JP6469983B2 - レジスト膜付きマスクブランクおよびその製造方法ならびに転写用マスクの製造方法 - Google Patents

レジスト膜付きマスクブランクおよびその製造方法ならびに転写用マスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、レジスト膜付きマスクブランクおよびその製造方法ならびに転写用マスクの製造方法に関する。
フォトマスクの加工工程は、遮光膜や位相シフト膜等の光学膜が成膜されたフォトマスクブランク上にレジスト膜を成膜し、電子線照射を行ってレジストパターンを形成し、更に、レジストパターンを上記遮光膜や位相シフト膜にエッチングによって転写する方法で行われる。
この加工工程中で行われる電子線照射によるレジストパターン形成は、極めて正確な位置に行われなければならないが、通常用いられるレジスト膜は絶縁物であるため、レジスト膜に電荷の蓄積(チャージアップ)が起こることがある。そして、このチャージアップの影響で、フォトマスクブランク表面に照射された電子線が歪められ、形成されたレジストパターンの位置が僅かにずれ、すなわちレジストパターンの精度低下の原因となる。
チャージアップの抑制については、これまで種々の検討が成されてきた。その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1の[0003]に記載のように、チャージアップの抑制のため、樹脂成分に対して導電性フィラーを分散させたものを用いる手法が以前では採用されていた。しかしながら、この手法だと、導電性フィラーが分離・凝集することになり、保存安定性という点で課題があった。
上記の手法の代わりに界面活性剤を使用するという手法もあったが、環境によって導電性が変化するといった環境依存性が大きかった。また、有機溶剤系から水系の材料を使用することも求められていた。
その結果、水溶性導電性ポリマーをチャージアップの抑制に使用することが現在の主流となっている。その技術の一例が特許文献1および2に記載の技術である。特許文献2に記載の技術は、レジスト膜の表面に水溶性の有機導電性膜を形成するという技術である。
特開2002−226721号公報 特開2014−9342号公報
しかし、本発明者の調べによると、例えば50nm以下のピッチのパターンを形成する場合、レジストパターンの位置に関してより精度の高さが要求されるため、有機導電性膜の導電性では除電する能力では足りなくなってきている現状がある。また、先にも述べたように、いかに水溶性のポリマーを使用しようとも、有機化合物である以上、導電性に環境依存性が生じてしまう。
本発明の目的は、電子線照射の際のチャージアップに対して環境に依存せず除電しつつ、良好なレジストパターンを形成可能な技術を提供することにある。
上記の課題を解決すべく、本発明者は鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、現在主流となっている水溶性導電性ポリマー(さらに言うと有機導電性膜)に焦点を当てるのではなく、無機材料により導電性膜をレジスト膜の上に形成するという手法を想到した。これは、チャージアップの抑制のために、樹脂成分に対して導電性フィラーを分散させたものを用いていたという一昔前の技術とは異なり、無機の導電性膜そのものをレジスト膜の上に設けるという全く新たな発想により想到された手法である。
この知見に基づいて成された本発明の構成は、以下の通りである。
<構成1>
本発明の第1の構成は、レジスト膜付きマスクブランクである。
本構成は、薄膜を有する基板と、薄膜の主表面に形成されたレジスト膜とを備える。
そして、レジスト膜の上に、MoおよびWのうち少なくともいずれかを含む無機導電性膜が形成される。
本構成によれば、まず、レジスト膜の上に設けているのがMoおよびWのうち少なくともいずれかを含む無機導電性膜であるため、有機導電性膜の場合に比べて導電性を飛躍的に向上させられる。一例を挙げると、Mo(例えばIII、IV)またはW(IV)の酸化物は良好な導電性を有している。しかも5nm以下の無機導電性膜であっても導電性が確保されるので、電子線照射時に生じるレジスト膜の帯電を効果的に除電することが可能となり、ひいては50nm以下の寸法のレジストパターンを形成することが可能となる。これは、チャージアップを抑制するための膜を、特許文献1や2の有機導電性膜よりも薄くすることが可能となることを意味する。その結果、マスクブランクに微細なパターンを良好に施すことが可能となる。さらに、有機導電性の場合は環境によって導電性等の変化が生じることがあるが、無機導電性膜は導電性などの物理的性質の安定性にすぐれる。
また、MoおよびWのうち少なくともいずれかを含む膜を使用することから、比較的容易に水またはアルカリ水溶液に対して可溶であり、作業性が著しく向上する。
さらに、無機導電性膜を設けた段階で、いわば金属膜によるパックがレジスト膜に行われることになり、レジスト膜は気密状態となり、無機導電性膜を設けた段階でレジスト膜の、例えば、保管中の雰囲気に存在する酸素等によるレジスト膜の変質や、搬送に用いるプラスチック製ケースのアウトガスによる変質が生じない状況となっている。つまり、上記の無機導電性膜はレジスト膜の保護膜としての役割も果たす。
このように本構成に基づけば、有機導電性膜の場合に比べてチャージアップに対する除電を効率的に行えるのはもちろんのこと、レジスト膜の品質の経時変化を著しく抑制することも可能となる。その結果、電子線照射の際のチャージアップに対して環境に依存せず除電しつつ、良好なレジストパターンが形成可能となる。
<構成2>
