JP6459352B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両に搭載される有段自動変速機を制御する油圧制御装置に関する。
車両が搭載する内燃機関からの出力回転を、走行状況に応じて変速するため、車両には変速機が搭載される。変速機のひとつに、遊星歯車機構を用いて、その構成要素の回転を、摩擦係合要素であるクラッチにより同期させたり、ブレーキにより係止させることで変速を行う有段自動変速機が提供されている。
有段自動変速機の制御には、油圧制御装置が用いられる。この油圧制御装置には、リニアソレノイド弁、電磁弁、スプール弁等の要素で構成される油圧回路が備えられる。例えば図5に例示する油圧回路72は、遊星歯車機構を用いて、前進段1速〜4速と、後退段と、エンジンブレーキ段とを構成可能な有段自動変速機の油圧回路図の略図である。有段自動変速機では、この油圧回路により各変速段を構成する摩擦係合要素を切替えて、変速を行う。
変速を行う際には、次変速段を構成するために係合が必要な摩擦係合要素を押圧するピストンを作動させる。このピストンは、油圧制御装置が備える電磁弁(図5の20、22、24等)から出力される制御油圧により作動される。
このとき、摩擦係合要素の構造上存在するピストンの無効ストロークをなくす、いわゆるガタ詰め制御を行って、上記電磁弁から図3に例示するピストン室32へガタ詰め油圧を供給し、ピストン30を摩擦係合要素16の方向へ移動させて摩擦係合要素16の係合が開始する直前の状態にした後、上記電磁弁から所定の係合油圧をピストン室32へ供給し、摩擦係合要素16の係合が実行される。
ピストン室32の容積は、ピストン室32を構成するピストン30、及びピストン30を軸方向へ摺動可能に収容する相手部品の形状により変化する。一例として、ピストン30や相手部品の製造精度のバラツキにより、設計上の容積と比してピストン室32の容積が大となる場合や、小となる場合が生じる。
上述したように、ピストン室32の容積は自動変速機の個体ごとに異なる。このため、変速時に上記したガタ詰め制御を行う場合に、常に一定のガタ詰め制御を行うと、ピストン室32の容積が、設計上の容積よりも大きい場合にはガタ詰めが遅れてエンジンが吹け上がり、設計上の容積よりも小さい場合にはガタ詰め制御の段階で摩擦係合要素16の係合が開始されて、変速ショックが発生する等してしまう。
実際に、例えば特許文献1に開示されている、低速側の変速段から高速側の変速段へアップシフト制御する場合に2段階でガタ詰め制御を行い、第一段階の後の第二段階のガタ詰め制御において、ガタ詰め油圧の出力値を学習制御する自動変速機の変速制御装置でも、アップシフト時の変速フィーリングが改善されるものの、高速側の変速段から低速側の変速段へダウンシフト制御する場合におけるガタ詰め制御の問題は残っている。
特にアクセルが踏まれていない状態(アクセルオフ状態)で減速中のダウンシフト制御では、内燃機関の出力トルクがゼロ、換言すれば駆動力がゼロの状態である。ガタ詰め油圧の出力値を学習制御した場合、特許文献1の図10に示される摩擦係合要素に対する第二段階のガタ詰め制御が終了するまでの間に、係合側の摩擦係合要素の制御油圧が、意図した制御油圧よりも上昇してしまう場合がある。
係合側の摩擦係合要素の制御油圧が高いと、仮にガタ詰め制御において所定以上のガタ詰めが行われた場合に、ガタ詰め制御の段階で摩擦係合要素の係合が高油圧で開始されることにより、発生する変速ショックが大きくなってしまうという問題が生じる。
特開平6−207656号公報
本発明は、上記課題に鑑み創作されたものであり、アクセルオフ状態でのダウンシフト制御において、ガタ詰め制御を適正に実行し、仮にガタ詰め制御において所定以上のガタ詰めが行われた場合にも、変速ショックを抑制することが可能な自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、複数の摩擦係合要素を備え、該摩擦係合要素に対する供給油圧を各々制御して選択的に係合させることによって、複数の変速段の切替えを行う自動変速機の油圧制御装置を提供する。この油圧制御装置では、
