JP6479812B2 - 細胞増殖性疾患を治療するためのalk阻害剤とcdk阻害剤との組合せ - Google Patents

細胞増殖性疾患を治療するためのalk阻害剤とcdk阻害剤との組合せ Download PDF

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Description

本発明は、ALK阻害剤とCDK阻害剤とを含む組合せ医薬、がんの治療におけるかかる組合せ医薬の使用、ならびにがんに罹患したヒトを含めた温血動物を治療する方法であって、かかる治療を必要とする前記動物に有効用量のALK阻害剤およびCDK阻害剤を投与することを含む方法に関する。
ALK阻害剤
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)は、受容体チロシンキナーゼのインスリン受容体スーパーファミリーのメンバーである。このタンパク質は、細胞外ドメイン、1回膜貫通領域に相当する疎水性の伸長部、および細胞内キナーゼドメインを含む。それは、脳の発達に重要な役割を果たし、神経系における特定のニューロンにその効果を発揮し、通常、神経組織の発達中に発現する。ALKの遺伝子変化は、造血器および非造血器腫瘍における腫瘍形成に関与している。この遺伝子は、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、および非小細胞肺がんを含めた一連の腫瘍では、再配置されている、変異している、または増幅されていることが見出されている。神経芽細胞腫および神経膠芽腫では完全長ALK受容体タンパク質の異常発現が報告されており、未分化大細胞リンパ腫ではALK融合タンパク質が生じている。染色体再配置がALK遺伝子に最もよく見られる遺伝子変化であるが、乳がんおよび食道がんではALKの増幅が示されている。したがって、ALK陽性腫瘍の治療において、選択的にALKを標的にする化合物を開発することは、潜在的に非常に望ましい。近年、ALKキナーゼ活性の小分子阻害剤が幾つか、例えばWO2008/073687A1に記載されており、それらのうちあるものについては現在臨床評価が行われているところである。クリゾチニブという、cMETおよびALKのチロシンキナーゼ阻害剤が、ALK陽性の進行性非小細胞肺がんを有する患者向けに認可されており、さらに効力の高いALK阻害剤が近いうちに後に続く可能性があると思われる。
CDK阻害剤
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、タンパク質キナーゼの一大ファミリーである。CDKは、哺乳動物の細胞周期の開始、進行、および終了を調節する。CDKの機能は、例えば、網膜芽細胞腫タンパク質、ラミン、ヒストンH1、および有糸分裂紡錘体の構成成分を含めたある種のタンパク質をリン酸化し、それによって活性化または不活性化することである。CDKによって仲介される触媒ステップは、ATPから高分子酵素基質へのリン酸基転移反応を含む。
腫瘍の発達は、CDKおよびそれらの調節因子の遺伝子変化および調節解除と密接に関連しており、そのためにCDKの阻害剤が有用な抗がん治療法となり得ることが示唆される。実際に、初期の結果から、形質転換細胞と正常細胞とは、例えば、サイクリンD/CDK4/6に対するそれらの要求が異なること、ならびに従来の細胞毒性薬および細胞分裂阻害薬に観察される一般的な宿主毒性のない、新規な抗悪性腫瘍薬を開発することが可能であり得ることが示唆されている。幾つかの化合物群(例えば、Fischer, P. M. Curr. Opin. Drug Discovery Dev. 2001, 4, 623-634に概説される)には、CDK特異的ATP拮抗作用による抗増殖性があることが見出されている。したがって、CDKを総じて標的とした、または特定のCDKを標的とした治療法を使用して、がんなどの増殖性障害を治療するための単独療法を開発することは、潜在的に非常に望ましい。CDKの阻害剤は公知であり、例えば、WO2007/140222、WO2010/020675、およびWO2011/101409など、かかる阻害剤に関する特許出願が出願されている。
ALKまたはCDK4/6のいずれかを阻害する化合物を調製するための試みが為されており、そのような化合物が幾つも当技術分野で開示されている。しかし、ALKおよびCDK4/6によって仲介される病理学的反応の数を考えると、有効で安全な治療剤への必要性および組合せ療法においてそれらを優先的に使用することへの必要性が依然として引き続き存在する。驚くべきことに、あるALK阻害剤は、CDK4/6阻害剤と組み合わせると、強力な抗増殖作用およびin vivoでの抗腫瘍応答を誘発することが見出された。本発明は、増殖性疾患を治療するための特定の組合せ療法に関する。
一態様では、本発明は、(1)ALK阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、(2)CDK阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを、別々にまたは一緒に含む、組合せ医薬に関する。
第2の態様では、本発明は、第1の態様の組合せ医薬、および少なくとも1種の賦形剤を含む、医薬組成物に関する。
第3の態様では、本発明は、増殖性疾患を治療する方法であって、それを必要とする患者に、ALK阻害剤である治療有効量の第1の薬剤と、CDK阻害剤である治療有効量の第2の薬剤とを投与することを含み、第1および第2の薬剤が、同時に、別々に、または逐次投与される、方法に関する。
第4の態様では、本発明は、増殖性疾患を治療するための、第1の態様の組合せ医薬に関する。
第5の態様では、本発明は、増殖性疾患を治療するための医薬品を製造するための、第1の態様の組合せ医薬または第2の態様の医薬組成物の使用に関する。
第6の態様では、本発明は、第1の態様による組合せ医薬または第2の態様による医薬組成物を含むキットに関する。
Loewe相加性モデルに基づくCHALICEソフトウェアの出力から、どのようにすれば化合物の組合せにおける有望な相乗的相互作用を評価できるのかを、仮想データで説明する図である。左の図は用量マトリックスプロットであり、図中、7×7のマトリックスの個々のブロックはそれぞれ、薬物処置による阻害(細胞死)の割合(パーセント)を報告している。単一の化合物の処置単独による阻害は、薬剤Aについては一番左側の列、薬剤Bについては一番下の行に報告され、データは、0に設定されたビヒクル対照による阻害(薬剤Aと薬剤Bの両方の濃度が0である場合の値)に対して正規化されている。右の図は、Loewe過剰マトリックスプロット(Excess Matrix plot)であり、図中、個々のブロックはそれぞれ、用量マトリックス中の実験データを、Loewe相加性モデルによって生成された阻害予想値に対して比較した、過剰阻害を報告する。この図では、相乗作用は値>0として定義され、相加作用は値=0として定義され、拮抗作用は値<0として定義される。強調表示されるブロックによって、実験データで相乗作用が観察された組合せが特定される。 化合物A1と化合物Bとの併用処置(最上段)、化合物A1の自己交差(中段)および化合物Bの自己交差(最下段)による、LAN−1ヒト神経芽細胞腫細胞の阻害に及ぼす用量効果(阻害の割合(%))を明示する、CHALICEマトリックスプロットを示す図である。 15種の疾患の(ALK変異体)および正常な(野生型)神経芽細胞腫細胞株(表2および3のデータ参照)における、薬物の組合せの相乗作用スコアを視覚的に要約したボックスプロットを示す図である。このプロットには、ALK阻害剤(化合物A1およびA2であるが、A3ではない)から生成された相乗作用スコアを含めた。本明細書で使用される場合、ALK阻害剤は化合物A1または化合物A2を指し、CDK4/6阻害剤は化合物Bを指す。各ボックスは、特定の処置レジメン(ALK×CDK、ALK自己交差、またはCDK自己交差)の相乗作用スコアの範囲を表し、ボックス内の白い横線は群の中央値を表し、縦の実線は群の標準偏差を表す。黒丸は異常値を表す。 「ヒットした」相乗的組合せを視覚的に特定できる散布図を示す。15種の疾患の(ALK変異体)および正常な(野生型)神経芽細胞腫細胞株(表2および3のデータ参照)における最大組合せ効力値を、ALK阻害剤とCDK4/6阻害剤との組合せ、ALK阻害剤の自己交差、およびCDK4/6阻害剤の自己交差の相乗作用スコアに対してプロットした。これらのプロットでは、化合物A1およびA2を用いて生成したデータのみプロットした。つまり、本明細書で使用される場合、ALK阻害剤は化合物A1または化合物A2を指し、CDK4/6阻害剤は化合物Bを指す。図4Aは、15種の細胞株における、2種のALK阻害剤である化合物A1およびA2の自己交差からのデータの散布図である。このプロットは、ALK疾患に優先的な単剤効力を示す。図4Bは、CDK阻害剤である化合物Bの自己交差からのデータの散布図である。このプロットは、最低限の単剤効力または相乗作用を示す。図4Cは、ALK阻害剤である化合物A1およびA2のいずれか1つと、CDK阻害剤である化合物Bとの組合せからのデータの散布図である。このプロットは、4種の疾患細胞株(Lan−5、Kelly、Lan−1、NB−1643、および2種の正常細胞株(NB−1、SK−N−BE)において、相乗作用と効力の増大とを両方もたらす相互作用を示す。 ChouおよびTalalayの組合せ指数(combination index)定理に基づく薬物の組合せのプロットの典型的な例およびそれらの解釈を示す図である。図5Aは、一定の組合せ比についてのFa−CIプロットである。Chouによって定義されるCIは、以下の等式:CI=(D)/(D+(D)/(Dに従っており、式中、(Dおよび(Dは、個々に使用したときに所与のレベルの抗増殖効果を生じるのに必要な化合物DおよびDの濃度であり、それに対して、(D)および(D)は、組み合わせて使用したときに同じ抗増殖効果を生じるそれらの濃度である。組合せ指数は、相加作用(CI=1)、拮抗作用(CI>1)、または相乗作用(CI<1)として定義される、薬物相互作用の定量的尺度である。影響を受けた割合を意味するFは、所与の濃度の単独のまたは組み合わせた化合物によって影響を受けた細胞の割合として定義される。F=0は、用量によるDMSO対照に基づいて求められ、F=1は完全応答である(生細胞が残らない)。典型的には、Fa−CIプロットは、本明細書で使用される場合、相乗作用を評価するために使用される。図5Bは、ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラムである。(D)および(D)はそれぞれ、薬物1および薬物2の濃度を意味する。EDはX%の効果のときの用量を意味し、100%の効果は、生細胞が残らないことを意味する。 ChouおよびTalalayの組合せ指数(combination index)定理に基づく薬物の組合せのプロットの典型的な例およびそれらの解釈を示す図である。図5Cは、異なる比率で組み合わせた場合の、正規化されたアイソボログラムである。用語は、図5Bに定義される通りである。図5Dは、Fa−DRIプロット(Chou and Chou, 1988; Chou and Martin, 2005)であり、図中、DRIは、用量低減指数(dose-reduction index)を意味しており、以下の等式:CI=(D)/D)1+(D)/(D=1/(DRI)+1/(DRI)に従って、CIと関係する。DRIは、相乗的な薬物を組み合わせて与えたときに、各薬物を個々に投与したときと同程度の効果を上げながら、各薬物の用量をどれほど低減させることができるかを推定する。 NB−1643細胞(疾患)における、化合物A1とBとの組合せ、化合物Aおよび化合物Bについての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(6A)50%有効プロット、(6B)用量効果曲線;ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、(6C)Fa−CIプロット、(6D)Fa−logCIプロット、(6E)標準的なアイソボログラム、ならびに(6F)控えめな(conservative)アイソボログラムを示す図である。これらのプロットを合わせると、組合せが、検査した濃度範囲にわたって相乗的であったことが明示される。 NB−1643細胞(疾患)における、化合物A1とBとの組合せ、化合物Aおよび化合物Bについての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(6A)50%有効プロット、(6B)用量効果曲線;ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、(6C)Fa−CIプロット、(6D)Fa−logCIプロット、(6E)標準的なアイソボログラム、ならびに(6F)控えめな(conservative)アイソボログラムを示す図である。これらのプロットを合わせると、組合せが、検査した濃度範囲にわたって相乗的であったことが明示される。 SH−SY5Y(疾患)細胞における、化合物A1とBとの組合せ、化合物A1単独、および化合物B単独についての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(7A)50%有効プロット、(7B)用量効果曲線、(7C)Fa−CIプロット、(7D)Fa−log(CI)プロット、(7E)ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、ならびに(7F)控えめなアイソボログラムを示す図である。図7Cから7Fから、組合せは、低用量では中程度に相乗的であり、高用量では相加的またはわずかに拮抗的であったことが示される。 SH−SY5Y(疾患)細胞における、化合物A1とBとの組合せ、化合物A1単独、および化合物B単独についての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(7A)50%有効プロット、(7B)用量効果曲線、(7C)Fa−CIプロット、(7D)Fa−log(CI)プロット、(7E)ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、ならびに(7F)控えめなアイソボログラムを示す図である。図7Cから7Fから、組合せは、低用量では中程度に相乗的であり、高用量では相加的またはわずかに拮抗的であったことが示される。 図8A、8B、8C、8D、8Eおよび8Fは、NB1691(正常)細胞における、化合物A1とBとの組合せ、化合物A、および化合物Bについての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(7A)50%有効プロット、(7B)用量効果曲線、(7C)Fa−CIプロット、(7D)Fa−log(CI)プロット、(7E)ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、ならびに(7F)控えめなアイソボログラムを示す図である。図8C〜8Fから、組合せは、低用量では強力に共力的であり、より高用量では相加的であり、高用量の化合物A1では拮抗的であったことが明示される。 図8A、8B、8C、8D、8Eおよび8Fは、NB1691(正常)細胞における、化合物A1とBとの組合せ、化合物A、および化合物Bについての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(7A)50%有効プロット、(7B)用量効果曲線、(7C)Fa−CIプロット、(7D)Fa−log(CI)プロット、(7E)ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、ならびに(7F)控えめなアイソボログラムを示す図である。図8C〜8Fから、組合せは、低用量では強力に共力的であり、より高用量では相加的であり、高用量の化合物A1では拮抗的であったことが明示される。 EDC1(正常)細胞における、化合物A1とBとの組合せ、化合物A、および化合物Bについての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(9A)50%有効プロット、(9B)用量効果曲線、(9C)Fa−CIプロット、(9D)Fa−log(CI)プロット、(9E)ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、ならびに(9F)控えめなアイソボログラムを示す図である。図9C〜9Fから、組合せは、検査した濃度範囲にわたって共力的であったことが明示される。 EDC1(正常)細胞における、化合物A1とBとの組合せ、化合物A、および化合物Bについての薬物の組合せのプロットを示す図であって、(9A)50%有効プロット、(9B)用量効果曲線、(9C)Fa−CIプロット、(9D)Fa−log(CI)プロット、(9E)ED50、ED75、およびED90における標準的なアイソボログラム、ならびに(9F)控えめなアイソボログラムを示す図である。図9C〜9Fから、組合せは、検査した濃度範囲にわたって共力的であったことが明示される。 図10A、10B、10Cおよび10Dは、化合物A1、B1または化合物A1とBとの組合せによる処置に応答するSH−SY5Y細胞の形態を示す図であって、それぞれ、各化合物のIC50における、処置後72時間のものであり、(a)ビヒクル、(b)化合物A1単独で処置されたもの、(c)化合物B単独で処置されたもの、および(d)化合物A1とBの組合せを用いて処置されたものを示す図である。 図11A、11Bおよび11Cは、(a)化合物A1単独、(b)化合物B単独、および(c)等効力比(化合物それぞれのIC50の0、1/4、1/2、1、2、および4倍)で組み合わせた化合物A1とBとの組合せを用いた処置から72時間後の、ApoTox−Glo(商標)トリプレックスアッセイによって解析された、NB1643細胞の細胞生存率をアポトーシスと比較する図である。この結果から、薬物処置によって細胞死が増大するが、同レベルのアポトーシスが、化合物A1単独で、化合物Bとの組合せと同様に観察されることが示される。 図12A、12Bおよび12Cは、(a)化合物A1単独、(b)化合物B単独、および(c)等効力比で組み合わせた化合物AとBとの組合せを用いた処置から72時間後の、CTGアッセイによって解析されたNB1643細胞の生存率を示す図である。この結果から、組合せ治療によって細胞死が増大することが確認される。 図13A、13Bおよび13Cは、(a)化合物A1単独、(b)化合物B単独、および(c)等効力比(化合物それぞれのIC50の0、1/4、1/2、1、2、および4倍)で組み合わせた化合物A1とBとの組合せを用いた処置から72時間後の、ApoTox−Glo(商標)トリプレックスアッセイによって解析された、SH−SY5Y細胞の細胞生存率をアポトーシスと比較する図である。この結果から、併用処置によって細胞死が増大することが示される。細胞は最大濃度で死滅するのが早くなったので、その濃度でアポトーシスを検出することができなかった。 図14A、14Bおよび14Cは、(a)化合物A1単独、(b)化合物B単独、および(c)等効力比(化合物それぞれのIC50の0、1/4、1/2、1、2、および4倍)で組み合わせた化合物A1とBとの組合せを用いた治療から72時間後の、ApoTox−Glo(商標)トリプレックスアッセイによって解析された、EBC1細胞の細胞生存率をアポトーシスと比較する図である。このデータから、併用処置による細胞死またはアポトーシスの増大がほとんどまたは全くないことが示される。 ビヒクル、IC50用量の1/16、1/8、1/4および4倍の化合物A1、IC50用量の1/16、1/8、1/4および4倍の化合物B、ならびにそれぞれの化合物のIC50用量の1/16、1/8、1/4および4倍の化合物A1とBとの組合せを用いた処置から20時間後の、NB1643細胞における全部およびpALKの発現のウエスタンブロットを示す図である。この結果から、併用処置は、IC50用量の1/16倍から、NB1643細胞におけるpALKタンパク質の発現を大きく低減させることが示される。 