図1は、本発明の実施例に係る油圧ショベルを示す側面図である。
油圧ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントを構成し、油圧シリンダであるブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
図2は、図1の油圧ショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示されている。
機械式駆動部としてのエンジン11の出力軸には、可変容量型油圧ポンプとしてのメインポンプ14、及び、固定容量型油圧ポンプとしてのパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16及び第1放圧部44を介してコントロールバルブ17が接続されている。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続されている。
コントロールバルブ17は、油圧ショベルにおける油圧系の制御を行う装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回油圧モータ21等の油圧アクチュエータは、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
操作装置26は、レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続されている。
圧力センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するためのセンサであり、例えば、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、操作装置26の操作内容は、圧力センサ以外の他のセンサを用いて検出されてもよい。
コントローラ30は、油圧ショベルの駆動制御を行う主制御部としてのコントローラである。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUに実行させて油圧ショベルの駆動制御を行う。
圧力センサS1は、メインポンプ14の吐出圧を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
圧力センサS2Lは、旋回油圧モータ21の第1ポート側の作動油の圧力を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
圧力センサS2Rは、旋回油圧モータ21の第2ポート側の作動油の圧力を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
圧力センサS3Lは、低圧アキュムレータ部41Lの作動油の圧力(以下、「低圧アキュムレータ圧力」とする。)を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
圧力センサS3Hは、高圧アキュムレータ部41Hの作動油の圧力(以下、「高圧アキュムレータ圧力」とする。)を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
圧力センサS4は、ブームシリンダ7のボトム側油室の作動油の圧力を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
低圧アキュムレータ部41Lは、油圧回路内の作動油を蓄積し、その蓄積した作動油をメインポンプ14に向けて放出する油圧回路要素である。本実施例では、低圧アキュムレータ部41Lは、作動油を蓄えるタンクの役割を果たす。そのため、本実施例では、タンクが省略される。但し、タンクを追加的に備えるようにしてもよい。
高圧アキュムレータ部41Hは、油圧回路内の作動油を蓄積し、必要に応じてその蓄積した作動油を放出する油圧回路要素である。本実施例では、高圧アキュムレータ部41Hは、低圧アキュムレータ部41Lの最大放出圧力よりも高い最大放出圧力を有する。なお、なお、「最大放出圧力」とは、アキュムレータが放出できる最大の圧力であり、蓄圧(回生)動作の際のアキュムレータの最大圧力によって決まる圧力である。
第1蓄圧部42は、旋回油圧モータ21と高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。
第2蓄圧部43は、コントロールバルブ17と低圧アキュムレータ部41Lと高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。
第1放圧部44は、メインポンプ14とコントロールバルブ17と高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。
第2放圧部45は、メインポンプ14と低圧アキュムレータ部41Lと高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。
第3蓄圧部46は、メインポンプ14とコントロールバルブ17と低圧アキュムレータ部41Lとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。
なお、低圧アキュムレータ部41L、高圧アキュムレータ部41H、第1蓄圧部42、第2蓄圧部43、第1放圧部44、第2放圧部45、及び第3蓄圧部46についてはその詳細を後述する。
次に、図3を参照しながら、図1の油圧ショベルに搭載される低圧アキュムレータ部41L及び高圧アキュムレータ部41Hの蓄圧及び放圧について説明する。なお、図3は、図1の油圧ショベルに搭載される油圧回路の要部構成例を示す。
図3に示す油圧回路は、主に、旋回制御部40、低圧アキュムレータ部41L、高圧アキュムレータ部41H、第1蓄圧部42、第2蓄圧部43、第1放圧部44、第2放圧部45、第3蓄圧部46を含む。
旋回制御部40は、主に、旋回油圧モータ21、リリーフ弁400L、400R、及び逆止弁401L、401Rを含む。
リリーフ弁400Lは、旋回油圧モータ21の第1ポート21L側の作動油の圧力が所定の旋回リリーフ圧を超えるのを防止するための弁である。具体的には、第1ポート21L側の作動油の圧力が所定の旋回リリーフ圧に達した場合に、第1ポート21L側の作動油を低圧アキュムレータ部41Lに排出する。
同様に、リリーフ弁400Rは、旋回油圧モータ21の第2ポート21R側の作動油の圧力が所定の旋回リリーフ圧を超えるのを防止するための弁である。具体的には、第2ポート21R側の作動油の圧力が所定の旋回リリーフ圧に達した場合に、第2ポート21R側の作動油を低圧アキュムレータ部41Lに排出する。
