JP6484049B2 - 偽造防止構造体、偽造防止媒体、及び、真贋判別装置 - Google Patents

偽造防止構造体、偽造防止媒体、及び、真贋判別装置 Download PDF

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Description

本発明は、偽造を防止する為の偽造防止構造体、当該偽造防止構造体を備えた偽造防止媒体、及び、偽造防止構造体又は偽造防止媒体と組み合わされて使用される真贋判別装置に関する。
従来、例えば株券、債券、小切手、商品券、宝くじ券、定期券等の証券類には、偽造を防止するための種々の工夫が施されている。そのような工夫の一種として、肉眼ではその存在の判別が難しい肉眼判別困難マークを上記証券類に付して肉眼判別困難マークを機械により読み取ることが行われている。肉眼判別困難マークは、例えば熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜたインキにより印刷される。そのような肉眼判別困難マークを、熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜない同色のインキで印刷された模様の中に紛れ込ませると肉眼で一見下だけではその存在が判別しがたい。
しかしながら、熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜたインキにより印刷された肉眼判別不能マークは、斜めから仔細に観察すると熱線吸収ガラス粉または赤外線吸収ガラス粉を混ぜない同色のインキで印刷された模様から浮き上がったように見えるので、その存在が肉眼によって判別されてしまうことがある。また、指先の間隔の鋭い人は、肉眼判別不能マークとその周囲の上記模様に触ることにより上記模様の中に肉眼判別不能マークが存在していることを知ることが出来る。
ところで、特許文献1には、赤外線を吸収可能であるが可視光を吸収しない赤外線吸収インキが開示されている。このような赤外線吸収インキと同色のインキで印刷された模様の中に赤外線吸収インキを使用して肉眼判別不能マークを描けば、かかる肉眼判別不能マークは、斜めから仔細に観察されたとしても、赤外線吸収インキと同色のインキで描いた模様から浮き上がったように見えることがない。このため、その存在が肉眼によって判別されてしまうことがない。
また、特許文献2には、可視光領域では目視不可能で、可視光以外の一定周波数の光、具体的には紫外線により識別可能な蛍光を発する特殊蛍光インキを使用して肉眼判別困難マークを印刷することが開示されている。このような特殊蛍光インキと同色のインキで印刷した模様の上に特殊蛍光インキを使用して肉眼判別不能マークを印刷すれば、そのような肉眼判別不能マークは、斜めから仔細に観察されたとしても、特殊蛍光インキと同色のインキで印刷した模様から浮かび上がったように見えることがない。このため、その存在が肉眼によって判別されてしまうことがない。
更に、特許文献3には、真贋判別装置としてテラヘルツ電磁波を用いた方法、及び、その方法に適用される偽造防止構造体が開示されている。この偽造防止構造体は、所定のパターンに配列された開口部を有する導電性層、導電性層の表裏に配置される絶縁層、及び、絶縁性を持つ隠蔽層を備えている。そして、真贋判別装置では、テラヘルツ電磁波が偽造防止構造体を透過する際の測定値を予め測定してある基準値と比較し、両者の差異の有無を判定している。この偽造防止構造体では、所定のパターンが隠蔽層にて隠蔽されているので、肉眼や触覚でその存在を知ることができない。
特開2000−309736号公報 特開平6−297888号公報 特許第5110566号公報
しかしながら、特許文献1に記載の可視光を吸収しない赤外線吸収インキを使用して肉眼判別困難マークを描いた場合であっても、比較的広く用いられており容易に入手可能である赤外線照射装置を使用すれば、上記模様の中に肉眼判別困難マークが存在していることを容易に判別することができる。しかも、赤外線照射装置と赤外線カメラとを組み合わせることにより、その形状や寸法までも容易に知ることができる。また、特許文献2に記載の特殊蛍光インキを使用して肉眼判別困難マークを描いた場合であっても、比較的広く用いられており容易に入手可能である紫外線照射装置を使用すれば、上記模様の中に肉眼判別困難マークが存在していることを容易に判別することができる。しかも、紫外線照射装置とカメラとを組み合わせることにより、その形状や寸法までも容易に知ることができる。
また、特許文献3に記載の偽造防止構造体を用いた場合、肉眼判別困難マークが隠蔽されており偽造防止効果は高いものの、真偽判定を行う装置が複雑で高額になり易い。しかも、透過する波形を基準波形と比較して判断するため、判断時間が長引いてしまう傾向にあり、大量に真贋判定したい場合に汎用性のある偽造防止構造体や真贋判別装置とは言い難かった。
そこで、本発明は、偽造防止効果が高く、しかも、簡易な手法で肉眼判別困難マークを高速に判定することができる偽造防止構造体、偽造防止媒体、及び、真贋判別装置を提供することを目的とする。
本発明は、その一側面として、偽造防止構造体に関する。この偽造防止構造体は、テラヘルツ電磁波が透過可能なベース基材と、ベース基材の一方の面側に配置され、テラヘルツ電磁波が透過可能な第1の絶縁層と、第1の絶縁層のベース基材側とは反対側に配置される導電性層と、を備えている。導電性層は、特定周波数のテラヘルツ電磁波を透過させる第1のパターンを形成する第1の開口部と、特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過させる第2のパターンを形成する第2の開口部とを有する。
この偽造防止構造体では、テラヘルツ電磁波を遮断する導電性層に対し、特定周波数のテラヘルツ電磁波が透過可能な第1のパターンを形成する第1の開口部を設けている。この場合、透過するテラヘルツ電磁波の周波数を限定し、その特定周波数のテラヘルツ電磁波が媒体を透過する透過率を測定することにより真贋判定するので、簡易な手法により肉眼判別困難マーク(第1のパターン)を高速に判定することができる。しかも、使用される際には、肉眼判定困難マークが内側に配置されるので、偽造防止効果も高い。また、この偽造防止構造体では、かかる導電性層に対し、特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過させる第2のパターンを形成する第2の開口部も設けている。この場合、第2のパターンに対して可視光を照射することにより、第2のパターンを透かして視認することができるため、極めて簡易な検証方法による真贋判定も行うことができる。
上記の偽造防止構造体は、導電性層の第1の絶縁層とは逆側に配置される第2の絶縁層を更に備え、導電性層は、第1及び第2の絶縁層により挟み込まれて積層されていてもよい。導電性層が絶縁層に挟み込まれることにより、例えば、図4に示すような透過スペクトルのピーク周波数fを低い方へ少し変移させることができ、これにより、透過するテラヘルツ電磁波の微調整が可能となる。
上記の偽造防止構造体において、導電性層は、第1の開口部が形成される領域に、光の照射により回折を生じさせる光回折層を有していてもよい。この場合、光回折層により、ホログラム像を形成することができると共に、ホログラム像により肉眼判定困難マークを隠蔽することができるので、偽造防止効果をより一層高めることが可能となる。
上記の偽造防止構造体は、ベース基材と第1の絶縁層との間に配置され、テラヘルツ電磁波が透過可能であり且つベース基材からそれ以外の各層を剥離可能とする剥離層と、導電性層の第1の絶縁層側とは反対側に配置され、テラヘルツ電磁波が透過可能であり且つ接着性を有する接着層と、を更に備えていてもよい。この場合、ベース基材があることにより、偽造防止構造体の製造・流通等を容易に行うことができると共に、実際に使用する際には、ベース基材を容易に剥離して、接着層により所定の偽造防止媒体に容易に貼り付けることが可能となる。
上記の偽造防止構造体において、導電性層の第2の開口部は、特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断可能な所定の層厚を有する導電部を含んだ有底形状に形成されており、当該導電部の層厚は導電性層の他の部分の層厚よりも薄くてもよい。かかる構成により、特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過させて、第2のパターンを使用者に視認させることが可能となる。
