JP6475943B2 - ガスの分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数種類のガスや不純物を含有したガス体に含まれるガスの分子径を変化させて、ガス体から目的ガスを分離するためガスの分離方法に関する。
従来から、電子部品の洗浄、エアコンや冷蔵庫などの冷媒、スプレー剤等として多用されていたフロンガス類のCFC(クロロフルオロカーボン)類は、オゾン層を破壊する環境汚染物質であることが指摘されており、オゾン層破壊を防止するためのモントリオール議定書によって、その製造が中止された。フロンガス類のHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)類については、2020年に製造が中止される。また、消火剤として用いられているハロンガスについては、ハロン破壊処理ガイドラインが制定され、今後破壊が進んでいくと考えられる。また、代替フロンガスとして使用されているPFC類,SF(六フッ化硫黄),HFC(ハイドロフルオロカーボン)類は、オゾン層は破壊しないが、二酸化炭素を1とした場合の地球温暖化係数は、PFC類のCF(四フッ化炭素)が6500、SFが23900と極端に高く、地球温暖化に大きな影響を与えている。そのため、PFC類,SF,HFC類は京都議定書においても温暖化ガスに指定されており、排出が厳しく制限されている。
また、使用済みのオゾン層破壊ガスや地球温暖化ガス等(以下、「環境汚染ガス」という)の排出量も年々増加している。使用済みの環境汚染ガスは、ゴミ,水分,油分などの不純物を含有していたり、使用中に変性していたり、或いは複数種類のガスが混合していたりするため、そのままでは再使用に供することができない。そこで、従来、環境汚染ガスの殆んどは専ら無害化のために破壊処理や分解処理されているのが現状である。
一方において、近時は資源の枯渇化も問題視されており、環境汚染ガスの再資源化を図ることが重要視されてきている。そのため、排出された環境汚染ガスを無害化するとともに含有資源を回収して再使用することや、排出された環境汚染ガスから不純物や不要なガスを除去して、再使用可能に分離して再生することが無害化処理の次の課題となっている。
本発明者もフロンガスと溶媒としての水を混合したものを加熱して過熱蒸気とし、該過熱蒸気を所定の温度に加熱した常圧の反応装置内を所定の反応時間保持して通過させることにより、フロンガス等を分解処理する手段(特許文献1)等の過熱蒸気を使用した種々の分解手段を提供している。
更に、本発明者は回収フロンを液状態で取り出して蒸発器に送り込み、該蒸発器を加熱することにより、液状態の回収フロンをガス化し、ガス化した回収フロンを凝縮工程に送り込んで再び液化することにより、回収フロンから空気,油分,水分等の不純物を除去して蒸発浄化する回収フロンの再生方法や、2種類以上のフロンが混入している回収フロンを液状態で取り出して蒸発器に送り込み、該蒸発器を加熱することにより、液状態の回収フロンの内、より低沸点のフロンの構成比が大きい状態でガス化し、ガス化した回収フロンを凝縮工程に送り込んで再び液化することにより、2種類以上のフロンが混入している回収フロンから特定のフロンを回収して蒸留精製する回収フロンの再生方法を提供している(特許文献2)。
特許第3219689号公報 特許第3816066号公報
回収された環境汚染ガス、例えば機器の交換や故障時において回収されたフロンガス類の冷媒ガスには、機器の損耗に伴う金属粉や潤滑油の混入、或いは稀ではあるが使用中の温度変化などで変性した冷媒ガスが混合されており、又回収中に配管内のゴミ,水分,空気なども混入して回収される。更に、冷媒ガスの回収装置は、回収する冷媒ガスの種類ごとに専用の回収装置に交換されるわけではないため、回収装置内に残留している異種ガスが混入された状態で回収されている。そのため、回収された冷媒ガスはそのままの状態では再使用に供することができない。
フィルターによって異物を除去するとともに、特許文献2に示すような沸点の違いに着目して、蒸留或いは精留によってガスの分離を実行したとしても、再使用可能な純度までガス分離の精度を高めることは困難である。何故なら、ガスは沸点以下であっても平衡圧になるまで蒸発して存在するし、共沸現象が起きたりするためである。冷媒ガスにとって異種ガスの混入は冷却性能に直接的に大きな影響を与えるため、純度の維持は重大な課題である。また、半導体製造過程で使用されるドライエッチング剤であるCFに代表されるガスでは製品に与える影響は甚大であるため、更に純度維持は重要で厳密に管理されている。
よって、特許文献2に示す蒸留や精留を用いた冷媒ガスの分離手段では、異種ガスが混入している場合、これを除去して使用可能な純度まで精製するという問題を解決することができず、最も重要な純度を回復させることが難しいため、これらの分離手段は専ら異種ガスの混入が使用目的に応じた所定の基準値以下の場合に限定されている。よって、再使用されている冷媒ガスは、純度の要求が高くない極く一部のガスにとどまっているのが現状である。異種ガスの混入が基準値を超える冷媒ガスは破壊処理や分解処理されているのが一般的である。
このことは、冷媒ガス等の環境汚染ガスに限ることではなく、どのようなガスであっても一定の目的を達成するために使用するガスである以上、純度が下がると目的とする性能を維持することができなくなるため、それらの回収ガスの再使用は厳しく制限されている。
また、シリカゲル,活性アルミナ,ゼオライト等の吸着材を用いた分離手段も知られており、これらの吸着材を用いてガス中の水蒸気だけを選択的に吸着分離することは行われている。具体的には、極性のある水分子の特性を利用して、シリカゲルなどの親水性の強い吸着材を用いて分離吸着させる手段と、ゼオライトなどの水分子だけが通過可能な細孔を持つ吸着材を用いて水蒸気だけを吸着させる手段が知られている。
吸着材は多種類のものが提供されているが、その多くは多孔質であって細孔径の分布が広いため、広範囲のガスを吸着することはできるものの、多様なガスに汎用的に使用することが困難であり、使用可能で実用性の高い吸着材を自在に選択できる状況にない。また、既存の吸着材を使用して特定のガスを選択して吸着することはできない。なお、前記したように水分子の極性等のガスの特性を利用して吸着する手段は使用可能なガスが限定的である。
水蒸気の場合、水分子の直径は0.3nm程度であり、他のガスの分子直径に比べて少し小さいため、水分子のみが通過可能なサイズの細孔を有する多孔質素材、具体的にはゼオライトを選択することにより、水分子のみを選択して分離することが可能である。しかしながら、複数種類のガスや不純物を含有したガス体から目的ガスのみ分離するために、目的ガスのみを通過させ、或いは通過させない吸着材としての多孔質素材を得るためには、細孔径を0.01nm〜0.03nm程度のオーダーで自在に選択できる多孔質素材が必要となる。何故なら、ガスの分子直径は0.2nm〜2nmと想定され、中でもフロンガス類の冷媒ガスの分子直径は、冷媒ガスの種類により0.3nmから0.5nmあたりまでの狭い範囲に密集して分布しているため、前記オーダーの径差を有する吸着材でなければ、目的ガスのみを選択吸着することができないためである。
ゼオライトは細孔径にばらつきがなく安定した細孔径を有する吸着材として注目され、天然のものも含めて200種類程度が今日まで盛んに研究開発されてきたが、産業的に実用されているのは僅かに20種類程度と少ない。そこで、市販されている代表的なゼオライトの構造コードによる種類と細孔径を表1に示す。表1において、ゼオライトの細孔径を短径×長径で表しており、均一な細孔径を複数有するものについては、それぞれの細孔径を記載してある。例えば、構造コードEDIのゼオライトは「0.20nm×0.31nm」と「0.28nm×0.38nm」の2種類の細孔径からなる均一な細孔を有し、構造コードLTAのゼオライトは、「0.41nm×0.41nm」の1種類の細孔径からなる均一な細孔を有する。
Figure 0006475943
また、金属と有機リガンドが相互作用することで、多孔質の配位ネットワーク構造をもつ材料である金属有機構造体(MOF:Metal Organic Frameworks)なども安定した細孔径をもつ物質として最近注目されている。しかしながら、金属有機構造体(以下、「MOF」という)は未だ提供されている種類が少ない。そのため、前記したゼオライトやMOFを使用したとしても細孔径を0.01nm〜0.03nm程度のオーダーで自在に選択することはできないため、既存の多孔質素材はいずれも多様なガスを吸着する吸着材として使用することができない。そのため、前記した既存の分離手段を利用して多様な分子径を有する目的ガスを純度を維持して分離することは困難である。
