JP6476916B2 - 組電池 - Google Patents

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Description

本発明は、組電池に関する。詳しくは、リチウムイオン二次電池と電子部品を上ケースと下ケースとにより収納して上ケースと下ケースとの境界をシールしたパックケースを有する組電池に関するものである。
従来、負極端子を兼ねた金属封口板を、合成樹脂または合成ゴムからなる絶縁ガスケットを介して正極ケースの開口部を内方向にかしめ封口したアルカリ電池であって、電池組立後、絶縁ガスケットの露出部にシリコーンを塗布または塗布後乾燥固化したことを特徴とするアルカリ電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また該文献には、シリコーンとしては、ジメチルシリコーンオイル、ポリシロキサン等のシリコーン樹脂を用いると耐漏液特性がさらに向上するアルカリ電池が得られることが開示されている。
特開平6−20664号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のアルカリ電池ではシール部材としてシリコーン樹脂を乾燥固化しており、そのようなシール部材は内部まで十分に乾燥しきれずに機械的な強度が不足してしまう場合がある。一方で、熱を付与してシール部材のシリコーン樹脂を乾燥させる場合、パック内にある他の電子部品がその熱の影響を受けてしまうという問題がある。本発明者が検討した結果、同様の問題が、組電池のパックケースにおいて、上ケースと下ケースとの境界をシール部材でシールする際にも生じることがわかった。
そこで本発明は、シール部材のみを昇温させ周囲に熱の影響を与えることなく機械的な強度に優れたシール部材を用いてパックケースを密封(シール)した組電池を提供することを目的とする。
本発明の組電池は、上記シール部材として、ウレタン系材料にカーボンを0.3〜2質量%の割合で混合したものを乾燥したものである点に特徴を有する。
本発明によれば、ウレタン系材料の分子長が長いため、既存の乾燥法である赤外線乾燥を用いることで、乾燥時に遠赤外線の波長を吸収して熱振動を起こす。そのため他の電子部品では熱が発生しないことから周囲に熱の影響を与えることなく、シール部材のみに熱を付与して機械的な強度を得ることができるものである。
本発明の具体的な一実施形態の構造を採用したバッテリパック(組電池)BPが搭載されたワンボックスタイプの電気自動車を示す概略側面図である。 本発明の具体的な一実施形態の構造を採用したバッテリパック(組電池)BPが搭載されたワンボックスタイプの電気自動車を示す概略底面図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPを示す全体斜視図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPを示すバッテリケースアッパーカバーを外した斜視図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPの内部構成と温調風の流れを示すバッテリケースアッパーカバーを外した平面図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPの温調風ユニットの構成と温調風の流れを示す図5のA部拡大図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPのケース内部空間の領域区分構成を示す平面図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BP内における各パック構成要素のバスバー接続構成及びハーネス接続構成を示す回路図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPのケース内部空間における各パック構成要素のバスバー接続構成及びハーネス接続構成を示す平面図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPのケース内部空間における各パック構成要素のハーネス接続構成を示す図9の矢印B方向斜視図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPのケース内部空間における各パック構成要素のハーネス接続構成を示す図9の矢印C方向斜視図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPに搭載されたLBコントローラを示す斜視図である。 本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPの下ケース(バッテリパックロアフレーム)に、シール部材でシールする箇所の1例を太線で示した下ケースの平面図(底面図)である。 図14(A)は、本発明の具体的な一実施形態のバッテリパック(組電池)BPの上ケースと下ケースとの境界がシール部材によりシールされてなるパックケースを有する組電池のシール部分の密着力を測定するためのバッテリパック代替サンプルの構成を示す側面図である。図14(B)は、図14(A)のバッテリパック代替サンプルの構成を示す平面図である。図14(C)は、図14(A)(B)のバッテリパック代替サンプルの密着力を測定するための市販の測定装置の概略図である。 実施例(乃至参考例)1〜7及び比較例1〜2のバッテリパック代替サンプル及び比較用バッテリパック代替サンプルの密着力と、バッテリパック代替サンプル製造時のシール部材の乾燥時間との関係を表すグラフ(図面)である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の組電池は、複数の二次電池を組み合わせたモジュールと電子部品とが、上ケースと下ケースとにより収納されており、前記上ケースと前記下ケースとの境界が、シール部材によりシールされてなるパックケースを有する組電池において、前記シール部材が、ウレタン系材料にカーボンを0.3〜2質量%の割合で混合したものを、乾燥したものであることを特徴とするものである。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を奏することができるものである。
以下、本発明のモジュールと電子部品を上ケースと下ケースに収納して上ケースと下ケースの境界を上記シール部材でシールしたパックケースを有する組電池(バッテリパック)構造を実現する具体的な一実施形態を、図面に基づいて説明する。ただし、本実施形態の組電池(バッテリパック)構造は、以下に説明する構成に何ら制限されるものではなく、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、従来公知の他の多種多様な組電池(バッテリパック)構造を適宜利用することができる。
まず、本実施形態の組電池(バッテリパック)構造における構成を、「バッテリパックBP(組電池)の車載構成」、「バッテリパックBP(組電池)のパック構成要素」、「バッテリパックBP(組電池)のケース内部空間の領域区分構成」、「バッテリ強電回路のバスバー接続構成」、「パック構成要素間のハーネス接続構成」に分けて説明する。
