JP6460523B2 - 地下構造探査システム及び地下構造探査方法 - Google Patents

地下構造探査システム及び地下構造探査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6460523B2
JP6460523B2 JP2015010738A JP2015010738A JP6460523B2 JP 6460523 B2 JP6460523 B2 JP 6460523B2 JP 2015010738 A JP2015010738 A JP 2015010738A JP 2015010738 A JP2015010738 A JP 2015010738A JP 6460523 B2 JP6460523 B2 JP 6460523B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
model
wave field
unit
underground structure
propagation wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015010738A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016133497A (ja
Inventor
宏光 水谷
宏光 水谷
研志 河合
研志 河合
芳伸 狩野
芳伸 狩野
Original Assignee
株式会社セオコンプ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社セオコンプ filed Critical 株式会社セオコンプ
Priority to JP2015010738A priority Critical patent/JP6460523B2/ja
Publication of JP2016133497A publication Critical patent/JP2016133497A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6460523B2 publication Critical patent/JP6460523B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)

Description

本発明は、地震波を利用して地下の構造を探査する地下構造探査システム及び地下構造探査方法に関する。
従来、地中に含まれる石油,ガス,石炭,鉱物などの資源の探査、あるいは地中の断層などの構造の探査を行うために、地震波を使用した探査が行われている。この場合の探査に使用する地震波としては、実際の地震波でもよいが、通常は人工的に発生させた地震による地震波が使用される。
地震波を利用した解析としては、フォワード問題(順問題)による解析とインバース問題(逆問題)による解析がある。フォワード問題による解析は、震源や地下構造が予め判っているときに、震源からの地震波の地中での拡散状態を計算して、地震波動場を計算するものである。フォワード問題による解析では、例えば図8Aに示すように、地下構造Xaが既知であるとき、震源eから地震波を発生させた場合の各地点a1,a2,a3,a4での地震波の伝わり状況を計算する。
一方、インバース問題による解析は、観測地点で観測された地震波形を利用して、実際の地震波の動きとは逆の方向に解析を進めて、震源や地下構造のモデルを推定するものである。インバース問題による解析では、例えば図8Bに示すように、震源eで発生させた地震波を各地点a1,a2,a3,a4で観測し、各地点a1,a2,a3,a4での観測結果から、未知の地下構造Xbあるいは震源e、もしくはその両方を算出するものである。地震波形を用いたインバース問題は、波形インバージョンと称される。
特許文献1には、先に提案した地震波を使ったシミュレーション手法の一例が開示されている。
特開2010−123056号公報
波形インバージョン法を用いた地下構造の探査では、観測点で収録された波形そのものをデータとして用いることにより波形の持つ情報を最大限引き出すことができる。そのため、既存の地下構造推定手法よりも精度および解像度が高いという優位性を持つ。しかしながら、波形インバージョンを行う際には、理論及び技術上の困難さのみならず、計算機での計算負担が極めて大きいという問題があった。計算機の性能向上および理論及び技術的な進展により、近年ようやく実現できるようになった手法である。
このように波形インバージョンによる地下構造の探査は、従来の他の手法に比べて優位性を持つ一方、計算負担が極めて大きいという問題がある。また、波形インバージョン法で用いる順伝播計算および逆伝播計算手法の精度及び効率に関する進歩により、求まる地下構造の精度および解像度の大幅な向上が望まれていた。
本発明は、少ない計算負担で、精度および解像度の高い地下構造の推定ができる地下構造探査システム及び地下構造探査方法を提供することを目的とする。
