JP6481165B2 - 化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
例えば、有機EL素子には、電極と発光層のほかに、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層が設けられている場合が多い。通常これらの層は、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極の順序で積層されている。電極と発光層のほかに、これらの層を設けることで、正孔と電子とが発光層内で再結合をする確率を高めることができ、有機EL素子の発光効率を向上させることができる。
発光材料として蛍光材料を用いた場合、S1からのエネルギーしか光に変換されない。これに対し、リン光材料を用いた場合、T1からのエネルギーも光に変換される。このため、発光材料として、蛍光材料を用いた有機EL素子よりも、リン光材料を用いた有機EL素子の方が、高効率化が期待できる(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
ホスト材料として使用する電子輸送性材料や両電荷輸送性材料も多数報告されている(例えば、非特許文献6参照)。発光層が、ホスト材料と、発光材料からなるゲスト材料とを含み、ホスト材料として電子輸送性材料や両電荷輸送性材料を用いた有機EL素子においても、ホスト材料自身のT1エネルギーをゲスト材料よりも大きくする必要がある。
また、正孔輸送層のバンドギャップエネルギーは、HOMOレベルとLUMOレベルから必然的に決まる。有機EL素子を高効率化するためには、正孔輸送層のバンドギャップエネルギーが3.0eV以上となる正孔輸送層材料を用いることが好ましい。
また、上記の化合物を含む正孔輸送層を備えた長寿命で発光効率の高い有機EL素子を提供することを課題とする。
すなわち、下記一般式(1−1)に示される化合物は、分子構造の中心骨格であるジアミノビフェニル基と、2つのジベンゾチオフェン、または、2つのジベンゾフランとを含むものである。そして、2つのジベンゾチオフェン、または、2つのジベンゾフランの間に配置されたジアミノビフェニル基が、Xa、Xbにより平面性を崩したものである。このため、下記一般式(1−1)に示される化合物を用いた正孔輸送層では、バンドギャップエネルギーが広くなると推定される。さらに、一般式(1−1)においては、Ya、Ybが、以下に示す特定の置換基である。このため、一般式(1−1)に示される化合物を用いた正孔輸送層を備える有機EL素子の電気的特性が、適切な値になると推定される。
(1)2つのジベンゾチオフェンの間、または、2つのジベンゾフランの間に配置されたジアミノビフェニル基を含む下記一般式(1−1)に示される化合物。
Xa、Xbは各々独立して水素、または下記(a)〜(c)のいずれかを示す。XaとXbのうち、いずれか一方が水素である場合、他方は水素以外である。
Ya,Ybは各々独立して下記(d)を示す。
(a)は、置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基である。(a)置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基の置換基は、アルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。
(b)(d)は、置換基を有してもよい芳香族環式基である。(b)(d)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。(b)(d)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
(c)は、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。
Xa、Xbは各々独立して水素、または下記(a)〜(c)のいずれかを示す。XaとXbのうち、いずれか一方が水素である場合、他方は水素以外である。
Ya,Ybは各々独立して下記(d)を示す。
(a)は、置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基である。(a)置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基の置換基は、アルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。
(b)(d)は、置換基を有してもよい芳香族環式基である。(b)(d)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。(b)(d)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
(c)は、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。
(4)YaとYbのうち、いずれか一方または両方がフェニル基であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物。
