JP6454435B1 - 潤滑剤の分散安定性向上方法及び紙塗工用組成物 - Google Patents
潤滑剤の分散安定性向上方法及び紙塗工用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6454435B1 JP6454435B1 JP2018099484A JP2018099484A JP6454435B1 JP 6454435 B1 JP6454435 B1 JP 6454435B1 JP 2018099484 A JP2018099484 A JP 2018099484A JP 2018099484 A JP2018099484 A JP 2018099484A JP 6454435 B1 JP6454435 B1 JP 6454435B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lubricant
- latex
- molecular weight
- peak
- composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Lubricants (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Paper (AREA)
Abstract
【課題】共重合体ラテックスを含むラテックス組成物と潤滑剤とを混合した場合に、潤滑剤の分散安定性を向上させることができ、潤滑剤の凝集物が発生することを抑制することができる、潤滑剤の分散安定性向上方法を提供すること。【解決手段】共重合体ラテックスを含有するラテックス組成物と潤滑剤とを混合した混合物における上記潤滑剤の分散安定性を向上させる方法であって、上記ラテックス組成物の水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たすように上記ラテックス組成物を調製する、潤滑剤の分散安定性向上方法。【選択図】図1
Description
本発明は、潤滑剤の分散安定性向上方法及びラテックス組成物に関する。
近年、塗工紙は、その印刷効果が高い等の理由から、非常に数多くの印刷物に利用されている。季刊紙、月刊紙等の定期刊行物の中にも、全ての頁に塗工紙が使用される場合もかなり増えている。特に、メールオーダービジネスにおけるダイレクトメールや商品カタログ等においては、そのほとんどが全ての頁に塗工紙を使用している。
一般に紙塗工用組成物は、クレーや炭酸カルシウムなどの白色顔料を水に分散した顔料分散液と、顔料同士および顔料と原紙とを接着固定するためのバインダーと、その他の添加剤とによって構成される水性塗料である。バインダーとしては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスに代表されるような合成エマルションバインダーや、デンプン、カゼインに代表されるような天然バインダーが使用される。その中でも、乳化重合により得られるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスは、品質設計の自由度が大きく、紙塗工用組成物に最も適したバインダーとして広く使用されており、その特性が紙塗工用組成物の性能や塗工紙作成時の操業性あるいは最終的な塗工紙製品の表面強度、印刷光沢などの品質に影響することが知られている(例えば、下記特許文献1及び2を参照)。
また、塗工紙作成時の操業性を向上させるために、共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物に潤滑剤を添加することが知られている(例えば、下記特許文献3を参照)。
上述したような共重合体ラテックスには、必要に応じて低粘度化のために分散剤が添加されるが、分散剤が添加された共重合体ラテックスと、操業性を向上させるための潤滑剤と、顔料等とを混合して調製された紙塗工用組成物では、紙塗工用組成物中での潤滑剤の分散安定性が悪く、潤滑剤が凝集して凝集物を形成する場合がある。潤滑剤の凝集物が発生すると、例えば塗工紙作成時のバッキングロールやカレンダーロールの汚れの原因となり、操業性の低下や得られる塗工紙の外観不良が生じることとなる。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、共重合体ラテックスを含むラテックス組成物と潤滑剤とを混合した場合に、潤滑剤の分散安定性を向上させることができ、潤滑剤の凝集物が発生することを抑制することができる、潤滑剤の分散安定性向上方法及びラテックス組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、共重合体ラテックスと潤滑剤とを混合した際に潤滑剤が凝集する原因について鋭意研究を重ねた結果、潤滑剤と混合するラテックス組成物の水相部の微分分子量分布曲線において、分子量2500未満での微分分布値のピーク値と比較した分子量2500以上での微分分布値の最大値がある特定の値以上であった場合に、潤滑剤の分散安定性が悪化し、潤滑剤が凝集して凝集物を形成しやすいことを見出した。
