JP6471602B2 - 透明封止材 - Google Patents

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Description

本発明は、長時間にわたり高温多湿の過酷な環境に曝した場合にも、あるいは、ガラスよりも透湿性の高いアクリル板やポリカーボネート板などの透明プラスチック板と積層させた場合にも、白化等の外観変化を抑制することが可能な透明封止材に関するものである。
近年、画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD)、マイクロエレクトロメカニカルシャッターディスプレイ(MEMSD)、電子ペーパー等の各種画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を、封止材として粘着シートや硬化性の液体で充填し、入射光や表示画像からの出射光の空気層界面での反射を抑えることが行われている。
封止材の材料としては、高透明性、耐光性、耐熱性、経済性などの観点からアクリル系の材料が広く使われている。アクリル系封止材は、アクリル酸エステル共重合体をエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系あるいは金属化合物系の架橋剤で架橋させるものや、アクリル酸エステルモノマーを紫外線架橋させるものが知られている。
このような封止材は、視認性を損なうことなく機能性の異なる材料を容易に多層化できることが特徴である。多層化された製品は耐久性が要求され、使用環境下において剥がれることなく、視認性も良好に保持される必要がある。ところが、アクリル系封止材を使用した場合に、高温・多湿環境や温水浸漬あるいは煮沸の条件下に長時間保持された際、封止材層に水分が入り込むことで白濁して視認性が損なわれるという問題があった。
上記の問題を解決するため、材料に酸成分や親水性基等を含有させたりする手法が広く用いられている。たとえば、特許文献1では、水酸基含有モノマーと水溶性アクリルアミドを含むアクリル系ポリマーとイソシアネート系架橋剤を使用している。特許文献2ではヒドロキシル基を有する粘着付与剤を添加している。
特開2013−256552号公報 特開2014−077096号公報
従来の技術では、酸成分や、ヒドロキシル基を含む成分、水溶性の成分など、親水性の高い成分を導入することで、封止材層に浸入した水分を系内に分散させて、白化を抑制していた。しかしながら、どれだけ親水性の高い成分を用いたとしても、封止材が分散できる水分量には限界があり、たとえば、前面板にガラスよりも透湿度の高い透明プラスチック板を用いる場合や、水中で長時間使用する場合など、極めて水分の浸入しやすい過酷な環境に用いられる場合には、水分の浸入量が分散できる水分量をオーバーし、白化を抑制できない可能性があった。
さらに、封止材層に親水性を付与することによって、樹脂が吸湿しやすくなるため、封止材層の凝集力が低下し、湿熱環境での吸水量がさらに増大して白化が促進されるとともに、封止材層の耐久性が低下し、過酷な条件では発泡や剥がれ等の外観不良もより起こり易くなることがあった。
加えて、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD)に用いる場合などには、吸湿性の高い封止材を使用することによって、素子に悪影響を及ぼす懸念があった。
また、ガラス前面板の代替として、フレキシブルでかつ耐衝撃性の高い透明プラスチック板は広く開発が進められており、それらと適合性が良好な封止材が望まれていた。すなわち、透明プラスチック板と積層した場合にも白化等に伴う視認性低下を抑制できるような、新たな透明封止材が望まれていた。
本発明は、光硬化性樹脂組成物からなり、以下の物性(A)〜(C)を満たすことを特徴とする透明封止材である。
(A)85℃、85%RHの環境下で48時間静置した際の透明封止材の吸水率が0.5質量%以下。
(B)当該透明封止材を、ガラスと透明プラスチック板とで挟んで貼合させたサンプルのヘーズ(H)が5%以下。
(C)前記ヘーズ(H)と、前記サンプルを85℃、85%RHの環境下で500時間静置させた湿熱試験後のヘーズ(H)とのヘーズ変化量(H−H)が5%以下。
本発明が提案する透明封止材は、水分が浸入しやすい過酷な環境下において、白化等に伴う視認性低下を抑制することができる。また、貼り合わせる前の被着部材形状に合わせて、加工する際の裁断加工性、加工後の裁断形状の貼合前の常温下での長期保管安定性、貼合する際に被着部材に損傷を与えない低温溶融性、貼合後の凹凸段差吸収性、耐久性を付与するための光硬化特性、長期信頼性(耐熱性、耐湿熱性、耐金属腐食性)、および電気特性などの優れた効果を両立することができる。
以下、本発明の透明封止材の実施形態の詳細について説明する。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。
[光硬化性樹脂組成物]
本発明の透明封止材は、光硬化性樹脂組成物(「本光硬化性樹脂組成物」と称する)をフィルム状または塊状に成形することで作製される。また、流動状態の本光硬化性樹脂組成物を透明封止材として充填することにより、透明封止層とすることもできる。
ここで、本光硬化性樹脂組成物は、吸水率が85℃、85%RHの環境下で48時間静置した際の吸水率が0.5質量%以下であることが重要である。中でも、0.4質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。この吸水率は、光硬化させた後の透明封止材において測定される。前記吸水率が0.5質量%以下であることによって、水分が浸入しやすい過酷な環境下においても、白化等に伴う視認性低下を抑制することができる。また、OELDなどに用いられる水分に弱い素子と貼合するような場合には、素子の劣化を抑制することができる。
吸水率は、約2g程度の透明封止材を23℃、50%RHの環境下で2時間静置したのちに測定した質量に対して、85℃、85%RHの環境下で48時間静置し23℃、50%RHの環境下に取り出してから5分以内に測定した質量の増加率、すなわち吸湿による質量増加率から求めることができる。
光硬化性樹脂組成物の組成は、吸水率を低くすることができれば特に限定されないが、組成物の主成分として、低吸水率のベース樹脂を用いることが好ましい。
ベース樹脂の吸水率は、0.5質量%以下であることが好ましく、中でも0.4質量%以下であることがさらに好ましく、0.3質量%以下であることが特に好ましい。ベース樹脂の組成については限定されないが、前述した封止材としての各種要求特性や、入手しやすさ、経済性等を考慮すると、オレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
また、樹脂組成物に光硬化性を付与する方法としては限定されるものではなく、光硬化性を付与させたベース樹脂を用いたり、ベース樹脂に架橋剤や光架橋開始剤を含有させたりすることができる。中でも、製造工程の簡素化や、耐熱性、長期信頼性等を考慮すると、ベース樹脂に架橋剤および光架橋開始剤を含有させることがより好ましい。
一例として、ベース樹脂に適したオレフィン系樹脂、およびベース樹脂に含有させるのに適した架橋剤および光架橋開始剤について下記する。
[オレフィン系樹脂]
前記吸水率が0.5質量%以下とするためには、前記光硬化性樹脂組成物にオレフィン系樹脂を少なくとも1種以上含まれていることが好ましい。
オレフィン系樹脂の種類として、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどを重合した単独重合体または共重合体が挙げられる。この中でも、エチレン−α−オレフィン系共重合体がより好ましい。
前記エチレン−α−オレフィン系共重合体は、エチレン鎖に由来する結晶構造を有しており、示差走査熱量計(DSC)に基づくその結晶融解ピークが常温(23℃)以上を有していることが好ましい。これにより、常温において結晶構造が維持されて流動しない高い貯蔵弾性率G’を保持することが可能である。