(5)YaとYbのうち、いずれか一方または両方が2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル基であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物。
(6)前記2つのジベンゾチオフェンの置換位置、または、前記2つのジベンゾフランの置換位置が4位であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物。
(7)前記2つのジベンゾチオフェンの置換位置、または、前記2つのジベンゾフランの置換位置が2位であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の化合物。
(9)前記発光層が、ホスト材料と、発光材料からなるゲスト材料とを含み、前記ホスト材料が、電子輸送性材料または正孔と電子の両電荷輸送性材料であることを特徴とする(8)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(10)ゲスト材料が、リン光材料であることを特徴とする(9)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
また、本発明の有機EL素子は、本発明の化合物を含む正孔輸送層を備えたものであるので、長寿命で発光効率の高いものとなる。特に、発光層が、電子輸送性材料または両電荷輸送性材料からなるホスト材料と、リン光材料からなるゲスト材料とを含むものである場合、発光効率の高い有機EL素子となる。
本発明の化合物は、上記一般式(1−1)に示されるものである。
一般式(1−1)に示される化合物は、分子構造の中心骨格であるジアミノビフェニル基と、2つのジベンゾチオフェン、または、2つのジベンゾフランとを含み、Xa、Xb、Ya,Ybを以下に示す特定のものにしたものであるため、電気的・熱的安定性に優れている。
Xa、Xbは、分子構造の中心骨格であるジアミノビフェニル基の平面性を崩し、これを正孔輸送層材料として用いた正孔輸送層のバンドギャップエネルギーを広くする目的で導入される。
Xa、Xbは各々独立して水素、または下記(a)〜(c)のいずれかを示す。XaとXbのうち、いずれか一方が水素である場合、他方は水素以外である。
(a)は、置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基である。(a)置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基の置換基は、アルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。
(b)は、置換基を有してもよい芳香族環式基である。(b)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。(b)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
(c)は、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。
環状のアルキル基としては、Xa、Xbにより中心骨格であるジアミノビフェニル基の平面性を崩す観点から炭素数3以上のものが好ましい。また、環状のアルキル基としては、Xaおよび/またはXbが大きすぎることによる立体障害を避けるという観点から、炭素数8以下のものが好ましい。
直鎖状又は分岐状のアルコキシ基としては、熱安定性、ガラス転移温度の観点から炭素数1〜15であるものが好ましく、大きすぎる立体障害を避けるという観点から特に炭素数1〜8であるものが好ましい。
上記(b)の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜30のものが挙げられる。炭素数6〜30の芳香族炭化水素基としては、6π電子系、10π電子系、12π電子系、14π電子系のものが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テルフェニル基、アンスリル基、アズレニル基、フルオレニル基、ピレニル基、フェナンスリル基、ナフスリル基等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基の中でも、合成のし易さや、中心骨格であるジアミノビフェニル基の平面性を崩す観点から、フェニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
これらの置換基を有する上記(b)の芳香族環式基は、分子構造の中心骨格であるジアミノビフェニル基の平面性を崩すことができる。上記(b)の置換基としての鎖状又は環状のアルキル基は、炭素数1〜25のものが好ましく、大きすぎる立体障害や、ガラス転移温度の低下を避けるという観点から、炭素数1〜8のものがより好ましい。
XaとXbのうち、いずれか一方が水素である場合、他方は水素以外である。この場合、分子構造の中心骨格であるジアミノビフェニル基の平面性を崩すことができる。XaとXbのうち、いずれか一方が水素である場合、他方は(a)置換基を有してもよい直鎖又は環状のアルキル基またはアルコキシ基、(b)置換基を有してもよい芳香族環式基、(c)ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。
