JP6481180B2 - ガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ Download PDF

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Description

本発明は自動溶接はもちろん手溶接にも使用できる実用性に富んだガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチに関するものである。
手溶接における溶接中の作業者は 溶接光保護ヘルメット/メガネなどの減光フィルターを介して溶接部を目視、作業者の熟練技能で溶接作業を行っており、溶接品質は作業者の資質に依存しているのが現状である。
この熟練作業を少しでも支援するために、溶接中の溶接電流や溶接電圧などの溶接パラメータを保護ヘルメットに内蔵した視覚ディスプレーに表示し、減光フィルターを通して作業者が目視している溶接部の状況とディスプレーの溶接パラメータを同時に目視できるようにした作業支援装置が特許文献1に記載されている。
保護メガネに取り付けたセンサカメラからの溶接部画像を同メガネに取り付けた視覚ディスプレーに鮮明に表示し、近年の医科手術に使用される小型双眼鏡サージカルテレスコープと同様な意図で溶接作業を支援する装置も特許文献2に記載されている。
溶接品質を作業者の熟練度だけに頼るのではなく、少しでも熟練度依存を軽減するためこのような提案がなされてはいるが普及していない。
手溶接の溶接品質は人的要因が高いため作業者が目視作業している溶接部の溶接現象を第三者にも見ることが出来るようにするあるいは記録することが溶接作業管理/溶接品質管理として望まれる。
溶接現象の研究時にはカメラで溶接部を画像記録することは一般的に用いられているが、この場合はカメラは固定で溶接物を移動するという実験設備で実施されており、溶接物が固定でトーチを運棒するという一般の手溶接等の溶接工程ではこのようなカメラシステムの適用は難しい。
熟練技能継承用の専用設備として、手溶接トーチに市販の監視カメラを取り付け、溶接作業者が目視する溶接現象の画像記録装置が特許文献3に記載されている。
自動溶接装置や溶接ロボットは、一部はアークセンサーやレーザセンサーで被溶接物の形状誤差/溶接中の被溶接物の変形などを検出し溶接軌跡を追従制御するものもあるがその適用制約により使用はごく一部に限られ、多くは被溶接物の形状誤差や溶接中の変形とは無関係に定められた溶接条件で定められた溶接軌跡を運棒する装置で、一般の形状誤差が含まれる溶接物の溶接はこれらの装置で溶接出来ないのが現状である。
溶接熟練作業者が一般の溶接物を目視しながら溶接する作業をロボット化するという理想の自動化をめざし、すなわちカメラの溶接部可視化情報を基に被溶接物の誤差/変形に対応した自動溶接が出来るようする、溶融池とその近傍の画像を取り込みトーチの運棒や溶接電流溶接電圧などの溶接条件を適合させ溶接する手段が特許文献4など多くの文献に記載されてはいるが、これも一般的には普及していない。
TIG溶接においてカメラの溶接部画像から電極位置、フィラーワイヤ位置、溶融池形状を判断し高能率な溶接をする装置が特許文献5に記載されているが、これも普及していない。
これら文献で記載されていることを実用的に具現化するうえで必要な溶接環境でのカメラ保護対策、すなわちカメラの高温対策とスパッタ/ヒュームからのレンズ/フィルター保護に対して、以下のような提案がなされている。
レーザ溶接時のカメラの高温対策として水冷ホルダーによる間接冷却とパージガスによるカメラと光学部品の直接空冷の両冷却を組合わせる方法が特許文献6に記載されている。
消耗電極式溶接においてレンズやフィルターの保護対策としてΦ2mm以下の穴を開けたピンホールを具備しピンホールの内側と外側の両方からエアーまたはガスにより圧力を掛ける方法が特許文献7に記載されている。
レンズやフィルターの保護対策として、シールドガスで回転させた羽根車でスパッタを跳ね飛ばす方法を用いた視覚センサー内蔵トーチが特許文献8に記載されている。
溶接部のアーク光と溶融池光の分析データを基に溶融金属部と開先周辺を鮮明に可視化するに適したフィルターは既に多くの研究がなされ市販されている。また溶接光保護ヘルメットを着けたままで溶接前の溶接開始点と溶接中の溶接部が見られるように溶接前と溶接中で減光度が自動的に変わる液晶フィルターも市販されている。
特表2013−504437号公報 特開2001−259883号公報 特開2006−281270号公報 特開平8−174217号公報 特開2000−301340号公報 特開2001−292353号公報 特開平7−299565号公報 特開2003−164971号公報
上記の多くの特許文献でも解るように、溶接工支援、溶接の作業管理・品質管理、被溶接物の形状誤差や溶接中の変形に対応するロボット溶接、TIGフィラー自動溶接等の溶接工程に関する種々の要求を溶接部可視化カメラを用いて解決する提案がなされているにも関わらず一般溶接工程に普及しない原因は、溶接部可視化カメラとそのシステムが一般溶接工程における作業性や実用性を阻害する、すなわち現行の溶接トーチと同じ程度の大きさと重さ、同じ程度の部品交換や清掃頻度の保守性、期待に応えらられる価格の視点で満足していないためである。