逆止弁401Lは、第1ポート21L側の作動油の圧力が低圧アキュムレータ圧力未満になるのを防止するための弁である。具体的には、第1ポート21L側の作動油の圧力が低圧アキュムレータ圧力まで低下した場合に、低圧アキュムレータ部41L内の作動油を第1ポート21L側に供給する。
同様に、逆止弁401Rは、第2ポート21R側の作動油の圧力が低圧アキュムレータ圧力未満になるのを防止するための弁である。具体的には、第2ポート21R側の作動油の圧力が低圧アキュムレータ圧力まで低下した場合に、低圧アキュムレータ部41L内の作動油を第2ポート21R側に供給する。
低圧アキュムレータ部41Lは、油圧回路内の作動油を蓄積し、その蓄積した作動油をメインポンプ14に向けて放出する油圧回路要素である。例えば、低圧アキュムレータ部41Lは、旋回加速操作、ブーム上げ操作等の力行操作が行われている場合に、油圧アクチュエータから排出される作動油を蓄積し、且つ、その蓄積した作動油をメインポンプ14の上流側(吸い込み側)に放出する。
本実施例では、低圧アキュムレータ部41Lは、主に、低圧アキュムレータ410Lを含む。低圧アキュムレータ410Lは、油圧回路内の作動油を蓄積し、その蓄積した作動油を放出する装置である。本実施例では、低圧アキュムレータ410Lは、バネの復元力を利用するバネ型アキュムレータである。
高圧アキュムレータ部41Hは、油圧回路内の作動油を蓄積し、必要に応じてその蓄積した作動油を放出する油圧回路要素である。具体的には、高圧アキュムレータ部41Hは、旋回減速中に旋回油圧モータ21の制動側(吐出側)の作動油を蓄積する。また、高圧アキュムレータ部41Hは、ブーム下げ操作中にブームシリンダ7が排出する作動油を蓄積する。そして、高圧アキュムレータ部41Hは、油圧アクチュエータを操作する際に、その蓄積した作動油をメインポンプ14の上流側(吸い込み側)又は下流側(吐出側)に放出する。
本実施例では、高圧アキュムレータ部41Hは、主に、高圧アキュムレータ410Hを含む。高圧アキュムレータ410Hは、油圧回路内の作動油を蓄積し、必要に応じてその蓄積した作動油を放出する装置である。本実施例では、高圧アキュムレータ410Hは、バネの復元力を利用するバネ型アキュムレータである。
第1蓄圧部42は、旋回制御部40(旋回油圧モータ21)と高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。本実施例では、第1蓄圧部42は、主に、第1切換弁420及び第1逆止弁421を含む。
第1切換弁420は、高圧アキュムレータ部41Hの蓄圧(回生)動作の際に、旋回制御部40から高圧アキュムレータ部41Hへの作動油の流れを制御する弁である。本実施例では、第1切換弁420は、3ポート3位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第1切換弁420は、第1位置、第2位置、及び第3位置を弁位置として有する。なお、図中の括弧内の数字は、弁位置の番号を表す。他の切換弁についても同様である。
第1位置は、第1ポート21Lと高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる弁位置である。また、第2位置は、旋回制御部40と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する弁位置である。また、第3位置は、第2ポート21Rと高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる弁位置である。
第1逆止弁421は、高圧アキュムレータ部41Hから旋回制御部40に作動油が流れるのを防止する弁である。
第2蓄圧部43は、コントロールバルブ17と高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。本実施例では、第2蓄圧部43は、ブームシリンダ用流量制御弁17Bと低圧アキュムレータ部41Lと高圧アキュムレータ部41Hとの間に配置され、主に、第2切換弁430及び第2逆止弁431を含む。なお、ブームシリンダ用流量制御弁17Bは、アームシリンダ用流量制御弁等の1又は複数の他の流量制御弁であってもよい。
第2切換弁430は、高圧アキュムレータ部41Hの蓄圧(回生)動作の際に、油圧アクチュエータから高圧アキュムレータ部41Hへの作動油の流れを制御する弁である。本実施例では、第2切換弁430は、3ポート2位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第2切換弁430は、第1位置及び第2位置を弁位置として有する。第1位置は、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと低圧アキュムレータ部41Lとを連通させ、且つ、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する弁位置である。また、第2位置は、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと高圧アキュムレータ部41Hとを連通させ、且つ、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと低圧アキュムレータ部41Lとの間の連通を遮断する弁位置である。
第2逆止弁431は、高圧アキュムレータ部41Hから第2切換弁430に作動油が流れるのを防止する弁である。
第1放圧部44は、メインポンプ14とコントロールバルブ17と高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。本実施例では、第1放圧部44は、主に、第3切換弁440及び第3逆止弁441を含む。
第3切換弁440は、高圧アキュムレータ部41Hの放圧(力行)動作の際に、高圧アキュムレータ部41Hからメインポンプ14の下流側の合流点への作動油の流れを制御する弁である。本実施例では、第3切換弁440は、2ポート2位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第3切換弁440は、第1位置及び第2位置を弁位置として有する。第1位置は、メインポンプ14の下流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する弁位置である。また、第2位置は、メインポンプ14の下流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる弁位置である。
