JP6468745B2 - メイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤 - Google Patents

メイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤 Download PDF

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Description

本発明は、ショウガ科の植物である「月桃」の「葉部」から分離取得した特定の成分を有効成分とする「メイラード反応抑制機能または/および抗酸化機能を有する機能剤」(すなわち「メイラード反応抑制剤または/および抗酸化剤」)に関するものである。
[月桃について]
月桃は、ショウガ科ハナミョウガ属の多年草であり、我が国においては、主として琉球諸島(沖縄諸島や奄美諸島)や九州南部において、民家の庭先でもよく見かけるなじみの植物である。成長した月桃の高さはたとえば3mにも達し、葉の長さは40〜60cm程度、葉の巾は15cm程度である。
月桃の葉(月桃葉)に含まれる成分には、防虫、防カビ、抗菌、消臭、鎮静作用などの作用があることも知られている。
[その1]
「月桃の蒸留液」については、次のような文献がある。
(特許文献1)
−1−
特開2002−322023(特許文献1)の請求項1には、「月桃の地上部から、乾留法、減圧蒸留法、水蒸気蒸留法などの手法により月桃蒸留液を抽出した後、分液ロート又はオイルセパレーター等で精油分を分離除去し、残った成分をろ過して、化粧品などの製造に利用することを特徴とする月桃精油除去液の製造方法が示されている。この精油除去液の用途は、化粧水、美容液、脂肪酸クリーム、シャンプーなどである。
−2−
月桃を蒸留したときの蒸留液(留出液のこと)には精油分が含まれるので、通常であればその精油分を有効成分として利用するのであるが、この特許文献1の発明においては、蒸留液から精油分を除去した残りの液を利用するという逆の発想を採用している。
[その2]
「ケルセチン−3−O−グルクロニド」の記載のある文献
特許電子図書館による公報全文の検索において、「ケルセチン−3−O−グルクロニド」の記載のある文献は3件ある。
(特許文献2)
そのうちの1件の特開2004−010488(特許文献2)はアレルゲンの腸管透過抑制剤にかかるものであって、その請求項6には香辛料からの抽出物であるケルセチン−3−O−グルクロニドにつき記載がある。
また、この文献の段落0017にはケルセチン−3−O−グルクロニドの化学式が示されており、段落0045にはこの化合物の1H−NMR、13C−NMRも示されている。
[その3]
「ケルセチン、グルクロニド、抗酸化、メイラード」の記載のある文献
特許電子図書館による公報全文の検索において、「ケルセチン クエルセチン」×「グルクロニド グルクロナイド」×「抗酸化 メイラード」の検索式による検索によれば、たとえば次のような文献がある。
(特許文献3)
特開2009−106265(特許文献3)の段落0007には、「抗酸化性の高いフラボンの7位グルクロン酸抱合体が蓄積している」旨の記載がある。
(特許文献4)
特開2007−106696(特許文献4)の段落0002には、「ケルセチン抱合体は抗酸化作用、抗炎症作用、脂質吸収抑制作用、脳細胞伝達物質の強化作用等を有することが知られている」旨の記載がある。
(特許文献5)
特開2001−122791(特許文献5)には、「ケルセチン−3−β−D−グルクロナイドのインビトロ研究は抗酸化および抗炎症性を有すること、および血小板凝縮およびヒアルニダーゼを阻止し、毛細血管透過性を減らすことにより浮腫を縮小することを示す」旨の記載がある。
(特許文献6)
再表2010/084879(特許文献6)には、「ケルセチンの3位グルクロン酸配糖体はミケリアンと呼ばれ、抗鬱剤として用いられるセントジョーンズワートの薬理種成分の一つとして知られており、・・・」、「ケルセチンの3位グルクロン酸配糖体は、LDL分解阻害活性や、H2O2による細胞内酸化ストレスの軽減効果や、アンジオテンシンによる血管肥大の抑制効果等が知られている」旨の記載がある。
[その4]
「ケンフェロール−3−O−グルクロニド」の記載のある文献
