JP6458220B2 - 軌道の潤滑管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両が走行する軌道の潤滑の要否を適正に判断可能な軌道の潤滑管理方法に関する。
従来より、鉄道車両が走行する軌道(特に、軌道の曲線区間)には、地上に設置された塗布装置によって、定期的にグリースや潤滑油などの潤滑材が塗布されている。
具体的には、例えば、所定の車両数(当該軌道における鉄道車両の通過頻度に応じて設定される車両数)が通過した後に、予め設定した量の潤滑材が塗布される。この場合、塗布の頻度と一回当たりの塗布量とによって、所定期間内の塗布量が決まることになる。
ここで、潤滑材の塗布量が過剰であった場合には、鉄道車両の滑走や空転が生じるおそれがある。また、使用する潤滑材のコストや、塗布頻度増加による塗布装置の劣化促進に伴うメンテナンスコストが増加するという問題もある。
一方、潤滑材の塗布量が不足している場合には、鉄道車両と軌道との間に作用する横圧が増大して脱線の危険性が生じることや、車輪や軌道の摩耗が進行し易くなったり、騒音が増大するという問題がある。
このため、上記のような問題が生じないように、潤滑材の塗布の要否を適正に判断する必要があるが、これまでは経験や勘に頼って、塗布の頻度や一回当たりの塗布量を調整しているに過ぎず、適正な判断がなされているとは言い難かった。
潤滑材の塗布の要否を適正に判断するには、予め設定した一定の頻度で予め設定した塗布量の潤滑材を塗布するのではなく、軌道の潤滑状態に応じて塗布の要否や塗布量を制御することが好ましい。すなわち、軌道の潤滑が不足して車輪と軌道との間の摩擦係数が増加した場合に潤滑材を塗布すればよい。
しかしながら、実際の摩擦係数を精度良く算出することは極めて困難である。
例えば、特許文献1には、鉄道車両の台車の後側に位置する車輪に作用する力に基づいて摩擦係数を算出し、この算出した摩擦係数に基づいて摩擦調整剤の噴射を制御することが提案されている。具体的には、特許文献1には、走行時の鉄道車両用ボギー台車の進行方向後側に位置する車輪に作用する上下力の検出値と、前記車輪に作用する前後力の検出値とに基づいて算出された、前記車輪と曲線レールとの間の摩擦係数に基づいて、摩擦調整剤噴射装置による摩擦調整剤の噴射を制御するための塗布制御手段を備えることを特徴とする鉄道車両の摩擦制御装置が提案されている(特許文献1の請求項1)。
しかしながら、特許文献1に記載の装置を用いたとしても、十分な精度で摩擦係数を算出できないため、潤滑材の塗布要否を適正に判断できないという問題がある。また、特許文献1には、算出した摩擦係数としきい値との差に応じて潤滑材(摩擦調整剤)の噴射量を調整することは提案されているものの、軌道の外軌側レール及び内軌側レールのいずれに潤滑材を噴射するかについては何ら提案されていない。
特許第4763432号公報
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、車両が走行する軌道の潤滑の要否を、外軌側及び内軌側の区別も含めて適正に判断可能な軌道の潤滑管理方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、
(A)車両の台車が有する前後一対の輪軸のそれぞれが具備する車輪と軌道との間に生じる接線力の大小のパターンと軌道の外軌側及び内軌側の潤滑状態とが相関を有するため、この接線力の大小のパターンに応じて軌道の外軌側及び内軌側の潤滑状態を予測可能であること、
(B)上記(A)により、軌道の潤滑の要否(軌道に対する潤滑材の塗布の要否)を、外軌側及び内軌側の区別も含めて適正に判断可能であること、
を知見した。
本発明は、本発明者らの上記知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の各ステップを含むことを特徴とする軌道の潤滑管理方法を提供する。
(1)第1ステップ:走行方向の前後に一対の輪軸を有する台車を備えた車両が軌道の曲線区間を走行している際に、前記一対の輪軸がそれぞれ具備する車輪と前記軌道との間に生じる接線力を測定する。
(2)第2ステップ:前記第1ステップで測定した前記一対の輪軸についての接線力に基づき、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の潤滑の要否を判断する。
本発明によれば、第1ステップにおいて、一対の輪軸がそれぞれ具備する車輪と軌道との間に生じる接線力(車輪と軌道との間に作用する前後方向のクリープ力)が測定される。前述のように、この測定した接線力の大小のパターンと軌道の外軌側及び内軌側の潤滑状態とが相関を有するため、第1ステップで測定した接線力の大小のパターンに応じて、軌道の外軌側及び内軌側の潤滑状態を予測可能である。このため、第2ステップのように、軌道の潤滑の要否を、外軌側及び内軌側の区別も含めて(具体的には、外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の区別も含めて)判断することが可能である。
また、本発明で測定する接線力は、営業車両(営業運転中の鉄道車両)によっても測定可能であるため、営業車両によって常時測定することにより、迅速な判断が可能である。