第3逆止弁441は、メインポンプ14から高圧アキュムレータ部41Hに作動油が流れるのを防止する弁である。
第2放圧部45は、低圧アキュムレータ部41Lとメインポンプ14と高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。本実施例では、第2放圧部45は、主に、第4切換弁450を含む。
第4切換弁450は、高圧アキュムレータ部41Hの放圧(力行)動作の際に、高圧アキュムレータ部41Hからメインポンプ14の上流側の合流点への作動油の流れを制御する弁である。本実施例では、第4切換弁450は、3ポート2位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第4切換弁450は、第1位置及び第2位置を弁位置として有する。第1位置は、メインポンプ14と低圧アキュムレータ部41Lとを連通させ、且つ、メインポンプ14と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する弁位置である。また、第2位置は、メインポンプ14と低圧アキュムレータ部41Lとの間の連通を遮断し、且つ、メインポンプ14と高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる弁位置である。
第3蓄圧部46は、メインポンプ14とコントロールバルブ17と低圧アキュムレータ部41Lとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。本実施例では、第3蓄圧部46は、主に、第5切換弁460、第5逆止弁461、第6逆止弁462、及び第7逆止弁463を含む。
第5切換弁460は、低圧アキュムレータ部41Lの蓄圧(回生)動作の際に、メインポンプ14から低圧アキュムレータ部41Lへの作動油の流れを制御する弁である。本実施例では、第5切換弁460は、2ポート2位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第5切換弁460は、第1位置及び第2位置を弁位置として有する。第1位置は、メインポンプ14の下流側の分岐点と低圧アキュムレータ部41Lとの間の連通を遮断する弁位置である。また、第2位置は、メインポンプ14の下流側の分岐点と低圧アキュムレータ部41Lとを連通させる弁位置である。
第5逆止弁461は、低圧アキュムレータ部41Lからメインポンプ14の下流側の合流点に作動油が流れるのを防止する弁である。
第6逆止弁462は、低圧アキュムレータ部41Lからブームシリンダ用流量制御弁17Bに作動油が流れるのを防止する弁である。
第7逆止弁463は、低圧アキュムレータ部41Lから旋回油圧モータ用流量制御弁17Aに作動油が流れるのを防止する弁である。
ここで、図4及び図5を参照しながら、コントローラ30が低圧アキュムレータ部41L及び高圧アキュムレータ部41Hの蓄圧及び放圧を制御する処理(以下、「蓄圧・放圧処理」とする。)について説明する。なお、図4は、蓄圧・放圧処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定周期で繰り返しこの蓄圧・放圧処理を実行する。また、図5は、図3の油圧回路の状態と各切換弁の状態との対応関係を示す対応表である。
最初に、コントローラ30は、油圧ショベルの状態を検出するための各種センサの出力に基づいて、油圧アクチュエータの操作が行われたか否かを判定する(ステップST1)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて油圧アクチュエータの操作が行われたか否かを判定する。
油圧アクチュエータが操作されていると判定すると(ステップST1のYES)、コントローラ30は、その操作が回生操作又は力行操作の何れであるかを判定する(ステップST2)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて、旋回減速操作、ブーム下げ操作等の回生操作が行われたか、或いは、旋回加速操作、ブーム上げ操作等の力行操作が行われたかを判定する。例えば、コントローラ30は、油圧アクチュエータが排出する作動油の圧力Pcが所定圧Pc0以上の場合に回生操作が行われていると判定する。
回生操作が行われたと判定すると(ステップST2のYES)、コントローラ30は、その回生操作が旋回減速操作であるか或いはそれ以外の回生操作であるかを判定する(ステップST3)。
そして、回生操作が旋回減速操作であると判定すると(ステップST3のYES)、コントローラ30は、高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあるか否かを判定する(ステップST4)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサS2L又は圧力センサS2Rが出力する旋回油圧モータ21の制動側(吐出側)の圧力Psoと、圧力センサS3Hが出力する高圧アキュムレータ圧力Paとに基づいて高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあるか否かを判定する。具体的には、コントローラ30は、圧力Psoが高圧アキュムレータ圧力Paを上回る場合に高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあると判定し、圧力Psoが高圧アキュムレータ圧力Pa以下の場合に、高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にないと判定する。
そして、高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあると判定すると(ステップST4のYES)、コントローラ30は、油圧シリンダが回生操作されている否かを判定する(ステップST5)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて、ブーム下げ操作が行われているか否か、すなわち、ブームシリンダ7が回生操作されているか否かを判定する。
そして、油圧シリンダが回生操作されていると判定すると(ステップST5のYES)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第1状態」にする(ステップST6)。本実施例では、コントローラ30は、旋回減速操作及びブーム下げ操作が行われている場合に、油圧回路の状態を「第1状態」にする。