上記の偽造防止構造体において、第1の絶縁層は、第2の開口部を構成する導電部の層厚が特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断可能としつつ可視光を透過させる厚みとさせるための特定構造を有していてもよい。この場合、導電性層の基台となる第1の絶縁層側に対して予め特定構造を形成しておいて導電性層の第2の開口部の層厚を調整するため、第2の開口部を含む導電性層の作製を容易に行うことが可能となる。
上記の偽造防止構造体において、第1及び第2のパターンの少なくも一方は、リング状の一部でリングの内側と外側が接続されたブリッジ部を有する開口部から形成されており、同一形状からなるパターンが等間隔で複数配置されていてもよい。この場合、複数のパターンにおいて、リングの内側と外側が接続されたブリッジ部の角度が同じであってもよいし、複数のパターンにおいて、リングのブリッジ部の角度が異なっていてもよい。ブリッジ部の角度が同じ場合、パターンの作成を容易に行うことができる。一方、ブリッジ部の角度が異なる場合、角度の違いにより透過率も異なることになるため、真贋判別装置で判定するための透過率パターンをより複雑なものとすることができ、その結果、偽造防止効果をより一層高めることができる。
また、本発明は、別の側面として、紙基材又はプラスチック基材を備えた偽造防止媒体に関する。この偽造防止媒体では、上述した何れかの偽造防止構造体は、導電性層及び第1の絶縁層を少なくとも含むようにその一部が紙基材又はプラスチック基材中に埋められている、又は、紙基材又はプラスチック基材上に配置されていてもよい。
また、本発明は、更に別の側面として、真贋判定装置に関する。この真贋判定装置は、少なくとも一周波数のテラヘルツ電磁波を発生可能な電磁波発生手段と、電磁波発生手段によって発生される特定周波数のテラヘルツ電磁波を物体に照射する照射手段と、物体を透過した特定周波数のテラヘルツ電磁波を受信し、受信したテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号に変換する変換手段と、上記偽造防止構造体に特定周波数のテラヘルツ電磁波を照射して透過したテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号と、上記偽造防止構造体に対して基準値として予め測定されているテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号との差異を判定する判定手段と、判定手段により差異があると判定された場合又は差異が無いと判定された場合の何れかの場合に判定結果に応じた報知を行う報知手段と、を備えている。
上記の真贋判別装置では、特定周波数のテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号を測定し、それを基準として真贋判定を行っているため、テラヘルツ電磁波の周波数域全て若しくは多くを測定して判定する場合に比べて、簡易な手法で肉眼判別困難マークを高速に判定することができる。
上記の真贋判定装置において、偽造防止媒体を所定の測定方向に移動する際、一定間隔毎にテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号を測定し、判定手段は、それぞれの測定した位置に応じた当該信号の変動を、予め測定した基準値と比較してその差異を判定し、報知手段は、判定結果に応じて報知を行うようにしてもよい。
本発明によれば、テラヘルツ電磁波の少なくとも1周波数を特定し、その特定周波数が媒体を透過する透過率を測定して判定を行うため、簡易な手段で高速に真贋判定することが可能となる。また、可視光が透過する視認パターン(例えばマークや記号)も形成されているため、可視光による簡易な検証方法でも真贋判定することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る偽造防止構造体を示す平面図であり、(a)は、偽造防止構造体の平面図であり、(b)は、一方の偽造防止構造体である第1のSRRアレイ部の拡大平面図であり、(c)は、他方の偽造防止構造体である第2のSRRアレイ部の拡大平面図であり、(d)は、(b)に示す第1のSRRアレイ部を構成する第1のパターンの拡大平面図であり、(e)は、(c)に示す第2のSRRアレイ部を構成する第2のパターンの拡大平面図である。 図2は、図1の(a)に示す偽造防止構造体のII−II線に沿った断面図である。 図3は、図1の(a)に示す偽造防止構造体を商品券等の紙媒体中に埋め込んだ状態の一例を示す図であり、(a)はその平面図を示し、(b)はb−b線に沿った断面図を示す。 図4は、図1の(a)に示す偽造防止構造体の各SRRアレイ部にテラヘルツ電磁波を照射した場合の透過率Tを示すグラフである。 図5は、図3に示す偽造防止媒体に対して図4に示す特定周波数fのテラヘルツ電磁波を矢印の方向にスキャンした際の透過率Tの変化を示すグラフである。 図6は、図1の(a)に示す偽造防止構造体の表面状態の一例を示した拡大図である。 図7は、本発明に係る偽造防止構造体の透過率を測定するための真贋判別装置の概略構成を示す図である。 図8は、本発明の第2実施形態に係る偽造防止構造体を示す平面図及びその拡大図である。 図9は、図8の(a)に示す偽造防止構造体のIX−IX線に沿った模式的な断面図である。 図10は、図8に示す偽造防止構造体のSRRアレイ部のそれぞれの形状にテラヘルツ電磁波を照射した場合の透過率Tを示すグラフである。 図11は、図8に示す偽造防止構造体に対して図10に示す特定周波数fのテラヘルツ電磁波を矢印の方向にスキャンした際の透過率Tの変化を示すグラフである。 図12は、図8や図11等に示す偽造防止構造体を商品券等に転写した状態の一例を示す平面図である。 図13は、図12に示す偽造防止媒体の裏面から可視光を照射した時の状態を示す概略図である。 図14は、紙葉類識別計数装置の概要を示した斜視図である。 図15は、図14に示した紙葉類識別計数装置に含まれる識別計数部の概要を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。 図16は、テラヘルツ光の送受信ユニットでの識別処理に用いられる回路構成の一例を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る偽造防止構造体、当該偽造防止構造体を備える偽造防止媒体、及び、偽造防止構造体又は偽造防止媒体と組み合わされて使用される真贋判別装置の実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る偽造防止構造体を示す図であり、(a)は、偽造防止構造体の平面図であり、(b)は、一方の偽造防止構造体である第1のSRR(Split Ring Resonator)アレイ部の拡大平面図であり、(c)は、他方の偽造防止構造体である第2のSRRアレイ部の拡大平面図であり、(d)は、(b)に示すSRRアレイを構成するパターンの拡大平面図であり、(e)は、(c)に示すSRRアレイを構成するパターンの拡大平面図である。図2は、図1の(a)に示す偽造防止構造体のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1の(a)に示す偽造防止構造体を商品券等の紙媒体中に埋め込んだ状態の一例を示す図であり、(a)はその平面図を示し、(b)はb−b線に沿った断面図を示す。偽造防止構造体1は、例えば証券類等における偽造を防止するための肉眼判別困難マークを形成するための構造体であり、例えば図3に示すような商品券中に埋め込まれたりすることで、商品券等の偽造防止媒体の偽造防止に利用されるものである。
偽造防止構造体1は、図1の(a)に示すように、ベース基材上に、層成された導電性層がない複数のSRRアレイ部12,13が形成された偽造防止構造体であり、例えば一対のSRRアレイ部12の間にSRRアレイ部13が1つ配置されている。なお、SRRアレイ部12,13の配置や数はこれに限定されない。第1のSRRアレイ部12は、図1の(b)に示すように、複数の第1のSRRパターン14が導電性層15上に行方向及び列方向において等間隔に配置されることにより形成されている。第2のSRRアレイ部13は、図1の(c)に示すように、複数の第2のSRRパターン16が導電性層15上に行方向及び列方向において等間隔に配置されることにより形成されている。第1のSRRパターン14及び第2のSRRパターン16の平面形状は例えば同一であり、一部14a,16aでSRRパターンの内側と外側がブリッジ状に接続されている(導電性層15が残留している)リング形状を呈し、略C字状となっている。一方、第1のSRRパターン14及び第2のSRRパターン16を構成する各開口部14b,16b(図2参照)の積層方向の形状については互いに相違しており、詳細については以下説明する。