よって、加工する際の裁断加工性、加工後の裁断形状の貼合前の常温下での長期保管安定性に優れたものを得ることができる。
エチレンと共重合するα−オレフィンの種類としては、特に限定されるものではない。通常は、当該α−オレフィンとして、炭素数が3〜20のα−オレフィンが好適に用いられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。中でも、工業的な入手のしやすさ、経済性等の観点から、α−オレフィンとして1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンを共重合成分とする共重合体が好ましい。
なお、エチレンと共重合するα−オレフィンは、1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量は、特に限定されるものではない。当該α−オレフィンの含有量は、共重合に使用するモノマー全体に対して、好ましくは2モル%以上50モル%以下であり、中でも3モル%以上或いは40モル%以下、その中でも5モル%以上或いは30モル%以下であるのがさらに好ましい。
エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量が前記範囲内であれば、共重合成分によって結晶性が低減され、透明性(例えば全光線透過率、ヘイズなど)が向上するために好ましい。さらに、エチレンと共重合するα−オレフィンの含有量が前記範囲内であれば、原料ペレットを作製する場合に、ブロッキングの発生等が抑制されるため好ましい。また、原料の形状はペレット状に限定されず、フレーク状、塊状、あるいは流動性を有していてもよい。なお、エチレンと共重合するα−オレフィンの種類及び含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)測定装置、その他の機器分析装置で分析することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体は、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。
前記単量体単位としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。
前記単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体中の全単量体単位を100モル%とした場合、好ましくは20モル%以下であり、より好ましくは15モル%以下である。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体の立体構造、分岐、分岐度分布、分子量分布や共重合形式(ランダム、ブロックなど)は、特に制限されるものではない。例えば、長鎖分岐を有する共重合体は、一般に機械物性が良好であり、また、フィルムを成形する際の溶融張力(メルトテンション)が高くなり、カレンダー成形性が向上するなどの利点がある。なお、長鎖分岐を有する当該共重合体は、多官能性モノマーを重合時に系内に少量添加するなどの方法により得ることができる。
オレフィン系樹脂の結晶融解ピーク温度の有無については限定されないが、封止材の室温でのハンドリング性や保管安定性と、高温での貼合適性を両立させることを考慮すると、結晶融解ピークを有することが好ましい。オレフィン系樹脂の結晶融解ピーク温度の上限は特に限定されるものではないが、透明性や低温柔軟性、貼合適性等を考慮すると、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。また、当該結晶融解ピーク温度の下限は、原料ペレットのブロッキング防止や封止フィルムの室温での形状保持性能などを考慮すると、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは40℃以上である。また、結晶融解ピーク温度は複数あってもよい。
オレフィン系樹脂の結晶融解熱量は、特に限定されるものではない。オレフィン系樹脂の結晶融解熱量は、好ましくは0〜100J/gであり、中でも5J/g以上或いは80J/g以下、その中でも10J/g以上或いは65J/g以下であるのがさらに好ましい。前記範囲内であれば、本発明の透明封止材の柔軟性や透明性(全光線透過率、ヘーズ)などが確保されるため、好ましい。なお、前記結晶融解ピーク温度及び結晶融解熱量は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、JIS K7121に準じて加熱速度10℃/分で測定することができる。
オレフィン系樹脂のMFR(JIS K7210:温度190℃、荷重21.18N)は、特に制限されるものではない。オレフィン系樹脂の当該MFRは、好ましくは5g/10min以上60g/10min以下であり、中でも8g/10min以上或いは50g/10min以下であるのがさらに好ましく、その中でも10g/10min以上或いは45g/10min以下であるのが特に好ましい。MFRが規定された範囲内にあることで、優れたハンドリング性、保管安定性と、加工適性、貼合適性とを両立することができる。
オレフィン系樹脂としては、優れた透明性や貼合適性、低温特性等を付与するため、密度は0.850〜0.900g/cmが好ましく、中でも密度が0.860g/cm以上或いは0.885g/cm以下であることがより好ましい。
オレフィン系樹脂としては、吸水率が低いだけでなく、結晶性が低く、光の透過率及び柔軟性に優れる観点から、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体が更に好ましい。これらは1種のみを単独で用いられてもよく、また2種類以上が混合されて使用されてもよい。
オレフィン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のエチレン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。公知の重合方法として、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレットのブロッキング防止等の観点から、低分子量の成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法を用いて製造することが好ましい。
前記オレフィン系樹脂には、組成や分子量の異なるエチレン−α−オレフィン系共重合体や他の官能基変性エチレン−α−オレフィン系共重合体など結晶融解ピーク、溶融粘度の異なる共重合体を混合させてもよい。
オレフィン系樹脂は、変性オレフィン系樹脂であってもよい。変性オレフィン系樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えば、変性エチレン−α−オレフィン共重合体の具体的な種類の一例として、シラン変性エチレン−α−オレフィン、酸変性エチレン−α−オレフィンなどが挙げられる。
前記変性オレフィン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、変性エチレン−α−オレフィン共重合体の場合、シラン変性エチレン−α−オレフィンは、エチレン−α−オレフィン系共重合体、後述するシランカップリング剤及びラジカル発生剤を高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。また、酸変性エチレン−α−オレフィンは、エチレン−α−オレフィン、無水マレイン酸及びラジカル発生剤を高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。
[架橋剤]
