
図2は、図1に示すタイミング信号生成装置が備えるGPS受信機の構成例を示すブロック図である。
図2に示すGPS受信機10は、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルター11、RF処理部12、ベースバンド処理部13および温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)14を含んで構成されている。
SAWフィルター11は、GPSアンテナ50が受信した電波から衛星信号を抽出する処理を行う。このSAWフィルター11は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルターとして構成される。
RF処理部12は、PLL(Phase Locked Loop)121、LNA(Low Noise Amplifier)122、ミキサー123、IFアンプ124、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルター125およびADC(A/D変換器)126を含んで構成されている。
PLL121は、数十MHz程度で発振するTCXO14の発振信号を1.5GHz帯の周波数に逓倍したクロック信号を生成する。
SAWフィルター11が抽出した衛星信号は、LNA122で増幅される。LNA122で増幅された衛星信号は、ミキサー123でPLL121が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯(例えば、数MHz)の信号(IF信号)にダウンコンバートされる。ミキサー123でミキシングされた信号は、IFアンプ124で増幅される。
ミキサー123でのミキシングにより、IF信号とともにGHzオーダーの高周波信号も生成されるため、IFアンプ124はIF信号とともにこの高周波信号も増幅する。IFフィルター125は、IF信号を通過させるとともに、この高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルター125を通過したIF信号はADC(A/D変換器)126でデジタル信号に変換される。
ベースバンド処理部13は、DSP(Digital Signal Processor)131、CPU(Central Processing Unit)132、SRAM(Static Random Access Memory)133およびRTC(リアルタイムクロック)134を含んで構成されており、TCXO14の発振信号をクロック信号として各種処理を行う。
DSP131とCPU132は、協働しながら、IF信号からベースバンド信号を復調し、航法メッセージに含まれる軌道情報や時刻情報を取得し、通常測位モードの処理あるいは位置固定モードの処理を行う。
SRAM133は、取得された時刻情報や軌道情報、所定の制御コマンド(位置設定用の制御コマンド)に応じて設定された受信点の位置情報、位置固定モード等で用いる仰角マスク等を記憶するためのものである。RTC134は、ベースバンド処理を行うためのタイミングを生成するものである。このRTC134は、TCXO14からのクロック信号でカウントアップされる。
具体的には、ベースバンド処理部13は、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理(衛星サーチ)を行う。そして、ベースバンド処理部13は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードをC/AコードとするGPS衛星2に同期(GPS衛星2を捕捉)したものと判断する。なお、GPSでは、すべてのGPS衛星2が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。したがって、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星2を検索することができる。
また、ベースバンド処理部13は、捕捉したGPS衛星2の軌道情報や時刻情報を取得するために、当該GPS衛星2のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。ミキシングされた信号には、捕捉したGPS衛星2の軌道情報や時刻情報を含む航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド処理部13は、航法メッセージに含まれる軌道情報や時刻情報を取得し、SRAM133に記憶する処理を行う。
また、ベースバンド処理部13は、所定の制御コマンド(具体的にはモード設定用の制御コマンド)を受信し、通常測位モードと位置固定モードのいずれかに設定される。ベースバンド処理部13は、通常測位モードでは、SRAM133に記憶されている4つ以上のGPS衛星2の軌道情報および時刻情報を用いて測位計算を行う。