[バッテリパック(組電池)BPの車載構成]
図1及び図2は、本実施形態の構造を採用した組電池(以下、バッテリパックまたはバッテリパックBPとも称する。また図中は符号BPで表記する)が搭載されたワンボックスタイプの電気自動車を示す概略側面図及び概略底面図である。以下、図1及び図2に基づき、バッテリパックBPの車載構成を説明する。
前記バッテリパックBPは、図1に示すように、車体フロア100の下部のホイールベース中央部位置に配置される。車体フロア100は、モータ室101と車室102を画成するダッシュパネル104との接続位置から、車室102に連通する荷室103を確保する車両後端位置まで設けられ、車両前方から車両後方までのフロア面凹凸を抑えたフラット形状としている。車室102には、インストルメントパネル105と、センターコンソールボックス106と、エアコンユニット107と、乗員シート108と、を有する。
前記バッテリパックBPは、図2に示すように、車体強度部材である車体メンバに対して8点支持される。車体メンバは、車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ109,109と、一対のサイドメンバ109,109を車幅方向に連結する複数のクロスメンバ110,110,…と、を有して構成される。バッテリパックBPの両側は、一対の第1サイドメンバ支持点S1,S1と一対の第1クロスメンバ支持点C1,C1と一対の第2サイドメンバ支持点S2,S2により6点支持される。バッテリパックBPの後側は、一対の第2クロスメンバ支持点C2,C2により2点支持されている。
前記バッテリパックBPは、図1に示すように、ダッシュパネル104に沿って車両前後方向に直線状に配索した充放電ハーネス111を介し、モータ室101に配置されている強電モジュール112(DC/DCコンバータ+充電器)と接続される。このモータ室101には、強電モジュール112以外に、インバータ113と、モータ駆動ユニット114(走行用モータ+減速ギヤ+デファレンシャルギヤ)と、を有する。また、車両前面位置には、充電ポートリッドを有する急速充電ポート115と普通充電ポート116が設けられる。急速充電ポート115と強電モジュール112は、急速充電ハーネス117により接続される。普通充電ポート116と強電モジュール112は、普通充電ハーネス118により接続される。
前記バッテリパックBPは、インストルメントパネル105内に配置されているエアコンユニット107を備えた空調システムと接続される。即ち、バッテリモジュール(複数の二次電池を組み合わせたモジュール)が搭載されているバッテリパックBPの内部温度を温調風(冷風、温風)により管理する。なお、冷風は、空調システムから分岐冷媒管を介して冷媒をエバポレータに導入することで作り出す。温風は、空調システムからのPTCハーネスを介してPTCヒータを作動することで作り出す。
前記バッテリパックBPは、図外のCANケーブル等の双方向通信線を介し、外部の電子制御システムと接続される。即ち、バッテリパックBPは、外部の電子制御システムと情報交換に基づく統合制御により、バッテリモジュールの放電制御(力行制御)や充電制御(急速充電制御・普通充電制御・回生制御)等が行われる。
[バッテリパックBPのパック構成要素]
図3〜図6は、本実施形態のバッテリパック(組電池)BPの詳細を示す図である。以下、図3〜図6に基づき、バッテリパックBPのパック構成要素を説明する。
本実施形態のバッテリパック(組電池)BPは、図3及び図4に示すように、上ケースと下ケースとの境界がシール部材によりシールされてなるパックケース(バッテリパックケース)1と、複数の二次電池を組み合わせたモジュール(バッテリモジュール)2と、電子部品(温調風ユニット3と、サービス・ディスコネクト・スイッチ4(以下、「SDスイッチ」という。)と、ジャンクションボックス5と、リチウムイオン・バッテリ・コントローラ6(以下、「LBコントローラ」という。))と、を備えていている。そして、複数の二次電池を組み合わせたモジュール2と他のパック構成要素(電子部品)3、4、5、6とが、パックケース1を構成する上ケース(バッテリパックアッパーカバー)12と下ケース(バッテリパックロアフレーム)11により収納されている。
前記バッテリパックケース1は、図3及び図4に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11とバッテリパックアッパーカバー(上ケース)12の2部品によって構成される。
前記バッテリパックロアフレーム(下ケース)11は、図4に示すように、車体メンバに対し支持固定されるフレーム部材である。このバッテリパックロアフレーム(下ケース)11には、バッテリモジュール2や他のパック構成要素(電子部品)3,4,5,6を搭載する方形凹部による搭載空間を有する。このバッテリパックロアフレーム(下ケース)11のフレーム前端縁には、冷媒管コネクタ端子13と弱電コネクタ端子16と充放電コネクタ端子14と車室内空調用に強電を供給する強電コネクタ端子15が取り付けられている。
前記バッテリパックアッパーカバー(上ケース)12は、図3に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11の外周部位置にボルト固定されるカバー部材である。このバッテリパックアッパーカバー(上ケース)12には、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11に搭載される各パック構成要素2,3,4,5,6のうち、特にバッテリモジュール2の凹凸高さ形状に対応した凹凸段差面形状によるカバー面を有する。更に本実施形態では、上記したボルト固定と共に(又はボルト固定に代えて)、上ケース12と、下ケース11との境界(外周部)が、シール部材によりシールされてなる構成である。該シール部材は、ウレタン系材料にカーボンを0.3〜2質量%の割合で混合したものを乾燥したものである。
前記バッテリモジュール2は、図4及び図5に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11に搭載され、第1バッテリモジュール21と第2バッテリモジュール22と第3バッテリモジュール23との3分割モジュールにより構成される。各バッテリモジュール21,22,23は、二次電池(リチウムイオンバッテリ等)による複数のバッテリセルを積み重ねた集合体構造であり、各バッテリモジュール21,22,23の詳しい構成は、下記の通りである。なお図4及び図5では、バッテリモジュールを3分割した構成を示したが、3分割以外の他の構成として、1又は2以上に分割された構成も取り得る。
前記第1バッテリモジュール21は、図4及び図5に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11のうち車両後部領域に搭載される。この第1バッテリモジュール21は、厚みが薄い直方体形状のバッテリセルを構成単位とし、複数個のバッテリセルを厚み方向に積み重ねたものを用意しておく。そして、バッテリセルの積み重ね方向と車幅方向を一致させて搭載する縦積み(例えば、20枚縦積み)により構成している。