ゼオライトは、ガスの分子直径とほぼ同様の0.2nm〜2nmの細孔径の範囲において均一な細孔を有している。そのため、ゼオライトが分離対象としてのガスの分子径に対応して0.01nm〜0.03nm程度のオーダーで自在に選択できる豊富な品揃えを有していれば、その中から分離基準となる細孔径を有するゼオライトを選択すればよいが実際はそうはなっていない。そこで、実用されている各種ゼオライトと、冷媒ガス及び製造業などで雰囲気ガスや原料ガスとして産業用途に使用されている代表的な産業用ガスの分子径を比較検討した。そのデータを表2に示すとともに、図12にグラフ化して示す。ゼオライトとしては、細孔径が0.330nm〜0.470nmの範囲に属している構造コードRHO,CHA,MWW,AEL,LTA,FER,TONの7種類のゼオライト(以下、それぞれ「ゼオライトRHO」,「ゼオライトCHA」,「ゼオライトMWW」,「ゼオライトAEL」,「ゼオライトLTA」,「ゼオライトFER」,「ゼオライトTON」という)を使用した。なお、各ゼオライトの細孔径は、表1に示す短径を表示し、均一な細孔径を複数有する「ゼオライトMWW」及び「ゼオライトFER」については、短径が最も大きい細孔径を表示している。これは、ガスの分子径は、後述するように球の直径として表わされるため、ガスの分子径が多孔質素材の細孔の短径より小さい場合は、ガスの分子は多孔質素材の細孔を通過でき、そうでない場合は、多孔質素材からの斥力により細孔を通過できないためである。
冷媒ガスとしては、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)であるR22,HFC(ハイドロフルオロカーボン)であるR32,R125,R134a,R143aの5種類の冷媒ガスを使用した。産業用ガスとしては、窒素(N),酸素(O),アルゴン(Ar)等の18種類のガスを使用した。なお、冷媒ガスの分子径は後述する図11における0℃における分子径を使用し、その他のガスについては、移動現象論に関する書籍「Transport Phenomena」(R. Byron Bird ,Warren E. Stewart,Edwin N. Lightfoot 共著)から抜粋して使用した。
Figure 0006475943
表2では、各種ゼオライトの細孔径及びガスの分子径を0.01nmのオーダーで分類し、図12では各種ガスの分子径を小さいものから順に点グラフとして表示するとともに、ゼオライトの細孔径を横線で示した。表2及び図12に示すように各種ガスの分子径は狭い範囲に密集しており、これらのガスをゼオライト、或いは他の多孔質素材を使用して分離するためには、ガスの分子径の中間の細孔径を有するゼオライト又は他の多孔質素材が必要となる。しかしながら、表2及び図12に示すようにそのようなオーダーでゼオライトは提供されていないのが現実であり、ゼオライトに代わる他の多孔質素材も提供されていない。例えば、細孔径が0.46nmのゼオライトTONであれば、表2,図12に示した全てのガスが通過してしまい、細孔径が0.38nmのゼオライトCHAでは、分子径が0.368nmの窒素より分子径が小さいガスは全て通過してしまい目的とするガスのみを分離することができない。
表2に示す細孔径の範囲(0.330nm〜0.470nm)においては掲示した7種類の構造コードを有するゼオライト以外に市販されているゼオライトは存在せず、又表1に示すように市販されているゼオライトそのものの数が少ない。よって、ガスの分子径が存在する0.2nm〜2nmの範囲で、分離基準として使用でき、或いは吸着手段として利便性を有するために必要とされる0.01nm〜0.03nm程度のオーダーで自在に選択できる多孔質素材は存在していないため、複数のガスを含有するガス体から目的ガスを純度高く分離する方法やガスを吸着するための吸着材の汎用性を高めるための方法は未だ提供されていない。
そこで、本発明は上記した従来のガスの分離手段が有している課題を解決するために、回収ガスやその他のガス体に含まれるガスの分子径変化させて、ガス体から、再使用可能な純度を維持した状態で目的ガスのみを分離することができるガス分離方法を提供することを目的としている。
冷媒ガス等の各種ガス体から目的ガスのみを通過させるために必要とされる0.01nm〜0.03nm程度のオーダーで自在に選択できる多孔質素材が存在しない事実に基づけば、前記課題を解決するためには、分離手段として使用可能な多孔質素材の選択基準を緩和し、汎用性を高め、既存の多孔質素材を分離手段として使用可能とすることによって解決可能とすることが必要と考え、その研究に着手した。
ガスの分子が分離手段としての多孔質素材の細孔を通過することの可否は、多孔質素材の細孔径とガスの分子径との相対的な関係によって決定される。多孔質素材の細孔径は、ゼオライトやMOFのように均一な細孔であっても、活性炭やシリカゲルのように一定の分布幅を有する細孔であっても、その細孔径及び分布は多孔質素材毎に特定されており、測定することが可能である。図13はゼオライトの細孔径と他の多孔質素材の細孔径の分布の一例を示すグラフである。図において、21,22,23,24は、それぞれ均一な細孔径0.28nm,0.4nm,0.46nm,0.74nmを有して市販されているゼオライトEDI,ゼオライトAEL,ゼオライトTON,ゼオライトFAUを示している。一方、25,26は一定の細孔分布を有する他の多孔質素材を示しており、例えば多孔質素材25は細孔径が0.3nm〜0.6nmの範囲に分布しており、多孔質素材26は細孔径が0.6nm〜1.4nmの範囲に分布している。多孔質素材に関する研究は日々進化しており、近時は限られた狭い範囲の分子径分布を有する多孔質素材、例えば分子ふるい炭素も提供されている。また、既存のシリカゲル,活性アルミナ,アルミノリン酸塩型モレキュラーシープ,多孔性シリカ,イオン交換樹脂等において狭い範囲の分子径分布を有する素材の開発が期待されているところである。
ガスの分子が多孔質素材の細孔を通過することの可否は、通過量や通過効率を考慮しなければ、多孔質素材にガスの分子径よりも大きい細孔が存在するか否かである。多孔質素材の細孔径及び分布は多孔質素材毎に特定されるため、専らガスの分子の直径に左右されることとなる。そこで、ガスの分子径についての知見を得るために、気体分子間の位置エネルギーU(ポテンシャル)を数式を用いて近似的に表し、平均自由工程、拡散係数等の気体分子の輸送現象を考える場合に必要な気体分子の直径を与える経験的モデルであるレナード−ジョーンズ・ポテンシャル(Lennard-Jones・potential)に着目し、窒素(N)を例として分子間の距離Rについて検証を行った。
レナードジョーンズは気体分子間に働く力は、気体分子間の距離Rが大きいと0であり、充分に小さいと斥力となり、適当な大きさだと引力(ファン・デル・ワールス力)となるため、気体分子間の位置エネルギーU(ポテンシャル)はRの関数で表せると考え、下記(1)式なる仮説を提案した。
Figure 0006475943
(1)式において、m=12,n=6 とした場合の値が実験値に適合するとしてよく用いられており(12,6)−ポテンシャルと呼ばれて下記(2)式で表される。(ε、σ)はレナードジョーンズパラメータであり、εはポテンシャルの最小値を表し、σはU=0の場合の分子間の距離を表している。σの値は、平均自由行程、拡散係数等を求める場合の分子直径として一般に用いられる。
Figure 0006475943
窒素ガスについてのε、σの値はレナードジョーンズパラメータより、ε=0.00789eV,σ=0.368nmで与えられているため、これを(2)式に代入し、得られたポテンシャルを図18に示す。
一方で、分子の運動エネルギーの目安を kT(kはボルツマン定数、Tは絶対温度)とすると、例えば温度300Kの時のUを求めると次の通りである。
U=kT=8.6171×10-5×300
次に、この値を(2)式に代入してσ300を求めると[σ300=0.936σ]となる。よって、元の衝突距離(分子直径)より、約7%ほど小さくなっている。これを図示すると図19に示すようになる。