具体的には、本発明の前記第2ステップにおいて、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が第1しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が第2しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が必要であると判断し、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における内軌側頭頂部の潤滑が必要であるが外軌側ゲージコーナー部の潤滑は不要であると判断し、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2しきい値以下である場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であると判断することが可能である。
なお、第1しきい値及び第2しきい値と比較する接線力は、その向き(車両の走行方向と同じ向き、又は、走行方向と逆向き)には関係なく、大きさ(絶対値)を意味する。すなわち、例えば、「接線力が第1しきい値を超える」とは、接線力が何れの向きであったとしても、その絶対値が第1しきい値を超えることを意味する。
ここで、通常は、前側の輪軸についての接線力が大きくなり、後側の輪軸についての接線力が小さくなるパターンは生じ得ない。このため、仮にこのようなパターンが生じたときには、接線力の測定に何らかの異常(例えば、測定手段の故障)が生じていると考えるのが妥当である。
このため、本発明の前記第2ステップにおいて、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2しきい値以下である場合には、前記第1ステップにおける接線力の測定に異常が生じていると判断することが好ましい。
軌道の潤滑状態が同等であったとしても、軌道の曲線区間の曲線半径に応じて、生じる接線力の大きさも変化すると考えられる。
このため、潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値及び第2しきい値は、軌道の曲線区間の曲率半径に応じて設定することが好ましい。
すなわち、本発明の前記第2ステップにおいて潤滑の要否を判断するのに用いる前記第1しきい値及び前記第2しきい値は、前記車両が走行する軌道の曲線区間の曲線半径に応じて設定されていることが好ましい。
軌道の潤滑状態に変化がなかったとしても、接線力の測定値には、測定手段の測定精度等に起因してある程度のバラツキが生じると考えられる。このため、潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値及び第2しきい値は、接線力を一度測定した結果に基づき決定するのではなく、所定期間繰り返し測定した結果に基づき決定することが好ましい。
また、軌道の潤滑状態に変化がなかったとしても、車輪や軌道の摩耗に起因して接線力が変化することが考えられる。このため、潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値及び第2しきい値は、所定のタイミング毎に更新することが好ましい。
すなわち、前記第2ステップにおいて潤滑の要否を判断するのに用いる前記第1しきい値及び前記第2しきい値は、前記車両が前記軌道の曲線区間を走行している際に前記一対の輪軸についての接線力を所定期間繰り返し測定した結果に基づき決定され、所定のタイミング毎に更新されることが好ましい。
また、潤滑の要否のみならず、潤滑量の大小をも判断するには、前側の輪軸及び後側の輪軸のそれぞれについて、大小2つのしきい値を設け、測定した接線力と大小2つのしきい値との大小関係によって判断することが好ましい。
すなわち、前記第2ステップにおいて、前側の輪軸について、第1下側しきい値と該第1下側しきい値よりも大きな第1上側しきい値とを設定すると共に、後側の輪軸について、第2下側しきい値と該第2下側しきい値よりも大きな第2上側しきい値とを設定し、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1上側しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2上側しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が必要であると判断し、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1下側しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2上側しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における内軌側頭頂部の潤滑が必要であるが、外軌側ゲージコーナー部の潤滑は不要であり、なお且つ外軌側ゲージコーナー部の潤滑量を低下させる必要があると判断し、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1下側しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2下側しきい値以下である場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