本実施形態における圧電センサデバイスは、図1〜図5に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110の上面に接合された第一圧電センサ素子120及び第二圧電センサ素子130と、パッケージ110の下面に接合された集積回路素子150とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aの上面と第一枠体110bの内側面によって囲まれた第一凹部K1が形成されている。また、基板110aの下面と第二枠体110cの内側面によって囲まれた第二凹部K2が形成されている。このような圧電センサデバイスは、電子機器等で使用され、角速度を検出するのに用いられる。
基板110aは、矩形状であり、上面に実装された第一圧電センサ素子120及び第二圧電センサ素子130と、下面に実装された集積回路素子150を実装するための実装部材として機能するものである。基板110aには、上面に、第一圧電センサ素子120及び第二圧電センサ素子130を実装するための電極パッド111が設けられている。また、基板110aは、下面に、集積回路素子150を実装するための接続パッド114が設けられている。
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、上面に設けられた電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた外部端子113とを電気的に接続するための配線パターン(図示せず)及びビア導体(図示せず)が設けられている。
第一枠体110bは、基板110aの上面に配置され、基板110aの上面に第一凹部K1を形成するためのものである。また、第二枠体110cは、基板110aの下面に配置され、基板110aの下面に第二凹部K2を形成するためのものである。第一枠体110b及び第二枠体110cは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。第二枠体110cの下面には、外部端子113が設けられている。
電極パッド111は、第一圧電センサ素子120及び第二圧電センサ素子130を実装するためのものである。電極パッド111は、八つ設けられており、その内の四つの電極パッド111は、第一圧電センサ素子120の引出電極125と電気的に接続されており、残りの四つの電極パッド111は、第二圧電センサ素子130の引出電極135と電気的に接続されている。第一圧電センサ素子120と電気的に接続されている二つの電極パッド111は、基板110aの一辺に沿って設けられおり、残りの二つの電極パッド111は、基板110aの中心付近に隣接するようにして設けられている。第二圧電センサ素子130と電気的に接続されている二つの電極パッド111は、第一圧電センサ素子120と電気的に接続されている電極パッド111が設けられている一辺と垂直に交わる一辺に沿って設けられており、残りの二つの電極パッド111は、電極パッド111が設けられている一辺と垂直に交わる一辺と対向する辺に沿って設けられている。このような電極パッド111は、基板110aに設けられた配線パターン(図示せず)とビア導体(図示せず)を介して、基板110aの下面に設けられた接続パッド114及び測定パッド115と電気的に接続されている。また、電極パッド111は、図1及び図5(a)に示すように、第一電極パッド111a、第二電極パッド111b、第三電極パッド111c、第四電極パッド111d、第五電極パッド111e、第六電極パッド111f、第七電極パッド111g及び第八電極パッド111hによって構成されている。
外部端子113は、電子機器等の実装基板(図示せず)と電気的に接合するために用いられる。外部端子113は、第二枠体110cの下面に設けられている。外部端子113は、基板110aの下面に設けられた接続パッド114とそれぞれ電気的に接続されている。
接続パッド114は、後述する集積回路素子150を実装するために用いられている。接続パッド114は、基板110aの下面に隣接するようにして設けられている。導電性接合材170は、接続パッド115の下面と集積回路素子150の接続端子151との間に設けられている。
測定パッド115は、矩形状であり、第一圧電センサ素子120又は第二圧電センサ素子130の駆動腕122、132に設けられた励振用電極126、136と電気的に接続されており、第一圧電センサ素子120又は第二圧電センサ素子130の発振周波数を測定するために用いられる。測定パッド115は、第一測定パッド115a、第二測定パッド115b、第三測定パッド115c及び第四測定パッド115dによって構成されている。第一測定パッド115aは、第一電極パッド111aと電気的に接続されており、第二測定パッド115bは、第三電極パッド111cと電気的に接続されている。また、第三測定パッド115cは、第五電極パッド111eと電気的に接続されており、第四測定パッド115dは、第七電極パッド111gと電気的に接続されている。このように測定パッド115を設けることにより、従来の圧電センサデバイスと比し、圧電センサ素子に集積回路素子が接続された状態で発振周波数及び周波数特性を測定するよりも、圧電センサ素子120、130単体での発振周波数及び周波数特性を測定することができるので、安定して測定することが可能となる。
