JP6459149B2 - 薄膜酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

薄膜酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜酸化物超電導線材の製造方法に関し、詳しくは、帯状の金属基板上に酸化物超電導体からなる超電導層を形成した後、所定の幅で長手方向に切断して薄膜酸化物超電導線材を製造する薄膜酸化物超電導線材の製造方法に関する。
転移温度(Tc)が液体窒素温度以上の高温超電導体である酸化物超電導体からなる超電導層が設けられた薄膜酸化物超電導線材は、一般に、幅1〜10cm程度の金属基板上に、中間層、REBaCu7−x(RE:希土類元素)系の酸化物超電導層、保護層としての銀層や安定化層としての銅層が順に形成されることにより製造されている。
そして、薄膜酸化物超電導線材の製造に際しては、幾つかの目的のために、上記において製造された薄膜酸化物超電導線材を、さらに長手方向に切断加工する場合がある。
このとき、薄膜酸化物超電導線材を切断加工する方法として、従来より、スリッター等を用いて機械的に切断する方法や、紫外光レーザあるいは赤外光レーザを用いたレーザ照射により切断する方法が採用されている(特許文献1〜4)。
特開平06−068727号公報 特開2012−169057号公報 特開2012−156047号公報 特開2012−156948号公報
しかしながら、機械的に切断する方法は、加工速度は速いものの、切断されたエッジ部分やその近傍が損傷を受けることにより機械的な変形を生じて、臨界電流Icなどの超電導特性が低下したり、バリが発生したりし易い。
そして、紫外光レーザを用いたレーザ照射による切断は、紫外光レーザを用いて表面を構成する物質を弾き出すことにより非熱的に切断するアブレーション加工であるため、熱加工である赤外レーザ加工を用いた場合に比べて熱の発生が少なく超電導特性の低下を抑制することができるが、高出力の紫外光レーザが高価であることもあり、一般に切断加工速度が遅い。
一方、赤外光レーザを用いたレーザ照射による切断は、速い切断加工速度を得ることはできるものの、赤外光レーザを用いて表面を熱溶融させた後、溶融物を蒸発させたり吹き飛ばしたりすることにより熱的に切断する熱切断であるため、切断時に熱が発生して超電導特性の低下を招き易い。
このような状況下、近年、生産性向上の観点から、赤外光レーザを用いた切断加工に大きな期待が寄せられており、速い切断加工速度を維持しながらも超電導特性の低下を招かない切断加工技術が強く求められている。
そこで本発明は、赤外光レーザを用いて、速い切断加工速度で薄膜酸化物超電導線材を切断しながらも、低下した超電導特性を回復させて超電導特性の低下を十分に抑制することができる薄膜酸化物超電導線材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る薄膜酸化物超電導線材の製造方法は、
帯状の金属基板上に中間層を介してREBaCu7−x(RE:希土類元素)系の酸化物超電導層を形成した後、所定の幅で長手方向に切断して薄膜酸化物超電導線材を製造する薄膜酸化物超電導線材の製造方法であって、
切断箇所に赤外光レーザを照射して所定の幅で長手方向に熱切断する工程と、
熱切断された前記薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理する工程とを備える薄膜酸化物超電導線材の製造方法である。
本発明によれば、赤外光レーザを用いて、速い切断加工速度で薄膜酸化物超電導線材を切断しながらも、低下した超電導特性を回復させて超電導特性の低下を十分に抑制することができる薄膜酸化物超電導線材の製造方法を提供することができる。
熱切断された薄膜酸化物超電導線材の構成を示す断面図である。 熱切断された薄膜酸化物超電導線材に安定化層が形成された様子を示す図である。 図2に示す薄膜酸化物超電導線材に絶縁層が形成された様子を示す図である。 本発明の一態様の薄膜酸化物超電導線材の臨界電流値(Ic)と線材幅の関係を示すグラフである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る薄膜酸化物超電導線材の製造方法は、
