以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る発光素子点灯装置100の要部を示す回路図である。図1を参照して、発光素子点灯装置100を車載用前照灯に用いた例について説明する。
直流電源1は、例えば、車両に搭載したバッテリにより構成されている。発光素子2は、n個(nは2以上の整数)のLED21〜2nを直列に接続したものであり、車載用前照灯の光源である。なお、当前照灯は、LED21〜2nの中の任意のLEDを選択して点灯することによって所望の方向を照らすもので、車両が走行する状況によって点灯するLEDは随時切換えられる。
直流電源1と発光素子2間に、トランス3が設けられている。図1の例では、トランス3は1個の第1トランス31により構成されている。第1トランス31は、直流電源1と電気的に接続された1次巻線P1を有している。また、第1トランス31は、発光素子2と電気的に接続された2次巻線S1及び磁束リセット用2次巻線S1Rを有している。1次巻線P1に対する2次巻線S1の巻数比mは、任意の値に設定されている。
第1トランス31は、例えば、1次巻線P1への印加電圧に対してm倍の電圧が2次巻線S1に生じるとともに、2次巻線S1に流れる電流に対してm倍の電流が1次巻線P1に流れる、いわゆる「ポテンシャルトランス」である。または、第1トランス31は、1次巻線P1への通電電流に対して1/m倍の電流が2次巻線S1に流れるとともに、2次巻線S1に接続した負荷による電圧降下の1/m倍の電圧が1次巻線P1に生じる、いわゆる「カレントトランス」である。なお、ポテンシャルトランス及びカレントトランスはいずれも同じ構造であり、第1トランス31はいずれのトランスであっても良い。
直流電源1とトランス3間に、スイッチング素子4が設けられている。図1の例では、スイッチング素子4はPチャネル型の電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,FET)であり、ソース端子が直流電源1の高電位側端子と電気的に接続され、かつ、ドレイン端子が第1トランス31の1次巻線P1と電気的に接続されている。スイッチング素子4は、FETのゲート電圧に応じて、直流電源1からトランス3への入力電流をオンオフするものである。
トランス3と発光素子2間に、整流ダイオード5が設けられている。図1の例では、整流ダイオード5は1個の第1整流ダイオード51により構成されている。第1整流ダイオード51は、陽極が第1トランス31の2次巻線S1と電気的に接続され、かつ、陰極がコイル6を介してLED21の陽極と電気的に接続されている。
第1整流ダイオード51の陰極とコイル6との間には還流ダイオード7の陰極が電気的に接続されており、還流ダイオード7の陽極は第1トランス31の2次巻線S1と磁束リセット用2次巻線S1Rが接続される基準電位(直流電源1の低電位側端子)に電気的に接続されている。コイル6とLED21の陽極との間にはダイオード8の陰極が電気的に接続されており、ダイオード8の陽極は第1トランス31の磁束リセット用2次巻線SRと電気的に接続されている。ダイオード8は、整流ダイオード5及び還流ダイオード7よりも電流容量の小さいダイオードである。
LED2nの陰極と基準電位(直流電源1の低電位側端子)との間に、電流検出用抵抗器9が設けられている。出力電流検出部10は、電流検出用抵抗器9に流れる電流値を検出することで、トランス3から発光素子2への出力電流の電流値を検出するとともに、スイッチング素子4のオフ状態にてコイル6から発光素子2への出力電流の電流値を検出するものである。
ヒステリシス制御部11は、出力電流検出部10が検出した電流値を用いて、スイッチング素子4のゲート電圧を制御するものである。具体的には、ヒステリシス制御部11は、スイッチング素子4のオン状態とオフ状態とを交互に切り替えることで、トランス3及びコイル6から発光素子2への出力電流の電流値を基準範囲内の値にする、いわゆるヒステリシス制御を行うものである。
出力電流検出部10及びヒステリシス制御部11により、制御部12が構成されている。制御部12は、アナログ回路で実現されたものでも良く、デジタル回路で実現されたものでも良い。また、制御部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)又はシステムLSI(Large−Scale Integration)などの専用の処理回路で実現されたものでも良い。また、制御部12は、出力電流検出部10及びヒステリシス制御部11の機能に対応するプログラムが記憶されたメモリと、このメモリからプログラムを読み出して実行するプロセッサとにより実現されたものでも良い。
トランス3、スイッチング素子4、整流ダイオード5、コイル6、還流ダイオード7、ダイオード8、電流検出用抵抗器9及び制御部12により、発光素子点灯装置100が構成されている。
次に、図2及び図3を参照して、発光素子点灯装置100に流れる電流について説明する。
図2は、スイッチング素子4をオンしたときの電流を示している。スイッチング素子4をオンすると、直流電源1からトランス3への電流供給が開始され、第1トランス31の1次巻線P1に入力電流Iinが流れる。また、1次巻線P1に入力電流Iinが流れることで、2次巻線S1にも電流が流れる。この電流は第1整流ダイオード51により整流され、コイル6、発光素子2及び電流検出用抵抗器9に出力電流Ioutが流れる。
このとき、第1トランス31の2次巻線S1側の電圧値は、1次巻線P1側の電圧値のm倍となる。また、出力電流Ioutの電流値は、コイル6のインダクタンス値に応じて制限される。また一方では、出力電流Ioutの通電により、コイル6は磁気エネルギを貯える。
図3は、スイッチング素子4をオフしたときの電流を示している。スイッチング素子4をオフすると、コイル6は、スイッチング素子4のオン状態にて貯えていた磁気エネルギを電流として放出する。この電流は還流ダイオード7により発光素子2に還流され、発光素子2及び電流検出用抵抗器9に出力電流Ioutとして流れる。
また、スイッチング素子4をオフした後、第1トランス31にはスイッチング素子4のオン状態における励磁磁束が残留している。この励磁磁束を放出しない場合、第1トランス31のコアに磁束が溜まり、結果的に磁束が飽和すると第1トランス31の磁気的特性が失われる。そこで、発光素子点灯装置100においては、磁束リセット用2次巻線S1Rを設けて励磁磁束をリセット電流として放出させるようにしている。このリセット電流はダイオード8により整流され、発光素子2及び電流検出用抵抗器9にリセット電流Irとして流れる。リセット電流Irを流すことで、第1トランス31のコアの磁束がリセットされ、磁束の飽和を防ぐことができる。
なお、リセット電流Irの電流値は、出力電流Ioutと比較して十分に小さい値である。このため、発光素子点灯装置100による発光素子2の点灯動作に対してリセット電流Irが与える影響は無視できる程度に小さい。また、リセット電流Irを整流するダイオード8は、整流ダイオード5及び還流ダイオード7よりも電流容量の小さいダイオードを用いることができる。
なお、仮に、第1トランス31に励磁磁束の残留しない理想的なトランスを用いることができる場合、リセット電流Irを流すための構成は不要である。この場合、発光素子点灯装置100は、磁束リセット用2次巻線S1R及びダイオード8を除去した回路構成となる。
次に、図2〜図4を参照して、ヒステリシス制御部11の動作について説明する。
図4(a)は、スイッチング素子4のオンオフを示すタイミングチャートである。図4(b)は、図4(a)のタイミングチャートと同じ時間における出力電流Ioutを示す特性図である。
ヒステリシス制御部11には、基準範囲ΔIoutの上限値に対応する第1電流値IoutHと、下限値に対応する第2電流値IoutLとが予め設定されている。第1電流値IoutH及び第2電流値IoutLは、出力電流検出部10が検出した電流値、すなわち出力電流Ioutの電流値との比較対象となる値である。また、基準範囲ΔIout内には、発光素子2の点灯電流に応じた目標電流値IoutTが含まれている。