特許電子図書館による公報全文の検索において、「ケンフェロール−3−O−グルクロニド」の記載のある文献はヒットしなかった。
(従って、「ケルセチン−3−O−グルクロニド」と「ケンフェロール−3−O−グルクロニド」との双方について記載のある文献もヒットしなかった。)
[その5]
「ケンフェロール」×「グルクロニド グルクロナイド」×「抗酸化 メイラード」の記載のある文献
(特許文献7)
特開2009−106265(特許文献7)の段落0007には、「抗酸化性の高いフラボンの7位グルクロン酸抱合体が蓄積している」旨の記載がある。
(特許文献8)
再表2010−026666(特許文献8)の段落0007のすぐ前の個所には、「このようにして得られるグルクロン酸抱合体(フラボノイドの)は、機能性食品の材料、その生体内での機能を調べるための試薬、あるいは、抗酸化剤などとして有用である」旨の記載がある。
特開2002−322023 特開2004−010488 特開2009−106265 特開2007−106696 特開2001−122791 再表2010/084879 特開2009−106265 再表2010/026666
(特許文献1について)
特許文献1においては、「月桃の地上部から、乾留法、減圧蒸留法、水蒸気蒸留法などの手法により月桃蒸留液を抽出した後、その蒸留液につき、分液ロート又はオイルセパレーター等で精油分を分離除去し、残った成分をろ過して、化粧品などの製造に利用している。
つまり、特許文献1の発明においては、月桃蒸留液は「精油分」と「精油分以外の部分(水分や、水に懸濁している精油分)」とからなるところ、その蒸留液のうちの「精油分以外の部分」に着目している。
特許文献1においては、蒸留操作による蒸留液以外の部分である「缶残」については何の注目もしていない。
(特許文献2〜6について)
特許文献2〜6には、ケルセチン−3−O−グルクロニドあるいはその類似物質の作用効果(抗酸化作用など)についての記載があるにとどまる。
(特許文献7〜8について)
特許文献7〜8には、ケンフェロール−3−O−グルクロニドあるいはその類似物質の作用効果(抗酸化作用など)についての記載があるにとどまる。
(特許文献1、2〜6、7〜8についてのまとめ)
−1−
上述の特許文献1においては、月桃葉の蒸留液に着目しているが、上述のように、蒸留液以外の部分である「缶残」については何らの注目も払っていない。
−2−
上記の特許文献2〜6にはケルセチン−3−O−グルクロニドの抗酸化作用などにつき記載があり、上記の特許文献7〜8にはケンフェロール−3−O−グルクロニドの抗酸化作用などにつき記載があるが、本願発明のように、
・植物原料として月桃葉に着目すること、
・「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」を有効成分とすること、
・ケルセチン−3−O−グルクロニドとケンフェロール−3−O−グルクロニドとの双方」を含有するものであること、
については、いずれも記載がない。
−3−
これらの特許文献1〜8に記載の発明は、本願発明とは着眼点や技術思想が相違しているのである。
本発明のメイラード反応抑制機能または/および抗酸化機能を有する機能剤は、
減圧機構を備えた乾留装置を用いて含水状態にある植物原料を低温かつ減圧条件下に乾留したときに留出する成分を「低温減圧乾留留出分(D)」としかつその低温減圧乾留操作後にその乾留装置内に残る乾燥状態の粉末ないしフレーク状の残渣を「低温減圧乾留残渣(R)」と称するとき、
前記の植物原料が月桃葉であること、
その月桃葉の「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」を有効成分とするものであること、および、
前記の残渣(R)または抽出物(E)が、「ケルセチン−3−O−グルクロニドとケンフェロール−3−O−グルクロニドとの双方」を含有するものであること、
を特徴とするものである。
ここで、上記のメイラード反応抑制機能を有する機能剤は、メイラード反応抑制剤、特にそのメイラード反応抑制剤の範疇の中のペントシジン生成阻害剤であることが特に好ましい。
また、上記の抗酸化機能を有する機能剤は、抗酸化剤であることが特に好ましい。