Ya,Ybは各々独立して(d)置換基を有してもよい芳香族環式基を示す。上記(d)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。上記(d)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
YaとYbは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記(d)の置換基としての鎖状又は環状のアルキル基は、適切な立体障害の効果の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
上記(d)の置換基としてのハロゲン基は、合成のし易さの観点からフッ素基が好ましい。
なお、下記一般式(1−6)〜(1−10)において、Xa、Xbは各々独立して水素、(a)置換基を有してもよい直鎖又は環状のアルキル基またはアルコキシ基、(b)置換基を有してもよい芳香族環式基、(c)ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかを示す。XaとXbのうち、いずれか一方が水素である場合、他方は水素以外である。(a)置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基の置換基は、アルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。(b)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。(b)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
下記一般式(1−6)〜(1−10)において、Ya,Ybは各々独立して(d)置換基を有してもよい芳香族環式基を示す。上記(d)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。上記(d)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
ジアミノビフェニル基に結合されたアミノ基の結合位は、合成のし易さの観点から、5,5’位または4,4’位であることが好ましい。
なお、下記一般式(2−6)〜(2−10)において、Xa、Xbは各々独立して水素、(a)置換基を有してもよい直鎖又は環状のアルキル基またはアルコキシ基、(b)置換基を有してもよい芳香族環式基、(c)ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかを示す。XaとXbのうち、いずれか一方が水素である場合、他方は水素以外である。(a)置換基を有してもよい直鎖の又は環状のアルキル基またはアルコキシ基の置換基は、アルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。(b)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。(b)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
下記一般式(2−6)〜(2−10)において、Ya,Ybは各々独立して(d)置換基を有してもよい芳香族環式基を示す。上記(d)置換基を有してもよい芳香族環式基の置換基は、鎖状又は環状のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基のいずれかである。上記(d)の芳香族環式基は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
ジアミノビフェニル基に結合されたアミノ基の結合位は、合成のし易さの観点から、5,5’位または4,4’位であることが好ましい。
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極との間に、発光層と、前記発光層の前記陽極側に配置された正孔輸送層とを備えたものである。本発明の有機EL素子の正孔輸送層は、本発明の化合物を含むものである。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。図1に示す有機EL素子1は、基板2上に第1電極9(陽極)と、正孔注入層8と、正孔輸送層7と、発光層6と、電子輸送層5と、電子注入層4と、第2電極3(陰極)とがこの順に形成された積層構造を有している。
なお、図1に示す有機EL素子1は、基板2上に形成された有機EL素子1を構成する積層構造に、無機化合物からなる層が含まれているHOILED素子であってもよい。この場合、例えば、図1に示す有機EL素子1において、無機化合物からなる層として、無機の酸化物からなる電子注入層4と、無機の酸化物からなる正孔注入層8とが設けられているものとすることができる。無機化合物は、有機化合物と比較して安定である。このため、HOILED素子は、無機化合物からなる層を含まない有機EL素子と比較して、酸素や水に対する耐性が高く、好ましい。
また、図1に示す有機EL素子1は、基板2と発光層6との間に陽極として機能する第1電極9が配置された順構造のものである。
