JP6485273B2 - フレキシブル配線板用の積層体の製造方法 - Google Patents

フレキシブル配線板用の積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主として電気めっきにより行うフレキシブル配線板用の積層体の製造方法に関する。
樹脂フィルムはフレキシブル性を有し、加工が容易であるため、その表面に金属膜や酸化物膜を積層したフレキシブル配線基板は、電子部品や光学部品、包装材料等広く産業界で用いられている。例えば、フレキシブル性を有するフレキシブル配線基板(FPCとも称される。)は、ハードディスクの読み書きヘッドやプリンターヘッド及びデジタルカメラ内の屈折配線板用等として広く用いられている。
フレキシブル配線基板は、微細配線加工を施した金属化ポリイミドフィルムにICチップを実装したものであり、実装の際は高度な位置合わせ精度が要求される。
一方、フレキシブル基板に用いられるフレキシブル性を有する基材として、ポリイミド基材、PEN基材、PET基材等のフィルム基材を使用する場合、その表面は必ずしも平滑な状態でなく、数μmオーダーの微細な凹凸になっている。この表面に銅皮膜を積層する方法としては、例えば基材表面にスパッタリング法で銅皮膜を積層した後、電気めっきを行う方法等によって銅皮膜を積層することができる。
例えば、特許文献1に示されるように特定構造を有するポリイミドフィルムの組成比率を変えて多層化することによって反りやねじれがなく寸法安定性に優れたフレキシブル配線用基板の製造方法が提案されている。
一方、フレキシブル配線板用の電気めっきによる積層体の製造方法は、ランニングコスト軽減の観点から電気銅めっき液の劣化が少ない電気めっきによる積層体の製造方法であることが求められる。そのような製造方法として、例えば特許文献2に記載された積層体の製造方法を挙げることができる。特許文献2に記載された積層体の製造方法は、一の陰極の電流密度を低電流密度に設定して電解するとともに、他の陰極の電流密度を高電流密度に設定して電解する積層体の製造方法である。低電流密度での電解のみとし、且つ添加剤を一定量添加を継続する電気めっきの場合、電解によって消費される添加剤の量が必ずしも一定とはならず、そのため添加された添加剤が過剰に蓄積することによって、めっき液の寿命が低下するという問題があった。そこで、低電流密度での電解と高電流密度での電解とを並行して電気めっきを行うことにより、電解によって消費される添加剤の量を増加させることで、添加剤の蓄積を軽減することができる。したがって、特許文献2に記載された積層体の製造方法は、電気銅めっき液の劣化を軽減することができる積層体の製造方法である。
特許第2909844号公報 特開H06−173097号公報
電気銅めっき液に含有される添加剤は、上述の通り電気めっきの過程において分解等により消耗される。しかしながら、電気銅めっき液に含有される添加剤が過剰に蓄積される場合の他、添加剤が過剰に消耗した場合でも、同様に電気銅めっき液が劣化し、電気めっきを行う際のランニングコストの増加を引き起こす。また、劣化した電気銅めっき液によって、電気めっきに用いられる電気めっき浴をも劣化するため、さらなるランニングコストの増加を引き起こす。特に、めっき開始時は金属層が薄く、電流密度を上げることができない。その制約のもとで電流密度を1.5A/dm以下の低電流密度下で電気めっきを行う際には、電気銅めっき液に含有される添加剤が過剰に消耗、劣化しやすい問題があった。そのため、生産性の高く、且つ、電気銅めっき液に含有される添加剤の消耗の少ないフレキシブル配線板用の積層体の製造方法が強く求められていた。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究を行った結果、電気めっきの電流密度に応じて、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整することで、電気銅めっき液に含有される両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の過剰な消耗を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には以下のものを提供する。
第一の発明は、樹脂フィルムに電気銅めっき液により電気めっきを行い前記樹脂フィルムの表面に銅皮膜を積層するフレキシブル配線板用の積層体の製造方法であって、前記電気銅めっき液には、硫酸銅と、硫酸と、塩素と、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物を含む添加剤と、が含有され、前記電気めっきの電流密度は所望の範囲に可変可能であり、前記電気めっきの前記電流密度に応じて、前記電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する積層体の製造方法である。
第二の発明は、前記電気めっきの開始時の電流密度を0.1A/dm以上1.5A/dm以下、且つ前記電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を0.41g/L以上2.04g/L以下とし、前記電気めっきの電流密度(A/dm)が4.0A/dm以下のときの前記電気めっきの電流密度(A/dm)と、前記電気銅めっき液中の水素イオンの濃度(g/L)と、の関係を示す一次式の傾きが0(g/L)/(A/dm)超であって、前記一次式の切片が0g/L以上2.1g/L以下である第一の発明に記載の積層体の製造方法である。