以上のことから、ガスの分子の衝突距離σ、即ち分子径dは温度条件によって変化するとの知見を得た。図14はポテンシャルエネルギーのみによるガスの分子nの衝突距離σ1(分子径d1)を表す模式図であり、図15は温度300Kの時のガスの分子nの衝突距離σ2(分子径d2)を表している。なお、図において、ガスの分子nの中心は回転中心を、内側の円は回転半径を外側の円は電子雲の存在を模式的に表している。前記した窒素の例では、σ2(d2)はσ1(d1)に比べて、7%程減少している。これは、熱エネルギーが運動エネルギーに変換され分子速度が速くなり衝突の際、斥力に逆らって原子核に接近できる距離が近くなると考えられる。そこで、ガスの分子nが、d2より大きくてd1より小さい細孔30aを有する多孔質素材30を通過しようとする場合を模式的に表すと、ガスの分子nの分子径がd1の場合は図16に示すように、ガスの分子nは斥力で跳ね返されて通過できないが、ガスの分子nの分子径がd2の場合は図17に示すように弾力的に抜けることができる。即ち、同じガスの分子nであっても、その分子径dは温度によって変化するのである。なお、多孔質素材30の表面部分には、束縛程度が少ない電子が存在するため、気体に比べ少なくはなるが電子雲が存在するため、外側部分はこの電子雲を表している。
前記検証で使用したレナード−ジョーンズ・ポテンシャルは経験的モデルに基づく仮定であるとともに、温度,圧力などの関係についても明確にされていないが、分子間の位置エネルギー(U)=0の場合の分子間の距離σは、レナードジョーンズパラメータとして与えられている。
ガスの分子径は一般的に粘性係数、熱伝導係数を実測することによって知ることができる。マックスウエルは分子を剛体球と仮定したうえで、粘性係数を分子動力学から下記(3)式となることを示した。
Figure 0006475943
分子速度aは1原子分子、2原子分子の場合、マックスウエル速度分布における分子平均速度を用いて分子径を求めるとレナードジョーンズパラメータの値や、分子容、沸点などから求めた値と近い値を示す知見を得たため、分子平均速度をそのまま用いることとし、分子平均速度は下記(4)式と表せる。この式は粘性係数が絶対温度の平方根に比例することを示しており、この温度における分子平均速度で定義されている。このことは、1原子分子、2原子分子は仮定通り、かなり剛体球に近い弾性体であることを示している。
Figure 0006475943
多原子分子の場合、音速を分子速度aとして求めた分子径が先に述べた一般的に用いられている分子径によく適合する知見を経験的に得たことから下記(5)式で示す音速を用いて分子径を求める。
Figure 0006475943
(5)式において、
Figure 0006475943
はマックスウエルによる2乗平均速度であり、下記(6)式で表され、音速と密接な関係にあることがわかる。
Figure 0006475943
また、γは比熱比でγ=Cp/CvでCpは定圧比熱、Cvは定容比熱であり実測しても求められるが、分子の自由度からも求めることができ、自由度をFとすると下記(7)式となる。多原子分子の場合自由度6であるからγ=8/6=1.333となる。この値は常温付近では温度に依存しないことが確認されている。これらにより分子径dは粘性係数を測定すれば下記(8)式から求めることができる。
Figure 0006475943
Figure 0006475943
多原子分子は剛体球とはみなせず弾性をもつ性状であると推定される。音の伝搬は分子が衝突を繰り返すことにより伝搬されるから、この伝搬速度(音速)は分子の弾性的性状、すなわち粘性を包含した結果の速度であると考えられるから、音速を用いることに十分な合理性があると考えられる。一方、熱伝導度から求める場合は下記(9)式によってκを計測すれば同様にしてdを求めることができる。
Figure 0006475943
冷媒ガスについては実測した粘性係数が示されているため、その一例としてHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)であるR22,HFC(ハイドロフルオロカーボン)であるR32,R125,R134a,R143aの5種類のガスの粘性係数を表3に示す。この表3をグラフ化したものが図10である。表3,図10に示すように前記5種類の冷媒ガスの粘性係数は温度によって変化していることが判る。
Figure 0006475943
表3に示す粘性係数に基づき、R32,R125,R134a,R143a,R22の5種類のガスについて−30℃〜50℃までの温度範囲において10℃毎の分子径を前記した計算方法に従って計算した。その結果を表4に示す。この表4をグラフ化したものが図11である。
Figure 0006475943
表4,図11に示すように、例えば、R22では、−30℃〜50℃の温度範囲において分子直径が0.43nm〜0.39nmの範囲で連続的に変化しており、変化幅は0.0392nmである。同様に、R143aでは、0.455nm〜0.395nmの範囲で連続的に変化しており、変化幅は0.0599nmである。温度条件を更に変化させれば、分子径も更に変化すると推測される。これらの結果から、冷媒ガスの分子直径は、温度の影響を受けて変化する。なお、数式の導出過程から、圧力の影響は殆ど受けないことがわかる。したがって、ガスの分子径は温度と粘性係数を計測することによって算出できる。
よって、温度によってガスの分子間距離、即ち分子径が変化するのであれば、例えば常温或いは特定の温度では多孔質素材の細孔径の最大値がガスの分子径を下回るため、ガスの分子が細孔を通過できない多孔質素材であっても、ガスの温度を変更することによってガスの分子径を変化させることによって、同じ多孔質素材であっても細孔径の最大値がガスの分子径を上回るようになり、ガスの分子が多孔質素材の細孔を通過できることとなる。また、逆にガスの温度条件を変更することによって、即ちガスの分子径が変化することによって、多孔質素材の細孔を通過できていたガスの分子が通過できなくなる。
そこで、本発明者は従来、再使用を可能とする純度の高いガスの分離のためには、分離手段として、0.01nm〜0.03nm程度のオーダーで自在に選択できる多孔質素材が必要であるところ、ガスの分子径を温度条件によって一定の範囲で変化させることによって、使用可能な多孔質素材の選択基準を緩和し、多孔質素材の汎用性を高めることによって、従来の課題を解決する本発明を完成した。
本発明は、分離対象としての目的ガスを含む複数のガスを含有するガス体を多孔質素材からなる分離手段に供給し、目的ガスのみを多孔質素材の細孔を通過させ、又は通過させないことによって、ガス体から目的ガスを分離するガスの分離方法であって、ガス体の温度を、特定の温度条件に変更することによって、ガス体に含まれる目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径が多孔質素材の細孔径より大径に、かつ、他方の分子径が多孔質素材の細孔径より小径となるように変化させるガスの分離方法を基本として提供する。そして、ガス体の温度をガス体に含まれるガスが変質しない温度範囲で変更する手段、ガス体の温度を、−70℃〜300℃の温度範囲において変更する手段、及びガス体中のガスの分子径を、常温の分子径を基準として±0.01nm〜0.1nmの範囲で変化させる手段を提供する。
そして、前記温度条件及び選択した多孔質素材から、目的ガスの分離を実施するための特定の温度条件と特定の多孔質素材を決定する手段を提供する。
そして、目的ガスと、その他のガスの分子径が0.01nm以上離間している手段、細孔径が均一サイズに特定された多孔質素材を使用する手段、細孔径が一定範囲に分布している多孔質素材を使用し、細孔分布の上限が、目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径であって、かつ、他方の分子径より小径である多孔質素材を使用する手段及び0.2nm〜2nmの範囲の細孔径を有する多孔質素材を使用する手段を提供する。
更に、多孔質素材の原料がゼオライト,MOF又は分子ふるい炭素を原料として形成された手段、ガス体が、クロロフルオロカーボン(CFC)類,ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類,ハイドロフルオロカーボン(HFC)類,テトラフルオロメタン(CF)を含むパーフルオロカーボン(PFC)類,六フッ化硫黄(SF),ハロン類,四塩化炭素(CCl ),トリクロロエタン,メタン,臭化メチル,ヘリウム,窒素酸化物(NOx),二酸化炭素(CO),硫黄酸化物(SOx),水素(H),窒素(N),酸素(O),アルゴン(Ar)から選択された1又は複数のガスを含んでいる手段提供する。
