JP6459150B2 - 薄膜酸化物超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

薄膜酸化物超電導線材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数本の薄膜酸化物超電導線材を用いて長尺化された薄膜酸化物超電導線材およびその製造方法に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する酸化物超電導材料の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指して、金属基板、中間層、酸化物超電導層を積層させた薄膜酸化物超電導線材の開発が活発に行われている。
このような薄膜酸化物超電導線材は、一般的に、過電流により酸化物超電導層が破壊されることを防止するために、酸化物超電導層側の表面や薄膜酸化物超電導線材の外周面全体に、銅(Cu)や銅合金の層が安定化層として設けられている。
そして、このような薄膜酸化物超電導線材を利用した超電導ケーブルや超電導コイル等の製造には、長尺の薄膜酸化物超電導線材が必要とされるため、複数の薄膜酸化物超電導線材を所望の幅に切断した後、切断した後の薄膜酸化物超電導線材の各々の端部を順次接続することにより長尺化が図られている(特許文献1、2)。
特表2011−515792号公報 特開2007−12582号公報
しかしながら、これらの技術では、薄膜酸化物超電導線材の端部に安定化層を設けたままで、複数の薄膜酸化物超電導線材同士を順次接続することが難しいという問題がある。
このため、特許文献1のように、酸化物超電導層の表面に形成された安定化層を除去して酸化物超電導層同士を接触させて加熱することにより接続する方法が提案されているが、この場合には、接続部に安定化層がなくなるため、接続部に過電流が流れた際に酸化物超電導層が破壊される恐れがある。
一方、特許文献2には、安定化層が形成された薄膜酸化物超電導線材同士を接続する方法が開示されているが、この場合に安定化層が厚くなり過ぎると、接続部の厚みが他の部分と大きく異なって超電導ケーブルや超電導コイル等の製造に使用しにくくなるという問題や、接続部における電気抵抗が大きくなるという問題が生じる恐れがある。
そこで、本発明は、複数の薄膜酸化物超電導線材同士を順次接続するに際して、薄膜酸化物超電導線材の端部に安定化層が設けられていなくても、接続部に過電流が流れた際に酸化物超電導層が破壊されることを防止できる技術を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る薄膜酸化物超電導線材の製造方法は、
金属基板上に少なくとも中間層、酸化物超電導層が積層された薄膜酸化物超電導線材の端部同士を順次接続して、長尺化された薄膜酸化物超電導線材を製造する薄膜酸化物超電導線材の製造方法であって、
前記薄膜酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層側の面同士を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
重ね合わされた前記薄膜酸化物超電導線材を、赤外光レーザを用いて長尺方向に熱切断することにより、切断された前記薄膜酸化物超電導線材の重ね合わせ部の両側面に、切断時に融解した前記薄膜酸化物超電導線材を構成する材料が固化した混合層を、前記酸化物超電導層と前記金属基板とを電気的に接続させる導電層として形成する導電層形成工程とを有している薄膜酸化物超電導線材の製造方法である。
本発明の一態様に係る薄膜酸化物超電導線材は、
金属基板上に少なくとも中間層、酸化物超電導層が積層された薄膜酸化物超電導線材の端部同士が順次接続されて長尺化された薄膜酸化物超電導線材であって、
前記薄膜酸化物超電導線材の接続部の両側面に、前記薄膜酸化物超電導線材を構成する材料が固化した混合層が、前記酸化物超電導層と前記金属基板とを電気的に接続する導電層として形成されている薄膜酸化物超電導線材である。
本発明によれば、複数の薄膜酸化物超電導線材同士を順次接続するに際して、薄膜酸化物超電導線材の端部に安定化層が設けられていなくても、接続部に過電流が流れた際に酸化物超電導層が破壊されることを防止できる技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る薄膜酸化物超電導線材を模式的に示す側面図である。 図1のA−Aにおける断面図である。 本発明の他の実施形態に係る薄膜酸化物超電導線材の接続部の断面を模式的に示す図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る薄膜酸化物超電導線材の製造方法は、
