JP6472045B2 - 生物生息用三面張り水路及び水路ブロック - Google Patents

生物生息用三面張り水路及び水路ブロック Download PDF

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本発明は生物生息用三面張り水路及び水路ブロックに関し,とくに水底及び両岸をコンクリート張りとした生物生息用三面張り水路及び水路ブロックに関する。
従来から,河川系を構成する中小規模の支流,雨水路,下水路,用水路,排水路等として,図4(A)に示すように水底2及び両岸3をコンクリート張りとした三面張り水路7が用いられている。三面張り水路7は現場打ちコンクリートでも造成できるが,図示例のように断面コ字型のプレキャストコンクリートブロック(以下,三面張り水路ブロックということがある)1を断面と垂直な水路方向に直列に連結して構築することができる。図中の符号5は隣接するブロック1の連結ジョイント部を示す。必要に応じて各ブロック1を半割ブロック1a(ブロック1を所定分割線1bで分割したもの)の突き合わせとすることができる。三面張り水路7は,水底や岸壁が浸食されにくく,両岸に勾配をつける必要がないので広い水路断面を確保することができ,施工が簡単・経済的であり,しかも清掃や維持管理が簡単である等の様々な利点を有している。
しかし,従来の三面張り水路7は水を効率的に流すことが優先され,環境との調和に配慮がされていない問題点がある。すなわち,三面張りとする以前の水路は,両岸が土壁・板張り・石積み等で土留めが施され,水底が岩盤や遮水地層の上に泥・砂・礫・小石の堆積によって施工され,何れも魚類,甲殻類,水生昆虫等の生物が生息できる環境となっていた。また,堤上の植物の生育によって水面の岸側部分には日陰が作られ,生物の隠れ場所等も提供されていた。これに対して水底及び両岸がコンクリート張りに改変された水路は,生物の生息できる場所がないので生物現存数が減少すると共に,水を通してつながる他の河川や湖沼(例えば本流河川等)の遡行生物又は下降生物の生息も困難になるため,周囲環境における生物の生育をはばむ原因ともなっている。
三面張り水路7と環境との調和を図るため,例えば三面張りの水底2上に魚類や水生昆虫の住処となる砕石・割石・玉石等の礫を敷設する方法が提案されている(非特許文献1参照)。また,図4(B)に示すように,三面張り水路ブロック1のジョイント部5に水路側に突出するように鋼板6aを固定し,水路岸壁3と平行なメッシュ状部材6を隣接する鋼板6aに跨るように取り付け,メッシュ状部材6と水路岸壁3との間に砕石・割石・玉石等の充填材を詰める方法が提案されている(特許文献2)。底壁2又は岸壁3に沿って配置した礫や充填材は,水生動物及び水生植物の住処となって生物の生息を図る機能を果たすと共に,水路内の水浄化作用も果たすことが期待できる。
特開2002−088740号公報 特開2005−009098号公報
農林水産省「環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の手引き」2002年2月発行,インターネット<http://www.maff.go.jp/j/nousin/jikei/keikaku/tebiki/01/index.html>
しかし,上述した三面張り水路7の水底に礫を敷設する方法は,増水・洪水時に敷設した礫が流れ出すおそれがあり,また礫の敷設により水路断面が減少する問題点がある。また,図4(B)のように水路岸壁3にメッシュ状部材6を固定して充填材を詰める方法は,充填材が流れ出るおそれは小さいものの,やはりメッシュ部材6により水路断面が減少してしまう問題点がある。水路断面の減少は増水・洪水時の機能低下につながるので,水路断面の拡大が必要となる可能性があり,ひいては広い水路用地が必要となる。既存の水路用地内で水路の機能を低下させることなく環境との調和を図ることができる三面張り水路の開発が望まれている。
