JP6466261B2 - 電動ブレーキ装置 - Google Patents

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    • B60T13/74Transmitting braking action from initiating means to ultimate brake actuator with power assistance or drive; Brake systems incorporating such transmitting means, e.g. air-pressure brake systems with electrical assistance or drive

Description

この発明は、電動ブレーキ装置に関し、常用域において制御精度の向上を図りながら、コスト低減を図ることができる技術に関する。
電動ブレーキ装置は、例えば、駆動源であるモータ、減速機、直動機構からなる摩擦部材操作手段、および車輪と共に回転するブレーキロータ等によって構成される。この電動ブレーキ装置は、運転者のペダル操作量(踏力、ストローク等)や車両の状態から適切なブレーキ力を発生させるように、摩擦部材とブレーキロータの摩擦力が制御される。その際、ブレーキ力を精度良く制御するために、前記ブレーキ力を推定するブレーキ力センサが用いられる。このブレーキ力センサとして、本件出願人は磁気センサを用いた荷重センサを適用する技術を提案している(特許文献1〜6等)。
特開2013−29413号公報 特開2013−32970号公報 特開2013−83550号公報 特開2013−257000号公報 特開2014−16307号公報 特開2014−134450号公報
一般に、車両用ブレーキは例えば通常0.2G以下程度の減速度で使用されることが多い。その際に運転者は車両の挙動に合わせてペダル等を操作し細かくブレーキの制御を行っている。このため、ブレーキ力を精度良く制御するためのブレーキ力センサにおいては、運転者に違和感を抱かせないために十分な検出精度が求められる。
一方、大きな車両減速度が必要となる急制動時においては、一般に運転者がフィーリングに合わせてペダルを細かく制御するようなケースは稀であり、ブレーキ力センサの検出精度は比較的粗くても問題ないと考えられる。
また、前記ブレーキ力を推定する手段として、従来技術のような、直動機構の軸方向荷重を検出するブレーキ荷重センサが比較的安価に構成できるため有用である。その場合、電動ブレーキ装置は、摩擦部材とブレーキロータの押圧力を制御する。その際、摩擦部材とブレーキロータの摩擦係数はその温度によって変化する。例えば、高速走行時から激しい制動を繰り返す場合などにおいて、摩擦部材とブレーキロータの摩擦係数が1/3程度になる場合があることが知られている(フェード現象)。
よって、前記ブレーキ荷重センサにはフェード現象を想定した押圧力を検出するダイナミックレンジが求められる。しかし、結果としてフェードが発生しない常用域において十分な分解能を得ることが困難となる場合がある。
前記の通り、ブレーキ力センサを比較的頻度の低い状況を想定したダイナミックレンジに設定すると、常用域において十分な分解能を得るために高精度な荷重センサを構成する必要が生じ、高コストとなる恐れがある。
この発明の目的は、常用域において制御精度の向上を図りながら、コスト低減を図ることができる電動ブレーキ装置を提供することである。
この発明の電動ブレーキ装置は、ブレーキロータ8と、このブレーキロータ8に接触させる摩擦部材9と、この摩擦部材9を前記ブレーキロータ8に接触させる摩擦部材操作手段6と、この摩擦部材操作手段6を駆動する電動モータ4と、前記摩擦部材9を前記ブレーキロータ8に押し付けることにより発生するブレーキ力の推定値である推定ブレーキ力を求めるブレーキ力推定手段17と、前記電動モータ4を制御して前記推定ブレーキ力を目標ブレーキ力に追従制御する制御装置2とを備える電動ブレーキ装置において、
前記制御装置2は、前記目標ブレーキ力および前記推定ブレーキ力のいずれか一方または両方に基づいて、前記ブレーキ力推定手段17による前記推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更する推定範囲変更手段26を有することを特徴とする。
この構成によると、この電動ブレーキ装置を搭載した車両の運転者がブレーキ操作を行うことで、制御装置2は、電動モータ4を制御して摩擦部材操作手段6を駆動する。これにより摩擦部材操作手段6は、摩擦部材9をブレーキロータ8に押し付けることでブレーキ力が発生する。制御装置2は電動モータ4を制御するとき、ブレーキ力推定手段17で求めた推定ブレーキ力を目標ブレーキ力に追従制御する。
制御装置2の推定範囲変更手段26は、目標ブレーキ力および推定ブレーキ力のいずれか一方または両方に基づいて、ブレーキ力推定手段17による推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更する。電動ブレーキ装置のように、推定ブレーキ力における常用域とそうでない領域がある程度想定できる場合、例えば、推定範囲を常用域に設定し、必要に応じて推定範囲の限界値を変更する。これにより、推定ブレーキ力の推定範囲毎に必要な分解能を達成することが容易になる。したがって、従来技術のような高精度な荷重センサを構成することなく、常用域において制御精度の向上を図り、運転者に違和感を抱かせないために十分な検出精度が得られる。また、急制動に必要な広範囲のブレーキ力の検出も可能となる。