そして、上記の低温減圧乾留操作は、より具体的には、水分率が90重量%以下の含水状態にある月桃葉を、60〜20℃の低温条件下にかつゲージ圧で−88kPa以下の減圧条件下に行う乾留操作であることが特に好ましい。
(着想の特異性と作用効果について)
−1−
本発明者らは、植物原料として月桃葉に着目している。
月桃葉を蒸留したときの留分(蒸留エキス)の良い香りの成分はテルピネン−4−オールであることが知られており、本発明者らもそのことを確認しているが、本発明者らは、月桃葉については、その蒸留エキス以外の部分に何らかの未知の可能性があるとの予感を抱いていたのである。
−2−
特許文献1のように、植物中の着目成分(Aとする)は、蒸留により留出する留分に含まれるとするのが技術上の通念であり、乾留装置内に残る固体状の残渣(缶残)は、本来は廃棄物として処理されるべきものである。
蒸留操作により留分中に移行するはずの着目成分Aの一部が残渣(缶残)側に残るので、その着目成分Aを残渣側から少しでも回収しようとすることは考えられるが、残渣から回収した着目成分Aは純度が劣りかつ不純物や着色物が入り込むおそれがあるので、化粧品原料に使用するようなケースにおいてはそのような回収はしないのが通常である。たとえ回収するときでも、その回収物につき精製処理を施すことが必要となるので、かえってコスト的に割高になってしまうのである。
−3−
しかるに、本発明者らは、その月桃葉について「常温程度の低温での減圧乾留」を行ったときに乾留装置内に残る固体状の残渣(低温減圧乾留残渣(R))に着目し、
その残渣(R)そのもの、および、
その残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)
が、抗酸化機能または/およびペントシジン生成阻害率の点ですぐれた作用効果を示すという予想外の事実を見い出すに至ったのである。
ここで「予想外」と形容したのは、植物原料に含まれる有効成分は減圧乾留液(留出液)の方に移行しかつ減圧乾留操作中に分解ないし変性により生じた有効成分も減圧乾留液(留出液)の方に移行し、減圧乾留残渣の側には有効成分は余り残らないと考えるのが常識的であるからである。
−4−
そして、前記の低温減圧乾留操作は、水分率が90重量%以下の含水状態にある月桃葉を、60〜20℃の低温条件下にかつゲージ圧で−88kPa以下の減圧条件下に行う乾留操作であることが望ましい。
実施例にかかる「(第4)20%エタノール溶出液のHPLC分析」の「(2)HPLCクロマトグラム」の個所において言及の「波長280nmにおけるHPLCクロマトグラム」である。
(月桃葉)
本発明においては、植物原料として月桃葉(つまり「月桃の葉部」)を用いる。月桃葉を用いたときに、本発明の目的に沿う有効成分を含む目的物が得られるからである。
月桃葉の減圧乾留を行うにあたっては、月桃の葉が極めて大きいことから、必要な大きさにまで裁断しておく。なお、月桃の葉部以外に月桃の他の部位が混在していても、特に支障とはならない。
(低温減圧乾留時の水分率の条件)
本発明においては、減圧機構を備えた乾留装置を用いて含水状態にある月桃葉を低温かつ減圧条件下に乾留する。ただし、水分率が余りに高いときは乾留に長時間を要し、工業性を欠くことになるので、水分率は90重量%以下にとどめることが望ましい。
(低温減圧乾留時の温度条件と圧力条件)
−1−
低温減圧乾留を行うときの温度条件としては、60〜20℃程度の範囲内の低温が適当であり、より好ましい範囲は55〜25℃、さらに好ましい範囲は50〜30℃である。
温度条件が60℃を越えるような条件で減圧乾留を行うと、乾留装置内に残る固体状の残渣を溶媒で抽出してもその抽出物(E)中の有効成分の量が少なくなる上、取得した抽出物(E)を用いたときのメイラード反応抑制機能や抗酸化機能が不足するようになる傾向がある。
−2−
低温減圧乾留を行うときの圧力条件(減圧条件)としては、ゲージ圧表記で、−88kPa以下(−660mmHg以下)、通常は−96〜−100kPa(−720〜−750mmHg)とすることが好ましい。
絶対圧表記では、13.3kPa以下(100mmHg以下)、通常は1.3〜5.3kPa(10〜40mmHg)とすることが好ましい。
減圧の度合いが上記範囲よりも緩くなると(減圧度が不足すると)乾留に長時間を要することになり、一方、減圧の度合いを余りに大きくすることは真空装置上の制約があるので、いずれも工業性を欠くことになる。