であり、なお且つ内軌側頭頂部の潤滑量を低下させる必要があると判断し、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1上側しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2下側しきい値以下である場合には、前記第1ステップにおける接線力の測定に異常が生じていると判断し、前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力及び後側の輪軸についての接線力が上記したいずれの場合にも該当しない場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であると判断することが好ましい。
なお、第1上側しきい値、第1下側しきい値、第2上側しきい値及び第2下側しきい値と比較する接線力は、その向き(車両の走行方向と同じ向き、又は、走行方向と逆向き)には関係なく、大きさ(絶対値)を意味する。すなわち、例えば、「接線力が第1上側しきい値を超える」とは、接線力が何れの向きであったとしても、その絶対値が第1上側しきい値を超えることを意味する。
本発明によれば、車両が走行する軌道の潤滑の要否を、外軌側及び内軌側の区別も含めて(具体的には、外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の区別も含めて)適正に且つ迅速に判断可能である。
このため、本発明による判断結果に従って軌道に潤滑を施せば、軌道の潤滑状態を適正化することができると共に、塗布装置の故障や潤滑材の枯渇などの異常を検知することも可能である。
図1は、車輪と軌道との間に生じる接線力を説明する図である。 図2は、軌道の構成及び軌道と車輪との接触状態を説明する図である。 図3は、種々の曲線半径を有する軌道の曲線区間を模擬して接線力を測定する試験を行った結果の一例を示すグラフである。 図4は、潤滑の要否の判断例を示す。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る軌道の潤滑管理方法について説明する。
<1.接線力について>
まず最初に、本実施形態に係る軌道の潤滑管理方法(以下、適宜、単に「潤滑管理方法」という)で測定対象とする接線力について説明する。
図1は、車輪と軌道との間に生じる接線力を説明する図である。図1(a)は車両が備える台車の概略構成を示す側面図であり、図1(b)は車両が軌道の曲線区間を走行している際に生じる接線力を説明する模式的平面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る潤滑管理方法は、走行方向Aの前後に一対の輪軸1(1a,1b)を有する台車100を備えた車両が走行する軌道(レール)Rの曲線区間での潤滑を対象としている。台車100は、台車枠2と、車両が備える車体200と台車枠2とを連結し車体200を支持する空気ばね3と、車輪11を有する輪軸1をベアリングを介して支持する軸箱体4と、軸箱体4を台車枠2に連結する軸箱体支持リンク5とを備えている。台車100が備える上記の構成要素及びその他の構成要素は、周知慣用の台車と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る潤滑管理方法で測定対象とされている接線力T1,T2は、台車100が具備する車輪11と軌道(レール)Rとの間に作用する前後方向(走行方向A)のクリープ力を意味する。
接線力T1は、一対の輪軸1のうち前側(走行方向Aの前側)輪軸1aが具備する車輪11と軌道Rとの間に生じる接線力である。接線力T1は、前側の輪軸1aが具備する外軌側の車輪11と外軌側のレールR1との間にも生じるし、前側の輪軸1aが具備する内軌側の車輪11と内軌側のレールR2との間にも生じる。各接線力T1は、その向きが異なるだけであり、その大きさ(絶対値)は略同等である。
同様に、接線力T2は、一対の輪軸1のうち後側(走行方向Aの後側)の輪軸1bが具備する車輪11と軌道Rとの間に生じる接線力である。接線力T2は、後側の輪軸1bが具備する外軌側の車輪11と外軌側のレールR1との間にも生じるし、後側の輪軸1bが具備する内軌側の車輪11と内軌側のレールR2との間にも生じる。各接線力T2は、その向きが異なるだけであり、その大きさ(絶対値)は略同等である。
<2.軌道の潤滑部位について>
次に、本実施形態に係る潤滑管理方法で潤滑の要否を判断する軌道Rの潤滑部位について説明する。
図2は、軌道の構成及び軌道と車輪との接触状態を説明する図である。図2(a)は軌道の概略構成を示す正面図であり、図2(b)は軌道と車輪との接触状態を示す正面図である。図2(b)に示す黒丸は、軌道と車輪との主たる接触部位を意味する。
従来より、軌道Rにおいて潤滑を施す部位(潤滑材を塗布する部位)は、滑走・空転が生じるおそれを低減すると共に、潤滑材の消費を抑制するため、外軌側のレールR1についてはゲージコーナー部とされ、内軌側のレールR2については頭頂部とされている。
図2(a)に示すように、レールRの頭頂部6は、レールRの長手方向(図2の紙面に垂直な方向)に沿ってレールRの頭部RHの頂部に延在する略平坦な表面を有する領域を意味する。また、レールRの頭部コーナー部7は、レールRの長手方向に沿ってレールRの頭部RHに延在する曲面及び略平坦な表面を有し、レールRの幅方向(図2の紙面の左右方向)に頭頂部6を挟んで形成された領域を意味する。一対の頭部コーナー部7のうち車輪11と接触する方の頭部コーナー部7がゲージコーナー部である。