そして、分離手段が多孔質素材の分離膜からなる手段、目的ガスのみが分離膜を通過すること、又は通過しないことにより、ガス体を目的ガスとその他のガスに分離する手段、分離手段が多孔質素材の吸着材からなる手段、及び目的ガスのみを吸着材の孔を通過させて、吸着材に吸着させることによって、又は目的ガスのみを吸着材の孔を通過させないことによって、ガス体から目的ガスを分離する手段を提供する。
また、前記したガスの分離方法であって、下記の工程1〜工程8を順次行うことを特徴とするガスの分離方法を提供する。
工程1:ガス体の成分を分析する工程。
工程2:温度条件の変更に伴うガス体に含まれるガスの粘性係数を測定する工程。
工程3:測定した粘性係数から、温度条件の変更に伴うガス体の分子径を算出する工程。
工程4:ガス体中の分離対象である目的ガスと、その他のガスの分子径が一定以上離間している温度条件を抽出する工程。
工程5:多孔質素材の細孔径及び細孔分布を測定する工程。
工程6:抽出した温度条件において、目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径の細孔を有し、かつ、他方の分子径より小径の細孔を有する多孔質素材を選択する工程。
工程7:抽出した温度条件と選択した多孔質素材から、目的ガスの分離を実施するための特定の多孔質素材と特定の温度条件を決定する工程。
工程8:特定の温度条件に保持したガス体を、特定の多孔質素材からなる分離手段に供給して、ガス体から目的ガスを分離する工程。
更に、工程1の前工程として、ガス体から固形物,油分,汚染物を除去する前処理工程を行う手段を提供する。
以上記載した本発明によれば、ガスの分子径を温度条件によって一定範囲変化させることができるため、ガスの吸着や分離のために使用する多孔質素材に汎用性を付与することができ、広範囲のガスに対応することが可能となる。即ち、本発明によって、従来では処理できなかったガスを既存の多孔質素材を使用して処理できるため、混合ガスの分離や不要なガスの除去、必要なガスの選択的な分離・再利用、ガスを多孔質素材に吸着させることによるガス貯蔵の効率化等が可能となる。
何より、ガスの分離手段として使用可能な多孔質素材の選択基準を緩和すること、具体的には再使用を可能とする純度の高いガスの分離のためには、分離手段として、0.01nm〜0.03nm程度のオーダーの多孔質素材が必要であるところ、そのオーダーを1桁緩和して0.2nm〜2nmの範囲の細孔径を有する既存の多孔質素材を使用可能とすることができる。そのため、人工的に製造された高価な合成ゼオライトよりも安価に得られるものの種類が僅かであるため、分離手段として使用することが困難であった天然のゼオライトを分離手段として使用する途を開くことができる。
そして、温度条件を変更することによってガスの分子径を変化させることを可能とした結果、分離作業のハンドリングがよく、再使用を前提とした純度の高いガスの分離を実用レベルで実現することができる。しかも、目的ガスが分離手段を通過する方法によっても、又は通過しない方法によっても分離することができる。
また、分離手段としての多孔質素材に特に限定はなく、ゼオライトのように均一な細孔径を有する素材はもちろん、細孔径が一定の分布範囲を有する素材であっても、ガス体中の分離対象である目的ガスと、その他のガスの分子径を一定以上離間させる温度条件において、ガス体中の目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径の細孔を有し、かつ、他方の分子径より小径の細孔を有すれば使用可能である。そのため、使用する多孔質素材の選択が容易であるとともに、その幅が広がるため、最適の多孔質素材を選択することが容易である。よって、本発明によれば、複数の多孔質素材を使用して、複数種類のガスや不純物を含有したガス体から目的ガスを再使用可能な純度を維持して分離することができる。
多孔質素材を吸着材として使用し、本発明によって温度条件変更することによってガスの分子径を小さく変化させ、従来吸着できなかったガスを吸着可能とし、かつ、貯蔵する際にも温度条件変更することによってガスの分子径を大きくすることで脱着を抑制することが可能となるため、多孔質素材をガスの貯蔵に使用することが可能となる。また、多孔質素材を分離膜として使用することにより、吸着・脱着を介さず、多孔質素材の細孔をガスが通過することだけで分離が可能となる。多孔質素材からなる分離膜は製造が困難なことから、限られた多孔質素材しか用いられておらず、適用可能なガスの種類が限られていたが、本発明によって適用可能なガスの範囲を広げることができる。
本発明にかかるガスの分離方法を示す工程説明図。 ガスの分離工程を示す説明図。 ガスの分離方法の実施例を示す説明図。 ガスの分離方法の原理を示す説明図。 ガスの分離方法の原理を示す説明図。 ガスの分離方法の原理を示す説明図。 ガスの分離方法の原理を示す説明図。 ガスの分離方法の原理を示す説明図。 ガスの分離方法の原理を示す説明図。 温度変更による粘性係数の変化を示すグラフ。 温度変更によるガスの分子径の変化を示すグラフ。 ゼオライトの細孔径と代表的なガスの分子径の分布を示すグラフ。 吸着材の細孔径とその分布を示すグラフ。 ガスの分子径を表す模式図。 ガスの分子径を表す模式図。 ガス分子と細孔の関係を示す模式図。 ガス分子と細孔の関係を示す模式図。 窒素の分子間の位置エネルギーを示すグラフ。 窒素の分子間の位置エネルギーを示すグラフ。
以下、本発明にかかるガス分離方法の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、複数種類のガスや不純物を含有したガス体に含まれるガスの分子径を変化させることにより、ガス体から分離対象としての目的ガスを分離するものであり、特には目的ガスのみを再使用可能な程度の純度を維持して分離するものである。
本発明が対象とするガス体を構成するガスには、沸点が常温以下であれば特に限定はなく、製造業などで雰囲気ガスや原料ガスとして使用されている産業用ガス,フロンガス等の冷媒ガス,炭酸ガス等の環境ガス,ヘリウム等の希少ガス,水素などの燃料ガス等が対象となる。例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)類,ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類,ハイドロフルオロカーボン(HFC)類,テトラフルオロメタン(CF)を含むパーフルオロカーボン(PFC)類,六フッ化硫黄(SF),ハロン類,四塩化炭素(CCl ),トリクロロエタン,メタン,臭化メチル,ヘリウム,窒素酸化物(NOx),二酸化炭素(CO),硫黄酸化物(SOx),水素(H),窒素(N),酸素(O),アルゴン(Ar)等であり、ガス体はこれらのガスから選択された1又は複数のガスを含んでいればよい。なお、ガス体は、ガス以外にゴミ,水分,油分などの不純物を含有していてもよい。具体的には、複数のガスが混合された回収フロンガスのガス体等である。
本発明における目的ガスとは、ガス体に含まれているガスであって、分離手段による分離対象となるガスをいい、分離手段を通過することによって、又は通過しないことによってガス体から分離されるガスをいう。なお、再使用を目指すガスであるか、再使用のために除去されるガスであるかは問わない。
本発明では、分離手段として多孔質素材を使用する。多孔質素材の細孔径そのものには特に限定はないが、分離対象としてのガスの分子径が概ね0.2nm〜2nmの範囲にあることから、必然的に0.2nm〜2nmの範囲の細孔径を有する多孔質素材を使用する。従来、多孔質素材からなる分離手段を使用して、0.3nm〜0.5nmの狭い範囲に分子径が密集して分布している冷媒ガス等の各種ガスを再使用可能な純度を維持して分離するためには、分離手段としての多孔質素材の細孔径を0.01nm〜0.03nm程度のオーダーで自在に選択することが求められるが、本発明では多孔質素材の細孔径に求められるオーダーを、0.01nmから0.1nmと1桁緩和させることができ、前記した0.2nm〜2nmの範囲の細孔径を有する多孔質素材の中から容易に選択することが可能である。本発明の特徴の1つは吸着材として使用する多孔質素材の細孔径に求められるサイズのオーダーを緩和することによって、前記した本発明の課題解決を実現可能としたことにある。