前記第2バッテリモジュール22と前記第3バッテリモジュール23のそれぞれは、図4に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11のうち、第1バッテリモジュール21より前側の車両中央部領域に車幅方向に左右分かれて一対搭載される。この第2バッテリモジュール22と第3バッテリモジュール23は、全く同じパターンによる平積み構成としている。即ち、厚みが薄い直方体形状のバッテリセルを構成単位とし、複数枚(例えば、4枚と5枚)のバッテリセルを厚み方向に積み重ねたものを複数個(例えば、4枚積みを1組、5枚積みを2組)用意しておく。そして、バッテリセルの積み重ね方向と車両上下方向を一致させた平積み状態としたものを、例えば、車両後方から車両前方に向かって順に4枚平積み・5枚平積み・5枚平積みというように、車両前後方向に複数個整列させることで構成している。またバッテリパックBPが、電気自動車等の車載搭載用の組電池である場合、厚みが薄い直方体形状のバッテリセル(二次電池)は、軽量化の観点から、ラミネート外装材を用いた積層型のリチウムイオン二次電池を用いるのが望ましい。これにより、単位重量当たりの出力特性に優れた高寿命の組電池を構成できることから、こうした組電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車等を構成できる点で優れている。また、車載搭載用組電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車、燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの高質量エネルギー密度、高質量出力密度等が求められる車両駆動用電源や補助電源等に用いられる。また車載搭載用の組電池の場合、車載搭載位置は車室外(車室内以外の部分、例えば、車室外の床下部分)となる為、バッテリパック(組電池)BP内部の気密を保つ構造を取るのが一般的である。即ち、バッテリパック(組電池)BP内部を気密に保つ構造において、シール部材に高い機械的強度が求められるのは、上記した車載搭載用の組電池のような場合である。言い換えれば、他の民生用途(ノートパソコンやスマートフォン等に用いられる小型電池パック)では、自動車走行時のように外部から強い衝撃や振動が高頻度で印加(負荷)されることはなく、本実施形態のようにシール部材に高い機械的強度が求められることはないからである。
前記温調風ユニット3は、図5に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11のうち車両前側空間の右側領域に配置され、バッテリパック(組電池)BPの温調風通路に温調風(冷風、温風)を送風する。温調風ユニット3は、図6に示すように、ユニットケース31と、送風ファン32と、エバポレータ33と、PTCヒータ34と、温調風ダクト35と、を有して構成される。なお、エバポレータ33には、フレーム前端縁に取り付けられた冷媒管コネクタ端子13を介して冷媒が導入される。
前記SDスイッチ4は、図3及び図4に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11のうち車両前側空間の中央部領域に配置され、手動操作によりバッテリ強電回路を機械的に遮断するスイッチである。このSDスイッチ4は、強電モジュール112やインバータ113等の点検や修理や部品交換等を行う際、手動操作によりスイッチ入とスイッチ断が切り替えられる。
前記ジャンクションボックス5は、図3及び図4に示すように、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11のうち車両前側空間の左側領域に配置され、リレー回路により強電の供給/遮断/分配を集中的に行う。このジャンクションボックス5には、温調風ユニット3の制御を行う温調用リレー51と温調用コントローラ52が併設されている。
前記LBコントローラ6は、図4及び図5に示すように、第1バッテリモジュール21の左側端面位置に配置され、各バッテリモジュール21,22,23の容量管理・温度管理・電圧管理を行う。このLBコントローラ6は、温度検出信号線からの温度検出信号、バッテリ電圧検出線からのバッテリ電圧検出値、バッテリ電流検出信号線からのバッテリ電流検出信号に基づく演算処理により、バッテリ容量情報やバッテリ温度情報やバッテリ電圧情報を取得する。
[バッテリパックBPのケース内部空間の領域区分構成]
図7は、本実施形態のバッテリパック(組電池)BPのケース内部空間の領域区分構成を示す平面図である。以下、図7に基づき、バッテリパック(組電池)BPのケース内部空間の領域区分構成を説明する。
本実施形態のバッテリパック(組電池)BPは、図7に示すように、バッテリパックケース1の内部空間を、車幅方向に引かれる境界線Lを隔てて、車両後方側のバッテリモジュール搭載領域7と車両前方側の電装品搭載領域8の2つの車両前後方向領域に分けている。バッテリモジュール搭載領域7は、車両後方端から車両前方寄りの境界線Lまでのケース内部空間の大半の領域を占有する。電装品搭載領域8は、車両前方端から車両前方寄りの境界線Lまでのバッテリモジュール搭載領域7より狭い領域を占有する。
前記バッテリモジュール搭載領域7は、T字通路(中央通路36と交差通路37)により第1分割矩形領域71と第2分割矩形領域72と第3分割矩形領域73の三つの分割矩形領域に区分される。第1分割矩形領域71には、一側面にLBコントローラ6を有する第1バッテリモジュール21が搭載される。第2分割矩形領域72には、第2バッテリモジュール22が搭載される。第3分割矩形領域73には、第3バッテリモジュール23が搭載される。
前記電装品搭載領域8は、車幅方向に分けられた第1区分領域81と第2区分領域82と第3区分領域83の三つの区分領域に分けられる。第1区分領域81から第2区分領域82の下部にかけては、温調風ユニット3が搭載される。第2区分領域82の上部には、SDスイッチ4が搭載される。第3区分領域83には、ジャンクションボックス5が搭載される。
前記バッテリパック(組電池)BPの内部空間には、温調風ユニット3にて作り出された温調風の内部循環を確保するための温調風通路を、各バッテリモジュール21,22,23を分割矩形領域に搭載したときの隙間を利用して形成している。この温調風通路としては、温調風ユニット3から吹き出される温調風が最初に流れ出る中央通路36と、該中央通路36からの流れを車幅方向の両側に分ける交差通路37と、内部空間の外周に流れ込んできた温調風を温調風ユニット3に戻す環状通路38と、を有する。中央通路36は、第2バッテリモジュール22と第3バッテリモジュール23の対向面に隙間を持たせることで形成される。交差通路37は、第1バッテリモジュール21と第2,第3バッテリモジュール22,23の対向面に隙間を持たせることで形成される。環状通路38は、バッテリパックロアフレーム(下ケース)11と各パック構成要素2,3,4,5,6との間に隙間余裕を持たせることで形成される。
