JP2003200251A - 低圧鋳造方法及び低圧鋳造装置 - Google Patents

低圧鋳造方法及び低圧鋳造装置

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JP2003200251A JP2001399172A JP2001399172A JP2003200251A JP 2003200251 A JP2003200251 A JP 2003200251A JP 2001399172 A JP2001399172 A JP 2001399172A JP 2001399172 A JP2001399172 A JP 2001399172A JP 2003200251 A JP2003200251 A JP 2003200251A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳型への溶湯充填時の溶湯温度の低下を防止
して湯回り性を向上させ、安定した高品質の鋳造品が得
られる低圧鋳造方法及び低圧鋳造装置を提供する。 【解決手段】 上下方向に延在するストーク42及びこ
のストーク42の上端に湯口51を介して連続するキャ
ビティ50が形成された金型45を有する鋳造機40
と、溶湯60が貯留される溶湯保持るつぼ11及び溶湯
供給装置15を有する保持炉10を備え、溶湯供給装置
15によって溶湯保持るつぼ11内の溶湯60を圧送し
てストーク42内に予め設定された定溶湯面位置Lに押
し上げると共に逆流を防止した状態で、キャビティ50
内に予め設定された高速充填湯面位置L1まで高速充填
速度で溶湯を圧送し、かつ高速充填速度から低速充填速
度に切り換えてキャビティ45内への充填を完了させて
鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保持炉から供給さ
れる溶湯を鋳造機で鋳造する低圧鋳造方法及び低圧鋳造
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばアルミニウム合金等の鋳造には、
大量生産でき、凝固過程も合理的で寸法精度も良好であ
り、かつ設備費が比較的安価であることから低圧鋳造法
が広く行われている。
【0003】この低圧鋳造法の概要を図9(a)に示す
低圧鋳造装置100の概念図を参照して説明する。
【0004】低圧鋳造装置100は、溶湯保持炉101
に保持された溶湯保持るつぼ102、この溶湯保持るつ
ぼ102を密閉するるつぼ蓋103、るつぼ蓋103を
貫通して下端が溶湯保持るつぼ102内に延在するスト
ーク104、及びストーク104の上方に設置された金
型105を有し、更に、溶湯保持るつぼ102には溶湯
補給口及び圧縮空気入口管(図示せず)が設けられてい
る。
【0005】鋳造にあたり、るつぼ蓋103によって密
閉された溶湯保持るつぼ102内に溶湯補給口より溶湯
120を所定量注入し、溶湯補給口を蓋等で閉鎖して準
備する。
【0006】次に、圧縮空気入口管より比較的小さい圧
力のガス体、例えば圧縮空気を供給して溶湯面120a
を加圧し、この加圧力によって溶湯120をストーク1
04内を通して押し上げて金型105のキャビティ10
6内に注湯する。キャビティ106内に充填された溶湯
120はキャビティ106の上端側から凝固を始め、次
第に降下して湯口106aの部分が最後に凝固する。
【0007】湯口106aの部分まで溶湯120の凝固
が完了するまで圧縮空気による溶湯保持るつぼ102内
の加圧力を保持し、湯口106aまで凝固が完了した時
点で加圧を解除する。更に凝固して鋳物となり金型10
5を開いて離型しても変形やかじりが発生しない温度ま
で鋳物の温度が降下した後、金型105から離型して鋳
物を鋳造品として搬出する。
【0008】この溶湯面120aの加圧によるキャビテ
ィ106内への注湯開始から溶湯120が湯口106a
まで凝固して加圧力を解除するまでの時間が注湯時間、
また更に凝固して鋳物となったものが金型105を開い
て離型したときに変形やかじりが発生しない温度まで鋳
物の温度が降下する時間を凝固時間と称している。
【0009】これらの注湯時間及び凝固時間の設定は、
一般に予め実験的に確認した時間をもとに、鋳造毎に鋳
造作業者の経験と感で人為的に設定される。
【0010】一方、溶湯保持るつぼ102に貯留された
溶湯120は、図9の(a)に示すように鋳造開始前に
溶湯面120aが満杯レベルLaになるように準備され
る。鋳造を開始して1回目の鋳造後には溶湯120の溶
湯面120aが(b)に示す湯面レベルLbに低下し、
更に2回目の鋳造後には溶湯面120aが(c)に示す
湯面レベルLcに低下する。同様に鋳造する毎に溶湯面
120aが順次低下する。
【0011】このように鋳造する毎に溶湯面120aが
順次低下することから、鋳造毎に金型105のキャビテ
ィ106内への溶湯充填速度及び充填圧力が変化する。
この溶湯充填速度及び充填圧力の変化が発生することか
ら、図10に示すように充填時間及び鋳造毎に降下した
溶湯面120aの差分hに相当する圧力を鋳造毎に加え
るための加圧力、即ち充填圧力の圧力補正が行われる。
この充填圧力補正方法は、例えば図11のように計算値
による鋳造毎の加圧値をパソコン107等に予め記憶し
ておき、このデータに従って制御装置108によって開
閉弁109を制御して、加圧力供給源110から供給さ
れる圧力ガスを自動的に調整して加圧する方法がある。
【0012】また、他の充填圧力補正方法としては、鋳