ヒステリシス制御部11は、スイッチング素子4のオン状態とオフ状態とを交互に切り替える。すなわち、スイッチング素子4をオンすると、図2に示す如く2次巻線S1による出力電流Ioutがコイル6に磁気エネルギを貯えながら流れ、出力電流Ioutの電流値が次第に上昇する。出力電流検出部10の検出した電流値が第1電流値IoutH以上になると、ヒステリシス制御部11はスイッチング素子4をオフする。スイッチング素子4をオフすると、図3に示す如くコイル6に貯えた磁気エネルギの放出による出力電流Ioutが流れ、出力電流Ioutの電流値が次第に低下する。出力電流検出部10の検出した電流値が第2電流値IoutL以下になると、ヒステリシス制御部11はスイッチング素子4をオンする。以下、ヒステリシス制御部11は同様のオンオフ制御を繰り返す。
図4に示すヒステリシス制御により、出力電流Ioutの電流値は第1電流値IoutHと第2電流値IoutLの間を上下することで、基準範囲ΔIout内の値になる。また、出力電流Ioutの平均電流値IoutAを、目標電流値IoutTと同等の値に保つことができる。これにより、発光素子点灯装置100は、発光素子2の点灯に適した電流を出力することができる。
なお、第1トランス31は、巻数比mを1よりも大きくすることで昇圧トランスの機能を果たし、かつ、巻数比mを1よりも小さくすることで降圧トランスの機能を果たすものであるが、いずれの構成であっても良い。
巻数比mを1よりも大きくした発光素子点灯装置100は、例えば、直列接続のLED21〜2nの個数を増やした車載用前照灯に適している。一般に、車載用バッテリの電源電圧は12ボルト(V)である。これに対し、車載用前照灯の光源に例えば16個のLEDを直列接続し、このうち点灯するLEDの個数を前照灯の配光に応じて制御する構成とした場合、光源の印加電圧は点灯対象のLEDの個数に応じて例えば最大48Vを出力することが求められる。
このとき、印加電圧を12Vよりも大きい値にする場合、従来の点灯装置ではヒステリシス制御用の回路の外部に電源電圧昇圧用の回路を設ける必要があった。これに対し、実施の形態1の発光素子点灯装置100は、第1トランス31の巻数比mを大きくすることで、光源への印加電圧をバッテリの電源電圧よりも大きくすることができる。すなわち、従来ヒステリシス制御用の回路の外部に設けていた電源電圧昇圧用の回路を不要として、発光素子点灯装置100をより簡単な回路構成で実現することができる。また、従来の昇圧チョッパを用いた構造において必要であった昇圧チョッパ用のスイッチング素子のオンオフ制御を不要として、より簡単な制御で所望の出力電流が得られる。
他方、巻数比mを1よりも小さくした発光素子点灯装置100は、LEDの点灯電圧が電源電圧よりも低い灯具において、入力電圧の変動に対して出力電圧を安定させる制御を容易にすることができる。
例えば、直流電源1に、家庭用電源などの交流100Vを半波整流する単純なAC/DCコンバータを用いた場合、直流電源1の出力電圧には正弦波状のリプルが残る。発光素子点灯装置100は、このリプルによる入力電圧の変動に応じてスイッチング素子4のオンオフのデューティ比を変化させることで、出力電圧を安定させることができる。
このとき、例えばスイッチング素子及びコイルを用いた降圧チョッパ回路においては、デューティ比の変化量に対する出力電圧の変化量が固定されており、デューティ比を精密に制御することが求められる。これに対し、発光素子点灯装置100は、第1トランス31の巻数比mに応じて、スイッチング素子4のデューティ比の変化量に対する出力電圧の変化量を変えることができる。すなわち、デューティ比の変化量に対する出力電圧の変化量が小さくなるように巻数比mを適切に設定することで、デューティ比の制御が粗くとも出力電圧を安定させやすくなる。このように、入力電圧の変動に対して出力電圧を安定させる制御をより容易にすることができる。
次に、図5を参照して、発光素子点灯装置100の変形例について説明する。
図5に示す発光素子点灯装置100は、出力電流Ioutに代えて入力電流Iinの電流値を用いてヒステリシス制御を行うものである。図5において、図1に示す発光素子点灯装置100と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
電流検出用抵抗器9は、直流電源1の高電位側端子とスイッチング素子4のソース端子との間に設けられている。制御部12は、図1に示す出力電流検出部10に代えて、入力電流検出部13を有している。入力電流検出部13は、電流検出用抵抗器9に流れる電流値を検出することで、直流電源1からトランス3への入力電流の電流値を検出するものである。
トランス3と発光素子2間に、電圧検出用抵抗器14a,14bが設けられている。電圧検出用抵抗器14a,14bは、発光素子2に対して電気的に並列に接続されている。制御部12は、出力電圧検出部15を有している。出力電圧検出部15は、電圧検出用抵抗器14a,14bによって分圧した電圧値を検出することで、基準電位に対するトランス3から発光素子2への出力電圧を検出するものである。
ヒステリシス制御部11は、入力電流検出部13が検出した電流値と、出力電圧検出部15が検出した電圧値とを用いて、スイッチング素子4のオン状態とオフ状態とを交互に切り替えるものである。
次に、図6を参照して、図5に示すヒステリシス制御部11の動作の一例について説明する。
図6(a)は、スイッチング素子4のオンオフを示すタイミングチャートである。図6(b)は、図6(a)のタイミングチャートと同じ時間における出力電流Ioutを示す特性図である。
ヒステリシス制御部11には、入力電流検出部13が検出した電流値、すなわち入力電流Iinの電流値と比較する第1電流値IinHが予め設定されている。ちなみに、第1電流値IinHは、出力電流Ioutの上限値(第1電流値IoutH)に対して巻数比m倍の値になる。また、ヒステリシス制御部11は、出力電圧検出部15が検出した電圧値に応じて、スイッチング素子4のオフ時間Toffを設定するようになっている。
ヒステリシス制御部11は、入力電流検出部13の検出した電流値が第1電流値IinH以上になると、スイッチング素子4をオフする。また、ヒステリシス制御部11は、スイッチング素子4をオフしてからオフ時間Toffが経過すると、スイッチング素子4をオンする。以下、ヒステリシス制御部11は同様のオンオフ制御を繰り返す。
これにより、図6(b)に示す如く、出力電流Ioutの電流値を基準範囲ΔIout内の値にするとともに、平均電流値IoutAを目標電流値IoutTと同等の値に保つことができる。
なお、出力電圧に対応するオフ時間Toffが長すぎると、出力電流Ioutの最低値が低くなり、平均電流値IoutAが目標電流値IoutTよりも低くなる。他方、出力電圧に対応するオフ時間Toffが短すぎると、出力電流Ioutのが充分に低下しなくなり、平均電流値IoutAが目標電流値IoutTよりも高くなる。このため、オフ時間Toffは、平均電流値IoutAが目標電流値IoutTと同等の値になるように、出力電圧の値に応じて適切な値に設定する。
次に、発光素子点灯装置100として、図1に示す電流検出用抵抗器9及び出力電流検出部10と、図5に示す電圧検出用抵抗器14a,14b及び出力電圧検出部15とを備える構成及び、ヒステリシス制御部11の動作を説明する。図7(a)は、スイッチング素子4のオンオフを示すタイミングチャートである。図7(b)は、図7(a)のタイミングチャートと同じ時間における出力電流Ioutを示す特性図である。
ヒステリシス制御部11には、出力電流検出部10が検出した電流値と比較する第2電流値IoutLが予め設定されている。また、ヒステリシス制御部11は、出力電圧検出部15が検出した電圧値に応じて、スイッチング素子4のオン時間Tonを設定するようになっている。
ヒステリシス制御部11は、出力電流検出部10の検出した電流値が第2電流値IoutL以下になると、スイッチング素子4をオンする。また、ヒステリシス制御部11は、スイッチング素子4をオンしてからオン時間Tonが経過すると、スイッチング素子4をオフする。以下、ヒステリシス制御部11は同様のオンオフ制御を繰り返す。
これにより、図7(b)に示す如く、出力電流Ioutの電流値を基準範囲ΔIout内の値にするとともに、平均電流値IoutAを目標電流値IoutTと同等の値に保つことができる。
なお、出力電圧に対応するオン時間Tonが長すぎると、出力電流Ioutの最高値が高くなり、平均電流値IoutAが目標電流値IoutTよりも高くなる。他方、出力電圧に対応するオン時間Tonが短すぎると、出力電流Ioutが充分に上昇しなくなり、平均電流値IoutAが目標電流値IoutTよりも低くなる。このため、オン時間Tonは、平均電流値IoutAが目標電流値IoutTと同等の値になるように、出力電圧の値に応じて適切な値に設定する。