−3−
上述のような条件下での低温減圧乾留により、所期の目的物を工業的に効率良く取得できる。
(低温減圧乾留残渣(R))
−1−
上記のようにして低温減圧乾留を行ったときに乾留装置内に残る固体状の残渣である「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」が本発明の目的物である。
また、その「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」も本発明の目的物である。ここで溶媒としては種々の溶媒が使用できるが、水、エタノール、これらの混合物が特に好適である。
−2−
前者の「低温減圧乾留残渣(R)」はそれ自体が製品となるが、その製品の購入業者はいずれその残渣(R)を用いて溶媒による抽出を行って抽出物(E)となし、その抽出物(E)を自ら使用して二次製品や三次製品を製造・販売したり、その抽出物(E)をさらに第三者に販売することになる。
−3−
後者の「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」は、メイラード反応抑制機能または抗酸化機能としての好ましい性能を有するので(ちなみにこれら双方の機能を併せ有することも多い)、極めて有用である。
(低温減圧乾留留出分(D))
一方、上記の低温減圧乾留による「低温減圧乾留留出分(D)」は、本発明の目的物ではないが、抗菌成分や香気成分を含むので、無駄にはならない。
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
(第1)月桃葉乾燥粉末の50%エタノール抽出
月桃葉乾燥粉末10gを秤り、50体積%エタノール水(以下「50%エタノール」というように略称する)100mLを加え、2時間室温で攪拌抽出した。抽出液を遠心分離し、上清を濾紙濾過した。残渣に50%エタノール50mLを加え、室温で更に1時間抽出した。抽出液を遠心分離し、上清を濾紙濾過した。濾液を合わせて減圧濃縮し、残渣1.22gを得た。
(第2)残渣のODSカラム精製
残渣に10%エタノール20mLを加え、撹拌抽出した。不溶物を遠心濾過で除き、上清を濾紙濾過した。
濾液をODSカラム(175mL,2.5x35cm)にチャージした。10%エタノール、20%エタノール、30%エタノール、50%エタノールの順で溶出液をそれぞれ250mL得た。
(第3)各溶出液の抗酸化活性とメイラード反応抑制活性(ペントシジン生成阻害活性)の測定
(1)方法
(その1)抗酸化活性
(1−1)400μM DPPH(1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl)エタノール溶液の調製
DPPH 3.94mgを秤量し、エタノール25mLに攪拌溶解する。
(1−2)検量線の作成
ア:400μM DPPHエタノール溶液をエタノールで3倍に希釈し、その希釈液0.9mLを試験管に分注する。
イ:希釈液の入った試験管にエタノール300,250,200,150,100μLをn=2で添加する。
ウ:0.2mM α−トコフェロールエタノール溶液(8.6mg→エタノール100mL)をイで加えたエタノールと0.2mM α−トコフェロールエタノール溶液の合計が300μLになるよう試験管(n=2)に添加し、攪拌する。このとき、α−トコフェロールの量は0,10,20,30,40nmol/assayとなる。
エ:添加20分後に516nmで吸光度を測定する。
オ:横軸にα−トコフェロール量(nmol/assay)、縦軸に吸光度をプロットし、最小二乗法により、検量線を作成する。
(1−3)試験液の測定
ア:DPPH希釈液0.9mLを試験管に分注し、それにエタノール250μLを添加する。
イ:試験液50μLを試験管(n=2)に添加し、攪拌する。
ウ:添加20分後に516nmで吸光度を測定する。
エ:得られた吸光度より、検量線を用いてα−トコフェロール相当量を算出する。
(その2)メイラード反応抑制活性(ペントシジン生成阻害)
下記の表に示す組成の反応液を1.5mL容量のプラスチックチューブに調製し、60℃、24時間ヒートブロック上でインキュベートした。
