近年、携帯電話用に小型高性能カメラの開発が進み、高輝度から暗部まで撮影可能なダイナミックレンジの広い一辺1cm程度の小型CMOSイメージセンサーやCPU/FPGA等の画像処理用マイクロプロセッサーが安価に提供されるようになってきた。
高性能高機能な溶接用光学フィルター、液晶画像表示器、デジタル記憶装置、デジタルカメラの顔認証に代表される画像処理ソフトなども安価に提供されている。
小型高性能な各種デジタル機器/技術が安価に提供されて、小型カメラを用いて溶接工程に関する種々の要求を実現する可能性が出てきた現在、溶接部可視化カメラを一般溶接工程で汎用的に使用できるようにする場合の課題は、溶接環境、すなわち高温環境でのカメラの稼働保障と、スパッタやヒュームからレンズ/溶接光フィルターを保護する実用的な方法にある。
高温対策について、特許文献6記載のガスパージするガスとして冷却用の専用ガスを使用する場合には、現在使用されている汎用トーチに更に水ホースと冷却用ガスのガスホースが必要となり作業性を阻害する。
特許文献7記載のレンズやフィルターをスパッタやヒュームから保護するためピンホールの内側と外側の両方からエアーなど専用ガスで圧力を掛ける場合には、現在使用されている汎用トーチに更に専用のガスホースが必要となり作業性を阻害する。
溶接部可視化カメラとそのシステムが作業性や実用性を阻害しないようにするためには、カメラ冷却やレンズやフィルターをスパッタやヒュームから保護するために水冷水や保護専用のガスを用いてはならない。
消耗電極式のCO2/MAG/MIG溶接では通常出口直径12〜20mmのノズルに対し毎分15〜30リットルのシールドガスが、非消耗電極式のTIG溶接では出口直径8〜15mmのノズルに対し毎分5〜15リットルのシールドガスが使用されている。
このガス流量は穏やかに溶接部全体を包み溶融部の酸化を保護する、すなわちガスシールドするに適正な流量で、少なすぎても多すぎても一般的には良好な溶接が出来ない。
本発明が解決しようとする課題は、例えば携帯電話用等に開発された高性能で安価な小型CMOSイメージセンサーや電子部品を用い、ガスシールドアーク溶接に使用するシールドガスとその流量だけで、高温環境にあるカメラの稼働保障とスパッタやヒュームからレンズ/フィルターの保護、現行のトーチハンドルを持ち作業する作業性と同等の作業性や現行のチップやノズルなどの部品交換清掃頻度と比較し同等の保守性を保ち、そして溶融部に必要なガスシールド環境を具現化する新規なトーチの構造にある。
溶接部可視化カメラとそのシステムが手溶接を含む一般溶接工程における作業性や保守性を満足する、すなわち現行の溶接トーチと同じ程度の大きさと重さ、溶接電源とトーチを接続するケーブルやホースも同じ本数や同じ程度の太さ、同じ程度の部品交換や清掃頻度の保守性、期待に応えらられる価格の視点で満足することが本発明の理念である。
手溶接作業者が溶接部を見る場合、シールドガスノズルやチップ、電極などが視界を遮るため、作業者は斜め前方から見るが、この作業者と同じ視角にカメラを固定すると、溶接トーチと外付けカメラが一体となった場合、現行の溶接トーチと同じ程度の大きさにはなりえない。
溶接トーチのシールドガスノズル直上に可視化本体を設け、溶接部を始点としシールドガスノズル内面を通り、消耗電極式溶接の場合はチップの軸に対して傾いた軸を、非消耗式溶接の場合は電極棒に対して傾いた軸をカメラの光軸としてカメラを可視化本体に取付け、すなわちチップや電極棒が取り付いたトーチボディ先端部の中心軸から傾斜した軸にカメラの光軸を取って一辺1cm程度の小型カメラを取り付け、シールドガスノズル内側を通して溶接部を斜め上方から見る構造を採用することにより、ノズル上部近辺が小型カメラ分だけは大きくなるが図1のように現行トーチと略同じ程度の大きさにすることが出来る。
溶接部とその近傍の状態を図10を用いて説明する。電極ワイヤ5又は電極棒51からアーク80が発生、図10の左から右方向に溶接する場合には図の右側すなわち溶接方向の前方には未溶接部分である溶接線81、次に溶接中の溶融池82、後方には溶接後の溶接ビード83が有る。トーチボディ先端部の中心軸から傾斜した軸すなわち斜め上方から溶接部をカメラで撮影する都合上、後方からの撮影85の場合にはアーク80や電極ワイヤ5/電極棒51あるいはチップ(図示せず)などに溶接線が隠れて見えない。溶接作業に不可欠な溶接線81を見るには前方からの撮影84でなければならない。
この対策として例えばカメラがトーチボディ先端部の中心軸を中心として回転調整できる構造をとることにより、作業者がトーチハンドルを持ちどの方向に溶接しても、溶接線を見るに最適な撮影方向にカメラを向けることができる。また、図11に示すようにトーチボディ先端部の中心軸Oから偏心した軸Pの周りをカメラが取り付いたトーチ先端部分が回る、あるいは図12に示すように溶接作業において作業者がトーチハンドル1を握るそのトーチハンドル1の長軸Xとトーチボディ先端部の中心軸Oが作る面にあって長軸Xと直交する軸Zの周りをトーチ先端部分が回る構造でもカメラの撮影方向を変えることが出来る。また間接型ロボットにトーチを取り付けた場合は、ロボットの関節構造の協調動作によりカメラをトーチボディの中心軸を中心として回転することもできる。
