JP6456449B2 - カーボンナノチューブシートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブシートの製造方法およびカーボンナノチューブシートに関するものである。
カーボンナノチューブは、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。特に、個々のカーボンナノチューブを垂直配向させたもの、つまり垂直配向性のカーボンナノチューブ群は、表面積が大きいので、カーボンナノチューブの特性が引き出され、応用範囲が広い。
このような垂直配向性のカーボンナノチューブ群は、その製造過程において、一般に基板の表面に形成される。この基板の表面から垂直配向性のカーボンナノチューブ群を剥離する方法として、水およびその温度を利用したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−149517号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、基板から剥離された後の個々のカーボンナノチューブは何にも保持されていないので、そのカーボンナノチューブ群のシート形状を維持する力が弱い。このため、基板から剥離されるカーボンナノチューブ群が大面積の場合、そのシート形状が剥離の際に崩れやすいという問題がある。
また、上記特許文献1の方法では、カーボンナノチューブ群を、基板に形成された形状特性を維持したまま、基板から剥離することができる。しかしながら、より高機能なカーボンナノチューブ群が求められる近年において、これは、剥離によりカーボンナノチューブ群の特性が向上していないという問題になる。
そこで、本発明は、大面積であってもシート形状を維持することができ、カーボンナノチューブの特性を向上させることができるカーボンナノチューブシートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係るカーボンナノチューブシートの製造方法は、熱炭化性シートを加熱してカーボンナノチューブ群に対して押圧することで、複合シートを形成する複合工程と、
上記複合シートを不活性ガス雰囲気下で加熱することで、当該複合シートにおける上記熱炭化性シートを400〜700℃において炭化させる炭化工程とを具備し、
上記熱炭化性シートが、上記炭化工程で加熱されると炭化して繊維状になり加熱された上記カーボンナノチューブ群の個々のカーボンナノチューブの基端部に溶着して絡みつくものである。
また、本発明の請求項2に係るカーボンナノチューブシートの製造方法は、請求項1に記載の製造方法おける熱炭化性シートが不織布である。
また、本発明の請求項3に係るカーボンナノチューブシートの製造方法は、請求項1または2に記載の製造方法の複合工程におけるカーボンナノチューブ群が、2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群を、互いに押圧することで、積層させたものである。
さらに、本発明の請求項4に係るカーボンナノチューブシートの製造方法は、請求項3に記載の製造方法において、2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群が、それぞれを構成するカーボンナノチューブの長さおよび/または密度が互いに異なるものである。
また、本発明の請求項5に係るカーボンナノチューブシートの製造方法は、請求項1乃至のいずれか一項に記載の製造方法の複合工程におけるカーボンナノチューブ群に対する熱炭化性シートの押圧が、熱炭化性シートをその表裏面からそれぞれ垂直配向性のカーボンナノチューブ群で挟み込むことである。
上記カーボンナノチューブシートの製造方法によると、大面積であってもシート形状を維持することができ、カーボンナノチューブの特性を向上させることができる。

本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブシートの拡大断面図であり、(a)はカーボンナノチューブ層がブラシ状のものであり、(b)はカーボンナノチューブ層が交絡状のものである。 同カーボンナノチューブシートのSEMによる拡大写真であり、(a)が500倍の断面、(b)が2000倍の断面、(c)が5000倍の断面を示す。 交絡状のカーボンナノチューブ層のSEMによる拡大写真であり、(a)が11000倍の表面、(b)が10000倍の表面、(c)が13000倍の断面を示す。 同カーボンナノチューブシートの製造方法を示す概略工程図である。 同製造方法に使用される製造装置を示す概略構成図である。 本発明の実施例2に係るカーボンナノチューブシートの拡大断面図である。 同カーボンナノチューブシートの製造方法に使用される製造装置を示す概略構成図である。 本発明の実施例3に係るカーボンナノチューブシートの一態様を示す拡大断面図である。 同カーボンナノチューブシートの他態様を示す拡大断面図である。 本発明の実施例4に係るカーボンナノチューブシートの一態様を示す拡大断面図である。 同カーボンナノチューブシートの他態様を示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブシートおよびその製造方法について、図面に基づき説明する。