第三の発明は、前記両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物がビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドである第一又は第二の発明に記載の積層体の製造方法である。
第四の発明は、前記電気めっきにより積層される銅皮膜の膜厚に応じて前記電流密度及び前記電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する請求項第一から第三のいずれかの発明に記載の積層体の製造方法である。
本発明のフレキシブル配線板用の積層体の製造方法は、電気銅めっき液に含有される両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の過剰な消耗を抑制することのできる優れた積層体の製造方法である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<電気銅めっき液>
本実施形態のフレキシブル配線板用の積層体の製造方法は、樹脂フィルムに電気銅めっき液により電気めっきを行い樹脂フィルムの表面に銅皮膜を積層する方法である。また、本実施形態の積層体の製造方法に用いられる電気銅めっき液は、硫酸銅と、硫酸と、塩素と、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物を含む添加剤と、が含有される。以下、本実施形態の電気銅めっき液に含まれる添加剤について説明する。
[添加剤]
本実施形態に関する添加剤は、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物が含有される。両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物とは、下記式(1)のビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドように、ジスルフィド化合物であって、その分子骨格の両端にはそれぞれ少なくとも1以上のスルホ基を有する化合物をいう。電気銅めっき液に両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物が含まれることによって、銅の積層を促進することができる。両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(以下、本明細書においてはSPSと表記することがある)を好ましい両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物として挙げることができる。両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物としてビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドを用いることで、銅の積層の促進をより好ましい速度にすることができる。
Figure 0006485273
・・・(1)
両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の濃度は電気銅めっき液中に1mg/L以上100mg/L以下含まれていることが好ましく、3mg/L以上50mg/L以下含まれていることがさらに好ましい。1mg/L以上であることで、電気銅めっき液により積層された銅皮膜の反り特性の緩和をすることができるので好ましい。また100mg/L以下とすることで、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物が不純物として作用することに起因する銅皮膜の表面平滑性の低下を抑制することができる。
(その他の添加剤)
本実施形態に関する添加剤には上記両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の他、レベラーや高分子界面活性剤を含有してもよい。レベラーとは、分子中に窒素元素を含む添加剤をいう。レベラーを所定量包含することによって、電気銅めっき液によって形成される銅皮膜の表面平滑性の低下を抑制することができる。
レベラーとしては、例えばポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン4級塩、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート4級塩、ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロライド、ジアリルジアルキルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合体、ポリビニルアミジン、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン酸等の含窒素化合物高分子ポリマーを挙げることができる。