溶接トーチにカメラを取付ける場合の課題の一つが高温対策で、溶接部からの輻射熱により本体カバーが高温になりカバーに覆われたカメラ制御電子部品が二次的にその輻射熱を受ける。また、カメラ制御電子部品を搭載したプリント基板には、高温になっている溶接トーチとの取付け接触部分から熱伝導で熱が伝わる。カメラ光学系は、特に光学系前段のフィルター等はアークの強力な紫外線や溶融池からの赤外線の直撃を受ける。
現行の溶接トーチと同じ程度の大きさと重さという本特許の理念を達成するには、この輻射熱と伝導熱がカメラに伝わり難くする設計上の工夫とともに、これらの熱で温度上昇するカメラをシールドガスだけで効率的に冷却する方法が必要である。
従来の溶接トーチではシールドガスはトーチボディ内部を流れガスノズル内に放出されるが、本発明ではトーチボディ内部を流れたシールドガスはガスノズル直上のカメラが収納されている可視化本体と本体カバーに囲まれ外部と遮断されたた内部空間に放出される。
実施例に示すカメラの撮影方向をトーチボディの周りに可視化本体を回転して変える構造の場合は、例えばシールドガスはトーチボディ内部を流れトーチボディのガス出口穴から、カメラをトーチボディを中心にどの角度に回転調整してもガス通路を確保するためトーチボディに加工された円筒形のガス溜りを通り、可視化本体のガス入口穴に入る。
可視化本体入口穴から流れ出たシールドガスは、本体カバーで覆われた内部空間に流入した後、可視化本体に取り付けられたカメラ制御プリント基板上の電子部品に直接接触しながら流れ、次にカメラ光学系部品、特に最前段のフィルター等には高速のシールドガスが接触しながら流れ各部品を冷却、最後に可視化本体とシールドガスノズルを遮蔽した遮蔽部にある覗窓からシールドガスノズル内に放出される構造をとる。
本発明で使用するカメラは特許文献6に記載されたようなカメラとして市販されているケースに収まった物ではなく、プリント基板が露出、例えばプリント基板に搭載されている電子部品の下面はプリント基板に密着して半田付けされているが、上面は露出している(塗装コーチングは薄いため露出とみなす)。カメラの電子部品の少なくとも一部分(上面)が露出しているため電子部品がシールドガスと接触面積をもつ形態のため、流れるシールドガスで効率よく冷却される。
本発明で冷却用としてシールドガスに着目する理由は、例えば多くの工場で配管されている圧縮空気を電子部品等の冷却用に使用すると溶接トーチまでもう一本のホースが必要となり作業性を悪化するという理由の他に、工場配管の圧縮空気は水分など不純物を含み露出した電子部品に接触すると回路の安定性耐久性の課題が発生するが、シールドガスは溶融部の酸化防止等のため含有水分などその成分に不純物が含まれないよう厳密に管理されているガスのため電子部品などが露出してガスが長期間電子部品に直接接触しても回路の安定性耐久性に及ぼす影響は少なく、この面から露出電子部品の冷却用のガスとしてシールドガスは最適であるという点にある。
このようにカメラの電子部品の少なくとも一部分が流れるシールドガスに直接接する構造で、溶接部からの輻射熱や溶接トーチからの熱伝導により温度上昇するカメラ部品を効果的に冷却することができ、且つシールドガスの高純度の効果で電子部品が露出していても電子回路の安定性耐久性を保持することができる。
溶接トーチにカメラを取付ける場合の課題のもう一つがカメラ光学部品のフィルターやレンズへのスパッタ/ヒューム対策で、高速気流で光学部品に向かって来るスパッタ/ヒュームの飛来を防止する方法が考えられる。
ただ、現行の溶接トーチと同じ程度の大きさと重さなどの実用性を保つためスパッタ/ヒューム対策を溶接に使用するシールドガスのみの利用に限定した場合、良好な溶接品質を得るためのガスシールド性の面から利用できるガス流量は、消耗電極式溶接では通常出口直径12〜20mmのノズルに対し毎分15〜30リットルのシールドガス、非消耗電極式溶接では出口直径8〜15mmのノズルに対し毎分5〜15リットルのシールドガスに限定されることに留意しなければならない。
ガス流量をW(リットル/分)、流出穴の直径をD(mm)とすると、流出穴から流出するガス平均流速V(m/秒)は、流量を流出穴の断面積で割れば算出され、次式で示される。
(数1)
V=(21.2×W)/(D×D)
本発明のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチでは、流出穴はカメラと溶接部を結ぶ光軸上に設けた遮蔽部の覗窓である。
携帯用カメラのレンズ外観から理解できるように小型カメラのレンズ径は非常に小さく、覗窓の手前例えば1cm程度手前にカメラを置くと、直径2mm程度の小さな覗窓を通して、溶接部からカメラまでの距離に相当するカメラから10cm程度(上記の覗窓手前1cmの10倍の位置)前方では、覗窓直径の10倍の直径約20mmの被写体の画像を得ることができる。シールドガスノズルの内寸を考えるとこの画像の大きさはシールドガスノズル内部を通して溶接部を見るには十分な大きさである。
覗窓を直径2mm、シールドガス流量を通常の消耗電極式溶接の最少流量15リットル/分とすると、(数1)から、覗窓が1個の場合の覗窓を通過するシールドガスの平均流速は80m/秒、2個の場合は流速40m/秒となる。台風では“風速40m/秒以上は木や家を倒す猛烈な風”と表現される相当な高速流でスパッタ対策として十分な速度である。