第1のSRRアレイ部12及び第2のSRRアレイ部13を含んで構成される偽造防止構造体1は、図2に示すように、ベース基材11と、ベース基材11上に形成される開口部形成層17(第1の絶縁層)と、開口部形成層17上に形成される導電性層15と、導電性層15を覆う絶縁層18(第2の絶縁層)と、を備えている。導電性層15は、2つの絶縁層17,18に挟み込まれて積層されている。ベース基材11、開口部形成層17及び絶縁層18は、テラヘルツ電磁波が透過可能な材料によって構成されており、ベース基材11は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)から構成され、開口部形成層17は、例えばポリウレタン樹脂から構成され、絶縁層18は、例えばフッ化マグネシウムから構成されている。このような材料から構成されることにより、テラヘルツ電磁波は、ベース基材11、開口部形成層17及び絶縁層18を透過する。一方、導電性層15は、その層のみではテラヘルツ電磁波を遮断する材料から構成されており、例えば、Al、Fe、Au、Cu、Ag、Mg、Zn、Sn等の金属薄膜層から構成されている。このような材料から構成されることにより、テラヘルツ電磁波は、導電性層15により遮断される。なお、開口部形成層17は、絶縁性の層でもある。
また、開口部形成層17がフォトポリマー法を用いて形成されるときには、開口部形成層17の形成材料は、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどであってもよい。モノマーは、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどである。オリゴマーは、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、および、ポリエステルアクリレートなどである。ポリマーは、例えば、ウレタン変性アクリル樹脂、および、エポキシ変性アクリル樹脂などである。
また、開口部形成層17の形成材料は電離放射線硬化性樹脂であってもよく、例えば、オキセタン骨格含有化合物、ビニルエーテル類、および、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどであってもよい。これらの電離放射線硬化性樹脂には、光重合開始剤が添加されていてもよい。光重合開始剤には、光重合開始剤が添加される電離放射線硬化性樹脂に応じて、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、および、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤との併用型であるハイブリッド型重合開始剤のいずれかが選択されればよい。
光ラジカル重合開始剤は、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系化合物、アントラキノン、および、メチルアントラキノンなどのアントラキノン系化合物、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−アミノアセトフェノン、および、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのフェニルケトン系化合物、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン、アシルホスフィンオキサイド、および、ミヒラーズケトンなどである。
光カチオン重合開始剤は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、および、混合配位子金属塩などである。
光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤とを併用するハイブリッド型重合開始剤は、例えば、上述した光ラジカル重合開始剤と、光カチオン重合開始剤との混合物である。また、ハイブリッド型重合開始剤は、単独で光ラジカル重合と光カチオン重合との両方を開始させることのできる重合開始剤であってもよく、例えば、芳香族ヨードニウム塩、および、芳香族スルホニウム塩などであってもよい。
電離放射線硬化樹脂と光重合開始剤との全量が100質量%であるとき、光重合開始剤の質量は、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。なお、電離放射線硬化性樹脂には、光重合開始剤とともに、増感色素が混合されていてもよい。また、電離放射線硬化性樹脂には、染料、顔料、および、各種添加剤、例えば、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、タレ止め剤、付着向上剤、塗面改質剤、可塑剤、および、含窒素化合物などが添加されてもよいし、例えば、エポキシ樹脂などの架橋剤が混合されていてもよい。さらには、電離放射線硬化性樹脂には、開口部形成層17の成形性を高める目的で、光重合反応に対して非反応性の樹脂、例えば、上述した熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが混合されてもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどと混合して用いることもできる。
電離放射線硬化性樹脂に混合されるモノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどには、予め反応基が付与されていてもよい。モノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどに反応基が付与されることにより、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、有機チタネート架橋剤、有機ジルコニウム架橋剤、および、有機アルミネートなどを用いて、モノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどを互いに架橋させることもできる。
さらに、電離放射線硬化性樹脂に混合されるモノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどに予め反応基が付与されていてもよい。モノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどに反応基が付与されることにより、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、有機チタネート架橋剤、有機ジルコニウム架橋剤、および、有機アルミネートなどを用いて、モノマー、オリゴマー、および、ポリマーなどをその他の樹脂骨格と架橋させることもできる。
このように、反応基を用いて架橋する方法によれば、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を有するポリマーであって、常温において固形であり、かつ、タックが少ないポリマーを得ることが可能である。こうしたポリマーは、成形性がよく、かつ、原版を汚しにくい。
ここで図1及び図2に戻り説明を続ける。第1のSRRアレイ部12を構成する第1のSRRパターン14は、導電性層15に対し第1のSRRパターン14の形状に対応する開口部14b(第1の開口部)を設けることによって形成されている。つまり、第1のSRRパターン14のリング形状に対応する部分は空隙となっており開口部形成層17の表層が露出する。逆に第1のSRRパターン14のブリッジ部14aは導電性層15が残存する領域(残留部)となっている。
