JP6481580B2 - カソードの製造方法 - Google Patents

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本発明は、カソードの製造方法に関する。さらに詳しくは、非鉄金属などの電解製錬工程に使用されるカソードの種板に溝を形成するカソードの製造方法に関する。
高純度の金属を製造する方法として、電解製錬がある。この電解製錬では、電解液を満たした電解槽中にアノード(純度の低い目的金属からなる電極、または、電解液に溶出しない電極)とカソードを交互に浸漬して通電することにより、カソードの種板表面上に高純度の金属を電着させて製品を製造している。
かかる通電工程では大量の電力を消費することから、電解製錬の生産効率を向上するために、消費電力を低減することが求められている。アノードとカソードは、両者間の間隔が電着に適した距離となるように配設されている。しかし、アノードとカソードの距離が適切な距離から変化すれば、消費電力はその距離の変化の影響を受ける。例えば、アノードとカソードの距離が大きくなりすぎた場合には、電解液の電気抵抗が大きくなり、電着に大きな電力が必要になる。一方、アノードとカソードの距離が小さくなりすぎた場合には、電力の消費は小さくできるものの、カソードの種板に電着が進むと、電着した金属の一部がアノードと接触してしまう場合がある。かかる接触が生じれば、電流がアノードからカソードに直接流れてしまうので、電力が空費される。したがって、アノードとカソードの距離を適切に調整する必要がある。
ところで、カソードの種板(以下単に種板という)は平板状に形成されているが、上下方向(つまり、電解槽に配置したときの上下方向)においてそりや曲げが生じている場合がある。かかるそりや曲げなどの変形が生じた場合には、アノードとカソードの間の距離は、上下方向において一定ではなくなり、位置によって両者間の距離が変化することになる。したがって、カソードは、通常、上下方向の変形を小さくするための加工が施されたのち、通電工程で使用される。
種板における上下方向の変形を小さくするためには、種板に溝状の変形を与える加工が行われる(特許文献1、2)。
種板に溝状の変形を与える工程では、成形装置によって種板に溝を形成する。この成形装置は、上下一対の溝付けローラを複数有しており、上下一対の溝付けローラは鍔部が形成された軸を有している。具体的には、上側のローラー(または下側のローラー)には、その外周に突起を有する山鍔部が設けられており、下側のローラー(または上側のローラー)には、その外周に溝が形成された谷鍔部を有している。このため、上下のローラの軸方向と種板の上下方向が直交するように上下のローラ間に種板を供給すれば、山鍔部と谷鍔部の間に種板が挟まれて、種板にはその上下方向に沿って溝が形成される。そして、溝が形成されればその部分は溝の軸方向には変形しづらくなるので、種板における上下方向の変形を抑えることができる。
特開2001−192879号公報 特開2004−360050号公報
ところで、成形装置において、上下一対の溝付けローラ間の隙間を一定にしていると、種板の板厚が変化しても、溝を形成する際に種板に加えられる力が一定に保たれる。しかし、種板の板厚が変化すると種板の強度が変わるため、溝を形成しても、種板における上下方向の変形を抑える効果を十分に得られない可能性がある。とくに、所定の板厚よりも厚い場合には、種板が頑丈すぎて、種板に加える力が不足し、変形を十分に抑えられないという問題が生じる。
以上のように、従来の方法では、上下一対の溝付けローラによって種板に溝を形成して種板の変形を防ぐ場合において、種板の厚さが変化すると種板に適切な力が加えられず、種板における上下方向の変形を適切に抑制することができないという状態が生じている。したがって、種板の厚さが変化しても、種板の変形を適切に抑えることができる力で溝を形成できるカソードの製造方法が求められている。
本発明は上記事情に鑑み、種板の厚さが変化しても、種板の変形を適切に抑えることができる力で溝を形成できるカソードの製造方法を提供することを目的とする。
(カソードの製造方法)
第1発明のカソードの製造方法は、カソード仕上機を用いて複数本の溝が形成された種板を有するカソードの製造方法であって、前記カソード仕上機は、種板を挟んで溝を形成する鍔部を備えた一対の溝付けローラを有する溝付けローラ対を備えた溝付け部と、該溝付け部の一対の溝付けローラ間の隙間を調整する隙間調整部と、前記一対の溝付けローラ間に供給される種板の厚さを測定する厚さ測定部と、を備えており、前記一対の溝付けローラ間の隙間が、基準板厚の種板に合わせた基準隙間に調整されており、前記厚さ測定部によって測定された種板の測定厚さが基準板厚よりも厚くなると、前記一対の溝付けローラの間の隙間を前記基準隙間よりも大きくし、種板の測定厚さが基準板厚よりも薄くなると、前記一対の溝付けローラの間の隙間を前記基準隙間よりも小さくし、種板の測定厚さに対する前記一対の溝付けローラ間の隙間の変化率、種板の測定厚さが基準板厚よりも厚い場合には、種板の測定厚さが基準板厚よりも薄い場合よりも小さくなるように、補正係数を用いて調整することを特徴とする。
