以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
本発明の撮像装置においては、例えば徒競走等に代表されるスポーツや競技などにおいて、複数の移動被写体を撮影対象とする。ここで、複数の移動被写体優先のピント合わせを行うのは、この複数の被写体のかけひきなどでドラマが生まれるからである。具体的には、例えば徒競走等の競技において複数の被写体が撮影者に向かって移動してくるような状況が考えられる。この場合、撮像画面内においては、その奥側から手前側にかけて複数の移動する被写体が存在することになる。そして、このとき、撮影者と複数の被写体のそれぞれとの距離は、ばらつきが生じている状況となっている。したがって、従来一般的な撮像装置において適用されている通常のオートフォーカス動作制御を行なうのみでは、複数の被写体の全てを合焦状態とすることができないという問題点がある。そこで、被写界深度を考慮したF値(絞り値)を適宜設定することによって、複数の被写体の全て(若しくは特定被写体を含む一部の範囲)が合焦状態となるようにする設定値の制御を、以下の実施例で説明する。
一方、上述したように、動きのある被写体を撮像対象とする場合には、被写体自体が移動することによって被写体ブレが生じる可能性が高くなる。この被写体ブレを抑止するためには、できるだけ速いシャッター速度値を設定するのが望ましい。この場合、適正露出を確保するためには必然的にF値(絞り値)を小さくする設定(つまり、絞りを開ける方向に設定する)必要がある。このことは、被写界深度が浅くなってしまうことを意味する。つまり、被写界深度が浅くなるほど、撮像画面内で前後に散在する複数の被写体の全てを合焦状態にすることが困難になってしまうという問題点がある。このあたりも考慮して説明を行う。
この実施例では、上述した点に鑑みて、撮像画面内において奥側から手前側にかけて存在する複数の移動する被写体を撮像対象とする状況(例えば運動会の徒競走等)に適するように、被写界深度を考慮して合焦範囲を設定するためのF値(絞り値)と被写体ブレを考慮したシャッター速度値等の設定を撮像状況に応じて自動化し、操作性を損なうことなく、常に所望の被写体の合焦状態を確保して良好な撮像結果を簡単に得られる動作形態(シーンモード)を具備した撮像装置についての構成を、特に強調して説明している。
本発明の一実施形態は、例えば撮像光学系により結像された光学像を、例えばCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)イメージセンサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補性金属酸化膜半導体)型イメージセンサー等の光電変換素子等(以下、撮像素子という)を用いて順次光電変換し、これにより取得された画像信号を所定の形態の画像データ(例えば静止画像又は動画像を表わすデジタル画像データ)として記憶媒体に記憶すると共に、当該デジタル画像データに基いて静止画像又は動画像を表示する画像表示装置、例えば液晶表示(Liquid Crystal Display;LCD)装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL;Organic Electro-Luminescence:OEL)表示装置等を備えて構成された撮像装置、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等を例示するものである。
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
まず、本発明の一実施形態の撮像装置の概略的な構成について、図1を用いて以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態の撮像装置の概略構成を示すブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態の撮像装置1は、ボディ10とレンズ鏡筒30とによって主に構成されている。本実施形態の撮像装置1は、ボディ10に対してレンズ鏡筒30が着脱自在に構成されるいわゆるレンズ交換式撮像装置である。このように、本実施形態においては、撮像装置1の一例としてレンズ交換式撮像装置を例に挙げて説明するが、本発明を適用し得る撮像装置としては、この形態に限られることはない。本発明を適用し得るその他の形態の撮像装置としては、例えばボディ10とレンズ鏡筒30とが一体に構成された形態のレンズ固定式撮像装置等があり、この形態の撮像装置であっても本実施形態の撮像装置と全く同様に本発明を適用することができる。
ボディ10は、信号処理制御部11と、撮像部12と、ブレ補正部13と、記憶部14と、操作部15と、タッチパネル16と、時計部17と、背面表示部18と、EVF19と、アイセンサ20と、本体通信部21等を有して構成されている。
信号処理制御部11は、本撮像装置1の全体の動作を統括的に制御する制御部としての機能を備え、レンズ鏡筒30を含む各構成ユニットを制御するための制御信号を処理する制御部として機能すると共に、撮像部12によって取得された画像信号(画像データ)を受けて所定の信号処理等を行う信号処理部として機能する回路部である。
信号処理制御部11の内部には、操作判定部11aと、表示制御部11bと、被写体判定部11cと、コントラスト判定部11dと、位置変化予測部11eと、測距部11f等の各種の回路部が具備されている。
このうち操作判定部11aは、操作部15から入力された指示信号を判定し、その指示信号に対応する動作制御を指示する回路部である。
表示制御部11bは、背面表示部18やEVF19等を駆動制御する制御回路部である。この表示制御部11bは、撮像部12によって取得され、上記信号処理制御部11における所定の信号処理を経て出力される表示用の画像データ(画像信号)を受けて、背面表示部18もしくはEVF19の表示パネルを用いて視認可能な画像を表示させるための制御等を行う。なお、当該表示制御部11bにおいて、撮像部12からの画像データを受けて表示用画像データを生成する画像処理等を行うような構成としてもよい。
被写体判定部11cは、撮像部12によって取得された画像データに基いて形成される画像内において特定の被写体を判定したり識別したりするための画像処理を行なう回路部である。具体的には、被写体判定部11cは、撮像部12によって取得された画像データに基づいて、例えば画面内の被写体の形状等を識別することにより、例えば人物等の顔等を識別したり、その識別された人物等の顔等が記憶部14等に予め記憶された顔画像と一致するか否か等の判定を行なう。
コントラスト判定部11dは、撮像部12から出力される画像データに基づいてコントラスト判定処理等を行なって焦点調節処理に関する信号処理を行なう回路部である。
位置変化予測部11eは、撮像部12から出力される画像データに基づいて測距演算処理を行ったり、上記被写体判定部11cによって識別判定された特定の被写体像(例えば人物等の顔等)の画面内における位置変化を検出し予測する演算処理を行なう回路部である。なお、位置変化予測部11eは、画面内の被写体について、画面内における位置の変化を検出するとしているが、例えば画面内の二次元平面座標(XY座標)の変化を算出するようにしてもよいし、また、当該撮像装置1から被写体までの距離の変化(測距演算結果)に基づいて画面内の移動被写体の位置変化を検出するようにしてもよい。
測距部11fは、撮像部12から出力される画像データに基づいて形成される画像内の被写体までの距離情報を検出し、例えば被写体までの距離を測定する演算処理等を行なう回路部である。また、上記測距部11fは、撮像部12のAF部12a(後述)からの出力に基づいて測距演算処理を行なう機能も有する。
