JP6455307B2 - 分岐配管の溶接方法 - Google Patents
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Description
大型の発電所等においては、ボイラからタービンへの動力用蒸気配管として直径300mm程度のフェライト系クロム鋼管などが用いられ、その鋼管に小径、例えば、直径20mm程度の圧力検出用配管を取り付け、圧力検出用配管の端部に圧力計が取り付けられている。
このようなプラントにおける蒸気漏れを検出装置としては、特許文献1に記載されたように、噴射蒸気圧力データと噴射蒸気流量データとを用い、圧力データと流量データとの標準偏差を求め圧力データの標準偏差と流量データとの標準偏差との比が正常範囲を複数系継続して外れたときに蒸気バイパス系統に水蒸気の漏洩が生じたことを検出している。
これによれば蒸気漏洩の検出は可能であり、圧力検出用配管に設けたバルブと圧力計との間で蒸気漏洩が発生した際にはバルブを閉止したうえで蒸気漏洩が発生している圧力検出用配管を交換することが可能である。しかし、動力用蒸気配管と圧力検出用配管上に設けたバルブとの間で蒸気漏洩が発生すると、プラントを停止したうえで圧力検出用配管の交換修理を行わざるを得ないという問題があった。
これにより、溶接接合部における蒸気漏洩がなくなり、溶接環境が整い、高品質の溶接を行うことができる。また、プラントを停止した後、母管内に蒸気が滞留した状況で溶接を行うことができるので、プラントの停止時間を短縮することができる。例えば、火力発電所の発電プラントで本発明に係る配管の溶接方法をそのプラント修理の際に適用した場合、発電プラントの停止時間を短くすることができ、発電効率の低下を極力抑えることが可能となる。
図1は本発明に係る圧力検出用配管溶接方法を適用する動力用蒸気配管(蒸気配管=母管)1、及び圧力検出用配管(分岐配管)5の概略図を示す図であり、溶接等の修理を行う前の配管全体像を示し、30は蒸気あるいは過熱蒸気等の流体または気体が流通する動力用蒸気配管1の外周にロックウール、ウレタンフォーム、ケイ酸カルシウムなどの保温材を覆い、さらに該保温材の外装面に金属製或は布製の保温ジャケットを被覆した状態の配管であり、33は動力用蒸気配管1より分岐した分岐配管である圧力検出用配管5に動力用蒸気配管1と同じく、保温材、及び保温ジャケットを被覆した状態の配管である。
圧力検出用配管(分岐配管)5には流量を規制するバルブ35、サイフォン管37、圧力計39が設けられ、圧力計39を除き、保温材あるいは保温ジャケットにより被覆されている。なお、31は動力用蒸気配管から分岐した圧力検出用配管5の分岐個所を確認するための作業用開口部であり、ネジやリベット等の固定具32を取り外すことで作業を行うことができる。
蒸気漏洩個所がバルブ35と圧力計39との間で生じたものであれば、バルブ35を閉止し、バルブ35より端部側の配管を交換することで修理可能であるが、バルブ35より動力用蒸気配管である母管側で漏洩が発生すると、プラント全体を停止しなければならないこと前述のとおりである。
圧力検出用配管5のバルブ35と母管である動力用蒸気配管1との間で蒸気漏洩が発生した場合、通常は圧力検出用配管全体を交換することとなる。
なお、動力用蒸気配管1の開口部1aに直接圧力検出配管5の端部開口を接続する場合と、開口部1aに連通接続された中継管3の開口部3aと圧力検出配管5の端部開口を接続する場合があるが、動力用蒸気配管の開口部1aと中継管の開口部3aを区別する意味がないので、本明細書、特許請求の範囲では動力用蒸気配管の開口部1aと中継管の開口部3aを同視する。即ち、動力用蒸気配管の開口部1aには、中継管の開口部3aを含むものである。
本発明の分岐配管の溶接方法は、蒸気が管内に滞留した動力用蒸気配管(蒸気配管)1から分岐した圧力検出用配管(分岐配管)5の溶接方法において、動力用蒸気配管1から穿孔等により交換が必要となった旧圧力検出用配管を除去するステップと、旧圧力検出用配管を除去することにより動力用蒸気配管に形成された開口部1a(3a)に対して新たな圧力検出用配管5の一端開口部を仮止めするステップと、新たな圧力検出用配管5内を負圧にし、動力用蒸気配管内の蒸気を吸引するステップと、動力用蒸気配管の開口部1aと新たな圧力検出配管5との接合部4の隙間からの蒸気噴出が停止、又は噴出量が低下した状態で接合部を完全に溶接して隙間を封止するステップと、を有したことを特徴とする。