レベラーは、電気銅めっき液中に0.5mg/L以上30mg/L以下含まれていることが好ましく、1mg/L以上25mg/L以下含まれていることがより好ましい。0.5mg/L以上とすることで、電気銅めっき液によって形成される銅皮膜の表面平滑性の低下を抑制することができる。また、30mg/L以下とすることで、レベラーが不純物として作用することに起因する銅皮膜の表面平滑性の低下を抑制することができる。
(高分子界面活性剤)
高分子界面活性剤は、電気銅めっき液の濡れ性を向上させる潤滑剤として使用するものである。高分子界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール・グリセリルエーテル及びポリエチレングリコール・ジアルキルエーテル等を挙げることができる。又はこれらの共重合体からなるポリマーを高分子界面活性剤として用いてもよい。中でも、他の成分との分散性等の観点からポリアルキレングリコールを用いることが好ましい。なお、ポリエチレングリコールを高分子界面活性剤として用いる場合には、ポリエチレングリコールの分子量は1000以上20000以下とすることが好ましい。
高分子界面活性剤は、電気銅めっき液中に0.1g/L以上10g/L以下含有することが好ましい。0.1g/L以上とすることで、銅皮膜の成長に必要量が液中に分散することができるようになるため好ましい。また、10g/L以下とすることで、電気銅めっき液の粘性を適切なものとし、銅皮膜の表面平滑性の低下を抑制することができるため好ましい。
[添加剤以外のその他の成分]
本実施形態の電気銅めっき液は、添加剤の他に、硫酸銅と、硫酸と、塩素とを含む。それによって、本実施形態の電気銅めっき液は、銅イオンと、塩化物イオンとを含む。電気銅めっき液中の銅イオンの濃度は、10g/L以上60g/L以下が好ましい。電気銅めっき液中の塩化物イオンの濃度は、30mg/L以上70mg/L以下が好ましい。電気銅めっき液中の硫酸は、150g/L以上250g/L以下が好ましい。電気銅めっき液中の銅イオンと、塩化物イオンと、硫酸とをこのような範囲含ませることにより、電気銅めっき液によって形成される銅皮膜の表面平滑性の低下を抑制することができる。
<樹脂フィルム>
本実施形態に係る樹脂フィルムは、一般的なフレキシブル回路基板の製造に使用されている樹脂フィルムであれば、特に限定されることなく使用することができる。例えば、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンテレナフタレート(PEN)等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルムの群から選ばれた1種の絶縁フィルムを使用することができる。特に、フレキシブル銅配線板に必要とされる、耐熱性、誘電体特性、電気絶縁性、耐薬品性の観点からポリイミドフィルムを用いることが好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂フィルムの電気めっきにより銅皮膜を積層する側の表面に予め金属層が積層されていてもよい。金属層とは、例えば、銅をスパッタリング等により積層された銅層等を挙げることができる。
樹脂フィルムに積層される金属層の膜厚は、0.01μm以上0.3μm以下が望ましい。この金属層の膜厚が0.01μm以上とすることで樹脂フィルムと銅層との密着性を好ましいものとすることができる。一方、金属層の膜厚が0.3μm以下とすることで、スパッタリング等による金属層形成の生産性を好ましいものとすることができる。
<積層体の製造方法>
本実施形態のフレキシブル配線板用の積層体の製造方法では、電気めっきの電流密度に応じて、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する。
電気銅めっき液に含有される添加剤である両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物は、電気めっきの過程において分解等により消耗される。本発明者は、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物が、電気めっきの過程における電流密度の他、電気銅めっき液に含有される水素イオンの濃度にも依存することを見出した。両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の分解速度は、電気銅めっき液に含有される硫酸等に由来する水素イオンと陰極から放出される電子とを取り込むことによって、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物が分解されるものと推定される。そのため、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の分解速度は、電流密度と、電気銅めっき液に含有される水素イオンの濃度に依存すると考えられる。なお、電気銅めっき液には、硫酸以外の酸である塩酸等が含有されることもあるが、極めて少量である場合が殆どである。そのため、電気銅めっき液に含有される水素イオンは、実質的には電気銅めっき液に含有される硫酸に起因する水素イオンであり、電気銅めっき液に含有される硫酸の濃度を調整することで電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する。
