JP6468373B2 - 真空ポンプ用モータ駆動装置および真空ポンプ - Google Patents

真空ポンプ用モータ駆動装置および真空ポンプ Download PDF

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本発明は、真空ポンプ用モータ駆動装置、および、そのモータ駆動装置を備えた真空ポンプに関する。
ターボ分子ポンプなどの軸流式真空ポンプは、真空排気するために動翼を有するロータを高速回転させる。このとき、希薄ガスに対して圧縮仕事を行いながら排気するので、ロータは一方向のみの回転(この回転方向を正回転とする)となる。従って、軸流式真空ポンプは、通常は、静止状態と正回転領域との間での加速・減速運転および正回転での定常回転が行われる。
従来は、ロータを回転させるモータ駆動に必要な情報として、回転速度情報およびモータロータの磁極位置情報を、回転センサの検出信号に基づいて取得している。例えば、ロータに設けられたターゲット(段差を有する)をインダクタンス式のギャップセンサで検出する方式の真空ポンプでは、回転センサのみで回転方向を検知するのは困難である。そのため、通常は、モータ駆動時(特に、逆回転の発生する可能性が比較的高い始動時)の制御シーケンスの工夫により対処している(例えば、特許文献1参照)。
特許4692891号公報
しかしながら、ロータを静止状態から回転開始(始動)する際に、励磁開始時に逆回転することがあり、制御シーケンスの工夫により対処されているが、その分、起動時間が長くなるという問題がある。
また、ターボ分子ポンプなどの軸流式真空ポンプを大型真空チャンバに搭載した場合には、チャンバを真空状態から急速に大気圧状態に戻すときに、ポンプ側からチャンバ側へガスが逆流しながら大気圧とされるので、逆流するガスの作用によりロータが逆回転することが希にある。このような場合、逆回転状態で起動されるのを防止するために、ロータが逆回転状態から静止状態となるまでポンプ再起動運転開始を待つ必要がある。
(C1)本発明の好ましい実施形態による真空ポンプ用モータ駆動装置は、複数のスイッチング素子を有してモータを駆動するインバータと、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて、モータロータの回転速度および磁極電気角を算出する第1演算部と、回転速度と目標回転速度との差分に基づいて、回転座標dq系におけるd軸電流指令およびq軸電流指令を設定する電流指令設定部と、d軸電流指令、q軸電流指令、回転速度および前記磁極電気角に基づいて、正弦波駆動指令を生成する駆動指令生成部と、正弦波駆動指令に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成するPWM信号生成部と、を備え、電流指令設定部は、ポンプ起動時に、回転速度ωが正回転状態を示す正の値である場合には加速駆動のq軸電流指令を設定し、回転速度ωが逆回転状態を示す負の値である場合には常に減速駆動のq軸電流指令を設定する。
(C2)さらに好ましい実施形態では、第1演算部は、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における第1の逆起電圧を演算する逆起電圧演算部と、磁極電気角がフィードバック入力され、該磁極電気角に基づいて第1の逆起電圧を回転座標dq系における第2の逆起電圧に変換する第1変換部と、第2の逆起電圧のベクトル位相角をΨとしたとき、回転速度が正である場合にはΨ−π/2がゼロに収束するように磁極位相偏差を算出し、回転速度が負である場合にはΨ+π/2がゼロに収束するように磁極位相偏差を算出する第2演算部と、第1の逆起電圧に基づいて回転速度を算出する第3演算部と、第3演算部により算出された回転速度の積分値を算出する第4演算部と、を有し、第1演算部は、磁極位相偏差と積分値との和を磁極電気角として出力し、電流指令設定部は、回転速度が負である場合には、常にq軸電流指令を正に設定して減速駆動を行わせる。
(C3)さらに好ましい実施形態では、第1演算部は、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における第1の逆起電圧を演算する逆起電圧演算部と、磁極電気角がフィードバック入力され、該磁極電気角に基づいて第1の逆起電圧を回転座標dq系における第2の逆起電圧に変換する第1変換部と、第2の逆起電圧のベクトル位相角をΨとしたとき、Ψ−π/2がゼロに収束するように磁極位相偏差を算出する第2演算部と、第1の逆起電圧に基づいて回転速度を算出する第3演算部と、第3演算部により算出された回転速度の積分値を算出する第4演算部と、を有し、第1演算部は、磁極位相偏差と前記積分値との和を磁極電気角として出力し、電流指令設定部は、回転速度が負である場合には、常にq軸電流指令を負に設定して減速駆動を行わせる。
(C4)さらに好ましい実施形態では、第3演算部は、前記和を符号反転して算出される電気角がフィードバック入力され、該電気角に基づいて第1の逆起電圧を回転座標dq系における第3の逆起電圧に変換する第2変換部と、第2の逆起電圧のベクトル成分位相、および第3の逆起電圧のベクトル成分位相に基づいて回転速度を算出する回転速度演算部と、を備える。
(C5)さらに好ましい実施形態では、回転速度演算部は、所定時間間隔で取得される第2の逆起電圧のベクトル成分位相の差分値と、所定時間間隔で取得される第3の逆起電圧のベクトル成分位相の差分値との平均値に基づいて、回転速度を算出する。
(C6)また、回転速度演算部は、第2の逆起電圧のベクトル成分位相と第3の逆起電圧のベクトル成分位相との平均値を所定時間間隔で取得し、所定時間間隔で取得された平均値の差分値に基づいて回転速度を算出するようにしても良い。
(C7)さらに好ましい実施形態では、第3演算部は、回転速度を積分して得られる電気角がフィードバック入力され、該積分値電気角に基づいて第1の逆起電圧を回転座標dq系における第4の逆起電圧に変換する第3変換部を備え、第3演算部は、第4の逆起電圧のベクトル成分位相に基づいて回転速度を算出する。
(C8)さらに好ましい実施形態では、第3演算部は、逆起電圧演算部で演算された第1の逆起電圧のベクトル成分位相に基づいて回転速度を算出する。
(C9)さらに好ましい実施形態では、第1演算部は、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における第1の逆起電圧を演算する逆起電圧演算部と、第1の逆起電圧に基づいて磁極電気角を算出する磁極電気角演算部と、磁極電気角演算部で算出された磁極電気角に基づいて回転速度を算出する回転速度演算部と、を備え、磁極電気角演算部は、回転速度演算部からフィードバック入力される回転速度が正の場合にはθ=tan−1(−Eα/Eβ)により磁極電気角を算出し、回転速度演算部からフィードバック入力される回転速度が負の場合にはθ=tan−1(+Eα/−Eβ)により磁極電気角を算出し、電流指令設定部は、回転速度が負である場合には、常にq軸電流指令を正に設定して減速駆動を行わせる。
(C10)さらに好ましい実施形態では、第1演算部は、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における逆起電圧成分Eα,Eβを演算する逆起電圧演算部と、磁極電気角をθとしたとき、θ=tan−1(−Eα/Eβ)により磁極電気角を算出する磁極電気角演算部と、磁極電気角演算部で算出された磁極電気角に基づいて回転速度を算出する回転速度演算部と、を備え、電流指令設定部は、回転速度が負である場合には、常にq軸電流指令を負に設定して減速駆動を行わせる。
(C11)本発明の好ましい実施形態による真空ポンプは、排気機能部が形成されたポンプロータと、ポンプロータを回転駆動するモータと、上述の真空ポンプ用モータ駆動装置のいずれか一つと、を備える。