また、第2のSRRアレイ部13を構成する第2のSRRパターン16は、導電性層15に対し第2のSRRパターン16の形状に対応する開口部16b(第2の開口部)を設けることによって形成されている。第2のSRRパターン16のリング形状に対応する部分(開口部16b)は、第1のSRRパターン14の場合と異なり、導電性層15の層厚が導電性層15の他の部分よりも薄くなった導電部を含んだ有底形状となっており、開口部形成層17の表層が露出しないようになっている。このような層厚構成の開口部16bにより、第2のSRRパターン16は、テラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過するようになっている。第2のSRRパターン16を構成する開口部16bは、例えば導電性層15としてアルミニウム(Al)を使用した場合、5〜40nmの膜厚にすることで、テラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過させることができ、50nm以上の膜厚の場合、可視光が遮光され且つ金属反射が得られる。
なお、偽造防止構造体1が図3に示すように偽造防止媒体2において使用される際、ベース基材11は取り外されることもあるが、導電性層15及び開口部14b,16bによる第1のSRRパターン14及び第2のSRRパターン16が外部に露出しないように開口部形成層17が外側に配置されることが多い。このような配置により、肉眼識別マークを偽造防止媒体2の内部に隠すことができる。また、偽造防止構造体1の導電性層15には、ホログラム等の光の照射により回折を生じさせる回折格子形成層(光回折層)を設けてもよい。この場合、ホログラム等により第1のSRRパターン14及び第2のSRRパターン16等がより一層隠されることになり、偽造防止効果をより一層高めることができる。
ここで、「テラヘルツ電磁波が透過する」とは、その層を通過する前後で、テラヘルツ電磁波のどの周波数域においても100%出力が変わらないことを意味するのではなく、5%以上透過していれば、ここでいう「テラヘルツ電磁波が透過する」ことを意味する。逆に、「テラヘルツ電磁波が遮断される」とは、テラヘルツ電磁波の透過率が5%未満の透過を意味しており、テラヘルツ電磁波を100%遮断する場合(透過率が0%)に限られない。
上述したように導電性層15の一部が削られて各第1のSRRパターン14が設けられ複数の第1のSRRパターン14から第1のSRRアレイ部12が形成された場合、この第1のSRRアレイ部12にテラヘルツ電磁波を照射すると、共鳴により、例えば図4に示すようなテラヘルツ波形(透過率パターン)34を観察することができる。上述したような構成の第1のSRRアレイ部12により、テラヘルツ電磁波の一部の周波数域(図中では「特定周波数f」を中心とした周波数域)にて透過が起こる。透過するテラヘルツ電磁波の周波数の透過率の半値幅W1は0.2THz以下となっている。このように、ピークの幅が小さければ、特性は周波数の小さな違い(±0.2THz程度)により透過率が大きく異なる特異なものとなるので、周波数の異なる複数の電磁波(例えば、±0.2THz偏移した電磁波)を用いてこの特性を測定することで、より正確な真贋判定が可能となる。
このような透過は、導電性層15の一部を所定のパターンに削り取り、各第1のSRRパターン14を等間隔に配置することで、特定周波数fに対する共鳴が起こり、特定のテラヘルツ電磁波(特定周波数f)の周波数域のみが透過するといったものである。第1のSRRパターン14のパターンの形状及び配列により、透過するピーク周波数及び透過量が異なる構造体を作ることが可能であり、第1のSRRパターン14の形状等に対応する透過ピーク周波数は、所定のシミュレーション装置を用いることにより、当業者であれば算出することが可能である。使用するテラヘルツ電磁波の周波数範囲はリングの大きさで決まるが、本実施形態では、例えばテラヘルツ電磁波とは0.1THz〜3THzの範囲のものを意味している(T:テラ、1012)が、本発明はこれに限定される訳ではない。一方、導電性層15の一部を所定のパターンに削りとったものの、所定の層厚を残してある第2のSRRパターン16では、図4に示す透過率パターン36に示すように、特定周波数fをほとんど透過させない。
ここで、第1のSRRパターン14及び第2のSRRパターン16の形成方法について更に詳細に説明する。
第1のSRRパターン14の形成方法としては、種々の方法を用いることができるが、その一方法が特許第5169083号公報に開示されている。この特許文献に記載されている形成方法は、回折格子パターンを利用した形成方法であり、開口部形成層17のうち導電性層15を削りたい部分を撥水性構造としておくことで、全面に設けられた導電性層15上にエッチングマスクを施してアルカリエッチングする際、撥水性構造となっている第1のSRRパターン14上はエッチングマスクが設けられないことにより、アルカリエッチングにより選択的に導電性層が除去される。このような形成方法を使用すれば、本実施形態において、導電性層15上にも回折格子を設けることができ、かつ他のエッチング方式と比較して、より精度良く且つより安価に偽造防止構造体1を製造することができる。
また、第2のSRRパターン16の形成方法としては、種々の方法を用いることができるが、その一方法が特開2010−202924号公報に開示されている。この特許文献に記載さている形成方法は網目状多孔質構造を利用した方法である。この方法では、開口部形成層17のうち導電性層15の膜厚を薄くしたい部分(開口部16b)に対応する領域を網目状多孔質構造にすることで表面積を増加させると同時に毛細管現象により濡れ性を向上させる。導電性層15を全面に設ける際に真空蒸着法にて金属を蒸着すると、網目構造となっている第2のSRRパターン16に対応する導電性層15の膜厚は導電性層15の他の導電部分よりも表面積が大きくなり、これにより、層厚を薄くすることができる。また、濡れ性が向上することにより、金属蒸着層上にエッチングマスクを塗布した場合、第2のSRRパターン16上にエッチングマスクが施され、アルカリエッチングしても第2のSRRパターン16上に導電性層が残る。なお、使用するエッチングマスクとしては、例えば特許第4254367号公報に記載されている耐熱マスク層インキ等を用いることができる。
SRRパターンの形成方法について更に詳細に説明する。図6は、図1の(a)に示す偽造防止構造体の表面状態の一例を示した拡大図である。偽造防止構造体1の拡大部分1aは、回折格子部101、開口部103及びパターン形成部106から構成される。回折格子部101は導電性層15に相当し、開口部103は第1のSRRアレイ部12に相当し、パターン形成部106は第2のSRRアレイ部13に相当する拡大図となる。
例えば、回折格子部101及びパターン形成部106の空間周波数を1000本/mmとし、回折格子部101の凹凸の高さを150nm、パターン形成部106の凹み状の円錐の高さを400nmとすると、パターン形成部106の表面積は回折格子部101と比べて約1.74倍と広くなることにより、例えば真空蒸着法にて金属薄膜を回折格子部101に60nm設けた場合、パターン形成部106には約35nmの金属薄膜が設けられることになる。このようにして、導電性層15における第2のSRRアレイ部13を構成する第2のSRRパターン16における層厚を他の導電性層15の層厚よりも薄くすることができる。
上述した構成を有する偽造防止構造体1は、例えば図3に示すような偽造防止媒体2に設けることができる。図3に示す例では、基材21中に偽造防止構造体1を埋め込むことで、偽造防止媒体2を構成している。偽造防止媒体2を構成する基材21としては、テラヘルツ電磁波を透過する材質であればよく、例えば紙基材又はプラスチック基材等から構成される。偽造防止媒体2としては、偽造防止構造体1を基材21中に埋め込む形態とする必要は必ずしもなく、基材21の表面や裏面に偽造防止構造体1を貼り付けるようにしてもよい。
図3に示すような構成の偽造防止媒体2に対し、図5の(a)に示すように、ある特定のテラヘルツ電磁波(例えば特定周波数f)を紙面に対して鉛直方向に照射し、図示矢印方向に沿って走査すると、図5の(b)に示すように、特定テラヘルツ周波数における透過率Tのスキャン結果である透過率パターン4を得ることができる。この特定周波数fにおける透過率パターン4では、偽造防止構造体1が存在しない基材21の基材部では、透過率Tが高い透過率パターン41となり、第1のSRRパターン14が無く導電性層15が存在する部分では、導電性層15の存在により透過率Tが低い(若しくは透過率が無い)透過率パターン45となり、さらに第1のSRRアレイ部12においては、SRRパターンアレイの透過率Tが高い透過率パターン44となり、さらに、第2のSRRアレイ部13においては、SRRパターンアレイの透過率Tが低い(若しくは透過率が無い)透過率パターン46となる。第1のSRRアレイ部12における透過率パターン44は、第1のSRRアレイ部12が存在しない基材21での透過率パターン41よりもその透過率Tは低いものの、所定の透過率となっている。一方、第2のSRRアレイ部13では、テラヘルツ電磁波を透過させずに遮断してしまう。そして、これらの透過率Tの波形の特徴を予めデータとして取り込んでおき、後述する真贋判別装置(図7参照)により真贋判定する際に、取り込んだ透過率Tの波形データ(透過率パターン4)と、実際に読み込んだ透過率Tの波形データとを比較し、両者の透過率の変化を比較することで、真贋判別することができる。
