JP6460587B2 - アルミニウム合金線材、キャパシタ、及びアルミニウム合金線材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金線材、キャパシタ、及びアルミニウム合金線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ねじ部を有するキャパシタ端子に用いられるアルミニウム(Al)合金線材、Al合金線材からなる端子を備えるキャパシタ、及びAl合金線材の製造方法に関する。特に、ねじ部を有するキャパシタ端子に適した特性(強度、靭性、導電率)をバランスよく備えるAl合金線材に関する。
近年、環境意識の高まりから、内燃機関を駆動して走行するエンジン車両(例えば、ディーゼル自動車やガソリン自動車)の燃費向上が進められている。また、電池を搭載し、その電力でモータを駆動して走行する電動車両(例えば、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車)の普及も進められている。
これらエンジン車両や電動車両には、例えば減速時の運動エネルギーなどを電気エネルギーに回生して利用するために電気二重層キャパシタ(コンデンサ)が搭載されつつある。エンジン車両では、電気二重層キャパシタをスタータの駆動用(アイドリングの一時的な停止後の駆動も含む)の電源や、種々の電気部品(例えば、ランプ、オーディオ、エアコンなど)への供給用電源(アイドリングの停止時のバックアップ用も含む)などに利用することで、燃料を節減するためである。一方、電動車両では、電気二重層キャパシタに上述の種々の電気部品への供給用電源を分担させることで、電池の負担を低減して電池の寿命向上を図るなどのためである。
エンジン車両や電動車両に搭載される電気二重層キャパシタは、その使用用途から大型なものを使用することが多い。この大型な電気二重層キャパシタは、ねじ加工されたねじ部を有する端子を備える所謂ねじ端子型の電気二重層キャパシタが一般的に用いられている。この電気二重層キャパシタと外部機器(相手部材)との機械的及び電気的な接続は、端子のねじ部に外部機器との接続部を締め付けることで行っている。
このねじ端子型の電気二重層キャパシタに備わる端子に関する技術として、例えば、特許文献1には、外部機器との接続箇所に雄ねじ部が設けられたリベットが開示されている。そして、このリベットの材質には、リベットをアルミニウム電解コンデンサに利用する場合、純Alを用いている。
特開2006−060181号公報
上述の車両など振動する箇所に配置される電気二重層キャパシタは、相手部材との機械的及び電気的な接続が振動により外れないように、端子のねじ部に相手部材の接続部を強く締め付ける必要がある。しかし、端子が上述のように純Alで構成されているため、端子に上記接続部を強く締め付けると端子がへたり易くなる。端子がへたれば、端子と上記接続部とのねじ結合が緩み易くなり、キャパシタと相手部材との機械的及び電気的な接続が外れる虞がある。一方、端子がへたらない程度に端子と上記接続部との締め付けを調整すれば、端子のへたりは抑制されるものの端子と上記接続部とのねじ結合が振動により緩み易くなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、ねじ部を有するキャパシタ端子に適した特性(強度、靭性、導電率)をバランスよく備えるAl合金線材を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、上記Al合金線材からなる端子を備えるキャパシタを提供することにある。
本発明の別の目的は、上記Al合金線材の製造方法を提供することにある。
本発明のAl合金線材は、ねじ部を有するキャパシタ端子に用いられる。本発明のAl合金線材は、Feを0.25質量%以上2.2質量%以下、Mgを0.05質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有する。そして、本発明のAl合金線材は、導電率が55%IACS以上であり、破断伸びが10%以上である。
本発明のキャパシタは、ねじ部を有する端子を備える。この端子は、本発明のAl合金線材を素材とする。
本発明のAl合金線材の製造方法は、鋳造工程と、圧延工程と、熱処理工程と、伸線工程とを備え、ねじ部を有するキャパシタ端子に用いられるAl合金線材を製造する。鋳造工程は、Feを0.25質量%以上2.2質量%以下、Mgを0.05質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するAl合金の溶湯を鋳造して鋳造材を形成する。圧延工程は、鋳造材に圧延を施して圧延材を形成する。熱処理工程は、圧延材に熱処理処理を施して熱処理材を形成する。伸線工程は、熱処理材に伸線加工を施して伸線材を形成する。
