JP6477374B2 - スポット溶接十字継手の引張試験装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スポット溶接十字継手の剥離強度特性を評価するための引張試験装置に関するものである。
近年、自動車分野では、低燃費化やCO2排出量の削減のため、車体を軽量化することや、衝突安全性の向上のため、車体部材を高強度化することが求められている。これらの要求を満たすためには、車体部材や各種部品等に高強度鋼板を使用することが有効である。
このような高強度鋼板よりなる車体の組立や部品の取付け等の工程では、主として、抵抗スポット溶接が広く普及している。かつては、スポット溶接に用いる鋼板強度が上がるほど、溶接部も強くなるものと考えられてきた。しかしながら、鋼板の高強度化が進み、超ハイテンやAHSSと呼ばれる強度クラスの鋼板をスポット溶接すると、スポット溶接部の剥離強度が母材強度の増加に伴って低下してしまうという問題がある。そのため、高強度鋼板の開発を推進していく上では、開発段階から高強度鋼板の溶接性を考慮しなければならない。
このような高強度鋼板溶接部の剥離強度低下は、鋼板強度の増大によって応力集中が鋭くなることと、溶接金属が硬くなり低強度鋼のスポット溶接部では継手強度に寄与しなかった脆化因子の影響が現れやすくなってきたためであると考えられるようになってきている。近年では、高強度鋼板を用いた溶接継手の特性について、高精度な分析技術や数値計算を活用して、多くの解析が進められてきている。一方、このような解析の基礎となる剥離強度特性評価としては、被溶接部材を十字に組んでスポット溶接した溶接継手を剥離方向に引張荷重を負荷して測定する、十字引張強さ(CTS)試験が知られており、JIS Z3137で規定されている。
この従来の十字引張強さの試験方法について、図面を用いて説明する。
図1に、十字引張試験の試験片を示す。十字引張試験では、試験片1は、2枚の長方形状の金属板(例えば、鋼板)2、3を互いに十字形に重ね合わせ、中心部をスポット溶接して溶接部4を形成したものである。鋼板2、3には、それぞれ、引張試験用治具にボルトで固定するための貫通孔2a、2b、3a、3bが設けられている。以降、便宜上、鋼板2側を上側、鋼板3側を下側として説明することがある。
図2に、試験片を十字引張試験用治具に組み付けた状態を示す。試験片1の鋼板2は、上側の治具5と押え金6a、6bの間に挟み込まれ、ボルト7a、7bで固定され、試験片1の鋼板3は、下側の治具8と押え金9a、9bの間に挟み込まれ、ボルト10a、10bで固定される。治具5、8は、それぞれ鋼板2、3を挟み込む直方体形状部5a、8aと、該直方体形状部5a、8aと接続し、試験片を剥離方向に引っ張る軸5b、8bで構成される。押え金6a、6b、9a、9bは、直方体形状のものである。そして、十字引張試験では、矢印に示す方向に引張負荷をかけて、引張の変位に対する荷重を測定し、引張強さを求める。
一方、特許文献1には、従来の十字引張試験用治具では、試験片を引張試験用治具に組み付けるために、時間がかかること等が問題であるとして、テーパーを付けた楔状の歯を螺子で押し込むことで試験片を十字引張試験用治具に確固に掴ませることが開示されている。
実開昭58−082649号公報
従来の引張試験装置を用いた十字引張試験では、荷重変位曲線において、高変位側で荷重が急激に立ち上がる傾向があり、この理由について、諸説あり見解が一致していなかった。本発明者らは、高変位側で荷重が急激に立ち上がるのは、試験片と引張試験用治具との間の滑りに起因すると考えた。
詳細は後述するが、スポット溶接継手の十字引張試験において、試験片と引張試験用治具の間の滑りの程度を調整し、荷重変位曲線の変化について調査したところ、試験片が滑ることで、高変位側で荷重が急激に立ち上がることが判明した。
一方、JIS Z3137には、試験片にφ20mmの穴を開けること、試験片を引張試験用治具に六角ボルトで固定すること、及び、六角ボルトは、呼び径がM12、M14、M16、M18のいずれかとすることが規定されており、試験結果のばらつきを小さくするためには、呼び径が大きいボルトを用い、試験片のφ20mmの穴とボルトとの隙間を小さくすることが望ましいと記載されている。
しかしながら、試験片の表面状態及び締め付けトルク等は規定されておらず、試験の作業者のボルトの締め付けの程度によって、試験片の滑りの程度が変わってしまう。そのため、同一の試験片にもかかわらず、十字引張試験における荷重変位曲線が試験毎に異なる形状となることがあり、荷重変位曲線と溶接部の破壊現象との対応付けを行うことが困難であった。