本実施形態のフレキシブル配線板用の積層体の製造方法において、電気めっきの電流密度は所望の範囲に可変可能であり、電気めっきの所望の範囲に可変可能な電流密度に応じて、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する。電気銅めっき液中の両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の分解は水素イオンの濃度に依存するため、例えば、電流密度が1.5A/dm以下のときには、硫酸濃度は20g/L以上100g/L以下の範囲(水素イオンの濃度は0.41g/L以上2.04g/L以下の範囲)にすることが好ましい。より好ましい硫酸濃度の濃度は30g/L以上70g/L以下(水素イオンの濃度は0.61g/L以上1.43g/L以下の範囲)である。硫酸濃度が20g/L(水素イオンの濃度は0.41g/L)より低い場合は、電気銅めっき液の電気抵抗が上昇し、樹脂フィルムの表面が変色する場合や、樹脂フィルムの金属層が溶解する場合があり、電気めっき自体が困難となる。硫酸濃度が100g/L(水素イオンの濃度は2.04g/L)を超えると、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の分解・消耗が進むので好ましくない。このように電流密度を高くできない電気めっきの開始時では電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を低くすることで、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の分解を抑えることが可能となる。
一方、4.0A/dm超の電流密度が高い場合には電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を高くすることで、銅皮膜の積層を短時間で行うことが可能となり、積層体の製造の工業的生産性を向上させることができる。また、4.0A/dm超の高い電流密度の場合においては、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の持つスルホ基が負に帯電しているためアノード表面とは電気的に反発する。そのため、1.5A/dm以下の電流密度が低い場合と異なり電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を高くしても両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の分解が抑えることが可能となる。
電気めっきの前記電流密度に応じて、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する方法の一例を説明する。まず、電気めっき開始時の電流密度を0.1A/dm以上1.5A/dm以下、且つ電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を0.41g/L以上2.04g/L以下とする。その後、電気めっきの電流密度(A/dm)が4.0A/dm以下の範囲まで段階的に上げるとともに、同時にめっき槽の電気銅めっき液を変更することにより電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を段階的に上げる。このとき、(電気銅めっき液中の水素イオン濃度(g/L))と(電気めっきの電流密度(A/dm))との分布が特定の一次式の関係になるようにし、その特定の一次式の傾き0(g/L)/(A/dm)超であって、その特定の一次式の切片0g/L以上2.1g/L以下になるようにする。なお、特定の一次式の切片とは、その特定の一次式の電流密度が0A/dmであるときの電気銅めっき液中の水素イオンの濃度(g/L)を意味する。電流密度(A/dm)が4.0A/dm以下の範囲において電流密度と水素イオン濃度との関係を表した特定の一次式の傾き及び切片をこのような範囲とすることで、電気銅めっき液に含有される添加剤の過剰な消耗を防止し、電気銅めっき液の劣化を軽減することができる。なお、上記特定の一次式は、(電気銅めっき液中の水素イオン濃度(g/L))と(電気めっきの電流密度(A/dm))との分布の関係を一次式により近似した近似式をも含まれる概念である。
なお、上記特定の一次式の傾きは0.05(g/L)/(A/dm)以上2(g/L)/(A/dm)以下とすることが好ましく、0.1(g/L)/(A/dm)以上0.5(g/L)/(A/dm)以下とすることがより好ましい。なお、電気めっきを行うめっき設備によっては、高い電流密度に設定することができない場合もあるので、めっき設備によって適宜調整が必要となる場合がある。
