JP6464914B2 - エンジンマウント部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンを車体に弾性支持するマウント部材を備えるエンジンマウント部構造に関する。
車両に搭載されるエンジンは、弾性体を有するマウント部材を介して車体のサイドフレームに弾性的に支持される。マウント部材は、エンジンに取り付けられるエンジン側マウントブラケットと、サイドフレームに取り付けられる車体側マウントブラケットとの間に設けられる。特許文献1の技術は、車両衝突時の衝撃荷重によってエンジン側マウントブラケットを破断し、エンジンを車体から分離することによって、エンジンの車室への侵入を抑制している。
特許第4168765号公報
特許文献1の技術は、エンジンを車体から分離する際に、エンジン側マウントブラケットを破断しており、車体側マウントブラケットは車体のサイドフレームに取り付けられたままとなる恐れがある。このため、サイドフレームは、取り付けられたままの車体側マウントブラケットにより、衝突時の変形が阻害されて衝撃吸収機能が損なわれ、分離したエンジンを下方へ落下するように誘導することが困難となる恐れがある。
そこで、本発明は、車両が衝撃荷重を受けたときに車体から分離するエンジンを、より確実に下方へ誘導できるようにすることを目的としている。
本発明は、車体側マウントブラケットは、マウント部材を収容する収容部の車体前方側及び後方側にそれぞれ位置する前壁及び後壁と、前壁及び後壁相互をつなぐ側壁とを有する。前壁に設けた前壁脆弱部と、側壁に設けた側壁脆弱部と、サイドフレームに設けたフレーム脆弱部とが車両側方視で同一直線上に位置している。
本発明によれば、車両衝突時に、衝撃荷重を受ける車体側マウントブラケットは、前壁脆弱部、側壁脆弱部及びフレーム脆弱部が車両側方視で同一直線上に位置しているため、これら脆弱部を起点として容易に破断する。車体側マウントブラケットが破断することで、サイドフレームは、容易に変形して衝撃吸収機能を発揮し、車体側マウントブラケットの破断により分離したエンジンをより確実に下方へ誘導することができる。
本発明の一実施形態によるエンジンマウント部構造を示す車両の平面図である。 車両右側のエンジンマウント部構造を示す平面図である。 車両右側のエンジンマウント部構造を車幅方向外側の斜め前方から見た(図2の矢印A方向に相当)斜視図である。 図3の分解斜視図である。 図2のB矢視図である。 図5の左側面図である。 図5のC−C断面図である。 図2の状態から車両が障害物に衝突して車体が変形する初期の状態を示す作用説明図である。 図8の状態からさらに車体が変形した状態を示す作用説明図である。 図5に対し、車両が衝突したときの初期の状態を示す作用説明図である。 図10のD−D断面図である。 図10に対し、さらに変形が進展した状態を示す作用説明図である。 図12に対し、さらに変形が進展して車体側マウントブラケットが破断した状態を示す作用説明図である。 図13のE−E断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、図中の矢印FRで示す方向が車両前方で、矢印RHで示す方向が車幅方向右側である。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係わるエンジンマウント部構造を備える自動車の前部のエンジンコンパートメント1には、エンジン3とトランスミッション5とが一体となったパワーユニット7を収容している。自動車の車体9の下部には、車体骨格部材の一部を構成する左右のサイドフレーム11が、車体前後方向に延設されている。左右のサイドフレーム11の前端には、連結部材10を介して車幅方向に延設されるバンパレインフォース12が連結される。
図3に示すように、サイドフレーム11は、車幅方向内側に位置するインナ部材11aと、車幅方向外側に位置するアウタ部材11bとを有する。サイドフレーム11は、インナ部材11aの上下各フランジ11a1,11a2と、アウタ部材11bの上下各フランジ11b1,11b2とが互いに接合されて閉断面を形成する。