なお、図1及び図5に示す発光素子点灯装置100において、スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とトランス3との間に設けられて入力電流Iinをオンオフするものであれば良く、Pチャネル型のFETに限定されるものではない。例えば、スイッチング素子4にPNP型のバイポーラトランジスタを用いたものでも良い。または、スイッチング素子4にNチャネル型のFETを用いて、直流電源1とは別にFET駆動用の電源を設けたものでも良い。
また、発光素子2は半導体発光素子を用いたものであれば良く、LEDに限定されるものではない。例えば、LEDに代えて有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode,OLED)又はレーザダイオード(Laser Diode,LD)などを用いたものでも良く、複数種類の半導体発光素子を組み合わせて用いたものでも良い。
なお、発光素子点灯装置100の用途は前照灯に限定されるものではなく、車載用の灯具に限定されるものでもない。ヒステリシス制御により半導体発光素子を点灯するものであれば、如何なる灯具にも用いることができる。
また、発光素子点灯装置100は、第1トランス31のコアとコイル6のコアとを一体に構成したものでも良い。この場合の第1トランス31及びコイル6の一例を図8に示す。EI型のコア60において、E型コアの中脚部61とI型コアとの間に間隙62を設けるとともに、中脚部61に巻線Lを巻回することでコイル6が構成されている。また、EE型のコア30において、中脚部32に1次巻線P1を巻回し、その外周部に2次巻線S1を巻回し、さらにその外周部に磁束リセット用2次巻線S1Rを巻回することで第1トランス31が構成されている。図8に示す如く、コイル6のコア60を構成するI型コアとして、第1トランス31のコア30を構成する一方のE型コアの一部が兼用され一体に構成されている。コア30,60を一体化することで部品点数を削減し、発光素子点灯装置100の製造コストを低減することができる。
以上のように、実施の形態1の発光素子点灯装置100は、直流電源1と発光素子2間に設けたトランス3と、直流電源1からトランス3への入力電流Iinをオンオフするスイッチング素子4と、トランス3から発光素子2への出力電流Ioutを整流する整流ダイオード5と、出力電流Ioutの電流値を検出する電流検出部(出力電流検出部10)と、電流検出部(出力電流検出部10)が検出した電流値を用いてスイッチング素子4のオン状態とオフ状態とを交互に切り替えることで、出力電流Ioutの電流値を基準範囲ΔIout内の値にするヒステリシス制御部11と、を備える。ヒステリシス制御部11には、基準範囲ΔIoutの上限値に対応する第1電流値IoutH及び基準範囲ΔIoutの下限値に対応する第2電流値IoutLが設定されており、電流検出部(出力電流検出部10)で検出した電流値が第1電流値IoutH以上になるとスイッチング素子4をオフし、電流検出部(出力電流検出部10)で検出した電流値が第2電流値IoutL以下になるとスイッチング素子4をオンする。かかるヒステリシス制御により、発光素子2の点灯に適した電流を出力することができる。また、直流電源1の電源電圧の変動及び点灯対象となるLED21〜2nの点灯数の変化による負荷電圧の変動などに対して応答を早めた発光素子点灯装置100を得ることができる。当構成において、トランス3の巻数比mを適宜設定することで、入力電圧に対する出力電圧を変化させながら所望の出力電流を得ることができる。すなわち、必要な出力電圧を確保しながら、任意の電流を出力できる発光素子点灯装置100を、簡単な回路構成かつ簡単な制御で実現することができる。
また、発光素子点灯装置100は、第1整流ダイオード51と発光素子2間に接続されたコイル6と、コイル6が発する出力電流Ioutを還流する還流ダイオード7と、を備える。スイッチング素子4がオン状態のとき、出力電流Ioutの電流値をコイル6のインダクタンス値に応じて制限できるため、コイル6のインダクタンス値を適宜設定することで出力電流Ioutの電流値を所望の値にすることができる。また、還流ダイオード7を設けることで、スイッチング素子4がオフ状態のときにコイル6が出力する電流を発光素子2に還流して、発光素子2の点灯に用いることができる。
また、第1トランス31は、励磁に使用した磁束を電流にして排出する磁束リセット用2次巻線S1Rを有する。発光素子点灯装置100は、スイッチング素子4がオフ状態のときに磁束リセット用2次巻線S1Rが出力するリセット電流Irを整流して出力するダイオード8を備える。リセット電流Irを流すことで、第1トランス31のコアの磁束をリセットして、磁束が飽和するのを防ぐことができる。
または、発光素子点灯装置100は、入力電流Iinの電流値を検出する電流検出部(入力電流検出部13)と、トランス3から発光素子2への出力電圧の電圧値を検出する電圧検出部(出力電圧検出部15)を備える。ヒステリシス制御部11には、出力電流のIoutの上限値(第1電流値IoutH)に対応する入力電流Iinの上限値(第1電流値IinH)が設定されており、電圧検出部(出力電圧検出部15)が検出した電圧値を用いてスイッチング素子4のオフ時間Toffを設定するとともに、電流検出部(入力電流検出部13)で検出した電流値が第1電流値IinH以上になるとスイッチング素子4をオフし、スイッチング素子4をオフしてからオフ時間Toffが経過するとスイッチング素子4をオンする。かかるヒステリシス制御により、発光素子2の点灯に適した電流を出力することができる。
または、発光素子点灯装置100は、出力電流Ioutの電流値を検出する電流検出部(出力電流検出部10)と、トランス3から発光素子2への出力電圧の電圧値を検出する電圧検出部(出力電圧検出部15)を備える。ヒステリシス制御部11には、出力電流のIoutの下限値(第2電流値IoutL)が設定されており、電圧検出部(出力電圧検出部15)が検出した電圧値を用いてスイッチング素子4のオン時間Tonを設定するとともに、電流検出部(出力電流検出部10)で検出した電流値が第2電流値IoutL以下になるとスイッチング素子4をオンし、スイッチング素子4をオンしてからオン時間Tonが経過するとスイッチング素子4をオフする。かかるヒステリシス制御により、発光素子2の点灯に適した電流を出力することができる。
また、スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とトランス3との間に接続されている。スイッチング素子4は、例えば、Pチャネル型のFET、PNP型のバイポーラトランジスタ又はNチャネル型のFETなどを用いることができる。
また、発光素子2は半導体発光素子である。発光素子2はLEDに限定されるものではなく、OLED又はLDなどを用いることもできる。
また、発光素子点灯装置100は、車載用の発光素子点灯装置に用いることができる。実施の形態1の発光素子点灯装置100は、電源電圧の変動に対する応答が早いため、電圧変動の大きい車載用バッテリを電源としながらも、ちらつきの低減が求められる前照灯や尾灯等の車載用の灯具に特に好適である。
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る発光素子点灯装置100の要部を示す回路図である。図9に示す発光素子点灯装置100は、図1に示す発光素子点灯装置100のコイル6及び還流ダイオード7の機能を、第2トランス33及び第2整流ダイオード52に代替したものである。図9において、図1に示す発光素子点灯装置100と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
トランス3は、実施の形態1と同様の第1トランス31に加えて、第2トランス33を有している。第2トランス33の1次巻線P2は、直流電源1に対して第1トランス31の1次巻線P1と電気的に直列に接続されている。第2トランス33の2次巻線S2は、発光素子2に対して第1トランス31の2次巻線S1と電気的に並列に接続されている。第2トランス33の1次巻線P2に対する2次巻線S2の巻数比mは、第1トランス31の1次巻線P1に対する2次巻線S1の巻数比mと同じ値に設定されている。
