JP6465685B2 - (メタ)アクリル系重合体および製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系重合体および製造方法 Download PDF

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Description

(メタ)アクリル系重合体および製造方法に関する。さらに詳しくは、原子移動ラジカル重合を活用し、長鎖のエステル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有し、末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体に関する。
(メタ)アクリル系重合体の製造方法として、例えば重合触媒に遷移金属又は遷移金属化合物と多座アミンからなる遷移金属錯体を用いたリビングラジカル重合法である原子移動ラジカル重合;Atom Transfer Radical Polymerization:ATRPが見出されている(特許文献1,2参照)。しかし、大量の遷移金属又は遷移金属化合物、及び遷移金属錯体を触媒として用いるため、重合体の着色原因となる。また、官能基導入時の反応阻害を引き起こすため、除去する必要がある。しかし、これら遷移金属化合物を除去するためには手間とコストを要することになる(特許文献3〜5)。
そこで、高酸化遷移金属錯体に還元剤を作用させ、触媒サイクルを回すことを特徴とするActivators Regenerated by Electron Transfer Atom Transfer Radical Polymerization:ARGET ATRP(特許文献6)やSingle Electron Transfer Living Radical Polymerization:SET LRP(特許文献7)重合法により、重合触媒をモノマー重量に対して数十ppmで重合が進行することが報告されている。J.Am.Chem.Soc.,124,4940(2002)によれば、このような重合には、水やアルコール等のプロトン性極性溶媒やDMSOやイオン性液体などの極性溶媒中で非常に速い速度でCu(0)とCu(II)の不均化が進行することから、極性溶媒が重要である。
一方、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8以上の長鎖(メタ)アクリル系単量体の重合においては、極性溶媒に対して溶解性が限定的であり、必要に応じて大量の極性溶媒を使用する必要がある公知のATRP法を用いて重合させることは困難であった(特許文献8)。また、極性溶媒であるアセトニトリルを用いたリビングラジカル重合が報告されているが、大量の遷移金属又は遷移金属化合物、および遷移金属錯体が必要であり、末端の官能化率も低く、改善の余地があった(特許文献9)。
最近、アクリル酸n−ブチル((メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が4)の重合において、極性溶媒であるアルコール溶媒を用い、銅原子を30ppm以下にまで減量し、銅触媒に対して多座アミンの物質量を等モル量程度にまで低減した低濃度銅触媒の条件下で反応が進行することが見出されている(特許文献10)ものの、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8以上の長鎖(メタ)アクリル系単量体の重合においては、長鎖になるほど、反応重合制御や溶解性といった点で課題があり、末端の反応性を維持したまま高い重合率で制御することは困難であった。
WO96/30421号 WO97/18247号 特開2004−155846号 特開2005−307220号 特開平11−193307号 WO2005/087819号 WO2008/019100号 WO2002/038633号 特開2010−126680号 WO2012/020545号
特許文献10記載の極性溶媒であるアルコールを用いたARGET ATRP法において、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が4のアクリル酸n−ブチル単量体では公知であるものの、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の長鎖(メタ)アクリル系単量体を1〜100重量%含有したポリマーの重合技術は未だ確立されていなかった。
更に、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の(メタ)アクリル系単量体を1〜100重量%含有したポリマーを高モノマー転化率で、尚且つ高い官能化率を有するポリマーの重合技術も確立されていなかった。
本発明は、原子移動ラジカル重合を活用し、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の(メタ)アクリル系単量体を含む(メタ)アクリル系重合体を高モノマー転化率で尚且つ、高い官能化率を有する重合体を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、遷移金属化合物を触媒とするリビングラジカル重合法において、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の(メタ)アクリル系単量体を1〜100重量%含有し、メタノールを溶媒として重合し、末端の官能基の官能化率が1.4〜2.0であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、末端の官能基が、アクリロイル基であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、官能化率が1.6〜2.0であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が1〜7の(メタ)アクリル系単量体を80〜20重量%含有し、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜18の(メタ)アクリル系単量体を20〜80重量%含有することを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が1〜7の(メタ)アクリル系単量体を60〜40重量%含有し、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜18の(メタ)アクリル系単量体を40〜60重量%含有することを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、遷移金属化合物が銅の化合物であり、ビニル系単量体の仕込み総重量に対して銅濃度が5ppm〜10ppmであることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、銅原子に対して多座アミンを混合し、重合前に銅錯体を形成し触媒とすることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、多座アミンが、二座配位のアミン、三座配位のアミン、四座配位のアミンの群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、還元剤が有機スズ化合物、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸塩、ヒドラジン、およびホウ素水素化物の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、還元剤に対して、100 mol%以上の塩基が反応系中に存在することを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
好ましい実施態様としては、(メタ)アクリル系重合体の重合率が85〜100%であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体に関する。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法に関する。
通常、高いモノマー転化率まで追い込んだ場合、カップリング反応や連鎖移動反応が進行しやすくなることから、反応末端が失活し、高い官能化率を保持することが困難であるが、本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の(メタ)アクリル系単量体を含む単量体を重合する場合、溶媒としてメタノールを使用することにより、1.6〜2.0の高い官能化率で官能化(アクリロイル化)を行うことができる。また、溶媒量、銅触媒、塩基の使用量が少ないため、生産工程短縮、生産性向上を達成した。
また、工業的な面において、例えば特開2010−126680記載の重合・精製工程より十分短縮可能であることから生産性も向上した。
本発明は、遷移金属化合物を触媒とするリビングラジカル重合法において、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の(メタ)アクリル系単量体を1〜100重量%含有し、メタノールを溶媒として重合し、末端の官能基の官能化率が1.4〜2.0であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体である。
以下に、本発明に含有される構成につき詳述する。
<リビングラジカル重合>
本発明は、遷移金属または遷移金属化合物および配位子から成る遷移金属錯体を触媒とする(メタ)アクリル系単量体のリビングラジカル重合方法に関する。
遷移金属錯体を触媒とするリビングラジカル重合は現在、原子移動ラジカル重合;Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP(J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614、Macromolecules.1995,28,1721)とSigle Electron Transfer Polymerization:SET−LRP(J.Am.Chem.Soc.2006,128,14156、JPSChem 2007,45,1607)の二通りの解釈が考えられている。ATRPは、例えば銅錯体では、1価銅錯体が重合体末端のハロゲンを引き抜いてラジカルを発生させて2価銅錯体になる。2価銅錯体は重合末端のラジカルに対してハロゲンを戻して1価銅錯体になる。これら平衡からなるリビングラジカル重合がATRPである。一方、SET LRPは、銅錯体の場合、0価の金属銅あるいは銅錯体が重合体末端のハロゲンを引き抜いてラジカルを発生させて2価銅錯体になる。2価銅錯体は重合末端のラジカルに対してハロゲンを戻して0価銅錯体になる。1価銅錯体は不均化して0価と2価の銅錯体になる。これら平衡からなるリビングラジカル重合がSETLRPである。本発明系もいずれかのリビングラジカル重合系として解釈されうるが、本発明では特に区別せず、触媒に遷移金属又は遷移金属化合物と配位子を用いたリビングラジカル重合系を本発明の範疇として取り扱う。
また、還元剤を用いて重合遅延、停止の原因となる高酸化遷移金属錯体を減らすことで、遷移金属錯体が少ない低触媒条件であっても速やかに、高反応率まで重合反応を進行させることができるActivators Regenerated by Electron Transfer:ARGET(Macromolecules.2006,39,39)はATRPの改良処方として報告されているが、上記のように本発明ではATRPとSETを特に区別せず、触媒に遷移金属又は遷移金属化合物と配位子を用いたリビングラジカル重合系を本発明の範疇として取り扱う。
<重合触媒>
重合触媒としては、金属銅又は銅化合物、及び配位子から成る銅錯体が用いられる。銅化合物について塩化物、臭素化物、ヨウ素化物、シアン化物、酸化物、水酸化物、酢酸化物、硫酸化物、硝酸化物等が例として挙げられるが、それらに限定されたものではない。
銅原子は電子状態によって0価、1価、2価の価数をとりうるが、価数は限定されるものではない。