帯状の金属基板上に中間層を介してREBaCu7−x(RE:希土類元素)系の酸化物超電導層を形成した後、所定の幅で長手方向に切断して薄膜酸化物超電導線材を製造する薄膜酸化物超電導線材の製造方法であって、
切断箇所に赤外光レーザを照射して所定の幅で長手方向に熱切断する工程と、
熱切断された前記薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理する工程とを備える薄膜酸化物超電導線材の製造方法である。
前記したように、赤外光レーザを用いたレーザ照射による切断は熱切断であるため、切断時の熱により薄膜酸化物超電導線材が温度上昇して超電導特性の低下を招き易い。
しかし、本発明者が、この薄膜酸化物超電導線材の温度上昇に伴う超電導特性の低下について検討したところ、以下のことが分かった。
即ち、超電導特性の低下は、300〜800℃までは酸化物超電導体から酸素が抜け出ることにより発生し、それ以上の温度では酸化物超電導体の結晶自体がダメージを受けることにより発生しており、後者は結晶自体のダメージであるため低下した超電導特性の回復が難しいが、前者は抜け出た酸素を再び酸化物超電導体に取り込ませることができれば低下した超電導特性を十分に回復させることができることが分かった。
そして、具体的には、切断後の薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で徐冷する、酸素アニール処理といわれる酸素中熱処理を施すことにより、酸化物超電導体に酸素が再び取り込まれて、低下した超電導特性が十分に回復することが分かった。
本実施態様は以上の知見に基づくものであり、赤外光レーザを照射する熱切断の後に、切断された薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理することにより、速い切断加工速度で薄膜酸化物超電導線材を切断しながらも、低下した超電導特性を回復させて超電導特性の低下を十分に抑制することができるため、効率的な薄膜酸化物超電導線材の製造が可能となる。
(2)そして、前記赤外光レーザは、波長1.0〜1.1μmの赤外光レーザであることが好ましい。
出力や集光径の点からは、波長1.0〜1.1μmの赤外光レーザが現状のレーザ加工装置の内で最も適している。
(3)そして、所定の幅で複数本に分割して熱切断することにより前記薄膜酸化物超電導線材を製造することが好ましい。
赤外光レーザを用いて所定の幅で熱切断するに際しては、切断前の薄膜酸化物超電導線材の両側縁を熱切断することにより所定の幅の1本の薄膜酸化物超電導線材を製造するのではなく、所定の幅で複数本に分割して熱切断することにより、切断前の薄膜酸化物超電導線材から複数本の薄膜酸化物超電導線材を製造することが効率的な製造の面から好ましい。
(4)また、幅1mm以下に熱切断して前記薄膜酸化物超電導線材を製造することが好ましい。
赤外光レーザを用いた熱切断により超電導特性が低下する酸化物超電導層の領域、即ち、酸素が抜け出していく領域は、切断の幅に関係なく赤外光レーザの照射条件に応じて一定であるため、切断幅が狭くなる程、薄膜酸化物超電導線材における超電導特性の低下が起こり易く、一方、酸素中熱処理によって超電導特性が回復される効果も大きい。特に、幅1mm以下の薄膜酸化物超電導線材の製造においては、この効果が顕著に発揮される。
そして、幅1mm以下の薄膜酸化物超電導線材は、複数本束ねて撚り合わせる際に、幅方向の曲げ加工などの取り扱いが容易であるため、超電導コイルなどを容易に作製することができる。
(5)さらに、熱切断前の前記薄膜酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層の上に銀層を形成することが好ましい。
形成された銀層が酸化物超電導層を保護する保護層として機能し、また過電流から酸化物超電導層をより確実に保護することができる。
(6)また、熱切断された前記薄膜酸化物超電導線材の外周面に、前記酸素ガス雰囲気中での熱処理の後、銅または銅合金の安定化層を形成することが好ましい。
