JP7245367B2 - 分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分析装置に関する。
電場のかかった気体中において試料ガスに含まれる成分をイオン化した陰イオンを移動させることにより陰イオンを分離し検出するイオン移動度分析(Ion Mobility Spectrometry、IMS)が知られている(例えば特許文献1参照)。イオン移動度分析では、IMSスペクトル(検出器へ到達するイオンの移動時間及び検出強度)から試料ガスに含まれるガスの種類及び濃度を測定することができる。
また、電極基板と表面電極との間に中間層を設けた電子放出素子が知られている(例えば、特許文献2参照)。この電子放出素子では、電子放出量が駆動直後に放出量のピークを示し、その後安定化する。
WO2016/079780A1 特開2016-081580号公報
従来のイオン移動度分析を用いて、試料ガスに含まれる低濃度ガス又はイオン化しにくいガスと、高濃度ガス又はイオン化しやすいガスとを分析する場合、測定条件を変えてそれぞれのガスを分析する必要があり、分析時間が長くなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、試料ガスに含まれる低濃度ガス又はイオン化しにくいガスと、高濃度ガス又はイオン化しやすいガスとを一度に計測することができる分析装置を提供する。
本発明は、電子放出素子と、イオンを検出するように設けられた検出部と、前記電子放出素子と前記検出部との間の領域に電位勾配を形成するように設けられた電場形成部と、前記電子放出素子と前記検出部との間に配置された静電ゲート電極と、前記電子放出素子の電子放出及び前記静電ゲート電極の開閉を制御するように設けられた制御部とを備え、前記電子放出素子は、下部電極、表面電極及び前記下部電極と前記表面電極との間に配置された中間層を有し、前記制御部は、前記電子放出素子と前記静電ゲート電極との間のイオン化領域に向けて前記電子放出素子から電子が放出されイオンが直接的又は間接的に生成されるように前記下部電極と前記表面電極との間にパルス電圧を印加するように設けられ、かつ、前記パルス電圧のパルス幅内において、前記イオン化領域のイオンを前記静電ゲート電極と前記検出部との間のドリフト領域に少なくとも2回注入するように前記静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられたことを特徴とする分析装置を提供する。
電子放出素子の下部電極と表面電極との間にパルス電圧を印加すると、パルス幅内において電子放出量がパルスの立ち上がり直後に放出量のピークを示しその後安定化するように電子放出素子から電子を放出させることができる。また、イオン化領域を大気圧とすることで、真空チャンバー不要の小型装置を実現でき、かつ放出された電子により直接的又は間接的に試料ガスをイオン化し、高密度のイオンを生成することができる。このため、電子放出量がピークを示す時間帯ではイオン化領域のイオンの量が多くなる。また、電子放出量が安定化した時間帯では、イオン化領域のイオンの量が安定化する。
パルス幅内において静電ゲート電極を少なくとも2回開け、ドリフト領域に少なくとも2回イオンを注入することにより、イオン化領域のイオンの量が多い時間帯で注入したイオンを検出することにより得られるIMSスペクトルと、イオン化領域のイオンの量が安定している時間帯で注入したイオンを検出することにより得られるIMSスペクトルとを測定することができる。
イオン化領域のイオンの量が多い時間帯でイオンをドリフト領域に注入すると、検出されるイオンの量が増えるため、IMSスペクトルでは、試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスのピークが高くなる。このため、低濃度のガス又はイオン化しにくいガスの検出能が向上する。
イオン化領域のイオンの量が安定している時間帯でイオンをドリフト領域に注入すると、安定した量のイオンがドリフト領域に注入され、安定した量のイオンが検出部に到達する。このため、分析装置の測定感度が安定化し、試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスを定量的に分析することが可能になる。また、ドリフト領域に注入されるイオンの全体的なイオン量が減少するため、ドリフト領域におけるイオンの拡散が抑制され、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスに対応するピークがシャープとなる。このため、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスの測定精度が向上する。また、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスのピーク強度が測定レンジを超えることを抑制することができる。
従って、本発明の分析装置を用いると、試料ガスに含まれる低濃度又はイオン化しにくいガスと、高濃度又はイオン化しやすいガスとを測定条件を変えることなく一度に高精度に計測することが可能になる。
本発明の一実施形態の分析装置の概略断面図である。 電子放出素子の下部電極と表面電極との間に印加するパルス電圧の変化及び電子放出素子の電子放出量の変化を示すグラフである。 電子放出素子の下部電極の電位の変化、イオン化領域のイオン量の変化及び静電ゲート電極の電位の変化を示すグラフである。 電子放出素子からグリッド電極までの電位勾配を示すグラフである。 電子放出素子からグリッド電極までの電位勾配を示すグラフである。 電子放出素子からグリッド電極までの電位勾配を示すグラフである。 IMSスペクトルである。 IMSスペクトルである。
本発明の分析装置は、電子放出素子と、イオンを検出するように設けられた検出部と、前記電子放出素子と前記検出部との間の領域に電位勾配を形成するように設けられた電場形成部と、前記電子放出素子と前記検出部との間に配置された静電ゲート電極と、前記電子放出素子の電子放出及び前記静電ゲート電極の開閉を制御するように設けられた制御部とを備え、前記電子放出素子は、下部電極、表面電極及び前記下部電極と前記表面電極との間に配置された中間層を有し、前記制御部は、前記電子放出素子と前記静電ゲート電極との間のイオン化領域に向けて前記電子放出素子から電子が放出されイオンが直接的又は間接的に生成されるように前記下部電極と前記表面電極との間にパルス電圧を印加するように設けられ、かつ、前記パルス電圧のパルス幅内において、前記イオン化領域のイオンを前記静電ゲート電極と前記検出部との間のドリフト領域に少なくとも2回注入するように前記静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられたことを特徴とする。
前記パルス電圧のパルス数が複数である場合、前記制御部は、複数のパルスのそれぞれのパルス幅内において、イオン化領域のイオンをドリフト領域に少なくとも2回注入するように静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられることが好ましい。このことにより積算平均化されたIMSスペクトルを得ることができ、IMSスペクトルのノイズを低減することができる。