まず、上記カーボンナノチューブシートについて説明する。
図1に示すように、このカーボンナノチューブシート1は、無数のカーボンナノチューブを垂直配向してなるカーボンナノチューブ層3と、このカーボンナノチューブ層3の層形状を維持するために個々のカーボンナノチューブの基端部を保持する繊維状の炭化層4とを有する。すなわち、上記カーボンナノチューブの基端部が繊維状の炭化層4により保持されるので、上記カーボンナノチューブ層3は、図1(a)に示すブラシ状のものであっても、バラけることはない。当然ながら、上記カーボンナノチューブ層3は、図1(b)に示す交絡状のものであれば、カーボンナノチューブが互いにファンデルワールス力により結合するので、一層バラけにくくなる。ここで、交絡状とは、カーボンナノチューブの先端部および基端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態をいう。
このカーボンナノチューブシート1およびその交絡状のカーボンナノチューブ層3のSEMによる拡大写真を、それぞれ図2および図3に示す。図2における符号4fは炭化層4の繊維を示し、図2(b)および図2(c)は図2(a)におけるbおよびcの範囲の拡大写真である。これら図2(a)〜図2(c)に示すように、炭化層4の繊維4fがカーボンナノチューブ層3に溶着して絡みついていることが分かる。また、図3(a)および図3(b)は交絡状のカーボンナノチューブ層3の表面を示し、図3(c)は交絡状のカーボンナノチューブ層3の断面を示す。図3に示す交絡状のカーボンナノチューブ層3は、押圧により約180μmの厚さが約8〜10μmになったものである。
上記カーボンナノチューブシートによると、繊維状の炭化層4によりカーボンナノチューブ層3がバラけないので、ロールで回収されるような大面積のカーボンナノチューブシート1であっても、そのシート形状が崩れることなく、シート形状でカーボンナノチューブ層3を得ることができる。
特に、カーボンナノチューブ層3が交絡状であることにより、得られるカーボンナノチューブシート1の濡れ性および熱伝導率を向上させることができるとともに、シート形状の維持をより強固にすることができる。
以下、上記カーボンナノチューブシート1の製造方法について説明する。なお、以下では一例として、上記カーボンナノチューブ層3がブラシ状のものについて説明する。
この製造方法は、概略的に説明すると、図4に示すように、カーボンナノチューブ群および熱硬化性樹脂(フェノール、エポキシ、メラニン、尿素、アルキドなどの樹脂)製のフィルムシートを複合させて複合シートにする複合工程73と、この複合シートのフィルムシートを炭化させて繊維状の炭化層4にする炭化工程74とを具備する。なお、上記熱硬化性樹脂製のフィルムシートは、熱炭化性シートの一例である。この熱炭化性シートは、加熱されると炭化して繊維状になるフィルムシートであればよく、例えば、熱硬化性樹脂製のフィルムシートの他に、木質由来のセルロール系の不織布シートなどである。以下では、上記熱硬化性樹脂製のフィルムシートを単にフィルムシートと称する。また、カーボンナノチューブ群は、上記カーボンナノチューブ層3と同じ構成で、無数のカーボンナノチューブをブラシ状に集合させてなるが、炭化層4により保持される前の単体であるから、カーボンナノチューブ層3とは区別して、このように称する。
上記複合工程73では、フィルムシートを加熱してカーボンナノチューブ群に対して押圧することで、カーボンナノチューブ群およびフィルムシートからなる複合シートが形成される。また、上記炭化工程74では、上記複合シートを窒素ガス雰囲気下で加熱することで、フィルムシートが炭化されて繊維状の炭化層4になる。炭化層4およびカーボンナノチューブ層3はいずれも炭素であるから、繊維状の炭化層4がカーボンナノチューブ層3の個々のカーボンナノチューブの基端部に溶着して絡みつくことで、カーボンナノチューブ層3が炭化層4に保持される。
ここで、上記製造方法に使用される製造装置の一例について説明する。