本発明の第2の構成は、第1に記載の構成において、レジスト膜と無機導電性膜との間に水溶性樹脂膜が形成されている。
無機導電性膜越しにレジスト膜に対して電子線照射を行い所定のパターンを形成すべく描画を行ったとしても、無機導電性膜が低抵抗であるため、電子線においては電気的なエネルギーの減衰が少なくなる。その一方で、無機導電性膜が極めて低抵抗であるが故に、描画したポイントよりも広い領域に露光の影響を与える可能性もある。その可能性を打ち消すべく、レジスト膜と無機導電性膜との間に水溶性樹脂膜を形成する。樹脂膜である段階で無機導電性膜よりも高抵抗な膜である。このように比較的高抵抗な樹脂膜を間に形成することによって、レジスト表面の感度変動を効果的に抑制することができる。しかもその樹脂膜が水溶性であるならば、樹脂膜の上に形成された無機導電性膜は、水やアルカリ性溶液等によるプレリンスや現像によって確実に除去される。
<構成3>
本発明の第3の構成は、第2に記載の構成において、水溶性樹脂膜は導電性ポリマーで構成された有機導電性膜である。
上記の水溶性樹脂膜が導電性ポリマーで構成されていることにより、無機導電性膜をさらに薄膜化することができる。仮に、無機導電性膜が薄過ぎて膜切が生じたとしても、後詰として有機導電性膜が控えていることにより、チャージアップに対する除電は確実に行われる。また、導電性ポリマーで構成された有機導電性膜は無機導電性膜より高抵抗であるものの電子伝導性を有していることに変わりはないため、チャージアップのせいでレジスト膜に伝播するエレクトロンビームの消衰を抑制することができる。結果、レジスト膜の感度が特に高いレベルに保たれ、微細なパターンの形成をすることができる。
<構成4>
本発明の第4の構成は、第1〜第3のいずれかに記載の構成であって、無機導電性膜の膜厚は1nm〜10nmであり、好ましくは2nm〜5nmである。
無機導電性膜の膜厚が1nm以上ならば、無機導電性膜の形成状態を良好に保つことが可能であり、除電を十分に行うことが可能となる。また10nm以下ならば、無機導電性膜の作製の手間がそれほど要さず、しかも無機導電性膜を除去する際の残滓が異物となるリスクを抑制することも可能となる。また、無機導電性膜越しにレジスト膜に電子線照射を良好に行うことができる。2nm〜5nmだと、その効果がより顕著となる。
<構成5>
本発明の第5の構成は、第1〜第4のいずれかに記載の構成であって、無機導電性膜はMoを主成分とする。特に、無機導電性膜はMo酸化物を含むことが好ましい。
金属Moをスパッタリングによって成膜した場合、自然酸化によってMo酸化物を形成する。Mo酸化物は導電性を有し、また、バルクはメタル状態が維持できるため、5nm以下の膜厚であっても除電に足りる導電性が維持できる。また、金属Moの表面が自然酸化によって酸化物形成した構成の場合は、現像前の純水(イオン交換水)またはアルカリ性溶液によるプレリンスや現像液によって容易に除去することができる。
<構成6>
本発明の第6の構成は、第1〜第4のいずれかに記載の構成であって、無機導電性膜はWを主成分とする。特に、無機導電性膜はWO構造を主体とする酸化物層であることが好ましい。WOは良導体でありかつアルカリ可溶であるため、現像前の純水(イオン交換水)又はアルカリ性溶液によるプレリンスやアルカリ性の現像液によって容易に除去することができる。したがって、無機導電性膜に由来する残滓が表面に残らない。
<構成7>
本発明の第7の構成は、レジスト膜付きマスクブランクの製造方法である。
本製造方法は、薄膜を有する基板を準備する基板準備工程と、
薄膜の主表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
レジスト膜の上にMoおよびWのうち少なくともいずれかを含む無機導電性膜を形成する無機導電性膜形成工程と、
が含まれている。
本構成によれば、構成1で述べたのと同様の効果を奏する。
<構成8>
本発明の第8の構成は、第7に記載の構成であって、レジスト膜形成工程と前記無機導電性膜形成工程との間に、
レジスト膜の表面に水溶性樹脂膜を形成する水溶性樹脂膜形成工程と、
を有する。
本構成によれば、構成2で述べたのと同様の効果を奏する。
<構成9>
本発明の第9の構成は、第8に記載の構成であって、水溶性樹脂膜は導電性ポリマーで構成された有機導電性膜である。
本構成によれば、構成3で述べたのと同様の効果を奏する。
<構成10>
本発明の第10の構成は、第7〜第9のいずれかに記載の構成であって、無機導電性膜形成工程はスパッタリング成膜を用いて行う。
予め所望の酸素含有量を有する酸化モリブデンや酸化タングステンのターゲットを使用することにより、所望の酸化度の無機導電性膜を形成することができる。
<構成11>
本発明の第11の構成は、第1〜第6のいずれかの構成に記載のレジスト膜付きマスクブランクを用い、マスクブランクのうち少なくとも薄膜に対して凹凸パターンを形成するパターン形成工程と、
を有する、転写用マスクの製造方法である。
本構成によれば、構成1で述べたのと同様の効果を奏する。
本発明によれば、電子線照射の際のチャージアップに対して環境に依存せず除電しつつ、良好なレジストパターンを形成可能な技術を提供できる。
本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランクの断面概略図である。 変形例におけるレジスト膜付きマスクブランクの断面概略図である。 本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランクの製造方法を示す断面概略図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.レジスト膜付きマスクブランク