反応終了後、反応液100μLに400μLの精製水を加え、その希釈液をHPLC分析することにより得られるペントシジンのピーク面積を測定し、阻害率を求めた。
また、アミノグアニジン塩酸塩の10mM液を陽性コントロールとした。
・HPLC分析条件
カラム: YMC−Pack ODS A−312 150×6mmI.D.
溶出液: 3%CH3CN/0.1%TFA
流量: 1.0mL/min、カラム温度 40℃
検出器: 分光蛍光検出器 EX335nm、EM380nm
注入量: 20μL
保持時間:約12分
・阻害率
阻害率(%)=100−[(試料溶液のペントシジンのピーク面積/ブランクのペントシジンのピーク面積)×100]
(その3)結果
結果を次の表2に示す。


















上記の結果から、抗酸化活性物質およびメイラード反応抑制活性物質は、主として20%エタノール溶出液中に含まれていることが示された。
(第4)20%エタノール溶出液のHPLC分析
(1)分析条件
・カラム: YMC−Pack ODS A−312 150×6mmI.D.
・カラム温度:40℃
・移動相: 0.1%TFA−0.1%TFA in エタノール
グラジエント溶出
・検出器: UV 波長280nm
・流量: 0.8mL/min.
・注入量: 20μL
(2)HPLCクロマトグラム
図1を参照
(第5)20%エタノール溶出液のHPLC分取
20%エタノール溶出液を減圧濃縮し、残渣140mgを得た。これを50%エタノール8mLに溶解し、上記クロマトグラムで保持時間15分から25分のブロードな山の部分をフラクション1、保持時間約28分の鋭いピークをフラクション2、保持時間約30分の鋭いピークをフラクション3としてHPLC分取を行った。
(1)分取条件
・カラム:YMC−Pack ODS−A 2φ×20cm
・移動相:0.5%ギ酸 in 30%エタノール
・カラム温度:40℃
・流量:5mL/min.
・検出:280nm
・注入量:0.5mL
(2)結果
フラクション1を300mL、単一ピークのフラクション2を100mL、単一ピークのフラクション3を125mL得た。各フラクションを減圧濃縮し、フラクション1〜3からそれぞれ110mg、16mg、19mgを得た。
(第6)フラクション1〜3のメイラード反応抑制(ペントシジン生成阻害)活性の測定
(1)結果
結果を次の表3に示す。















上記の結果から、フラクション2のピークとフラクション3のピークがメイラード反応抑制活性物質であることが示された。また、抗酸化活性物質も同様であることが推定された。
(第7)フラクション2および3の残渣のNMR測定
フラクション2および3の残渣のNMR測定を行い、それらの構造を検討した結果、フラクション2は下記の化1のケルセチン−3−O−グルクロニドであり、フラクション3は下記の化2のケンフェロール−3−O−グルクロニドであった。







































(NMRデータ)
−1−
1H−NMR(400MHz、CD3OD)
δ3.45-3.61(3H,2”,3”,4”), 3.76(1H,d,J=10Hz,5”), 5.35(1H,d,J=8Hz,1”),
6.19(1H,d,J=4Hz,6), 6.39(1H,d,J=4Hz,8), 6.85(1H,d,J=8Hz,5’),
7.63(1H,dd,J=4Hz,8Hz,6’), 7.65(1H,d,J=4Hz,2’)
−2−
13C−NMR(100MHz、CD3OD)
δ72.9(C-4”), 75.5(C-2”), 77.2(C-5”), 77.7(C-3”), 94.8(C-8),
100.0(C-6), 104.4(C-1”), 105.7(C-10), 116.1(C-5’), 117.3(C-2’),
122.9(C-1’), 123.5(C-6’), 135.5(C-3), 146.0(C-3’), 149.9(C-4’),
158.5(C-9), 159.1(C-2), 163.1(C-5), 166.1(C-7), 172.5(C-6’’),
179.3(C-4)
−3−
これらのデータは、文献値(Phytochemistry, 1985, 24, 465-467)と一致していた。



