前記推定範囲変更手段26は、前記目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を超過したとき、 前記目標ブレーキ力と前記閾値との差分の絶対値が所定値以下でありかつ前記目標ブレーキ力の微分値が所定値以上であるとき、および超過時間が所定時間を超えたとき、のうち少なくともいずれか一つを含む条件に基づいて、前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より拡大するよう変更しても良い。
前記閾値は、試験やシミュレーション等の結果により定められる。
この構成によると、推定範囲の限界値を拡大するための前提条件として、目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を超過したこととしている。 このとき、限界値拡大後における後述する推定範囲の限界値を縮小するための閾値より大きな値を閾値としてヒステリシスを設けると、頻繁な推定範囲の変化を防止することができて好適である。また推定範囲変更手段26が前記超過量に基づいて前記推定範囲の限界値を拡大する場合、演算処理を簡単化し、制御演算の演算処理負荷を低減することができる。
推定範囲変更手段26が前記目標ブレーキ力の微分値に基づいて前記推定範囲の限界値を拡大する場合、目標ブレーキ力が急峻に増加する場合など目標ブレーキ力の傾向に従って、前記推定範囲の限界値を拡大することができる。例えば、目標ブレーキ力が 増加して前記閾値に対して急峻に接近する場合、その後すぐに閾値を超過することを予測し、前記推定範囲の限界値を速やかに変更することができる。推定範囲変更手段26が超過時間に基づいて前記推定範囲の限界値を拡大する場合、目標ブレーキ力が定められた僅かな時間だけ閾値を超過するような場合、前記推定範囲の限界値を変更する条件から除外し得る。
前記定められた僅かな時間は、試験やシミュレーション等の結果により定められる。
前記推定範囲変更手段26は、前記目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を下回ったとき、前記目標ブレーキ力と前記閾値との差分の絶対値が所定値以下でありかつ前記目標ブレーキ力の微分値が所定値以下であるとき、および前記目標ブレーキ力が前記閾値を下回る時間が所定時間を超えたとき、のうち少なくともいずれか一つを含む条件に基づいて、前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より縮小するよう変更しても良い。
前記定められた範囲は、試験やシミュレーション等の結果により定められる。
この構成によると、推定範囲の限界値を縮小するための前提条件として、目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を下回ることを前提条件としている。このとき、前記縮小する閾値について、推定限界値縮小後における再度限界値を拡大するための閾値より前記縮小する閾値を小さく設定してヒステリシスを設けると、頻繁な推定範囲の変化を防止し得るため好適である。また推定範囲変更手段26が前記差分の絶対値に基づいて前記推定範囲の限界値を縮小する場合、簡潔な判断とすることができて制御演算の演算処理負荷を低減し得る。推定範囲変更手段26が前記目標ブレーキ力の微分値に基づいて前記推定範囲の限界値を縮小する場合、例えば、目標ブレーキ力の低下傾向に従って、前記推定範囲の限界値を縮小し得る。前記目標ブレーキ力が前記範囲内にある時間に基づいて前記推定範囲の限界値を縮小する場合、前記目標ブレーキ力が僅かな時間だけ前記範囲内にある 場合において、前記推定範囲の限界値を変更する条件から除外し得る。
尚、前記目標ブレーキ力を用いる代わりに推定ブレーキ力を用いても良く、あるいはその両方を用いても良い。また、前記微分値は、閾値との差分の微分値を用いてもよい。
前記電動モータ4の回転角度を推定する回転角推定手段24を設け、前記ブレーキ力推定手段17は、前記推定範囲変更手段26により前記推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更した後、定められた時間内において、前記回転角推定手段24で推定された前記回転角度と前記ブレーキ力との定められた関係に基づいて、前記推定ブレーキ力を求めても良い。
前記定められた時間、前記定められた関係は、それぞれ試験やシミュレーション等の結果により定められる。
推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更するための時間が必要な場合において、推定範囲の限界値を変更した後、定められた時間内は、制御装置2は、ブレーキ力センサ等によるブレーキ力推定結果を用いずに電動ブレーキ装置の制御を行う。つまり回転角推定手段24で推定された回転角度とブレーキ力との関係を事前にある程度測定しておけば、ブレーキ力センサ等を用いるものより制御精度は低下するものの大まかな制御は可能であり、前記定められた時間が僅かな時間であれば実用上問題ないと考えられる。
前記ブレーキ力推定手段17が、前記摩擦部材9が前記ブレーキロータ8を押圧するときの押圧力を推定する荷重センサを含むものであっても良い。
前記ブレーキロータ8の回転角速度を推定するロータ角速度推定手段28を設け、
前記制御装置2に、前記ロータ角速度推定手段28で推定された前記回転角速度から前記ブレーキロータ8の温度を推定する温度推定手段29を設け、
前記推定範囲変更手段26は、前記温度推定手段29で推定された温度が定められた温度以上となったとき前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より拡大し、前記温度推定手段29で推定された温度が定められた温度未満となったとき前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より縮小するよう変更しても良い。