CO2/MAG/MIG溶接などの消耗電極式溶接とTIG溶接など非消耗電極式溶接では適正使用ガス流量が異なるとともに、この流量でスパッタの発生が多い消耗電極式溶接ではスパッタ対策とヒューム対策が、スパッタの発生が少ない非消耗電極式溶接では主としてヒューム対策を行うことが必要となる。
多くの実験結果からスパッタとヒューム対策が必要な消耗電極式溶接では30m/秒以上の流速が、ヒューム対策が必要な非消耗電極式溶接では4m/秒以上の流速で一定の侵入防止効果あることが解った。
流体機器で使用されるオリフィスのような薄い板に穴を明けた覗窓形状での実験結果では、この流速で永続使用した場合にはスパッタがカメラのフィルター部にまで達する場合もあり、長期使用時に補修が必要となり、永続使用時のスパッタ流入対策として更なる研究を行った。
ガス流速は高速であっても、瞬間の被曝ではスパッタ侵入防止対策としては永続使用時に不十分で、より効果的にスパッタの流入を防止するためには、スパッタがシールドガスの高速気流に曝される時間あるいは高速ガス流に被曝される距離が必要で、実験結果では覗窓が上記の流速となる入口最小部の穴径d(図2参照)と以下に記す円錐台形状において4mmの最低被曝距離L(図2参照)が必要であることが判明、円錐台形状の高さが最低被曝距離L(4mm)以上ある場合に永続使用に有効なスパッタ侵入防止効果が見られた。
溶接中の溶融部の酸化保護、すなわちガスシールドは溶接部を出来るだけ穏やかなガスで覆うことで溶接品質が向上する。この視点から円筒状の覗窓から円筒状直径のままで溶融部に直進直撃するシールドガスではなく、覗窓は円錐台形状に加工され覗窓側面に則してガスが図5のように広がり流出することが有効である。
覗窓が円錐台形状の場合、覗窓直径が円錐下部に行くほど広がり、ガス流速が遅くなり、スパッタ侵入防止効果も衰えていく。上記の覗窓入口径と長さがある場合、覗窓の円錐角θ(図2参照)が20度以下であれば、カメラまでのスパッタ/ヒュームの侵入防止機能を維持することが実験結果で判明した。
溶接に使用するシールドガスとその流量のみで永続的なカメラへのスパッタ/ヒューム侵入防止対策とより良好な溶接品質確保のためには、覗窓は円錐台形状部分を有し、必要な最低流速と使用できる最少流量を用いた(数1)の計算からその円錐台の入口直径dは消耗電極式溶接の場合は覗窓1個の場合Φ3.2mm以下、窓2個の場合Φ2.3mm以下、非消耗電極式溶接の場合は覗窓1個の場合Φ5.1mm以下、窓2個の場合Φ3.6mm以下、、円錐角θは20度以下、最低被曝距離Lすなわちの円錐台高さ4mm以上の円錐台形状を有する覗窓が必要となる。
更なる実用性向上のための長期間にわたる実用評価試験や、部品精度や組立精度のバラツキによる性能差を量産試作で確認した結果、覗窓や後述する保護体の出口穴側面へのスパッタ付着や覗窓や保護体の表面粗さや組立て精度などによりガス通路の空気力学面からの幾何学的対称性が失われた場合、幾何学的非対称性がトリガーとなりシールドガスは図6のような偏ったガス流れとなり溶接部のガスシールド性が悪化することが解った。
シールドガスが旋回流として覗窓に流れ込み噴出すると、図7のように図5より更に広がった噴出流となるとともに、覗窓出口近傍部分へのスパッタ付着等によりシールドガス通路の空気力学面からの幾何学的対称性が失われても、偏りの少ない螺旋状に噴出し、溶接部のガスシールドの安定性の面で効果があることが解った。
ガスが円錐状に直進する場合に比較し螺旋状になることで、侵入したスパッタが遠心力で外周方向に曲がり、特に覗窓の円錐台高さを長くした場合にはスパッタが奥まで侵入することが少なくなり螺旋状の効果が発揮される。
また、直進性シールドガスはガスシールドに穏やかさが欠ける傾向があるのに対し、螺旋状の拡散性シールドガスは横向き外周方向に進む速度成分を持ち、覗窓を通過した後、シールドガスノズル内面にまで広がり、シールドガスノズル内面に則して進み、シールドガスノズルとの接触で減速し、溶接部を非常に穏やかにガスシールド、非常に良好なガス雰囲気を作ることも判明した。
この螺旋状のガス流れを具現化する方法が、シールドガスが可視化本体と本体カバーで囲まれた内部空間から覗窓に直進し噴出することが出来なく、しかし撮影に必要な光は直進できるように、覗窓入口直径より大きく且つ光路上に位置する透明な遮風透明体と、光を遮ることが無いように光路にかからない内側から外壁に接するまで二次元に湾曲あるいは三次元形状でシールドガスを旋回状に案内するブレード有し、カメラ側のブレード側面に遮風透明体が接合するガス旋回機構を覗穴直前に設ける構造である。この構造により図2の矢印92のように周囲から流れ込むシールドガスはブレードに案内され旋回し覗窓より図7のような螺旋状となり噴出する。
安定した広がりの有る流れを得るために円錐台高さすなわち覗窓の長さをスパッタ侵入防止最低被曝距離4mmより長くする、あるいはより穏やかな広がりのあるガスシールドを得るために4mmより長い部分の円錐角を広くした覗窓(図8参照)の場合は、長い部分の覗窓出口穴側面にスパッタが付着しやすくなる。また、可視化本体内側とシールドガスノズル内側の間を遮蔽するため可視化本体に形成された遮蔽部の外面(シールドガスノズル側)はそのままではスパッタの発生源である溶融池の直上になるため多くのスパッタが付着する。