造品の外観を鋳造毎に目視監視しながら、鋳造作業者の
経験と感により減圧弁(レギュレータ)を調整する方法
や、予め実験値より鋳造毎の加圧値を調べ、その加圧値
に基づいて鋳造毎に機械的に一定圧力を加える方法があ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記低圧鋳造装置10
0によると、金型105のキャビティ106内の鋳込み
が徐々に行われて先に流入した溶湯120は、後から押
し上げられた溶湯120に押されて先端に流れていくの
で、先端から先に凝固して密度の高い緻密な鋳造品がで
きる。
【0014】しかし、鋳造毎に溶湯面120aが降下し
た変化分だけ、溶湯面120aからキャビティ106ま
での距離が鋳造毎に増大し、溶湯120をキャビティ1
06への充填が完了するまでの溶湯120の移動距離が
増大変化する。このため、充填後にストーク104内に
戻る溶湯面120aの位置が鋳造毎に増大変化する。こ
のストーク104内の溶湯面120aの変化によってス
トーク104内の溶湯面120aからキャビティ106
に到達する溶湯120移動時間が長くなり、キャビティ
106内に供給される溶湯120の温度が下降して鋳物
の湯回り不良や湯境いの発生等の湯回り性に影響を与え
る。特に、例えば肉厚が2mm以下の薄肉鋳物を安定し
た品質で連続生産することが不可能であった。
【0015】一方、キャビティ106内への溶湯充填過
程で充填速度を一定以上に高めた場合、鋳造に用いてい
る砂中子を破損させたり、砂かみ、肌荒れ等を誘発し、
かつ充填圧力を急激に低下させることは、この低圧鋳造
では湯回りや湯境い等を発生させるため不可能であっ
た。
【0016】また、鋳造数が多くなるにつれて、ストー
ク104内を溶湯120が移動する距離及び時間が長く
なり、ストーク104内で溶湯表面が空気と接触する時
間の増大に伴って溶湯120の酸化が促進され、ストー
ク104内の溶湯表面に酸化物を巻き込んでキャビティ
106内に押し上げて鋳造品の品質低下を招き、かつス
トーク104の内周面に堆積する酸化物が多くなると溶
湯通路断面積が小さくなり、押し湯不足による鋳物内部
へのひけ巣の発生等による鋳物品の品質低下が懸念され
る。
【0017】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の
目的は、鋳型への溶湯充填時の溶湯温度の低下を防止す
ると共に湯回り性を向上させ、安定した高品質の鋳造品
が得られる低圧鋳造方法及び低圧鋳造装置を提供するこ
とにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に記載の低圧鍛造方法の発明は、保持炉から供給さ
れる溶湯を鋳造機で鋳造する低圧鋳造方法において、上
下方向に延在するストーク及び該ストークの上端に湯口
を介して連続するキャビティが形成された金型を有する
鋳造機と、上記溶湯が貯留される溶湯保持るつぼ及び溶
湯供給装置を有する保持炉を備え、上記溶湯供給装置に
よって、上記溶湯保持るつぼ内の溶湯を圧送して上記ス
トーク内に予め設定された定溶湯面位置に押し上げると
共に逆流を防止した状態で、上記キャビティ内に予め設
定された高速充填湯面位置まで高速充填速度で溶湯を圧
送し、かつ該高速充填速度から低速充填速度に切り換え
て上記キャビティ内への充填を完了させて鋳造すること
を特徴とする。
【0019】請求項1の発明によると、ストークからの
逆流を防止してストーク内の溶湯面が定溶湯面位置に維
持された状態で、溶湯供給装置から溶湯の圧送によって
ストーク内の溶湯面を押し上げてキャビティ内に充填す
ることから、各鋳造サイクルにおいて定溶湯面位置の溶
湯面からキャビティまでの距離が一定に維持される。こ
の結果、各鋳造サイクルにおいてストーク内で溶湯面を
押し上げてキャビティ内に充填する充填圧力制御を鋳造
毎に調整する必要がなく作動制御の簡素化が得られる。
また、定溶湯面位置からキャビティ内の高速充填湯面位
置まで高速で充填することにより短時間でキャビティ内
への溶湯充填が行われて溶湯の温度低下が抑制され、キ
ャビティへの充填時の溶湯流動性がよく、また、溶湯を
低速充填速度に切り換えることにより溶湯の乱流が有効
的に沈静化でき、温度低下の少ない沈静化された溶湯が
キャビティ内に充填されて内部に巻き込み欠陥のない高
品質の鋳造が可能である。
【0020】また、溶湯が移動する際に、溶湯がストー
ク及びキャビティ内で空気に曝される時間が短く、酸化
物の生成が極めて少なく抑制されて鋳造品の品質低下が
回避され、かつストークの内周面に堆積する酸化物が抑
制されて溶湯通路断面積が確保されて湯口からの押し湯
効果が確保されて鋳造作業の効率化が得られる。
【0021】請求項2に記載に発明は、請求項1の低圧
鋳造方法において、上記定溶湯面位置は、上記ストーク
の上端乃至上端近傍に設定されたことを特徴とする。
【0022】請求項2の発明によると、定溶湯面位置を
ストークの上端乃至上端近傍に設定することによって、
充填の際の溶湯の移動距離がより短くなり溶湯の温度低
下がより抑制され、かつ溶湯が移動する際のストーク内
の空気に曝される時間の短縮が図られて酸化物の生成が
減少する。
【0023】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2の低圧鋳造方法において、上記定溶湯面位置から高速
充填湯面位置までの溶湯供給は、予め設定された溶湯供
給時間で設定されたことを特徴とする。
【0024】請求項3の発明によると、定溶湯面位置か