金属基板上に少なくとも中間層、酸化物超電導層が積層された薄膜酸化物超電導線材の端部同士を順次接続して、長尺化された薄膜酸化物超電導線材を製造する薄膜酸化物超電導線材の製造方法であって、
前記薄膜酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層側の面同士を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
重ね合わされた前記薄膜酸化物超電導線材を、赤外光レーザを用いて長尺方向に熱切断することにより、切断された前記薄膜酸化物超電導線材の重ね合わせ部の両側面に、切断時に融解した前記薄膜酸化物超電導線材を構成する材料が固化した混合層を、前記酸化物超電導層と前記金属基板とを電気的に接続させる導電層として形成する導電層形成工程とを有している薄膜酸化物超電導線材の製造方法である。
上記したように、従来は薄膜酸化物超電導線材同士を接続する前に、各々の線材を所望の幅に切断していたが、本発明者は、薄膜酸化物超電導線材の酸化物超電導層側の面同士を先に重ね合わせ、その後、重ね合わせた薄膜酸化物超電導線材を赤外光レーザを用いて長尺方向に熱切断すると、重ね合わせ部の側面に、切断時の熱により融解した薄膜酸化物超電導線材の各層(金属基板、酸化物超電導層、中間層など)の材料が固化した混合層が形成されることを実験により見出した。一方、スリッター等を用いて機械的に切断する方法や、紫外光レーザの照射により切断する方法の場合には、このような層は形成されていなかった。
そして、この赤外光レーザの照射により形成された層には、導電性を有する酸化物超電導層や金属基板などの材料が含まれているため、酸化物超電導層と金属基板のそれぞれを電気的に接続させる導電層として機能させることができる。そして、この導電層を介して、酸化物超電導層に生じた過電流を金属基板に流すことができるため、従来の安定化層の役割を導電層および金属基板に担わせることができる。この結果、薄膜酸化物超電導線材の端部に安定化層が設けられていなくても、過電流による酸化物超電導層の破壊を適切に防止することができる。また、本実施態様によれば、重ね合わされた酸化物超電導層同士を、導電層を介して電気的に確実に接続させることができる。
(2)前記赤外光レーザは、波長1.0〜1.1μmの赤外光レーザであることが好ましい。
即ち、出力や集光径の点からは、波長1.0〜1.1μmの赤外光レーザが現状のレーザ加工装置の内で最も適している。
(3)そして、前記重ね合わせ工程と前記導電層形成工程との間に、前記重ね合わせ部を加熱して接合する接合工程を有していることが好ましい。
従来と同様に、重ね合わせ部を加熱して接合する接合工程を設けた場合、接続部の強度を向上させることができる。
(4)また、前記接合工程は、前記重ね合わせ部に圧力をかけて加熱して接合することが好ましい。
重ね合わせ部を加熱して接合する際に、重ね合わせ部に圧力をかけることにより、接続部の強度をさらに向上させることができる。
(5)また、前記重ね合わせ工程は、前記酸化物超電導層同士を重ね合わせる工程であることが好ましい。
酸化物超電導層の表面に形成された安定化層を除去する、若しくは、端部に安定化層が形成されていない薄膜酸化物超電導線材を用いる等の方法によって、露出した酸化物超電導層同士を直接重ね合わせた場合、薄膜酸化物超電導線材同士をより安定して接続することができる。さらに、酸化物超電導層同士を直接重ね合わせた上で、上記(3)の態様のように加熱による接合を行った場合、薄膜酸化物超電導線材同士を超低抵抗で接続させることができるためより好ましい。
(6)また、前記薄膜酸化物超電導線材として前記酸化物超電導層の上に銀層が形成された薄膜酸化物超電導線材を用い、前記銀層同士を重ね合わせてもよい。
酸化物超電導層の上に銀層が設けられている場合には、この銀層同士を重ね合わせて2本の薄膜酸化物超電導線材を接続させてもよい。この場合、薄膜酸化物超電導線材の側面に形成される導電層に銀が含まれるようになるため、導電層の電気抵抗をより低くすることができ、より導電性が向上する。
(7)前記赤外光レーザを照射すると共に切断箇所に向けてアシストガスを吹き付けながら前記熱切断を行うことが好ましい。
赤外光レーザを照射する際に、併せてアシストガスを吹き付けることにより、接続部の側面に導電層を均一に形成することができ好ましい。