また、試験片と、治具及び押え金との間には、組み付け時のボルト締め付け軸力に応じた摩擦が発生する。しかし、引張による試験片の厚みの減少等により、摩擦が低下することがあり、従来の引張試験装置を用いた十字引張試験では、試験片と引張試験用治具との間に滑りが生じることがあった。
また、特許文献1に開示された引張試験用治具を用いて、十字引張試験を行った場合でも、十分に試験片と治具の間の滑りを抑制することができず、安定して同じ形状の荷重変位曲線を得ることが困難であった。
本発明は、このような実情に鑑み、スポット溶接継手の十字引張試験において、試験片と治具の間の滑りを抑制できる十字引張試験装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、JIS Z3137に規定された試験片と治具及び押え金との間をボルトで締め付ける方法において、上記課題を解決する手段について鋭意検討した。その結果、治具及び押え金の試験片を挟み込む面に凹凸を設けたところ、試験片と治具及び押え金との間の滑りが低減することを知見した。更に、ボルトとナットでの締め付けよりも強力な軸力を発生させる液圧ナットを用いて締め付けを行ったところ、大幅に滑りを抑制できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)金属板を十字形に重ね合わせてスポット溶接された試験片を間に挟み込んでボルトで締め付ける治具と押え金とを有し、当該治具を介して当該試験片の剥離方向に引張荷重を負荷する十字引張試験装置において、
前記治具及び前記押さえ金が前記試験片を挟み込む面に凹凸を有するとともに、
前記試験片を前記治具及び前記押え金の間に挟み込んでボルトで締め付ける際に用いられる液圧ナットを備える
ことを特徴とするスポット溶接継手の十字引張試験装置。
本発明によれば、十字引張試験装置において、凹凸を設けた引張試験用治具と、液圧ナットとを備えるので、簡便に試験片と引張試験用治具の間の滑りを抑制でき、安定して同じ形状の荷重変位曲線を得ることができる。
十字引張試験の試験片を示す図である。 試験片を十字引張試験用治具に組み付けた状態を示す図である。 試験片を押え金に溶接して治具に組み付けた状態の断面を示す図である。 荷重変位曲線示す図である。 試験片を挟み込む面に凹凸を設けた治具及び押え金の一例を示す図である。 液圧ナットを用いて試験片を挟み込む面に凹凸が設けられた治具及び押え金に組み付けた状態を示す図である。 液圧ナットを用いて試験片を挟み込む面に凹凸が設けられた治具及び押え金に組み付けた状態の断面を示す図である。 荷重変位曲線を示す図である。 治具及び押え金の試験片を挟み込む面に設ける凹凸の一例を示す図である。
本発明の十字引張試験装置(以下、「本発明の装置」という)は、金属板を十字形に重ね合わせてスポット溶接された試験片を間に挟み込んでボルトで締め付ける治具と押え金とを有し、治具を介して試験片の剥離方向に引張荷重を負荷する十字引張試験装置であり、試験片を挟み込む面に凹凸を有する治具及び押さえ金と、試験片を治具及び押え金の間に挟み込んでボルトで締め付ける際に用いられる液圧ナットとを備える点に特徴を有するものである。そして、それにより、試験片と引張試験用治具の間の滑りを低減させるものである。
以下、本発明の装置に至った検討の経緯について説明するとともに、本発明の装置の基本構成について説明する。
従来の引張試験装置を用いた十字引張試験では、荷重変位曲線において、高変位側で荷重が急激に立ち上がる傾向があった。本発明者らは、高変位側で荷重が急激に立ち上がる理由は、試験片と引張試験用治具の間の滑りに起因すると考えた。
そこで、スポット溶接継手の十字引張試験において、試験片と引張試験用治具の間の滑りの程度を調整し、荷重変位曲線の変化について調査した。具体的には、押え金に試験片を溶接し、試験片の滑りを抑制した状態で十字引張試験を実施して、その際の引張の変位に対する荷重を測定して求めた荷重変位曲線と、従来の引張試験用治具を用いて十字引張試験を実施して求められた荷重変位曲線とを比較した。なお、JIS Z3137において、試験結果のばらつきに対して最も好ましいとされる、六角ボルトの呼び径M18を用いて実施した。