(NMRデータ)
−1−
1H−NMR(400MHz、CD3OD)
δ3.45-3.60(3H,2”,3”,4”), 3.75(1H,d,J=10Hz,5”), 5.33(1H,d,J=7Hz,1”),
6.19(1H,d,J=4Hz,6), 6.38(1H,d,J=4Hz,8), 6.86(2H,d,J=8Hz,3’,5’),
8.05(2H,d,J=8Hz,2’,6’)
−2−
13C−NMR(100MHz、CD3OD)
δ72.9(C-4”), 75.5(C-2”), 77.1(C-5”), 77.6(C-3”), 94.9(C-8), 100.0(C-6),
104.5(C-1”), 105.7(C-10), 116.2(C-3’,C-5’), 122.6(C-1’), 132.4(C-2’,C-6’),
135.4(C-3), 158.5(C-9), 159.3(C-2), 161.6(C-4’), 163.1(C-5), 166.1(C-7),
172.2(C-6”), 179.3(C-4)
(第8)「抗酸化活性」および「メイラード反応抑制活性」の強さの検討
上述のケルセチン−3−O−グルクロニドおよびケンフェロール−3−O−グルクロニドの「抗酸化活性」および「メイラード反応抑制活性」の強さを検討した。
(1)抗酸化活性
ケルセチン−3−O−グルクロニドの1.0mM,0.5mM,0.25mM,0.125mM,0.063mM−50%EtOH溶液およびケンフェロール−3−O−グルクロニドの10mM,5mM,2.5mM,1.25mM,0.063mM−50%EtOH溶液をそれぞれ調製し、抗酸化活性を測定した。
結果を次の表4に示す。



























上記の結果から、ケルセチン−3−O−グルクロニドは、α−トコフェロールの1.6倍の抗酸化活性を有していることがわかる(下記の計算基礎を参照)。
一方、ケンフェロール−3−O−グルクロニドの抗酸化活性は、α−トコフェロールの2%程度にすぎず(下記の計算基礎を参照)、事実上、抗酸化活性が認められなかったことがわかる。
[α−トコフェロールとの対比における抗酸化活性能の計算基礎]
−0−
念のため、上記の表4における「抗酸化活性」の計算基礎を、以下に項を改めて説明する。
後述の表5は、α−トコフェロールとの対比におけるケルセチン−3−O−グルクロニドの抗酸化活性能の計算基礎を示すためのものである。
後述の表6は、α−トコフェロールとの対比におけるケンフェロール−3−O−グルクロニドの抗酸化活性能の計算基礎を示すためのものである。
−1−
(ケルセチン−3−O−グルクロニドに関して)
上記の表4の左欄の上半分の「試料(mM)」の欄が下記の表5の(A)欄に対応し、上記の表4の右欄の上半分の「抗酸化活性(注1)」の欄が下記の表5の(C)欄に対応する。
−2−
下記の表5の(D)欄(抗酸化活性能の比率(C)/(B)を示す)における5個の比率のうち最大値(2.20)と最小値(0.86)とをカットし、残りの3個の値(1.28と1.68と1.90)の平均値(1.6)を、ケルセチン−3−O−グルクロニドのα−トコフェロールとの対比における抗酸化活性能の値とした。
この結果から、ケルセチン−3−O−グルクロニドは、α−トコフェロールの約1.6倍の抗酸化活性を有していることがわかる。






















−3−
(ケンフェロール−3−O−グルクロニドに関して)
上記の表4の左欄の下半分の「試料(mM)」の欄が下記の表6の(A)欄に対応し、上記の表4の右欄の下半分の「抗酸化活性(注1)」の欄が下記の表6の(C)欄に対応する。






