本発明の地下構造探査システムは、地球内部を伝播し、観測された地震波形データを解析することで、地球内部の地下空間の構造を探査する地下構造探査システムである。
本発明の地下構造探査システムは、記憶部と、伝播波動場計算部と、モデル修正部と、収束判断部と、出力部とを備える。
記憶部には、地震波の震源と推定される地下構造の初期モデルと観測点との情報とを含む入力データ又はその初期モデルを修正した中間モデルが記憶される。
伝播波動場計算部は、記憶部に記憶された初期モデル又は中間モデルに対して、離散化された時間領域の運動方程式を使用して、過去から未来に向けた順方向の伝播波動場を演算すると共に、未来から過去に向けた逆方向の伝播波動場を演算する。
モデル修正部は、伝播波動場計算部で演算された順方向の伝播波動場と逆方向の伝播波動場を利用して初期モデル又は中間モデルの修正量を算出し、算出された修正量の修正を記憶部に記憶された初期モデル又は中間モデルに対して施す。
収束判断部は、モデル修正部での修正状態の収束を判断する。
出力部は、収束判断部で収束を判断した場合に、モデル修正部で修正されて記憶部に記憶された中間モデルによる地下構造を、探査対象の地下構造として読み出す。
そして、伝播波動場計算部での演算に使用する運動方程式は、時間領域の反復法を用いて行う計算手法であって、密度に関する項の逆演算行列と、弾性定数に関する部分を離散化した行列とを、それぞれ正定値、半正定値の対称行列もしくはエルミート行列として定義して、相反定理及び時間反転対称性が成り立つように定義した運動方程式とした。
本発明の地下構造探査方法は、地球内部を伝播する地震波を解析することで、地球内部の地下空間の構造を探査する地下構造探査方法である。
本発明の地下構造探査方法は、モデル記憶ステップと、伝播波動場演算ステップと、モデル修正ステップと、収束判断ステップと、出力ステップと、を含む。
モデル記憶ステップは、地震波の震源と推定される地下構造の初期モデルと観測点との情報とを含む入力データ又はその初期モデルを修正した中間モデルを設定して記憶部が記憶する。
伝播波動場演算ステップは、モデル記憶ステップで記憶部に記憶された初期モデル又は中間モデルに対して、伝播波動場計算部により、離散化された時間領域の運動方程式を使用して、過去から未来に向けた順方向の伝播波動場を演算すると共に、未来から過去に向けた逆方向の伝播波動場を演算する。
モデル修正ステップは、モデル修正部により、伝播波動場演算ステップで演算された順方向の伝播波動場と逆方向の伝播波動場とを内積計算して、内積計算した結果から初期モデル又は中間モデルの修正量を算出し、算出された修正量の修正をモデル記憶ステップにより記憶された初期モデル又は中間モデルに対して施す。
収束判断ステップは、モデル修正ステップでの修正状態の収束を、集束判断部が判断する。
出力ステップは、収束判断ステップで収束したと判断された場合に、モデル修正ステップで修正されて記憶部に記憶された中間モデルによる地下構造を、探査対象の地下構造として確定して出力部が出力する。
そして、伝播波動場計算部による前記伝播波動場演算ステップでの演算に使用する運動方程式は、密度に関する項の逆演算行列と、弾性定数に関する部分を離散化した行列とを、それぞれ正定値、半正定値の対称行列もしくはエルミート行列として定義して、相反定理及び時間反転対称性が成り立つ演算子として使用した運動方程式とした。
本発明によると、地球内部を伝搬する地震波をシミュレーションする際に、順伝播と逆伝播の計算結果の相反性が保障され、推定されたモデルの信頼度を向上することができる。すなわち、順伝播と逆伝播が相反性を持たないことに起因する、予測できない誤差が混入するのを防止することができ、高精度の地下構造の探査が効率よくできる効果を有する。
本発明の一実施の形態例による地下構造探査処理の全体を示す構成図である。 本発明の一実施の形態例による演算処理装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態例による地下構造探査処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態例によるモデル修正量の計算処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態例によるメッシュ毎の変動と観測波形との関係の例を示す説明図である。 本発明の一実施の形態例による処理の概要を示す説明図である。 順伝播と逆伝播の計算結果が非対称の場合(図7A)と、対称の場合(図7B)とを比較した説明図である。 フォワード問題による解析(図8A)とインバース問題による解析(図8B)とを示す説明図である。
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する。)を、図1〜図7を参照して説明する。
[1.全体の概要]
図1は、本例の全体構成例を示す図である。
本例では、震源kで発生した地震による地震波を複数の観測点P1,P2,P3で観測する。そして、各観測点P1,P2,P3で観測された地震波形データから、地下構造xが算出される。