銅原子の重量は(メタ)アクリル系単量体の仕込み総重量に対して、0.1ppm〜1000ppmが好ましく、0.5ppm〜500ppmがより好ましく、1ppm〜100ppmがさらに好ましく、2ppm〜50ppmが特に好ましく、5ppm〜10ppmが最も好ましい。
<多座アミン>
配位子として使用される多座アミンを以下に例示するが、これらに限られるものではない。
二座配位の多座アミン:2,2−ビピリジン、4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、N−(n−プロピル)ピリジルメタンイミン、N−(n−オクチル)ピリジルメタンイミン
三座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−プロピル−N,N−ジ(2−ピリジルメチル)アミン
四座配位の多座アミン:ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12−テトラメチル−2,5,9,12−テトラアザテトラデカン、2,6,9,13−テトラメチル−2,6,9,13−テトラアザテトラデカン、4,11−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’−ジメチル−N’,N’’−ビス((ピリジン−2−イル)メチル)エタン−1,2−ジアミン、トリス[(2−ピリジル)メチル]アミン、2,5,8,12−テトラメチル−2,5,8,12−テトラアザテトラデカン
五座配位の多座アミン:N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’−ヘプタメチルテトラエチレンテトラミン
六座配位の多座アミン:N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン
ポリアミン:ポリエチレンイミンなどが挙がられる。
このうち、入手性および触媒活性の観点から二座配位、三座配位、四座配位の多座アミンが好ましく、また、遷移金属原子の総重量が(メタ)アクリル系単量体の仕込み総重量に対して10ppm以下の低濃度触媒条件下で、十分な反応速度で重合を進行させ、分子量分布の狭く、高モノマー転化率の重合体を得るためには一般式(1)で表される四座配位の多座アミンがより好ましい。
Figure 0006465685
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)を表す。)
Figure 0006465685
(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
Figure 0006465685
(式中、R、R、R10、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
また、多座アミンは、精製・コストの面からも、必要最小限の量が好ましく、銅原子に対して120mol%以下が好ましく、110mol%以下がさらに好ましく、100mol%以下が特に好ましい。
本発明においては、銅原子に対して多座アミンを混合し、重合前に銅錯体を形成することが、ARGET ATRP法において、効率良く2価の銅錯体を形成させるという理由から好ましい。
<還元剤>
銅錯体を触媒とするリビングラジカル重合において、還元剤を併用することで、活性が向上し、少ない銅触媒で重合が進行することが見出されている(ARGET ATRP)。このARGET ATRPは重合中にラジカル同士のカップリング等で生じた、反応遅延・停止の原因となる高酸化遷移金属錯体を還元して減少させることで活性が向上すると考えられており、通常数百〜数千ppm必要な遷移金属触媒を数十〜数百ppmまで減らすことを可能にしている。本発明においても還元剤はARGET ATRPと同様の働きをしている。
本発明で用いる還元剤を以下に例示するが、これらの還元剤は限定されるものではない。
(銅錯体を還元する際に酸を発生させない還元剤)
金属:リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類;アルミニウム;亜鉛等の典型金属;銅、ニッケル、ルテニウム、鉄等の遷移金属等が挙げられる。
金属化合物:典型金属又は遷移金属の塩や典型元素との塩、さらに一酸化炭素、オレフィン、含窒素化合物、含酸素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物等が配位した錯体等が挙げられる。具体的には、金属とアンモニア/アミンとの化合物、三塩化チタン、チタンアルコキシド、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、塩化鉄、塩化銅、臭化銅、塩化スズ、酢酸亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。
有機スズ化合物:オクチル酸スズ、2−エチルヘキシル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート等が挙げられる。
リン又はリン化合物:リン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ヘキサメチルホスフォラストリアミド、ヘキサエチルホスフォラストリアミド等が挙げられる。
(銅錯体を還元する際に酸を発生させる還元剤(水素化物還元剤))
金属水素化物。具体例としては、水素化ナトリウム;水素化ゲルマニウム;水素化タングステン;水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素アルミニウムナトリウム、水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等のアルミニウム水素化物;水素化トリフェニルスズ、水素化トリ−n−ブチルスズ、水素化ジフェニルスズ、水素化ジ−n−ブチルスズ、水素化トリエチルスズ、水素化トリメチルスズ等の有機スズ水素化物等が挙げられる。