前記制御部は、パルスの立ち上がりから所定時間が経過するまでにイオン化領域のイオンをドリフト領域に少なくとも1回注入しパルスの立ち上がりから前記所定時間が経過した後にイオン化領域のイオンをドリフト領域に少なくとも1回注入するように静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられることが好ましい。このことにより、イオン化領域のイオンの量の多い時間帯でドリフト領域に注入したイオンを検出することにより得られるIMSスペクトルと、イオン化領域のイオンの量が安定した時間帯で注入したイオンを検出することにより得られるIMSスペクトルとを測定することができる。
前記制御部は、電子放出素子の電子放出量がパルスの立ち上がり直後に放出量のピークを示しその後安定化するように下部電極と表面電極との間にパルス電圧を印加するように設けられることが好ましく、かつ、前記ピークの半値全幅内においてイオン化領域のイオンをドリフト領域に少なくとも1回注入するように静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられたことが好ましい。このことにより、イオン化領域のイオンの量の多い時間帯においてイオンをドリフト領域に注入することができる。
前記制御部は、電子放出素子の電子放出量が安定化した後にイオン化領域のイオンをドリフト領域に少なくとも1回注入するように設けられたことが好ましい。このことにより、イオン化領域のイオンの量が安定した時間帯においてイオンをドリフト領域に注入することができる。
前記制御部は、パルスの立ち上がりから1回目のイオン注入において静電ゲート電極の電位を高電位側から低電位側へ変化させるように設けられたことが好ましい。このことにより、ドリフト領域へイオンを注入することができる。
イオン注入時における静電ゲート電極付近のイオンの量を増やすことができ、ドリフト領域に注入されるイオンの量を増やすことができる。
前記制御部は、パルス電圧のパルス幅内において、イオン化領域のイオンをドリフト領域に偶数回注入するように静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられたことが好ましい。パルス電圧のパルス数が複数である場合、複数のパルスのそれぞれのパルス幅内においてイオンをドリフト領域に偶数回注入することができ、各パルスにおけるイオン注入条件を同じにすることができる。
以下、図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
図1は本実施形態の分析装置の概略断面図である。また、図1には本実施形態の分析装置の電気的構成を示すブロック図も示している。
本実施形態の分析装置40は、電子放出素子2と、イオンを検出するように設けられた検出部6と、電子放出素子2と検出部6との間の領域に電位勾配を形成するように設けられた電場形成部7と、電子放出素子2と検出部6との間に配置された静電ゲート電極8と、電子放出素子2の電子放出及び静電ゲート電極8の開閉を制御するように設けられた制御部12とを備え、電子放出素子2は、下部電極3、表面電極4及び下部電極3と表面電極4との間に配置された中間層5を有し、制御部12は、電子放出素子2と静電ゲート電極8との間の大気圧のイオン化領域10に向けて電子放出素子2から電子が放出されイオンが直接的又は間接的に生成されるように下部電極3と表面電極4との間にパルス電圧を印加するように設けられ、かつ、前記パルス電圧のパルス幅内において、イオン化領域10のイオンを静電ゲート電極8と検出部6との間のドリフト領域11に少なくとも2回注入するように静電ゲート電極8の電位を変化させるように設けられたことを特徴とする。
なお、イオンは、陰イオンであってもよく、陽イオンであってもよい。
本実施形態の分析装置40は、試料をイオン移動度分析(IMS)で分析する装置である。分析装置40はイオン移動度スペクトロメータであってもよい。
分析装置40で分析する試料ガスは、気体試料であってもよく、液体や固体を気化した試料であってもよい。
制御部12は、分析装置40を制御する部分である。制御部12は、例えば、CPU、メモリ、タイマー、入出力ポートなどを有するマイクロコントローラを含むことができる。また、制御部12は、電源部17、電位制御回路19、検出回路26などを含むことができる。また、制御部12は、電子放出素子2の電子放出及び静電ゲート電極8の電気的な開閉を制御するように設けられる。
本実施形態の分析装置40は、試料ガスの成分を分析する分析チャンバー30を有し、分析チャンバー30は、電子放出素子2と検出部6(コレクター18)との間に試料ガスの成分をイオン化しイオンを生成するためのイオン化領域10と、陰イオンを移動させ分離するためのドリフト領域11とを有する。イオン化領域10とドリフト領域11とは、静電ゲート電極8により仕切られ、大気圧とする。また、イオン化領域10の静電ゲート電極8と逆の端には、表面電極4がイオン化領域側となるように電子放出素子2が配置される。また、ドリフト領域11の静電ゲート電極8と逆の端には、検出部6(コレクター18)が配置される。
試料注入部16は、分析チャンバー30に試料ガスを注入する部分である。この注入された試料ガスに含まれる成分がイオン移動度分析により分析される。試料が気体である場合、試料注入部16は試料ガスを連続的に分析チャンバー30に供給するように設けることができる。また、試料が液体である場合、試料注入部16は気化室を有することができ、この気化室で気化した試料ガスを分析チャンバー30に供給することができる。また、試料注入部16は、試料の沸点よりも高い温度に保持した分析チャンバー30に液体試料を注入して、試料を分析チャンバー30において気化してもよい。また、試料注入部16は、ガスクロマトグラフィで分離した気体又は液体クロマトグラフィで分離した液体など、予め分離手段を用いて分離させた試料を分析チャンバー30に注入するように設けられてもよい。
試料注入部16は、電子放出素子2のイオン化領域側と反対側の分析チャンバー30に試料ガスを供給するように設けることができる。例えば、試料注入部16は、電子放出素子2のイオン化領域10側と反対側の筐体28の開口から試料ガスを電子放出素子2の裏側の分析チャンバー30に供給するように設けることができる。電子放出素子2の裏側の分析チャンバー30に供給された試料ガスは、電子放出素子2の側部又は上部を回り込みイオン化領域10へと流れる。
また、試料注入部16は、イオン化領域10の側部の筐体28の開口(試料ガス入口)から分析チャンバー30へ試料ガスを供給するように設けることもできる。
また、試料注入部16は、前処理された試料ガスを分析チャンバー30に供給するように設けられてもよい。前処理は、例えば、試料ガスに含まれる高濃度ガスの濃度を低減させる処理である。このような前処理を行うことにより、試料ガスに含まれる低濃度ガスの測定を高濃度ガスが阻害することを抑制することができる。
ドリフトガス注入部15は、ドリフトガスを分析チャンバー30に注入するように設けられた部分である。ドリフトガスは、ドリフト領域11においてイオンの移動方向とは逆方向に流すガスであり、イオンがドリフト領域11を移動する際の抵抗となるガスである。ドリフトガスは、乾燥空気であってもよく、不活性ガスであってもよい。また、ドリフトガスには、CO2ガスやイオン化を補助するためのドーパントを混合させてもよい。ドリフトガス注入部15は、圧縮気体シリンダーの気体を分析チャンバー30に注入するように設けてもよく、ポンプにより気体を分析チャンバー30に注入するように設けてもよく、排気部20が分析チャンバー30の気体を強制排気することにより自然に気体を分析チャンバー30に吸い込むように設けてもよい。また、ドリフトガス注入部15は、排気部20により分析チャンバー30から排出された気体を浄化した後の気体を分析チャンバー30に供給するように設けられてもよい。
