以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
(第1の実施の形態)
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置100は、例えば、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、及びファクシミリ(以下「FAX」と呼ぶ。)機能等を備える複合機(MFP)である。この画像形成装置100は、レーザー光を露光に利用する、所謂レーザー方式(電子写真方式)の印刷機能を備える。しかし、他の形式の印刷機能を備えたものであってもよい。画像形成装置100はまた、アドレス情報等の個人情報を登録するためのアドレス帳機能を持つ。
画像形成装置100は、ネットワーク50を介して、情報処理装置200と通信可能に接続される。情報処理装置200は、画像形成装置100を管理する管理者が使用する装置であって、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等からなる。画像形成装置100には情報処理装置200のアドレス情報(本実施の形態ではメールアドレス)が予め登録されている。画像形成装置100は、自装置に対する不審な操作を検出すると、そのことを管理者に通知するためのアラートメールを情報処理装置200に送信して注意喚起を行なう。
画像形成装置100はさらに、通常の通電状態である通常モード及び消費電力が抑制された省エネ状態のモードである省エネモードを有する。画像形成装置100は、消費電力を削減するために、ジョブの実行指示等の自装置に対する操作指示がない状態で所定の時間が経過すると通常モードから省エネモードに移行する。
[全体構成]
図2を参照して、画像形成装置100は、画像データに基づいて所定のシート(記録用紙)に多色又は単色の画像を形成する。画像形成装置100は、外部からの入力により、又は画像形成装置100が備える画像読取機能により画像データを含むジョブを取得して、取得したジョブを実行する。
画像形成装置100の上面には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台102が設けられている。原稿載置台102の下方には、原稿の画像情報を読取るスキャナ部118が配置されている。スキャナ部118の前方には、操作部140が設置されている。スキャナ部118の下方には、画像データによって示される画像を記録用紙に印刷するための画像形成部122が設けられている。画像形成部122の下側には、当該画像形成部122に対して記録用紙を給紙するための給紙部124が設けられている。この給紙部124は、記録用紙を収納する複数段の給紙トレイ124a〜124dを含む。各給紙トレイ124a〜124dにはそれぞれ給紙ローラ(図示せず。)が設けられており、この給紙ローラによって記録用紙が1枚単位で連続的に給送される。
[ハードウェア構成]
図3を参照して、画像形成装置100は、スキャナ部118、画像形成部122、給紙部124、及び操作部140に加えて、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read−Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)114、記憶部116、画像処理部120、用紙搬送部126、定着ユニット128、駆動制御部130、排紙処理部132、通信処理部134、外部メモリドライバ136、及びUSB(Universal Serial Bus)コネクタ138を含む。
CPU110は、画像形成装置100全体を制御する処理装置である。ROM112は、コンピュータプログラム等を記憶するための記憶装置であり、フォント用ROM、プログラム用ROM、及びデータ用ROM(以上、いずれも図示せず。)を含む。RAM114は揮発性の記憶装置である。記憶部116は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部116は、画像形成装置100の一般的な動作等を実現するためのコンピュータプログラムを記憶する。記憶部116は、他に、アドレス帳に登録された個人情報、及び、給紙トレイ等にセットされている記録用紙に関する情報(用紙情報)を含む各種設定情報等の種々の情報を記憶する。用紙情報は、例えば用紙サイズ、用紙種類、両面印刷が可能な記録用紙か否か等の情報を含む。
CPU110は、操作部140等からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、画像形成装置100の各部の動作、情報処理装置200等の外部機器との通信等の所望の処理を実行する。上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM112又は記憶部116に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM112又は記憶部116から読出されてRAM114に転送される。CPU110はRAM114の一部を作業領域としてプログラムを実行する。すなわち、CPU110は、ROM112又は記憶部116に格納されているコンピュータプログラムにしたがって画像形成装置100を構成する各部の制御を行ない、画像形成装置100の各機能を実現する。