多孔質素材としては、前記した条件を具備するものであれば特に限定はない。具体的には、ゼオライト,MOFを原料として形成された多孔質素材のように、均一な孔径の細孔を有する素材を使用することができる。なお、ゼオライトにはそれぞれ均一な孔径の細孔を複数有するものも存在するが、その最大の細孔径を使用すれば単一の細孔径を有するものと同様に使用することができる。
また、多孔質素材としては、細孔径の上限又は下限がガスの分子径の分布範囲である0.2nm〜2nmの範囲内にあれば、ガス分子の大きさに応じてガスの分子を分離する性質を有する分子ふるい炭素を原料として形成された多孔質素材のように一定の細孔分布を有するものであってもよい。即ち、多孔質素材は前記したものに限定されるわけではなく、細孔径の上限又は下限が0.2nm〜2nmの範囲内のものであれば、どのような素材であっても使用可能である。
この多孔質素材は、一例として、分離膜として提供される。分離膜とは、ガス分子の大きさを利用して、ガスを選択的に通過させることによって分離させる膜であり、分離膜を通過させること、又は通過させないことにより、ガス体を目的ガスとその他のガスに分離する膜である。
また、多孔質素材は、他例としては吸着材として提供される。吸着材とは、固体の内部形成された細孔により、内部表面積を増加させ、細孔を通過したガス分子を細孔内に吸着させる素材であり、目的ガスのみを吸着材の細孔を通過させて、吸着材に吸着させることによって、又は目的ガスのみを吸着材の細孔を通過させないことによって、ガス体から目的ガスを分離する素材である。
本発明では、複数のガスを含有するガス体の温度を変更することによって、ガスの分子径を変化させ、常温の分子径を基準として±0.01nm〜0.1nmの範囲で変化させる。温度条件としては、ガス体に含まれるガスが変質しない温度範囲であればよく、具体的には−70℃〜300℃の温度範囲、より好ましくは−50℃〜100℃の温度範囲において変更することが適当である。前記したようにガスの分子径は粘性係数によって算出でき、又粘性係数は温度によって異なるため、分子径が温度のみを関数として求めること、即ち、温度条件によって分子径を一定範囲内において変化させることを本発明の特徴の一つとしている。
更に、本発明はガス体中のガスの分子径を変化させてガス体中の分離対象である目的ガスと、その他のガスの分子径の変化状況を知得し、目的ガスとその他のガスの分子径が重複しない温度条件において、目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径の細孔を有し、かつ、他方の分子径より小径の細孔を有する多孔質素材を選択し、前記温度条件に保持したガス体を、前記多孔質素材からなる分離手段に供給することによって、目的ガスが、分離手段を通過することによって、又は通過しないことによってガス体から目的ガスのみを分離手段を介して分離することを特徴の一つとしている。
目的ガスとその他のガスの分子径が重複しない範囲とは、文字通り目的ガスとその他のガスの分子径が同一ではない範囲をいう。本発明では前記重複しない範囲の中で、多孔質素材の細孔分布の上限が、目的ガス又はその他のガスの分子径のいずれか一方より小さい範囲を使用する。多孔質素材の細孔分布の上限より大きい分子径を有する目的ガス又はその他のガスは多孔質素材の細孔を通過できない。即ち、論理的には多孔質素材の細孔径よりもガスの分子径が小さい場合、そのガスは多孔質素材の細孔に取り込まれ、多孔質素材の細孔径よりガスの分子径が大きい場合、若しくは等しい場合は、そのガスは取り込まれない。例えば、多孔質素材として、ゼオライトTON(細孔径:0.46nm×0.57nm)を例に取ると、その短径0.46nmよりガスの分子径が小さい場合、そのガスはゼオライトTONの細孔に取り込まれ、短径0.46nmよりガスの分子径が大きい場合、若しくは等しい場合は、そのガスはゼオライトTONに取り込まれないこととなる。
よって、目的ガスとその他のガスの分子径が重複しない範囲は、目的ガスとその他のガスの分子径が僅かでも異なっていればよい。また、目的ガス及びその他のガスの分子径と多孔質素材の細孔径は、「目的ガスの分子径<多孔質素材の細孔径≦その他のガスの分子径」であれば、多孔質素材の細孔に目的ガスが取り込まれることとなる。
しかしながら、多孔質素材の細孔径とガスの分子径との差が0.01nm未満といった僅差な場合には、ガスの分子径が多孔質素材の細孔径より大きいと計算された場合でもそのガスが通過したり、又その逆に小さいと計算された場合でも通過しない場合が考えられる。これは、ガスの粘性係数の測定方法の違いや、測定誤差によりその分子径にも僅かな誤差が存在するためである。よって、このようにガスの分子径と多孔質素材の細孔径との差が僅差の場合は、分離試験を実施して温度条件や分離の可否を確認する必要があり、その結果に基づいて採否を決定することとなる。
そのため、好ましくは多孔質素材の細孔径とガスの分子径の離間距離はガスの種類にかかわらず、汎用的に分離可能であると考えられる0.01nm以上、より好ましくは0.03nm以上となるように多孔質素材や温度を選択することが望ましい。また、選択した多孔質素材、或いは選択可能な多孔質素材が複数存在する場合にも、目的ガスの分離を実施するための特定の多孔質素材を選択する。選択する多孔質素材は、多孔質素材の細孔を通過させるガスの最大分子径が、多孔質素材の細孔分布の上限以下となるものとする。多孔質素材の細孔径は、0.01nm以上離間している目的ガスとその他のガスの分子径の中間であることが好ましく、そのためには目的ガス及びその他のガスの分子径と0.005nm以上離間していることが好ましい。
目的ガスとその他のガスの分子径が一定以上離間している温度条件に幅がある場合には、目的ガスの分離を実施するための特定の温度条件を選択する。目的ガスとその他のガスの温度差が重要であり、より温度差が大きい方がよく、少なくとも3℃以上あることが好ましい。これは多孔質素材の細孔にガスの分子が取り込まれる作業時には吸着熱により温度が高くなる方向に変化しようとし、作業時の温度が上昇方向に変化するため、目的ガスとその他のガスの温度差が少ないと、冷却手段を施したとしてもより厳密な制御が必要となるためである。そのため、安定したガスの分離作業を行うためには、目的ガスとその他のガスの分子径が0.01nm以上、より好ましくは0.03nm以上離間している温度領域において、目的ガスとその他のガスの温度差ができるだけ大きい領域、具体的には3℃以上の温度差、好ましくは5℃以上の温度差を有する領域を設定温度とすることが適当である。
上記した本発明にかかるガスの分離方法の原理について、図4〜図9を用いて説明する。図4、図6、図8は縦軸を分子径及び細孔径(nm)、横軸を温度(℃)としてガス体を構成する複数のガスX,Y,Zの−50度〜90℃の温度範囲におけるガスの分子径の変化及び多孔質素材α,β又はγの細孔分布を表しており、図5、図7、図9は縦軸を分布割合(%)、横軸を分子径及び細孔径(nm)としたガスX,Y,Zの温度により変化するガスの分子径の範囲及び多孔質素材α,β又はγの細孔径の分布を表している。
−50℃,0℃,30℃,90℃の温度条件におけるガスX,Y,Zの分子径はそれぞれ表5に示すとおりである。なお、ガスX,Y,Z及び多孔質素材α,β又はγは、いずれも本発明の分離原理を示すための例示である。
Figure 0006475943
図4、図5に基づき、90度を超えると変質するガスX,Y,Zからなるガス体から、分離手段として細孔径が0.25nm〜0.35nmの範囲に分布している多孔質素材αを使用し、目的ガスとしてガスXを分離することを課題とするケースについて説明する。ガスX,Y,Zの温度をガスが変質しない温度範囲である−50℃〜90℃の温度範囲において変更することによってガスX,Y,Zの分子径を変化させて、目的ガスXとその他のガスY,Zの分子径の変化状況を知得する。表5に示すようにガスX,Y,Zは、それぞれ−50℃における分子径0.46nm,0.69nm,0.86nmから90℃における分子径0.30nm,0.45nm,0.70nmに温度条件によって変化している。目的ガスXの分子径は温度条件が同一であればガスY,Zより小さいため、いずれの温度領域においても目的ガスXとその他のガスY,Zの分子径が重複していない。そこで、多孔質素材αの細孔が、目的ガスXの分子径より大径であって、かつ、他のガスY,Zの分子径より小径となる温度条件を図4から探ると30℃以上であれば充足することが判る。また、どの温度領域においてもガスXとガスYとの分子径は0.01nm以上離間している。そこで、30℃以上に保持したガスX,Y,Zを多孔質素材αに供給すれば、目的ガスXのみが多孔質素材αの細孔を通過して、吸着或いは分離されるため、ガスX,Y,Zから目的ガスXのみを分離することができる。
