JP6460248B2 - イオン移動度分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、イオンをその移動度に応じて分離して検出する又は分離して後段の質量分析部等へと送るイオン移動度分析装置に関する。
試料分子から生成した分子イオンを電場の作用により媒質気体(又は液体)中で移動させるとき、該イオンは電場の強さやその分子の大きさなどで決まる移動度に比例した速度で移動する。イオン移動度分析法(Ion Mobility Spectrometry=IMS)は、試料分子の分析のためにこの移動度を利用した測定法である。図5は従来の一般的なイオン移動度分析装置の概略構成図である(特許文献1など参照)。
このイオン移動度分析装置は、試料中の成分分子をイオン化するイオン源1と、図示しない例えば円筒形状のハウジング内に設けられた、イオン移動度を測定するためのドリフト領域5と、ドリフト領域5中を移動してきたイオンを検出する検出器6と、を備える。また、イオン源1において生成されたイオンをごく短い時間幅に限定してパルス的にドリフト領域5へと送り込むために、ドリフト領域5の入口にシャッタゲート3を備える。ハウジング内は大気圧雰囲気又は100[Pa]程度の低真空雰囲気であり、ドリフト領域5に配置されているドリフト電極群2に含まれる多数の円環状の電極2aにそれぞれ印加されている直流電圧により、ドリフト領域5中にはイオン移動方向(図5ではZ方向)に下り電位勾配を示す(イオンを加速する)一様電場が形成される。また、この電場による加速方向とは逆方向に中性の拡散ガスの流れが形成されている。なお、ドリフト運動しながら飛来するイオンによって検出器6の検出電極に誘起されるイメージ電流を軽減するために、検出器6手前の最終段の電極2aはグリッド状(メッシュ状)の電極となっている。
イオン源1で生成されたイオンはシャッタゲート3で一旦堰き止められ、シャッタゲート3が短時間だけ開放されると、イオンはパケット状にドリフト領域5中に導入される。導入されたイオンはドリフト領域5において向かって来る拡散ガスと衝突しながら、加速電場によって進む。イオンはその大きさ、立体構造、電荷などに依存するイオン移動度によって時間的に分離され、異なるイオン移動度を持つイオンは時間差を有して検出器6に到達する。ドリフト領域5中の電場が一様である場合には、イオンがドリフト領域5を通過するのに要するドリフト時間から、イオン−拡散ガス間の衝突断面積を見積もることが可能である。
試料分子由来である一種のイオンの分離性能は、該イオンがドリフト領域5中を移動したドリフト時間Tdと、検出器6で該イオンが検出される際の該イオンのパルス幅(時間方向の広がり幅)ΔTと、から(1)式で求まる分解能Rで評価することができる。
R=Td/ΔT …(1)
分子量が近い分子同士、或いは、分子量が等しく分子構造が異なる分子(異性体)を分離するためには、分解能Rが大きい、高分解能のイオン移動度分析装置が必要となる。(1)式から明らかなように、分解能Rを高めるには、ドリフト時間Tdを大きくするか或いはイオンパルス幅ΔTを小さくすればよい。イオンパルス幅ΔTを小さくするにはシャッタ開放時間を短くすればよいが、シャッタ開放時間を短くすると通過するイオンの量が減るために感度が下がる。そのため、或る程度の感度を得ようとすると、シャッタ開放時間の短縮には限界がある。また、イオン移動度が同一であっても、ドリフト領域を通過するイオンは拡散(分子がランダム運動により空間的に広がる)作用や分散(流体中を移動する際に分子が空間的に広がる)作用等のために前後方向に広がるため、シャッタ開放時間を短縮してもイオンパルス幅ΔTを小さくするのには限界がある。こうしたことから、イオン移動度分析装置における分解能を上げるのに有効なのはドリフト領域5の長さ、つまりはドリフト長Lを長くすることである。
しかしながら、イオン移動度分析装置では、ドリフト速度の速いイオンが遅いイオンにオーバーラップされて測定されることを避けるために、ドリフト領域5に導入された全てのイオンがドリフト領域5を通過し終えるまでシャッタゲート3を閉鎖しておく必要がある。そのため、上述したようにドリフト長Lを長くすることでドリフト時間Tdが長くなると、シャッタゲート3を開放した時点から次に該シャッタゲート3を開放するまでの待ち時間、つまりはシャッタゲート動作周期が長くなってしまう。その結果、1秒間にイオン移動度スペクトルを測定できるレート(サンプリングレート)が低下する。