第2発明のカソードの製造方法は、第1発明において、種板の基準板厚が0.75mmであり、前記一対の溝付けローラの間の隙間を、種板の測定厚さが基準板厚よりも厚い場合には、基準板厚の種板に合わせて調整された隙間に、基準板厚と測定厚さの差に対して0.8〜1.2の補正係数を乗じて得られる補正値を加えた量に調整し、種板の測定厚さが基準板厚よりも薄い場合には、基準板厚の種板に合わせて調整された隙間から、基準板厚と測定厚さの差に対して1.5〜2.0の補正係数を乗じて得られる補正値を除した量に調整することを特徴とする。
第3発明のカソードの製造方法は、第1または第2発明において、前記溝付け部の溝付けローラ対における一対の溝付けローラは、前記種板に複数本の溝を同時に形成する複数の鍔部を備えており、前記種板に形成される隣接する一対の溝間の部分が該種板において吊り手が取り付けられる部分となり、かつ、吊り手を挟む一対の溝が同時に形成されるように、前記一対の溝付けローラに設けられていることを特徴とする。
第3発明のカソードの製造方法は、第1、第2または第3発明において、前記一対の溝付けローラに設けられた鍔部は、隣接する溝を同時かつ両者が互いに逆方向に凹むように形成し、各溝付けローラ対における一対の溝付けローラは、前記種板において、他の溝付けローラ対によって形成された溝と異なる位置に溝を形成することを特徴とする。
第5発明のカソードの製造方法は、第1から第4発明のいずれかにおいて、前記種板に形成される溝が、該種板の幅方向の中央から側端縁に向かって順次形成されることを特徴とする。
なお、本明細書において「隣接する溝」とは、種板の幅方向の長さに比べて両溝間の距離が十分に小さい溝を意味している。具体的には、両溝間の距離が種板の幅の半分の長さよりも短い場合が、本明細書における「隣接する溝」に該当する。
(カソードの製造方法)
第1発明によれば、厚さ測定部によって測定された種板の厚さに応じて、隙間調整部によって溝付け部の一対の溝付けローラ間の隙間を調整する。しかも、種板が基準板厚よりも厚くなるほど一対の溝付けローラ間の隙間を大きくし、種板が基準板厚よりも薄くなるほど一対の溝付けローラ間の隙間を小さくする。したがって、種板の厚さに適した力を加えて種板に溝を形成することができるので、製造されたカソードのカソード歪を小さくすることができる。しかも、ローラ間の隙間の変化率を調整する補正係数を、基準板厚に対して種板の測定厚さが厚いか薄いかによって異なるものとしているので、種板が厚くなっても、一対の溝付けローラ間の隙間が過大にならないので、カソード歪を小さくすることができる。
第2発明によれば、種板が厚くなっても、一対の溝付けローラ間の隙間が過大にならないので、カソード歪を小さくすることができる。
第3発明によれば、吊り手の両側に位置する一対の溝を同一の溝付けローラ対で形成するので、カソード歪を小さくすることができる。
第4発明によれば、隣接する一対の溝を同時かつ逆方向に凹むように形成できるので、溝を形成する際の変形を相殺することができる。カソードの種板のそりや曲がりを抑制しかつ幅方向の凹凸を小さくすることができるので、カソード歪を抑制することができる。しかも、各溝には一回しか力が加わらないので、同時に形成された溝の曲げ量等を同じ状態にできる。
第5発明によれば、種板への溝の形成を種板の中央部から順次両端縁に向かって形成できるので、種板に溝を付けた際に発生する応力が中央部に残留することを防ぐことができる。すると、残留応力に起因する成形後の種板の変形を抑制できる。
(A)はカソード仕上機1の溝つけ部10に採用される溝つけローラ対11〜13の一例を示した図であり、(B)は本実施形態のカソード仕上機1によって溝gが形成された種板Sの概略平面図であり、(C)が本実施形態のカソード仕上機1によって溝gが形成された種板Sの概略端面図である。 カソード仕上機1の溝つけ部10に採用される溝つけローラ対11〜13による溝g加工の説明図である。 カソード仕上機1によって溝gが形成された種板Sを使用したカソードCの概略説明図である。 (A)はカソード仕上機1の要部を示した図であり、(B)は溝つけローラ対11〜13の鍔部15〜17の概略説明図である。 カソード歪Xの概略説明図である。 (A)は比較例の溝つけローラ対の概略平面図であり、(B)は比較例の溝つけローラ対によって溝gが形成された種板Sの概略端面図である。 種板Sの板厚とクリアランスの関係を示した図であり、(A)は種板Sの板厚に対してクリアランスの変化量が一定の場合であり、(B)は基準板厚を境界として、種板Sの板厚に対してクリアランスの変化量が変化する場合である。
本発明のカソードの製造方法は、溝付けローラによってカソードの種板に変形を防止するための溝を形成する方法であって、種板に応じて、溝を形成する溝付けローラから種板に加わる力を適切に調整できるようにしたことに特徴を有している。
本発明のカソードの製造方法は、電解製錬による電気銅の製造に使用されるカソードの種板の変形防止に適しているが、かかる種板の製造に限られない。例えば、電気ニッケル電解製錬による電気ニッケルの製造に使用される種板等のように、変形を防止することが求められる種板の製造に使用することができる。
(カソードC)