前記定められた温度は、試験やシミュレーション等の結果により定められる。
摩擦部材9をブレーキロータ8に押し付けるとき、摩擦部材9とブレーキロータ8の摩擦係数はその温度によって変化する。そうすると、摩擦部材9をブレーキロータ8に押し付けることに起因する発熱に基づいて、推定範囲の限界値を変更する。この構成によると、温度推定手段29は、ロータ角速度推定手段28で推定された回転角速度からブレーキロータ8の温度を推定する。推定範囲変更手段26は、推定された温度が定められた温度以上となったとき推定範囲の限界値を変更前の限界値より拡大する。推定範囲変更手段26は、推定された温度が定められた温度未満となったとき推定範囲の限界値を変更前の限界値より縮小する。したがって、摩擦部材9とブレーキロータ8の摩擦係数の変動に対応して推定範囲の限界値を木目細かく変更することができる。
この発明の電動ブレーキ装置は、ブレーキロータと、このブレーキロータに接触させる摩擦部材と、この摩擦部材を前記ブレーキロータに接触させる摩擦部材操作手段と、この摩擦部材操作手段を駆動する電動モータと、前記摩擦部材を前記ブレーキロータに押し付けることにより発生するブレーキ力の推定値である推定ブレーキ力を求めるブレーキ力推定手段と、前記電動モータを制御して前記推定ブレーキ力を目標ブレーキ力に追従制御する制御装置とを備える電動ブレーキ装置において、前記制御装置は、前記目標ブレーキ力および前記推定ブレーキ力のいずれか一方または両方に基づいて、前記ブレーキ力推定手段による前記推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更する推定範囲変更手段を有する。このため、常用域において制御精度の向上を図りながら、コスト低減を図ることができる。
この発明の実施形態に係る電動ブレーキ装置の概略構造を示す図である。 同電動ブレーキ装置の制御系のブロック図である。 同電動ブレーキ装置のブレーキ力推定手段の一例を概略示す図である。 同電動ブレーキ装置のブレーキ力推定手段の推定範囲と分解能の関係を示す図である。 同電動ブレーキ装置において、推定ブレーキ力の推定範囲を変更する際、目標ブレーキ力に対する閾値をそれぞれ設ける例を示すフローチャートである。 同推定ブレーキ力の推定範囲を変更する際、目標ブレーキと閾値、およびカウンタを設ける例を示すフローチャートである。 この発明の他の実施形態に係る電動ブレーキ装置を搭載する車両において、ブレーキ力および車速から推定される各輪の発熱量に基づいて、推定ブレーキ力の推定範囲を変更する例を示すフローチャートである。 同推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更した後、定められた時間内は、ブレーキ力推定結果を用いずに電動モータの制御を行う例を示すフローチャートである。 同推定ブレーキ力の変化に応じた推定範囲の変化を示す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る電動ブレーキ装置のブレーキ力推定手段の例を示すブロック図である。
この発明の実施形態に係る電動ブレーキ装置を図1ないし図6と共に説明する。
図1に示すように、電動ブレーキ装置DBは、電動アクチュエータ1と、制御装置2と、ブレーキ力推定手段17(図2)とを有する。先ず、電動アクチュエータ1について説明する。
電動アクチュエータ1は、電動モータ4と、この電動モータ4の回転を減速する減速機構5と、摩擦部材操作手段である直動機構6と、駐車ブレーキであるパーキングブレーキ機構7と、ブレーキロータ8と、摩擦部材9とを有する。電動モータ4、減速機構5、および直動機構6は、例えば、図示外のハウジング等に組込まれる。なおブレーキロータ8は、ディスク型であっても、ドラム型であっても良い。摩擦部材9は、ブレーキパッドまたはブレーキシュー等からなる。直動機構6は、ボールねじ機構や遊星ローラねじ機構などの送りねじ機構からなる。
電動モータ4は三相の同期モータ等からなる。減速機構5は、電動モータ4の回転を、回転軸10に固定された三次歯車11に減速して伝える機構であり、一次歯車12、中間歯車13、および三次歯車11を含む。この例では、減速機構5は、電動モータ4のロータ軸4aに取り付けられた一次歯車12の回転を、中間歯車13により減速して、回転軸10の端部に固定された三次歯車11に伝達可能としている。
直動機構6は、減速機構5で出力される回転運動を送りねじ機構により直動部14の直線運動に変換して、ブレーキロータ8に対して摩擦部材9を当接離隔させる機構である。直動部14は、回り止めされ且つ軸方向A1に移動自在に支持されている。直動部14のアウトボード側端に摩擦部材9が設けられる。電動モータ4の回転を減速機構5を介して直動機構6に伝達することで、回転運動が直線運動に変換され、それが摩擦部材9の押圧力に変換されることによりブレーキ力を発生させる。なお、アウトボード側とは電動ブレーキ装置DBを車両に搭載した状態で、車両の車幅方向外側をアウトボード側といい、車両の車幅方向中央側をインボード側という。
パーキングブレーキ機構7は、ロック部材15とアクチュエータ16とを有する。中間歯車13のアウトボード側端面には、複数の係止孔(図示せず)が円周方向一定間隔おきに形成される。これら係止孔のいずれか一つにロック部材15が係止可能に構成される。アクチュエータ16として例えばソレノイドが適用される。アクチュエータ16によりロック部材(ソレノイドピン)15を進出させて中間歯車13に形成された前記係止孔に嵌まり込ませることで係止し、中間歯車13の回転を禁止することで、パーキングロック状態にする。ロック部材15をアクチュエータ16に退避させて前記係止孔から離脱させることで中間歯車13の回転を許容し、アンロック状態にする。