なお、多孔質素材αの細孔の最大径が目的ガスXの分子径を上回っていれば、目的ガスXは多孔質素材αの細孔を通過することが可能であるため、ガスX,Y,Zから目的ガスXを分離することは可能である。しかしながら、細孔の分布形状は通過量、即ち分離効率に影響する。例えば、図5に示すような分布形状の細孔を有する多孔質素材αは、図4に示すように細孔径が目的ガスXの分子径を上回る30℃付近から目的ガスXが多孔質素材αの細孔を通過することが可能となるが、30℃付近の細孔径の分布量は少ないため、通過する目的ガスXの量が少なくなり、その他の条件が同じ場合において細孔径の分布量が多い場合と同等の通過量を得るためには、大量の多孔質素材αを必要とすることとなる。
そのため、例えば50℃まで温度を上げると、目的ガスXの分子径がより小さくなり、細孔分布の上限から50℃での細孔径までに分布している細孔全てを通過可能となる。そのため、ガスXの通過量が格段に多くなり、効率的に目的ガスXを分離することができる。つまり、目的ガスXの分子径より大きい細孔の分布量が多くなる50℃以上、より好ましくは90℃で分離作業をおこなう方が分離効率はよい。よって、多孔質素材αのように細孔分布が明確にひとつのピークを示す場合、目的ガスXのガスの分子径が、多孔質素材αの細孔分布の分布幅をより多く利用できる温度条件で分離作業をおこなうことが好ましい。
次に、細孔径が0.3nm〜0.6nmの範囲に分布している多孔質素材βを使用して前記したガスX,Y,Zから、ガスXを目的ガスとして分離する例を図6,図7に基づいて説明する。ガスX,Y,Zは、いずれの温度領域においてもそれぞれのガスの分子径が重複していない。そこで、多孔質素材βの細孔が、目的ガスXの分子径より大径であって、かつ、他のガスY,Zの分子径より小径となる温度条件を図6から探ると0℃より低い温度であれば充足することが判る。また、どの温度領域においても、ガスXとガスYとの分子径は0.01nm以上離間している。そこで、0℃より下の温度、例えば−30℃以下に保持したガスX,Y,Zを多孔質素材βに供給すれば、目的ガスXのみが多孔質素材βの細孔を通過して、吸着或いは分離されるため、ガスX,Y,Zから目的ガスXのみを分離することができる。
同様にして、多孔質素材βを使用して、ガスZを目的ガスとして分離する例を図6、図7に基づいて説明する。多孔質素材βの細孔が、目的ガスZの分子径より小径であって、かつ、他のガスX,Yの分子径より大径となる温度条件を図6から探ると0℃より高い温度であれば充足することが判る。また、どの温度領域においてもガスZとガスYとの分子径は0.01nm以上離間している。そこで、0℃より高い温度、例えば50℃に保持したガスX,Y,Zを多孔質素材βに供給すれば、ガスX,Yの2つのガスが多孔質素材βの細孔を通過して、吸着或いは分離されるため、目的ガスZのみが残ることにより、目的ガスZを分離することができる。
次に、細孔径が0.6nm〜1.4nmの範囲に分布している多孔質素材γを使用して前記したガスX,Y,Zから、ガスX,Y,Zのいずれかのガスを目的ガスとして分離する例を図8,図9に基づいて説明する。ガスX,Y,Zは、いずれの温度領域においてもそれぞれのガスの分子径が重複していない。しかしながら、多孔質素材γの細孔の最大径は、図8に示すように、いずれの温度領域においても、ガスX,Y,Zの分子径より大きい。
よって、多孔質素材γは、ガス体中の分離対象である目的ガスと、その他のガスの分子径が一定以上離間している温度条件において、目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径の細孔を有し、かつ、他方の分子径より小径の細孔を有するという本件発明の多孔質素材の要件を満たしていない。そのため、多孔質素材γでは、如何にガスX,Y,Zの温度条件変更したとしてもガスX,Y,Zを分離することはできない。よって、ガスX,Y,Zを分離するためには、前記他の条件に合致した多孔質素材、例えば多孔質素材α又はβを選択する必要がある。
上記例では、細孔径が一定の分布を有する多孔質素材α,β,γを使用したが、細孔径が均一な多孔質素材を使用できることは勿論であり、ガスX,Y,Zの分子径が重複せず、好ましくは0.01nm以上、より好ましくは0.03nm以上離間している温度条件において、ガスX,Y,Zの分子径の間の均一な細孔径を有する多孔質素材を使用することができる。
上記した本発明にかかるガスの分離方法の原理に基づき、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)であるR22,HFC(ハイドロフルオロカーボン)であるR32,R125,R134a,R143aの5種類のガスが混合したガス体から、それぞれのガスを目的ガスとして分離する場合を例として、本発明にかかるガスの分離方法の実施例を説明する。本発明にかかるガスの分離方法は、下記の工程0〜工程8を順次行うことによって、分離手段を介してガス体から目的ガスを分離する。図1は本発明にかかるガスの分離方法の工程を示す説明図、図2はその分離工程を示す説明図、図3はその実施例を示す説明図である。
[工程0]
ガス体にゴミ等の固形物や水分,油分などの不純物や汚染物を含有している場合、その他必要に応じてフィルター等を介して前処理工程を行い、不純物や汚染物をガス体から除去しておく。
[工程1]
先ず、工程1として、ガス体の成分分析を行い、ガス体に含まれる目的ガスとその他のガスの種類を特定する。その結果、本実施例では、ガス体中に冷媒ガスであるR22,R32,R125,R134a,R143aの5種類のガスが混合していることを特定した。
[工程2]
次に、ガス体に含まれるガス(R22,R32,R125,R134a,R143a)が変質しない温度範囲、本実施例では、−70℃〜300℃の範囲内で必要とする温度範囲における一定の温度間隔における粘性係数を測定する。なお、実測に代えて、既に提供されている粘性係数のデータを使用してもよい。粘性係数を求める温度間隔は一定間隔でよく、各ガスの粘性係数との相対的関係から定めればよい。具体的には5℃〜20℃の間の一定間隔、例えば10℃間隔毎の粘性係数を求める。本実施例では、既に提供されているデータから−30℃〜50℃の範囲における10℃毎の粘性係数を使用した。その数値は表3に示す通りである。
[工程3]
前工程で求めた粘性係数から、工程3として、常温を含む一定の温度間隔におけるガスの分子径dを下記(8)式によって計算して求めた。その数値は表4に示す通りである。−30℃〜50℃の温度範囲において、分子径の最大値は、−30℃におけるR134aの0.465667nmであり、最小値は50℃におけるR32の0.334453nmである。
Figure 0006475943
[工程4]
工程4として、ガス体中の分離対象である目的ガスと、その他のガスの分子径が一定以上離間している温度条件を抽出する。そのために、図11に示すように、ガス体を構成する5種類のガスR22,R32,R125,R134a,R143aの−30℃〜50℃の範囲における分子径をグラフ化することが好ましい。その結果、例えば、R32を目的ガスとして分離するのであれば、−30℃〜50℃のどの温度範囲においても他の4種類のガスと分子径は重複せず、かつ、分子径が好ましい離間間隔である0.01nm以上、更にはより好ましい離間間隔である0.03nm以上離間していることが判る。そのため、R32を分離するのであれば−30℃〜50℃の全ての温度領域を抽出可能である。一方、R22,R125,R143aは50℃近辺では、分子径が密接した範囲にあるが、30℃以下であれば、分子径が重複することがなく、かつ、その離間距離が広がっている。このように、図11からガス体に含まれる個々のガスの温度による分子径の変化を知得することができる。
目的ガスとその他のガスの分子径が重複しない範囲は、目的ガスとその他のガスの分子径が僅かでも異なっていればよいが、ガスの分子径と多孔質素材の細孔径との差が僅差の場合は、分離試験を実施して温度条件や分離の可否を確認し、その結果に基づいて採否を決定する。そのため、多孔質素材の細孔径とガスの分子径の離間距離は、ガスの種類にかかわらず、汎用的に分離可能であると考えられる0.01nm以上離間していることが好ましく、更には0.03nm以上離間していることがより好ましい。