図1に示すように、パワーユニット7は左右のサイドフレーム11に、エンジンマウント部13L,13Rによって弾性支持されている。パワーユニット7のトランスミッション5側はエンジンマウント部13Lによって支持され、エンジン3側はエンジンマウント部13Rによって支持される。左右のエンジンマウント部13L,13Rは、基本的な構造はほぼ同様なので、図2、図3に示すエンジン3側を支持するエンジンマウント部13Rについて代表して説明する。
エンジンマウント部13Rは、図3及び図4に示すように、エンジン側マウントブラケット15と車体側マウントブラケット17とマウント部材19とを備えている。エンジン側マウントブラケット15は、金属製であり、エンジン3に取り付けられる。車体側マウントブラケット17は、金属製であり、サイドフレーム11に取り付けられる。マウント部材19は、エンジン側マウントブラケット15と車体側マウントブラケット17との間に設けられる。
エンジン側マウントブラケット15は、車幅方向外側の下部に車幅方向外側に向けて突出するマウント部材固定部15aを備えている。マウント部材固定部15aは、エンジン側マウントブラケット15をマウント部材19に固定するためのボルト18(図5参照)を挿入するボルト挿入孔15ahを備えている。
マウント部材19は、ゴムなどで構成した外形が円形の弾性体21を中心部に備え、弾性体21の下部及び上部に、いずれも金属製の下部固定部材23及び上部固定部材25をそれぞれ一体に備えている。下部固定部材23は、上端部の円形部分から下部側ほど外径が小さくなるようなほぼ円錐形状である。下部固定部材23は、車体側マウントブラケット17の下部に形成された、収容部としてのマウント部材収容部17mに収容されて、例えば図示しないボルトあるいは接着などによって固定される。
上部固定部材25は、上面25a、下面25b及び車体前後方向両側に位置する側面25c,25dを備え、下面25bを弾性体21に固定している。上面25aには上面ボルト挿入孔25ahを形成してある。上面ボルト挿入孔25ahには、前述したエンジン側マウントブラケット15をマウント部材19に固定するためのボルト18が挿入される。下面25bには、ボルト18を締結するためのボルト締結用ねじ孔25b1が形成される。
したがって、エンジン側マウントブラケット15をマウント部材19に固定する際には、ボルト18を、マウント部材固定部15aのボルト挿入孔15ah及び上部固定部材25の上面ボルト挿入孔25ahに順次挿入した状態で、上部固定部材25のボルト締結用ねじ孔25b1に締結する。その際、マウント部材固定部15aは、図3、図6に示すように、上部固定部材25の内部に挿入された状態となる。
エンジン側マウントブラケット15をマウント部材19の上部固定部材25に固定し、マウント部材19の下部固定部材23を車体側マウントブラケット17に固定する。これによりマウント部材19は、エンジン側マウントブラケット15と車体側マウントブラケット17との間に設けられ、マウント部材19によってエンジン3を含むパワーユニット7は車体に弾性支持される。
車体側マウントブラケット17は、図2のB矢視図である図5に示すように、下部の車体前後方向両端に前側取付部17a及び後側取付部17bをそれぞれ備えている。前側取付部17a及び後側取付部17bは、サイドフレーム11のインナ部材11aの上面に2本のボルト27,29によって締結固定される。
車体側マウントブラケット17は、前側取付部17aの後側取付部17b側の端部から立ち上がる前壁17cと、後側取付部17bの前側取付部17a側の端部から立ち上がる後壁17dとを備える。前壁17c及び後壁17dの上端相互は、上壁17eによりつながっている。
上壁17eより下方の前壁17c及び後壁17dの車幅方向内側相互は、側壁17fによりつながっている。したがって、側壁17fの上端17f1と上壁17eとの間には、図5に示すような開口部17gが形成される。開口部17gは車体前後方向に長い長方形状となっている。開口部17gに対応する部分の前壁17cの前壁上部17c1及び後壁17dの後壁上部17d1は、車体側マウントブラケット17の他の部分、例えば上壁17eよりも肉厚を薄くしてそれぞれ前壁脆弱部P及び後壁脆弱部Qとなる。なお、前壁上部17c1及び後壁上部17d1は、全体を薄肉としてもよく、一部を薄肉としてもよい。