制御装置2等について説明する。
図2に示すように、制御装置2は、制御対象である電動アクチュエータ1(図1)を制御する装置であって、電動モータ4を制御してブレーキ力を目標ブレーキ力に対して追従制御する機能を有する。制御装置2には、この制御装置2の上位制御手段である上位ECU3が接続されている。上位ECU3として、例えば、車両全般を制御する電気制御ユニットが適用される。この上位ECU3に、ブレーキ力指令手段3aが設けられる。ブレーキ力指令手段3aは、ブレーキ操作手段であるブレーキペダル18の操作量に応じて変化するセンサ18aの出力に応じて、目標とするブレーキ力の指令値すなわち目標ブレーキ力を生成し出力する。
制御装置2はインバータ装置19を備え、このインバータ装置19は、各電動モータ4に対して設けられたパワー回路部20と、このパワー回路部20を制御するモータコントロール部21と、電流検出手段22とを有する。モータコントロール部21は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、および電子回路等により構成される。
モータコントロール部21は、ブレーキ力指令手段3aから与えられる目標ブレーキ力およびブレーキ力推定手段17(後述する)で推定される推定ブレーキ力に応じて、電圧値による電流指令に変換して、この電流指令をパワー回路部20に与える。モータコントロール部21は、電動モータ4に関する各検出値や制御値等の各情報を上位ECU3に出力する機能を有する。
パワー回路部20は、電源23の直流電力を電動モータ4の駆動に用いる三相の交流電力に変換するインバータ20aと、このインバータ20aを制御するPWM制御部20bとを有する。電動モータ4には、ロータ(図示せず)の回転角度を推定する回転角推定手段24が設けられている。インバータ20aは、複数の半導体スイッチング素子(図示せず)で構成され、PWM制御部20bは、入力された電流指令をパルス幅変調し、前記各半導体スイッチング素子にオンオフ指令を与える。
モータコントロール部21は、その基本となる制御部としてモータ駆動制御部25を有する。このモータ駆動制御部25は、前述の目標ブレーキ力および推定ブレーキ力に従い、電圧値による電流指令に変換して、PWM制御部20bに電流指令からなるモータ動作指令値を与える。モータ駆動制御部25は、目標ブレーキ力に対し、インバータ20aから電動モータ4に流すモータ電流を電流検出手段22から得て、電流フィードバック制御を行う。またモータ駆動制御部25は、電動モータ4のロータ(図示せず)の回転角度すなわちモータ回転角を回転角推定手段24から得て、モータ回転角に応じた効率的なモータ駆動が行えるように、PWM制御部20bに電流指令を与える。
モータコントロール部21には、推定範囲変更手段26および記録手段27等が設けられる。推定範囲変更手段26は、前記目標ブレーキ力および前記推定ブレーキ力のいずれか一方または両方に基づいて、ブレーキ力推定手段17による前記推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更する。ブレーキ力推定手段17は、摩擦部材9(図1)をブレーキロータ8(図1)に押し付けることにより発生するブレーキ力の推定値である推定ブレーキ力を求める。
ブレーキ力推定手段17は、摩擦部材9(図1)がブレーキロータ8(図1)を押圧するときの押圧力を検出する荷重センサ17aと、この荷重センサ17aのアナログ出力をデジタル信号に変換するA/D変換器17bと、後述の関係設定手段17cとを有する。A/D変換器17bは、変更用入力端子への外部からの入力によりブレーキ力の推定範囲を可変とする可変式、すなわち出力するデジタル信号の最大値に対応するアナログ入力信号の最大値を可変とする可変式のものである。
荷重センサ17aは、例えば、磁気式のセンサ17aaおよび磁気ターゲット17abを含む。磁気ターゲット17abは、例えば、2個の永久磁石17ba,17baを有する。図1および図3に示すように、摩擦部材9がブレーキロータ8を押圧するとき、直動機構6にインボード側への反力が作用する。磁気式のセンサ17aaおよび磁気ターゲット17abからなる荷重センサ17aは、このブレーキ力の反力を軸方向の変位量として磁気的に検出する。
磁界の変化を検出する磁気式のセンサ17aaとして、ダイナミックレンジが可変でかつ安価なホールICが市販されており、入手性に優れる。磁気式のセンサ17aaとして、ホールIC以外に、例えば、磁気抵抗素子、または磁気インピーダンス素子等を適用しても良い。
図2に示すように、ブレーキ力推定手段17の関係設定手段17cは、アナログ信号からなるセンサ出力をA/D変換器17bでA/D変換したデジタル信号と、前記ブレーキ力の反力との関係を試験等で予め設定しておくことにより、荷重センサ17aのセンサ出力に基づいて、ブレーキ力を推定し得る。なお、荷重センサ17aとして、磁気式以外の光学式、渦電流式、または静電容量式のセンサを適用することも可能である。
推定範囲変更手段26は、前述のブレーキ力推定手段17で求めた推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更する。
ここで図4は、この電動ブレーキ装置のブレーキ力推定手段の推定範囲と分解能の関係を示す図である。ブレーキ力推定手段17(図2)による所定の推定範囲(1)と、この推定範囲(1)より広い推定範囲(2)において、それぞれの範囲における分解能は一般にA/D変換器の分解能αに依存する。
本実施形態に係る電動ブレーキ装置のようなサーボモータ制御においては、マイクロコンピュータやフィールドプログラマブルゲートアレイ(略称FPGA: field-programmable gate array)、デジタルシグナルプロセッサ(略称DSP: digital signal processor)等を制御演算に用いることが考えられる。例えば、上記演算器用の安価なA/D変換器として、一般に10bit(1024分割)〜12bit(4096分割)のものが広く用いられている。