ビヒクル、IC50用量の1/16、1/8、1/4および4倍の化合物A1、IC50用量の1/16、1/8、1/4および4倍の化合物B、ならびにそれぞれの化合物のIC50用量の1/16、1/8、1/4および4倍の化合物A1とBとの組合せを用いた処置から20時間後の、NB1643細胞における、全Rb、リン酸化Rb S780、およびリン酸化Rb S795の発現のウエスタンブロットを示す図である。この結果から、併用処置は、IC50用量の1/16倍から、NB1643細胞におけるpRbの発現を低減させることが示される。この組合せは、pRb S795よりもpRb S780の発現の低減に有効である。 ビヒクル、IC50用量の1/4、1/2、1および4倍の化合物A1、IC50用量の1/4、1/2、1および4倍の化合物B、ならびにそれぞれの化合物のIC50用量の1/4、1/2、1および4倍の化合物A1とBとの組合せを用いた処置から20時間後の、NBEBC1細胞における、ALK、pALK、全Rb、およびリン酸化Rb S795の発現のウエスタンブロットを示す図である。この結果から、併用処置は、pALKおよびpRbタンパク質の発現の低減の方により有効であることが示される。 (1)ビヒクル対照、(2)50mg/kgの化合物A1、(3)187.5〜250mg/kgの化合物B、および(4)50mg/kgの化合物A1と187.5〜250mg/kgの化合物Bとの組合せである処置群について、CB17 SCIDマウスにおけるヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y異種移植片の相対腫瘍体積を経時的に示す図である。化合物Bの用量は250mg/kgで開始され、5日目に187.5mg/kgに低減された。この結果から、化合物A1単独で処置しても、ビヒクル対照と比較して腫瘍増殖がわずかに遅延しただけであったことが示される。化合物B単独で処置すると、腫瘍増殖が遅くなった。併用処置によって既存の腫瘍が有効に縮小し、全腫瘍の寛解が達成された。 図19A、19B、19Cおよび19Dは、上の図18に記載の処置群それぞれにおける個々のマウスの処置期間中(週単位)の腫瘍体積の変動を示す図である。 上の図18に記載の処置群それぞれにおける、処置期間(週単位)に対するマウスの生存(パーセント単位)を示す図である。7日目に4群のマウスのうち2匹が死亡し、14日目に化合物B群のマウスが1匹死亡した。対照群および化合物A1群のマウスは、それらの腫瘍の大きさのために安楽死させた。 16種の疾患の(ALK変異体)および正常な(野生型)神経芽細胞腫細胞株(表10のデータ参照)における、化合物A1と化合物Bとの組合せ、およびそれらそれぞれの自己交差によるコンビナトリアルな薬物効果(効力対相乗作用スコア)の散布図である。相乗的組合せのヒットは、相乗作用スコア>2と最大効力>100とを両方有するとして特定した(解釈については、図4A、4Bおよび4Cを参照されたい)。最上部のプロットは化合物A1(ALK阻害剤)の自己交差であり、ALK疾患に優先的な単剤効力を示す。中央のプロットは化合物B(CDK阻害剤)の自己交差であり、最低限の単剤効力または相乗作用を示す。最下部のプロットは、化合物A1とBとの組合せであり、このプロットは、2種の疾患の(NB−1691、Lan−5)および1つの正常な(NB−1691)細胞株において、相乗作用と効力の増大とを両方もたらす相互作用を示す。 Kellyヒト神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図22Aは、化合物A1(ALK阻害剤)および化合物B(CDK4/6阻害剤)での併用処置の用量効果を明示する用量マトリックスおよびアイソボログラムを示す。相乗作用スコアは1.75と、組合せは中程度に相乗的であり、アイソボログラムは極めて強力な相互作用を示した。 Kellyヒト神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図22Bは、化合物A2(ALK阻害剤)および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する用量マトリックスおよびアイソボログラムを示す。相乗作用スコアは1.48と、組合せは中程度に相乗的であり、アイソボログラムは極めて強力な相互作用を示した。 KellyおよびNB−1神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図23Aは、Kelly細胞における、化合物A1(ALK阻害剤)および化合物B(CDK4/6阻害剤)での併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示す。計算した相乗作用スコアは2.51であり、組合せは相乗的であった。 KellyおよびNB−1神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図23Bは、Kelly細胞に及ぼす、化合物A2(ALK阻害剤)および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示す。相乗作用スコアは2.29であり、組合せは相乗的であった。 KellyおよびNB−1神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図23Cは、NB−1ヒト神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、化合物A1および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示す。この組合せは相乗的ではなかった。 KellyおよびNB−1神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図23Dは、ヒトNB−1神経芽細胞腫細胞の増殖に及ぼす、化合物A2および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示す。この組合せは相乗的ではなかった。 Kelly、NB−1およびSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞における、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図24Aは、Kelly細胞の増殖に及ぼす、化合物A1(ALK阻害剤)および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示し、相乗作用スコアは0.820であった。 Kelly、NB−1およびSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞における、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図24Bは、Kellyヒト神経芽細胞腫細胞における、化合物A2(ALK阻害剤)および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示し、相乗作用スコアは1.52であった。 Kelly、NB−1およびSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞における、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図24Cは、NB−1ヒト神経芽細胞腫細胞における、化合物A1および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示し、この組合せは相乗的ではない。 Kelly、NB−1およびSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞における、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図24Dは、NB−1ヒト神経芽細胞腫細胞における、化合物A2および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示し、この組合せは相乗的ではない。 Kelly、NB−1およびSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞における、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図24Eは、SH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞における、化合物A1および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示す。 Kelly、NB−1およびSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞における、ALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果を示す図である。図24Fは、SH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞における、化合物A2および化合物Bでの併用処置の用量効果を明示する、用量マトリックスおよびLoewe過剰マトリックスを示す。
定義
以下の一般的な定義は、本発明をより良く理解するために提供される。
「アルキル」は、例えばハロ置換アルキルやアルコキシのように他の基の構造要素としての部分を指し、直鎖状でも分枝状でもよい。任意に置換されているアルキル、アルケニルもしくはアルキニルは、本明細書で使用される場合、任意にハロゲン化されていてもよく(例えば、CF)、またはNR、OもしくはSなどのヘテロ原子で置換されているもしくは置きかえられている1つもしくは複数の炭素を有していてもよい(例えば、−OCHCHO−、アルキルチオール、チオアルコキシ、アルキルアミンなど)。
「アリール」は、炭素原子を含む単環式または縮合二環式の芳香族環を指す。「アリーレン」は、アリール基から誘導される二価のラジカルを意味する。例えば、アリール基は、フェニル、インデニル、インダニル、ナフチル、または1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニルであってもよく、これらは、オルト、メタまたはパラ位で任意に置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、アリールについて上で定義した通りであり、この場合、環員の1つまたは複数がヘテロ原子である。ヘテロアリールの例には、ピリジル、ピラジニル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニル、ピロリル、イソキノリニル、プリニル、チアゾリル、テトラジニル、ベンゾチアゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリルなどが含まれるが、これらに限定されない。
「炭素環式環」は、本明細書で使用される場合、炭素原子を含有する飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式の環を指し、これらは、例えば=Oで任意に置換されていてもよい。炭素環式環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどが含まれるが、これらに限定されない。
「複素環式環」は、本明細書で使用される場合、炭素環式環について上で定義される通りであり、この場合、1つまたは複数の環炭素がヘテロ原子である。例えば、複素環式環は、N、O、S、−N=、−S−、−S(O)、−S(O)−、または−NR−を含有してもよく、式中、Rは、水素、C1〜4アルキルまたは保護基であってもよい。複素環式環の例には、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニルオン(piperidinylone)、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルなどが含まれるが、これらに限定されない。複素環式環は、本明細書で使用される場合、二環式アミンおよび二環式ジアミンを包含してもよい。
用語「約」または「およそ」は、所与の値または範囲の通常20%以内、より好ましくは10%以内、最も好ましくはさらに5%以内を意味する。あるいは、とりわけ生体系において、用語「約」は、所与の値の約1対数(すなわち、1桁分)以内、好ましくは2倍以内を意味する。
本明細書で使用される「未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤」は、酵素のキナーゼ活性を阻害する化合物に関する。かかる化合物は、「ALK阻害剤」と呼ばれることになる。
「ALK抵抗性腫瘍またはがん」は、以前のALK阻害剤での治療に有利に応答しないがんまたは腫瘍、あるいはALK阻害剤に有利に応答した後に再発または再燃するがんまたは腫瘍のいずれかを指す。がんまたは腫瘍は、治療開始時に抵抗性もしくは不応性であり得るか、治療中に抵抗性もしくは不応性になり得る。
「共投与する」、「共投与」または「組合せ投与」などは、選択された治療剤を単一の患者に投与することを包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路によってまたは同時刻に投与されない処置レジメンを含むことを意図している。
「組合せ」は、組合せ投与のための、1つの単位剤形内に固定された組合せまたは固定されていない組合せ(またはキットオブパーツ)のいずれかを指し、この場合、化合物および組合せパートナー(例えば、以下に説明するような、「治療剤」、「薬剤」または「補助薬」とも呼ばれるもう1つの薬物)は、同時刻に個別に投与されても、時間間隔内に別々に投与されてもよく、とりわけこの場合、これらの時間間隔は、組合せパートナーが協同的効果、例えば相乗効果を示すことを可能にするものである。本明細書で利用される場合の用語「組合せ投与」などは、選択された組合せパートナーを、それを必要とする単一の対象(例えば患者)に投与することを包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路によってまたは同時刻に投与されない処置レジメンを含むことを意図している。用語「固定された組合せ」は、活性成分、例えば式A1の化合物と組合せパートナーとが、単一の実体または調剤の形態で両方とも同時に患者に投与されることを意味する。用語「固定されていない組合せ」または「キットオブパーツ」は、活性成分、例えば式A1の化合物と組合せパートナーとが両方とも、別々の実体として、同時に、共に、または特定の時間制限を有することなく逐次、のいずれかで患者に投与されることを意味しており、ここでは、かかる投与によって、2つの化合物は患者の体内で治療的に有効なレベルとなる。
「サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤」は、本明細書で定義される場合、サイクリン−CDK複合体と相互作用してキナーゼ活性を阻止する小分子を指す。
「用量範囲」は、治療剤の指定量の許容される変化の上限および下限を指す。典型的には、指定された範囲内の任意の用量の治療剤を、治療を受けている患者に投与することができる。
組合せ療法に関する「共同的な治療有効量」は、一緒に、同時刻に個別に、または適正な時間間隔内で別々に投与されてもよい組合せパートナーそれぞれの量であって、疾患の進行を緩和する、遅延させる、または疾患の症状を抑制することを必要とする患者において、それらを行う上で、組合せパートナーが協同的に有益効果/治療効果を発揮する量を意味する。
「医薬として許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、哺乳動物、とりわけヒトの組織と接触させるのに適切であり、過度の毒性、刺激、アレルギー応答および他の問題となる合併症を有することなく、妥当な利益/リスク比に見合うような、化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
「医薬製剤」または「医薬組成物」は、哺乳動物に影響を及ぼす特定の疾患または状態を予防する、治療するまたは制御するために、温血哺乳動物、例えばヒトに投与しようとする少なくとも1種の治療剤を含有する混合物または溶液を指す。
「塩」(「またはそれらの塩」または「またはその塩」が意味するもの)は、単独で、または遊離化合物、例えば式(I)の化合物との混合物で存在することができ、好ましくは医薬として許容される塩である。式(I)の化合物のかかる塩は、塩基性窒素原子を有する式(I)の化合物から、例えば、好ましくは有機または無機酸との、酸付加塩として形成される。適切な無機酸は、例えば、塩酸などのハロゲン酸、硫酸、またはリン酸である。適切な有機酸は、例えば、カルボン酸またはスルホン酸、例えば、フマル酸またはメタンスルホン酸である。単離または精製を目的として、医薬として許容されない塩、例えば、ピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することも可能である。治療に使用する場合は、医薬として許容される塩または遊離化合物のみが用いられ(適用可能であれば、医薬製剤の形態で)、したがってこれらが好ましい。遊離形態の新規化合物とその塩の形態のもの(例えば新規化合物の精製または特定において中間体として使用できるその塩を含む)との関連が密接であることを考えると、前述または後述の遊離化合物へのいかなる言及も、必要に応じて適宜、対応する塩にも言及していると理解されるべきである。式(I)の化合物の塩は、好ましくは医薬として許容される塩であり、医薬として許容される塩を形成する適切な対イオンは当分野で公知である。
「単一医薬組成物」は、有効量の両方の治療剤を患者に送達するように製剤化された単一の担体またはビヒクルを指す。単一のビヒクルは、有効量の治療剤それぞれを、医薬として許容される任意の担体または賦形剤と共に送達するように設計される。幾つかの実施形態では、ビヒクルは、錠剤、カプセル剤、丸剤、または貼付剤である。他の実施形態では、ビヒクルは液剤または懸濁剤である。
「対象」、「患者」、または「温血動物」は、動物を含むことを意図している。対象の例には、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、および遺伝子導入非ヒト動物が含まれる。ある種の実施形態では、対象は、ヒト、例えば、脳腫瘍疾患に罹患しているヒト、脳腫瘍疾患に罹患するリスクのあるヒト、または潜在的に脳腫瘍疾患を罹患し得るヒトである。特に好ましくは、対象または温血動物は、ヒトである。
「治療的に有効な」は、好ましくは、増殖性疾患の進行に対して治療的に有効なまたはより広い意味では予防的にも有効な治療剤の量に関する。
「治療」には、がん性疾患または障害の予防的および治療的処置(一時的、治癒的、症状緩和、症状低減処置が含まれるが、これらに限定されない)ならびに進行の遅延が含まれる。用語「予防的」は、がんの発症または再発の防止を意味する。用語「進行の遅延」は、本明細書で使用される場合、治療しようとするがんの前段階または早期段階にあり、該当するがんの前の形態が診断されている、および/または、患者において該当するがんが発症すると見込まれる状態が診断されている、患者への組合せの投与を意味している。
「阻害」
好ましい実施形態の説明
本発明は、(a)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、(b)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを、別々にまたは一緒に含む、組合せ医薬に関する。かかる組合せ医薬は、増殖性疾患の治療のために、同時に、別々にまたは逐次使用するためのものであり得る。
本発明の組合せに使用するのに適切なALK阻害剤には、これに限定されないが、式A:

の化合物または医薬として許容されるそれらの塩が含まれ、式中、
Wは、

であり、
およびAは独立に、CまたはNであり;
およびAはそれぞれCであり、またはRとRとが環を形成するときAおよびAの一方はNであり;
BおよびCは独立に、任意に置換されている5〜7員の、炭素環式環、アリール、N、OもしくはSを含有するヘテロアリールまたは複素環式環であり;
、ZおよびZは独立に、NR11、C=O、CR−OR、(CR1〜2または=C−R12であり;
およびRは独立に、ハロ、OR12、NR(R12)、SR12、または任意に置換されているC1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC2〜6アルキニルであり;あるいは、RおよびRのうち一方はHであり;
は、(CR0〜2SO12、(CR0〜2SONRR12、(CR0〜2CO1〜212、(CR0〜2CONRR12またはシアノであり;
、R、RおよびR10は独立に、任意に置換されている、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC2〜6アルキニル;OR12、NR(R12)、ハロ、ニトロ、SO12、(CR13もしくはXであり;または、R、RおよびR10は独立にHであり;
R、RおよびR5’は独立に、HまたはC1〜6アルキルであり;
およびRは独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロもしくはX、または、RとRとが環を形成するとき、RおよびRの一方はHであり;但し、RおよびRの一方はXであり;
あるいは、RおよびR、もしくはRおよびR、RおよびR、もしくはRおよびR10は、炭素原子に結合しているとき、任意に置換されている5〜7員の、単環式もしくは縮合炭素環式環、アリール、N、Oおよび/もしくはSを含むヘテロアリールもしくは複素環式環を形成してもよく;またはR、R、RおよびR10は、Nに結合しているときは存在せず;
11は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、(CRCO1〜2R、(CROR、(CR13、(CRNRR12、(CRCONRR12または(CRSO1〜212であり;
12およびR13は独立に、任意に置換されている、3〜7員の飽和もしくは部分的に不飽和の炭素環式環、またはN、Oおよび/もしくはSを含む5〜7員の複素環式環;アリールもしくはヘテロアリールであり;またはR12は、H、C1〜6アルキルであり;
Xは、(CRY、シアノ、CO1〜212、CONR(R12)、CONR(CRNR(R12)、CONR(CROR12、CONR(CRSR12、CONR(CRS(O)1〜212または(CR1〜6NR(CROR12であり;
Yは、任意に置換されている、3〜12員の炭素環式環、5〜12員のアリール、またはN、Oおよび/もしくはSを含む5〜12員のヘテロアリールもしくは複素環式環であり、(CRY中のqが0のとき、前記ヘテロアリールまたは複素環式環の炭素原子を介してAもしくはAまたは両方に結合しており;
n、pおよびqは独立に、0〜4である。
式Aの一変形では、Wは、


であり、式中、A、A、A、A、R、R、R、R、およびR10は、上に定義した通りである。
別の変形では、ALK阻害剤は、式A1:

の化合物または医薬として許容されるそれらの塩であり、式中、
は、ハロまたはC1〜6アルキルであり;
は、Hであり;
は、(CR0〜2SO12であり;
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC2〜6アルキニル;OR12、NR(R12)、ハロ、ニトロ、SO12、(CR13もしくはXであり;またはRはHであり;
は、イソプロポキシまたはメトキシであり;
およびRの一方は(CRYであり、他方は、C1〜6アルキル、シアノ、C(O)O0〜112、CONR(R12)またはCONR(CRNR(R12)であり;
Xは、(CRY、シアノ、C(O)O0〜112、CONR(R12)、CONR(CRNR(R12)、CONR(CROR12、CONR(CRSR12、CONR(CRS(O)1〜212または(CR1〜6NR(CROR12であり;
Yは、ピロリジニル、ピペリジニルまたはアゼチジニルであり、それらはそれぞれ炭素原子を介してフェニル環に結合しており;
12およびR13は独立に、3〜7員の飽和もしくは部分的に不飽和の炭素環式環、またはN、Oおよび/もしくはSを含む5〜7員の複素環式環;アリールもしくはヘテロアリールであり;あるいはR12は、HまたはC1〜6アルキルであり;
Rは、HまたはC1〜6アルキルであり;
nは、0〜1である。
さらに別の変形では、ALK阻害剤は、式A2:

の化合物または医薬として許容されるそれらの塩であり、式中、
およびRは一緒に、任意に置換されている5〜6員の、アリール、または1〜3個の窒素原子を含むヘテロアリールもしくは複素環式環を形成し;
は、(CR0〜2SO12、(CR0〜2SONRR12、(CR0〜2C(O)O0〜112、(CR0〜2CONRR12、CONH、またはシアノであり;
R、RおよびR5’は独立に、HまたはC1〜6アルキルであり;
は、ハロまたはO(C1〜6アルキル)であり;
およびRは独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロもしくはXであり、またはRおよびRの一方はHであり;但し、RおよびRの一方はXであり;
Xは、(CRY、シアノ、C(O)O0〜112、CONR(R12)、CONR(CRNR(R12)、CONR(CROR12、CONR(CRSR12、CONR(CRS(O)1〜212または(CR1〜6NR(CROR12であり;
Yは、任意に置換されている、3〜12員の炭素環式環、5〜12員のアリール、またはN、Oおよび/もしくはSを含む5〜12員のヘテロアリールもしくは複素環式環であり、(CRY中のqが0のとき、前記ヘテロアリールまたは複素環式環の炭素原子を介してAもしくはAまたは両方に結合しており;
12は、任意に置換されている3〜7員の飽和もしくは部分的に不飽和の炭素環式環、またはN、Oおよび/もしくはSを含む5〜7員の複素環式環;アリールもしくはヘテロアリールであり;またはR12は、H、C1〜6アルキルであり;
pおよびqは独立に、0〜4である。
本発明の組合せの幾つかの実施形態では、ALK阻害剤は、以下のものまたは医薬として許容されるそれらの塩から選択される:
本発明の組合せの別の実施形態では、ALK阻害剤は、以下のものから選択される:
本発明の組合せの好ましい一実施形態では、ALK阻害剤は、以下の化合物A1、すなわち、5−クロロ−N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−[2−(プロパン−2−スルホニル)−フェニル]−ピリミジン−2,4−ジアミン:

または医薬として許容されるそれらの塩である。
別の好ましい実施形態では、ALK阻害剤は、下の化合物A2、すなわち、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン:

または医薬として許容されるそれらの塩である。
さらに別の好ましい実施形態では、ALK阻害剤は、下の化合物A3、すなわち、クリゾチニブとして一般に知られており、商品名がXALKORI(登録商標)である)(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−5−(1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミン:

または医薬として許容されるそれらの塩である。
組合せの一実施形態では、CDK阻害剤は、CDK4阻害剤またはCDK6阻害剤である。一変形では、CDK阻害剤はCDK4阻害剤である。別の変形では、CDK阻害剤はCDK6阻害剤である。さらに別の変形では、CDK阻害剤は、CDK4およびCDK6の二重阻害剤である。
適切なCDK阻害剤には、これに限定されないが、式B:

の化合物または医薬として許容される塩が含まれ、式中、
Xは、CR、またはNであり;
は、C1〜8アルキル、CN、C(O)ORもしくはCONR、5〜14員のヘテロアリール基、または3〜14員のシクロヘテロアルキル基であり;
は、C1〜8アルキル、C3〜14シクロアルキル、または5〜14員のヘテロアリール基であり、ここで、Rは、1つもしくは複数のC1〜8アルキルまたはOHで置換されていてもよく;
Lは、連結基、C1〜8アルキレン、C(O)、またはC(O)NR10であり、ここでは、Lは、置換されていても置換されていなくてもよく;
Yは、H、R11、NR1213、OHであり、またはYは、以下の基の一部分であり、