側壁17fは、上部に車幅方向内側に膨出する膨出部17hを備えている。膨出部17hを設けることによって、車体側マウントブラケット17は、車幅方向外側に、図4に示したような凹状のマウント部材収容部17mが形成される。マウント部材収容部17mに、マウント部材19を収容した状態で、図3、図6に示すようにマウント部材19の上部固定部材25は、開口部17gにほぼ対応する位置となり、この状態でマウント部材固定部15aが上部固定部材25の内部に挿入される。
膨出部17hは、上部に円弧部17h1を、下部に円錐部17h2をそれぞれ備えている。円弧部17h1には、円形の弾性体21及び下部固定部材23の上部の円形部分が収容される。円錐部17h2には、下部固定部材23の円錐形状部分が収容される。円錐部17h2は、下部固定部材23の外形の形状に合わせて下部ほど内部の容積が小さくなるよう形成されている。図4に示すように、膨出部17hの内側のマウント部材収容部17m側における円弧部17h1と円錐部17h2との間には、段差部17h3が形成されている。段差部17h3上に、下部固定部材23の上部の円形部分が載置されて固定される。
膨出部17hを含む側壁17fは、図5のC−C断面図である図7に示すように、車体前後方向中心部の肉厚が、車体前後方向前方及び後方の肉厚よりも薄くなっている。側壁17fの車体前後方向中心部の肉厚が薄くなっている部分は、側壁17fの上下方向全長にわたっている。側壁17fの車体前後方向中心部の肉厚が薄くなっている部分は、側壁脆弱部Rを構成する。
側壁17fの上端17f1はほぼ水平面を構成している。上端17f1は、開口部17gに対応する部分の前壁上部17c1及び後壁上部17d1のそれぞれの側壁側端縁17c2及び17d2に、前壁屈曲凹部17i及び後壁屈曲凹部17jを介して連続している。側壁側端縁17c2及び17d2は、図6に示すように、鉛直方向にほぼ対応する上下方向に延設される部分の下方部位に、下部が上部よりも図6中で右側に位置するよう傾斜する傾斜部17c3及び17d3を備える。
傾斜部17c3及び17d3の下端に連続するように、前壁屈曲凹部17i及び後壁屈曲凹部17jが形成される。前壁屈曲凹部17iは、後壁屈曲凹部17jよりも、凹曲面における曲率半径が小さくなっている。曲率半径が小さい前壁屈曲凹部17iは、凹曲面とせずに、傾斜部17c3と上端17f1との間で鈍角を形成するように屈曲する形状を含む。また、図5に示すように、前側取付部17aと後側取付部17bとの間の側壁17fの下端縁17f2は凹状の円弧面となっている。
図3、図4に示すように、サイドフレーム11は、車体側マウントブラケット17を取り付ける位置の車幅方向外側の面、すなわちアウタ部材11bは、インナ部材11a側に向けて凹曲面状に凹んだ凹部としてのフレーム凹部11b3を備えている。フレーム凹部11b3は、図示しない前輪のタイヤと干渉しないようにするための逃げ部であり、サイドフレーム11に設けたフレーム脆弱部S1を構成する。
図5、図7に示すように、車体前後方向でサイドフレーム11のフレーム凹部11b3に対応する位置の下部のフランジ11a2,11b2には、フランジ凹部11cを設けている。フランジ凹部11cは、車幅方向内側(図5中で紙面表側)に突出ように屈曲されて、車幅方向外側(図5中で紙面裏側)が凹む凹部として形成される。フランジ凹部11cは、車体側マウントブラケット17の車体前後方向中央部よりも後方に位置し、サイドフレーム11に設けたフレーム脆弱部S2を構成する。
本実施形態の車体側マウントブラケット17は、前壁上部17c1を薄肉とした前壁脆弱部Pと、側壁17fの車体前後方向中央部を薄肉とした側壁脆弱部Rと、サイドフレーム11のフランジ凹部11cとしたフレーム脆弱部S2と、を備えている。図5に示すように、これら前壁脆弱部Pと側壁脆弱部Rとフレーム脆弱部S2とは、車両側方から見た車両側方視でほぼ同一直線T上に位置している。