本発明のAl合金線材は、ねじ部を有するキャパシタ端子に適した特性(例えば、強度、靭性、導電率など)をバランスよく備える。
本発明のキャパシタは、相手部材との機械的及び電気的な接続が外れ難い。
本発明のAl合金線材の製造方法は、ねじ部を有するキャパシタ端子に適した特性(例えば、強度、靭性、導電率など)を有するAl合金線材を製造できる。
《本発明の実施形態の説明》
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)実施形態に係るAl合金線材は、ねじ部を有するキャパシタ端子に用いられる。Al合金線材は、Feを0.25質量%以上2.2質量%以下、Mgを0.05質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有する。そして、Al合金線材は、導電率が55%IACS以上であり、破断伸びが10%以上である。
上記の構成によれば、ねじ部を有するキャパシタ端子に適した特性(例えば、強度、靭性、導電率など)をバランスよく備えるため、ねじ端子型の電解二重層キャパシタ(コンデンサ)の端子など、ねじ部を有するキャパシタ端子の素材に好適に利用できる。具体的には、Al合金線材は、導電率が55%IACS以上であり、上記端子として高い導電率を有するからである。また、破断伸びが10%以上であることで、このAl合金線材を用いてねじ部を有する端子を形成する際の塑性加工(ヘッダ(フォーマ)加工に代表される圧造(鍛造)などの強加工、転造などの加工)や切削加工を施しても割れなどの疵が生じ難いからである。さらに、純Al合金線材で端子を形成する場合に比べて端子がへたり難く、端子に相手部材の接続部を強く締め付けることができる。そして、純Al合金線材からなる端子に比べてへたり難いため、端子に上記接続部を締め付けた状態で振動が付加されても端子と上記接続部とのねじ結合が緩み難く、端子と上記接続部との締め付け状態を長期に亘って維持できるからである。
(2)上記Al合金線材の一形態として、0.2%耐力が75MPa以上であることが挙げられる。
上記の構成によれば、0.2%耐力が75MPa以上であることで、このAl合金線材を用いてねじ部を有する端子を形成し、常温下で端子に相手部材の接続部を強く締め付けても端子がへたり難い。そのため、常温下で端子に上記接続部を強く締め付けることができる。常温下で端子がへたり難く端子に上記接続部を強く締め付けることができるため、常温下でかつ端子に上記接続部を締め付けた状態で振動が付加されても端子と上記接続部とのねじ結合が緩み難く、端子と上記接続部との締め付け状態を長期に亘って維持できる。
(3)上記Al合金線材の一形態として、応力緩和率が35%以上であることが挙げられる。この応力緩和率は、{(δ−δt)/δ}×100で求めた値とする。δは、Al合金線材(径4mm以上13mm以下)から長さ70mmの試験部材を作製し、試験部材の一端側を固定端、試験部材の他端側を自由端とする片持ち梁において、試験部材の自由端に所定の荷重を付加した際の試験部材への荷重付加前に対する自由端の変位量(たわみ)である。δは、試験片の自由端の変位量をδとした状態を150℃で10時間保持した後、除荷した際の試験部材への荷重付加前に対する自由端の変位量(たわみ)である。
上記の構成によれば、応力緩和率が35%以上であることで、このAl合金線材を用いてねじ部を有する端子を形成し、高温下で端子に相手部材の接続部を強く締め付けても端子がへたり難い。そのため、高温下で端子に上記接続部を強く締め付けることができる。高温下で端子がへたり難く端子に上記接続部を強く締め付けることができるため、高温下でかつ端子に上記接続部を締め付けた状態で振動が付加されても端子と上記接続部とのねじ結合が緩み難く、端子と上記接続部との締め付け状態を長期に亘って維持できる。
(4)上記Al合金線材の一形態として、引張強さが110MPa以上230MPa以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、引張強さが上記範囲を満たすことで、高い強度と高い靭性とを両立できて、ねじ端子型の電解二重層キャパシタの端子など、ねじ部を有するキャパシタ端子に好適に利用できる。
(5)上記Al合金線材の一形態として、更に、Si、Cu、Mnから選択される1種以上の添加元素を合計で0.005質量%以上1.0質量%以下含有することが挙げられる。
上記の構成によれば、導電率の低下を抑制しつつ高い強度と高い靭性とを両立できる。上記合計の含有量を0.005質量%以上とすることで、強度を向上させることができ、上記合計の含有量を1.0質量%以下とすることで、導電率の低下を抑制しつつも強度が高くなり過ぎず靭性の低下を抑制できるからである。