基板2の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明のものだけでなく不透明のものも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
図1に示す有機EL素子1における第1電極9は、陽極として機能するものである。第1電極9の材料としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、In3O3、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnO等の酸化物等が挙げられる。この中でも、第1電極9の材料として、ITO、IZO、FTOを用いることが好ましい。
第1電極9の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。
第1電極9の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
本実施形態における正孔注入層8は、正孔注入層8の材料として通常用いることができるいずれの化合物を用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。具体的には、正孔注入層8の材料として、下記一般式(131)に示されるPEDOT:PSS、フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
正孔注入層8が酸化バナジウムおよび/または酸化モリブテンを主成分とするものである場合、第1電極9(陽極)から正孔を注入して発光層6又は正孔輸送層7へ輸送する正孔注入層8としての機能が、より優れたものとなる。また、酸化バナジウムおよび酸化モリブテンは、それ自体の正孔輸送性が高いため、第1電極9から発光層6又は正孔輸送層7への正孔の注入効率が低下するのを好適に防止できる。
正孔注入層8の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
正孔輸送層7は、発光層6に接して配置されている。
正孔輸送層7には、上記の一般式(1−1)に示される化合物からなる正孔輸送性材料が用いられている。したがって、正孔輸送層7は、バンドギャップエネルギーが大きく、電気的・熱的安定性に優れるものとなる。その結果、図1に示す有機EL素子1は、長寿命で高い発光効率を有するものとなる。
図1に示す有機EL素子1では、正孔輸送層7のバンドギャップエネルギーが大きく、LUMOレベルが適切であるため高い電子ブロック性が得られる。したがって、発光層6に供給された過剰な電子が、正孔と再結合することなく、発光層6から正孔輸送層7に抜け出てしまうことを防止できる。よって、図1に示す有機EL素子1では、発光層6から正孔輸送層7に電子が抜け出てしまうことによる発光効率の低下が抑制され、再結合効率が向上することで高い発光効率が得られる。
正孔輸送層7の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
第2正孔輸送層に用いる正孔輸送性有機材料としては、各種p型の高分子材料(有機ポリマー)や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
第2正孔輸送層の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
発光層6は、電荷輸送・再結合の役割を担うホスト材料と、発光材料からなるゲスト材料とからなる。
ホスト材料としては、電子輸送性材料または正孔と電子の両電荷輸送性材料が用いられている。具体的には、電子輸送性のホスト材料として、下記一般式(132)に示されるBepp2、下記一般式(133)〜(137)に示される化合物などが挙げられ、特に、金属錯体である下記一般式(132)に示されるBepp2であることが好ましい。
リン光材料としては、下記一般式(161)〜(189)に示される緑色〜赤色リン光材料などが挙げられる。ゲスト材料としてリン光材料を用いることで、リン光発光を利用する有機EL素子となる。その結果、ゲスト材料として、蛍光材料を用いた有機EL素子と比較して、発光効率を向上させることができ、好ましい。
発光層6の平均厚さは、触針式段差計により測定してもよいし、水晶振動子膜厚計により発光層6の成膜時に測定してもよい。
電子輸送層5に用いる材料としては、フェニル−ジピレニルホスフィンオキサイド(POPy2)のようなホスフィンオキサイド誘導体、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ)2)、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの電子輸送層の材料の中でも、POPy2のようなホスフィンオキサイド誘導体、Alq3のような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体を用いることが好ましい。
電子輸送層5の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
