JP6460326B2 - 鋳造装置及び鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、鋳造装置及び鋳造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、キャビティーに金属溶湯を充填する際に、所定の分割鋳型と分割筐体とを組み合わせた構造体などを用いた鋳造装置及び鋳造方法に関する。
従来、薄肉部品の鋳造を可能としたまま、さらに、金属溶湯の加熱度及び鋳型温度も低く抑えて鋳造する吸引差圧鋳造方法が提案されている(特許文献1参照。)。
この吸引差圧鋳造方法においては、まず、加圧可能な密閉型の保持炉の下部に保持された金属溶湯にストークの下部を浸漬させ、ストークの上方に連通されたストークの上に左右に開閉可能な金型を上下移動可能に設置し、金型を覆う密閉室を画成する。次に、この密閉室に連通された連通管を通して吸引開閉弁を開くことにより真空タンクを介して真空ポンプにより密閉室内の圧力を1秒以下の時間で100Torrまで減圧する。そして、その直後加圧装置で圧縮空気を加圧開閉弁を開いて保持炉内に送り、金属溶湯の湯面を1秒以下の時間で0.4乃至1Kg/cmに加圧した後、その圧力で保持し、鋳物が凝固した時点で減圧および加圧保持を解除する。
特許第2933255号
しかしながら、特許文献1に記載された吸引差圧鋳造方法にあっては、キャビティーの空気を、その外側の減圧によって間接的に吸引しているため、キャビティーの減圧度ないし減圧速度が、分割鋳型の分割面のクリアランスやキャビティー体積、分割鋳型の全体を覆う分割鋳型の外側における密閉室体積に依存してしまう。
そのため、例えば、分割鋳型と中子とを用いて形成するような複雑な形状を有する成形品の製造において、キャビティー内の空気をその外側の減圧により間接的に吸引するだけでは、キャビティーにおける減圧度ないし減圧速度を適切な範囲に安定させることができず、金属溶湯の充填性が低下することがあるという問題点があった。
また、特許文献1に記載された鋳造装置にあっては、金型全体を覆う密閉室を設けているため、設備費用が高くなるという問題点もあった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明は、例えば、分割鋳型と中子とを用いて形成するような複雑な形状を有する成形品の製造においても、設備費用を低減させるとともに、金属溶湯の充填性を向上し得る鋳造装置及び鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた。その結果、キャビティーに金属溶湯を充填する際に、所定の分割鋳型と分割筐体とを組み合わせた構造体を用いるとともに、複数のキャビティー用配管による吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを減圧する構成とすることなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の鋳造装置は、分割鋳型と、分割筐体と、チャンバー用吸引装置と、キャビティー用吸引装置とを備える。そして、分割鋳型は、キャビティーの形成に用いられ、下鋳型と、下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型と、上鋳型とを含む。また、分割筐体は、チャンバーの形成に用いられ、下鋳型が装着された下側筐体と、上鋳型が装着された上側筐体とを含む。そして、下鋳型上で中鋳型を閉じた状態とするとともに、分割筐体を閉じた状態とすると、キャビティーとチャンバーとが形成される。さらに、チャンバー用吸引装置は、チャンバーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介してチャンバーの内部を減圧する。また、キャビティー用吸引装置は、キャビティーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを減圧する。さらに、チャンバー用吸引装置が、キャビティー用吸引装置による減圧によって得られるキャビティー内の最終到達圧力よりもチャンバー用吸引装置による減圧によって得られるチャンバー内の最終到達圧力を低くする。
また、本発明の鋳造方法は、工程(1)と、工程(3)と、工程(4)とを含む。ここで、工程(1)は、キャビティーの形成に用いられ、下鋳型、下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型、及び上鋳型を含む分割鋳型と、チャンバーの形成に用いられ、下鋳型が装着された下側筐体及び上鋳型が装着された上側筐体を含む分割筐体とを用いて、下鋳型上で中鋳型を閉じた状態とするとともに、分割筐体を閉じた状態として、キャビティーとチャンバーとを形成する工程である。また、工程(3)は、工程(1)の後に、チャンバー用吸引装置によりチャンバーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介してチャンバーの内部を減圧する工程である。さらに、工程(4)は、工程(1)の後に、キャビティー用吸引装置によりキャビティーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを減圧する工程である。さらに、工程(4)において、キャビティー内の最終到達圧力よりもチャンバー内の最終到達圧力を低くする。