スキャナ部118は、CCDラインセンサ(図示せず。)を含む。スキャナ部118は、原稿載置台102上に載置された原稿の画像表面に対し光源(図示せず。)から光を照射することによって得られる反射光像をCCDラインセンサ上に結像させ、光源を移動させながら原稿をスキャンする。CCDラインセンサは、結像した反射光像を順次光電変換して画像データとして画像処理部120に対して出力する。
画像処理部120は、MPU(Micro Processing Unit、図示せず。)を含む。画像処理部120は、スキャナ部118、又は、外部機器から受信した画像データに対して、例えば、ラスタライズ処理等の所定の画像処理を含む各種処理を施して所定の階調の印刷データを作成し、画像形成部122に対して出力する。
画像形成部122は、画像データによって示される画像をカラー又は単色で記録用紙に印刷するものであって、例えば、感光体ドラム、帯電装置、レーザースキャンユニット(LSU)、現像装置、転写装置、クリーニング装置、及び除電装置等を備えている。画像形成部122には、例えば、搬送路が設けられており、給紙部124から給紙されてきた記録用紙が搬送路に沿って搬送される。
給紙部124は、上記のように、複数段の給紙トレイ124a〜124dを含む。各給紙トレイ124a〜124dは、複数枚の記録用紙を収納可能であり、画像形成装置100の本体部に対して出入(開閉)可能に装着されている。給紙部124はまた、給紙トレイ124a〜124dに収納された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部122の搬送路へと送り出す。
用紙搬送部126は記録用紙を搬送するための搬送ローラ等を含む。用紙搬送部126は、給紙部124から給紙された記録用紙を画像形成装置100内部の搬送路に沿って搬送する。画像形成部122の搬送路に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラムと転写装置との間を通過し、さらに定着ユニット128を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
感光体ドラムは、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置により均一に帯電される。レーザースキャンユニットは、印刷対象の画像データに基づいてレーザー光を変調し、このレーザー光によって感光体ドラムの表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラムの表面に形成する。現像装置は、トナーを感光体ドラムの表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラムの表面に形成する。転写装置は、転写装置と感光体ドラムとの間を通過していく記録用紙に感光体ドラムの表面のトナー像を転写する。
定着ユニット128は、記録用紙を加熱するための加熱ローラと、記録用紙を加圧するための加圧ローラとを含む。記録用紙が、加熱ローラによって加熱され、かつ、加圧ローラによって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。定着ユニット128から排出された(印刷された)記録用紙は排紙トレイに排出される。
駆動制御部130は、ジョブの実行時における各機能部の駆動を制御する。排紙処理部132は、印刷済みの記録用紙の排紙処理を実行する。
USBコネクタ138は、USBメモリ等の外部メモリ60が電気的に接続される接続部である。CPU110は、外部メモリドライバ136を介して、USBコネクタ138に接続された外部メモリ60と通信する。
操作部140はユーザによる操作入力を受付ける。この操作部140は、タッチパネルディスプレイからなる操作パネルを含む。操作パネルは、液晶パネル等で構成された表示部142と、表示部142の上に配置され、タッチされた位置を検出するタッチパネルからなる入力部144とを含む。入力部144は、タッチパネルに代えて、又はタッチパネルに加えて、ハードウェアキーを含む構成であってもよい。表示部142は、画像形成装置100の状態及び各種処理の状態に関する情報等の各種情報をユーザに提供する。この操作パネルは、ユーザに対して対話的な操作インターフェイス(UI)を提供する。この対話的な操作インターフェイスは、タッチパネルから画像形成装置100全体の動作に対するユーザの指示を受付け、その指示の内容を表示パネルに表示するとともに、その指示に応じた制御信号をCPU110等に対して出力する。
通信処理部134は、ネットワーク50とのインターフェイスをとる。画像形成装置100は、この通信処理部134を介して、ネットワーク50上の情報処理装置200等と、所定の通信プロトコルにしたがったデータ通信を行なうことができる。画像形成装置100は、通信処理部134を介して、外部機器から印刷ジョブ等の各種処理の実行を命令する命令信号を受信できる。