ら高速充填湯面位置までの溶湯供給を、予め実験等によ
って確認された溶湯供給時間により設定することによ
り、容易に安定的に作動制御することができる。
【0025】上記目的を達成する請求項4に記載の低圧
鋳造装置の発明は、保持炉から供給される溶湯を鋳造機
で鋳造する低圧鋳造装置において、上記鋳造機は、上下
方向に延在するストークと、該ストークの上端に湯口を
介して連続するキャビティが形成された金型とを有し、
上記保持炉は、上記溶湯が貯留される溶湯保持るつぼ
と、該溶湯保持るつぼ内の溶湯を圧送して上記ストーク
内に予め設定された定溶湯面位置に押し上げると共に逆
流を防止した状態で、キャビティ内に予め設定された高
速充填湯面位置まで高速充填速度で溶湯を圧送し、かつ
該高速充填速度から低速充填速度に切り換えて上記キャ
ビティ内への充填を完了させる溶湯供給装置とを備えた
ことを特徴とする。
【0026】請求項4の発明によると、保持炉に設けら
れた溶湯供給装置によって、溶湯保持るつぼ内に貯留さ
れた溶湯をストーク内に圧送して逆流が防止されたスト
ーク内の溶湯面が定溶湯面位置に維持された状態で、溶
湯供給装置からの溶湯の圧送によってストーク内の溶湯
面を押し上げてキャビティ内に充填することから、各鋳
造サイクルにおいて定溶湯面位置の溶湯面からキャビテ
ィまでの距離が一定に保持され、各鋳造サイクルにおい
てキャビティ内に充填する充填圧力制御が鋳造毎に調整
する必要がなく作動制御の簡素化が得られる。また定溶
湯面位置からキャビティ内の高速充填湯面位置までを高
速で充填することにより短時間でキャビティ内への溶湯
充填が行われて溶湯の温度低下が抑制される。この結
果、キャビティへの充填時の溶湯流動性がよく、また、
溶湯を低速充填速度に切り換えることにより溶湯の乱流
が有効的に沈静化でき、温度低下の少ない沈静化された
溶湯がキャビティ内に充填されて内部に巻き込み欠陥の
ない高品質の鋳造が可能である。
【0027】また、溶湯が移動する際のストーク及びキ
ャビティ内で空気に曝される時間が短く、酸化物の生成
が極めて少なく抑制されて鋳造品の品質低下を招くこと
が回避され、かつストークの内周面に堆積する酸化物が
抑制されて溶湯通路断面積が確保されて湯口からの押し
湯効果が確保されて鋳造作業の効率化が得られる。
【0028】請求項5に記載の発明は、請求項4の低圧
鋳造装置において、上記定溶湯面位置は、上記ストーク
の上端乃至上端近傍に設定されたことを特徴とする。
【0029】請求項5の発明によると、定溶湯面位置を
ストークの上端乃至上端近傍に設定することによって、
充填の際の溶湯の移動距離がより短くなり充填の際の溶
湯の温度低下がより抑制され、かつ溶湯が移動する際の
ストーク内の空気に曝される時間の短縮が図られて酸化
物の生成が減少する。
【0030】請求項6に記載の発明は、請求項4または
5の低圧鋳造装置において、上記溶湯供給装置は、上記
溶湯保持るつぼ内に貯留された溶湯に下部が浸漬された
密閉状態の加圧ポットと、該加圧ポットと上記ストーク
の下端とを連通する給湯管と、上記加圧ポットの下部に
穿設された吸込口を開閉する吸込口側弁体と、上記加圧
ポット内に開口する上記給湯管の吐出口を開閉する吐出
口側弁体と、上記加圧ポット内を加圧及び減圧する加圧
減圧手段とを有し、上記吐出口を閉じかつ吸込口を開い
て上記加圧減圧手段により上記加圧ポット内を減圧して
溶湯保持るつぼ内の溶湯を上記吸込口から加圧ポット内
に吸引し、かつ吸込口を閉じて上記加圧減圧手段によっ
て加圧ポット内を加圧すると共に吐出口を開いて加圧ポ
ット内の溶湯を給湯管を介してストーク内の定溶湯面位
置に押し上げ、更に加圧ポット内を加圧減圧手段による
高加圧によってキャビティ内に予め設定された高速充填
湯面位置まで高速充填速度で溶湯を圧送し、かつ加圧ポ
ット内を低圧加圧に切り換えて上記キャビティ内への充
填を完了させて鋳造し、かつ上記吐出口を閉じてストー
ク内の溶湯の逆流を防止した状態で金型を開型すること
を特徴とする。
【0031】請求項6の発明は、溶湯供給装置をより具
体的構成にしたものであって、溶湯供給装置を溶湯保持
るつぼ内に貯留された溶湯に下部が浸漬された密閉状態
の加圧ポットと、加圧ポットとストークとを連通する給
湯管と、加圧ポットの下部に穿設された吸込口を開閉す
る吸込口側弁体と、加圧ポット内に開口する給湯管の吐
出口を開閉する吐出口側弁体と、加圧ポット内を加圧及
び減圧する加圧減圧手段とを有し、吐出口を閉じかつ吸
込口を開いて加圧減圧手段により加圧ポット内を減圧し
て溶湯保持るつぼ内の溶湯を加圧ポット内に吸引し、か
つ吸込口を閉じて加圧減圧手段によって加圧ポット内を
加圧すると共に吐出口を開いて加圧ポット内の溶湯を給
湯管を介してストーク内の定溶湯面位置に押し上げる。
【0032】更に加圧ポット内を加圧減圧手段による高
加圧によってキャビティ内に予め設定された高速充填湯
面位置まで高速充填速度で溶湯を圧送し、かつ加圧減圧
手段による加圧ポット内を低圧加圧に切り換えて低速充
填速度で上記キャビティ内への充填を完了させて鋳造
し、かつ上記吐出口を閉じてストーク内の溶湯の逆流を
防止した状態で金型を開型する鋳造サイクルを繰り返す
ことによって、効率的に鋳造を繰り返すことができる。
【0033】請求項7に記載の発明は、請求項6の低圧
鋳造装置にいて、上記加圧減圧手段による加圧ポット内
の低圧加圧切り換えに同期して加圧減圧手段により加圧
ポット内を吸引減圧することを特徴とする。
【0034】請求項7の発明によると、加圧ポット内を