第2トランス33は、1次巻線P1に電流を流すことで磁気エネルギを貯えるとともに、1次巻線P1への通電を止めたときに、貯えていた磁気エネルギを2次巻線S1から電流として放出する、いわゆる「フライバックトランス」である。ちなみに、図9に示す発光素子点灯装置100は、図1に示す発光素子点灯装置100の第1トランス31の2次側に配置したコイル6を第2トランス33に代替して、第1トランス31の1次側に移動したもので、第2トランス33の電流を貯えて放出する機能と、第1トランスに流れる電流を制限する機能は、コイル6の機能に相当する。また、還流ダイオード7の機能は、第2整流ダイオード52の機能に相当する。
整流ダイオード5は、実施の形態1と同様の第1整流ダイオード51に加えて、第2整流ダイオード52を有している。第2整流ダイオード52は、陽極が第2トランス33の2次巻線S1と電気的に接続され、かつ、陰極がLED21の陽極と電気的に接続されている。
次に、図10及び図11を参照して、このように構成された発光素子点灯装置100に流れる電流について説明する。
図10は、スイッチング素子4をオンしたときの電流を示している。スイッチング素子4をオンすると、直流電源1からトランス3への電流供給が開始され、第1トランス31の1次巻線P1及び第2トランス33の1次巻線P2に入力電流Iinが流れる。第1トランス31の1次巻線P1に入力電流Iinが流れることで、2次巻線S1にも電流が流れる。この電流は第1整流ダイオード51により整流され、発光素子2及び電流検出用抵抗器9に流通する出力電流Ioutとなる。また、第2トランス33の1次巻線P2に入力電流Iinが流れることで、第2トランス33は磁気エネルギを貯える。
このとき、入力電流Iinは、第2トランス33の1次巻線P2のインダクタンス値に応じて制限される。第2トランス33の1次巻線P2のインダクタンス値に応じて、直流電源1の電源電圧に対する第1トランス31の1次巻線P1側の電圧値が低下する。第1トランス31の2次巻線S1側の電圧値は、1次巻線P1側の電圧値のm倍となる。
図11は、スイッチング素子4をオフしたときの電流を示している。スイッチング素子4をオフすると、第2トランス33は、スイッチング素子4のオン状態にて貯えていた磁気エネルギを電流として2次巻線S2から放出する。この電流は第2整流ダイオード52により整流され、発光素子2及び電流検出用抵抗器9に流通する出力電流Ioutとなる。
また、第1トランス31のコアに残留した励磁磁束に応じて、磁束リセット用2次巻線S1Rから発光素子2及び電流検出用抵抗器9にリセット電流Irが流れる。リセット電流Irの機能及び電流値は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図9に示すヒステリシス制御部11の動作は、図1に示すヒステリシス制御部11と同様である。すなわち、実施の形態1にて図4を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
次に、図12を参照して、発光素子点灯装置100の変形例について説明する。
図12に示す発光素子点灯装置100は、出力電流Ioutに代えて入力電流Iinの電流値を用いてヒステリシス制御を行うものである。図12において、図9に示す発光素子点灯装置100と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
電流検出用抵抗器9は、直流電源1の高電位側端子とスイッチング素子4のソース端子との間に設けられている。制御部12は、図9に示す出力電流検出部10に代えて、入力電流検出部13を有している。入力電流検出部13は、電流検出用抵抗器9に流れる電流値を検出することで、直流電源1からトランス3への入力電流の電流値を検出するものである。
トランス3と発光素子2間に、電圧検出用抵抗器14a,14bが設けられている。電圧検出用抵抗器14a,14bは、直流電源1及びトランス3に対して発光素子2と電気的に並列に接続されている。制御部12は、出力電圧検出部15を有している。出力電圧検出部15は、電圧検出用抵抗器14a,14bによって分圧した電圧値を検出することで、基準電位(直流電源1の低電位側端子)に対するトランス3から発光素子2への出力電圧を検出するものである。
ヒステリシス制御部11は、入力電流検出部13が検出した電流値と、出力電圧検出部15が検出した電圧値とを用いて、スイッチング素子4のオン状態とオフ状態とを交互に切り替えるものである。
図12に示すヒステリシス制御部11の動作は、図5に示すヒステリシス制御部11と同様である。すなわち、実施の形態1にて図6を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
なお、図9及び図12に示す発光素子点灯装置100において、第1トランス31のコアと第2トランス33のコアとを一体に構成したものでも良い。この場合の第1トランス31及び第2トランス33の一例を図13に示す。EI型のコア30において、E型コアの中脚部32に1次巻線P1を巻回し、その外周部に2次巻線S1を巻回し、さらにその外周部に磁束リセット用2次巻線S1Rを巻回することで第1トランス31が構成されている。また、EI型のコア34において、E型コアの中脚部35とI型コアとの間に間隙36を設けるとともに、中脚部35に1次巻線P2を巻回し、その外周部に2次巻線S2を巻回することで第2トランス33が構成されている。図8に示す如く、第1トランス31のコア30を構成するI型コアと、第2トランス33のコア34を構成するI型コアが兼用され一体に構成されている。コア30,34を一体化することで部品点数を削減し、発光素子点灯装置100の製造コストを低減することができる。
以上のように、実施の形態2の発光素子点灯装置100は、トランス3が第2トランス33を含み、第2トランス33の1次巻線P2は直流電源1に対して第1トランス31の1次巻線P1と直列に接続され、かつ、第2トランス33の2次巻線S2は発光素子2に対して第1トランス31の2次巻線S1と並列に接続されており、整流ダイオード5には、スイッチング素子4のオフ状態にて第2トランス33の2次巻線S2から発光素子2への出力電流Ioutを整流する第2整流ダイオード52を含む。第2トランス33の1次巻線P2のインダクタンス値を設定することで、実施の形態1におけるコイル6のインダクタンス値を設定するのと同様に、発光素子2に流れる電流を所望の値にすることができる。
実施の形態3.
図14は、実施の形態3に係る発光素子点灯装置100の要部を示す回路図である。図15は、実施の形態3に係るリーケージトランス37の要部を正面から見た説明図である。図14及び図15を参照して、トランス3にリーケージトランス37を用いた発光素子点灯装置100について説明する。なお、図14において、図1に示す実施の形態1の発光素子点灯装置100と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。ちなみに、リーケージトランスとは、1次巻線が発する磁束の一部を2次巻線に伝達することなく漏洩する構成を有したトランスであり、当トランスの2次巻線の端子間を短絡したときにも1次巻線側のインダクタンス(リーケージインダクタンス)を大きく保つことができるトランスである。
トランス3は、1個のリーケージトランス37により構成されている。リーケージトランス37は、直流電源1と電気的に接続した1次巻線Pを有している。また、リーケージトランス37は、発光素子2と電気的に接続した2次巻線S及び磁束リセット用2次巻線SRを有している。1次巻線Pに対する2次巻線Sの巻数比mは、任意の値に設定されている。
図15に、リーケージトランス37の一例を示す。EE型のコア38において、一方のE型コアの中脚部39に1次巻線Pが巻回されており、他方のE型コアの中脚部40に2次巻線Sが巻回されている。1次巻線Pと2次巻線S間には間隙41が設けられており、1次巻線P及び2次巻線Sの外周部に磁束リセット用2次巻線SRが巻回されている。このようにして、リーケージトランス37が構成されている。