まず、本発明のカソードの製造方法によって製造されるカソードCの概略を説明する。
図3に示すように、カソードCは、種板Sを吊り手shでカソードビームBから吊り下げたものである。種板Sは、例えば、縦幅が約1000〜1150mm、横幅が約1000〜1150mm、厚さが約0.6〜1.0mmの金属板である。電気銅の製造に使用される場合には、種板Sには、純度が99.99%の電気銅が使用される。
なお、後述するカソード仕上機1では、図示しない種板電解工程から得られた種板Sが収容された種板パレットをカソード仕上機1の装入口に移送すれば、カソードビームBが取り付けられた状態のカソードCが製造される。
そして、このカソードCの種板Sには、その上下方向(カソードCを吊り下げたときに鉛直方向となる方向、図3では上下方向)に沿って延びる溝gが複数本形成されている。この複数本の溝gは、以下に説明するカソード仕上機1によって形成されるので、幅方向(上下方向と交差する方向、図3では左右方向)の凹凸が小さくなり、カソード歪を抑制することができる。したがって、かかるカソードCを使用すれば、通電工程における電力量の消費を抑えることができるので、電解製錬の生産効率を向上することができる。
なお、カソード歪とは、種板Sを上下方向の端縁からみたときにおける、種板Sの厚さを意味している(図5のX参照)。
(カソード仕上機1)
つぎに、上述したカソードCを製造するカソード仕上機1の一例を説明する。
カソード仕上機1は、厚さ測定部、内部応力除去部2、溝付け部10、吊り手形成部、カソードビーム取り付け部、を備えている(図4(A)参照)。
なお、カソード仕上機1は、上記以外にも、種板の裁断、表面付着物の除去、カソード歪の測定などを行う機能を有していてもよい。
カソード仕上機1には、高純度の金属板を所定の寸法(例えば、縦約1m×横約1m)に加工した種板Sと、金属板を所定の寸法(例えば、縦約0.1m×横約0.3m)に加工した吊り手shと、が供給される。
なお、高純度の金属板を裁断して所定の寸法の種板を形成する方法は、バリが少なく平滑な板が得られる方法であればよく、とくに限定されない。
(厚さ測定部)
厚さ測定部は、内部応力除去部2へ供給する種板Sの厚さを測定するものである。厚さ測定部が種板Sの厚さを測定する方法はとくに限定されない。例えば、ノギスによって種板Sの厚さを直接測定してもよいし、超音波等を使用した機器によって測定してもよい。また、レーザー光や放射線等を使用した非接触の厚さ測定機器によって種板Sの厚さを測定してもよい。レーザー光や放射線等を使用した非接触の厚さ測定機器によって種板Sの厚さを測定する場合には、種板Sの厚さを直接測定することはできないが、機器から種板Sの表面までの距離から種板Sの厚さを求めることができる。
なお、後述する隙間調整部においてクリアランスCLを調整に利用される種板Sの厚さは、厚さ測定部によって測定された各種板Sにおける所定の位置の測定値をそのまま使用してもよいし、各種板Sにおける所定の数点を測定したものの平均値を使用してもよい。また、各種板Sにおける所定の区間の厚さを測定し、その測定値の平均値を使用してもよい。
(内部応力除去部2)
内部応力除去部2は、ローラによって種板Sを挟んで、種板Sの内部応力を除去するものである。具体的には、内部応力除去部は、ローラーレベラーを備えている。ローラーレベラーは、種板Sに直接接触するワークローラーを備えたものである。ワークローラーは、上下に千鳥状に配置されており、上下ワークローラー間に種板Sが送り込まれる。すると、種板Sは多数のワークローラーで繰り返し板厚方向に曲げられるので、搬送方向における種板Sの反りや凹凸幅を小さくすることができる。なお、搬送方向は、種板Sの上下方向と一致している。
なお、ローラーレベラーは、ワークローラーを支えるバックアップローラーを備えていることが望ましい。
(溝付け部10)
溝付け部10は、内部応力除去部によって内部応力を除去された種板Sに溝を形成するものである。具体的には、内部応力除去部における種板Sの搬送方向と平行な複数本の溝gを種板Sに形成する。この溝付け部10は、図4(A)に示すように、3対の溝付けローラ対11〜13を備えている。この3対の溝付けローラ対11〜13は、いずれも上下一対の溝付けローラ11A〜13Bを備えている。
図1(A)および図4(B)に示すように、各溝付けローラ対11〜13の溝付けローラ11A〜13Bは、その軸方向の所定の位置に鍔部15〜17が設けられたものである。鍔部15〜17は、溝付けローラ対11〜13ごとに設けられる位置が異なるが、対となる溝付けローラ(例えば溝付けローラ11A,11B)では同じ位置に設けられる。また、対となる溝付けローラ11A〜13Bでは、一方には谷鍔部が設けられ、他方には山鍔部が設けられる(図4(B)参照)。このため、対となる溝付けローラ11A〜13B間に種板Sが通されると、種板Sには、鍔部15〜17に挟まれた部分に谷鍔部側に凹んだ溝が形成される。なお、各溝付けローラ11A〜13Bにおける鍔部15〜17を設ける位置については、後述する。