前記温調風通路としては、温調風が主に流れる通路である中央通路36と交差通路37と環状通路38以外に、ケース内部空間にパック構成要素2,3,4,5,6を搭載することにより形成される隙間や間隔や空間も含まれる。例えば、第1バッテリモジュール21については、構成要素であるバッテリセルの積み重ね隙間は、温調風の流れ方向と同じ方向となることで温調風通路になる。第2バッテリモジュール22と第3バッテリモジュール23については、4枚平積みバッテリセルと5枚平積みバッテリセルの搭載間隔と、5枚平積みバッテリセルと5枚平積みバッテリセルの搭載間隔と、が温調風通路になる。電装品搭載領域8については、バッテリパックアッパーカバー(上ケース)12の内面と、温調風ユニット3及びジャンクションボックス5の構成部品と、の間に形成される空間が温調風通路になる。
また、バッテリパック(組電池)BPのバッテリ強電回路のバスバー接続構成およびパック構成要素間のハーネス接続構成に関しては、特に制限されるものではなく従来公知の構成を適宜利用することができる。以下、具体的な一実施形態につき説明する。
[バッテリ強電回路のバスバー接続構成]
図8及び図9は、本実施形態のバッテリパック(組電池)BP構造におけるバッテリ強電回路のバスバー接続構成を示す。以下、図8及び図9に基づきバッテリ強電回路のバスバー接続構成を説明する。
本実施形態のバッテリパック(組電池)BPのバッテリ強電回路は、図8に示すように、図外の内部バスバーを備えた各バッテリモジュール21,22,23と、ジャンクションボックス5と、SDスイッチ4と、を互いに外部バスバー90(バスバー)を介して接続するというバスバー接続構成により形成される。なお、ジャンクションボックス5と充放電コネクタ端子14は、強電ハーネス91を介して接続される。
前記バッテリ強電回路において、内部バスバーとは、各バッテリモジュール21,22,23を構成する複数のバッテリセルの端子に接続された導電プレートである。外部バスバー90とは、内部バスバーによる各端子間を、下記に述べるバッテリ強電回路を構成するように接続する導電プレートであり、第1外部バスバー90aと第2外部バスバー90bと第3外部バスバー90cを有する。第1外部バスバー90aは、図9に示すように、第1バッテリモジュール21の交差通路37に沿う側面位置に設けている。第2外部バスバー90b及び第3外部バスバー90cは、図9に示すように、第2バッテリモジュール22及び第3バッテリモジュール23の中央通路36に沿う両側面位置にそれぞれ設けている。
前記バッテリ強電回路において、三分割された各バッテリモジュール21,22,23は、合計バッテリセル数(48枚)を二組みに分けた二分割バッテリセル数(24枚)による回路構成とする。そして、二分割バッテリセルに対して、ジャンクションボックス5とSDスイッチ4をそれぞれバスバー接続する。つまり、第1バッテリモジュール21(20枚)と第2バッテリモジュール22(2枚)と第3バッテリモジュール23(2枚)を合わせて1組(合計24枚)とする。そして、第2バッテリモジュール22(14枚−2枚=12枚)と第3バッテリモジュール23(14枚−2枚=12枚)を合わせて他の1組(合計24枚)とする。
[パック構成要素間のハーネス接続構成]
図8〜図12は、本実施形態のバッテリパック(組電池)BP構造におけるパック構成要素間のハーネス接続構成を示す。以下、図8〜図12に基づきパック構成要素間のハーネス接続構成を説明する。
本実施形態のバッテリパック(組電池)BPのパック構成要素間のハーネス接続構成としては、ジャンクションボックス5とLBコントローラ6の弱電ハーネス接続構成と、バッテリモジュール2とLBコントローラ6の強電ハーネス接続構成と、バッテリモジュール2とLBコントローラ6の弱電ハーネス接続構成と、を備えている。
・ジャンクションボックス5とLBコントローラ6の弱電ハーネス接続構成
前記ジャンクションボックス5とLBコントローラ6は、図9に示すように、バッテリパックケース1の内部空間に形成した温調風通路のうち、環状通路38の一部であるケース一側辺に沿う直線通路部38aに臨む離れた位置にそれぞれ配置している。そして、ジャンクションボックス5とLBコントローラ6とを接続する弱電ハーネス96を、車両前後方向に延びる直線通路部38aに沿って配索している。前記ジャンクションボックス5は、電装品搭載領域8内であって、直線通路部38aに臨む車幅方向端部位置に配置している。前記LBコントローラ6は、複数のバッテリセルが車幅方向に縦積みされる第1バッテリモジュール21を搭載する第1分割矩形領域71内であって、直線通路部38aに臨む車幅方向端部位置に縦積み配置している。
前記弱電ハーネス96は、図8に示すように、ジャンクションボックス5内の電流センサ53からのバッテリ電流検出信号線96aを束ねると共に、LBコントローラ6から外部の電子制御システムへの制御信号線96bを束ねたものである。バッテリ電流検出信号線96aは、充放電に伴い変化するバッテリ電流情報をLBコントローラ6に供給する。制御信号線96bは、LBコントローラ6により取得されたバッテリ容量情報やバッテリ温度情報やバッテリ電圧情報を外部の電子制御システムへ送出する。なお、ジャンクションボックス5内のリレー回路は、外部の電子制御システムから制御信号線96bを介して送られるリレー回路のオン/オフ情報に基づき開閉動作する。
・バッテリモジュール2とLBコントローラ6の強電ハーネス接続構成
前記バッテリモジュール2とLBコントローラ6は、図9に示すように、バッテリパックケース1の内部空間に形成した温調風通路のうち各バッテリモジュール21,22,23の一側面が共に露出する交差通路37(共通通路部)に臨む位置にLBコントローラ6を配置している。そして、各外部バスバー90a,90b,90cとLBコントローラ6を接続する強電ハーネス97(ハーネス)を、車幅方向に延びる交差通路37に沿って配索している。なお、強電ハーネス97にはコネクタX,Y,Zが付帯していて、これらのコネクタX、Y,Zも交差通路37に沿って配置されている。
前記強電ハーネス97は、第1バッテリ電圧検出線97a、第2バッテリ電圧検出線97b及び第3バッテリ電圧検出線97cを束ねたものである。第1バッテリ電圧検出線97aは、第1外部バスバー90aのうちLBコントローラ6に近い側の端部位置に接続される。第2バッテリ電圧検出線97b及び第3バッテリ電圧検出線97cは、第2外部バスバー90b及び第3外部バスバー90cのうち交差通路37に近い側の2つの端部位置に接続される。
前記強電ハーネス97は、図10に示すように、交差通路37を介して対向するバッテリモジュール21,22,23の三つの側面うち、第2,第3バッテリモジュール22,23の上面から上方に突出する第1バッテリモジュール21の上部側面部分に沿って配索している。
前記強電ハーネス97の各バッテリ電圧検出線97a,97b,97cは、各バッテリモジュール21,22,23のバッテリ電圧値をLBコントローラ6に供給する。LBコントローラ6は、供給されたバッテリ電圧値によりバッテリ電圧情報を取得するばかりでなく、バッテリ電圧値とバッテリ容量の関係特性に基づき、バッテリ容量情報を取得する。ちなみに、リチウムイオンバッテリの場合、バッテリ電圧値とバッテリ容量がリニアに対応する関係にある。