スパッタが付着した場合、これを剥がすと可視化本体の付着面が損傷する。スパッタ剥がしを繰り返し大きく損傷した時には重要部品であるカメラを取り付けた可視化本体を補修交換せねばならない。実用化の観点から、可視化本体の遮蔽部の外面を覆う部分と覗窓の少なくとも出口側部分から成る保護体を設ける。スパッタが付着し易い部分に保護体を設け、保護体にスパッタが付着するようにすると可視化本体はスパッタ付着から保護される。
さらにシールドガスノズルと接触する保護体の側面形状をシールドガスノズル内面に勘合する形状にするとともに、シールドガスノズルの内面の保持形状で、例えばシールドガスノズルがテーパ状であれば勾配で/ストレート(筒状)であればシールドガスノズル内面に凸部(図8参照)を設けシールドガスノズル形状で保護体の落下を防止し保護体を可視化本体側に固定するようにする。このような構造を採ることでシールドガスノズルを外した時に同時に保護体が外れる。チップ交換やノズル清掃時などシールドガスノズルを外した時に外れた保護体の清掃/交換作業をその時に行えば保守時間も少なくて済む。覗窓は溶接部を見るカメラの小窓でもありスパッタの付着は視野を狭める。スパッタの多いCO2/MAGの消耗電極式溶接では保護体を清掃手段として設けることは実用面で有効である。
“実用”とは、一般の溶接トーチでは、チップ交換やノズル清掃、ノズル交換や絶縁筒交換などの為に保守/補修作業が定期的に行われるが、ガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチにおいても一般トーチの定期保守/補修作業と同時期に覗窓清掃作業やガス旋回部ユニットの補修部品交換があっても実用性を阻害しない、これが“実用”の意味するところである。
本発明では溶接機とトーチハンドル間のカメラケーブルが必要になるが、従来の手溶接トーチでは必ず具備しているトーチスイッチケーブルの芯線数を増やし、これをカメラケーブルに充てると、従来トーチも本発明のトーチも同じ数のホース/ケーブルとなり作業性を大きく損なうことはない。
本発明により、溶接部を撮影するカメラを内蔵するも、シールドガスノズル内側から溶接部を見る為にシールドガスノズルの上部と、そして小型カメラ分収納部だけ従来のトーチボディ部分が大きくなっただけで全体としては現行の溶接トーチと同じ程度の大きさとなる。さらにトーチボディ先端部を中心軸としてカメラが回転出来る為どの方向に溶接しても作業者は溶融地や溶接線を見ることができる。
更に、シールドガスと溶接に使用するその流量のみで内蔵カメラの高温対策とスパッタ/ヒューム対策が出来るようになり、したがって溶接機と溶接トーチを接続するケーブルとホースの本数は現行のアーク溶接用トーチと同じ、スパッタ付着時の対応も保護体を設けることで現行溶接トーチと同じ程度の清掃/部品交換頻度となる。更に携帯電話用の大量生産された小型カメラの流用により期待に応えらられる価格も実現できる。
このような本発明の特徴を持つガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチは、従来の溶接部可視システムが持ていた作業性や実用性を阻害する要因を解決、従来は研究室や専用設備に限定されていた溶接部可視化の効果を一般溶接工程で広く発揮することができ、手溶接/ロボット溶接を問わず溶接施工に採用できその実用面における効果は非常に大きい。
先端技術のイメージセンサー/液晶/画像処理用マイクロプロセッサー/画像処理技術は技術革新による高性能化が著しく、将来この最新技術を採用することで更なる高速鮮明画像が得られると、その高速鮮明画像の応用は溶接法/溶接施工そのもの概念を変えることになる可能性がある。その場合にも従来技術の応用である本発明がその実用化を支える基本技術となる。
本発明の実施形態に係るガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチの前方全体写真。 本発明の実施形態に係るガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチの先端部の構造を示す正面図と側面図で、理解を深める為側面図と正面図の左半分はシルードガスノズル、本体カバー及びケーブルカバーを外した外形図、正面図右半分は断面図である。 本発明の実施形態に係るガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチのガス旋回部ユニットの詳細を示す三面投影図と構成する各部品の斜視図である。 本発明の実施形態に係るガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチのガス旋回部ユニットの3次元の案内面を持つ3個のブレードの一つを取り出したブレードの斜視図である。 覗窓が円錐台形状の場合の噴出するガスの形状を示した説明図である。 図5の覗窓にスパッタの付着や加工形状精度により空気力学的対称性が失われた場合の噴出ガス形状を示した説明図である。 ガス旋回ユニットを使用した場合の噴出ガス形状を示した説明図である。 図2の正面図の右断面図の遮蔽部の実施形態から、覗窓と保護体とシールドガスノズルの形状を変えた遮蔽部の事例を示す説明図である。 非消耗電極式溶接トーチのトーチ先端部の構造を消耗電極式溶接トーチと比較して示した説明図である。 溶接部とその近傍の状態と撮影方向を示す説明図である。 カメラがトーチボディ先端部の軸から偏心した軸の周りを回る構造の説明図である。 カメラがトーチハンドルの長軸に対し直交する軸の周りを回る構造の説明図である。