1−A)薄膜付基板
1−B)レジスト膜
1−C)水溶性樹脂膜(有機導電性膜)
1−D)無機導電性膜
2.レジスト膜付きマスクブランクの製造方法
2−A)薄膜付基板(マスクブランク)準備工程
2−B)レジスト膜形成工程
2−C)水溶性樹脂膜(有機導電性膜)形成工程
2−D)無機導電性膜形成工程
なお、以下に記載が無い構成については、公知の構成(例えば本出願人による特開2013−257593号公報)を適宜採用しても構わない。本明細書には、例えば薄膜の構成等特記のない事項に関し、特開2013−257593号公報の内容が記載されているものとする。
<1.レジスト膜付きマスクブランク1>
本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランク1について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランク1の断面概略図である。図1に示すように本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランク1は、基板10の主表面に薄膜11が形成され、薄膜11の上にレジスト膜12が形成されている。以下、各構成について説明する。
1−A)薄膜付基板(マスクブランク5)
本実施形態における基板10としては、ガラス基板を用いることができる。透過型マスクの場合、基板10は、ウェハ上にパターンを形成するときの露光光に対して高い透過率を有するガラス材のものが選択される。反射型マスクの場合、露光光のエネルギーに伴う基板10の熱膨張が最小限にできる低熱膨張ガラスが選択される。
具体的には、透過型マスク(例えば、バイナリマスク、位相シフトマスク及びグレートーンマスク)の場合、基板10の材質としては、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。詳しい例として、波長193nmのArFエキシマレーザーや波長254nmのKrFエキシマレーザーを露光光として用いる転写型マスクの基板10には、波長300nm以下の光に対して高い透過率を有する合成石英ガラスを好ましく用いることができる。
また、反射型マスクであるEUVマスクの場合、基板10には、露光時の熱による被転写パターンの歪みを抑えるために、約0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは約0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するガラス材料であるSiO−TiO系ガラスを好ましく用いることができる。
次に、図1に示すように、基板10の主表面に対して薄膜11が形成される。薄膜11の具体的な構成を列挙するならば、以下の(1)〜(4)が挙げられる。本明細書においては「〜」は所定数値以上かつ所定数値以下を意味する。
(1)バイナリマスクの薄膜11
バイナリマスクブランクを作製する場合、露光波長の光に対して透光性を有する基板10上に、遮光膜111を有する薄膜11が形成される。
この遮光膜111は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物で構成した遮光膜111が挙げられる。また、例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜111が挙げられる。
また、薄膜11は、遮光膜111の構造が、遮光層と主表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板10との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。また、遮光膜111の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
また、遮光膜111上にエッチングマスク膜を有する薄膜11の構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜111のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜111上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製してもよい。
(2)他の構成を有するバイナリマスクの薄膜11
また、バイナリマスクの薄膜11の他の例としては、遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜111を有する構成も挙げることができる。
この遮光膜111は、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜111は、遷移金属と、酸素、窒素及び/又はホウ素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
特に、遮光膜111をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と主表面反射防止層(MoSiON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板10との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた3層構造がある。
また、遮光膜111の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
(3)ハーフトーン型位相シフトマスクの薄膜11