式中、YはCRまたはNであり;この場合、0〜3個のRが存在してもよく、Rは、C1〜8アルキル、オキソ、ハロゲンであるか、または2つ以上のRが架橋アルキル基を形成してもよく;
Wは、CRまたはNであり;
は、H、C1〜8アルキル,C1〜8アルキルR14、C3〜14シクロアルキル、C(O)C1〜8アルキル、C1〜8ハロアルキル、C1〜8アルキルOH、C(O)NR1415、C1〜8シアノアルキル、C(O)R14、C0〜8アルキルC(O)C0〜8アルキルNR1415、C0〜8アルキルC(O)OR14、NR1415、SO1〜8アルキル、C1〜8アルキルC3〜14シクロアルキル、C(O)C1〜8アルキルC3〜14シクロアルキル、C1〜8アルコキシ、またはOHであり、RがHではないとき、Rは、置換されていても置換されていなくてもよく;
は、Hまたはハロゲンであり;
、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、およびR15はそれぞれ独立に、H、C1〜8アルキル、C3〜14シクロアルキル、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、C6〜14アリール基、5〜14員のヘテロアリール基、アルコキシ、C(O)H、C(N)OH、C(N)OCH、C(O)C1〜3アルキル、C1〜8アルキルNH、C1〜6アルキルOHから選択され、ここでは、R、R、R、R、R10、R11、R12、およびR13、R14、およびR15は、Hではないとき、置換されていても置換されていなくてもよく;
mおよびnは独立に、0〜2であり;
ここでは、L、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、およびR13、R14、およびR15は、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C3〜14シクロアルキル、5〜14員のヘテロアリール基、C6〜14アリール基、3〜14員のシクロヘテロアルキル基、OH、(O)、CN、アルコキシ、ハロゲン、またはNHの1つまたは複数で置換されていてもよい。
一実施形態では、CDK阻害剤は、下の式によって記述される、化合物B1、すなわち、7−シクロペンチル−N,N−ジメチル−2−((5−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イル)アミノ)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミドである:
本発明の組合せ医薬の特定の実施形態には、以下が含まれる:
(1)化合物A1と化合物B1とを含む組合せ;
(2)化合物A2と化合物B1とを含む組合せ;および
(3)化合物A3と化合物B1とを含む組合せ。
同様に本発明の範囲内に含まれるのは、上述のような2種の別々の活性成分より多い組合せであり、すなわち、本発明の範囲内の組合せ医薬は、3種以上の活性成分を含むことが可能であろう。
別段の指示がない限り、化合物の構造とその化学名が一致していない場合、化合物の構造が優先される。
上の式(A、A1、A2、およびB)の化合物、特に化合物A1〜A3およびBは、その遊離塩基の形態またはその任意の塩の形態のいずれかで、本発明の組合せに組み込まれてもよい。塩は、単独で、または遊離化合物との混合物で存在することができ、好ましくは医薬として許容される塩である。化合物のかかる塩は、例えば、塩基性窒素原子と好ましくは有機または無機酸との、酸付加塩として形成される。適切な無機酸は、例えば、塩酸などのハロゲン酸、硫酸、またはリン酸である。適切な有機酸は、例えば、コハク酸、カルボン酸またはスルホン酸、例えば、フマル酸またはメタンスルホン酸である。単離または精製を目的として、医薬として許容されない塩、例えば、ピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することも可能である。治療に使用する場合は、医薬として許容される塩または遊離化合物のみが用いられ(適用可能であれば、医薬製剤の形態で)、したがってこれらが好ましい。
含まれるのは、同様に医薬として許容されるそれらの塩、対応するラセミ化合物、ジアステレオ異性体、鏡像異性体、互変異性体、ならびに、存在する場合、上に開示した化合物に対応する結晶変態、例えば、溶媒和物、水和物および多形体であり、これらはそこに開示される。本発明の組合せに活性成分として使用される化合物はそれぞれ、引用文献中に記載される通りに調製し、投与することができる。
薬理学および有用性
本発明の組合せの個々のパートナーは、阻害活性を有することが知られている化合物であることが留意される。今回、驚いたことに、本発明の組合せおよびそれらの医薬として許容される塩は、in vitroでの無細胞キナーゼアッセイおよび細胞アッセイならびにin vivoでのがんマウスモデルで検査したときに有益な協同的(例えば相乗的)治療特性を示し、したがって、増殖性疾患、特にがんの治療に役立つものとなるために、有用であることが見出された。用語「増殖性疾患」には、がん、腫瘍、過形成、再狭窄、心肥大、免疫異常および炎症が含まれるが、これらに限定されない。
一態様では、本発明は、増殖性疾患、特にがんの治療に使用するための、(a)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、(b)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを、別々にまたは一緒に含む、組合せ医薬に関する。
別の態様では、本発明は、増殖性疾患、特にがんの治療用の医薬品を調製するための、(a)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、(b)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤との組合せ医薬の、別々または一緒の使用を提供する。
一態様では、本発明はさらに、増殖性疾患の治療を必要とする対象における、増殖性疾患を治療する方法であって、(a)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、(b)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを含む、共同的な治療有効量の組合せ医薬または医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法に関する。本発明によれば、第1の薬剤および第2の薬剤は、単一の医薬組成物で一緒に投与されても、別々の医薬組成物で個別にまたは逐次投与されても、いずれであってもよい。
好ましくは、本発明は、がんなどの増殖性疾患に罹患している哺乳動物、とりわけヒトを治療するのに有用である。
本発明の組合せで治療することができる増殖性疾患の例は、例えばがんであり、これらには、肉腫、神経芽細胞腫、リンパ腫;肺がん、気管支がん、前立腺がん、乳がん(散発性乳がん、およびカウデン病の罹患者を含む)、膵臓がん、胃腸がん、結腸がん、直腸がん、結腸がん、結腸直腸腺腫、甲状腺がん、肝臓がん、肝内胆管がん、肝細胞がん、副腎がん、胃(stomach)がん、胃(gastric)がん、神経膠腫、神経膠芽腫、子宮内膜がん、黒色腫、腎臓がん、腎盂がん、膀胱がん、子宮体がん、子宮頸がん、膣がん、卵巣がん、多発性骨髄腫、食道がん、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、骨髄性白血病、脳がん、脳の癌腫、口腔および咽頭がん、喉頭がん、小腸がん、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、絨毛結腸腺腫、腫瘍形成、上皮性(epithelial character)腫瘍形成、乳癌、基底細胞癌、未分化大細胞リンパ腫、非小細胞肺癌、扁平上皮細胞癌、光線性角化症、腫瘍性疾患(固形腫瘍を含む)、頸部または頭部の腫瘍、真性多血球血症、本態性血小板血症、骨髄様化生を伴う骨髄線維症、炎症性乳、ならびにワルデンシュトレーム病が含まれるが、これらに限定されない。
さらなる例には、真性多血球血症、本態性血小板血症、骨髄様化生を伴う骨髄線維症、喘息、COPD、ARDS、レフラー症候群、好酸球性肺炎、寄生虫の(特に後生動物)侵入(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発動脈炎(チャーグ−ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫、薬物反応によって引き起こされる気道に影響を及ぼす好酸球関連障害、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性脈管炎、じんま疹、水疱性類天疱瘡、紅斑性狼瘡、天疱瘡、後天性表皮水疱症、自己免疫性血液障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、真性赤血球性貧血および特発性血小板減少性紫斑病)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーブンス−ジョンソン症候群、突発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌性眼障害、グレーブス病、サルコイドーシス、歯槽骨炎、慢性過敏性肺臓炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部および後部)、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、糸球体腎炎、循環器疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、深部静脈血栓症、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解疾患(thrombolytic disease)、急性動脈虚血、末梢血栓性閉塞(peripheral thrombotic occlusions)、および冠動脈疾患、再潅流障害、網膜症、例えば、糖尿病性網膜症または高圧酸素誘導性網膜症(hyperbaric oxygen-induced retinopathy)、ならびに眼圧亢進または眼房水の分泌によって特徴付けられる状態、例えば緑内障が含まれる。
がん、腫瘍、腫瘍性疾患、肉腫、またはがんについて言及される場合、腫瘍および/または転移の場所がどこであれ、初発の臓器もしくは組織における転移および/または他のいかなる場所における転移もまた、代替的にまたは追加的に含意される。
本発明のALK阻害剤とCDK4/6阻害剤との組合せは、ALK陽性のがん、すなわち、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に仲介される/依存するがんの治療に特に有用である。本発明の組合せは、ALK遺伝子および/またはタンパク質の過剰発現もしくは増幅および/または体細胞変異を示すがん、特に神経芽細胞腫の治療に有効であるというデータが本明細書に示される。
本発明のALK阻害剤とCDK4/6阻害剤との組合せは、ALK抵抗性の腫瘍またはがんの治療にも有用であり得る。ALK阻害剤で治療したときの腫瘍抵抗性の一機序は、ALK遺伝子に変異が現れるためである。この機序は、クリゾチニブで治療されたALK陽性腫瘍(ほとんどが非小細胞肺癌である)を有する患者での臨床治験で明示されている。これらの抵抗性変異の一部は、神経芽細胞腫に見出される変異に類似している。理論によって束縛されることを望むものではないが、これらの抵抗性変異によってALKが活性化して、腫瘍の増殖をさらに駆り立てていると想定される。例えば、ALKのT1151/L1152/C1156領域およびI1171/F1174領域の変異は、神経芽細胞腫の変異に類似している。本発明のALK阻害剤とCDK阻害剤との組合せは、増幅している変異を有する神経芽細胞腫腫瘍に有効であるため、この組合せはこれらのALK抵抗性腫瘍に有効であると思われる。
したがって、一実施形態では、本発明の組合せは、ALK遺伝子の増幅に依存する増殖性疾患の治療に有用である。別の実施形態では、本発明の組合せは、ALK遺伝子の変異に依存する増殖性疾患の治療に有用である。さらに別の実施形態では、本発明の組合せは、ALK遺伝子の変異および増幅に依存する増殖性疾患の治療に有用である。
一実施形態では、細胞増殖性疾患は、リンパ腫、骨肉腫、黒色腫、乳房の腫瘍、腎臓の腫瘍、前立腺の腫瘍、結腸直腸の腫瘍、甲状腺の腫瘍、卵巣の腫瘍、膵臓の腫瘍、神経細胞の腫瘍、肺の腫瘍、子宮の腫瘍または胃腸の腫瘍、ALK抵抗性腫瘍、炎症性乳がん、未分化大細胞リンパ腫、非小細胞肺癌および神経芽細胞腫から選択される。
好ましい実施形態では、細胞増殖性疾患は未分化大細胞リンパ腫である。別の好ましい実施形態では、細胞増殖性疾患は非小細胞肺癌である。さらに別の好ましい実施形態では、細胞増殖性疾患は未分化大細胞リンパ腫である。さらに別の好ましい実施形態では、細胞増殖性疾患は神経芽細胞腫である。さらに別の好ましい実施形態では、細胞増殖性疾患はALK抵抗性腫瘍である。
In vitroおよびin vivoでの試験から、本発明の組合せ医薬を投与すると、症状の進行を緩和する、遅延させるまたは症状を抑制することに関して、本発明の組合せに使用される薬剤(a)または薬剤(b)の一方だけを適用する単独療法と比較して、有益効果、例えば相乗的な治療効果をもたらすことが明示された。少量の活性成分を使用することができるという利益、例えば、投与量を少なくするおよび/または投与する頻度を少なくすることができるということは、副作用の発生率または重症度を減らし、それによって、生活の質を向上させるまたは病的状態を減少させることができると思われる。これは、治療を受けようとする患者の要望および要求に一致している。in vitroおよびin vivoでの試験の結果は、後の実施例の項で報告する。
本発明のALK阻害剤とCDK阻害剤との組合せが、良好な治療限界および他の利点を有する、増殖性疾患の有効な治療に特に適していることを明示するために、臨床治験を当業者に公知の方式で行うことができる。
適切な臨床試験は、例えば、増殖性疾患を有する患者における、非盲検、段階的用量増加試験である。かかる試験によって、特に、本発明の組合せの活性成分の共力作用が証明される。有益効果は、当業者にそれ自体公知であるこれらの試験の結果を通して直接決定することができる。かかる試験は、特に、活性成分を使用する単独療法の効果と本発明の組合せの効果とを比較するのに適している。好ましくは、薬剤(a)の用量を最大耐性用量に達するまで段階的に増大させ、薬剤(b)を一定用量で投与する。あるいは、薬剤(a)を一定用量で投与し、薬剤(b)の用量を段階的に増大させる。患者はそれぞれ、薬剤(a)の用量を毎日または間欠的に与えられる。かかる試験では、治療の効力は、例えば、12週、18週、または24週後に、6週間ごとの症状スコアの評価によって決定することができる。
医薬組成物、投与および投与量
増殖性疾患を標的とすることまたは予防することに共同治療的に有効な分量の、本発明の組合せパートナーの薬剤(a)および(b)それぞれを含む医薬組成物を提供することが、本発明の一目的である。
一態様では、本発明は、(a)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と(b)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを別々にまたは一緒に含む組合せ医薬、および少なくとも1種の賦形剤を含む、医薬組成物に関する。ALK阻害剤およびCDK阻害剤は、本発明の組合せの使用に適している。一実施形態では、本発明のかかる医薬組成物は、増殖性疾患の治療に使用するためのものである。本発明によれば、薬剤(a)および薬剤(b)は、単一の医薬組成物で一緒に投与されても、組み合わされた1つの単位剤形もしくは2つの別々の単位剤形で別々に投与されても、または逐次投与されてもよい。単位剤形はまた、固定された組合せでもよい。
薬剤を別々に投与するための、または本発明による固定された組合せ(すなわち、少なくとも2種の組合せパートナー(a)および(b)を含む単一のガレヌス製剤組成物)で投与するための医薬組成物は、それ自体公知の方式で調製されてもよく、ヒトなどの哺乳動物(温血動物)を含めた対象に経腸投与、例えば、経口または直腸投与、局所投与、および非経口投与するのに適したものであり、治療有効量の少なくとも1種の薬理学的に活性な組合せパートナーを単独で、例えば、上で示した通りに含むか、または1種もしくは複数の医薬として許容される担体もしくは希釈剤、とりわけ経腸もしくは非経口での適用に適したものと組み合わせて含む。適切な医薬組成物は、例えば、約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%の活性成分を含有する。
経腸または非経口投与用の組合せ療法のための医薬組成物は、例えば、糖衣錠剤、錠剤、カプセル剤、または坐剤、アンプル、注射用液剤または注射用懸濁剤などの単位剤形のものである。局所投与は、例えば皮膚または眼に投与するために、例えば、ローション、ゲル、軟膏もしくはクリームの形態、または経鼻もしくは坐剤の形態である。別段の指示がない限り、これらは、それ自体公知の方式で、例えば、従来の混合、造粒、糖衣、溶解または凍結乾燥法によって調製される。複数の投与単位の投与によって必要な有効量に達することができるので、各剤形の個々の用量に含有される各薬剤の単位含有量はそれ自体で有効量を成す必要がないことが理解されよう。