図5に示すように、この製造装置11は、基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kおよびフィルムシート40を送り出す送出部12と、送り出されたカーボンナノチューブ群30およびフィルムシート40を複合させて複合シート10にする複合部13と、この複合シート10のフィルムシート40を炭化させて当該複合シート10をカーボンナノチューブシート1にする炭化部14と、このカーボンナノチューブシート1のカーボンナノチューブ層3を保持した基板Kを当該カーボンナノチューブシート1から剥離するとともに当該カーボンナノチューブシート1を回収する回収部15とを具備する。これらのうち、上記複合部13および炭化部14が、上記製造方法における複合工程73および炭化工程74をそれぞれ行う。また、カーボンナノチューブ群30(これを保持する基板Kも)およびフィルムシート40は、いずれも帯状であって、その長手方向に送出部12から回収部15までバッチ的または連続的に送られるものである。勿論、カーボンナノチューブ群30は複合部13でカーボンナノチューブ層3になり、フィルムシート40は炭化部14で繊維状の炭化層4になる。なお、上記製造装置11は後述する多数のロールを有しており、これらロールはいずれも軸心が水平且つ平行に配置されている。
上記送出部12は、第一巻出しロール21および第二巻出しロール22を有する。第一巻出しロール21は、基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kをロール状にしたものが設置されて、カーボンナノチューブ群30を基板Kとともにバッチ的または連続的に送り出し得るようにされている。また、第二巻出しロール22は、フィルムシート40をロール状にしたものが設置されて、フィルムシート40をバッチ的または連続的に送り出し得るようにされている。また、基板Kとこれに保持されたカーボンナノチューブ群30およびフィルムシート40を送り出された姿勢から水平に近い姿勢にして複合部13に送るために、上記送出部12は上下の案内ロール24を有する。上下の案内ロール24は、基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kおよびフィルムシート40を、漸近的に近づけるとともに、複合部13までは互いに接触させない間隔で配置されている。なお、第一巻出しロール21に設置されたロール状の基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kは、送り出された状態でカーボンナノチューブ群30がフィルムシート40に面する向きに、すなわち、基板Kが案内ロール24に接する向きにされている。
上記複合部13は、基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kおよびフィルムシート40を押圧して、カーボンナノチューブ群30およびフィルムシート40を複合させるための、上下のプレスロール31(31a,31b)を有する。上下のプレスロール31は、これらの間に基板(カーボンナノチューブ群30を保持している)Kおよびフィルムシート40を重ねて通過させて押圧するものである。特に、フィルムシート40側のプレスロール31(31b)は、通過させて押圧するフィルムシート40を加熱するための加熱装置34が備えられている。
上記炭化部14は、内部を不活性ガス雰囲気下にし得るとともに当該内部に複合シート10を通過させて加熱する加熱炉41と、この加熱炉41の内部に不活性ガス(例えば窒素ガス)を供給するガス供給装置47と、上記加熱炉41の内部から気体を排出するポンプ48とを有する。上記ガス供給装置47およびポンプ48は、それぞれ、配管49およびバルブ(図示省略)を介して加熱炉41の内部に接続されている。また、上記加熱炉41は、その内部を所定温度にまで昇温させるための炉内電熱ヒータ44を備える。
ここで、フィルムシート40は、加熱されて繊維状の炭化層4になることにより収縮する。この収縮により、製造されるカーボンナノチューブシート1が撓むことになる。この撓みを防ぐために、加熱炉41の内部でフィルムシート40(炭化層4)に接することで、その平面形状を保持するための防撓ベルト(防撓部材の一例)61が渡されている。この防撓ベルト61は、その平面度を維持するために張力が与えられており、この張力および加熱に耐え得るためにも、金属製であることが好ましい。また、上記製造装置11には、加熱炉41の下流側で上記防撓ベルト61が掛け渡されるテンションロール65と、上記防撓ベルト61を駆動する駆動ロール66とが配置されている。すなわち、上記防撓ベルト61が掛け渡されるロール31b,65,66は、フィルムシート40側のプレスロール31(31b)、テンションロール65、および駆動ロール66である。