本実施形態において、図2および図4に示すように、ブレーキ力推定手段17のA/D変換器17bの分解能αが一定であり、推定範囲の広狭にかかわらずこのA/D変換器17bの分解能αを最大限使用できる場合、推定範囲(2)の推定ブレーキ力F2、推定範囲(1)の推定ブレーキ力F1とすると(但しF2>F1)、推定範囲(2),(1)における分解能は次のように表される。
推定範囲(2)における分解能=F2/α
推定範囲(1)における分解能=F1/α
前述のように、A/D変換器17bの分解能αが一定で推定範囲の広狭にかかわらずこの分解能αをフルに使用でき、且つ、F2>F1であるから、推定範囲(2)における分解能F2/αよりも、測定範囲の狭い推定範囲(1)の分解能F1/αの方が分解能は高くなる。
そこで、図2に示すように、推定範囲変更手段26は、目標ブレーキ力および推定ブレーキ力のいずれか一方または両方に基づいて、ブレーキ力推定手段17のA/D変換器17bにおける推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更する。電動ブレーキ装置のように、推定ブレーキ力における常用域とそうでない領域がある程度想定できる場合、例えば、推定範囲を常用域に設定し、推定範囲変更手段26は必要に応じて推定範囲の限界値を変更する。
具体的に、推定範囲変更手段26は、目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を超過したとき、目標ブレーキ力と前記閾値との差分の絶対値が所定値以下であり前記目標ブレーキ力の微分値が所定値以上であるとき、および前記超過時間が所定時間を超えたとき、のうち少なくともいずれか一つを含む条件に基づいて、A/D変換器17bの前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より拡大するよう変更する。前記閾値は、試験やシミュレーションの結果により定められ、記録手段27に書き換え可能に保存される。
推定範囲の限界値を拡大するための前提条件として、目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を超過したこととしている。このとき、後述する推定範囲を縮小する閾値より大きな閾値を設定してヒステリシスを設けることで、頻繁な推定範囲の変化を防止し得る。また推定範囲変更手段26が前記超過量に基づいて前記推定範囲の限界値を拡大する場合、演算処理を簡単化し、制御演算の演算処理負荷を低減し得る。
推定範囲変更手段26が前記目標ブレーキ力の微分値に基づいて前記推定範囲の限界値を拡大する場合、目標ブレーキ力が急峻に増加するなど目標ブレーキ力の増加傾向に従って、前記推定範囲の限界値を拡大し得る。例えば、 前記閾値に対して急峻に接近する場合、その後すぐに閾値を超過することを予測し、前記推定範囲の限界値を速やかに変更し得る。推定範囲変更手段26が超過時間に基づいて前記推定範囲の限界値を拡大する場合、目標ブレーキ力が定められた僅かな時間だけ閾値を超過するような場合、前記推定範囲の限界値を変更する条件から除外し得る。
また推定範囲変更手段26は、前記目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を下回るとき、前記目標ブレーキ力と前記閾値との差分の絶対値が所定値以下かつ前記目標ブレーキ力の変化率が所定値以下であるとき、および前記目標ブレーキ力が前記閾値を下回る時間が所定時間以上であるとき、のうち少なくともいずれか一つを含む条件に基づいて、前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より縮小するよう変更しても良い。前記定められた範囲は、試験やシミュレーション等の結果により定められ、記録手段27に保存される。
推定範囲の限界値を縮小するための前提条件として、目標ブレーキ力が前記推定範囲における閾値を下回ることを前提条件としている。このとき、前記閾値を推定範囲縮小後に再度推定範囲を増加させる閾値より小さく設定してヒステリシスを設けると、頻繁の推定範囲の変化を防止し得る。また推定範囲変更手段26が前記閾値を下回った判定に基づいて前記推定範囲の限界値を縮小する場合、制御演算の演算処理負荷を低減し得る。推定範囲変更手段26が前記目標ブレーキ力の微分値に基づいて前記推定範囲の限界値を縮小する場合、例えば、目標ブレーキ力の低下傾向に従って、前記推定範囲の限界値を縮小し得る。前記目標ブレーキ力が前記範囲内にある時間に基づいて前記推定範囲の限界値を縮小する場合、前記目標ブレーキ力が前記範囲内にある時間が僅かな時間のときに前記推定範囲の限界値を変更する条件から除外し得る。
図5は、この電動ブレーキ装置において、推定ブレーキ力の推定範囲を変更する際、目標ブレーキ力に対する閾値をそれぞれ設ける例を示すフローチャートである。以下、図2も参照しつつ説明する。本処理開始後、推定範囲変更手段26は、推定範囲を拡大する際における、目標ブレーキ力の閾値Fthe(Fthe:目標ブレーキ力スレッショルド(範囲拡大))を設定し(ステップa1)、推定範囲を縮小する際における、目標ブレーキ力の閾値Fthd(Fthd:目標ブレーキ力スレッショルド(範囲縮小)を設定する(ステップa2)。
目標ブレーキ力スレッショルドFtheは、測定範囲R(R<R<…)に任意定数αを乗じて定められ、目標ブレーキ力スレッショルドFthdは、前記測定範囲Rに任意定数βを乗じて定められる。但し、0≦β≦α≦1である。これら目標ブレーキ力スレッショルドは記録手段27にそれぞれ保存され、必要に応じて読み出される。