還元作用を示す有機化合物:アルコール、アルデヒド、フェノール類及び有機酸化合物等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ギ酸等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、ハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール等が挙げられる。有機酸化合物としては、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル等が挙げられる。
ケイ素水素化物:トリクロロシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、ジフェニルシラン、フェニルシラン、ポリメチルヒドロシロキサン等が挙げられる。
ホウ素水素化物:ボラン、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ酸ナトリウム、硫化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ−s−ブチルホウ素リチウム、水素化トリ−t−ブチルホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる
窒素水素化合物:ヒドラジン、ジイミド等が挙げられる。
また、還元剤の還元力が強いほど重合も速く進めることが可能になる。即ち、アミンを還元剤として用いている例(US2009/0156771号)は還元能力が低いため、十分な反応速度が得られていない。そのため、アミンよりも還元能力が高い、つまり電子供与性の還元剤が好ましい。中でも有機スズ化合物、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸塩、ヒドラジン、およびホウ素水素化物の群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。さらに、工業化を考えると、できるだけ安価で重合後、容易に除去できるアスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸塩が特に好ましい。これら還元剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもかまわない。
還元剤の添加量は(メタ)アクリレート単量体の仕込み総量に対して10〜1000ppmが好ましく、10〜800ppmがより好ましく、10〜600ppmが更に好ましく、10〜500ppmが特に好ましい。
還元剤の添加方法は特に限定されず、一括添加、分割添加、断続添加、連続添加のいずれでもよいが、ARGET ATRPの機構からわかるように、還元剤を一度に過剰量添加するとラジカルを制御するための2価銅錯体が不足し、カップリング等によって分子量分布が広がる。そのため、還元剤は重合の進行に伴い少量ずつ添加すること、具体的には銅錯体に対して、10〜900mol%/Hrで添加することが好ましく、20〜700mol%/Hrで添加することがより好ましく、30〜500mol%/Hrで添加するのが特に好ましい。
<塩基>
アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸塩のような銅錯体を還元した際に酸を発生させる還元剤を使用する場合、塩基を併用しない場合、重合速度の低下と重合制御の悪化による分子量分布の広がりを招くため、塩基の併用がより効果的である。また、塩基は重合系中に存在する酸あるいは発生する酸を中和し、酸の蓄積を防ぐ効果もある。しかし、多量の塩基を反応系中に投入した場合、連鎖移動反応が進行し、反応の停止・遅延を引き起こす要因となり得る。
発明者らは、還元剤に対して必要最小限の塩基を添加することで、高モノマー転化率・高い官能化率を達成した。
塩基はブレンステッド塩基あるいはルイス塩基化合物であれば良く、下に例示するがそれに限定されるものではない。
モノアミン系:モノアミンは1分子中に上記で定義される塩基として作用する部位が1つしかない化合物を示し、以下に例示するがそれに限定されるものではない。メチルアミン、アニリン、リシン等の一級アミン、ジメチルアミン、ピペリジン等の二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール等の芳香族系、およびアンモニアが挙げられる。
ポリアミン系:エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のトリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン等のテトラミン、ポリエチレンイミン等が上げられる。
無機塩基:無機塩基は周期表の一族と二族の単体あるいは化合物を示し、下記に例示するがそれに限定されるものではない。リチウム、ナトリウム、カルシウム等の周期表の一族と二族の単体。ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、メチルリチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、フェノキシナトリウム、フェノキシカリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム等の周期表の一族と二族の化合物。水酸化アンモニウム弱酸と強塩基の塩などが挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を併用しても構わない。また、塩基は、直接反応系に添加してもよいし、反応系中で発生させてもよい。
また、精製・コストの面からも、(メタ)アクリル重合体から除去しやすく、安価な低沸点のモノアミンがより好ましい。
還元剤に対して、100 mol%以上の塩基が反応系中に存在することが好ましく、100〜500ppmがより好ましく、100〜300ppmが好ましく、100〜130ppmが特に好ましい。
塩基は、還元剤を調整する時に同時に添加することが望ましい。ただし、ここで言う「同時」とはおおよそ同じタイミングで混合させることを示しており、厳密なものではない。