医薬組成物は、1種または複数の医薬として許容される担体または希釈剤を含んでもよく、従来の方式で、一方または両方の組合せパートナーを医薬として許容される担体または希釈剤と混合することによって製造されてもよい。医薬として許容される希釈剤の例には、ラクトース、デキストロース、マンニトール、および/またはグリセリン、ならびに/あるいは滑沢剤および/またはポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。医薬として許容される結合剤の例には、これらに限定されないが、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、デンプン、例えば、トウモロコシ、コムギもしくはコメデンプン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンが含まれ、所望される場合、医薬として許容される崩壊剤には、これらに限定されないが、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、および/または発泡性混合物、あるいは、吸着剤、色素、香味料および甘味料が含まれる。本発明の化合物を非経口で投与できる組成物の形態または輸液の形態で使用することも可能である。医薬組成物は、滅菌されてもよく、かつ/または賦形剤、例えば、防腐剤、安定剤、湿潤化合物および/もしくは乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩および/もしくは緩衝液を含んでもよい。
具体的には、本発明の組合せの治療有効量の組合せパートナーそれぞれは、同時にまたは逐次、いかなる順序で投与されてもよく、構成成分は、別々にまたは固定された組合せとして投与されてもよい。例えば、本発明によるがんを予防するまたは治療する方法は、(i)遊離または医薬として許容される塩の形態で第1の薬剤を投与すること;および(ii)遊離または医薬として許容される塩の形態で第2の薬剤を、同時にまたは任意の順序で逐次、共同的な治療有効量で、好ましくは相乗的有効量で、例えば、本明細書に記載する量に相当する一日投与量または間欠的投与量で投与することを含んでもよい。本発明の組合せの個々の組合せパートナーは、療法の期間中に異なる時刻に別々に投与されても、分割されたもしくは単一の組合せ形態で同時に投与されてもよい。さらに、投与することという用語は、in vivoで組合せパートナー自体に変わる、組合せパートナーのプロドラッグの使用も包含する。したがって、本発明は、同時または交互治療のかかるレジメンすべてを包含するとして理解されるべきであり、用語「投与すること」は、状況に応じて解釈されるべきである。
本発明の組合せに用いられる組合せパートナーの薬剤それぞれの有効投与量は、用いられる特定の化合物または医薬組成物、投与様式、治療されている状態、治療されている状態の重症度に応じて変わり得る。よって、本発明の組合せの投薬レジメンは、患者の種類、種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療しようとする状態の重症度;投与経路;患者の腎機能および肝機能;ならびに用いられる個々の化合物を含めた種々の因子に従って選択される。通常の技量を有する医師、臨床医または獣医師であれば、状態の進行を予防、逆転または抑止するのに必要とされる薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。効力をもたらす範囲内の薬物濃度を達成する上での精度を最適にするには、標的部位に薬物が利用される動態に基づくレジメンが必要とされる。これには、薬物の分布、平衡、および排出を考慮することが含まれる。
本発明の目的のために、治療有効用量は一般に、単回または分割用量で受容者に投与される1日当たりの総用量となる。式(I)の化合物は、例えば、レシピエントの体重当たり約0.05から約50mg/kg、好ましくはレシピエントの体重当たり約0.1〜25mg/kg、より好ましくはレシピエントの体重当たり約0.5から10mg/kgの1日当たりの投与量範囲で受容者に投与されてもよい。薬剤(b)は、例えば、レシピエントの体重当たり約0.001から1000mg/kg、好ましくはレシピエントの体重当たり1.0から100mg/kg、最も好ましくはレシピエントの体重当たり1.0から50mg/kgの1日当たりの投与量範囲で受容者に投与されてもよい。投与量単位の組成物は、日用量を構成する量の約数のような量を含有してもよい。
本発明のALK阻害剤とCDK阻害剤との組合せは、単独で使用することも、これらの病態に使用するための医薬として活性な少なくとも1種の他の化合物と組み合わせて使用することもできる。これらの活性化合物は、同一の医薬製剤に組み合わせることもできるし、組み合わせた製剤である「キットオブパーツ」の形態で組み合わせることもできる(組合せパートナーを個別に投薬しても、区別された量の組合せパートナーを有する異なる固定された組合せを使用してもよく、つまり、同時に投薬しても異なる時点で投薬してもよい、ということを意味する)。そのとき、キットオブパーツの構成品は、例えば、同時に投与されてもよく、または時間をずらして、すなわち、キットオブパーツの任意の構成品に対して異なる時点で、同じまたは異なる時間間隔で投与されてもよい。本発明のALK阻害剤とCDK阻害剤との組合せと組み合わせて使用するために挙げることができる化合物の非限定的な例には、細胞毒性化学療法薬、例えば、アナストロゾール、塩酸ドキソルビシン、フルタミド、デキサメタゾン、ドセタキセル、シスプラチン、パクリタキセルなどが含まれる。
キット
本発明はさらに、化合物A1からA3または医薬として許容されるそれらの塩からなる群から選択される第1の化合物と、化合物Bまたは医薬として許容されるそれらの塩と、手引きを含む添付文書または他のラベルとを含む、増殖性疾患を治療するためのキットに関する。
本発明はさらに、化合物A1〜A3または医薬として許容されるそれらの塩から選択される第1の化合物と、手引きを含む添付文書または他のラベルとを含み、化合物Bまたは医薬として許容されるその塩と共投与することによって増殖性疾患を治療するためのキットに関する。
以下の実施例は、上記の発明を例示する。しかし、これらは、本発明の範囲をいかなる様にも限定することを意図するものではない。本発明の組合せ医薬の有益効果は、関連技術の当業者にそれ自体が公知の他の検査モデルによっても決定することができる。
実施例A:Loewe相加性モデルに基づく相乗的な組合せをハイスループットスクリーニングで特定する
薬物の組合せの相乗的相互作用は、Loewe相加性モデルに基づいて、Chaliceソフトウェア[CombinatoRx、ケンブリッジ、MA])を使用して評価した。Lehar J, Krueger AS, Avery W, et al., 2009, in Synergistic drug combinations tend to improve therapeutically relevant selectivity, Nat Biotechnol. 27:659-66を参照されたい。このソフトウェアは、2種の薬剤の組合せからの薬物処置の応答(阻害の割合(%)または細胞生存率の低減の割合(%))を、単独で作用させた薬剤の応答と、すなわち薬物それ自体との用量相加的な参照モデル(drug-with-itself dose-additive reference model)(Loewe相加性モデル)に対して、比較する。用量相加からのずれは、「相乗作用スコア」で数値的に評価され、それによって組合せ効果の総合的な強さを定量化することができる。相乗作用スコア>0は、相乗的な組合せを示す。強力に相乗的な組合せだけを確実に選択するために、受け入れ基準をより高いレベルに設定した。強力に相乗的な組合せは、相乗作用スコア>2(バックグラウンド(非相乗作用)モデルの2倍の大きさが予測される相乗作用スコア)と最大効力>100(増殖阻害の計算から求められた、静止状態と等価な値)とを両方有するとして定義した。
詳細に特徴付けられた下の20種のヒト神経芽細胞腫細胞株(表1)を、化合物A1、A2、A3、およびBで、個々におよび以下の組合せで処置した:
(1)化合物A1およびB;
(2)化合物A2およびB、ならびに
(3)化合物A3およびB、
処置後に、各検査混合物について細胞生存率(生細胞の分量)を、アッセイの項に後述するCellTiter−Glo(登録商標)(CTG)発光細胞生存率アッセイ(Promega)によって求めた。20種の細胞株のうち15種から高品質の一次スクリーニングデータが生成された。他の5種の細胞株は、増殖に失敗したか、ノイズが多過ぎるデータを生じたかのいずれかであったために、解析に含めなかった。処置に対する応答(細胞生存率が低減した割合(%))をChaliceソフトウェア[CombinatoRx、ケンブリッジ、MA])を使用して解析した。データの評価およびグラフの生成は、Microsoft ExcelソフトウェアおよびChaliceソフトウェアを使用して行った。
検査した3種の組合せについての相乗作用スコアを表2および表3にした。A1とBとの組合せについて、相乗作用は、LAN1(F1174L)、LAN5(R1275Q)、NB−1643(R1275Q)、NB−SD(F1174L)、およびNB−1691(野生型)細胞で観察された。この併用処置がLAN−5細胞でとりわけ相乗的であったことが留意される。A2とBとの組合せについて、相乗作用は、Kelly(F1174L)、LAN−5(R1275Q)、SK−N−BE(2)(野生型)、およびNB−1691(野生型)で観察された。NB−1(ALK増幅)細胞株における化合物A2のそれ自体との組合せも相乗的として特定されたが、恐らくこの細胞株においてこの化合物の単剤の活性が強力であるためであろう。A3とBとの組合せについて、相乗作用は、検査したいかなる細胞株でも観察されなかった。
薬物処置の効果は、Chaliceマトリックスによって明示された。図2は、化合物A1とBとの組合せ(最上段)、化合物Aの自己交差(中段)、および化合物Bの自己交差(最下段)によって処置されたLAN−1細胞についてのChalice用量マトリックスおよびLoewe(相加的)過剰阻害を示す。薬物処置によって阻害された割合(%)(細胞生存率の低減)を用量マトリックス(左)中のブロックに記録し、単剤処置は一番左の列および一番下の行に、組合せは残りの6×6の組合せブロックに記録した。用量マトリックス中のデータとLoeweモデルによって生成した予想阻害値との相違をLoewe過剰マトリックスに報告した。この過剰阻害マトリックスにおいて、相乗作用は、値>0(つまり、単純な相加的相互作用から予想されるものより大きい阻害)として定義される。拮抗作用は、値<0(つまり、単純な相加的相互作用から予想されるものより大きい阻害)として定義される。薬物処置についての相乗作用スコアは、マトリックス内の6×6の組合せブロック全部を計算に入れてコンピュータ処理した。化合物A1×B、化合物A1×A1および化合物B×Bについて得られたLan−1細胞における相乗作用スコアは、それぞれ、2.26、1.01および1.32であった。A1×Bの組合せは、Lan−1細胞において相乗的であった。
表2および3にした相乗作用スコアの統計的変動をボックスプロット(図3)によって図示した。3種のALK阻害剤のうち2種からのデータのみを含めた。このプロットで使用する場合、ALK阻害剤は、化合物A1または化合物A2を指し、CDK4/6阻害剤は化合物Bを指す。ALK疾患細胞において、ALK×CDK4/6の組合せは強力に共力的であり、相乗作用スコアは2.26、標準偏差は0.9であった。ALK×ALKおよびCDK4/6×CDK4/6の組合せは中程度に相乗的であり、相乗作用スコアは、それぞれ1.011(sd=0.4)および1.16(sd=0.43)である。ALK正常細胞では、組合せおよび自己交差による処置は相乗的ではなく、相乗的スコアは約0.5であったが、類似した大きい標準偏差を有していた。
強力な相乗的組成物を視覚的に特定するために、表2および3中のデータを散布図(図4A〜C)に提示し、図中、最大組合せ効力を相乗作用スコアに対してプロットした。3種のALK阻害剤のうち2種、すなわち化合物A1およびA2からのデータのみを含めた。散布図において、垂直方向へのシフトは相加作用を含意し、右方向へのシフトは相乗的相互作用を含意し、対角線方向のシフトは効力が増強された相乗作用を含意する。相乗的組合せのヒットは、相乗作用スコア>2かつ最大効力>100である、右上の四半分にあるものである。2種のALK阻害剤(化合物A1およびA2)は、ALK正常細胞株よりALK疾患細胞株に優先的な単剤効力を示した(図4A)。CDK阻害剤(化合物B)は、2種の疾患細胞株および1種の正常細胞株で単剤効力(>100)を示した(図4B)。ALK阻害剤とCDK4/6阻害剤との組合せは、検査した15種の細胞株のうち7種において相乗作用と効力の増大とを両方をもたらす相互作用を生じた。また、それはALK疾患細胞株に優先的である。
この結果から、ALK陽性のがん、特に神経芽細胞腫を治療するために、ALK阻害剤とCDK阻害剤との組合せを使用することが支持される。
実施例B:Chou−Talalayモデルに基づくコンビナトリアルな薬物効果の決定
ALKとCDK4/6阻害剤との組合せのコンビナトリアルな薬物効果を、Chou−Talalayの組合せ指数法(Trends Pharmacol Sci 4, 450-454)を使用し、CalcuSyn v2ソフトウェア(Biosoft、ケンブリッジ、英国)を使用して定量化した。
詳細に特徴付けられた4種のヒト神経芽細胞腫細胞株、NB1643(R1275Q)、SHSY5Y(F1174L)、NB1691(野生型)、およびEDC1(野生型)を試験用に選択した。一定の等効力比を使用した組合せを用いて(この場合、組合せパートナー、すなわち化合物A1および化合物Bを、それら個々のIC50用量の4倍、2倍、1倍、1/2および1/4で組み合わせた)、および各化合物を個々に用いて、細胞株に三重で投薬した。抗増殖効果の濃度依存性を、組合せパートナー両方について、最初に単独で、次いで組み合わせて、xCELLigenceシステムを使用して測定した。それぞれの処置についてのCIをCalcuSyn v2ソフトウェア(Biosoft、MO)によってコンピュータ処理した。
ALK変異体細胞株NB1643(R1275Q)についてのCIを表5に報告する。0.9〜1.1のCIは相加的相互作用を示し、0.9より低い値は共力作用を示し、1.1を超える値は拮抗作用を示すことが理解される。このデータから、検査した組合せすべて(2種を除く)についてのCIは0.9未満であり、したがって、検査した化合物Aと化合物Bとの組合せは相乗的であったことが示される。
NB−1643細胞におけるA1×Bの組合せの併用薬物効果を図6A〜Dにプロットした。これらのプロットの解釈は、図5A〜5Dおよび後のアッセイの項に見出すことができる。それぞれのプロットから、化合物A1とBとの組合せが、NB−1643細胞において相乗効果を示すことが視覚的に明示される。特に、Fa−CIプロット(図6CおよびD)から、CIは、検査したすべての組合せについて1(相加的)よりはるかに低かったことが示される。加えて、アイソボログラムプロット(図6E)から、併用処置についてのED90およびED75用量は、それらのそれぞれのアイソボログラムよりはるかに低いことが示される。
相乗的組合せの多くの利点のうちの1つは、使用する薬物の量を少なくして、または投薬の頻度を減らして、副作用を減少させながら同じ効力を達成できることである。用量低減指数(DRI、Chou and Chou, 1988)は、実験値または計算値から推定することができる。NB1643細胞について、実験値からの用量低減指数(DRI)を表6に報告し、計算値からのものを表7に報告する。
SHSY5Y(F1174L)細胞における化合物A1とBとの組合せの効果を表8に報告する。このデータから、この組合せは、低濃度から中濃度で中程度に相乗的であり、高濃度で拮抗的であったことが示される。
SHSY5Y(F1174L)細胞における化合物A1とBとの組合せの効果を、図7A〜Fにプロットする。このプロットにより、この組合せは、わずかから中程度に相乗的であったことが視覚的に明示され、Fa−CIプロット(図7C)におけるCI値は1よりわずかに低く、ED90の濃度は、ED90のアイソボログラムのすぐ上であった。
NB1691(野生型)細胞における化合物A1とBとの組合せの効果を、図8A〜Fにプロットする。Fa−CIプロット(図8C)から、CIは、化合物濃度が低いときに1より低く、化合物濃度が高いときに1を超えていたことが示され、それにより、薬物の組合せは、低濃度範囲では相乗的であり、より高い濃度範囲では相加的またはわずかに拮抗的であったことが示唆される。この解釈はアイソボログラムプロット(図8E)によって支持され、このプロットから、ED50およびED75の組合せは共力的であったが、ED90の組合せは拮抗的であったことが示される。
NBEDC1(野生型)細胞における化合物A1とBとの組合せの効果を、図9に報告する。このデータから、この組合せは、低濃度から中濃度で中程度に相乗的〜相乗的であり、高濃度で極めて強力に相乗的であったことが示される。
NBEDC1(野生型)細胞における化合物A1とBとの組合せの効果を、図9A〜Fにプロットする。Fa−CIプロット(図9C)から、CIはすべて1より低かったことが示され、それによって、薬物の組合せは検査した濃度範囲にわたって相乗的であったことが示唆される。この解釈は、ED50、ED75およびED90の組合せがすべて共力的であったことを示す、アイソボログラムプロット(図9E)によって支持された。
上に提示したデータから、ALK阻害剤(化合物A1)とCDK阻害剤(化合物B)との組合せは、神経芽細胞腫細胞において、Chou−Talalayの組合せ指数モデルに基づいて相乗的であったことが明示された。相乗作用は、ALK陽性細胞株および野生型細胞株の両方に存在する。
実施例C:細胞形態および細胞死に及ぼす併用処置の効果
本発明の組合せの相乗的な抗増殖効果を、光学顕微鏡法によって視覚化した。ヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y(F1174L)細胞を、それぞれIC50濃度である化合物A1および化合物B、ならびにそれぞれそのIC50濃度である化合物A1とBとの組合せで処置した。処置から72時間後に、処置した試料を光学顕微鏡法によって未処置の試料(ビヒクル)と比較し、顕微鏡写真に記録した(図10A〜D)。未処置の試料(図10A)と比較すると、化合物A1単独で処置した試料(図10B)は、無傷の細胞の数の有意な低減を示した。化合物B単独で処置した試料(図10C)は、細胞数および細胞形態に最低限の効果を示す。化合物A1と化合物Bとの組合せで処置した試料(図10D)は、無傷の細胞をほとんど示さない。これらの顕微鏡写真から、本発明の組合せが、単一の化合物単独による処置と比較して細胞死の増大に相乗作用があることがはっきりと明示された。