本発明のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチの消耗電極式溶接用のCO2/MAG/MIG溶接用トーチの一形態を図面とともに説明する。
なお、図5〜9は、説明を補足する説明図で以下の文中で引用する。
図1はトーチの全体像で一般の現行トーチとほとんど同じ形状、トーチハンドル1の前方にカメラを内蔵した可視化本体部分があり、この部分の構造を図2に示す。
図2の側面図と正面図の左半分は理解しやすいようにガスシールドノズル20と本体カバー11(二点鎖線で図示)を外した時の外形図面、右半分は断面図で、溶接電流の流れるトーチボディ2の先端部にはチップ3が取付き、トーチボディ2の内部にはワイヤガイド4があり、その中に溶接用の電極ワイヤ5があり、ワイヤガイド4の外径とトーチボディ2の内径の隙間90にはシールドガス(図示せず)が流れる。この構造は従来の一般的なCO2/MAG/MIG溶接用トーチと同じである。
チップ3及びトーチボディ2先端部の軸に対し溶接部を始点として傾斜したカメラ光軸がシールドガスノズル20を通して溶接部を向くようにカメラ(レンズ16、イメージセンサー15、カメラプリント基板13等で構成される)を可視化本体6に取付け、カメラと溶接部を結ぶ光軸上の可視化本体6に設けた覗窓21からシールドガスノズル20の内側を通して斜め上から溶接部を見る。
トーチボディ2の外径寸法に合わせ中心部に穴加工された可視化本体6はトーチボディ2に挿入され、上下を2個のCリング7で回転可能な状態で止められている。
トーチボディ2には内部から外部に向かうガス穴8が加工され、更にトーチボディ2の外周には円筒状のくぼみ形状のガス溜り9が加工され、トーチボディ2の内部を流れてきたシールドガスはガス穴8からトーチボディ2の全周に亘りくぼんだガス溜り9に入る。
可視化本体6にはガス穴10が加工され、可視化本体6がどの位置に回転してもシールドガスはガス溜り9からガス穴10を通り、本体カバー11で囲まれた内側空間91に流れ出る。
トーチボディ2に取付けられたOリング12によりシールドガスはトーチハンドル側に漏れることはない。
カメラプリント基板13には画像処理用マイクロプロセッサー14等電子部品が上面は露出した状態で下面をプリント基板13に半田付されている。保持筐体18にイメージセンサー15、レンズ16、フィルター17が取り付けられ、保持筐体18はカメラプリント基板13に取付けられ、レンズ16などの光軸はシールドガスノズル20の内側を通して溶融池などの溶接部に向いている。
シールドガスはこの露出した電子部品の表面を矢印92に示すように流れ部品を冷却する。
実施形態ではフィルター17として、溶接開始点も溶接中の溶融部も見ることが出来るように溶接開始前と溶接中の減光度合が変化する液晶フィルターと溶接中の溶接部を鮮明化する光学バンドパス干渉フィルターを搭載している。(図示せず)
また図2の実施形態は、トーチボディ2を対称にして2個のカメラが可視化本体6に取り付けられ、2個の覗窓21が有り、可視化本体6を溶接方向に回転することで溶接前の溶接線と溶接中の溶融池を見る前方カメラと溶接後の溶接ビードを見る後方カメラの二つのカメラが搭載されている。
プリント基板13後方のカメラ制御ケーブル19は出口穴にガス封じをして可視化本体6からトーチボディ2に固定されたケーブルカバー27内へ引き出される。このケーブル19はトーチボディ2に半周分巻き付くことが出来る余裕の長さを持ってトーチハンドル1に入る。可視化本体6が回転した場合はケーブル19はトーチボディ2に余裕長さ分が巻き付き、この構造で可視化本体6は電気的にも回転可能な状態になっている。
可視化本体6にはシールドガスノズル20が取付けられ、可視化本体6の底部はシールドガスノズル20との間を遮蔽する形状で、この遮蔽部に在ってカメラからシールドガスノズル内側を通し溶接部を見る光軸上に、実施形態では入口最小部の直径d=2.2mm、円錐角θ=15度、安定した広がりの有る流れを得るために可視化本体6の部分と保護体28の部分を合わせ最低被曝距離L=4mmより長い円錐台形状の覗窓21が加工され、この覗窓21はカメラの光路とともにシールドガスの噴出口をも兼ねている。下記のガス旋回部ユニットを付属しない覗窓21だけの場合には、覗窓21の側面に則してシールドガスは流れ図5のような広がる噴出流となる。
覗窓21や後述する保護体18の出口穴側面へのスパッタ付着などによりガス通路の空気力学面からの幾何学的対称性が失われた場合、幾何学的非対称性がトリガーとなりシールドガスは図6のような偏ったガス流れとなり溶接部のガスシールド性が悪化する。この対策として、可視化本体6には覗窓21と同心の円筒状のくぼみ22が加工され、この中に遮風透明体23、ブレード24、覗窓板25の3種類の部品からなるガス旋回部ユニットが挿入されている。
実施形態では耐熱ガラス製の遮風透明体23には紫外線カットと遠赤外線カットのコーティングが施され(図示せず)更にカメラレンズ系の一部として遮風透明体23はレンズ状になっている。
このガス旋回ユニット部の詳細構造を図3に図示し、シールドガスの流れを図2とともに説明する。