排気部20は、分析チャンバー30の気体を排出するように設けられた部分である。排気部20は、ドリフトガス及び試料を分析チャンバー30から排出するように設けられる。排気部20は、排気ファンなどにより分析チャンバー30の気体を強制排気するように設けられてもよく、分析チャンバー30の気体を自然排気するように設けられてもよい。
試料注入部16及び排気部20は、試料ガスがイオン化領域10を流れるように設けることができる。このことにより、イオン化領域10において電子放出素子2の表面電極4から放出させた電子により直接的又は間接的に試料ガスに含まれる成分をイオン化しイオンを生成することができる。
ドリフトガス注入部15及び排気部20は、ドリフト領域11においてドリフトガスがコレクター側から静電ゲート電極側に向かって流れるように設けられる。例えば、ドリフトガス注入部15は、コレクター側からドリフトガスをドリフト領域11に供給するように設けることができ、排気部20は、イオン化領域10の周りの筐体28の開口(ガス出口)からドリフトガスを排気するように設けることができる。このような配置にすることで、イオン化していないガスがドリフト領域11へ流入することを防ぎ、ノイズ源やドリフト領域11への試料ガスの付着を減らすことが可能となる。
ノイズやドリフト領域11への試料ガスの付着が少ない場合、ドリフトガス注入部15の位置に特に制限はなく、電子放出素子2側からドリフトガスを分析チャンバー30に注入してもよい。また、分析チャンバー30にドリフトガスを注入しなくてもよい。この場合、ドリフトガス注入部15は設けられない。
電子放出素子2は、表面電極4から電子を放出するように設けられた素子であり、この放出された電子により直接的又は間接的に試料ガスに含まれる成分をイオン化しイオンを生成するための素子である。
電子放出素子2は、下部電極3と、表面電極4と、下部電極3と表面電極4との間に配置された中間層5とを有する。
表面電極4は、電子放出素子2の表面に位置する電極である。表面電極4は、好ましくは10nm以上100nm以下の厚さを有することができる。また、表面電極4の材質は、例えば、金、白金である。また、表面電極4は、複数の金属層から構成されてもよい。
表面電極4は、40nm以上の厚さを有する場合であっても、複数の開口、すき間、10nm以下の厚さに薄くなった部分を有してもよい。中間層5を流れた電子がこの開口、すき間、薄くなった部分を通過又は透過することができ、表面電極4から電子を放出することができる。このような開口、すき間、薄くなった部分は、下部電極3と表面電極4との間に電圧を印加することによっても形成することができる。
下部電極3は、中間層5を介して表面電極4と対向する電極である。下部電極3は、金属板であってもよく、絶縁性基板上もしくはフィルム上に形成した金属層又は導電体層であってもよい。また、下部電極3が金属板からなる場合、この金属板は電子放出素子2の基板であってもよい。下部電極3の材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどである。下部電極3の厚さは、例えば200μm以上1mm以下である。
中間層5は、表面電極4と下部電極3とに電圧を印加することにより形成される電界により電子が流れる層である。中間層5は、半導電性を有することができる。中間層5は、絶縁性樹脂、絶縁性微粒子、金属酸化物のうち少なくとも1つを含むことができる。また、中間層5は導電性材料を含むことが好ましい。中間層5の厚さは、例えば、0.5μm以上1.8μm以下とすることができる。
電子放出素子2は、表面電極4と下部電極3との間に絶縁層29を有してもよい。この絶縁層29は、開口を有することができる。絶縁層29の開口は、表面電極4の電子放出領域を規定するように設けられる。絶縁層29には電子が流れることができないため、絶縁層29の開口に対応する中間層5に電子が流れ表面電極4から電子が放出される。従って、開口を有する絶縁層29を設けることにより、表面電極4に形成される電子放出領域が規定される。電子放出領域は、例えば5mm角の領域とすることができ、電場形成用電極9の開口部やコレクター18の大きさなどに併せて自由に設計することができる。
表面電極4及び下部電極3はそれぞれ制御部12と電気的に接続することができる。制御部12の電位制御回路19を用いて下部電極3の電位を表面電極4の電位と実質的に同じにすると、中間層5には電流は流れず電子放出素子2から電子は放出されない。
電位制御回路19を用いて下部電極3の電位が表面電極4の電位よりも低くなるように下部電極3と表面電極4との間に電圧を印加すると中間層5に電流が流れ、中間層5を流れた電子が表面電極4を通過しイオン化領域10へ放出される。電子放出素子2から電子を放出させるために下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧は、例えば5V以上40V以下とすることができる。
制御部12の電位制御回路19は、下部電極3と表面電極4との間にパルス電圧を印加するように設けられる。パルス電圧は、印加電圧が矩形波となるような電圧である。パルス電圧は単発パルスであってもよく、連続パルスであってもよい。分析装置40により連続的に測定を行い測定結果を積算平均化する場合、連続パルスとすることができる。
パルス電圧の一周期において、電位制御回路19は、パルスオフ→パルスの立ち上がり→パルスオン→パルスの立ち下がり→パルスオフとなるように下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧を変化させる。パルスオフの時間帯では、電位制御回路19は、下部電極3の電位と表面電極4の電位とが実質的に同じとなるように電位を調節する。パルスオンの時間帯では、電位制御回路19は、下部電極3の電位が表面電極4の電位よりも低くなるように電位を調節する。また、パルスオンの時間帯では、電位制御回路19は、表面電極4と下部電極3との電位差が実質的に一定となるように電位を調節する。パルス幅は、パルスの立ち上がりからパルスの立ち下がりまでのパルスオンの持続時間である。
電位制御回路19が下部電極3と表面電極4との間に印加するパルス電圧のパルス幅は例えば10ミリ秒以上10秒以下とすることができる。
例えば、電位制御回路19が表面電極4の電位が-1000Vとなるように電圧を印加する場合、電位制御回路19が下部電極3の電位が-1000Vとなるように電圧を印加することによりパルスオフとすることができ、電位制御回路19が下部電極3の電位が-1020Vとなるように電圧を印加することによりパルスオンとすることができる。
パルスオフの時間帯では、下部電極3と表面電極4との間には電流は流れず、電子放出素子2から電子は放出されない。
パルスが立ち上がりパルスオンとなると、電子放出素子2の電子放出量は増加し、電子放出量のピークを示す。その後、電子放出量はある程度減少し電子放出素子2から安定した量の電子が放出される。
パルスが立ち下がりパルスオフとなると、電子放出素子2の電子放出量は減少し、電子放出素子2から電子が放出されなくなる。
パルス電圧が連続パルスの場合、電子放出素子2の電子放出量は、パルスの繰り返しの度にこのような変化を示す。
図2(a)は、電位制御回路19を用いて電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加するパルス電圧の変化を示すグラフであり、図2(b)は、図2(a)に示したパルス電圧に対応する電子放出素子2の電子放出量の変化を示すグラフである。