図5に示すように、「第1状態」では、コントローラ30は、第1切換弁420を第1位置又は第3位置とし、第1蓄圧部42を通じて旋回制御部40と高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる。また、コントローラ30は、第2切換弁430を第2位置とし、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと高圧アキュムレータ部41Hとを連通させ、且つ、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと低圧アキュムレータ部41Lとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第3切換弁440を第1位置とし、メインポンプ14の下流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第4切換弁450を第1位置とし、メインポンプ14と低圧アキュムレータ部41Lとを連通させ、且つ、メインポンプ14と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第5切換弁460を第1位置とし、メインポンプ14の下流側の分岐点と低圧アキュムレータ部41Lとの間の連通を遮断する。
その結果、旋回減速操作及びブーム下げ操作が同時に行われる「第1状態」では、高圧アキュムレータ部41Hは、旋回油圧モータ21及びブームシリンダ7からの作動油を受け入れる。その上で、低圧アキュムレータ部41L内の作動油が、第2放圧部45を通じて、メインポンプ14の上流側の合流点で放出される。なお、図4の「第1状態 低圧A放圧 高圧A蓄圧 (同時回生)」(「A」はアキュムレータを意味する。)は、このような油圧回路の状態を表す。
また、ステップST5において油圧シリンダが回生操作されていないと判定すると(ステップST5のNO)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第2状態」にする(ステップST7)。本実施例では、コントローラ30は、旋回減速操作が行われているがブーム下げ操作が行われていない場合に、油圧回路の状態を「第2状態」にする。
図5に示すように、「第2状態」では、コントローラ30は、第2切換弁430を第1位置とし、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと低圧アキュムレータ部41Lとを連通させ、且つ、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。なお、第1切換弁420、第3切換弁440、第4切換弁450、及び第5切換弁460の状態は、「第1状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、旋回減速操作が行われ、ブーム下げ操作が行われない「第2状態」では、高圧アキュムレータ部41Hは、旋回油圧モータ21からの作動油を受け入れる。その上で、低圧アキュムレータ部41L内の作動油が、第2放圧部45を通じて、メインポンプ14の上流側の合流点で放出される。なお、図4の「第2状態 低圧A放圧 高圧A蓄圧 (旋回回生)」は、このような油圧回路の状態を表す。
また、ステップST3において、回生操作が旋回減速操作以外の回生操作であると判定すると(ステップST3のNO)、コントローラ30は、高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあるか否かを判定する(ステップST8)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサS4が出力するブームシリンダ7のボトム側油室の圧力Pbbと、圧力センサS3Hが出力する高圧アキュムレータ圧力Paとに基づいて高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあるか否かを判定する。具体的には、コントローラ30は、圧力Pbbが高圧アキュムレータ圧力Paを上回る場合に高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあると判定し、圧力Pbbが高圧アキュムレータ圧力Pa以下の場合に、高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にないと判定する。
そして、高圧アキュムレータ部41Hが蓄圧可能な状態にあると判定すると(ステップST8のYES)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第3状態」にする(ステップST9)。
図5に示すように、「第3状態」では、コントローラ30は、第1切換弁420を第2位置とし、旋回制御部40と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。なお、第2切換弁430、第3切換弁440、第4切換弁450、及び第5切換弁460の状態は、「第1状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、旋回減速操作が行われず、ブーム下げ操作が行われる「第3状態」では、高圧アキュムレータ部41Hは、ブームシリンダ7からの作動油を受け入れる。その上で、低圧アキュムレータ部41L内の作動油が、第2放圧部45を通じて、メインポンプ14の上流側の合流点で放出される。なお、図4の「第3状態 低圧A放圧 高圧A蓄圧 (油圧シリンダ回生)」は、このような油圧回路の状態を表す。
また、ステップST2において回生操作が行われていないと判定すると(ステップST2のNO)、コントローラ30は、高圧アキュムレータ部41Hの蓄圧状態が放圧に適した状態であるか否かを判定する(ステップST10)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサS3Hの出力に基づいて、高圧アキュムレータ圧力Paが所定圧Pa0未満であるか否かを判定する。
そして、高圧アキュムレータ部41Hの蓄圧状態が放圧に適した状態であると判定すると(ステップST10のYES)、コントローラ30は、高圧アキュムレータ圧力Paが、圧力センサS1の出力である吐出圧Pp以上であるか否かを判定する(ステップST11)。本実施例では、高圧アキュムレータ圧力Paが所定圧Pa0以上であると判定すると、コントローラ30は、高圧アキュムレータ圧力Paが吐出圧Pp以上であるか否かを判定する。