本光硬化性樹脂組成物に架橋剤を含有することによって、加熱貼合した後に再流動しないように、被着部材越しに活性エネルギー線を本光硬化性樹脂組成物に照射した際に、ベース樹脂と架橋反応したり、架橋剤間でネットワークを形成したりして、光硬化後の本光硬化性樹脂組成物(「本硬化組成物」とも称する)の貯蔵弾性率G’を向上させることができ、実用上の耐久性を本硬化組成物に付与することができ、長期信頼性試験において、再流動、被着部材間のズレ、剥がれ、発泡などの問題を解決できる。
架橋剤は、特に限定されるものではない。架橋剤は、ベース樹脂との相溶性、粘着剤組成物の透明性、加工後の安定性等を考慮すると、ラジカル架橋反応可能なビニルエステルおよび(メタ)アクリル酸エステルなどの単官能および2官能以上の多官能の架橋剤の中から、直鎖状脂肪族系、環状脂肪族系あるいは芳香族系の架橋剤を選択して用いることが好ましく、その中でも炭素数が6以上の脂肪族系、あるいは環状脂肪族系の架橋剤を用いることがより好ましい。
このような疎水性の高い架橋剤を用いることで、吸水率の低いベース樹脂と混ざりやすくなり、長期保管におけるブリードアウトや相分離、透明性の低下などの粘着剤組成物の変質を抑制することができる。
前記架橋剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して1〜50質量部であるのが好ましく、より好ましくは1〜20質量部、さらにより好ましくは1〜10質量部である。架橋剤を前記範囲で含有することによって、光硬化前における粘着剤組成物の十分な形状安定性を有するだけでなく、光硬化後における発泡を十分に抑制させることができる。
架橋剤の具体例としては、単官能(メタ)アクリレートとして、イソボルニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ビヒニル(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートとして、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの架橋剤は、単一で使用しても、複数種使用してもよい。
架橋剤を複数種使用する場合、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することが好ましい。これにより、活性エネルギー線による光硬化時の収縮を抑えたり、ベース樹脂との相溶性を高めたりすることが可能である。
[光架橋開始剤]
光架橋開始剤は、本光硬化性樹脂組成物を加熱貼合後に被着部材越しに活性エネルギー線を照射した際に、前記架橋剤をラジカル架橋反応させるためのラジカル発生剤の役割を果たす。
本光硬化性樹脂組成物が光架橋開始剤を含有することによって、低温下で短時間に光硬化させることができるため、本光硬化性樹脂組成物からなる透明封止材を光学装置構成部材と積層する際に、被着部材である光学装置構成部材への損傷を十分回避することができる。
前記光架橋開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光架橋開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光架橋開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光架橋開始剤とに大別される。
開裂型光架橋開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると反応開始剤としての機能をもたなくなる。このため、架橋反応終了後の粘着剤組成物中に活性種として残存することがなく、粘着剤組成物に予期せぬ光劣化等をもたらすおそれがないため、好ましい。
他方、水素引抜型光架橋開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光架橋開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着部材へのダメージを低減させることができる点で有用である。
前記開裂型光架橋開始剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドや、それらの誘導体などを挙げることができる。
前記水素引抜型光架橋開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルぎ酸メチル、ビス(2−フェニル−2−オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、3−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノンやその誘導体などを挙げることができる。
但し、光架橋開始剤として前記に挙げた物質に限定するものではない。光架橋開始剤は、開裂型光架橋開始剤及び水素引抜型光架橋開始剤のいずれか一種を使用してもよいし、両者を組み合わせて使用してもよい。
前記光架橋開始剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して0.3〜5質量部であり、好ましくは0.3〜3質量部であり、中でも0.5質量部以上或いは2質量部以下であるのがさらに好ましい。光架橋開始剤を前記範囲で含有することによって、活性エネルギー線に対して適度な反応性を有することができる。
[添加剤]
本粘着剤組成物は、必要に応じて種々の添加剤を含有してもよい。
当該添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、耐候安定剤、加工助剤、造核剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、変色防止剤等が挙げられる。これらの添加剤を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、シランカップリング剤、酸化防止剤、耐候安定剤、加工助剤について後述する。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、本光硬化性樹脂組成物からなる透明封止材を用いる際に、保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシート等)や太陽電池モジュール等に対する接着性を向上させるのに有用であり、例えば、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基等とともに、アルコキシ基のような加水分解可能な官能基を有する化合物が挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を例示することができる。
中でも、本光硬化性樹脂組成物においては、接着性が良好であり、黄変等の変色が少ないこと等の観点から、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いることができる。前記シランカップリング剤は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記シランカップリング剤の添加量は、本光硬化性樹脂組成物100質量部に対し、好ましくは0.1〜5質量部程度であり、より好ましくは0.2〜3質量部である。また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物等のカップリング剤も有効に活用できる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、種々の市販品が適用できる。酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系等のフェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の各種タイプのものを挙げることができる。
モノフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ]5,5−ウンデカン等を挙げることができる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール(ビタミンE)等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等を挙げることができる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/またはジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
本光硬化性樹脂組成物においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性等の観点から、フェノール系及びホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることが、添加量に対する酸化防止剤としての効果を高めることができるため、さらに好ましい。
酸化防止剤の添加量は、特に限定されるものではないが、本光硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上1質量部以下であり、中でも0.2質量部以上或いは0.5質量部以下であるのがさらに好ましい。
(耐候安定剤)
耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等を挙げることができる。
耐候安定剤の添加量は、特に限定されるものではないが、本光硬化性樹脂組成物100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上1質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下である。
(加工助剤)
加工助剤は、本光硬化性樹脂組成物の微粘着性の調整や加熱溶融時の流動調整に用いることができる。例えば、透明性を疎外しない程度でパラフィンオイル、無機系もしくは有機系のナノ微粒子などを適宜選択して添加することが可能である。
[その他の樹脂]
本光硬化性樹脂組成物は、吸水率が所定の範囲を満たすことのできる範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)や成形加工性または経済性等をさらに向上させる目的で、前記オレフィン系樹脂以外の樹脂を含むことができる。例えば、官能基を有するポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、粘着付与樹脂、各種エラストマー等が挙げられる。
(官能基を有するポリオレフィン系樹脂)
官能基を有するポリオレフィン系樹脂の種類は特に限定されるものではない。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(E−MMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(E−EAA)、エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体(E−GMA)からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
(アイオノマー樹脂)
アイオノマー樹脂の種類としては、例えば、イオン架橋性エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはイオン架橋性エチレン−アクリル酸共重合体を挙げることができる。その製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、エチレンと、不飽和カルボン酸と、任意成分として他の不飽和化合物からなる共重合体の不飽和カルボン酸成分の少なくとも一部を金属イオンもしくは有機アミンのうち少なくともいずれか一方で中和することにより得ることができる。
また、アイオノマー樹脂は、例えば、エチレンと、不飽和カルボン酸エステルと、任意成分として他の不飽和化合物からなる共重合体の不飽和カルボン酸エステル成分の少なくとも一部を鹸化することによっても得ることができる。
(粘着付与樹脂)
粘着付与樹脂としては、例えば、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体等が挙げられる。
前記石油樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンまたはその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂が例示できる。
前記テルペン樹脂としては、例えば、β−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が例示できる。
前記クマロン−インデン樹脂としては、例えば、クマロン−インデン共重合体、クマロン−インデン−スチレン共重合体が例示できる。
また、前記ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。
粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されるものではない。例えば、透明封止材を構成する光硬化性樹脂組成物100質量部に対し、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下である。
(各種エラストマー)
各種エラストマーとしては、特に制限されるものではない。スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。中でも、透明性や耐加水分解性の観点から、スチレン系エラストマーが好ましい。
前記スチレン系エラストマーとしては、SBR(スチレンブタジエンラバー)、SBS(スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)、SEBC(スチレン−エチレン−ブチレン−エチレンブロック共重合体)、HSBR(水添スチレンブタジエンラバー)等が挙げられる。スチレン含有量は特に制限されるものではないが、耐候性の観点から、エラストマーを構成する全単量体成分に対して、20モル%以下が好ましい。
[積層構成]
本光硬化性樹脂組成物又は本硬化組成物から形成される透明封止材は、透明封止層(I層)を少なくとも1層以上有していればよく、単層構成か積層構成かについては限定されない。単一の組成からなる単層構成にすることで、透明封止層の製膜工程を簡略化することが可能である。
また、組成内容や組成比が異なる他の層(II層)を有する積層構成にすることで、透明封止層に要求される各種特性をバランスよく達成させることが可能である。
本光硬化性樹脂組成物又は本硬化組成物から形成される透明封止材では、前記II層は、異種材料と積層してなる積層構成でもよい。例えば、SiOやAlなどの透明無機酸化膜やバリアフィルム、ディスプレイ用位相差フィルムを中間層として積層してなる積層構成や、公知の粘着剤や接着剤を表層に備えた積層構成等が挙げられる。
本光硬化性樹脂組成物又は本硬化組成物から形成される透明封止材の積層構成としては、I層/II層のような2種2層構成、I層/II層/I層のような2種3層構成が挙げられる。更に層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。中でも、貼合における凹凸段差吸収性の観点から、I層/II層/I層がより好ましい。
このような積層構成において、I層とII層との総厚み比については、I層/II層の値が0.05〜20であることが好ましく、中でも0.1以上或いは15以下であることがより好ましく、中でも0.5以上或いは12以下であることが更に好ましい。I層/II層の値が前記範囲であることによって、貼合における凹凸段差吸収性を十分に確保することができる。
なお、本光硬化性樹脂組成物又は本硬化組成物から形成される透明封止材は、透明封止材の構成によらず、透明封止材の片面または両面に保護フィルムを積層してなる透明封止材積層体としてもよい。
[透明封止材の物性]