ハーフトーン型位相シフトマスクを作製する場合、転写時に使用する露光光の波長に対して透光性を有する基板10上に遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜110を有する薄膜11が形成される。
薄膜11に含まれる光半透過膜110は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものである。なお、ハーフトーン型位相シフトマスクは、この光半透過膜110をパターニングした光半透過部と、光半透過膜110が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト即ち解像度を向上させるものである。
この光半透過膜110は、例えば遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
また、光半透過膜110上に遮光膜111を有する形態の場合、上記光半透過膜110の材料が遷移金属及びケイ素を含むので、遮光膜111の材料としては、光半透過膜110に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
(4)反射型マスクの薄膜11
反射型マスクの薄膜11は、基板10上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成された構造を有する。露光機(パターン転写装置)に搭載された反射型マスクに入射した光(EUV光)は、吸収体膜のある部分では吸収され、吸収体膜のない部分では多層反射膜により反射された光像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。
多層反射膜は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成される。多層反射膜の例としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択することができる。
また、吸収体膜は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。このような吸収体膜の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。
1−B)レジスト膜12
本実施形態におけるレジスト膜12は、公知の組成物を公知の手法で形成するものであっても構わない。また、ポジ型のレジストを使用しても構わないし、ネガ型のレジストを使用しても構わず、化学増幅型レジストを使用しても構わない。例えば、レジスト組成物として、感光性樹脂、光酸発生剤(PAG)、塩基性化合物、界面活性剤、及び、溶媒である有機溶剤等を使用しても構わない。
1−C)水溶性樹脂膜13(有機導電性膜13)
本実施形態における水溶性樹脂膜13はレジスト膜12の主表面に形成される。本構成がもたらす効果は先にも述べたが、効果のうちの一つとして、水溶性樹脂膜13が水溶性であるならば、当該水溶性樹脂膜13の上に形成された無機導電性膜14は、水やアルカリ性溶液等によるプレリンスや現像によって確実に除去されることが挙げられる。
当該水溶性樹脂膜13としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、導電性ポリマーであるポリアニリン、などが挙げられる。ここで列挙した中の一つが導電性ポリマーであるけれども、水溶性樹脂膜13は導電性ポリマーで構成された有機導電性膜13であることが特に好ましい。その理由としては先に述べた通りであるが、上記の水溶性樹脂膜13が導電性ポリマーで構成されていることにより、後述の無機導電性膜14をさらに薄膜化することができる。仮に、無機導電性膜14が薄過ぎて無機導電性膜14が形成されていない部分(すなわち膜切)が生じたとしても、後詰として有機導電性膜13が控えていることにより、チャージアップに対する除電は確実に行われる。なお、導電性ポリマーとしてはポリアニリン以外であっても構わず、公知のものを用いても構わない。
但し、上記の水溶性樹脂膜13は本発明における必須要件ではない。例えば、図2に示すように、水溶性樹脂膜13を設けず、レジスト膜12の主表面に対し、直接、無機導電性膜14を形成しても、本発明の効果を十分に享受できる。その場合、上記で述べた導電性における後詰が存在しないため、無機導電性膜14を極端に薄くすることなくレジスト膜12の主表面に形成する必要がある。
そのため、本明細書における「レジスト膜の上」という表現は、レジスト膜12の主表面と接するように対象となる膜が形成される場合ももちろん含むし、レジスト膜12の主表面と接するように別の膜が形成された後、当該別の膜の主表面に対象となる膜が形成される場合も含むものである。
なお、上記の有機導電性膜13はレジスト膜12の主表面を覆うように(さらに言うと側面を覆うように)形成するのが好ましい。後述の無機導電性膜14についても同様であり、無機導電性膜14もレジスト膜12さらには有機導電性膜13の主表面を覆うように(さらに言うと側面を覆うように)形成するのが好ましい。このように有機導電性膜13およびその上の無機導電性膜14を形成することにより、主表面以外の部分においてアースと接触させて除電を行うことが可能となり、作業性が向上する。
1−D)無機導電性膜14