震源データ収集部11は、震源kで発生した地震の震源データを収集する。地震波形データ収集部12は、各観測点P1,P2,P3で観測した地震波形データを収集する。初期モデル作成部13は、地下構造xを推定したデータである、初期モデルを保持する。そして、震源データ収集部11で収集した震源データと、地震波形データ収集部12で収集した各観測点P1,P2,P3の地震波形データと、初期モデル作成部13が作成した初期モデルとが、入力データ結合部14に供給され、震源データや地震波形データを結合したデータセットと初期モデルとが得られる。
入力データ結合部14で得られたセット(データセットと初期モデル)が、演算処理装置20に供給される。演算処理装置20は、演算処理により初期モデルを修正した中間モデルを生成し、さらにその中間モデルを修正する処理を繰り返し行う。演算処理装置20での演算処理の詳細については後述する。
演算処理装置20で生成した中間モデルが適正な状態となったとき、出力装置30が、その中間モデルが持つデータを出力する。出力装置30は、例えばディスプレイやプリンタを備え、中間モデルが持つデータの表示又は印刷を行う。あるいは、出力装置30から別の装置に解析結果のデータが転送される。
[2.演算処理装置の構成]
図2は、演算処理装置20の構成例を示す。
演算処理装置20は、データ入力部21を備える。データ入力部21が受け付けたデータセットと初期モデルのデータがモデル記憶部22に供給される。モデル記憶部22が記憶した初期モデルのデータは、モデル修正部26から修正された中間モデルのデータが供給される毎に更新される。
モデル記憶部22に記憶されたモデルのデータは、順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24に供給される。
順方向伝播波動場計算部23では、震源から観測点の方向への波動場の伝播状態が計算される。また、逆方向伝播波動場計算部24では、実際の地震波の伝播方向とは逆の、震源から観測点の方向の伝播状態が計算される。
順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24が計算を行う際には、地下構造を一定の距離ごとに区切ったメッシュ集合を設定する。そして、順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24は、地下構造(密度と弾性定数)と波動場の状態をメッシュごとに離散化すると共に、時間刻みによって離散化し、それらを離散化した運動方程式に代入することで、各メッシュの地下構造を伝播する波動場を計算する。
順方向伝播波動場計算部23は、過去と現在の2ステップの波動場の状態を用いて、1ステップ先の未来の波動場を計算することで、順々に時間をすすめていく順伝播の計算を行う。逆方向伝播波動場計算部24は、未来と現在の2ステップの波動場の状態を用いて、過去のステップの波動場を計算することで、時間を順々に戻していく逆伝播の計算を行う。
なお、順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24での計算に使用する運動方程式については後述する。
そして、順方向伝播波動場計算部23で得られた順方向の伝播波動場のデータと、逆方向伝播波動場計算部24で得られた逆方向の伝播波動場のデータとが、内積計算部25に供給される。
内積計算部25は、順方向の伝播波動場のデータと逆方向の伝播波動場のデータとを使った内積計算を行う。そして、内積計算部25で得られた内積計算結果が、モデル修正部26に供給される。
モデル修正部26は、内積計算部25で得られた内積計算結果から、モデル記憶部22が記憶したモデル(初期モデル又は中間モデル)の修正量を算出する。ここでは、計算された内積と、観測波形データと初期モデルまたは中間モデルに対して生成された波形データの残差とを用いて、モデルの修正量の計算が行われる。モデル修正量の計算を行う際には、波形の残差を震源として逆伝播させて内積処理を行う手法や、データを時間窓で切り出して、残差の一部を用いてモデル変動を計算する手法など、様々な手法がある。
そして、モデル修正部26は、モデル記憶部22が記憶したモデルに対して、算出した修正量の修正を施す。
モデル修正部26で得られた修正量のデータは、収束判断部27に供給される。収束判断部27は、モデル記憶部22に記憶されたモデルと、モデル修正部26で得られた修正量とを比較して、修正状態が収束したか否かの判断を行う。収束判断部27では、修正状態が収束したと判断したとき、順方向伝播波動場計算部23と逆方向伝播波動場計算部24での波動場計算を終了し、出力部28に対して、モデル記憶部22に記憶されたモデルの出力を指示する。
出力部28では、モデル修正部26からの指示に基づいて、モデル記憶部22が記憶した最後に更新されたモデルを出力装置30に出力する。出力装置30は、出力部28から供給されたモデルを、地下構造xのモデルとして出力する。
[3.演算処理装置での演算処理]
図3のフローチャートは、演算処理装置20での演算処理の流れを示す。