図3に、試験片を押え金に溶接して治具に組み付けた状態の断面を示す。図3は、図2における試験片の板厚方向の断面に相当する図である。なお、ボルト及び貫通孔は省略している。
図3に示す押え金6a、6bは、その両面に壁が設けられている。そして、押え金6a、6bと、試験片の鋼板2との溶接において、押え金6a、6bの壁を治具5に合わせた状態で、試験片を該治具5が配置されていない側の押え金6a、6bの面上に載せ、試験片の鋼板2と押え金6a、6bをレーザ溶接して溶接部11を形成した。なお、図示していないが、試験片の鋼板3も同様に押え金9a、9bに溶接して溶接部を形成した。
そして、図3に示すように、試験片を引張試験用治具に組み付けた状態で、矢印に示す方向に引張負荷をかけて、引張の変位に対する荷重を測定し、荷重変位曲線を求めた。図4に荷重変位曲線示す。また、図4には、押え金に試験片を溶接せずに試験片を引張試験用治具に組み付けた状態(従来の十字引張試験の状態)で、求めた荷重変位曲線もあわせて示す。
図4において、実線は、試験片を押え金に溶接して引張試験用治具に組み付け状態で求めた荷重変位曲線であり、点線は、試験片を押え金に溶接せずに引張試験用治具に組み付け状態で求めた荷重変位曲線である。実線で示す荷重変位曲線は、傾きが大きく変化することなく、最大荷重に達して破断に至った。他方、点線で示す荷重変位曲線は、4mm程度の変位から傾きが小さくなり、20mm程度変位すると荷重が急峻に立ち上がり、その後、最大荷重に達して破断に至った。
点線で示す荷重変位曲線において、4mm程度の変位から傾きが小さくなったのは、強制変位による引張で荷重が増加し、試験片が溶接部に引っ張られて治具間を滑り、鋼板を伝わる荷重を緩和して荷重増加は小さくなることによると考えられる。
また、20mm程度変位後荷重が急峻に立ち上がったのは、その領域での傾きが、実線で示す荷重変位曲線の傾きに近いことから、治具間の試験片滑りが増加していくと、試験片の貫通孔の縁がボルトに接触し、試験片の滑りが止まり、試験片が滑らない状況で変形しながら荷重を受けるように変化したためと考えられる。
この結果から、荷重変位曲線において、高変位側で荷重が急激に立ち上がる理由は、試験片の滑りに起因することが判明した。
一方、JIS Z3137には、試験片の表面状態及び締め付けトルク等は規定されておらず、試験の作業者のボルトの締め付けの程度によって、滑りの程度が異なる。そのため、同一の試験片にもかかわらず、十字引張試験における荷重変位曲線が試験毎に異なる形状となることがあり、荷重変位曲線と溶接部の破壊現象との対応付けを行うことが困難であった。
そうすると、上記の調査の如く、押え金に試験片を溶接し、十字引張試験を実施することで、作業者によらず安定して同じ形状の荷重変位曲線を得ることができ、荷重変位曲線と溶接部の破壊現象との対応付けを行うことができる。しかし、試験片と引張溶接用治具の間の滑りを抑制する手段として、押え金と試験片の溶接は、作業効率が良くない。
そこで、本発明者らは、JIS Z3137に規定された試験片と治具及び押え金との間をボルトで締め付ける方法において、押え金に試験片を溶接し、十字引張試験を実施したときと同様の傾きの変化が少ない荷重変位曲線を得ることを目標に、試験片の滑りを抑制する手段について検討した。
その結果、治具及び押え金の試験片を挟み込む面に凹凸を設けること、及び、ボルトとナットでの締め付けよりも強力な軸力を発生させる液圧ナットを用いて締め付けを行うことに着想した。
まず、試験片を挟み込む面に凹凸を設けた引張試験用治具について説明する。
図5に、試験片を挟み込む面に凹凸を設けた治具及び押え金の一例を示す。図5は、試験片を引張試験用治具に組み付ける前の状態であり、治具5と押え金6a、6bについて、試験片を挟み込む面の側から見た図である。
図5に示すように、治具5と押え金6a、6bは、試験片を挟み込む面に凹凸12を有する。また、治具5は、ボルトの貫通孔13a、13bが、押え金6a、6bは、ボルトの貫通孔14a、14bを有する。
次に、液圧ナットを用いて締め付けを行うことについて説明する。
図6に、液圧ナットを用いて試験片を治具に組み付けた状態を示す。図6では、試験片の鋼板2を、図5に示す凹凸が設けられた治具5と押え金6a、6bの間に挟み込み、ボルトで固定し、更に、液圧ナット15a、15bで締め付けている。また、試験片の鋼板3を、同様の凹凸が設けられた治具8と押え金9a、9bの間に挟み込み、ボルトで固定し、更に、液圧ナット16a、16bで締め付けている。