図2(b)に示すように、前側の輪軸1aが具備する外軌側の車輪11と外軌側のレールR1だけは、主としてレールR1のゲージコーナー部(一対の頭部コーナー部7のうち内側に位置する方)で接触する。前側の輪軸1aが具備する内軌側の車輪11と内軌側のレールR2、後側の輪軸1bが具備する外軌側の車輪11と外軌側のレールR1、後側の輪軸1bが具備する内軌側の車輪11と内軌側のレールR2は、いずれも主としてレールR1,R2の頭頂部6で接触する。
このため、滑走・空転が生じるおそれを低減すると共に、潤滑材の消費を抑制するため、内軌側のレールR2については、頭頂部6が潤滑され、外軌側のレールR1については、ゲージコーナー部が潤滑される。
<3.本実施形態に係る潤滑管理方法について>
次に、本実施形態に係る潤滑管理方法について説明する。
本実施形態に係る潤滑管理方法は、第1ステップと第2ステップとを含むことを特徴とする。以下、各ステップについて順次説明する。
<3−1.第1ステップ>
第1ステップでは、図1に示すように、走行方向Aの前後に一対の輪軸1a,1bを有する台車100を備えた車両が軌道Rの曲線区間を走行している際に、一対の輪軸1a,1bがそれぞれ具備する車輪11と軌道Rとの間に生じる接線力T1,T2を測定する。
第1ステップにおける接線力T1の測定方法としては、例えば、前側の輪軸1aが有する車輪11を支持する軸箱体4を台車枠2に連結する軸箱体支持リンク5に歪ゲージ8を貼り付けておき、歪ゲージ8で測定した歪を荷重に換算して接線力T1を算出する方法が考えられる。接線力T2についても同様に、例えば、後側の輪軸1bが有する車輪11を支持する軸箱体4を台車枠2に連結する軸箱体支持リンク5に歪ゲージ8を貼り付けておき、歪ゲージ8で測定した歪を荷重に換算して接線力T2を算出すればよい。
前述のように、接線力T1は、前側の輪軸1aが具備する外軌側の車輪11と外軌側のレールR1との間にも生じるし、前側の輪軸1aが具備する内軌側の車輪11と内軌側のレールR2との間にも生じ、各接線力T1は、その向きが異なるだけであって、その大きさ(絶対値)は略同等である。従って、外軌側及び内軌側のいずれか一方についてのみ接線力T1を測定しても良いし、外軌側及び内軌側の双方について接線力T1を測定し、その測定値を平均化して用いることも可能である。歪ゲージ8を用いて外軌側についてのみ接線力T1を測定する場合には、外軌側の車輪11を台車枠2に連結する軸箱体支持リンク5にのみ歪ゲージ8を貼り付ければよい。また、歪ゲージ8を用いて内軌側についてのみ接線力T1を測定する場合には、内軌側の車輪11を台車枠2に連結する軸箱体支持リンク5にのみ歪ゲージ8を貼り付ければよい。外軌側及び内軌側の双方について接線力T1を測定する場合には、外軌側及び内軌側の双方の軸箱体支持リンク5に歪ゲージ8を貼り付ければよい。
接線力T2についても同様に、外軌側及び内軌側のいずれか一方についてのみ接線力T2を測定しても良いし、外軌側及び内軌側の双方について接線力T2を測定し、その測定値を平均化して用いることも可能である。歪ゲージ8を用いて外軌側及び内軌側のいずれか一方についてのみ接線力T2を測定する場合や、歪ゲージ8を用いて外軌側及び内軌側の双方について接線力T2を測定する場合の歪ゲージ8の貼り付け位置は接線力T1の場合と同様である。
図3は、種々の曲線半径を有する軌道の曲線区間を模擬して接線力を測定する試験を行った結果の一例を示すグラフである。図3(a)は接線力T1の測定結果を示し、図3(b)は接線力T2の測定結果を示す。図3の横軸は軌道Rの曲線区間の曲率(曲線半径rの逆数)を、縦軸は接線力を示す。接線力T1,T2の符号は、外軌側についても内軌側についても車両の走行方向Aの前側に向く場合を正としている。図3において条件1(△でプロットしたデータ)は、外軌側のレールR1のゲージコーナー部のみを潤滑(グリース塗布)した場合に得られた結果を示す。条件2(〇でプロットしたデータ)は、外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の双方を潤滑しなかった場合に得られた結果を示す。条件3(▲でプロットしたデータ)は、外軌側のレールR1のゲージコーナー部及び内軌側のレールR2の頭頂部の双方を潤滑(グリース塗布)した場合に得られた結果を示す。条件4(□でプロットしたデータ)は、内軌側のレールR2の頭頂部のみを潤滑(グリース塗布)した場合に得られた結果を示す。なお、図3(a)に示す結果は、外軌側及び内軌側の双方について接線力T1を測定し、(外軌側接線力T1−内軌側接線力T1)を縦軸にプロットしたものである。同様に、図3(b)に示す結果は、外軌側及び内軌側の双方について接線力T2を測定し、(外軌側接線力T2−内軌側接線力T2)を縦軸にプロットしたものである。
図3(a)に示すように、条件2の場合には接線力T1(接線力T1の絶対値)は比較的大きくなる一方、条件1、3、4の場合には接線力T1(接線力T1の絶対値)は比較的小さくなることがわかる。このため、適切なしきい値を設定することにより、条件2の場合と、条件1、3、4の場合とを区別できることが分かる。
