JP6485404B2 - 車両の駆動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンと、少なくとも1つの電動機と、機械式変速機と、を備え、前記少なくとも1つの電動機は、前記機械式変速機の入力軸に接続されて構成される車両の駆動装置において、変速の際の変速ショックを抑制する技術に関する。
エンジンと、少なくとも1つの電動機と、機械式変速機と、を備え、前記少なくとも1つの電動機は、前記機械式変速機の入力軸に接続されて構成される車両の駆動装置が知られている。たとえば、特許文献1の車両がそれである。特許文献1の車両では、エンジンに連結されたキャリヤと第1電動機に連結されたサンギヤと機械式変速機の入力軸として機能する動力伝達部材に連結されたリングギヤとを有する差動機構と動力伝達部材に連結された第2電動機とを備える電気式差動部と、動力伝達部材から動力が入力される機械式変速機とが、備えられている。特許文献1では、変速において、機械式変速機の変速に関与する各摩擦係合装置のトルク容量を制御するために、その変速に関与する各摩擦係合装置のトルク容量を機械式変速機の入力軸上に換算した換算値の合算値である機械式変速機のトルク容量が、機械式変速機の入力回転速度の変化率の目標値すなわち目標第2電動機角加速度に実際の第2電動機角加速度が追従するように、フィードバック制御される。フィードバック制御の操作量は機械式変速機のトルク容量の指令値とトルク容量の推定値との差分から求められるが、そのトルク容量の推定値を算出するための運動方程式が特許文献1に示されている。
また、特許文献1のような電気式差動部と機械式変速機とを備えた車両の駆動装置において、変速の際にエンジンの角加速度の目標値である目標エンジン角加速度および第2電動機の角加速度の目標値である目標第2電動機角加速度を満たすための第1電動機トルクおよび第2電動機トルクを算出するための運動方程式を有するモデルが、用いられている。このモデルでは、先ず、機械式変速機における変速進行度に基づいて、目標エンジン角加速度および目標第2電動機角加速度が設定される。上記の変速進行度の算出に用いる変速終了時の機械式変速機の入力回転速度は、変速開始時(イナーシャ相の開始時)の機械式変速機からの動力が出力される出力軸の回転速度である出力軸回転速度と機械式変速機の変速終了後の変速比との積として算出される。このようにして算出された目標エンジン角加速度および目標第2電動機角加速度に基づいて、上記モデルの運動方程式から、第1電動機トルク指令値および第2電動機トルク指令値が求められる。これにより、上述のような車両の変速において、変速進行度に基づいて第1電動機トルクおよび第2電動機トルクが制御される。
特開2014−162359号公報
ところで、変速進行度を求めるのに必要な機械式変速機の出力軸回転速度は、出力軸回転速度センサから検出されるが、この出力軸回転速度センサは、出力軸回転速度が低い場合すなわち低車速時において精度が悪化する可能性がある。このため、出力軸回転速度が低く、出力軸回転速度センサの精度が悪化した場合には、出力軸回転速度センサにより検出された出力軸回転速度から求められた変速進行度の算出値が実際の変速進行度と乖離してしまい、実際の変速進行度に応じた第1電動機トルクおよび第2電動機トルクが出力されない可能性があった。これにより、たとえば変速ショックを抑制するための機械式変速機の入力軸のトルクダウンの開始時期が実際の変速進行度に応じた入力軸のトルクダウンの開始時期よりも遅れてしまうことにより、変速終了後の変速ショックが悪化してしまう可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジンと、少なくとも1つの電動機と、機械式変速機と、を備え、前記少なくとも1つの電動機は、前記機械式変速機の入力軸に接続されて構成される車両の駆動装置において、変速の際の変速ショックを抑制する車両の駆動制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、(a)エンジンと、少なくとも1つの電動機と、機械式変速機と、を備え、前記少なくとも1つの電動機は、前記機械式変速機の入力軸に接続されて構成される車両の駆動装置において、(b)前記機械式変速機の出力軸回転速度に基づいて前記機械式変速機の変速進行度を算出する変速進行度算出部と、(c)前記機械式変速機の変速進行度に基づいて前記エンジンおよび前記少なくとも1つの電動機の目標角加速度を設定する目標角加速度設定部と、(d)前記車両の運動方程式を含んで成る予め記憶された物理モデルによって前記目標角加速度を満たすための前記少なくとも1つの電動機の電動機トルクを算出する電動機トルク算出部と、(e)前記出力軸回転速度が所定値以上の場合は、前記物理モデルによって算出された前記電動機トルクを目標値として前記電動機トルクをフィードバック制御するフィードバック制御部と、(f)前記出力軸回転速度が所定値より小さい場合は、前記電動機トルクをフィードフォワード制御するフィードフォワード制御部と、を含むことを特徴とする車両の駆動制御装置にある。
本発明によれば、車両の駆動制御装置は、前記機械式変速機の出力軸回転速度に基づいて前記機械式変速機の変速進行度を算出する変速進行度算出部と、前記機械式変速機の変速進行度に基づいて前記エンジンおよび前記少なくとも1つの電動機の目標角加速度を設定する目標角加速度設定部と、前記車両の運動方程式を含んで成る予め記憶された物理モデルによって前記目標角加速度を満たすための前記少なくとも1つの電動機の電動機トルクを算出する電動機トルク算出部と、前記出力軸回転速度が所定値以上の場合は、前記物理モデルによって算出された前記電動機トルクを目標値として前記電動機トルクをフィードバック制御するフィードバック制御部と、前記出力軸回転速度が所定値より小さい場合は、前記電動機トルクをフィードフォワード制御するフィードフォワード制御部と、を含む。このため、出力軸回転速度センサの精度が担保される出力軸回転速度が所定値以上の場合には、変速進行度の算出値が実際の変速進行度と乖離しないことから、変速進行度の算出値に応じて電動機トルクが制御される。また、出力軸回転速度センサの精度が担保されない出力軸回転速度が所定値未満の場合には、変速進行度の算出値が実際の変速進行度と乖離するため、電動機トルクがフィードフォワード制御される。これにより、変速の際の変速ショックが抑制される。
本発明の制御装置が適用されるハイブリッド車両用駆動装置の構成を説明する骨子図である。 図1のハイブリッド車両用駆動装置の変速機構が無段或いは有段変速作動させられる場合における変速作動とそれに用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。 図1のハイブリッド車両用駆動装置の変速機構が有段変速作動させられる場合における各ギヤ段の相対回転速度を説明する共線図である。 図1のハイブリッド車両用駆動装置に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。 シフトレバーを備えた複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフト操作装置の一例である。 図4の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1のハイブリッド車両用駆動装置において、車速と出力トルクとをパラメータとする共通の二次元座標内に、自動変速部の変速判断の基となる予め記憶された変速線図の一例と、変速機構の変速状態の切換判断の基となる予め記憶された切換線図の一例と、エンジン走行とモータ走行とを切り換えるためのエンジン走行領域とモータ走行領域との境界線を有する予め記憶された駆動力源切換線図の一例とを、それぞれ示す図である。 図1のハイブリッド車両用駆動装置の変速機構の変速に際して、イナーシャ相中に実行される電動機トルク制御のうちの物理モデルベース変速制御(MBC)によるフィードバック制御の概要を説明する図である。 図1のハイブリッド車両用駆動装置の変速機構の変速に際して、イナーシャ相中に実行される電動機トルク制御および自動変速部の油圧制御と車速Vとの関係を示す図表である。 図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。 図4の電子制御装置の制御作動であって、車速Vが所定車速V0以上の通常車速時でのダウンシフトにおける第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御の作動例を説明するタイムチャートの一例である。 図4の電子制御装置の制御作動であって、車速Vが所定車速V0未満の低車速時でのダウンシフトにおける第2電動機トルクTm2のフィードフォワード制御の作動例を説明するタイムチャートの一例である。 車速Vが所定車速V0未満の低車速時でのダウンシフトにおいて第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御が行われる作動例を説明するタイムチャートの一例である。