撮像部12は、後述するレンズ鏡筒30に含まれる撮像光学系32によって結像された被写体像を受光し光電変換処理を行なって画像データを生成する撮像素子等の電子部品及びAF部12a等を含む回路部である。撮像部12における撮像素子としては、例えばCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)等の回路素子を用いたCCDイメージセンサ若しくはMOS(Metal Oxide Semiconductor;金属酸化膜半導体)等を用いたMOS型イメージセンサ等の固体撮像素子である光電変換素子等が適用される。この撮像部12の撮像素子から出力されるアナログ画像信号は、信号処理制御部11へと出力されて各種の信号処理が行なわれる。
AF部12aは、例えば画像を形成するための信号を出力する複数の撮像用画素を撮像面(受光面)の全域に亘って二次元状に配列した撮像素子において、その撮像面の少なくとも一部の複数の画素を焦点検出を行うための信号を出力する焦点検出用画素とし、これら複数の焦点検出用画素の出力に基づいて焦点検出処理を行なう回路部の一部を構成する。このAF部12aは、撮像面位相差検出方式のAF(オートフォーカス)制御処理、いわゆる像面位相差AF処理を行なう回路部の一部を構成している。このAF部12aによって生成される像面位相差AF処理用データは、上記測距部11fへと出力される。
また、本実施形態の撮像装置1におけるAF機能を実現する形態としては、上記の像面位相差AF処理に限られることはなく、従来形態の各種AF処理に対応した形態を適用できる。撮像装置におけるAF機能を実現するための形態としては、例えば撮像光学系を駆動させて撮像素子の撮像面上に結像される被写体像のコントラスト差を検出して被写体像の合焦状態を検出するいわゆるコントラストAF処理のほか、位相差検出用センサを別に備え撮像光学系からの一部の光束を用いて被写体像の合焦状態を検出するいわゆる位相差検出方式AF処理等がある。
ブレ補正部13は、撮像対象とする被写体に対し光軸や撮像面の位置が不安定になることに起因して生じる像ぶれを補正する回路部である。そのためにブレ補正部13は、撮像装置1の姿勢変化等を検出する検出手段や、撮像素子等の位置,傾き等を移動させる駆動手段等を有して構成される構成ユニットである。なお、ブレ補正部13の具体的な構成としては周知の技術が適用されているものとして、その詳細説明は省略する。
記憶部14は、記憶媒体やこの記憶媒体を駆動制御する媒体駆動部等によって構成される構成ユニットである。記憶媒体は、画像データや各種の情報若しくは各種のプログラムなどを記憶するデバイスである。記憶媒体としては、例えばカード型着脱式若しくは装置内蔵型の半導体メモリ媒体や磁気記憶媒体等が適用される。
媒体駆動部は、上記記憶媒体を駆動制御する制御部のほかに、画像データの入出力を司る信号処理回路部等を有する回路部である。具体的には、媒体駆動部は、例えば撮像部12によって取得され信号処理制御部11を経て所定の画像データ処理等が施された画像データを受けて、これを例えば信号圧縮処理等を行って記憶用画像データに変換する信号処理を行なったり、記憶媒体に記憶済みの画像データを読み込んで伸長処理等を施して画像データを復元させる信号処理等を行なう。なお、画像データについての圧縮伸長処理については、当該媒体駆動部において処理する形態に限られることはなく、例えば信号処理制御部11内に同様の信号処理回路部を設け、それによって実行するような形態としてもよい。
なお、上記記憶部14には、このほかにも、例えば本撮像装置1における各種の制御プログラムや各種の情報データを予め記憶した書き換え可能な不揮発性の半導体メモリ、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等や、撮像部12によって取得された画像信号や各種の情報データ等を一時的に記憶し、また、一時的な作業用途に用いられる揮発性の半導体メモリ、例えばSDRAM (Synchronous Dynamic Random Access Memory) 等の一時メモリをも含むものとする。
操作部15は、本撮像装置1のボディ10の外装部分等に設けられる通常の押しボタン式若しくはスライド式,ダイヤル式等の形態の各種の操作部材であって、具体的には例えばシャッターリリースボタンや設定操作部材等、各種の一般的な操作部材を含めた操作用の構成部を指すものである。操作部15から出力される指示信号は、信号処理制御部11の操作判定部11aへと出力され、同操作判定部11aにおいて各種対応する動作制御を指示する。
タッチパネル16は、操作部15とは別系統の操作用部材として設けられる電子部品である。タッチパネル16は、背面表示部18の表示パネル上に配置されており、当該撮像装置1の使用者(ユーザー)が背面表示部18に表示中の画像に対応する所定領域や各種アイコン表示に相当する領域等に対してタッチ操作やスライド操作等を行なうことによって、各種の操作指示信号が発生するように構成されている。タッチパネル16からの指示入力信号は、信号処理制御部11の操作判定部11aへと送られて、その操作入力が判定される。
時計部17は、いわゆるリアルタイムクロック(Real-Time Clock;RTC)と言われるコンピュータの内部時計である。時計部17は、例えばデータファイル等の日時情報の付与を行ったり、制御処理中における計時や時間制御等の際に利用される。
背面表示部18及びEVF19は、例えば撮像部12によって取得された画像データに基づいて生成された表示用画像データ等を受けてライブビュー画像を表示したり、記憶部14に記憶済みの画像データに基いて静止画像若しくは動画像の画像再生表示を行ったり、記憶部14等に予め用意された各種データ等を読み込んで生成されるメニュー表示等を表示する表示ユニットである。
背面表示部18は、例えばボディ10の背面側に設けられ、比較的大型(例えば3型程度のサイズ)の表示パネルを採用する形態の表示ユニットである。また、EVF19は、例えばアクセサリーシュー等に装着したりボディ10に内蔵可能な小型(例えば0.5型程度のサイズ)の表示パネルを用いて構成されるいわゆる電子ビューファインダ(EVF;Electric View Finder)形態の表示ユニットである。これらの表示ユニットは、信号処理制御部11の表示制御部11bによって制御される。
上記表示ユニット(背面表示部18及びEVF19)は、例えば液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display),プラズマディスプレイ(PDP;Plasma Display),有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OEL;Organic Electro-Luminescence Display)等の表示パネルと、その駆動回路等を含んで構成される。
上記表示ユニットは、信号処理制御部11の表示制御部11bの制御下において、撮像装置1の動作モードが再生モードに設定されている時には、撮像記憶済みの画像データに基く画像(静止画像,動画像等)を再生表示する表示装置として機能する。また、撮像装置1の動作モードが撮像モードに設定されている時には、同様に信号処理制御部11の表示制御部11bの制御下において、撮像部12によって所得され信号処理制御部11において所定の信号処理が施された画像データを受けて順次連続的にリアルタイムの画像を表示し続けることによって、撮像範囲の観察,確認を行ない得る電子ビューファインダとして機能する。
表示ユニットとしての背面表示部18とEVF19とは、適宜、用途に応じて切り換えて使用されるようになっている。そのために、例えばEVF19の近傍には、アイセンサ20が配設されている。
アイセンサ20は、例えばEVF19の近傍に設けられ、例えば使用者(ユーザ)の顔(眼)を検出することにより、使用者(ユーザ)がEVF19を使用する状態にあるかを検出する検出手段である。
具体的には、例えば当該撮像装置1の使用中において、背面表示部18を使用しているものとする。この状態において、例えば使用者(ユーザ)がEVF19を用いてその表示パネルの表示を視認するために、当該EVF19の表示部近傍に顔(眼)を近付けると、アイセンサ20は、これを検出する。これを受けて、信号処理制御部11は、背面表示部18の表示駆動を一時停止させ、EVF19の表示駆動に切り換える制御を行なう。