電子注入層4として有機化合物からなるものを設ける場合には、電子注入層の材料として通常用いることができるいずれの化合物を用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。具体的に例えば、ポリエチレンイミン、ポリ(9,9−ビス(6’’−トリメチルアンモニウムヘキシル)フルオレン−コ−アルト−フェニレン)ウィズブロマイドコウンテリオンズ(FPQ−Br)、ポリ(9,9−ビス(3’−ジメチルアミノ)プロピル)2,7−フルオレン−アルト−2,7−(9、9−ジオクティルフルオレン)(PFNR2)、ポリアルキレンオキシド等が挙げられる。
また、電子注入層4の材料は、上記の材料に限定されるものではなく、例えば、LiFなどを用いてもよい。
電子注入層4の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
図1に示す有機EL素子1における第2電極3は、陰極として機能するものである。第2電極3としては、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、第2電極3としてAu、Ag、Alを用いることが好ましい。
第2電極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。また、第2電極3として不透過な材料を用いる場合でも、例えば、平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型及び透明型の陽極として使用できる。
第2電極3の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により第2電極3の成膜時に測定できる。
図2は、本発明の有機EL素子の他の例を説明するための概略断面図である。図2に示す有機EL素子1Aは、基板2上に第1電極9と、電子注入層4と、電子輸送層5と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8と、第2電極3とがこの順に形成された積層構造を有するものである。
図2に示す有機EL素子1Aは、基板2上に陰極として機能する第1電極9が形成され、基板2と発光層6との間に第1電極9が配置された逆構造のものである。
また、本発明の有機EL素子は、図1および図2に示す各層の間に、さらに他の層を有していてもよい。
これらの層を形成する材料としては、これらの層を形成するために通常用いられる材料を用いることができる。また、これらの層を形成する方法としては、これらの層を形成するために通常用いられる方法を用いることができる。
(合成例1)
一般式(1−83)に示される化合物を、以下に示す方法により合成した。
以上の工程を行うことにより、上記一般式(1−192)に示される化合物を、収量3.75g、収率53%で得た。化合物の同定は、質量分析にて分子イオンピークが目的物と一致することで行った。
以上の工程を行うことにより、上記一般式(1−194)に示される化合物を、収量3.79g、収率86%で得た。化合物の同定は、質量分析にて分子イオンピークが目的物と一致したことで行った。
撹拌子を備えた150mLシュレンク管に、アルゴン雰囲気下でビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)5.17g(18.8mmol)、2,2’−ビピリジル2.94g(18.8mmol)、1,5−シクロオクタジエン2.03g(18.8mmol)、DMF20mLを収め密栓し、60℃で30分間攪拌の後、室温に冷却した。
以上の工程を行うことにより、HPLC純度が98.5%の目的物を、収量3.01g、収率88%で得た。その後、得られた目的物をアセトンで洗浄、さらにトルエンによる再結晶生成を繰り返し、HPLC純度が99.9%の上記一般式(1−83)に示される化合物を、収量1.55g、回収率51%で得た。
カラム「InertSustain、C18、5μm、4.6mm×150mm(逆相系)」、溶離液「アセトニトリル:THF=90:10」、流速「1.0ml/min」、UV検出器「254nm」
1H−NMR、CDCl3 δ1.98(s、6H)、6.89−7.00(m、8H)、7.08(d、J=8.2Hz、4H)、7.22−7.00(m、4H)、7.31−7.45(m、8H)、7.7(d、J=7.3Hz、2H)、7.98(d、J=7.8Hz、2H)、8.13(d、J=7.3Hz、2H)
一般式(1−83)に示す化合物を、上記とは別の以下に示す方法により合成した。
攪拌子を備え、アルゴン置換した300mLのシュレンク管に、上記一般式(1−190)に示される4‐ブロモジベンゾチオフェン(13.16g、50mmol)、上記一般式(1−195)に示されるアニリン(4.66g、50mmol)、酢酸パラジウム(225mg、1.0mmol)、トルエン(150mL)、トリ−t−ブチルホスフィン(202mg、1.0mmol)、及びt−ブトキシカリウム(5.61g、50mmol)を入れて密閉し、100℃で10時間、攪拌した。
1H−NMR、DMSO−d6、δ:6.85(t、J=7.3Hz、1H)、6.98(d、J=7.8Hz、8H)、7.23(t、J=8.3Hz、2H)、7.32(d、J=7.8Hz、1H)、7.45(t、J=7.8Hz、1H)、7.50−7.53(m、2H)、8.01−8.03(m、2H)、8.17(s、1H)、8.33−8.35(m、1H)