・バッテリモジュール2とLBコントローラ6の弱電ハーネス接続構成
前記バッテリモジュール2とLBコントローラ6は、図7に示すように、バッテリパックケース1の内部空間のうち、バッテリモジュール搭載領域7に配置している。そして、各バッテリモジュール21,22,23にそれぞれ設けた熱電対温度センサの測温接点24と、LBコントローラ6を接続する弱電ハーネス98を、ケース空間内の経路により配索している。弱電ハーネス98の配索経路は、車両前後方向に延びる環状通路38の両直線通路部38a,38bの沿った経路と、第2,第3バッテリモジュール22,23の車幅方向段差面に沿った経路を用いている。
前記測温接点24は、図10及び図11に示すように、各バッテリモジュール21,22,23の環状通路38に露出する外周側面に設けられる。例えば、第1バッテリモジュール21の外周側面に対して2接点、第2バッテリモジュール22と第3バッテリモジュール23の外周側面に対してそれぞれ4接点というように複数設ける。なお、熱電対温度センサの場合、測温接点24以外に導線により基準電圧が印加される基準接点(冷接点)を有する。
前記弱電ハーネス98は、図8に示すように、複数の測温接点24からの温度検出信号線を束ねたものであり、各バッテリモジュール21,22,23の温度検出信号をLBコントローラ6に供給する。LBコントローラ6は、供給された温度検出信号によりバッテリ温度情報を取得する。なお、LBコントローラ6は、図12に示すように、4つの強電コネクタ端子61,62,63,64と2つの弱電コネクタ端子65,66を備えている。これらのコネクタ端子61,62,63,64,65,66には、弱電ハーネス96と強電ハーネス97と弱電ハーネス98が接続される。
本発明のモジュールと電子部品を上ケースと下ケースに収納して上ケースと下ケースの境界を上記シール部材でシールしたパックケースを有する組電池(バッテリパック)構造を実現する具体的な一実施形態については、上記したとおりである。但し、本発明のバッテリパック(組電池)BPについては、これらに何ら制限されるものではなく、本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、従来公知の他の多種多様な組電池(バッテリパック)構造を適宜利用することができる。即ち、本発明の組電池は、モジュールと電子部品を上ケースと下ケースに収納して上ケースと下ケースの境界を上記シール部材でシールしたパックケースを有するものである。このうちのモジュールとしては、少なくとも2つ以上の二次電池を用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものであればよい。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になるためである。
厚みが薄い直方体形状のバッテリセル(二次電池)が複数、直列にまたは並列に接続して装脱着可能な小型のモジュールを有する組電池を形成することもできる。そして、この装脱着可能な小型のモジュールをさらに複数、直列に又は並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つモジュールを形成することもできる。何個の厚みが薄い直方体形状のバッテリセル(二次電池)を接続してモジュールを作製するか、また、何段の小型モジュールを積層して大容量のモジュールを作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
以下、本発明の特徴部分である、上記した上ケース12と、下ケース11との境界(外周部)をシール部材でシールされてなる組電池(バッテリパック)構造において、該シール部材が、ウレタン系材料にカーボンを0.3〜2質量%の割合で混合したものを乾燥したものであることを特徴とする点について説明する。
まず、上ケース12と下ケース11との境界(外周部)をシール部材でシールする箇所は、図7の下ケース11のハッチングした部分10aである。また図3に示すボルト固定する上ケース12と下ケース11との境界(外周部)=図4のハッチングした部分10bまたは図13に示す下ケースのみの平面図に太線で示した部分10cであってもよく、10a、10b、10cのいずれかをシール部材でシールしてもよい。好ましくい10cをシール部材でシールするのがよい。上ケース12と下ケース11は、プレス部品を溶接し電着塗装したものにペイントシールを施し焼き付けされたものなどを用いることができる。
シール部材の塗布量については、十分なシール効果が発現できればよく、好ましくは3.25±1.0g/100mm(境界(外周部)10a乃至10cに沿った長さ100mm当たりの塗布量)の範囲である。シール部材の塗布量が4.25g/100mm以下であれば、図13に示すように、車体にマウントし締結する際の穴およびロケート穴をシール部材が塞ぐことなく、十分なシール効果を発現することができる点で優れている。シール部材の塗布量が2.25g/100mm以上であれば、気密不良となることもなく、十分なシール効果を発現することができる点で優れている。なお、図13中の矢印は、車体にマウントし締結する際の穴およびロケート穴の位置を示している。シール部材の塗布幅も上記10a乃至10cの部分の幅全体に塗布すればよく、好ましくは5.5±1.5mmの範囲である。シール部材の塗布厚みも十分なシール効果が発現できればよい。境界(外周部)にシール部材を塗布後、上ケース12と下ケース11を貼り合せる前の塗布厚み=シール部材の断面が、上記塗布幅を底辺とした際に、二等辺三角形の形状に盛り付けることができたとした際の高さが、10.5±1.5mmの範囲となるように塗布するのが好ましい。
本実施形態において、シール部材としてウレタン系材料を用いるのは、ウレタン系材料の分子長が長いため、既存の乾燥法である赤外線乾燥を用いることで、乾燥時に遠赤外線の波長(遠赤外線領域の波長4〜15μm)を吸収して熱振動を起こす。そのため他の電子部品3、4、5、6等では熱が発生しないことから周囲に熱の影響を与えることなく、シール部材のみに熱を付与して機械的な強度を得ることができるためである。
上記ウレタン系材料としては、特に制限されるものではなく、本発明の作用効果を損なわない範囲内であればよく、従来公知の各種のウレタン系材料を適宜利用することができる。既に市販されている各種ウレタン系材料(ウレタンシール材、ウレタン系シーリング、ウレタン系シーリング材、ポリウレタンシール材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シール材、ポリウレタンシーリング材、ウレタンシーリング材、ウレタン系接着剤、ポリウレタン系接着剤等の呼称で市販されている)を用いてもよい。例えば、ポリウレタン系接着剤には、ポリイソシアネート接着剤(単独使用形態やポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールの硬化剤形態等)、プレポリマー接着剤(一液形と二液形)、熱可塑性ポリウレタン系接着剤(一液形と二液形)等があるが、これらに制限されるものではない。これらは、2成分形の反応硬化タイプのウレタン系材料を用いてもよいし、1成分形の湿気硬化タイプのウレタン系材料を用いてもよい。これらウレタン系材料(ウレタン系シーリング材)では、硬化後にゴム弾力性を持ち、耐熱性、耐久性(耐候性)にも優れ、十分なシール(密封)効果を奏することができる。またこれらウレタン系材料(ポリウレタン系シーリング材)では、耐熱性、耐候性を有し、後塗膜や目地周辺の非汚染性(ノンブリード)にも優れ、十分なシール(密封)効果を奏することができる。