例えば、電位制御回路19は図2(a)に示したようなパルス電圧を下部電極3と表面電極4との間に印加することができる。このようなパルス電圧を印加すると、電子放出素子2の電子放出量は、例えば、図2(b)に示したグラフのように変化する。
電子放出素子2の電子放出量がパルスの立ち上がりの直後にピークを示す理由は明らかではないが、パルスの立ち上がり直後に下部電極3と表面電極4との間に流れる電流が大きくなることが実験的に観察されている。下部電極3と表面電極4との間に流れる電流と電子放出量は比例関係にあるため、電子放出素子2の電子放出量がパルスの立ち上がりの直後にピークを示すと考えられる。
また、パルス立ち上がり後、時間が経過すると下部電極3と表面電極4との間に流れる電流は一定となることが確認されているため、電子放出素子2の電子放出量が安定化する。
また、電子放出素子2の総駆動時間が長くなると表面電極4や中間層3などが劣化し電子放出素子2の電子放出特性が低下する場合がある。このため、下部電極3と表面電極4との間にパルス電圧を印加することにより、電子放出素子2の実質的な駆動時間を短くすることができ、電子放出素子2の寿命特性を向上させることができる。また、下部電極3と表面電極4との間にパルス電圧を印加することにより、空間電荷制限効果による電子放出の阻害効果が働かないため電子放出素子2によるイオン化効率を向上させることができる。
大気圧のイオン化領域10へ放出された電子は、直ちにガス分子と衝突しガス分子の陰イオンを高密度に形成する。試料注入部16はイオン化領域10に試料ガスを供給するため、表面電極4付近に試料ガスに含まれる成分が存在するとき、表面電極4から放出された電子が試料ガスに含まれる成分に衝突し陰イオンが生成する。また、ドリフトガスが乾燥空気である場合、表面電極4付近には酸素ガスが豊富に存在するため、表面電極4から放出された電子が酸素ガスに衝突し、酸素の陰イオンが生成される。この酸素の陰イオンは、イオン化領域10において試料ガスに含まれる成分に電荷を受け渡し試料ガスに含まれる成分の陰イオンを生成する。従って、電子放出素子2を用いてイオン化領域10に試料ガスに含まれる成分の陰イオンを間接的に生成することができる。電子放出素子2による酸素の陰イオン生成は、電子放出素子2から放出された電子が持つエネルギーが針放電などにより生成された電子よりも小さいため、針放電による陰イオン化よりも格段にオゾンの生成が少ない。そのためオゾンガスによる試料ガスの分解が起こらないため、検出精度の向上が見込める。
従って、イオン化領域10のイオン量は、電子放出素子2の電子放出量の変化に応じて変化する。つまり、電子放出素子2の電子放出量が増加するとイオン化領域10のイオン量は増加し、電子放出素子2の電子放出量が減少するとイオン化領域10のイオン量は減少する。
例えば、電位制御回路19を用いて、図3に示したグラフの実線のように電子放出素子2の下部電極3の電位を変化させると(表面電極4の電位は-1000Vで一定)、イオン化領域10のイオン量は図3に示したグラフの一点鎖線のように変化する。
試料ガスは例えばガスAとガスBとを含むことができる。ガスAは低濃度ガス又はイオン化しにくいガスであり、ガスBは高濃度ガス又はイオン化しやすいガスとする。また、ガスAはガスBよりもイオン移動度が大きいガスとする。
試料ガスがガスAとガスBとを含んでいる場合、イオン化領域10においてガスAの陰イオンとガスBの陰イオンとを生成することができる。
生成した陰イオンは、電場形成部7及び電子放出素子2を用いてイオン化領域10に形成される電位勾配により静電ゲート電極8に近づくように移動する。
また、制御部12は、イオン化領域10の気体成分のイオン化エネルギーよりも高いエネルギーの電子が電子放出素子2から放出されるように下部電極3と表面電極4との間に電圧を印加することができる。この放出された電子が表面電極4の近傍の気体成分に衝突することにより、気体成分から1個の電子を取り去ることができ、気体成分の陽イオンを生成することができる。この陽イオンは、イオン化領域10において試料ガスに含まれる成分に電荷を受け渡し試料ガスに含まれる成分の陽イオンを生成する。
生成した陽イオンは、電場形成部7及び電子放出素子2を用いてイオン化領域10に形成される電位勾配により静電ゲート電極8に近づくように移動する。
なお、分析装置40で陰イオンを分析する場合(陰イオンモード)と、陽イオンを分析する場合(陽イオンモード)とでは、イオン化領域10及びドリフト領域11に形成される電位勾配の傾きが逆になる。また、陽イオンモードと陰イオンモードでは、イオン化領域10・ドリフト領域11・静電ゲート電極8の電界の向きや極性を逆にすることができる。
電場形成部7は、電子放出素子2と検出部6(コレクター18)との間の領域に電位勾配を形成するための部分である。電場形成部7は、イオンが電子放出素子側から検出部側へ移動するような電位勾配を形成するように設けられる。電場形成部7は、複数の電場形成用電極9a~9h(以後、電場形成用電極9ともいう)から構成されてもよい。電場形成用電極9は、電子放出素子2と検出部6との間の領域に電位勾配を形成することができればその形状は限定されないが、例えば、リング状電極であってもよく、アーチ状電極であってもよい。複数の電場形成用電極9は、リング内部又はアーチ内側にイオン化領域10及びドリフト領域11が形成されるように一列に並ぶ。また、電場形成部7を構成する複数の電場形成用電極9は、それぞれ制御部12の電位制御回路19と電気的に接続する。
電場形成部7に含まれる隣接する2つの電場形成用電極9は抵抗体を挟んで電気的に接続することができる。このことにより隣接する2つの電場形成用電極9の間に電位差を生じさせることができ、それぞれの電極間にこの電位差を生じさせることにより電子放出素子2と検出部6(コレクター18)との間の領域に電位勾配を形成することができる。
例えば、図1に示した分析装置40では、電場形成部7は、複数の電場形成用電極9a~9hから構成され、隣接する2つの電場形成用電極9は抵抗体を挟んで電気的に接続している。電場形成用電極9は測定対象となるガス種により、個数や配置間隔を増減させてもよい。また、複数の電場形成用電極9のうち最も検出部6(コレクター18)に近い電極9hは、グリッド電極25に抵抗体を挟んで電気的に接続している。また、グリッド電極25は例えばグラウンドに接続している。また、検出部6から最も遠い電極9aの電位を電位制御回路19により制御することができる。例えば、陰イオンを検出する場合、電位制御回路19は、電極9aの電位が例えば-1080Vとなるように電圧を印加することができる。また、グリッド電極25はグラウンドに接続するため0Vとなる。また、隣接する2つの電場形成用電極9は抵抗体を挟んで電気的に接続するため、一列に並んだ複数の電場形成用電極9の電位は検出部6に近づくに従い階段状に高くなる。このため、電子放出素子2と検出部6との間の領域(イオン化領域10及びドリフト領域11)に検出部6に近づくに従い電位が徐々に高くなる電位勾配を形成することができる。ただし、この電位勾配は、静電ゲート電極8近辺において静電ゲート電極8の電位により変化する。
また、この場合、電位制御回路19は、電子放出素子2(表面電極4)の電位が例えば-1000Vとなるように電子放出素子2に電圧を印加することができる。なお、電極9aへの印加電圧を変えた際は電位勾配を考慮して、素子2の電位を変える必要がある。
また、陽イオンモードでは、印加電圧の極性を逆にすることができる。
静電ゲート電極8は、イオン化領域10とドリフト領域11とを仕切る電極であり、イオン化領域10において生成したイオンのドリフト領域11への注入をイオンと静電ゲート電極8との静電相互作用を利用して制御する電極である。