係合側の前記摩擦係合要素のガタ詰め制御が第1フィル段階と、前記第1フィル段階の後の第2フィル段階とで行われ、
前記第2フィル段階のガタ詰め制御は、変速開始からタービン回転上昇信号が出力されるまでの所定の目標時間と、実時間との差分に基づいて、前記第2フィル段階における油圧供給時間が学習補正し、前記学習補正は、前記差分の絶対値を減少させるように行う。
また、前記油圧制御装置では、
前記差分が、所定の範囲内である場合には、前記学習補正が禁止される。
本発明の油圧制御装置によれば、正常な学習補正が可能な状況の場合のみに、第1フィル段階の後の第2フィル段階のガタ詰め制御で、前記第2フィル段階において油圧を供給する時間を学習補正する。これにより、アクセルオフ状態でのダウンシフト制御におけるガタ詰め制御を適正に実行することが可能となる。
したがって、詳しくは後述するが、本発明の油圧制御装置では、第2フィル段階におけるガタ詰め制御時の供給油圧は一定とし、ガタ詰め油圧の出力時間を学習補正し得る。結果、仮にガタ詰め制御において所定以上のガタ詰めが行われた場合にも、ガタ詰め制御の段階で摩擦係合要素の係合が開始されることにより発生する変速ショックの抑制が可能となる。
また、本発明の油圧制御装置によれば、上記差分が、所定の範囲内である場合には、学習補正が禁止される。これにより、上記差分が許容範囲の場合は学習補正を行わず、補正が必要な場合にのみ学習補正が実施される。結果、ガタ詰め制御、及びその後の係合制御を安定して実行することが可能となる。
尚、ここでの摩擦係合要素とは、油圧制御により係合、及び解放が可能な湿式多板式クラッチ、又はブレーキのことである。
本発明の一実施形態に係る油圧制御装置における制御構成の、各パラメータの変化を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置が採用される車両の制御構造を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置で制御される摩擦係合要素、及びピストンの要部を示す略図である。 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置の油圧回路において、各変速段で係合する摩擦係合要素を示す図表である。 一般にも使用され、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置の油圧回路の一例を示す概略図である。
《有段自動変速機の変速方法》
本発明の油圧制御装置について説明する前提として、有段自動変速機の変速方法について、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置で制御される摩擦係合要素16、ピストン30、ピストン30の相手部品、及びピストン室32の要部を示す略図である図3、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置の油圧回路72において、各変速段で係合する摩擦係合要素を示す図表である図4、及び一般にも使用され、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置の油圧回路72の一例を示す概略図である図5を参照しながら詳細に説明する。
図4に示すように、エンジンブレーキレンジを除く各変速段は、2つの摩擦係合要素(クラッチ及び/又はブレーキ)を係合することで構成される。
一例として、4速はB1ブレーキ11と、C3クラッチ17とを係合することで構成される。また、3速はC2クラッチ16と、C3クラッチ17とを係合することで構成される。4速から3速へダウンシフトする場合、C3クラッチ17の係合を維持したまま、B1ブレーキ11を解放しながらC2クラッチ16を係合する、いわゆる摩擦係合要素の持ち替えにより変速が行われる。