本発明によれば、キャビティーの形成に用いられ、下鋳型、下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型、及び上鋳型を含む分割鋳型と、チャンバーの形成に用いられ、下鋳型が装着された下側筐体及び上鋳型が装着された上側筐体を含む分割筐体とを用いて、下鋳型上で中鋳型を閉じた状態とするとともに、分割筐体を閉じた状態として、キャビティーとチャンバーとを形成し、さらに、チャンバー用吸引装置によりチャンバーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介してチャンバーの内部を減圧するとともに、キャビティー用吸引装置によりキャビティーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを減圧する構成とし、さらに、チャンバー用吸引装置が、キャビティー用吸引装置による減圧によって得られるキャビティー内の最終到達圧力よりもチャンバー用吸引装置による減圧によって得られるチャンバー内の最終到達圧力を低くする構成とした。そのため、例えば、分割鋳型と中子とを用いて形成するような複雑な形状を有する成形品の製造においても、設備費用を低減させるとともに、金属溶湯の充填性を向上し得る鋳造装置及び鋳造方法を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る鋳造装置を模式的に示す説明図である。 図2は、図1に示すチャンバー用配管及びチャンバー用吸引装置を模式的に示す説明図である。 図3は、図1に示すキャビティー用配管の配置を模式的に示す平面図である。 図4は、本発明の第2の実施形態に係る鋳造装置を模式的に示す説明図である。 図5は、本発明の第1又は第2の実施形態に係る鋳造装置を使用した鋳造方法の一例を模式的に示す説明図である。 図6は、本発明の第1又は第2の実施形態に係る鋳造装置を使用した鋳造方法の他の一例により得られた成形品を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係る鋳造装置及び鋳造方法について詳細に説明する。なお、以下で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る鋳造装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る鋳造装置を模式的に示す説明図である。また、図2は、図1に示すチャンバー用配管及びチャンバー用吸引装置を模式的に示す説明図である。さらに、図3は、図1に示すキャビティー用配管の配置を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の鋳造装置1は、分割鋳型10と、分割筐体20と、チャンバー用吸引装置30と、キャビティー用吸引装置40と、シリンダー50と、保持炉60と、ストーク70と、加圧装置80と、センサー90と、制御装置100とを備えるものである。なお、鋳造装置1は、例えば、トップ中子B1、ウォータージャケット中子B2及びポート中子B3から構成される中子Bを配設したキャビティーAに、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属溶湯Cを充填して図示しないシリンダーヘッドなどの成形品を製造するものである。
そして、分割鋳型10は、キャビティーAの形成に用いられ、下鋳型11と、下鋳型11上で水平方向にスライドする中鋳型13と、上鋳型15とを含むものである。また、分割鋳型10は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属溶湯Cに対して適用可能な従来公知の金型で構成されている。さらに、中子Bやそれに付加される巾木についても、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属溶湯Cに対して適用可能な従来公知の中子や巾木により構成されている。
また、分割筐体20は、チャンバーDの形成に用いられ、下鋳型11が装着された下側筐体21と、上鋳型15が装着された上側筐体23とを含むものである。なお、下側筐体21と上側筐体23との接触部にはゴム製シール部材25が配設されており、これらの間のシール性が確保されている。また、分割筐体20としては、例えば、鋳造工程における圧力や温度などの変化に対する耐圧性や耐熱性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、分割鋳型と同じ材料により構成された分割筐体を用いてもよいが、異なる材料により構成された分割筐体を用いてもよい。また、例えば、各分割筐体が適用される環境に応じて異なる材料で構成した分割筐体を用いてもよい。なお、図示しないが、下鋳型と下側筐体は装脱可能であり、上鋳型と上側筐体も装脱可能である。
ここで、キャビティーAとチャンバーDとは、下鋳型11上で中鋳型13を閉じた状態とするとともに、分割筐体20を閉じた状態とすることにより形成される。
また、チャンバー用吸引装置30は、チャンバーDに接続され、かつ、チャンバーDの外部に引き出されたチャンバー用配管32を介してチャンバーDの内部を減圧するものである。なお、特に限定するものではないが、チャンバー用配管32は、チャンバーDへ金属溶湯が漏洩した場合であっても影響を受けにくい上側筐体23に配設することが好適である。
ここで、チャンバー用配管及びチャンバー用吸引装置について図面を用いて詳細に説明する。
図2に示すように、チャンバー用吸引装置30は、例えば、密閉空間を真空ないしその近傍まで吸引(減圧)するためのポンプ30Aを備えている。また、図2に示すように、チャンバー用配管のうち、チャンバー用吸引装置30が設けられている主配管32Aには、チャンバーDの内部の圧力を検出する圧力センサー31、主配管32Aの吸引流量を調整する絞りバルブ33、主配管32Aの吸引を制御する開閉バルブ35、チャンバー用吸引装置30の吸引圧力を検出する圧力センサー37、吸引の際に吸引される異物等を除去するためのタンク39が配設されている。さらに、図2に示すように、主配管32Aから分岐した副配管32Bには、大気開放する際に、副配管32Bによる吸引流量を調整する絞りバルブ34、副配管32Bによる吸引を制御する開閉バルブ36が配設されている。