薄膜酸化物超電導線材の外周面に銅または銅合金の安定化層を形成することにより、過電流をバイパスさせて、安定した超電導特性を発揮させることができる。
(7)また、切断された前記薄膜酸化物超電導線材の外周面に、さらに絶縁層を形成することが好ましい。
切断された薄膜酸化物超電導線材の外周面に絶縁層を形成することにより、薄膜酸化物超電導線材を機器に使用した際の絶縁性を十分に確保することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
次に、本発明を実施形態に基づき、図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、熱切断された薄膜酸化物超電導線材の構成を示す断面図であり、1は薄膜酸化物超電導線材、2は金属基板、3は中間層、4は酸化物超電導層、5は保護層としての銀層である。
図1に示す薄膜酸化物超電導線材1は、切断前に形成された薄膜酸化物超電導線材を、赤外光レーザを照射する熱切断によって所定の幅で長手方向に切断することにより製造される。以下、図1に示す薄膜酸化物超電導線材1の製造手順について説明する。
1.切断前の薄膜酸化物超電導線材の製造
切断前の薄膜酸化物超電導線材は公知の方法を用いて作製される。
(1)金属基板の準備
最初に、所定の幅に切断加工された金属基板を準備する。金属基板としては、酸化物超電導体をc軸配向してエピタキシャル成長させることにより酸化物超電導層を形成させるために、表面がc軸に2軸配向した帯状の配向金属基板を用いることが好ましい。具体的には、例えば、NiW合金基材、SUS等をベース金属としたNi/Cu/SUSなどのクラッドタイプの金属基板を用いる。また、無配向金属基板上に配向中間層を積層したIBAD基材などを用いることもできる。
(2)中間層の形成
次に、金属基板上に、RFスパッタ法等を用いて、所定の厚みで、セラミックからなる中間層を形成する。具体的には、CeO、YSZなどの安定化ジルコニア、Y等のセラミックスが中間層として用いられ、通常は、これらのセラミックスを積層させて中間層を形成する。
(3)酸化物超電導層の形成
次に、中間層上に、パルスレーザデポジション(PLD)法や塗布熱分解法(MOD法)などの公知の方法を用いて、REBaCu7−x系の酸化物超電導層を形成する。ここで、REは希土類元素であり、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ガドリウム(Gd)、サマリウム(Sm)、ネオジウム(Nd)、エルビウム(Er)、ユーロピウム(Eu)、ホルミウム(Ho)、ジスプロシウム(Dy)から適宜選択される。
(4)銀層の形成
次に、必要に応じて、DCスパッタ法などの蒸着法を用いて、酸化物超電導層上に厚み数μmから数十μmの銀層を酸化物超電導層の保護層として形成する。
(5)酸化物超電導層への酸素導入
次に、酸素雰囲気中で加熱処理して酸化物超電導層へ酸素を導入する。以上により、切断前の薄膜酸化物超電導線材の製造を完了する。
2.切断加工
次に、上記において製造された切断前の薄膜酸化物超電導線材を赤外光レーザを用いて長手方向に熱切断する。
具体的に好適な赤外光レーザとしては、波長1.0〜1.1μmの赤外光が可能なファイバーレーザやYAGレーザを挙げることができる。そして、連続発振レーザでもパルスレーザでもよいが、極短パルスレーザの場合にはアブレーション加工となるため、紫外レーザと同様に本実施形態には適さない。
前記したように、赤外光レーザを用いた切断時、超電導特性が低下する酸化物超電導層の領域、即ち、酸素が抜け出していく領域は、切断幅には関係しないため、切断幅が狭くなる程、酸素の抜け出しによる影響が現れ、薄膜酸化物超電導線材における超電導特性の低下が起こり易く、一方、次工程の酸素中熱処理によって超電導特性が回復される効果も大きい。特に、切断幅W(図1参照)1mm以下の薄膜酸化物超電導線材の場合、顕著な効果を発揮する。