また、測定パッド115は、基板110aの下面に設けられており、後述する集積回路素子150と重なる位置に設けられている。このようにすることにより、電子機器等の実装基板上に本実施形態の圧電センサデバイスを実装した際に、実装基板上の配線(図示せず)と測定パッド115との間で浮遊容量が発生することを抑えることができる。よって、圧電センサ素子120、130に浮遊容量が付加された状態とならないため、圧電センサ素子120、130は、安定して発振周波数を出力することができる。
配線パターン116は、接続パッド114と外部端子113とを電気的に接続するためのものである。また、接続パターン117は、接続パッド114と測定パッド115とを電気的に接続するためのものである。
ここで基板110aを平面視したときの長辺の寸法が、5.0mmであり、短辺の寸法が、3.5mmである場合を例にして、接続パッド114又は測定パッド115の大きさを説明する。接続パッド114の基板110aの短辺と平行な辺の長さは、0.25〜0.55mmであり、基板110aの長辺と平行な辺の長さは、0.25〜0.55mmとなっている。測定パッド116の基板110aの短辺と平行な辺の長さは、0.5〜0.8mmであり、基板110aの長辺と平行な辺の長さは、0.5〜0.8mmとなっている。
封止用導体パターン118は、蓋体140と封止部材141を介して接合する際に、封止部材141の濡れ性をよくする役割を果たしている。封止用導体パターン118は、第一枠体110bの上面を囲むようにして設けられている。封止用導体パターン118は、ビア導体(図示せず)を介して、外部端子113の内の一つと電気的に接続されている。封止用導体パターン118は、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、第一枠体110bの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
ここで、基板110aの作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子113、接続パッド114、測定パッド115、配線パターン116、接続パターン117及び封止用導体パターン118となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
第一圧電センサ素子120及び第二圧電センサ素子130は、角速度を測定するためのものである。第一圧電センサ素子120は、基板110a上の電極パッド111上に導電性接着剤160を介して実装されている。第二圧電センサ素子130は、基板110a上の電極パッド111上に導電性接着剤160を介して実装されている。
第一圧電センサ素子120又は第二圧電センサ素子130は、図3及び図4圧電素板121、131と、圧電素板121、131に電圧を印加するための第一励振用電極126a、136a及び第二励振用電極126b、136bと、圧電素板121、131に生じた電気信号を取り出すための第一検出電極127a、137a及び第二検出電極127b、137bとを有している。
圧電素板121、131は、その全体が一体的に形成されている。圧電素板121、131は、単結晶であってもよし、多結晶であってもよい。また、圧電素板121、131の材料は適宜に選択されてよく、例えば、水晶(SiO2)、LiTaO3、LiNbO3、PZTである。
圧電素板121、131において、電気軸乃至は分極軸(以下、両者を代表して分極軸のみに言及することがある。)は、x軸に一致するように設定されている。なお、分極軸は、所定の範囲(例えば15°以内)でx軸に対して傾斜していてもよい。また、圧電素板121、131が単結晶である場合において、機械軸及び光軸は、適宜な方向とされてよいが、例えば、機械軸はy軸方向、光軸はz軸方向とされている。
圧電素板121、131は、x軸方向に延びる基部128、138と、基部128、138からy軸方向の正側へ延びる第一駆動腕122a、132a〜第四駆動腕122d、132dと、基部128、138からy軸方向の負側へ延びる第一検出腕123a、133a及び第二検出腕123b、133bとを有している。圧電素板121、131は、例えば、全体として厚さ(z軸方向)が一定にされており、また、例えば、y軸方向に延びる中心線CL0(図3)に対して線対称の形状に形成されている。
駆動腕122、132は、電圧(電界)が印加されることによってx軸方向(以下、「励振方向」ということがある。)に励振される部分である。検出腕123、133は、コリオリの力によってz軸方向に振動され、角速度に応じた電気信号を生成する部分である。基部128、138は、これら駆動腕122、132及び検出腕123、133を支持する部分である。これらの位置及び形状等は、例えば、以下のように設定されている。