本発明の透明封止材(「本透明封止材」と称する)は、光硬化前及び光硬化後の状態において、JIS K7121に準じて測定される示差走査熱量計(DSC)の昇温過程における結晶融解ピークが23〜80℃であることが好ましく、中でも35℃以上或いは70℃以下であるのが好ましく、その中でも40℃以上或いは65℃以下であるのがさらに好ましい。なお、本透明封止材の光硬化前と光硬化後とを比べても、結晶融解ピークに大きな差は認められないことを確認している。なお、結晶融解ピークが複数存在する場合は、最もピーク強度が大きいものを本透明封止材の結晶融解ピークとする。
本透明封止材の結晶融解ピークは、樹脂の結晶構造に由来するものである。本透明封止材の結晶融解ピークが前記温度範囲であることで、常温保存環境では結晶構造が維持されるために流動せず、高い貯蔵弾性率G’を保持することができる。さらに、被着部材である画像表示装置や光学装置構成部材に損傷を与えない温度範囲で結晶を融解させながら流動させることができるため、凹凸段差を吸収することが可能である。
これに対し、当該結晶融解ピークが23℃以上とすることで、被着部材である画像表示装置や光学装置構成部材に損傷を与えずにホットメルト貼合することができる。一方、結晶融解ピークが80℃以下とすることで、常温での長期保管あるいは輸送時において、貼合前の透明封止材(ロール品や裁断加工品)の形状安定性が十分に保持することができる。
本透明封止材の光硬化前及び光硬化後の状態において、当該結晶融解ピークを前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の種類や含有量、その一次構造(ランダム性)などを調整するのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
本透明封止材は、光硬化前の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が100kPa以上5000kPa未満であることが好ましく、中でも500kPa以上或いは4000kPa以下であるのがさらに好ましく、その中でも700kPa以上或いは3500Pa以下であるのがさらに好ましい。
本透明封止材が、光硬化前の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が100kPa以上であることで、透明封止材は常温の長期保管において十分な安定性が得ることができる。一方、光硬化前の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が5000kPa未満であることで、透明封止材は微粘着性を有するので、貼合時において位置決めなどのハンドリング性を十分に有することができる。
よって、光硬化前の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が100kPa以上5000kPa未満であれば、透明封止材に常温の長期保管性と被着体への適度な濡れ性を有することが可能であり、貼合時の仮止めによる位置決めなどのハンドリングが容易に可能である。
本透明封止材において、温度23℃、周波数1Hzでの当該貯蔵弾性率G’を前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の密度や結晶性を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加剤の種類や含有量を変更したりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
本透明封止材は、光硬化前の状態で、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が1kPa以上30kPa以下であることが好ましく、中でも2kPa以上或いは15kPa以下であるのがさらに好ましく、その中でも3kPa以上或いは10kPa以下であるのがさらに好ましい。
光硬化前の状態で、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が1kPa以上であれば、本透明封止材が加熱貼合時に流動による被着部材からのオーバーフローを十分に抑制することができる。一方、光硬化前の状態で、貯蔵弾性率G’が30kPa以下であれば、十分な凹凸段差吸収性を有し、被着部材の非接着面側が平滑に仕上げることができる。
よって、光硬化前の状態で、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が1kPa以上30kPa以下であることが、被着部材を損傷させることなく、加熱貼合時に空隙を生じることなく凹凸のある被着部材間の段差を十分吸収して、被着部材の非接着面側が平滑に仕上がるように貼り合せることが可能である。
本透明封止材において、温度85℃、周波数1Hzにおける当該貯蔵弾性率G’を前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の分子量を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加剤の種類や含有量を変更したりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
本透明封止材は、光硬化前の状態で、温度85℃、周波数1Hzでの損失正接tanδが1.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは3.0以上である。前記損失正接tanδの上限値については特に限定されるものではないが、100以下が好ましい。
光硬化前の状態で、温度85℃、周波数1Hzでの損失正接tanδが1.0以上であることで、加熱貼合時に本透明封止材を十分に流動させることが可能であり、加熱貼合時に空隙を生じることなく十分な凹凸段差吸収性を有し、被着部材の非接着面側が平滑に仕上がるように貼り合せることが可能である。
本透明封止材において、温度85℃、周波数1Hzでの当該損失正接tanδを前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の分子量を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加剤の種類や含有量を変更したりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
本透明封止材は、光硬化後の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が100kPa以上5000kPa以下であることが好ましく、中でも500kPa以上或いは4000kPa以下であるのがさらに好ましく、その中でも700kPa以上或いは3500Pa以下であるのがさらに好ましい。
光硬化後の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が100kPa以上であれば、流動、被着部材間のズレ、剥がれ、発泡の発生を十分に抑制することができ、実用上十分な耐久性が得られる。一方、光硬化後の状態で、温度23℃、周波数1Hzでの貯蔵弾性率G’が5000kPa以下であれば、透明封止材として十分な応力緩和や接着力を確保することができる。
よって、光硬化後の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が100kPa以上5000kPa以下であることで、実用上の耐久性を得ることができ、長期信頼性試験においても、再流動、被着部材間のズレ、剥がれ、発泡などの問題を解決できる。
本透明封止材において、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’を前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の分子量を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加物の種類や含有量を変更したり、光硬化時に与える活性エネルギー線照射量を増加させたりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