<(メタ)アクリル系単量体(モノマー)>
本発明は、遷移金属化合物を触媒とするリビングラジカル重合法において、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の(メタ)アクリル系単量体を1〜100重量%含有している。
また本発明は、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が1〜7の(メタ)アクリル系単量体を80〜20重量%含有し、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜18の(メタ)アクリル系単量体を20〜80重量%含有することが、低極性ポリマーを得るために好ましい。さらに、伸縮率の観点から(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が1〜7の(メタ)アクリル系単量体を60〜40重量%含有し、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜18の(メタ)アクリル系単量体を40〜60重量%含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が1〜7の(メタ)アクリル系単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらは、2種類以上併用しても構わない。
<重合溶媒>
本発明においては、重合溶媒はメタノールである。
還元剤、特に有機スズ化合物、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸塩、ヒドラジン、およびホウ素水素化物の群から選ばれる少なくとも1種を用いる場合、その溶解性がその還元力に大きく影響を及ぼすことから、重合に用いる溶媒は上記還元剤を溶解できる溶媒が好ましく、尚且つ高い官能化率を達成でき、アルコール溶媒の中でも極性が高く、また連鎖移動定数が少ないアルコール系溶媒であるメタノールに限定される。エタノール、イソプロパノールおよびt−ブチルアルコール等のアルコール溶媒では、連鎖移動反応が起こりやすく、末端の官能化率がかなり低下する。一方、メタノールを使用した場合は、連鎖移動反応が起こりにくいため、末端の官能化率が高くなるため、本発明ではメタノールに限定される。
溶媒量は、還元剤が析出してこない最小量、(メタ)アクリレート単量体の仕込み総量に対して0.5〜60重量部が好ましく、1〜40重量部がより好ましく、2〜20重量部が更に好ましく、5〜10重量部が最も好ましい。また、より溶媒量が少ない方が、重合後の蒸発脱揮工程において、短時間で蒸発できることから、5〜10重量部が特に好ましい。
<開始剤>
有機ハロゲン化物は重合開始剤であって、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物である。例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が例示される。
具体的には、C−CHX、C−C(H)(X)CH、C−C(X)(CH(ただし、上の化学式中、Cはフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
−C(H)(X)−CO、R−C(CH)(X)−CO、R−C(H)(X)−C(O)R、R−C(CH)(X)−C(O)R
(式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
−C−SO
(式中、R3は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
また、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として使用してもよい。
単量体と開始剤量の比を調整することにより、所望の重合体分子量に設定することができることがリビングラジカル重合の特徴である。
<重合温度>
重合温度は、限定はされないが、低すぎると反応速度が遅くなる恐れがあり、一方温度が高いと副反応(連鎖移動反応)が起こりやすくなるため、20〜100℃の範囲が好ましく、30〜90℃がより好ましく、40〜80℃がさらに好ましく、50〜70℃が特に好ましい。
<反応時間>
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の遷移金属錯体、塩基および還元剤を全て混合し始めてからの時間は特に限定されないが、好ましくは360分以下であり、好ましくは300分以下であり、より好ましくは240分以下である。
<本発明で得られる(メタ)アクリル系重合体>
本発明の製造方法で得られるビニル系重合体主鎖は直鎖状でもよいし、枝分かれがあってもよい。
(分子量)
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量は特に制限はなく、重合体に要求される物性に応じて決めることができるが、1000〜1000000の範囲が好ましく、5000〜500000の範囲がより好ましく、10000〜300000の範囲がさらに好ましく、30000〜200000の範囲が特に好ましく、40000〜150000の範囲が特別に好ましい。分子量が低いと重合体に要求される物性が発現されない恐れがあり、一方、分子量が高いと重合過程での副反応も起こりやすくなる傾向にある。
(分子量分布)
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mn)と数平均分子量(Mw)の比は、1.1〜1.6であるが、好ましくは1.1〜1.5であり、より好ましくは1.1〜1.4であり、さらに好ましくは1.1〜1.3である。本発明のGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
(重合率)
本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系重合体の重合率は、特に限定されないが、好ましくは85%〜100%であり、好ましくは90%〜100%であり、より好ましくは95%〜100%である。