(6)上記Al合金線材の一形態として、更に、Ti及びBの少なくとも一方を含有し、Tiの含有量は、0.05質量%以下、Bの含有量は、0.005質量%以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、導電率の低下を抑制しつつ高い強度と高い靭性とを両立できる。含有量が0.05質量%以下のTi、及び含有量が0.005質量%以下のBの少なくとも一方を含有することで、導電率の低下を抑制でき、かつ強度を向上しつつも高くなりすぎず靭性の低下を抑制できるからである。
(7)実施形態に係るキャパシタは、ねじ部を有する端子を備える。そして、端子は、上記実施形態(1)〜(6)のいずれか1つに記載のAl合金線材を素材とする。
上記の構成によれば、相手部材との機械的及び電気的な接続が外れ難い。ねじ部を有する端子を上述のAl合金線材を用いて形成することで、端子がへたり難いため、端子に相手部材の接続部を強く締め付けることができる。その上、端子に上記接続部を締め付けた状態で振動が付加されても端子と上記接続部とのねじ結合が緩み難く、端子と上記接続部との締め付け状態を長期に亘って維持できるからである。そのため、上述のエンジン車両や電動車両など振動が付加される箇所に搭載される種々の電源に好適に利用できる。
(8)実施形態に係るAl合金線材の製造方法は、鋳造工程と、圧延工程と、熱処理工程と、伸線工程とを備え、ねじ部を有するキャパシタ端子に用いられるAl合金線材を製造する。鋳造工程は、Feを0.25質量%以上2.2質量%以下、Mgを0.05質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するAl合金の溶湯を鋳造して鋳造材を形成する。圧延工程は、鋳造材に圧延を施して圧延材を形成する。熱処理工程は、圧延材に熱処理処理を施してFeが析出した熱処理材を形成する。伸線工程は、熱処理材に伸線加工を施して伸線材を形成する。
上記の構成によれば、ねじ端子型の電気二重層キャパシタ(コンデンサ)の端子など、ねじ部を有するキャパシタ端子に適した特性(例えば、強度、靭性、導電率など)を有するAl合金線材を製造できる。圧延工程と伸線工程との間に熱処理工程を備えることで、圧延工程で均一に固溶したFeを析出させると共に、そのFeの析出状態を良好な状態(微細かつ均一に分散した状態)とし易く、また、後工程の伸線工程でFeを再固溶させ易くできる可能性があるからである。
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔アルミニウム合金線材〕
実施形態に係るAl合金線材の主たる特徴とするところは、鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)とを特定の含有量として特定の特性を有し、ねじ端子型の電気二重層キャパシタ(コンデンサ)の端子など、ねじ部を有するキャパシタ端子に好適に利用できる点にある。
[組成]
(Fe,Mg)
Al合金線材は、Feを0.25質量%以上2.2質量%以下含有し、Mgを0.05質量%以上0.5質量%以下含有する。Feを0.25質量%以上含有することで、強度を向上できる。一方、Feを2.2質量%以下とすることで、端子に望まれる導電率を確保すると共に、端子の加工に望まれる塑性加工性を確保できる。Feの含有量は、0.9質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。また、Mgを0.05質量%以上とすることで、強度を向上できる。一方、Mgの含有量を0.5質量%以下とすることで、導電率を確保すると共に、靭性を確保し易い。このMgを含有することによる強度の向上効果は、後述のケイ素(Si)を同時に含有するとより発揮できる。
(Si,Cu,Mn)
Al合金線材は、更に、Si,銅(Cu),マンガン(Mn)から選択される1種以上の添加元素を含有することが好ましい。そうすれば、より高い強度を有しつつ高い靭性を有して塑性加工性に優れる。SiとCuは、導電率の低下が少なく、強度を向上することができる。Mnは、導電率の低下に及ぼす影響が大きいものの、強度の向上効果が高い。これらの添加元素は、合計含有量を0.005質量%以上1.0質量%以下とすることが好ましく、特に0.05質量%以上0.5質量%以下とすることが好ましい。Siの含有量は、0.05質量%以上0.3質量%以下、特に0.05質量%以上0.2質量%以下が好ましい。Cuの含有量は、0.05質量%以上0.5質量%以下、特に0.05質量%以上0.4質量%以下が好ましい。Mnの含有量は、0.005質量%以上0.2質量%以下、特に0.005質量%以上0.15質量%以下が好ましい。
(Ti,B)