前壁脆弱部Pと側壁脆弱部Rとフレーム脆弱部S2とを結ぶ直線Tは、図5に示すように、側壁17fの上端17f1と前壁上部17c1の側壁側端縁17c2との間の前壁屈曲凹部17iをほぼ通過している。また、直線Tは、膨出部17hと、膨出部17hを除いた部分の側壁17fの平面部との境界縁部17kの一部をほぼ通過している。このような直線Tは、上部が車体前方側で下部が車体後方側となるよう傾斜している。すなわち、車体前後方向に関し、側壁脆弱部Rを中心として前壁脆弱部Pが車体前方に位置し、フレーム脆弱部S2が車体後方に位置する。また、直線Tは、図3に示すフレーム脆弱部S1の車体前後方向のほぼ中央を通過する。
次に作用を説明する。
図2の状態から図8に示すように、車両が障害物31に衝突して前方から衝撃荷重を受けると、車両には減速Gが発生し、エンジン3を含むパワーユニット7は車体9に対して前方へ相対移動する。
パワーユニット7の車体9に対する相対移動により、図10に示すように、エンジン側マウントブラケット15のマウント部材固定部15aもエンジン3と共に車体9に対して前方へ相対移動する。これによりマウント部材固定部15aは、車体側マウントブラケット17の前壁17cの前壁上部17c1に衝突する。衝突の際、前壁上部17c1は前壁脆弱部Pを備えているので、例えば図10のように下端部が割れて破断し、破断部X1が発生する。
このとき、図5に示してある前壁屈曲凹部17iの曲率半径を小さくしているので、前壁上部17c1の破断部X1に続くようにして、前壁屈曲凹部17iから下方に向けて亀裂X2が発生する。前壁屈曲凹部17iの亀裂X2は、膨出部17hの境界縁部17kに沿うようにして、直線Tにほぼ沿って進展していく。
一方、サイドフレーム11は、車体9が前方から衝撃荷重を受けたときに、図8に示すように、車体前後方向に潰れるようにして折れ曲がり変形する。その際、サイドフレーム11は、図10に示すように、下部のフランジ11a2,11b2のフレーム脆弱部S2であるフランジ凹部11cを起点として、車幅方向内側(図10中で紙面表側)に突出するようにして折れ曲がる。サイドフレーム11の折れ曲がり変形は、フレーム脆弱部S1であるフレーム凹部11b3によってさらに容易となる。このときサイドフレーム11は、フランジ凹部11cを起点として、上方に凸となるように折れ曲がり始める。
サイドフレーム11の上記した折れ曲がり変形によって、車体側マウントブラケット17は、図12に示すように、薄肉としてある側壁17fの車幅方向ほぼ中心位置の下部に、亀裂X3が発生する。亀裂X3は図5に示した直線T上にほぼ対応する位置に発生し、同様にして直線T上にほぼ位置する亀裂X2と亀裂X3とがつながるようにして、図13に示すような連続した破断部X4が発生する。
このとき、エンジン3は、車体9に対する前方への相対移動後の反動によって、車体後方へ移動する。これにより、図12に示すように、エンジン側マウントブラケット15のマウント部材固定部15aは、車体側マウントブラケット17の後壁17dの後壁上部17d1に衝突する。後壁上部17d1は、薄肉としてあるので、マウント部材固定部15aの衝突によって破断し、図13に示すように、車体側マウントブラケット17は、上壁17eを含む上側の部分が、側壁17fを含む下部側の部分に対して分割されるようにして破断する。
すなわち、車体側マウントブラケット17は、上壁17eを含む上側の部分が、側壁17fを含む下側の部分に対して分割されるようにして破断する。さらに、車体側マウントブラケット17は、側壁17fを含む下側の部分が、前側取付部17aを含む車体前方側の部分と、後側取付部17bを含む車体後方側の部分とに分割されるようにして破断する。
このような車体側マウントブラケット17の破断によって、マウント部材19の車体側マウントブラケット17に対する固定が外れる。したがって、マウント部材19に固定されているエンジン側マウントブラケット15は、車体側マウントブラケット17及びサイドフレーム11から分離されることになる。その結果、エンジン3を含むパワーユニット7は、サイドフレーム11から分離された状態となる。
一方、車体側マウントブラケット17が破断することで、サイドフレーム11は、衝撃荷重を受けたときの変形が阻害されることを抑制できる。このためサイドフレーム11は、車幅方向内側及び上方への折れ曲がり変形が図9、図13のように進展し、車両衝突時における変形が促進されて衝撃吸収機能が充分発揮される。