以下、本発明の車両の駆動制御装置の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の制御装置が適用されるハイブリッド車両用駆動装置13の構成を説明する骨子図である。図1において、ハイブリッド車両用駆動装置13(以下、「車両用駆動装置13」という。)は、エンジン8と変速機構10を備えている。変速機構10は車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、「ケース12」という)内において共通の軸心上に配設された入力回転部材としての入力軸14と、この入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)を介して直接に連結された差動部11と、その差動部11と駆動輪38(図6参照)との間の動力伝達経路で伝達部材(伝動軸)18を介して直列に連結されている有段式の変速機として機能する変速部としての自動変速部20と、この自動変速部20に連結されている出力回転部材としての出力軸22とを直列に備えている。この変速機構10は、車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、入力軸14に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパーを介して直接的に連結された走行用の駆動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8と一対の駆動輪38(図6参照)との間に設けられて、エンジン8からの動力を動力伝達経路の一部を構成する差動歯車装置(終減速機)36(図6参照)および一対の車軸等を順次介して左右の駆動輪38へ伝達する。なお、変速機構10はその軸心に対して対称的に構成されているため、図1の骨子図においてはその下側が省略されている。また、自動変速部20は、本発明の機械式変速機に相当する。
第1電動機M1を利用して差動状態が変更されるという点で電気式差動部と言うことができる差動部11は、第1電動機M1と、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、伝達部材18と一体的に回転するように設けられている第2電動機M2とを備えている。なお、第1電動機M1および第2電動機M2は発電機能をも有する所謂モータジェネレータであるが、第1電動機M1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、第2電動機M2は走行用の駆動力源として駆動力を出力するためのモータ(電動機)機能すなわち走行用電動機としての機能を少なくとも備える。なお、第2電動機M2は、本発明の少なくとも1つの電動機に相当する。また、伝達部材18は、本発明の機械式変速機の入力軸に相当する。
動力分配機構16は、シングルピニオン型の差動部遊星歯車装置24と、切換クラッチC0および切換ブレーキB0とを主体的に備えている。この差動部遊星歯車装置24は、差動部サンギヤS0、差動部遊星歯車P0、その差動部遊星歯車P0を自転および公転可能に支持する差動部キャリヤCA0、差動部遊星歯車P0を介して差動部サンギヤS0と噛み合う差動部リングギヤR0を回転要素(要素)として備えている。
この動力分配機構16においては、差動部キャリヤCA0は入力軸14すなわちエンジン8に連結され、差動部サンギヤS0は第1電動機M1に連結され、差動部リングギヤR0は伝達部材18に連結されている。また、切換ブレーキB0は差動部サンギヤS0とケース12との間に設けられ、切換クラッチC0は差動部サンギヤS0と差動部キャリヤCA0との間に設けられている。それら切換クラッチC0および切換ブレーキB0が解放されると、動力分配機構16は差動部遊星歯車装置24の3要素である差動部サンギヤS0、差動部キャリヤCA0、差動部リングギヤR0がそれぞれ相互に相対回転可能とされて差動作用が作動可能なすなわち差動作用が働く差動状態とされることから、エンジン8の出力が第1電動機M1と伝達部材18とに分配されるとともに、分配されたエンジン8の出力の一部で第1電動機M1から発生させられた電気エネルギで蓄電されたり第2電動機M2が回転駆動されるので、差動部11(動力分配機構16)は電気的な差動装置として機能させられて例えば差動部11は所謂無段変速状態(電気的CVT状態)とされて、エンジン8の所定回転に拘わらず伝達部材18の回転が連続的に変化させられる。
この状態で、上記切換クラッチC0或いは切換ブレーキB0が係合させられると動力分配機構16は前記差動作用をしないすなわち差動作用が不能な非差動状態とされる。具体的には、上記切換クラッチC0が係合させられて差動部サンギヤS0と差動部キャリヤCA0とが一体的に係合させられると、動力分配機構16は差動部遊星歯車装置24の3要素である差動部サンギヤS0、差動部キャリヤCA0、差動部リングギヤR0が共に回転すなわち一体回転させられるロック状態とされて前記差動作用が不能な非差動状態とされることから、差動部11も非差動状態とされる。また、エンジン8の回転と伝達部材18の回転速度とが一致する状態となるので、差動部11(動力分配機構16)は変速比γ0が「1」に固定された変速機として機能する定変速状態すなわち有段変速状態とされる。次いで、上記切換クラッチC0に替えて切換ブレーキB0が係合させられて差動部サンギヤS0がケース12に連結させられると、動力分配機構16は差動部サンギヤS0が非回転状態とさせられるロック状態とされて前記差動作用が不能な非差動状態とされることから、差動部11も非差動状態とされる。また、差動部リングギヤR0は差動部キャリヤCA0よりも増速回転されるので、動力分配機構16は増速機構として機能するものであり、差動部11(動力分配機構16)は増速変速機として機能する定変速状態すなわち有段変速状態とされる。
自動変速部20は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置26、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置28、およびシングルピニオン型の第3遊星歯車装置30を備えている。第1遊星歯車装置26は、第1サンギヤS1、第1遊星歯車P1、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を備えている。第2遊星歯車装置28は、第2サンギヤS2、第2遊星歯車P2、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を備えている。第3遊星歯車装置30は、第3サンギヤS3、第3遊星歯車P3、その第3遊星歯車P3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3、第3遊星歯車P3を介して第3サンギヤS3と噛み合う第3リングギヤR3を備えている。
自動変速部20では、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが一体的に連結されて第2クラッチC2を介して伝達部材18に選択的に連結されるとともに第1ブレーキB1を介してケース12に選択的に連結され、第1キャリヤCA1は第2ブレーキB2を介してケース12に選択的に連結され、第3リングギヤR3は第3ブレーキB3を介してケース12に選択的に連結され、第1リングギヤR1と第2キャリヤCA2と第3キャリヤCA3とが一体的に連結されて出力軸22に連結され、第2リングギヤR2と第3サンギヤS3とが一体的に連結されて第1クラッチC1を介して伝達部材18に選択的に連結されている。第1クラッチC1および第2クラッチC2の少なくとも一方が係合されることで上記動力伝達経路が動力伝達可能状態とされ、或いは第1クラッチC1および第2クラッチC2が解放されることで上記動力伝達経路が動力伝達遮断状態とされる。
前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3は従来の車両用有段式自動変速機においてよく用いられている油圧式摩擦係合装置である。