これに対し、図3(b)に示すように、曲率が0.0025未満の曲線区間では、条件1〜4のいずれの場合にも接線力T2の値は近似したものとなる。ただし、実際に騒音や摩耗の問題が顕在化するために潤滑を施している軌道Rの曲線区間は、その大半の曲率が0.025以上である。そして、少なくとも曲率が0.0025以上の曲線区間では、条件1、2の場合には接線力T2(接線力T2の絶対値)は比較的大きくなる一方、条件3、4の場合には接線力T2(接線力T2の絶対値)は比較的小さくなることが分かる。このため、適切なしきい値を設定することにより、条件1、2の場合と、条件3、4の場合とを区別できることが分かる。
<3−2.第2ステップ>
第2ステップでは、第1ステップで測定した一対の輪軸1a,1bについての接線力T1,T2に基づき、軌道Rの曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の潤滑の要否を判断する。以下、第2ステップにおける具体的な判断内容について説明する。
以下に示す表1は、前述の図3に示す試験結果のまとめである。
Figure 0006458220
表1に示す条件1の場合には、接線力T1,T2の大小のパターンが、他の条件2〜4の場合のパターンとは異なるため、接線力T1,T2を測定することにより、現在(接線力T1,T2測定時)の外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の潤滑状態が条件1に対応することを予測可能であるといえる。条件1の場合には、現在、内軌側(内軌側のレールR2の頭頂部)の潤滑が不足しているため、内軌側に潤滑を施せば十分であり、外軌側(外軌側のレールR1のゲージコーナー部)の潤滑は不要である。内軌側及び外軌側の双方に潤滑を施せば、車両に滑走や空転が生じるおそれがあるためである。
表1に示す条件2の場合にも、接線力T1,T2の大小のパターンが、他の条件1、3、4の場合のパターンとは異なるため、接線力T1,T2を測定することにより、現在の外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の潤滑状態が条件2に対応することを予測可能であるといえる。条件2の場合には、現在、外軌側及び内軌側の双方の潤滑が不足しているため、外軌側及び内軌側の双方に潤滑を施す必要がある。
表1に示す条件3、4の場合、接線力T1,T2の大小のパターンが、他の条件1、2の場合のパターンとは異なるため、接線力T1,T2を測定することにより、現在の外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の潤滑状態が条件3、4の少なくともいずれか一方に対応することを予測可能であるといえる。ただし、条件3、4のいずれであるかを区別して予測することは困難である。条件3の場合には、現在、外軌側及び内軌側の双方が潤滑されているため、外軌側及び内軌側の双方の潤滑は不要である。条件4の場合には、現在、外軌側の潤滑が不足しているため、できれば外軌側のみ潤滑を施すことが好ましい。しかしながら、上記のように条件3との区別が困難であることや、条件3の場合には(条件4の場合も)横圧が小さくなることが分かっており脱線の危険性に乏しいことに鑑み、条件3、4のいずれの場合も一律に外軌側及び内軌側の双方の潤滑を不要にすることが考えられる。
なお、通常は、表1に示されていないパターン(接線力T1が大きくなり、接線力T2が小さくなるパターン)は生じ得ない。このため、仮にこのようなパターンが生じたときには、接線力T1,T2の測定に何らかの異常(例えば、歪ゲージ8の故障)が生じていると考えるのが妥当である。
従って、第2ステップにおいて、具体的に潤滑の要否を判断するには、以下の表2に示すような判断を行えば良い。
Figure 0006458220
すなわち、第1ステップで測定した接線力T1が第1しきい値Th1を超え、第1ステップで測定した接線力T2が第2しきい値Th2を超えている場合(表2の条件Aの場合)には、軌道Rの曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が必要であると判断する。
また、第1ステップで測定した接線力T1が第1しきい値Th1以下であり、第1ステップで測定した接線力T2が第2しきい値Th2を超えている場合(表2の条件Cの場合)には、軌道Rの曲線区間における内軌側頭頂部の潤滑が必要であるが外軌側ゲージコーナー部の潤滑は不要であると判断する。
また、第1ステップで測定した接線力T1が第1しきい値Th1以下であり、第1ステップで測定した接線力T2が第2しきい値Th2以下である場合(表2の条件Dの場合)には、軌道Rの曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であると判断する。
さらに、第1ステップで測定した接線力T1が第1しきい値Th1を超え、第1ステップで測定した接線力T2が第2しきい値Th2以下である場合(表2の条件Bの場合)には、第1ステップにおける接線力T1,T2の測定に異常が生じていると判断する。