本発明によれば、コストを抑えつつ起動時のモータ逆転に速やかに対処することができる。
図1は、本実施の形態の真空ポンプにおけるポンプユニット1の構成を示す図である。 図2は、コントロールユニットの概略構成を示すブロック図である。 図3は、モータMに関するモータ駆動制御系を示す図である。 図4は、正弦波駆動制御部400を説明するブロック図である。 図5は、d軸およびq軸の方向を説明する図である。 図6は、回転速度・磁極位置推定部407の詳細を示す図である。 図7は、逆起電圧E(Eα,Eβ)と磁極方向(磁極位置)との関係を説明する図である。 図8は、第2の実施形態における回転速度・磁極位置推定部407を示す図である。 図9は、回転速演算部4078における推定演算の一例を示すブロック図である。 図10は、回転座標dq系における位相ズレを説明する図である。 図11は、第3の実施形態における回転速度・磁極位置推定部407を示す図である。 図12は、第4の実施形態における回転速度・磁極位置推定部407を示す図である。 図13は、第5の実施形態における回転速度・磁極位置推定部407の詳細を示す図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は、本実施の形態の真空ポンプの、ポンプユニット1の構成を示す図である。真空ポンプは、図1に示すポンプユニット1と、ポンプユニット1を駆動するコントロールユニット(不図示)とを備えている。なお、図1に示す真空ポンプは、磁気浮上式ターボ分子ポンプである。
ポンプユニット1は、回転翼4aと固定翼62とで構成されるターボポンプ段と、円筒部4bとネジステータ64とで構成されるドラッグポンプ段(ネジ溝ポンプ)とを有している。ここではネジステータ64側にネジ溝が形成されているが、円筒部4b側にネジ溝を形成しても構わない。回転側排気機能部である回転翼4aおよび円筒部4bはポンプロータ4に形成されている。ポンプロータ4はシャフト5に締結されている。ポンプロータ4とシャフト5とによって回転体ユニットRが構成される。
複数段の固定翼62は、軸方向に対して回転翼4aと交互に配置されている。各固定翼62は、スペーサリング63を介してベース60上に載置される。ポンプケーシング61の固定フランジ61cをボルトによりベース60に固定すると、積層されたスペーサリング63がベース60とポンプケーシング61の係止部61bとの間に挟持され、固定翼62が位置決めされる。
シャフト5は、ベース60に設けられた磁気軸受67,68,69によって非接触支持される。各磁気軸受67,68,69は電磁石と変位センサとを備えている。変位センサによりシャフト5の浮上位置が検出される。なお、軸方向の磁気軸受69を構成する電磁石は、シャフト5の下端に設けられたロータディスク55を軸方向に挟むように配置されている。シャフト5はモータMにより回転駆動される。
モータMは同期モータであって、例えば、永久磁石同期モータが用いられる。モータMは、ベース60に配置されるモータステータ10と、シャフト5に設けられるモータロータ11とを有している。モータロータ11には、永久磁石が設けられている。磁気軸受が作動していない時には、シャフト5は非常用のメカニカルベアリング66a,66bによって支持される。
ベース60の排気口60aには排気ポート65が設けられ、この排気ポート65にバックポンプが接続される。回転体ユニットRを磁気浮上させつつモータMにより高速回転駆動することにより、吸気口61a側の気体分子は排気ポート65側へと排気される。
図2は、コントロールユニットの概略構成を示すブロック図である。外部からのAC入力は、コントロールユニットに設けられたAC/DCコンバータ40によってDC出力(DC電圧)に変換される。AC/DCコンバータ40から出力されたDC電圧はDC/DCコンバータ41に入力され、DC/DCコンバータ41によって、モータM用のDC電圧と磁気軸受用のDC電圧とが生成される。
モータM用のDC電圧はインバータ43に入力される。磁気軸受用のDC電圧は磁気軸受用のDC電源42に入力される。磁気軸受67,68,69は5軸磁気軸受を構成しており、磁気軸受67,68は各々2対の電磁石46を有し、磁気軸受69は1対の電磁石46を有している。5対の電磁石46、すなわち10個の電磁石46には、それぞれに対して設けられた10個の励磁アンプ45から個別に電流が供給される。
制御部44はモータおよび磁気軸受の制御を行うデジタル演算器であり、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が用いられる。制御部44は、インバータ43に対しては、インバータ43に含まれる複数のスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号441を出力し、各励磁アンプ45に対しては、各励磁アンプ45に含まれるスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号442をそれぞれ出力する。また、制御部44には、後述するようにモータMに関する信号(相電圧や相電流に関する信号)443が入力される。また、磁気軸受に関する信号(励磁電流信号や変位信号)444が入力される。
図3は、モータMに関するモータ駆動制御系を示す図である。モータ駆動制御系は、正弦波駆動制御部400およびインバータ43を有する。インバータ43は、複数のスイッチング素子SW1〜SW6と、スイッチング素子SW1〜SW6をオンオフ駆動するためのゲートドライブ回路4300とを備えている。スイッチング素子SW1〜SW6には、MOSFET やIGBT などのパワー半導体素子が用いられる。なお、スイッチング素子SW1〜SW6の各々には、環流ダイオードD1〜D6が並列接続されている。
モータステータ10のU,V,W相コイルに流れる電流は電流検知部50によってそれぞれ検出され、検出結果としての電流検知信号はローパスフィルタ409を介して制御部44の正弦波駆動制御部400に入力される。また、U,V,W相コイルの各端子および中性点の電圧は電圧検知部51によって検出され、検出結果としての電圧検知信号はローパスフィルタ410を介して正弦波駆動制御部400に入力される。
正弦波駆動制御部400は、ローパスフィルタ409、410でノイズ除去された電流検知信号および電圧検知信号に基づいて、スイッチング素子SW1〜SW6をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成する。ゲートドライブ回路4300は、PWM制御信号に基づいてゲート駆動信号を生成し、スイッチング素子SW1〜SW6をオンオフする。これにより、正弦波に変調されPWM化された電圧が、U,V,W相コイルにそれぞれ印加される。
本実施の形態では、モータ電流検知信号およびモータ電圧検知信号に基づいて回転速度、磁極位置を推定している。なお、本実施の形態のように、モータロータ11の回転位置を検出する回転センサを有しないセンサレスのモータの場合には、モータ電流検知信号およびモータ電圧検知信号に基づいて回転速度、磁極位置を推定するのが一般的である。
図4は、正弦波駆動制御部400を説明するブロック図である。図3においても説明したが、モータMに流れる3相電流は電流検知部50により検出され、検出された電流検知信号はローパスフィルタ409に入力される。一方、モータMの3相電圧は電圧検知部51により検出され、検出された電圧検知信号はローパスフィルタ410に入力される。
ローパスフィルタ409を通過した電流検知信号およびローパスフィルタ410を通過した電圧検知信号は、それぞれ回転速度・磁極位置推定部407に入力される。詳細は後述するが、回転速度・磁極位置推定部407は、電流検知信号および電圧検知信号に基づいて、モータMの回転速度ωおよび磁極位置(電気角θ)を推定する。なお、磁極位置は電気角θで表されるので、以下では、磁極位置のことを磁極電気角θと呼ぶことにする。算出された回転速度ωは速度制御部401,Id・Iq設定部402および等価回路電圧変換部403に入力される。また、算出された磁極電気角θはdq−2相電圧変換部404に入力される。