さらに、図1に示すように、複数のキャビティー用吸引装置40は、キャビティーAに接続され、かつ、チャンバーDの外部に引き出された複数のキャビティー用配管42を介して各キャビティー用配管42による吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーAを減圧するものである。
ここで、分割鋳型におけるキャビティー用配管の配置について図面を用いて詳細に説明する。
図3に示すように、下鋳型11上には、水平方向にスライドする中鋳型13が配設されている。また、図示しないキャビティーを形成する際には、中鋳型13上に図中点線で示す上鋳型15が配設される。そして、上鋳型15には、図中点線で示す複数のキャビティー用配管42が配設されている。なお、図中の10aは湯口を示す。
キャビティー用吸引装置によって複数のキャビティー用配管を介してキャビティーを減圧するに際して、各キャビティー用配管による吸引開始のタイミングをずらすなど制御することによって、キャビティーにおける減圧度ないし減圧速度を適切な範囲に安定させることができる。なお、特に限定されるものではないが、例えば、湯口からの距離が相対的に長い位置に配置されたチャンバー用配管による吸引を先に開始することが好ましい。これにより、金属溶湯がキャビティー用配管に直接吸引されにくくなり、金属溶湯の充填性の向上させることができる。また、中子が配置されたキャビティーの形状に応じて、各キャビティー用配管による吸引開始のタイミングを適宜調整してもよい。さらに、複数のキャビティー用配管により吸引されることにより、金属溶湯がキャビティー全体に供給されやすいという利点もある。
なお、図示しないが、キャビティー用配管及びキャビティー用吸引装置についても、上述したチャンバー用配管及びチャンバー用吸引装置と同様の構成を有している。また、図示しないが、キャビティー用配管のキャビティー接続部には金属溶湯の侵入を抑制するフィルタ用多孔質体が配設されている。
一方、図1に示すように、シリンダー50は、中鋳型13の水平方向へのスライド駆動に用いられるものであり、例えば、シリンダーロッド51とシリンダー53と保持部55とを含むものである。なお、これに限定されるものではなく従来公知のアクチュエータを利用することができる。また、この保持部55は、分割鋳型20を保持するものとしても機能している。また、特に限定するものではないが、シリンダーロッド51は下側筐体21を貫通していることが好適である。これは、下側筐体21は、上側筐体23と比較して殆ど移動させることがなく、シリンダーを併せて移動させる必要がないためである。また、図示しないが、シリンダーロッドと下側筐体との間には、これらの間のシール性を確保するとともに、シリンダーロッドのスライドを阻害しにくいシール部材が配設されている。さらに、図示しないが、上鋳型の垂直方向へのスライド駆動に用いられる同様のシリンダーを備えていてもよい。
そして、保持炉60は、チャンバーDの外部であって、かつ、キャビティーAが形成された状態の分割鋳型10の下部に配設されている。なお、保持炉20は、金属溶湯Cを保持している。
また、ストーク70は、キャビティーAに充填される金属溶湯Cの流路であり、上端部70aが分割鋳型10の湯口10aに接続され、かつ、下端部70bが保持炉60に保持された金属溶湯Cに浸漬されている。なお、図示しないが、湯口には従来公知のフィルタ用多孔質体が配設されている。
さらに、加圧装置80は、保持炉60に接続された配管82を介して保持炉60の内部を加圧するものである。このとき、加圧装置80は、保持炉60に保持された金属溶湯Cを湯口10aまで供給するようにしてもよい。
また、センサー90としては、例えば、型閉じを検知するための型閉じセンサー91を有するものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。すなわち、図示しないが、これに加えて、湯口への金属溶湯の到達を検知するための金属溶湯湯口到達センサーやキャビティーにおける金属溶湯の充填を検知するためのキャビティー金属溶湯充填センサー、キャビティーにおける金属溶湯の凝固を検知するためのキャビティー金属溶湯凝固センサーを有するものを適用することもできる。
上記型閉じセンサー91としては、例えば、従来公知の位置決めセンサーを適用した型閉じセンサーを挙げることができる。
そして、上記金属溶湯湯口到達センサーとしては、例えば、湯口近傍に配設される温度センサー、さらには、保持炉内に配設される湯面高さセンサーや圧力センサーなどを適用することができる。
また、上記キャビティー金属溶湯充填センサーとしては、例えば、キャビティー近傍のキャビティー用配管に配設される温度センサーや圧力センサー、さらには、保持炉内に配設される湯面高さセンサーや圧力センサーなどを適用することができる。
さらに、上記キャビティー金属溶湯凝固センサーとしては、例えば、キャビティー近傍のキャビティー用配管に配設される温度センサーなどを適用することができる。
そして、制御装置100としては、例えば、型閉じセンサー91からの入力に応じて、加圧装置80を制御し、型閉じセンサー91及び加圧装置80のうちの少なくとも1つからの入力に応じて、チャンバー用吸引装置30を制御し、型閉じセンサー91及び加圧装置80のうちの少なくとも1つからの入力に応じて、キャビティー用吸引装置40を制御する一体又は別体の制御装置を適用することができる。
このような制御装置を適用する場合には、例えば、予備実験によって予め取得した、位置や、圧力、温度、型閉じからの経過時間等によって、加圧及び吸引を制御する制御データを制御装置に格納しておけばよい。