まず、初期モデル設定部13は、震源データ及び地震波形データと、地下構造xを推測したデータとを持つ初期モデルを設定する(ステップS11)。初期モデル設定部13が設定した初期モデルは、モデル記憶部22に記憶される。
そして、モデル記憶部22に記憶される初期モデルを使って、順方向伝播波動場計算部23が順方向の伝播波動場を計算し、逆方向伝播波動場計算部24が逆方向の伝播波動場を計算する。これらの順方向及び逆方向の伝播波動場の内積計算部25での内積計算結果から、モデル修正部26が修正量を算出する(ステップS12)。
モデル修正部26は、入力した初期モデルと修正量を結合して修正モデルを計算する(ステップS13)。モデル修正部26では、この修正されたモデルの計算結果と観測波形データとの残差、および推定モデル自体への拘束条件などから算出される統計的指標と、修正前のモデルから算出される統計的指標が比較され、その比較結果から修正状態が収束したか否かが判断される(ステップS14)。ここで、収束していないと判断した場合には、ステップS12の処理に戻り、修正したモデルでの順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24での伝播波動場の計算が繰り返し行われる。なお、ここで述べる統計的手法とは、モデル推定の良さを統計的に評価するための、最適化問題で用いられる指標のことである。たとえば、残差二乗和や拘束条件付き重み付き残差二乗和など、最適化問題には様々な指標が存在し、本アルゴリズムでは、どの形式の指標を用いてもよい。
そして、ステップS14の判断で、収束したと判断したとき、モデル修正部26は、最後に修正されてモデル記憶部22が記憶した中間モデルを、最終的な推定モデルに確定する(ステップS15)。出力装置30は、この最終的な推定モデルを、地下構造xの推測結果として出力する。
[4.モデル修正量の計算処理]
図4のフローチャートは、演算処理装置20でのモデル修正量の計算処理の流れを示す。
順方向伝播波動場計算部23は、震源の地震波形データと初期モデル(又は中間モデル)の地下構造xとを使用して、順方向の伝播波動場を計算する(ステップS21,S22)。ここでは、離散化した運動方程式を使用して、過去から未来の順方向への地震波形の伝わり状態が計算される。
また、逆方向伝播波動場計算部24は、各観測点の地震波形データと初期モデル(又は中間モデル)の地下構造xとを使用して、逆方向の伝播波動場を計算する(ステップS23,S24)。ここでは、離散化した運動方程式を使用して、実際の地震波形の伝わり状態とは逆の未来から過去の逆方向への地震波形の伝わり状態が計算される。
そして、内積計算部25は、順方向の伝播波動場と逆方向の伝播波動場との内積を計算する(ステップS25)。この内積の計算結果から、モデル修正部26では、初期モデル又は中間モデルの修正量が算出される(ステップS26)。
[5.メッシュの説明]
順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24で伝播波動場を計算する際には、地震波が伝わる地下を、一定の距離ごとに区切ったメッシュ集合として、それぞれのメッシュごとの波動場を計算する。順方向、逆方向それぞれの波動場を適切に内積計算することによって、メッシュの構造(密度や弾性定数など)に修正があった時に、観測点Pで観測される波形に生じる変動を計算することができる。
すなわち、図5に示すように、順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24は、震源kと観測点Pの間を、一定の体積のメッシュm,m,・・・m(iは任意の整数)に分割する。
ここで、観測点Pでは、震源kにより生じた波動場が観測波形Wpとして観測され、また初期モデルに対して、初期波形Wkが計算される。
このとき、観測点Pでの観測波形Wpは、初期波形Wkに各メッシュm〜mの変更が観測点Pでの観測波形に与える変動Wm〜Wmの成分を加算したものになる。すなわち、各メッシュに与える変化量が十分に小さいとすれば、摂動論にしたがって、全体の変化量は、各部分の変動の影響の和で示すことができる。初期モデルとして適切なモデルを設定して、図3のフローチャートで説明した修正を繰り返すことで、各メッシュの地下構造は正確なものに収束すると期待される。
順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24では、それぞれのメッシュm〜mごとの変動が計算される。ここで、順方向伝播波動場計算部23は、震源kに近い側のメッシュから順に伝播波動場の伝わり状態を計算し、逆方向伝播波動場計算部24は、観測点Pに近い側のメッシュから順に逆方向に伝播波動場の伝わり状態を計算する。
図6は、それぞれのメッシュで内積が行われる状態を示す。
内積計算部25は、k番目の震源から順伝播させた波動場cと、p番目の観測点から逆伝播させた波動場zとについて、l番目のメッシュmの地点で、内積計算を行う。
次式は、内積計算の例を示す。
[数1]
(k)*(ω(l)−H(l))Z (p)