速度制御部401は、入力された目標回転速度ωiと推定された現在の回転速度ωとの差分に基づいて、PI 制御(比例制御および積分制御)あるいはP制御(比例制御)を行い、電流指令Iを出力する。詳細は後述するが、Id・Iq設定部402は、電流指令Iに基づき、回転座標dq系における電流指令Id,Iqを設定する。図5に示すように、回転座標dq系のd軸は、回転しているモータロータ11のN極を正方向とする座標軸である。q軸はd軸に対して90度進みの直角方向の座標軸で、その向きは正回転時の逆起電圧方向となる。
等価回路電圧変換部403は、回転速度・磁極位置推定部407で算出された回転速度ωおよびモータMの電気等価回路定数に基づく次式(1)を用いて、電流指令Id,Iqを回転座標dq系における電圧指令Vd,Vqに変換する。なお、等価回路はモータコイルの抵抗成分rおよびインダクタンス成分Lに分けられる。r、Lの値はモータ仕様等から得られ、予め記憶部(不図示)に記憶されている。
Figure 0006468373
dq-2相電圧変換部404は、変換後の電圧指令Vd,Vqと回転速度・磁極位置推定部407から入力された磁極電気角θとに基づいて、回転座標dq系における電圧指令Vd,Vqを固定座標αβ系の電圧指令Vα,Vβに変換する。2相-3相電圧変換部405は、2相の電圧指令Vα,Vβを3相電圧指令Vu,Vv,Vwに変換する。PWM信号生成部406は、3相電圧指令Vu,Vv,Vwに基づいて、インバータ43に設けられた6つのスイッチング素子SW1〜SW6をオンオフ(導通または遮断)するためのPWM制御信号を生成する。インバータ43は、PWM信号生成部406から入力されたPWM制御信号に基づいてスイッチング素子SW1〜SW6をオンオフし、モータMに駆動電圧を印加する。
図6は、回転速度・磁極位置推定部407の詳細を示す図である。電圧検知部51から出力された相電圧検知信号vv,vu,vwは、ローパスフィルタ410を介して3相-2相変換部4072に入力される。3相-2相変換部4072は3相の電圧信号を2相の電圧信号vα’,vβ’に変換する。変換後の電圧信号vα’,vβ’は逆起電圧演算部4074に入力される。
一方、電流検知部50から出力された相電流検知信号iv,iu,iwは、ローパスフィルタ409を介して3相-2相変換部4071に入力される。3相-2相変換部4071は、3相の電流検知信号iv,iu,iwを2相の電流信号iα,iβに変換する。変換後の電流信号iα,iβは等価回路電圧変換部4073に入力される。
等価回路電圧変換部4073は、モータMの電気等価回路定数に基づく次式(2)を用いて、電流信号iα,iβを電圧信号vα,vβに変換する。変換後の電圧信号vα,vβは逆起電圧演算部4074に入力される。なお、等価回路はモータコイルの抵抗成分rおよびインダクタンス成分Lに分けられる。r、Lの値はモータ仕様等から得られ、予め記憶部(不図示)に記憶されている。
Figure 0006468373
逆起電圧演算部4074は、モータ3相電圧に基づく電圧信号vα’,vβ’とモータ3相電流に基づく電圧信号vα,vβとに基づいて、次式(3)を用いて逆起電圧Eα,Eβを算出する。
Figure 0006468373
位相角演算部4076は、固定座標αβ系の逆起電圧(Eα,Eβ)のベクトル位相角θを算出する。図7は、逆起電圧(Eα,Eβ)と磁極方向(磁極位置)との関係を説明する図である。回転座標αβ系の逆起電圧ベクトル(Eα,Eβ)方向は、磁極位置(磁極電気角)θrに対して90deg(π/2rad)進み方向となる。
図7(a)は回転速度ωがω>0の場合(すなわち、正回転の場合)を示したものであり、この場合、90deg進み方向は、磁極位置θrから反時計回り(正回転方向)に90deg回転した位置となる。そのため、実際の磁極位置θrに近似される推定の磁極位置θは、4象限表現の逆正接関数を適用して次式(4)により算出される。
Figure 0006468373
一方、ω<0の場合(すなわち、逆回転の場合)には、磁極位置θrと逆起電圧ベクトル(Eα,Eβ)の関係は図7(b)に示すようになる。逆回転の場合、90deg進み方向は、磁極位置θrから時計回り(逆回転方向)に90deg回転した位置となる。そのため、実際の磁極位置θrに近似される推定の磁極位置θは、4象限表現の逆正接関数を適用して次式(5)により算出される。
Figure 0006468373
すなわち、位相角演算部4076は、後述する回転速度演算部4078からフィードバック入力された回転速度ωがω>0の場合には、式(4)により磁極電気角θ(逆起電圧(Eα,Eβ)のベクトル位相角)を算出し、ω<0の場合には式(5)により磁極電気角θを算出する。なお、位相角演算部4076にフィードバックされる回転速度ωは、前回の制御サンプリングタイミングにおいて算出された回転速度である。
回転速度演算部4078では、位相角演算部4076から入力された磁極電気角θに基づいて回転速度ωを算出する。回転速度ωは磁極電気角θの変化率なので、微分演算または差分演算により回転速度ωを算出する。差分を適用する場合、制御サンプリング時間Tで繰り返し演算が行われているときの、今回算出された現在の位相角θ1と、Tの自然数倍の所定時間T1毎に算出された位相角θ1を過去(前回)の位相角として予め記憶しておき、現在の位相角から過去(前回)の位相角との差Δθ1を演算する。そして、Δθ1を差分間隔の時間T1で除算することにより回転速度ω(=Δθ1/T1)を算出する。Δθ>0の場合には回転速度ωは正回転(ω>0)となり、Δθ<0の場合には回転速度ωは逆回転(ω<0)となる。ちなみに、たとえ回転速度が0付近(ほぼ停止)にあって誤差により符号が逆転し、式(4)、(5)の選択が不適切になっても、式(4)、(5)から算出される各々のθの変化率は同じであるため、回転速度算出に問題は生じない。
このように、式(4)、(5)のように推定される回転速度ωの正負に応じて磁極電気角θの算出式を切り替えることで、回転速度ωが正負のいずれの場合であっても、適切な磁極電気角θを得ることができる。その結果、回転速度・磁極位置推定部407からは、ロータ回転方向の正負(正回転、逆回転)に応じた回転速度ωおよび磁極電気角θが出力される。本実施の形態では、Id,Iq設定部402は、回転速度・磁極位置推定部407から入力された回転速度ωの正負に応じて以下のような処理を行う。
まず、回転速度・磁極位置推定部407から入力された回転速度ωがω≧0の場合、すなわち、モータロータが正回転状態または停止状態の場合を考える。この場合には、Id,Iq設定部402は、加速制御時(ωi>ω)においては、モータトルクを与えるq軸電流の電流指令IqをIq>0に設定する。これにより、正方向に回転しているモータロータの回転は加速される。逆に、減速制御時(ωi<ω)である場合には、Id,Iq設定部402は電流指令IqをIq<0に設定して、正方向に回転しているモータロータの回転を減速させる。
一方、回転速度ωがω<0の場合、すなわちモータロータが逆回転している場合を考える。真空ポンプにおいては、モータMは一方向(正回転方向)のみに駆動される。そのため、逆回転状態である場合には、常に電流指令IqをIq>0に設定する。Iq>0の場合にはモータロータに対して正回転方向(図7(a)のωの方向)にトルクが発生するので、逆回転しているモータロータの回転が必ず減速されることになる。このように、正回転方向のトルクを発生させると、モータロータの逆回転は減速して停止する。ポンプ起動時であれば、速度制御部401に入力される目標回転速度ωiはωi>0であるので、モータロータは停止した後に正回転方向に駆動されることになる。