次に、図7を参照して、上述した偽造防止媒体2(又は偽造防止構造体1)の真贋判定をテラヘルツ電磁波を利用して行う真贋判別装置100について説明する。図7は、偽造防止媒体2(又は偽造防止構造体1)を真贋判定するために使用される真贋判別装置を示す概略図である。偽造防止媒体2に特定周波数fのテラヘルツ電磁波が照射されるように、集光凸レンズ126を中央に配置し、矢印の方向(図示上下方向)に偽造防止媒体2を移動させる。この移動の際、照射した特定周波数fのテラヘルツ電磁波の透過率Tを読み取り、事前に読み取った透過率Tの基準値(透過率パターン4)と比較することで、その相違から偽造防止媒体2の真贋判定を行う。なお、詳細な判定処理については、従来技術を適宜用いることができるため、ここではその詳細な説明は省略する。
真贋判別装置100の具体的な測定装置例を以下に示す。真贋判別装置100は、レーザ発振器121(電磁波発生手段)、分配器122、PC(フォトコンダクター)アンテナ(送信側)123(電磁波発生手段)、PCアンテナ(受信側)124(変換手段)、凸レンズ125、凸レンズ126、時間遅延装置127、分析装置128(判定手段)、報知装置129(報知手段)、受信出力131、及び、参照出力132を備えている。この真贋判別装置100では、レーザ発振器121よりパルス波のレーザ光を例えば80fs(f:フェムト、10―15)だけ、PCアンテナ(送信側)123に向けて照射する。PCアンテナ(送信側)123にバイアス電圧をかけておくと、照射されたフェムト秒パルス光にてアンテナにて非常に短い間だけ電流が流れテラヘルツ(THz)帯の電磁波が発生する。ここで、発生するテラヘルツ電磁波は、特定周波数fとなるように調整されている。
このテラヘルツ電磁波は、送信側の凸レンズ125にて平行波になり、さらに凸レンズ126により収束される。送信側の凸レンズ125,126は照射手段を構成しており、一番収束された部分に、測定物である偽造防止媒体2を配置して図示矢印方向に移動させることにより、目標とするターゲットに特定周波数fのテラヘルツ電磁波を連続して照射させる。ターゲットである偽造防止媒体2を透過したテラヘルツ電磁波を受信側の凸レンズ(平行光)126および凸レンズ(集光)125にて集め、PCアンテナ(受信側)124に照射させる。受信側のPCアンテナ124から受信データを取り出すタイミングは、レーザ光の分配器122及び時間遅延装置127を通して、ある一定の時間ΔT毎にレーザ光を受信アンテナに照射することにより行える。この原理によってある一定の時間ΔT毎の時間領域の波形が得られる。その得られたデータをフーリエ変換することにより、周波数領域のデータに変換できる。なお、マイクロ波、テラヘルツ波帯で検出する方法は上記以外にも多くあり、検出方法として何れを用いてもよい。
そして、分析装置128により、偽造防止媒体2に特定周波数のテラヘルツ電磁波を照射して透過したテラヘルツ電磁波の透過率Tと、偽造防止媒体2(若しくはその同等物)に対して予め測定されているテラヘルツ電磁波の透過率Tとの差異を判定する。分析装置128での判定により、両者の差異が所定値以上あると判定された場合、報知装置129はその旨を報知する。報知装置129は、両者の差異が所定値以上はないと判定された場合にその旨を報知してもよい。なお、偽造防止媒体2を所定の測定方向に移動する際に、一定間隔毎にテラヘルツ電磁波の透過率Tを測定し、それぞれの測定した位置に応じた透過率Tの変動を予め測定した基準値と比較してその差異を判定し、報知装置129は、その判定結果に応じて報知を行うようにしてもよい。なお、以下で説明する他の実施形態に係る偽造防止構造体を用いた偽造防止媒体の真贋判定にも同様に上記真贋判別装置100を用いることが可能である。
このように、本実施形態における偽造防止構造体1及び偽造防止構造体1を備える偽造防止媒体2では、テラヘルツ電磁波を遮断する導電性層15に、特定周波数fのテラヘルツ電磁波が透過可能な第1のSRRパターン14を形成する開口部14bを設けている。このため、透過するテラヘルツ電磁波を特定周波数fに限定し、その特定周波数fが媒体を透過する透過率Tを測定することにより真贋判定することができるので、テラヘルツ電磁波の周波数域全てを測定し且つスキャンする従来の方法よりも簡易な手法により肉眼判別困難マークを高速に判定することができる。しかも、使用される際には、肉眼判定困難マークが内側に配置されるので、偽造防止効果も高い。また、この偽造防止構造体1及び偽造防止媒体2では、かかる導電性層15に、特定周波数fのテラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過させる第2のSRRパターン16を形成する開口部16bも設けている。このため、第2のSRRパターン16に対して可視光を照射することにより、可視光が透過する第2のSRRパターン16(視認パターン)を透かして視認することができるため、極めて簡易な検証方法による真贋判定も行うことができる。
なお、偽造防止構造体1の導電性層15に設けられた開口部14b,16bのパターンは、1つの大きさをマイクロ文字以下とすることより(マイクロ文字は一辺0.25mmとする)、目視ではこの開口部14b,16bを見ることが困難となるため、偽造防止媒体2を見かけ上変えずにセキュリティ向上を図ることが出来る。また、偽造防止構造体1の導電性層15には、ホログラム等の光の照射により回折を生じさせる回折格子形成層(光回折層)を設けてもよい。この場合、ホログラム等により第1のSRRパターン14及び第2のSRRパターン16がより一層隠されることになり、偽造防止効果をより一層高めることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る偽造防止構造体について図8〜図11を参照して説明する。図8は、第2実施形態に係る偽造防止構造体を示す平面図及びその拡大図であり、図9は、図8の(a)に示す偽造防止構造体の断面図である。図10は、図8に示す偽造防止構造体のSRRアレイ部それぞれの形状にテラヘルツ電磁波を照射した場合の透過率Tを示すグラフである。図11は、図8の(a)に示す偽造防止構造体に対して図10に示す特定周波数fのテラヘルツ電磁波を矢印の方向にスキャンした際の透過率Tの変化を示すグラフである。なお、以下では、第1実施形態に係る偽造防止構造体1と同様の部分については説明を省略し、相違する点を中心として説明する。
偽造防止構造体5は、図8及び図9に示すように、ベース基材61上に第1のSRRアレイ部52、第2のSRRアレイ部53及び第3のSRRアレイ部57が形成された偽造防止構造体である。第1のSRRアレイ部52及び第3のSRRアレイ部57は、第1実施形態の第1のSRRアレイ部12と同様に、導電性層55に開口部52b,57bを設けることにより形成されている。第2のSRRアレイ部53は、第1実施形態の第2のSRRアレイ部13と同様に、導電性層55に有底の開口部53b(所定の層厚を有する)を設けることにより形成されている。
第1のSRRアレイ部52は、図8の(a)に示すように、複数の第1のSRRパターン64が行方向及び列方向において等間隔に配置されることにより形成されている。第2のSRRアレイ部53は、図8の(a)に示すように、複数の第2のSRRパターン66が行方向及び列方向において等間隔に配置されることにより形成されている。第3のSRRアレイ部57は、図8の(a)に示すように、複数の第3のSRRパターン67が行方向及び列方向において等間隔に配置されることにより形成されている。第1のSRRパターン64、第2のSRRパターン66及び第3のSRRパターン67の平面形状は例えば同一であり、一部でパターンの内側と外側とがブリッジ部により接続されている(導電性層55が残留している)リング形状を呈し、略C字状となっている。一方、第1のSRRパターン64及び第2のSRRパターン66と第3のSRRパターン67とでは、平面方向におけるブリッジ部の位置の角度が異なっており、第1のSRRパターン64及び第2のSRRパターン66では、ブリッジ部が図示上方となっているのに対し、第3のSRRパターン67では、ブリッジ部が図示上方から斜め左に傾くようになっている。また、第1のSRRパターン64及び第3のSRRパターン67と第2のSRRパターン66を構成する各開口部の積層方向の形状については、第1実施形態と同様に互いに相違しており、第2のSRRパターン66の開口部53bが有底の導電部となっており、テラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過させる。