次に推定範囲変更手段26は、上位ECU3から与えられた目標ブレーキ力Fが、目標ブレーキ力スレッショルドFthe以上であるか否かを判定する(ステップa3)。目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFthe以上であるとの判定で(ステップa3:yes)、推定範囲変更手段26は、現在の推定範囲(測定範囲)の限界値nを「1」拡大する(ステップa4)。この限界値nは、例えば昇順にナンバリングして複数用意された推定範囲の限界値パターンのナンバーを示すものとする。その後本処理を終了する。
目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFthe未満であるとの判定で(ステップa3:no)、ステップa5に移行する。このステップa5において、推定範囲変更手段26により、上位ECU3からの目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFthd以下であると判定されると(ステップa5:yes)、推定範囲変更手段26は、現在の推定範囲(測定範囲)の限界値nを「1」縮小する(ステップa6)。その後本処理を終了する。目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFthdより大きいとの判定で(ステップa5:no)、本処理を終了する。
この図5の実装例によると、特に、推定範囲の限界値を拡大および縮小するための前提条件としてそれぞれ閾値判定を行う(ステップa3,a5)、いわゆる所定のヒステリシスを設ける構成としているため、頻繁な推定範囲の変化を防止し得る。
図6は、推定ブレーキ力の推定範囲を変更する際、目標ブレーキと閾値、およびカウンタを設ける例を示すフローチャートである。本処理開始後、推定範囲変更手段26は、目標ブレーキ力の閾値Fth(Fth:目標ブレーキ力スレッショルド)を設定する(ステップb1)。目標ブレーキ力スレッショルドFthは、測定範囲R(R<R<…)に任意定数γを乗じて定められる。但し、0≦γ≦1である。
次に推定範囲変更手段26は、上位ECU3からの目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFth以上であるか否かを判定する(ステップb2)。目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFth以上であるとの判定で(ステップb2:yes)、推定範囲変更手段26は、範囲拡大用のカウンタCに「1」を加える更新を行い(ステップb3)、範囲縮小用のカウンタCを「0」にリセットする(ステップb4)。カウンタCは、目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFth以上となってからの時間を計時するものである。
次に推定範囲変更手段26は、ステップb3で更新したカウンタCが、範囲拡大用のカウンタ閾値Cthe(Cthe:カウンタスレッショルド(範囲拡大))以上であるか否かを判定する(ステップb5)。カウンタCがカウンタスレッショルドCthe以上であるとの判定で(ステップb5:yes)、推定範囲変更手段26は、現在の推定範囲の限界値nを「1」拡大する(ステップb6)。その後本処理を終了する。カウンタCがカウンタスレッショルドCthe未満であるとの判定で(ステップb5:no)、本処理を終了する。
ステップb2において、目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFth未満であるとの判定で(ステップb2:no)、範囲拡大用のカウンタCを「0」にリセットし(ステップb7)、範囲縮小用のカウンタCに「1」を加える更新を行う(ステップb8)。なおカウンタCは、目標ブレーキ力Fが目標ブレーキ力スレッショルドFth未満となってからの時間を計時するものである。次に推定範囲変更手段26は、ステップb8で更新したカウンタCが、範囲縮小用のカウンタ閾値Cthd(Cthd:カウンタスレッショルド(範囲縮小))以上であるか否かを判定する(ステップb9)。
カウンタCがカウンタスレッショルドCthd以上であるとの判定で(ステップb9:yes)、推定範囲変更手段26は、現在の推定範囲の限界値nを「1」縮小する(ステップb10)。その後本処理を終了する。カウンタCがカウンタスレッショルドCthd未満であるとの判定で(ステップb9:no)、本処理を終了する。
図6の実装例によると、特に、カウンタC,Cを設けて僅かな時間だけ推定範囲を超過するような場合を、推定範囲が変化する条件から除外することができる。
以上説明した電動ブレーキ装置DBによれば、ブレーキ力推定手段17のA/D変換器17bは、外部からの入力により推定ブレーキ力の推定範囲を可変とする可変式のものとしたため、電動ブレーキ装置DBのように、推定ブレーキ力における常用域とそうでない領域がある程度想定できる場合、例えば、推定範囲を常用域に設定し、推定範囲変更手段26により必要に応じて推定範囲を拡大する。これにより、推定ブレーキ力の推定範囲毎に必要な分解能を達成することが容易になる。したがって、従来技術のような高精度な荷重センサを構成することなく、常用域において制御精度の向上を図ることができる。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図2に示すように、ブレーキロータ(図示せず)の回転角速度を推定するロータ角速度推定手段28を設け、制御装置2に温度推定手段29を設けても良い。この温度推定手段29は、ロータ角速度推定手段28で推定された回転角速度からブレーキロータ8(図1)または摩擦部材9(図1)の温度を推定するものである。これらロータ角速度推定手段28および温度推定手段29を設けた構成において、推定範囲変更手段26は、温度推定手段29で推定された温度が定められた温度以上となったとき、推定範囲の限界値を変更前の限界値より拡大する。