(8)前記薄膜酸化物超電導線材として、前記酸化物超電導層がREBaCu7−x(RE:希土類元素)系の酸化物超電導層である薄膜酸化物超電導線材を用い、前記導電層形成工程の後に、前記薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理することが好ましい。
導電層形成工程において、赤外光レーザにより薄膜酸化物超電導線材を熱切断した場合、赤外光レーザの熱によって酸化物超電導層から酸素が抜け出て、超電導特性が低下することがある。このとき、酸化物超電導層としてREBaCu7−x(RE:希土類元素)系の酸化物超電導層を用いている場合には、熱切断の後に薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理する、所謂酸素アニールを行うことにより、酸素を再び酸化物超電導層に取り込ませて低下した超電導特性を回復させることができる。
(9)本発明の一態様に係る薄膜酸化物超電導線材は、
金属基板上に少なくとも中間層、酸化物超電導層が積層された薄膜酸化物超電導線材の端部同士が順次接続されて長尺化された薄膜酸化物超電導線材であって、
前記薄膜酸化物超電導線材の接続部の両側面に、前記薄膜酸化物超電導線材を構成する材料が固化した混合層が、前記酸化物超電導層と前記金属基板とを電気的に接続する導電層として形成されている薄膜酸化物超電導線材である。
上記したように、薄膜酸化物超電導線材の側面に、金属基板や酸化物超電導層などの材料を含む導電層を形成することにより、この導電層を介して酸化物超電導層と金属基板とを電気的に接続させ、従来の安定化層の役割を金属基板に担わせることができるため、接続部に安定化層が設けられていない場合でも、過電流による酸化物超電導層の破壊を適切に防止することができる。
(10)また、前記金属基板は、少なくとも長手方向に連続した良導体部を有していることが好ましい。
このように良導体部を有している金属基板を用いることにより、発生した過電流を金属基板に効率的に流すことができ、金属基板に安定化層の役割を適切に担わせることができる。このような良導体部を有していた金属基板としては、例えば、銅層を含んだ層状構造のクラッド基板が挙げられる。
(11)また、薄膜酸化物超電導線材の外周部には絶縁層が形成されていることが好ましい。
作製後の薄膜酸化物超電導線材の外周部に絶縁層を形成することにより、線材の周囲を絶縁することができ、製造後の薄膜酸化物超電導線材を機器に使用しやすくすることができるため好ましい。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明を実施形態に基づき、図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は本実施形態に係る薄膜酸化物超電導線材を模式的に示す側面図であり、2本の薄膜酸化物超電導線材11、21が重ね合わされて長尺化されている。そして、図2は図1のA−Aにおける断面図であり、金属基板12上に中間層13、酸化物超電導層14が積層された薄膜酸化物超電導線材11と、金属基板22上に中間層23、酸化物超電導層24が積層された薄膜酸化物超電導線材21とが、互いの酸化物超電導層14、24を対向させて接続されている。なお、31、32は、熱切断時に形成された導電層である。以下、図1および図2に示す薄膜酸化物超電導線材1の製造手順について説明する。
1.接続前の薄膜酸化物超電導線材の製造
接続を行う前の薄膜酸化物超電導線材は公知の方法を用いて作成される。
(1)超電導層形成用下地の準備
最初に、超電導層形成用下地として、所定の幅に切断加工された帯状の金属基板上に金属基板からの元素拡散を抑制するための中間層が形成された下地を準備する。このとき、少なくともその最表面は、超電導層に配向性を与えるために2軸配向していることが必要である。好ましい超電導層形成用下地の一例として、ステンレステープ上に2軸配向した銅層、その銅層の配向を引き継いで形成されたニッケル層が積層されたクラッド基板上に、さらに配向を引き継いだセラミックス層(CeO、YSZなどの安定化ジルコニア、Y等)が中間層として形成されたテープを挙げることができる。
(2)酸化物超電導層の形成
次に、中間層上に、パルスレーザデポジション(PLD)法や塗布熱分解法(MOD法)などの公知の方法を用いて、REBaCu7−x系の酸化物超電導層を形成する。ここで、REは、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ガドリウム(Gd)、サマリウム(Sm)、ネオジウム(Nd)、エルビウム(Er)、ユーロピウム(Eu)、ホルミウム(Ho)、ジスプロシウム(Dy)から適宜選択される希土類元素である。