本透明封止材は、光硬化後の状態で、温度85℃、周波数1Hzでの貯蔵弾性率G’が5kPa以上500kPa以下であることが好ましく、中でも30kPa以上或いは400kPa以下であるのがさらに好ましく、その中でも50kPa以上或いは300kPa以下であるのが特に好ましい。
光硬化後の状態で、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が5kPa以上であれば、高温でも十分な凝集力が得られるため、加熱試験中に再流動して、被着部材間のズレ、剥がれ、発泡の発生を十分に抑制することができる。一方、光硬化後の状態で、温度85℃、周波数1Hzでの貯蔵弾性率G’が500kPa以下であれば、透明封止材として十分な応力緩和や接着力を確保することができる。
よって、光硬化後の状態で、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が5kPa以上500kPa以下であることで、実用上の耐久性を得ることができ、長期信頼性試験においても、再流動、被着部材間のズレ、剥がれ、発泡などの問題を解決できる。
本透明封止材において、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’を前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の分子量を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加物の種類や含有量を変更したり、光硬化時に与える活性エネルギー線照射量を増加させたりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
本透明封止材は、光硬化後の状態で、温度85℃、周波数1Hzにおける損失正接tanδが1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下である。前記損失正接tanδの下限については特に限定されるものではないが、0.01以上が好ましい。光硬化後の状態で、温度85℃、周波数1Hzでの損失正接tanδが1.5以下とすることで、本光硬化性組成物は架橋によって光硬化され、実用上の耐熱性を得ることが可能となる。
本透明封止材において、温度85℃、周波数1Hzにおける損失正接tanδを前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の分子量を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加物の種類や含有量を変更したり、光硬化時に与える活性エネルギー線照射量を増加させたりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
本透明封止材をガラスと透明プラスチック板とで挟んで貼合させたサンプルについて、JIS K7136に準じて測定されるヘーズ(H)は5.0%以下であることが重要である。好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%以下である。
また、JIS K7361−1に準じて測定される全光線透過率(T)は88%以上であることが好ましく、より好ましくは89%以上、更に好ましくは90%以上である。
前記サンプルのヘーズ(H)、全光線透過率(T)が規定された範囲であることによって、十分な透明性を有することができ、スマートフォンなどのモバイル端末(PDA)、タブレット、パソコン、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなどのような画像表示装置、有機薄膜や色素増感などのような太陽電池モジュールあるいは有機EL素子の構成部材として用いる際に好適である。
前記サンプルのヘーズ(H)、全光線透過率(T)を前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の密度や結晶性を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加物の種類や含有量を変更したりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
前記サンプルのヘーズ(H)、全光線透過率(T)は、貼合後に必要に応じて光硬化して養生させたのち、23℃、50%RHで2時間以上静置したサンプルを用いて、23℃、50%RHの室温環境下において測定される値である。
本透明封止材について、JIS K7136に準じて測定されるヘーズ(H)と、湿熱試験として、前記サンプルを85℃、85%RHの環境下で500時間静置後のヘーズ(H)とのヘーズ変化量(H−H)は5.0%以下であることが重要である。好ましくは4.5%以下、より好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.5以下である。
また、湿熱試験として、前記サンプルを85℃、85%RHの環境下で500時間静置後のヘーズ(H)は9.0%以下であることが好ましく、より好ましくは7.0%以下、更に好ましくは5.0%以下である。
JIS K7361−1に準じて測定される85℃、85%RHの環境下で500時間静置後の全光線透過率(T)は88%以上であることが好ましく、より好ましくは89%以上、更に好ましくは90%以上である。
本透明封止材の前記ヘーズ変化量(H−H)、前記ヘーズ(H)、前記全光線透過率(T)が規定された範囲であることによって、過酷な環境下でも十分な透明性を有することができ、スマートフォンなどのモバイル端末(PDA)、タブレット、パソコン、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレットなどのような画像表示装置、有機薄膜や色素増感などのような太陽電池モジュールあるいは有機EL素子の構成部材として用いる際に好適である。
本透明封止材において、ヘーズ(H)又は全光線透過率(T)を前記範囲に調整するためには、ベース樹脂の密度や結晶性を調整したり、架橋剤や光架橋開始剤、あるいはその他添加物の種類や含有量を変更したりするのが好ましい。但し、その方法に限定するものではない。
前記サンプルの湿熱試験後のヘーズ(H)、湿熱試験後の全光線透過率(T)は、85℃、85%RHの湿熱環境にて500時間静置したサンプルを、23℃、50%RHで2時間静置してから測定される。また、HとTも、HとT同様、23℃、50%RHの室温環境下において測定される値である。
また、本透明封止材は、吸水率が低いなどの理由により、耐金属腐食性にも優れている。よって、透明導電フィルムや透明導電ガラスなどに用いられる金属導電層に対して、保護膜を介さずに好適に貼合することもできる。この時、耐金属腐食性の観点から、本透明封止材に含まれる酸成分は少なければ少ないほどより好ましく、酸成分が含まれていないことが更に好ましい。
なお、前記金属導電層に用いられる材料としては、酸化インジウム−スズ(ITO)、銀ナノワイヤー、銀メッシュ、銅ナノワイヤー、銅メッシュ、酸化亜鉛などが具体的に挙げられるが、特に限定されるものではない。
[透明封止材の製造方法]
本光硬化性樹脂組成物から透明封止材を製造する方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法、カレンダー法やインフレーション法等を採用することができる。中でも、ハンドリング性や生産性等の面から、押出キャスト法が好適である。
Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる光硬化性樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、好ましくは80〜230℃、より好ましくは90〜160℃である。