以上のように構成された変速機構10では、例えば、図2の係合作動表に示されるように、前記切換クラッチC0、第1クラッチC1、第2クラッチC2、切換ブレーキB0、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、および第3ブレーキB3が選択的に係合作動させられることにより、第1速ギヤ段(第1変速段)乃至第5速ギヤ段(第5変速段)のいずれか或いは後進ギヤ段(後進変速段)或いはニュートラルが選択的に成立させられるようになっている。変速機構10では、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れかを係合作動させることで定変速状態とされた差動部11と自動変速部20とで有段変速機として作動する有段変速状態が構成され、切換クラッチC0および切換ブレーキB0の何れも係合作動させないことで無段変速状態とされた差動部11と自動変速部20とで電気的な無段変速機として作動する無段変速状態が構成される。
図3は、無段変速部或いは第1変速部として機能する差動部11と有段変速部或いは第2変速部として機能する自動変速部20とから構成される変速機構10において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図3の共線図は、各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、3本の横線のうちの下側の横線X1が回転速度零を示し、上側の横線X2が回転速度「1.0」すなわち入力軸14に連結されたエンジン8の回転速度Neを示し、横線XGが伝達部材18の回転速度を示している。
また、差動部11を構成する動力分配機構16の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素(第2要素)RE2に対応する差動部サンギヤS0、第1回転要素(第1要素)RE1に対応する差動部キャリヤCA0、第3回転要素(第3要素)RE3に対応する差動部リングギヤR0の相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は差動部遊星歯車装置24のギヤ比ρに応じて定められている。さらに、自動変速部20の5本の縦線Y4、Y5、Y6、Y7、Y8は、左から順に、第4回転要素(第4要素)RE4に対応し且つ相互に連結された第1サンギヤS1および第2サンギヤS2を、第5回転要素(第5要素)RE5に対応する第1キャリヤCA1を、第6回転要素(第6要素)RE6に対応する第3リングギヤR3を、第7回転要素(第7要素)RE7に対応し且つ相互に連結された第1リングギヤR1、第2キャリヤCA2、第3キャリヤCA3を、第8回転要素(第8要素)RE8に対応し且つ相互に連結された第2リングギヤR2、第3サンギヤS3をそれぞれ表し、それらの間隔は第1、第2、第3遊星歯車装置26、28、30のギヤ比ρ1、ρ2、ρ3に応じてそれぞれ定められている。共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされるとキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車装置のギヤ比ρに対応する間隔とされる。
図4は、本発明に係る車両用駆動装置13を制御するための制御装置である電子制御装置40に入力される信号及びその電子制御装置40から出力される信号を例示している。この電子制御装置40は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8、第1電動機M1、第2電動機M2に関するハイブリッド駆動制御、自動変速部20の変速制御等の駆動制御を実行するものである。
電子制御装置40には、図4に示す各センサやスイッチなどから、シフトポジションPshを表す信号、レゾルバなどの回転速度センサにより検出される第1電動機M1の回転速度Nm1(以下、「第1電動機回転速度Nm1」という)及びその回転方向を表す信号、レゾルバなどの第2電動機回転速度センサ44(図1)により検出される第2電動機M2の回転速度Nm2(以下、「第2電動機回転速度Nm2」という)及びその回転方向を表す信号、エンジン8の回転速度であるエンジン回転速度Neを表す信号、出力軸回転速度センサ46(図1)により検出される出力軸22の出力軸回転速度Noutおよび、その出力軸回転速度Noutに対応する車速V及び車両の進行方向を表す信号、自動変速部20の作動油温THoilを示す油温信号、触媒温度Tempeを示す触媒温度信号、運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量(アクセル開度)Accを示すアクセル開度信号、車両の前後加速度(前後G)を示す加速度信号、などが、それぞれ供給される。なお、上記第2電動機回転速度センサ44及び出力軸回転速度センサ46は回転速度だけでなく回転方向をも検出できるセンサであり、車両走行中に自動変速部20が中立ポジションである場合には出力軸回転速度センサ46によって車両の進行方向が検出される。また、出力軸回転速度センサ46は、出力軸22と共に回転するセンサ用歯車の歯の通過毎にパルスを出力するホールセンサを有し、そのパルス周期に基づいて出力軸回転速度Noutを出力する。出力軸回転速度Noutは、出力軸22に連結された図示しないプロペラシャフトのプロペラシャフト回転速度Nproと同値である。
また、上記電子制御装置40からは、エンジン出力を制御するエンジン出力制御装置43(図6参照)への制御信号例えばエンジン8の吸気管95に備えられた電子スロットル弁96の開度θthを操作するスロットルアクチュエータ97への駆動信号や燃料噴射装置98によるエンジン8の各気筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号や点火装置99によるエンジン8の点火時期を指令する点火信号、第1電動機M1および第2電動機M2の作動を指令する指令信号、差動部11や自動変速部20の油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路42(図6参照)に含まれる電磁弁を作動させるバルブ指令信号等が、それぞれ出力される。
図5は複数種類のシフトポジションPshを人為的操作により切り換える切換装置としてのシフト操作装置48の一例を示す図である。このシフト操作装置48は、例えば運転席の横に配設され、複数種類のシフトポジションPshを選択するために操作されるシフトレバー49を備えている。
そのシフトレバー49は、変速機構10内つまり自動変速部20内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態すなわち中立状態とし且つ自動変速部20の出力軸22をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、変速機構10内の動力伝達経路が遮断された中立状態とするための中立ポジション「N(ニュートラル)」、変速機構10の変速可能なトータル変速比γTの変化範囲内で自動変速制御を実行させる前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または手動変速走行モード(手動モード)を成立させて上記自動変速制御における高速側の変速段を制限する所謂変速レンジを設定するための前進手動変速走行ポジション「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。
上記シフトレバー49の各シフトポジションPshへの手動操作に連動して図2の係合作動表に示す後進ギヤ段「R」、ニュートラル「N」、前進ギヤ段「D」における各変速段等が成立するように、例えば油圧制御回路42が電気的に切り換えられる。
図6は、電子制御装置40による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置40は、ハイブリッド制御部52、有段変速制御部54、イナーシャ相判定部56、電動機トルク制御部58を備えている。また、電動機トルク制御部58は、出力軸回転速度判定部60、変速進行度判定部62、目標角加速度設定部64、電動機トルク算出部66、フィードバック制御部68およびフィードフォワード制御部70を備えている。なお、電子制御装置40は、本発明の車両の駆動制御装置に対応する。
図6において、有段変速制御部54は、自動変速部20の変速を行う変速制御手段として機能するものである。例えば、有段変速制御部54は、図7の実線および一点鎖線に示す関係(変速線図、変速マップ)から車速Vおよび自動変速部20の要求出力トルクToutで示される車両状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきか否かを判断し、すなわち自動変速部20の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速部20の変速を実行する。このとき、有段変速制御部54は、例えば図2に示す係合表に従って変速段が達成されるように切換クラッチC0および切換ブレーキB0を除いた油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力指令)を油圧制御回路42へ出力する。