また、ベースバンド処理部13は、位置固定モードでは、SRAM133に記憶されている1つ以上のGPS衛星2の軌道情報と、SRAM133に記憶されている受信点の位置情報とを用いて高精度の1PPSを出力する。具体的には、ベースバンド処理部13は、RTC134の一部に1PPSの各パルスの発生タイミングをカウントする1PPSカウンターを備えており、GPS衛星2の軌道情報と受信点の位置情報とを用いて、GPS衛星2から送信された衛星信号が受信点まで到達するのに要する伝搬遅延時間を計算し、この伝搬遅延時間に基づき1PPSカウンターの設定値を最適値に変更する。
なお、ベースバンド処理部13は、通常測位モードにおいて、測位計算で得られた受信点の時刻情報に基づき1PPSを出力してもよく、位置固定モードにおいて、複数のGPS衛星2が捕捉できれば測位計算を行ってもよい。
また、ベースバンド処理部13は、測位計算の結果の位置情報や時刻情報、受信状況(GPS衛星2の捕捉数、衛星信号の強度等)等の各種情報を含むNMEAデータを出力する。
以上説明したように構成されたGPS受信機10の動作は、図1に示す処理部(CPU)20により制御される。
[処理部]
図1に示す処理部20は、GPS受信機10に対して各種の制御コマンドを送信して各GPS受信機10の動作を制御し、GPS受信機10が出力する1PPSやNMEAデータを受け取って各種の処理を行う。ここで、処理部20は、図示しないメモリーに記憶されているプログラムにしたがって、各種処理を行ってもよい。
この処理部20は、図1に示すように、位相比較器21、ループフィルター22、制御部(DSP:Digital Signal Processor)23、分周器24およびGPS制御部25を含んで構成されている。なお、制御部23およびGPS制御部25が1つの部品で構成されていてもよい。
制御部23は、GPS受信機10から定期的に(例えば、1秒毎に)NMEAデータを取得し、NMEAデータに含まれる位置情報(GPS受信機10による通常測位モードでの測位計算の結果)を集めて所定時間における統計情報を作成し、その統計情報に基づいて、受信点の位置情報を生成する処理を行う。ここで、制御部23は、例えば、GPS受信機10による通常測位モードでの複数の測位計算結果の平均値、最頻値または中央値に基づいて、受信点の位置情報を生成する。
また、制御部23は、後述するセンサー部40が備える温度センサー41の出力に基づいて、原子発振器30の制御電圧を制御する機能を有する。例えば、制御部23は、温度センサー41の検出値(検出温度)に応じてループフィルター22の出力電圧を調整することで、原子発振器30の周波数温度特性を温度補償する処理も行う。
また、制御部23は、位相比較器21の比較結果およびセンサー部40の測定結果をタイマー70の時刻情報とともに記憶部60に記憶し、記憶部60に記憶されている情報に基づいて、後述する同期部26の動作を制御する機能を有する。
GPS制御部25は、GPS受信機10に各種の制御コマンドを送信し、GPS受信機10の動作を制御する。具体的には、GPS制御部25は、GPS受信機10にモード設定用の制御コマンドを送信し、GPS受信機10を通常測位モードから位置固定モードに切り替える処理を行う。また、GPS制御部25は、GPS受信機10を通常測位モードから位置固定モードに切り替える前に、GPS受信機10に位置設定用の制御コマンドを送信し、制御部23が生成した受信点の位置情報をGPS受信機10に設定する処理を行う。
分周器24は、原子発振器30が出力するクロック信号(周波数:f)をf分周し、1Hzの分周クロック信号を出力する。
位相比較器21は、GPS受信機10が出力する1PPS(基準信号)と分周器24が出力する1Hzの分周クロック信号(クロック信号)とを位相比較し、その比較結果として位相差に応じた電圧値の位相差信号を出力する。この位相差信号は、ループフィルター22を介して原子発振器30に入力される。ループフィルター22のパラメーターは、制御部23により設定される。
分周器24が出力する1Hzの分周クロック信号は、GPS受信機10が出力する1PPSと同期しており、タイミング信号生成装置1は、この分周クロック信号をUTCと同期した極めて周波数精度の高い1PPSとして外部に出力する。また、タイミング信号生成装置1は、1PPSと同期して1秒毎に最新のNMEAデータを外部に出力する。
ここで、原子発振器30は、ループフィルター22の出力電圧(制御電圧)に応じて周波数を微調整可能に構成されており、前述のように、位相比較器21、ループフィルター22および分周器24により、原子発振器30が出力するクロック信号はGPS受信機10が出力する1PPSに完全に同期する。すなわち、位相比較器21、ループフィルター22および分周器24は、PLL(Phase Locked Loop)回路である同期部26を構成し、原子発振器30が出力するクロック信号をGPS受信機10からの1PPSに同期させる。これにより、原子発振器30からのクロック信号をGPS受信機10からの1PPSに同期した高精度なタイミング信号として出力することができる。