そこで本発明の目的は,水路断面を減少させずに生物の生息を促進できる三面張り水路及び水路ブロックを提供することにある。
本発明者は,図4(C)に示すように,三面張り水路7に岸側へ張り出す拡幅部8を設け,その拡幅部8の張り出し部分に魚類,甲殻類,水生昆虫等の生物の住処を配置することに注目した。拡幅部8の張り出し部分を生物の住処とすることができれば,水路断面を減少させずに三面張り水路における生物の生息を図ることができる。しかし,図4(C)のような形状の拡幅部8は,水路の流水Fが拡幅部8の内部に十分に進入せず,拡幅部8の深部が徐々に嫌気性を帯びて低酸素状態となり,更に硫化水素等のガスが発生する可能性もあり,生物の生息に適さない死水域Dとなるおそれがある。拡幅部8の張り出し部分を生物の住処とするためには,死水域Dが発生しないように,水路内の流水Fを常に拡幅部8の深部まで送り込む対策が必要である。本発明は,この着想に基づく技術開発の結果,完成に至ったものである。
図1及び図2の実施例を参照するに,本発明による生物生息用三面張り水路は,水底12及び両岸13をコンクリート張りとした所定幅Bの水路19に少なくとも片岸へ張り出すコンクリート張りの拡幅区間Wを形成し,拡幅区間Wの上流部分に所定幅Bの水路19の岸壁13と90〜120度の所定角度αで交差するコンクリート張りの拡幅岸壁16を設け,拡幅区間Wの下流部分に所定幅Bの水路19の岸壁13と60度以下の所定角度θで交差して水路幅を緩やかに所定幅Bへ戻すコンクリート張りの縮幅岸壁17を設け,拡幅区間Wの張り出し部分の内側全体又は内側岸面に蛇籠20を配置し(図1(B)及び図2(B)参照),拡幅区間Wの縮幅端において縮幅岸壁17に沿って拡幅区間Wの深部までさかのぼり蛇籠20内に進入する反流R(図1(D)及び図2(D)参照)を発生させてなるものである。
また図1及び図2の実施例を参照するに,本発明による生物生息用三面張り水路ブロックは,所定幅Bの水路19の底12及び両岸13を覆うコンクリート三面張り水路ブロックにおいて,ブロックの水路方向の一部分に少なくとも片岸へ張り出して形成したコンクリート張りの拡幅区間W,拡幅区間Wの上流部分に所定幅Bの水路19の岸壁13と90〜120度の所定角度αで交差するように設けたコンクリート張りの拡幅岸壁16,及び拡幅区間Wの下流部分に所定幅Bの水路19の岸壁13と60度以下の所定角度θで交差して水路幅を緩やかに所定幅Bへ戻すように設けたコンクリート張りの縮幅岸壁17を備え,拡幅区間Wの張り出し部分の内側全体又は内側岸面に蛇籠20を配置したときに(図1(B)及び図2(B)参照),拡幅区間Wの縮幅端において縮幅岸壁17に沿って拡幅区間Wの深部までさかのぼり蛇籠20内に進入する反流R(図1(D)及び図2(D)参照)を発生させるものである。
好ましくは,図1(E)に示すように,拡幅区間Wの張り出し部分の水底18を岸側から水路側へ徐々に低くなる傾斜面とする。図示例のように,所定幅Bの水路19の岸壁13に対する拡幅岸壁16の所定角度αを実質上直角とすることができる。更に好ましくは,図1(B)及び図2(B)に示すように,拡幅区間Wの張り出し部分の頂面を覆う蓋部材25を設ける。