(3)銀層の形成
そして、必要に応じて酸化物超電導層の表面に保護層としての銀層を形成する。
(4)酸化物超電導層への酸素導入
次に、酸素雰囲気中で加熱処理して酸化物超電導層へ酸素を導入する。
(5)安定化層の形成
また、必要に応じて酸化物超電導層側の表面や薄膜酸化物超電導線材の外周面全体に、銅や銅合金からなる安定化層を形成する。以上により、薄膜酸化物超電導線材が製造される。ただし安定化層を形成した場合、接続部分では安定化層を除去することが好ましい。
2.薄膜酸化物超電導線材の接続
本実施形態においては、上記において製造された薄膜酸化物超電導線材を順次接続して、長尺化された薄膜酸化物超電導線材を製造する。以下、薄膜酸化物超電導線材の接続における各工程を順に説明する。
(1)安定化層除去工程
本実施形態においては、薄膜酸化物超電導線材同士を重ね合わせて接続する前に、各々の薄膜酸化物超電導線材の端部で安定化層や銀層を除去して酸化物超電導層を露出させる。
(2)重ね合わせ工程
次に、薄膜酸化物超電導線材の端部の酸化物超電導層側の面同士を重ね合わせる。具体的には、薄膜酸化物超電導線材の酸化物超電導層側において最も上面に設けられている層同士が対向するようにして、薄膜酸化物超電導線材を重ね合わせる。本実施形態においては、安定化層を除去することにより露出させた酸化物超電導層同士が対向するように、2本の薄膜酸化物超電導線材11、21を重ね合わせた後、重ね合わせ部を押圧治具(図示省略)等で固定する。
(3)導電層形成工程
次に、重ね合わされた薄膜酸化物超電導線材11、21を、長手方向に切断して薄膜酸化物超電導線材を細線化する。このとき、本実施形態においては、薄膜酸化物超電導線材の細線化に赤外光レーザを用いた熱切断を用いることにより、図2に示すように薄膜酸化物超電導線材11、21の側面に導電層31、32を形成する。
具体的には、赤外光レーザを用いて薄膜酸化物超電導線材を熱切断することにより、薄膜酸化物超電導線材11、21を構成する各層(金属基板12、22、酸化物超電導層14、24など)が融解し、その後固化する。これにより、各々の層の材料であり、それぞれ導電性に優れたCu、Fe、Ni、Ba、Gd等の希土類元素等が固化した混合層が、薄膜酸化物超電導線材の側面を覆うように導電層31、32として形成される。
このように、薄膜酸化物超電導線材11、21の側面に導電層31、32が形成されることにより、この導電層31、32を介して金属基板12、22と酸化物超電導層14、24が電気的に接続される。
これにより、本実施形態の製造方法により長尺化された薄膜酸化物超電導線材1では、酸化物超電導層14、24に生じた過電流を導電層31、32を介して金属基板12、22に流すことができる。即ち、金属基板12、22に従来の安定化層の役割を担わせることができるため、接続部に安定化層が設けられていなくても、過電流による酸化物超電導層の破壊を適切に防止することができる。
また、本実施形態においては、導電層31、32を介して、重ね合わされた酸化物超電導層14、24同士を電気的に接続させることもできるため、酸化物超電導層14、24同士を確実に接続させることができる。
なお、赤外光レーザの照射条件としては、波長を1.0〜1.1μmに設定することが好ましい。このような赤外レーザを用いて薄膜酸化物超電導線材を熱切断することにより、薄膜酸化物超電導線材の各層を適切に融解させて、各々の層の材料が混ざり合った導電層を形成することができる。なお、赤外レーザの内では、ファイバーレーザやYAGレーザが好適である。
また、赤外光レーザによる熱切断に際しては、切断箇所に向けてアシストガスを吹き付けることが好ましい。具体的なアシストガスとしては、例えば、窒素(N)ガスを挙げることができる。
3.他の実施形態に係る薄膜酸化物超電導線材の製造方法
(1)加熱による接合
上記した実施形態においては、薄膜酸化物超電導線材11、12を重ね合わせた状態で赤外光レーザによる熱切断を行うことにより、薄膜酸化物超電導線材11、21を跨がるように導電層31、32を形成し、この導電層31、32によって酸化物超電導層14、24同士を電気的に接続させている。
しかし、本発明はこれに限定されず、赤外光レーザによる熱切断を行う前に、薄膜酸化物超電導線材11、21の重ね合わせ部を加熱して、酸化物超電導層14、24同士を接合させてもよい。この場合には、酸化物超電導層14、24が直接接続されるため、接続部の強度を向上させることができると共に、超低抵抗でより安定した通電が可能な接続部を形成することができる。