基部128、138は、例えば、概ね直方体状とされている。基部128、138の三軸方向の寸法比率は適宜に設定されてよい。例えば、基部128、138は、x軸方向の大きさ>y軸方向の大きさ>z軸方向の大きさに設定されている。すなわち、基部128、138は、x軸方向を長手方向とし、z軸方向を厚み方向とする概ね長方形の板状とされている。なお、例えば、x軸方向の大きさ>z軸方向の大きさ≧y軸方向の大きさとされても構わない。
四本の実装腕124、134は、基部128、138の両端から基部128、138のy軸方向の両側に向かって延びている。すなわち、四本の実装腕124、134は、全ての駆動腕122、132及び全ての検出腕123、133のx軸方向の外側に位置し、駆動腕122、132及び検出腕123、133に並列に延びている。そして、四本の実装腕124、123の先端は圧電素板121、131の4隅に位置している。
第一実装腕124a、134a及び第三実装腕124c、134cは、例えば、中心線CL0を対称軸として、その配置及び形状が互いに線対称になるように形成されている。同様に、第二実装腕124b、134b及び第四実装腕124d、134dは、例えば、中心線CL0を対称軸として、その配置及び形状が互いに線対称になるように形成されている。第一実装腕124a、134a及び第三実装腕124c、134cと、第二実装腕124b、134b及び第四実装腕124d、134dとは、例えば、基部128、138のx軸方向に延びる中心線(不図示)を対称軸として、その配置及び形状が互いに線対称になるように形成されている。
実装腕124、134の具体的形状等は適宜に設定されてよい。例えば、実装腕124、134は、xz断面の形状が長手方向に亘って一定とされ、また、当該xz断面は矩形である。また、例えば、実装腕124、134の幅(乃至は断面積)は、駆動腕122、132及び検出腕123、133の幅(乃至は断面積)以上とされている。また、例えば、実装腕124、134の長さは、駆動腕122、132及び検出腕123、133の長さと同等とされている。
実装腕124、134のz軸方向の正側又は負側(本実施形態では正側)には、励振用電極126、136及び検出電極127、137と接続された第一引出電極125a〜第四引出125dが設けられている。この引出電極125、135は、基板110aに設けられた電極パッド111又は電極パッド111に対向し、引出電極125、135に対して導電性接着剤160により接着される。これにより、第一圧電センサ素子120又は第二圧電センサ素子130と基板110aとの電気的な接続がなされ、また、第一圧電センサ素子120又は第二圧電センサ素子130は、駆動腕122、132及び検出腕123、133が振動可能な状態で支持される。なお、実装腕124、134の先端部の範囲は、例えば、実装腕124、134の先端面から実装腕124、134の長さの2/5まで又は1/3までの範囲である。
第一引出電極125a、135a及び第二引出電極125b、135bは、複数の励振用電極126、136に印加される電圧が入力されるためのものである。また、第三引出電極125c、135c及び第四引出電極125d、135dは、複数の検出電極127、137からの信号を出力するためものである。
第一引出電極125a、135aからは、第一配線129a、139aが延びている。第一配線139aは、第二駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bの第一励振用電極126a、136a、並びに、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dの第二励振用電極126b、136bに接続されている。また、第二引出電極125b、135bからは、第二配線(図示せず)が延びている。第二配線は、第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bの第二励振用電極126b、136b、並びに、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dの第一励振用電極126a、136aに接続されている。
第三引出電極125c、135cからは、第三配線129c、139cが延びている。第三配線129c、139cは、第一検出腕123a、133aの第一検出電極127a、137a及び第二検出腕123b、133bの第二検出電極127b、137bに接続されている。また、第四引出電極125d、135dからは、第四配線(図示せず)が延びている。第四配線は、第一検出腕123aの第二検出電極127b、137b及び第二検出腕123b、133bの第一検出電極127a、137aに接続されている。配線129、139は、互いに交差しないように、基部128、138の四面及び各種の腕部の根元側部分及び先端側部分の四面等に適宜に配置され、また、適宜に分岐又は合流している。
なお、配線は、あくまで一例であり、他の種々のパターンによって、動作説明において言及した電極の接続関係が実現されても構わない。また、配線129、139は、絶縁体を介して互いに立体交差するように設けられるようにしても構わない。