以上に説明したように、本実施形態に係る潤滑管理方法によれば、第1ステップにおいて、一対の輪軸1a,1bがそれぞれ具備する車輪11と軌道Rとの間に生じる接線力T1,T2が測定される。図3、表1に示すように、この測定した接線力T1,T2の大小のパターンと軌道Rの外軌側及び内軌側の潤滑状態とが相関を有するため、第1ステップで測定した接線力T1,T2の大小のパターンに応じて、軌道Rの外軌側及び内軌側の潤滑状態を予測可能である。このため、第2ステップのように、軌道Rの潤滑の要否を、外軌側及び内軌側の区別も含めて(具体的には、外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の区別も含めて)判断することが可能である。
なお、軌道Rの潤滑状態が同等であったとしても、軌道Rの曲線区間の曲線半径rに応じて、生じる接線力T1,T2の大きさも変化すると考えられる。実際、図3に示す例でも、条件1〜4のうち、曲線半径rに応じて(曲率1/rに応じて)、生じる接線力T1,T2の大きさが比較的大きく変化している条件が存在している。
このため、潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値Th1及び第2しきい値Th2は、軌道Rの曲線区間の曲率半径rに応じて設定することが好ましい。
すなわち、前述の第2ステップにおいて潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値Th1及び第2しきい値Th2は、車両が走行する軌道Rの曲線区間の曲線半径rに応じて設定されていることが好ましい。
図3に示す例では、曲線半径rに関わらず(曲率1/rに関わらず)、第1しきい値Th1を例えば2.5[kN]程度に一律に設定することで、条件2の場合と、条件1、3、4の場合とを区別できると考えられる。しかしながら、曲線半径rがその変動範囲の中間の値となる条件(曲率1/rがその変動範囲の中間の値となる条件、例えば0.0020<1/r<0.0060)では、条件2の場合には接線力T1が大きくなっている(2.5[kN]から大きく離れている)ため、条件2の場合を他の条件1、3、4の場合と区別し易いようにするには、第1しきい値Th1を一律に設定するのではなく、曲線半径rに応じて設定する(例えば、曲線半径rがその変動範囲の中間の値となる場合には第1しきい値Th1の値を2.5[kN]よりも大きくする)ことが好ましい。
また、図3に示す例では、少なくとも曲率1/rが0.0025以上の曲線区間では、曲線半径rに関わらず(曲率1/rに関わらず)、第2しきい値Th2を2.5[kN]程度に一律に設定することで、条件1、2の場合と、条件3、4の場合とを区別できると考えられる。しかしながら、曲線半径rが小さくなる(曲率1/rが大きくなる)につれて、条件1、2の場合の接線力T2(接線力T2の絶対値)は大きくなる一方、条件3、4の場合の接線力T1は変化が少ないため、条件1、2の場合を他の条件3、4の場合と区別し易いようにするには、第2しきい値Th2を一律に設定するのではなく、曲率半径rに応じて設定する(例えば、曲率半径rが小さくなるに従って段階的に第2しきい値Th1の値を大きくする)ことが好ましい。
なお、軌道Rの潤滑状態に変化がなかったとしても、接線力T1,T2の測定値には、歪ゲージ8を用いたときの測定精度等に起因してある程度のバラツキが生じると考えられる。このため、潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値Th1及び第2しきい値Th2は、接線力T1,T2を一度測定した結果に基づき決定するのではなく、所定期間繰り返し測定した結果に基づき決定することが好ましい。
また、軌道Rの潤滑状態に変化がなかったとしても、車輪11や軌道Rの摩耗に起因して接線力T1,T2が変化することが考えられる。このため、潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値Th1及び第2しきい値Th2は、所定のタイミング毎に更新することが好ましい。
すなわち、第2ステップにおいて潤滑の要否を判断するのに用いる第1しきい値Th1及び第2しきい値Th2は、車両が軌道Rの曲線区間を走行している際に一対の輪軸1a,1bについての接線力T1,T2を所定期間繰り返し測定した結果に基づき決定され、所定のタイミング毎に更新されることが好ましい。
なお、以上に説明した本実施形態では、潤滑の要否のみを判断しているが、潤滑量の大小をも判断するには、前側の輪軸及び後側の輪軸のそれぞれについて、大小2つのしきい値を設け、測定した接線力と大小2つのしきい値との大小関係によって判断することが好ましい。以下、上記の好ましい変形例について説明する。
表3は、一対の輪軸1a,1bについての接線力T1,T2と、軌道Rの潤滑状態との関係を試験した結果の一例を示す。
Figure 0006458220
表3に示す条件5の場合には、接線力T1,T2の大小のパターンが、他の条件6〜10の場合のパターンとは異なるため、接線力T1,T2を測定することにより、現在(接線力T1,T2測定時)の外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の潤滑状態が条件5に対応することを予測可能であるといえる。条件5の場合には、現在、外軌側(外軌側のレールR1のゲージコーナー部)及び内軌側(内軌側のレールR2の頭頂部)の双方の潤滑が不足しているため、外軌側及び内軌側の双方に潤滑を施す必要がある。