本体通信部21は、ボディ10とレンズ鏡筒30との間の制御信号,情報信号等をやり取りするために設けられる通信用信号処理回路部である。ボディ10にレンズ鏡筒30を装着すると、両者は電気的に接続されるように構成されている。これにより、本体通信部21と、レンズ鏡筒30側のレンズ通信部37(後述)との間が電気的に接続され、よって、ボディ10側の信号処理制御部11とレンズ鏡筒30側のレンズ制御部31(後述する)とは電気的に接続される。そして、この状態において両者は協働してボディ10及びレンズ鏡筒30をそれぞれ制御するように構成されている。
次に、レンズ鏡筒30は、レンズ制御部31と、撮像光学系32と、レンズ駆動部33と、状態判定部34と、レンズ側操作部35と、レンズ側記憶部36と、レンズ通信部37等によって主に構成されている。
レンズ制御部31は、上記ボディ10側の信号処理制御部11の制御下において、若しくはこれと協働して、レンズ鏡筒30側の各構成ユニットの動作を制御する制御回路部である。なお、このレンズ制御部31は省略して構成することもできる。その場合には、レンズ鏡筒30側の制御の全てをボディ10側の信号処理制御部11が担うように構成すればよい。
撮像光学系32は、撮像対象とする被写体からの光を透過させて被写体の光学像を結像させる複数の光学レンズ等によって構成される光学ユニットである。なお、図面においては詳細な図示を省略しているが、撮像光学系32には、光学レンズを保持する複数の保持枠部材や、これら複数の保持枠部材を各個別に光軸方向に進退させる駆動部材等のほか、ズーミングのためのズーム駆動機構部,フォーカシングのためのフォーカス駆動機構部、透過光束の光量を調整する絞り装置等を含めて構成される構成ユニットである。
レンズ駆動部33は、上記撮像光学系32に含まれる複数の保持枠部材等を光軸方向に進退させる駆動部材及びアクチュエータ等を含んで構成され、上記ズーム駆動機構部や上記フォーカス駆動機構部等を駆動する駆動ユニットである。
状態判定部34は、例えば上記撮像光学系32に含まれる各光学レンズ等の光軸上における位置を検出するセンサ等を含んで構成され、使用中の撮像装置1におけるレンズ鏡筒30の撮像光学系32の状態を検出し判定する回路ユニットである。
レンズ側操作部35は、レンズ鏡筒30側における各種の操作を行うための操作部材、例えば手動による焦点調節操作やズーム操作を行なう操作環や、電動による焦点調節操作やズーム操作を行なう操作スイッチに連動する操作部材のほか、マクロモードと通常撮像モードとの切換操作を行なう操作部材等がある。
レンズ側記憶部36は、レンズ鏡筒30における固有の情報、例えば焦点距離,開放絞り値,レンズ特性等、各種の情報を予め記憶させておく半導体メモリ等を有する回路ユニットである。
レンズ通信部37は、上述したように本体通信部21との間で電気的に接続されることにより、レンズ鏡筒30とボディ10との間の通信を確保する通信用信号処理回路部である。
なお、ボディ10及びレンズ鏡筒30の構成要素としては、上述した構成部材以外にも、その他の各種構成ユニット等を有して構成されているものであるが、それらの各種構成ユニット等は、本発明に直接関連しない構成であるので、従来の一般的な撮像装置と同様の構成を具備するものとして、その詳細説明及び図示を省略している。
例えば、撮像光学系の光路を開閉し、撮像動作の際に撮像光学系を透過する光束の光量を調整するためのシャッター機構については図示及び説明を省略しているが、本実施形態の撮像装置1においても、従来の撮像装置と同様の通常のシャッター機構を有している。この場合において、シャッター機構としては、ボディ10側に配設するフォーカルプレーンシャッターでもよいし、レンズ鏡筒30側に配設するレンズシャッターでもよい。また、機械的なシャッター機構に変えて若しくはこれに加えて撮像部12における撮像素子を電気的に制御することによってシャッター機構として機能させる素子シャッター機能を備えていてもよい。なお、シャッター機構がボディ10側に配設されている場合(素子シャッターも含む)には、シャッター機構は主にボディー側の制御部によって制御される。また、シャッター機構がレンズ鏡筒30側に配設されている場合には、シャッター機構は主にボディー側の制御部の制御下においてレンズ制御部31を介して制御される。
このような構成の撮像装置1を用いて行なう撮像動作時の作用について、例えば運動会の徒競走等のような状況を想定した場合の具体例を以下に説明する。
ここで、「徒競走」を例として挙げるのは、多くの家族写真で広く馴染みのある撮影状況であるからであって、その他様々なスポーツにおいて、複数の被写体(人物)が、競い合うシーンなら何にでも適用できることは最初に断っておく。もちろん、徒競走に限らず、サッカーやバスケットボールや競泳などでも、こうした駆け引きは見られる。
以下の実施例において、複数被写体の駆け引きを重視したピント合わせが簡単にできるカメラを提供することが出来るが、二つ以上の被写体を、ピントがあった状態で比較することで、ドラマを演出した表現にすることが出来るということが重要な着眼点である。ここでは、なるべく多くの被写体の表情や仕草がクリアに再現される例で説明するために、「全員が」というような表現をしているが、先頭と後方の差異を際立たせた撮影の方が良い場合もあり、その場合は、主要な駆け引きを演じている先頭集団を対象となる「全員」として、ここにだけフォーカスしてもよい。それについても、あらかじめ断った上で説明を続ける。
図2は、本実施形態の撮像装置を用いて、例えば運動会の徒競走を対象として撮像する際のようすを示す概念図である。図2において、矩形状の枠20aは、背面表示部18若しくはEVF19のファインダ枠である。
撮像装置1を用いて撮像する際には、当該撮像装置1の使用者(ユーザ)は、撮像光学系の前面が撮像対象物に対峙するように撮像装置1を設置する。その際、背面表示部18若しくはEVF19のファインダ枠内に撮像対象物が納まるように設定する。図2においては、例えば運動会の徒競走を撮像対象とし、符号100a〜100eで示す複数の人物(本図においては5人の走者を図示している)が、上記使用者(ユーザ)側に向けて近付く方向に移動している状況を示している。この場合、撮像対象とする複数の人物100a〜100eは、使用者(ユーザ)の前側空間において、同使用者(ユーザ)とを結ぶ線に沿う方向(撮像装置1の光軸方向)に散在した状況にあり、撮像装置1のファインダ枠内にあっては、使用者(ユーザ)に近い距離の被写体(人物100c)は比較的大きくかつ画面下寄りの位置に配置され、使用者(ユーザ)から遠い距離の被写体(人物100a)は比較的小さくかつ画面上寄りの位置に配置されている。なお、以下の説明においては、図2において使用者(ユーザ)に最も近い距離の被写体(人物100c)を先頭被写体というものとする。また、図2において使用者(ユーザ)に最も遠い距離の被写体(人物100a)を最後尾被写体というものとする。
このような状況下における撮像装置1の撮像動作の概略的な流れは、次のようになる。図3は、本実施形態の撮像装置の撮像動作の概略を示すタイムチャートである。また、図4は、本実施形態の撮像装置による撮像動作時の合焦動作を説明する概念図である。
まず、撮像装置1の電源状態がオン状態にされた状態にあり、かつ撮像装置1が撮像動作を実行し得る動作モード(撮像モードという)に設定されているものとする。このとき、撮像装置1は、背面表示部18若しくはEVF19のいずれか一方の表示画面に、撮像部12によって取得された画像データに基づく画像を所定の時間間隔で連続的に表示し続けるライブビュー画像表示動作を行う(図3(A))。
この状態にある時、使用者(ユーザ)は、上記ライブビュー画像表示を観察しながら、任意のタイミングにて、例えば操作部15に含まれる操作部材のうち合焦動作の実行指示信号を発生させる操作部材の操作、若しくはタッチパネル16に対する合焦動作実行のための所定領域へのタッチ操作等を行なう。例えば、図3(B)に示す符号[B1]のタイミングで、上記操作を行ったものとする。すると、これを受けて、撮像装置1においては、図3(C)に示すAF動作処理が開始され、このAF動作処理は所定の間隔で連続的に継続実行される。