この[数1]式においては内積計算の概念を示すために、時間領域ではなく、周波数領域で記した。ωは周波数であり、Tは密度に関する部分を離散化した行列(質量行列)であり、Hは弾性定数に関する部分を離散化した行列(剛性行列)である。上付きの(l)は1番目のメッシュに対する変動に関する部分を取り出したものであることを意味する。
このように、地下構造の各地点のメッシュごとに内積計算が行われる。
この[数1]式は、後述する運動方程式([数2]式)の一次摂動を計算することで導出される。
ここで、本例の場合には、順伝播と逆伝播の相反性が保障されるため、内積演算により全ての情報を取り出すことができる。
図7は、順伝播と逆伝播とが相反性を満たさない場合(図7A)と、順伝播と逆伝播とが相反性を満たす場合(図7B)とを比較した模式図である。
順伝播と逆伝播とが相反性を満たさない場合には、内積の結果から取り出される情報が減り、推定における誤差源となる。一方、順伝播と逆伝播とが相反定理を満たす場合には、地下構造推測のための情報を、内積演算で全て取り出すことができるようになる。
[6.具体的な計算手法]
次に、モデル修正量を計算する具体的な例について説明する。
本例での計算処理の手法は、時間領域差分法と呼ばれる時間領域の既存手法を改良して、順伝播と逆伝播の相反性を保ちつつ、高精度でかつ効率のよい計算が行えるようにしたものである。特に、順伝播と逆伝播の相反性が保たれ、時間反転が可能であるという点が重要である。本例の場合には、安定性は自動的に保たれる。
順方向伝播波動場計算部23及び逆方向伝播波動場計算部24が波動場を計算する際には、地球内部を弾性体として仮定し、弾性体の運動方程式が設定される。この運動方程式では、地下の密度や弾性定数などをパラメータとし、地震の揺れの状態がメッシュ状に離散化して計算される。
波動場計算手法において、時刻方向の離散化手法には、周波数領域の手法と、時間領域の手法とがある。本例では、時間領域の手法を採用して波動場を計算する。
順方向の伝播波動場を計算する場合と、逆方向の伝播波動場を計算する場合とでは、時間刻みの正負を入れ替えて計算する。
ここで、順方向の伝播波動場と、逆方向の伝播波動場とは、相反定理を満たす必要がある。すなわち、震源に置いた点震源が作る波動場に対する観測点に置いた点震源による作用と、観測点に置いた点震源が作る波動場に対する震源に置いた点震源による作用とが等しいことを示す。これは、簡単に言うと、震源と観測点の関係を入れ替えても、同じ現象を記述できることである。
相反定理の条件を満たすために、運動方程式中に含まれる、最終的に計算に用いる演算子を対称(もしくはエルミート)行列の形とし、離散空間で相反定理が成立するように設定する。このように離散空間で相反定理が成立する運動方程式とすることで、自動的に時間反転対称となる。
この条件を満たす運動方程式の一例を示すと、ここでは、次の[数2]式の運動方程式を採用する。
[数2]
Figure 0006460523
この運動方程式において、Δtは時間刻みの幅、c,c,cはそれぞれ未来,現在,過去の波動場を離散かした量をベクトルで示すものである。また、Bは弾性体運動方程式の密度に関する項の逆演算行列、Hは弾性定数に関する部分を離散化した行列(剛性行列)であり、hは震源における外力項である。
この[数2]式において、BとHを、それぞれ正定値,半正定値の対称行列もしくはエルミート行列として定義することで、予測子修正子法を用いて計算する際にも、自動的に相反定理及び時間反転対称性が成り立つ演算子が生成される。
ここで、[数2]式が相反定理を満たすことについて説明する。
[数2]式は、一次の反復法を用いて、以下のように展開することができる。
[数3]
Figure 0006460523
このような手順で、未来のステップの解cを陽的解法で求めることができる。この手順は次に示すようい、1ステップにまとめることができる。
[数4]
Figure 0006460523
ここで、両辺にBの逆行列(Bが対称なので対称行列となる)を形式的にかけると、1ステップで計算する陽的解法は以下のようになる。
[数5]
Figure 0006460523
この[数5]式において、下線を引いた行列が対称もしくはエルミートなことは共役転置をとれば明らかである。
[7.本例の計算手法による効果]
以上説明した本例の計算手法により地下構造を推定することで、非常に精度の高い地下構造の推定が可能になる。例えば、地下に存在する含油層の厚さを推定する際の精度として、従来よりも約10%精度が向上した。このため、本例によると、石油やシェールオイルなどの含油層や断層などの地下構造の推定が、従来よりも高精度に行えるようになる。
[8.変形例]
なお、上述した実施の形態では、地下構造の推定を行う手法について説明したが、同じ計算手法を震源情報の推定のための波形インバージョンに利用することもできる。また、上述の実施形態の例では単一の地震の例を図示したが、複数の地震の震源情報及び複数の観測点で観測された波形データを入力データに含めることができる。