実施例D:細胞死に及ぼす併用処置の効果
本発明の組合せは、細胞死の増大に相乗効果を示すが、アポトーシスには示さない。本発明の組合せを用いた処置が細胞生存率およびアポトーシスに及ぼす影響を、3種のヒト神経芽細胞腫細胞株、すなわち、NB1643(R1275Q)、SH−SY5Y(F1174L)およびEBC1(野生型)で、ApoTox−Gloトリプレックスアッセイを使用して評価した。確認するために、細胞生存率に及ぼす処置効果を、CellTitre−Glo(CTG)発光細胞生存率アッセイを使用して、NB1643(R1275Q)でも評価した。アッセイは後述した。
DMSOビヒクルを用いて、化合物A1および化合物Bを組合せ療法に使用するのと同用量で個々に用いて、ならびに化合物A1とBとの組合せを薬剤それぞれのIC50値の1/4、1/2、1、2および4倍という一定の等効力比で組み合わせて用いて、細胞株に三重に投薬した。化合物A1および化合物BについてのIC50は、それぞれ222nMおよび749.5nMとして予め決定した。検査混合物を投薬から72時間後までに評価し、結果を図11A〜C、12A〜C、13A〜Cおよび14A〜Cにプロットした。
図11A、11B、および11Cは、NB1643細胞について、生存率およびアポトーシスに及ぼす処置の効果を示す。細胞生存率およびアポトーシスを、化合物の濃度に対する倍率での分数変化率として表した。このデータから、化合物A1単独(図11A)または組合せ(図11c)は細胞死およびアポトーシスを引き起こすのに有効であり、化合物B単独は、わずかに有効でしかなかった(図11B)ことが示される。特定の投与量で化合物A1単独での応答と組み合わせた場合の応答(図11C)とを比較すると、データから、併用処置では細胞死の有意な増大が示されるが、アポトーシスは同レベルであったことが観察された。
併用処置により細胞死が増大したというこの知見は、処置したNB1643細胞のCTGアッセイによって別々に確認された。特定の投与量点で、組合せ処置(図12C)は、単剤処置(図12AおよびB)と比較すると、細胞死を有意に増大させる。
図13A〜Cは、SH−SY5Y(F1174L)細胞についての処置の効果を示す。やはり、単剤処置(図13AおよびB)と比較すると、組合せ処置(図13C)は、細胞生存率に相乗効果を示すが、低化合物濃度では同レベルのアポトーシスを示す。濃度が高くなると細胞が早く死滅していたので、アポトーシスは検出不能であり、評価されなかったことが留意された。
図14A〜Cは、EBC1(野生型)細胞についての薬物処置の効果を示す。細胞を化合物A1単独で処置したとき(図14A)または併用処置したとき(図14C)に、同レベルの細胞死が観察された。EBC1細胞については、組合せに相乗効果はなかった。
この試験から、本発明の組合せ、特に化合物A1と化合物Bとの組合せは、ALK陽性の神経芽細胞腫細胞に相乗的な抗増殖効果を有することが明示される。本発明の組合せは、ALK陽性の増殖性疾患、特にALK陽性の神経芽細胞腫の治療に有用であると思われる。
実施例E:併用処置はpALKおよびpRbタンパク質の発現を大幅に低減させる
pALKおよびpRbはそれぞれ、ALKおよびCDK活性化のバイオマーカーである。網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)は、細胞周期の進行を阻害することによって過剰な細胞増殖を防止する、腫瘍抑制タンパク質である。種々の機序を通してcdk4またはcdk6を活性化することに依存する細胞増殖は、リン酸化Rbタンパク質(pRB)の増加を示すはずである。CDKを阻害すると、pRbが減少し、細胞周期が停止する。ALKを阻害すると、ALKのリン酸化の発現(pALK)が低減し、pALKが減少すると、最終的なエンドポイントであるアポトーシスを伴い、増殖が減少する。
ウエスタンブロット法を使用して、ALK+および野生型の神経芽細胞腫細胞における、全Rbタンパク質およびリン酸化Rbタンパク質の量ならびに全ALKおよびリン酸化ALKの量に及ぼす薬物処置の効果をアッセイし、これらのデータをIC50の分率で表した化合物用量と関連付けた。ALK+細胞株、NB1643(R1275Q)および野生型細胞株、EBC1を本試験用に選択した。
NB1643(R1275Q)細胞を、化合物A1および化合物Bで個々に、またそれぞれの化合物のIC50濃度の1/16、1/8、1/4および4倍という一定の等効力比で組み合わせて処置した。化合物を含まないビヒクルで処置した試料を調製し、対照とした。細胞混合物を処置から20時間後に解析した。
EBC1(野生型)細胞を、化合物A1および化合物Bで個々に、またそれぞれの化合物のIC50濃度の1/4、1/2、1および4倍という一定の等効力比で組み合わせて処置した。化合物を含まないビヒクルで処置した試料を調製し、対照とした。細胞混合物を処置から72時間後に解析した。
図15は、処置したNB1643細胞の全ALK(tALK)およびpALKの状態を示す。このデータから、薬剤単独あるいは組合せによる処置は、投薬範囲にわたって全ALKにほとんど効果を及ぼさないことが示される。薬剤単独あるいは組合せによる処置は、IC50用量の1/16倍からpALKタンパク質の量を低減させたが、組合せによる処置の方がより顕著な低減効果を生じた。低減の程度がリン酸化の位置に依存することがさらに留意される。チロシンの1604番目のコドンでリン酸化されたpALKは、チロシンの1278番目のコドンでリン酸化されたpALKよりも大きい低減を示す。
図16は、処置したNB1643細胞の全RbおよびpRbの状態を示す。薬剤単独あるいは2種の薬剤の組合せによる処置は、全RbおよびpRbタンパク質の発現を低減させた。低減は、組合せ処置からの方がより大きかった。処置の効果は、同様にリン酸化の位置に依存し、処置の効果は、pRB S795の方がpRb S780より実質的に大きかった。
図17は、処置したEBC1(野生型)細胞の全ALKおよびpALKの状態ならびに全RbおよびpRbの状態を示す。このブロットから、併用処置は、pALKおよびpRbタンパク質の発現を低減させるのに有効であったことが示される。
上の試験から、併用処置がpALKおよびpRbタンパク質の発現を低減させることが明確に示された。その効果は、併用処置した場合、単剤単独での処置と比較して増大した。したがって、本発明の組合せは、ALK+および野生型の細胞において相乗作用を示した。
実施例F:併用処置はCB17 SCIDマウスにおけるヒト神経芽細胞腫腫瘍に対する治療効果を増大させた
効力の増大に関する試験を、in vivoでCB17 SCIDマウスについて、ヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y(F1174L ALK変異を有する)異種移植片に対して行った。このマウスを4つの試験群に分けた:
1) 溶媒のビヒクルだけを用いて処置した対照群;
2) 化合物A1だけを用いて、用量50mg/kgでの1日1回の強制経口投与によって処置した群(このマウスモデルでは効果がないことが予め示されている用量);
3) 化合物Bだけを用いて、250mg/kgで、5日目から187.5mg/kgに減らして(毒性を低減させるため)処置した群。処置スケジュールは1日1回の強制経口投与であった、ならびに
4) 薬物の組合せを用いて処置した群(化合物A1は50mg/kgであり、化合物Bは250mg/kgで、5日目に187.5mg/kgに減らした)。
この試験の結果を、図18、19A〜Dおよび20に示す。
化合物A1と化合物Bとの組合せで処置された4群のマウスでは、他の群に対して腫瘍体積が実質的に低減したことが示された(図18)。検査群中の各検査マウスの腫瘍体積を時間に対してプロットすると(図19A〜19D)、4群(併用処置)のマウスでは腫瘍体積が時間と共に減少する一方で、他のすべての群では腫瘍体積が時間と共に増加したことが示される。図20は、検査マウスの経時的な生存の割合(%)を示す。4群では、マウスのうち2匹が7日目に死亡し、残りは処置期間を通して生存した。3群(化合物B単独で処置された)では、マウスのうち1匹が14日目に死亡し、残りは処置期間を通して生存した。1群および2群のマウスでは、腫瘍は大きく増殖し過ぎ、それぞれ1週半および3週目でマウスを安楽死させた。
この結果から、ヒトSY5Y NB異種移植片に対する組合せ療法は、各薬物単独で処置するより大きな効力を達成することが明示された。印象深いことに、このSY5Y異種移植モデルにおいて、NB SY5Y腫瘍(ALK阻害剤の処置単独では応答しないことが予め示されていたもの)を有するSCIDマウスを、50mg/kgの薬理学的に適切な用量の化合物A1とBとの組合せで処置すると、定着腫瘍が縮小し、全腫瘍の寛解が達成されたのに対して、50mg/kgの化合物A1単独で処置しても、このSY5Y異種移植片モデルのビヒクル対照と比較してわずかな腫瘍増殖の遅延をもたらしたに過ぎなかった。
実施例G:神経芽細胞腫細胞における化合物A1とBとの強力な相乗的相互作用に関するスクリーニング
神経芽細胞腫細胞株において強力に相乗的な組成物を特定するために、化合物A1とBとの組合せを16種の神経芽細胞腫細胞株のパネル(そのうちの10種が活性型ALK変異または増幅のいずれかを持っていた)(表10)に対して検査した。アッセイの項に後述する通りに、細胞増殖が読み取れる1536ウェルの形式の7×7の用量マトリックスブロックを使用して、組合せを二重に検査した。化合物A1およびBをそれら自体と組み合わせて、予想される用量相加的相互作用の相乗作用評価パラメータに及ぼす、アッセイのノイズの影響を求めた。化合物を添加したときの細胞の数/生存率も同様に評価し、それらを使用して、アッセイの範囲内で観察された最大増殖阻害を、計算にNCIの方法を用いて求めた。
すべての相乗作用の計算は、Zalicus製のCHALICEソフトウェアパッケージを使用して行い、化合物の組合せ間の有望な相乗的相互作用をLoewe相加性モデルに従う過剰阻害2Dマトリックス(Excess Inhibition 2D matrix)を使用して評価し、相乗作用スコアとして報告した(表10)(Lehar et al)。強力に相乗的な組合せは、(1)2より大きい相乗作用スコア(バックグラウンド(非相乗作用)モデルの2倍の大きさが予測される相乗作用スコア)と(2)最大効力>100(増殖阻害の計算から求められた、静止状態とほぼ等価な値)との両方を有するとして特定した。評価したすべての組合せについての薬物効果を散布図(図21)に示した。化合物A1の自己交差で処置すると(最上部)、単剤効力はALK野生型細胞株よりALK疾患サブセットの細胞株に優先的であったことが観察された。化合物Bの自己交差で処理すると(中央)、検査した細胞株のいずれにも単剤効力を示さなかったことが示された。化合物A1およびBで併用処置すると(最下部)、検査した16種の細胞株のうち3種で相乗作用と効力の増大とを両方もたらす相互作用を生じ、またALK疾患細胞株に優先的であった。
実施例H:Kelly神経芽細胞腫細胞におけるALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果。
Kelly神経芽細胞腫細胞におけるALK阻害剤(化合物A1またはA2)およびCDK4/6阻害剤(化合物B)での併用処置の用量効果を調査した。このアッセイは、もっと大規模なスクリーニングの一部として実行した。Kelly細胞は、Novartisの細胞ライブラリから入手し、化合物A1とBとの組合せおよび化合物A2とBとの組合せで処置した。このアッセイは、9×9の用量マトリックスを代わりに使用したことを除いて、アッセイの項に後述する通りであった。9×9の用量マトリックスブロックを使用して、組合せを二重に検査した。単剤は一番左の列および一番下の行に投薬し、残りの8×8の組合せブロックに3倍の段階希釈系列の化合物を投薬し、この場合、化合物A1、A2およびBの原液の最高濃度はそれぞれ、1.67mM、5mMおよび5mMであった。細胞阻害の読み取りは、アッセイの項に後述する通りであった。データの解析はChaliceソフトウェアによって行い、化合物の組合せ間の有望な相乗的相互作用をLoewe相加性モデルに従って評価した。それらを相乗作用スコアとして報告する。化合物を添加したときの細胞の数/生存率を同様に評価し、それらを使用して、アッセイの範囲内で観察された最大増殖阻害を、計算にNCIの方法を用いて求めた。その結果を表11にし、図22Aおよび22Bに図示する。
ALK阻害剤のいずれか1つとCDK阻害剤との組合せは、Kelly細胞の増殖を阻害するのに有効であり、特に高い方の化合物濃度で有効であった。相乗作用スコアは中程度であったが、アイソボログラムは極めて強い相互作用を示した。
実施例I:KellyおよびNB−1神経芽細胞腫細胞におけるALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果
Kelly(ALK+、増幅およびF1174L)およびNB−1(ALK+、増幅)神経芽細胞腫細胞におけるALK阻害剤(化合物A1またはB)およびCDK4/6阻害剤(化合物B)での併用処置の用量効果を調査した。このアッセイは、上の実施例Hの結果を確認するために実行した。Kelly細胞およびNB−1細胞は、Novartisの細胞ライブラリから入手し、化合物A1とBとの組合せおよび化合物A2とBとの組合せで処置した。この実験では、9×9の用量マトリックスブロックを使用して組合せを二重に検査し、組合せブロックには3倍の段階希釈系列で投薬した。Kelly細胞に使用した原液の最高濃度は、化合物A1、A2およびBのそれぞれについて5mMであった。NB−1細胞に使用した原液の最高濃度は、化合物A1、A2およびBについて、それぞれ、0.56mM、0.56mM、および5mMであった。細胞阻害の読み取りは、アッセイの項に後述する通りであった。データの解析はChaliceソフトウェアによって行い、化合物の組合せ間の有望な相乗的相互作用はLoewe相加性モデルに従って評価し、相乗作用スコアとして報告した。化合物を添加したときの細胞の数/生存率も同様に評価し、それらを使用して、アッセイの範囲内で観察された最大増殖阻害を、計算にNCIの方法を用いて求めた。化合物を移す間に飛ばしたウェルがあったために、投薬しなかったブロックの結果は、相乗作用スコアおよび最大組合せ効力についてのコンピュータ処理に入力しなかった。この結果を表12にし、処置に対する応答を図23A、23B、23C、23Dに図示する。
ALK阻害剤のいずれか1つとCDK阻害剤との組合せは、Kelly細胞の増殖を阻害するのに有効であり、薬物相互作用は強力に相乗的であった。
ALK阻害剤のいずれか1つとCDK阻害剤との組合せはNB−1細胞の増殖を阻害するのに有効ではなく、この組合せは相乗的ではなかった。
実施例J:Kelly、NB−1およびSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞におけるALK阻害剤およびCDK4/6阻害剤での併用処置の用量効果。
Kelly(ALK+、増幅およびF1174L)、NB−1(ALK+、増幅)においてALK阻害剤(化合物A1またはA2)およびCDK4/6阻害剤(化合物B)での併用処置の用量効果を決定するための実験を、様々な濃度の薬物化合物で繰り返した。SH−SY5Y神経芽細胞腫細胞もこの実験に含まれていた。3種の細胞株はすべて、Novartisの細胞ライブラリまたはATCCから入手した。
細胞を化合物A1とBとの組合せおよび化合物A2と化合物Bとの組合せで処置した。この実験では、9×9の用量マトリックスブロックを使用して組合せを二重で検査し、組合せブロックには3倍の段階希釈系列で投薬した。Kelly細胞に使用した原液の最高濃度は、化合物A1、A2およびBそれぞれについて2.5mMであった。NB−1細胞に使用した原液の最高濃度は、化合物A1、A2およびBについて、それぞれ、0.28mM、0.28mM、および2.5mMであった。SH−SY5Y細胞に使用した原液の最高濃度は、化合物A1、A2およびBそれぞれについて2.5mMであった。細胞阻害の読み取りは、アッセイの項に後述する通りであった。データの解析はChaliceソフトウェアによって行い、化合物の組合せ間の有望な相乗的相互作用はLoewe相加性モデルに従って評価した。それらを相乗作用スコアとして報告する。化合物を添加したときの細胞の数/生存率も同様に評価し、それらを使用して、アッセイの範囲内で観察された最大増殖阻害を、計算にNCIの方法を用いて求めた。
データの質の問題が観察された。Kelly細胞におけるA1とA2の両方についての単剤の用量反応は、実施例Iのそれと比較したときに予想より低かった。投薬濃度の低下が低い相乗作用スコアの一因となった可能性があるが、他の要因、例えば、化合物の塩析または細胞株の不安定性が一役買った可能性も考えられる。この実験では組合せについての最大組合せ効力を求めなかった。KellyおよびNB−1細胞株についての相乗作用スコアを表13にし、処置の用量効果を図24A〜Dに図示する。SH−SY5Y細胞株に伴うデータの質の問題はもっと深刻であり、データの解釈が困難となった(図24Eおよび24F)。この細胞株について相乗作用スコアを求めなかった。
A1×BおよびA2×Bの組合せについての相乗作用スコアは低〜中程度であり、強力に相乗的な組合せの基準(相乗作用スコア>2)より低かった。ALK阻害剤のいずれか1つとCDK阻害剤との組合せは、NB−1細胞では相乗的でなかった。観察されたデータの問題により、データが信頼できない場合もあり得ることが理解されるべきである。
実施形態の一覧
本発明の種々の実施形態の一覧を本明細書に記載する。各実施形態に明記される特徴は、明記される他の特徴と組み合わせることができ、本発明のさらなる実施形態を提供することが理解されよう。
実施形態1.この第1の実施形態では、本発明は、(a)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、(b)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを、別々にまたは一緒に含む、組合せ医薬を提供する。
実施形態2.ALK阻害剤が下の式A1:

によって表される化合物A1である、実施形態1による組合せ医薬。
実施形態3.ALK阻害剤が下の式A2:

によって表される化合物A2である、実施形態1による組合せ医薬。
実施形態4.CDK阻害剤が、CDK4阻害剤またはCDK6阻害剤である、実施形態1から3のいずれか1つによる組合せ医薬。
実施形態5.CDK阻害剤がCDK4およびCDK6の二重阻害剤である、実施形態1から3のいずれか1つによる組合せ医薬。
実施形態6.CDK阻害剤が、下の式B1:

によって表される化合物Bである、実施形態1から5のいずれか1つによる組合せ医薬。
実施形態7.2種の薬剤が、
化合物A1および化合物B;ならびに
化合物A2および化合物B
から選択される、実施形態1の組合せ医薬。
実施形態8.本発明はまた、実施形態1から7のいずれか1つによる組合せ医薬、および少なくとも1種の賦形剤を含む、医薬組成物に関する。
実施形態9.本発明はまた、細胞増殖性疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に共同的な治療有効量の実施形態1から7のいずれか1つによる組合せ医薬または実施形態8による医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
実施形態10.第1の薬剤および第2の薬剤が、一緒に、個別に、または逐次投与される、実施形態9による方法。
実施形態11.細胞増殖性疾患がALK陽性のがんである、実施形態9および実施形態10による方法。
実施形態12.がんが、ALK遺伝子の変異に依存する、実施形態11による方法。
実施形態13.がんが、ALK遺伝子の増幅に依存する、実施形態11による方法。
実施形態14.がんが、リンパ腫、骨肉腫、黒色腫、乳房の腫瘍、腎臓の腫瘍、前立腺の腫瘍、結腸直腸の腫瘍、甲状腺の腫瘍、卵巣の腫瘍、膵臓の腫瘍、神経細胞の腫瘍、肺の腫瘍、子宮の腫瘍または胃腸の腫瘍、炎症性乳がん、未分化大細胞リンパ腫、非小細胞肺癌および神経芽細胞腫から選択される、実施形態11から13のいずれかによる方法。
実施形態15.がんが神経芽細胞腫である、実施形態14による方法。
実施形態16.がんが未分化大細胞リンパ腫である、実施形態14による方法。
実施形態17.がんが非小細胞肺癌である、実施形態14による方法。
実施形態18.がんが炎症性乳がんである、実施形態14による方法。
実施形態19.本発明はさらに、増殖性疾患を治療するための、実施形態1から7のいずれか1つによる組合せ医薬に関する。
実施形態20.本発明はさらにまた、増殖性疾患の治療用の医薬品を調製するための、実施形態1から7のいずれか1つによる組合せ医薬または実施形態9の医薬組成物の使用に関する。
実施形態21.本発明はさらにまた、増殖性疾患を治療するための、実施形態1から7のいずれか1つによる組合せ医薬または実施形態8による医薬組成物および使用法を説明する添付文書またはラベルを含むキットに関する。
アッセイ
ALKおよびCDK阻害剤の調製
本明細書に開示する化合物は、当業者であれば慣例的な化学によって合成することができる。
化合物A1である、5−クロロ−N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−[2−(プロパン−2−スルホニル)−フェニル]−ピリミジン−2,4−ジアミンは、WO2010/020675の実施例66として詳細に開示されており、そこに記載される合成手順によって調製した。
化合物A2である、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンは、WO2010/020675の実施例231として詳細に開示されており、そこに記載される合成手順によって調製した。
化合物A3は、クリゾチニブ、商品名XALKORI(登録商標)として一般に知られ、Pfizer Corp.によって販売され、商業的に入手できる。
化合物Bである、7−シクロペンチル−N,N−ジメチル−2−((5−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イル)アミノ)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミドは、WO2010/020675の実施例74として開示されており、そこに記載される合成手順によって調製した。
細胞株および細胞培養
この研究で利用される細胞株は、ヒト神経芽細胞腫由来であり、Novartis内部の細胞ライブラリ、ATCCおよび/またはThe Children’s Hospital of Philadelphia(CHoP)内のChildren’s Oncology Group Reference Laboratoriesから入手した。CHoP細胞株は、定期的にマイコプラズマ感染について検査するだけでなく、遺伝子型の同定も行って(AmpFLSTR identifierキット、Life Technologies)、完全性を保証し、クロス汚染から保護した。加えて、細胞株は、Illumina HH550 SNPチップで決定したゲノムワイドなDNAコピー数状態、およびIllumina発現チップで決定したゲノムワイドなエキソンレベルの遺伝子発現を有していた。細胞株は、当技術分野で公知の推奨培地条件に従って維持することができる(例えば、Thiele, C. J. Neuroblastoma: in (Ed.) Masters, J. Human Cell Culture.Lancaster, UK: Kluwer Academic Publishers. 1998, Vol 1, p. 21-53)。具体的には、細胞は、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを有する10%ウシ胎児血清、および1%L−グルタミンを有するRPMI−1640培地中、37℃および5%COで維持することができる。あるいは、細胞は凍結保存し、使用前に戻してもよい。
細胞株は、一次組織におけるALKの標的状態、すなわち、ALK変異陽性の状態、ALK変異陰性であるが野生型ALKのゲノムが増幅および過剰発現した状態、ならびにALK変異陰性でありコピー数が正常である状態、を等しく代表するように選択した。ALK変異陽性であった細胞株は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)のチロシンキナーゼドメインに3つの独特な変異を示す。サンガー法シークエンシングでのエクソームシークエンシングによって、変異がALKチロシンキナーゼドメインにあったことが確認された。さらに、細胞株をそれらのMycN、TP53、ALK、TrkAおよびTrkBの状態について特徴付けた。その結果を下の表1に要約する。
本発明の組合せを検査するのに適した神経芽細胞腫細胞株が他にも存在することが理解される。これらの細胞株についての情報は、Thiele CJ.; Neuroblastoma: In (Ed.) Masters, J. Human Cell Culture. Lancaster, UK: Kluwer Academic Publishers. 1998, Vol 1, p 21-53から入手することができる。
細胞生存率アッセイ
細胞生存率は、CellTiter−Glo(登録商標)(CTG)発光細胞生存率アッセイ(Promega)を使用して、細胞のATP含有量を測定することによって求めた。CTG試薬を検査化合物で処置した細胞に添加し、生じた発光をプレートリーダー(例えば、Viewlux、Perkin Elmer)で読み取った。発光シグナル値(応答)の低減および増大を未処置(対照)細胞に対して計算した。計算したシグナル値は細胞生存率に比例する。
Loewe相加性モデルに基づいたハイスループット(high-through)スクリーニングにおける相乗的な治療的組合せの特定
相乗的な組合せをLoewe相加性モデルに基づいて特定した。細胞生存率に及ぼす薬物の組合せの効果を測定するために、上の表1に列挙した20種の細胞株からの細胞を、1536ウェルのアッセイプレート中にウェル当たり最終容積7μL中細胞300個の密度で播種し、RH95%およびCO5%のGNF Systemsインキュベーター中で、37℃で一晩インキュベートした。
検査化合物についての6点の用量反応曲線を、384ウェルのECHO互換性ソースプレート(Labcyte P−05525)中で3倍の段階希釈系列を用いて調製した。例えば、6点の用量反応曲線で最高化合物濃度が5mMである場合、ソースウェルの化合物の濃度は、5mM、1.67mM、0.56mM、0.19mM、0.06mMおよび0.02mMであった。
プレーティングからおよそ18時間後に、細胞株ごとにレプリカプレートを有するACP−1システムに組み込まれたLabcyte ECHO555を使用して、予め希釈されたソースプレートから7.5nLの化合物を移すことによって、化合物の組合せをその場で生成した。ウェル当たりの最終DMSO濃度は0.2%であった。ウェル中の総容積は7μLであったことが留意される。
すべての組合せの抗増殖作用を偏りのない方式で評価すると共に、可能な濃度すべてで相乗効果を特定するために、段階希釈した検査薬剤6つ(または8つ)の可能な順列すべてを利用する、7×7のマトリックス(初期実験では9×9)のウェル(ブロック)に投薬した。2種の薬剤を、組合せブロックの第1列(左側)および第1行(最下部)の最初の6つのウェルに個別に投薬することによって、単剤の曲線を作成した。各ウェルには7.5nLの検査化合物および7.5nLのDMSOを与え、化合物濃度を左手下側角に向って徐々に下げた。化合物を与えなかった、第1列と第1行が交差するところにあるウェルには2×7.5nLのDMSOを投薬し、対照とした。2種の化合物をそれらの全投与量範囲にわたって7.5nLずつ各ウェルに投薬し、同様に左下角に向って徐々に化合物濃度を下げることによって、組合せの曲線を作成した。
化合物を添加した後で、プレートをインキュベーターに120時間戻した。ACP−1システムのGNF Bottle Valve分注器の1つを使用してCell Titer Glo(Promega G7573)を添加することで、細胞の生存率に及ぼす組合せの効果を評価した。次いでプレートを室温で10分間インキュベートし、組み込まれたPerkin Elmer Viewlux(2秒露光、2×ビニング、高感度)で読み取った。各プレート内のDMSO処置細胞である対照ウェルを使用して、生データを正規化した。化合物を添加したときの細胞の数/生存率も同様に評価し、それらを使用して、アッセイの範囲内で観察された最大増殖阻害を、計算にNCIの方法を用いて求めた。Boyd, M. R.; Paull, K. D.; Rubinstein, L. R. In Cytotoxic Anticancer Drugs: Models and Concepts for Drug Discovery and Development; Vleriote, F. A.; Corbett, T. H.; Baker, L. H., Eds.; Kluwer Academic: Hingham, MA, 1992; pp 11-34, and Monks, A.; Scudiero, D. A.; Skehan, P.; Shoemaker, R. H.; Paull, K. D.; Vistica, D. T.; Hose, C.; Langley, J.; Cronice, P.; Vaigro-Wolf, M.; Gray-Goodrich, M.; Campbell, H.; Mayo, M. R. JNCI, J. Natl. Cancer Inst. 1991, 83, 757-766を参照されたい。
すべての相乗作用の計算は、Zalicus製のCHALICEソフトウェアを使用して行った。Lehar J, Krueger AS, Avery W, et al., 2009, in Synergistic drug combinations tend to improve therapeutically relevant selectivity, Nat Biotechnol. 27:659-66を参照されたい。化合物の組合せ間の有望な相乗的相互作用をLoewe相加性モデルに従う過剰阻害2Dマトリックスを使用して評価した。それらを相乗作用スコアとして報告する。
化合物をそれら自体で組み合わせて、予想される用量相加的相互作用の相乗作用評価パラメータに及ぼす、アッセイのノイズの影響を求めた。相乗的組合せのヒット(強力に相乗的)は、相乗作用スコア>2(バックグラウンド(非相乗作用)モデルの2倍の大きさが予測される相乗作用スコア)と最大効力>100(増殖阻害の計算から求められた、静止状態と等価な値)とを両方を有するとして特定した。
相乗的相互作用は、CHALICEソフトウェアの2Dマトリックスの出力から視覚的に評価することができる。図1は、仮想の増殖阻害実験の2Dマトリックスプロットを示す。用量マトリックスプロット(左)は、Chaliceが表示する実験データであり、図中、単剤の用量反応曲線が一番左の列および一番下の行に示され、組合せブロックの右上の角が各薬剤の最高濃度を表している。Loewe過剰阻害プロット(右)は、単剤の曲線から生成されたLoeweモデルに対する上の実験データの比較を表す。用量相加的モデルは、組合せマトリックス中の各ブロックについて予想阻害値を計算する。過剰阻害プロットにおいて、相乗作用は値>0(つまり、阻害は単純な相加的相互作用から予想されるものより大きい阻害)として定義される。拮抗作用は値<0(つまり、単純な相加的相互作用から予想されるものより小さい阻害)として定義される。
薬物組合せ試験からのデータの視覚的表現の他の一般的な代替手段には、ブロックプロット(図3)および散布図(図4A、4Bおよび4C)が含まれる。ボックスプロットは、処置レジメンの相乗作用スコアを比較するために使用した。散布図は、化合物間の相互作用の傾向を視覚化し、強力に相乗的な相互作用を特定するために使用した。
Chou−Talalayの組合せ指数定理に基づく組合せの薬物効果の決定
細胞培養
この実験で使用する神経芽細胞腫細胞株については、上の細胞培養の項および表1に記載した。具体的には、細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを有する10%ウシ胎児血清、および1%L−グルタミンを有するRPMI−1640培地中、37℃および5%COで維持した。
化合物A1および化合物B単独療法を用いたin vitroでの増殖のIC50
「セルインデックス」を測定する、リアルタイムで細胞を電気的に検知する96ウェルのxCELLigenceシステム(ACEA、サンディエゴ、CA)を用いて、5種の神経芽細胞腫細胞株におけるin vitroでの阻害活性を求めた。セルインデックスは、基質接着性の増殖を測定するための生体適合性マイクロ電極表面と細胞とが各ウェル内で相互作用したときの電気インピーダンスの変化から誘導される。増殖動態に応じて、ウェル当たり以下の細胞密度で播いた:NB1643:20,000;SHSY5Y:6,000;SKBE2C:10,000;NBEBC1:11,000;NB1691:30,000。24時間後、播いた細胞を、それぞれ示した通りの用量の検査化合物またはDMSOビヒクル対照で三重に処置した。化合物A1はウェル当たり1nMから10,000nMで投薬し、一方、化合物Bは、ウェル当たり0.6nMから6,000nMまたは1nMから10,000nMで投薬した。薬物暴露から72時間後に、セルインデックスを記録した。
IC50は、GraphPad Prism 5.0の4パラメータ可変傾斜フィッティングを使用して計算した。選択した細胞株における化合物A1および化合物BのIC50を下の表4に要約する。これらの値は、以下の組合せ試験の投薬に使用した。
In vitroでの薬物組合せ試験
薬物の組合せ効果および相乗作用の定量化を、Chou−Talalayの組合せ指数法(Trends Pharmacol Sci 4, 450-454)およびCalcuSyn v2ソフトウェア(Biosoft、MO)を使用して、4種の神経芽細胞腫細胞株で求めた。細胞を播き、in vitroでの増殖を、上述の通りにxCELLigenceシステムを使用して測定した。一定の等効力の薬物の組合せを用いて(この場合、2種の薬剤、例えば、化合物A1および化合物Bを、それらの個々のIC50用量の4倍、2倍、1倍、1/2および1/4で組み合わせた)、また各薬剤を個々に用いて、細胞に三重で投薬した。
個々の薬剤それぞれの抗増殖力を、50%有効量、Dによって推定した。Dは50%有効となる化合物濃度であり、「50%有効プロット」でx切片として定義され、ここでは、以下の定義に従い、x=log(D)およびy=log(f/f)である:
D:薬物の用量;
:所与の濃度の単独のまたは組み合わせた化合物によって影響を受けた細胞の割合として定義される、影響を受けた割合。F=0は、用量によるDMSO対照に基づいて決定され、F=1は、完全応答である(生細胞が残らない);
:用量によって影響を受けなかった割合であり、ここでは、fu=1−faである。
選択した細胞株における化合物A1および化合物BのDを下の表4に要約する。
組合せ薬物の効果を、Chouによって以下の等式に従って定義される組合せ指数(CI)を利用して求めた:
CI=(D)/(D+(D)/(D
式中、(Dおよび(Dは、個々に使用したときに所与のレベルの抗増殖効果を生じるのに必要な化合物DおよびDの濃度であり、それに対して、(D)および(D)は、組み合わせて使用したときに同じ抗増殖効果を生じるそれらの濃度である。組合せ指数は、相加作用(CI=1)、拮抗作用(CI>1)、または相乗作用(CI<1)として定義される、薬物相互作用の定量的尺度である。典型的には、CIの範囲は、本明細書で使用される場合、相乗作用を評価するために使用される。0.9〜1.1の組合せ指数は相加的相互作用を示し、0.9より低い値は共力作用を示し、1.1を超える値は拮抗作用を示す。以下は、CIの範囲の説明である:
<0.1+++++極めて強力な共力作用
0.1〜0.3++++強力な共力作用
0.3〜0.7+++共力作用
0.7〜0.85++中程度の共力作用
0.85〜0.90+わずかな共力作用
0.90〜1.10±ほぼ相加的
1.10〜1.20−わずかな拮抗作用
1.20〜1.45−−中程度の拮抗作用
組合せ指数は、用量低減指数(DRI)(Chou and Chou, 1988)を評価するために使用し、ここでは:
CI=(D)/(D+(D)/D=1/(DRI)+1/(DRI)
DRIは、相乗的な薬物を組み合わせて与えたときに、各薬物を個々に投与したときと同じ効果サイズを達成しつつ各薬物の用量をどれほど低減させることができるかを推定する。
薬物の組合せ効果は、図示することができる。ChouおよびTalalayの組合せ指数定理に基づく薬物の組合せのプロットの典型的な例には、(a)「Fa−CIプロット」、(b)標準的なアイソボログラム;(c)組合せ比が異なる組合せのための、正規化されたアイソボログラム、および(d)Fa−PRIプロット(Chou and Martin, 2005)が含まれる。種々のプロットの解釈は、図5A〜Dに要約する。相乗効果を評価するためには、Fa−Clプロットおよびアイソボログラムプロットの方が妥当である。
Caspase−Glo 3/7アッセイによるin vitroでの生存率およびアポトーシス
ApoTox−Gloトリプレックスアッセイ(Promega、CA)を3種の神経芽細胞腫細胞株で使用して、in vitroでの細胞生存率およびCaspase−Glo 3/7を同時にアッセイした。24時間の時点で、DMSOビヒクルを用いて、化合物A1もしくは化合物Bを組合せ療法に使用するのと同用量で個々に用いて、または示した用量での一定の等効力比の組合せを用いて、細胞を三重に処置した。薬物暴露から72時間後に、蛍光発生基質GF−AFCを添加した。検査混合物を10分間インキュベートして、AFCの蛍光を励起380〜400nmおよび発光505nmで測定した。GF−AFCはプロテアーゼによって切断された後に蛍光発光するが、プロテアーゼは細胞内であるときは活性であり、細胞膜の完全性が損なわれているときは不活性であるために、GF−AFCの蛍光は細胞生存率と相関する。
生細胞の蛍光を測定した後に、発光原のCaspase−Glo 3/7基質およびルシフェラーゼを同じウェルに添加した。30分のインキュベーション期間後に発光を測定した。ルシフェリンはカスパーゼ−3/7によって基質が切断された後に放出されるので、発光シグナルはカスパーゼ活性に比例する。
ウエスタンブロット
各細胞株を信頼度が70から80%になるまで増殖させ、示した通りに、化合物A1、化合物Bを用いて、または等効力比で組み合わせて用いて、20時間または72時間処置した。氷冷のリン酸緩衝食塩水で2回洗浄し、細胞全体のタンパク質ライセートを、ALK、1:1000;pALK Tyr1604、1:1000;pALK Tyr1278、1:2000;RB、1:2000;pRBS780、1:2000;pRBS795、1:2000;サイクリンD1、1:1000;サイクリンD3、1:1000(Cell Signaling);CDK4、1:2000;およびCDK6、1:3000;(Santa Cruz)に対する抗体で免疫ブロットすることによって、記載の通りに解析した(Mosse, et al. Identification of ALK as a major familial neuroblastoma predisposition gent, 2008, Nature Vol 455)。
in vivoでの腫瘍増殖阻害
雌のCB17 scidマウス(Taconic Farms)を使用して、皮下に移植した神経芽細胞腫腫瘍を増殖させた。腫瘍径を電子キャリパーで週に2回測定し、腫瘍体積を楕円形の式、(p/6)×d3(式中、dは平均径を表す)を用いて計算した。腫瘍体積が200mmを超えたら、ビヒクル、化合物A1(用量当たり50mg/kg)、化合物B(用量当たり150mg/kg)、または組み合わせた化合物A1(用量当たり50mg/kg)および化合物B(用量当たり150mg/kg)を強制経口投与によって毎日7週間与えられるように、マウスを無作為に割り付けた(n=群当たり10)。マウスは、腫瘍体積が3000mmを超えたときまたは7週目の試験終結時に安楽死させた。混合効果線形モデルを使用して、腫瘍サイズに関して登録時に制御して、処置群とビヒクル群の間の経時的な腫瘍体積を評価した。無再発生存確率をカプラン−マイヤー法を使用して推定し、生存曲線をログランク検定(SAS 9.3およびStata 12.1)を使用して比較した。イベントは腫瘍体積≧3000mmとなる時間として定義し、また7週後の腫瘍体積は除外した。マウスは、本発明者らの動物実験委員会によって認可されるプロトコルおよび条件の下で維持した。