ハイブリッド制御部52は、変速機構10の前記無段変速状態すなわち差動部11の差動状態においてエンジン8を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン8と第2電動機M2との駆動力の配分や第1電動機M1の発電による反力を最適になるように変化させて差動部11の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、そのときの走行車速において、運転者の出力要求量としてのアクセルペダル操作量Accや車速Vから車両の目標(要求)出力を算出し、車両の目標出力と充電要求値から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機M2のアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力を算出し、その目標エンジン出力が得られるエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとなるようにエンジン8を制御するとともに第1電動機M1の発電量を制御する。
ハイブリッド制御部52は、その制御を動力性能や燃費向上などのために自動変速部20の変速段を考慮して実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン8を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度Neと車速Vおよび自動変速部20の変速段で定まる伝達部材18の回転速度とを整合させるために、差動部11が電気的な無段変速機として機能させられる。すなわち、ハイブリッド制御部52は例えばエンジン回転速度Neとエンジン8の出力トルク(エンジントルク)Teとをパラメータとする二次元座標内において無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に定められたエンジン8の最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)を予め記憶しており、その最適燃費率曲線に沿ってエンジン8が作動させられるように、例えば目標出力(トータル目標出力、要求駆動力)を充足するために必要なエンジン出力を発生するためのエンジントルクTeとエンジン回転速度Neとなるように変速機構10のトータル変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように差動部11の変速比γ0を制御し、トータル変速比γTをその変速可能な変化範囲内で制御する。
前記図7の実線Aは、エンジン8を走行用の駆動力源として車両を発進/走行(以下、走行という)させる通常走行である所謂エンジン走行と第2電動機M2を走行用の駆動力源として車両を走行させる電動機走行である所謂モータ走行とを切り換えるための、エンジン走行領域とモータ走行領域との境界線である。この図7に示すエンジン走行とモータ走行とを切り換えるための境界線(実線A)を有する予め記憶された関係は、車速Vと駆動力関連値である出力トルクToutとをパラメータとする二次元座標で構成された駆動力源切換線図(駆動力源マップ)の一例である。この駆動力源切換線図は、例えば同じ図7中の実線および一点鎖線に示す変速線図(変速マップ)と共にハイブリッド制御部52に予め記憶されている。
そして、ハイブリッド制御部52は、例えば図7の駆動力源切換線図から車速Vと要求出力トルクToutとで示される車両状態に基づいてモータ走行領域とエンジン走行領域との何れであるかを判断してモータ走行或いはエンジン走行を実行する。このように、ハイブリッド制御部52によるモータ走行は、図7から明らかなように一般的にエンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低出力トルクTout時すなわち低エンジントルクTe時、或いは車速Vの比較的低車速時すなわち低負荷域で実行される。
ハイブリッド制御部52は、エンジン走行とモータ走行とを切り換えるために、エンジン8の作動状態を運転状態と停止状態との間で切り換える。ハイブリッド制御部52は、例えば図7の駆動力源切換線図から車両状態に基づいてモータ走行とエンジン走行との切換えが判断された場合に、エンジン8の始動または停止を実行する。
ハイブリッド制御部52は、車両状態に基づいて前記差動状態切換装置(切換クラッチC0、切換ブレーキB0)の係合/解放を切り換えることにより、前記無段変速状態と前記有段変速状態とを、すなわち前記差動状態と前記ロック状態とを選択的に切り換える。例えば、ハイブリッド制御部52は、予め記憶された前記図7の破線および二点鎖線に示す関係(切換線図、切換マップ)から車速Vおよび要求出力トルクToutで示される車両状態に基づいて、変速機構10を無段変速状態とする無段制御領域内であるか或いは変速機構10を有段変速状態とする有段制御領域内であるかを判定することにより、変速機構10を前記無段変速状態と前記有段変速状態とのいずれかに選択的に切り換える変速状態の切換えを実行する。
ハイブリッド制御部52は有段変速制御領域内であると判定した場合は、ハイブリッド制御或いは無段変速制御を不実施とするとともに、有段変速制御部54に対しては、予め設定された有段変速時の変速を許可する。このときの有段変速制御部54は、例えば図7に示す変速線図に従って自動変速部20の自動変速を実行する。例えば図2は、このときの変速において選択される油圧式摩擦係合装置すなわちC0、C1、C2、B0、B1、B2、B3の作動の組み合わせを示している。すなわち、変速機構10全体すなわち差動部11および自動変速部20が所謂有段式自動変速機として機能し、図2に示す係合表に従って変速段が達成される。
しかし、ハイブリッド制御部52は、変速機構10を無段変速状態に切り換える無段変速制御領域内であると判定した場合は、変速機構10全体として無段変速状態が得られるために差動部11を無段変速状態として無段変速可能とするように切換クラッチC0および切換ブレーキB0を解放させる指令を油圧制御回路42へ出力する。同時に、ハイブリッド制御部52は、有段変速制御部54には、予め設定された無段変速時の変速段に固定する信号を出力するか、或いは例えば図7に示す変速線図に従って自動変速部20を自動変速することを許可する信号を出力する。この場合、有段変速制御部54により、図2の係合表内において切換クラッチC0および切換ブレーキB0の係合を除いた作動により自動変速が行われる。このように、ハイブリッド制御部52により無段変速状態に切り換えられた差動部11が無段変速機として機能し、それに直列の自動変速部20が有段変速機として機能することにより、自動変速部20の第1速、第2速、第3速、第4速の各ギヤ段に対しその自動変速部20に入力される回転速度が無段的に変化させられて変速機構10全体として無段変速状態となりトータル変速比γTが無段階に得られるようになる。
図7は、自動変速部20の変速判断の基となる有段変速制御部54に予め記憶された関係(変速線図、変速マップ)であり、車速Vと駆動力関連値である要求出力トルクToutとをパラメータとする二次元座標で構成された変速線図を示している。図7の実線はアップシフト線であり一点鎖線はダウンシフト線である。
また、図7の破線はハイブリッド制御部52による有段制御領域と無段制御領域との判定のための判定車速V1および判定出力トルクT1を示している。つまり、図7の破線はハイブリッド車両の高速走行を判定するための予め設定された高速走行判定値である判定車速V1の連なりである高車速判定線と、ハイブリッド車両の駆動力に関連する駆動力関連値例えば自動変速部20の出力トルクToutが高出力となる高出力走行を判定するための予め設定された高出力走行判定値である判定出力トルクT1の連なりである高出力走行判定線とを示している。さらに、図7の破線に対して二点鎖線に示すように有段制御領域と無段制御領域との判定にヒステリシスが設けられている。つまり、この図7は判定車速V1および判定出力トルクT1を含む、車速Vと出力トルクToutとをパラメータとしてハイブリッド制御部52により有段制御領域と無段制御領域とのいずれであるかを領域判定するためのハイブリッド制御部52に予め記憶された切換線図(切換マップ、関係)である。また、この切換線図は判定車速V1および判定出力トルクT1の少なくとも1つを含むものであってもよいし、車速Vおよび出力トルクToutの何れかをパラメータとする予め記憶された切換線であってもよい。
電子制御装置40は、変速機構10の変速の際に、変速開始時点から変速終了時点までに要する時間を短縮し、且つ変速終了時の変速ショックを低減するように、変速中のイナーシャ相において第1電動機M1および/または第2電動機M2の電動機トルク制御を実行する。ここで、イナーシャ相は、自動変速部20の変速期間のうちで自動変速部20の入力側回転部材である伝達部材18の回転速度(第2電動機回転速度Nm2)すなわち自動変速部20の入力回転速度Ninが変化する期間すなわち変速比が変化する期間である。