偽造防止構造体5は、第1実施形態と同様に、ベース基材61、開口部形成層60、導電性層55及び絶縁層58を備えており、更に、剥離層62及び接着層59を備えている。剥離層62は、ベース基材61と開口部形成層60との間に配置されており、テラヘルツ電磁波が透過可能であり且つベース基材61からそれ以外の層60,55,58,59等を剥離可能としている。接着層59は、導電性層55の開口部形成層60とは逆側の面に絶縁層58を介して配置されており、テラヘルツ電磁波が透過可能であり且つ接着性を有している。接着層59は、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル樹脂を主成分とする接着剤から形成することができる。接着層59を形成するための接着剤には、例えば、接着性付与剤、充填剤、軟化剤、熱光安定剤、及び酸化防止剤の何れかが添加されていてもよい。接着性付与剤は、例えば、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、又はキシレン樹脂である。充填剤は、例えば、亜鉛華、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、又は硫酸バリウムである。軟化剤は、例えば、プロセスオイル、液状ゴム、又は可塑剤である。熱光安定剤は、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、又はヒンダードアミン系である。酸化防止剤は、例えば、アニリド系、フェノール系、ホスファイト系、又はチオエステル系である。偽造防止構造体5では、このような剥離層62及び接着層59を備えた構成であることから、偽造防止構造体5に転写箔としての機能を付与することができる。このため、例えば図12に示すように、基材上に熱転写により接着層59を貼付けすることにより、偽造防止媒体9のような構成とすることができる。
なお、導電性層55は、回折格子形成部51も有しており、見た目には回折格子の絵柄が見えるようになっている。ここで、偽造防止構造体5における第1のSRRアレイ部52、第2のSRRアレイ部53及び第3のSRRアレイ部57の第1のSRRパターン64、第2のSRRパターン66及び第3のSRRパターン67が十分小さく、且つ、導電性層55の面積比率が50%以上であるとき、目視では回折格子のみが認識され、回折格子媒体とテラヘルツ電磁波による真贋判別可能な回折格子媒体とを交換しても目視では解らない。これにより、偽造防止媒体のデザインを変えることなく、高偽造防止耐性が備わった偽造防止媒体に変更することが出来る。
また、偽造防止構造体5は、第1実施形態と異なり、導電性層55の開口部によって形成され第1のSRRパターン64と第3のSRRパターン67がその配置箇所(エリア)に応じて異なっており、第1のSRRパターン64では、時計方向で示すと12時の方向であるリング状の図示上方にブリッジ部が設けられている一方、第3のSRRパターン67では、第1のSRRパターン64と異なり、ブリッジ部がやや斜め上方、10時の方向となるように設けられている。この実施形態に係る偽造防止構造体5では、このように第1のSRRアレイ部52及び第3のSRRアレイ部57において、第1のSRRパターン64及び第3のSRRパターン67の形状をブリッジ部の角度を変えることで変化させ、透過されるテラヘルツ電磁波の透過率Tを第1のSRRパターン64と第3のSRRパターン67とで変化させている。このようにリング状の一部で内側と外側が接続されている形状で等間隔に配置することで、第1実施形態等と同様に特定周波数に共鳴を起こすようにして特定のテラヘルツ電磁波の周波数を透過させると共に、さらに、本実施形態では、照射するテラヘルツ電磁波が指向性を有し、いわゆる偏光された電磁波が照射されることにより、接続されたブリッジ部分(導電性層55が残留している)の角度を照射するテラヘルツ電磁波の偏光角度からずらすことにより、ずらした角度の分だけ透過率を低くさせるようにしている。
図10には、このようにして透過率をずらした特定周波数fにおける透過率Tのスキャンした透過率パターン75〜77を示している。図10に示すグラフでは、照射するテラヘルツ電磁波の偏光角度から略ずれていない第1のSRRパターン64の透過率パターン75、偏光角度から45°ずらした第3のSRRパターン67の透過率パターン77を示している。また、図10に示すグラフでは、特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断可能な所定の層厚を有する導電部を含んだ有底形状からなる開口部53bから形成される第2のSRRパターン66の透過率パターン76も示している。第2のSRRパターン66は、テラヘルツ電磁波を遮断可能な程度の層厚を有しているため、透過率はほぼゼロとなっている。なお、照射するテラヘルツ電磁波には指向性があり、いわゆる偏光された電磁波が照射されることにより、塞がれた部分の角度を照射するテラヘルツ電磁波の偏向角度から回転させることにより、回転した角度の分だけ透過率が低くなり、偏向角度が直交する90度のとき、透過率が一番低くなる。
このような偽造防止構造体5に対し、図11に示すように矢印の方向にある特定のテラヘルツ電磁波(特定周波数f)を照射することで、第1実施形態と同様に、特定周波数fにおける透過率Tの透過率パターン8(導電性層55における第1のSRRパターン64、第2のSRRパターン66及び第3のSRRパターン67)を得ることができる。具体的には、図11(b)の透過率パターン8では、偽造防止構造体5が存在しない基材部では透過率Tが高い透過率パターンとなり、図8(a)に示す第1のSRRパターン64が無く導電性層55が存在する部分では、導電性層55の存在により透過率Tが低い(若しくは透過率が無い)図11(b)に示す透過率パターン85となる。そして、第1のSRRアレイ部52においては、第1のSRRパターンアレイの透過率Tが高い透過率パターン84となり、さらに、第2のSRRアレイ部53においては、SRRパターンアレイの透過率Tが低い(若しくは透過率が無い)透過率パターン86となる。また、ブリッジ部の角度を変えた第3のSRRアレイ部57においては、第1のSRRアレイ部52の透過率パターン84よりは低いものの、所定の透過率である透過率パターン87となる。そして、第3のSRRアレイ部57の外側の透過率パターン85では、図8の導電性層55により透過率Tが再び低くなる。本実施形態では、このように透過率変化のパターンを並び替えることで、第1実施形態に比べて、より複雑な真贋判定が可能になり、様々な券種に対応した真贋判定が可能になる。
なお、偽造防止構造体5の第1のSRRアレイ部52、第2のSRRアレイ部53、及び第3のSRRアレイ部57は、それぞれのSRRパターンの配列によってマークもしくは記号となるように形成されていてもよい。そして、この偽造防止構造体5を紙に転写し図12に示したような偽造防止媒体9を作製した場合、図13に示すように、偽造防止媒体9に裏面から光源91を照射すると、マークもしくは記号状に配列されたSRRパターン5aが透かされて視認できることより、簡単な検証方法にて真贋判別が可能となる。なお、第1実施形態でも同様のことが行える。
このように、本実施形態に係る偽造防止構造体5では、図11の(a)に示すように矢印の方向に沿って紙面の鉛直方向に、ある特定のテラヘルツ電磁波(特定周波数f)を照射することで、第1実施形態と同様に、特定周波数fにおける透過率パターン8を得ることができる。そして、第1実施形態と同様に、この波形の特徴を予め基準値データとして真贋判別装置100によって取り込み、比較することで、偽造防止構造体5による真贋判別が可能となる。このように、偽造防止構造体5によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。しかも、本実施形態にかかる透過率パターン8では、スキャンされた透過率Tが高い透過率パターン84の部分とそれよりはやや低い透過率パターン87の異なるパターンを設けるように第1のSRRパターン64及び第3のSRRパターン67のブリッジ部の角度を変更している。このため、第2実施形態に係る偽造防止構造体5によれば、第1実施形態に係る偽造防止構造体1よりも一層複雑な透過率パターンとすることができるので、より高精度な偽造防止効果を奏することができる。