具体的には、上記した重ね合わせ工程において酸化物超電導層14、24同士を重ね合わせて押圧治具等で固定した後に、酸化物超電導層14、24同士を所定の圧力で押し付けながら500℃以上で加熱して酸化物超電導層14、24同士を加熱接合する接合工程を設ける。これにより、2本の薄膜酸化物超電導線材11、21が超電導状態で接続されるため、超低抵抗で安定した通電が可能な接続部を形成することができる。
(2)重ね合わせる層
なお、上記した実施形態においては、酸化物超電導層同士を直接重ね合わせた場合について説明したが、本発明において重ね合わせる層は特に限定されない。
例えば、図3に示すように、重ね合わせ前の酸化物超電導層14、24の上に銀層40が設けられている場合には、この銀層40同士を重ね合わせた状態で、導電層31、32を形成して2本の薄膜酸化物超電導線材11、21を接続させてもよい。
(3)酸素アニール処理
導電層形成工程において赤外光レーザにより薄膜酸化物超電導線材を熱切断した場合、赤外光レーザの熱によって酸化物超電導層から酸素が抜け出て、超電導特性が低下することがある。このため、導電層形成工程を行った後は、薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理する、所謂酸素アニールを行うことが好ましい。これにより、酸素を再び酸化物超電導層に取り込ませて超電導特性を回復させることができる。
(4)金属基板の材質
上記したように、金属基板としては、クラッド基板、配向金属基板、Ni基耐熱合金基板、SUS基板を用いることができるが、良導体である銅層を有するクラッド基板を用いることが好ましい。このように、良導体の層を有している金属基板を用いることにより、過電流を金属基板に効率的に流すことができるようになる。また、このときの銅層の厚みは10〜70μmであることが好ましい。
[実験例]
次に実験例に基づき、本発明をより具体的に説明する。
本実験例では、複数の薄膜酸化物超電導線材を接続させる際に、重ね合わせた薄膜酸化物超電導線材を、実験例1と実験例2とで異なる切断方法を用いて長手方向に切断し、各々の薄膜酸化物超電導線材の側面に導電層が形成されているかを調べた。
(1)切断前の薄膜酸化物超電導線材の作製
クラッド板(SUS基材、配向Cu層、配向Ni層を積層させた金属基板)の上に、Y、YSZ、CeOからなる中間層を形成した。そして、中間層上に厚み3μmの超電導層GdBaCu7−x酸化物超電導層および銀層を形成した幅10mmの薄膜酸化物超電導線材を作製した。
(2)重ね合わせ条件
実験例1と実験例2の両方において、薄膜酸化物超電導線材の端部の銀層同士が直接接するように、2本の薄膜酸化物超電導線材を重ね合わせて、重ね合わせ部を押圧治具で固定した。
(3)切断(スリット)条件
実験例1では、重ね合わせた薄膜酸化物超電導線材を赤外光レーザ(ファイバーレーザ)により熱切断し、実験例2では紫外光レーザにより非熱切断した。なお、赤外光レーザを用いた実験例1においては、アシストガスを吹き付けながら赤外光レーザを照射して、重ね合わされた薄膜酸化物超電導線材を熱切断した。なお、切断幅は実験例1および実験例2の何れにおいても4mmに設定した。
実験例1において用いた赤外光レーザによるスリット条件は以下のように設定した。
レーザ :ファイバーレーザ
波長 :1.064μm
出力 :300W
アシストガス:N
加工速度 :50m/min
実験例2において用いた紫外光レーザによるスリット条件は以下のように設定した。
レーザ :YAGレーザ3倍波
波長 :0.355μm
出力 :4W
アシストガス:なし
加工速度 :6mm/min
(4)酸素中熱処理
1気圧の純酸素ガス雰囲気中、550℃まで昇温させた後30分保持し、その後、炉冷により徐冷する酸素中熱処理を行った。
(5)断面の観察
上記した実験例1および実験例2により長尺化された薄膜酸化物超電導線材の断面を観察したところ、薄膜酸化物超電導線材の側面に0.01mm程度の層が形成されていた。
そして、実験例1および実験例2において形成された層を分析した結果、この層からは主にCu、Ag、Fe、Ni、Ba、Gd等が検出された。このことから、赤外光レーザによる熱切断を行うことにより、薄膜酸化物超電導線材の側面に、融解した薄膜酸化物超電導線材の材料が固化した混合層が形成されることが分かった。
(6)側面の導電性の評価
次に、実験例1および実験例2の薄膜酸化物超電導線材の側面に形成されている層が導電性を有しているか否かを調べるために、実験例1と実験例2の薄膜酸化物超電導線材の接続部における表面側と裏面側の電気抵抗を測定した。