励振用電極126、136は、駆動腕122、132の表面に形成された層状電極である。励振用電極126、136は、例えば、Cu,Al等の適宜な金属によって形成されている。第一励振用電極126a、136aは、各駆動腕122、132において、z軸方向の正側の面及びz軸方向の負側の面にそれぞれ設けられている。これらの面には、溝が形成されており、各面において、第一励振用電極126a、136bは、第一溝部M1の底面及び二つの内壁面を覆っている。また、第二励振用電極126b、136bは、各駆動腕122、132において、x軸方向の正側の面及びx軸方向の負側の面にそれぞれ設けられている。
二つの第一励振用電極126a、136a及び二つの第二励振用電極126b、136bは、例えば、駆動腕122、132の各面を概ね覆うように設けられている。ただし、第一励振用電極126a、136a及び第二励振用電極126b、136bは、互いに短絡しないように、少なくとも一方が各面よりも幅方向において小さく形成されている。
各駆動腕122、132において、二つの第一励振用電極126a、136aは、例えば互いに同電位とされる。例えば、二つの第一励振用電極126a、136aは、圧電素板121、131上の配線129、139により互いに接続されている。また、各駆動腕122、132において、二つの第二励振用電極126b、136bは、例えば互いに同電位とされる。例えば、二つの第二励振用電極126b、136bは、圧電素板121上の配線等により互いに接続されている。
検出電極127、137は、検出腕123、133の表面に形成された層状電極である。検出電極127、137は、例えば、Cu,Al等の適宜な金属によって形成されている。検出電極7は、各分割腕123、133に設けられている。すなわち、検出電極127、137は、検出腕123、133のx軸方向の外側面だけでなく、複数の第二溝部M2の内壁面にも設けられている。
第一検出電極127a、137aは、各検出腕123、133において、x軸方向の負側の面のうちのz軸方向の正側の領域、及び、x軸方向の正側の面のうちのz軸方向の負側の領域にそれぞれ設けられている。検出電極127b、137bは、各検出腕123、133において、x軸方向の負側の面のうちのz軸方向の負側の領域、及び、x軸方向の正側の面のうちのz軸方向の正側の領域にそれぞれ設けられている。第一検出電極127a、137a及び第二検出電極127b、137bは、互いに短絡しないように適宜な間隔を空けて、検出腕123、133に沿って延びている。
各検出腕123、133において、複数の第一検出電極127a、137aは、例えば、圧電素板121、131上の配線129、139により接続されている。また、各検出腕123、133において、複数の第二検出電極127b、137bは、例えば、圧電素板121、131上の配線129、139により接続されている。なお、励振用電極126、136と同様に、検出電極127、137の付加符号a、bは、直交座標系xyzに基づいて付されている。従って、例えば、後述するように、第一検出腕123a、133aの第一検出電極127a、137aと、第二検出腕123b、133bの第一検出電極127a、137aとは、接続されていない。
(動作説明)
第一励振用電極126a、136aに正の電位が付与され、第二励振用電極126b、136bに負の電位(又は基準電位)が付与されると、正の電位から負の電位に向かって電界が生じる。従って、電界のx軸方向の成分に着目すると、駆動腕122、132のうちx軸方向の一方側部分においては電界の向きと分極軸の向きは一致し、他方側部分においては電界の向きと分極軸の向きは逆になる。
その結果、駆動腕122、132のうちx軸方向の一方側部分はy軸方向において収縮し、他方側部分はy軸方向において伸長する。そして、駆動腕122、132は、バイメタルのようにx軸方向の一方側へ湾曲する。第一励振用電極126a、136a及び第二励振用電極126b、136bに印加される電圧が逆にされると、駆動腕122、132は逆方向に湾曲する。このような原理により、交流電圧が第一励振用電極126a、136a及び第二励振用電極126b、136bに印加されると、駆動腕122、132はx軸方向において振動する。
ここで、上述のように、第一励振用電極126a、136aが設けられる駆動腕122、132のz軸方向の正側及び負側の面には、凹部が形成されている。従って、第一励振用電極126a、136aは、x軸方向において第二励振用電極126b、136bと対向する部分を有することになり、また、全体として面積が大きくなる。その結果、駆動腕122、132内におけるx軸方向の電界の強さを大きくし、効率的に駆動腕122、132を振動させることができる。
第一圧電センサ素子120及び第二圧電センサ素子130がy軸回りに回転されると、x軸方向において振動している駆動腕122、132には、慣性力の一つである、その角速度に応じた大きさのコリオリの力が加わる。その結果、駆動腕122、132はz軸方向において振動する。駆動腕122、132及び検出腕123、123は基部128、129によって連結され、互いに力の相互作用を及ぼすから、検出腕123、133は、z軸方向において、駆動腕11とは逆位相で振動する。