また、上述した実施の形態では、相反定理及び時間反転対称性が成り立つ演算子として使用した運動方程式として、[数2]式とし、時間領域差分法の反復法を用いて計算した。これに対して、密度に関する項の逆演算行列と、弾性定数に関する部分を離散化した行列とを、正定値又は半正定値の対称行列もしくはエルミート行列として定義して、相反定理及び時間反転対称性が成り立つように定義した運動方程式であれば、その他の離散化手法を使用してもよい。
また、図1及び図2で説明した演算処理の構成や、図3及び図4で説明した演算処理の手順は、好適な一例を示したものであり、図示の構成や手順に限定されるものではない。
11…震源データ収集部、12…地震波形データ収集部、13…初期モデル作成部、14…入力データ結合部、20…演算処理装置、21…データ入力部、22…モデル記憶部、23…順方向伝播波動場計算部、24…逆方向伝播波動場計算部、25…内積計算部、26…モデル修正部、27…収束判断部、28…出力部、30…出力装置

Claims (4)

  1. 地球内部を伝播し、観測された地震波形データを解析することで、地球内部の地下空間の構造を探査する地下構造探査システムであって、
    地震波の震源と推定される地下構造の初期モデルと観測点との情報とを含む入力データ又はその初期モデルを修正した中間モデルが記憶される記憶部と、
    前記記憶部に記憶された初期モデル又は中間モデルに対して、離散化された時間領域の運動方程式を使用して、過去から未来に向けた順方向の伝播波動場を演算すると共に、未来から過去に向けた逆方向の伝播波動場を演算する伝播波動場計算部と、
    前記伝播波動場計算部で演算された順方向の伝播波動場と逆方向の伝播波動場を利用して初期モデル又は中間モデルの修正量を算出し、算出された修正量の修正を前記記憶部に記憶された初期モデル又は中間モデルに対して施すモデル修正部と、
    前記モデル修正部での修正状態の収束を判断する収束判断部と、
    前記収束判断部で収束を判断した場合に、前記モデル修正部で修正されて前記記憶部に記憶された中間モデルによる地下構造を、探査対象の地下構造として読み出す出力部とを備え、
    前記伝播波動場計算部での演算に使用する前記運動方程式は、時間領域の反復法を用いて行う計算手法であって、密度に関する項の逆演算行列と、弾性定数に関する部分を離散化した行列とを、それぞれ正定値、半正定値の対称行列もしくはエルミート行列として定義して、相反定理及び時間反転対称性が成り立つ演算子として使用した運動方程式とした
    地下構造探査システム。
  2. 前記運動方程式は、

    Figure 0006460523
    (ここで、C,C,Cは未来,現在,過去の波動場を離散化した量のベクトル、Bは密度に関する項の逆演算行列、Hは弾性定数に関する部分を離散化した行列、hは震源(もしくは観測点)における外力項、Δtは時間刻みの幅)とした
    請求項1に記載の地下構造探査システム。
  3. 地球内部を伝播する地震波を解析することで、地球内部の地下空間の構造を探査する地下構造探査方法であって、
    地震波の震源と推定される地下構造の初期モデルと観測点との情報とを含む入力データ又はその初期モデルを修正した中間モデルを設定して記憶部に記憶されるモデル記憶ステップと、
    前記モデル記憶ステップで前記記憶部に記憶された初期モデル又は中間モデルに対して、伝播波動場計算部により、離散化された時間領域の運動方程式を使用して、過去から未来に向けた順方向の伝播波動場を演算すると共に、未来から過去に向けた逆方向の伝播波動場を演算する伝播波動場演算ステップと、
    モデル修正部により、前記伝播波動場演算ステップで演算された順方向の伝播波動場と逆方向の伝播波動場とを内積計算して、内積計算した結果から初期モデル又は中間モデルの修正量を算出し、算出された修正量の修正を前記モデル記憶ステップにより記憶された初期モデル又は中間モデルに対して施すモデル修正ステップと、
    前記モデル修正ステップでの修正状態の収束を、集束判断部が判断する収束判断ステップと、
    前記収束判断ステップで収束したと判断された場合に、前記モデル修正ステップで修正されて前記記憶部に記憶された中間モデルによる地下構造を、探査対象の地下構造として確定して出力部が出力する出力ステップと、を含む地下構造探査方法であり、
    前記伝播波動場計算部による前記伝播波動場演算ステップでの演算に使用する前記運動方程式は、密度に関する項の逆演算行列と、弾性定数に関する部分を離散化した行列とを、正定値又は半正定値の対称行列もしくはエルミート行列として定義して、相反定理及び時間反転対称性が成り立つ演算子として使用した運動方程式とした
    地下構造探査方法。
  4. 前記運動方程式は、
    Figure 0006460523
    (ここで、C,C,Cは未来,現在,過去の波動場を離散化した量のベクトル、Bは密度に関する項の逆演算行列、Hは弾性定数に関する部分を離散化した行列、hは震源(もしくは観測点)における外力項、Δtは時間刻みの幅)とした
    請求項3に記載の地下構造探査方法。