また、偽造防止構造体5は、剥離層62と接着層59とを備えている。このため、ベース基材61によって偽造防止構造体5の製造・流通等を容易に行うことができると共に、実際に使用する際には、ベース基材61を剥離層62から容易に剥離し、接着層59により所定の偽造防止媒体に容易に貼り付けることが可能となる。
ここで、図11の(b)に示す透過率パターン8の信号を得るための装置構成の別の例について説明する。このような装置構成の一例として、例えば紙葉類識別計数装置を挙げることができる。
紙葉類識別計数装置200は、例えば図14に示すように、載置部214に紙葉類を投入し、この紙葉類の種類の識別及び計数を識別計数部210(図15参照)により行い、その識別結果に基づいて紙葉類を集積部216またはリジェクト部217へ選択的に送る装置である。紙葉類識別計数装置200は、筐体212と、計数が行われるべき複数の紙葉類Pが積層状態で載置される載置部214と、載置部214に載置された積層状態の紙葉類Pのうち最下層にある紙葉類Pを筐体212の内部に1枚ずつ繰り出すための繰出部と、繰出部により筐体212の内部に繰り出された紙葉類Pを1枚ずつ搬送するための搬送部と、を備えている。また、搬送部には、載置部214から筐体212の内部に繰り出された紙葉類Pの識別および計数を行うための識別計数部210が設けられている。
次に、識別計数部210の構成について、図15を参照して説明する。図15の(a)は、識別計数部210の概略構成を示す側面図であり、図15の(b)は、その平面図である。識別計数部210は、図15(a)及び(b)に示すように、紙葉類Pの搬送方向における上流側(図示右側)から順に、タイミングセンサ220(220a,220b)、ラインセンサ221、厚み検出センサ222、磁気ヘッド224、テラヘルツ光の送受信ユニット226(226Sa,226Sb,226Ra,226Rb)、及び、タイミングセンサ228(228a,228b)を備えている。識別計数部210において搬送される紙葉類Pは、矢印で示す搬送方向に搬送される。
識別計数部210における最も上流側には、紙葉類Pの搬送方向における左右に一対のタイミングセンサ220a、220bが設けられており、各タイミングセンサ220a,220bにより紙葉類Pが識別計数部210に到来したことが検出される。紙葉類Pの搬送方向におけるタイミングセンサ220a,220bの下流側にはラインセンサ221が設けられている。ラインセンサ221は、紙葉類Pの搬送路を挟むように設けられた発光部221a,221b及び受光部221cを有しており、発光部221a,221bから照射された光(例えば赤色光や赤外光)が受光部221cにより受けられるようになっている。ここで、ラインセンサ221に紙葉類Pが送られてきた場合、発光部221aから照射された光がラインセンサ221内にある紙葉類Pによって反射され、または、発光部221bから照射された光がラインセンサ221内にある紙葉類Pを透過して受光部221cまで到達し、受光部221cで受光された光のデータに基づいてテンプレートマッチングが行われる。このテンプレートマッチングにより、紙葉類Pの種類及び搬送方向が特定される。
紙葉類Pの搬送方向におけるラインセンサ221の下流側には、厚み検出センサ222が設けられている。厚み検出センサ222は、紙葉類Pの厚みを検出することができ、これにより、紙葉類Pに札折れ部分があるか、2枚以上の紙葉類Pの重送が行われているか、又は、紙葉類Pのある部分にテープ等が貼られているか等を検出する。
紙葉類Pの搬送方向における厚み検出センサ222の下流側には、磁気ヘッド224が設けられている。磁気ヘッド224により、紙葉類Pのインク等に含まれる磁気成分から発せられる磁気が検出される。磁気ヘッド224により紙葉類Pの磁性に関する検出値が算出される。
紙葉類Pの搬送方向における磁気ヘッド224の下流側には、テラヘルツ光の送受信ユニット226が設けられており、この送受信ユニット226は、送信ユニット226Sa,226Sbと、受信ユニット226Ra,226Rbとを備えて構成されている。各送受信ユニット226Sa,226Sb及び226Ra,226Rbそれぞれは、紙葉類Pの搬送方向に直交する幅方向の左右それぞれに通路を隔てて設けられており、透過型のテラヘルツ光センサを構成する。テラヘルツ光の送受信ユニット226は、このように複数設けられており、例えば紙葉類Pの搬送方向に対して交差する方向に配置されてもよいし、搬送方向に沿って配置されてもよいし、更に、単独であってもよい。テラヘルツ光の送受信ユニット226は、上述したように、所定周波数(例えば周波数f)のテラヘルツ光を送信ユニット226Sa,226Sbの送信子から送信する。そして、紙葉類Pを透過したテラヘルツ光を受信ユニット226Ra,226Rbの受信子で受信する。なお、テラヘルツ光の送受信ユニット226は、紙葉類Pを通す前に基準板を搬送路に対向させ、基準板を透過したテラヘルツ光の透過光量を測定して基準となる透過パターンを取得して設定し、次に、紙葉類Pを透過したテラヘルツ光の透過光量を測定して透過パターンを取得する。送受信ユニット226の内部ではテラヘルツ光をワイヤーグリッドに通すことで、テラヘルツ光の偏光方向を一方向に揃え、紙葉類P内に含まれる偽造防止構造体5の意図した透過光量を得ることができる。また、偽造防止構造体5内部のエリアによる透過光量の違いを識別するため、テラヘルツ光の照射部の半値幅は、偽造防止構造体5内部の透過光量の異なるいずれのエリアの幅より小さい。
紙葉類Pの搬送方向における送受信ユニット226の下流側には、タイミングセンサ228が更に設けられている。タイミングセンサ228は、紙葉類Pの搬送方向に直交する幅方向の左右に設けられたタイミングセンサ228a,228bを有している。タイミングセンサ228a,228bは、紙葉類Pが紙葉類識別計数装置200から送出されることを検知する。そして、このような構成を備えた紙葉類識別計数装置200では、識別計数部210よりも下流側の箇所において搬送部は2つの搬送路に分岐しており、一方の搬送路には集積部216が接続され、他方にはリジェクト部217が接続されている。識別計数部210により識別および計数が行われた紙葉類Pは、搬送部により集積部216またはリジェクト部217に選択的に送られる。集積部216の前面には開口が設けられており、操作者はこの開口を介して集積部216に集積された真正な紙葉類Pを取り出すことができる。また、リジェクト部217の前面を同様の構成としてもよい。
ここで、テラヘルツ光の送受信ユニット226での識別処理について、図16を参照して更に詳細に説明する。図16に示すように、テラヘルツ光の送受信ユニット226は、テラヘルツ発振子226Sと、テラヘルツ受信子226Rと、テラヘルツ発振子226Sに与える印加電圧を制御する制御回路226aと、テラヘルツ受信子226Rで受信した信号を増幅する増幅回路226bと、増幅した信号をAD変換するAD変換器226cと、識別処理部226dとを備えている。送受信ユニット226では、まず、電圧をかけることでテラヘルツ波を発振出力する素子、例えば共鳴トンネルダイオードであるテラヘルツ発振子226Sに対して制御回路226aにより所定の電圧を印加する。そして、この電圧印加により発振出力されたテラヘルツ波を、出力値としてDC電圧を出力する受信素子、例えばショットキーバリアダイオードであるテラヘルツ受信子226Rで受信する。受信されたテラヘルツ光の受信信号は、増幅回路226bにより増幅され、その後、AD変換器226cでAD変換され、識別処理部226dにおいて、信号の大きさや変化量に基づく識別処理がなされる。テラヘルツ光の送受信ユニット226では、図示しない計数ボタンの押下をトリガとした計数スタート信号により、所定の強度のテラヘルツ光を受けるように、制御回路226aを調整する。そして、偽造防止構造体5を含む紙葉類Pの搬送を開始し、紙葉類Pがタイミングセンサ220で検出されたら、所定間隔毎に受信信号を増幅し、増幅した信号をAD変換して読み取り、識別処理に用いる。このような回路構成での信号処理により、図11の(b)に示すような信号を得ることができる。そして、紙葉類Pの種類毎に決まっているテラヘルツ光の受信光量のパターンと検査紙葉類のテラヘルツ光の受信光量パターンとを比較することにより、紙葉類Pの真贋判定が行われる。「偽」と判定された場合には、制御部から通路切替えの信号が出力され、該当紙葉類はリジェクト部217に送られる。この時、偽券である旨の表示を行う、或いは、音で知らせる等の報知を行ってもよい。受信光量のパターン判定としては、図5(b)又は図11(b)の波形を基準パターンとして、比較することができる。本明細書中で説明した「透過率」は媒体が存在しないときのテラヘルツ電磁波の受光量を一定としたときのテラヘルツ電磁波の「受光量」、「受光強度」或いは「受光信号の大きさ」と置き換えることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、ベース基材として19μmの透明PET上に、下記[剥離保護層の組成]からなる剥離保護層を厚さ1.0μm設けた。