上記合焦動作実行指示操作の後、使用者(ユーザ)は、上記ライブビュー画像表示を観察しながら、任意のタイミングにて、例えば操作部15に含まれる操作部材のうち撮像動作の実行指示信号を発生させる操作部材の操作、若しくはタッチパネル16に対する撮像動作実行のための所定領域へのタッチ操作等を行なう。例えば、図3(B)に示す符号[B2]のタイミングで、上記操作を行ったものとする。すると、これを受けて、まずライブビュー画像表示動作が一時的に停止される(図3(A)の符号[A])。その後、上記撮像動作実行指示信号の発生タイミング時(図3(B)の符号[B2])の直前に実行されたAF動作Taf0(図3(C)の符号[C1])の結果と、同撮像動作実行指示信号の発生タイミング時の直後に実行されるAF動作Taf1(図3(C)の符号[C2])の結果とに基づいて、図3(D)の合焦動作(符号(D))が実行される。
ここで、上記AF動作のうちTaf0(符号[C1])の開始時点からTaf1(符号[C2])の終了時点までの間の時間をΔTafとする。また、上記AF動作のTaf1(符号[C2])の終了時点から合焦動作(符号[D])に係る時間を含めて実際の撮像動作開始時点までの時間(図3(E)の符号[E])をΔT1とする。
この場合において、上記合焦動作(符号[D])にかかる時間としては、例えば撮像光学系のうちAF動作に関わるレンズ光学系が駆動されて所定の合焦位置へと移動するのに要する時間等が含まれる。
このように、通常の場合(本撮像装置1においても)、AF動作結果に基づく演算処理の後、実際の撮像動作が開始されるまでの間には、合焦動作に多少の時間が必要になる。つまり、上記AF演算処理の結果を得た後に、合焦動作のための機械的な動作が行なわれるので、実際の撮像動作が開始されるまでの間に若干のタイムラグが生じることになる。ところが、実際の状況においては、そのタイムラグが生じている時間においても、撮像対象の複数の被写体は移動を継続している。したがって、実際に合焦動作(図3(D))を実行するのに際しては、上記タイムラグの間に移動する被写体の移動量を見越して、撮像動作の実行開始時点における被写体の位置を予測する必要がある。
より詳しく説明すると、上記AF動作Taf0は、図4(A)に示すように、例えば撮像対象とする画面内の複数の人物が存在しているとすると(本図においては図面の煩雑化を避けるため4人の走者を図示している)、撮像装置1は、当該撮像装置1から画面内の撮像対象の4人の走者のそれぞれまでの各距離を測定する。続いて、撮像装置1は、上記AF動作Taf1において、図4(B)に示すように、例えば画面内の撮像対象の4人の走者のそれぞれまでの各距離を測定する。
上記AF動作Taf0の測定時点と、Taf1の測定時点との間には、所定の時間が経過している。したがって、その間に、撮像対象の4人の走者はそれぞれ所定の距離だけ撮像装置1に向かって移動している。したがって、上記AF動作Taf0の測定結果と、Taf1の測定結果とは異なる距離値が算出されていることになる。
この場合において、本撮像装置1は、上記被写体判別部11c(図1参照)によって、撮像対象とする4人の走者(人物)を特定することができ、そのデータは記憶部14等において一時的に記憶される。つまり、被写体判別部11cによる判別結果と、AF動作Taf0の測定結果及びTaf1の測定結果に基づいて、特定の被写体が画面内において移動した場合の移動量,移動方向等の情報を得ることができる。このようにして、本実施形態の撮像装置1は、図3,図4においてΔTafで示す時間内にて所定のAF動作(各被写体までの距離測定処理)が実行される。
なお、上記の処理においては、撮像装置1から画面内の複数の被写体(4人の走者)のそれぞれまでの各距離を測定するとして説明したが、実際には距離を測定するわけではなく、例えば画面内における特定被写体の位置変化、即ち画面内における相対的な移動量等を算出すればよい。この場合、扱うデータとしては、例えば「1/距離」等となるが、説明の煩雑化を避けるために、以下の説明においては、単に距離又は距離情報と表記するものとする。
その後、図3(E)に示すように、実際の撮像動作が、例えば同図3(E)の符号[E1]で示す時点において実行開始され、図3(A)の符号[E2],図3(E)で示す符号TPhotoのタイミングで終了する。この撮像動作の期間においては、撮像部12が駆動制御されて、当該撮像部12の撮像素子により画像データが取得され、取得された画像データは信号処理制御部11における各回路部において所定の処理が施される。そうして生成された画像データは、例えば背面表示部18若しくはEVF19へと送られてレックビュー表示(取得画像の再生表示)が所定時間だけ行なわれる。同時に、上記画像データは、例えば記憶部14へと送られてデータ記憶処理が行われる。
そして、上記撮像動作が終了すると、図3(A)のライブビュー画像表示動作やAF動作が再開される。なお、この場合において、AF動作については、撮像動作終了後に再開さなくともよく、使用者(ユーザ)による次の合焦動作実行指示操作を待って、AF動作を行なうようにしてもよい。
また、上記の例では、撮像動作実行指示信号が発生すると、その直前のAF動作と直後のAF動作の二回のAF動作の結果に基づいて合焦動作を実行するようにしているが、これに限られることはない。例えば、撮像動作実行指示信号の発生後、直後のAF動作の結果に基づいて合焦動作を実行するような制御でもよい。
本実施形態の撮像装置1において、上述のような状況下における撮像動作を行うのに際しては、撮像動作の実行開始時点の被写体位置を予測して合焦動作が実行される。つまり、合焦動作は、その予測位置の被写体を目標として合焦状態とする動作となる。ここで、その合焦予測目標地点を、図4(C)の符号P0で示す。撮像装置1(の撮像面)から上記合焦予測目標地点P0までの距離を、図4(C)においては符号Lで示している。
また、図4(C)において、先頭被写体の予測位置を符号P2で、最後尾被写体の予測位置を符号P1で、それぞれ示している。
この場合において、本実施形態の撮像装置1における信号処理制御部11は、先頭被写体P2から最後尾被写体P1までのほぼ全てができるだけ合焦状態となるような被写界深度を確保し得るF値(絞り値)を選択し、かつ被写体ブレ等が生じないようにできるだけ速いシャッター速度値を選択設定する自動露出制御を行なう。このような制御処理が、図3(E),図4(C)のΔT1で示す時間内において実行される。このような動作形態(シーンモード)を、本実施形態の撮像装置1においては、「徒競走モード」というものとする。撮像装置1におけるシーンモードの設定は、使用者(ユーザ)が所定の操作部材を用いて自発的に操作することにより、任意に所望のシーンモードを選択設定するようにしてもよいし、また、撮像装置1が、撮像部12によって取得した撮像画像データなどに基づいて撮像状況を自動的に判定し、シーンモードを自動切り替えするようにしてもよい。
なお、図4(C)においては、被写界深度を符号Lsで示し、前方被写界深度を符号Lfで、後方被写界深度を符号Lrで示している。
本実施形態の撮像装置1における上述したような作用、即ち「徒競走モード」による撮像動作時の具体的なカメラ制御処理について、以下に詳述する。
図5は、本実施形態の撮像装置におけるカメラ制御処理の流れを示すフローチャートである。図6は、図5のフローチャート中における被写界深度設定制御処理(ステップS107)を示すフローチャートである。図7は、図6のフローチャート中の一部の処理である「最適な被写界深度算出処理」を詳細に示すフローチャートである。図8は、被写界深度を算出するための計算式である。
撮像装置1が電源オン状態にされると、図5に示すカメラ制御処理のフローチャートの実行が開始される。まず、図5のステップS101において、信号処理制御部11は、現在設定されている動作モードが、撮像動作を実行し得る撮像モードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、撮像モードに設定されていることが確認されると、次のステップS102の処理に進む。また、撮像モード以外に設定されている場合にはステップS121の処理に進む。