また、銅皮膜の膜厚に応じて電流密度及び電気銅めっき液中の水素イオン濃度を調整することが好ましい。例えば、電気めっき開始時の電流密度を0.1A/dm以上1.5A/dm以下、且つ、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を0.41g/L以上2.04g/L以下として、銅皮膜の膜厚を1.0μmまで積層する。その後、電気銅めっきの電流密度を2.6A/dm以上3.5A/dm以下とし、その際に電気銅めっき液を上記特定の一次式になるような水素イオン濃度(g/L)になるように電気銅めっき液に変更して電気めっきを行う。銅皮膜の膜厚を0.5μm積層される度に電流密度を段階的に上げ、同時に電気銅めっき液中の水素イオン濃度(g/L)が上記特定の一次式になるように電気銅めっき液を変更して電気めっきを行う。このような電気銅めっき液の水素イオンの濃度の調整を電流密度が4.0A/dmを超えるまで行う。電気めっき開始時は、電気銅めっきに由来する銅皮膜がまだ形成されておらず、樹脂フィルムの表面に予めスパッタリング法により金属層を積層していた場合に、高い電流密度により電気めっきを行うと金属層が溶解するおそれがある。そのため、本実施形態のように電気めっき開始時の電流密度を低くして電気めっきを行い、銅皮膜の膜厚に応じて電流密度及び電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整することが特に好ましい。
上記の銅皮膜の膜厚に応じて電流密度及び電気銅めっき液中の水素イオン濃度を調整する方法は、本発明を説明する上での一つの実施形態であり、本発明の銅皮膜の膜厚に応じて電流密度及び電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する積層体の製造方法はこれに限定されるものではない。例えば、銅皮膜の膜厚を0.3μm以上1.5μm以下の範囲で積層される度に電気めっきの電流密度及び電気銅めっき液の水素イオン濃度を変更して電気めっきを行うことができる。
銅皮膜の膜厚に応じて電流密度の調整する方法は、電気めっきの電流密度(A/dm)と銅皮膜の膜厚(μm)との分布が特定の一次式の関係になるようにし、その特定の一次式の傾きが2.0(A/dm)/(μm)以上6.0(A/dm)/(μm)以下とすることが好ましい。更に3.0(A/dm)/(μm)以上5.0(A/dm)/(μm)以下とすることがより好ましい。なお、電気めっきを行うめっき設備によっては、高い電流密度に設定することができない場合もあるので、めっき設備によって適宜調整が必要となる場合がある。
なお、電流密度が4(A/dm)を超える場合には、特に電気銅めっき液の水素イオン濃度を調整せずとも、電気銅めっき液に含有される添加剤が過剰に消耗することはない。電気銅めっき液中の水素イオンの濃度は、例えば1.02g/L以上6.12g/L以下にすることができる。
本実施形態の積層体の製造方法では、その積層体の銅皮膜の最終的な膜厚は、0.1μm以上35μm以下の範囲とすることが好ましく、0.3μm以上15μm以下の範囲とすることがより好ましく、0.3μm以上12μm以下の範囲とすることがさらに好ましい。銅皮膜の膜厚が0.1μm未満であると、配線部の電気導電性に問題が発生しやすくなり、また、強度上の問題が生じたりする可能性がある。一方、膜厚が35μmを超えて厚くなると、生産性の問題や、ヘヤークラックや反り等が生じて密着性が低下する場合があるほか、サイドエッチングの影響が大きくなり、狭ピッチ化が難しくなる場合もある。
本実施形態のフレキシブル配線板用の積層体の製造方法は、電流密度を所望の範囲に可変可能である。電気めっきの所望の範囲に可変可能とは、使用者が所望する範囲に電気めっきの電流密度を可変可能なことをいう。電気めっきは、電流密度を所望の範囲に可変可能であるが、電流密度を0.1A/dm以上12A/dm以下の範囲で調整して電気めっきを行うのが好ましい。電流密度を12A/dm以下とすることで銅皮膜の反りを軽減することができるため好ましい。また、電流密度を0.1A/dm以上とすることで、工業的生産性が向上するため好ましい。
以下、実施例、比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[試験1]
電気銅めっき液の水素イオンの濃度と添加剤である両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の濃度減少速度の依存性を確認した。具体的には、二軸延伸ポリイミドフィルム(厚さ:38μm 東レ・デュポン社製:カプトン150EN)を基材として、スパッタリング法によりポリイミドフィルムの表面に0.1μmの銅皮膜を積層し、電解脱脂・酸洗を施し、下記に示す電気銅めっき液の組成に加え、建浴した各試験例の電気銅めっき液を準備して、電気めっきにより、1A/dmで銅皮膜を積層した。その際のスルホ基を有するジスルフィド化合物である(ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドの時間毎の濃度をCVS法により算出し、試験開始から、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドの濃度の一時間経過後の減少した濃度量の絶対値の平均値を求めた(表1中、SPS減少濃度速度と表記)。
Figure 0006485273
(表1中、SPS初期濃度とは、電気銅めっき液の電気めっき開始前のビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドの濃度を意味する。)