推定範囲変更手段26は、温度推定手段29で推定された温度が定められた温度未満となったとき前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より縮小するよう変更する。前記定められた温度は、試験やシミュレーション等の結果により定められ、記録手段27に書き換え可能に保存される。摩擦部材9(図1)をブレーキロータ8(図1)に押し付けるとき、摩擦部材9(図1)とブレーキロータ8(図1)の摩擦係数はその温度によって変化する。そうすると、摩擦部材9(図1)をブレーキロータ8(図1)に押し付けることに起因する発熱に基づいて、推定範囲の限界値を変更する。
図7は、この電動ブレーキ装置を搭載する車両において、ブレーキ力および車速から推定される各輪の発熱量に基づいて、推定ブレーキ力の推定範囲を変更する例を示すフローチャートである。本処理開始後、温度推定手段29(図2)は、ロータ角速度推定手段28(図2)で推定された回転角速度に基づいて車速を演算し、この車速からブレーキで発生する熱流速Δ⌒Jを推定する(ステップc1)。なお、この明細書において、符号の先頭の「⌒」は推定値を示すが、この「⌒」の符号は省くことがある。また、図7では「⌒」は他の符号の上に付してある。
次に温度推定手段29は、各輪の大まかな発生熱流速Δ⌒Jxxを推定する(ステップc2)。この発生熱流速Δ⌒Jxxは、各輪のブレーキ力Fbxxをブレーキ力の総和Fballで除した値に、ステップc1で推定した熱流速Δ⌒Jを乗じて求められる。その後、温度推定手段29は、各輪毎の発生熱流速Δ⌒Jxxから摩擦部材9(図1)の温度⌒T(k)を推定する(ステップc3)。
次に、推定範囲変更手段26は、推定された温度⌒T(k)に基づいて、推定範囲Rを拡大または縮小するよう変更する(ステップc4)。このとき、推定範囲Rは、推定温度に対する閾値やカウンタを用いて前述の図5,図6のような処理により変更することができる。その後本処理を終了する。なお、電動ブレーキ装置に別途サーミスタ等の温度センサを設けて温度⌒T(k)を推定しても良い。
このようにブレーキ力および車速から、各輪の大まかな発熱量を推定し、この発熱量に基づいて推定範囲を変化させる。このとき、発熱に基づいた推定範囲の変更は、摩擦部材9(図1)の摩擦係数の変動に対応する目的であり、推定ブレーキ力は例えばブレーキ荷重などの、摩擦係数の影響を受ける推定を行う例を示している。この構成によると、摩擦部材9(図1)とブレーキロータ8(図1)の摩擦係数の変動に対応して推定範囲の限界値を木目細かく変更することができる。
図2に示すように、ブレーキ力推定手段17は、推定範囲変更手段26により推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更した後、定められた時間内において、回転角推定手段24で推定された回転角度とブレーキ力との定められた関係に基づいて、推定ブレーキ力を求めるようにしても良い。前記定められた時間は、試験やシミュレーションの結果により定められ、記録手段27に書き換え可能に保存される。
図8は、推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更した後、定められた時間内は、ブレーキ力推定結果を用いずに電動モータ4(図1)の制御を行う例を示すフローチャートである。この例では、例えば、センサ素子(図示せず)のレジスタの書き換え時間など、ブレーキ力の推定範囲を変化させるための時間が必要な場合において、推定範囲が変化した後の所定時間は、ブレーキ力推定結果を用いずに電動ブレーキ装置の制御を行う例を示す。例えば、電動モータ4(図1)の回転角度とブレーキ力との関係を事前にある程度測定しておけば、制御精度は低下するものの大まかな制御は可能であり、前記所定時間が僅かな時間であれば実用上問題は無いと考えられる。
図8に示すように、本処理開始後、推定範囲変更手段26(図2)により推定ブレーキ力の推定範囲を変更した後(ステップd1)、ブレーキ力推定手段17(図2)は、サンプルkにおける推定範囲が一つ前のサンプル(k−1)における推定範囲と同一か否かを判定する(ステップd2)。同一であるとの判定で(ステップd2:yes)、ブレーキ力推定手段17(図2)はカウンタCidから「1」減じる更新を行う(ステップd3)。その後ステップd5に移行する。
サンプルkにおける推定範囲が一つ前のサンプル(k−1)における推定範囲と同一ではないと判定されると(ステップd2:no)、ブレーキ力推定手段17(図2)はカウンタCidの値を推定範囲が変化した後の所定時間Cupdとする(ステップd4)。その後ステップd5に移行する。このステップd5において、ブレーキ力推定手段17はカウンタCidの値が「0」以上か否かを判定する。
カウンタCidの値が「0」以上であるとの判定で(ステップd5:yes)、ブレーキ力推定手段17(図2)は、目標モータ角度θを目標値rに、モータ角度θを制御量yとする(ステップd6)。その後ステップd9に移行する。カウンタCidの値が「0」未満であるとの判定で(ステップd5:no)、ブレーキ力推定手段17(図2)はカウンタCidを「0」にリセットする(ステップd7)。次に、目標ブレーキ力Fを目標値rに、推定ブレーキ力Fを制御量yとする(ステップd8)。ステップd9では制御演算を実行し、その後本処理を終了する。