透明封止材の厚みは、特に限定されるものではない。好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.03mm以上、更に好ましくは0.05mm以上である。一方、上限として、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.7mm以下、更に好ましくは0.5mm以下である。
シランカップリング剤、酸化防止剤、耐候安定剤等の各種添加剤は、予めベース樹脂とともにブレンドしてからホッパーに供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよいし、添加剤のみを予めベース樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。
また、透明封止材の少なくとも片面には、ブロッキング防止や異物付着防止の観点から離型フィルムを積層させることが好ましい。あるいは、必要に応じて、エンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行ってもよい。また、各種被着部材への接着性を向上させる目的で、表面にコロナ処理、プラズマ処理およびプライマー処理などの各種表面処理を行ってもよい。
[光学装置構成用積層体]
前記透明封止材は、少なくともその片面に光学装置構成部材を積層させることで、光学装置構成用積層体を形成することができ、当該光学装置構成用積層体を用いて光学装置を構成することができる。
例えば、前記透明封止材と光学装置構成部材とを20℃以上100℃以下の温度で貼合して光学装置構成用積層体を形成した後、当該光学装置構成部材側から活性エネルギー線を透明封止材に照射して透明封止材を光硬化させることで、光学装置構成用積層体を形成することができる。
照射する活性エネルギー線としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線、紫外線、可視光線などが挙げられ、中でも光学装置構成部材へのダメージ抑制や反応制御の観点から紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などに関しては特に限定されず、光架橋開始剤を活性化させて、架橋を進行させることで透明封止材を光硬化させればよい。
前記光学装置構成部材としては、例えば、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル、位相差フィルム、偏光フィルムおよび透明プラスチック板からなる群のうちのいずれか1種類又は2種以上の組み合わせからなるものを挙げることができ、前記光学装置構成用積層体を、画像表示装置構成用積層体として用いて画像表示装置を構成することができる。
また、前記光学装置構成部材として、例えば、太陽電池セル、裏面保護パネルおよび表面保護パネルからなる群のうちいずれか1種類又は2種以上の組み合わせからなるものを挙げることができ、前記光学装置構成用積層体を太陽電池モジュールの構成部材として用いることができる。
また、前記光学装置構成部材として、例えば、表面保護基板、有機EL素子、裏面保護基板からなる群のうちいずれか1種類又は2種以上の組み合わせからなるものを挙げることができ、前記光学装置構成用積層体を有機EL素子の構成部材として用いることができる。
[語句の説明]
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
エチレン−ブテンランダム共重合体(密度:870kg/m、結晶融解ピーク(融点):55℃、α−オレフィンの含有量:14モル%、結晶融解熱量:53J/g、MFR(190℃、21.18N):35g/10min)を1kgに対して、シラン変性エチレン−オクテンランダム共重合体(密度868kg/m、融点54℃、MFR(190℃、21.18N):1.7g/10min)を50g、イソボルニルアクリレートを30g、1,10−デカンジオールジアクリレートを30g、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物からなる光架橋開始剤を15g混合して、光硬化性樹脂組成物1を作製した。
保護フィルムとして、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルMRA100、厚さ:100μm)の上に、前記光硬化性樹脂組成物1を厚さが150μmとなるようシート状に賦形して2層の透明封止材積層体を得た。更に、前記透明封止材の上に保護フィルムとして、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルMRF75、厚さ:75μm)を被覆することで、フィルム状の透明封止材の両面に保護フィルムを積層させた3層の透明封止材積層体を作製した。
[実施例2]
エチレン−ブテンランダム共重合体(密度:870kg/m、結晶融解ピーク(融点):55℃、α−オレフィンの含有量:14モル%、結晶融解熱量:53J/g、MFR(190℃、21.18N):35g/10min)を1kgに対して、シラン変性エチレン−オクテンランダム共重合体(密度868kg/m、融点54℃、MFR(190℃、21.18N):1.7g/10min)を50g、イソボルニルアクリレートを20g、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物からなる光架橋開始剤を15g混合して、光硬化性樹脂組成物2を作製した。
前記光硬化性樹脂組成物2を用いて、実施例1と同様の方法により透明封止材積層体を作製した。
[比較例1]
2−エチルヘキシルアクリレート60質量部、酢酸ビニル36質量部及びアクリル酸4質量部をランダム共重合させてなるアクリル系共重合体A(重量平均分子量:18万)を1kgに対して、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートを100g、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物からなる光架橋開始剤を15g混合して、光硬化性樹脂組成物3を作製した。
前記光硬化性樹脂組成物3を用いて、実施例1と同様の方法により透明封止材積層体を作製した。
[比較例2]
2−エチルヘキシルアクリレート77質量部、酢酸ビニル19質量部及びアクリル酸4質量部をランダム共重合させてなるアクリル系共重合体B(重量平均分子量:40万)を1kgに対して、イソシアヌル酸εカプロラクタム変性トリアクリレートを40g、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物からなる光架橋開始剤を15g混合して、光硬化性樹脂組成物4を作製した。
保護フィルムとして、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルMRA100、厚さ:100μm)の上に、前記光硬化性樹脂組成物3を厚さが150μmとなるようシート状に賦形して2層の透明封止材積層体を得た。更に、前記透明封止材の上に保護フィルムとして、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルMRF75、厚さ:75μm)を被覆した。その後、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム越しに、両面から高圧水銀ランプにて1000mJ/cmの紫外線を照射して架橋させることで、透明封止材の両面に保護フィルムを積層させた3層の透明封止材積層体を作製した。
[比較例3]
エチレン−酢酸ビニル共重合体(密度970kg/m、結晶融解ピーク温度:40℃、VA含有量:41wt%、MFR(190℃、21.18N):2g/10min)を1kgに対して、ステアリルアクリレートを750g、1,10−デカンジオールジアクリレートを100g、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物からなる光架橋開始剤を25g混合して、光硬化性樹脂組成物5を作製した。