通常の前進走行時(図4の1速〜4速)の変速段間のダウンシフトは、上述した4速から3速へダウンシフトする場合と同様に、一方の摩擦係合要素の係合を維持したまま、他方の摩擦係合要素を持ち替えることで行われる。これはアップシフトにおいても同様である。尚、図4中のワンウェイクラッチは、一方向の回転を係止し、他方向の回転を規制する機械式の係合要素であり、油圧制御を必要としないものである。
一例として、上述した4速から3速へダウンシフトする場合では、4速を構成する2つの摩擦係合要素のうち、3速を構成するC2クラッチ16(以下、単に「クラッチ」とも称する)が、上述した係合側の摩擦係合要素となる。また、B1ブレーキ11(以下、単に「ブレーキ」とも称する)が解放側の摩擦係合要素となる。
4速で走行中は、図5のSL1ソレノイド弁20から出力される制御油圧によりB1ブレーキ11が係合されている。このとき、3速へのダウンシフト時に係合されるC2クラッチ16を係合制御するSL2ソレノイド弁22は、制御油圧を出力していない状態にある。
このため、SL2ソレノイド弁22と、C2クラッチ16との間の油路や、図3に示すピストン室32は、作動油(図示せず)が充填されていない状態にある。
これは、3速から4速へのアップシフトが完了した後、上記したSL2ソレノイド弁22と、クラッチ16との間の油路や、ピストン室32が有する排油口(図示せず)や、部品間の隙間から上記作動油が漏れる、いわゆる油落ちによるものである。
また、図3に示すように、ピストン30は、摩擦係合要素であるクラッチ16の構造上存在する無効ストロークを有する。詳述すると、クラッチ16は、クラッチプレート16aと、クラッチディスク16bとで構成される。上記無効ストロークは、概ねピストン30と、クラッチ16を構成しピストン30に相対するクラッチプレート16aとの間のクリアランスCp、及びクラッチプレート16aと、クラッチディスク16bとの間のクリアランスの合計Cc(図示せず)とにより生じる。
したがって、クラッチ16を係合する際には、まず、上述したガタ詰め制御により上記無効ストロークを無くしてクラッチ16の係合が開始する直前の状態にした後、SL2ソレノイド弁22から所定の係合油圧をピストン室32へ供給し、クラッチ16の係合が実行される。
《本発明の油圧制御装置における制御》
本発明の一実施形態に係る自動変速機の油圧制御装置100における制御構成の、各パラメータの変化を示すタイムチャートである図1、本発明の一実施形態に係る自動変速機の油圧制御装置100が採用される車両の制御構造を示すブロック図である図2、図3、及び図5を参照しながら、上述した4速から3速へダウンシフトする場合を例に、本発明の油圧制御装置における学習補正制御(以下、単に「学習制御」とも称する)について詳細に説明する。
図2に示すように、本発明の自動変速機の油圧制御装置100では、少なくとも内燃機関60が備える吸気弁62が前閉状態(吸気弁62からの吸気が抑制状態)、即ちアクセルオフ状態でのダウンシフト時には、図3及び図5に示し上述したピストン室32の容積、及び上記したSL2ソレノイド弁22と、C2クラッチ16との間の油路の容積等のバラツキや、ピストン室32からの油落ち等が生じた状態においても上記ガタ詰め制御を適正に実行するため、係合側の摩擦係合要素のガタ詰め制御が第1フィル段階と、第1フィル段階の後の第2フィル段階とで行われる。
図2のECU80には、変速指示信号82、タービン回転速度84、アクセル開度信号86、車両速度88等が入力される。また、自動変速機70は油圧回路72を備えると共に、ECU80との間で変速の指示等を通信する。また、内燃機関60(以下、単に「エンジン」とも称する)は吸気弁62を備えると共に、ECU80との間で運転状況の指示等を通信する。
ECU80に、ユーザのダウンシフト操作による変速指示信号82が入力された場合や、タービン回転速度84、アクセル開度信号86、車両速度88等の入力からECU80によりダウンシフトが必要な走行状態にあると判断された場合、ダウンシフト制御が開始される。