例えば非特許文献1には、ドリフト管の長さを63cmとした高分解能イオン移動度分析装置を用いて、シリコンクラスタの異性体分離を行うことが記載されているが、測定された典型的なイオン移動度スペクトルではドリフト時間が100msec程度と、かなり長くなっている。この場合、サンプリングレートは10Hzとなる。例えば液体クロマトグラフ(LC)の検出器としてイオン移動度分析装置を用い、LCのカラムから連続的に溶出してくる試料中の成分を分析する場合、サンプリングレートが低下するとクロマトグラムにおけるデータ点時間間隔が広くなり、ピークを適切に捉えることができないおそれがある。また、極端な場合には、特定のイオンの検出漏れが発生するおそれもある。
特開2005−174619号公報
ロバート(Robert R. H.)ほか2名、「ハイ−レゾリューション・イオン・モビリティ・メジャーメンツ・フォー・シリコン・クラスター・アニオンズ・アンド・ケイションズ(High-resolution ion mobility measurements for silicon cluster anions and cations」、JOURNAL OF CHEMICAL PHYSICS、1999年、Vol. 111、No.17、pp7865-7870
一般的にイオン移動度分析装置において、分解能RとサンプリングレートSとはトレードオフの関係にあり、一つの装置で高分解能と高サンプリングレートを実現することは困難である。本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、分析の目的等に応じて、高分解能の測定と高サンプリングレートの測定とを切り替えて行うことができるイオン移動度分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、パケット状のイオンを加速電場が形成されたドリフト領域中に導入しドリフトさせることで、イオンをイオン移動度に応じて分離するイオン移動度分析装置において、
a)前記ドリフト領域の入口に配設された第1のシャッタゲートと、
b)前記ドリフト領域中で前記第1のシャッタゲートよりもドリフト方向の下流側に配設された第2のシャッタゲートと、
c)前記第1及び第2のシャッタゲートそれぞれに所定の電圧を印加する電圧生成部と、
d)第1の測定モードにおいては、前記第1のシャッタゲートでイオンをパルス的に通過させ、前記第2のシャッタゲートでイオンを素通りさせるようにそれらシャッタゲートに電圧を印加し、第2の測定モードにおいては、前記第1のシャッタゲートでイオンを素通りさせ、前記第2のシャッタゲートでイオンをパルス的に通過させるようにそれらシャッタゲートに電圧を印加するように前記電圧生成部を制御する制御部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係るイオン移動度分析装置では、ドリフト領域中をドリフトすることでイオン移動度に応じて分離されたイオンを検出器で検出してもよいし、或いは、移動度に応じて分離されたイオンを例えばさらに質量電荷比に応じて分離する質量分離器などへ導入するようにしてもよい。
例えばドリフト領域を通過したイオンを検出器で検出する場合、第1のシャッタゲートと検出器との間のドリフト領域の長さは第2のシャッタゲートと検出器との間のドリフト領域の長さよりも長い。そこで、本発明に係るイオン移動度分析装置において、制御部は、第1の測定モード(高分解能測定モード)においては、下流側の第2のシャッタゲートでイオンを全く阻止せず、上流側の第1のシャッタゲートでのみイオンを一旦阻止し短時間イオンを通過させるように各シャッタゲートへの印加電圧を設定する。この場合、第2の測定モードに比べてドリフト長は長いのでドリフト時間も長くなり、分解能はそれだけ高くなる。一方、制御部は、第2の測定モード(高サンプリングレート測定モード)において、上流側の第1のシャッタゲートでイオンを阻止せず、下流側の第2のシャッタゲートでのみイオンを一旦阻止し短時間イオンを通過させるように各シャッタゲートへの印加電圧を設定する。この場合、第1の測定モードに比べてドリフト長は相対的に短いのでドリフト時間は短く、分解能は相対的に低いものの、第2のシャッタゲートの動作周期を短くしてサンプリングレートを高くすることができる。