前記光硬化性樹脂組成物5を用いて、実施例1と同様の方法により透明封止材積層体を作製した。
<透明封止材の物性/耐湿熱性>
透明封止材の物性および耐湿熱性については、下記(i)〜(v)の評価を行った。
(i)貯蔵弾性率G’
光硬化前の貯蔵弾性率G’は、実施例及び比較例で作成した透明封止材を1〜2mmの厚さになるように積層したものを直径20mmの円状に打ち抜いたものを測定試料とした。レオメータ(英弘精機株式会社製、MARS)を用いて、粘着治具:Φ25mmパラレルプレート、歪み:0.5%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:3℃/minの条件で、−50〜200℃を測定し、得られたデータから温度23℃、85℃における貯蔵弾性率G’を求めた。
光硬化後の貯蔵弾性率G’は、実施例及び比較例で作成した透明封止材を、離型フィルムを積層した状態で高圧水銀ランプを用いて紫外線を365nmの積算光量が4000mJ/cmとなるよう照射して透明封止材を光硬化した。23℃、50%RHで15時間以上養生したものを1〜2mmの厚さになるように積層して、測定試料とした。レオメータ(英弘精機株式会社製「MARS」)を用いて、粘着治具:Φ25mmパラレルプレート、歪み:0.5%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:3℃/minの条件で、−50〜200℃までを測定し、得られたデータから23℃、85℃における貯蔵弾性率G’を求めた。
(ii)吸水率
光硬化させた透明封止材を約2g程度切り出し、23℃、50%RHの環境下で2時間静置したのち、湿熱試験前の質量を電子天秤で秤量した。その後、85℃、85%RHの環境下で48時間静置し、23℃、50%RHの環境下に取り出してから5分以内に、湿熱試験後の質量を秤量した。その吸湿による質量増加率から、下式を用いて吸水率を算出した。
吸水率[%]=100×(湿熱試験後の質量−湿熱試験前の質量)/湿熱試験前の質量
(iii)ヘーズ(H)と全光線透過率(T
実施例1〜2、比較例1〜3にて作製したシートを、ソーダライムガラス(82mm×55mm、厚み0.5mm、全光線透過率92%、ヘーズ0.2%)と、透明プラスチック板(ポリカーボネート/アクリル積層板、三菱ガス化学社製MR58、厚み1mm、全光線透過率91%、ヘーズ0.4%)とで挟み込んでロール貼合した後、真空ラミネーター(日清紡メカトロニクス株式会社製、型番:PVL0505S)を用いて、温度:80℃、プレス時間:5分、プレス圧力:0.04MPaの条件でプレス貼合した。オートクレーブ処理(80℃、ゲージ圧:0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した。その後、高圧水銀ランプを用いて365nmの紫外線を積算光量が4000mJ/cmとなるよう、サンプルにガラス面から照射して透明封止フィルムを硬化させ、23℃、50%RHで15時間養生することで、ガラス/透明封止材/透明プラスチック板の順に積層したサンプルを3枚作製した。
上記サンプルについて、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH5000)を用いてJIS K7136に準じてヘーズ(H)を、JIS K7361−1に準じて全光線透過率(T)をそれぞれ測定した。
(iv)湿熱試験後のヘーズ(H)と全光線透過率(T
湿熱試験として、上記サンプルを85℃、85%RHの恒温恒湿槽にて500時間静置した後、23℃、50%RHの環境下にて2時間静置させた。上記サンプルを前記(iii)と同様に測定を行い、湿熱試験後のヘーズ(H)と全光線透過率(T)をそれぞれ測定した。
(v)耐発泡性
前記(iv)と同様の方法で湿熱試験を実施した3枚のサンプルの外観を観察した。評価は以下の基準で行った。
○:全てのサンプルで発泡や反りなどが発生しておらず、湿熱試験前後で外観にほとんど変化がない。
×:少なくとも1つのサンプルに、中央部もしくは端部に発泡が生じている、あるいは反りが生じている。
(vi)総合評価
耐湿熱性について、総合評価を以下の基準で行った。
◎:湿熱前後でサンプルにほとんど変化がみられず、外観が極めて良好である。
○:湿熱前後でごくわずかにヘーズ上昇または発泡がみられるものの、外観は比較的良好である。
×:ヘーズが大きく上昇している、かつ/または発泡等の不良が発生しており、外観が明らかに悪化している。
Figure 0006471602
Figure 0006471602
実施例1〜2で作製した吸水率の低い透明封止材は、ガラスと透明プラスチック板とで挟んで貼合させた積層体を85℃、85%RHの環境下で500時間静置するという、水分の浸入しやすい過酷な湿熱試験においても、白化が抑制され、かつ外観が良好であった。
一方、比較例1のような吸水率の高い封止材は、過酷な湿熱環境では、浸入してくる水分量が封止材中に分散できる水分量をオーバーするために白化が生じ、外観に劣るものであった。比較例2および3では、比較例1と同様に吸水率が高いことから、同様に湿熱による白化が生じた。加えて、硬化後の85℃での貯蔵弾性率G’も低いために高温時での耐久性が低く、さらに封止材が吸水することで耐久性がさらに低下することから、サンプルの反りや封止材の凝集力低下に起因する発泡が起こり、外観に劣る結果となった。

Claims (6)

  1. 吸水率が0.5質量%以下のオレフィン系樹脂と、ラジカル架橋反応可能なビニルエステル及び(メタ)アクリル酸エステルのうち、炭素数が6以上の脂肪族系あるいは環状脂肪族系の架橋剤と、光架橋開始剤とを含み、前記オレフィン系樹脂100質量部に対して前記架橋剤を1〜50質量部含み、前記光架橋開始剤を0.3〜5質量部含む光硬化性樹脂組成物からなり、以下の物性(A)〜(C)を満たすことを特徴とする透明封止材。
    (A)85℃、85%RHの環境下で48時間静置した際の透明封止材の吸水率が0.5質量%以下。
    (B)当該透明封止材を、ガラスと透明プラスチック板とで挟んで貼合させたサンプルのヘーズ(H1)が5%以下。
    (C)前記ヘーズ(H1)と、前記サンプルを85℃、85%RHの環境下で500時間静置させた湿熱試験後のヘーズ(H2)とのヘーズ変化量(H2−H1)が5%以下。
  2. 前記オレフィン系樹脂が、エチレン−α−オレフィン系共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の透明封止材。
  3. 光硬化後の状態で、温度23℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が100kPa以上5000kPa以下、かつ、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が5kPa以上500kPa以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明封止材。
  4. 光硬化前の状態で、温度85℃、周波数1Hzにおける貯蔵弾性率G’が1kPa以上30kPa以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の透明封止材。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の透明封止材の少なくとも片面に離型フィルムを積層してなる透明封止材積層体。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の透明封止材の少なくとも片面に透明プラスチック板を積層してなる光学装置構成用積層体。
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