その結果、紫外光レーザによる非熱切断を行った実験例2の薄膜酸化物超電導線材では、表面側と裏面側の電気抵抗が1cm長あたり1200Ωであった。これに対して、赤外光レーザを用いた熱切断により側面に混合層が形成された実験例1の薄膜酸化物超電導線材では、表面側と裏面側の電気抵抗が1cm長あたり1.1Ωであった。
このことから、赤外光レーザによる熱切断を行った実験例1の薄膜酸化物超電導線材の側面に形成されている層は、接続部の各層を電気的に接続する導電層であることが確認できた。
本発明は、接続部に安定化層を形成せずに過電流による酸化物超電導層の破壊を防止して、接続部の厚みが厚くなり過ぎる問題や、接続部において電気抵抗が大きくなるという問題の発生を防止することができ、永久電流モードで使用される超電導ケーブルや超電導コイルなどの製造効率の向上や製造コストの低減などに寄与することができる。
1 長尺化された薄膜酸化物超電導線材
11、21 薄膜酸化物超電導線材
12、22 金属基板
12a、22a SUS基板
12b、22b 銅層
13、23 中間層
14、24 酸化物超電導層
31、32 導電層
40 銀層

Claims (11)

  1. 金属基板上に少なくとも中間層、酸化物超電導層が積層された薄膜酸化物超電導線材の端部同士を順次接続して、長尺化された薄膜酸化物超電導線材を製造する薄膜酸化物超電導線材の製造方法であって、
    前記薄膜酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層側の面同士を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    重ね合わされた前記薄膜酸化物超電導線材を、赤外光レーザを用いて長尺方向に熱切断することにより、切断された前記薄膜酸化物超電導線材の重ね合わせ部の両側面に、切断時に融解した前記薄膜酸化物超電導線材を構成する材料が固化した混合層を、前記酸化物超電導層と前記金属基板とを電気的に接続させる導電層として形成する導電層形成工程とを有している薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記赤外光レーザが、波長1.0〜1.1μmの赤外光レーザである請求項1に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 前記重ね合わせ工程と前記導電層形成工程との間に、前記重ね合わせ部を加熱して接合する接合工程を有している請求項1または請求項2に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 前記接合工程が、前記重ね合わせ部に圧力をかけて加熱して接合する請求項3に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 前記重ね合わせ工程が、前記酸化物超電導層同士を重ね合わせる工程である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 前記薄膜酸化物超電導線材として前記酸化物超電導層の上に銀層が形成された薄膜酸化物超電導線材を用い、前記銀層同士を重ね合わせる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 前記赤外光レーザを照射すると共に切断箇所に向けてアシストガスを吹き付けながら前記熱切断を行う請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  8. 前記薄膜酸化物超電導線材として、前記酸化物超電導層がREBaCu7−x(RE:希土類元素)系の酸化物超電導層である薄膜酸化物超電導線材を用い、前記導電層形成工程の後に、前記薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  9. 金属基板上に少なくとも中間層、酸化物超電導層が積層された薄膜酸化物超電導線材の端部同士が順次接続されて長尺化された薄膜酸化物超電導線材であって、
    前記薄膜酸化物超電導線材の接続部の両側面に、前記薄膜酸化物超電導線材を構成する材料が固化した混合層が、前記酸化物超電導層と前記金属基板とを電気的に接続する導電層として形成されている薄膜酸化物超電導線材。
  10. 前記金属基板が、少なくとも長手方向に連続した良導体部を有している請求項9に記載の薄膜酸化物超電導線材。
  11. 外周部に絶縁層が形成されている請求項9または請求項10に記載の薄膜酸化物超電導線材。
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