また、表1の水素イオンの濃度(g/L)とSPS減少濃度速度((mg/L)/h)の関係を近似した一次式の相関係数の二乗Rは0.9969であった。表1及び相関係数から、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度と電気銅めっき液中の添加剤である両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の濃度の減少速度には強い相関があることが分かる。
[試験2]
電流密度に応じて、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度調整の意義について確認した。具体的には、実施例1では、表1の各電気銅めっき液が入っためっき槽ごとに電気めっきを行い銅皮膜を積層させた。各めっき槽は表1の電流密度にして電気めっきを行った。電気めっきは電流密度以外、上記試験1と同様にして行った。
なお、比較例1については、各めっき槽の電気銅めっき液を全て同じ組成の電気銅めっき液を用い、実施例1と同様に電気めっきを行った。
Figure 0006485273
(表2中、「SPS初期濃度」とは、電気銅めっき液の初期のビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドの濃度を意味する。また、表2中、「傾き」とは、電気めっきの電流密度(A/dm)と、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度(g/L)と、の関係を示す近似直線の傾き(g/L)/(A/dm)を意味する。また、表2中、「切片」とは、その近似直線の切片(g/L)を意味する。)
実施例1の及び比較例1の(ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドの時間毎の各槽の濃度を算出し、実施例1の各槽の濃度の合計の濃度の減少速度と比較例1の各槽の濃度の合計の濃度の減少速度をそれぞれ求めたところ、実施例1では0.22((mg/L)/h)であり、比較例1では0.30((mg/L)/h)であった。本試験結果から、電気めっきの電流密度に応じて、電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を調整する積層体の製造方法は、電気銅めっき液に含有される両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物の過剰な消耗を抑制することのできる優れた積層体の製造方法である。

Claims (4)

  1. 樹脂フィルムに電気銅めっき液により電気めっきを行い前記樹脂フィルムの表面に銅皮膜を積層するフレキシブル配線板用の積層体の製造方法であって、
    前記電気銅めっき液には、硫酸銅と、硫酸と、塩素と、両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物を含む添加剤と、が含有され、
    前記電気めっきの電流密度は所望の範囲に可変可能であり、
    電気めっき開始時の電流密度を0.1A/dm 以上1.5A/dm 以下、且つ電気めっき開始時の電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を0.41g/L以上2.04g/L以下として、その後、電気めっきの電流密度(A/dm )を段階的に上げながら、同時にめっき槽の電気銅めっき液を変更することにより電気銅めっき液中の水素イオンの濃度を段階的に上げるという操作を、電流密度が4.0A/dm 以下のあいだ、(a)電気銅めっき液中の水素イオン濃度(g/L)と、(b)電気めっきの電流密度(A/dm )と、の分布が近似した一次式の関係になるように行う積層体の製造方法。
  2. 前記電気めっきの電流密度(A/dm)が4.0A/dm以下のときの前記電気めっきの電流密度(A/dm)と、前記電気銅めっき液中の水素イオンの濃度(g/L)と、の関係を示す前記近似した一次式の傾きが0(g/L)/(A/dm)超であって、前記近似した一次式の切片が0g/L以上2.1g/L以下である請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記両端にスルホ基を有するジスルフィド化合物がビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドである請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記電気めっきにより積層される銅皮膜の膜厚に応じて前記電流密度及び前記電気銅めっき液の水素イオンの濃度を調整する請求項1から3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
JP2015152940A 2015-07-31 2015-07-31 フレキシブル配線板用の積層体の製造方法 Active JP6485273B2 (ja)

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