(官能化率)
本発明は、(メタ)アクリル系重合体の末端に官能基を有し、その官能化率が1.4〜2.0である。さらに、官能化率が高い程、反応性が向上するため1.6〜2.0が好ましい。
官能化率とは、(メタ)アクリル系重合体に官能基の導入を行い、官能化率を算出した値であり、最大で2.0である。
末端の官能基としては、特に限定されないが、好ましくは、(メタ)アクリロイル基、シリル基、ビニル基、イソシアネート基、スルホン基、水酸基であり、より好ましくはシリル基、ビニル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。容易にポリマーに導入可能であり、効果的にラジカルを発生させることができる理由からアクリロイル基であることが好ましい。
以下に本発明の具体的な実施例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。下記実施例、および比較例中「部」および「ppm」はそれぞれ「重量部」および「重量百分率」を表す。
(測定法)
「重合率」はガスクロマトグラフィー(GC)を用いて算出した。ただし、GCカラムとして、ポリエチレングリコールカラム(Supelcowax 10;シグマアルドリッチ製)を、GC測定溶媒としてp−キシレンを用いた。
「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとして、ポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)を、GPC測定溶媒としてクロロホルムを用いた。
下記実施例中、「官能化率(重合体1分子当たりに導入されたアクリロイル基数)は、1H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量より算出した。ただし、1H−NMRはBruker社製ASX−400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。
(実施例1)
アクリル酸n−ブチル(BA)50重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)50重量部、メタノール10重量部、酢酸ブチル0.1重量部、トリエチルアミン(EtN)170ppm、および2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)0.60重量部を仕込み、これに、別途調整した銅錯体溶液(臭化銅(II)、CuBr29ppm (Cu量=8ppm)をメタノール0.12重量部に溶解させ、純度96%のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(MeTREN)29ppmを混合した溶液)を混合し、窒素気流下55Cで攪拌した。別途、アスコルビン酸(VC)0.04重量部(400ppm)をメタノール3.2重量部、およびトリエチルアミン505ppmを混合させた溶液を調整し、このアスコルビン酸溶液を滴下して重合を開始した。重合途中、反応溶液の温度が55〜65Cとなるように加熱攪拌を行い、重合開始から240分後、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルの平均重合率が99.1%に到達したところで、アスコルビン酸の滴下を停止し、反応溶液を減圧にし、溶媒を留去して重合体[1]を得た。なお、ここまでのアスコルビン酸の総量は312ppm、トリエチルアミンの総量は564ppmであった。重合体[1]の数平均分子量は60500、分子量分布は1.19であった。
得られた重合体[1]を酢酸ブチル125重量部に溶解させ、アクリル酸カリウム(AcOK)0.70重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr)0.11重量部4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(H−TEMPO)0.01重量部、キョーワード700SEN−S(KW700)0.4重量部を仕込み、120Cで3時間反応させた。反応処理後、NMR測定を行った結果、官能化率は1.64であった。
(実施例2)
アクリル酸n−ブチル50重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部、メタノール10重量部、酢酸ブチル0.1重量部、および2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)0.58重量部を仕込み、これに、別途調整した銅錯体溶液(臭化銅(II)、CuBr29ppm (Cu量=8ppm)をメタノール0.12重量部に溶解させ、純度96%のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(MeTREN)29ppmを混合した溶液)を混合し、窒素気流下55Cで攪拌した。別途、アスコルビン酸0.04部(400ppm)をメタノール3.2重量部、およびトリエチルアミン505ppmを混合させた溶液を調整し、このアスコルビン酸溶液を滴下して重合を開始した。重合途中、反応溶液の温度が55〜65Cとなるように加熱攪拌を行い、重合開始から240分後、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルの平均重合率が98.9%に到達したところで、アスコルビン酸の滴下を停止し、反応溶液を減圧にし、溶媒を留去して重合体[2]を得た。なお、ここまでのアスコルビン酸の総量は312ppm、トリエチルアミンの総量は394ppmであった。重合体[2]の数平均分子量は63100、分子量分布は1.24であった。