そして、コントローラ30は、高圧アキュムレータ圧力Paが吐出圧Pp以上であると判定すると(ステップST11のYES)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第4状態」にする(ステップST12)。
図5に示すように、「第4状態」では、コントローラ30は、第1切換弁420を第2位置とし、旋回制御部40と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第2切換弁430を第1位置とし、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと低圧アキュムレータ部41Lとを連通させ、且つ、ブームシリンダ用流量制御弁17Bの排出ポートと高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第3切換弁440を第2位置とし、メインポンプ14の下流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる。
なお、第4切換弁450、及び第5切換弁460の状態は、「第1状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、「第4状態」では、低圧アキュムレータ部41Lは、旋回油圧モータ21及びブームシリンダ7からの作動油を受け入れる。その上で、低圧アキュムレータ部41L内の作動油が、第2放圧部45を通じて、メインポンプ14の上流側の合流点で放出される。また、高圧アキュムレータ部41H内の作動油が、第1放圧部44を通じて、メインポンプ14の下流側の合流点で放出される。なお、図4の「第4状態 低圧A放圧 高圧A下流側放圧」は、このような油圧回路の状態を表す。
また、ステップST11において高圧アキュムレータ圧力Paが吐出圧Pp未満であると判定すると(ステップST11のNO)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第5状態」にする(ステップST13)。
図5に示すように、「第5状態」では、コントローラ30は、第3切換弁440を第1位置とし、メインポンプ14の下流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第4切換弁450を第2位置とし、メインポンプ14と高圧アキュムレータ部41Hとを連通させ、且つ、メインポンプ14と低圧アキュムレータ部41Lとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第5切換弁460を第1位置とし、メインポンプ14の下流側の分岐点と低圧アキュムレータ部41Lとの間の連通を遮断する。なお、第1切換弁420及び第2切換弁430の状態は、「第4状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、「第5状態」では、低圧アキュムレータ部41Lは、旋回油圧モータ21及びブームシリンダ7からの作動油を受け入れる。また、高圧アキュムレータ部41H内の作動油が、第2放圧部45を通じて、メインポンプ14の上流側の合流点で放出される。なお、図4の「第5状態 低圧A蓄圧 高圧A上流側放圧」は、このような油圧回路の状態を表す。
また、ステップST10において高圧アキュムレータ部41Hの蓄圧状態が放圧に適した状態でないと判定すると(ステップST10のNO)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第6状態」にする(ステップST14)。
図5に示すように、「第6状態」では、コントローラ30は、第4切換弁450を第1位置とし、メインポンプ14と低圧アキュムレータ部41Lとを連通させ、且つ、メインポンプ14と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。なお、第1切換弁420、第2切換弁430、第3切換弁440、及び第5切換弁460の状態は、「第5状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、「第6状態」では、高圧アキュムレータ部41Hは、旋回油圧モータ21及びブームシリンダ7から作動油を受け入れることもなく、メインポンプ14の上流側の合流点及び下流側の合流点で作動油を放出することもない。また、低圧アキュムレータ部41Lは、第2放圧部45を通じてメインポンプ14の上流側の合流点で作動油を放出する。そして、メインポンプ14は、低圧アキュムレータ部41Lから吸い込んだ作動油を操作中の油圧アクチュエータに対して供給する。なお、図4の「第6状態 低圧A放圧 高圧A遮断」は、このような油圧回路の状態を表す。
また、ステップST1において油圧アクチュエータが操作されていないと判定すると(ステップST1のNO)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第7状態」にする(ステップST15)。
図5に示すように、「第7状態」では、コントローラ30は、第5切換弁460を第2位置とし、メインポンプ14の下流側の分岐点と低圧アキュムレータ部41Lとを連通させる。なお、第5切換弁460以外の切換弁の状態は、「第6状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、「第7状態」では、低圧アキュムレータ部41Lは、メインポンプ14の下流側の分岐点からの作動油を受け入れながら、第2放圧部45を通じてメインポンプ14の上流側の合流点でその作動油を放出する。なお、図4の「第7状態 (待機)」は、このような油圧回路の状態を表す。
また、ステップST4において、アキュムレータ部41が蓄圧可能な状態にないと判定した場合にも(ステップST4のNO)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第7状態」にする(ステップST15)。この場合、第1切換弁420が第2位置となるため、旋回油圧モータ21の制動側(吐出側)の作動油は、リリーフ弁400L又はリリーフ弁400Rを経由して低圧アキュムレータ部41Lに排出される。
また、ステップST8において、アキュムレータ部41が蓄圧可能な状態にないと判定した場合にも(ステップST8のNO)、コントローラ30は、油圧回路の状態を「第7状態」にする(ステップST15)。この場合、第2切換弁430が第1位置となるため、ブームシリンダ7のボトム側油室の作動油は、ブームシリンダ用流量制御弁17B及び第2切換弁430を経由して低圧アキュムレータ部41Lに排出される。