イナーシャ相判定部56は、車両の変速に際して、その変速の段階がイナーシャ相であるか否かを判定する。イナーシャ相判定部56は、有段変速制御部54によって図7の変速線図から車両の走行状態に基づいて、自動変速部20の変速を実行すべきと判定され、変速すべき変速段(ギヤ段)が得られるように油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる変速出力指令が油圧制御回路42に出力されると、第2電動機M2の角加速度である第2電動機角加速度dNm2/dtすなわち自動変速部20の入力回転速度Ninの勾配変化から、イナーシャ相が開始したか否かを判定し、イナーシャ相が開始したとの判定後は、イナーシャ相が終了したか否か、すなわち変速が終了したか否かを判定する。イナーシャ相判定部56は、たとえば第2電動機角加速度dNm2/dtが予め実験的に求められたイナーシャ相開始判定値(dNm2/dt)以上となったことに基づいてイナーシャ相が開始したと判定する。また、イナーシャ相判定部56は、たとえば実際の自動変速部20の入力回転速度Ninと変速終了後(同期後)における自動変速部20の入力回転速度Ninである同期回転速度との回転速度差が、所定の同期判定速度差以内となったことに基づいてイナーシャ相或いは変速が終了したと判定する。
ところで、出力軸回転速度センサ46は、出力軸22に固定されたパーキングギヤなどのセンサ用歯車の歯数の通過を検出するホールセンサの出力パルス周期に基づいて出力軸回転速度Noutを算出するものであるため、車速Vが低車速、すなわち出力軸回転速度Noutが低回転速度の場合には、その精度が悪化する可能性がある。出力軸回転速度Noutが低回転速度である場合に、その出力軸回転速度Noutに基づいて変速の際のイナーシャ相の後述する自動変速部20の変速進行度が算出され、実際の変速進行度と乖離した変速進行度の算出値から、イナーシャ相でのフィードバック制御を行うための目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtが設定されると、変速ショックが悪化する可能性があった。
電動機トルク制御部58の出力軸回転速度判定部60は、イナーシャ相判定部56より変速の段階がイナーシャ相であるとの信号を取得すると、出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0以上であるか否かを判定する。ここで、所定回転速度Nout0は、出力軸回転速度センサ46の精度が担保されて、出力軸回転速度Noutから求まる後述する自動変速部20の変速進行度の算出値の精度が維持される下限速度であり、予め実験的に定められている。
図8は、車両用駆動装置13の変速機構10の変速に際して、イナーシャ相中に実行される電動機トルク制御のうちの物理モデルベース変速制御(MBC)によるフィードバック制御の概要を説明する図である。以下、図8も参照しながら、変速の際に実行される電動機トルク制御のうちのフィードバック制御について説明する。
電動機トルク制御部58の変速進行度算出部62は、出力軸回転速度判定部60により出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0以上であると判定されると、自動変速部20の出力軸22の出力軸回転速度Noutに基づいて自動変速部20のイナーシャ相での変速進行度Sを算出する。変速進行度算出部62は、イナーシャ相の開始時の出力軸22の出力軸回転速度Nout(プロペラシャフト回転速度Npro)と自動変速部20の変速終了後の変速比との積として、自動変速部20の入力回転部材として機能する伝達部材18の変速後(イナーシャ相終了後)の同期回転速度を算出し、変速後の自動変速部20の入力回転速度Nin(同期回転速度)に基づいて、自動変速部20のイナーシャ相での変速進行度S(%)を逐次算出する。ここで、自動変速部20のイナーシャ相での変速進行度S(%)は、変速終了後の自動変速部20の入力回転速度Nin2とイナーシャ相開始時の自動変速部20の入力回転速度Nin1との回転速度差に対する、第2電動機回転速度センサ44により逐次検出される実際の自動変速部20の入力回転速度Ninとイナーシャ相開始時の自動変速部20の入力回転速度Nin1との回転速度差の割合に100を乗じた値(=(Nin1−Nin)/(Nin1−Nin2)×100(%))として算出される。
電動機トルク制御部58の目標角加速度設定部64は、変速進行度算出部62により算出された自動変速部20のイナーシャ相の変速進行度Sに基づいて、目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtを設定する。具体的には、目標エンジン回転速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtは、図8に示されるように、実際の第1電動機回転速度Nm1(実MG1回転速度)、第2電動機回転速度Nm2(実MG2回転速度)、エンジン回転速度Ne(実ENG回転速度)、自動変速部20のイナーシャ相の変速進行度S、および変速種などに基づいて設定される。ここで、変速種は、変速がアップシフトであるかダウンシフトであるか、および自動変速部20の変速前後の変速段などの情報である。
目標角速度設定部64は、設定した目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtを、変速中の各種制限を満たすように補正する。上記各種制限とは、たとえば蓄電装置51(バッテリ)の放電電力の上限である放電可能電力と充電電力の上限である充電可能電力とにより規定される蓄電装置51の保護要件、エンジン8の過回転、停止を防止するためのエンジン8の保護要件、第1電動機M1および第2電動機M2の出力トルクの上下限制限である電動機のトルク上下限制限などである。従って、目標角加速度設定部64は、図8の目標角加速度補正器として機能するものである。なお、第1電動機回転速度Nm1は、エンジン回転速度Neおよび第2電動機回転速度Nm2が決まると、図3の共線図(図8のTHSパワーバランス式)から決定される。
電動機トルク制御部58の電動機トルク算出部66は、運動方程式を含んで成る予め記憶された物理モデルによって、目標角加速部設定部64により設定された目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtを満たすための第1電動機トルク指令値Tm1rおよび第2電動機トルク指令値Tm2rを算出する。電動機トルク算出部66は、物理モデルに含まれる差動部11および自動変速部20の運動方程式(図8のTHS&AT運動方程式)に基づいて、目標角加速部設定部64により設定された目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgt、あるいは上記各種制約条件によって補正された補正後の目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび補正後の目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtから、第1電動機トルク指令値(MG1トルク要求値)Tm1rおよび第2電動機トルク指令値(MG2トルク要求値)Tm2rとしての第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2を算出する。差動部11および自動変速部20の運動方程式は、以下の次式(1)に示される。
Figure 0006485404
上式(1)において、慣性モーメントIeは、エンジン8の慣性モーメントであり、慣性モーメントIgは、第1電動機M1の慣性モーメントであり、慣性モーメントImは、第2電動機M2の慣性モーメントである。また、上式(1)において、エンジントルクTeおよび自動変速部20のトルク容量Tcは、エンジントルクTeの推定値であるエンジントルク推定値Tes(推定エンジントルク)およびトルク容量の推定値であるトルク容量推定値Tcs(推定クラッチトルク)が用いられる。電動機トルク算出部66は、以下の次式(2)からエンジントルク推定値Tesおよびトルク容量推定値Tcsを算出する。したがって、電動機トルク算出部66は、図8の外乱オブザーバとして機能する。ここで、自動変速部20のトルク容量Tc(クラッチトルクTc)は、イナーシャ相において変速に関与する各摩擦係合装置のトルク容量を自動変速部20の入力側回転部材である伝達部材18上に換算した換算値の合算値であり、言い換えれば、イナーシャ相における自動変速部20のトルク容量を伝達部材18上に換算した換算値である。