上記ウレタン系材料の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜200,000の範囲である。ウレタン系材料の重量平均分子量が上記範囲内であれば、塗布性に優れ、乾燥固化後の塗膜のシール性能にも優れるためである。さらにウレタン系材料の重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲=分子長が長いため、既存の乾燥法である赤外線乾燥を用いることで、乾燥時に遠赤外線の波長、好ましくは遠赤外線領域の波長4〜15μmを吸収して熱振動を起こす。そのため他の電子部品3、4、5、6では熱が発生しないことから周囲に熱の影響を与えることなく、シール部材のみに熱を付与して機械的な強度を得ることができるものである。
上記カーボンとしては、特に制限されるものではなく、本発明の作用効果を損なわない範囲内であればよく、従来公知の各種のカーボン材料を適宜利用することができる。具体的には、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、カーボン繊維、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどのカーボン材料が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また既に市販されている各種カーボン材料を用いてもよい。上記カーボンの平均粒径D50(μm)としては、5〜250μmの範囲が好ましい。上記カーボンの平均粒径は上記範囲内であれば、気密不良となることもなく、十分なシール効果を発現することができる点で優れている点で優れている。
上記シール部材は、ウレタン系材料にカーボンを0.3〜2質量%の割合で混合したものを乾燥したものである。ここで、ウレタン系材料にカーボンを添加することで密着性が上がるというのではなく、基材であるポリウレタン(ウレタン系材料)の密着性をベースに、乾燥工程での効率を良くするため上記割合のカーボンにて着色し架橋反応を促進させることができるためである。上記カーボンを1〜2質量%の割合とするのが、乾燥工程での効率を更に良くし、より早く乾燥できる(架橋反応をより促進できる)等の観点から好ましいものである。
本実施形態では、シール部材の乾燥(固化)は、遠赤外線(照射による乾燥法)によりなされたものであるのが好ましい。これは、ウレタン系材料の分子長が長いため、既存の乾燥法である遠赤外線(照射による乾燥法)を用いることで、乾燥時に遠赤外線の波長を吸収して熱振動を起こす。そのため他の電子部品3、4、5、6では熱が発生しないことから周囲に熱の影響を与えることなく、シール部材のみに熱を付与して機械的な強度を得ることができるものである。また、上記遠赤外線の波長は、4〜15μmの範囲であることが好ましい。これは、乾燥時に遠赤外線の波長を吸収して熱振動を起こすのに適し、尚且つ他の電子部品3、4、5、6では当該遠赤外線の波長を吸収せず熱を発生しないのに適した遠赤外線の波長として、4〜15μmの範囲が特に優れているためである。但し、シール部材の種類によって、上記遠赤外線の波長範囲外であっても、乾燥時に遠赤外線の波長を吸収して熱振動を起こすのに適し、尚且つ他の電子部品3、4、5、6では当該遠赤外線の波長を吸収せず熱を発生しないのに適する遠赤外線波長を有する場合には、当該遠赤外線波長を用いることができる。なお、上記乾燥時の環境温度(乾燥機の室内温度)は、常温乃至室温(25±5℃)の範囲で行えばよい。これは、乾燥時に加熱や冷却を行う必要がなく、乾燥工程に余分な加熱手段や冷却手段を設ける必要がなく、安価にシール部材の乾燥を行うことができ、製品(組電池)コストを低減するのに寄与し得るためである。一方、上記乾燥時にIR乾燥した部位(シール部材)は、遠赤外線(照射による乾燥)により100℃程度に加熱される。しかしながら、本実施形態では、シール部材(IR照射領域)のみを昇温させ、周囲に熱の影響を与えることなく機械的な強度に優れたシール部材を用いてパックケースを密封(シール)した組電池を提供することができるものである。
以下、実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに何ら限定されるわけではない。
[実施例1a〜1c]
(実施例1a)
上記図1〜13に示す構成のモジュールと電子部品とが、上ケースと下ケースとにより収納されており、上ケースと下ケースとの境界がシール部材によりシールされてなるパックケースを有する組電池のシール部分の密着力を以下の方法により測定した。
詳しくは、図14(A)(B)に示すように、上ケースと下ケースに代えて、鋼板141(幅25mm)とステンレス金網142(幅25mm、長さ150mm)を用いた。鋼板141の先端部(幅25mm、長さ25mm)にシール部材143を塗布し、ステンレス金網142の先端部(幅25mm、長さ25mm)を重ねあわせた後、赤外緯線乾燥機(図示せず)内に入れて、遠赤外線(波長4〜15μm)照射により、5分間乾燥(固化してシール)してバッテリパック代替サンプル(1a)140を作製した。なお密着力の測定時に装置に固定する部分として、ステンレス金網142のもう一方の先端部には、密着力の測定時に破断しない十分な強度が得られるように支持体145を溶接して固定した。同様に、鋼板141のもう一方の先端部にも、密着力の測定時に破断しない十分な強度が得られるように支持体(挟持部材)144を溶接して固定した。
上記シール部材には、ウレタン系材料(1成分型の湿気硬化タイプのウレタン系接着剤;重量平均分子量100,000)にカーボン(平均粒径D50;20μm)を2質量%の割合で混合したものを用いた。また、シール部材は、塗布量3.25g±1.0g/100mmの範囲とした。また、塗布幅5.5±1.5mmの範囲とした。さらにシール部材の上ケース12と下ケース11を貼り合せる前の塗布厚み=シール部材の断面が、上記塗布幅を底辺とした際に、二等辺三角形の形状に盛り付けることができたとした際の高さが、10.5±1.5mmの範囲となるように塗布した。
(実施例1b、1c)
実施例1aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分と変更することでバッテリパック代替サンプル(1b)、(1c)を作製した。
得られたバッテリパック代替サンプル(1a)〜(1c)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、いずれも7kgf/cmを超える密着力を有することがわかった。バッテリパック代替サンプル(1a)(1b)の評価結果を表1に示す。
[実施例2a〜2c]