−4−
上記の表6の(D)欄(抗酸化活性能の比率(C)/(B)を示す)における5個の比率のうち最大値(0.063)と最小値(0.014)とをカットし、残りの3個の値(0.016と0.024と0.032)の平均値(0.024)を、ケンフェロール−3−O−グルクロニドのα−トコフェロールとの対比における抗酸化活性能の値とした。
この結果から、ケンフェロール−3−O−グルクロニドは、α−トコフェロールの0.024倍(約0.02倍、つまり2%)の抗酸化活性を有しているにすぎなかったことがわかる。
すなわち、ケンフェロール−3−O−グルクロニドについては、ケルセチン−3−O−グルクロニドとは異なり、抗酸化活性は奏されなかった。
−5−
しかしながら、本発明の「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」は、ケルセチン−3−O−グルクロニドとケンフェロール−3−O−グルクロニドとの双方を含むので、結局は抗酸化活性についても好ましい作用を示すことになる。
(その2)メイラード反応抑制活性(ペントシジン生成阻害活性)
(2−1)ペントシジン生成阻害活性の測定
ケルセチン−3−O−グルクロニドの1.0mM,0.5mM,0.25mM,0.125mM,0.063mM−50%EtOH溶液と、およびケンフェロール−3−O−グルクロニドの10mM,5mM,2.5mM,1.25mM,0.063mM−50%EtOH溶液とをそれぞれ調製し、メイラード反応抑制活性(ペントシジン生成阻害率)を測定した。
結果を表7および表8に示す。
(2−2)測定結果
測定結果を次の表7と表8に示す。




































(2−4)解析
−1−
上記の表7の結果から、ケルセチン−3−O−グルクロニドの50%阻害率濃度は0.5mMであり、一方、陽性コントロールであるアミノグアニジン塩酸塩の50%阻害率濃度は10mM強であるので、ケルセチン−3−O−グルクロニドはアミノグアニジン塩酸塩のおよそ20倍(10mM/0.5mM≒20)の強さのメイラード反応抑制活性を示したことがわかる。(なお、50%阻害率濃度は、表7の濃度と阻害率とをプロットすることにより求めることができる。)
−2−
また、上記の表8の結果から、ケンフェロール−3−O−グルクロニドの50%阻害率濃度は3mMであり、一方、陽性コントロールであるアミノグアニジン塩酸塩の50%阻害率濃度は10mM強となるので(10mMの場合の阻害率が45%なのでそれよりも数%大きくなる)、ケンフェロール−3−O−グルクロニドはアミノグアニジン塩酸塩の3.5倍程度の強さのメイラード反応抑制活性を示したことがわかる。(なお、50%阻害率濃度は、表8の濃度と阻害率とをプロットすることにより求めることができる。)
月桃葉の「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」を有効成分とし、かつ、前記の残渣(R)または抽出物(E)が「ケルセチン−3−O−グルクロニドとケンフェロール−3−O−グルクロニドとの双方」を含有する本発明の機能剤は、メイラード反応抑制剤としても抗酸化剤としてもすぐれた作用を示すので、化粧品をはじめとする外用剤、食品、医薬部外品などへの添加剤として有用である。

Claims (5)

  1. 減圧機構を備えた乾留装置を用いて含水状態にある植物原料を60〜20℃の温度かつ−96〜−100kPaの圧力条件下に乾留したときに留出する成分を「低温減圧乾留留出分(D)」としかつその低温減圧乾留操作後にその乾留装置内に残る乾燥状態の粉末ないしフレーク状の残渣を「低温減圧乾留残渣(R)」と称するとき、
    前記の植物原料が月桃葉であること、
    その月桃葉の「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」を有効成分とするものであること、および、
    前記の残渣(R)または抽出物(E)が、「ケルセチン−3−O−グルクロニドとケンフェロール−3−O−グルクロニドとの双方」を含有するものであること、
    を特徴とするメイラード反応抑制機能または/および抗酸化機能を有する機能剤。
  2. 前記の機能剤がメイラード反応抑制剤である請求項1記載の機能剤。
  3. 前記のメイラード反応抑制剤がペントシジン生成阻害剤である請求項2記載の機能剤。
  4. 前記の機能剤が抗酸化剤である請求項1記載の機能剤。
  5. 前記の低温減圧乾留操作が、水分率が90重量%以下の含水状態にある月桃葉に対する乾留操作であることを特徴とする請求項1記載の機能剤。
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