ステップS102において、信号処理制御部11は、背面表示部18若しくはEVF19のいずれか一方の表示画面に、撮像部12によって取得された画像データに基づく画像を所定の時間間隔で連続的に表示し続けるライブビュー画像表示処理を実行する。
続いて、ステップS103において、信号処理制御部11は、被写体判定部11cを制御して、撮像部12によって取得した画像データに基づいて撮像対象とする複数の人物(の対応する顔)を識別する。さらに、信号処理制御部11は、上記被写体判定部11cにより識別された複数の各人物までのそれぞれの距離情報を、測距部11fを用いて測定する演算処理を行なう。この測距部11fを用いて行われる距離測定処理は、従来一般の撮像装置において行われている演算処理と全く同様である。
次に、ステップS104において、信号処理制御部11は、上述のステップS103の処理にて識別された被写体の顔情報と、当該顔情報に各対応する距離情報を、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶するデータ一時保存処理を実行する。
ステップS105において、信号処理制御部11は、上述のステップS104の処理にて識別された顔情報と同じ顔情報が、既に一時保存データ内に複数存在するか否かの確認を行なう。ここで、一時保存データ内に識別された顔情報と同じ顔情報が複数存在することが確認された場合には、次のステップS106の処理に進む。また、確認されない場合、例えば初回測距時等においては、ステップS111の処理に進む。
なお、ここで顔検出を行っているが、必ずしもこれは必須ではなく、複数のポイントの距離変化とパターン変化の相関によっても、対象物の移動について判定が出来る事は言うまでもない。
ステップS106において、信号処理制御部11は、測距部11f,位置変化予測部11e等を制御して、上述のステップS105の処理にて確認された各顔情報に対応する一時保存済みの各測距データ(距離情報)と、上述のステップS103の処理にて得られた顔情報に対応する測距データ(距離情報)とを比較して、両者間に画面内における位置変化(被写体までの距離変化)があるか否か、即ち、特定の被写体(人物)が移動したか否かの確認を行なう。ここで、画面内における位置変化(被写体までの距離変化)が確認された場合には、次のステップS107の処理に進む。また、画面内における位置変化(被写体までの距離変化)が確認されない場合には、ステップS111の処理に進む。
ステップS107において、信号処理制御部11は、本撮像装置1の撮像モード時の動作形態(シーンモード)を「徒競走モード」に切り換える(この場合の例はシーンモード自動切り替え制御がなされている)。そして、上述のステップS103〜S106の処理において得られた結果、即ち画面内における位置変化(被写体までの距離変化)が確認された撮像対象(被写体)の先頭被写体から最後尾被写体までのほぼ全てができるだけ合焦状態となる被写界深度を確保するための各種設定を行なう制御処理(図6,図7のサブルーチン)を実行する。その後ステップS111の処理に進む。
ここで、上述のステップS107の処理、即ち、被写界深度設定制御処理の詳細について、図6のサブルーチンを用いて以下に説明する。
なお、ここで説明する例では説明の煩雑さを避けるために、徒競走を撮像対象とする状況下において、撮像対象とする複数の人物(走者)は3人存在するものとして説明しているが、それ以上の人数であっても構わないことは勿論である。その場合には、走者毎に対応する判定ステップを行うようにすればよい。
まず、図6のステップS201において、信号処理制御部11は、近付いている人物Aのスピード判定を行なう。その場合の判定結果をSaとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
ここで行なわれるスピード判定とは、上述の図5のステップS103〜S106の処理にて行なう複数回(二回)の距離測定処理による演算結果に基づいて算出される特定被写体の移動量等に基づいて得られる被写体の移動速度を判定する処理である。
同様に、ステップS202において、信号処理制御部11は、近付いている人物Bのスピード判定を行なう。その場合の判定結果をSbとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
続いて、ステップS203において、信号処理制御部11は、近付いている人物Cのスピード判定を行なう。その場合の判定結果をScとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
次に、ステップS204において、信号処理制御部11は、近付いている人物Aまでの距離を判定し、その場合の判定結果をDaとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。ここで行なわれる距離判定は、例えば当該撮像装置1からの距離の大小(遠近)等を判定する。
同様に、ステップS205において、信号処理制御部11は、近付いている人物Bまでの距離を判定し、その場合の判定結果をDbとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
続いて、ステップS206において、信号処理制御部11は、近付いている人物Cまでの距離を判定し、その場合の判定結果をDcとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
次に、ステップS211において、信号処理制御部11は、位置変化予測部11eを制御して時間ΔT後の人物Aまでの距離を判定(距離予測判定)し、その場合の判定結果をDatとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
同様に、ステップS212において、信号処理制御部11は、位置変化予測部11eを制御して時間ΔT後の人物Bまでの距離を判定(距離予測判定)し、その場合の判定結果をDbtとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
ステップS213において、信号処理制御部11は、位置変化予測部11eを制御して時間ΔT後の人物Cまでの距離を判定(距離予測判定)し、その場合の判定結果をDctとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。
ステップS214において、信号処理制御部11は、上述の各処理ステップにて取得した距離予測判定結果Dat〜Dctのうち当該撮像装置1からの距離が最も近い距離を判定し、その場合の判定結果をDnとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。即ち、この処理において画面内の複数の人物のうちの先頭の人物が判別される。
同様に、ステップS215において、信号処理制御部11は、上述の各処理ステップにて取得した距離予測判定結果Dat〜Dctのうち当該撮像装置1からの距離が最も遠い距離を判定し、その場合の判定結果をDfとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。即ち、この処理において画面内の複数の人物のうちの最後尾の人物が判別される。
続いて、ステップS216において、信号処理制御部11は、上述のステップS214,S215にて取得した判定結果Df(最後尾予測距離)と判定結果Dn(先頭予測距離)との間において、合焦動作を行なう目標距離(合焦目標距離)を算出し、その場合の算出結果をDmとし、そのデータを、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して一時的に記憶する。なお、合焦目標距離Dmは、上述の図4においては符号Lに相当する。