Figure 0006485404
上式(2)において、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2は、インバータ50への電流指令値のトルク換算値が用いられてもよいし、第1電動機トルク指令値Tm1rおよび第2電動機トルク指令値Tm2rが用いられてもよい。また、第1電動機角加速度dNm1/dtおよび第2電動機角加速度dNm2/dtは、実際の第1電動機回転速度Nm1および第2電動機回転速度Nm2の微分値が用いられる。
電動機トルク制御部58のフィードバック制御部68は、イナーシャ相中において、差分ΔTeおよび差分ΔTcが解消されるように、エンジントルクTeおよびトルク容量Tcをフィードバック制御する。フィードバック制御部68は、電動機トルク算出部66から取得されるエンジントルク推定値Tesおよびトルク容量推定値Tcsに基づいて、エンジントルク指令値Terとエンジントルク推定値Tesとの差分ΔTeと、トルク容量指令値Tcrとトルク容量推定値Tcsとの差分ΔTcとを算出する。ここで、エンジントルク指令値Ter(ENGトルク要求値)およびトルク容量指令値Tcrは、アクセル開度Accおよび車速Vに基づく出力軸22の要求駆動トルクおよびその他各種信号などから算出される指令値である。フィードバック制御部68は、フィードバック制御式に基づいて、上記差分ΔTeおよび差分ΔTcから、エンジントルク指令値Terに対するフィードバック制御の操作量ΔTefbおよびトルク容量指令値Tcrに対するフィードバック制御の操作量ΔTcfbを算出する。フィードバック制御式は以下の次式(3)、(4)に示される。次式(3)、(4)において、Kp1、Kp2は所定の比例定数であり、Ki1、Ki2は所定の積分定数である。
ΔTefb=Kp1×ΔTe+Ki1×(∫ΔTedt) ・・・(3)
ΔTcfb=Kp2×ΔTc+Ki2×(∫ΔTcdt) ・・・(4)
フィードバック制御部68は、エンジントルク指令値Terにフィードバック制御の操作量ΔTefbを加算して、エンジントルクTeの補正後指令値(Ter+ΔTefb)を算出し、その補正後指令値(Ter+ΔTefb)をハイブリッド制御部52へ出力する。また、フィードバック制御部68は、トルク容量指令値Tcrにフィードバック制御の操作量ΔTcfbを加算して、トルク容量Tcの補正後指令値(Tcr+ΔTcfb)を算出し、その補正後指令値(Tcr+ΔTcfb)を有段変速制御部54に出力する。
ハイブリッド制御部52は、変速のイナーシャ相において、エンジントルクTeの補正後指令値(Ter+ΔTefb)に基づいてエンジン出力制御装置43へ制御信号を出力する。また、ハイブリッド制御部52は、第1電動機トルク指令値Tm1rおよび第2電動機トルク指令値Tm2rに基づいて第1電動機M1および第2電動機M2の作動を制御する制御信号をインバータ50へ出力する。
有段変速制御部54は、変速の際のイナーシャ相において、自動変速部20のトルク容量Tcの補正後指令値(Tcr+ΔTcfb)を摩擦係合装置の油圧アクチュエータに供給される油圧を制御するための油圧指令信号に変換して、その油圧指令信号(図8のA/T油圧要求値)を油圧制御回路42に出力する。
このように、第1電動機トルク指令値Tm1rおよび第2電動機トルク指令値Tm2rは、物理モデルの差動部11と自動変速部20の運動方程式(式(1))に基づいて、変速進行度Sに基づいて設定される目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgt、エンジントルク推定値Tesおよびトルク容量推定値Tcsから、電動機トルク算出部66により算出される。また、イナーシャ相中のエンジントルクTeおよびトルク容量Tcは、差分ΔTeおよび差分ΔTcが解消するように、フィードバック制御部68によりフィードバック制御される。このため、フィードバック制御部68は、自動変速部20の変速進行度Sに基づいて設定された目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtから物理モデルの運動方程式によって算出される第1電動機トルク指令値Tm1rおよび第2電動機トルク指令値Tmr2を目標値として、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2を間接的にフィードバック制御しているとも言える。
電動機トルク制御部58のフィードフォワード制御部70は、出力軸回転速度判定部60により出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0未満であると判定されると、自動変速部20の入力側回転部材(伝達部材18)に入力される入力トルクTinが目標値が得られるように予め設定された第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2によって第1電動機M1および第2電動機M2をフィードフォワード制御する。フィードフォワード制御部70は、予め実験的に定められたマップから、作動油温THoil、車速Vに基づいて、イナーシャ相における第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2を設定する。上記マップにより設定される第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2は、出力軸回転速度Noutが出力軸回転速度センサ46の精度が悪化する所定回転速度Nout未満である際に、その出力軸回転速度Noutに基づいて算出された変速後同期回転速度の算出値が実際の変速後同期回転速度とは異なり、たとえば変速後同期回転速度の算出値が実際の変速後同期回転速度よりも高くなり、変速進行度の算出値が実際の変速進行度よりも小さくなる場合であっても、変速終了時に変速ショックが抑制されるように設定されている。具体的には、自動変速部20の入力回転速度Ninの変化勾配を小さくするための自動変速部20の入力トルクTinのトルクダウンが変速終了時までに開始されて変速ショックが抑制されるように、変速進行度の算出値の自動変速部20の入力トルクTinのトルクダウンを開始する閾値Bが、出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout以上の場合に変速時のイナーシャ相で実行される第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御において、変速進行度の算出値の自動変速部20の入力トルクTinのトルクダウンを開始する閾値Aよりも低く設定される。また、フィードフォワード制御での自動変速部20の入力トルクTinのトルクダウン量は、フィードバック制御での自動変速部20の入力トルクTinのトルクダウン量よりも大きくなるように、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2が上記マップにより設定される。
図9は、車両用駆動装置13の変速機構10の変速に際して、イナーシャ相中に実行される電動機トルク制御および自動変速部20の油圧制御と車速Vとの関係を示す図である。電動機トルク制御部58によりダウンシフト(クラッチツゥクラッチ変速)およびアップシフトで実行される電動機トルク制御は、車速Vおよびそれに対応する出力軸回転速度Noutに基づいてフィードバック制御(F/B制御)およびフィードフォワード制御(F/F制御)の一方に切り換えられる。イナーシャ相開始時点の車速Vが所定車速V0以上の通常車速すなわち出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0以上の場合には、エンジン8の角加速度の目標値である目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび第2電動機M2の角加速度である目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtから運動方程式に基づいて第1電動機トルク指令値Tm1rおよび第2電動機トルク指令値Tm2rが算出される物理モデルベース変速制御(MBC)によりフィードバック制御が実行される。イナーシャ相開始時点の車速Vが所定車速V0未満の低車速すなわち出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0未満の場合には、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードフォワード制御が実行される。イナーシャ相中に車速Vが所定車速V0以上から所定車速V0未満となった場合には、矢印で示されるように、電動機トルク制御はフィードバック制御が終了させられて、フィードバック制御からフィードフォワード制御へ切り換えられる。一方、イナーシャ相中に車速Vが所定車速V0未満から所定車速V0以上となった場合には、フィードフォワード制御からフィードバック制御への切換えによる自動変速部20の入力トルクTinの急速な変化などを避けるため、矢印で示されるように、フィードフォワード制御からフィードバック制御への切換えは行われずに、フィードフォワード制御が維持される。