本発明による生物生息用三面張り水路及び水路ブロックは,所定幅Bの三面張り水路19に少なくとも片岸へ張り出すコンクリート張りの拡幅区間Wを形成し,拡幅区間Wの上流部分に所定幅Bの水路19の岸壁13と90〜120度の所定角度αで交差するコンクリート張りの拡幅岸壁16を設け,拡幅区間Wの下流部分に所定幅Bの水路19の岸壁13と60度以下の所定角度θで交差して水路幅を緩やかに所定幅Bへ戻すコンクリート張りの縮幅岸壁17を設け,拡幅区間Wの張り出し部分の内側全体又は内側岸面に蛇籠20を配置し,拡幅区間Wの縮幅端において縮幅岸壁17に沿って拡幅区間Wの深部までさかのぼり蛇籠20内に進入する反流Rを発生させるので,次の有利な効果を奏する。
(イ)所定水路幅Bの三面張り水路に岸側へ張り出す拡幅区間Wを形成し,その張り出し部分に魚類,甲殻類,水生昆虫等の生物の住処となる蛇籠20を配置するので,水路断面を減少させずに生物の生息を促進することができる。
(ロ)また,拡幅区間Wの下流部分を水路幅が緩やかに水路幅Bへ戻る縮幅岸壁17とするので,拡幅区間Wの縮幅端において縮幅岸壁17に沿ってさかのぼる反流Rを発生させ,その反流Rによって拡幅区間Wの深部まで新しい水を常に供給し続けることができる。
(ハ)従って,拡幅区間Wの張り出し部分に配置した蛇籠20に常に新しい水を送り入れることができ,死水域Dの発生を避けながら蛇籠20の内部を生物の生息に良好な環境に維持することができる。
(ニ)更に,拡幅区間Wの張り出し部分の水底18を岸側から水路側へ低くなる傾斜面とすることにより,蛇籠20の内側の水の停滞を防止し,反流Rによって新たに進入する水と蛇籠20内の水との交換を促進することができる。
(ホ)更に,拡幅区間Wの上流部分に水路岸壁13と実質上垂直向きの拡幅岸壁16を設け,水路の上流域からの流入を制限することにより,増水・洪水時に多量の水が蛇籠20内に流入して生物の生息環境が破壊される危険を抑えることが期待できる。
(ヘ)拡幅区間Wに配置する蛇籠20を,生物の生息場所として機能させるだけでなく,水路に落下した人や動物がよじ上る足場として機能させることもできる。
以下,添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
本発明の生物生息用三面張り水路の一実施例の説明図である。 本発明の生物生息用三面張り水路の他の実施例の説明図である。 本発明の生物生息用三面張り水路の更に他の実施例の説明図である。 従来の三面張り水路の一例の説明図である。
図1(A)は,本発明の生物生息用三面張り水路ブロック10の一実施例を示す。図示例のブロック10は,図4に示す従来の三面張り水路ブロック1と同様の断面コ字型のプレキャストコンクリート製品であり,断面と垂直な方向へ直列に連結することにより,水底12及び両岸13がコンクリート張りの水路幅Bの三面張り水路19を構築するものである。ただし,従来のブロック1と異なり,本発明のブロック10の水路方向の一部分には岸側へ張り出した拡幅区間Wが形成されている。以下,図示例を参照してブロック10を用いた三面張り水路19について説明するが,本発明は図示例に限定されず,例えば現場打ちコンクリートによって三面張り水路19を造成する場合にも本発明は適用可能である。
図1に示す三面張り水路ブロック10の拡幅区間Wは,水路片側の岸壁13の一部分を所定形状で岸側へ突出させて形成したものであり,ブロック10と同じプレキャストコンクリート製としたものであるが,現場打ちコンクリートによって造成してもよい。拡幅区間Wの張り出し部分は,方形,円形又は多角形の水平断面形状を基本とし,岸壁13からの張り出し長Pが最大となる最大幅部15と,その上流側の拡幅岸壁16及び下流側の縮幅岸壁17とによって構成されている。最大幅部15の張り出し長Pは,図1(B)のように拡幅区間Wの張り出し部分に設置する蛇籠20の大きさに応じて適宜選択できる。また,拡幅岸壁16は水路幅を所定幅Bから最大幅まで広げる拡幅区間Wの上流部分であり,縮幅岸壁17は水路幅を最大幅から所定幅Bまで戻す拡幅区間Wの下流部分である。