このように、本実施の形態では、回転速度ωの正負に応じて磁極電気角θの算出式(4)、(5)を切り替えることにより、ロータ回転方向の正負(正回転、逆回転)に応じた回転速度ωおよび磁極電気角θが得られる。これらの情報(ω、θ)を用いることで、真空ポンプのモータ回転方向を適切に制御することができる。また、Id,Iq設定部402は、回転速度ωがω<0の場合には常にIq>0と設定するので、モータMが逆転した場合にはそのまま加速することなく速やかに減速される。
−第2の実施の形態−
図8,9は第2の実施形態を示す図である。なお、3相-2相変換部4071,4072,等価回路電圧変換部4073、および逆起電圧演算部4074の処理は、図6の構成の場合と同様であり、逆起電圧演算部4074までの処理については説明を省略する。
本実施の形態では、逆起電圧演算部4074で逆起電圧Eα,Eβを算出した後、後述するように逆起電圧Eα,Eβに基づいて回転速度ωと磁極位相ズレ補正量Δφとを算出し、それらからθを推定するようにした。その際に、回転速度ωの演算と磁極位相ズレ補正量Δφの演算とを、別々に独立して行うようにした。
回転速度ωは、磁極電気角θの周期性に関係する量である。一方、磁極位相ズレ補正量Δφは、実際の磁気電気角θrと推定した磁極電気角θとの間の位相ズレに関係する量である。そして、算出された回転速度ωと磁極位相ズレ補正量Δφとから、θ=∫ωdt+Δφにより磁極電気角θを算出するようにした。
(磁極位相ズレ補正量Δφの演算)
まず、磁極位相ズレ補正量Δφの演算について説明する。モータロータ11の回転速度は、ロータ回転慣性により回転1周期内で急激に変化することはなく、少なくとも数周期にかけてゆっくりと変化し、定常応答とみなすことができる。そこで、2相-dq電圧変換部4075は、式(6)に示す変換により入力された逆起電圧(Eα,Eβ)を、回転座標dq系における逆起電圧(Ed,Eq)に変換する。なお、式(6)におけるθには、所定時間間隔T(上述した制御サンプリングタイミングの間隔)で行われる演算において前回の演算タイミングで算出された磁極電気角θがフィードバックされる。
Figure 0006468373
ここで、複素表示を用いて座標変換を考えると次のようになる。逆起電圧(Eα,Eβ)のα成分Eαおよびβ成分Eβは、ω>0の場合、E×exp(j(θr+π/2))の実部および虚部に対応している。また、ω<0の場合には、EαおよびEβは、E×exp(j(θr−π/2))の実部および虚部に対応している。Eは逆起電圧の大きさで、θrは実際の磁極電気角である。
これに対して、推定された磁極電気角θを適用した2相-dq座標変換は、複素表示された逆起電圧にexp(−jθ)を乗算することで表される。従って、2相-dq座標変換後の逆起電圧(Ed,Eq)は、ω>0の場合にはE×exp(j(θr+π/2−θ))の実部および虚部で表される。ω<0の場合には、E×exp(j(θr−π/2−θ))の実部および虚部で表される。
位相角演算部4076は、回転座標dq系における逆起電圧(Ed,Eq)のベクトル位相角Ψを、4象限表現の逆正接関数を適用して、Ψ=tan−1(Eq/Ed)により算出する。ω>0の場合の位相角ΨはΨ=θr+π/2−θとなり、ω<0の場合にはΨ=θr−π/2−θとなる。図10は、回転座標dq系における磁極位相ズレを説明する図であり、(a)は正回転(ω>0)の場合を示し、(b)は逆回転(ω<0)の場合を示している。従って、推定される磁極電気角θを実際の磁極電気角θrに収束させる場合、ω>0の場合にはΨ−π/2がゼロに収束するように制御し、ω<0の場合にはΨ+π/2がゼロに収束するように制御する。
補正量Δφ演算部4077では、上述した磁極位相ズレを補正するための磁極位相ズレ補正量Δφを演算する。すなわち、正回転の場合にはΨ−π/2がゼロに収束するように、逆回転の場合にはΨ+π/2がゼロに収束するように磁極位相ズレ補正量Δφを推定磁極電気角へ加算補正する制御を行う。
ω>0の場合の、磁極位相ズレ補正量Δφは、式(7)に示すように、Ψ−π/2(rad)の値(正負の変化の大きさ)に基づいて適当なゲインg1(比例制御のゲインまたは比例制御・積分制御のゲイン)を乗じて生成される。式(7)によれば、図10(a)のようにΨ−π/2<0(すなわちθr<θ)の場合には、Δφ<0となる。すなわち、実際の磁極電気角θrよりも進み位相になっている磁極電気角θをθrに近づけることになる。
Δφ=g1×(Ψ−π/2) :Ψ−π/2≠0の場合
Δφ=0 :Ψ−π/2=0の場合 …(7)
ω<0の場合の、磁極位相ズレ補正量Δφは、式(8)のように設定される。例えば、図10(b)に示す場合にはΨ+π/2>0(すなわちθr>θ)なので、Δφ>0となり、実際の磁極電気角θrよりも遅れ位相になっている磁極電気角θをθrに近づけることになる。
Δφ=g1×(Ψ+π/2) :Ψ+π/2≠0の場合
Δφ=0 :Ψ+π/2=0の場合 …(8)
(回転速度ωの演算)
一方、上述した磁極位相ズレ補正量Δφの演算とは別に、回転速演算部4078において回転速度ωの推定演算が行われる。そして、積分演算部4079において、回転速度ωの積分値∫ωdtが行われる。図9は、回転速演算部4078における推定演算の一例を示すブロック図である。
位相角演算部4100では、逆起電圧演算部4074から入力された逆起電圧(Eα,Eβ)に基づいて、逆起電圧(Eα,Eβ)の位相角θ1を次式(9)により算出する。この位相角θ1は図7における磁極方向(磁極位置)を表している。
Figure 0006468373
図7に示す固定座標αβ系では、磁極方向は回転速度ωで回転しているので、式(9)の位相角θ1も時間的に変化する。回転速度推定部4101では、このように変化する位相角θ1の微分または差分を演算することにより、回転速度ωを算出(推定)する。ちなみに、ここでは回転速度ωのみが算出されるので、回転速度ωの正負に関係なく同一式(式9)が用いられる。差分を適用する場合、制御サンプリング時間Tで繰り返し演算が行われているときの、今回算出された現在の位相角θ1と、Tの自然数倍の所定時間T1毎に算出された位相角θ1を過去(前回)の位相角として予め記憶しておき、現在の位相角から過去(前回)の位相角との差Δθ1を演算する。そして、Δθ1を差分間隔の時間T1で除算することにより回転速度ω(=Δθ1/T1)を算出する。
このようにして、回転速度演算部4078によって算出された回転速度ωは、積分演算部4079および等価回路電圧変換部4073に入力されるとともに、回転速度・磁極位置推定部407から出力される。積分演算部4079では、回転速度ωの積分値が演算される。上述の制御サンプリング時間Tを用いてこの積分値を表すと、積分値(次回)=積分値(現在値)+ω×Tのように表される。そして、この積分値と補正量Δφ演算部4077で算出された磁極位相ズレ補正量Δφとの和(次式(10))を、今回の制御タイミングから時間Tが経過した次回に制御タイミングにおける磁極電気角θとして、2相-dq電圧変換部4075に入力するとともに、回転速度・磁極位置推定部407から出力する。
θ(次回)=積分値(次回)+Δφ …(10)
上述した第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の作用効果に加えて、以下に記載のような作用効果を奏する。すなわち、回転速度ωの演算と磁極位相ズレ補正量Δφの演算とを別々に独立して行うことにより、回転速度ωの定常偏差を低減することができる。その結果、センサレス正弦波駆動において駆動安定性の向上を図ることができ、モータ電流の脈動低減や駆動効率の向上を図ることができる。
−第3の実施の形態−