図1に示すように、ダウンシフト制御は、ガタ詰め制御と、係合制御とにより行われる。図1の時間t1〜t3で上記ガタ詰め制御が、t3〜t6で上記係合制御が実行される。また、上記ガタ詰め制御は、時間t1〜t2の第1フィル段階と、t2〜t3の第2フィル段階とにより行われる。
時間t1でガタ詰め制御の第1フィル段階が開始されると、図示しない油圧制御装置を構成するECU(図2に、それぞれ100、80として示す)から、図示しない係合側のC2クラッチを係合制御するSL2ソレノイド弁(図5にそれぞれ16、22として示す)へ、指示電流値JCの最小値JCminが出力される。
尚、指示電流値の最小値JCminは、ゼロであっても良いし、所定値であっても良い。以下では、指示電流値の最小値JCminは、ゼロであることとして説明する。
係合側のC2クラッチ(図5に16として示す)を油圧制御する図示しないSL2ソレノイド弁(図5に22として示す)は、その出力圧が、非通電時(指示電流値JCがゼロの時)に最大となり、指示電流値JCが最大の時に最小となる、ノーマルオープン型の電磁弁である。
したがって、上記ガタ詰め制御の第1フィル段階である時間t1からt2までの所定時間、この最小指示電流値JCminが出力されることにより、図3のピストン室32や、図5のSL2ソレノイド弁22と、C2クラッチ16との間の油路に所定量の作動油が最大圧で供給される。
次に、図1の時間t2からt3の時間、係合側の摩擦係合要素であるC2クラッチ16のガタ詰め制御の第2フィル段階が実行される。詳述すると、時間t2からt3の間、図2のECU80からSL2ソレノイド弁(図5に22として示す)へ、所定の第2フィル電流値JC2が出力される。これにより、図3のピストン室32へ前回の学習時に補正された時間、所定圧の作動油が充填され、上記ガタ詰め制御が完了し、C2クラッチ16の係合が開始する直前の状態となる。
上記ガタ詰め制御の第2フィル段階の実行中、C2クラッチ16の係合が開始する直前の状態となると、タービン回転速度が、図1に示す点Aにおいて上昇を始める。詳述すると、4速から3速へのダウンシフト時の解放側の摩擦係合要素であるB1ブレーキ11を係合制御するSL1ソレノイド弁20に対し、ECU80から出力される指示電流値OCが、図1の時間t1から減少され、t4で最小値OCminとなる。
SL1ソレノイド弁(図5に20として示す)は、その出力圧が、非通電時(指示電流値OCがゼロの時)に最小となり、指示電流値OCが最大の時に最大となる、ノーマルクローズ型の電磁弁である。
したがって、時間t4で、B1ブレーキ11を押圧する図示しないピストンのピストン室への作動油の供給が停止される。その後、B1ブレーキ11のピストン室(図示せず)から作動油が徐々に油落ちし、B1ブレーキ11の解放が開始される。概ね、上記した点Aにおいて、係合側のC2クラッチ16の保持トルクが、解放側のB1ブレーキ11の保持トルクを上回る。これにより、4速から3速へのダウンシフト変速の初期状態となり、上記したようにタービン回転速度が上昇する。
上記タービン回転速度の上昇がECU80で検知されると、図1の時間t5でタービン回転速度のアップフラグが出力される。本発明の自動変速機の油圧制御装置100では、係合側のC2クラッチ16のガタ詰め制御の第2フィル段階が開始される時間t2から、タービン回転速度のアップフラグが出力されるt5までの時間を元に、第2フィル段階における油圧供給時間(以下、単に「FILLモード時間」とも称する)の学習補正を行う。
詳述すると、図2のECU80は、図1の時間t1でダウンシフト制御が開始されてからの時間をカウントするカウンタを有し、そのカウント値STがECU80に記録される。また、ECU80は、ダウンシフト制御を開始してからタービン回転速度のアップフラグが検出されるまでの時間に、所定の目標時間のカウント値ST(以下、単に「目標時間値」とも称する)を有する。