すなわち、本発明は、共重合体ラテックスを含有するラテックス組成物と潤滑剤とを混合した混合物における上記潤滑剤の分散安定性を向上させる方法であって、上記ラテックス組成物の水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たすように上記ラテックス組成物を調製する、潤滑剤の分散安定性向上方法を提供する。かかる方法によれば、潤滑剤と混合するラテックス組成物として、微分分子量分布曲線から求められる上記ピーク比(dW2/dW1)が0.95以下となるように調製されたラテックス組成物を用いることにより、当該ラテックス組成物と潤滑剤との混合物中での潤滑剤の分散安定性を向上させることができ、潤滑剤の凝集物の発生を抑制することができる。そのため、この方法により潤滑剤の分散安定性が向上した紙塗工用組成物を用いることで、塗工紙作成時のバッキングロールやカレンダーロールの汚れを防ぎ、操業性の低下及び得られる塗工紙の外観不良の発生を抑制することができる。
上記方法では、上記共重合体ラテックスの平均粒子径を135nm以下とすることが好ましい。この場合、潤滑剤の分散安定性を向上できると共に、この方法により潤滑剤の分散安定性が向上した紙塗工用組成物を用いた場合に、得られる塗工紙は粉落ちが少なく、表面強度及び耐水強度が良好となる傾向がある。
上記方法では、上記ラテックス組成物中の分散剤の含有量を、上記共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して2.0質量部以下とすることが好ましい。この場合、潤滑剤の分散安定性をより向上させることができる。
上記方法では、上記共重合体ラテックスのpHを6.0以上とすることが好ましい。この場合、潤滑剤の分散安定性をより向上させることができる。
本発明はまた、共重合体ラテックスを含有するラテックス組成物であって、上記ラテックス組成物の水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たす、ラテックス組成物を提供する。かかるラテックス組成物によれば、微分分子量分布曲線から求められる上記ピーク比(dW2/dW1)が0.95以下であることにより、当該ラテックス組成物と潤滑剤との混合物中での潤滑剤の分散安定性を向上させることができ、潤滑剤の凝集物の発生を抑制することができる。そのため、かかるラテックス組成物を用いて調製した紙塗工用組成物を用いることで、塗工紙作成時のバッキングロールやカレンダーロールの汚れを防ぎ、操業性の低下及び得られる塗工紙の外観不良の発生を抑制することができる。
上記ラテックス組成物において、上記共重合体ラテックスの平均粒子径が135nm以下であることが好ましい。この場合、ラテックス組成物を潤滑剤と混合した際の潤滑剤の分散安定性を向上できると共に、このラテックス組成物を用いて調製した紙塗工用組成物を用いた場合に、得られる塗工紙は粉落ちが少なく、表面強度及び耐水強度が良好となる傾向がある。
上記ラテックス組成物中の分散剤の含有量は、上記共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して2.0質量部以下であることが好ましい。この場合、ラテックス組成物を潤滑剤と混合した際の潤滑剤の分散安定性をより向上させることができる。
上記共重合体ラテックスのpHは6.0以上であることが好ましい。この場合、ラテックス組成物を潤滑剤と混合した際の潤滑剤の分散安定性をより向上させることができる。
本発明によれば、共重合体ラテックスを含むラテックス組成物と潤滑剤とを混合した場合に、潤滑剤の分散安定性を向上させることができ、潤滑剤の凝集物が発生することを抑制することができる、潤滑剤の分散安定性向上方法及びラテックス組成物を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本実施形態に係る潤滑剤の分散安定性向上方法は、共重合体ラテックスを含有するラテックス組成物と潤滑剤とを混合した混合物における潤滑剤の分散安定性を向上させる方法であって、ラテックス組成物の水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たすようにラテックス組成物を調製する、方法である。また、本実施形態に係るラテックス組成物は、上記潤滑剤の分散安定性向上方法で調製するラテックス組成物に相当するものである。すなわち、本実施形態に係るラテックス組成物は、共重合体ラテックスを含有するものであって、ラテックス組成物の水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たすものである。
(共重合体ラテックス)
本実施形態に用いられる共重合体ラテックスは特に限定されず、乳化重合により得られる共重合体ラテックスを用いることができる。共重合体ラテックスは、ラテックス組成物の低粘度化を図ることができると共に、ラテックス組成物と潤滑剤とを混合した場合の潤滑剤の分散安定性をより良好にできることから、以下の共重合体ラテックスであることが好ましい。
本実施形態に用いられる共重合体ラテックスは特に限定されず、乳化重合により得られる共重合体ラテックスを用いることができる。共重合体ラテックスは、ラテックス組成物の低粘度化を図ることができると共に、ラテックス組成物と潤滑剤とを混合した場合の潤滑剤の分散安定性をより良好にできることから、以下の共重合体ラテックスであることが好ましい。
すなわち、共重合体ラテックスは、乳化重合により得られる共重合体ラテックスであって、上記共重合体は、(a)脂肪族共役ジエン系単量体、必要に応じて用いられる(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体、(c)シアン化ビニル単量体、及び、必要に応じて用いられる(d)これらと共重合可能な単量体、を含む単量体成分で構成されていることが好ましい。