画像形成装置100は、通常モードから省エネモードに移行する際の経過時間を計測する時間計測機能部(図示せず。)を持つ。この時間計測機能部は、操作部140が受付けた操作入力に応じた処理が終了すると時間計測を開始する。例えば、コピージョブの開始を指示する操作入力を操作部140が受付けた場合、時間計測機能部は、コピージョブが終了したことに応答して時間計測を開始する。アドレス帳を表示する操作入力を操作部140が受付けた場合、時間計測機能部は、アドレス帳が表示部142に表示されたことに応答して時間計測を開始する。さらに設定を変更する操作入力を操作部140が受付けた場合、時間計測機能部は、設定処理が終了したことに応答して時間計測を開始する。設定処理の終了は、設定が変更された後に終了した場合、及び設定が変更されずに終了した場合を含む。さらに、外部機器からのジョブ実行指示等を受信した場合、時間計測機能部は、受信したジョブ実行指示に応じたジョブが終了したことに応答して時間計測を開始する。
時間計測機能部による計測時間が所定の時間に達すると、CPU110は、所定の時間が経過したことを検出する。所定の時間が経過するまでに再び操作入力を受付けると、時間計測機能部は計測した時間をリセットする。操作部140が受付けた操作入力に応じた処理が終了すると、時間計測機能部は再び時間計測を開始する。この場合、最後の操作が終了してから所定の時間が経過すると、時間計測機能部は、そのことをCPU110に通知する。
この時間計測機能部は、操作部140に対する操作入力がなされた場合に加えて、外部機器からのジョブ実行指示等を受信した場合も、計測した時間をリセットする。例えばネットワーク50を介したプリントジョブ、又はFAX受信ジョブが実行されると、計測した時間がリセットされ、実行しているジョブが終了すると時間計測が再び開始される。CPU110は、所定の時間が経過したことを検出すると、画像形成装置100を通常モードから省エネモードに移行させる。
なお、画像形成装置100は、ステープル処理等を行なう用紙後処理装置、セットされた原稿を原稿載置台102上に自動で搬送する自動原稿搬送装置、及び大容量給紙カセット等(以上、いずれも図示せず。)をオプション装置として装着可能とされている。こうした装置を必要に応じて画像形成装置100に装着することによって、当該画像形成装置100に機能を追加できる。
[ソフトウェア構成]
図4を参照して、不審な操作を検出して管理者に通知するために、画像形成装置100で実行されるコンピュータプログラムの制御構造について説明する。
このプログラムは、省エネモードから通常モードに移行したことに応じて開始する。このプログラムは、操作部140に対するユーザの操作入力を受付けたか否かを判定し、操作入力を受付けるまで待機するステップS1000と、ステップS1000において、操作入力を受付けたと判定された場合に実行され、受付けた操作入力に応じて処理を実行するステップS1010と、ステップS1010の後に実行され、処理終了後、所定の時間が経過したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1020と、ステップS1020において、所定の時間が経過していないと判定された場合に実行され、操作部140に対するユーザの操作入力又は外部機器からのジョブ実行指示等があったか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1030とを含む。ステップS1030において、操作部140に対するユーザの操作入力等がされたと判定された場合、制御はステップS1010に戻る。一方、ステップS1030において、操作部140に対するユーザの操作入力等がされていないと判定された場合、制御はステップS1020に戻る。
このプログラムはさらに、ステップS1020において、所定の時間が経過したと判定された場合に実行され、操作部140に対するユーザの操作入力によるジョブが実行されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1040と、ステップS1040において、ユーザの操作入力によるジョブが実行されていないと判定された場合に実行され、操作部140に対するユーザの操作入力によって情報の閲覧等(例えばアドレス帳の表示、設定の表示、又は設定変更等)が行なわれたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1050と、ステップS1050において、情報の閲覧等が行なわれたと判定された場合に実行され、不審な操作が行なわれたことを管理者に通知するために、通信処理部134を介して、情報処理装置200にアラートメールを送信するステップS1060とを含む。
ステップS1040において、ユーザの操作入力によるジョブが実行されていると判定された場合、ステップS1050において、情報の閲覧等が行なわれていないと判定された場合、又はステップS1060の処理が終了した場合は、このプログラムは終了する。
[動作]