しかしながら、制御装置は、上述のものに限定されるものではない。すなわち、図示しないが、制御装置としては、例えば、型閉じセンサーと、加圧装置、金属溶湯湯口到達センサー、キャビティー金属溶湯充填センサー及びキャビティー金属溶湯凝固センサーのうちの少なくとも1つとからの入力に応じて、加圧装置を制御し、型閉じセンサー、加圧装置、金属溶湯湯口到達センサー、キャビティー金属溶湯充填センサー及びキャビティー金属溶湯凝固センサーのうちの少なくとも1つからの入力に応じて、チャンバー用吸引装置を制御し、型閉じセンサー、加圧装置、金属溶湯湯口到達センサー、キャビティー金属溶湯充填センサー及びキャビティー金属溶湯凝固センサーのうちの少なくとも1つからの入力に応じて、キャビティー用吸引装置を制御する一体又は別体の制御装置を適用することもできる。
このような制御装置を適用する場合には、例えば、型閉じからの経過時間を考慮しないで、実際の位置や、温度、圧力等によって、加圧及び吸引を制御すればよい。もちろん、予備実験によって予め取得した圧力や温度によって、加圧及び吸引を制御する制御データを制御装置に格納してもよい。なお、上述した各制御データは、上述した型閉じセンサー、金属溶湯湯口到達センサー、キャビティー金属溶湯充填センサー、キャビティー金属溶湯凝固センサーなどの各種センサーを用いた予備実験により適宜設定することができる。
そして、鋳造装置1は、成形品を製造するに際して、シリンダー50などが、下鋳型11、下鋳型11上で水平方向にスライドする中鋳型13、及び上鋳型15を含む分割鋳型10と、下鋳型11が装着された下側筐体21及び上鋳型15が装着された上側筐体23を含む分割筐体20とを用いて、下鋳型11上で中鋳型13を閉じた状態とするとともに、分割筐体20を閉じた状態として、キャビティーAとチャンバーDとを形成する。
また、鋳造装置1は、成形品を製造するに際して、チャンバー用吸引装置30が、チャンバーDに接続され、かつ、チャンバーDの外部に引き出されたチャンバー用配管32を介してチャンバーDの内部を減圧する。
さらに、鋳造装置1は、成形品を製造するに際して、キャビティー用吸引装置40が、キャビティーAに接続され、かつ、チャンバーDの外部に引き出された複数のキャビティー用配管42を介して各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーAの減圧を減圧する。このとき、キャビティー用吸引装置40自体が、金属溶湯CをキャビティーA全体に供給するようにしてもよい。また、上述したように、加圧装置80により少なくとも湯口10aまで供給された金属溶湯Cをキャビティー用吸引装置40がキャビティーA全体に供給するようにしてもよい。
また、鋳造装置1は、成形品を製造するに際して、加圧装置40が、保持炉60に接続された配管82を介して保持炉60の内部を加圧し、保持炉60に保持された金属溶湯Cを湯口10aまで供給するようにしてもよい。
上述のように、所定の分割鋳型、分割筐体、チャンバー用吸引装置及びキャビティー用吸引装置を備え、所定の分割鋳型の下鋳型上で中鋳型を閉じた状態とするとともに、所定の分割筐体を閉じた状態として、キャビティーとチャンバーとを形成し、さらに、所定のチャンバー用吸引装置を利用して、チャンバーの内部を減圧するとともに、所定のキャビティー用吸引装置を利用して、複数のキャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを直接減圧する構成とすることにより、設備費用を低減させるとともに、金属溶湯の充填性を向上させることができる。
つまり、下鋳型、下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型、及び上鋳型を含む分割鋳型と、下鋳型が装着された下側筐体及び上鋳型が装着された上側筐体を含む分割筐体とを備え、下鋳型上で中鋳型を閉じた状態とするとともに、分割筐体を閉じた状態とすると、キャビティーとチャンバーとが形成される所定の構造体を利用することにより、チャンバー体積を小さくすることができる。これにより、空気巻き込みによる欠陥を低減することや鋳込み速度を速くすることが可能となるなど金属溶湯の充填性を向上させることができる。
また、後述するように、キャビティー用吸引装置を利用してキャビティーを直接減圧する際にも、減圧度や減圧速度における分割鋳型の分割面のクリアランスやキャビティーの外側におけるチャンバー体積への依存も小さくすることができる。そのため、減圧度や減圧速度を適切な範囲に安定させることができる。なお、特に限定されるものではないが、チャンバーにおける分割鋳型の側面側の適切な間隙サイズとしては、中鋳型を水平方向にスライドさせたときに、成形品を取り出すことが可能なサイズを好適例として挙げることができる。さらに、このように、チャンバー体積を小さくすることによって、設備費用を低くすることが可能となる。また、チャンバー体積が小さくなることに伴って、チャンバー吸引装置等のサイズを従来よりも小さくすることが可能となり、設備費用をさらに低くすることが可能となる。さらに、シリンダーをチャンバーの外部に配設することも可能であり、この場合には、例えば、後述する金型内部清掃工程や中子セット準備作業工程、中子エアブロー工程などの作業性を向上させることもできる。
そして、キャビティー用吸引装置を利用して、キャビティーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して各キャビティー用配管における吸引開始のタイミング制御しながらキャビティーを直接減圧することにより、減圧度や減圧速度を適切な範囲に安定させることができる。これにより、鋳込み速度を速くすることが可能となるなど金属溶湯の充填性を向上させることができる。
また、チャンバー用吸引装置を利用して、チャンバーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介してチャンバーの内部を減圧することにより、キャビティー用吸引装置のみを利用してキャビティーを直接減圧した場合に起こり得る分割鋳型の分割面のクリアランスなどからの空気の流入が抑制ないし防止される。これにより、空気巻き込みによる欠陥を低減することが可能となるなど金属溶湯の充填性を向上させることができる。