(a)脂肪族共役ジエン系単量体(以下、(a)成分という場合もある)としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、並びに、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などの単量体が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態においては、工業的に容易に製造されること、入手の容易性及びコストの観点から、1,3−ブタジエンを用いることが好ましい。
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体(以下、(b)成分という場合もある)としては、アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸などのモノカルボン酸単量体、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸などのジカルボン酸単量体並びにこれらの無水物が挙げられる。これらの単量体は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(c)シアン化ビニル単量体(以下、(c)成分という場合もある)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態においては、工業的に容易に製造されること、入手の容易性及びコストの観点から、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを用いることが好ましい。
(d)上記(a)成分〜(c)成分と共重合可能な単量体(以下、(d)成分という場合もある)としては、アルケニル芳香族単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体などの単量体が挙げられる。
アルケニル芳香族単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態においては、工業的に容易に製造されること、入手の容易性及びコストの観点から、スチレンを用いることが好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート及び2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態においては、工業的に容易に製造されること、入手の容易性及びコストの観点から、メチルメタクリレートを用いることが好ましい。
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)マレエート、ジ(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート及び2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、上記単量体の他に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等、通常の乳化重合において使用される単量体を使用することができる。
(a)成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対し、25〜60質量%であることが好ましく、27〜56質量%であることがより好ましく、30〜52質量%であることが更に好ましく、35〜50質量%であることが特に好ましい。(a)成分の含有量を上記範囲とすることにより、共重合体ラテックスの接着強度と塗工紙作成時の操業性とのバランスに優れた共重合体ラテックスを得ることができる。
(b)成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対し、0〜23質量%であり、1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが更に好ましい。(b)成分の含有量を上記範囲とすることにより、共重合体ラテックスの接着強度を十分に向上させることができる。
(c)成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対し、1〜30質量%であり、2〜28質量%であることが好ましく、4〜25質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることが更に好ましい。(c)成分の含有量を上記範囲とすることにより、耐溶剤性に優れる共重合体ラテックスを得ることができる。
(d)成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対し、0〜67.5質量%であり、2〜65質量%であることが好ましく、8〜60質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましい。
本実施形態においては、共重合体ラテックスの硬さをコントロールすることを目的として、(d)成分として、スチレンを、共重合体を構成する単量体成分全量に対し、1〜65質量%含有させることが好ましい。
次に、本実施形態に係る乳化重合について説明する。
乳化重合は、1段階で行ってもよく、2段階以上の複数回に分けて行ってもよい。本実施形態に係る乳化重合の反応系には、上記(a)〜(d)成分以外に、乳化剤(界面活性剤)、重合開始剤、更に必要に応じて、連鎖移動剤、還元剤などを配合することができる。
乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、デヒドロアビエチン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、及びアルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。これらのうち、アルキルベンゼンスルホン酸塩を用いることが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。乳化剤の配合量は、他の添加剤などの組み合わせを考慮して適宜調整することができる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸リチウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド、又はt−ブチルハイドロパーオキサイドを用いることが好ましい。重合開始剤の配合量は、単量体組成、重合反応系のpH、他の添加剤などの組み合わせを考慮して適宜調整することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル;トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノレン、α−メチルスチレンダイマーなどの連鎖移動剤が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の配合量は、他の添加剤などの組み合わせを考慮して適宜調整することができる。
還元剤としては、例えば、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩;L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類およびその塩;デキストロース、サッカロースなどの還元糖類;ジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸が好ましい。還元剤の配合量は、他の添加剤などの組み合わせを考慮して適宜調整することができる。
また、本実施形態に係る反応系には、共重合体の分子量及び架橋構造を制御する目的で、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素;ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を配合することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、シクロヘキセン、トルエンを用いることが好ましい。
更に、本実施形態に係る反応系には、必要に応じて、電解質、酸素補足剤、キレート剤、分散剤、消泡剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、種類及び使用量ともに適宜適量使用することができる。
本実施形態においては、重合開始剤投入開始時の反応系に(a)成分の一部、(b)成分の一部、(c)成分の一部、(d)成分の一部、乳化剤、必要に応じて添加される還元剤、連鎖移動剤を含有させることが好ましい。
重合開始剤投入開始時の反応系に(a)成分の一部を含有させる場合、(a)成分の全量の1〜25質量%を含有させることが好ましく、3〜20質量%を含有させることがより好ましい。
重合開始剤投入開始時の反応系に(b)成分の一部を含有させる場合、(b)成分の全量の0質量%超40質量%以下を含有させることが好ましく、0.1〜30質量%を含有させることがより好ましい。更に、(b)成分は、反応系のポリマー転化率が1.0%に到達した到達時(以下、単に「到達時」という)から単量体成分の全量投入終了した終了時(以下、単に「終了時」という)までの時間、の5%の時点以降から、上記(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体の残部の添加を開始して、上記到達時から終了時までの時間、の80%の時点までに、上記(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の92%以上を投入することが好ましい。これらの条件を満たすように(b)成分を添加することで、乾燥時及び湿潤時のいずれにおいても十分な接着強度を発現できる低粘度の共重合体ラテックスを得ることができる。さらに、上記到達時から終了時までの時間、の70%の時点までに上記(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の95%以上を添加することが好ましく、最も好ましくは、60%の時点までに上記(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量を添加することが好ましい。
上記到達時とは、反応系に添加した単量体のポリマー転化率が1.0%に到達した時点をいう。ポリマー転化率が1.0%に到達した時点は、単量体成分、重合開始剤及び水が共存開始した時点(0点)から30分後に実測することから算出する。30分後に測定したポリマー転化率が1.0%を超えていなかったら、さらに30分経ってから測定し、ポリマー転化率が1.0%超えるまで30分毎に測定する。ポリマー転化率が1.0%を超えたら、1.0%を超えたデータと0点とを結んでポリマー転化率が1.0%となる時点を「到達時」とする。
ポリマー転化率は、反応槽内より採取した反応液を秤量し、150℃で1時間乾燥後、再度秤量して固形分量Cを測定して、次式より算出することができる。
ポリマー転化率(%)={[固形分量C(g)−反応液に含まれる単量体以外の固形分量(g)]/反応系に添加した単量体成分量(g)}×100