そして、カソード仕上機1は、各溝付けローラ対11〜13の鍔部15〜17同士の隙間(クリアランスCL、図4(B)参照)を調整する隙間調整部を備えている。この隙間調整部は、各溝付けローラ対11〜13において、対になる溝付けローラ間の距離を調整する調整機構を有している。調整機構の構成は、対になる溝付けローラ間の距離を調整できる構成であればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、調整機構は、シリンダ機構やネジ機構等によって構成することができる。この場合、各溝付けローラ対11〜13の溝付けローラ11A〜13Bを回転可能に保持する軸受を調整機構に連結する。すると、調整機構によって軸受を移動させれば、軸受に保持されている溝付けローラ11A〜13Bを移動させて、対になる溝付けローラ間の距離、つまり、クリアランスCLを調整することができる。
そして、隙間調整部は、上述した厚さ測定部によって測定された種板Sの厚さに基づいてクリアランスCLを調整する機能も有している。この隙間調整部が種板Sの厚さに基づいてクリアランスCLを調整する方法については後述する。
なお、調整機構は、各溝付けローラ対11〜13の両方の溝付けローラを移動させるようにしてもよいし、一方の溝付けローラだけを移動させるようにしてもよい。例えば、溝付けローラ対11であれば、対になる溝付けローラ11A,11Bの両方を移動させるようにしてもよい。また、移動が固定された溝付けローラ11Bに溝付けローラ11Aを接近離間させるようにしたり、移動が固定された溝付けローラ11Aに溝付けローラ11Bを接近離間させるようにしたりするようにしてもよい。
また、隙間調整部は、各溝付けローラ対11〜13ごとにクリアランスCLを変えることが望ましく、これによって各溝gの深さを個別に制御することができる。
また、各溝付けローラ11A〜13Bの製造方法はとくに限定されない。たとえば、軸部aに略リング状に形成した鍔部15〜17を嵌め込み固定して各溝付けローラ11A〜13Bを製造してもよい。また、各溝付けローラ11A〜13Bは、一本の軸状の部材から削り出して製造してもよい。
(吊り手形成部)
吊り手形成部は、溝付け部10によって溝がつけられた種板Sに吊り手shを取り付けるものである。具体的には、帯状の板を、輪状になるようにその両端を種板Sの両面に固定して吊り手shが形成される。例えば、一対の吊り手sh,shを取り付ける場合には、図3に示すような位置に取り付けられる。
(カソードビーム取り付け部)
カソードビーム取り付け部は、吊り手shにカソードビームBを取り付けるものである。具体的には、輪状になっている吊り手sh(例えば、一対の吊り手sh,sh)にカソードビームBを挿通する。このように、カソードビームBを吊り手shに取り付ければ、カソードCが完成する(図3参照)。
(溝付け部10のクリアランスCL調整)
以下では、溝付け部10の隙間調整部よるクリアランスCL調整について詳細に説明する。
溝付け部10の隙間調整部では、上述したように、厚さ測定部が測定した種板Sの厚さに基づいて、各溝付けローラ対11〜13の鍔部15〜17同士の隙間(クリアランスCL)を調整している。このように、種板Sの厚さに応じてクリアランスCLを調整すれば、種板Sの厚さに適した力を加えて種板Sに溝gを形成することができるので、製造されたカソードのカソード歪をより小さくすることができる。
具体的には、溝付け部10の隙間調整部には、溝付けを行う種板Sの基準板厚が入力されている。そして、基準板厚の種板Sを用いてカソードCを製造する際には、クリアランスCLが基準クリアランスに調整される。なお、基準クリアランスとは、基準板厚の種板Sに対して、適切な力で溝を形成できるクリアランスCLのことである。
このように、基準クリアランスを基準板厚の種板Sに対応した値に設定することは、さまざまな種板Sに対応した値に設定するよりも、設定時の板厚のばらつきの影響を受けにくく、信頼性の高い基準クリアランスが得られる利点がある。
なお、種板Sの基準板厚には、種板Sの製造条件から決まる標準的な種板Sの厚みを用いるのが好ましい。例えば、電解製錬による電気銅の製造に使用されるカソードの種板Sを製造する場合には、0.5〜1.0mmの範囲における任意の値を種板Sの基準板厚とすることができる。
また、基準板厚の種板Sに対して適切な力で溝が形成されているか否かは、基準板厚の種板Sを使用して形成されるカソードのカソード歪から判断することができる。具体的には、カソード歪が所定の値よりも小さければ、適切な力で種板Sに溝を形成できていると判断できる。つまり、基準板厚の種板Sに対する基準クリアランスが適切な値に設定されていると判断できる。例えば、電解製錬による電気銅の製造に使用されるカソードの種板S(基準板厚が0.5〜1.0mm)の場合であれば、カソード歪が15mm以下、より好ましくは10mm以下となっていれば、適切な力で種板Sに溝を形成できていると判断できる。
そして、溝付け部10の隙間調整部は、この基準クリアランスを基準として、順次搬送される種板Sの厚さ、つまり、厚さ測定部が測定した種板Sの厚さに基づいて、クリアランスCLを調整する。具体的には、以下のクリアランスCL補正式を使用して求められたクリアランスCLとなるように、各溝付けローラ対11〜13の溝付けローラ11A〜13Bを移動させる(図7(A)参照)。