整流ダイオード5は、第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52により構成されている。第1整流ダイオード51は、陽極がリーケージトランス37の2次巻線Sと電気的に接続され、かつ、陰極がLED21の陽極と電気的に接続されている。第2整流ダイオード52は、陽極がリーケージトランス37の磁束リセット用2次巻線SRと電気的に接続され、かつ、陰極がLED21の陽極と電気的に接続されている。
次に、図16〜図18を参照して、このように構成された発光素子点灯装置100に流れる電流及びリーケージトランス37の磁束について説明する。
図16は、スイッチング素子4をオンしたときの電流を示している。スイッチング素子4をオンすると、直流電源1からトランス3への電流供給が開始され、リーケージトランス37の1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、1次巻線Pに入力電流Iinが流れることで、2次巻線Sにも電流が流れる。この電流は第1整流ダイオード51により整流され、発光素子2及び電流検出用抵抗器9に出力電流Ioutが流れる。
このとき、図17に示す如く、1次巻線Pが発生した磁束の大部は2次巻線Sと磁気的に結合する磁束Φ1となるが、間隙41を設けたことにより、1次巻線Pが発生した磁束の一部が漏洩して漏洩磁束Φ2が生じる。リーケージトランス37は、この漏洩磁束Φ2によるインダクタンス、いわゆる「リーケージインダクタンス」を有する。
入力電流Iinの通電により、リーケージトランス37は磁気エネルギを貯える。また、出力電流Ioutの電流値は、リーケージトランス37のリーケージインダクタンス値に応じて制限される。
図18は、スイッチング素子4をオフしたときの電流を示している。スイッチング素子4をオフすると、リーケージトランス37は、スイッチング素子4のオン状態にて貯えていた磁気エネルギを磁束リセット用2次巻線SRから電流として放出する。この電流は第2整流ダイオード52により整流され、発光素子2及び電流検出用抵抗器9に流通する出力電流Ioutとなる。なお、この出力電流Ioutはリセット電流Irの機能を兼ねるものであり、リーケージトランス37のコアに残留した励磁磁束Φ3がリセットされる。
このように、リーケージトランス37は、1個のトランスでありながら、実施の形態1における第1トランス31及びコイル6と同等の機能を果たすものである。また、リーケージトランス37は、1個のトランスでありながら、実施の形態2における第1トランス31及び第2トランス33と同等の機能を果たすものである。
なお、リーケージトランス37は、図15に示す構造に限定されるものではない。1次巻線Pと2次巻線S間に間隔を設けてリーケージインダクタンスを有するものであれば、如何なる構造であっても良い。以下、図19〜図26を参照して、リーケージトランス37の他の例について説明する。
図19に示すリーケージトランス37は、E型コアの中脚部39,40間に間隙42を設けたものである。中脚部39,40間に間隙42を設けることで、1次巻線Pのインダクタンスが小さくなり、入力電流Iinを増やすことができる。また、中脚部39,40間に間隙42を設けることで、漏洩磁束Φ2及び励磁磁束Φ3が増加して、リーケージトランス37が貯える磁気エネルギを増やすことができる。この結果、スイッチング素子4をオフしたとき、磁束リセット用2次巻線SRによる出力電流Ioutを増やすことができる。
図20に示すリーケージトランス37は、1次巻線Pと2次巻線S間の間隙41及び中脚部39,40間の間隙42に補助コア43を設けたものである。補助コア43が漏洩磁束Φ2の磁路を形成することで、漏洩磁束Φ2が増加して、リーケージトランス37のリーケージインダクタンスを大きくすることができる。
図21に示すリーケージトランス37は、中脚の断面形状が円形のEER型コアを用いたもので、2次巻線Sを巻回したEER型コアの中脚部40の直径φSよりも、1次巻線Pを巻回したEER型コアの中脚部39の直径φPを太くしたものである。これにより、1次巻線Pを巻回した中脚部39の角部から1次巻線Pと2次巻線S間の間隙41に向かう磁路が形成されるため、漏洩磁束Φ2が増加して、リーケージトランス37のリーケージインダクタンスを大きくすることができる。
図22に示すリーケージトランス37は、EE型コアの中脚部39,40に1次巻線Pを巻回し、その外周部に磁束リセット用2次巻線SRを巻回し、さらにその外周部に2次巻線Sを巻回したものである。すなわち、1次巻線Pと2次巻線S間に間隙を設けるのに代えて、1次巻線Pと2次巻線S間に磁束リセット用2次巻線SRを挟むことで、1次巻線Pと2次巻線S間の間隔を広げてリーケージインダクタンスを確保する構成である。
図23に示すリーケージトランス37は、EE型コアの中脚部39,40に1次巻線Pを巻回し、その外周部に磁束リセット用2次巻線SRを巻回し、その外周部にスペーサ44を設けて、スペーサ44の外周部に2次巻線Sを巻回したものである。スペーサ44を設けることで、図22に示す構造よりも1次巻線Pと2次巻線S間の間隔が広くなるため、漏洩磁束Φ2を増やしてリーケージインダクタンスをさらに大きくすることができる。
図24に示すリーケージトランス37は、EE型あるいはEER型のコアに代えて棒状のコア45を用いたものである。棒状のコア45に1次巻線P及び2次巻線Sがそれぞれ巻回されており、1次巻線Pと2次巻線S間には間隙41が設けられている。1次巻線Pの外周部に、磁束リセット用2次巻線SRが巻回されている。1次巻線Pと2次巻線S間の間隙41により、漏洩磁束Φ2を増やしてリーケージトランス37のリーケージインダクタンスを確保する構成である。
図25に示すリーケージトランス37は、EE型あるいはEER型のコアに代えて、棒状のコア45と筒状のコア46とを用いたものである。棒状のコア45に1次巻線P及び2次巻線Sがそれぞれ巻回されており、1次巻線Pと2次巻線S間には間隙41が設けられている。1次巻線Pの外周部に、磁束リセット用2次巻線SRが巻回されている。棒状のコア45、1次巻線P、2次巻線S及び磁束リセット用2次巻線SRは、筒状のコア46内に収容されている。筒状のコア46を設けることで、1次巻線Pと2次巻線S間の磁気的な結合の度合いを調整することができる。
図26に示すリーケージトランス37は、EE型コアの一方の外脚部47aに1次巻線Pを巻回するとともに、他方の外脚部47bに2次巻線Sを巻回し、1次巻線Pの外周部に磁束リセット用2次巻線SRを巻回したものである。1次巻線Pと2次巻線Sとを互いに異なる外脚部47a,47bに巻回することで、1次巻線Pと2次巻線S間の間隔を広げてリーケージインダクタンスを確保する構成である。
次に、図27〜図32を参照して、実施の形態3に係る発光素子点灯装置100の変形例について説明する。
図27に示す発光素子点灯装置100は、出力電流Ioutの電流値に代えて、入力電流Iinの電流値を用いてヒステリシス制御を行うものである。電流検出用抵抗器9、入力電流検出部13、電圧検出用抵抗器14a,14b及び出力電圧検出部15は実施の形態1,2で説明したものと同様であるため、説明を省略する。また、ヒステリシス制御部11の動作も実施の形態1,2で説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
図28に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37から磁束リセット用2次巻線SRを除去したものである。図29に、磁束リセット用2次巻線SRを除去したリーケージトランス37の一例を示す。図29に示すリーケージトランス37は、図23に示すリーケージトランス37から磁束リセット用2次巻線SRを除去するとともに、スペーサ44の肉厚を大きくすることで1次巻線Pと2次巻線S間の間隔を大きくしたものである。1次巻線Pと2次巻線S間の間隔を大きくすることで、2次巻線Sが磁束リセット用2次巻線SRの機能を兼ねるようになるため、磁束リセット用2次巻線SRを不要とすることができる。
また、図28に示す発光素子点灯装置100は、整流ダイオード5が、4個のダイオード53a,53b,53c,53dを用いたブリッジ回路、いわゆる「ダイオードブリッジ」により構成されている。
スイッチング素子4をオンすると、リーケージトランス37の2次巻線Sは、図中実線の矢印で示す出力電流Ioutを出力する。スイッチング素子4をオフすると、リーケージトランス37の2次巻線Sは、図中破線の矢印で示す出力電流Ioutを出力し、この出力電流Ioutはリセット電流Irの機能を兼ねるものである。整流ダイオード5にダイオードブリッジを用いることで、スイッチング素子4をオンしたときの2次巻線Sによる出力電流Ioutと、オフしたときの2次巻線Sによる出力電流Ioutとの両方を整流することができる。