以上の構成により、低圧アキュムレータ部41Lは、タンクとして機能し、メインポンプ14の上流側に作動油を放出し、且つ、油圧アクチュエータから排出される作動油を蓄積できる。そのため、第1実施例に係るショベルは、タンクを省略することができる。また、タンクが収納されていたスペースに低圧アキュムレータ部41L、高圧アキュムレータ部41H等を収納することができる。
また、第1実施例に係る油圧回路は、油圧アクチュエータから排出される回生可能なエネルギを伴う作動油を高圧アキュムレータ410Hに蓄積した上で再利用できる。また、第1実施例に係る油圧回路は、高圧アキュムレータ圧力Paが吐出圧Pp以上の場合ばかりでなく、吐出圧Pp未満の場合であっても、高圧アキュムレータ部41H内の作動油を利用できるようにする。そのため、第1実施例に係る油圧回路は、高圧アキュムレータ部41Hに蓄積された油圧エネルギをより効率的に利用することができる。
具体的には、上述の油圧回路は、高圧アキュムレータ部41Hの圧力が、動作させようとする油圧アクチュエータの駆動側の圧力より低い場合であっても、高圧アキュムレータ部41Hの放圧(力行)動作を実行させることができる。
また、上述の油圧回路では、メインポンプ14が吐出する作動油を用いて、或いは、メインポンプ14が吐出する作動油と高圧アキュムレータ部41Hに蓄積された作動油とを併用して油圧アクチュエータが駆動される。しかしながら、上述の油圧回路は、第3逆止弁441を省略することによってメインポンプ14から高圧アキュムレータ部41Hへの作動油の流れを許容し、メインポンプ14が吐出する作動油を高圧アキュムレータ部41Hが蓄積できるようにしてもよい。また、上述の油圧回路は、高圧アキュムレータ部41Hに蓄積された作動油のみを用いて油圧アクチュエータが駆動され得るようにしてもよい。
また、上述の油圧回路は、メインポンプ14の上流側の合流点又は下流側の合流点で高圧アキュムレータ部41Hからの作動油を合流させる構成を有する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、本発明の実施例に係る油圧回路は、メインポンプ14の下流側の合流点で高圧アキュムレータ部41Hからの作動油を合流させる構成の代わりに、高圧アキュムレータ部41Hから油圧アクチュエータに(コントロールバルブ17を経由することなく)直接的に作動油を放出できる構成を有していてもよい。その上で、本発明の実施例に係る油圧回路は、メインポンプ14の上流側の合流点で高圧アキュムレータ部41Hからの作動油を合流させる構成を有するものであってもよい。
また、第1実施例に係る油圧回路は、メインポンプ14の上流側の合流点で高圧アキュムレータ部41Hからの作動油を放出できるようにする。そのため、メインポンプ14は、比較的低い圧力の作動油を低圧アキュムレータ部41Lから吸い込んで吐出する場合に比べて吸収馬力(所定量の作動油を吐出するために必要なトルク)を低減でき、省エネルギ化を促進できる。また、メインポンプ14は、吐出量制御の応答性を高めることができる。
また、第1実施例に係る油圧回路は、タンクの代わりに低圧アキュムレータ部41Lを用いる。すなわち、タンク圧より高い低圧アキュムレータ圧力を有する作動油を利用することができる。そのため、メインポンプ14は、タンクから作動油を吸い込んで吐出する場合に比べて吸収馬力(所定量の作動油を吐出するために必要なトルク)を低減でき、省エネルギ化を促進できる。また、メインポンプ14は、吐出量制御の応答性を高めることができる。
また、第1実施例において、低圧アキュムレータ部41Lは単一の低圧アキュムレータ410Lを有し、高圧アキュムレータ部41Hは単一の高圧アキュムレータ410Hを有する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、低圧アキュムレータ部41L及び高圧アキュムレータ部41Hのそれぞれは、並列に接続される2以上のアキュムレータを含んでいてもよい。この場合、低圧アキュムレータ部41L及び高圧アキュムレータ部41Hのそれぞれにおける各アキュムレータの容量は任意であり、全て同じ容量であってもよく、それぞれ異なる容量であってもよい。また、各アキュムレータの最大放出圧力は、それぞれ異なる圧力であってもよい。要求される放出圧力に応じて、最大放出圧力をそれぞれ異ならせた複数のアキュムレータから作動油の供給元又は蓄積先としてのアキュムレータを選択できるようにするためである。また、各アキュムレータは、それぞれ異なるタイミングで蓄圧され或いは放圧されてもよく、2つ以上のアキュムレータが、部分的に或いは全体的に重複するタイミングで蓄圧され或いは放圧されてもよい。
次に、図6〜図8を参照しながら、本発明の第2実施例に係る油圧ショベルに搭載されるアキュムレータの蓄圧及び放圧について説明する。なお、図6は、図1の油圧ショベルに搭載される、第2実施例に係る油圧回路の要部構成例を示す。また、図7は、図6の油圧回路の「第4状態」における高圧アキュムレータ部41Hからブームシリンダ7への作動油の流れを示す。また、図8は、図6の油圧回路の「第5状態」における高圧アキュムレータ部41Hからブームシリンダ7への作動油の流れを示す。
また、図6の油圧回路は、第6切換弁411Hを含む点、並びに、第1放圧部44及び第2放圧部45の代わりに、第1放圧部44A及び第2放圧部45Aを有する点で図3の油圧回路と相違するが、その他の点で図3の油圧回路と共通する。そのため、共通点の説明を省略し、相違点を詳細に説明する。
第6切換弁411Hは、高圧アキュムレータ410Hと油圧回路の他の部分との間の連通・遮断を制御する弁である。本実施例では、第6切換弁411Hは、2ポート2位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第6切換弁411Hは、第1位置及び第2位置を弁位置として有する。第1位置は、高圧アキュムレータ410Hと油圧回路の他の部分との間の連通を遮断する弁位置である。また、第2位置は、高圧アキュムレータ410Hと油圧回路の他の部分とを連通させる弁位置である。
第1放圧部44Aは、メインポンプ14とコントロールバルブ17と高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。本実施例では、第1放圧部44Aは、主に、ポンプモータ35、第3切換弁440A、及び第3逆止弁441Aを含む。