静電ゲート電極8は、リング状電極であってもよく、グリッド電極であってもよく、リング状電極の開口にグリッド電極を設けた電極であってもよい。静電ゲート電極8は、好ましくはグリッド電極である。静電ゲート電極8は、電場形成部7を構成する複数の電場形成用電極9と共に一列に並べて配置することができる。静電ゲート電極8は、制御部12の電位制御回路19と電気的に接続することができる。また、静電ゲート電極8は、電場形成部7により形成される電位勾配を変化させることができるように設けられる。
制御部12の電位制御回路19は、静電ゲート電極8の電位を変化させて静電ゲート電極8のオープン状態とクローズ状態とを切り替えることができるように静電ゲート電極8の電位を制御する。
電位制御回路19は、例えば、図3に示したグラフの破線のように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。ここでは、陰イオンを分析する場合について説明する。
例えば、静電ゲート電極8の電位が電子放出素子側の隣接する電場形成用電極9bよりも小さい場合(図3に示したグラフでは、静電ゲート電極8の電位が-700Vの場合)、電子放出素子2とグリッド電極25との間の電位勾配は、図4に示したグラフのようになる。この場合、イオン化領域10の陰イオンは、静電相互作用により静電ゲート電極8に近づくことができず(陰イオンには静電ゲート電極8から反発する向きの力が働く)、静電ゲート電極8を通過することはできない。このため、静電ゲート電極8はクローズ(低電位側クローズ)となる。
例えば、静電ゲート電極8の電位が検出部側の隣接する電場形成用電極9cよりも大きい場合(図3に示したグラフでは、静電ゲート電極8の電位が-250Vの場合)、電子放出素子2とグリッド電極25との間の電位勾配は、図5に示したグラフのようになる。この場合、イオン化領域10の陰イオンは、静電ゲート電極8に吸い寄せられるように移動し、陰イオンの電荷が静電ゲート電極8へと移動し陰イオンが中性化する。このため、陰イオンは静電ゲート電極8を通過することができず、静電ゲート電極8はクローズ(高電位側クローズ)となる。
例えば、静電ゲート電極8の電位が電子放出素子側の隣接する電場形成用電極9bよりも大きく、検出部側の隣接する電場形成用電極9cよりも小さい場合、電子放出素子2とグリッド電極25との間の電位勾配は、電子放出素子2からグリッド電極25に近づくにつれ徐々に電位が高くなるような電位勾配となる。例えば、図6に示したグラフのようになる。この場合、イオン化領域10の陰イオンは静電ゲート電極8を通過することができ、静電ゲート電極8はオープンとなる。
電位制御回路19を用いて、静電ゲート電極8がオープンとなる電位範囲よりも高い電位(図3のグラフでは-250V)から前記電位範囲よりも低い電位(図3のグラフでは-700V)となるように静電ゲート電極8に印加する電圧を瞬間的に変化させた場合、静電ゲート電極8は、クローズ(高電位側クローズ)→オープン→クローズ(低電位側クローズ)と瞬間的に変化する。
また、電位制御回路19を用いて、静電ゲート電極8がオープンとなる電位範囲よりも低い電位(図3のグラフでは-700V)から前記電位範囲よりも高い電位(図3のグラフでは-250V)となるように静電ゲート電極8に印加する電圧を瞬間的に変化させた場合、静電ゲート電極8は、クローズ(低電位側クローズ)→オープン→クローズ(高電位側クローズ)と瞬間的に変化する。
従って、電位制御回路19を用いてこのように静電ゲート電極8に印加する電圧を変化させることにより、静電ゲート電極8をごく短い時間だけオープン状態とすることができ、イオン化領域10の陰イオンをこの短い時間にだけドリフト領域11に注入することができる。従って、イオン化領域10の陰イオンを単発パルス状にドリフト領域11に注入することができる。
また、陽イオンを分析する場合も静電ゲート電極8に印加する電圧を変化させることにより、イオン化領域10の陽イオンを単発パルス状にドリフト領域11に注入することができる。
このドリフト領域11に注入されたイオンがドリフト領域11を移動する間に分離され検出部6で検出され検出電流量が測定される。イオンをドリフト領域11へ複数回注入する場合、イオンのドリフト領域11への注入ごとにイオンが検出部6により検出され、検出電流が測定される。測定された複数の検出電流量の変化は、積算平均化されIMSスペクトルとして表されてもよい。また、測定された複数の検出電流量の変化は、イオンをドリフト領域11へ注入するタイミングに応じて別々のIMSスペクトルとして表されてもよい。
イオンがドリフト領域11に注入される時間は例えば0.1μ秒間以上50μ秒間以下とすることができる。また、イオン化領域10に複数種のイオンが存在する場合、複数種のイオンは同時にドリフト領域11に単発パルス状に注入される。
また、静電ゲート電極8を低電位側クローズ→オープン→高電位側クローズ→オープン→低電位側クローズ→オープン→高電位側クローズなどと変化させることにより、イオン化領域10のイオンをドリフト領域11に連続パルス状に注入することができる。
電位制御回路19は、電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加するパルス電圧がパルスオンとなっているタイミングで静電ゲート電極8がオープンとなるように、電子放出素子2に印加する電圧と静電ゲート電極8に印加する電圧とのタイミングを合わせる。このことにより、電子放出素子2を常にオンにする必要がなく、電子放出素子2の寿命特性を向上させることができる。
ドリフト領域11に注入されたイオンは、電位制御回路19が電場形成部7、グリッド電極25に印加することにより形成される電位勾配によりドリフト領域11を検出部6(コレクター18)へと向かって移動し、検出部6へ到達する。なお、ドリフト領域11におけるイオンの途中拡散や壁面への付着などのため検出部6で検出されるイオン量は注入されたイオン量よりも減少する。
また、ドリフト領域11において検出部6側から静電ゲート電極8側に向かって流れるドリフトガスは、静電ゲート電極8から検出部6へと向かって移動するイオンの抵抗となる。この抵抗の大きさ(イオンの移動度)はイオン種により異なる。一般的に移動度はイオンの衝突断面積に反比例するため、イオンの衝突断面積が大きいほどイオンが検出部6(コレクター18)に到達するためにかかる時間が長くなる。従って、静電ゲート電極8によりドリフト領域11に注入されてから検出部6へと到達するまでの時間(移動時間、ピーク位置)がイオンのイオン種により異なる。従って、この移動時間(ピーク位置)に基づきイオン(試料に含まれる成分)を特定することが可能になる。また、試料ガスに含まれる複数の成分のイオンをドリフト領域11において分離することができる。
また、イオンが静電ゲート電極8から検出部6まで移動する時間は装置の設計(静電ゲート電極8から検出部6までの距離、電場形成用電極9への印加電圧など)により異なるが、小型の分析装置40の場合であれば、イオンは検出部6に、ドリフト領域の距離の設計にもよるが、例えば数ミリ秒で到達する。
検出部6は、電位勾配によりドリフト領域11を移動してきたイオンを検出するように設けられる。検出部6は、例えば、電位イオン検出器、フェデラーカップなどである。
検出部6は、イオンの電荷を集める金属製のコレクター18を有することができる。また、コレクター18は制御部12の検出回路26と電気的に接続することができる。また、この検出回路26は、コレクター18に電荷が溜まることにより生じる電流を測定するように設けられる。