低減加圧に切り換えと同期して加圧ポット内を吸引減圧
することによって、急速に加圧ポット内を減圧すること
ができ、より有効的な鋳造作動が確保できる。
【0035】請求項8に記載の発明は、請求項6または
7の低圧鋳造装置において、上記加圧減圧手段は、高圧
ガス供給源、該高圧ガス供給源と上記加圧ポットを連通
して高圧ガス供給源からの高圧ガス体を加圧ポットに供
給する高圧供給管路、該高圧供給管路に介在して開閉す
る高圧加圧弁を有する高圧加圧手段と、低圧ガス供給
源、該低圧ガス供給源と上記加圧ポットを連通して低圧
ガス供給源からの低圧ガス体を加圧ポットに供給する低
圧供給管路、該低圧供給管路に介在して開閉する低圧加
圧弁を有する低圧加圧手段と、減圧タンク、該減圧タン
クと上記加圧ポットを連通する排出管路、排出管路に介
在して開閉する排出弁を有する減圧手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0036】請求項8の発明は、加圧減圧手段を具体的
構成にしたものであって、高圧加圧手段の高圧加圧弁、
低圧加圧手段の低圧加圧弁、及び減圧手段の排出弁を適
宜切り換え作動することによって加圧ポット内の加圧及
び減圧されて有効的に鋳造作動が確保できる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明による低圧鋳造方法
及び低圧鋳造装置の実施の形態をアルミニウム合金の鋳
造を例に図1乃至図8を参照して説明する。
【0038】図1は、保持炉10及び鋳造機40を備え
た低圧鋳造装置1の概念図であり、図2は鋳造機40の
要部を示す図1のA部拡大図である。
【0039】保持炉10は、溶湯保温炉に支持されて溶
湯60を保持する溶湯保持るつぼ11を有し、溶湯保持
るつぼ11の上方を覆うるつぼ蓋12に溶湯供給装置1
5が吊下支持されてている。
【0040】溶湯供給装置15は、るつぼ蓋12に吊下
支持され、上端が加圧ポット蓋17によって密閉されて
下部が溶湯保持るつぼ11内に貯留されたアルミニウム
合金の金属溶湯60内に浸漬される有底筒状の加圧ポッ
ト16を有している。
【0041】加圧ポット16の底部には溶湯保持るつぼ
11内と連通する吸込口16aが穿設されている。加圧
ポット16の側部下端近傍には、先端が鋳造機40のス
トーク42の下端に連通する給湯管18の基端に穿設さ
れた吐出口18aが開口している。これら吸込口16a
及び吐出口18aは、各々加圧ポット蓋17に設けられ
たアクチュエータ19及び20によって駆動される吸込
口側弁体19a及び吐出口側弁体20aによって開閉さ
れる。
【0042】更に、溶湯供給装置15には加圧ポット1
6内の圧力を制御する加圧減圧手段22が設けられてい
る。加圧減圧手段22は、図3に加圧回路図を示すよう
に比較的高圧の圧力ガス体、本実施の形態では比較的高
圧P1の圧縮空気を高圧ガス供給源24から高圧加圧弁
26が介在する供給管路25を介して高速充填速度で加
圧ポット16内に送り込む高圧加圧手段23と、後述す
る充填保持圧P2となる比較的低圧の圧縮空気を低圧ガ
ス供給源28から低圧加圧弁30が介在する供給管路2
9を介して低速充填速度で加圧ポット16内に連通する
低圧加圧手段27と、排気弁34が介在する排出管路3
3を介して加圧ポット16に連通して減圧タンク32に
よって加圧ポット16内を減圧する減圧手段31と、加
圧ポット16内の圧力を検知すると共に該検知圧力に基
づいて低圧加圧弁30及び排気弁34を開閉制御する圧
力センサ35によって形成されている。
【0043】また、加圧ポット16内には加圧ポット1
6内の溶湯60の溶湯液面60aを検出するレベルセン
サ36が配設されている。なお、これら溶湯供給装置1
5の各作動制御は、制御部(図示せず)によってなされ
る。
【0044】一方、鋳造機40は、基台41に取付支持
されて上下に延在する筒状のストーク42を有し、スト
ーク42の下端に保持炉10から導かれた給湯管18の
先端が接続されている。
【0045】ストーク42の上方に金型45が設置され
ている。本実施の形態における金型45は、基台41に
結合されかつストーク42に締結された下型46と、油
圧シリンダ等の金型作動機構(図示せず)によって下型
46に対して接離可能に昇降する上型47と、金型作動
機構によって互いに接離する水平方向に移動可能な横型
48、49によって構成され、下型46、上型47、横
型48及び49の各キャビティサイド46a、47a、
48a、49aによってキャビティ50を形成してい
る。
【0046】下型46には、上下方向の延在してストー
ク42側とキャビティ50側とを連通し、かつ中間部の
開口面積が比較的小さく上方及び下方に移行するに従っ
て次第に膨大する湯口51が形成されている。
【0047】金型45には湯口51内の上部位置に予め
設定された温度測定点aの温度を検知する温度測定手段
が設けられている。温度測定手段は例えば、上型47に
配置される鋳抜きピン等に内装された熱電温度計によっ
て構成することができる。
【0048】この温度測定点aの温度は、ストーク42
内の溶湯60の溶湯面60aが上昇して温度測定点aに
接近するに従って上昇することから、所定位置の溶湯面
60aにおける温度測定点aの位置、例えば後述する定
溶湯面位置Lまで上昇した溶湯面60aの位置を検出す
ることができる。この温度測定手段によって検知された
溶湯面60aの位置は、溶湯面検出信号として上記溶湯
供給装置15の制御部に送られる。
【0049】また、この温度測定点aの温度は、キャビ