図1において、タービン回転速度のアップフラグは、時間t5で出力されている。ガタ詰め制御が時間t1で開始されてから、タービン回転速度のアップフラグが出力される時間t5までの時間、換言すると、ガタ詰め制御の開始から、タービン回転速度のアップフラグが出力されるまでの実時間のカウント値(以下、単に「実時間値」とも称する)はSTとなる。
ECU80で、この実時間値STと、上記目標時間値STとの差分が、下式(1)により差分値STとして算出される。
ST=ST−ST・・・(1)
図1の場合、目標時間値STと比して実時間値STが大きい。この場合、差分値STは負の値となり、これは変速開始から上記タービン回転速度のアップフラグ検出までの時間が目標時間STよりも遅れたことを意味する。
本発明の油圧制御装置100での学習制御は、差分値STの絶対値を減少させ、変速開始から上記タービン回転速度のアップフラグ検出までの時間を目標時間で完了するため、上記FILLモード時間を学習補正するものである。
ECU80は、また、図1の時間t2で第2フィル段階における油圧供給が開始されてからの継続時間、即ち上記FILLモード時間をカウントするカウンタを有し、そのカウント値CFがECU80に記録される。
ここで、
CFf1:初期学習値
CFg1:通常時学習値
CF0:前回学習値
ST :差分値
:初期ゲイン値
:通常時ゲイン値
とすると、初期学習値CFf1、及び通常時学習値CFg1は、各々下式(2)、及び(3)で算出される。
CFf1=CF0−ST×G・・・(2)
CFg1=CF0−ST×G・・・(3)
尚、上記初期学習値CFf1は、車両の出荷時や、ECU80を初期化した場合に適用され、上記通常時学習値CFg1は、それ以外の場合に適用される。
また、
CF :FILLモードの継続時間固定値
CFf1:初期学習値
CFg1:通常時学習値
TSa :前回、係合側クラッチが解放してからの時間を元に設定される数値
VNe :ダウンシフト開始時のエンジン回転速度を元に設定される数値
とすると、学習補正後にFILLモードを継続する時間TFmについては、初期継続時間TFm、及び通常時継続時間TFmが、各々下式(4)及び(5)で算出され
TFm=CF+CFf1+TSa+VNe・・・(4)
TFm=CF+CFg1+TSa+VNe・・・(5)
上記の式(4)、及び(5)では、FILLモードの継続時間固定値CFに対して、上記学習値(CFf1、又はCFg1)が加算(学習値が負の値の場合は減算)される。尚、上記初期継続時間TFmは、車両の出荷時や、ECU80を初期化した場合に適用され、上記通常時継続時間TFmは、上記以外の場合に適用される。
尚、上記式(4)及び(5)のFILLモードの継続時間固定値CFは、所定値であっても良いし、ゼロであっても良い。
また、係合側クラッチが解放してからの時間を元に設定される数値TSaは、図3のピストン室32や、図5のSL2ソレノイド弁22と、C2クラッチ16との間の油路からの油落ちを反映するために使用される。
また、ダウンシフト開始時のエンジン回転速度を元に設定される数値VNeは、制御圧の元油圧を発生させる図示しないオイルポンプ(図5に55として示す)がエンジン(図示せず)で駆動される場合において、アクセルオフ状態であることにより、エンジン回転速度が低下して、オイルポンプ55からの作動油の吐出量が減少することを反映するために使用される。したがって、オイルポンプ55が電動モータ等で駆動される場合は、上記数値VNeは用いなくても良い。
本発明の油圧制御装置100においては、上記の図1に示すアクセルオフ状態でのダウンシフト制御の次のダウンシフト制御時には、FILLモードを継続する時間TFmが学習補正され、TFm、或いはTFmに修正される。
上記により、図1に例示した場合においては、FILLモードを継続する時間TFmが延長され、上述した目標時間値STと、実時間値STとの差分値STが縮小されて、ガタ詰め制御を適正に行うことが可能となる。