なお、治具5、8は、試験片の挟み込み面に凹凸を有する以外、図2に示す治具5、8と押え金6a、6b、9a、9bと同じ形状である。そして、十字引張試験では、矢印に示す方向に引張負荷をかけて、引張の変位に対する荷重を測定し、引張強さを求める。
図7に、液圧ナットを用いて試験片を凹凸が設けられた治具及び押え金に組み付けた状態の断面を示す。図7は、図6に示す試験片の板厚方向の断面に相当する図である。なお、ボルト及び貫通孔は省略している。
図7に示すように、治具5及び押え金6a、6bは、鋼板2の挟み込み面に凹凸12を有し、治具5と押え金6a、6bは、その間に鋼板2をに挟み込み、ボルトで固定し、更に、液圧ナット15a、15bで締め付けている。なお、図示していないが、治具8及び押え金9a、9bは、鋼板3の挟み込み面に凹凸12を有し、治具8と押え金9a、9bは、その間に鋼板3を挟み込み、ボルトで固定し、更に、液圧ナット16a、16bで締め付けている。
この凹凸(模様図9(a)、ピッチ1.5mm、凸部高さを通常治具の表面+0.5mm)が設けられた引張試験治具(鋼材の表面硬さHV650)及び液圧ナットを備えた引張試験装置を用いて、十字引張試験を実施した。まず、引張強度590MPa、板厚t1.0mmの2枚のDP鋼板を十字に重ね合わせ、スポット溶接し、複数の試験片を作成した。スポット溶接では、ナゲット径を4√t=4mmとし、全て同じ溶接条件とした。
次に、試験片を組み付ける際の治具及び押え金と、ナットの組合せを表1に示す。表1において、従来の治具及び押え金を使用した場合、及び、従来のナットを使用した場合を「通常」、凹凸が設けられた治具及び押え金を使用した場合を「凹凸」、液圧ナットを使用した場合を「液圧」と表記している。
Figure 0006477374
表1に示す組合せで試験片を治具に取り付けて十字引張試験を行った。その際、従来のナットは、11N・mでの締め付け、液圧ナットは、仕様上限の軸力45kNで締め付けた。また、引張速度10mm/minで実施した。
図8に、荷重変位曲線を示す。変位に対する荷重の傾きについて、変位が約15mmまでの部分を比較すると、組合せNo.1、No.3、No.2、No.4の順番で傾きが大きくなった。図4の荷重変位曲線の結果から、この傾きが大きいほど、試験片の滑りが抑制されていると判断できる。
そうすると、凹凸が設けられた治具及び押え金を用いることのみでも、液圧ナットを用いることのみでも、両者を用いない場合と比較して、試験片の滑りが抑制されている。しかし、凹凸が設けられた治具及び押え金と液圧ナットとの両方を用いることで、試験片を押え金に溶接して引張試験用治具に組み付け状態で求めた荷重変位曲線と同等の変化を示す荷重変位曲線となり、滑り抑制効果が大きくなることを見出した。
本発明は、以上のような検討過程を経て上記(1)に記載の発明に至ったものであり、そのような本発明について、さらに、必要な要件や好ましい要件について順次説明する。
本発明の装置は、試験片を挟み込む面に凹凸を有する治具及び押さえ金と、試験片を治具及び押え金の間に挟み込んでボルトで締め付ける際に用いられる液圧ナットとを備えるものであり、凹凸を有する治具及び押え金、液圧ナットの順で説明する。
(治具及び押え金)
治具及び押え金は、JIS Z3137に規定される形状及び寸法とする。図5に示すように、治具の直方体形状の部分は、150mm×50mm×12mmとし、ボルトの貫通孔の中心間の距離は、100mmとする。押え金は、50mm×50mm×12mmとする。また、ボトルの貫通孔は、φ20mmとする。
(治具及び押え金に設ける凹凸)
治具及び押え金の試験片を挟み込む面に設ける凹凸は、試験片の滑りを抑制できれば、特に限定されるものでない。図9に、治具及び押え金の試験片を挟み込む面に設ける凹凸の一例を示す。図9(a)は、縦線状凹凸、図9(b)は、交差した縦横線状凹凸、図9(c)は、斜線状凹凸、図9(d)は、交差した斜線状凹凸、図9(e)は、交差した縦線斜線状凹凸、図9(f)は、波線状凹凸である。治具及び押え金の耐久性を考慮すると、治具および押え金の試験片と接触する凹凸加工部の硬さは試験片表面の硬さを上回るほうが好ましい。
また、図9に示す矢印は、試験片の滑り方向である。この図のように、種々の凹凸パターンを採用できるが、図9(a)、(b)、(e)、(f)のように試験片の滑り方向(矢印方向)に略垂直方向の凹凸が含まれると滑りの抑制に対して好ましい。また、凹凸のピッチは、特に限定されるものでなく、0.5〜10mmが例示される。凹凸の高さ(図9の奥行方向)は、特に限定されるものでなく、0.1〜2.0mmが例示される。