Al合金線材は、更に、チタン(Ti)及びホウ素(B)の少なくとも一方を含有することが好ましい。そうすれば、導電率の低下を抑制しつつ高い強度と高い靭性とを両立できる。TiやBは、鋳造時のAl合金の結晶組織を微細にする効果がある。結晶組織が微細であると、強度を向上することができる。B単独の含有でもよいが、Ti単独、特に双方を含有すると、結晶組織の微細化効果が更に向上する。TiやBを含有しすぎると、上記微細化効果が飽和したり、導電率の低下を招いたりする。そこで、Tiの含有量を0.05質量%以下、Bの含有量を0.005質量%以下含有することが好ましい。そうすれば、導電率が低下することなく上記微細化効果を十分に得やすい。Tiの含有量の下限は、0.005質量%以上、特に0.01質量%以上とすることが好ましく、Bの含有量の下限は、0.001質量%以上とすることが好ましい。
(その他の添加元素)
その他、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、及びジルコニウム(Zr)から選択される1種以上の添加元素を含有することもできる。そうすれば、強度、靭性、耐衝撃性などの向上を図ることができる。これらの添加元素は、合計含有量を0.005質量%以上0.2質量%以下とすることが好ましく、特に0.005質量%以上0.15質量%以下とすることが好ましい。
[特性]
Al合金線材は、高い導電率及び高い靭性を有する。具体的には、導電率が55%IACS以上であり、破断伸びが10%以上である。導電率が55%IACS以上であることで、ねじ端子型の電解二重層キャパシタ(コンデンサ)の端子などのねじ部を有する端子に好適に利用できる。また、破断伸びが10%以上であることで、このAl合金線材を用いてねじ部を有する端子を形成する際の塑性加工(ヘッダ(フォーマ)加工に代表される圧造(鍛造)などの強加工、転造などの加工)や切削加工を施しても割れなどが生じ難い。そのため、ねじ端子型の電解二重層キャパシタの端子などのねじ部を有する端子に好適に利用できる。
Al合金線材の引張強さは、110MPa以上230MPa以下であることが好ましい。本発明者らは、単に高強度なだけで、靭性に劣るAl合金線材ではねじ端子型の電気二重層キャパシタの端子などのねじ部を有する端子に適さないとの知見を得た。一般に、強度の向上は靭性の低下を招く。引張強さが上記範囲を満たすことで、高い靭性と高い強度とを両立することができる。Al合金線材の引張強さは、140MPa以上210MPa以下がより好ましい。
Al合金線材の0.2%耐力は、75MPa以上であることが好ましい。0.2%耐力が高い方が、Al合金線材を用いてねじ部を有する端子を形成して、常温下で端子に相手部材の接続部を強く締め付けても端子がへたり難い。そのため、端子に上記接続部を強く締め付けることができる。また、端子がへたり難く端子に上記接続部を強く締め付けることができるため、端子に上記接続部を締め付けた状態で振動が付加されても端子と上記接続部とのねじ結合が緩み難く、端子と上記接続部との締め付け状態を長期に亘って維持できる。Al合金線材の0.2%耐力は、80MPa以上がより好ましく、特に90MPa以上が好ましい。これらの効果は、同じ引張強さである場合、0.2%耐力が高い方が顕著である。
Al合金線材の応力緩和率は、35%以上であることが好ましい。応力緩和率(%)は、{(δ−δt)/δ}×100で求める。δは、Al合金線材(径4mm以上13mm以下)から長さ70mmの試験部材を作製し、試験部材の一端側を固定端、試験部材の他端側を自由端とする片持ち梁において、試験部材の自由端に所定の荷重を付加した際の試験部材への荷重付加前に対する自由端の変位量(たわみ)である。δは、試験片の自由端の変位量(たわみ)をδとした状態を150℃で10時間保持した後、除荷した際の試験部材への荷重付加前に対する自由端の変位量(たわみ)である。応力緩和率が高いほど、Al合金線材を用いてねじ部を有する端子を形成して高温下で端子に相手部材の接続部を強く締め付けても端子がへたり難い。そのため、高温下で端子に上記接続部を強く締め付けることができる。また、高温下で端子がへたり難く端子に上記接続部を強く締め付けることができるため、高温下かつ端子に上記接続部を締め付けた状態で振動が付加されても端子と上記接続部とのねじ結合が緩み難く、端子と上記接続部との締め付け状態を長期に亘って維持できる。Al合金線材の応力緩和率は、40%以上がより好ましく、特に55%以上が好ましい。
添加元素(種類や含有量)や、製造条件(熱処理条件(特に熱処理の行う時期)、熱処理前後の工程での加工度の大小、総加工度など(詳細は後述))を適宜調整することで、導電率、破断伸び、引張強さ、0.2%耐力、応力緩和率が上記特定の範囲を満たすAl合金線材が得られる。例えば、添加元素を少なくしたり、熱処理時の加熱温度を高くした後に降温速度を遅くすると、導電率及び靭性が高くなる傾向にある。一方、添加元素を多くしたり、熱処理時の加熱温度を低くすると、強度や0.2%耐力が高くなる傾向にある。また、圧延後伸線前に熱処理を行うと、圧延工程で均一に固溶したFeを析出させると共に、そのFeの析出物を微細かつ均一に分散できるため、導電率、強度、靭性に優れる可能性が高い。熱処理後に行う伸線の加工度を高くすると、熱処理工程でFeを微細にしてFeの表面積を増加させたことでFeを再固溶させる可能性が高く、強度、靭性、0.2%耐力が高くなる可能性が高い。