ティ50内に注湯された溶湯60の溶湯熱によって最高
値に達した後に、溶湯60が上端或いは先端から凝固を
開始して次第に下降することから、湯口51まで凝固が
進行した時点の温度測定点aの温度を予め実験的に確認
して設定しておき、この温度に達した時点で温度測定手
段から注湯時間解除信号として制御部に発進する。更
に、凝固が進行して温度測定点aの温度が降下し続け
て、凝固して鋳物となったものが金型45を離型しても
変形やかじりが発生しない温度まで降下した時点の温度
を予め実験的に確認して設定しておき、この温度に達し
た時点で温度測定手段から制御部に凝固時間解除信号を
制御部に発する。
【0050】なお、保持炉10と鋳造機40のストーク
42間に配置される給湯管18は、外周が給湯管用ヒー
タ55によって被覆されて加熱及び保温され、かつスト
ーク42も外周がストーク用ヒータ56によって被覆さ
れて加熱及び保温される。この給湯管用ヒータ55及び
ストーク用ヒータ56は一体のヒータによって形成する
こともできる。
【0051】次に、このように構成される低圧鋳造装置
1による鋳造方法について図4に示す湯詰め動作フロー
チャート及び図5に示す充填動作フローチャート及び図
6に示す充填加圧パターン説明図を参照して説明する。
【0052】金型45のキャビティ50内への溶湯60
の注湯に先だって鋳造機40のストーク42の所定の高
さ位置、例えばストーク42の上端乃至上端近傍位置に
設定された充填開始湯面位置となる定湯面位置Lに溶湯
60が達するまで湯詰めを行う。
【0053】この湯詰め動作を図4の湯詰め動作フロー
チャートに従って説明する。予め、保持炉10の溶湯保
持るつぼ11内にアルミニウム合金を溶解した溶湯60
を注湯し、所定量貯留して準備する。
【0054】制御部からの指示により吐出口側弁体20
aによって給湯管18の基端に開口する吐出口18aを
閉じる(ステップS1)。続いて吸込口側弁体19aに
よって閉鎖していた加圧ポット16の底部の吸込口16
aを開放して溶湯保持るつぼ11内と加圧ポット16内
を連通する(ステップS2)。
【0055】次に、排気弁34を開放して排出管路33
を介して減圧タンク32により加圧タンク16内を減圧
し、吸込口16aから溶湯保持るつぼ11内の溶湯60
を加圧ポット16の上端近傍まで吸い込む(ステップS
3)。加圧ポット16の上端近傍まで溶湯60が吸い込
まれたことがレベルセンサ36で検知されると、排気弁
34を閉じて減圧を停止し、かつ吸込側弁体19aによ
って吸込口16aを閉じる(ステップS4)。
【0056】次に、高圧加圧弁26を開放して高圧ガス
供給源24から加圧ポット16内に圧縮空気を供給して
加圧ポット16内の溶湯面を加圧し、かつ吐出口側弁体
20aにより閉じられていた吐出口18aを開き(ステ
ップ5)、加圧ポット16内の溶湯60を給湯管18を
通じてストーク42の上端乃至上端近傍位置に設定され
た定溶湯面位置Lまで押し上げる(ステップS6)。こ
の時の定溶湯面位置Lまで溶湯60を押し上げる圧力を
定溶湯面圧力とする。
【0057】この定溶湯面位置Lまでの溶湯60の押し
上げは、定溶湯面位置Lまで溶湯60を押し上げる際、
溶湯60の押し上げに伴ってストーク42内の溶湯面6
0aが温度測定点aに次第に近づくと、温度測定点aの
温度が上昇し、この温度が予め実験的に得られれた定溶
湯面位置Lに溶湯面60aが位置する温度に達したこと
を温度測定手段によって検知することによって検出され
る。
【0058】温度測定手段によって定溶湯面位置Lまで
押し上げられた溶湯面60aを検知する(ステップS
7)と、その溶湯面検出信号が温度測定手段から制御部
に送られ、高圧加圧弁26を閉じて加圧ポット16内の
加圧を停止し、かつ同時に吐出口18aを吐出口側弁体
20aによって閉じてストーク42からの溶湯60の逆
流を防止して、定溶湯面圧力を維持することによって溶
湯面60aを定溶湯面位置Lに保持する(ステップS
8)。
【0059】ステップS1からステップS8までの湯詰
め動作に続いて金型50のキャビティ50へ溶湯60を
充填する充填動作が開始される。
【0060】次に、充填動作について図5に示す充填動
作フローチャート及び図6に示す充填加圧パターン説明
図を参照して説明する。
【0061】吐出口側弁体20aによって吐出口18a
を閉じてストーク42内の溶湯60の溶湯面60aが定
溶湯面位置Lに保持された状態(ステップS11)で、
吸込口側弁体19aによって閉鎖していた吸込口16a
を開放して加圧ポット16内の定溶湯面圧力保持を開放
する(ステップS12)。
【0062】次に、排気弁34を開放して排出管路33
を介して減圧タンク32により加圧タンク16内を減圧
して、吸込口16aからキャビティ50による1鋳造分
の溶湯60を加圧ポット16内に吸い込む(ステップS
13)。加圧ポット16内に1鋳造分の溶湯60を吸い
込むと、排出弁34を閉じて減圧タンク32による減圧
を停止し、かつ吸込側弁体19aによって吸込口16a
を閉じる(ステップS14)。この加圧ポット16内に
吸い込み供給される1鋳造分の溶湯量は、予め実験的に
求められ、加圧ポット16に設けられたレベルセンサ3
6によって一定位置までの吸い込みを検知することによ
って一定量を確保する。
【0063】続いて、図3に示すように低圧加圧弁30
及び排気弁34を閉じた状態で高圧加圧弁26を開き、
高圧ガス供給源24から高圧の圧縮空気を供給管路25
を介して加圧ポット16内に送り込み溶湯面を加圧し、
かつ吐出口側弁体20aによって閉鎖していた吐出口1