また、本実施形態の鋳造装置においては、上述のように、分割鋳型で形成されたキャビティーに、分割鋳型の下部に配設された保持炉に保持された金属溶湯を、上端部が分割鋳型の湯口に接続され、かつ、下端部が保持炉に保持された金属溶湯に浸漬されたストークを介して充填して成形品を製造する鋳造装置において、保持炉の内部の加圧により保持炉に保持された金属溶湯を少なくとも湯口まで供給する加圧装置を備え、キャビティー用吸引装置が、少なくとも湯口まで供給された金属溶湯をキャビティー全体に供給するものであることが好適である。これにより、金属溶湯の充填性をさらに向上させることができる。
つまり、加圧装置を利用して、保持炉の内部を加圧することにより、金属溶湯を少なくとも湯口まで供給することによって、保持炉に保持された金属溶湯を、分割鋳型と中子とを用いて形成するような複雑な形状を有するキャビティーを介して湯口まで吸引により供給する必要がない。そのため、充填性向上の阻害要因となる複雑な形状を有するキャビティーにおける吸引抵抗を考慮する必要がない。また、キャビティー用吸引装置のみを利用してキャビティーを直接減圧した場合に起こり得る分割鋳型の分割面のクリアランスなどからの空気の流入が抑制ないし防止される。これにより、キャビティー用吸引装置のみを利用してキャビティー全体に金属溶湯を供給する場合と比較して、製造する際に使用するエネルギーロスを低減するとともに、空気巻き込みによる欠陥を低減することが可能となるなど金属溶湯の充填性を向上させることができる。
なお、特に限定されるものではないが、本発明は、高速・高圧で金属溶湯をキャビティーに充填するダイカスト法に適用するよりも、低速・低圧で金属溶湯をキャビティーに充填する低圧鋳造法に適用することが効果的である。これは、ダイカスト法において流入する空気よりも低圧鋳造法において流入する空気及び元々存在する空気の方が、金属溶湯の充填性を低減させ易いためである。
また、本実施形態の鋳造装置においては、上述のように、型閉じを検知するための型閉じセンサーと、型閉じセンサーからの信号に応じて、加圧装置を制御し、型閉じセンサー及び加圧装置のうちの少なくとも1つからの信号に応じて、チャンバー用吸引装置を制御し、型閉じセンサー及び加圧装置のうちの少なくとも1つからの信号に応じて、キャビティー用吸引装置を制御する一体又は別体の制御装置とを備えることが好適である。
このように、加圧装置による所定の加圧をするに際して、チャンバー用吸引装置による所定の吸引(減圧)をするとともに、キャビティー用吸引装置による所定の吸引(減圧)をすることにより、製造する際に使用するエネルギーロスのさらなる低減化、鋳込み速度の適切な範囲でのさらなる安定化、空気巻き込みによる欠陥の低減化などが可能になる。これにより、金属溶湯の充填性をさらに向上させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る鋳造装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る鋳造装置を模式的に示す説明図である。なお、上記の実施形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の鋳造装置1Aは、複数のチャンバー用配管42が上鋳型15だけでなく、中鋳型13にも配設されている点が上記の実施形態と相違する。なお、中鋳型に配設されたキャビティー用配管に接続されるキャビティー用吸引装置は図示することを省略している。また、特に限定されるものではないが、例えば、湯口からの距離が相対的に長い位置に配置されたチャンバー用配管による吸引を先に開始することが好ましい。これにより、金属溶湯がキャビティー用配管に直接吸引されにくくなり、金属溶湯の充填性の向上させることができる。
特許文献1に記載された吸引差圧鋳造方法にあっては、分割鋳型とともに中子を用いて形成するような複雑な形状を有する成形品の製造について何ら検討がなされていない。そのため、分割鋳型とともに中子を用いて形成するような複雑な形状を有する成形品の製造において、溶湯が中子に接触した際に中子に含まれる粘着剤等が燃焼して発生する中子ガスによってガス欠陥が生じ、これによっても金属溶湯の充填性が低下する場合がある。
これに対して、本実施形態の鋳造装置においては、上述のように、上鋳型及び中鋳型に配設され、キャビティーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して各キャビティー用配管による吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを減圧する構成とすることにより、溶湯が中子に接触した際に中子に含まれる粘着剤が燃焼等して発生する中子ガスを複数のキャビティー用配管を通じて逃がすことが可能となり、キャビティーの圧力上昇を低減させることが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る鋳造方法、具体的には、本発明の第1又は第2の実施形態に係る鋳造装置を使用した鋳造方法について詳細に説明する。なお、本発明の鋳造方法は、必ずしも本発明の鋳造装置を使用する必要はないが、本発明の鋳造装置を使用することが好ましい。