[形状・サイズ]
Al合金線材の断面形状は、後述する製造方法において、伸線加工時のダイス形状によって種々の形状を有することができる。断面形状は、特に問わないが、円形が代表的である。その他、断面形状は、楕円形状、矩形や六角形などの多角形状などが挙げられる。Al合金線材の線径(直径)は、伸線加工時の加工度(断面減少率)を適宜調整することで、種々の線径(直径)とすることができる。例えば、ねじ端子型の電気二重層キャパシタの端子に利用する場合、Al合金線材の線径は、5mm以上15mm以下が好ましい。
〔アルミニウム合金線材の製造方法〕
Al合金線材の製造方法は、以下の鋳造工程、圧延工程、熱処理工程、伸線工程を備える。
[鋳造工程]
鋳造工程では、上記特定の組成のAl合金からなる溶湯を鋳造して、上記特定の組成のAl合金からなる鋳造材を形成する。上記特定の塑性の合金からなる鋳造材とすることで、後工程(例えば、伸線加工時など)で断線し難くできる。
鋳造は、可動鋳型又は枠状の固定鋳型を用いる連続鋳造、箱状の固定鋳型を用いる金型鋳造(ビレット鋳造)のいずれも利用することができる。連続鋳造は、溶湯を急冷凝固できるため、微細な結晶組織を有する鋳造材が得られる。また、急冷凝固により、晶析出物を微細にできる上に、この微細な晶析出物が均一的に分散した組織を有する鋳造材が得られる。このような鋳造材を素材にすると、微細な結晶組織を有するAl合金線材を製造し易く、結晶の微細化による強度の向上や、微細な晶析出物の分散による靭性の向上を図ることができる。
冷却速度は、適宜選択することができるが、1℃/sec以上が好ましく、4℃/sec以上がより好ましい。また、溶湯の固液共存温度域である600〜700℃において冷却速度が20℃/sec以上であることが更に好ましい。例えば、水冷銅鋳型や強制水冷機構などを有する連続鋳造機を用いると、上述のような冷却速度による急冷凝固を実現できる。連続鋳造において上記冷却速度を調整して急冷凝固を行うことで、鋳造後に得られた鋳造材のDAS(Dendrite Arm Spacing)を小さくすることができる。DASは、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。
溶湯にTiやBを添加する場合、TiやBの添加は、溶湯を鋳型に注湯する直前に行うことが好ましい。そうすれば、Tiなどの局所的な沈降を抑制して、Tiなどが均等に混合された鋳造材を製造することができる。
[圧延工程]
圧延工程では、上記鋳造材に(熱間)圧延を施して圧延材を形成する。上記鋳造工程と圧延工程とは、連続的に行うことが好ましい。そうすれば、鋳造材に蓄積される熱を利用して熱間圧延を容易に行えて、エネルギー効率がよい上に、バッチ式の鋳造方法と比較して、鋳造圧延材の生産性に優れる。この圧延により、Feを均一に固溶させることができる。
[予備伸線工程]
予備伸線工程では、上記圧延材にスキンパス伸線加工を施して予備伸線材を形成することができる。予備伸線工程は、必要に応じて行うことができる。この予備伸線の加工度(=−ln(スキンパス伸線後断面積/スキンパス伸線前断面積))は、後述する伸線加工度よりも小さく、例えば、0.3以下程度とすることが挙げられる。
[熱処理工程]
熱処理工程では、上記圧延材(予備伸線材)に熱処理を施して熱処理材を形成する。この熱処理は、上記圧延材(予備伸線材)の結晶状態(Feの析出量、析出状態、固溶量、固溶状態など)を改善するために行う。具体的には、圧延工程で均一に固溶したFeを析出させると共に、そのFeの析出状態を良好な状態(微細かつ略均一に分散した状態)とする。このFeの析出物が微細かつ略均一に分散した熱処理材を素材とすると、析出したFeを伸線加工で再固溶させ易くでき、機械的特性(例えば、0.2%耐力、応力緩和率)に優れるAl合金線材を製造し易い。
熱処理は、バッチ処理を利用できる。熱処理中の雰囲気は、処理中の熱により線材の表面に酸化膜が生成されることを抑制するために、酸素含有量が少ない雰囲気、例えば、大気雰囲気や非酸化性雰囲気が好ましい。非酸化性雰囲気は、例えば、真空雰囲気(減圧雰囲気)、窒素(N)やアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気、水素含有ガス(例えば、水素(H)のみ、N,Ar,ヘリウム(He)といった不活性ガスと水素(H)との混合ガスなど)や炭酸ガス含有ガス(例えば、一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO)との混合ガスなど)といった還元ガス雰囲気が挙げられる。