覗窓21の入口穴径より大きな直径の遮風透明体23はブレード24の上面(カメラ)側に接着接合されている。本体カバー11の内側空間91から覗窓21を通してシールドガスノズル20内へと噴出しようとするシールドガスは遮風透明体23に行く手を遮られ覗窓21の真上から覗窓21に向かって直進することはできなく、可視化本体6の円筒状のくぼみ22の上部と遮風透明体23の外周の隙間から図2の矢印92のように流れ込む。なお、遮風透明体23は光を通す透明材料でできていえる為、光は直進しカメラは溶接部を撮影することが出来る。
覗窓板25はくぼみ22と同径の円形で、且つ覗窓板25の中心(くぼみ22は覗窓21と同心、くぼみ22と覗窓板25は同径のため覗窓板25の中心は覗窓21と同心となる)に覗窓21の入口直径と同等又は少し大きい直径の中心穴をもつ薄い板でブレード24の下面(出口)側に接着接合されている。なお、覗窓板25はブレード24の下部強度を補強しガス旋回ユニットがシールドガスの風圧で動かない程度にくぼみ22に軽く圧入できるようにするものでブレード24自身の強度が圧入に耐えるものであれば覗窓板25は必要ではない。
ブレード24は、ブレード24の一端が覗窓21の穴から内側に出てカメラの視界に入らないように覗窓板25の中心穴の外周から、くぼみ22の内周に接するまで二次元に湾曲した円弧形状で、遮風透明体23の外周隙間から流れ込んだシールドガスは三枚のブレード24の間をブレード形状に案内され旋回しながら流れる。旋回しながら流れてきたシールドガスは覗窓板25の前記中心穴を通り覗窓21から図7に示した螺旋状になって噴出する。
図4は3次元の案内面を持つ3個の三次元案内ブレード26のうち、理解しやすいように一個の三次元案内ブレード26−1を取り出した斜視図である。この三次円案内ブレード26は上記の2次元に湾曲したブレード形状と、これに加えこの2次元に湾曲した二つのブレード24の間に、くぼみ22の上面から下方の覗窓板25の穴の外周に傾斜したもう一つのすり鉢状の案内面を持つ形状を併せ持つ3次元形状で、2次元に湾曲した形状部でシールドガスを旋回状に案内し、上面から下面へのすり鉢形状でシールドガスを外周から覗穴21へ円滑に案内する。
覗窓21の長さをスパッタ侵入防止最低被曝距離Lより長くした場合や、図8の覗窓21のように最低被曝距離Lより長い部分の先端部の円錐角をスパッタ/ヒューム侵入防止のための円錐角θより広くした覗窓形状の場合は、長い部分の覗窓側面にスパッタが付着し易い。またカメラの有る可視化本体6の内側とガスシールドノズル20の内側の間を遮蔽するため可視化本体6に形成された遮蔽部の外面(シールドガスノズル側)はそのままではスパッタの発生源である溶融池の直上になるため多くのスパッタが付着する。この覗窓側面と遮蔽部外面の両面のスパッタ付着対策として、可視化本体6の遮蔽部の外面を覆う部分と覗窓21の出口側部分から成る保護体28を設ける。スパッタが付着し易い部分に保護体28を設け、保護体28にスパッタが付着するようにすると可視化本体6はスパッタ付着から保護される。
実施例では覗窓21の入口は可視化本体6に形成されているが、図8に示すように保護体28に覗窓21全てを形成しても良い。
保護体28のシールドガスノズル20と接触する側面の外形はシールドガスノズル20の内側形状と同形状で、シールドガスノズル20の内側形状がこの実施形態ではテーパ形状になっているため上下方向も固定される。ガスシールドノズル20を外すと工具なしに保護体28は可視化本体6から外れ、チップ交換あるいはノズル清掃時に同時に保護体28を取り外し清掃できる。
実施例ではシールドガスノズル20の内面はテーパ―状であるが、図8に示すような可視化本体とシールドガスノズルの取付け面がストレート(筒状)の場合にはシールドガスノズル20の内面に凸部29を設けシールドガスノズル20の内面形状で保護体28を保持する。
図9で一般的な非消耗電極式溶接のTIGトーチのトーチ先端部(図9のB)の構造を本実施例を含め一般的な消耗電極式溶接用のトーチ先端部(図9のA)と比較しながら説明する。図9のA,B共に左が外形図、右が断面図である。Aの消耗電極式溶接法は送給モータ(図示せず)によりワイヤガイド4を通し供給される電極ワイヤ5がトーチボディ2に取付いたチップ3に接触することで溶接に必要な電力が電極ワイヤ5に給電される。Bの非消耗電極式溶接法はネジ(図示せず)などの推進力で押し出されるコレットチャック52によりタングステン製の電極棒51がコレットボディ50に固定され、トーチボディ2に取付いたコレットボディ50から溶接に必要な電力が電極棒51に供給される。本発明に係る視点から見た場合、ガスシールドアーク溶接用トーチにおいて消耗電極溶接法と非消耗電極溶接法の違いは電極と電極に溶接電力を供給する部品の一般的に用いられる名称が違うだけである。本発明のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチの非消耗電極式溶接のTIG溶接用トーチの本発明にかかる一実施形態は、図2の電極ワイヤ5とチップ3を電極棒51とコレットボディ50に置き換えたものである。
カメラが1台で覗窓21が1個の場合は、可視化本体6を回転して溶接線と溶融池部のみを見る場合に使用、覗窓21のシールドガス流速が速いため保護体28の清掃頻度が少ない特長がある。