この状態で中継管3と圧力検出用配管5との接合部4を溶接することで、イナートガスアーク溶接やシールドガスアーク溶接など嫌気効果を伴う溶接も効果的に実施でき、かつ、蒸気の漏洩による溶接部の温度低下が生じないため、最適な状態で溶接でき、図5(c)に示すように滑らかなビート6も形成することが可能となる。
なお、真空ポンプ23に代わり、気体を吸引することが可能な吸引ポンプを用いても良い。
なお、上記説明において、圧力検出用配管は動力用蒸気配管に設けられた中継管に取り付ける例を挙げて説明したが、中継管を介さず、圧力検出用配管を母管である動力用蒸気配管に直接取り付ける場合にも適用可能である。
また、動力用蒸気配管の直径300mm程度に対し、圧力検出用配管は直径20mm程度の小径のもので説明したが、これに限定されるものではなく、溶接接合部から漏洩する蒸気を吸引することができるよう負圧のかけ方を制御することで、蒸気配管及び分岐配管の径は自由に選択できるものである。
第1の本発明に係る分岐配管の溶接方法では、圧力を有する蒸気が管内に滞留した蒸気配管1から分岐した分岐配管5の溶接方法において、蒸気配管から分岐配管を除去するステップと、分岐配管を除去することにより蒸気配管1に形成された開口部1aに対して分岐配管の一端開口部を仮止めするステップと、分岐配管内を負圧にし、蒸気配管内の蒸気を吸引するステップと、蒸気配管開口部1aと分岐配管との接合部4からの蒸気噴出が停止、又は噴出量が低下した状態で接合部を溶接するステップと、を有したことを特徴とする。
蒸気配管から分岐配管を除去するステップでは、穿孔等により交換が必要となった分岐配管を蒸気配管から取り外す。
蒸気配管に形成された開口部に対して新たな分岐配管の一端開口部を仮止めする。仮止めでは接合部に隙間が残っており、隙間がある状態では完全な溶接は難しい。
最後に、蒸気配管開口部と新たな分岐配管との接合部からの蒸気噴出が停止、又は噴出量が低下した状態で接合部を溶接する。これにより、蒸気による接合部の温度低下を防止した状態での溶接が可能となる。
従って、蒸気配管開口部1a(3a)と分岐配管開口部とを連通させた状態で分岐配管内を負圧とし、蒸気配管開口部(溶接の接合部の隙間)から漏洩する蒸気を分岐配管経由で吸引し、溶接の接合部から蒸気が漏洩しないようにした環境で溶接作業を実施するので、溶接対象である各配管の母材と溶接ワイヤとが適切に融合し、高品質な溶接を行うことができる。
蒸気を吸い出す手段はどのようなものであってもよいが、仮止めした接合部の隙間からの蒸気の大半を新たな分岐配管側へ導いて外部に排出できる程度の吸引力が必要である。これにより、接合部の温度が蒸気によって低下することを防止でき、溶接を効率的に実施できるようになる。分岐配管内を負圧にする手段としては、真空ポンプあるいは吸引ポンプを利用することができる。
圧縮空気を利用するイジェクターを用いて分岐配管内を負圧にすることも可能である。イジェクターを用いて分岐配管内を負圧にする場合、イジェクターには可動部がないので、蒸気を吸引し、その水分により機器を損傷させることがなく、かつ、蒸気を圧縮空気と共に吐出させるので、蒸気温度が低下し、より安全に溶接作業を行うことが可能となる。
Claims (3)
- 蒸気が管内に滞留した蒸気配管から分岐した分岐配管の溶接方法において、
前記蒸気配管から前記分岐配管を除去するステップと、
前記分岐配管を除去することにより前記蒸気配管に形成された開口部に対して新たな分岐配管の一端開口部を仮止めするステップと、
前記新たな分岐配管内を負圧にし、前記蒸気配管内の蒸気を吸引するステップと、
前記蒸気配管開口部と前記新たな分岐配管との接合部からの蒸気噴出が停止、又は噴出量が低下した状態で前記接合部を溶接するステップと、を有したことを特徴とする分岐配管の溶接方法。 - 前記新たな分岐配管内を負圧にする際、前記新たな分岐配管の他端から真空ポンプ、又は吸引ポンプにより前記新たな分岐配管内の蒸気を吸引することを特徴とする請求項1に記載の分岐配管の溶接方法。
- 前記新たな分岐配管内を負圧にする際、前記新たな分岐配管の他端にイジェクターを取り付け、圧縮空気を該イジェクターの駆動ノズルに供給することで前記新たな分岐配管内の蒸気を吸引したことを特徴とする請求項1に記載の分岐配管の溶接方法。
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