本実施形態の鋳造方法は、工程(1)と、工程(3)と、工程(4)とを含む。ここで、工程(1)は、キャビティーの形成に用いられ、下鋳型、下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型、及び上鋳型を含む分割鋳型と、チャンバーの形成に用いられ、下鋳型が装着された下側筐体及び上鋳型が装着された上側筐体を含む分割筐体とを用いて、下鋳型上で中鋳型を閉じた状態とするとともに、分割筐体を閉じた状態として、キャビティーとチャンバーとを形成する工程である。また、工程(3)は、工程(1)の後にチャンバー用吸引装置によりチャンバーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介して少なくともチャンバーの内部を減圧する工程である。さらに、工程(4)は、工程(1)の後に、好ましくは工程(3)の後にキャビティー用吸引装置によりキャビティーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを減圧する工程である。
このように、キャビティーの形成に用いられ、下鋳型、下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型、及び上鋳型を含む分割鋳型と、チャンバーの形成に用いられ、下鋳型が装着された下側筐体及び上鋳型が装着された上側筐体を含む分割筐体とを用いて、下鋳型上で中鋳型を閉じた状態とするとともに、分割筐体を閉じた状態として、キャビティーとチャンバーとを形成し、さらに、チャンバー用吸引装置によりチャンバーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介してチャンバーの内部を減圧するとともに、キャビティー用吸引装置によりキャビティーに接続され、かつ、チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながらキャビティーを減圧することによって、例えば、分割鋳型と中子とを用いて形成するような複雑な形状を有する成形品の製造においても、設備費用を低減させるとともに、金属溶湯の充填性を向上させることが可能となる。
そして、本実施形態の鋳造方法においては、分割鋳型で形成されたキャビティーに、分割鋳型の下部に配設された保持炉に保持された金属溶湯を、上端部が分割鋳型の湯口に接続され、かつ、下端部が保持炉に保持された該金属溶湯に浸漬されたストークを介して充填して成形品を製造するに際して、工程(1)の後で、かつ、工程(3)及び工程(4)の前に、加圧装置による保持炉の内部の加圧により保持炉に保持された金属溶湯を少なくとも湯口まで供給する工程(2)を含み、工程(4)において、少なくとも湯口まで供給された金属溶湯を上記キャビティー全体に供給することが好適である。これにより、金属溶湯の充填性をさらに向上させることができる。
つまり、加圧装置を利用して、保持炉の内部を加圧することにより、金属溶湯を少なくとも湯口まで供給することによって、保持炉に保持された金属溶湯を、分割鋳型と中子とを用いて形成するような複雑な形状を有するキャビティーを介して湯口まで吸引により供給する必要がない。そのため、充填性向上の阻害要因となる複雑な形状を有するキャビティーにおける吸引抵抗を考慮する必要がない。また、キャビティー用吸引装置のみを利用してキャビティーを直接減圧した場合に起こり得る分割鋳型の分割面のクリアランスなどからの空気の流入が抑制ないし防止される。これにより、キャビティー用吸引装置のみを利用してキャビティー全体に金属溶湯を供給する場合と比較して、製造する際に使用するエネルギーロスを低減するとともに、空気巻き込みによる欠陥を低減することが可能となるなど金属溶湯の充填性を向上させることができる。
そして、本実施形態の鋳造方法においては、加圧装置による所定の加圧をするに際して、チャンバー用吸引装置による所定の吸引(減圧)をするとともに、キャビティー用吸引装置による所定の吸引(減圧)をすることが好適である。
ここで、加圧装置による所定の加圧とは、加圧装置による保持炉の内部の加圧を開始し、次いで、湯口に金属溶湯が到達するまで、加圧装置による保持炉の内部の加圧を継続し、さらに、キャビティー全体に金属溶湯が供給されるまで、加圧装置による保持炉の内部の加圧を継続又は保持し、さらに、キャビティー全体の金属溶湯が凝固するまで、加圧装置による保持炉の内部の加圧を継続又は保持し、しかる後、加圧装置による保持炉の内部の加圧を終了することをいう。
また、チャンバー用吸引装置による所定の吸引(減圧)とは、加圧装置による保持炉の内部の加圧の開始から湯口に金属溶湯が到達するまでの間に、チャンバー用吸引装置によるチャンバーに接続されたチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を開始し、次いで、キャビティー全体に金属溶湯が供給されるまで、チャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を継続又は保持し、さらに、キャビティー全体の金属溶湯が凝固するまで、チャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を継続又は保持し、しかる後、加圧装置による保持炉の内部の加圧を終了する際に、チャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を終了することをいう。なお、特に限定されるものではないが、最終到達圧力において、後述するキャビティーの内部圧力よりチャンバーの内部圧力を低くすることが好適である。このような構成とすると、空気巻き込みによる欠陥の低減化などが可能となり、金属溶湯の充填性をさらに向上させることが可能となる。
さらに、キャビティー用吸引装置による所定の吸引(減圧)とは、湯口に金属溶湯が到達したときに、キャビティー用吸引装置によるキャビティーに接続されたキャビティー用配管を介したキャビティーの減圧を開始し、次いで、キャビティー全体に金属溶湯が供給されるまで、キャビティー用吸引装置によるキャビティー用配管を介したキャビティーの減圧を継続し、しかる後、キャビティー全体に金属溶湯が供給されてからチャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を終了するまでの間に、キャビティー用吸引装置によるキャビティー用配管を介したキャビティーの減圧を終了することをいう。