この図9に示されるように、車速Vが所定車速V0以上の通常車速であって、出力軸回転速度センサ46の精度が担保される場合には、変速の際のイナーシャ相において実行される電動機トルク制御としてフィードバック制御が選択され、車速Vが所定車速V0未満の低車速であって、出力軸回転速度センサ46の精度が悪化する可能性がある場合には、変速の際のイナーシャ相において実行される電動機トルク制御としてフィードフォワード制御が選択される。
また、変速に際して、車速Vに拘わらず、クラッチツゥクラッチ変速に関与する各油圧式摩擦係合装置の通常の油圧制御が行われる。ここで、通常の油圧制御とは、変速に関与する油圧式摩擦係合装置である解放側摩擦係合装置を解放するとともに係合側摩擦係合装置を係合するために、解放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置の油圧アクチュエータへ供給する油圧のフィードバック制御である。但し、第2電動機トルクTm2のフィードフォワード制御が選択される車速Vが所定車速V0未満の低車速の場合には、変速進行に必要な入力トルクTinを確保するために、解放側摩擦係合装置あるいは係合側摩擦係合装置の係合油圧増加補正が行われる。
図10は、電子制御装置40の電動機トルク制御部58の機能に対応する制御作動の要部を説明するフローチャートである。図11は、電動機トルク制御部58の機能に対応する制御作動であって、車速Vが所定車速V0以上の通常車速時でのダウンシフトにおける第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御の作動例を説明するタイムチャートの一例である。図12は、電動機トルク制御部58の機能に対応する制御作動であって、車速Vが所定車速V0未満の低車速時でのダウンシフトにおける第2電動機トルクTm2のフィードフォワード制御の作動例を説明するタイムチャートの一例である。図13は、車速Vが所定車速V0未満の低車速時でのダウンシフトにおいて第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御が行われる作動例を説明するタイムチャートの一例である。なお、図11から図13において、変速前同期回転速度が示されている。変速前同期回転速度は、出力軸回転速度と自動変速部20の変速開始前の変速比との積から算出される。
イナーシャ相判定部56の機能に対応するステップ(以下、「ステップ」を省略する。)S1において、変速の段階がイナーシャ相であるか否かが判定される。S1の判定が否定される場合には、本フローチャートは終了させられる。図11および図12において、有段変速制御部54によって、自動変速部20のギヤ段を高速段から低速段へ切り換えるダウンシフトのための油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる変速出力指令が油圧制御回路42に出力され(図11および図12のt1時点)、自動変速部20の入力回転速度Ninの変化勾配がイナーシャ相開始判定値以上となったイナーシャ相開始時点(図11および図12のt2時点)から、実際の自動変速部20の入力回転速度Ninと変速終了後(同期後)における自動変速部20の入力回転速度Ninである同期回転速度との回転速度差が、所定の同期判定速度差以内となった同期時点(図11および図12のt4時点)までの間において、変速の段階がイナーシャ相であると判定される。S1の判定が肯定される場合には、出力軸回転速度判定部60の機能に対応するS2において、出力軸回転速度Nout(プロペラシャフト回転速度Np)が所定回転速度Nout0以上であるか否かが判定される。図11のt2時点からt4時点のように、S2の判定が肯定される場合には、変速進行度算出部62、目標角加速度設定部64、電動機トルク算出部66およびフィードバック制御部68の機能に対応するS3において、変速進行度の算出値に基づいて設定された目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtに実際のエンジン角加速度dNe/dtおよび第2電動機角加速度dNm2/dtを追従させるように、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御が行われる。出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0以上であり、出力軸回転速度センサ46の精度が担保されているため、変速終了後の同期回転速度(変速後同期回転速度)の算出値および変速進行度の算出値は精度が担保されている。このため、変速進行度Sに基づいて定められた目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtに実際の第2電動機角加速度dNm2/dtが追従されるように、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2がフィードバック制御されて、変速終了前の図11のt3時点からt4時点までの間において自動変速部20の入力トルクTinがトルクダウンされる。これにより、変速終了後(図11のt4時点の後)における車両の加速度(前後G)の変化が小さくされて、変速ショックが抑制される。S3実行後、本フローチャートは終了させられる。
図12のt2時点からt4時点のように、S2の判定が否定される場合には、フィードフォワード制御部70の機能に対応するS4において、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードフォワード制御が実行される。出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0未満すなわち車速Vが所定車速V0未満の低車速であり、且つ減速時であるため、出力軸回転速度センサ46の精度の悪化することから、変速後同期回転速度の算出値は実際の変速後同期回転速度よりも高くなっている。また、変速進行度の算出値は、実際の変速進行度よりも小さくなっている。しかしながら、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードフォワード制御によって、変速終了時点(図12のt4時点)よりも前のt3時点から自動変速部20の入力トルクTinのトルクダウンが開始されるため、t3時点からt4時点までの間において自動変速部20の入力回転速度Ninが緩やかに大きくされる。これにより、変速終了後(図12のt4時点の後)における車両の加速度(前後G)の変化が小さくされて、変速ショックが抑制される。S4実行後、本フローチャートは終了させられる。
一方、車速Vが所定車速V0未満の低車速であり、出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0よりも小さい場合に、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御が行なわれる図13において、精度の悪化した出力軸回転速度Noutに基づいて算出された変速後同期回転速度の算出値は、実際の変速後同期回転速度よりも高くなり、変速進行度の算出値は実際の変速進行度よりも小さくなっている。イナーシャ相開始時点(t2時点)から変速進行度の算出値に基づいて設定された目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtにより第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御が開始されるが、変速進行度の算出値が実際の変速進行度よりも小さいため、実際に変速が終了するt3時点よりも前において自動変速部20の入力トルクTinのトルクダウンが開始されていない。このため、変速終了後(図13のt3時点の後)における車両の加速度(前後G)の変化が大きくなっており、変速ショックが抑制されていない。