上記したような車体側マウントブラケット17の破断は、図5に示すように、前壁脆弱部Pと側壁脆弱部Rとフレーム脆弱部S2とが、車両側方視でほぼ同一直線T上に位置していることによって容易に発生する。車体側マウントブラケット17の破断は、左右両側のエンジンマウント部13L,13Rで発生し得る。車体側マウントブラケット17の破断により、エンジン3を含むパワーユニット7は、車体9のサイドフレーム11から分離する。
パワーユニット7がサイドフレーム11から分離する際には、サイドフレーム11の衝撃吸収機能が充分発揮されていることにより、パワーユニット7は、車体後方への移動が抑制され、下方へ効率よく誘導されて落下する。このため、エンジン3を含むパワーユニット7の車室への侵入を抑制できる。
本実施形態は、車体側マウントブラケット17の側壁脆弱部Rは、車体前後方向で、前側取付部17aと後側取付部17bとの間に位置している。このため、車体側マウントブラケット17は、車体前後方向で、前側取付部17aと後側取付部17bとの間の側壁脆弱部Rに対応する薄肉としている部分の側壁17fによって、容易に破断する。
本実施形態は、車体側マウントブラケット17の前壁脆弱部Pは、車体側マウントブラケット17の他の部位よりも肉厚が薄くされている。このため、図10のように、エンジン側マウントブラケット15のマウント部材固定部15aが、前壁脆弱部Pに相当する薄肉となっている前壁上部17c1に衝突したときに、前壁上部17c1が容易に破断する。
本実施形態は、車体側マウントブラケット17の側壁脆弱部Rは、図7に示すように、車体前後方向中心部が車体前後方向前方及び後方よりも肉厚が薄くされている。このため、サイドフレーム11の図11に示すような車幅方向内側へ凸となるような折れ曲がり変形に伴って、側壁脆弱部Rに相当する薄肉となっている部分の側壁17fが、図13、図14のように容易に破断する。
本実施形態は、サイドフレーム11のフレーム脆弱部S2は、車幅方向外側が内側に向けて凹むフランジ凹部11cで構成されている。このため、車両が衝突して車体前方から衝撃荷重を受けるサイドフレーム11は、フランジ凹部11cを起点として車幅方向内側に容易に折れ曲がり、衝撃吸収機能が充分に発揮される。
本実施形態は、サイドフレーム11は、インナ部材11aとアウタ部材11bとが、上部のフランジ11a1,11b1と下部のフランジ11a2,11b2とを接合することで構成され、下部のフランジ11a2,11b2にフランジ凹部11cが設けられている。その際、車体側マウントブラケット17は、上部のフランジ11a1,11b1の近傍に取り付けられている。このため、サイドフレーム11は、車体前後方向から衝撃荷重を受けたときに、上部のフランジ11a1,11b1近傍に比較して剛性が低くなっている下部のフランジ11a2,11b2に設けたフランジ凹部11cを起点として容易に変形する。
また、サイドフレーム11のフレーム脆弱部S1は、車幅方向外側が内側に向けて凹むフレーム凹部11b3で構成されている。フレーム凹部11b3は、図示しない前輪のタイヤと干渉しないようにするための逃げ部であり、当該逃げ部として設けてあるフレーム凹部11b3がフレーム脆弱部S1として機能する。このため、別途専用のフレーム脆弱部を設けなくてもよく、サイドフレーム11に対する加工作業を削減できる。
本実施形態は、下部のフランジ11a2,11b2に設けられたフレーム脆弱部S2となるフランジ凹部11cは、側壁脆弱部Rよりも車体後方に位置している。このため、フレーム脆弱部S2は、側壁脆弱部Rと、側壁脆弱部Rよりも車体前方に位置する前壁脆弱部Pとを結ぶ直線T上に位置させることができる。これにより、サイドフレーム11がフレーム脆弱部S2を起点として折れ曲がり変形するときに、車体側マウントブラケット17は、前壁脆弱部P及び側壁脆弱部Rに応力を集中させることができ、車体側マウントブラケット17を容易に破断させることができる。
本実施形態は、側壁17fの平面部と、平面部から膨出する膨出部17hとの境界縁部17kの少なくとも一部は、図5に示すように、前壁脆弱部Pと側壁脆弱部Rとフレーム脆弱部S2とを結ぶ同一直線T上に位置している。このため、いずれも車両側方視で直線T上にほぼ位置している図12に示す亀裂X2及び亀裂X3が、境界縁部17kに沿って進展し、図13のように連続した破断部X4となり、車体側マウントブラケット17はより効率よく破断する。