ポンプモータ35は、コントローラ30からの制御信号に応じて吐出流量が変化する可変容量型油圧ポンプモータであり、最小流量を極めて小さく、好ましくは略ゼロに設定可能なものである。本実施例では、ポンプモータ35は、その回転軸がエンジン11の駆動軸に結合される。なお、ポンプモータ35の回転軸は、クラッチ機構、無段変速機構(例えば、変速比無限大変速機)等を介してエンジン11の駆動軸に結合されてもよい。この場合、最小流量は略ゼロに設定可能なものでなくてもよい。また、ポンプモータ35の上流側には、ポンプモータ35の停止時のキャビテーションを防止するためのメークアップ回路が設置される。
また、ポンプモータ35は、必要に応じて、油圧ポンプとしても油圧モータとしても動作し得る。本実施例では、ポンプモータ35は、高圧アキュムレータ圧力Paがメインポンプ14の吐出圧Pp以上の場合に油圧モータとして動作し、高圧アキュムレータ圧力Paが吐出圧Pp未満の場合に油圧ポンプとして動作する。
具体的には、油圧モータとして動作するポンプモータ35は、吐出圧Pp以上の圧力レベルにある高圧アキュムレータ部41H内の作動油を利用してエンジン11の回転をアシストする。その上で、ポンプモータ35は、吐出圧Pp未満の圧力レベルにある作動油を吐出し、メインポンプ14の上流側の合流点でその作動油を合流させる。なお、ポンプモータ35は、油圧モータとして動作する場合であっても、吐出圧Pp以上の圧力レベルにある作動油を吐出し、メインポンプ14の下流側の合流点でその作動油を合流させてもよい。
また、油圧ポンプとして動作するポンプモータ35は、エンジン11の駆動力を利用して、吐出圧Pp未満の圧力レベルにある高圧アキュムレータ部41H内の作動油を吸い込む。その上で、ポンプモータ35は、吐出圧Pp以上の圧力レベルにある作動油を吐出し、メインポンプ14の下流側の合流点でその作動油を合流させる。なお、ポンプモータ35は、油圧ポンプとして動作する場合であっても、吐出圧Pp未満の圧力レベルにある作動油を吐出し、メインポンプ14の上流側の合流点でその作動油を合流させてもよい。
第3切換弁440Aは、高圧アキュムレータ部41Hの放圧(力行)動作の際に、ポンプモータ35からメインポンプ14の上流側の合流点又は下流側の合流点への作動油の流れを制御する弁である。本実施例では、第3切換弁440Aは、3ポート2位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第3切換弁440Aは、第1位置及び第2位置を弁位置として有する。第1位置は、メインポンプ14の上流側の合流点とポンプモータ35の吐出ポートとを連通させ、且つ、メインポンプ14の下流側の合流点とポンプモータ35の吐出ポートとの間の連通を遮断する弁位置である。また、第2位置は、メインポンプ14の下流側の合流点とポンプモータ35の吐出ポートとを連通させ、且つ、メインポンプ14の上流側の合流点とポンプモータ35の吐出ポートとの間の連通を遮断する弁位置である。
第3逆止弁441Aは、メインポンプ14の上流側からポンプモータ35の吐出ポートに作動油が流れるのを防止する弁である。
第2放圧部45Aは、メインポンプ14と低圧アキュムレータ部41Lと高圧アキュムレータ部41Hとの間の作動油の流れを制御する油圧回路要素である。本実施例では、第2放圧部45Aは、主に、第4切換弁450A及び第4逆止弁451Aを含む。
第4切換弁450Aは、高圧アキュムレータ部41Hの放圧(力行)動作の際に、高圧アキュムレータ部41Hからメインポンプ14の上流側の合流点への作動油の流れを制御する弁である。本実施例では、第4切換弁450Aは、2ポート2位置の切換弁であり、コントローラ30からの制御信号に応じて弁位置を切り換える電磁弁が用いられる。また、パイロット圧を用いた比例弁が用いられてもよい。具体的には、第4切換弁450Aは、第1位置及び第2位置を弁位置として有する。第1位置は、メインポンプ14の上流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する弁位置である。また、第2位置は、メインポンプ14の上流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる弁位置である。
第4逆止弁451Aは、メインポンプ14の上流側の合流点及び高圧アキュムレータ部41Hから低圧アキュムレータ部41Lに作動油が流れるのを防止する弁である。
この構成により、図4に示す「第4状態」において、コントローラ30は、第3切換弁440Aを第1位置とし、メインポンプ14の上流側の合流点とポンプモータ35の吐出ポートとを連通させる。また、コントローラ30は、第4切換弁450Aを第1位置とし、メインポンプ14の上流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第6切換弁411Hを第2位置とし、高圧アキュムレータ410Hと油圧回路の他の部分とを連通させる。そして、コントローラ30は、ポンプモータ35を油圧モータとして動作させる。なお、第1切換弁420、第2切換弁430、及び第5切換弁460の状態は、第1実施例に係る油圧回路の「第4状態」、「第5状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、図7に示すように、「第4状態」では、高圧アキュムレータ部41H内の作動油は、ポンプモータ35によってその圧力が吐出圧Pp未満に低められ、第3切換弁440Aを通じて、メインポンプ14の上流側の合流点で放出される。また、第1切換弁420、第2切換弁430、第4切換弁450Aがそれぞれ高圧アキュムレータ部41Hから見て遮断状態にあるため、高圧アキュムレータ部41H内の作動油がメインポンプ14の上流側の合流点以外の場所で放出されることはない。
また、「第4状態」では、ポンプモータ35は、油圧モータとして動作し、エンジン11をアシストする。そのため、エンジン11は、より大きな(メインポンプ14における)吸収馬力を許容でき、メインポンプ14は、吐出可能な最大流量を増大させることができる。具体的には、メインポンプ14は、ポンプモータ35によるアシストがない場合の許容最大吐出流量Q1(=η×Te×N/Pp)よりも大きな許容最大吐出流量Q2(=η×(Te+Tm)×N/Pp)を実現できる。なお、η、Te、Tm、N、Ppはそれぞれ、効率、エンジントルク、ポンプモータトルク、メインポンプ回転数、吐出圧を表す。