図11は、第3の実施形態における回転速度・磁極位置推定部407の詳細を示す図である。第2の実施の形態の図8,9と比較すると、回転速度演算部4078の構成が異なるとともに、積分演算部4079で算出された回転速度ωの積分値をθ2として回転速度演算部4078にフィードバックしている部分が異なる。以下では、第2の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
回転速度演算部4078の2相-dq電圧変換部4110は、逆起電圧演算部4074から入力された逆起電圧(Eα,Eβ)と、積分演算部4079から出力された積分値θ2とに基づいて、次式(11)により回転座標dq系における逆起電圧(E1d,E1q)を算出する。ここで用いられる積分値(電気角)θ2は、2相-dq電圧変換部4075で用いられる磁極電気角θとは異なり、磁極位相ズレ補正量Δφによって磁極位相ズレが補正されていない状態の磁極電気角である。
Figure 0006468373
次いで、位相角演算部4111は、次式(12)により位相角Ψ1を算出する。図7および図10の説明に記載したように、固定座標αβ系においては、逆起電圧ベクトル(Eα,Eβ)は回転速度ωで回転している。一方、実磁極電気角θrと推定磁極電気角θとが同一の周期性を有している場合には、たとえ位相ズレがあっても、回転座標dq系において推定される回転速度ωは実際の回転速度ωrに収束する。その結果、2相-dq電圧変換された逆起電圧(E1d,E1q)の位相Ψ1は一定値となる。逆に、収束していなければ位相Ψ1は変化する。
Figure 0006468373
回転速度ズレ補正部4112では、位相Ψ1の変化ΔΨ1に基づいて、回転速度ズレを補正するための補正量Δω(=ω(次回)−ω(現在値))を算出する。補正量Δωは、式(13)に示すように、ΔΨ1の値(正負の変化の大きさ)に基づいて適当なゲインg2(比例制御のゲインまたは比例制御・積分制御のゲイン)を乗じて生成される。位相Ψ1の変化は回転速度のズレ(ωr−ω)に比例するので、ωr>ωの場合にはΔΨ1>0となり、補正量Δωは回転速度を増やすように作用する。
Δω=g2×ΔΨ1 :ΔΨ1≠0の場合
Δω=0 :ΔΨ1=0の場合 …(13)
さらに、回転速度ズレ補正部4112は、算出した補正量Δωを現在用いている回転速度ω(現在値)に加算することで、次回タイミングの回転速度ω(次回)を算出する(式(14))。毎サンプリング周期において式(14)用い、逐次補正することにより、真の回転速度ωrに収束させることができる。このような収束の過程は定常偏差(オフセット)をゼロにする制御となるので、従来問題であった定常偏差を最小限に改善することができる。
ω(次回)=ω(現在値)+Δω …(14)
積分演算部4079は回転速度ズレ補正部4112から出力された回転速度ωに基づいて、積分値∫ωdtを演算する。この積分値∫ωdtを、補正量Δφ演算部4077で算出された磁極位相ズレ補正量Δφに加算することにより、磁極電気角(次回)θが得られる。また、積分値∫ωdtは、電気角θ2として2相-dq電圧変換部4110にフィードバック入力される。
本実施の形態では、誤差増大による安定性悪化を防ぐために、磁極位相ズレ補正量Δφの演算においては、磁極電気角θ(=∫ωdt+Δφ)を適用し、回転速度ωの演算では、磁極位相ズレ補正量Δφを含まない磁極電気角θ2(=∫ωdt)を適用するようにしている。回転速度ωの演算は、位相角Ψ1の差分や微分に基づくので、周期性情報が含まれていれば足りるためである。
−第4の実施の形態−
図12は、第4の実施形態における回転速度・磁極位置推定部407の詳細を示す図である。図12に示す回転速度・磁極位置推定部407では、回転速度演算部4078において差分演算部4113,4114を設けた点、およびθの符号を反転した電気角θmを2相−dq変換部へフィードバックした点が上述した第3の実施の形態と異なる。以下では、第3の実施の形態と異なる部分について説明する。
回転速演算部4078の2相-dq電圧変換部4110は、逆起電圧演算部4074から入力された逆起電圧(Eα,Eβ)と、符号反転部4116から出力された電気角θmとに基づいて、次式(15)により回転座標dq系における逆起電圧(Emd,Emq)を算出する。なお、符号反転部4116は、推定磁極電気角θ(=∫ωdt+Δφ)に(−1)を乗算し、その結果を電気角θm(=−θ)として出力する。
Figure 0006468373
次いで、位相角演算部4111は、次式(16)により位相角Ψmを算出する。上述したように、固定座標αβ系においては、逆起電圧ベクトル(Eα,Eβ)は回転速度ωで回転している。一方、回転座標dq系においては、推定される回転速度ωが実際の回転速度ωrに収束していれば、磁極電気角θmを用いて2相-dq電圧変換された逆起電圧(Emd,Emq)の位相Ψmは一定値となる。逆に、収束していなければ位相Ψmは変化する。
Figure 0006468373
差分演算部4113は、位相Ψmの差分ΔΨmを演算する。この場合、制御サンプリング時間Tで繰り返し演算が行われているときの、今回算出された現在の位相角Ψmと、Tの自然数倍の所定時間T1毎に算出された位相角Ψmを過去(前回)の位相角として予め記憶しておき、現在の位相角から過去(前回)の位相角との差ΔΨmを演算する。一方、差分演算部4114では、位相角演算部4076から出力される位相角Ψを用いて、差分ΔΨを演算する。なお、差分演算に代えて微分演算を行うようにしても良い。
第2の実施の形態に記載したように、Ψの値は、ω>0の場合にはΨ=θr+π/2−θとなり、ω<0の場合にはΨ=θr−π/2−θとなる。しかし、所定時間T1間で差分ΔΨを取ると、回転方向(ωの正負)には関係なく、ΔΨ=Δθr−Δθ=(ωr−ω)T1と表される。同様に、Ψmの場合には、ΔΨm=Δθr−Δθm=Δθr+Δθ=(ωr+ω)T1と表される。
差分演算部4113から出力された差分ΔΨmと、差分演算部4114から出力された差分ΔΨとを加算点で加算すると、ΔΨ+ΔΨm=2ωr・T1となる。ω生成部4115では、入力されたΔΨm+ΔΨ=2ωr・Tに0.5を乗算し、さらに時間T1で除算することにより回転速度ωを算出する。ω生成部4115は演算結果を推定角速度ωとして出力する。ω生成部4115から出力された回転速度ωは、積分演算部4079、補正量ΔΦ演算部4077および等価回路電圧変換部4073に入力されるとともに、回転速度・磁極位置推定部407から出力される。
上述のように、ω生成部4115では、(ΔΨm+ΔΨ)/2T=ωrのように実回転速度ωrを抽出するような処理となっている。ただし、実際にはΔΨmおよびΔΨには誤差が含まれているので必ずしもωrと一致するわけではない。しかしながら、このように、実回転速度ωrが抽出されるような処理となっているので、回転速度ωおよびその積分値∫ωdtをより精度良く推定することができる。このことは、回転速度が小さい場合や、制御サンプリング間隔Tが長く設定されている場合に、特に有効である。
−第5の実施の形態−
図13は、第5の実施形態における回転速度・磁極位置推定部407の詳細を示す図である。上述した第4の実施形態では、各位相角Ψ,Ψmの差分をそれぞれ計算してから和を求め、その和を用いて回転速度ωを算出している。本実施の形態では、図13に示すように位相角Ψと位相角Ψmとの和を先に計算した後に差分を求め、その差分に基づいて回転速度ωを算出するようにした。その他の構成については、第4の実施の形態と同様なので、以下では差分演算の部分を中心に説明する。なお、第4の実施の形態と同様に、差分演算に変えて微分演算を用いても良い。
ω>0の場合には、Ψ=θr+π/2−θおよびΨm=θr+π/2−θm=θr+π/2+θとなるので、それらの和(Ψ+Ψm)はΨ+Ψm=2θrとなる。ω<0の場合にも、同様にΨ+Ψm=2θrとなる。よって、回転方向(ωの正負)に関係なく、差分演算部4117の差分結果は、所定の時間間隔T1を用いると、Δ(Ψ+Ψm)=2Δθr=2ωr・T1と表される。ω生成部4115では、入力されたΔ(Ψm+Ψ)=2ωr・T1に0.5を乗算し、さらに時間T1で除算することにより回転速度ωを算出する。このように、本実施の形態の場合も、第4の実施の形態と同様に回転速度ωの推定をより精度良く行うことができる。