イオンがドリフト領域11に注入されてから、ドリフト領域11で分離されたそれぞれのイオンがコレクター18に到達までの検出部6の検出電流量の変化がIMSスペクトルとなり、分離されたそれぞれのイオンは、IMSスペクトルのピークとして現れる。IMSスペクトルは、例えば、図7、図8に示したようなスペクトルとなる。
試料ガスが複数の成分を含む場合、各成分のイオンはドリフト領域11において分離されて検出部6に到達するため、検出回路26により検出される電流量の変化(IMSスペクトル)は、各イオンの移動時間に対応したピークを有する。
このピーク位置(イオンの移動時間)はイオン種により異なるため、試料ガスに含まれる成分の種類を特定することが可能になる。また、ピーク面積から試料ガスに含まれる成分の濃度を定量分析することが可能になる。
ドリフト領域11に複数回イオンを注入する場合、イオンの注入ごとにIMSスペクトルを測定してもよく、各イオン注入に対応する検出電流量の変化を積算平均化してIMSスペクトルを測定してもよい。
分析装置40の測定感度は、電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧、検出回路26の検出感度などを調節することにより変えることができる。
例えば、分析装置40を用いて試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスを測定する場合、下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧を大きくし、検出回路26の検出感度を高くする。このことにより、IMSスペクトルにおいて試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスに対応するピークを高くすることができ、このガスを感度よく検出することができる。
下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧を大きくすると、電子放出素子2の電子放出量が多くなり、イオン化領域10のイオン量が多くなる。また、ドリフト領域11に注入されるイオンの量が多くなり、検出部6へ到達するイオンの量が多くなる。このため、測定感度が向上する。ただし、下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧を大きくすると、電子放出素子2の劣化が速くなり寿命特性が低下するため、印加電圧の大きさには上限がある。
また、検出回路26の検出感度を高くするとノイズも大きくなる。このため、測定感度の向上には限界がある。
試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスを感度よく測定するために、分析装置40の測定感度を高くすると、試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスに対応するピークの高さが高くなり、検出回路26の検出電流量が飽和し測定レンジを超えてしまう場合がある。この場合、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスを適切に測定することが難しくなる場合がある。
分析装置40を用いて試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスを測定する場合、下部電極3と表面電極4との間に印加する電圧を小さくし、検出回路26の検出感度を低くする。このことにより、IMSスペクトルにおいて試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスに対応するピークを低くすることができ、このピークが検出回路26の測定レンジを超えてしまうことを抑制することができる。このことにより、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスを適切に測定することができる。
試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスを感度よく測定するために、分析装置40の測定感度を低くすると、試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスに対応するピークの高さが低くなり、低濃度のガス又はイオン化しにくいガスを適切に測定することが難しくなる場合がある。
従って、試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスと、低濃度のガス又はイオン化しにくいガスとの両方を通常の方法で測定する場合、分析装置40の測定条件を変えて複数回測定する必要があり、測定時間が長くなる場合がある。また、前処理を施した試料ガスを分析チャンバー30に供給する必要が生じる場合がある。このような課題を解決するために制御部12の電位制御回路19は、電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加するパルス電圧がパルスオンとなっている時間帯(パルス幅)においてイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に少なくとも2回注入するように静電ゲート電極8の電位を変化させる。また、電位制御回路19は、パルス電圧がパルスオンとなっている時間帯(パルス幅)において電子放出素子2の電子放出量が多い時間帯と、電子放出素子2の電子放出量が安定化した時間帯とのそれぞれにおいてイオンをドリフト領域11に注入するように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。
パルス幅内におけるイオンの注入回数は特に限定されないが、例えば、2回以上200回以下とすることができる。
前述のように、パルス幅の時間内において、電子放出素子2の電子放出量は、例えば図2(b)のように、パルスが立ち上がりパルスオンとなると増加し、電子放出量のピークを示し、その後、ある程度減少し電子放出素子2から安定した量の電子が放出される。このため、イオン化領域10のイオン量も、例えば図3に示した一点鎖線のように、パルスが立ち上がりパルスオンとなると増加し、イオン量のピークを示し、その後、ある程度減少し安定した量となる。
従って、パルス幅の時間内にイオン化領域10のイオン量が多い時間帯と、イオン化領域10のイオン量が安定した時間帯とがある。
電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加するパルス電圧のパルス数が複数の場合、それぞれのパルスのパルス幅の時間内において、イオン化領域10のイオン量は、例えば図3に示した一点鎖線のように、同じような変化を示す。
イオン化領域10のイオン量が多い時間帯においてイオン化領域10のイオンがドリフト領域11に注入されるように静電ゲート電極8の電位を変化させると、より多くのイオンがドリフト領域11に注入され、検出部6に到達するイオンの量が増加する。このため、分析装置40の測定感度が向上し、試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスを感度よく検出することができる。
例えば、試料ガスに含まれる高濃度のガスB(又はイオン化しやすいガスB)と、低濃度のガスA(又はイオン化しにくいガスA)との両方を測定する場合、低濃度のガスA(又はイオン化しにくいガスA)のピークの高いIMSスペクトルを得ることができる。例えば、IMSスペクトルは図7のようになる。なお、図7では、ガスBのピークは、検出回路26の検出レンジを超えていないが、ガスBの濃度などにより検出レンジを超える場合がある。