表3に示す条件6の場合にも、接線力T1,T2の大小のパターンが、他の条件5、7〜10の場合のパターンとは異なるため、接線力T1,T2を測定することにより、現在(接線力T1,T2測定時)の外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の潤滑状態が条件6に対応することを予測可能であるといえる。条件6の場合には、現在、内軌側の潤滑が不足しているため、内軌側に潤滑を施せば十分であり、外軌側の潤滑は不要である。さらに、車両に滑走や空転が生じるおそれを低減するためには、外軌側の潤滑量を低減させる必要がある。外軌側の潤滑量を低減させるとは、例えば、外軌側の潤滑材を拭き取ることを例示できる。ただし、実際に車両の滑走が頻発する等の緊急性が無い場合には、直ぐに潤滑材を拭き取ることは必ずも必要ではなく、一回当たりの潤滑材の塗布量を減らす等の設定変更を行った後、次回の接線力T1,T2の測定タイミングまで経過観察することも可能である。
表3に示す条件7、8の場合、接線力T1,T2の大小のパターンが、他の条件5、6、9、10の場合のパターンとは異なるため、接線力T1,T2を測定することにより、現在の外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の潤滑状態が条件7、8の少なくともいずれか一方に対応することを予測可能であるといえる。ただし、条件7、8のいずれであるかを区別して予測することは困難である。条件7の場合には、現在、外軌側及び内軌側の双方が潤滑されているため、外軌側及び内軌側の双方の潤滑は不要である。条件8の場合には、現在、外軌側の潤滑が不足しているため、できれば外軌側のみ潤滑を施すことが好ましい。しかしながら、上記のように条件7との区別が困難であることや、条件7の場合には(条件8の場合も)横圧が小さくなることが分かっており脱線の危険性に乏しいことに鑑み、条件7、8のいずれの場合も一律に外軌側及び内軌側の双方の潤滑を不要にすることが考えられる。ただし、条件7、8のいずれの場合も、車両に滑走や空転が生じるおそれを低減するためには、内軌側の潤滑量を低減させる必要がある。
表3に示す条件9の場合にも、接線力T1,T2の大小のパターンが、他の条件5〜8、10の場合のパターンとは異なるため、接線力T1,T2を測定することにより、現在(接線力T1,T2測定時)の外軌側のレールR1及び内軌側のレールR2の潤滑状態が条件9に対応することを予測可能であるといえる。条件9の場合には、現在、外軌側及び内軌側の双方が適正に潤滑されているため、外軌側及び内軌側の双方の潤滑は不要である。
なお、表3に示す条件10の場合(接線力T1が大きくなり、接線力T2が小さくなるパターン)は、通常は生じ得ない。このため、仮にこのようなパターンが生じたときには、接線力T1,T2の測定に何らかの異常(例えば、歪ゲージ8の故障)が生じていると考えるのが妥当である。
従って、変形例においては、前述した第2ステップにおいて、図4に示すような判断を行えば良い。
すなわち、第1ステップで測定した接線力T1が第1上側しきい値Thu1を超え、第1ステップで測定した接線力T2が第2上側しきい値Thu2を超えている場合(図4の条件Eの場合)には、軌道Rの曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が必要であると判断する。
また、第1ステップで測定した接線力T1が第1下側しきい値Thd1以下であり、第1ステップで測定した接線力T2が第2上側しきい値Thu2を超えている場合(図4の条件Fの場合)には、軌道Rの曲線区間における内軌側頭頂部の潤滑が必要であるが、外軌側ゲージコーナー部の潤滑は不要であり、なお且つ外軌側ゲージコーナー部の潤滑量を低下させる必要があると判断する。
また、第1ステップで測定した接線力T1が第1下側しきい値Thd1以下であり、第1ステップで測定した接線力T2が第2下側しきい値Thd2以下である場合(図4の条件Gの場合)には、軌道Rの曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であり、なお且つ内軌側頭頂部の潤滑量を低下させる必要があると判断する。
また、第1ステップで測定した接線力T1が第1上側しきい値Thu1を超え、第1ステップで測定した接線力T2が第2下側しきい値Thd2以下である場合(図4の条件Hの場合)には、第1ステップにおける接線力T1,T2の測定に異常が生じていると判断する。
さらに、第1ステップで測定した接線力T1及びT2が上記したいずれの場合にも該当しない場合(図4の条件Iの場合)には、軌道Rの曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であると判断する。なお、図4の条件Iのうち、Thd1<T1≦Thu1、Thd2<T2≦Thu2に該当する場合(図4に「条件I(適正)」と示す場合)は、前述した表3に示す条件9に該当し、外軌側及び内軌側の双方が適正に潤滑されているため、外軌側及び内軌側の双方の潤滑は不要である。その他の場合の条件I(図4に「条件I(許容)」と示す場合)については、外軌側及び内軌側の双方共に完全には適正な潤滑がなされているとはいえないものの、少なくとも現在(接線力T1,T2測定時)は何らかの処置を施す必要が無いため、外軌側及び内軌側の双方の潤滑は不要であると判断している。
1,1a,1b・・・輪軸
2・・・台車枠
3・・・空気ばね