図30に示す発光素子点灯装置100は、スイッチング素子4を、直流電源1の低電位側端子(基準電位)とトランス3との間に設けたものである。図30の例では、スイッチング素子4はNチャネル型のFETであり、ソース端子が直流電源1の低電位側端子と電気的に接続され、かつ、ドレイン端子がリーケージトランス37の1次巻線Pと電気的に接続されている。スイッチング素子4は、FETのゲート電圧に応じて、直流電源1からトランス3への入力電流をオンオフするものである。なお、この場合のスイッチング素子4はNチャネル型のFETに限定されるものではなく、NPN型のバイポーラトランジスタ、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor,IGBT)などを用いたものでも良い。
図31に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37から磁束リセット用2次巻線SRを除去するとともに整流ダイオード5をダイオードブリッジにより構成し、かつ、スイッチング素子4を直流電源1の低電位側に配置した回路構成において、スナバ回路16(サージ電圧抑制回路)を追加したものである。すなわち、スイッチング素子4の1次巻線Pに接続した端子とLED21の陽極との間に、コンデンサ161及びダイオード162が電気的に直列に接続されている。直流電源1の低電位側端子(基準電位)と、コンデンサ161とダイオード162間との間に、抵抗器163及びダイオード164が電気的に直列に接続されている。ダイオード162,164は、整流ダイオード5のダイオード53a,53b,53c,53dよりも電流容量の小さいダイオードである。コンデンサ161、ダイオード162、抵抗器163及びダイオード164により、スナバ回路16(サージ電圧抑制回路)が構成されている。
リーケージトランス37は、漏洩磁束Φ2が存在するため1次巻線Pと2次巻線S間の磁気的結合が不完全であり、スイッチング素子4をオフしたとき1次巻線P側にサージ電圧が発生し、スイッチング素子4が故障することがある。そこで、スナバ回路16を設けて当該サージエネルギを吸収することで、スイッチング素子4に印加されるサージ電圧を抑制し、スイッチング素子4が故障し難く信頼性の高い発光素子点灯装置100を得ることができる。
図32に示す発光素子点灯装置100は、図31と異なるスナバ回路16を設けたものである。すなわち、スイッチング素子4の1次巻線Pに接続した端子とLED21の陽極との間に、コンデンサ161及びダイオード162が電気的に直列に接続されている。直流電源1の高電位側端子と、コンデンサ161とダイオード162間との間に、抵抗器163及びダイオード164が電気的に直列に接続されている。ダイオード162,164の電流容量及びスナバ回路16の機能は図31と同様であるため、説明を省略する。
なお、実施の形態1,2で示した各々の発光素子点灯装置100において、スイッチング素子4を直流電源1の低電位側端子(基準電位)とトランス3との間に設けたものとしても良く、さらにスナバ回路16を設けたものとしても良い。
以上のように、実施の形態3の発光素子点灯装置100は、トランス3を、直流電源1に接続した1次巻線Pと発光素子2に接続した2次巻線Sとの間に間隔41を設けたリーケージトランス37により構成した。リーケージトランス37は、1個のトランスでありながら、実施の形態1における第1トランス31及びコイル6と同等の機能を果たすものであり、かつ、実施の形態2における第1トランス31及び第2トランス33と同等の機能を果たすものである。これにより、発光素子点灯装置100の回路構成をさらに簡単にして、より小型な発光素子点灯装置100を構成することができる。
また、整流ダイオード5は、4個のダイオード53a,53b,53c,53dによるダイオードブリッジを含む。これにより、リーケージトランス37から磁束リセット用2次巻線SRを除去した構成において、2次巻線Sがスイッチング素子4のオン状態で出力する電流とオフ状態で出力する電流との両方を整流することができる。
また、スイッチング素子4は、直流電源1の低電位側端子(基準電位)とトランス3との間に接続されている。スイッチング素子4は、例えば、Nチャネル型のFET、NPN型のバイポーラトランジスタ又はIGBTなどを用いることができる。
また、発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37の1次巻線P側に発生するサージ電圧からスイッチング素子4を保護するサージ電圧抑制回路(スナバ回路16)を備える。スナバ回路16が当該サージエネルギを吸収することで、スイッチング素子4に印加されるサージ電圧を抑制し、スイッチング素子4が故障し難く信頼性の高い発光素子点灯装置100を得ることができる。
実施の形態4.
リーケージトランス37の構造は、図15、図19〜図26及び図29に例示した構造(巻き線の配置、コアの形状等)に限定されるものではない。また、リーケージトランス37を用いた発光素子点灯装置100の回路構成は、リーケージトランス37の構造に応じて如何なるものであっても良く、図14及び図27〜図32に例示した回路構成に限定されるものではない。以下、図33〜図45を参照して、リーケージトランス37を用いた発光素子点灯装置100の変形例について説明する。なお、図33〜図45は、簡略のため、発光素子2に模式的な1個のLED21を用いるとともに、制御部12、電流検出用抵抗器9及び電圧検出用抵抗器14a,14bを省略した回路図を示している。
図33に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37の1次巻線P及び2次巻線Sと磁束リセット用2次巻線SRとをそれぞれ別体の巻線で構成したものであり、1次巻線Pの巻き数が2次巻線Sの巻き数と同等の値に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の低電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図33(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、第1整流ダイオード51及びLED21に出力電流Ioutが流れる。このとき、LED21の陽極の電位は、直流電源1の高電位側端子よりも高くなる。すなわち、LED21の印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも大きくなり、リーケージトランス37は昇圧トランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図33(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図34に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37の1次巻線P及び2次巻線Sと磁束リセット用2次巻線SRとをそれぞれ別体の巻線で構成したものであり、1次巻線Pの巻き数が2次巻線Sの巻き数と同等の値に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は直流電源1の低電位側端子に接続されており、LED21の陰極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陽極と接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図34(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、LED21及び第1整流ダイオード51に出力電流Ioutが流れる。このとき、LED21の陰極の電位は、直流電源1の低電位端子よりも低くなる。