また、GPS受信機10が衛星信号を受信できなかったり受信環境が悪かったりする等の状況(以下、「ホールドオーバー」ともいう)が発生すると、GPS受信機10が出力する1PPSの精度が劣化し、あるいは、GPS受信機10が1PPSの出力を停止する。そのような場合、処理部20は、原子発振器30が出力するクロック信号をGPS受信機10が出力する1PPSに同期させる処理(同期部26による同期処理)を停止して原子発振器30を自走発振させる。このようにすれば、タイミング信号生成装置1は、GPS受信機10が出力する1PPSの精度が劣化した場合でも、原子発振器30の自走発振による周波数精度の高い1PPSを出力することができる。このように、タイミング信号生成装置1では、GPS受信機10が基準信号を出力することができない状況等になったときにおいても、原子発振器30からのクロック信号を用いることで、高精度なタイミング信号を生成することができる。なお、同期部26の動作制御については、後に詳述する。
[原子発振器(発振器)]
図1に示す原子発振器30は、例えばルビジウム原子やセシウム原子等の原子のエネルギー遷移を利用した周波数精度の高いクロック信号を出力可能な発振器である。原子発振器30として、例えば、EIT(Electromagnetically Induced Transparency)現象(CPT(Coherent Population Trapping)現象とも呼ばれる)を利用した方式の原子発振器や、光マイクロ2重共鳴現象を利用した方式の原子発振器等を利用することができる。
なお、原子発振器30に代えてダブルオーブンもしくはシングルオーブンの恒温槽型水晶発振器(OCXO)、電圧制御型水晶発振器(VCXO)、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)等の水晶発振器を用いても、自走発振による周波数精度の高い1PPSを出力することができる。
[センサー部]
図1に示すセンサー部40は、原子発振器30の設置環境を測定する機能を有する。本実施形態では、センサー部40は、温度センサー41、マイクロ波受信機42、振動センサー43および電源ノイズセンサー44を有する。
温度センサー41は、原子発振器30の環境温度を検出する機能を有する。この温度センサー41は、例えば、熱電対またはサーミスタ等を含んで構成され、原子発振器30が有する外装パッケージ(図示せず)の外表面上に配置されている。
原子発振器30等の発振器は、一般に、温度特性を有し、その温度特性を補正する制御が行われるが、例えば、環境温度が急激に変化すると、その補正が間に合わず、周波数飛びを生じやすい。したがって、このような環境温度の検出結果を用いることで、原子発振器30の周波数異常の原因に環境温度による周波数飛びが含まれると判定することができる。
マイクロ波受信機42は、原子発振器30が有する原子セル(図示せず)内のアルカリ金属原子の2つの基底準位間のエネルギー差に相当する周波数(例えば、アルカリ金属原子がセシウム原子である場合、約9.2GHz)のマイクロ波を検出する機能を有する。このマイクロ波受信機42は、例えば、当該周波数に共振するアンテナと、このアンテナで受信したマイクロ波を増幅する増幅器と、を含んで構成されている。
原子発振器30は、前述したマイクロ波が外乱として入力されると、いわゆる周波数飛びが生じやすい。したがって、このようなマイクロ波の検出結果を用いることで、原子発振器30の周波数異常の原因にマイクロ波による周波数飛びが含まれると判定することができる。
振動センサー43は、原子発振器30が受ける振動を検出する機能を有する。この振動センサー43は、例えば、3軸加速度センサーまたは3軸ジャイロセンサー等を含んで構成されている。
原子発振器30等の発振器は、振動が外乱として入力されると、周波数飛びを生じやすい。したがって、このような振動の検出結果を用いることで、原子発振器30の周波数異常の原因に振動による周波数飛びが含まれると判定することができる。
電源ノイズセンサー44は、タイミング信号生成装置1の各部に電力を供給する電源回路(図示せず)およびその電力供給経路に生じるノイズである電源ノイズを検出する機能を有する。この電源ノイズセンサー44は、例えば、コイルを含んで構成されている。
原子発振器30等の発振器は、電源ノイズが外乱として入力されると、周波数飛びを生じやすい。したがって、このような電源ノイズの検出結果を用いることで、原子発振器30の周波数異常の原因に電源ノイズによる周波数飛びが含まれると判定することができる。
なお、センサー部40が有する温度センサー41、マイクロ波受信機42、振動センサー43および電源ノイズセンサー44は、それぞれ、必要に応じて設ければよく、省略することが可能である。また、センサー部40が有するセンサーは、原子発振器30の設置環境を測定し得るものであれば、図示のものに限定されず、任意であるが、センサーの検出結果を原子発振器30の周波数特性の補正や同期部26の動作制御に用いてタイミング信号の精度を向上させることが可能であるという観点から、原子発振器30の周波数特性に影響を与える環境を測定し得るものであることが好ましい。
[記憶部]
図1に示す記憶部60は、制御部23の動作に必要な各種情報を記憶する機能を有する。特に、記憶部60は、配置情報記憶部61と、位相差情報記憶部62と、を有する。
配置情報記憶部61は、時刻ごとのGPS衛星2の配置に関する情報を含む配置情報(以下、単に「配置情報」ともいう)を記憶している。この配置情報は、時刻と、GPS受信機10の受信点におけるGPS衛星2の位置(仰角)および数との関係を示す情報を含んでおり、あらかじめ配置情報記憶部61に記憶されている。なお、配置情報は、GPS衛星2の周回周期以上の時間長さにわたってGPS受信機10を動作させたときに、GPS受信機10から得られるGPS衛星2の配置情報(例えば、NMEAデータに含まれる情報)を用いることもできる。