上記回収部15は、基板K側に配置されて基板Kをカーボンナノチューブシート1から剥離する方向に導く剥離ロール55と、カーボンナノチューブシート1から剥離された基板Kを回収する基板回収ロール51と、基板Kが剥離されて製品となるカーボンナノチューブシート1を回収する製品回収台52とを有する。
次に、この製造装置11を使用したカーボンナノチューブシート1の製造方法について詳細に説明する。
予め、帯状の基板Kの表面にカーボンナノチューブ層3を形成し、この基板Kに保持されたカーボンナノチューブ群30を基板Kごとロール状にしておく。そして、このロール状の基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kを第一巻出しロール21に設置し、別途準備したロール状のフィルムシート40を第二巻出しロール22に設置する。
そして、第一巻出しロール21から基板Kを巻き出していき、巻き出された基板Kが、一方の案内ロール24、上下のプレスロール31の間、加熱炉41の内部、剥離ロール55に渡されて、基板回収ロール51で巻き取られるようにする。同様に、第二巻出しロール22からフィルムシート40を巻き出していき、巻き出されたフィルムシート40が、他方の案内ロール24、上下のプレスロール31の間、加熱炉41の内部に渡されて、製品回収台52で回収されるようにする。なお、フィルムシート40は、加熱炉41の内部で防撓ベルト61に接する(規制される)ように配置される。
次いで、ガス供給装置47から窒素ガスを加熱炉41の内部に供給するとともに、加熱炉41の内部から気体をポンプ48で排出することにより、加熱炉41の内部を窒素ガス雰囲気下にする。また、炉内電熱ヒータ44により、加熱炉41の内部を所定温度(例えば400℃)にまで昇温させる。この所定温度は、400〜700℃であり、好ましくは600℃程度である。また、この昇温時間は、1〜10℃/分であり、好ましくは2〜5℃/分である。一方、フィルムシート40側のプレスロール31(31b)の加熱装置34により、そのプレスロール31bを他の所定温度(例えば130℃)にまで昇温させる。
その後、上記基板回収ロール51および駆動ロール66を回転させて、基板Kおよびフィルムシート40(炭化部14以降は炭化層4)を、送出部12から回収部15までバッチ的に送る。すると、複合部13では、プレスロール31により、フィルムシート40が加熱されてカーボンナノチューブ群30に対して押圧(例えば2MPa)される。この押圧は、概ね6〜15MPaであるが、2〜30MPaであればよい。また、炭化部14では、加熱炉41の内部において複合シート10が窒素ガス雰囲気下で加熱されることにより、カーボンナノチューブ層3は反応しないものの、フィルムシート40は炭化して繊維状の炭化層4になる。送り出しをバッチ的にすることにより、この炭化部14では、複合シート10が所定時間(例えば2〜3時間)だけ停止して上記所定温度で加熱される。ここで、フィルムシート40は、加熱されて繊維状の炭化層4になることにより収縮するが、防撓ベルト61に接して(規制されて)いるので、カーボンナノチューブシート1は撓むことなくその平面形状が保持される。また、この収縮により、カーボンナノチューブ層3における個々のカーボンナノチューブが互いに近づくので、カーボンナノチューブ層3が高密度化する。さらに、回収部15では、剥離ロール55により基板Kがカーボンナノチューブシート1から剥離されるとともに、基板回収ロール51により基板Kが回収されて、製品回収台52によりバッチ的にカーボンナノチューブシート1が回収される。
こうして回収されたカーボンナノチューブシート1について、カーボンナノチューブの特性の1つである電気抵抗を調べた結果、その電気抵抗は0.05Ωであった。これにより、接着剤などで保持された垂直配向性のカーボンナノチューブシートと比べて、導電性の低い(カーボンナノチューブの特性が向上した)カーボンナノチューブシート1が得られた。これは、フィルムシート40が繊維状の炭化層4になることにより、その面積が約4分の1になるまで収縮したが、これにより、繊維状の炭化層4に保持されるカーボンナノチューブ層3が約4倍に高密度化したからである。
このように、本実施例1に係るカーボンナノチューブシート1の製造方法によると、ロールで回収されるような大面積のカーボンナノチューブシート1であっても、そのシート形状が崩れることなく、シート形状でカーボンナノチューブ層3を得ることができる。