[工程5]
工程5として、細孔径が0.2nm〜2nmの範囲であって、成分分析したガス体から推測して分離基準としての使用可能性を有する1又は複数の多孔質素材を選択し、その細孔径及び細孔分布並びにその容量を測定する。本実施形態でも複数の多孔質素材を対象として必要な測定を行った。なお、実測に代えて、既に提供されている多孔質素材の細孔径,細孔分布及びその容量のデータを使用してもよい。
[工程6]
工程6として、工程4において抽出した温度条件において、目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径の細孔を有し、かつ、他方の分子径より小径の細孔を有する1又は複数の多孔質素材を選択する。本実施形態では、細孔径が均一な0.40nmのゼオライトAEL、0.41nmのゼオライトLTA、0.42nmのゼオライトFER及び0.46nmのゼオライトTONを選択した。
[工程7]
工程7として、工程4で抽出した温度条件と、工程6で選択した多孔質素材から、目的ガスの分離を実施するために使用する特定の多孔質素材と特定の温度条件を決定した。本実施例では、0.41nmの均一な細孔径を有するゼオライトLTAを特定の多孔質素材S1として、又0.46nmの均一な細孔径を有するゼオライトTONを特定の多孔質素材S2として決定した。この多孔質素材S1,S2の細孔径をガス体の分子径を示すグラフに記入して分離設計図として利用することが好ましい。本実施例では、図11に示す−30℃〜50℃の温度範囲におけるガス体の分子径を示すグラフに、決定した多孔質素材S1,S2の分子径を記入して図3に示す分離設計図とした。
また、工程4で抽出した温度条件から、下記の温度を特定の温度条件として決定した。先ず、目的ガスとしてR32をガス体から分離するために、−15℃近傍の温度を特定の温度条件として決定した(図3のA点の温度)。次に、R32を分離した後のガス体から目的ガスとしてR22を分離するために、32℃近傍の温度を特定の温度条件として決定した(図3のB点の温度)。R32及びR22を分離した後のガス体からR143aを分離するために、38℃近傍及び−28℃近傍の温度を特定の温度条件として決定した(図3のC1点及びC2点の温度)。最後に、残るR125とR134aからなるガス体をR125とR134aに分離するために、48℃近傍の温度を特定の温度条件として決定した(図3のD点の温度)。
[工程8]
工程8として、工程7で選択した特定の温度条件に保持したガス体を、分離手段としての特定の多孔質素材S1又は多孔質素材S2に供給して、ガス体からそれぞれの目的ガスを分離する。そこで、工程8に示すR22,R32,R125,R134a,R143aからなるガス体から、細孔径0.41nm(0.41nm×0.41nm)のゼオライトLTAからなる多孔質素材S1又は細孔径0.46nm(0.46nm×0.57nm)のゼオライトTONからなる多孔質素材S2を使用して、それぞれのガスを目的ガスとして分離する具体的方法を図2,図3に基づいて説明する。なお、分離基準としてのゼオライトの細孔径は短径を基準としている。ガスの分子径は球の直径として表わされるため、ガスの分子径がゼオライトの細孔の短径より短い場合、ガスの分子はゼオライトの細孔を通過でき、そうでない場合は、ゼオライトからの斥力により通過できないためである。
図2に示すように、工程8aにおいて、R22,R32,R125,R134a,R143aの5種類のガスが混合しているガス体の温度を−15℃近傍に変更すると、図3のA点に示すように、直径0.41nmの多孔質素材S1の細孔を通過できる分子径を有するガスはR32のみであるため、ガス体を−15℃近傍の温度に変更して分離手段としての多孔質素材S1に供給すると、矢印に示すようにR32のみが多孔質素材S1の細孔を通過して吸着又は分離されるため、ガス体からR32のみを純度を維持して分離することができる。ガス体から分離する目的ガスがR32であれば、この処理で目的を達成することとなる。
工程8bに示すように、R32を分離して4種類のガスが混合しているガス体を32℃近傍に変更すると、−15℃近傍の温度条件からガスの分子径が変化し、図3のB点に示すように、直径0.41nmの多孔質素材S1の細孔を通過できる分子径を有するガスはR22のみとなる。そこで、ガス体を32℃近傍の温度に変更して新たに交換した多孔質素材S1に供給すると、R22のみが多孔質素材S1の細孔を通過して吸着又は分離されるため、ガス体からR22のみを純度を維持して分離することができる。ガス体から分離する目的ガスがR22であれば、この処理で目的を達成することとなる。なお、新たな多孔質素材S1はR32を吸着した多孔質素材S1とは異なる未使用の多孔質素材S1を使用する。また、多孔質素材S1を分離膜として使用する場合は、R32は多孔質素材S1を通過しただけなので、多孔質素材S1そのものの交換は必要ない。
工程8cに示すようにR22を分離して3種類のガスが混合しているガス体から、分子径の小さいR143aを目的ガスとして分離する場合、R143aと分子径の近いR125の分子径が重複しない範囲であって、多孔質素材S1の細孔径である0.41nmより、R143aの分子径が小さく、かつ、R125の分子径が大きい温度条件は図3のC1点に示すように38℃近傍に存在する。この38℃近傍では、R143aとR125の分子径の差及び多孔質素材S1の細孔径とが僅差であるため、分離試験を実施し、その結果分離可能であれば、この38℃近傍の温度条件と多孔質素材S1を使用してR143aのみを多孔質素材S1の細孔を通過させることにより、R143aのみを分離することができる。
R143aとR125は、図3に示すように温度条件が低下すると、それぞれの分子径が大きくなり、かつ、分子径の離間距離も大きくなっている。そこで、細孔径が0.41nmの多孔質素材S1に代えて、細孔径が0.46nmの多孔質素材S2を使用し、図3のC2点に示すように−28℃近傍の温度に制御したガス体を多孔質素材S2に供給すると、R143aが多孔質素材S2の細孔を通過して吸着又は分離されるため、ガス体からR143aのみを純度を維持して分離することができる。更には、温度条件を図3に示す−30℃〜50℃の範囲を超えて制御することによって、R143aとR125の分子径の離間距離を拡大し、より好ましい離間距離を選択することも考えられる。あるいは、多孔質素材S1,S2に代えて、R143aとR125の分子径が重複しない範囲に細孔径を有する他のゼオライト、例えば図3に示す30℃近傍の温度域における細孔径が0.42nmのゼオライトFERを使用して分離することも可能である。
最後に、工程8dに示すようにR143aを分離して2種類のガスが混合しているガス体を48℃近傍に変更すると、R125とR134aの分子径が変化し、図3のD点に示すように、細孔径が0.41nmの多孔質素材S1の細孔を通過できる分子径を有するガスはR125のみである。48℃近傍に変更したガス体を多孔質素材S1に供給すると、R125のみがゼオライトS1の細孔を通過して吸着又は分離されるため、ガス体からR125を分離することができる。なお、ゼオライトS1はR22等を吸着した多孔質素材S1とは異なる未使用の多孔質素材S1である。また、多孔質素材S1を分離膜として使用する場合は、R22等は多孔質素材S1を通過しただけなので、多孔質素材S1そのものの交換は必要ない。
その結果、ガス体にはR134aのみとなるため、結果としてR134aも分離することができる。なお、本実施例では、R22,R32,R125,R134a,R143aの5種類のガスを全て目的ガスとして個別に分離したが、目的ガスの種類と分子径に応じて適宜の分離手段を選択すればよい。
本実施形態では、1種類の多孔質素材S1又は2種類の多孔質素材S1,S2を使用して、R22,R32,R125,R134a,R143aの5種類のガスをそれぞれ分離するケースを説明した。これは温度を変更してガスの分子径を変化させることによって、従来使用できなかった細孔径の多孔質素材が分離手段として使用可能となり、多孔質素材の選択基準が緩和されることを象徴的に表す実施例として説明したものである。よって、目的ガスごとに採用する多孔質素材を変更することが必要な場合もあり、又多孔質素材の細孔が一定幅の分布を有する場合には、吸着量等を考慮して最適の多孔質素材を選択すればよい。