検出腕123、133がz軸方向に湾曲すると、検出腕123、133のz軸方向の一方側部分は、y軸方向において伸長され、ひいては、x軸方向において収縮され、他方側部分は、y軸方向において収縮され、ひいては、x軸方向において伸長される。検出腕13のz軸方向の一方側部分では分極軸の向きと同じ向きの電圧が発生し、他方側部分ではそれと逆向きの電圧が発生する。この電圧が第一検出電極127a、137a及び第二検出電極127b、137bに出力される。検出腕123、133がz軸方向に振動すると、電圧は交流電圧として検出される。
また、検出腕123、133には複数の第二溝部M2が形成されており、検出電極127、137は、検出腕123、133のx軸方向の正側及び負側の面だけでなく、その第二溝部M2の内壁面にも設けられている。従って、検出電極127、137は、検出腕123、133のx軸方向の外側面だけに設けられている場合に比較して、全体としての面積が大きくなっている。その結果、検出腕123、133において生じる電荷を効率的に電気信号として取り出すことができる。
また、第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bは、励振方向(x軸方向)において同一側へ共に変形するように互いに同一の位相で励振される。例えば、第一駆動腕121a、131aの第一励振用電極126a、136aと第二駆動腕122b、132bの第二励振用電極126b、136bとは接続され、第一駆動腕122a、132aの第二励振用電極126b、136bと第二駆動腕122b、132bの第二励振用電極126b、136bとは接続され、これらの第一励振用電極126a、136aと、第二励振用電極126b、136bとの間に交流電圧が印加される。
同様に、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dは、励振方向において同一側へ共に変形するように互いに同一の位相で励振される。この励振も、上記と同様に、二本の駆動腕122、132間において、第一励振用電極126a、136a同士が接続され、第二励振用電極126b、136b同士が接続されることなどにより実現されても構わない。
第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bのグループと、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dのグループとは、励振方向において互いに逆側へ変形するように互いに逆の位相(180°ずれた位相)で励振される。例えば、第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bの第一励振用電極126a、136aと、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dの第二励振用電極126b、136bとが接続され(第一電極群)、第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bの第二励振用電極126b、136bと、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dの第一励振用電極126a、136aとが接続され(第二電極群)、第一電極群と第二電極群との間に交流電圧が印加される。なお、第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bのグループと、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dのグループとは、x軸方向において逆位相で振動していることから、圧電素板121全体としては、これらグループのx軸方向の力は互いに打ち消し合うことになる。
第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bは、中心線CL0に対して、その半径方向(x軸方向)の同一側に配置されている。また、両駆動腕122、132は、その半径方向(励振方向、x軸方向)において共に外側又は内側へ湾曲するように励振される。従って、両駆動腕122、132においてコリオリの力の向きは互いに同一である。その結果、両駆動腕122、132はz軸方向において同一側へ共に湾曲するように振動する。同様に、第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dは、コリオリの力によって、z軸方向において同一側へ共に湾曲するように振動する。