本実施形態における無機導電性膜14は有機導電性膜13の主表面に形成される。当該無機導電性膜14は、MoおよびWのうち少なくともいずれかを含むものである。そのため、MoおよびWを含む無機導電性膜14を設けても構わない。また、無機導電性膜14は複数層により構成されていても構わない。例えば、Mo酸化物層の上にMo層を形成しても構わないし、Wで同様の構成を設けても構わない。また、Mo酸化物層とMo層との上下関係を入れ替えても構わないし、Mo酸化物層とW酸化物層とを設けても構わないし、Mo層とW層とを設けても構わない。各層については適宜MoやWを織り交ぜて構成可能である。
無機導電性膜14がMoを主成分とする場合は、先にも述べたように以下の利点を有する。
金属Moは自然酸化によって最表面がMoOを形成するが、バルクはメタル状態が維持できるため、導電性を高レベルに維持することができる。また、金属モリブデンの表面が自然酸化によって酸化物形成した構成であっても、現像前のアルカリ性溶液によるプレリンスや現像液によって容易に除去することができる。
なお、ここで「酸化」に供される酸素は、自然酸化によってMoやWと結合した酸素や、アニール処理で形成された酸化によって結合した酸素であってもよく、もちろん、無機導電性膜14形成時に予め酸化物のターゲットを使用してスパッタリング成膜した場合や、金属ターゲットを使用して反応性スパッタリングで酸化物を形成した構成も含まれる。
金属Mo単体を無機導電性膜14として使用しても構わないのはもちろんとして、Mo系化合物を使用しても構わない。Mo系化合物としては、チャージアップに対して除電可能なものであれば種類は問わないものの、発明者の調べでは、酸化モリブデンが好ましい。
金属Mo単体はアルカリ性溶液に可溶であり、導電性に優れている。酸化モリブデンの中でも、MoO(IV)、Mo(V)、MoO(VI)は導電性という点で適格である。MoO(VI)はアルカリ性溶液に可溶である。これ以外の酸化モリブデン(例えばMoO(IV)とMoO(VI)の中間の組成であるMo3n−1)も知られており、必要に応じて本発明に適用することができる。
一方、無機導電性膜14がWの酸化物(特にWO構造を主体とする酸化物)を主成分とする場合は、先にも述べたように、WOが良導体でありかつアルカリ可溶であるため、表面に残滓が残らない。
金属W単体を無機導電性膜14として使用しても構わないのはもちろんとして、W系化合物を使用しても構わない。W系化合物としては、チャージアップに対して除電可能なものであれば種類は問わないものの、発明者の調べでは、酸化タングステンが好ましい。
金属W単体はアルカリ性溶液に可溶であり、導電性に優れている。酸化タングステンの中でも、W(III)、WO(IV)、WO(VI)は導電性という点で適格である。これらはアルカリ性溶液に可溶である。
なお、本明細書における「主成分」とは、無機導電性膜14を構成する化合物のうち最も多いものであることを指す。例えば、無機導電性膜14のうち大半がMoおよびMo系化合物(例えば酸化物)で占めている場合は、当該無機導電性膜14においてMoが主成分であると言える。
また、無機導電性膜14の膜厚は好ましくは1nm〜10nm、さらに好ましくは2nm〜5nmである。理由としては先にも述べたように、無機導電性膜14の形成状態を良好に保つことが可能であり、除電を十分に行うことが可能となる。それに加え、無機導電性膜14の作製の手間がそれほど要さず、しかも無機導電性膜14を除去する際の残滓が異物となるリスクを抑制することも可能となる。また、無機導電性膜越しにレジスト膜12に電子線照射を良好に行うことができる。
なお、膜厚は無機導電性膜の材料が有する導電率に応じて、適宜膜厚を調整するとよい。例えば、MoやWの酸化物の膜の場合、金属膜と比べて物質の有する比抵抗が高くなるため、3nm〜10nmの範囲で形成するとよい。MoやWの金属膜(表面酸化した状態も含む)の場合には、物質の有する比抵抗が比較的低いので1nm〜5nmの膜厚で成膜するとよい。
また、無機導電性膜14のシート抵抗は10Ω/□〜1.0×10Ω/□の範囲が好ましく、100Ω/□〜1.0×10Ω/□の範囲がより好ましい。理由としては先にも述べたように、無機導電性膜14を流れる電子がレジスト膜に影響を及ぼし感度を低下させるおそれを抑制できる。しかも、十分な除電能力を備えさせることが可能となり、例えば70nmピッチのパターン形成を確実に可能とする。
以上が本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランク1の主な構成である。なお、上記の構成を有するのならば、その他の公知の層(膜)をマスクブランク5に設けても構わない。
<2.レジスト膜付きマスクブランク1の製造方法>
次に、本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランク1の製造方法について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランク1の製造方法を示す断面概略図である。なお、以下の工程の内容は、<1.レジスト膜付きマスクブランク1>にて説明した内容と重複する部分もある。そのため、以下に記載が無い内容については、<1.レジスト膜付きマスクブランク1>にて説明した通りである。
なお、本実施形態では、以下の2−A)薄膜付基板準備工程において、基板10を用意しその基板10の上に薄膜11を成膜する例を示すが、あらかじめ薄膜11が形成されているマスクブランク5を用意して、その上にレジスト膜12を形成する形態も、本発明の形態に含まれる。
2−A)薄膜付基板(マスクブランク)準備工程
まず、基板10を準備する。次に、基板10の主表面に対し、薄膜11を形成する。具体的な構成や準備の手法は、公知の手法を用いても構わない。なお、本実施形態においては、石英ガラスからなる基板10の上に光半透過膜110および遮光膜111を設けたものをマスクブランク5として用いた場合について述べる。