攪拌子を備え、アルゴン置換した100mLのシュレンク管に、上記一般式(1−196)に示される化合物(2.11g、8.0mmol)、上記一般式(1−197)に示される4,4’−ジヨード−2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル(1.74g、4.0mmol)、酢酸パラジウム(36mg、0.16mmol)、トルエン(50mL)、トリ−t−ブチルホスフィン(32mg、0.16mmol)、及びt−ブトキシカリウム(0.90g、8.0mmol)を入れ、密閉した後に、100℃で10時間、攪拌した。
下記一般式(1−202)に示される化合物を、以下に示す方法により合成した。
撹拌子を備えた四つ口フラスコに、アルゴン雰囲気下で上記一般式(1−198)に示される2−ブロモトルエン(11.97g、70.0mmol)のジエチルエーテル(140mL)溶液を調整し、−15℃まで冷却した。1.6M(モル/L)のn−ブチルリチウム(45mL、72mmol)を滴下した後、2時間撹拌した。その後、ホウ酸トリメチル(7.27g、70.0mmol)を加え、徐々に室温(rt)に昇温させながら、そのまま、20時間撹拌した。反応溶液に水を加え、反応を停止させた後、減圧下でエーテルおよびヘキサンを除去した。
反応液を分液ロートに移し、有機相と水相を分離し、エーテルで抽出作業を行った。有機相を炭酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過、濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて、上記一般式(1−199)に示される化合物を単離した。目的物の同定はGCMSにて行った。収量は7.84g、収率は61%であった。
撹拌子を備えた四つ口フラスコに滴下ロートを取り付け、容器内をアルゴン置換し、上記一般式(1−199)に示される2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル(5.47g、30.0mmol)のジクロロメタン(90mL)溶液、および塩化ジルコニウム(0.35g、1.5mmol)を入れ、−15℃まで冷却した。
一般式(1−107)に示される化合物を、以下に示す方法により合成した。
攪拌子を備え、アルゴン置換した300mLのシュレンク管に、上記一般式(1−203)に示される2−ブロモジベンゾチオフェン(13.16g、50mmol)、上記一般式(1−195)に示されるアニリン(4.66g、50mmol)、酢酸パラジウム(225mg、1.0mmol)、トルエン(150mL)、トリ−t−ブチルホスフィン(202mg、1.0mmol)、及びt−ブトキシカリウム(5.61g、50mmol)を入れ、密閉した。その後に、100℃で18時間、攪拌した。
攪拌子を備え、アルゴン置換した100mLのシュレンク管に、上記一般式(1−204)に示される化合物(2.11g、8.0mmol)、上記一般式(1−197)に示される4,4’−ジヨード−2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル(1.74g、4.0mmol)、酢酸パラジウム(36mg、0.16mmol)、トルエン(50mL)、トリ−t−ブチルホスフィン(32mg、0.16mmol)、及びt−ブトキシカリウム(0.90g、8.0mmol)を入れ、密閉した。その後、100℃で18時間、攪拌した。
下記一般式(1−95)に示される化合物を、以下に示す方法により合成した。
攪拌子を備え、アルゴン置換した200mLのシュレンク管に、上記一般式(1−205)に示される1−メチル−2−ブロモ−4−クロロベンゼン(5.02g、20.0mmol)及びジエチルエーテル(50mL)を入れ、攪拌し、−15℃まで冷却した。そこに、1.6M(モル/L)のn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液(13.0mL、20.5mmol)を滴下した。1時間攪拌した後、ホウ酸トリメチル(2.13g、20.5mmol)を加え、冷却バスを外して−15℃から室温まで昇温しつつ、20時間攪拌し、上記一般式(1−206)に示される化合物を得た。
化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR、DMSO−d6、δ:1.98(s、6H)、7.14(s、2H)、7.35(d、J=1.8Hz、4H)
攪拌子を備え、アルゴン置換した100mLのシュレンク管に、上記一般式(1−196)に示される化合物(1.65g、6.0、mmol)、上記一般式(1−207)に示される化合物(0.753g、3.0mmol)、酢酸パラジウム(27mg、0.12mmol)、トルエン(40mL)、トリ−t−ブチルホスフィン(24mg、0.12mmol)、及びt−ブトキシカリウム(0.673g、6.0mmol)を入れ、密閉した後に、100℃で10時間、攪拌した。
1H−NMR、DMSO−d6、δ:1.88(s、6H)、6.59(d、J=2.7Hz、2H)、6.85(dd、J=2.3Hz、8.2Hz、2H)、6.92(d、J=7.3Hz、4H)、6.98(t、J=7.3Hz、2H)、7.13(d、J=8.2Hz、2H)、7.21−7.25(m、6H)、7.45−7.52(m、6H)、7.86(dd、J=1.8Hz、6.9Hz、2H)、8.19(d、J=7.8Hz、2H)、8.36(dd、J=1.4Hz、7.3Hz、2H)