第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bのグループと、第3駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dのグループとは、中心線CL0に対して、その半径方向(x軸方向)において互いに逆側に配置されており、ひいては、回転によるz軸方向の移動の向きは互いに逆である。また、一方のグループが半径方向において外側(又は内側)へ湾曲するとき、他方のグループも半径方向において外側(又は内側)へ湾曲するように、両グループは励振される。従って、両グループにおいてコリオリの力の向きは互いに逆となる。その結果、両グループはz軸方向において互いに逆側へ湾曲するように振動する。
駆動腕122、132及び検出腕123、133は、基部128、138によって連結されている。従って、駆動腕122、132の振動は、基部128、138を介して検出腕123、133に伝達され、検出腕123、133も振動する。具体的には、第一検出腕123a、133aは、z軸方向において第一駆動腕122a、132a及び第二駆動腕122b、132bとは逆側へ湾曲するように振動する。また、第二検出腕123b、133bは、z軸方向において第三駆動腕122c、132c及び第四駆動腕122d、132dとは逆側へ湾曲するように振動する。
第一検出腕123a、133a及び第二検出腕123b、133cは、z軸方向において互いに逆側に湾曲するように振動する。従って、両者は、z軸方向の一方側部分(又は他方側部分)において生じる電圧がx軸方向において互いに逆向きである。従って、例えば、第一検出腕123a、123bの第一検出電極127a、137aと第二検出腕123b、133bの第二検出電極127b、137bとが接続され、第1検出腕123a、133aの第2検出電極127b、137bと第2検出腕123b、133bの第1検出電極127a、137aとが接続されることにより、両検出腕123、133において生じた電気信号は加算される。
集積回路素子150は、圧電センサ素子120の励振用電極126、136を発振回路で自励振動させ、検出電極127、137から出力した信号を増幅し、角速度信号として出力させるためのものである。集積回路素子150は、発振回路、増幅回路及び検出回路によって構成されている。また、圧電センサ素子120、130の励振用電極126、136は、発振回路と接続されており、検出電極127、137は、検出回路と接続されている。
このような圧電センサデバイスでは、圧電センサ素子120の励振用電極126、136を発振回路で自励振動させている際に、圧電センサ素子120の長手方向に角速度が加えられることで振動方向に垂直な方向に発生するコリオリ力を、圧電センサ素子120、130で検出し、検出電極127、137から互いに逆極性の信号として出力し、検出回路に入力する。
検出回路は、差動増幅回路、同期検波回路、加算器及び平滑回路によって構成されている。検出電極127、137から出力された信号が、差動増幅回路に入力される。差動増幅回路にて増幅された出力は、同期検波回路に入力され、同期検波が行われる。このとき、同期検波回路には、同期検波を行うために、加算器からの出力が同期信号として供給される。そして、同期検波回路からの出力が、平滑回路を介して、圧電センサ素子120、130に生じたコリオリ力を検出することにより得られた直流信号である角速度信号として出力される。
以上のように、角速度センサでは、圧電センサ素子120、130を振動させるとともに、圧電センサ素子120、130に生じるコリオリ力を検出し、この圧電センサ素子120、130によって検出されたコリオリ力に基づいて角速度を検出することができる。このような集積回路素子150は、図2に示すように、基板110aの下面に設けられた接続パッド114と接続端子151とを半田等の導電性接合材170を介して実装されている。また、四つの接続パッド114は、接続パターン117を介して、測定パッド115と電気的に接続されている。残りの接続パッド114は、配線パターン116及びビア導体(図示せず)を介して、外部端子113と電気的に接続されている。
導電性接着剤160は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
導電性接合材170は、例えば、銀ペースト又は鉛フリー半田により構成されている。また、導電性接合材には、塗布し易い粘度に調整するための添加した溶剤が含有されている。鉛フリー半田の成分比率は、錫が95〜97.5%、銀が2〜4%、銅が0.5〜1.0%のものが使用されている。
蓋体140は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。このような蓋体140は、真空状態にある第一凹部K1又は窒素ガスなどが充填された第一凹部K1を気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋体140は、所定雰囲気で、パッケージ110の第一枠体110b上に載置され、第一枠体110bの封止用導体パターン118と蓋体140の封止部材141とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、第一枠体110bに接合される。また、蓋体140は、封止用導体パターン118及びビア導体(図示せず)を介して基板110aの下面の外部端子113の内の一つに電気的と接続されている。