JP2015010738A 2015-01-22 2015-01-22 地下構造探査システム及び地下構造探査方法 Active JP6460523B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015010738A JP6460523B2 (ja) 2015-01-22 2015-01-22 地下構造探査システム及び地下構造探査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015010738A JP6460523B2 (ja) 2015-01-22 2015-01-22 地下構造探査システム及び地下構造探査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016133497A JP2016133497A (ja) 2016-07-25
JP6460523B2 true JP6460523B2 (ja) 2019-01-30

Family

ID=56437953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015010738A Active JP6460523B2 (ja) 2015-01-22 2015-01-22 地下構造探査システム及び地下構造探査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6460523B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6778628B2 (ja) * 2017-02-09 2020-11-04 株式会社竹中工務店 地下構造推定装置
US10656294B2 (en) * 2017-05-17 2020-05-19 Saudi Arabian Oil Company Generating a velocity model using subsurface azimuth and reflection angle dependent full waveform inversion
US10557954B2 (en) * 2017-06-12 2020-02-11 Saudi Arabian Oil Company Modeling angle domain common image gathers from reverse time migration
CN109143340B (zh) * 2018-08-20 2020-03-10 中国海洋石油集团有限公司 一种基于常q模型的粘弹介质地震波模拟方法及系统
CN110850472B (zh) * 2019-10-18 2021-07-02 中国矿业大学 一种基于冲击波激发震源的可变偏移距超前探测断层方法
JP7512158B2 (ja) 2020-10-06 2024-07-08 清水建設株式会社 強化学習モデル生成方法、強化学習モデル生成装置、地下構造モデル提供方法、及び、地下構造モデル提供装置
CN115826034B (zh) * 2022-09-30 2023-05-09 山东科技大学 一种煤矿矿震产生及其震动波响应监测的方法与装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5279016B2 (ja) * 2008-11-21 2013-09-04 国立大学法人 東京大学 地球内部を伝播する地震波についての数値解析に用いる演算子生成方法、及び演算子生成装置、並びに地球内部を伝播する地震波についての数値解析を行うシミュレーション装置
JP5464491B2 (ja) * 2010-05-18 2014-04-09 国立大学法人東京海洋大学 地下密度構造の推定方法
US9128203B2 (en) * 2011-09-28 2015-09-08 Saudi Arabian Oil Company Reservoir properties prediction with least square support vector machine
JP2014215229A (ja) * 2013-04-26 2014-11-17 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 信号処理装置及び信号処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016133497A (ja) 2016-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6460523B2 (ja) 地下構造探査システム及び地下構造探査方法
Yang et al. Wavefield reconstruction in attenuating media: A checkpointing-assisted reverse-forward simulation method
Kameswaran et al. Convergence rates for direct transcription of optimal control problems using collocation at Radau points