すなわち、LED21の印加電圧は直流電源1の電位よりも低くなり、リーケージトランス37は負電圧を生成するトランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図34(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、LED21及び第2整流ダイオード52に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図35に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37の1次巻線P及び2次巻線Sと磁束リセット用2次巻線SRとをそれぞれ別体の巻線で構成したものであり、1次巻線Pの巻き数が2次巻線Sの巻き数と同等の値に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の低電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の低電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図35(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、第1整流ダイオード51及びLED21に出力電流Ioutが流れる。このとき、図33(a)と同様の動作によりLED21の印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも高くなり、リーケージトランス37は昇圧トランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図35(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図36に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37の1次巻線P及び2次巻線Sと磁束リセット用2次巻線SRとをそれぞれ別体の巻線で構成したものであり、1次巻線Pの巻き数が2次巻線Sの巻き数と同等の値に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の低電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は直流電源1の低電位側端子に接続されており、LED21の陰極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陽極と接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図36(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、LED21及び第1整流ダイオード51に出力電流Ioutが流れる。このとき、図34(a)と同様の動作によりLED21の陰極の電位は、直流電源1の低電位端子よりも低くなり、リーケージトランス37は負電圧を生成するトランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図36(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、LED21及び第2整流ダイオード52に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図37に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、磁束リセット用2次巻線SRを構成する巻線のうちの一部の巻線により1次巻線Pが構成されている。2次巻線Sの巻き数は磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等の値に設定されており、1次巻線Pの巻き数は2次巻線Sの巻き数よりも少ない。スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の低電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図37(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、第1整流ダイオード51及びLED21に出力電流Ioutが流れる。このとき、図33(a)と同様の動作によりLED21の印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも高くなり、リーケージトランス37は昇圧トランスの機能を果たすものである。なお、当構成は2次巻線Sの巻き数を1次巻線Pの巻き数より多くしたもので、LED21への出力電圧が直流電源1の電源電圧の2倍以上の場合に適している。
スイッチング素子4をオフすると、図37(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図38に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、磁束リセット用2次巻線SRを巻き数が同数の1次巻線Pと兼用している。2次巻線Sの巻き数も磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の低電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の低電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図38(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、第1整流ダイオード51及びLED21に出力電流Ioutが流れる。このとき、図33(a)と同様の動作によりLED21の印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも高くなり、リーケージトランス37は簡素な巻き線ながら昇圧トランスの機能を果たすものである。なお、当構成は2次巻線Sの巻き数を1次巻線Pの巻き数と同等にしたもので、LED21への出力電圧が直流電源1の電源電圧の2倍程度の場合に適している。
スイッチング素子4をオフすると、図38(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図39に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、1次巻線Pを構成する巻線のうちの一部の巻線により磁束リセット用2次巻線SRが構成されている。2次巻線Sの巻き数は磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等の値に設定されており、1次巻線Pの巻き数は2次巻線Sの巻き数よりも多い。スイッチング素子4は、直流電源1の低電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の低電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図39(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、第1整流ダイオード51及びLED21に出力電流Ioutが流れる。このとき、図33(a)と同様の動作によりLED21の印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも高くなり、リーケージトランス37は昇圧トランスの機能を果たすものである。なお、当構成は2次巻線Sの巻き数を1次巻線Pの巻き数より少なくしたもので、LED21への出力電圧が直流電源1の電源電圧の2倍以下の場合に適している。