位相差情報記憶部62は、GPS衛星2の周回周期以上の時間長さ内における時刻ごとの位相比較器21の比較結果(位相差)に関する情報を含む位相差情報(以下、単に「位相差情報」ともいう)を記憶する。この位相差情報は、タイマー70による時刻と、位相比較器21の比較結果との関係を示す情報を含んでおり、制御部23により位相差情報記憶部62に記憶(記録)される。本実施形態では、この位相差情報は、タイマー70による時刻とセンサー部40の測定結果との関係を示す情報をも含んでいる。また、この位相差情報は、GPS衛星2の周回周期以上の時間長さ(以下、「測定期間」ともいう)にわたって位相比較器21の比較結果およびセンサー部40の測定結果を所定時間ごとにタイマー70による時刻とともに位相差情報記憶部62に記憶することにより得られる。ここで、位相比較器21の比較結果およびセンサー部40の測定結果を位相差情報記憶部62に記憶させる時間間隔(前述した所定時間の長さ)は、例えば、30秒以上10分以下の範囲内であることが好ましく、1分以上5分以下の範囲内であることがより好ましい。また、位相比較器21の比較結果およびセンサー部40の測定結果は、かかる時間間隔内における平均値(例えば移動平均)として、位相差情報記憶部62に記憶される。なお、位相差情報記憶部62に記憶される位相差情報は、数週間ごと、数か月ごとまたは数年ごとに定期的に更新してもよいし、必要に応じて不定期に更新してもよい。
[タイマー]
タイマー70は、時刻情報を生成する機能を有するリアルタイムクロックである。このタイマー70は、例えば、図示しない温度補償型水晶発振器(TCXO)からのクロック信号によりカウントアップされる。なお、タイマー70は、GPS受信機10に設けられていてもよく、この場合、前述したGPS受信機10が有するRTC134がタイマー70を兼ねていてもよい。
以上、タイミング信号生成装置1の構成を簡単に説明した。このようなタイミング信号生成装置1では、前述したように、制御部23が同期部26の動作制御を行う。
(同期部の動作制御)
以下、同期部26の動作制御について詳述する。
図3は、図1に示すタイミング信号生成装置における時刻と位相比較器での位相差およびその微分値との関係を示すグラフである。図4は、図1に示すタイミング信号生成装置における時刻と位相比較器での位相差および発振器の環境温度との関係を示すグラフである。図5は、図1に示すタイミング信号生成装置における位相差情報および非同期期間情報の生成を説明するフローチャートである。
GPS衛星2の配置状態以外に衛星信号の受信状態に影響を与える原因がない場合、配置情報記憶部61に記憶されている配置情報に基づいて、衛星信号の受信状態が良好か否かを判断し、その判断結果に基づいて、同期部26による同期を停止させるか否か、すなわち、原子発振器30を自走させるか否かの判断を的確に行うことが可能である。
また、GPS衛星2の配置に応じて、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差が変動するため、GPS衛星2の配置状態以外に衛星信号の受信状態に影響を与える原因がない場合、位相比較器21の比較結果(位相差)がしきい値を超えるか否かに基づいて、衛星信号の受信状態が良好か否かを判断することも可能である。例えば、図3の上段に示すように、かかる位相差がGPS衛星2の周回周期T内において変動する場合、かかる位相差がしきい値以上となったときに、衛星信号の受信状態が悪いと判断し、かかる位相差がしきい値以上となった期間(図中の時刻t1から時刻t2までの期間)またはそれを含む期間(図中の時刻t3から時刻t4までの期間)において、同期部26による同期を停止させる。
ここで、かかる位相差がしきい値以上となったか否かの判断に加えて、かかる位相差の微分値に基づいて、衛星信号の受信状態が良好か否かを判断してもよい。例えば、図3の下段に示すように、時刻t1またはその近傍時刻において、かかる位相差の微分値がしきい値1以上であるか否かの判断を行うとともに、時刻t2またはその近傍時刻において、かかる位相差の微分値がしきい値2以下であるか否かの判断を行う。すなわち、かかる位相差がしきい値以上となったときの位相差の変化が急激であったか否かの判断を行う。これは、一般に、衛星信号の受信状態が良好な状態と悪い状態との間の変化が急激に起こるので、衛星信号の受信状態が良好か否かの判断の確実性を向上させるためである。なお、図3中の「しきい値1」は、正の値であり、「しきい値2」は、負の値である。
前述したように、GPS衛星2の配置状態以外に衛星信号の受信状態に影響を与える原因がない場合、配置情報記憶部61に記憶されている配置情報に基づいて、原子発振器30を自走させるか否かの判断を行うことが可能である。