4・・・軸箱体
5・・・軸箱体支持リンク
8・・・歪ゲージ
11・・・車輪
100・・・台車
200・・・車体
R・・・軌道
R1・・・外軌側のレール
R2・・・内軌側のレール
T1,T2・・・接線力

Claims (6)

  1. 走行方向の前後に一対の輪軸を有する台車を備えた車両が軌道の曲線区間を走行している際に、前記一対の輪軸がそれぞれ具備する車輪と前記軌道との間に生じる接線力を測定する第1ステップと、
    前記第1ステップで測定した前記一対の輪軸についての接線力に基づき、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の潤滑の要否を判断する第2ステップと、
    を含むことを特徴とする軌道の潤滑管理方法。
  2. 前記第2ステップにおいて、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が第1しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が第2しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が必要であると判断し、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における内軌側頭頂部の潤滑が必要であるが外軌側ゲージコーナー部の潤滑は不要であると判断し、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2しきい値以下である場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であると判断することを特徴とする請求項1に記載の軌道の潤滑管理方法。
  3. 前記第2ステップにおいて、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2しきい値以下である場合には、前記第1ステップにおける接線力の測定に異常が生じていると判断することを特徴とする請求項2に記載の軌道の潤滑管理方法。
  4. 前記第2ステップにおいて潤滑の要否を判断するのに用いる前記第1しきい値及び前記第2しきい値は、前記車両が走行する軌道の曲線区間の曲線半径に応じて設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の軌道の潤滑管理方法。
  5. 前記第2ステップにおいて潤滑の要否を判断するのに用いる前記第1しきい値及び前記第2しきい値は、前記車両が前記軌道の曲線区間を走行している際に前記一対の輪軸についての接線力を所定期間繰り返し測定した結果に基づき決定され、所定のタイミング毎に更新されることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の軌道の潤滑管理方法。
  6. 前記第2ステップにおいて、前側の輪軸について、第1下側しきい値と該第1下側しきい値よりも大きな第1上側しきい値とを設定すると共に、後側の輪軸について、第2下側しきい値と該第2下側しきい値よりも大きな第2上側しきい値とを設定し、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1上側しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2上側しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が必要であると判断し、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1下側しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2上側しきい値を超えている場合には、前記軌道の曲線区間における内軌側頭頂部の潤滑が必要であるが、外軌側ゲージコーナー部の潤滑は不要であり、なお且つ外軌側ゲージコーナー部の潤滑量を低下させる必要があると判断し、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1下側しきい値以下であり、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2下側しきい値以下である場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であり、なお且つ内軌側頭頂部の潤滑量を低下させる必要があると判断し、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力が前記第1上側しきい値を超え、前記第1ステップで測定した後側の輪軸についての接線力が前記第2下側しきい値以下である場合には、前記第1ステップにおける接線力の測定に異常が生じていると判断し、
    前記第1ステップで測定した前側の輪軸についての接線力及び後側の輪軸についての接線力が上記したいずれの場合にも該当しない場合には、前記軌道の曲線区間における外軌側ゲージコーナー部及び内軌側頭頂部の双方の潤滑が不要であると判断することを特徴とする請求項1に記載の軌道の潤滑管理方法。
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