バッチ処理(光輝熱処理)は、加熱用容器(雰囲気炉、例えば、箱型炉)内に加熱対象を封入した状態で加熱する処理方法であり、一度の処理量が限られるものの、加熱対象全体の加熱状態を管理し易い処理方法である。バッチ処理では、加熱温度を250℃以上とすることで、線材の破断伸びを10%以上にすることができる。好ましい条件は、加熱温度が300℃以上500℃以下、保持時間が0.5時間以上6時間以下である。加熱温度を250℃以上、又は保持時間を0.5時間以上とすることで、靭性の向上に加えて導電率を向上できる。加熱温度を500℃以下、又は保持時間を6時間以下とすることで、強度の低下を抑制できる。また、バッチ処理では、加熱温度からの冷却する際の速度、即ち、加熱後の降温速度が50℃/sec以下であることが好ましい。降温速度を比較的遅くして徐冷することで、微細な析出物を比較的多く析出することができる。上記降温速度は、例えば、加熱後直ちに炉内から出すのではなく、加熱後に引き続いて炉内に保存した状態とすることで達成することができる。
[伸線工程]
上記熱処理材に(冷間)伸線加工を施し、伸線材を形成する。伸線加工度(=−ln(伸線後断面積/伸線前断面積))は、所望の線径に応じて適宜選択することができる。伸線加工度は、上記予備伸線工程での加工度よりも大きいことが好ましい。例えば、予備伸線加工度に対する伸線加工度の比(伸線加工度/予備伸線加工度)は、1.0超が挙げられ、1.1以上、更には1.2以上が挙げられる。この比の上限は、30程度とすることが挙げられる。伸線工程前に熱処理を行ってFeの析出物を微細かつ略均一に分散させているため、伸線工程での加工度を大きくすることで、伸線加工を冷間で行っても、析出したFeを再固溶させ易くできる。それにより、機械的特性(例えば、0.2%耐力、応力緩和率)に優れるAl合金線材が得られ易い。伸線加工度を適宜調整して、「アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金−質別記号 JIS H 0001(1998)」に規定するH14又はH16を満たす伸線材を形成することが好ましい。
[軟化工程]
上記伸線材に対して、軟化処理を施すことができる。この軟化処理は、結晶組織の微細化、及び加工硬化によって高めた線材の強度を極端に低下させることなく軟化して、線材の靭性を高める。軟化工程は、必要に応じて行うことができる。軟化処理の条件は、上述の熱処理条件と同じ条件で行ってもよい。なお、この軟化処理を施さなくても伸線材の径(太さ)によっては破断伸びが10%以上を満たす。例えば、径が大きい場合(即ち、伸線加工度が小さい場合)には、加工硬化による靭性の極端な低下が生じず、伸線材の破断伸びが10%以上となることがあるからである。これに対して、伸線材の破断伸びが10%未満である場合が存在する可能性もある。この場合は、軟化処理後の線材の伸びが10%以上となるような条件により軟化処理を行うことが挙げられる。勿論、破断伸びが10%以上を満たす場合でも破断伸びをより大きくする場合には、靭性を向上させる場合のための軟化処理を行ってもよい。
〔キャパシタ〕
キャパシタは、外部機器と機械的及び電気的に接続される端子を備える。この端子は、上述のAl合金線材からなり、雄ねじ加工により形成された雄ねじ部、及び雌ねじ加工により形成された雌ねじ部の少なくとも一方のねじ部を有する。雄ねじ部を有する端子の製造は、例えば、次の過程を経て行える。まず、上述のAl合金線材を適当な長さに切断したブランク線材を用意する。次に、上記ブランク線材にヘッダ加工(鍛造)を施してねじの軸部を有するねじブランクを作製する。そして、上記軸部に転造したり切削したりしてねじ溝を成形する。一方、雌ねじ部を有する端子の製造は、例えば、次の過程を経て行える。まず、用意したAl合金線材をナットフォーマに導入する。導入されたAl合金線材を適当な長さに切断して切断片を作製する。次に、切断片に鍛造加工によりねじ穴となる穴を形成してナットブランクを作製する。そして、タッピング機を用いて上記穴の内周面にねじ溝を成形する。雄ねじ部及び雌ねじ部の両方を備える端子の製造は、上述と同様にブランク線材を用意し、ブランク線材の一端側と他端側とのそれぞれに、上述と同様にして雄ねじ部と雌ねじ部とを形成することで行える。例えば、まず、ブランク線材の一端側と他端側のそれぞれに、上記軸部と上記穴とを形成する。そして、上記穴の内周面に雌ねじ溝を形成した後、上記軸部に雄ねじ溝を形成することが挙げられる。
〔作用効果〕
上述したAl合金線材によれば、上述の特定の組成を有して特定の特性(導電率、破断伸び、引張強さ、0.2%耐力、応力緩和率)を有するため、ねじ端子型の電解二重層キャパシタ(コンデンサ)の端子など、ねじ部を有するキャパシタ端子に好適に利用できる。
上述したAl合金線材の製造方法によれば、ねじ端子型の電解二重層キャパシタ(コンデンサ)の端子など、ねじ部を有するキャパシタ端子に好適なAl合金線材を製造できる。特に、圧延工程と伸線工程との間に熱処理工程を備えることで、機械的特性(例えば、0.2%耐力や応力緩和率)に優れるAl合金線材を得やすい。