図9は、図5乃至図8のいずれかの動作を実装した際の、ブレーキ力の変化に応じた推定範囲の変化を示す図である。推定範囲変更手段26(図2)により、推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更することで、電動ブレーキ装置の常用域において十分な分解能を有するブレーキ力推定手段17の構成を行うことが容易となり、制御精度向上や低コスト化を可能とする。またブレーキ力推定手段17のいわゆる検出レンジを逐次更新することで、レンジオーバーとなるような電動ブレーキ装置の制御が困難となる事態を回避することができる。前記ブレーキ力は目標ブレーキ力を用いると速やかな推定範囲変更を行えるため好適であるが、推定ブレーキ力を用いることもできる。あるいは前記の両方を用いてもよい。
図10に示すように、ブレーキ力推定手段17は、回転角推定手段24で推定されたアナログ信号からなる回転角度をA/D変換器17bでA/D変換したデジタル信号と、ブレーキ力との関係を試験やシミュレーション等により関係設定手段17cに定めておき、回転角推定手段24からの回転角度と目標ブレーキ力との関係に基づいて推定ブレーキ力を求めても良い。なお図示しないが、電流検出手段22(図2)からのモータ電流と目標ブレーキ力との関係を関係設定手段17cに定めておき、これらモータ電流と目標ブレーキ力とに基づいて推定ブレーキ力を求めても良い。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…制御装置
4…電動モータ
6…直動機構(摩擦部材操作手段)
8…ブレーキロータ
9…摩擦部材
17…ブレーキ力推定手段
24…回転角推定手段
26…推定範囲変更手段
28…ロータ角速度推定手段
29…温度推定手段
DB…電動ブレーキ装置

Claims (6)

  1. ブレーキロータと、このブレーキロータに接触させる摩擦部材と、この摩擦部材を前記ブレーキロータに接触させる摩擦部材操作手段と、この摩擦部材操作手段を駆動する電動モータと、前記摩擦部材を前記ブレーキロータに押し付けることにより発生するブレーキ力の推定値である推定ブレーキ力を求めるブレーキ力推定手段と、前記電動モータを制御して前記推定ブレーキ力を目標ブレーキ力に追従制御する制御装置とを備える電動ブレーキ装置において、
    前記制御装置は、前記目標ブレーキ力および前記推定ブレーキ力のいずれか一方または両方に基づいて、前記ブレーキ力推定手段による前記推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更する推定範囲変更手段を有することを特徴とする電動ブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載の電動ブレーキ装置において、前記推定範囲変更手段は、前記目標ブレーキ力および前記推定ブレーキ力の何れか一方または両方が前記推定範囲における閾値を超過したとき、 前記推定範囲における閾値と前記何れか一方または両方のブレーキ力との偏差の絶対値が所定値以内かつ前記一方または両方のブレーキ力の変化量が所定値以上、 前記一方または両方のブレーキ力が前記偏差を超過している超過時間のうち、少なくともいずれか一つ 以上の条件に基づいて、前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より拡大するよう変更する電動ブレーキ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電動ブレーキ装置において、前記推定範囲変更手段は、前記目標ブレーキ力および前記推定ブレーキ力の何れか一方または両方が前記推定範囲における閾値を下回ったとき、 前記推定範囲における閾値と前記何れか一方または両方のブレーキ力との偏差の絶対値が所定値以内かつ前記一方または両方のブレーキ力の変化量が所定値以下、および前記 何れか一方または両方のブレーキ力が前記 閾値を下回っている時間のうち、少なくともいずれか一つを含む 条件に基づいて、前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より縮小するよう変更する電動ブレーキ装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電動ブレーキ装置において、前記電動モータの回転角度を推定する回転角推定手段を設け、前記ブレーキ力推定手段は、前記推定範囲変更手段により前記推定ブレーキ力の推定範囲の限界値を変更した後、定められた時間内において、前記回転角推定手段で推定された前記回転角度と前記ブレーキ力との定められた関係に基づいて、前記推定ブレーキ力を求める電動ブレーキ装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電動ブレーキ装置において、前記ブレーキ力推定手段が、前記摩擦部材が前記ブレーキロータを押圧するときの押圧力を推定する荷重センサを含む電動ブレーキ装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電動ブレーキ装置において、前記ブレーキロータの回転角速度を推定するロータ角速度推定手段を設け、
    前記制御装置に、前記ロータ角速度推定手段で推定された前記回転角速度から前記ブレーキロータの温度を推定する温度推定手段を設け、
    前記推定範囲変更手段は、前記温度推定手段で推定された温度が定められた温度以上となったとき前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より拡大し、前記温度推定手段で推定された温度が定められた温度未満となったとき前記推定範囲の限界値を変更前の限界値より縮小するよう変更する電動ブレーキ装置。
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