図1(D)及び図3(A)に示すように,拡幅区間Wの上流部分の拡幅岸壁16は,三面張り水路19の所定幅Bの岸壁13と角度αで交差させる。拡幅岸壁16の交差角度αは,水路幅が所定幅Bから最大幅まで急に増加するように例えば90度〜120度程度に設定するが,水路19の流速・流量等の条件に応じて120度以上とすることもできる。拡幅区間Wの拡幅端において水路幅が増加すると,水路19の流速が遅くなり,たるみ,その一部が拡がり流Eとなって拡幅区間Wの張り出し部分に流れ込む。ただし,図4(C)を参照して上述したように,上流域からの拡がり流Eを拡幅区間Wの全体に行きわたらせることは困難であり,拡がり流Eだけでは拡幅区間Wの深部に死水域Dを生じるおそれがある。
他方で拡幅区間Wの下流部分の縮幅岸壁17は,図1(D)及び図3(A)に示すように,三面張り水路19の所定幅Bの岸壁13と角度θで交差させる。縮幅岸壁17の交差角度θは,水路幅が最大幅から所定幅Bまで緩やかに減少するように設定する。拡幅区間Wの縮幅端において水路幅が減少すると,その上流側において水路19の水位が上昇し,その水位上昇が上流側へ伝播して,縮幅岸壁17に沿ってさかのぼる反流Rを発生させる。このような反流Rは水路幅が急に減少した場合にも発生しうるが,図4(C)に示したように,拡幅区間Wの上流部分にまで反流Rを入り込ませることは困難である。縮幅岸壁17によって水路幅を緩やかに減少させ,縮幅岸壁17に沿って水位を徐々に上昇させることにより,拡幅区間Wの最大幅部15までさかのぼる反流Rを発生させ,拡幅区間Wの全体に新しい水を常に供給することができる。
拡幅区間Wの縮幅岸壁17と三面張り水路19の岸壁13との交差角度θは,水路19の流速・流量等の条件に応じて適宜設定できるが,様々な条件の水路19において拡幅区間Wの最大幅部15までさかのぼる反流Rが発生するように60度以下とすることが望ましい。また,図3(A)では拡幅岸壁16と縮幅岸壁17と間に比較的小さい最大幅部15を設けているが,必要に応じて図3(B)のように最大幅部15を広げることも可能であり,その場合は最大幅部15の全体に反流Rが行きわたるように縮幅岸壁17の交差角度θを設定することも有効である。すなわち,比較的広い最大幅部15の全体に及ぶ反流Rの流速が得られるように,拡幅区間Wの交差角度θを60度以下の範囲内において選択することが可能である。
望ましくは,図1(E)に示すように,拡幅区間Wの張り出し部分の水底18を岸側から水路側へ徐々に低くなる傾斜面とする。例えば,三面張り水路19の所定幅Bの底壁12に対して,拡幅区間Wの張り出し部分の底壁18の勾配γを1/10程度とする。底壁18を水路19側が低い傾斜面とすることにより,縮幅岸壁17に沿って拡幅区間Wの深部に供給された反流Rを水底勾配により水路19側へ流し,供給された水が拡幅区間Wの深部に停滞することを防止し,後続して供給される水との交換を促進して拡幅区間Wの深部に新しい水を常に供給することができる。
拡幅区間Wの張り出し部分の内側には,魚類,甲殻類,水生昆虫等の生物の住処となる蛇籠20を配置する。蛇籠20は,鉄線・合成繊維その他の線状部材を用いて作った中空網目籠の中にその網目からこぼれ落ちない大きさの砕石・割石・玉石等の礫を詰め込んだものであり,ウナギ・ナマズ・サンショウウオ等を含む魚類,カニ・エビ等の甲殻類,水生昆虫等の住処となる多様な空間(横穴,縦穴等)が内部に形成されている。そのような蛇籠20を幅区間Wの張り出し部分に配置することにより,上述した縮幅岸壁17に沿って拡幅区間Wの深部までさかのぼる反流Rが蛇籠20の全体に新しい水を常に送り入れ,死水域Dの発生を避けながら蛇籠20の内部を生物の生息に良好な環境に維持することができる。