8aを開く(ステップS15)。開放された吐出口18
aから給湯管18を通してストーク42内に溶湯60を
圧送して溶湯面60aが定溶湯面位置Lから押し上げら
れてキャビティ50内への高速充填速度による溶湯の充
填が開始する。
【0064】この高圧加圧弁26の開放による加圧ポッ
ト16内の加圧は、図6の充填加圧パターン説明図に加
圧ポット16内の圧力を示すように、高圧ガス供給源2
4から供給される高圧の圧縮空気によって急激に高めら
れ、溶湯面が大きな高速充填圧力P1の加圧力で加圧さ
れる。この結果、溶湯60が給湯管18を通してストー
ク42内に高圧で圧送されて溶湯面60aが定溶湯面位
置Lから押し上げられてキャビティ50内に予め設定さ
れた高速充填湯面位置L1まで高速充填速度で充填され
る(ステップS16)。
【0065】この高速充填位置L1までの溶湯の高速充
填は、高圧加圧弁26を開放から溶湯60の溶湯面60
aが高速充填湯面位置L1に押し上げに要する溶湯の充
填時間を予め実験的に確認して設定しておき、この高速
充填時間T1を経過した時点で制御部からの信号によっ
て図7に示すように高圧加圧弁26を閉じ、かつ排気弁
34を開き(ステップS17)、キャビティ50内への
高速充填を停止すると共に減圧タンク32により強制的
吸引することによって図6に示すように加圧ポット16
内を急激に減圧させる。
【0066】加圧タンク16内が減圧されて加圧タンク
16内の圧力が予め設定された充填保持圧P2より若干
大きな充填保持圧力P2に補正圧力αを加算した圧力P
2+αを圧力センサ35が検知する(ステップS18)
と、制御部からの信号によって図8に示すように排気弁
34を閉じ、かつ低圧加圧弁30を開放して(ステップ
S19)、低圧ガス供給源28から低圧の圧縮空気を低
速充填速度で加圧ポット16内に供給して加圧ポット1
6内を充填保持圧P2に保持する。
【0067】ステップS16により加圧ポット16内の
減圧開始からステップS19の低圧加圧弁30を開放す
る間の急激に加圧ポット16の減圧する間に、加圧ポッ
ト16内の加圧力による溶湯面の加圧によって、溶湯6
0が給湯管18を通してストーク42内に圧送されて溶
湯面60aが図2に示す高速充填湯面位置L1からキャ
ビティ50内の充填が完了する充填完了湯面位置L2ま
で上昇してキャビティ50が溶湯60によって充填され
る。
【0068】ここで、仮にステップS18において加圧
ポット16内の圧力が充填保持圧力P2まで減圧された
時点で排気弁34を閉じ、かつ低圧加圧弁30を開放す
ると、慣性によって予め設定された充填保持圧P2より
低下する。これを回避するために上記のように、ステッ
プS17により圧力P2に補正圧力αを加算した圧力P
2+αを圧力センサ35が検出した時点で予め排気弁3
4を閉じることによって加圧ポット16内の圧力を充填
保持圧P2に減圧することができる。この補正圧力α
は、予め実験的に確認して設定しておく。
【0069】ステップS18によって低圧加圧弁30が
開放され低圧ガス供給源28からの圧縮空気を加圧ポッ
ト16内に低速充填速度で供給して加圧ポット16内が
充填保持圧P2に保持される。このキャビティ50内に
充填された溶湯60の溶湯熱により温度測定点aの温度
上昇が開始し、温度測定手段の検出温度が上昇する。
【0070】溶湯熱により温度測定点aの温度が最高
点、例えば600℃に達した後、キャビティ50内に充
填された溶湯60は上端から凝固を開始し、この凝固の
進行に伴って温度測定点aの温度は下降を開始する。
【0071】湯口51の部分まで凝固が進行し、予め設
定された温度測定点aまで凝固が進行した時点の温度ま
で下降した温度、例えば530℃を温度測定手段が検知
する(ステップS20)と、温度検出手段から加圧保持
解除信号を送り、低圧加圧弁30を閉じ(ステップS2
1)て加圧ポット16の加圧を停止して保持圧力を解除
すると同時に吐出口18aを吐出口側弁体20aによっ
て閉じてストーク42からの溶湯60の逆流を防止し
て、定溶湯面圧力を維持することによって溶湯面60a
を定溶湯面位置Lに保持する(ステップS22)。この
ステップ18によって充填完了保持加圧弁29を閉じて
からステップS20の低圧加圧弁30を閉じるまでの時
間が充填完了保持時間T2であって、この充填完了保持
時間T2は予め実験等によって確認しておくことによっ
て、時間によって管理することもできる。
【0072】更に、キャビティ50内の凝固が進行して
温度測定点aの温度が降下し続けて、凝固して鋳物とな
ったものが金型45から離型しても変形やかじりが発生
しない温度、例えば490℃を温度検出手段が検知する
と、温度検出検出手段から凝固時間解除信号として制御
部に信号を発し、金型45を開き、キャビティ50内で
凝固した鋳物を取り出して1鋳造サイクルが完了する
(ステップS23)。しかる後、金型45を閉じて次の
溶湯充填待機状態にする。
【0073】続いて繰返し行われる充填動作は、吐出口
側弁体20aによって吐出口18aを閉じてストーク4
2内の溶湯面60aを定溶湯面位置Lに保持した状態
で、吸込口側弁体19aによって吸込口16aを開放し
て加圧ポット16内の定溶湯面の圧力を開放するステッ
プ11から、金型45を開き、キャビティ50内で凝固
した鋳物を取り出すステップ21を経て金型40を閉じ
て次の溶湯充填待機状態にするステップ11からステッ
プ21を繰り返すことによって、連続して鋳造が繰り返
し行われる。
【0074】上記低圧鋳造方法及び低圧鋳造装置1によ