ステップS217において、信号処理制御部11は、合焦目標距離Dm〜先頭予測距離Dnまでの合焦状態をカバーする複数のF値(絞り値)を算出する。その後、図5の元の処理ステップに戻り(リターン)、図5のステップS111の処理に進む。
上述のステップS216〜S217の処理ステップについて図7,図8を用いて、さらに詳しく説明する。図7に示すフローチャート「最適な被写界深度算出処理」は、上述の図6におけるステップS216〜S217の処理を詳述するサブルーチンである。
図7のステップS151〜S152において、信号処理制御部11は、合焦目標距離Dmを決定する処理を行なう(図6のステップS216の処理に相当する)。
ここで、まず、被写界深度は、被写体像において焦点が合っているように見える際の被写体側における撮像装置1からの距離範囲をいうものである。この被写界深度は、合焦動作を行った対象位置の前後の距離範囲である。この場合、前方の被写界深度を前方被写界深度といい、後方の被写界深度を前方被写界深度という。例えば、図4(C)において、被写界深度Lsとするとき、前方被写界深度Lf,後方被写界深度Lrである。
合焦目標距離Dmは、撮像装置1と被写体までの距離(被写体距離という)、即ち最後尾予測距離Df(ステップS215にて取得済み)と先頭予測距離Dn(ステップS214にて取得済み)とによって規定される両距離の間の所定の位置を決定することになる(図6のステップS216)。この場合において、合焦目標距離Dmの決定は、当該撮像装置1において装着されているレンズ鏡筒30の焦点距離f情報と、被写体距離情報とに基づいて行なわれる。
ここで、被写界深度Lsにおける前方被写界深度Lf,後方被写界深度Lrの比率は、通常の場合、前1:後2となるのが一般である。しかしながら、これは各種の撮像条件によって変わるものであり、例えば被写界深度Lsが浅い(範囲が狭い)場合には、前1:後1のようになる。ここで、一般的には、例えば同じF値(絞り値)の場合、焦点距離fが長いレンズ(長焦点レンズ)ほど被写界深度が浅くなる傾向があることがわかっている。また、被写体までの距離(合焦目標距離)が長くなるほど被写界深度が深くなる傾向があることも周知である。
そこで、例えばレンズ鏡筒30の撮像光学系32の焦点距離fと、被写体距離と、被写界深度の前後比率との関係を示すテーブルデータを用意しておき、これを参照することによって、その時の被写界深度の前後比率を決定する(図7のステップS151)。なお、上記テーブルデータは、例えば上記記憶部14に含まれる一時記憶メモリ等(不図示)に対して予め記憶させることにより用意しておけばよい。
次に、最後尾予測距離Dfから先頭予測距離Dnまでの間の距離範囲を、上記ステップS151の処理にて決定した比率にて按分して、合焦目標距離Dmを決定する(図6のステップS152)。
次に、ステップS153にて、信号処理制御部11は、レンズ鏡筒30の各F値毎に対応する被写界深度を算出する。ここで、被写界深度の算出は、図8に示す数式が用いられる。この場合において、許容錯乱円δ(mm)の数値は、撮像素子のサイズと観察時の画面サイズ(表示装置の表示画面又はプリントサイズ等)とによって、つまり画像の拡大率によって予め設定される規定の数値である。具体的には、例えば約36mmx24mmの画面サイズを持つ撮像素子により取得される画像を、例えば対角線長10インチ程度の表示画面サイズを有する表示装置(または例えば八切サイズ(6インチx8インチ)程度のサイズのプリント)で鑑賞する場合、一般的には0.03mm(30μm)程度とされる。
続いて、ステップS154において、信号処理制御部11は、上述のステップS153にて算出された各F値毎の被写界深度データと、最後尾予測距離Df(図6のステップS215にて取得済み)と先頭予測距離Dn(図6のステップS214にて取得済み)とに基づいて、先頭の走者と最後尾の走者とが被写界深度内に含まれる場合のF値(絞り値)を決定する。
ステップS155において、信号処理制御部11は、上述のステップS154にて決定されたF値(絞り値)に対応し、その撮像状況に適する露出を得ることのできるシャッター速度を決定する。その後、元の処理ステップに戻る(リターン)。
図5に戻って、ステップS111において、信号処理制御部11は、操作判定部11aを介して操作部15若しくはタッチパネル16への操作指示信号を監視して、撮像動作を指示する撮像指示信号(例えばシャッタレリーズ信号等)が発生したか否かの確認を行なう。ここで、撮像指示信号が確認された場合には、次のステップS112の処理に進む。また、撮像指示信号が確認されない場合には、上述のステップS102の処理に戻る。
ステップS112において、信号処理制御部11は、撮像部12によって取得される画像データに基づいて、撮像部12のAF部12a若しくはコントラスト判定部11d等を制御して合焦動作を実行する。同時に、信号処理制御部11は、撮像部12によって取得される同画像データに基づいて測光処理を行なう。そして、信号処理制御部11は、その測光結果に基づいて、設定すべきF値(絞り値)及びシャッター速度等の適正露出値を算出する。その算出結果に基づいて、信号処理制御部11は、レンズ鏡筒30のレンズ制御部31と協働して、同レンズ鏡筒30の撮像光学系32に含まれる絞り装置を駆動制御する。
続いて、ステップS113において、信号処理制御部11は、撮像部12を制御するほか、ボディ10側若しくはレンズ鏡筒30側のいずれかに設けられるシャッター機構、又は撮像部12の撮像素子を駆動制御して撮像処理を実行する。その後、信号処理制御部11は、撮像部12によって取得された画像データについて、記憶部14の一時記憶部(不図示)に一時的に記憶すると共に、同画像データに対して所定のデータ処理を行なって記憶保存用の画像データを生成し、生成した記憶保存用画像データを記憶部14の所定領域に記憶する制御処理を実行する。
続いて、ステップS114において、信号処理制御部11は、表示制御部11bを介して背面表示部18又はEVF19を駆動制御して、上述のステップS113の処理にて取得され記憶部14に一時的に記憶された画像データを所定の時間だけ表示するいわゆるレックビュー表示処理を実行する。なお、このレックビュー表示処理における表示時数は、例えば1秒〜5秒間程度とされるのが普通である。この場合における表示時数は、例えば使用者(ユーザ)が、メニュー設定操作等を行うことによって、予め所定の範囲内で任意の時数に設定することが可能である。設定によっては、表示させない設定も可能である。
次に、ステップS115において、信号処理制御部11は、操作判定部11aを介して操作部15若しくはタッチパネル16への操作指示信号を監視して、当該撮像装置1の電源状態をオフ状態に切り換える指示である電源オフ信号が発生したか否かの確認を行なう。ここで、電源オフ信号が確認された場合には、次のステップS116の処理に進む。また、電源オフ信号が確認されない場合には、上述のステップS101の処理に戻る。
そして、ステップS116において、信号処理制御部11は、所定の電源オフ処理を実行する。これにより、本撮像装置1のカメラ制御処理は終了する(エンド)。
ところで、上述のステップS101の処理にて、撮像モード以外に設定されていることが確認されて、ステップS121の処理に進んだ場合には、次のような処理の流れとなる。
即ち、ステップS121において、信号処理制御部11は、現在設定されている動作モードが、画像の表示再生動作処理を実行し得る再生モードに設定されているか否かの確認を行なう。ここで、再生モードに設定されていることが確認されると、次のステップS122の処理に進む。また、再生モード以外に設定されている場合には、ステップS101の処理に進む。なお、本フローチャートにおいては、撮像モードと再生モード以外の動作モードについての動作は、本発明に直接関連しないものであるので、その図示及び説明は省略し、ステップS101の処理へ戻る制御処理としている。しかしながら、実際の撮像装置においては、撮像モード及び再生モード以外の、その他の動作モードが存在する場合には、それぞれ対応する制御処理へと進むような制御処理とすればよい。