本発明は、以下の態様を含む。
[1]
(a)未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、(b)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤または医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを、別々にまたは一緒に含む、組合せ医薬。
[2]
前記ALK阻害剤が、下の式A1:

によって表される化合物A1である、[1]に記載の組合せ医薬。
[3]
前記ALK阻害剤が、下の式A2:

によって表される化合物A2である、[1]に記載の組合せ医薬。
[4]
前記CDK阻害剤が、CDK4阻害剤またはCDK6阻害剤である、[1]から[3]のいずれかに記載の組合せ医薬。
[5]
前記CDK阻害剤が、CDK4およびCDK6の二重阻害剤である、[1]から[3]のいずれかに記載の組合せ医薬。
[6]
前記CDK阻害剤が、下の式B:

によって表される化合物Bである、[1]から[5]のいずれかに記載の組合せ医薬。
[7]
前記2種の薬剤が、
(a)化合物A1および化合物B;ならびに
(b)化合物A2および化合物B
から選択される、[1]に記載の組合せ医薬。
[8]
[1]から[7]のいずれかに記載の組合せ医薬、および少なくとも1種の賦形剤を含む、医薬組成物。
[9]
細胞増殖性疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に共同的な治療有効量の[1]から[7]のいずれかに記載の組合せ医薬または[8]に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[10]
前記第1の薬剤および前記第2の薬剤が、一緒に、個別に、または逐次投与される、[9]に記載の方法。
[11]
前記細胞増殖性疾患がALK陽性のがんである、[9]および[10]に記載の方法。
[12]
前記がんが、ALK遺伝子の変異に依存する、[11]に記載の方法。
[13]
前記がんが、ALK遺伝子の増幅に依存する、[11]に記載の方法。
[14]
前記がんが、リンパ腫、骨肉腫、黒色腫、乳房の腫瘍、腎臓の腫瘍、前立腺の腫瘍、結腸直腸の腫瘍、甲状腺の腫瘍、卵巣の腫瘍、膵臓の腫瘍、神経細胞の腫瘍、肺の腫瘍、子宮の腫瘍または胃腸の腫瘍、炎症性乳がん、未分化大細胞リンパ腫、非小細胞肺癌および神経芽細胞腫から選択される、[11]から[13]のいずれかに記載の方法。
[15]
前記がんが神経芽細胞腫である、[14]に記載の方法。
[16]
前記がんが未分化大細胞リンパ腫である、[14]に記載の方法。
[17]
前記がんが非小細胞肺癌である、[14]に記載の方法。
[18]
前記がんが炎症性乳がんである、[14]に記載の方法。
[19]
増殖性疾患を治療するための、[1]から[7]のいずれかに記載の組合せ医薬。
[20]
増殖性疾患の治療用の医薬品を調製するための、[1]から[7]のいずれかに記載の組合せ医薬または[9]の医薬組成物の使用。
[21]
増殖性疾患を治療するための、[1]から[7]のいずれかに記載の組合せ医薬または[8]に記載の医薬組成物、および使用法を説明する添付文書またはラベルを含むキット。

Claims (8)

  1. (a)(i)下の式A1:

    によって表される化合物A1もしくは医薬として許容されるその塩、または
    (ii)下の式A2:

    によって表される化合物A2もしくは医薬として許容されるその塩である第1の薬剤と、
    (b)下の式B:

    によって表される化合物Bまたは医薬として許容されるその塩である第2の薬剤とを、別々にまたは一緒に含む、神経芽細胞腫の治療に用いるための、組合せ医薬。
  2. 前記第1の薬剤が化合物A1または医薬として許容されるその塩であり、
    前記第2の薬剤が化合物Bまたは医薬として許容されるその塩である、請求項1に記載の組合せ医薬。
  3. 前記第1の薬剤が化合物A2または医薬として許容されるその塩であり、
    前記第2の薬剤が化合物Bまたは医薬として許容されるその塩である、請求項1に記載の組合せ医薬。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の組合せ医薬、および少なくとも1種の賦形剤を含む、神経芽細胞腫の治療に用いるための、医薬組成物。
  5. 前記神経芽細胞腫がALK陽性のがんである、請求項1から3のいずれか1項に記載の組合せ医薬または請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記がんが、ALK遺伝子の変異に依存する、請求項5に記載の組合せ医薬または請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記がんが、ALK遺伝子の増幅に依存する、請求項5に記載の組合せ医薬または請求項5に記載の医薬組成物。
  8. 前記ALK遺伝子の変異がR1275Qである、請求項6に記載の組合せ医薬または請求項6に記載の医薬組成物
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