ると、ストーク42からの逆流を防止してキャビティ5
0の直下でストーク42内の溶湯面60aが定溶湯面位
置Lに維持された状態で、溶湯供給装置15からの溶湯
60の押し出しによってストーク42内の溶湯面60a
を押し上げてキャビティ50内に充填することから、各
鋳造サイクルにおいて定溶湯面位置Lの溶湯面60aか
らキャビティ50までが近く、押し上げによる定溶湯面
位置Lからの溶湯60の移動距離が短く、かつ定湯面位
置Lからキャビティ50内の高速充填湯面位置L2まで
高速充填速度で高速充填することにより、短時間でキャ
ビティ50内への溶湯充填が行われる。この結果、溶湯
60の温度低下が抑制され、キャビティ50内に注湯さ
れる溶湯60の温度が維持されて、キャビティ50への
充填時の溶湯流動性がよく、また、キャビティ50の高
速充填湯面位置L2まで高速充填された溶湯60を急激
に充填保持圧P2に切り換えることにより溶湯60の乱
流が有効的に沈静化でき、温度低下の少ない沈静化され
た溶湯60がキャビティ50内に充填されて、湯回り性
に優れ、内部に巻き込み欠陥のない高品質の鋳造が可能
である。
【0075】この湯回り性が確保されることから、例え
ば従来の低圧鍛造では不可能であった肉厚2mmの薄肉
鋳物の連続した安定生産が可能になり、薄肉鋳物の鋳造
が可能になることから、鋳物の軽量化が可能になる。な
お、本実施の形態による鋳造装置1によると、従来9k
gのシリンダヘッドを1.2kg(13%)軽量化する
ことができた。
【0076】更に、充填時の溶湯60の移動時間が極め
て短く、溶湯60が移動する際のストーク42及びキャ
ビティ50内で空気に曝される時間が短く、酸化物の生
成が極めて少なく、酸化物が溶湯60に巻き込まれるこ
とによる鋳造品の品質低下を招くことが回避され、かつ
ストーク42の内周面に堆積する酸化物が抑制されて溶
湯通路断面積が確保され、湯口からの押し湯効果が確保
されて鋳造作業の効率化が得られる。
【0077】また、定溶湯面位置Lから高速充填湯面位
置L1までの高速充填に要する高速充填時間T1、高速
充填湯面位置L1から充填完了液面位置L2までの低速
充填に要する充填完了保持時間T2を予め実験等によっ
て確認しておくことによって、溶湯供給装置15の高圧
加圧弁26、低圧加圧弁30、排気弁34の作動を時間
によって管理することができ、各作動制御をの簡素化が
可能になると共に、溶湯60の充填速度を制御すること
ができる。
【0078】また、定溶湯面位置Lからキャビティ50
内の高速充填湯面位置L1まで溶湯60を高速充填する
ことから、注湯時間Tの大幅な短縮が可能になり、鋳造
作業効率の向上が期待できる。
【0079】
【発明の効果】以上説明した低圧鋳造方法及び低圧鋳造
装置によると、保持炉に設けられた溶湯供給装置によっ
て、溶湯保持るつぼ内に貯留された溶湯をストーク内に
圧送して逆流が防止されたストーク内の溶湯面が定溶湯
面位置に維持された状態で、溶湯供給装置から溶湯の圧
送によってキャビティ内に充填することから、各鋳造サ
イクルにおいて定溶湯面位置の溶湯面からキャビティま
での距離が一定であり、各鋳造サイクルにおいてストー
ク内の溶湯面を押し上げてキャビティ内に充填する充填
圧力制御を鋳造毎に調整する必要がなく作動制御の簡素
化が得られる。また、定溶湯面位置からキャビティ内の
高速充填湯面位置まで高速で充填することにより短時間
でキャビティ内への溶湯充填が行われて溶湯の温度低下
が抑制され、充填時の溶湯流動性がよく、更に溶湯を低
速充填速度に切り換えることにより溶湯の乱流が有効的
に沈静化でき、内部に巻き込み欠陥のない高品質の鋳造
が可能である。
【0080】また、溶湯が移動する際のストーク及びキ
ャビティ内で空気に曝される時間が短く、酸化物の生成
が極めて少なく鋳造品の品質低下を招くことが回避さ
れ、かつストークの内周面に堆積する酸化物が抑制され
て溶湯通路断面積が確保されて湯口からの押し湯効果が
確保されて鋳造作業の効率化が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による低圧鋳造方法及び低圧鋳造装置の
実施の形態の概要を示す低圧鋳造装置の概念図である。
【図2】同じく、図1のA部拡大図である。
【図3】同じく、加圧減圧手段の加圧回路路図である。
【図4】同じく、湯詰め動作フローチャートである。
【図5】同じく、充填動作フローチャートである。
【図6】同じく、充填加圧パターン説明図である。
【図7】同じく、加圧減圧手段の作動を説明する加圧回
路図である。
【図8】同じく、加圧減圧手段の作動を説明する加圧回
路図である。
【図9】従来の低圧鋳造装置の概念図である。
【図10】同じく、従来の充填圧力の圧力補正の説明図
である。
【図11】同じく、従来の充填圧力の圧力補正の説明図
である。
【符号の説明】
1 低圧鋳造装置 10 保持炉 11 溶湯保持るつぼ 12 るつぼ蓋 15 溶湯供給装置 16 加圧ポット 16a 吸込口 17 加圧ポット蓋 18 給湯管 18a 吐出口 19a 吸込口側弁体 20a 吐出口側弁体 22 加圧減圧手段 23 高圧加圧手段 24 高圧ガス供給源 25 供給管路 26 高圧加圧弁 27 低圧加圧手段 28 低圧ガス供給源 29 供給管路 30 低圧加圧弁 31 減圧手段 32 減圧タンク 33 排出管路 34 排気弁 35 圧力センサ 40 鋳造機 41 基台 42 ストーク 45 金型 50 キャビティ 51 湯口 60 溶湯 60a 溶湯面 a 温度測定点 L 定溶湯面位置 L1 高速充填湯面位置 L2 充填完了湯面位置