本実施の形態に係る画像形成装置100は以下のように動作する。以下の説明では、画像形成装置100の動作の内、本発明に関連する部分のみを説明する。他の動作は従来の画像形成装置の動作と同じである。
画像形成装置100は省エネモードの状態にあるものとする。この画像形成装置100では、アドレス帳の閲覧(表示)及び一部の設定の変更については、ユーザ認証を要することなく行なうことができる。すなわち、未登録ユーザであってもこれらの操作を行なうことが可能である。画像形成装置100はさらに、コピー機能等の一部の機能については、未登録ユーザであっても実行可能とされている。
ユーザは、画像形成装置100を使用するために、当該画像形成装置100を省エネモードから通常モードに移行させる。画像形成装置100は、操作部140を介してユーザの操作入力を受付けると(図4に示すステップS1000においてYES)、受付けた操作入力に応じた処理を実行する(ステップS1010)。すなわち、操作部140からの入力により画像形成装置100の操作が行なわれる。画像形成装置100は、操作終了後(処理終了後)に経過時間の計測を開始する。経過時間が所定の時間に達する(操作に応じた処理が終了してから他の操作等を受付けることなく所定の時間が経過する)と(ステップS1020においてYES)、操作部140からの入力によって何らかのジョブの実行があったか否かを判定する。経過時間が所定の時間に達する前に、操作部140に対する操作入力が行なわれた、又は外部機器からのジョブ実行指示等を受信した場合は(ステップS1020においてNO、かつステップS1030においてYES)は、計測した時間をリセットして、操作入力又はジョブ実行指示等に応じた処理を実行する(ステップS1010)。
所定の時間が経過したか否かの計測は時間計測機能部によって行なわれる。そのため、通常モードから省エネモードに移行するタイミングで、画像形成装置100は、操作部140からの入力によって何らかのジョブの実行があったか否かを判定する。この判定処理によって、操作部140からの入力によるジョブの実行がなかったと判定された場合(ステップS1040においてNO)、画像形成装置100は、直前の操作時(直前の省エネモード状態から通常モードに移行された後の操作時)にユーザ情報へのアクセス(例えばアドレス帳の閲覧等)、設定画面の表示、又は設定の変更等が行なわれたか否かを判定する。
通常、画像形成装置100の設置場所に出向くユーザは、スキャンジョブ、FAX関連ジョブ、コピージョブのいずれかの実行、又は印刷済みの出力用紙の取得を目的としている。印刷済みの出力用紙を取得する場合は、操作部140を操作することはない。ジョブの実行を目的とする場合、ユーザは、操作部140に対して何らかの操作入力を行ない、ジョブ開始ボタンを押下することによって所望のジョブを実行する。
一方、ジョブを実行することなしにユーザが画像形成装置を操作する内容としては、各種設定の変更、ユーザ情報(個人情報)の登録又は変更等が考えられる。例えばFAX送信用の電話番号を登録する場合、その目的となるのはFAX送信を行なうためである。そのため、電話番号の登録後はその登録先へのFAX送信ジョブが行なわれるものである。登録された電話番号は、送信用のアドレス帳に保存される。図5を参照して、アドレス帳を表示させる操作が行なわれると、表示部142にアドレス帳の初期画面300が表示される。この初期画面300を操作することによって詳細情報が表示される。本画像形成装置100では、利便性が低下するのを抑制するためにアドレス帳の表示(閲覧)を不特定のユーザに許容している。そのため、未登録ユーザであっても、FAX送信ジョブを行なうことなく、アドレス帳を表示部142に表示して情報を閲覧できる。ジョブの実行を伴わない情報の閲覧は、情報の閲覧自体を目的とするものである。そのため、こうした操作は、不審者による操作と推測できる。
画像形成装置100は、ジョブの実行を行なわずに、装置設定又はユーザ情報へのアクセスが行なわれたと判定すると(ステップS1040においてNO、かつステップS1050においてYES)、不審な操作が行なわれたと判断して、情報の閲覧等が行なわれたことを通知するアラートメールを情報処理装置200に送信する。具体的には、画像形成装置100は、操作履歴等に基づいて、図5に示される初期画面300が表示部142に表示されたか否かを判定する。初期画面300が表示部142に表示されたと判定すると、画像形成装置100は、ユーザ情報へのアクセスが行なわれたと判定する。図5の初期画面300には詳細情報は含まれないものの、詳細情報の閲覧は初期画面300を経由して行なわれるため、本実施の形態では、初期画面300が表示されたか否かによって、ユーザ情報へのアクセスが行なわれたか否かを判定する。
画像形成装置100は、アラートメールを情報処理装置200に送信すると、操作(処理)終了後からの経過時間に応じて、通常モードから省エネモードに移行する。操作部140からの入力によるジョブの実行があったと判定された場合(ステップS1040においてYES)、又は、ジョブの実行がなかったと判定された場合であっても情報の閲覧等が行なわれていないと判定された場合(ステップS1040においてNO、かつステップS1050においてNO)、画像形成装置100は不審な操作が行なわれていないと判断する。この場合、画像形成装置100は、アラートメールを送信することなく、操作終了後からの経過時間に応じて、通常モードから省エネモードに移行する。