また、押え金に設けられる凹凸は、試験片の滑り抑制のためには、押え金の試験片を挟み込む面に、該面の面積の50%以上に設けることが好ましく、100%に設けることがさらに好ましい。また、治具に設けられる凹凸は、治具の試験片と接触する面の全面に設けてもよいが、試験片の滑り抑制のためには、試験片を挟み込む面のうち押え金と対向する面に、該面の面積の50%以上に設けることが好ましく、100%に設けることがさらに好ましい。
(液圧ナット)
試験片を治具及び押え金の間に挟み込んでボルトで締め付ける際に用いられる液圧ナットは、作動油や水等の作動媒体の圧力でボルトを引っ張り上げて締め付けを行うものであり、特に限定されるものでなく、公知のものを採用することができる。液圧ナットの一例として、ポンプ無しで使用できる高粘度グリス内臓式の油圧ナットがハンドリングの点で好ましい。また、液圧ナットは、十字形の試験片の各端部が治具及び押え金に固定されるように、4箇所に配置する。
(金属板)
試験片とする金属板は、JIS Z3137に規定される形状及び寸法とする。図1に示すように、金属板は、150mm×50mmとし、ボルトの貫通孔の中心間の距離は、100mmとする。また、ボルトの貫通孔は、φ20mmとする。
また、金属板は、特に限定されるものでなく、種々の金属の板とすることができるが、鋼板とすることが好ましい。鋼板の成分組成は、特に限定されるものでなく、高強度鋼板を適用することができる。また、金属板は、少なくとも溶接箇所の両面又は片面にめっき皮膜等の表面処理皮膜を形成した金属板としてもよい。
(スポット溶接)
金属板を十字形に重ね合わせて実施するスポット溶接方法は、特に限定されるものでなく、抵抗スポット溶接、レーザ溶接、アークスポット溶接等が例示される。
次に、本発明の装置を用いて、スポット溶接継手の十字引張試験を行う方法について説明する。
本発明の装置を用いて行うスポット溶接継手の十字引張試験は、JIS Z3137に規定される方法に従えばよい。まず、試験片を作製する。金属板の幅の中心線が互いに直交するように配置し、十字重ね部分の中心にスポット溶接を行い、試験片を作製する。
そして、試験片を本発明の装置の治具及び押え金に組み付ける。組み付ける際のボルトは、呼び径M12、14、16又は18のいずれを用いてもよいが、滑りうる長さを小さくし、高い軸力に耐えるために、呼び径M18のボルトを用いるとよい。そして、液圧ナットを用いて締め付ける。液圧ナットを締め付ける軸力は、特に限定されるものでなく、仕様上限程度の軸力で締め付ければよい。
そして、治具及び押え金に組み付けられた試験片を、治具を介して引張速度10mm/min以下で引張り、試験片が破断するまでの最大引張荷重を測定し、十字引張強さを求める。このように、本発明の装置を用いてスポット溶接継手の十字引張試験を行うことで、滑りを抑制することができる。
本発明によれば、十字引張試験装置において、凹凸を設けた治具及び押え金と、液圧ナットとを備えるので、簡便に試験片と引張試験用治具の間の滑りを抑制でき、安定して同じ形状の荷重変位曲線を得ることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。
1 試験片
2 金属板(鋼板)
2a、2b 貫通孔
3 金属板(鋼板)
3a、3b 貫通孔
4 溶接部
5 治具
5a 直方体形状部
5b 軸
6a、6b 押え金
7a、7b ボルト
8 治具
8a 直方体形状部
8b 軸
9a、9b 押え金
10a、10b ボルト
11 溶接部
12 凹凸
13a、13b 貫通孔
14a、14b 貫通孔
15a、15b 液圧ナット
16a、16b 液圧ナット

Claims (1)

  1. 金属板を十字形に重ね合わせてスポット溶接された試験片を間に挟み込んでボルトで締め付ける治具と押え金とを有し、当該治具を介して当該試験片の剥離方向に引張荷重を負荷する十字引張試験装置において、
    前記治具及び前記押さえ金が前記試験片を挟み込む面に凹凸を有するとともに、
    前記試験片を前記治具及び前記押え金の間に挟み込んでボルトで締め付ける際に用いられる液圧ナットを備える
    ことを特徴とするスポット溶接継手の十字引張試験装置。
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