なお、本発明に係るイオン移動度分析装置では、少なくとも第1の測定モードと第2の測定モードとを選択指示するための指示部をさらに備え、前記制御部は該指示部での選択指示に応じて第1又は第2の測定モードに対応した制御を実施するとよい。
さらにまた本発明に係るイオン移動度分析装置において、好ましくは、制御部は、第1、第2の測定モードに加えて、第3の測定モードにおいて、前記第1のシャッタゲートでイオンをパルス的に通過させ、前記第2のシャッタゲートで前記第1のシャッタゲートが開放された時点から所定時間遅延した時点で所定期間、イオンをパルス的に通過させるようにそれらシャッタゲートに電圧を印加するべく電圧生成部を制御する構成とするとよい。
この第3の測定モードでは、第1のシャッタゲートを短時間通過してパケット状になったイオンが、第1のシャッタゲートから第2のシャッタゲートに至るまでのドリフト領域でイオン移動度に応じて或る程度分離される。その中で、特定のイオン移動度(又はドリフト時間)範囲のイオンのみが第2のシャッタゲートを通過してさらにドリフト領域中をドリフトして分離される。したがって、この第3の測定モードにおいて分解能は第1の測定モードと同等であるが、オン移動度範囲全体ではなく特定のイオン移動度範囲内のイオンを例えば検出器で検出してイオン移動度スペクトルを作成することができる。このイオン移動度の範囲外のイオンは第2のシャッタゲートで阻止されるため、測定対象とするイオンの移動度範囲にも依存するものの、全イオンを測定する場合に比べてドリフト時間は短くなり、サンプリングレートを高くすることができる。つまり、測定対象のイオンを限定することで、第1の測定モードとほぼ同等の高分解能でありながら、第1の測定モードに比べてサンプリングレートを向上させることができる。
なお、本発明に係るイオン移動度分析装置では、第1、第2のシャッタゲートに加えてさらにイオンドリフト方向に離して、別のシャッタゲートを設けても構わない。つまり、三以上のシャッタゲートを配設し、それらに印加する電圧を適宜に切り替える構成としてもよい。
本発明に係るイオン移動度分析装置によれば、1台の装置で、分析目的に応じて、サンプリングレートは低下するものの試料由来のイオンを高い分解能で以て分離することができる測定モードと、分解能は劣るもののサンプリングレートを高くして繰り返し測定の頻度を上げる、つまりは測定時間間隔を短縮することができる測定モードとを、選択的に実行することができる。それによって、例えば分子量が同じで構造が異なる分子の分析を行うことが可能であるとともに、LCの検出器として用いる場合のように連続的に試料が供給される場合でも、成分の検出漏れやピーク波形の崩れを軽減することができる。
さらにまた、本発明の好ましい構成によれば、特に注目に値するイオン移動度の前後の適当な幅のイオン移動度スペクトルを高い分解能で得ることができ、その際に、サンプリングレートも高くすることができる。
本発明の一実施例であるイオン移動度分析装置の概略構成図。 本実施例のイオン移動度分析装置における高分解能測定モード時の動作説明用の概略構成図(a)及びイオン移動度スペクトルの模式図(b)。 本実施例のイオン移動度分析装置における高サンプリングレート測定モード時の動作説明用の概略構成図(a)及びイオン移動度スペクトルの模式図(b)。 本実施例のイオン移動度分析装置におけるズーム測定モード時の動作説明用の概略構成図(a)及びイオン移動度スペクトルの模式図(b)。 一般的なイオン移動度分析装置の概略構成図。
本発明に係るイオン移動度分析装置の一実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のイオン移動度分析装置の概略断面図である。図5によりすでに説明した従来のイオン移動度分析装置と同じ又は相当する構成要素には同じ符号を付してある。