−第6の実施の形態−
上述した第1の実施の形態(図6,7)では、回転速度ωの正負に応じてθの式を式(4)、(5)で切り替えて磁極電気角θを算出するとともに、回転開始時の回転速度ωが負の場合(逆回転の場合)には、Id,Iq設定部402においてIq>0と設定することで減速させるようにした。また、第2の実施の形態(図8,10)では、回転速度ωの正負に応じて式(7)または(8)で磁極位相ズレ補正量Δφを算出する。回転速度ωが負の場合(逆回転の場合)には、磁極位相ズレ補正量Δφを式(8)のように設定するとともに、Iq>0と設定することにより逆回転を減速させるようにした。一方、第6の実施の形態では、磁極電気角θの設定に関しては正回転しているものとみなして演算を行い、回転開始時の回転速度ωがω<0の場合にはId,Iq設定部402におけるIqをIq<0に設定することで、必ず減速動作させるようにした。
最初に、図6の構成の場合について説明する。第1の実施の形態では、回転速度ωを位相角演算部4076にフィードバックし、回転速度ωの正負に応じて式(4)または式(5)により磁極電気角θを算出した。一方、第6の実施の形態では、回転速度ωの正負に関係なく(この場合、回転速度ωのフィードバックは必要ない)、式(4)を用いて磁極電気角θを算出する。Id,Iq設定部402は、回転速度演算部4078からの回転速度ωがω>0の場合には加速時にIq>0と設定する。
一方、回転速度演算部4078からの回転速度ωがω<0の場合には、Id,Iq設定部402はIqをIq<0と設定する。このように、第6の実施の形態では、回転速度ωの正負に応じてId,Iq設定部402におけるIqの正負を切り替え、ω<0の場合には常にIq<0と設定しているので、回転開始時の回転方向が逆回転であった場合には必ず減速されることになる。すなわち、逆回転のまま回転数が上昇してしまうのを防止することができ、正常なポンプ起動動作へ速やかに移行することができる。
次に、図8の構成の場合について説明する。第6の実施の形態では回転速度・磁極位置推定部407において磁極位相ズレ補正量Δφを設定する際に、回転方向(ωの正負)には関係なく式(7)を使用する。そして、Id,Iq設定部402は、回転速度・磁極位置推定部407から入力される回転速度ωがω<0のときには、Iq<0に設定する。
ωの正負に関わらず式(7)でΔφを設定した場合、正回転であれば、Id,Iq設定部402でIq>0と設定されても正常に加速されるが、逆回転の場合には、Iq>0と設定すると、逆回転状態のまま加速されてしまうことになる。変形例では、ωの正負に関わらず式(7)でΔφを設定するが、Id,Iq設定部402は、回転速度・磁極位置推定部407から入力される回転速度ωがω<0と判断したときには、Iqをω>0の場合とは逆にIq<0と設定するようにした。この場合、逆回転しているモータロータ11は、回転が減速されることになる。なお、この制御方法は、図8の構成の場合に限らず、上述した第3〜5の実施の形態の構成の場合にも適用することができる。
以上説明したように、本発明による真空ポンプ用モータ駆動装置は、複数のスイッチング素子を有してモータを駆動するインバータ43と、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて、モータロータの回転速度ωおよび磁極電気角θを算出する回転速度・磁極位置推定部407と、回転速度ωと目標回転速度ωiとの差分に基づいて、回転座標dq系におけるd軸電流指令およびq軸電流指令を設定するId・Iq設定部402と、d軸電流指令Id、q軸電流指令Iq、回転速度ωおよび磁極電気角θに基づいて、正弦波駆動指令を生成する駆動指令生成部(等価回路電圧変換部403、dq−2相電圧変換部404、2相-3相電圧変換部405)と、正弦波駆動指令に基づいて、複数のスイッチング素子SW1〜SW6をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成するPWM信号生成部406と、を備え、Id,Iq設定部402は、ポンプ起動時に、回転速度ωが正回転状態を示す正の値である場合には加速駆動のq軸電流指令を設定し、回転速度ωが逆回転状態を示す負の値である場合には減速駆動のq軸電流指令を設定する。このように、従来から備えられているId,Iq設定部402における処理を変更することで、モータが逆回転した場合には減速され、正常なポンプ起動動作に速やかに移行することができる。
さらに、図8に示すように回転速度・磁極位置推定部407は、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における逆起電圧(Eα,Eβ)を演算する逆起電圧演算部4074と、磁極電気角θがフィードバック入力され、該磁極電気角θに基づいて逆起電圧(Eα,Eβ)を回転座標dq系における逆起電圧(Ed,Eq)に変換する変換部4075と、逆起電圧(Ed,Eq)のベクトル位相角をΨとしたとき、回転速度ωが正である場合にはΨ−π/2がゼロに収束するように磁極位相ズレ補正量Δφを算出し、回転速度ωが負である場合にはΨ+π/2がゼロに収束するように磁極位相ズレ補正量Δφを算出する補正量Δφ演算部4077と、逆起電圧(Eα,Eβ)に基づいて回転速度ωを算出する回転速度演算部4078と、逆起電圧(Eα,Eβ)に基づいて回転速度ωを算出する回転速度演算部4078と、回転速度演算部4078により算出された回転速度ωの積分値∫ωdtを算出する積分演算部4079と、を有する。
そして、回転速度ωが負である場合には、Id・Iq設定部402はq軸電流指令Iqを正に設定する。このように、従来から備えられているId・Iq設定部402における処理を変更する代わりに、補正量Δφ演算部4077における処理を、回転速度ωの符号で切り替えることでも、モータが逆転した場合には減速され、正常なポンプ起動動作へ速やかに移行することができる。
また、回転速度・磁極位置推定部407は、回転速度ωおよび磁極電気角θを独立に演算し、磁極位相偏差Δφと積分値∫ωdtとの和を磁極電気角θとして出力するようにしたので、回転速度ωおよび磁極電気角θの演算精度の向上が図れる。その結果、センサレス正弦波駆動において駆動安定性の向上を図ることができる。
なお、回転速度演算部4078の構成としては、図9に示すように、逆起電圧演算部4074で演算された逆起電圧(Eα,Eβ)のベクトル成分位相θ1に基づいて回転速度ωを算出するようにしても良い。
また、図12や図13の構成のように、磁極電気角θを用いて変換された逆起電圧(Ed,Eq)のベクトル成分位相Ψ、および磁極電気角θm=−θを用いて変換された逆起電圧(Emd,Emq)のベクトル成分位相Ψmに基づいて回転速度ωを算出することで、回転速度ωの演算精度向上を図ることができる。図12に示す構成では、所定時間間隔T1で取得される逆起電圧(Ed,Eq)のベクトル成分位相Ψの差分値ΔΨと、所定時間間隔T1で取得される逆起電圧(Emd,Emq)のベクトル成分位相Ψmの差分値ΔΨmとの平均値に基づいて、回転速度ωを算出するようにした。図13に示す構成では、第2の逆起電圧(Ed,Eq)のベクトル成分位相Ψと逆起電圧(Emd,Emq)のベクトル成分位相Ψmとの平均値を所定時間間隔T1で取得し、取得された平均値の差分値に基づいて回転速度ωを算出する。
図11に示すような構成とした場合にも、回転速度ωの定常偏差を小さくすることができる。図11の回転速度・磁極位置推定部407では、回転速度演算部4078では、回転速度ωを積分して得られる電気角θ2に基づいて逆起電圧(Eα,Eβ)が回転座標dq系における逆起電圧(E1d,E1q)に変換され、その逆起電圧(E1d,E1q)のベクトル成分位相Ψ1に基づいて回転速度ωを算出する。