しかし、実際には、GPS受信機10の設置環境によっては、マルチパス等の影響により、衛星信号の受信状態が悪くなることがある。ここで、前述したように、このような衛星信号の受信状態の変化は位相比較器21の比較結果として現れるため、位相比較器21の比較結果を併用することで、衛星信号の受信状態が良好か否かの判断の確実性を高めることができる。また、位相比較器21の比較結果は、原子発振器30の設置環境の変動によるクロック信号の変動等によっても変動するため、衛星信号の受信状態が良好か否かの判断をGPS衛星2の配置情報および位相比較器21の比較結果のみで行うと、実際には衛星信号の受信状態が良好であるにもかかわらず、衛星信号の受信状態が良好でないと判断してしまう場合がある。かかる場合、原子発振器30を自走させる期間が必要以上に長くなってしまい、その結果、タイミング信号生成装置1のタイミング信号の精度低下を招くおそれがある。
そこで、タイミング信号生成装置1では、衛星信号の受信状態が良好か否かの判断を、GPS衛星2の配置情報および位相比較器21の比較結果に加えて、センサー部40の測定結果を用いて行う。これにより、衛星信号の受信状態が良好であるか否かの判断の確実性をさらに高めることができる。
例えば、図4の上段に示すように、位相比較器21の比較結果(位相差)がしきい値以上となる期間A、B、CおよびDのうち、温度センサー41の検出結果がしきい値以下となる期間A、CおよびDにおいて衛星信号の受信状態が良好でないと判断する。すなわち、図4の下段に示すように、温度センサー41により検出される環境温度の検出結果がしきい値超えとなる期間Bは、衛星信号の受信状態の変化によるものではなく、原子発振器30の設置温度の変化によって、位相比較器21の比較結果の変動が生じたものと判断する。
このように温度センサー41の検出結果がしきい値(設定温度)超えである期間の他、マイクロ波受信機42の受信強度が設定強度越えである期間、振動センサー43の検出強度が設定強度越えである期間、電源ノイズセンサー44の検出強度が設定強度越えである期間のいずれかの期間も、衛星信号の受信状態の変化によるものではなく、原子発振器30の設置環境の変化によって、位相比較器21の比較結果の変動が生じたものと判断する。すなわち、温度センサー41の検出結果が設定温度以下であり、マイクロ波受信機42の受信強度が設定値以下であり、振動センサー43の検出強度が設定強度以下であり、かつ、電源ノイズセンサー44の検出強度が設定強度以下であるとき、センサー部40の測定結果が設定条件の範囲内であると判断する。
このように、位相比較器21の比較結果(位相差)がしきい値以上であるか、GPS衛星2の配置が設定条件の範囲内であるかのいずれかまたは両方であり、かつ、原子発振器30の設置環境が設定条件の範囲内である期間において、同期部26による同期を停止させて、原子発振器30を自走させる。
また、タイミング信号生成装置1では、例えば、GPS衛星2の周回周期以上の時間長さ内における時刻ごとの位相比較器21の比較結果(位相差)に関する情報を含む位相差情報を事前に取得し、その位相差情報に基づいて、同期部26による同期を停止させる期間を決定することができる。以下、位相差情報の取得および同期部26の停止期間の決定の一例について説明する。
図5に示すように、まず、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差、および、原子発振器30の設置環境の測定を開始する(ステップS11)。ここで、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差は、位相比較器21の比較結果に基づいて測定される。また、原子発振器30の設置環境は、センサー部40の測定結果に基づいて測定される。このようにして、測定した位相差および設置環境を含む測定結果を得る。
次に、得られた測定結果をその測定した時刻に関連付けて位相差情報記憶部62に記憶する(ステップS12)。ここで、測定結果とともに位相差情報記憶部62に記憶する時刻は、タイマー70の時刻を用いる。このようにして、互いに対応する測定結果および時刻を含むデータが位相差情報記憶部62に記憶される。
そして、測定時間が経過したか否かを判断し(ステップS13)、測定時間が経過するまで(ステップS13の「NO」)、前述したステップS12を繰り返し、測定時間が経過したら(ステップS13の「YES」)、測定を終了する(ステップS14)。これにより、測定時間内の時刻ごとのデータからなる位相差情報が位相差情報記憶部62に記憶される。すなわち、GPS衛星2の周回周期以上の時間長さ内における時刻ごとの位相比較器21の比較結果(位相差)に関する情報を含む位相差情報を得る。ここで、測定は、位相比較器21の比較結果およびセンサー部40の測定結果を位相差情報記憶部62に記憶させる時間間隔ごとに行ってもよいし、当該時間間隔よりも短い時間間隔で行ってもよい。
このように位相差情報を得た後、位相差情報記憶部62に記憶されている位相差情報に基づいて、測定期間のうち、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差がしきい値以上となる期間を抽出する(ステップS15)。ここで、抽出される期間は、前述した図3に示す時刻t1から時刻t2までの期間に相当する期間である。