本実施例のイオン移動度分析装置では、ドリフト領域5の入口に配設された第1シャッタゲート3のほかに、該シャッタゲート3よりもイオンドリフト方向の下流側であるドリフト領域5中に、第2シャッタゲート4が設置されている。ドリフト電極群2の複数の電極2aにはドリフト電圧発生部7からそれぞれ所定の直流電圧が印加される。また、第1、第2シャッタゲート3、4にはそれぞれ、シャッタ電圧発生部8から所定のタイミングでパルス状の電圧が印加される。制御部9は機能ブロックとして測定モード切替部91を含み、ドリフト電圧発生部7及びシャッタ電圧発生部8をそれぞれ制御する。また、制御部9には入力部10が接続されており、ユーザ(分析者)は入力部10から測定モードの指定などを行うことができる。
ここでは、第1シャッタゲート3から検出器6の入口端の検出電極6aまでの距離をL1、第2シャッタゲート4から検出電極6aまでの距離をL2(<L1)とする。本実施例のイオン移動度分析装置では、入力部10から、高分解能測定モード、高サンプリングレート測定モード、及びズーム測定モードという三つの測定モードを選択的に指定することができる。その測定モードにおける動作について図2〜図4を参照して説明する。
[高分解能測定モード]
図2は高分解能測定モードにおける動作説明図であり、(a)は概略構成図、(b)はイオン移動度スペクトルの模式図である。
高分解能測定モードが指定されると、制御部9において測定モード切替部91は、第2シャッタゲート4を常時開放状態とし、第1シャッタゲート3でイオンをパルス化するように電圧発生部7、8を制御する。即ち、第2シャッタゲート4はシャッタゲートとしては機能せず、他の電極2aと同様に、一様の加速電場を形成する作用のみを有する。この場合、第1シャッタゲート3でパケット化されたイオンは、ドリフト長L1の長さのドリフト領域5全体をドリフトして検出器6に到達する。ドリフト長が長いのでドリフト時間が長くなり、高分解能測定が可能となる。この測定モードでは、第1シャッタゲート3の開放時間の時間幅が分解能に影響する。高分解能を得るためには、信号強度が許容される範囲で、可能な限り第1シャッタゲート3の開放時間を短くすることが望ましい。
電場強度がEであるドリフト領域5内では、イオンは分子種(分子構造)に特有の移動度Kに比例したドリフト速度v=K×Eで以て移動する。分子量が大きく分子構造が複雑なイオンほど移動度Kの値は小さくなり、一定のドリフト長を移動する所要時間が長くなる。測定対象である(つまりはイオン移動度スペクトルを取得したい)分子の最小のイオン移動度をKminとすると、イオン移動度スペクトル測定では、ドリフト時間が0からT1=L1/vmin=L1/(Kmin×E)までの範囲のイオンを測定することになる。
この測定モードでは、ドリフト領域5全体を使用し高い分解能でイオン移動度分析が行える。その反面、ドリフト速度の速いイオンが遅いイオンにオーバーラップされて測定されることを避けるため、測定対象であるイオンがドリフト領域5全体を移動する時間T1の間、第1シャッタゲート3を閉鎖しておく必要があり、そのために一つのイオン移動度スペクトルを測定するために必要な時間が長くなる。結果として、S=1/T1で求まるサンプリングレートはドリフト時間が長い分低くなる。
[高サンプリングレート測定モード]
図3は高サンプリングレート測定モードにおける動作説明図であり、(a)は概略構成図、(b)はイオン移動度スペクトルの模式図である。
高サンプリングレート測定モードが指定されると、制御部9において測定モード切替部91は、第1シャッタゲート3を常時開放状態とし、第2シャッタゲート4でイオンをパルス化するように電圧発生部7、8を制御する。この場合、第2シャッタゲート4でパケット化されたイオンは、ドリフト領域5の一部であるドリフト長L2の長さの領域をドリフトして検出器6に到達する。高分解能測定モードに比べてドリフト長が短いためにドリフト時間は短くなる。