上述したキャパシタによれば、上述のAl合金線材からなる端子を備えることで、キャパシタの相手部材との機械的及び電気的な接続が外れ難いため、特に振動が付加される箇所(例えば、上述のエンジン車両や電動車両など)に搭載される種々の電源に好適に利用できる。
《試験例》
Al合金線材を作製し、Al合金線材の種々の特性を調べた。ここでは、Al合金線材は、鋳造→圧延→予備伸線→熱処理→伸線という手順で作製した。
まず、ベースとして純Al(99.7質量%以上Al)を用意して溶解し、得られた溶湯(溶融Al)に表1に示す添加元素を表1に示す含有量となるように投入して、Al合金溶湯を作製する。成分調整を行ったAl合金溶湯は、適宜、水素ガス除去処理や、異物除去処理を行うことが望ましい。なお、Ti、又はTi及びBを含有する試料は、表1に示す含有量となるように、鋳造直前のAl合金溶湯にTi粒又はTiBワイヤを供給した。
次に、ベルト−ホイール式の連続鋳造圧延機を用いて、用意したAl合金溶湯に鋳造及び熱間圧延を連続的に施し、線径φが8mm〜18mmのワイヤーロッド(連続鋳造圧延材)を作製した。上記連続鋳造は、冷却機構などを調整して、冷却速度を4.5℃/secとした。
得られたワイヤーロッドに予備伸線加工(スキンパス伸線)を施して、表1に示す線径φ(mm)の予備伸線材を作製した。なお、ワイヤーロッドの線径φと予備伸線材の線径φとが同一サイズである試料6と試料102は予備伸線加工を施さなかった。
予備伸線材又はワイヤーロッドに熱処理を施し熱処理材を作製した。ここでは、熱処理は、箱型炉を用いたバッチ処理により、表1に示す雰囲気、加熱温度、保持時間、及び降温速度で行った。
上記熱処理材に冷間伸線加工を施して、表1に示す線径φ(mm)の伸線材(Al合金線材)を作製した。
Figure 0006460587
得られたAl合金線材の引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、破断伸び(%)、導電率(%IACS)、及び応力緩和率(%)を測定した。その結果を表2に示す。
引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)、及び破断伸び(%)は、「金属材料引張試験方法 JIS Z 2241(2011)」に準拠して、汎用の引張試験機を用いて測定した。導電率(%IACS)は、ブリッジ法により測定した。応力緩和率(%)は、{(δ−δt)/δ}×100で求めた。δは、各Al合金線材から長さ70mmの試験部材を作製し、試験部材の一端側を固定端、試験部材の他端側を自由端とする片持ち梁において、試験部材の自由端に所定の荷重を付加した際の試験部材への荷重付加前に対する自由端の変位量(たわみ)である。δは、試験片の自由端の変位量(たわみ)をδとした状態を150℃で10時間保持した後、除荷した際の試験部材への荷重付加前に対する自由端の変位量(たわみ)である。ここでは、たわみδを25mmとした。
Figure 0006460587
FeとMgとをそれぞれ特定の量含有した試料No.1〜試料No.6は、表2に示すように、導電率が55%以上であり、破断伸びが10%以上である上に、引張強さが110MPa以上230MPa以下、0.2%耐力が75MPa以上、応力緩和率が35%以上である。
この結果から、試料No.1〜試料No.6のAl合金線材は、ねじ端子型の電気二重層キャパシタ(コンデンサ)など、ねじ部を有するキャパシタ端子に好適に利用できると考えられる。特に、試料No.1〜試料No.6のAl合金線材を用いてねじ部を有する端子を形成し、常温下及び高温下のいずれの状況下で、端子に相手部材の接続部を強く締め付けても、端子がへたり難いと考えられる。これら試料No.1〜試料No.6のAl合金線材は0.2%耐力が75MPa以上であり、応力緩和率が35%以上だからである。従って、同状況下でも、端子に上記接続部を強く締め付けることができる。また、端子に上記接続部を締め付けた状態で振動が付加されても端子と上記接続部との締め付け状態が緩み難く、端子と上記接続部との締め付け状態を長期に亘って維持できると考えられる。
これら試料No.1〜試料No.6の導電率が55%以上、破断伸びが10%以上、引張強さが110MPa以上230MPa以下である上に、0.2%耐力が75MPa以上になったこと、応力緩和率が35%以上になったことの理由としては、以下の点が考えられる。(1)圧延後伸線前に熱処理を行ったため、Feの析出量を調整(維持)、即ちFeの固溶量を調整(維持)できた可能性が高いこと。(2)熱処理後に行った伸線の加工度を高くしたため、Feが再固溶した可能性が高いこと。