得られた重合体[2]を酢酸ブチル125重量部に溶解させ、アクリル酸カリウム(AcOK)0.70重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr)0.11重量部4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(H−TEMPO)0.01重量部、キョーワード700SEN−S(KW700)0.4重量部を仕込み、120Cで3時間反応させた。反応処理後、NMR測定を行った結果、官能化率は1.81であった。
(実施例3)
アクリル酸n−ブチル51重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル49重量部、メタノール10重量部、酢酸ブチル0.1重量部、および2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)0.58部を仕込み、これに、別途調整した銅錯体溶液(臭化銅(II)、CuBr29ppm (Cu量=8ppm)をメタノール0.12重量部に溶解させ、純度96%のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(MeTREN)29ppmを混合した溶液)を混合し、窒素気流下55Cで攪拌した。別途、アスコルビン酸0.04重量部(400ppm)をメタノール3.2重量部、およびトリエチルアミン505ppmを混合させた溶液を調整し、このアスコルビン酸溶液を滴下して重合を開始した。重合途中、反応溶液の温度が55〜65Cとなるように加熱攪拌を行い、重合開始から240分後、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルの平均重合率が98.9%に到達したところで、アスコルビン酸の滴下を停止し、反応溶液を減圧にし、溶媒を留去して重合体[3]を得た。なお、ここまでのアスコルビン酸の総量は312ppm、トリエチルアミンの総量は394ppmであった。重合体[3]の数平均分子量は63600、分子量分布は1.21であった。
得られた重合体[3]を酢酸ブチル125重量部に溶解させ、アクリル酸カリウム(AcOK)0.70重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr)0.11重量部4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(H−TEMPO)0.01重量部、キョーワード700SEN−S(KW700)0.4重量部を仕込み、120Cで3時間反応させた。反応処理後、NMR測定を行った結果、官能化率は1.82であった。
(比較例1)
アクリル酸n−ブチル50重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部、エタノール10重量部、酢酸ブチル0.1重量部、トリエチルアミン170ppmおよび2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)0.58部を仕込み、これに、別途調整した銅錯体溶液(臭化銅(II)、CuBr29ppm (Cu量=8ppm)をエタノール0.12重量部に溶解させ、純度96%のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(MeTREN)29ppmを混合した溶液)を混合し、窒素気流下55Cで攪拌した。別途、アスコルビン酸0.04重量部(400ppm)をエタノール3.2重量部、およびトリエチルアミン505ppmを混合させた溶液を調整し、このアスコルビン酸溶液を滴下して重合を開始した。重合途中、反応溶液の温度が55〜65Cとなるように加熱攪拌を行い、重合開始から270分後、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルの平均重合率が99.0%に到達したところで、アスコルビン酸の滴下を停止し、反応溶液を減圧にし、溶媒を留去して重合体[4]を得た。なお、ここまでのアスコルビン酸の総量は326ppm、トリエチルアミンの総量は582ppmであった。重合体[4]の数平均分子量は62300、分子量分布は1.32であった。
得られた重合体[4]を酢酸ブチル125重量部に溶解させ、アクリル酸カリウム(AcOK)0.70重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr)0.11重量部4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(H−TEMPO)0.01重量部、キョーワード700SEN−S(KW700)0.4重量部を仕込み、120Cで3時間反応させた。反応処理後、NMR測定を行った結果、官能化率は1.31であった。
(比較例2)
アクリル酸n−ブチル50重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部、t−ブチルアルコール10重量部、酢酸ブチル0.1重量部、トリエチルアミン170ppmおよび2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(DBAE)0.58部を仕込み、これに、別途調整した銅錯体溶液(臭化銅(II)、CuBr29ppm (Cu量=8ppm)をt−ブチルアルコール0.12重量部に溶解させ、純度96%のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(MeTREN)29ppmを混合した溶液)を混合し、窒素気流下55Cで攪拌した。別途、アスコルビン酸0.04重量部(400ppm)をt−ブチルアルコール3.2重量部、およびトリエチルアミン505ppmを混合させた溶液を調整し、このアスコルビン酸溶液を滴下して重合を開始した。重合途中、反応溶液の温度が55〜65Cとなるように加熱攪拌を行い、重合開始から300分後、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルの平均重合率が99.0%に到達したところで、アスコルビン酸の滴下を停止し、反応溶液を減圧にし、溶媒を留去して重合体[5]を得た。なお、ここまでのアスコルビン酸の総量は400ppm、トリエチルアミンの総量は675ppmであった。重合体[5]の数平均分子量は49000、分子量分布は5.84であった。