(クリアランス補正式)
クリアランス=基準クリアランス+(測定した板厚 − 基準板厚)×補正係数
補正係数は、実験等によって得られたものであり、事前に、隙間調整部に記憶されている数値である。この補正係数は、基準板厚に応じた数値が記憶されており、入力される種板Sの基準板厚に応じて、変更するようになっている。
また、補正係数は、例えば、基準板厚よりも厚い種板Sに溝付けを実施する場合の補正係数と、基準板厚よりも薄い種板Sに溝付けを実施する場合の補正係数と、を異なるようにしてもよい。具体的には、基準板厚よりも薄い種板Sに溝付けを実施する場合の補正係数を、基準板厚よりも厚い種板Sに溝付けを実施する場合の補正係数よりも大きくする(図7(B)参照)。このようにすれば、種板Sの板厚が厚くなるにしたがってクリアランスCLを単純に大きくするよりも、各溝付けローラ対11〜13から種板Sに加わる力を適切な力とすることができる。
例えば、種板Sの基準板厚が0.75mmの場合、種板Sの厚さが0.75mmより大きい部分については、補正係数を0.8〜1.2、より好ましくは0.8〜1.0とし、種板Sの厚さが0.75mmより小さい部分については、補正係数を1.5〜2.0とする。すると、測定された種板Sの厚さが基準板厚からある程度ズレても、種板Sには、板厚に応じた適切な力を加えることができるので、種板Sから製造されるカソードCのカソード歪を小さくすることができる。
(溝付け部10の溝付けローラ対11〜13の説明)
以下では、溝付け部10の溝付けローラ対11〜13を詳細に説明する。
まず、溝付け部10の3対の溝付けローラ対11〜13は、種板Sが搬送される方向における上流側から、溝付けローラ対11、溝付けローラ対12、溝付けローラ対13、の順で配設されている(図2(A)参照)。
まず、図2(A)に示すように、溝付けローラ対11は、種板Sにおける中央部に溝gを形成するものである。この溝付けローラ対11には、溝付けローラ対11の軸方向の中央部に鍔部15が複数設けられている。例えば、種板Sの幅方向の中央(種板Sを二等分する線)の鍔部15aと、この鍔部15aに両側に設けられる一対の鍔部15b,15bとを備えている。この鍔部15aと一対の鍔部15b,15bは、種板Sに形成する溝gの凹む方向が逆方向になっている。つまり、鍔部15aと各鍔部15bが、隣接する溝gを形成する鍔部となっているのである(図1(C)参照)。
図2(B)に示すように、溝付けローラ対12は、溝付けローラ対11によって溝gが形成された種板Sに、さらに溝gを形成するものである。この溝付けローラ対12は、溝付けローラ対11によってすでに種板Sに形成されている溝gの外方に溝gを形成するように配置されている。具体的には、溝付けローラ対12は、その軸方向における中央部よりも両端部側に、それぞれ一対の鍔部16a,16bを備えている。そして、この鍔部16aと鍔部16bは、種板Sに形成する溝gの凹む方向が逆方向になっている。つまり、鍔部16aと鍔部16bが、隣接する溝gを形成する鍔部となっているのである(図1(C)参照)。なお、中央部よりの鍔部16aは、溝付けローラ対11の鍔部15bが形成する溝gと逆向きに凹んだ溝gを形成するように設けられている。
しかも、一対の鍔部16a,16bは、種板Sに吊り手shを取り付ける際に、一対の鍔部16a,16bによって形成された溝g(隣接する溝g)の間に吊り手shが取り付けられるように設けられている。言い換えれば、種板Sに吊り手shを取り付けると、一対の鍔部16a,16bによって形成された溝gによって吊り手shが挟まれた状態となるように形成されている(図3参照)。
さらに、図2(C)に示すように、溝付けローラ対13は、溝付けローラ対11,12によって溝gが形成された種板Sに、さらに溝gを形成するものである。この溝付けローラ対13は、すでに溝付けローラ対11,12によって種板Sに形成されている溝gの外方に溝gを形成するように配置されている。具体的には、溝付けローラ対13は、その軸方向の両端部に、それぞれ一対の鍔部17a,17bを備えている。この鍔部17aと鍔部17bは、種板Sに形成する溝gの凹む方向が逆方向になっている。つまり、鍔部17aと鍔部17bが、隣接する溝gを形成する鍔部となっているのである(図1(C)参照)。なお、中央部よりの鍔部17aは、溝付けローラ対12の鍔部16bが形成する溝gと逆向きに凹んだ溝gを形成するように設けられている。
以上のように溝付け部10の溝付けローラ対11〜13が形成されているので、隣接する一対の溝g,gが同時かつ逆方向に凹むように、複数の溝gを種板Sに形成することができる。このため、隣接する溝gを形成した際に加わる力に起因する反りや曲げを相殺することができる。しかも、中央の溝gから順番に凹む方向が逆になるように溝gが形成されているので、カソードCの種板Sのそりや曲がりをより効果的に抑制できる。すると、種板Sの幅方向の凹凸を小さくすることができるので、カソード歪を抑制することができる。
以上のような溝付けローラ対11〜13を有する溝付け部10によって、カソード歪を抑制できる理由をより具体的に説明する。