1 トーチハンドル
2 トーチボディ
3 チップ
4 ワイヤガイド
5 電極ワイヤ
6 可視化本体
7 Cリング
8 トーチボディのガス穴
9 ガス溜り
10 可視化本体のガス穴
11 本体カバー
12 Oリング
13 カメラプリント基板
14 マイクロプロセッサー
15 イメージセンサー
16 レンズ
17 フィルター
18 保持筐体
19 カメラ制御ケーブル
20 シールドガスノズル
21 覗窓
22 くぼみ
23 遮風透明体
24 ブレード
25 覗窓板
26 三次元案内ブレード
27 ケーブルカバー
28 保護体
29 凸部
50 コレットボディ
51 電極棒
52 コレットチャック
80 アーク
81 溶接線
82 溶融池
83 溶接ビード
84 前方からの撮影
85 後方からの撮影
90 ワイヤガイドと導体の間隙
91 可視化本体と本体カバーの空間
92 シールドガスの流れ

Claims (7)

  1. ガスシールドアーク溶接用トーチにおいて、チップ又は電極棒が先端に取り付けられたトーチボディと、溶接部を撮影するカメラを有し前記トーチボディの先端側に取り付けられた可視化本体と、前記トーチボディの前記先端側の中心軸又は前記先端側の前記中心軸から偏心した軸又はトーチハンドルの長軸と前記先端側の前記中心軸で作る面にあって前記長軸と直交する軸を中心として前記カメラが回転出来る構造と、前記可視化本体に取り付けられ前記溶接部に向ってシールドガスを噴出するシールドガスノズルを備え、前記可視化本体において、前記カメラは、そのカメラ光軸が前記シールドガスノズル内側を通り且つ前記チップ又は前記電極棒の軸に対し傾斜するように取り付けられ、前記シールドガスノズルの内側から前記溶接部を撮影するとともに、前記トーチボディの前記先端側の前記中心軸又は前記先端側の前記中心軸から偏心した軸又はトーチハンドルの前記長軸と前記先端側の前記中心軸で作る面にあって前記長軸と直交する軸を中心として前記カメラが回転することにより前記溶接部の撮影方向を変えることができるガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ。
  2. 前記可視化本体を覆い前記カメラの有る内側空間を形成する本体カバーと、前記内側空間に前記シールドガスを流入する前記可視化本体に設けたガス穴と、前記カメラ光軸上に設けられた覗窓を有し該覗窓に面する領域を除いて前記カメラを遮蔽する遮蔽部を備え、前記カメラで前記覗窓を通して前記溶接部を撮影するとともに、前記シールドガスが前記ガス穴から前記カメラの有る前記内側空間に流入した後に前記覗窓から前記シールドガスノズルへ噴出する請求項1記載のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ。
  3. 前記内側空間にある前記カメラの電子部品が前記シールドガスと接触面積をもつ請求項2記載のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ。
  4. 消耗電極式溶接の場合は、前記覗窓において、円錐台形状で円錐台形状の頂部にあたる前記覗窓入口部分の最小直径が前記覗窓1個の場合Φ3.2mm以下、前記覗窓2個の場合Φ2.3mm以下で、且つ最小直径部分から出口に向って開く円錐角が20度以下で、且つ円錐台形状の高さが最小直径部分から出口に向って少なくとも4mm、このような形状の部分を有する請求項2記載のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ。
  5. 非消耗電極式溶接の場合は、前記覗窓において、円錐台形状で円錐台形状の頂部にあたる前記覗窓入口部分の最小直径が前記覗窓1個の場合Φ5.1mm以下、前記覗窓2個の場合Φ3.6mm以下で、且つ最小直径部分から出口に向って開く円錐角が20度以下で、且つ円錐台形状の高さが最小直径部分から出口に向って少なくとも4mm、このような形状の部分を有する請求項2記載のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ。
  6. 前記覗窓の入口径より大きく且つ光を通す材料でできた遮風透明体と、二次元に湾曲あるいは三次元形状で前記シールドガス流れを旋回状に案内するブレードを備え、前記カメラ側の前記ブレード側面に前記遮風透明体を接合し、これを前記可視化本体にある前記覗窓の入口部に配し、前記遮風透明体の側面あるいは前記ブレードの外側面より流入した前記シールドガスが前記ブレードにより旋回状に案内され前記覗窓から前記シールドガスノズルへ螺旋状に噴出する請求項2記載のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ。
  7. 前記遮蔽部は、前記可視化本体側の部分と、該部分を覆い且つ前記覗窓の少なくとも出口側が形成された保護体を備え、スパッタを前記保護体で受け前記可視化本体をスパッタから保護するとともに、前記シールドガスノズル内面形状で前記保護体を前記シールドガスノズル内に保持し、前記シールドガスノズルの取り外し時に前記保護体も外れることを特徴とする請求項2記載のガスシールドアーク溶接用カメラ内蔵トーチ。
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