例えば図1(B)及び(C)に示すように,拡幅区間Wの張り出し部分と同じ三次元形状の蛇籠20aを製造し,その蛇籠20aを張り出し部分の内側全体に嵌め込むように収納する。図示例の蛇籠20aは,一方の側面が三面張り水路19の所定幅Bの岸壁13と同一平面となり,他方の側面が拡幅岸壁16及び縮幅岸壁17に押し当てられるので,その両平面の間に水路幅の拡大・縮小に応じて深さの異なる横穴が形成される。このため,異なる深さの横穴を好む様々な生物の住処となり,拡幅区間Wの内部空間に多様な生物の定着を促進することができ,環境と調和した三面張り水路19の創造・回復を図ることができる。
或いは図2(B)及び(C)に示すように,拡幅区間Wの張り出し部分の内側全体に嵌め込む蛇籠20aに代えて,張り出し部分の内側岸面に沿って配置する蛇籠20bを用いることもできる。図示例の蛇籠20bは,ほぼ一定厚さの蛇籠20bを拡幅岸壁16及び縮幅岸壁17の表面に押し当てて配置したものである。この場合は,図1の場合のように深さの異なる横穴が形成されるわけではないが,ほぼ一定の深さの多数の横穴が形成されるので,そのような深さの横穴を好む生物の定着を促進することが期待できる。
好ましくは,図1(C)及び図2(C)に示すように,拡幅区間Wの張り出し部分の頂面を覆う蓋部材25を設け,その蓋部材25によって蛇籠20aの内部に生物の好む日陰を作る。蛇籠20aの内部に日陰を作ることにより,三面張りとする以前の水路と同様に日陰を隠れ場所等として利用する生物の定着を促進し,一層多様な生物が生息可能な三面張り水路19を創造・回復することが期待できる。また,拡幅区間Wに多様な魚類・甲殻類・水生昆虫等の生物を生息させることにより,蓋部材25の上及びその周辺の地上部において,それらを餌とするネズミ,蛇,カエル等の小動物や昆虫の生息を図ることもできる。
本発明の三面張り水路19は,岸側へ張り出す拡幅区間Wの張り出し部分に魚類,甲殻類,水生昆虫等の生物の住処となる蛇籠20を配置するので,水路断面を減少させずに生物の生息を促進することができる。また,拡幅区間Wの下流部分を縮幅岸壁17に沿ってさかのぼる反流Rを発生させ,その反流Rによって蛇籠20に常に新しい水を送り入れるので,死水域Dの発生を避けながら蛇籠20の内部を生物の生息に良好な環境に維持することができる。
こうして本発明の目的である「水路断面を減少させずに生物の生息を促進できる三面張り水路及び水路ブロック」の提供が達成できる。
図2(A)は,本発明の生物生息用三面張り水路ブロック10の他の一実施例を示す。図示例の水路ブロック10は,図1と同様に水路片側の岸壁13の一部分を岸側へ張り出した拡幅区間Wを有している。拡幅区間Wの下流部分の縮幅岸壁17は,図1の場合と同様に,水路幅が最大幅から所定幅Bまで緩やかに減少する交差角度θ(例えば60度以下)で三面張り水路19の所定幅Bの岸壁13と交差させる。水路幅を緩やかに減少させる縮幅岸壁17によって最大幅部15までさかのぼる反流Rを発生させ,拡幅区間Wの最大幅部15に常に新しい水を供給することができる。
他方,図2の拡幅区間Wの上流部分の拡幅岸壁16は,水路19の所定幅Bの岸壁13との交差角度αを実質上直角としている。例えば図3(C)に示すように,拡幅岸壁16の交差角度αを150度程度以上に大きくすると,上流域からの拡がり流Eが拡幅区間Wの張り出し部分に流れ込みやすくなるが,増水・洪水時に多量の水が張り出し部分に流入して,蛇籠20内の生物の生息環境が破壊される可能性がある。図2のように拡幅岸壁16の交差角度αをほぼ90度とすることにより,上流域からの拡がり流Eを増水・洪水時においても小さく抑え,蛇籠20内の生物の生息環境の破壊を防止することが期待できる。