次に、ステップS122において、信号処理制御部11は、表示制御部11bを介して背面表示部18を駆動制御して、記憶部14の記憶媒体に記憶済みの画像データに基づくファイル一覧表示処理を実行する。
次いで、ステップS123において、信号処理制御部11は、操作判定部11aを介して操作部15若しくはタッチパネル16への操作指示信号を監視して、ファイル選択指示とその選択ファイルの再生動作とを指示するファイル選択再生指示信号が発生したか否かの確認を行なう。ここで、ファイル選択再生指示信号が確認された場合には、次のステップS125の処理に進む。また、ファイル選択再生指示信号が確認されない場合には、ステップS124の処理に進む。
ステップS124において、信号処理制御部11は、操作判定部11aを介して操作部15若しくはタッチパネル16への操作指示信号を監視して、再生モードの終了を指示する指示信号が発生したか否かの確認を行なう。ここで、再生モード終了指示信号が確認された場合には、再生モードによる動作制御を終了し、ステップS101の処理に戻る。また、再生モード終了指示信号が確認されない場合には、ステップS122の処理に戻る。
一方、上述のステップS123の処理にて、ファイル選択再生指示信号が確認されて、次のステップS125の処理に進むと、このステップS125において、信号処理制御部11は、表示制御部11bを介して背面表示部18を制御すると共に、記憶部14を制御して、上述のステップS123の処理にて選択された画像ファイル(選択画像)を背面表示部18の表示画面に表示する(再生する)選択画像再生処理を実行する。その後、ステップS126の処理に進む。
ステップS126において、信号処理制御部11は、操作判定部11aを介して操作部15若しくはタッチパネル16への操作指示信号を監視して、現在表示中の画像表示処理の終了を指示する指示信号が発生したか否かの確認を行なう。ここで、表示終了指示信号が確認された場合には、現在表示中の画像表示処理を終了して、ステップS121の処理に戻る。また、表示終了指示信号が確認されない場合には、ステップS125の処理に戻る。即ち、表示終了指示信号が確認されるまで、現在表示中の画像表示処理を継続する。
以上説明したように、上記一実施形態においては、例えば徒競走等のように複数の移動する撮像対象(被写体)が一画面内に存在し、それらの撮像対象(被写体)が撮像者に向かってくるような状況に対応する撮像モード時の動作形態(シーンモード)として「徒競走モード」を備えた撮像装置1を例示している。
本実施形態の撮像装置1は、撮像部12によって取得された画像データに基づいて、撮像中の画像が「徒競走モード」に適した状況であることが確認されたら、自動的にシーンモードを切り換える制御を行なう(シーンモード自動切り替え制御)。
このシーンモード切替が表示部に表示されたり、切り替わりアラームが出たりする方が、ユーザーにも分かりやすく、顕現性も高い。
したがって、使用者(ユーザ)は、現在撮像装置1において設定されているシーンモード等の各種設定を意識すること無く撮像動作を続行するのみで、撮像装置1のシーンモードは、その撮像状況に適切なシーンモードに自動的に切り換わることになる。
この場合において、「徒競走モード」による撮像動作は、次のようなものである。つまり、撮像画面内において移動する複数の撮像対象の全てが合焦状態となるように、できるだけ深い被写界深度を確保し得るF値(絞り値)が設定される。このとき、被写界深度のみを考慮したF値設定では、適正露出を得るためにこれに組み合わせるシャッター速度値は低下してしまう傾向がある。そこで、本実施形態においては、上記被写界深度を考慮しつつ、被写体ブレが生じない程度のシャッター速度値が選択される。
徒競走等のような競技においては、先頭走者と最後尾走者との間の距離、即ち設定対象とする被写界深度の目安は、各競技毎に、また同一競技中においても一定ではない。そこで、本実施形態の撮像装置1においては、競技毎に先頭走者と最後尾走者との間の距離を算出して被写界深度の目安を求める制御を行っている。
このような構成により、本実施形態の撮像装置1によれば、「徒競走モード」においては、例えば徒競走等を撮像対象とする時、先頭走者と最後尾走者との間の距離をカバーする被写界深度を確保し得ると共に、できるだけシャッター速度の低下を抑えたF値を自動的に設定する。これにより、撮像対象とする複数の移動被写体の合焦状態を確保しつつ、被写体ブレのない良好な画像を簡単に取得することができる。
ところで、上述の一実施形態によって説明した例では、先頭走者と最後尾走者との間の距離が離れてしまい、より広い被写界深度を確保するためにF値を大きく絞らざるを得ない状況も考えられる。この場合においては、適正露出を得るためにシャッター速度値の低下が避けられない。シャッター速度の低下は、上述したように被写体ブレが生じる可能性が高くなる。そこで、このような状況では、例えばシャッター速度を遅くする代わりに、ISO感度設定値を上げる制御を行なうようにしてもよい。このような制御を行うことにより、必要な被写界深度を確保しながら、シャッター速度の低下を抑えることができ、よって被写体ブレの生じる可能性を抑止しつつ良好な画像を取得することができる。
また、より広い被写界深度を確保できないような状況においては、例えば先頭走者から最後尾走者までの全てをカバーするのではなく、特定の被写体(例えば先頭被写体若しくは任意に指定する特定被写体等)と、それより後方の被写体(例えば少なくとも一人若しくは全てではない複数)をカバーするような被写界深度をカバーする絞り値を設定する制御を行うようにしてもよい。
このように上記撮像光学系により結像される光学像を受けて画像データを取得する撮像部と、上記撮像部によって得られた複数の被写体の位置変化を検出すると共に、所定の時間経過後の上記複数の被写体の位置を予測する位置変化予測部と、上記位置変化予測部によって予測される上記複数の被写体の所定時間経過後の位置情報と上記撮像光学系の焦点距離とによって画像内の上記複数の被写体を合焦状態とし得る被写界深度に応じた撮影制御を行う制御部と、を有することを特徴とする撮像装置が構成され、徒競走などによる複数被写体の駆け引きを重視したピント合わせが簡単にできるカメラを提供することが出来る。もちろん、徒競走に限らず、サッカーやバスケットボールや競泳などでも、こうした駆け引きは見られ、二つ以上の被写体を、ピントがあった状態で比較することで、ドラマを演出した表現にすることが出来る。ここでは、多くの被写体がクリアに再現される例で説明したが、先頭と後方の差異を際だたせた撮影の方が良い場合もあり、その場合は、主要な駆け引きを演じている先頭集団にだけフォーカスする方が有効な場合もあり、それについても、上述した考え方で対処している。
これらのことを考慮して、次に説明する変形例は、より広い被写界深度を確保しようとすると、シャッター速度の低下が懸念されるような状況下における被写界深度設定制御の例示である。
図9は、上記一実施形態の撮像装置における被写界深度設定制御処理の変形例を示すフローチャートである。図10は、本変形例が適用される場合の撮像状況を示す概念図である。
まず、図9のステップS231において、信号処理制御部11は、近付いている複数の人物のそれぞれについてスピード判定を行なう。その場合の判定結果をS(n)(nは整数)とし、そのデータを一時記憶する。このステップS231の処理は、上述の一実施形態においては、図6のステップS201〜S203に相当する処理である。
次に、ステップS232において、信号処理制御部11は、近付いている複数の人物のそれぞれまでの距離を判定し、その場合の判定結果をD(n)(nは整数)とし、そのデータを一時記憶する。このステップS232の処理は、上述の一実施形態においては、図6のステップS204〜S206に相当する処理である。
続いて、ステップS233において、信号処理制御部11は、時間ΔT後の各人物毎の距離を判定(距離予測判定)し、その場合の判定結果をDt(n)(nは整数)とし、そのデータを一時記憶する。このステップS233の処理は、上述の一実施形態においては、図6のステップS211〜S213に相当する処理である。