2−B)レジスト膜形成工程
本工程においては、薄膜11の主表面に対し、ポジ型のレジスト液によりレジスト膜12を形成する。具体的な手法は、公知の手法を用いても構わない。一例として挙げるとすれば、薄膜11の主表面にHMDS処理を施した後、レジスト液をスピンコートにより薄膜11の主表面に塗布し、ベーク処理を行う。こうして、薄膜11を覆うようにレジスト膜12を形成する。
2−C)水溶性樹脂膜(有機導電性膜)形成工程
本工程においては、レジスト膜12の主表面に対し、有機導電性ポリマーにより有機導電性膜13を形成する。具体的な手法は、公知の手法を用いても構わない。一例として挙げるとすれば、有機導電性ポリマーの原料液をスピンコートによりレジスト膜12の主表面に塗布し、粗乾燥を行う。こうして、レジスト膜12を覆うように有機導電性膜13を形成する。なお、本工程は本発明において必須ではないことは、1−C)水溶性樹脂膜13(有機導電性膜13)の項目にて述べた通りである。
2−D)無機導電性膜形成工程
本工程においては、有機導電性膜13の主表面に対し無機導電性膜14を形成する。具体的な手法は、公知の手法を用いても構わず、スパッタリング成膜により当該膜を形成しても構わないし、真空蒸着による成膜を用いても構わない。ただ、好ましいのは、先にも述べたようにスパッタリング成膜である。予め所望の酸素含有量を有する酸化モリブデンや酸化タングステンのターゲットを使用することにより、所望の酸化度の無機導電性膜14を形成することができる。
以上により、本実施形態におけるレジスト膜付きマスクブランク1が作製される。もちろん、レジスト膜付きマスクブランク1の作製に必要な洗浄・乾燥工程等を適宜行っても構わない。
なお、上記のレジスト膜付きマスクブランク1から転写用マスクを作製してもよい。上記のレジスト膜付きマスクブランク1に対し、所定のパターンに対応する電子線照射による露光(描画)を行った後、現像によりレジストパターンを形成するパターン形成工程を行う。なお、除電の具体的な手法としては上記の手法に加え、公知の手法を用いても構わない。最終的には所定の凹凸パターンを有する薄膜11を作製する。なお、ここでいうパターン形成工程は、レジストパターンを形成することを指しても構わないし、そこからさらに進んで、薄膜11および基板10そのものに対して凹凸パターンを形成することを指しても構わない。この場合においても、転写用マスクの作製に必要な洗浄・乾燥工程等を適宜行っても構わない。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろん本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特記のない事項は特開2013−257593号公報に記載の内容を採用する。
なお、実施例1においては、レジスト膜12の主表面に対し、直接、Moを主成分とする無機導電性膜14を形成した。
実施例2においては、本実施形態と同様、レジスト膜12の主表面に対して有機導電性膜13を形成し、有機導電性膜13の主表面に対してMoを主成分とする無機導電性膜14を形成した。
実施例3においては、Moを主成分とする無機導電性膜14を2層構造とした。具体的に言うと、レジスト膜12の主表面に対してMo酸化物層を形成し、当該Mo酸化物層の主表面に対してMo層を形成した。
実施例4においては、実施例2に倣いつつも実施例2とは異なり、Wを主成分とする無機導電性膜14を形成した。
比較例1は、実施例2において無機導電性膜14を設けなかった例を示す。
<実施例1>
(試料の作製)
2−A)薄膜付基板(マスクブランク)準備工程
主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.25mmの合成石英ガラスからなる透光性を有する基板10(以下、透光性基板10ともいう)を準備した。
まず、透光性基板10上に光半透過膜110を成膜した。
合成石英ガラスからなる基板10上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(モル%比 Mo:Si=10:90)を用い、アルゴン(Ar)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:N:He=5:49:46,圧力=0.3Pa)をスパッタリングガスとして反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力3.0kW)により、MoSiN膜(下層)を膜厚69nmで成膜した。
次いで、上記MoSiN膜が形成された基板10に対して、加熱炉を用いて、大気中で加熱温度を450℃、加熱時間を1時間として、加熱処理を行った。なお、このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザーにおいて、透過率は6.16%、位相差が184.4度となっていた。
次に、光半透過膜110上に3層構造の遮光膜111を成膜した。
枚葉式DCスパッタ装置で、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:CO:N:He=20:35:10:30,圧力=0.2Pa)をスパッタリングガスとして反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.7kW)により、CrOCN膜を膜厚30nmで成膜した(第一遮光膜111a)。