まず、溝付けローラ対11〜13の鍔部15〜17によって溝gを形成する場合、鍔部15〜17から種板Sに対して、種板を挟んで変形させる力が加わる。この場合、種板Sは溝gが形成されるだけでなく、溝gの周囲の部分が傾いた状態となるように変形する(図1(C)のθ参照)。この傾きは、一方に凹んだ溝gの周囲と、他方に凹んだ溝の周囲で、逆方向に傾くことになる。すると、種板Sにおいて、隣接する溝gの凹む方向を逆方向にすれば、上述した溝gの周囲の傾きを相殺することができるので、カソード歪を小さくすることができる。
また、溝付け部10では、隣接する一対の溝g,gを、同一の溝付けローラ対11〜13によって形成するようになっている。種板Sは、その厚さや硬さが必ずしも均一ではないので、所望の深さや形状の溝gを形成するには、溝付けローラ対11〜13の鍔部15〜17によって種板Sを挟む力を調節する必要がある。この調節は溝付けローラ対11〜13毎に行うので、一の溝付けローラ対が種板Sを挟む力と他の溝付けローラ対が種板Sを挟む力を同じに調整することは難しい。すると、隣接する一対の溝g,gを異なる溝付けローラ対で形成した場合、隣接する一対の溝g,gにおいて、溝gを形成する際の力を適切に調整できない可能性が生じる。すると、隣接する一対の溝g,gを形成した際の変形を相殺することが難しくなってしまう。したがって、種板Sの変形を抑制しカソード歪をより小さくする上では、隣接する一対の溝g,gを、同一の溝付けローラ対11〜13によって形成することが望ましい。この場合、溝付けローラ対11〜13によって種板Sを挟む力を、隣接する一対の溝g,g同士で等しくすることもできるし、隣接する一対の溝g,g同士で一定量の差をつけることも可能となる。つまり、隣接する一対の溝g,gの形状等に合わせて、溝付けローラ対11〜13によって種板Sを挟む力を適切に調整できる。しかも、隣接する一対の溝g,gを同時に形成するので、溝gを形成する際の外乱(温度、気体雰囲気など)の影響を受けにくくなるので、カソード歪をより小さくすることが可能となる。
また、一対の鍔部16a,16bは、種板Sに吊り手shを取り付ける際に、一対の鍔部16a,16bによって形成された溝g(隣接する溝g)の間に取り付けられるように設けられている(図2および図3参照)。そして、一対の鍔部16a,16bによって、カソードビームBと種板Sを連結する吊り手shの両側に位置する一対の溝g,gを同時かつ逆方向に凹ませている。このため、一対の鍔部16a,16bによって形成された隣接する一対の溝gによって、吊り手shの両側に位置する領域における種板Sの曲がりを抑制することができる。つまり、吊り手shの右側の溝gによって吊り手shの右側領域の曲がりを抑制でき、吊り手shの左側の溝gは吊り手shの左側領域の曲がりを抑制できる。このため、吊り手shの近傍の曲がりを適切に抑制することができる。
種板Sは吊り手shで支えられているので、吊り手shの近傍は位置が決まるものの、吊り手shから遠くの部位は、種板Sを上から見ると位置のばらつきが大きく、このばらつきはカソード歪の増大に寄与する。吊り手shから遠くの部位は、種板Sの屈曲(溝gの周囲の傾き)に影響されて位置がばらつくが、屈曲の起点が支点となる吊り手shに近いほど、また、屈曲が大きいほど、吊り手shから遠くの位置は大きく左右される。つまり、カソード歪を小さくするためには、吊り手shの近傍では屈曲が小さいことが望ましい。このため、吊り手shに隣接する溝gについては、溝付けローラ対によって種板Sを挟む力が制約される。したがって、複数対の溝付けローラ対を使用する場合には、吊り手shを挟む溝gを同一の溝付けローラ対によって形成し、他の溝gは、他の溝付けローラ対によって形成することが望ましい。この場合、吊り手shを挟む溝gを形成する溝付けローラ対によって種板Sを挟む力を制限しても、他の溝gを形成する溝付けローラ対が種板Sを挟む力は自由に調整できるので、溝付けローラ対の本数が少なくてもカソード歪を小さくすることができるという利点が得られる。
なお、吊り手shを挟む溝gは互いに逆方向に凹んでいるが、同じ方向に凹ませるようにしてもよい。その場合でも、吊り手shを挟む各溝gと隣接する他の溝gが逆方向に凹んでいれば、カソード歪はある程度小さくすることができる。
(溝gの間隔)
種板Sに形成する隣接する溝gの間隔は、種板Sの幅方向の中央部分は広くして、幅方向の端部は狭くすることが望ましい。種板Sの幅方向の端部は、通電中に変形しやすい。しかし、溝g間隔を狭くしておけば、変形を抑制することができる。例えば、種板Sの幅方向の端部における溝gの間隔を、種板Sの幅方向の中央部分の半分程度にしておけば、通電中にカソードCの種板Sの曲がりやねじれを適確に抑制できる。
(溝形成の回数)
上記例では、種板Sに形成される溝gは、一つの溝gが一つの溝付けローラ対によって形成される場合を説明したが、複数の溝付けローラ対によって種板Sの同じ位置を複数回挟んで一つの溝gを成形してもよい。つまり、一つの溝gを複数の溝付けローラ対によって形成してもよい。しかし、一つの溝gを一つの溝付けローラ対だけで形成するようにした場合、各溝gには一回しか力が加わらないので、溝gに加わる力を一定に保つことが可能になる。すると、形成される溝gの溝深さや溝幅、溝の周囲の傾きなどのばらつきを抑えることができる。