[剥離保護層の組成]
アクリル系樹脂(BR−116:三菱レーヨン株式会社製) 20部
溶剤(トルエン/MEK/酢酸エチル) 40部/35部/5部
次に、剥離保護層の上に下記[回折格子形成層の組成]からなる回折格子形成層を厚さ2.0μmで設けた。また、回折格子形成層上に、160℃、線厚40kg/cmにて所定の回折格子版(ロール状)を押し当て、回折格子エンボスを得た。
[回折格子形成層の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 25部
(ソルバインCH:日信化学工業株式会社製)
ウレタン樹脂 10部
(コロネートT−100:日本ポリウレタン工業株式会社製)
MEK 70部
トルエン 30部
続いて、その上に真空蒸着法にてアルミニウムを導電性層として厚さ60nm設けた。その上にエッチングマスク層として下記[エッチングマスク層の組成]からなるエッチングマスク層を厚さ1.0μm設けた。
[エッチングマスク層の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
(ソルバインC:日信化学工業株式会社製) 30部
MEK 70部
そして、このフィルムを1.5Nの水酸化ナトリウム溶液にてエッチングを行い、水洗後、0.1Nの塩酸で中和し、所定のSRRパターンを得た。その上に下記[接着層の組成]からなる接着層兼絶縁層を2.0μm設け、偽造防止転写箔を得た。
[接着層の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
(ソルバインC:日信化学工業株式会社製)
ポリエステル樹脂 20部
(バイロン200:東洋紡株式会社製)
MEK 25部
トルエン 25部
比較例として、上記実施例の構成のうち、SRRパターンが無い構成の偽造サンプルも作製した。
上記2種類の転写媒体をそれぞれ紙基材の商品券サンプル上に、ホットスタンプにて数ポット状に熱転写を行い、偽造防止媒体の実施例および偽造防止媒体の比較例を作製した。
上記2種類の偽造防止媒体の実施例および偽造防止媒体の比較例は、見た目上は区別が付かないが、図13のように真製品の偽造防止媒体に裏面から光を当てたところ、SRRパターンより光が透過して所定のマークを見ることが出来たが、比較例ではマークが出現しなかった。また、図7の真贋判別装置にて上記2種類の転写箔部分の透過波形を測定したところ、実施例では、図5の(b)のような波形を示したが、比較例では転写箔部分にテラヘルツ電磁波の透過が見られなかったことより、容易に両者の区別(真贋)が判別できた。
1,5…偽造防止構造体、2,9…偽造防止媒体、11,61…ベース基材、12,52…第1のSRRアレイ部、13,53…第2のSRRアレイ部、14,64…第1のSRRパターン、14b,52b,57b…開口部(第1の開口部)、15,55…導電性層、16,66…第2のSRRパターン、16b,53b…開口部(第2の開口部)、17,60…開口部形成層(第1の絶縁層)、18,58…絶縁層(第2の絶縁層)、57…第3のSRRアレイ部、59…接着層、62…剥離層、67…第3のSRRパターン、100…真贋判別装置。

Claims (10)

  1. テラヘルツ電磁波が透過可能なベース基材と、
    前記ベース基材の一方の面側に配置され、テラヘルツ電磁波が透過可能な第1の絶縁層と、
    前記第1の絶縁層の前記ベース基材側とは反対側に配置される導電性層と、を備え、
    前記導電性層は、特定周波数のテラヘルツ電磁波を透過させる第1のパターンを形成する第1の開口部と、前記特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断しつつ可視光を透過させる第2のパターンを形成する第2の開口部とを有し、
    前記導電性層の前記第2の開口部は、前記特定周波数のテラヘルツ電磁波を遮断可能な所定の層厚を有する導電部を含んだ有底形状に形成されており、当該導電部の層厚は前記導電性層の他の部分の層厚よりも薄い、偽造防止構造体。
  2. 前記導電性層の前記第1の絶縁層側とは反対側に配置される第2の絶縁層を更に備え、
    前記導電性層は、前記第1及び第2の絶縁層により挟み込まれて積層される、請求項1に記載の偽造防止構造体。
  3. 前記導電性層は、前記第1の開口部が形成される領域に、光の照射により回折を生じさせる光回折層を有している、請求項1又は2に記載の偽造防止構造体。
  4. 前記ベース基材と前記第1の絶縁層との間に配置され、テラヘルツ電磁波が透過可能であり且つ前記ベース基材からそれ以外の前記各層を剥離可能とする剥離層と、
    前記導電性層の前記第1の絶縁層側とは反対側に配置され、テラヘルツ電磁波が透過可能であり且つ接着性を有する接着層と、を更に備えている、請求項1〜3の何れか一項に記載の偽造防止構造体。
  5. 前記第1及び第2のパターンの少なくも一方は、リング状の一部で内側と外側が接続されたブリッジ部分を有する開口部から形成されており、同一形状からなる前記パターンが等間隔で複数配置されている、請求項1〜の何れか一項に記載の偽造防止構造体。
  6. 複数の前記パターンにおいて、前記リング上における前記ブリッジ部分の角度が同じである、請求項に記載の偽造防止構造体。
  7. 複数の前記パターンにおいて、前記リング上における前記ブリッジ部分の角度が異なる、請求項に記載の偽造防止構造体。
  8. 紙基材又はプラスチック基材を備えた偽造防止媒体であって、
    請求項1〜の何れか一項に記載の偽造防止構造体は、前記導電性層及び前記第1の絶縁層を少なくとも含むようにその一部が前記紙基材又は前記プラスチック基材中に埋められている、又は、前記紙基材又は前記プラスチック基材上に配置されている、偽造防止媒体。
  9. 少なくとも一周波数のテラヘルツ電磁波を発生可能な電磁波発生手段と、
    前記電磁波発生手段によって発生される特定周波数のテラヘルツ電磁波を物体に照射する照射手段と、
    前記物体を透過した前記特定周波数のテラヘルツ電磁波を受信し、受信したテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号に変換する変換手段と、
    請求項1〜の何れか一項に記載の偽造防止構造体に前記特定周波数のテラヘルツ電磁波を照射して透過したテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号と、前記偽造防止構造体に対して基準値として予め測定されているテラヘルツ電磁波の強度に対応した信号との差異を判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記差異があると判定された場合又は前記差異が無いと判定された場合の何れかの場合に判定結果に応じた出力を行う出力手段と、
    を備えている、真贋判別装置。
  10. 請求項に記載の偽造防止媒体を所定の測定方向に移動する際、一定間隔毎に前記テラヘルツ電磁波の強度に対応した信号を測定し、前記判定手段は、それぞれの測定した位置に応じた信号の変動を、予め測定した前記基準値と比較してその差異を判定し、
    前記報知手段は、前記判定結果に応じて出力を行う、
    請求項に記載の真贋判別装置。
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