ポリマー転化率(%)={[固形分量C(g)−反応液に含まれる単量体以外の固形分量(g)]/反応系に添加した単量体成分量(g)}×100
なお、「到達時」は、予め求められたデータに基づき設定することができる。例えば、実施する乳化重合と同様の反応系を用意し、この反応系のポリマー転化率の推移に基づき予め到達時を求めておくことができる。
重合開始剤投入開始時の反応系に(c)成分の一部を含有させる場合、(c)成分の全量の10〜90質量%を含有させることが好ましく、15〜80質量%を含有させることがより好ましい。また、(c)成分は、到達時までに、(c)成分の全量を投入せず、到達時から終了時までの時間、の60%の時点までに、(c)成分の全量の80質量%以上を投入することが好ましい。
上記到達時までに、反応系に(c)シアン化ビニル単量体の全量を投入せず、到達時から投入時までの時間の60%の時点までに、(c)シアン化ビニル単量体の全量の80質量%以上を投入して乳化重合を行うことにより、得られる共重合体ラテックスは、乾燥時及び湿潤時のいずれにおいても十分な接着強度を発現できるとともに、塗工紙作成時の操業性も良好なものとなり、更に容易に低粘度化することが可能となる。上記到達時までに反応系に(c)シアン化ビニル単量体の全量を投入した場合、共重合体ラテックスをフィルムにした際の耐溶剤性が劣り、接着強度が低下する傾向がある。また、上記到達時から単量体成分の全量投入終了時までの時間、の60%の時点までに、(c)シアン化ビニル単量体の全量の80質量%以上を投入しなかった場合、ラテックス粘度の低減効果が著しく劣る傾向がある。
また、上記到達時から上記終了時までの時間、の60%の時点までに投入する(c)成分の量は、接着強度の向上及びラテックス粘度の低減の観点から、(c)成分の全量を基準として85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
重合開始剤投入開始時の反応系に(d)成分の一部を含有させる場合、(d)成分の全量の1〜45質量%を含有させることが好ましく、2〜30質量%を含有させることがより好ましい。
乳化剤及び重合開始剤は全量を重合開始剤投入開始時の反応系に含有させることが好ましい。
重合開始剤投入開始時の反応系は、例えば、耐圧性の重合反応容器に、純水、上述した各(a)〜(d)成分、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤、還元剤、その他の成分を所定量加え、例えば、傾斜翼、タービン翼及びマックスブレンド翼などにより撹拌することにより調製できる。
本実施形態においては、安全性に配慮した槽内圧力および生産性の観点から、上記反応系の温度(反応温度)を30〜100℃の範囲に設定することが好ましく、40〜85℃の範囲に設定することがより好ましい。この場合、上記の反応温度の範囲に開始温度を有する重合開始剤が用いられる。
反応系の温度は、例えば、外部加熱により0.25〜1.0℃/分で昇温することができる。
上記到達時以降の反応系に(a)〜(d)成分を添加する方法としては、例えば、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法、パワーフィード方法を採用することができる。反応系内の単量体をある一定濃度以下に抑制して安全性を向上する観点からは、連続添加方法(以下、連添という場合もある)を採用することが好ましい。更に、連添を複数回行ってもよい。
乳化重合の反応時間については、例えば、生産性の観点から、上記到達時から(a)〜(d)成分の全量投入終了時までの時間を1〜15時間とすることが好ましく、2〜10時間とすることがより好ましい。また、乳化重合は、(a)〜(d)成分のポリマー転化率が95%以上となるまで行うことが好ましく、97%以上となるまで行うことがより好ましい。
また、本実施形態においては、ポリマー転化率が95%を超えたことを確認して反応を終了させることが好ましい。ポリマー転化率は、固形分量から算出、又は重合槽を冷却した熱量から算出できる。こうして、共重体ラテックスが得られる。
共重合体ラテックスは、潤滑剤の分散安定性の観点から、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤により、pHが6.0以上に調整されていることが好ましく、6.5以上に調整されていることがより好ましく、7.0以上に調整されていることが更に好ましい。pHを比較的高くすることにより潤滑剤の分散安定性が向上する理由は定かではないが、(b)成分の解離度が向上することにより、潤滑剤の分散安定性が向上するものと推察される。共重合体ラテックスのpHの上限値は特に限定されないが、pHは9.0以下に調整されていることが好ましく、8.5以下に調整されていることがより好ましい。
また、共重合体ラテックスは、加熱減圧蒸留などの方法により、未反応単量体及び他の低沸点化合物が除去されていることが好ましい。
共重合体ラテックスの平均粒子径は、250nm以下であることが好ましく、180nm以下であることがより好ましく、160nm以下であることが更に好ましく、135nm以下であることが特に好ましく、125nm以下であることが極めて好ましい。また、共重合体ラテックスの平均粒子径は、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることが更に好ましい。共重合体ラテックスの平均粒子径が250nmを超えると、共重合体ラテックスのバインダーとしての性能が低下する傾向があると共に、塗工紙を作成した場合の粉落ちの増加、表面強度及び耐水強度の低下が生じやすくなる傾向がある。また、共重合体ラテックスの平均粒子径が30nm未満であると、共重合体ラテックスの分散安定性が低下する、または共重合体ラテックスの粘度が高くなる傾向がある。共重合体ラテックスの平均粒子径は、例えば、共重合体ラテックスを作製する際の水や乳化剤の量を変えることで調整することができる。共重合体ラテックスの平均粒子径は、JIS Z8826に準拠し、光子相関法による平均粒子径を動的光散乱法により測定することができる。