その上に、同じクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガス(流量比 Ar:N=25:75,圧力=0.1Pa)をスパッタリングガスとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.7kW)により、CrN膜を4nmの厚さで成膜した(第二遮光膜111b)。
その上に、同じクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:CO:N:He=20:35:5:30,圧力=0.2Pa)をスパッタリングガスとして反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.7kW)により、をクロムリッチなCrOCN膜を膜厚14nmで成膜した(第三遮光膜111c)。
以上の手順により、位相シフト膜側からCrOCNからなる最下層、CrNからなる下層、CrOCNからなる上層の3層構造からなるクロム系材料の遮光膜111を合計膜厚48nmで形成した。
以上の手順により、薄膜付基板を得た。なお、光半透過膜110と遮光膜111とを合わせたときの光学濃度を3.0(λ=193nm)とした。また、露光光の波長(λ=193nm)に対する遮光膜111の表面反射率は20%であった。
2−B)レジスト膜形成工程
化学増幅型ポジレジスト(富士フイルムエレクトロマテリアル社製 PRL009S)を薄膜11表面にスピンコート法により塗布し、その後、190℃でベーク処理を60秒行い、膜厚120nmのレジスト膜12を形成した。
2−D)無機導電性膜形成工程
その上に、無機導電性膜14としてMoO膜を5nmの厚さで成膜した。詳しく言うと、モリブデンモリブデン(Mo)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)及び酸素(O)の混合ガス(流量比 Ar:O=90:10,圧力=0.1Pa)をスパッタリングガスとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.5kW)により成膜を行った。
<実施例2>
本実施例においては、本実施形態と同様、レジスト膜12の主表面に対して有機導電性膜13を形成し、有機導電性膜13の主表面に対してMoを主成分とする無機導電性膜14を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様としたため、有機導電性膜13の作製方法についてのみ述べる。
2−C)水溶性樹脂膜(有機導電性膜)形成工程
ポリアニリン系の有機導電性樹脂膜(三菱レイヨン社製 アクアセーブ)をレジスト膜12の主表面にスピンコート法により塗布し、その後、120℃で粗乾燥を行い、膜厚10nmの有機導電性膜13を形成した。
2−D)無機導電性膜形成工程
その上に、無機導電性膜14としてMoO膜を3nmの厚さで成膜した。詳しく言うと、モリブデン(Mo)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)(圧力=0.1Pa)をスパッタリングガスとし(DCスパッタリング:DC電力1.5kW)、成膜を行った。
以上の手法を用いて、本実施例におけるレジスト膜付きマスクブランク1を作製した。
なお、上記の内容以外は実施例1と同様とした。
<実施例3>
本実施例においては、Moを主成分とする無機導電性膜14を2層構造とした。具体的に言うと、レジスト膜12の主表面に対してMo酸化物層を形成し、当該Mo酸化物層の主表面に対してMo層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様とした。
2−D)無機導電性膜形成工程
その上に、Mo膜を3nmの厚さで成膜した。詳しく言うと、モリブデン(Mo)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)(圧力=0.1Pa)をスパッタリングガスとし(DCスパッタリング:DC電力1.5kW)、成膜を行った。
その上に、MoO膜を3nmの厚さで成膜した。詳しく言うと、モリブデン(Mo)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)及び酸素(O)の混合ガス(流量比 Ar:O=90:10,圧力=0.1Pa)をスパッタリングガスとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.5kW)により、成膜を行った。
以上の手法を用いて、本実施例におけるレジスト膜付きマスクブランク1を作製した。
<実施例4>
本実施例においては、実施例2に倣いつつも実施例2とは異なり、Wを主成分とする無機導電性膜14を形成した。そして、無機導電性膜14の除去のためのプレリンスにはアルカリ性の溶液を用いた。なお、それ以外は実施例1と同様としたため、無機導電性膜14の作製方法についてのみ述べる。
2−D)無機導電性膜形成工程
有機導電性膜13の上に、WO膜を5nmの厚さで成膜した。詳しく言うと、タングステン(W)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、及び酸素(O)の混合ガス(流量比 Ar:O=90:10,圧力=0.1Pa)をスパッタリングガスとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.5kW)により、成膜を行った。
以上の手法を用いて、本実施例におけるレジスト膜付きマスクブランク1を作製した。
<比較例1>
本比較例においては、実施例2において無機導電性膜14(Mo膜)を形成しなかったことを除けば、実施例2と同様に試料を作製した。
<評価>