本実施形態は、前壁上部17c1の側壁側端縁17c2と側壁17fの上端17f1との間の前壁屈曲凹部17iは、後壁上部17d1の側壁側端縁17d2と側壁17fの上端17f1との間の後壁屈曲凹部17jよりも、凹曲面の曲率半径が小さい。このため、図10のように、前壁上部17c1が破断して破断部X1が発生したときに、曲率半径がより小さい前壁屈曲凹部17iに亀裂X2が発生しやすく、その後の車体側マウントブラケット17の破断が効率よくなされる。
本実施形態は、前壁17cの側壁側端縁17c2の下部は、車体前後方向から見て下部が上部よりも車幅方向内側となるよう傾斜する斜面部17d3を備えている。斜面部17d3を設けることで、斜面部17d3の下部に連続する前壁屈曲凹部17iが、側壁脆弱部Rを有する側壁17fにより近い位置となる。これにより、亀裂X2を側壁17fの側壁脆弱部Rにより近い位置に発生させることができる。その結果、側壁脆弱部Rに発生する図12に示す亀裂X3を、亀裂X2に、より速やかに到達させることができ、車体側マウントブラケット17をより早急に破断することができる。
本実施形態は、車体側マウントブラケット17の後壁17dの後壁上部17d1は、車体側マウントブラケット17の他の部位よりも肉厚が薄くされている。このため、図12に示すように、エンジン側マウントブラケット15のマウント部材固定部15aが、車体側マウントブラケット17の後壁上部17d1に衝突したときに、後壁上部17d1は図13のように容易に破断する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
例えば、サイドフレーム11のフレーム脆弱部S2として、下部のフランジ11a2,11b2に設けたフランジ凹部11cに代えて、フランジ11a2,11b2の下端に切欠を設けてもよい。また、サイドフレーム11のフレーム脆弱部S1としてアウタ部材11bに設けたフレーム凹部11b3は、タイヤがサイドフレーム11に干渉する恐れがなければ設けなくてもよい。
また、車体側マウントブラケット17の前壁脆弱部P及び後壁脆弱部Qは、前壁上部17c1及び後壁上部17d1を薄肉とする代わりに、前壁上部17c1及び後壁上部17d1の表面に局部的に凹部や切欠を設けてもよい。さらに、車体側マウントブラケット17の側壁脆弱部Rは、側壁17fの一部を薄肉とする代わりに、側壁17fの表面に凹部や切欠を設けてもよい。
本実施形態は、車体側マウントブラケット17に前壁脆弱部P、後壁脆弱部Q、側壁脆弱部R及びフレーム脆弱部S1,S2を設けていて、エンジン側マウントブラケット15に脆弱部を設けていない。このため、エンジン側マウントブラケット15の剛性が確保されており、エンジン3の振動がエンジン側マウントブラケット15からマウント部材19の弾性体21に伝達しやすく、防振効果がより確実に発揮される。
本実施形態は、エンジン側マウントブラケット15に脆弱部を設けていないので、エンジン3の振動によるエンジン側マウントブラケット15の亀裂や破損が発生しにくく、エンジン側マウントブラケット15の耐久性が向上する。
3 エンジン
11 サイドフレーム
11b3 サイドフレームのフレーム凹部(凹部)
11c フランジ凹部(凹部)
15 エンジン側マウントブラケット
17 車体側マウントブラケット
17a 車体側マウントブラケットの前側取付部
17b 車体側マウントブラケットの後側取付部
17c 車体側マウントブラケットの前壁
17c1 前壁上部(側壁の上端より上部の前壁)
17c2 前壁上部の側壁側端縁
17c3 斜面部
17d 車体側マウントブラケットの後壁
17d1 後壁上部(側壁の上端より上部の後壁)
17d2 後壁上部の側壁側端縁
17f 車体側マウントブラケットの側壁
17f1 側壁の上端
17h 車体側マウントブラケットの膨出部
17i 前壁屈曲凹部
17j 後壁屈曲凹部
17k 境界縁部
17m マウント部材収容部(収容部)
19 マウント部材
P 前壁脆弱部
R 側壁脆弱部
S1,S2 フレーム脆弱部