[本実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る画像形成装置100を利用することにより、以下に述べる効果を奏する。
画像形成装置100は、ユーザ情報等の登録情報に関する操作入力を受付けると、記憶されている情報を表示部142に表示する。画像形成装置100はさらに、操作部140に対する操作入力に応じた処理が終了してから他の入力を受付けることなく所定の時間が経過すると、操作部140が受付けた操作入力に基づくジョブが実行されたか否かを判定する。すなわち、画像形成装置100は、通常モードから省エネモードに移行するタイミングで、操作部140が受付けた操作入力に基づくジョブが実行されたか否かを判定する。その判定結果が否定である、すなわちジョブが実行されていないと判定された場合は、画像形成装置100は、ユーザ情報等の表示が行なわれたか否かを判定する。ユーザが画像形成装置100を操作する場合、通常はジョブの実行を目的としているため、ジョブを実行せずに操作を終えることは希である。画像形成装置100は、ジョブの実行を伴わないユーザ情報等の表示が行なわれた場合は、情報の閲覧等を目的とする不審な操作が行なわれたと判断して、管理者が使用する情報処理装置200にそのことを通知するアラートメールを送信する。画像形成装置100の管理者は、当該画像形成装置100からの通知によって不審な操作が行なわれたことを知ることができるので、即座に警戒度を上げることができる。管理者は、例えば装置内情報の漏洩の可能性があることを直ぐに知ることができる。
画像形成装置100は、通常モードから省エネモードへの移行時に、ジョブの実行を伴わずに装置設定又はユーザ情報へのアクセスが行なわれたか否かを判定する。既存の時間計測機能部(タイマー機能)をこの判定処理を実行する際のトリガにできるので、別途、タイマー機能を設けることなく不審な操作が行なわれたことを検出できる。
(第2の実施の形態)
図6を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置400は、時間計測部410をさらに含む点において、第1の実施の形態に係る画像形成装置100とは異なる。その他の点では、各画像形成装置は同一の構成である。
時間計測部410は、操作部140に対する操作(操作に基づく処理)が終了した後の経過時間を計測する計測装置である。本実施の形態では、この時間計測部410の計測結果に基づいて、操作終了後から所定の時間が経過したか否かを判定する。この時間計測部410は、操作部140が受付けた操作入力に応じた処理が終了すると時間計測を開始する。例えば、コピージョブの開始を指示する操作入力を操作部140が受付けた場合、時間計測部410は、コピージョブが終了したことに応答して時間計測を開始する。アドレス帳を表示する操作入力を操作部140が受付けた場合、時間計測部410は、アドレス帳が表示部142に表示されたことに応答して時間計測を開始する。さらに設定を変更する操作入力を操作部140が受付けた場合、時間計測部410は、設定処理が終了したことに応答して時間計測を開始する。設定処理の終了は、設定が変更された後に終了した場合、及び設定が変更されずに終了した場合を含む。
時間計測部410による計測時間が所定の時間に達すると、当該時間計測部410は、所定の時間が経過したことを知らせる信号をCPU110に対して出力する。すなわち、時間計測部410は、操作部140に対する操作が終了してから所定の時間が経過すると、そのことを知らせる信号をCPU110に対して出力する。所定の時間が経過するまでに再び操作入力を受付けると、時間計測部410は計測した時間をリセットする。操作部140が受付けた操作入力に応じた処理が終了すると、時間計測部410は再び時間計測を開始する。この場合、最後の操作が終了してから所定の時間が経過すると、時間計測部410は、そのことを知らせる信号をCPU110に対して出力する。
通常モードから省エネモードに移行する際の経過時間を計測する時間計測機能部では、操作部140からの操作終了後に外部機器からのジョブ実行指示等を受信した場合、計測時間がリセットされる。そのため、通常モードから省エネモードに移行する時間が遅くなる。本実施の形態では、時間計測機能部に代えて、時間計測部410によって所定の時間が経過したことを検出するため、外部機器からのジョブ実行指示等を受信した場合でも計測した時間がリセットされない。そのため、外部機器からのジョブ実行指示等を受信したか否かにかかわらず、操作部140からの操作に応じた処理の終了後から他の操作を受付けることなく一定時間が経過したタイミングで、ジョブの実行を伴わずに装置設定又はユーザ情報へのアクセスが行なわれたか否かを判定できる。これにより、不審な操作が行なわれたことをより早期に検出できるので、不審な操作を検出した場合に、そのことを直ちに管理者に通知できる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態に係る画像形成装置は、自装置に対する操作が管理者又はサービスマンによる操作であるか否かを判定し、ジョブの実行を伴わない操作であっても管理者及びサービスマンによる操作であれば、アラートメールの送信を行なわない点において、第1の実施の形態に係る画像形成装置100とは異なる。その他の点では、各画像形成装置は同一の構成である。