また、図6に示すように、モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における逆起電圧成分Eα,Eβを演算し、回転速度演算部4078からフィードバック入力される回転速度ωが正の場合にはθ=tan−1(−Eα/Eβ)により前記磁極電気角を算出し、フィードバック入力される回転速度ωが負の場合にはθ=tan−1(Eα/−Eβ)により磁極電気角を算出するようにしても良い。そして、回転速度ωが負である場合にq軸電流指令を正に設定して減速駆動を行わせる。
または、磁極電気角θをθ=tan−1(−Eα/Eβ)により算出し、算出された磁極電気角θに基づいて回転速度ωを算出するようにし、かつ、回転速度ωが負である場合にq軸電流指令を負に設定するようにしても良い。いずれの場合においても、起動時にモータが逆回転した場合には減速され、正常なポンプ起動動作へ速やかに移行することができる。
なお、上述した磁極位相ズレ補正量Δφの演算において、例えばω>0の場合に、位相角Ψがπ/2(rad)から大きくずれている場合(例えば、Ψ<0の場合)には、収束性を向上させるために、式(7),(8)を用いる代わりに、Δφを比較的大きな値(例えば、π/2)とするようにしても良い。
また、磁極回転角θを生成においては、回転速度ωが実回転速度にほぼ収束(一致)していることが前提となる。よって、推定回転速度が実回転速度から大きく乖離して、式(13)のΔΨ1の絶対値が所定閾値よりも大きい場合には、磁極位置収束性促進のために、磁極位相ズレ補正量Δφを強制的にゼロとしても良い。
上述した各実施の形態では、モータ電流検出およびモータ電圧検出を、いずれも3相入力として説明したが、2相のみを入力して残りの1相を他の2相から算出するようにしても良い。例えば、W相を計算で出す場合には、Iw=−Iu−Iv、Vw=−Vu−Vvと算出する。
なお、以上の説明はあくまでも一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。例えば、2極モータに限らず、4極モータなど多極モータの場合も、電気角を多極対応に置き換えることで適用可能である。また、上述した実施の形態ではターボポンプ段とドラッグポンプ段とを有するターボ分子ポンプを例に説明したが、回転体をモータで回転駆動する真空ポンプであれば、同様に適用することができる。また、上述した各実施形態はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施形態での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。
1:ポンプユニット、4:ポンプロータ、5:シャフト、4a:回転翼、4b:円筒部、10:モータステータ、11:モータロータ、43:インバータ、44:制御部、50:電流検知部、51:電圧検知部、62:固定翼、64:ネジステータ、400:正弦波駆動制御部、401:速度制御部、402:Id・Iq設定部、403:等価回路電圧変換部、404:dq−2相電圧変換部、405:2相-3相電圧変換部、406:PWM信号生成部、407:回転速度・磁極位置推定部、4071,4072:3相-2相変換部、4073:等価回路電圧変換部、4074:逆起電圧演算部、4075,4110:2相-dq電圧変換部、4076,4111:位相角演算部、4077:補正量Δφ演算部、4078:回転速度演算部、4079:積分演算部、4100:位相角演算部、4101:回転速度推定部、4112:回転速度ズレ補正部、4300:ゲートドライブ回路、M:モータ、R:回転体ユニット、SW1〜SW6:スイッチング素子、θ:磁極電気角、ω:回転速度

Claims (11)

  1. 複数のスイッチング素子を有して同期モータを駆動するインバータと、
    モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて、モータロータの回転速度および磁極電気角を算出する第1演算部と、
    前記回転速度と目標回転速度との差分に基づいて、回転座標dq系におけるd軸電流指令およびq軸電流指令を設定する電流指令設定部と、
    前記d軸電流指令、前記q軸電流指令、前記回転速度および前記磁極電気角に基づいて、正弦波駆動指令を生成する駆動指令生成部と、
    前記正弦波駆動指令に基づいて、前記複数のスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成するPWM信号生成部と、を備え、
    前記電流指令設定部は、ポンプ起動時に、前記回転速度が正回転状態を示す正の値である場合には加速駆動のq軸電流指令を設定し、前記回転速度が逆回転状態を示す負の値である場合には、q軸電流指令の符号を減速駆動の場合の符号に調整するとともに前記第1演算部で算出された回転速度と目標回転速度との差分に基づいてq軸電流指令を設定する、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  2. 複数のスイッチング素子を有してモータを駆動するインバータと、
    モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて、モータロータの回転速度および磁極電気角を算出する第1演算部と、
    前記回転速度と目標回転速度との差分に基づいて、回転座標dq系におけるd軸電流指令およびq軸電流指令を設定する電流指令設定部と、
    前記d軸電流指令、前記q軸電流指令、前記回転速度および前記磁極電気角に基づいて、正弦波駆動指令を生成する駆動指令生成部と、
    前記正弦波駆動指令に基づいて、前記複数のスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成するPWM信号生成部と、を備え、
    前記第1演算部は、
    前記モータ相電圧に関する情報と前記モータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における第1の逆起電圧を演算する逆起電圧演算部と、
    前記磁極電気角がフィードバック入力され、該磁極電気角に基づいて前記第1の逆起電圧を回転座標dq系における第2の逆起電圧に変換する第1変換部と、
    前記第2の逆起電圧のベクトル位相角をΨとしたとき、前記回転速度が正である場合にはΨ−π/2がゼロに収束するように磁極位相偏差を算出し、前記回転速度が負である場合にはΨ+π/2がゼロに収束するように磁極位相偏差を算出する第2演算部と、
    前記第1の逆起電圧に基づいて前記回転速度を算出する第3演算部と、
    前記第3演算部により算出された回転速度の積分値を算出する第4演算部と、を有し、
    前記第1演算部は、前記磁極位相偏差と前記積分値との和を前記磁極電気角として出力し、
    前記電流指令設定部は、ポンプ起動時に、前記回転速度が正回転状態を示す正の値である場合には加速駆動のq軸電流指令を設定し、前記回転速度が逆回転状態を示す負の値である場合にはq軸電流指令を正に設定して減速駆動を行わせる、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  3. 複数のスイッチング素子を有してモータを駆動するインバータと、
    モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて、モータロータの回転速度および磁極電気角を算出する第1演算部と、
    前記回転速度と目標回転速度との差分に基づいて、回転座標dq系におけるd軸電流指令およびq軸電流指令を設定する電流指令設定部と、