ステップS234において、信号処理制御部11は、上述の各処理ステップにて取得した距離予測判定結果D(n)のうち当該撮像装置1からの距離が最も近い距離Dnを判定し(先頭走者の判定)、そのデータを一時記憶する。このステップS234の処理は、上述の一実施形態においては、図6のステップS214に相当する処理である。
同様に、ステップS235において、信号処理制御部11は、上述の各処理ステップにて取得した距離予測判定結果Dt(n)のうち当該撮像装置1からの距離が最も遠い距離Dfを判定し(最後尾走者の判定)、そのデータを一時記憶する。このステップS235の処理は、上述の一実施形態においては、図6のステップS215に相当する処理である。
続いて、ステップS236において、信号処理制御部11は、上述のステップS234,S235にて取得した判定結果Df(最後尾予測距離)と判定結果Dn(先頭予測距離)との間において、合焦動作を行なう目標距離(合焦目標距離)Dmを算出し、そのデータを一時記憶する。このステップS236の処理は、上述の一実施形態においては、図6のステップS216に相当する処理である。
ステップS237において、信号処理制御部11は、合焦目標距離Dm〜先頭予測距離Dnまでの合焦状態をカバーする複数のF値(絞り値)を算出する。このステップS237の処理は、上述の一実施形態においては、図6のステップS217(図7のサブルーチン)に相当する処理である。
次いで、ステップS241において、信号処理制御部11は、上述のステップS237の処理にて算出されたF値(絞り値)に応じた露出制御を行なって、適正露出が得られる設定(例えばシャッター速度値等)が可能か否かの確認を行なう。ここで、適正露出が得られる設定が可能であることが確認された場合には、元の処理ステップに戻る(リターン)。また、適正露出が得られない設定となる場合には、次のステップS242の処理に進む。
ここで、適正露出が得られない設定とは、次のような場合を想定している。即ち、上述のステップS237の処理にて算出されたF値(絞り値)は、画面内の複数の移動する被写体の全てを合焦状態とし得るF値(絞り値)である。このF値(絞り値)を用いて、次のステップS241の処理にて、露出制御がなされるわけであるが、この場合において、そのときの周囲環境によっては、上記算出結果のF値(絞り値)に応じて適正露出を得られるシャッター速度が低くなってしまい、例えば被写体ブレの恐れが生じるシャッター速度値になる可能性がある。そこで、本撮像装置1における「徒競走モード」においては、設定し得るシャッター速度値の下限を予め設定しておき、その下限値を下回る場合には、上記ステップS241の処理にて露出不可とする判定を行うようにしている。つまり、上記ステップS241の処理においては、周囲環境に応じた露出制御を行なうのに際し、算出されたF値と、予め設定されたシャッター速度の下限値とを考慮して露出制御を行なうようにしている。
ステップS242において、信号処理制御部11は、上述のステップS237の処理にて算出した複数のF値(絞り値)のうち予め設定されているシャッター速度の下限値に応じた限界絞りとなるF値(絞り値)を設定する。
次に、ステップS243において、信号処理制御部11は、上述のステップS242の処理にて設定されたF値(絞り値)に対応する被写界深度を考慮して、先頭予測距離Dnを含み、Dnよりも後方の所定の位置に合焦目標距離Dm1を設定する。
次に、ステップS244において、信号処理制御部11は、先頭走者(Dn)以外の他の人物(D(n))までの距離をカバーしているか否かの確認を行なう。ここで、先頭走者(Dn)を含む他の人物(D(n))をカバーしていることが確認された場合には、次のステップS245の処理に進む。また、先頭走者(Dn)以外の他の人物(D(n))をカバーしていないことが確認された場合には、ステップS246の処理に進む。
ステップS245において、信号処理制御部11は、合焦目標距離Dm1に合焦位置を設定し合焦動作を実行する。その後、元の処理ステップに戻る(リターン)。つまり、この場合には、先頭走者(Dn)から、その後方に続く他の人物を含む複数の走者を合焦状態とすることができる設定となる。この場合の例示としては、図10に示すように、被写界深度Ls内に先頭走者とその後方の一人の走者を含めるような設定である。
一方、ステップS246において、信号処理制御部11は、先頭予測距離Dnに合焦位置を設定合焦動作を実行する。その後、元の処理ステップに戻る(リターン)。つまり、この場合には、少なくとも先頭走者(Dn)のみを合焦状態とすることができる設定となる。
その他の構成及び作用は、上述の一実施形態と略同様である。なお、上記変形例においては、ステップS243の処理において、先頭走者を基準として合焦状態の設定を行うようにしているが、この例に限ることは無く、合焦状態の設定を行なう基準として、例えば特定の被写体(人物,走者)を基準とするようにしてもよい。具体的には、例えば予め登録された顔画像(例えば自分の子供の顔等)が認識された場合には、これを優先するようにしてもよい。
以上説明したように上記変形例によれば、設定されるシャッタ速度値の下限値を設けることによって被写体ブレを抑えつつ、少なくとも先頭走者若しくは認識された登録者を基準として、その後方の所定の距離範囲の合焦状態を確保することができる。したがって、本変形例によれば、上述の一実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本変形例によれば、先頭走者若しくは認識された登録者を含み、その後方の被写体(人物,走者)の少なくとも二人、若しくは最低でも先頭走者若しくは認識された登録者を合焦状態とした画像を取得することができる。
また、本変形例においても、ISO感度設定値を上げる制御を行なうようにすることで、シャッター速度値の低下を抑えるといった制御を行なってもよい。
上述の一実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。
また、ここで説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、ソフトウエアプログラムで設定可能であることが多く、このソフトウエアプログラムは記憶媒体や記憶部等に収められている電子データである。また、上記ソフトウエアプログラムは、予め製品製造過程において上記記憶媒体や記憶部等へ記憶しておいてもよいし、製品とは別に用意された配布用の記憶媒体等を利用してもよく、また、製品出荷後であっても使用者(ユーザー)等がインターネット等を介してダウンロードしたものであってもよい。
上述の一実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。
即ち、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、これらの動作フローを構成する各ステップは、発明の本質に影響しない部分については、適宜省略も可能であることは言うまでもない。
また、ここで説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御や機能は、多くがプログラムにより設定可能であり、そのプログラムをコンピュータが読み取り実行することで上述した制御や機能を実現することができる。そのプログラムは、コンピュータプログラム製品として、フレキシブルディスク、CD−ROM等、不揮発性メモリ等の可搬媒体や、ハードディスク、揮発性メモリ等の記憶媒体に、その全体あるいは一部を記憶又は記憶することができ、製品出荷時又は可搬媒体或いは通信回線を介して流通又は提供可能である。利用者は、通信ネットワークを介してそのプログラムをダウンロードしてコンピュータにインストールしたり、あるいは記憶媒体からコンピュータにインストールすることで、容易に本実施の形態の撮像装置を実現することができる。
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記一実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。