次いで、位相差情報記憶部62に記憶されている位相差情報および配置情報記憶部61に記憶されている配置情報に基づいて、測定期間のうち、GPS衛星2の配置が設定条件の範囲内となる期間を抽出する(ステップS16)。
そして、位相差情報記憶部62に記憶されている位相差情報に基づいて、前述したステップS15、S16で抽出された期間のうち、原子発振器30の設置環境が設定条件の範囲内となる期間を抽出する(ステップS17)。言い換えると、位相差情報記憶部62に記憶されている位相差情報に基づいて、前述したステップS15、S16で抽出された期間のうち、原子発振器30の設置環境が設定条件の範囲外となる期間を除外する。これにより、測定期間のうち、位相差がしきい値以上であるか、GPS衛星2の配置が設定条件の範囲内であるかのいずれかまたは両方であり、かつ、原子発振器30の設置環境が設定条件の範囲内である期間を求めることができる。
なお、前述したステップS15〜S17の順序は、図示のものに限定されず、任意であり、また、ステップS15〜S17のうちの少なくとも2つのステップを同時に行ってもよい。すなわち、ステップS15〜S17は、位相差情報記憶部62に記憶されている位相差情報および配置情報記憶部61に記憶されている配置情報に基づいて、測定期間のうち、位相差がしきい値以上であるか、GPS衛星2の配置が設定条件の範囲内であるかのいずれかまたは両方であり、かつ、原子発振器30の設置環境が設定条件の範囲内である期間を求めることができればよい。
その後、求めた各期間の前後にそれぞれ付加期間を付加する(ステップS18)。ここで、付加期間は、前述した図3における時刻t3から時刻t1までの期間、および、時刻t2から時刻t4までの期間に相当する期間である。この付加期間を設けることで、制御の信頼性がより高まる。なお、このステップS18は、必要に応じて行えばよく、省略してもよい。
以上説明したようなタイミング信号生成装置1は、衛星であるGPS衛星2からの衛星信号に基づいて、基準信号を出力する受信機であるGPS受信機10と、クロック信号を出力する発振器である原子発振器30と、原子発振器30からのクロック信号をGPS受信機10からの基準信号に同期させる同期部26と、時刻ごとのGPS衛星2の配置に関する情報を含む配置情報を記憶している配置情報記憶部61と、配置情報記憶部61に記憶されている配置情報、および、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差を用いて、同期部26の動作を制御する制御部23と、を備える。
このようなタイミング信号生成装置1によれば、時刻ごとのGPS衛星2の配置に関する情報を含む配置情報を用いることで、GPS衛星2の配置を考慮して、原子発振器30を自走させるか否かの判断を行うことができる。また、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差を用いることで、マルチパスの影響を考慮して、原子発振器30を自走させるか否かの判断を行うことができる。このように、GPS衛星2の配置やマルチパスの影響を考慮して、同期部26の動作を制御することで、設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができる。
ここで、同期部26は、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号とを位相比較する位相比較器21を有する。これにより、同期部26が位相比較器21の比較結果に基づいて原子発振器30のクロック信号をGPS受信機10からの基準信号に同期させることができる。また、位相比較器21の比較結果を用いて、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差に関する情報を取得(測定)することができる。
特に、タイミング信号生成装置1は、原子発振器30の設置環境を測定するセンサー部40を備え、制御部23は、センサー部40の検出結果をさらに用いて、同期部26の動作を制御する。これにより、原子発振器30の設置環境をも考慮して、原子発振器30を自走させるか否かの判断を行うことができる。
また、制御部23は、位相比較器21の比較結果である位相差がしきい値以上であり、かつ、センサー部40の測定結果が設定条件の範囲内であるときに、同期部26による同期を停止させる。これにより、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差が原子発振器30の設置環境により変動しても、その変動を除外して、マルチパスが生じているか否かを高精度に判断し、マルチパスが生じていない期間に原子発振器30を自走させることを低減することができる。
さらに、センサー部40は、原子発振器30の環境温度を検出する温度センサー41を有し、制御部23は、位相比較器21の比較結果である位相差がしきい値以上であり、かつ、温度センサー41の検出結果が設定温度以下であるときに、同期部26による同期を停止させる。これにより、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差が原子発振器30の環境温度により変動しても、その変動を除外して、マルチパスが生じているか否かを高精度に判断し、マルチパスが生じていない期間に原子発振器30を自走させることを低減することができる。