Caiazzo et al. A numerical investigation of velocity–pressure reduced order models for incompressible flows
Kim et al. Stability, accuracy, and efficiency of sequential methods for coupled flow and geomechanics
Huynh A flux reconstruction approach to high-order schemes including discontinuous Galerkin methods
Ranocha Shallow water equations: split-form, entropy stable, well-balanced, and positivity preserving numerical methods
EP3158367A1 (en) Fast viscoacoustic and viscoelastic full-wavefield inversion
Sebacher et al. Bridging multipoint statistics and truncated Gaussian fields for improved estimation of channelized reservoirs with ensemble methods
CN102209913A (zh) 生成与感兴趣的地下区域有关的图像的方法
Kimmritz et al. A comparison of viscous-plastic sea ice solvers with and without replacement pressure
AU2016285882A1 (en) Krylov-space-based quasi-newton preconditioner for full wavefield inversion
Domaradzki Large eddy simulations without explicit eddy viscosity models
Ming et al. An advanced estimation algorithm for ground‐motion models with spatial correlation
Quirynen et al. Lifted implicit integrators for direct optimal control
KR20160149308A (ko) 다중 변수 풀 파동장 반전을 위한 효율적인 라인 검색 방법들
Paszynski et al. A direct solver with reutilization of LU factorizations for h-adaptive finite element grids with point singularities
Akcin et al. Performance of artificial neural networks on kriging method in modeling local geoid
US10690791B2 (en) Method, system and non-transitory computer-readable medium for forming a seismic image of a geological structure
Arwini et al. Combining experimental design with proxy derived sensitivities to improve convergence rates in Seismic History Matching
Yuan Proximal-point method for finite element model updating problem
Feldmann et al. Critical Wess-Zumino models with four supercharges from the functional renormalization group
Cho et al. Frequency-domain reverse time migration using generalized multiscale forward modeling
Spa et al. Comparison of expansion-based explicit time-integration schemes for acoustic wave propagation
JP2018128929A (ja) 地下構造推定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6460523

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250