上述のように、本実施例の電子制御装置40によれば、自動変速部20の出力軸回転速度Noutに基づいて自動変速部20のイナーシャ相の変速進行度を算出する変速進行度算出部62と、自動変速部20の変速進行度に基づいてエンジン8の目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび第2電動機M2の目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtを設定する目標角加速度設定部64と、差動部11および自動変速部20の運動方程式を有する予め記憶された物理モデルによって、目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtを満たすための第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2を算出する電動機トルク算出部66と、出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0以上の場合には、前記物理モデルによって算出された第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2をフィードバック制御するフィードバック制御部68と、出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0より小さい場合には、第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2をフィードフォワード制御するフィードフォワード制御部70と、を備えている。このため、出力軸回転速度センサ46の精度が担保される出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0以上の場合には、出力軸回転速度Noutから算出された変速進行度Sが実際の変速進行度と乖離しないことから、イナーシャ相において変速進行度Sに応じて第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2がフィードバック制御される。また、出力軸回転速度センサ46の精度が担保されない出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nou0未満の場合には、出力軸回転速度Noutから算出された変速進行度Sが実際の変速進行度と乖離するため、イナーシャ相において第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2がフィードフォワード制御される。これにより、変速の際の変速ショックが抑制される。
以上、本発明を表及び図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
たとえば、前述の実施例の電子制御装置40によれば、変速の際のイナーシャ相において第1電動機トルクTm1および第2電動機トルクTm2のフィードバック制御とフィードフォワード制御との何れが実行するかを決定するための閾値である出力軸回転速度Noutの所定回転速度Nout0は、一定値であったが、これに限定されるものではなく、出力軸22の角加速度である出力軸角加速度の絶対値が大きい程、出力軸回転速度センサ46の精度が悪化するため、たとえば、出力軸角加速度dNout/dtに応じて所定回転速度Noutを可変としてもよい。
また、前述の実施例の電子制御装置40によれば、変速進行度に基づいて設定された目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtに実際のエンジン角加速度dNe/dtが追従するとともに、目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtに実際の第2電動機角加速度dNm2/dtが追従するように、物理モデルの運動方程式から求められた第1電動機トルク指令値Tm1rおよび第2電動機トルクTm2rを目標値として第1電動機トルクTm1rおよび第2電動機トルクTmr2のフィードバック制御が行われていたが、これに限定されるものではなく、たとえば、変速後同期回転速度と自動変速部20の入力回転速度Ninとの回転速度差から算出される変速進行度に応じて決定された入力回転速度Ninの目標値と実際の入力回転速度Ninとの差分の積算値に積分定数(ゲイン)を掛けて自動変速部20の入力回転速度Ninのフィードバック制御が行われることにより、自動変速部20の入力トルクNinが制御されるようにしてもよい。
また、前述の実施例の電子制御装置40が適用された車両用駆動装置13によれば、エンジン8と、差動部11と、自動変速部20とを備えており、差動部11は、第1電動機M1と、入力軸14に入力されたエンジン8の出力を機械的に分配する機械的機構であってエンジン8の出力を第1電動機M1および伝達部材18に分配する差動機構としての動力分配機構16と、伝達部材18と一体的に回転するように設けられている第2電動機M2とを備えていた。しかしながら、これに限定されるものではなく、たとえばエンジンと、差動部と、自動変速部とを備え、第2電動機が差動部以外の遊星歯車装置を介して伝達部材に連結された、車両用駆動装置であってもよいし、たとえば、エンジンと、1つの電動機と、自動変速部とを備え、上記1つの電動機が自動変速部の入力軸である伝達部材に設けられるように構成された車両用駆動装置であってもよいし、たとえば、エンジンと、自動変速部と、エンジンの動力により発電機として機能する第1電動機と、自動変速部の入力軸に動力伝達可能に設けられ、第1電動機の電力により自動変速部の入力軸へ駆動輪を回転駆動する駆動トルクを出力する第2電動機とを備え、第2電動機の駆動トルクのみが自動変速部の入力軸へ伝達される、所謂シリーズ走行モードでのハイブリッド走行を可能とする車両用駆動装置であってもよいし、自動変速部と自動変速部の入力軸に設けられた駆動源としての電動機とを備え、エンジンを備えない車両用駆動装置であってもよい。要するに、自動変速部の変速の際に、電動機のトルク制御により自動変速部の入力回転速度の変化勾配が制御される車両用駆動装置であればよい。このように構成された車両用駆動装置において、出力軸回転速度センサの精度が担保されない出力軸回転速度Noutが所定回転速度Nout0未満であり、変速進行度の算出値が実際の変速進行度と乖離する場合に、上記電動機のフィードフォワード制御が行われることで、変速の際の変速ショックが抑制される。
また、前述の実施例の電子制御装置40によれば、自動変速部20の変速進行度の算出に自動変速部20の出力軸回転速度Noutが用いられ、自動変速部20の変速進行度に基づいてエンジン8の目標エンジン角加速度dNe/dt_tgtおよび第2電動機M2の目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtが設定されていたが、これに限定されるものではなく、それら出力軸回転速度Nout、目標エンジン角加速度dNe/dt_tgt、目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtとして、それ等と実質的に同等の変数が用いられてもよい。たとえば、上記出力軸回転速度Noutに替えて出力軸角速度が用いられてもよいし、その出力軸角速度から算出された自動変速部20の変速進行度に基づいて、エンジン回転速度Neの変化率の目標値、および第2電動機回転速度Nm2の変化率の目標値が、目標エンジン角加速度dNe/dt_tgt、および目標第2電動機角加速度dNm2/dt_tgtに替えて設定されてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
8:エンジン
13:車両用駆動装置
18:伝達部材(入力軸)
20:自動変速部(機械式変速機)
40:電子制御装置(車両の駆動制御装置)
62:変速進行度算出部
64:目標角加速度設定部
66:電動機トルク算出部
68:フィードバック制御部
70:フィードフォワード制御部
M2:第2電動機(少なくとも1つの電動機)

Claims (1)

  1. エンジンと、少なくとも1つの電動機と、機械式変速機と、を備え、前記少なくとも1つの電動機は、前記機械式変速機の入力軸に接続されて構成される車両の駆動装置において、
    前記機械式変速機の出力軸回転速度に基づいて前記機械式変速機の変速進行度を算出する変速進行度算出部と、
    前記機械式変速機の変速進行度に基づいて前記エンジンおよび前記少なくとも1つの電動機の目標角加速度を設定する目標角加速度設定部と、
    前記車両の運動方程式を含んで成る予め記憶された物理モデルによって前記目標角加速度を満たすための前記少なくとも1つの電動機の電動機トルクを算出する電動機トルク算出部と、
    前記出力軸回転速度が所定値以上の場合は、前記物理モデルによって算出された前記電動機トルクを目標値として前記電動機トルクをフィードバック制御するフィードバック制御部と、
    前記出力軸回転速度が所定値より小さい場合は、前記電動機トルクをフィードフォワード制御するフィードフォワード制御部と、を含むことを特徴とする車両の駆動制御装置。
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