(分散剤)
本実施形態のラテックス組成物には、必要に応じて分散剤を配合してもよい。分散剤とは、一つの相に他の物質を微粒子状に安定に散在させる作用をする薬剤である。分散剤として具体的には、ポリカルボン酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等)などが挙げられる。これらの中でも、潤滑剤の分散安定性を良好にする観点から、ポリカルボン酸塩が好ましい。ポリカルボン酸塩としては、ポリアクリル酸塩が好ましい。ポリカルボン酸塩としては、例えば東亞合成株式会社製のアロン(登録商標)シリーズや、日本触媒株式会社製のアクアリック(登録商標)シリーズ、花王株式会社製のポイズ(登録商標)シリーズ等が挙げられる。分散剤を配合することにより、ラテックス組成物の粘度を低減することが可能である。しかし、分散剤を多量に配合した場合、ラテックス組成物と潤滑剤とを混合した際の潤滑剤の分散安定性が低下し、潤滑剤の凝集物が発生しやすくなる傾向がある。そのため、ラテックス組成物における分散剤の含有量は、共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して3.0質量部未満であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましく、1.8質量部以下であることが更に好ましい。分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のラテックス組成物には、必要に応じて分散剤を配合してもよい。分散剤とは、一つの相に他の物質を微粒子状に安定に散在させる作用をする薬剤である。分散剤として具体的には、ポリカルボン酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩等)などが挙げられる。これらの中でも、潤滑剤の分散安定性を良好にする観点から、ポリカルボン酸塩が好ましい。ポリカルボン酸塩としては、ポリアクリル酸塩が好ましい。ポリカルボン酸塩としては、例えば東亞合成株式会社製のアロン(登録商標)シリーズや、日本触媒株式会社製のアクアリック(登録商標)シリーズ、花王株式会社製のポイズ(登録商標)シリーズ等が挙げられる。分散剤を配合することにより、ラテックス組成物の粘度を低減することが可能である。しかし、分散剤を多量に配合した場合、ラテックス組成物と潤滑剤とを混合した際の潤滑剤の分散安定性が低下し、潤滑剤の凝集物が発生しやすくなる傾向がある。そのため、ラテックス組成物における分散剤の含有量は、共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して3.0質量部未満であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましく、1.8質量部以下であることが更に好ましい。分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散剤としてポリカルボン酸塩を用いる場合、その重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましく、1500〜80000であることがより好ましく、2000〜60000であることが更に好ましく、2000〜50000であることが特に好ましく、2000〜40000であることが極めて好ましく、2000〜20000であることが最も好ましい。ポリカルボン酸塩の重量平均分子量が1000未満であると、共重合体ラテックスへの減粘効果が小さい傾向があり、100000を超えると、共重合体ラテックスが増粘する傾向がある。ポリカルボン酸塩の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができる。
(その他の成分)
本実施形態のラテックス組成物には、必要に応じて、防腐剤、老化防止剤、印刷適性向上剤、界面活性剤などの機能性添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、種類及び使用量ともに適宜適量使用することができる。
本実施形態のラテックス組成物には、必要に応じて、防腐剤、老化防止剤、印刷適性向上剤、界面活性剤などの機能性添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、種類及び使用量ともに適宜適量使用することができる。
(分子量分布曲線)
本実施形態のラテックス組成物は、その水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値(dw/dLog(M))のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たすものである。
本実施形態のラテックス組成物は、その水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値(dw/dLog(M))のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たすものである。