得られた重合体[5]を酢酸ブチル125重量部に溶解させ、アクリル酸カリウム(AcOK)0.70重量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr)0.11重量部4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(H−TEMPO)0.01重量部、キョーワード700SEN−S(KW700)0.4重量部を仕込み、120Cで3時間反応させた。反応処理後、NMR測定を行った結果、官能化率は0.21であった。
(比較例3)
アクリル酸n−ブチル100重量部、メタノール80重量部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.76重量部、及びトリエチルアミン955ppmを仕込み、窒素気流下45℃で撹拌した。これに、臭化銅(II)53ppm(Cu量=15ppm)を純度96%のヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン54ppm(Cuに対して等量)、及びN,N−ジメチルアセトアミド0.27容量部で溶解させた溶液と、アスコルビン酸17ppmをメタノール0.13容量部で溶解させた溶液を別途準備し、それらを添加して反応を開始した。途中、アスコルビン酸をメタノールに溶解させた溶液を適宜添加しながら反応溶液の温度が45℃〜60℃となるように加熱攪拌を続けた。重合開始から175分後アクリル酸n−ブチルの反応率が94.0%に達したところで、反応容器内を減圧にし、揮発分を除去して重合体を得た。なおここまでのアスコルビン酸の総添加量は258ppm、メタノールの総添加量は82.1容量部であった。このときの重合体の数平均分子量は20200、分子量分布は1.15であった。
Figure 0006465685
比較例1、2のようにエタノールやt−ブチルアルコールを用いた系に対して実施例1、2、3の方が、分子量分布が狭い。t−ブチルアルコールの系では重合が設計通りに進行していないことがわかる。特に官能化率の観点において、大きな差があり、特異的にメタノールを用いた系では、官能化率が1.6以上を達成した。更に、トリエチルアミンの添加を軽減することにより、官能化率が向上し、1.8以上を達成した。
比較例3は、C8以上の長鎖エステルモノマーを使用しておらず、また使用しているメタノール量が非常に多い。一方、本実施例では、C8以上の長鎖エステルモノマーを含有することが可能であり、使用しているメタノールも少ないことから、製造工程において生産性向上に繋がる。

Claims (10)

  1. 遷移金属化合物を触媒とするリビングラジカル重合法において、ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜22の(メタ)アクリル系単量体を1〜60重量%含有し、メタノールを溶媒として重合し、末端の官能基の官能化率が1.6〜2.0であり、
    前記遷移金属化合物が銅の化合物であり、前記化合物における銅原子の重量は(メタ)アクリル系単量体の仕込み総重量に対して、2ppm〜50ppmであることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  2. 末端の官能基が、アクリロイル基であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  3. ビニル系単量体の全質量100重量%に対して、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が1〜7の(メタ)アクリル系単量体を80〜40重量%含有し、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜18の(メタ)アクリル系単量体を20〜60重量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  4. (メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が1〜7の(メタ)アクリル系単量体を60〜40重量%含有し、(メタ)アクリル酸エステルのエステル基の炭素数が8〜18の(メタ)アクリル系単量体を40〜60重量%含有することを特徴とする請求項に記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  5. 遷移金属化合物が銅の化合物であり、ビニル系単量体の仕込み総重量に対して銅濃度が5ppm〜10ppmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  6. 銅原子に対して多座アミンを混合し、重合前に銅錯体を形成し触媒とすることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  7. 多座アミンが、二座配位のアミン、三座配位のアミン、四座配位のアミンの群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  8. さらに還元剤を使用し、前記還元剤が有機スズ化合物、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル、アスコルビン酸塩、ヒドラジン、およびホウ素水素化物の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  9. 前記還元剤に対して、100mol%以上の塩基が反応系中に存在することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
  10. (メタ)アクリル系重合体の重合率が85〜100%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法
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