上記で、時間t3でガタ詰め制御が完了された後、SL2ソレノイド弁(図5に22として示す)へ、所定の係合保持電流値JC3が出力される。また、SL1ソレノイド弁(図5に20として示す)に対しECU80から出力される指示電流値OCはt4で最小値OCminとなり、この値を維持する。
これにより、係合側のC2クラッチ(図5に16として示す)の係合が開始され、B1ブレーキ(図5に11として示す)の解放が継続され、開始時間t6でダウンシフト制御が完了する。
尚、本発明の油圧制御装置100では、上記差分値STが所定の範囲内である場合には、上述した学習補正が禁止される。換言すると、上記差分値STが許容範囲の場合は学習補正を行わず、FILLモードを継続する時間TFmの補正が必要な場合にのみ学習補正を実施することにより、ガタ詰め制御、及びその後の係合制御を安定して実行することが可能となる。
上記学習制御を行う場合の条件としては、作動油の温度が所定範囲内であること、エンジン及び自動変速機がフェイル状態(正常に作動しない状態)にないこと、スロットルが全閉状態(上記吸気弁62からの吸気が抑制状態)であること、エンジンへの燃料供給が停止状態にあること等が設定される。
作動油の温度が所定範囲内である場合、即ち作動油の温度が常用域にあり、エンジンと自動変速機とがフェイル状態にない場合、即ちエンジン及び自動変速機が正常状態にある場合にのみ学習補正を許可することで、意図する場合にのみ学習制御が行われ、安定した学習補正が可能となる。
また、アクセル(スロットル開度)が全閉状態である場合にのみ学習補正を許可することで、図示しないアクセルが踏まれて、エンジン回転速度の上昇に伴いタービン回転速度が上昇した場合には学習制御が行われない。したがって、上述したように、アクセルオフ状態であって、図1の点Aにおいてクラッチが係合状態となってタービン回転速度が上昇した場合にのみ学習補正を行うことが可能となる。
また、エンジンの低速運転状態においてはエンスト(エンジンの運転停止)を防止するため、図2のアクセル開度信号86や、車両速度88の入力値に応じて、ECU80により燃料噴射を再開する制御が実行され、エンジン回転速度の上昇に伴いタービン回転速度が上昇する。
本発明の油圧制御装置100では、エンジンへの燃料供給が停止状態にある場合にのみ学習補正を許可することで、アクセルオフ状態であって、クラッチが係合状態となり、図1の点Aにおいてタービン回転速度が上昇した場合にのみ学習補正を確実に行うことが可能となる。
上述してきたように、本発明の自動変速機の油圧制御装置100においては、正常な学習補正が可能な場合にのみ、第2フィル段階のガタ詰め制御で、変速開始からタービン回転上昇信号が出力されるまでの目標時間値STと、実時間値STとの差分値STに基づいて、前記第2フィル段階における油圧供給時間(FILLモード継続時間)TFmの学習補正が行われる。
上記により、図3のピストン室32や、図5のSL2ソレノイド弁22と、C2クラッチ16との間の油路の容積が自動変速機の個体ごとに異なる場合も、クラッチ16の係合に必要な時間のバラツキを学習制御により補正し、アクセルオフ状態でのダウンシフト制御におけるガタ詰め制御を適正に実行することが可能となる。
また、本発明の自動変速機の油圧制御装置100においては、第2フィル段階におけるガタ詰め制御時の供給油圧、即ち第2フィル電流値JC2は一定とし、FILLモード継続時間TFmを学習補正する。
上記により、仮にガタ詰め制御において所定以上のガタ詰めが行われた場合でも、図3の摩擦係合要素16を押圧する力、即ちピストン室32への供給油圧は略一定であるため、ガタ詰め制御の段階で摩擦係合要素の係合が開始されることにより発生する変速ショックの抑制を達成し得る。