一般式(2−85)に示される化合物を、以下に示す方法により合成した。
上記一般式(2−198)に示されるジフェニルアミン体を、以下に示す方法により合成した。
撹拌子を備えた30mLの二口フラスコに、上記一般式(2−197)で示されるニトロソベンゼン(0.46g,4.3mmol,1.0eq,分子量107.11)と塩化銅(0.43g,4.3mmol,1.0eq)を収めて窒素置換を行った後、無水N,N−ジメチルホルムアミド(5.3mL)を加え、オイルバス温度55℃にて40分間加熱撹拌した。続いて、上記一般式(2−196)で示される4−ジベンゾフランボロン酸(1.00g,4.7mmol,1.1eq)を加え、窒素置換を行い、同温にて4.5時間撹拌した。
上記一般式(2−85)に示される化合物を、以下に示す方法により合成した。
容量が50mLのナスフラスコに、上述した方法によって得られた一般式(2−198)で示されるジフェニルアミン体(0.52g,2.0mmol,3.2eq)、上記一般式(2−199)に示される4,4’−ジヨード−2,2’−ジメチルビフェニル(0.27g,0.63mmol,1.0eq,分子量434.05)、酢酸パラジウム(II)(0.01g,0.05mmol,0.07eq)、トリ−tert−ブチルホスフィン(0.030mL,0.13mmol,0.20eq)、カリウムtert−ブトキシド(0.28g,2.5mmol,4.0eq)を入れ、減圧窒素置換を5回行った。次いで、ナスフラスコに、無水トルエン(12mL)を加え、オイルバス温度100℃にて3時間加熱撹拌して反応液を得た。その後、薄層クロマトグラフィー(TLC)で、反応液からの原料の消失を確認した。
1H−NMR(500MHz DMSO−d6)、δ:8.16(dd,2H,J=7.5Hz,0.5Hz)、8.00(dd,2H,J=7.5Hz,1.0Hz)、7.51(d,2H,J=8.0Hz)、7.47(dt、2H、J=7.5Hz、1.5Hz)、7.43−7.38(m,4H)、7.31−7.27(m,6H)、7.02(dd、8H,J=8.0Hz,5.0Hz)、6.95(d,2H,J=2.5Hz)、6.83(dd,2H,J=8.0Hz,2.5Hz)、1.95(s,6H)。
上記の(合成例6)用いて合成した上記一般式(2−85)に示される化合物からなる薄膜(実験例6)を作成した。また、上記の(合成例1)用いて合成した上記一般式(1−83)に示される化合物からなる薄膜(実験例1)を作成した。また、上記一般式(5)に示されるDBTPBからなる薄膜を作成した。
そして、実験例1と実験例6とDBTPBからなる薄膜について、それぞれHORIBA社製のFluoroMax−4を用い、波長300nmの励起光源を用いて、室温下で遅延等を設けず全時間領域の発光スペクトルを測定した。室温では、蛍光発光が観測できる。このため、室温での発光スペクトルの測定結果から、各薄膜の一重項励起状態(S1)(バンドギャップ)のエネルギーに関する知見が得られる。その結果を図3に示す。
図3に示すように、実験例6では、実験例1およびDBTPBと比較して、ワイドバンドギャップになっている。
上記一般式(2−85)に示される化合物からなる実験例6および一般式(1−83)に示される化合物からなる実験例1は、分子構造の中心骨格であるジアミノビフェニル基がメチル基により平面性を崩したものであり、π共役系が分断されているため、DBTPBよりもワイドバンドギャップになったものと推測される。
また、ジベンゾフランの方がジベンゾチオフェンよりもπ共役系の広がりが小さいため、実験例6は、2つのジベンゾチオフェンの間にジアミノビフェニル基が配置された化合物からなる実験例1よりも、ワイドバンドギャップになったものと推測される。
その結果、表1に示すように、実験例6の化合物では、DBTPB、実験例1の化合物に比べて、バンドギャップが大きくなった。
図4に示すように、実験例6のリン光スペクトルのピークは、DBTPB、実験例1およびIr(mppy)3よりも短波長側となっている。すなわち、実験例6の三重項励起状態(T1)のエネルギーは、DBTPB、実験例1およびIr(mppy)3よりも大きくなる。なお、図4の矢印で示す通り、DBTPBのリン光スペクトルのピークは、Ir(mppy)3と同程度であった。
(実験例2)
基板上に、ITO(酸化インジウム錫)からなる第1電極(陽極)と、日産化学製のSHI2520-b10SIからなる厚み30nmの正孔注入層と、下記一般式(208)に示されるα−NPDからなる厚み20nmの第2正孔輸送層と、上記一般式(1−83)に示される化合物からなる厚み10nmの正孔輸送層と、ゲスト材料として上記一般式(162)に示されるIr(mppy)3を用い、ホスト材料として上記一般式(132)に示されるBepp2を用い、発光層6中のゲスト材料の含有量を6重量%とした厚み35nm発光層と、下記一般式(209)に示されるTPBIからなる厚み40nmの電子輸送層と、LiF膜からなる厚み1nmの電子注入層と、Al膜からなる第2電極(陰極)とを公知の方法により順に形成した。
正孔輸送層の材料を、上記一般式(5)に示されるDBTPBに代えたこと以外は、実験例2と同様にして、実験例3の有機EL素子を形成した。