(実施例2a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「1質量%」とした以外は、実施例1aと同様にしてバッテリパック代替サンプル(2a)を作製した。
(実施例2b、2c)
実施例2aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分と変更してバッテリパック代替サンプル(2b)、(2c)を作製した。
得られたバッテリパック代替サンプル(2a)〜(2c)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、いずれも6.5kgf/cmを大幅に超える密着力を有することがわかった。バッテリパック代替サンプル(2a)の評価結果を表1に示すと共に、バッテリパック代替サンプル(2a)〜(2c)の密着力測定結果を図15に示す。
[参考例3a〜3b及び実施例3c〜3d]
(参考例3a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「0.7質量%」とした以外は、実施例1aと同様にしてバッテリパック代替サンプル(3a)を作製した。
(参考例3b及び実施例3c〜3d)
参考例3aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分、20分と変更してバッテリパック代替サンプル(3b)、(3c)、(3d)を作製した。
得られたバッテリパック代替サンプル(3a)〜(3d)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、乾燥時間を15分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(3c)が6kgf/cmを超える密着力を有し、乾燥時間を20分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(3d)は6.5kgf/cmを超える密着力を有することがわかった。バッテリパック代替サンプル(3c)の評価結果を表1に示すと共に、バッテリパック代替サンプル(3a)〜(3d)の密着力測定結果を図15に示す。
[参考例4a〜4b及び実施例4c〜4d]
(参考例4a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「0.6質量%」とした以外は、実施例1aと同様にしてバッテリパック代替サンプル(4a)を作製した。
(参考例4b及び実施例4c〜4d)
参考例4aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分、20分と変更してバッテリパック代替サンプル(4b)、(4c)、(4d)を作製した。
得られたバッテリパック代替サンプル(4a)〜(4d)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、乾燥時間を15分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(4c)が6kgf/cmを超える密着力を有し、乾燥時間を20分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(4d)は6.5kgf/cmを超える密着力を有することがわかった。バッテリパック代替サンプル(4c)の評価結果を表1に示す。
[参考例5a〜5b及び実施例5c〜5d]
(参考例5a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「0.5質量%」とした以外は、実施例1aと同様にしてバッテリパック代替サンプル(5a)を作製した。
(参考例5b及び実施例5c〜5d)
参考例5aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分、20分と変更してバッテリパック代替サンプル(5b)、(5c)、(5d)を作製した。
得られたバッテリパック代替サンプル(5a)〜(5d)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、乾燥時間を15分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(5c)が6kgf/cmの密着力を有し、乾燥時間を20分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(5d)は6.5kgf/cmを超える密着力を有することがわかった。バッテリパック代替サンプル(5c)の評価結果を表1に示す。
[参考例6a〜6c及び実施例6d〜6e]
(参考例6a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「0.4質量%」とした以外は、実施例1aと同様にしてバッテリパック代替サンプル(6a)を作製した。
(参考例6b〜6c及び実施例6d〜6e)
参考例6aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分、20分、25分と変更してバッテリパック代替サンプル(6b)、(6c)、(6d)、(6e)を作製した。
得られたバッテリパック代替サンプル(6a)〜(6e)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、乾燥時間を20分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(6d)が6.5kgf/cmの密着力を有し、乾燥時間を25分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(6e)は7kgf/cmの密着力を有することがわかった。バッテリパック代替サンプル(6d)の評価結果を表1に示すと共に、バッテリパック代替サンプル(6a)〜(6e)の密着力測定結果を図15に示す。
[参考例7a〜7c及び実施例7d〜7e]
(参考例7a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「0.3質量%」とした以外は、実施例1aと同様にしてバッテリパック代替サンプル(7a)を作製した。
(参考例7b〜7c及び実施例7d〜7e)
参考例7aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分、20分、25分と変更してバッテリパック代替サンプル(7b)、(7c)、(7d)、(7e)を作製した。
得られたバッテリパック代替サンプル(7a)〜(7e)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、乾燥時間を20分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(7d)が6kgf/cmを超える密着力を有し、乾燥時間を25分まで延ばしたバッテリパック代替サンプル(7e)は6.5kgf/cmを超える密着力を有することがわかった。バッテリパック代替サンプル(7d)の評価結果を表1に示す。
[比較例1a〜1f]