実施例1〜4及び比較例1のマスクブランク5のレジスト膜12にエリオニクス社製の電子線描画装置を用いてパターンを描画した。なお、パターンは、レジストパターンの凸部(ライン)の幅(ハーフピッチ)が30nm〜90nmの範囲の各々の値、ラインとスペースの比が1:1となるように露光した。描画後に130℃で600秒間加熱した。
その後、実施例1〜4についてはプレリンスを行い、無機導電性膜14を純水(イオン交換水)又はアルカリ溶液により除去した。それに続いて現像を行った。現像は、5mL/秒で現像液(THAM:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を基板10に供給して行った。
その後、高速回転で60秒間の乾燥回転を行い、自然乾燥させた。なお、レジストパターンの除去以降の工程は行わなかった。
こうして得た試料に対し、レジストパターンについて電子顕微鏡にて観察しところ、実施例1〜4では全てサイズのハーフピッチにおいて良好に所定の位置にパターンを形成することができていた。このことから、実施例1〜4では、レジストパターン形成時の帯電が速やかに解消されていることが分かった。
一方、比較例1では、ハーフピッチが70nmよりも小さい場合に描画されるべき所定位置から実際に形成したパターンの位置がずれる現象が生じた。このことから、有機導電性膜13を形成した場合であっても、パターン寸法が狭い場合には電子線描画時の帯電を解消しきれていないことが分かった。
1………レジスト膜付きマスクブランク
5………マスクブランク
10……基板
11……薄膜
110…光半透過膜
111…遮光膜
111a…第一遮光膜
111b…第二遮光膜
111c…第三遮光膜
12……レジスト膜
13……水溶性樹脂膜(有機導電性膜)
14……無機導電性膜

Claims (15)

  1. 薄膜を有する基板と、前記薄膜の表面に形成されたレジスト膜とを備えるレジスト膜付きマスクブランクであって、
    前記レジスト膜の上に、アルカリ性溶液に対して可溶である無機導電性膜が形成され、
    前記無機導電性膜の全体にモリブデンの酸化物およびタングステンの酸化物のうち少なくともいずれかを含ませていることを特徴とするレジスト膜付きマスクブランク。
  2. 前記レジスト膜と前記無機導電性膜との間に水溶性樹脂膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレジスト膜付きマスクブランク。
  3. 前記水溶性樹脂膜は導電性ポリマーで構成された有機導電性膜であることを特徴とする請求項2に記載のレジスト膜付きマスクブランク。
  4. 前記無機導電性膜の膜厚は1nm〜10nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランク。
  5. 前記無機導電性膜はMoO 、WO、およびWOのうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランク。
  6. 前記無機導電性膜はMoO を主成分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランク。
  7. 前記無機導電性膜はタングステンの酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランク。
  8. レジスト膜付きマスクブランクの製造方法であり、
    薄膜を有する基板を準備する基板準備工程と、
    前記薄膜の表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜の上に、アルカリ性溶液に対して可溶である無機導電性膜を形成する無機導電性膜形成工程と、
    を有し、
    前記無機導電性膜形成工程は、前記無機導電性膜の全体に、モリブデンの酸化物およびタングステンの酸化物のうち少なくともいずれかを含ませるように前記無機導電性膜を形成することを特徴とするレジスト膜付きマスクブランクの製造方法。
  9. 前記レジスト膜形成工程と前記無機導電性膜形成工程との間に、
    前記レジスト膜の表面に水溶性樹脂膜を形成する水溶性樹脂膜形成工程と、
    を有することを特徴とする請求項8に記載のレジスト膜付きマスクブランクの製造方法。
  10. 前記水溶性樹脂膜は導電性ポリマーで構成された有機導電性膜であることを特徴とする請求項9に記載のレジスト膜付きマスクブランクの製造方法。
  11. 前記無機導電性膜形成工程はスパッタリング成膜を用いて行うことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランクの製造方法。
  12. 前記無機導電性膜はMoO 、WO、およびWOのうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランクの製造方法。
  13. 前記無機導電性膜はMoO を主成分とすることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランクの製造方法。
  14. 前記無機導電性膜はタングステンの酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランクの製造方法。
  15. 請求項1〜7のいずれかに記載のレジスト膜付きマスクブランクを用い、マスクブランクのうち少なくとも薄膜に対して凹凸パターンを形成するパターン形成工程と、
    を有する、転写用マスクの製造方法。
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