図5に示すように、上記一般式(1−83)に示される化合物からなる正孔輸送層を有する実験例2では、DBTPBからなる正孔輸送層を有する実験例3と比較して、外部量子効率が全体的に高くなった。これは、実験例2が実験例3と比較して、正孔輸送層のバンドギャップエネルギーおよび三重項励起状態(T1)のエネルギーが大きいことによるものであると考えられる。
図6は、実験例2および実験例3の有機EL素子の駆動時間と輝度との関係を示したグラフである。図6に示す実験例2では、950cd/m2まで減衰する時間が200時間であった。これに対し、実験例3では、同じ輝度まで減衰する時間が84時間であった。このように、本発明の化合物は、高効率化のみならず、長寿命化にも有効である。
基板上に、ITO(酸化インジウム錫)からなる第1電極(陽極)と、一般式(131)に示されるPEDOT:PSSからなる厚み35nmの正孔注入層と、一般式(208)に示されるα−NPDからなる厚み20nmの第2正孔輸送層と、上記一般式(1−107)に示される化合物からなる厚み10nmの正孔輸送層と、ゲスト材料として上記一般式(162)に示されるIr(mppy)3を用い、ホスト材料として上記一般式(132)に示されるBepp2を用い、発光層6中のゲスト材料の含有量を6重量%とした厚み35nm発光層と、上記一般式(209)に示されるTPBIからなる厚み40nmの電子輸送層と、LiF膜からなる厚み1nmの電子注入層と、Al膜からなる第2電極(陰極)とを公知の方法により順に形成した。
正孔輸送層の材料を、上記一般式(5)に示されるDBTPBに代えたこと以外は、実験例4と同様にして、実験例5の有機EL素子を形成した。
図7に示すように、上記一般式(1−107)に示される化合物からなる正孔輸送層を有する実験例4では、DBTPBからなる正孔輸送層を有する実験例5と比較して、外部量子効率が全体的に高くなった。これは、実験例4が実験例5と比較して、正孔輸送層のバンドギャップエネルギーおよび三重項励起状態(T1)のエネルギーが大きいことによるものであると考えられる。
図8は、実験例4および実験例5の有機EL素子の駆動時間と輝度との関係を示したグラフである。図8に示す実験例4では、800cd/m2まで減衰する時間が108時間であった。これに対し、実験例5では、同じ輝度まで減衰する時間が57時間であった。このように、本発明の化合物は、高効率化のみならず、長寿命化にも有効である。
(実験例7)
基板上に、ITO(酸化インジウム錫)からなる第1電極(陽極)と、PEDOT:PSSからなる厚み35nmの正孔注入層と、上記一般式(208)に示されるα−NPDからなる厚み10nmの第2正孔輸送層と、上記一般式(2−85)に示される化合物からなる厚み10nmの正孔輸送層と、ゲスト材料として上記一般式(162)に示されるIr(mppy)3を用い、ホスト材料として上記一般式(132)に示されるBepp2を用い、発光層6中のゲスト材料の含有量を6重量%とした厚み35nm発光層と、上記一般式(209)に示されるTPBIからなる厚み40nmの電子輸送層と、LiF膜からなる厚み1nmの電子注入層と、Al膜からなる第2電極(陰極)とを公知の方法により順に形成した。
正孔輸送層の材料を、上記一般式(5)に示されるDBTPBに代えたこと以外は、実験例7と同様にして、実験例8の有機EL素子を形成した。
図9に示すように、上記一般式(2−85)に示される化合物からなる正孔輸送層を有する実験例7では、DBTPBからなる正孔輸送層を有する実験例8と比較して、外部量子効率が全体的に高くなった。これは、実験例7が実験例8と比較して、正孔輸送層のバンドギャップエネルギーおよび三重項励起状態(T1)のエネルギーが大きいことによるものであると考えられる。
2:基板
3:第2電極
4:電子注入層
5:電子輸送層
6:発光層
7:正孔輸送層
8:正孔注入層
9:第1電極
Claims (7)
- 前記2つのジベンゾチオフェンの置換位置、または、前記2つのジベンゾフランの置換位置が4位であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化合物。
- 前記2つのジベンゾチオフェンの置換位置、または、前記2つのジベンゾフランの置換位置が2位であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の化合物。
- 陰極と陽極との間に、発光層と、前記発光層の前記陽極側に配置された正孔輸送層とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記正孔輸送層が、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記発光層が、ホスト材料と、発光材料からなるゲスト材料とを含み、
前記ホスト材料が、電子輸送性材料または正孔と電子の両電荷輸送性材料であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。 - ゲスト材料が、リン光材料であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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