    前記d軸電流指令、前記q軸電流指令、前記回転速度および前記磁極電気角に基づいて、正弦波駆動指令を生成する駆動指令生成部と、
    前記正弦波駆動指令に基づいて、前記複数のスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成するPWM信号生成部と、を備え、
    前記第1演算部は、
    前記モータ相電圧に関する情報と前記モータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における第1の逆起電圧を演算する逆起電圧演算部と、
    前記磁極電気角がフィードバック入力され、該磁極電気角に基づいて前記第1の逆起電圧を回転座標dq系における第2の逆起電圧に変換する第1変換部と、
    前記第2の逆起電圧のベクトル位相角をΨとしたとき、Ψ−π/2がゼロに収束するように磁極位相偏差を算出する第2演算部と、
    前記第1の逆起電圧に基づいて前記回転速度を算出する第3演算部と、
    前記第3演算部により算出された回転速度の積分値を算出する第4演算部と、を有し、
    前記第1演算部は、前記磁極位相偏差と前記積分値との和を前記磁極電気角として出力し、
    前記電流指令設定部は、ポンプ起動時に、前記回転速度が正回転状態を示す正の値である場合には加速駆動のq軸電流指令を設定し、前記回転速度が逆回転状態を示す負の値である場合にはq軸電流指令を負に設定して減速駆動を行わせる、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  4. 請求項2または3に記載の真空ポンプ用モータ駆動装置において、
    前記第3演算部は、
    前記和を符号反転して算出される電気角がフィードバック入力され、該電気角に基づいて前記第1の逆起電圧を回転座標dq系における第3の逆起電圧に変換する第2変換部と、
    前記第2の逆起電圧のベクトル成分位相、および前記第3の逆起電圧のベクトル成分位相に基づいて前記回転速度を算出する回転速度演算部と、を備える真空ポンプ用モータ駆動装置。
  5. 請求項4に記載の真空ポンプ用モータ駆動装置において、
    前記回転速度演算部は、所定時間間隔で取得される前記第2の逆起電圧のベクトル成分位相の差分値と、前記所定時間間隔で取得される前記第3の逆起電圧のベクトル成分位相の差分値との平均値に基づいて、前記回転速度を算出する、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  6. 請求項4に記載の真空ポンプ用モータ駆動装置において、
    前記回転速度演算部は、前記第2の逆起電圧のベクトル成分位相と前記第3の逆起電圧のベクトル成分位相との和を所定時間間隔で取得し、前記所定時間間隔で取得された和の差分値に基づいて前記回転速度を算出する、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  7. 請求項2または3に記載の真空ポンプ用モータ駆動装置において、
    前記第3演算部は、前記回転速度を積分して得られる電気角がフィードバック入力され、該積分値電気角に基づいて前記第1の逆起電圧を回転座標dq系における第4の逆起電圧に変換する第3変換部を備え、
    前記第3演算部は、前記第4の逆起電圧のベクトル成分位相に基づいて前記回転速度を算出する、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  8. 請求項2または3に記載の真空ポンプ用モータ駆動装置において、
    前記第3演算部は、前記逆起電圧演算部で演算された第1の逆起電圧のベクトル成分位相に基づいて前記回転速度を算出する、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  9. 複数のスイッチング素子を有してモータを駆動するインバータと、
    モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて、モータロータの回転速度および磁極電気角を算出する第1演算部と、
    前記回転速度と目標回転速度との差分に基づいて、回転座標dq系におけるd軸電流指令およびq軸電流指令を設定する電流指令設定部と、
    前記d軸電流指令、前記q軸電流指令、前記回転速度および前記磁極電気角に基づいて、正弦波駆動指令を生成する駆動指令生成部と、
    前記正弦波駆動指令に基づいて、前記複数のスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成するPWM信号生成部と、を備え、
    前記第1演算部は、
    前記モータ相電圧に関する情報と前記モータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における逆起電圧成分Eα,Eβを演算する逆起電圧演算部と、
    前記逆起電圧成分Eα,Eβに基づいて前記磁極電気角を算出する磁極電気角演算部と、
    磁極電気角演算部で算出された磁極電気角に基づいて前記回転速度を算出する回転速度演算部と、を備え、
    前記磁極電気角演算部は、前記磁極電気角をθとしたとき、前記回転速度演算部からフィードバック入力される前記回転速度が正の場合にはθ=tan−1(−Eα/Eβ)により前記磁極電気角を算出し、前記回転速度演算部からフィードバック入力される前記回転速度が負の場合にはθ=tan−1(Eα/−Eβ)により前記磁極電気角を算出し、
    前記電流指令設定部は、ポンプ起動時に、前記回転速度が正回転状態を示す正の値である場合には加速駆動のq軸電流指令を設定し、前記回転速度が逆回転状態を示す負の値である場合にはq軸電流指令を正に設定して減速駆動を行わせる、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  10. 複数のスイッチング素子を有してモータを駆動するインバータと、
    モータ相電圧に関する情報とモータ相電流に関する情報とに基づいて、モータロータの回転速度および磁極電気角を算出する第1演算部と、
    前記回転速度と目標回転速度との差分に基づいて、回転座標dq系におけるd軸電流指令およびq軸電流指令を設定する電流指令設定部と、
    前記d軸電流指令、前記q軸電流指令、前記回転速度および前記磁極電気角に基づいて、正弦波駆動指令を生成する駆動指令生成部と、
    前記正弦波駆動指令に基づいて、前記複数のスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号を生成するPWM信号生成部と、を備え、
    前記第1演算部は、
    前記モータ相電圧に関する情報と前記モータ相電流に関する情報とに基づいて固定座標αβ系における逆起電圧成分Eα,Eβを演算する逆起電圧演算部と、
    前記磁極電気角をθとしたとき、θ=tan−1(−Eα/Eβ)により前記磁極電気角を算出する磁極電気角演算部と、
    磁極電気角演算部で算出された磁極電気角に基づいて前記回転速度を算出する回転速度演算部と、を備え、
    前記電流指令設定部は、ポンプ起動時に、前記回転速度が正回転状態を示す正の値である場合には加速駆動のq軸電流指令を設定し、前記回転速度が逆回転状態を示す負の値である場合にはq軸電流指令を負に設定して減速駆動を行わせる、真空ポンプ用モータ駆動装置。
  11. 排気機能部が形成されたポンプロータと、
    前記ポンプロータを回転駆動するモータと、
    前記モータを駆動する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の真空ポンプ用モータ駆動装置と、を備える真空ポンプ。
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