このように、加圧装置による所定の加圧をするに際して、チャンバー用吸引装置による所定の吸引(減圧)をするとともに、キャビティー用吸引装置による所定の吸引(減圧)をすることにより、製造する際に使用するエネルギーロスのさらなる低減化、鋳込み速度の適切な範囲でのさらなる安定化、空気巻き込みによる欠陥の低減化などが可能になる。これにより、金属溶湯の充填性をさらに向上させることができる。
以下、本実施形態の鋳造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る鋳造装置を使用した鋳造方法の一例を模式的に示す説明図である。
図5に示すように、本例の鋳造方法は、工程(E)の鋳造工程の前工程として、従来公知の金型内部清掃工程(工程(A))、中子セット準備作業工程(工程(B))、中子エアブロー工程(工程(C))及び型閉じ工程(工程(D))を有し、鋳造工程の後工程として、従来公知の冷却工程(工程(F))及び型開き工程(工程(G))を有する。
ここで、L1は、保持炉の内部の圧力を示し、例えば、配管に配設される圧力センサーにより検知される値を適用することができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、加圧装置による加圧力の値を適用することもできる。また、L2は、チャンバーの内部の圧力を示し、例えば、チャンバー用配管に配設される圧力センサーにより検知される値を適用することができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、チャンバー用吸引装置による減圧力の値を適用することもできる。さらに、L3は、キャビティーの圧力を示し、例えば、キャビティー用配管に配設される圧力センサーにより検知される値を適用することができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、キャビティー吸引装置による減圧力の値を適用することもできる。
まず、L1で示すように、型閉じされたときを示すT1において、加圧装置による保持炉の内部の加圧を開始する。次いで、湯口に金属溶湯が到達するときを示すT2まで、加圧装置による保持炉の内部の加圧を継続する。さらに、キャビティー全体に金属溶湯が供給されるときを示すT3まで、加圧装置による保持炉の内部の加圧を継続又は保持する。さらに、キャビティー全体の金属溶湯が凝固するときを示すT4まで、加圧装置による保持炉の内部の加圧を継続又は保持し、しかる後、加圧装置による保持炉の内部の加圧を終了する。なお、T5は、加圧装置による加圧(及び後述するチャンバー用吸引装置による減圧)が解除されたときを示し、T6は、離型可能な強度まで成形品の温度が低下したときを示す。
また、L2で示すように、加圧装置による保持炉の内部の加圧の開始のときを示すT1から湯口に金属溶湯が到達するときを示すT2までの間に、チャンバー用吸引装置によるチャンバーに接続されたチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を開始する。次いで、キャビティー全体に金属溶湯が供給されるときを示すT3まで、チャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を継続し、さらに、キャビティー全体の金属溶湯が凝固するときを示すT4まで、チャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を継続する。しかる後、加圧装置による保持炉の内部の加圧を終了するときを示すT5の際に、チャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を終了する。
さらに、L3で示すように、湯口に金属溶湯が到達したときを示すT2において、キャビティー用吸引装置によるキャビティーに接続されたキャビティー用配管を介したキャビティーの減圧を開始する。次いで、キャビティー全体に金属溶湯が供給されるときを示すT3まで、キャビティー用吸引装置によるキャビティー用配管を介したキャビティーの減圧を継続する。しかる後、キャビティー全体に金属溶湯が供給されたときを示すT3からチャンバー用吸引装置によるチャンバー用配管を介したチャンバーの内部の減圧を終了するまでの間に、キャビティー用吸引装置によるキャビティー用配管を介したキャビティーの減圧を終了する。
次に、鋳造により得られる成形品について図面を参照しながら詳細に説明する。図6は、本発明の第1又は第2の実施形態に係る鋳造装置を使用した鋳造方法の他の一例により得られた成形品を模式的に示す斜視図である。
図6に示すように、成形品Eは、アルミニウム合金製のシリンダーヘッドであり、分割鋳型のキャビティーの形状に相当する形状を有している。なお、図中のEaはキャビティー用配管に由来するバリを示す。
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態においては、金属溶湯として、アルミニウムやアルミニウム合金を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、鉄や銅、真鍮などについても適用することができる。
そして、例えば、上記実施形態においては、分割鋳型と中子とを用いて形成するような複雑な形状を有する成形品として、シリンダーヘッドを例示したが、これに限定されるものではなく、シリンダーブロックについても適用することができる。
また、例えば、上記実施形態においては、複数のキャビティー用吸引装置を備えた場合を例示したが、これに限定されるものではなく、各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを独立に制御することが可能であれば、1つのキャビティー用吸引装置のみを備えていてもよい。