封止部材141は、パッケージ110の枠体110b上面に設けられた封止用導体パターン118に相対する蓋体140の箇所に設けられている。封止部材141は、例えば、銀ロウ又は金錫によって設けられている。銀ロウの場合は、その厚みは、10〜20μmである。例えば、成分比率は、銀が72〜85%、銅が15〜28%のものが使用されている。金錫の場合は、その厚みは、10〜40μmである。例えば、成分比率が、金が78〜82%、錫が18〜22%のものが使用されている。
本発明の実施形態における圧電センサデバイスは、矩形状の基板110aと、基板110aの上面に設けられた第一枠体110bと、基板110aの下面に設けられた第二枠体110cと、第一枠体110b内で基板110aの上面に設けられた電極パッド111と、第二枠体内で基板の下面に設けられた接続パッド114と、基部128と、基部128から所定の延在方向の一方側へ延び、延在方向に交差する並び方向に並べられた複数の駆動腕122と、基部128から延在方向の他方側へ延び、並び方向に並べられた複数の検出腕123と、複数の駆動腕122に電圧を印加して複数の駆動腕122を並び方向に励振する励振用電極126と、を有し、電極パッド111に実装された圧電センサ素子120と、接続パッド115に実装された集積回路素子150と、第一枠体110bの上面に接合された蓋体140と、を備えているので、圧電センサ素子120と集積回路素子150が別々の空間に収容されているため、圧電センサ素子120に導電性接着剤160から発生したガスが付着されること抑え、圧電センサ素子120の屈曲振動が阻害されることを低減することができる。また、このような圧電センサデバイスでは、圧電センサ素子120の屈曲振動が阻害されることを低減することができるので、安定して角速度が検出することが可能となる。
また、本実施形態における圧電センサデバイスは、圧電センサ素子120、130は、複数実装されていることにより、一軸だけでなく、二軸でも対応可能となる。また、圧電センサ素子120、130の複数の駆動腕122、132が、四本以上の偶数本で、且つ、延在方向に延びる所定の対称軸に対して線対称に配置されており、複数の検出腕123、133が、二本以上の偶数本で、且つ、対称軸に対して線対称に配置されており、励振用電極126、136が、線対称の一方側の複数の駆動腕122、132が並び方向において互いに同一側へ共に変形するようにこれら駆動腕122、132を互いに同一の位相で励振し、線対称の他方側の複数の駆動腕122、132が並び方向において互いに同一側へ共に変形するようにこれら駆動腕122、132を互いに同一の位相で励振し、線対称の一方側の複数の駆動腕122、132と、線対称の他方側の複数の駆動腕122、132とが、並び方向において互いに逆側に変形するように、線対称の一方側の複数の駆動腕122、132と線対称の他方側の複数の駆動腕122、132とに互いに逆の位相で励振する。
このようにすることにより、例えば、圧電センサデバイスの起動時間が短くなる。この起動時間が短くなる理由としては、例えば、以下の事項が考えられる。駆動腕122、132の本数が比較的多くされ、ひいては、駆動腕122、132同士が比較的近くに配置されることから、複数の駆動腕122、132は振動に関して相互影響が比較的大きい(独立に振動し難い)。その結果、唸りが早期に収束する。また、並列に電圧印加がなされる駆動腕122、132の本数が比較的多くされることから、全体としての抵抗値(共振インピーダンス、R1、CI)が低下する。起動時間は抵抗値に依存するから、抵抗値の低下によって起動時間が短くなる。また、複数の駆動腕122、132は、線対称に配置され、線対称の一方側と他方側とで互いに逆方向に湾曲するように振動されるから、基部128、138の中央が振動の節となる。換言すれば、比較的多く設けられた駆動腕122、132に対して振動の節が共通化される。その結果、複数の駆動腕122、132が独立に振動することが抑制され、振動が早期に安定する。
また、本実施形態における圧電センサデバイスは、圧電センサ素子120、130と電気的に接続され、第二枠体110c内で基板110aの下面に設けられた測定パッド115を備えている。このようにすることにより、電子機器等の実装基板上に本実施形態の圧電センサデバイスを実装した際に、実装基板上の配線と、測定パッド115との間で浮遊容量が発生することを抑えることができる。よって、圧電センサ素子120、130に、浮遊容量が付加された状態とならないため、安定して発振周波数を出力することができる。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記実施形態では、第一枠体110bが基板110aと同様にセラミック材で一体的に形成した場合を説明したが、第一枠体110bが金属製であっても構わない。この場合、枠体は、銀−銅等のロウ材を介して基板の導体膜に接合されている。