スイッチング素子4をオフすると、図39(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図40に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、磁束リセット用2次巻線SRを巻き数が同数の1次巻線Pと兼用している。2次巻線Sの巻き数も磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は直流電源1の高電位側端子に接続されており、LED21の陰極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陽極と接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図40(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、LED21及び第1整流ダイオード51に出力電流Ioutが流れる。このとき、LED21の陽極の電位は、直流電源1の高電位側端子と同電位で、LED21の陰極の電位は、直流電源1の低電位側端子よりも低くなる。すなわち、LED21の陰極の電位を負電位にすることで、LED21への印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも高くなり、リーケージトランス37は昇圧トランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図40(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、LED21及び第2整流ダイオード52に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図41に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、磁束リセット用2次巻線SRを巻き数が同数の1次巻線Pと兼用している。2次巻線Sの巻き数も磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の低電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の高電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図41(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、第1整流ダイオード51及びLED21に出力電流Ioutが流れる。このとき、LED21の陰極の電位は、直流電源1の高電位側端子と同電位で、LED21の陽極の電位は、直流電源1の高電位側端子よりも高くなる。すなわち、LED21の陽極の電位と直流電源1の高電位側電位の電位差をLED21に印加することになり、リーケージトランス37は降圧トランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図41(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図42に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37の1次巻線P及び2次巻線Sと磁束リセット用2次巻線SRとを互いに別体の巻線で構成したものであり、1次巻線Pの巻き数が2次巻線Sの巻き数と同等の値に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の低電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の高電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図42(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、LED21及び第1整流ダイオード51に出力電流Ioutが流れる。このとき、図41(a)と同様の動作によりLED21の印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも小さくなり、リーケージトランス37は降圧トランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図42(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図43に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、1次巻線Pを構成する巻線のうちの一部の巻線により磁束リセット用2次巻線SRが構成されている。2次巻線Sの巻き数は磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等の値に設定されており、1次巻線Pの巻き数は2次巻線Sの巻き数よりも多い。スイッチング素子4は直流電源1の低電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陽極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陰極と接続されており、LED21の陰極は直流電源1の高電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図43(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、第1整流ダイオード51及びLED21に出力電流Ioutが流れる。このとき、図41(a)と同様の動作によりLED21の印加電圧が直流電源1の電源電圧よりも小さくなり、リーケージトランス37は図41あるいは図42の構成より低い電圧を出力する降圧トランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図43(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図44に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、磁束リセット用2次巻線SRを巻き数が同数の1次巻線Pと兼用している。2次巻線Sの巻き数も磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等に設定されている。スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陰極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陽極と接続されており、LED21の陽極は直流電源1の低電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図44(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、LED21及び第1整流ダイオード51に出力電流Ioutが流れる。このとき、LED21の陰極の電位は、直流電源1の低電位端子よりも低くなる。すなわち、LED21の印加電圧は直流電源1の電位よりも低くなり、リーケージトランス37は負電圧を生成するトランスの機能を果たすものである。
スイッチング素子4をオフすると、図44(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
図45に示す発光素子点灯装置100は、リーケージトランス37をタップ付の単巻線で構成したものであり、1次巻線Pを構成する巻線のうちの一部の巻線により磁束リセット用2次巻線SRが構成されている。2次巻線Sの巻き数は磁束リセット用2次巻線SRの巻き数と同等の値に設定されており、1次巻線Pの巻き数は2次巻線Sの巻き数よりも多い。スイッチング素子4は、直流電源1の高電位側端子とリーケージトランス37との間に接続されている。LED21の陰極は第1整流ダイオード51及び第2整流ダイオード52の陽極と接続されており、LED21の陽極は直流電源1の低電位側端子に接続されている。
スイッチング素子4をオンすると、図45(a)に示す如く、1次巻線Pに入力電流Iinが流れる。また、2次巻線S、LED21及び第1整流ダイオード51に出力電流Ioutが流れる。このとき、LED21の陰極の電位は、直流電源1の低電位端子よりも低くなる。すなわち、LED21の印加電圧は直流電源1の電位よりも低くなり、リーケージトランス37は図44の構成より低い(絶対値の小さい)負電圧を生成するトランスの機能を果たすものである
スイッチング素子4をオフすると、図45(b)に示す如く、磁束リセット用2次巻線SR、第2整流ダイオード52及びLED21に出力電流Ioutが流れる。この出力電流Ioutは、リセット電流Irの機能を兼ねるものである。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。