管理者による画像形成装置の設定変更、又はサービスマンによるメンテナンスのための調整値変更等の場合は、ジョブの実行を行なわないことがある。このような操作は権限を持つ者による操作であるため不審な操作には該当しない。
本実施の形態では、管理者又はサービスマンによる操作であるか否かを判定し、その判定結果に応じて、情報処理装置200(図1参照)への通知機能(アラートメールの送信機能)を有効化又は無効化する。具体的には、管理者又はサービスマンによる操作であると判定された場合は、画像形成装置は、通知機能を無効に切替える。これにより、不要なアラートメールの送信を抑制できる。
画像形成装置は、管理者用の認証機能を持つ。パスワード等の入力によって管理者を認証すると、画像形成装置は設定変更が可能な状態となる。画像形成装置はさらに、メンテナンスのための調整モード(シミュレーションモード)を持つ。操作部140に対して予め定められた操作を行なうと、画像形成装置は調整モードに移行する。この調整モードでは調整値の変更等の操作が可能である。画像形成装置は、認証機能によって管理者を認証すると、以降の操作を管理者による操作であると判定して通知機能を無効化する。画像形成装置はさらに、操作部140に対して予め定められた操作が行なわれると、以降の操作をサービスマンによる操作であると判定して、通知機能を無効化する。
[ソフトウェア構成]
本実施の形態に係る画像形成装置では、図4に示されるプログラムに代えて、図7に示されるプログラムが実行される。図7のプログラムは、図4のプログラムにおいて、ステップS1100及びステップS1110を含む。図7のステップS1000〜ステップS1060における処理は、図4に示される各ステップにおける処理と同じである。以下、異なる部分について説明する。
図7を参照して、このプログラムは、自装置に対する操作に基づいて管理者権限等の有無を判定するステップS1100を含む。
図8は、図7のステップS1100の詳細なフローである。図8を参照して、このルーチンは、通知機能を無効化するためのフラグを初期化(0をセット)するステップS1200と、ステップS1200の後に実行され、管理者の認証処理が行なわれたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1210と、ステップS1210において、管理者の認証処理が行なわれていないと判定された場合に実行され、メンテナンスのための予め定められた操作入力が行なわれたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1220と、ステップS1210において、管理者の認証処理が行なわれたと判定された場合、又は、ステップS1220において、メンテナンスのための予め定められた操作入力が行なわれたと判定された場合に実行され、通知機能を無効化するためのフラグに1をセットするステップS1230とを含む。ステップS1220において、メンテナンスのための予め定められた操作入力が行なわれていないと判定された場合、又はステップS1230の処理が終了した場合は、このルーチンは終了する。
再び図7を参照して、このプログラムは、ステップS1050において、操作部140に対するユーザの操作入力によって情報の閲覧等(例えばアドレス帳の表示、設定の表示、又は設定変更等)が行なわれたと判定された場合に実行され、通知機能を無効化するためのフラグが0か否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1110を含む。ステップS1110において、フラグが0であると判定された場合は、制御はステップS1060に進む。一方、ステップS1110において、フラグが0ではない、すなわちフラグが1であると判定された場合は、このプログラムは終了する。
[動作]
本実施の形態に係る画像形成装置は以下のように動作する。
ユーザは、画像形成装置を使用するために、当該画像形成装置を省エネモードから通常モードに移行させる。画像形成装置は、自装置に対する操作に基づいて、管理者又はサービスマンによる操作か否かを判定する。具体的には、画像形成装置は、まず、通知機能を無効化するためのフラグを初期化する(図8に示すステップS1200)。画像形成装置は、管理者の認証処理、又は調整モードに移行するための操作入力を受付けたか否かを判定する。管理者の認証処理が行なわれた場合(ステップS1210においてYES)、画像形成装置はフラグに1をセットする。調整モードに移行するための操作入力を受付けた場合(ステップS1210においてNO、かつステップS1220においてYES)も、画像形成装置はフラグに1をセットする。