また、カーボンナノチューブシート1におけるカーボンナノチューブ層3が高密度化するので、カーボンナノチューブの特性を向上させることができる。
さらに、カーボンナノチューブシート1が撓まないので、汎用性の高い形状である平面形状のカーボンナノチューブシート1を得ることができる。
また、バッチ的に連続してカーボンナノチューブシート1が製造されるので、製造効率を向上させることができる。
上記実施例1に係るカーボンナノチューブシート1では、そのカーボンナノチューブ層3が繊維状の炭化層4の表面(つまり片面)に保持されるが(図1参照)、本実施例2に係るカーボンナノチューブシート1では、そのカーボンナノチューブ層3が繊維状の炭化層4の表裏面(つまり両面)に保持される(図6参照)。以下、本実施例2に係る製造方法について説明するが、上記実施例1と異なる構成について説明するとともに、上記実施例1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施例2に係る製造方法は、上記実施例1に係る製造方法の複合工程73におけるカーボンナノチューブ群30に対するフィルムシート40の押圧として、フィルムシート40をその表裏面からそれぞれカーボンナノチューブ群30で挟み込むようにしたものである。
まず、本実施例2に係る製造方法に使用される製造装置11について説明する。
図7に示すように、この製造装置11における送出部12は、第三巻出しロール23も有する。この第三巻出しロール23は、第一巻出しロール21と同様に、基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kをロール状にしたものが設置されて、カーボンナノチューブ群30を基板Kとともに連続的に送り出し得るようにされている。また、この第三巻出しロール23は、第一巻出しロール21との間に第二巻出しロール22が位置するように配置されている。上記送出部12の上下の案内ロール24は、上下の基板(それぞれカーボンナノチューブ群30を保持)Kおよびこれらの間のフィルムシート40を、漸近的に近づけるとともに、複合部13までは互いに接触させない間隔で配置されている。
上記製造装置11における複合部13の上下のプレスロール31は、フィルムシート40その表裏面からそれぞれカーボンナノチューブ群30で挟み込むように押圧して、上下のカーボンナノチューブ群30およびこれらの間のフィルムシート40を複合させるためのものである。また、プレスロール31によりフィルムシート40を上下の基板(カーボンナノチューブ郡を保持している)Kを介して加熱するために、上下のプレスロール31(31a,31b)とも、加熱装置34を備えている。
上記製造装置11における炭化部14の加熱炉41の内部には、防撓ベルト61の代わりに、防撓板(防撓部材の一例)64が配置されている。この防撓板64は、複合シート10(カーボンナノチューブシート1)を上下の基板Kごと挟む(規制する)ことにより、その平面形状を保持して、撓みを防ぐためのものである。
上記製造装置11における回収部15は、2つの剥離ロール55、すなわち、上下の剥離ロール55(55a,55b)を有する。上の剥離ロール55aは、カーボンナノチューブシート1の上に位置する基板Kを剥離するものであり、下の剥離ロール55bは、カーボンナノチューブシート1の下に位置する基板Kを剥離するものである。また、上記回収部15は、2つの基板回収ロール、すなわち、上下の基板回収ロール51,53を有する。一方の基板回収ロール51は、カーボンナノチューブシート1から剥離された一方の基板Kを回収するものであり、他方の基板回収ロール53は、カーボンナノチューブシート1から剥離された他方の基板Kを回収するものである。上下の基板回収ロール51,53は、これらの間に製品回収台52が位置するように配置されている。
次に、この製造装置11を使用したカーボンナノチューブシート1の製造方法について詳細に説明する。
予め、ロール状の基板(カーボンナノチューブ群30を保持)Kを第一巻出しロール21に設置するだけでなく、第三巻出しロール23にも設置する。
そして、第三巻出しロール23からも基板Kを巻き出していき、巻き出された基板Kが、他方の案内ロール24、他方のプレスロール31b、加熱炉41の内部、他方の剥離ロール55bに渡されて、他方の基板回収ロール53で巻き取られるようにする。一方、第二巻出しロール22から巻き出されたフィルムシート40は、上下のカーボンナノチューブ群30の間に位置するように、上下の案内ロール24の間、上下のプレスロール31の間、加熱炉41の内部に渡されて、製品回収台52で回収されるようにする。なお、上下の基板Kは、加熱炉41の内部で防撓板64に挟まれるようにする。