(溝付けローラ対11〜13の配置について)
上記例では、溝付けローラ対11〜13によって、種板Sの幅方向の中央から側端縁に向かって順次溝gが形成される場合を説明した。このように複数の溝gを種板Sの中央部から順次両端縁に向かって形成すれば、種板Sに溝gを付けた際に発生する応力が中央部に残留することを防ぐことができる。すると、残留応力に起因する成形後の種板Sの変形を抑制できる。しかし、溝付けローラ対11〜13により種板Sに発生する応力が小さい場合などのように、残留応力に起因する成形後の種板Sの変形が小さいと考えられる場合には、溝付けローラ対11〜13によって溝gを形成する順番はとくに限定されない。
(溝付けローラ対の数について)
上記例では、3対の溝付けローラ対11〜13によって溝gを形成する場合を説明した。溝付けローラ対は、一対でもよいし、4対以上あってもよい。形成する溝gの数や種板Sの性質に合わせて、カソード歪が小さくなるように適宜設定すればよい。なお、溝付けローラ対を複数対設ければ、各溝付けローラ対が種板Sを挟む力を、溝毎に微調整することも可能となるので好ましい。
本発明のカソードの製造方法を使用することによって、種板の変形を抑制できることを確認した。
実験は、図4(A)に示す構造のカソード仕上機を使用し、上述したクリアランス補正式を使用してクリアランスを調整しながら、カソードを形成し、そのカソードのカソード歪を確認した。
溝付けローラ対は3対であり(図1参照)、各溝付けローラ対における隣接する鍔部は、11本の溝を、以下の位置に形成することができるように配置した。つまり、溝を、種板を8等分する位置に7本、16等分する位置に両端辺から1本ずつ計2本、40等分する位置に両端辺から1本ずつ計2本、の計11本形成できるように鍔部を設けた。また、溝付けローラ対は、鍔部によって形成される各溝gの幅が5〜20mm、深さが5mm以下となるように調節した。
種板には、純度99.99%の電気銅によって形成された種板を使用した。種板の寸法は、縦1050mm×横1070mm×厚さ0.6〜1.0mmの平板状であった。
吊り手も、純度99.99%の電気銅によって形成された板を使用した。板の寸法は、縦300mm×横100mm×厚さ0.6〜1.0mmの帯状のものを使用した。
なお、カソードビームは、30×30×1400mmのものを使用した。
カソード歪は、吊り手が取り付けられた種板にカソードビームを通し、カソードビームを保持してカソードを吊り下げた状態で測定した。カソード歪は、図5に示すXの値である。つまり、種板を板の端縁から見たときにおける種板の幅をレーザー式距離測定器(オムロン製 型番3Z4M−J)によって測定し、カソード歪とした。
(実施例1)
実施例1では、図1に示す溝付けローラ対(3本の溝付けローラ対)を使用した。この溝付けローラ対では、鍔部は、3対の溝付けローラ対によって形成される溝が、種板の中央から外側へ向かって順次溝を形成するように溝付けローラ対に配置されている。しかも、各溝付けローラ対において、種板の中央に対して略線対称な位置に配置され、隣接する溝を形成するように複数の鍔部が並んで配置されている。
また、3対の溝付けローラ対は、いずれも同じクリアランスとした。クリアランスは、上述したクリアランス補正式によって算出した。
なお、クリアランス補正式における各値は以下の通りである。
また、種板Sの板厚は、内部応力除去部に供給される前に、レーザー距離計によって測定した。
1)基準板厚:0.75mm
2)基準クリアランス:1.50mm
3)補正係数:
測定した板厚が基準種板厚さ未満の場合は1.50
測定した板厚が基準種板厚さ以上の場合は1.00
上記の数値を使用した場合、クリアランスは以下のようになる。
例えば、測定した板厚が0.80mmの種板を処理する場合には、クリアランスは1.55mm(1.50mm+(0.80mm−0.75mm)×1.00=1.55mm)となる。
また、測定した板厚が0.60mmの種板を処理する場合には、クリアランス1.275mm(1.50mm+(0.60mm−0.75mm)×1.50=1.275mm)となる。
上述した方法で種板100枚に溝を形成し、この100枚の種板を用いて製造された100枚のカソードについて、カソード歪Xを測定した。100枚のカソード歪Xの平均値は10.1mmであった。
なお、種板における溝の周囲の曲がり角度θの大きさを観察したところ、各溝において、その曲がり角度θの大きさにはばらつきが見られた。しかし、吊り手の両側に形成されている2本の溝を比較したところ、一方の溝の曲がり角度θが大きいカソードは、例外なく、他方の溝も曲がり角度θが大きいことが確認された。したがって、吊り手の両側で、曲がりが相殺されて、変形を抑制できることが確認できた。
(実施例2)
実施例1に対して、補正係数を種板の厚さにかかわらず1.00とした点以外は、実施例1と同様の方法でカソードを100枚製造した。
得られたカソードについて、カソード歪Xを測定したところ、100枚のカソード歪Xの平均値は13.5mmであった。
(比較例1)