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 39/06 B22D 39/06 45/00 45/00 B (72)発明者 寺内 博 埼玉県行田市富士見町1丁目21番地1 株 式会社東京軽合金製作所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保持炉から供給される溶湯を鋳造機で鋳
    造する低圧鋳造方法において、 上下方向に延在するストーク及び該ストークの上端に湯
    口を介して連続するキャビティが形成された金型を有す
    る鋳造機と、上記溶湯が貯留される溶湯保持るつぼ及び
    溶湯供給装置を有する保持炉を備え、 上記溶湯供給装置によって、上記溶湯保持るつぼ内の溶
    湯を圧送して上記ストーク内に予め設定された定溶湯面
    位置に押し上げると共に逆流を防止した状態で、上記キ
    ャビティ内に予め設定された高速充填湯面位置まで高速
    充填速度で溶湯を圧送し、かつ該高速充填速度から低速
    充填速度に切り換えて上記キャビティ内への充填を完了
    させて鋳造することを特徴とする低圧鋳造方法。
  2. 【請求項2】 上記定溶湯面位置は、上記ストークの上
    端乃至上端近傍に設定されたことを特徴とする請求項1
    に記載の低圧鋳造方法。
  3. 【請求項3】 上記定溶湯面位置から高速充填湯面位置
    までの溶湯供給は、予め設定された溶湯供給時間で設定
    されたことを特徴とする請求項1または2に記載の低圧
    鋳造方法。
  4. 【請求項4】 保持炉から供給される溶湯を鋳造機で鋳
    造する低圧鋳造装置において、 上記鋳造機は、 上下方向に延在するストークと、 該ストークの上端に湯口を介して連続するキャビティが
    形成された金型とを有し、 上記保持炉は、 上記溶湯が貯留される溶湯保持るつぼと、 該溶湯保持るつぼ内の溶湯を圧送して上記ストーク内に
    予め設定された定溶湯面位置に押し上げると共に逆流を
    防止した状態で、キャビティ内に予め設定された高速充
    填湯面位置まで高速充填速度で溶湯を圧送し、かつ該高
    速充填速度から低速充填速度に切り換えて上記キャビテ
    ィ内への充填を完了させる溶湯供給装置とを備えた、こ
    とを特徴とする低圧鋳造装置。
  5. 【請求項5】 上記定溶湯面位置は、上記ストークの上
    端乃至上端近傍に設定されたことを特徴とする請求項4
    に記載の低圧鋳造装置。
  6. 【請求項6】 上記溶湯供給装置は、 上記溶湯保持るつぼ内に貯留された溶湯に下部が浸漬さ
    れた密閉状態の加圧ポットと、 該加圧ポットと上記ストークの下端とを連通する給湯管
    と、 上記加圧ポットの下部に穿設された吸込口を開閉する吸
    込口側弁体と、 上記加圧ポット内に開口する上記給湯管の吐出口を開閉
    する吐出口側弁体と、 上記加圧ポット内を加圧及び減圧する加圧減圧手段とを
    有し、 上記吐出口を閉じかつ吸込口を開いて上記加圧減圧手段
    により上記加圧ポット内を減圧して溶湯保持るつぼ内の
    溶湯を上記吸込口から加圧ポット内に吸引し、かつ吸込
    口を閉じて上記加圧減圧手段によって加圧ポット内を加
    圧すると共に吐出口を開いて加圧ポット内の溶湯を給湯
    管を介してストーク内の定溶湯面位置に押し上げ、更に
    加圧ポット内を加圧減圧手段による高加圧によってキャ
    ビティ内に予め設定された高速充填湯面位置まで高速充
    填速度で溶湯を圧送し、かつ加圧ポット内を低圧加圧に
    切り換えて上記キャビティ内への充填を完了させて鋳造
    し、かつ上記吐出口を閉じてストーク内の溶湯の逆流を
    防止した状態で金型を開型することを特徴とする請求項
    4または5に記載の低圧鋳造装置。
  7. 【請求項7】 上記加圧減圧手段による加圧ポット内の
    低圧加圧切り換えに同期して加圧減圧手段により加圧ポ
    ット内を吸引減圧することを特徴とする請求項6に記載
    の低圧鋳造装置。
  8. 【請求項8】 上記加圧減圧手段は、 高圧ガス供給源、該高圧ガス供給源と上記加圧ポットを
    連通して高圧ガス供給源からの高圧ガス体を加圧ポット
    に供給する高圧供給管路、該高圧供給管路に介在して開
    閉する高圧加圧弁を有する高圧加圧手段と、 低圧ガス供給源、該低圧ガス供給源と上記加圧ポットを
    連通して低圧ガス供給源からの低圧ガス体を加圧ポット
    に供給する低圧供給管路、該低圧供給管路に介在して開
    閉する低圧加圧弁を有する低圧加圧手段と、 減圧タンク、該減圧タンクと上記加圧ポットを連通する
    排出管路、排出管路に介在して開閉する排出弁を有する
    減圧手段とを備えた、ことを特徴とする請求項6または
    7に記載の低圧鋳造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113458362A (zh) * 2021-08-03 2021-10-01 重庆大学 一种低压铸造过程稳态充型控制方法
WO2023010742A1 (zh) * 2021-08-04 2023-02-09 苏州明志科技股份有限公司 低压充型重力补缩装置及方法

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