また、図4に示す「第5状態」において、コントローラ30は、第3切換弁440Aを第2位置とし、メインポンプ14の下流側の合流点とポンプモータ35の吐出ポートとを連通させる。また、コントローラ30は、第4切換弁450Aを第2位置とし、メインポンプ14の上流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとを連通させる。そして、コントローラ30は、ポンプモータ35を油圧ポンプとして動作させる。なお、第1切換弁420、第2切換弁430、及び第5切換弁460の状態は、第1実施例に係る油圧回路の「第5状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、図8に示すように、「第5状態」では、高圧アキュムレータ部41H内の作動油の一部は、ポンプモータ35によってその圧力が吐出圧Pp以上に高められ、第3切換弁440Aを通じてメインポンプ14の下流側の合流点で放出される。また、高圧アキュムレータ部41H内の作動油の別の一部は、第2放圧部45Aを通じてメインポンプ14の上流側の合流点で放出され、メインポンプ14によってその圧力が吐出圧Pp以上に高められる。そして、メインポンプ14が吐出する作動油は、第3切換弁440Aからの作動油と合流してコントロールバルブ17に向かって流れる。また、第1切換弁420、第2切換弁430がそれぞれ高圧アキュムレータ部41Hから見て遮断状態にあるため、高圧アキュムレータ部41H内の作動油がメインポンプ14の上流側の合流点及び下流側の合流点以外の場所で放出されることはない。
また、図4に示す「第6状態」において、コントローラ30は、第6切換弁411Hを第2位置とし、高圧アキュムレータ410Hと油圧回路の他の部分とを連通させる。また、コントローラ30は、第3切換弁440Aを第1位置とし、メインポンプ14の上流側の合流点とポンプモータ35の吐出ポートとを連通させる。また、コントローラ30は、第4切換弁450Aを第1位置とし、メインポンプ14の上流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。そして、コントローラ30は、ポンプモータ35を停止させ、第3切換弁440Aと高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。ここで、ポンプモータ35の停止とは、最小流量(例えば、略ゼロ)に設定すること、又は、クラッチ機構の解放若しくは無段変速機構の出力回転速度が略ゼロとなる変速比への切り換えを行うことを含む。すなわち、コントローラ30は、ポンプモータ35による、高圧アキュムレータ部41Hにおける作動油のメインポンプ14の上流側及び下流側への供給を禁止する。なお、第1切換弁420、第2切換弁430、第5切換弁460の状態は、第1実施例に係る油圧回路の「第6状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、「第6状態」では、メインポンプ14の上流側の合流点及び下流側の合流点で作動油を放出することはない。一方で、低圧アキュムレータ部41Lは、第2放圧部45Aを通じてメインポンプ14の上流側の合流点で作動油を放出する。そして、メインポンプ14は、低圧アキュムレータ部41Lから吸い込んだ作動油を操作中の油圧アクチュエータに対して供給する。
また、図4に示す「第7状態」において、コントローラ30は、第6切換弁411Hを第1位置とし、高圧アキュムレータ410Hと油圧回路の他の部分との間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第4切換弁450Aを第1位置とし、メインポンプ14の上流側の合流点と高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。そして、コントローラ30は、ポンプモータ35を停止させ、第3切換弁440Aと高圧アキュムレータ部41Hとの間の連通を遮断する。また、コントローラ30は、第5切換弁460を第2位置とし、メインポンプ14の下流側の分岐点と低圧アキュムレータ部41Lとを連通させる。なお、第1切換弁420及び第2切換弁430の状態は、「第4状態」又は「第5状態」のときと同じであるため、説明を省略する。
その結果、「第7状態」では、低圧アキュムレータ部41Lは、メインポンプ14の下流側の分岐点からの作動油を受け入れながら、第2放圧部45Aを通じてメインポンプ14の上流側の合流点でその作動油を放出する。
また、図4に示す「第1状態」又は「第2状態」において、コントローラ30は、第6切換弁411Hの存在により、第1切換弁420を通じて旋回制御部40から流出する作動油を、高圧アキュムレータ410Hに蓄積することなく、メインポンプ14の上流側又は下流側の合流点に合流させることができる。
具体的には、コントローラ30は、第6切換弁411Hを第1位置とし、第1切換弁420を第1位置又は第3位置としながら、ポンプモータ35を油圧ポンプ若しくは油圧モータとして動作させ、或いは、第4切換弁450Aを第2位置とする。これにより、コントローラ30は、旋回油圧モータ21の制動側から流出する作動油をメインポンプ14の上流側又は下流側の合流点に合流させることができる。
同様に、コントローラ30は、第2切換弁430を通じてブームシリンダ用流量制御弁17Bから流出する作動油を、高圧アキュムレータ410Hに蓄積することなく、メインポンプ14の上流側又は下流側の合流点に合流させることができる。
具体的には、コントローラ30は、第6切換弁411Hを第1位置とし、第2切換弁430を第2位置としながら、ポンプモータ35を油圧ポンプ若しくは油圧モータとして動作させ、或いは、第4切換弁450Aを第2位置とする。これにより、コントローラ30は、ブームシリンダ7のボトム側油室から流出する作動油を、高圧アキュムレータ410Hに蓄積することなく、メインポンプ14の上流側又は下流側の合流点に合流させることができる。
以上の構成により、第2実施例に係る油圧回路は、第1実施例に係る油圧回路による効果に加え、油圧アクチュエータから排出される回生可能なエネルギを伴う作動油を高圧アキュムレータ410Hに蓄積することなく再利用できるという効果を奏する。また、第2実施例に係る油圧回路は、その作動油の圧力がメインポンプ14の吐出圧より大きいか否かにかかわらず再利用できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、高圧アキュムレータ410Hは、旋回油圧モータ21及びブームシリンダ7からの作動油を蓄積する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、高圧アキュムレータ410Hは、旋回油圧モータ21からの作動油のみを蓄積する構成であってもよい。この場合、第2蓄圧部43は省略されてもよい。また、高圧アキュムレータ410Hは、旋回油圧モータ21以外の1又は複数の油圧アクチュエータからの作動油のみを蓄積する構成であってもよい。この場合、第1蓄圧部42は省略されてもよく、旋回油圧モータ21は電動モータであってもよい。