画像形成装置は、操作部140を介してユーザの操作入力を受付けると(図7に示すステップS1000においてYES)、受付けた操作入力に応じた処理を実行する(ステップS1010)。操作(処理)終了後に経過時間の計測を開始する。経過時間が所定の時間に達する(操作が終了してから所定の時間が経過する)と(ステップS1020においてYES)、操作部140からの入力によって何らかのジョブの実行があったか否かを判定する。この判定処理によって、操作部140からの入力によるジョブの実行がなかったと判定された場合(ステップS1040においてNO)、画像形成装置100は、直前の操作時(直前の省エネモード状態から通常モードに移行された後の操作時)にユーザ情報へのアクセス(例えばアドレス帳の閲覧等)、設定画面の表示、又は設定の変更等が行なわれたか否かを判定する。
画像形成装置は、ジョブの実行を行なわずに、装置設定又はユーザ情報へのアクセスが行なわれたと判定すると(ステップS1040においてNO、かつステップS1050においてYES)、フラグが0か否かを判定する。フラグが0であると判定された場合(ステップS1110においてYES)、これらの操作は管理者又はサービスマンによる操作ではないため、画像形成装置は意図しない者による不審な操作が行なわれたと判断して、情報の閲覧等が行なわれたことを通知するアラートメールを情報処理装置200に送信する(ステップS1060)。
一方、フラグが0ではない、すなわちフラグが1であると判定された場合(ステップS1110においてNO)、これらの操作は管理者又はサービスマンによる操作であると考えられるため、画像形成装置は通知機能を無効に切替えて、不審者と同様の操作を検出した場合でもアラートメールを情報処理装置200に送信しない。管理者自身又はサービスマン等が装置内部の設定情報の確認、調整又は変更等を行なった場合は、それは管理者権限に基づく作業であるため、アラートメールの送信を行なわないようにすることにより、不要な通知(不要なアラートメールの送信)を抑制できる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態に係る画像形成装置は、アドレス帳の詳細情報が表示されたか否かによって、ユーザ情報へのアクセスが行なわれたか否かを判定する点において、第1の実施の形態に係る画像形成装置100とは異なる。その他の点では、各画像形成装置は同一の構成である。
画像形成装置は、図5に示される初期画面300に対するユーザの操作入力を受付けると、表示部142に、図9に示される詳細画面310を表示する。図9を参照して、詳細画面310は、アドレス情報等の個人情報が表示される領域320、及び領域320内に表示されている個人情報のさらに詳細な情報を表示させるための詳細キー330等を含む。
画像形成装置は、操作履歴等に基づいて、図9に示される詳細画面310が表示されたか否かを判定し、詳細画面310が表示部142に表示されたと判定すると、ユーザ情報へのアクセスが行なわれたと判定する。これにより、ユーザ情報が閲覧されたことをより確実に検出できるので、装置内情報の漏洩の可能性があるか否かを効果的に判定できる。管理者が使用する情報処理装置200(図1参照)にそのことを通知するアラートメールを送信することにより、管理者は、不審な操作によって情報が漏洩した可能性があることを知ることができる。
なお、画像形成装置は、初期画面300におけるどの項目に対応する詳細画面310が閲覧されたかの情報を含むアラートメールを情報処理装置200に送信するよう構成されていると好ましい。詳細キー330の操作によってさらに詳細な情報が表示された場合は、閲覧された情報の内容を記載したアラートメールを情報処理装置200に送信するようにすればさらに好ましい。これにより、管理者は、どのような情報が閲覧されたかを知ることができるので、閲覧された情報に応じて警戒度を上げることができる。
(第5の実施の形態)
本実施の形態に係る画像形成装置は、画像データを保存するいわゆるドキュメントファイリング機能を持つ点において、第1の実施の形態に係る画像形成装置100とは異なる。その他の点では、各画像形成装置は同一の構成である。
ドキュメントファイリング機能では、例えばスキャナ部118(図3参照)で読取った原稿の画像データ、又は、外部機器からネットワーク50を介して受信した画像データ等が記憶部116に記憶される。記憶されている画像データは、操作部140に対する操作によって記憶部116から呼出して、表示部142にプレビュー表示したり、印刷処理を実行したりすることができる。
図10を参照して、操作部140(表示部142)には「ドキュメントファイリング」キー350が表示されており、この「ドキュメントファイリング」キー350がユーザに操作されると、表示部142にはドキュメントファイリング選択画面500が表示される。ドキュメントファイリング選択画面500は、画像データ(ファイル)が保存されているフォルダを選択するための複数のフォルダキーを含む。ドキュメントファイリング選択画面500において、例えば、「User1」のフォルダキー510が操作されると、User1フォルダ内に保存されているファイルを一覧表示してユーザに選択させるためのファイル選択画面550が表示される。