また,本発明の三面張り水路19では,拡幅区間Wの下流部分(縮幅岸壁17)で発生する反流Rによって拡幅区間Wの最大幅部15に新しい水を常に供給することができるので,例えば図3(D)に示すように,拡幅区間Wの上流部分(拡幅岸壁16)の交差角度αを90度以下とすることも考えられる。すなわち,交差角度αを90度以下とすることにより,平常時において下流部分の反流Rによって最大幅部15における死水域Dの発生を避けながら,増水・洪水時において上流域からの最大幅部15への水の流入を一層効率的に防止できるので,拡幅区間Wの最大幅部15を増水・洪水によっても破壊されにくい生物の生息環境とすることが期待できる。
1…三面張り水路ブロック 1a…半割ブロック
1b…分割 2…底壁
3…岸壁 5…ジョイント部
6…メッシュ状部材 6a…鋼板
7…三面張り水路 8…拡幅部
10…三面張り水路ブロック 10a…半割ブロック
10b…分割
12…底壁 13…岸壁
15…最大幅部 16…拡幅岸壁
17…縮幅岸壁 18…拡幅区間の底壁
19…三面張り水路
20,20a,20b…蛇籠 25…蓋部材
D…死水域 F…水路流
R…反流 E…拡がり流
W…拡幅区画 P…張り出し長
B…水路幅

Claims (8)

  1. 水底及び両岸をコンクリート張りとした所定幅の水路に少なくとも片岸へ張り出すコンクリート張りの拡幅区間を形成し,前記拡幅区間の上流部分に前記所定幅の水路の岸壁と90〜120度の所定角度αで交差するコンクリート張りの拡幅岸壁を設け,前記拡幅区間の下流部分に前記所定幅の水路の岸壁と60度以下の所定角度θで交差して水路幅を緩やかに所定幅へ戻すコンクリート張りの縮幅岸壁を設け,前記拡幅区間の張り出し部分の内側全体又は内側岸面に蛇籠を配置し,前記拡幅区間の縮幅端において縮幅岸壁に沿って拡幅区間の深部までさかのぼり蛇籠内に進入する反流を発生させてなる生物生息用三面張り水路。
  2. 請求項の水路において,前記拡幅区間の張り出し部分の水底を岸側から水路側へ徐々に低くなる傾斜面としてなる生物生息用三面張り水路。
  3. 請求項1又は2の水路において,前記所定幅の水路の岸壁に対する前記拡幅岸壁の交差角度αを実質上直角としてなる生物生息用三面張り水路。
  4. 請求項1から3の何れかの水路において,前記拡幅区間の張り出し部分の頂面を覆う蓋部材を設けてなる生物生息用三面張り水路。
  5. 所定幅の水路の底及び両岸を覆うコンクリート三面張り水路ブロックにおいて,前記ブロックの水路方向の一部分に少なくとも片岸へ張り出して形成したコンクリート張りの拡幅区間,前記拡幅区間の上流部分に前記所定幅の水路の岸壁と90〜120度の所定角度αで交差するように設けたコンクリート張りの拡幅岸壁,及び前記拡幅区間の下流部分に前記所定幅の水路の岸壁と60度以下の所定角度θで交差して水路幅を緩やかに所定幅へ戻すように設けたコンクリート張りの縮幅岸壁を備え,前記拡幅区間の張り出し部分の内側全体又は内側岸面に蛇籠を配置したときに,前記拡幅区間の縮幅端において縮幅岸壁に沿って拡幅区間の深部までさかのぼり蛇籠内に進入する反流を発生させる生物生息用三面張り水路ブロック。
  6. 請求項の水路ブロックにおいて,前記拡幅区間の張り出し部分の水底を岸側から水路側へ徐々に低くなる傾斜面としてなる生物生息用三面張り水路ブロック。
  7. 請求項5又は6の水路ブロックにおいて,前記所定幅の水路の岸壁に対する前記拡幅岸壁の所定角度αを実質上直角としてなる生物生息用三面張り水路ブロック。
  8. 請求項5から7の何れかの水路ブロックにおいて,前記拡幅区間の張り出し部分の頂面を覆う蓋部材を設けてなる生物生息用三面張り水路ブロック。
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