例えば、図2、3に示した第1回目の静電ゲート電極「開」のタイミングでイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に注入することができる。制御部12の電位制御回路19は、例えば図3に示した破線のように、静電ゲート電極8の電位を高電位側から低電位側に変化させることができる。
制御部12の電位制御回路19は、パルス電圧のパルスの立ち上がりから所定時間が経過するまでにイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に少なくとも1回注入するように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。このことにより、イオン化領域10のイオン量が多い時間帯においてイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に注入することができ、試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスを感度よく検出することができる。
前記所定時間は、電子放出素子2の電子放出量のピークに対応するイオンが静電ゲート電極8に到達するまでの時間である。この所定時間は、分析装置40の設計によって変動するが、例えば、50μ秒間以上10m秒間以下である。
制御部12の電位制御回路19は、電子放出素子2の電子放出量のピークの半値全幅内においてイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に少なくとも1回注入するように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。このことにより、試料ガスに含まれる低濃度のガス又はイオン化しにくいガスを感度よく検出することができる。
電子放出量のピークの半値全幅は、電子放出量が安定化した時間帯の電子放出量をベースラインとしたときのピーク高さの2分の1におけるピーク幅とすることができる(図2(b)参照)。
電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加するパルス電圧のパルス数が複数である場合、制御部12の電位制御回路19は、複数のパルスのそれぞれのパルス幅内において、イオン化領域10のイオン量が多い時間帯(パルスの立ち上がり直後に電子放出量のピークを示す時間帯)にイオンがドリフト領域11に注入されるように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。
また、パルス電圧の各パルスにおけるイオン量が多い時間帯のイオン注入に対応した検出電流量の変化を積算平均化してIMSスペクトルを得てもよい。このことにより、IMSスペクトルのノイズを低減することができる。例えば、イオン量が多い時間帯のイオン注入をパルス毎に1回行う場合、積算平均化したIMSスペクトルの積算回数はパルス電圧のパルス数と同じになる。例えば、図3に示したグラフではパルス電圧のパルス数は2であり、それぞれのパルスのパルス幅内の第1回目の静電ゲート電極8「開」に対応した検出電流量の変化を積算平均化してIMSスペクトルを得ることができる。
イオン化領域10のイオン量が安定した時間帯においてイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に注入すると、安定した量のイオンがドリフト領域11に注入され、安定した量のイオンが検出部6に到達する。このため、分析装置40の測定感度が安定化し、試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスを定量的に分析することが可能になる。また、ドリフト領域11に注入されるイオンの全体的なイオン量が減少するため、ドリフト領域11におけるイオンの拡散が抑制され、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスに対応するピークがシャープとなる。このため、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスの測定精度が向上する。また、高濃度のガス又はイオン化しやすいガスのピーク強度が検出回路26の測定レンジを超えることを抑制することができる。
例えば、試料ガスに含まれる高濃度のガスB(又はイオン化しやすいガスB)と、低濃度のガスA(又はイオン化しにくいガスA)との両方を測定する場合、高濃度のガスB(又はイオン化しやすいガスB)のピークがシャープになりピーク高さが安定化したIMSスペクトルを得ることができる。例えば、IMSスペクトルは図8のようになる。イオン量が安定した時間帯においてイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に注入すると、ドリフト領域11に注入されるイオンの量が減少するため、低濃度のガスAに対応するピークがIMSスペクトルに表れない場合がある。
イオン化領域10のイオン量が安定した時間帯におけるドリフト領域11へのイオンの注入は、複数回行うことができる。また、各イオン注入に対応した検出電流量の変化を測定することができる。測定された複数の検出電流量の変化を積算平均化してIMSスペクトルを得ることができ、IMSスペクトルのノイズやバラツキを低減することができる。
例えば、図2では、第2回目~第i回目までのゲート電極「開」のようなタイミングでドリフト領域11へイオンを(i―1)回注入することができる。この場合、積算平均化したIMSスペクトルの積算回数は(i―1)回とすることができる。
また、図3では、それぞれのパルスにおいて、第2回目~第4回目までの静電ゲート電極「開」のようなタイミングでドリフト領域11へイオンを3回注入している。
制御部12の電位制御回路19は、パルス電圧のパルスの立ち上がりから所定時間が経過した後にイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に少なくとも1回注入するように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。このことにより、イオン化領域10のイオン量が安定化した時間帯においてイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に注入することができ、試料ガスに含まれる高濃度のガス又はイオン化しやすいガスを定量的に分析することが可能になる。
前記所定時間は、電子放出素子2の電子放出量のピークに対応するイオンが静電ゲート電極8に到達するまでの時間である。この所定時間は、分析装置40の設計によって変動するが、例えば、50μ秒間以上10m秒間以下である。
好ましくは、電位制御回路19は、パルス電圧のパルスの立ち上がりから2m秒間が経過した後にイオン化領域10のイオンをドリフト領域11に少なくとも1回注入するように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。
電子放出素子2の下部電極3と表面電極4との間に印加するパルス電圧のパルス数が複数である場合、制御部12の電位制御回路19は、複数のパルスのそれぞれのパルス幅内において、イオン化領域10のイオン量が安定化した時間帯(電子放出量がピークを示した後の電子放出量が安定した時間帯)にイオンがドリフト領域11に注入されるように静電ゲート電極8の電位を変化させることができる。また、これらの注入に対応した検出電流量の変化を積算平均化してIMSスペクトルを得てもよい。このことにより、IMSスペクトルのノイズを低減することができる。