試料No.101は、破断伸びや導電率が高いものの、引張強さ、0.2%耐力、及び応力緩和率が低い。試料No.101は、試料No.1〜試料No.6に対して、Mgを含有しておらず、純Al相当の組成からなるため、引張強さ、0.2%耐力、及び応力緩和率が低くなったと考えられる。即ち、試料No.101の純Al相当の線材を用いて上述のねじ部を有するキャパシタ端子を形成し、端子に相手部材の接続部を強く締め付けると端子がへたり易いと考えられる。従って、試料No.101は、上述のねじ部を有するキャパシタ端子に不適である。
試料No.102は、破断伸び、0.2%耐力、及び応力緩和率が高いものの、導電率が低い。試料No.102は、試料No.1〜試料No.6に比べて、Mgの含有量が多く、また、Siの含有量も多いため、導電率が低くなったと考えられる。従って、試料No.102のAl合金線材は、上述のねじ部を有するキャパシタ端子の素材には不適であることが分かる。
試料No.103は、引張強さ、0.2%耐力、及び応力緩和率が高いものの、破断伸び、及び導電率が低い。試料No.103は、試料No.1〜試料No.6に比べて、Feの含有量が多いため、破断伸び及び導電率が低くなったと考えられる。即ち、試料No.103のAl合金線材は、破断伸びが小さく塑性加工性に乏しいため、上記キャパシタ端子を形成する際の塑性加工を施すと割れなどの疵が生じ易いと考えられる。加えて、上述のように導電率が低い。従って、試料No.103は上述のねじ部を有するキャパシタ端子の素材には不適であることが分かる。
試料No.104は、引張強さ、導電率、及び応力緩和率が高いものの、0.2%耐力、及び破断伸びが低い。試料No.104は、試料No.1〜試料No.6に比べて、熱処理温度が低いため、0.2%耐力、及び破断伸びが低くなったと考えられる。即ち、試料No.104のAl合金線材は、破断伸びが小さく塑性加工性に乏しいため、上記キャパシタ端子を形成する際の塑性加工を施すと割れなどの疵が生じ易いと考えられる。加えて、0.2%耐力が低いためこの線材を用いて上述のねじ部を有するキャパシタ端子を形成し、端子に相手部材の接続部を強く締め付けると端子がへたり易いと考えられる。従って、試料No.104は、上述のねじ部を有するキャパシタ端子に不適である。
本発明のアルミニウム合金線材は、エンジン車両や電気車両などに搭載されるねじ端子型の電気二重層キャパシタ(コンデンサ)などの蓄電デバイスの端子に好適に利用できる。本発明のキャパシタは、エンジン車両や電気車両などに搭載される種々の電源に好適に利用できる。その他、本発明のキャパシタは、鉄道車両に搭載される種々の電源にも好適に利用できる。本発明のアルミニウム合金線材の製造方法は、本発明のアルミニウム合金線材の製造に好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. Feを0.25質量%以上2.2質量%以下、Mgを0.05質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、
    導電率が55%IACS以上であり、
    破断伸びが10%以上であり、
    0.2%耐力が75MPa以上であり、
    引張強さが110MPa以上230MPa以下であり、
    ねじ部を有するキャパシタ端子に用いられるアルミニウム合金線材。
  2. 応力緩和率が35%以上である請求項1に記載のアルミニウム合金線材。
  3. 更に、Si、Cu、Mnから選択される1種以上の添加元素を合計で0.005質量%以上0.1質量%以下含有する請求項1又は請求項に記載のアルミニウム合金線材。
  4. 更に、Ti及びBの少なくとも一方を含有し、
    Tiの含有量は、0.05質量%以下、Bの含有量は、0.005質量%以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
  5. ねじ部を有する端子を備えるキャパシタであって、
    前記端子は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材を素材とするキャパシタ。
  6. Feを0.25質量%以上2.2質量%以下、Mgを0.05質量%以上0.5質量%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の溶湯を鋳造して鋳造材を形成する鋳造工程と、
    前記鋳造材に圧延を施して圧延材を形成する圧延工程と、
    前記圧延材に熱処理を施してFeが析出した熱処理材を形成する熱処理工程と、
    前記熱処理材に伸線加工を施して伸線材を形成する伸線工程とを備え、
    導電率が55%IACS以上、破断伸びが10%以上、0.2%耐力が75MPa以上、引張強さが110MPa以上230MPa以下であり、ねじ部を有するキャパシタ端子に用いられるアルミニウム合金線材を製造するアルミニウム合金線材の製造方法。
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