以上記載した本発明によれば、ガスの分子径を温度条件によって一定範囲変化させることができるため、ガスの吸着や分離のために使用する多孔質素材に汎用性を付与することができ、広範囲のガスに対応することが可能となる。即ち、本発明によって、従来では処理できなかったガスを既存の多孔質素材を使用して処理できるため、混合ガスの分離や不要なガスの除去、必要なガスの選択的な分離・再利用、ガスを多孔質素材に吸着させることによるガス貯蔵の効率化等が可能となる。
何より、ガスの分離手段として使用可能な多孔質素材の選択基準を緩和すること、具体的には再使用を可能とする純度の高いガスの分離のためには、分離手段として、0.01nm〜0.03nm程度のオーダーの多孔質素材が必要であるところ、そのオーダーを1桁緩和して0.2nm〜2nmの範囲の細孔径を有する既存の多孔質素材を使用可能とすることができる。そのため、人工的に製造された高価な合成ゼオライトよりも安価に得られるものの、種類が僅かであるため、分離手段として使用することが困難であった天然のゼオライトを分離手段として使用する途を開くことができる。
そして、温度条件を変更することによってガスの分子径を変化させることを可能とした結果、分離作業のハンドリングがよく、再使用を前提とした純度の高いガスの分離を実用レベルで実現することができる。しかも、目的ガスが分離手段を通過する方法によっても、又は通過しない方法によっても分離することができる。
また、分離手段としての多孔質素材に特に限定はなく、ゼオライトのように均一な細孔径を有する素材はもちろん、細孔径が一定の分布範囲を有する素材であっても、ガス体中の分離対象である目的ガスと、その他のガスの分子径を一定以上離間させる温度条件において、ガス体中の目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径の細孔を有し、かつ、他方の分子径より小径の細孔を有すれば使用可能である。そのため使用する多孔質素材の選択が容易であるとともに、その幅が広がるため、最適の多孔質素材を選択することが容易である。よって、本発明によれば、多孔質素材を使用して、複数種類のガスや不純物を含有したガス体から目的ガスを再使用可能な純度を維持して分離することができる。
多孔質素材を吸着材として使用し、本発明によって温度条件変更することによってガスの分子径を小さく変化させ、従来吸着できなかったガスを吸着可能とし、かつ、貯蔵する際にも温度条件変更することによってガスの分子径を大きくすることで脱着を抑制することが可能となるため、多孔質素材をガスの貯蔵に使用することが可能となる。また、多孔質素材分離膜とし使用することにより、吸着・脱着を介さず、多孔質素材の細孔をガスが通過することだけで分離が可能となる。多孔質素材からなる分離膜は製造が困難なことから、限られた多孔質素材しか用いられておらず、適用可能なガスの種類が限られていたが、本発明によって適用可能なガスの範囲を広げることができる。
X,Y,Z…ガス
α,β,γ,S1,S2,21,22,23,24,25,26,30…多孔質素材
30a…細孔
d,d1,d2…分子径
n…ガスの分子

Claims (17)

  1. 分離対象としての目的ガスを含む複数のガスを含有するガス体を多孔質素材からなる分離手段に供給し、目的ガスのみを多孔質素材の細孔を通過させ、又は通過させないことによって、ガス体から目的ガスを分離するガスの分離方法であって、
    ガス体の温度を、特定の温度条件に変更することによって、ガス体に含まれる目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径が多孔質素材の細孔径より大径に、かつ、他方の分子径が多孔質素材の細孔径より小径となるように変化させることを特徴とするガスの分離方法
  2. ガス体の温度をガス体に含まれるガスが変質しない温度範囲で変更する請求項1記載のガスの分離方法
  3. ガス体の温度を、−70℃〜300℃の温度範囲において変更する請求項1又は2記載のガスの分離方法
  4. ガス体中のガスの分子径を、常温の分子径を基準として±0.01nm〜0.1nmの範囲で変化させる請求項1,2又は3記載のガスの分離方法
  5. 前記温度条件及び選択した多孔質素材から、目的ガスの分離を実施するための特定の温度条件と特定の多孔質素材を決定する請求項1,2,3又は4記載のガスの分離方法。
  6. 目的ガスと、その他のガスの分子径が0.01nm以上離間している請求項1,2,3,4又は記載のガスの分離方法。
  7. 細孔径が均一サイズに特定された多孔質素材を使用する請求項1,2,3,4,5又は記載のガスの分離方法。
  8. 細孔径が一定範囲に分布している多孔質素材を使用し、細孔分布の上限が、目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径であって、かつ、他方の分子径より小径である多孔質素材を使用する請求項1,2,3,4,5,6又は記載のガスの分離方法。
  9. 0.2nm〜2nmの範囲の細孔径を有する多孔質素材を使用する請求項1,2,3,4,5,6,7又は記載のガスの分離方法。
  10. 多孔質素材の原料がゼオライト,金属有機構造体(MOF:Metal Organic Frameworks),又は分子ふるい炭素を原料として形成された請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は記載のガスの分離方法。
  11. ガス体が、クロロフルオロカーボン(CFC)類,ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類,ハイドロフルオロカーボン(HFC)類,テトラフルオロメタン(CF)を含むパーフルオロカーボン(PFC)類,六フッ化硫黄(SF),ハロン類,四塩化炭素(CCl ),トリクロロエタン,メタン,臭化メチル,ヘリウム,窒素酸化物(NOx),二酸化炭素(CO),硫黄酸化物(SOx),水素(H),窒素(N),酸素(O),アルゴン(Ar)から選択された1又は複数のガスを含んでいる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9又は10記載のガスの分離方法。
  12. 分離手段が多孔質素材の分離膜からなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載のガスの分離方法。
  13. 目的ガスのみが分離膜を通過すること、又は通過しないことにより、ガス体を目的ガスとその他のガスに分離する請求項12記載のガスの分離方法。
  14. 分離手段が多孔質素材の吸着材からなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載のガスの分離方法。
  15. 目的ガスのみを吸着材の孔を通過させて、吸着材に吸着させることによって、又は目的ガスのみを吸着材の孔を通過させないことによって、ガス体から目的ガスを分離する請求項14記載のガスの分離方法。
  16. 請求項〜請求項15のいずれかに記載のガスの分離方法であって、下記の工程1〜工程8を順次行うことを特徴とするガスの分離方法。
    工程1:ガス体の成分を分析する工程。
    工程2:温度条件の変更に伴うガス体に含まれるガスの粘性係数を測定する工程。
    工程3:測定した粘性係数から、温度条件の変更に伴うガス体の分子径を算出する工程。
    工程4:ガス体中の分離対象である目的ガスと、その他のガスの分子径が一定以上離間している温度条件を抽出する工程。
    工程5:多孔質素材の細孔径及び細孔分布を測定する工程。
    工程6:抽出した温度条件において、目的ガス又はその他のガスのどちらか一方の分子径より大径の細孔を有し、かつ、他方の分子径より小径の細孔を有する多孔質素材を選択する工程。
    工程7:抽出した温度条件と選択した多孔質素材から、目的ガスの分離を実施するための特定の多孔質素材と特定の温度条件を決定する工程。
    工程8:特定の温度条件に保持したガス体を、特定の多孔質素材からなる分離手段に供給して、ガス体から目的ガスを分離する工程。
  17. 工程1の前工程として、ガス体から固形物,油分,汚染物を除去する前処理工程を行う請求項16記載のガスの分離方法。
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