Claims (11)

  1. エンジンと、
    前記エンジンが取り付けられる車体のサイドフレームと、
    前記エンジンに取り付けられるエンジン側マウントブラケットと、
    前記サイドフレームに取り付けられる車体側マウントブラケットと、
    前記エンジン側マウントブラケットと前記車体側マウントブラケットとの間に設けられ、前記エンジンを前記サイドフレームに弾性支持するマウント部材と、を備え、
    前記車体側マウントブラケットは、
    前記マウント部材を収容する収容部の車体前方側及び後方側にそれぞれ位置する前壁及び後壁と、前記前壁及び後壁相互をつなぐ側壁と、を有し、
    前記前壁に設けた前壁脆弱部と、前記側壁に設けた側壁脆弱部と、前記サイドフレームに設けたフレーム脆弱部と、が車両側方視で同一直線上に位置していることを特徴とするエンジンマウント部構造。
  2. 前記車体側マウントブラケットの側壁脆弱部は、車体前後方向で、前記車体側マウントブラケットの前記サイドフレームへの前側取付部と、前記車体側マウントブラケットの前記サイドフレームへの後側取付部との間に位置していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンマウント部構造。
  3. 前記車体側マウントブラケットの前壁脆弱部は、車体側マウントブラケットの他の部位よりも肉厚が薄くされていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンマウント部構造。
  4. 前記車体側マウントブラケットの側壁脆弱部は、前記側壁の車体前後方向中心部が車体前後方向前方及び後方よりも肉厚が薄くされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエンジンマウント部構造。
  5. 前記サイドフレームのフレーム脆弱部は、車幅方向外側が内側に向けて凹む凹部で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエンジンマウント部構造。
  6. 前記サイドフレームは、インナ部材とアウタ部材とが上下の各フランジを接合することで構成され、
    前記車体側マウントブラケットは、上部の前記フランジ近傍に取り付けられ、
    前記凹部は、下部の前記フランジに設けられていることを特徴とする請求項5に記載のエンジンマウント部構造。
  7. 前記下部のフランジに設けられた前記凹部は、前記側壁脆弱部よりも車体後方に位置していることを特徴とする請求項6に記載のエンジンマウント部構造。
  8. 前記車体側マウントブラケットの側壁は、前記マウント部材を収容する収容部に対応する部分が車幅方向内側に膨出する膨出部を有し、
    前記膨出部の前記側壁の平面部との境界縁部の少なくとも一部は、前記前壁脆弱部と前記側壁脆弱部と前記フレーム脆弱部とを結ぶ前記同一直線上に位置していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のエンジンマウント部構造。
  9. 前記側壁の上端は、前記前壁及び後壁の上端よりも下方に位置し、
    前記側壁の上端より上部に位置する部分の前記前壁の側壁側端縁と前記側壁の上端との間の前壁屈曲凹部は、前記側壁の上端より上部に位置する部分の前記後壁の側壁側端縁と前記側壁の上端との間の後壁屈曲凹部よりも、凹曲面の曲率半径が小さいことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のエンジンマウント部構造。
  10. 前記前壁の側壁側端縁の下方部位は、車体前後方向から見て下部が上部よりも車幅方向内側となるよう傾斜する斜面部を備えていることを特徴とする請求項9に記載のエンジンマウント部構造。
  11. 前記車体側マウントブラケットの後壁は、車体側マウントブラケットの他の部位よりも肉厚が薄くされていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のエンジンマウント部構造。
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