その後、上下の基板回収ロール51,53を回転させて、上下の基板Kおよびフィルムシート40(炭化部14以降は炭化層4)を、送出部12から回収部15まで連続して送る。すると、複合部13では、プレスロール31により、フィルムシート40がその表裏面からそれぞれ上下のカーボンナノチューブ群30で挟み込むように押圧される。また、その際に、フィルムシート40だけでなく、上下のカーボンナノチューブ群30も加熱される。ここで、フィルムシート40は、加熱されて繊維状の炭化層4になることにより収縮するが、防撓板64に挟まれて(規制されて)いるので、カーボンナノチューブは撓むことなくその平面形状が保持される。また、この収縮により、カーボンナノチューブ層3における個々のカーボンナノチューブが互いに近づくので、カーボンナノチューブ層3が高密度化する。
このように、本実施例2に係るカーボンナノチューブシート1の製造方法によると、上記実施例1の効果も奏する上に、連続して製造されるカーボンナノチューブ層3が繊維状の炭化層4の表裏面(両面)に保持されるので、さらに製造効率を向上させることができる。
本実施例3に係る製造方法では、2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群を互いに押圧することで1枚とし、これを上記実施例1の複合工程73におけるカーボンナノチューブ群30として用いる。以下、本実施例3に係る製造方法について説明するが、上記実施例1と異なる構成について説明するとともに、上記実施例1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
この製造方法により製造されるカーボンナノチューブシート1のカーボンナノチューブ層3は、炭化層4に近い側の疎層3sおよび炭化層4から遠い側の密層3dからなる態様(図8参照)と、炭化層4に近い側の密層3dおよび炭化層4から遠い側の疎層3sからなる態様(図9参照)とがある。
本実施例3に係る製造装置11は、第一巻出しロール21に設置されるものだけが上記実施例1に係る製造装置11と異なる。具体的には、2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群を互いに押圧することで1枚とし、これ30を保持している基板Kをロール状にしたものが本実施例3に係る第一巻出しロール21に設置される。なお、これら2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群は、それぞれを構成するカーボンナノチューブの長さおよび/または密度が互いに異なる。これらの長さおよび/または密度は、得たいカーボンナノチューブ層3の空隙率および厚みに基づいて決定される。これ以外の製造装置11の構成および製造方法は、上記実施例1に係るものと同一である。
このように、本実施例3に係るカーボンナノチューブシート1の製造方法によると、上記実施例1の効果も奏する上に、得られるカーボンナノチューブ層3の空隙率および厚みを調整することができる。
本実施例4に係る製造方法では、2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群を互いに押圧することで1枚とし、これを上記実施例2の複合工程73におけるカーボンナノチューブ群30として用いる。以下、本実施例4に係る製造方法について説明するが、上記実施例2と異なる構成について説明するとともに、上記実施例2と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
この製造方法により製造されるカーボンナノチューブシート1のカーボンナノチューブ層3は、炭化層4に近い側の疎層3sおよび炭化層4から遠い側の密層3dからなる態様(図10参照)と、炭化層4に近い側の密層3dおよび炭化層4から遠い側の疎層3sからなる態様(図11参照)とがある。
本実施例4に係る製造装置11は、第一巻出しロール21および第三巻出しロール23に設置されるものだけが上記実施例2に係る製造装置11と異なる。具体的には、2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群を互いに押圧することで1枚とし、これ30を保持している基板Kをロール状にしたものが本実施例4に係る第一巻出しロール21および第三巻出しロール23に設置される。なお、これら2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群は、それぞれを構成するカーボンナノチューブの長さおよび/または密度が互いに異なる。これらの長さおよび/または密度は、得たいカーボンナノチューブ層3の空隙率および厚みに基づいて決定される。これ以外の製造装置11の構成および製造方法は、上記実施例2に係るものと同一である。