ドリフト領域5における電場強度が高分解能測定モードのときと同じEであるとすると、ドリフト時間T2は、T2=T1×(L2/L1)、となる。即ち、イオン移動度スペクトルを1回測定するための所要時間は高分解能測定モードの場合に比べて、L2/L1(<1)倍に短縮される。したがって、分解能は高分解能測定モードに比べて約√(L2/L1)に低下するものの、第2シャッタゲート4の動作周期を短くすることができ、サンプリングレートS2は高分解能測定モードにおけるサンプリングレートS1のL1/L2(>1)倍に高まる。
[ズーム測定モード]
図4はズーム測定モードにおける動作説明図であり、(a)は概略構成図、(b)はイオン移動度スペクトルの模式図である。
ズーム測定モードを入力部10から指定する場合には、併せて、第1、第2シャッタゲート3、4の開放、閉鎖動作の周期や、第1シャッタゲート3を開放したタイミングから第2シャッタゲート4を開放するタイミングまでの遅延時間などの制御条件を適当に設定する。ただし、こうした数値を指定する代わりに、例えば高分解能測定モードや高サンプリングレート測定モードで得られたイオン移動度スペクトルの表示上で、ユーザが着目する範囲を指定すると、その範囲に対応した制御条件が自動的に算出されるようにしてもよい。
これらが指定されると、制御部9において測定モード切替部91は、以下のように、第1シャッタゲート3の開放時間と第2シャッタゲート4の開放時間とが連動するように電圧発生部7、8を制御する。これにより、イオン源1で生成された各種イオンの中で、特定のドリフト速度(イオン移動度)を持つズーム対象であるイオン群のみをドリフト長L1に亘りドリフトさせて分離する。一方、ズーム対象でないイオン群は第2シャッタゲート4で阻止される。
ドリフト領域5の電場強度が高分解能測定モードのときと同じEで、測定対象である分子のイオン移動度の最小値をKminとすると、ドリフト速度が最も遅いイオンが第1シャッタゲート3を通過し第2シャッタゲート4へ到達するまでに要する時間T3は、T3=T1×(L1−L2)/L1、である。ここで、着目しているイオンのイオン移動度をKp(>Kmin)とすると、そのイオンは第1シャッタゲート3を通過した後、T3×(Kmin/Kp)だけ時間が経過したタイミングで第2シャッタゲート4に到達する。したがって、第1シャッタゲート3と第2シャッタゲート4を同じサンプリングレート1/T3で動作させながら、第2シャッタゲート4が開放するタイミングを第1シャッタゲート3が開放するタイミングからΔ=T3×(Kmin/Kp)、だけ遅延させる。
いま、ズームにより測定したいイオン移動度の範囲を2α(ただし、α≦min(T1−Tp、Tp))とすると、その範囲に該当するイオンが第2シャッタゲート4を通過できるように、第2シャッタゲート4を第1シャッタゲート3に対して遅延時間Δ=T3×(Kmin/Kp)−α×(L1−L2)/L1=(Tp−α)×(L1−L2)/L1だけ遅らせて開放する(ただし、Tp=L1/(Kp×E))。また、第2シャッタゲートを開放する時間幅は2α×(L1−L2)/L1とする。これにより、イオン移動度が2αである範囲のイオンのみが第2シャッタゲート4を通過し、それ以外のイオンは阻止される。そして、通過したイオンは検出器6までドリフトし、その間にイオン移動度によってさらに分離される。その結果、図4(b)に示すように、高感度測定モードで得られるイオン移動度スペクトル(図2(b)参照)のうちの一部のみが反映されたスペクトルが得られる。
このズーム測定モードでは、第1シャッタゲート3の開放時間幅が分解能に影響する。感度が許容される範囲で第1シャッタゲート3の開放時間幅を小さくするほど、分解能が高まる。これは高感度測定モードと同様である。一方、サンプリングレートは第1、第2シャッタゲート3、4の動作周期で決まり、この場合、S3=1/T3(ただしT3=T1×(L1−L2)/L1)である。したがって、サンプリングレートは、高分解能測定モードの場合のサンプリングレートS1=1/T1に比べてL1/(L1−L2)倍増加する。このように、ズーム測定モードでは、測定対象イオン群が限定されるが、ズームしたイオン群については高感度測定モードと同程度の高分解能でイオン移動度分析することができるうえに、サンプリングレートも高くすることができる。
[具体的な数値例]