尚、本実施形態では、少なくとも内燃機関60が備える吸気弁62が前閉状態(吸気弁62からの吸気が抑制状態)、即ちアクセルオフ状態でのダウンシフト時に、FILLモードを継続する時間TFmのみが学習補正されることとしたが、前回、係合側クラッチが解放してからの時間を元に設定される数値TSaや、ダウンシフト開始時のエンジン回転速度を元に設定される数値VNeも補正されることが好ましい。
上記により、係合側クラッチ図3のピストン室32や、図5のSL2ソレノイド弁22と、C2クラッチ16との間の油路からの油落ちをも反映させて上記ガタ詰め制御が行われる。結果、より高い精度でのガタ詰め制御を行うことができる。
また、上記により、制御圧の元油圧を発生させる図5のオイルポンプ55が図2の内燃機関60で駆動される場合、アクセルオフ状態となってエンジン回転速度が低下し、オイルポンプ55からの作動油の吐出量が減少することをも反映させて、上記ガタ詰め制御が行われる。結果、さらに高い精度でのガタ詰め制御を行うことが可能となる。
尚、本実施形態では、4速から3速へダウンシフトする場合を例に、3速を構成するC2クラッチ16を係合側の摩擦係合要素とし、B1ブレーキ11を解放側の摩擦係合要素として説明したが、他の変速段の間でダウンシフトする場合も、係合側の摩擦係合要素において同様なガタ詰め制御を行うことにより、ガタ詰め制御を適正に実行し、変速ショックの抑制を達成し得る。
以上、本発明の自動変速機の油圧制御装置についての実施形態およびその概念について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書等に記載の精神や教示を逸脱しない範囲で他の変形例、改良例が得られることが当業者は理解できるであろう。
11 B1ブレーキ
16 C2クラッチ
17 C3クラッチ
20 SL1ソレノイド弁
22 SL2ソレノイド弁
24 SL3ソレノイド弁
30 ピストン
32 ピストン室
55 油圧発生手段(オイルポンプ)
60 内燃機関(エンジン)
62 吸気弁
70 自動変速機
72 油圧回路
80 ECU
82 変速指示信号
84 タービン回転速度
86 アクセル開度信号
88 車両速度
100 油圧制御装置
Cc 摩擦係合要素のプレートとディスクとのクリアランスの合計
Cp ピストンとクラッチプレートとのクリアランス
JC 係合側電磁弁への指示電流値
JCmin 最小指示電流値
JC1 第1フィル電流値
JC2 第2フィル電流値
JC3 係合保持電流値
OC 解放側電磁弁への指示電流値
OCmin 解放側電磁弁への指示電流値の最小値
ST 目標時間のカウント値
ST 実時間のカウント値
ST 差分値
G ゲイン値
TFm 前記第2フィル段階における油圧供給時間(FILLモード継続時間)
TFm、TFm 学習補正後のFILLモードの継続時間
CF FILLモードの継続時間のカウント値
CFh FILLモードの継続時間の固定値
TSa 前回、係合側クラッチが解放してからの時間を元に設定される数値
VNe ダウンシフト開始時のエンジン回転速度を元に設定される数値

Claims (2)

  1. 複数の摩擦係合要素を備え、該摩擦係合要素に対する供給油圧を各々制御して選択的に係合させることによって、複数の変速段の切替えを行う自動変速機において、
    係合側の前記摩擦係合要素のガタ詰め制御が第1フィル段階と、前記第1フィル段階の後の第2フィル段階とで行われ、
    前記第2フィル段階のガタ詰め制御は、変速開始からタービン回転上昇信号が出力されるまでの所定の目標時間と、実時間との差分に基づいて、前記第2フィル段階における油圧供給時間を学習補正し、
    前記学習補正は、前記差分の絶対値を減少させるように行う、
    ことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 前記差分が、所定の範囲内である場合には、前記学習補正を禁止する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
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