そして、このような幅1mm以下の薄膜酸化物超電導線材は、捩じりと複合して幅方向に曲げることが可能となるため、複数本の薄膜酸化物超電導線材を集合させて可撓性のある超電導導体を作製することや、複数本の薄膜酸化物超電導線材を撚り合わせて交流損失の少ない超電導導体を作製することができる。
3.酸素中の熱処理
次に、赤外光レーザにより切断加工された薄膜酸化物超電導線材に対して酸素ガス雰囲気中で熱処理を施す。これにより、切断時、酸化物超電導体から抜け出た酸素が再び取り込まれて、低下した超電導特性が回復する。
この酸素中熱処理は、通常、1気圧の純酸素中で行うが、加圧下で行ってもよい。処理温度としては800℃以下であればよいが、低い場合には長時間の処理が必要となり、高い場合には効果が飽和するため、最高温度としては400〜550℃程度が好ましい。
具体的には、上記の処理温度まで加熱して所定時間保持した後、徐冷する。徐冷に掛ける時間はREの種類や線材の構造によって異なり適宜設定する。例えば、REとしてYが使用されている酸化物超電導体の場合には数分で室温まで冷却しても問題ないが、Gdの場合には200℃まで少なくとも2時間以上掛けて徐冷した方がIcの回復度合いが良くなる可能性が高い。
4.安定化層の形成
酸素中熱処理後の薄膜酸化物超電導線材は、図2に示す薄膜酸化物超電導線材11のように、外周面に銅または銅合金の安定化層6を形成してもよい。
安定化層6を設けることにより、過電流を安定化層6にバイパスさせて安定した超電導特性を発揮させることができる。
5.絶縁層の形成
また、図3に示すように、さらに、その外周面に絶縁層7を形成して、薄膜酸化物超電導線材21を製造してもよい。このような絶縁層としては、例えば、ポリアミド樹脂などの絶縁層を挙げることができる。
絶縁層7を設けることにより、前記したように、薄膜酸化物超電導線材を機器に使用した際の絶縁性を十分に確保することができる。なお、絶縁層は、安定化層を形成させることなく、直接、薄膜酸化物超電導線材の外周面に設けてもよい。
以上により、薄膜酸化物超電導線材の製造を完了する。
[実験例]
次に実験例に基づき、本発明をより具体的に説明する。
以下では、幅広の薄膜酸化物超電導線材を、異なる切断方法、具体的には、赤外光レーザによる切断、紫外光レーザによる切断、機械切断の3種類を用いて、異なる線材幅に切断し、酸素中熱処理(切断後の酸素アニール)の有り無しで実験例1〜9の薄膜酸化物超電導線材を作製し、作製したそれぞれの薄膜酸化物超電導線材のIcを評価した。
(1)幅広(切断前)の薄膜酸化物超電導線材の作製
金属基板として、SUS基材上に配向Cu層、配向Ni層を積層させたクラッド板を準備し、この金属基板上に、Y、YSZ、CeOが積層された中間層を形成した。そして、この中間層上に酸化物超電導層としてGdBaCu7−x酸化物超電導層を形成し、さらに、酸化物超電導層の上に保護層となる銀層を形成して、幅10mmの薄膜酸化物超電導線材を作製した。
(2)切断条件
作製した10mm幅の薄膜酸化物超電導線材を、実験例1〜6では赤外光レーザを用いて熱切断し、実験例7、8では紫外光レーザを用いて非熱切断を行った。また、実験例9では機械的な切断を行った。
上記した赤外光レーザによる切断条件は以下のように設定した。なお、切断幅は、端から1.5mm、4mm、2mm、1mm、1.5mmとした。
レーザ :ファイバーレーザ
波長 :1.064μm
出力 :300W
アシストガス:N
加工速度 :50m/min
また、紫外光レーザによる切断条件は以下のように設定した。なお、切断幅は、端から3mm、4mm、3mmとした。
レーザ :YAGレーザ3倍波
波長 :0.355μm
出力 :4W
アシストガス:なし
加工速度 :6mm/min
なお、以下においては、切断後の各薄膜酸化物超電導線材の内から、切断前の薄膜酸化物超電導線材におけるエッジの影響がない中央部で切断された薄膜酸化物超電導線材、具体的には、赤外光レーザでは4mm、2mm、1mmの各薄膜酸化物超電導線材、紫外光レーザでは4mmの薄膜酸化物超電導線材を使用した。
(3)酸素中熱処理