(比較例1a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「0.1質量%」とした以外は、実施例1aと同様にして比較用バッテリパック代替サンプル(1a)を作製した。
(比較例1b〜1f)
比較例1aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分、20分、25分と変更して比較用バッテリパック代替サンプル(1b)〜(1f)を作製した。
得られた比較用バッテリパック代替サンプル(1a)〜(1f)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、いずれも6kgf/cmを下回る密着力しか得られないことがわかった。比較用バッテリパック代替サンプル(1a)の評価結果を表1に示す。
[比較例2a〜2f]
(比較例2a)
実施例1aのカーボンの割合「2質量%」を「0質量%(添加せず)」とした以外は、実施例1aと同様にして比較用バッテリパック代替サンプル(2a)を作製した。
(比較例2b〜2f)
比較例2aと乾燥時間以外は同じ条件として、乾燥時間を10分、15分、20分、25分、30分と変更して比較用バッテリパック代替サンプル(2b)〜(2f)を作製した。
得られた比較用バッテリパック代替サンプル(2a)〜(2f)の密着力を市販の90°剥離強度試験装置(図14(C)参照)を用いて測定した。その結果、いずれも6kgf/cmを下回る密着力しか得られないことがわかった。比較用バッテリパック代替サンプル(2f)の評価結果を表1に示すと共に、比較用バッテリパック代替サンプル(2a)〜(2f)の密着力測定結果を図15に示す。
表1の密着性の判定基準は以下の通りである:
〇:乾燥時間5分で密着力が6.5kgf/cm以上であり、かつ乾燥時間10分で密着力が7kgf/cm以上である
△:乾燥時間10分以内では密着力が6kgf/cmを下回るが、乾燥時間15分〜20分の間で密着力が6kgf/cm以上になる
×:乾燥時間30分でも密着力が6kgf/cmを下回る。
上記表1及び図15の結果から、上記シール部材として、ウレタン系材料にカーボンを0.3〜2質量%の割合で混合したものをIR乾燥することで、密着性が向上し、乾燥時間も短縮できる(製品コストの低減に貢献し得る)ことが確認できた。因みに、実施例及び比較例のいずれにおいても、IR乾燥時のシール部材の温度は100℃程度まで昇温していたが、その周辺部(電子機器が設けられる位置に相当する場所)での温度は、60℃程度までしか昇温せず、低温に保持されていることも、併せて確認できた。これらのことから、シール部材の基材であるウレタン系材料の分子長が長い(重量平均分子量も大きい)ため、IR乾燥することで乾燥時に遠赤外線の波長(4〜15μm)を吸収して熱振動を起こす。一方、その周辺部(他の電子部品が搭載されている場所)では熱が発生しないことから周囲に熱の影響を与えることなく、シール部材のみに熱を付与して機械的な強度を得ることができることもわかった。
1 パックケース(バッテリパックケース)=下ケース+上ケース、
2 複数の二次電池を組み合わせたモジュール(バッテリモジュール)、
3 温調風ユニット、
4 サービス・ディスコネクト・スイッチ(SDスイッチ)、
5 ジャンクションボックス、
6 リチウムイオン・バッテリ・コントローラ(LBコントローラ)、
7 車両後方側のバッテリモジュール搭載領域、
8 車両前方側の電装品搭載領域、
10a、10b シール部材でシールする箇所(ハッチングした部分)、
10c シール部材でシールする箇所(太線部分)
11 バッテリパックロアフレーム(下ケース)、
12 バッテリパックアッパーカバー(上ケース)、
13 冷媒管コネクタ端子、
14 充放電コネクタ端子、
15 強電コネクタ端子、
16 弱電コネクタ端子、
21 第1バッテリモジュール、
22 第2バッテリモジュール、
23 第3バッテリモジュール、
24 熱電対温度センサの測温接点、
31 ユニットケース、
32 送風ファン、
33 エバポレータ、
34 PTCヒータ、
35 温調風ダクト、
36 中央通路、
37 交差通路、
38 環状通路、
38a、38b (両)直線通路部、
51 温調用リレー、
52 温調用コントローラ、
53 電流センサ、
61、62、63、64 強電コネクタ端子、
65、66 弱電コネクタ端子、
71 第1分割矩形領域、
72 第2分割矩形領域、
73 第3分割矩形領域、
81 第1区分領域、
82 第2区分領域、
83 第3区分領域、
90 外部バスバー、
90a 第1外部バスバー、
90b 第2外部バスバー、
90c 第3外部バスバー、
91 強電ハーネス、
96 弱電ハーネス、
96a バッテリ電流検出信号線、
96b 制御信号線、
97 強電ハーネス、
97a 第1バッテリ電圧検出線、
97b 第2バッテリ電圧検出線、
97c 第3バッテリ電圧検出線、
98 弱電ハーネス、
100 車体フロア、
101 モータ室、
102 車室、
103 荷室、
104 ダッシュパネル、
105 インストルメントパネル、
106 センターコンソールボックス、
107 エアコンユニット、
108 乗員シート、
109 サイドメンバ、
110 クロスメンバ、
111 充放電ハーネス、
112 強電モジュール、
113 インバータ、
114 モータ駆動ユニット、
115 急速充電ポート、
116 普通充電ポート、
117 急速充電ハーネス、
118 普通充電ハーネス、
140 バッテリパック代替サンプル、
141 鋼板、
142 ステンレス金網、
143 シール部材、
144 支持体(挟持部材)、
145 支持体、
BP バッテリパック;組電池、
S1 第1サイドメンバ支持点、
C1 第1クロスメンバ支持点、
S2 第2サイドメンバ支持点、
C2 第2クロスメンバ支持点、
X,Y,Z コネクタ。

Claims (5)

  1. 複数の二次電池を組み合わせたモジュールと電子部品とが、上ケースと下ケースとにより収納されており、前記上ケースと前記下ケースとの境界が、シール部材によりシールされてなるパックケースを有する組電池において、
    前記シール部材は、ウレタン系材料にカーボンを0.3〜2質量%の割合で混合したものを、乾燥したものであり、
    前記ウレタン系材料の重量平均分子量が、10,000〜200,000の範囲であることを特徴とする組電池。
  2. 前記カーボンが、1〜2質量%の割合であることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
  3. 前記乾燥が、遠赤外線によりなされたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の組電池。
  4. 前記遠赤外線の波長が、4〜15μmの範囲であることを特徴とする請求項に記載の組電池。
  5. 前記二次電池が、ラミネート外装材を用いた積層型のリチウムイオン二次電池であり、前記組電池が車載搭載用の組電池であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の組電池。
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