例えば、図3に示したグラフでは、それぞれのパルスのパルス幅内の第2~4回目の静電ゲート電極8「開」に対応した検出電流量の変化を積算平均化してIMSスペクトルを得ることができる。
例えば、パルス電圧の各パルスにおけるイオン化領域10のイオン量が安定化した時間帯でのイオン注入が(i―1)回である場合(iは、パルス幅内でのイオン注入回数)、積算平均化したIMSスペクトルの積算回数は(電子放出素子2に印加するパルス数)×(i―1)とすることができる。
また、パルス幅内におけるイオンの注入回数は偶数回数とすることができる。このことにより、複数のパルスのそれぞれのパルス幅内においてイオンをドリフト領域11に偶数回注入することができ、各パルスにおけるイオン注入条件を同じにすることができる。
例えば、図3に示したグラフでは、パルス電圧のパルス幅内において静電ゲート電極8の電位を高電位側クローズ→オープン→低電位側クローズ→オープン→高電位側クローズ→オープン→低電位側クローズ→オープン→高電位側クローズと変化させて、イオンをドリフト領域11に4回注入している。このようにイオンをドリフト領域11に偶数回注入すると、次のパルスでも同じように静電ゲート電極8の電位を変化させることによりイオンをドリフト領域11に4回注入することができる。
なお、イオンの注入回数を奇数回とすると、高電位側クローズ→オープン→低電位側クローズで始まるパルスと、低電位側クローズ→オープン→高電位側クローズで始まるパルスとが存在し、パルスによりイオン注入条件が異なる。
図2(a)に示したパルスオンの時間(パルス幅)は例えば、100msとすることができ、パルスオフの時間は100msとすることができ、静電ゲート電極8を開ける間隔は50msとすることができる。このことにより、パルスオン毎に、イオン化領域10のイオン量が多い時間帯のIMSスペクトルを得ることができる。従って、所定時間内にイオン化領域10のイオン量が多い時間帯のIMSスペクトルを多く得ることができ、分析感度を高くすることができる。このような設定は、比較的低い濃度のガスの測定に有効である。
図2(a)に示したパルスオンの時間(パルス幅)は例えば、5sとすることができ、パルスオフの時間は100ms以上とすることができ、静電ゲート電極8を開ける間隔は50msとすることができる。このことにより、1回のパルスオン中にイオン化領域10のイオン量が多い時間帯のIMSスペクトルを1回得ることができ、イオン化領域10のイオン量が安定化した時間帯のIMSスペクトルを100回得ることができる。このような設定は、比較的高い濃度のガスの測定に有効である。
以上から、本発明の分析装置を用いると、イオン化領域10のイオン量が多い時間帯におけるイオンのイオン注入に対応するIMSスペクトルに基づき試料ガスに含まれる低濃度又はイオン化しにくいガスを検出することができ、イオン化領域10のイオン量が安定化した時間帯におけるイオンのイオン注入に対応するIMSスペクトルに基づき試料ガスに含まれる高濃度又はイオン化しやすいガスを高精度に計測することができる。このため、低濃度又はイオン化しにくいガスと、高濃度又はイオン化しやすいガスとの両方を測定条件を変えることなく一度に高精度に計測することが可能になる。
また、試料ガスに含まれる高濃度ガスの濃度を低減させる前処理を省略することが可能になり、前処理による試料ガスに含まれる低濃度ガス又はイオン化しにくいガスへ影響を考慮することなく、試料ガスをダイレクトに計測することが可能となる。
2:電子放出素子 3:下部電極 4:表面電極 5:中間層 6:検出部 7:電場形成部 8:静電ゲート電極 9、9a~9h:電場形成用電極 10:イオン化領域 11:ドリフト領域 12:制御部 15:ドリフトガス注入部 16:試料注入部 17:電源部 18:コレクター 19:電位制御回路 20:排気部 22:素子ホルダー 25:グリッド電極 26:検出回路 28:筐体 29:絶縁部 30:分析チャンバー 40:分析装置

Claims (9)

  1. 電子放出素子と、イオンを検出するように設けられた検出部と、前記電子放出素子と前記検出部との間の領域に電位勾配を形成するように設けられた電場形成部と、前記電子放出素子と前記検出部との間に配置された静電ゲート電極と、前記電子放出素子の電子放出及び前記静電ゲート電極の開閉を制御するように設けられた制御部とを備え、
    前記電子放出素子は、下部電極、表面電極及び前記下部電極と前記表面電極との間に配置された中間層を有し、
    前記制御部は、前記電子放出素子と前記静電ゲート電極との間のイオン化領域に向けて前記電子放出素子から電子が放出されイオンが直接的又は間接的に生成されるように前記下部電極と前記表面電極との間にパルス電圧を印加するように設けられ、かつ、前記パルス電圧のパルス幅内において、前記イオン化領域のイオンを前記静電ゲート電極と前記検出部との間のドリフト領域に少なくとも2回注入するように前記静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられたことを特徴とする分析装置。
  2. 前記パルス電圧のパルス数は複数であり、
    前記制御部は、複数のパルスのそれぞれのパルス幅内において、前記イオン化領域のイオンを前記ドリフト領域に少なくとも2回注入するように前記静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられた請求項1に記載の分析装置。
  3. 前記制御部は、パルスの立ち上がりから所定時間が経過するまでに前記イオン化領域のイオンを前記ドリフト領域に少なくとも1回注入しパルスの立ち上がりから前記所定時間が経過した後に前記イオン化領域のイオンを前記ドリフト領域に少なくとも1回注入するように前記静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられた請求項1又は2に記載の分析装置。
  4. 前記制御部は、前記電子放出素子の電子放出量がパルスの立ち上がり直後に放出量のピークを示しその後安定化するように前記下部電極と前記表面電極との間に前記パルス電圧を印加するように設けられ、かつ、前記ピークの半値全幅内において前記イオン化領域のイオンを前記ドリフト領域に少なくとも1回注入するように前記静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられた請求項1~3のいずれか1つに記載の分析装置。
  5. 前記制御部は、前記電子放出素子の電子放出量が安定化した後に前記イオン化領域のイオンを前記ドリフト領域に少なくとも1回注入するように設けられた請求項4に記載の分析装置。
  6. 前記制御部は、パルスの立ち上がりから1回目のイオン注入において前記静電ゲート電極の電位を高電位側から低電位側へ変化させるように設けられた請求項1~5のいずれか1つに記載の分析装置。
  7. 前記制御部は、前記パルス電圧のパルス幅内において、前記イオン化領域のイオンを前記ドリフト領域に偶数回注入するように前記静電ゲート電極の電位を変化させるように設けられた請求項1~6のいずれか1つに記載の分析装置。
  8. 前記イオンは、陰イオンである請求項1~7のいずれか1つに記載の分析装置。
  9. 前記イオン化領域は、大気圧である請求項1~8のいずれか1つに記載の分析装置。
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