切断後の各実験例の薄膜酸化物超電導線材から2本の線材サンプルを切り出して、その内の1本(実験例2、4、6、8)を1気圧の純酸素ガス雰囲気中、550℃まで昇温させた後30分保持し、その後、炉冷により徐冷する酸素中熱処理を行った。
(4)Ic測定
各実験例の臨界電流(Ic)を液体窒素中で四端子法を用いて測定した。また、測定結果に基づいて、各実験例について規格化Ic(A/cm)を算出した。結果を表1に示す。また、実験例1〜6におけるIcの測定結果と線材幅の関係を図4に示す。
Figure 0006459149
表1の実験例1〜6より、何れの線材幅においても、酸素中熱処理を行った実験例のほうが高いIcが得られていることが分かる。このことから、赤外光レーザを用いた熱切断により低下したIcが酸素中熱処理により回復できることが確認できた。
特に、実験例5、6に示すように、1mm幅に熱切断した線材ではスリット後のIcが大きく低下しているが、酸素中熱処理によりIcを顕著に回復している。
そして、酸素中熱処理後における規格化Icは、いずれも紫外光レーザの規格化Icと遜色がないことから、赤外光レーザを用いることにより、紫外光レーザに比べて1万倍近い切断加工速度でありながらも、超電導特性の低下を十分に抑制して切断加工できることが確認できた。
なお、図4に示すように、熱切断後の線材幅とIcとの関係をプロットすると、線材幅のうち、0.12mm程度の幅においてIcが劣化していると予測される。なお、図4において、●は熱切断後の酸素中熱処理無の線材サンプルであり、▲は熱切断後の酸素中熱処理有の線材サンプルにおける測定値である。
本発明は、レア・アース系などの酸化物超電導層を備える薄膜酸化物超電導線材において、超電導特性を低下させることなく切断加工された薄膜酸化物超電導線材を効率良く製造することを可能にする技術であり、薄膜酸化物超電導線材の実用化の一層の推進に寄与する。
1、11、21 薄膜酸化物超電導線材
2 金属基板
3 中間層
4 酸化物超電導層
5 銀層
6 安定化層
7 絶縁層
W 切断幅

Claims (7)

  1. 帯状の金属基板上に中間層を介してREBaCu7−x(RE:希土類元素)系の酸化物超電導層を形成した後、所定の幅で長手方向に切断して薄膜酸化物超電導線材を製造する薄膜酸化物超電導線材の製造方法であって、
    切断箇所に赤外光レーザを照射して所定の幅で長手方向に熱切断する工程と、
    熱切断された前記薄膜酸化物超電導線材を酸素ガス雰囲気中で熱処理する工程とを備える薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  2. 前記赤外光レーザが、波長1.0〜1.1μmの赤外光レーザである請求項1に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  3. 所定の幅で複数本に分割して熱切断することにより前記薄膜酸化物超電導線材を製造する請求項1または請求項2に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  4. 幅1mm以下に熱切断して前記薄膜酸化物超電導線材を製造する請求項3に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  5. 熱切断前の前記薄膜酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層の上に銀層を形成する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  6. 熱切断された前記薄膜酸化物超電導線材の外周面に、前記酸素ガス雰囲気中での熱処理の後、銅または銅合金の安定化層を形成する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
  7. 切断された前記薄膜酸化物超電導線材の外周面に、さらに絶縁層を形成する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の薄膜酸化物超電導線材の製造方法。
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