また、タイミング信号生成装置1は、GPS衛星2の周回周期T以上の時間長さ内における時刻ごとの位相比較器21の比較結果(位相差)に関する情報を含む位相差情報を記憶する位相差情報記憶部62を備える。そして、制御部23は、位相差情報記憶部62に記憶されている位相差情報を用いて、同期部26の動作を制御する。これにより、GPS受信機10からの基準信号と原子発振器30からのクロック信号との位相差について、GPS受信機10の受信点における変動特性を位相差情報として予め用意しておくことができる。そのため、かかる位相差情報を用いて、予測的に同期部26の動作(原子発振器30を自走させるか否かの切換)を制御することができる。
ここで、位相差情報の測定期間の時間長さは、12時間以上であることが好ましく、24時間以上であることがより好ましく、24時間以上48時間以下であることがさらに好ましい。これにより、的確な位相差情報を予め用意することができる。これは、通常の衛星の周回周期が12時間であり、電離層の影響等を考慮してより正確な受信環境を測定するには、2周期(24時間)以上必要なためである。
2.電子機器
次に、本発明の電子機器の実施形態を説明する。
図6は、本発明の電子機器の実施形態を示すブロック図である。
図6に示す電子機器300は、タイミング信号生成装置310、CPU(Central Processing Unit)320、操作部330、ROM(Read Only Memory)340、RAM(Random Access Memory)350、通信部360および表示部370を含んで構成されている。
タイミング信号生成装置310は、例えば、前述したタイミング信号生成装置1であり、先に説明したように、衛星信号を受信して高精度のタイミング信号(1PPS)を生成し、外部に出力する。これにより、より低コストで信頼性の高い電子機器300を実現することができる。
CPU320は、ROM340等に記憶されているプログラムに従い、各種の計算処理や制御処理を行う。具体的には、CPU320は、タイミング信号生成装置310が出力するタイミング信号(1PPS)やクロック信号に同期して、計時処理、操作部330からの操作信号に応じた各種の処理、外部とデータ通信を行うために通信部360を制御する処理、表示部370に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。
操作部330は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU320に出力する。
ROM340は、CPU320が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。
RAM350は、CPU320の作業領域として用いられ、ROM340から読み出されたプログラムやデータ、操作部330から入力されたデータ、CPU320が各種プログラムにしたがって実行した演算結果等を一時的に記憶する。
通信部360は、CPU320と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
表示部370は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、CPU320から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部370には操作部330として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
このような電子機器300としては種々の電子機器が考えられ、特に限定されないが、例えば、標準時刻との同期を実現する時刻管理用のサーバー(タイムサーバー)、タイムスタンプの発行等を行う時刻管理装置(タイムスタンプサーバー)、基地局等の周波数基準装置等が挙げられる。
このような電子機器300は、タイミング信号生成装置310(1)を備えるので、タイミング信号生成装置310(1)の設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができる。
3.移動体
図7は、本発明の移動体の実施形態を示す図である。
図7に示す移動体400は、タイミング信号生成装置410、カーナビゲーション装置420、コントローラー430、440、450、バッテリー460、バックアップ用バッテリー470を含んで構成されている。
タイミング信号生成装置410としては、前述したタイミング信号生成装置1を適用することができる。タイミング信号生成装置410は、例えば、移動体400が移動中は、通常測位モードでリアルタイムに測位計算を行って1PPS、クロック信号およびNMEAデータを出力する。また、タイミング信号生成装置410は、例えば、移動体400が停止中は、通常測位モードで複数回の測位計算を行った後、複数回の測位計算結果の最頻値または中央値を現在の位置情報として設定し、位置固定モードで1PPS、クロック信号およびNMEAデータを出力する。
カーナビゲーション装置420は、タイミング信号生成装置410が出力する1PPSやクロック信号に同期して、タイミング信号生成装置410が出力するNMEAデータを用いて、位置や時刻その他の各種の情報をディスプレイに表示する。