さらに、例えば、上記実施形態においては、シリンダーをチャンバーの外部に配設した場合を例示したが、これに限定されるものではなく、シリンダーをチャンバーの内側に配設してもよい。
また、例えば、上述した実施形態においては、金属溶湯を湯口まで供給する際に、保持炉の内部を加圧する加圧装置を利用する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、電磁ポンプを利用して少なくとも湯口まで金属溶湯を供給してもよい。
1,1A 鋳造装置
10 分割鋳型
10a 湯口
11 下鋳型
13 中鋳型
13A,15A 鋼材
15 上鋳型
20 分割筐体
21 下側筐体
23 上側筐体
25 ゴム製シール部材
30 チャンバー用吸引装置
30A ポンプ
31,37 圧力センサー
32 チャンバー用配管
32A 主配管
32B 副配管
33,34 絞りバルブ
35,36 開閉バルブ
39 タンク
40 キャビティー用吸引装置
42 キャビティー用配管
50 シリンダー
51 シリンダーロッド
53 シリンダー
55 保持部
60 保持炉
70 ストーク
70a 上端部
70b 下端部
80 加圧装置
82 配管
90 センサー
91 型閉じセンサー
100 制御装置
A キャビティー
B 中子
B1 トップ中子
B2 ウォータージャケット中子
B3 ポート中子
C 金属溶湯
D チャンバー
E 成形品
Ea バリ

Claims (4)

  1. キャビティーの形成に用いられ、下鋳型と、該下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型と、上鋳型とを含む分割鋳型と、
    チャンバーの形成に用いられ、上記下鋳型が装着された下側筐体と、上記上鋳型が装着された上側筐体とを含む分割筐体であって、該下鋳型上で上記中鋳型を閉じた状態とするとともに、該分割筐体を閉じた状態とすることで、上記キャビティーと上記チャンバーとを形成する分割筐体と、
    上記チャンバーに接続され、かつ、該チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介して該チャンバーの内部を減圧するチャンバー用吸引装置と、
    上記キャビティーに接続され、かつ、上記チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して該各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながら該キャビティーを減圧するキャビティー用吸引装置と、を備え
    上記チャンバー用吸引装置が、上記キャビティー用吸引装置による減圧によって得られる上記キャビティー内の最終到達圧力よりも該チャンバー用吸引装置による減圧によって得られる上記チャンバー内の最終到達圧力を低くする
    ことを特徴とする鋳造装置。
  2. 分割鋳型で形成されたキャビティーに、該分割鋳型の下部に配設された保持炉に保持された金属溶湯を、上端部が該分割鋳型の湯口に接続され、かつ、下端部が該保持炉に保持された該金属溶湯に浸漬されたストークを介して充填して成形品を製造する鋳造装置であって、
    上記湯口への上記金属溶湯の到達を検知するための金属溶湯湯口到達センサーと、
    上記金属溶湯湯口到達センサーからの入力に応じて、上記キャビティー用吸引装置を制御する制御装置と、
    上記保持炉の内部の加圧により該保持炉に保持された上記金属溶湯を少なくとも上記湯口まで供給する加圧装置と、を備え、
    上記キャビティー用吸引装置が、少なくとも上記湯口まで供給された上記金属溶湯を上記キャビティー全体に供給する
    ことを特徴とする請求項1に記載の鋳造装置。
  3. キャビティーの形成に用いられ、下鋳型、該下鋳型上で水平方向にスライドする中鋳型、及び上鋳型を含む分割鋳型と、チャンバーの形成に用いられ、該下鋳型が装着された下側筐体及び該上鋳型が装着された上側筐体を含む分割筐体とを用いて、該下鋳型上で該中鋳型を閉じた状態とするとともに、該分割筐体を閉じた状態として、該キャビティーと該チャンバーとを形成する工程(1)と、
    上記工程(1)の後に、チャンバー用吸引装置により上記チャンバーに接続され、かつ、該チャンバーの外部に引き出されたチャンバー用配管を介して該チャンバーの内部を減圧する工程(3)と、
    上記工程(1)の後に、キャビティー用吸引装置により上記キャビティーに接続され、かつ、上記チャンバーの外部に引き出された複数のキャビティー用配管を介して該各キャビティー用配管における吸引開始のタイミングを制御しながら該キャビティーを減圧する工程(4)と、を含み、
    上記工程(4)において、上記キャビティー内の最終到達圧力よりも上記チャンバー内の最終到達圧力を低くする
    ことを特徴とする鋳造方法。
  4. 分割鋳型で形成されたキャビティーに、該分割鋳型の下部に配設された保持炉に保持された金属溶湯を、上端部が該分割鋳型の湯口に接続され、かつ、下端部が該保持炉に保持された該金属溶湯に浸漬されたストークを介して充填して成形品を製造するに際して、
    上記工程(1)の後で、かつ、上記工程(3)及び上記工程(4)の前に、加圧装置による上記保持炉の内部の加圧により該保持炉に保持された上記金属溶湯を少なくとも上記湯口まで供給する工程(2)を含み、
    上記工程(2)において、金属溶湯湯口到達センサーにより上記湯口への上記金属溶湯の到達を検知し、
    上記工程(4)において、上記金属溶湯湯口到達センサーからの入力に応じて、制御装置により上記キャビティー用吸引装置を制御して、少なくとも上記湯口まで供給された上記金属溶湯を上記キャビティー全体に供給する
    ことを特徴とする請求項3に記載の鋳造方法。
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