実施例1に対して、種板の厚さにかかわらずクリアランスを1.50mmとした(つまり、補正係数を0.00とした)点と溝付けローラRが図6の形状である点(つまり、鍔部の配置)を変更して、他は実施例1と同様の方法でカソードを100枚製造した。
得られたカソードについて、カソード歪Xを測定したところ、100枚のカソード歪Xの平均値は20.5mmであった。
また、得られたカソードの溝の周囲の曲がり角度θの大きさを観察したところ、ばらつきが見られた点は実施例1と同様であるが、吊り手の両側の溝の曲がり角度θに関して、関連性は見られなかった。つまり、一方の溝について曲がり角度θが大きい場合でも、他方の溝については、曲がり角度θにはばらつきがあった、
以上の結果より、本発明のカソードの製造方法を採用すれば、カソード歪Xを効果的に抑制できることが確認された。
つまり、実施例1、2のように、種板の厚さが大きいほど、種板の厚さに対するクリアランスの変化幅を小さくすることによって、カソード歪Xを効果的に抑制できることが確認された。
また、実施例2の結果から、種板の厚さに対するクリアランスの変化幅を一定にしても、種板の厚さが大きいほどクリアランスが大きくなるようにすれば、カソード歪Xを効果的に抑制できることが確認された。
さらに、実施例1、2の結果より、本発明のカソード仕上機のように、吊り手の両側の溝を一本の溝付けローラで同時に形成することによって、カソード歪Xを効果的に抑制できることが確認された。
とくに、実施例2のように、3つの溝を同じ面へ打ち出す条件、つまり、カソード歪Xが大きくなる条件で測定をおこなってもカソード歪Xを抑制できている。このことから、2本目の溝付けローラによる溝の形成が、カソード歪Xの抑制に適していることが推測された。
本発明のカソードの製造方法は、銅やニッケル等の薄い平板状の種板の変形抑制に適している。
1 カソード仕上機
2 内部応力除去部
10 溝付け部
11 溝付けローラ
12 溝付けローラ
13 溝付けローラ
15 鍔部
16 鍔部
17 鍔部
CL クリアランス
C カソード
S 種板
B カソードビーム
sh 吊り手
X カソード歪
g 溝
θ 溝の周囲の曲がり角度

Claims (5)

  1. カソード仕上機を用いて複数本の溝が形成された種板を有するカソードの製造方法であって、
    前記カソード仕上機は、
    種板を挟んで溝を形成する鍔部を備えた一対の溝付けローラを有する溝付けローラ対を備えた溝付け部と、
    該溝付け部の一対の溝付けローラ間の隙間を調整する隙間調整部と、
    前記一対の溝付けローラ間に供給される種板の厚さを測定する厚さ測定部と、を備えており、
    前記一対の溝付けローラ間の隙間が、基準板厚の種板に合わせた基準隙間に調整されており、
    前記厚さ測定部によって測定された種板の測定厚さが基準板厚よりも厚くなると、前記一対の溝付けローラの間の隙間を前記基準隙間よりも大きくし、
    種板の測定厚さが基準板厚よりも薄くなると、前記一対の溝付けローラの間の隙間を前記基準隙間よりも小さくし、
    種板の測定厚さに対する前記一対の溝付けローラ間の隙間の変化率を、種板の測定厚さが基準板厚よりも厚い場合には、種板の測定厚さが基準板厚よりも薄い場合よりも小さくなるように、補正係数を用いて調整する
    ことを特徴とするカソードの製造方法。
  2. 種板の基準板厚が0.75mmであり、
    前記一対の溝付けローラの間の隙間を、
    種板の測定厚さが基準板厚よりも厚い場合には、基準板厚の種板に合わせて調整された隙間に、基準板厚と測定厚さの差に対して0.8〜1.2の補正係数を乗じて得られる補正値を加えた量に調整し、
    種板の測定厚さが基準板厚よりも薄い場合には、基準板厚の種板に合わせて調整された隙間から、基準板厚と測定厚さの差に対して1.5〜2.0の補正係数を乗じて得られる補正値を除した量に調整する
    ことを特徴とする請求項1記載のカソードの製造方法。
  3. 前記溝付け部の溝付けローラ対における一対の溝付けローラは、前記種板に複数本の溝を同時に形成する複数の鍔部を備えており、
    前記種板に形成される隣接する一対の溝間の部分が該種板において吊り手が取り付けられる部分となり、かつ、吊り手を挟む一対の溝が同時に形成されるように、前記一対の溝付けローラに設けられている、
    ことを特徴とする請求項1または2記載のカソードの製造方法。
  4. 前記一対の溝付けローラに設けられた鍔部は、
    隣接する溝を同時かつ両者が互いに逆方向に凹むように形成し、
    各溝付けローラ対における一対の溝付けローラは、
    前記種板において、他の溝付けローラ対によって形成された溝と異なる位置に溝を形成する
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のカソードの製造方法。
  5. 前記種板に形成される溝が、該種板の幅方向の中央から側端縁に向かって順次形成される
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカソードの製造方法。
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