コントローラー430、440、450は、エンジンシステム、ブレーキシステム、キーレスエントリーシステム等の各種の制御を行う。コントローラー430、440、450は、タイミング信号生成装置410が出力するクロック信号に同期して各種の制御を行うようにしてもよい。
このような移動体400は、タイミング信号生成装置410(1)を備えるので、タイミング信号生成装置410(1)の設置環境によるタイミング信号の精度劣化を低減することができる。
本実施形態の移動体400は、タイミング信号生成装置410を備えていることで、移動中も停止中も高い信頼性を確保することができる。
このような移動体400としては種々の移動体が考えられ、例えば、自動車(電気自動車も含む)、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
以上、本発明のタイミング信号生成装置、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、GPSを利用したタイミング信号生成装置を例に挙げたが、GPS以外の全地球航法衛星システム(GNSS)、例えば、ガリレオ、GLONASS等を利用してもよい。
1…タイミング信号生成装置、2…GPS衛星、10…GPS受信機(受信機)、11…SAWフィルター、12…RF処理部、13…ベースバンド処理部、20…処理部、21…位相比較器、22…ループフィルター、23…制御部、24…分周器、25…GPS制御部、26…同期部、30…原子発振器(発振器)、40…センサー部、41…温度センサー、42…マイクロ波受信機、43…振動センサー、44…電源ノイズセンサー、50…GPSアンテナ、60…記憶部、61…配置情報記憶部、62…位相差情報記憶部、70…タイマー、121…PLL、122…LNA、123…ミキサー、124…IFアンプ、125…IFフィルター、126…ADC、131…DSP、132…CPU、133…SRAM、134…RTC、300…電子機器、310…タイミング信号生成装置、320…CPU、330…操作部、340…ROM、350…RAM、360…通信部、370…表示部、400…移動体、410…タイミング信号生成装置、420…カーナビゲーション装置、430…コントローラー、440…コントローラー、450…コントローラー、460…バッテリー、470…バックアップ用バッテリー、A…期間、B…期間、C…期間、D…期間、S11…ステップ、S12…ステップ、S13…ステップ、S14…ステップ、S15…ステップ、S16…ステップ、S17…ステップ、S18…ステップ、T…周回周期

Claims (9)

  1. 衛星からの衛星信号に基づいて、基準信号を出力する受信機と、
    クロック信号を出力する発振器と、
    前記クロック信号を前記基準信号に同期させる同期部と、
    時刻ごとの前記衛星の配置に関する情報を含む配置情報を記憶している配置情報記憶部と、
    前記配置情報、および、前記基準信号と前記クロック信号との位相差を用いて、前記同期部の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とするタイミング信号生成装置。
  2. 前記発振器の設置環境を測定するセンサー部を備え、
    前記制御部は、前記センサー部の検出結果をさらに用いて、前記同期部の動作を制御する請求項1に記載のタイミング信号生成装置。
  3. 前記制御部は、前記位相差がしきい値以上であり、かつ、前記センサー部の測定結果が設定条件の範囲内であるときに、前記同期を停止させる請求項2に記載のタイミング信号生成装置。
  4. 前記センサー部は、前記発振器の環境温度を検出する温度センサーを有し、
    前記制御部は、前記位相差がしきい値以上であり、かつ、前記温度センサーの検出結果が設定温度以下であるときに、前記同期を停止させる請求項3に記載のタイミング信号生成装置。
  5. 前記衛星の周回周期以上の時間長さ内における時刻ごとの前記位相差に関する情報を含む位相差情報を記憶する位相差情報記憶部を備え、
    前記制御部は、前記位相差情報を用いて、前記同期部の動作を制御する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイミング信号生成装置。
  6. 前記時間長さが12時間以上である請求項5に記載のタイミング信号生成装置。
  7. 前記同期部は、前記基準信号と前記クロック信号とを位相比較する位相比較器を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタイミング信号生成装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタイミング信号生成装置を備えることを特徴とする電子機器。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタイミング信号生成装置を備えることを特徴とする移動体。
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