このように、本実施例4に係るカーボンナノチューブシート1の製造方法によると、上記実施例2の効果も奏する上に、得られるカーボンナノチューブ層3の空隙率および厚みを調整することができる。
ところで、上記実施例1〜4では、不活性ガスの一例として、窒素ガスについて説明したが、これに限定されるものではなく、ヘリウム、ネオンまたはアルゴンなど希ガス類元素のガスなどであってもよい。
また、上記実施例1〜4に係る製造方法および製造装置では、複合工程の後に炭化工程を行うものとして説明したが、当然ながら、複合工程と炭化工程とを同時に行うものであってもよい。
さらに、上記実施例1〜4では、熱炭化性シートの一例として、熱硬化性樹脂製のフィルムシート40または木質由来の不織布シートについて説明したが、これに限定されるものではなく、加熱されると炭化して繊維状になるものであればよい。
さらに、上記実施例1〜4に係る製造方法では、基板Kおよびフィルムシート40(炭化部14以降は炭化層4)がバッチ的に送られるとして説明したが、連続的に送られてもよい。これにより、さらに製造効率を向上させることができる。
また、上記実施例1〜4では、カーボンナノチューブ層3(カーボンナノチューブ群30)のカーボンナノチューブについて詳細に説明しなかったが、シングルウォールナノチューブ、マルチウォールナノチューブ(ダブルウォールナノチューブを含む)のいずれであってもよい。
また、上記実施例1〜4に係る製造方法では、複合工程におけるカーボンナノチューブ群30に対するフィルムシート40の押圧について詳細に説明しなかったが、この押圧は、カーボンナノチューブ群30の先端部および基端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態にする(カーボンナノチューブ群30の厚さが1/2以下程度になるまで押し潰す)程度のものであってもよい。この製造方法により、図1(b)に示すカーボンナノチューブシート1、すなわち、カーボンナノチューブ層3が交絡状のカーボンナノチューブシート1が得られる。したがって、このような製造方法にすることで、上記実施例1〜4の効果も奏する上に、得られるカーボンナノチューブシート1の濡れ性および熱伝導率を向上させることができるとともに、シート形状の維持をより強固にすることができる。
K 基板
1 カーボンナノチューブシート
3 カーボンナノチューブ層
4 炭化層
10 複合シート
11 製造装置
13 複合部
14 炭化部
30 カーボンナノチューブ群
31 プレスロール
34 加熱装置
40 フィルムシート
41 加熱炉
44 炉内電熱ヒータ
47 ガス供給装置
48 ポンプ
49 配管

Claims (5)

  1. 熱炭化性シートを加熱してカーボンナノチューブ群に対して押圧することで、複合シートを形成する複合工程と、
    上記複合シートを不活性ガス雰囲気下で加熱することで、当該複合シートにおける上記熱炭化性シートを400〜700℃において炭化させる炭化工程とを具備し、
    上記熱炭化性シートが、上記炭化工程で加熱されると炭化して繊維状になり加熱された上記カーボンナノチューブ群の個々のカーボンナノチューブの基端部に溶着して絡みつくものであることを特徴とするカーボンナノチューブシートの製造方法。
  2. 熱炭化性シートが不織布であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
  3. 複合工程におけるカーボンナノチューブ群が、2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群を、互いに押圧することで、積層させたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
  4. 2枚の垂直配向性のカーボンナノチューブ群が、それぞれを構成するカーボンナノチューブの長さおよび/または密度が互いに異なるものであることを特徴とする請求項3に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
  5. 複合工程におけるカーボンナノチューブ群に対する熱炭化性シートの押圧が、熱炭化性シートをその表裏面からそれぞれ垂直配向性のカーボンナノチューブ群で挟み込むことであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
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