上記実施例のイオン移動度分析装置の一例として、第2シャッタゲート4をドリフト領域5の中央に設置した場合(L2=L1/2)を考える。この場合、高サンプリングレート測定モードでは高分解能測定モードに比べて、分解能は約1/√(2)に低下するが、サンプリングレートは2倍になる。さらにズーム測定モードにすると、高分解能測定モードと同じ高い分解能を維持しつつ、サンプリングレートを2倍にすることができる。
第2シャッタゲート4がL2<L1/2である位置に設置される場合には、高サンプリングレート測定モードにおけるサンプリングレートをより一層高くすることができる。一方、ズーム測定モードのサンプリングレートは相対的に小さくなるものの、ズームできるイオン移動度の範囲がより広く正確に設定しやすくなるという利点がある。
一方、第2のシャッタゲート4がL2>L1/2となる位置に設置される場合には、高サンプリング測定モードにおけるサンプリングレートは相対的に低くなり、ズーム測定モードでのサンプリングレートをより高くすることができる。その反面、ズーム対象のイオン移動度範囲の設定を正確に行うには、第2シャッタゲート4の開閉のタイミング切り替えをより高速に行う必要がある。
なお、上記実施例は本発明の一例に過ぎず、上記実施例や上記各種変形例に限らず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
例えば、上記実施例ではシャッタゲートを二つ設けていたが、三つ以上設けてもよい。また、上記実施例では、ドリフト領域5中で分離したイオンを検出器6で検出していたが、例えばドリフト領域5中で分離したイオンを四重極マスフィルタ等の質量分離器に導入し、イオンをさらに質量電荷比に応じて分離したあとに検出してもよい。
1…イオン源
2…ドリフト電極群
2a…電極
3…第1シャッタゲート
4…第2シャッタゲート
5…ドリフト領域
6…検出器
6a…検出電極
7…ドリフト電圧発生部
8…シャッタ電圧発生部
9…制御部
91…測定モード切替部
10…入力部

Claims (3)

  1. パケット状のイオンを加速電場が形成されたドリフト領域中に導入しドリフトさせることで、イオンをイオン移動度に応じて分離するイオン移動度分析装置において、
    a)前記ドリフト領域の入口に配設された第1のシャッタゲートと、
    b)前記ドリフト領域中で前記第1のシャッタゲートよりもドリフト方向の下流側に配設された第2のシャッタゲートと、
    c)前記第1及び第2のシャッタゲートそれぞれに所定の電圧を印加する電圧生成部と、
    d)第1の測定モードにおいては、前記第1のシャッタゲートでイオンをパルス的に通過させ、前記第2のシャッタゲートでイオンを素通りさせるようにそれらシャッタゲートに電圧を印加し、第2の測定モードにおいては、前記第1のシャッタゲートでイオンを素通りさせ、前記第2のシャッタゲートでイオンをパルス的に通過させるようにそれらシャッタゲートに電圧を印加するように前記電圧生成部を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とするイオン移動度分析装置。
  2. 請求項1に記載のイオン移動度分析装置であって、
    少なくとも第1の測定モードと第2の測定モードとを選択指示するための指示部をさらに備え、前記制御部は該指示部での選択指示に応じて第1又は第2の測定モードに対応した制御を実施することを特徴とするイオン移動度分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載のイオン移動度分析装置であって、
    前記制御部は、第1、第2の測定モードに加えて、第3の測定モードにおいて、前記第1のシャッタゲートでイオンをパルス的に通過させ、前記第2のシャッタゲートで前記第1のシャッタゲートが開放された時点から所定時間遅延した時点で所定期間、イオンをパルス的に通過させるようにそれらシャッタゲートに電圧を印加するべく前記電圧生成部を制御することを特徴とするイオン移動度分析装置。
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