図11を参照して、ファイル選択画面550は、ドキュメントファイリング選択画面500において選択されたフォルダ内に保存されているファイルを選択するためのファイルキー、及び画面表示を切替えるための「表示切替」キー552を含む。「表示切替」キー552が操作されると、図14に示されるサムネイル表示画面700に画面表示が切替えられる。ファイル選択画面550において、例えば「file−01」のファイルキー554が操作されると、「file−01」に対する操作を選択するためのファイル再操作画面600が表示される。
図12を参照して、ファイル再操作画面600は、ファイルに対する操作を選択するための複数の操作項目キー602〜610、画像を確認するための「画像確認」キー620及びファイルの詳細を確認するための「詳細確認」キー630を含む。ファイル再操作画面600において、例えば「画像確認」キー620が操作されると、選択されたファイルの画像をプレビュー表示する画像確認画面650が表示される。
図13を参照して、画像確認画面650は、画像を確認するためのプレビュー画像を表示するプレビュー表示領域660を含む。ユーザは、この画像確認画面650によってファイルの画像を確認できる。
本実施の形態に係る画像形成装置では、ユーザ認証を要することなく、ドキュメントファイリング機能によって保存されているデータに対する操作を行なうことが可能である。そのため、画像形成装置は、保存されているデータを表示部142に表示させる操作が行なわれた場合も、ユーザ情報へのアクセスが行なわれたと判定する。本実施の形態では、ユーザ情報へのアクセスが行なわれたか否かの判定は、「ドキュメントファイリング」キー350(図10参照)が操作されたか否か(すなわちドキュメントファイリング選択画面500が表示されたか否か)に応じて行なわれる。
ただし、ユーザ情報へのアクセスが行なわれたか否かの判定は、例えば図13に示される画像確認画面650が表示されたか否かに応じて行なってもよい。画像データのファイル名、又は画像データを保存したユーザの名前(ユーザ名)に具体的な名称が付されている場合、そうした名称等もユーザ情報になり得る。そのため、図10〜図14のいずれかの画面が表示されたか否かに応じてユーザ情報へのアクセスが行なわれた否かの判定を行なってもよい。
(変形例)
上記実施の形態では、画像形成装置の一例である複合機(MFP)に本発明を適用した例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。画像形成装置は、複合機以外の例えばプリンタ等であってもよい。
上記実施の形態では、管理者が使用する情報処理装置をパーソナルコンピュータとした例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。情報処理装置は、パーソナルコンピュータ以外の装置であってもよい。例えば、情報処理装置は、携帯電話、スマートフォン、又はタブレット端末等の携帯型端末であってもよい。
上記実施の形態では、アラートメールにより不審な操作が行なわれたことを管理者に通知する例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。管理者への通知は、アラートメール以外の方法によって行なう構成であってもよい。
上記実施の形態において、画像形成装置に格納されている情報を機密度に応じて予めランク分けし、機密度の高い情報(所定のランク以上の機密度の情報)が閲覧された場合に、不審な操作が行なわれたことを管理者に通知するようにしてもよい。
機密度の高い情報はパスワード等によって保護するのが好ましい。しかし、画像形成装置の機種によってはパスワードによる情報保護機能を持たないものがある。また、例えば部外者が頻繁に出入りしない場所に画像形成装置が設置されている場合は、ユーザの利便性を考慮して、パスワード等による保護を行なわないこともある。本発明では、パスワード等によって保護されていない情報に対する不審な閲覧等を管理者に通知できるため、このような状況で使用される画像形成装置に対して特に有効である。
上記第3〜第5の実施の形態では、不審な操作が行なわれたか否かの判定を、通常モードから省エネモードへの移行時に行なう例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば第2の実施の形態で示したように、別途、時間計測部を設け、当該時間計測部による計測時間が所定の時間に達したタイミングで、不審な操作が行なわれたか否かを判定するようにしてもよい。
画像形成装置はさらに、自装置に対する操作指示がない状態で一定時間が経過すると、ジョブ設定内容等をデフォルト状態に戻すオートクリア機能が設けられていてもよい。この場合、オートクリア用の時間計測部の計測時間に基づいてジョブ設定内容等をデフォルト状態に戻す際に、不審な操作が行なわれたか否かを判定するようにしてもよい。なお、操作終了後の経過時間の計測は、第1の実施の形態で示した時間計測機能部、第2の実施の形態で示した時間計測部、及びオートクリア用の時間計測部を適宜組み合わせて行なうようにしてもよい。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。