ここで、ラテックス組成物の水相部の抽出方法は特に限定されないが、例えば、ラテックス粒子に溶剤を膨潤させて比重差をつけた状態で遠心分離し、ラテックス粒子層と上澄み層(ラテックス粒子に結合していないカルボキシル基成分を含んでもよい)とに分離して、上澄み層を採取する方法が挙げられる。次いで、取り出した上澄み液について、GPC測定を行うことができる。また、ラテックス粒子層と上澄み層とを分離する方法としては、上述した遠心分離のほか、限外ろ過、透析、超高速遠心分離機等を用いた方法が挙げられる。
GPC測定で得られたクロマトグラムから、分子量既知のポリカルボン酸5種類(Calibration Kits for GPC/SEC PAA−10(ポリアクリル酸:ピークトップ分子量(Mp)=1,250、2,925、7,500、16,000、62,900)、Agilent Technologies社製)を用いて作成した検量線により溶出時間を分子量に換算して、積分分子量分布曲線、及び、微分分子量分布曲線を得ることができる。また、ピーク全体のピークスタート及びピークエンドの検出時間と検出強度から直線の式を求め、分布曲線のベースラインとする。
本実施形態のラテックス組成物は、その水相部の上記微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在することが必要である。このピークを第1のピークとし、その微分分布値を第1のピーク値dW1とする。分子量2500未満に微分分布値のピークが複数存在した場合、最も大きなピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とする。第1のピークが存在する分子量の範囲は、潤滑剤の分散安定性をより向上できることから、500以上2500未満であることが好ましく、500以上2000以下であることがより好ましく、800以上1500以下であることが更に好ましい。
本実施形態のラテックス組成物は、その水相部の上記微分分子量分布曲線において、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、上記第1のピーク値dW1に対する上記第2のピーク値dW2のピーク比(dW2/dW1)が0.95以下であることが必要である。ここで、上記微分分子量分布曲線の分子量2500以上の範囲には、明確なピークが存在しなくてもよい。分子量2500以上の範囲に明確なピークが存在しない場合、及び、ピークが存在していてもその微分分布値が分子量2500以上の範囲内における微分分布値の最大値を取らない場合には、第2のピーク値dW2は分子量2500における微分分子量となる。
本実施形態のラテックス組成物の水相部の微分分子量分布は、多峰性の分子量分布を有することが好ましい。多峰性は、二峰性であってもよく、三峰性以上であってもよい。本明細書において多峰性であるとは、分子量2500未満に存在する上記第1のピークの他に少なくとも、第1のピークよりも分子量が高い又は低い成分を示す第2のピークが存在すること、又は、第1のピークに肩があることを意味する。ここで、上記第2のピーク又は上記肩は、分子量2500以上に存在することが好ましい。
また、本実施形態のラテックス組成物は、その水相部の分子量分布において、積分分布値が50%である時の分子量が、上記第1のピークの分子量よりも大きいことが好ましい。
上記ピーク比(dW2/dW1)の値は0.95以下であるが、潤滑剤の分散安定性を向上する観点から、0.93以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.80以下であることが特に好ましく、0.75以下であることが極めて好ましい。また、ラテックス組成物の低粘度化の観点から、上記ピーク比(dW2/dW1)の値は0.65以上であることが好ましく、0.67以上であることがより好ましい。
上記ピーク比(dW2/dW1)の値は、ラテックス組成物において、共重合体ラテックスの組成、合成方法、分子量及び平均粒子径等を調整すること、分散剤の種類及び添加量等を調整すること、他の添加剤(pH調整剤を含んでいてもよい)の種類及び添加量等を調整すること、などにより上記範囲内とすることができる。例えば、共重合体ラテックスの平均粒子径を小さくすることや、分散剤の添加量を小さくすることにより、上記ピーク比が小さくなる傾向があると共に、潤滑剤の分散安定性が向上する傾向がある。
本実施形態に係るラテックス組成物及び潤滑剤の分散安定性向上方法は、ラテックス組成物と潤滑剤とを混合した際の潤滑剤の分散安定性を向上させることができ、潤滑剤の凝集の発生を抑制することができる。そのため、このラテックス組成物及び潤滑剤の分散安定性向上方法を用いて紙塗工用組成物を調製することで、塗工紙作成時のバッキングロールやカレンダーロールの汚れを防ぎ、操業性の低下及び得られる塗工紙の外観不良の発生を抑制することができる。したがって、本実施形態に係るラテックス組成物及び潤滑剤の分散安定性向上方法は、特に塗工紙製品を製造するための紙塗工用組成物における潤滑剤の凝集を防ぐ、潤滑剤の分散安定化剤及び分散安定化方法として有用である。
また、本実施形態に係るラテックス組成物及び潤滑剤の分散安定性向上方法は、紙塗工用以外にも、潤滑剤と混合して用いる用途に好適に用いることができ、不織布などの繊維結合用、カーペットのバッキング用、電池用(例えば電極、セパレータ、耐熱保護層など)、塗料用、粘接着剤用などに有用である。
(潤滑剤)
本実施形態に係るラテックス組成物及び潤滑剤の分散安定性向上方法において、ラテックス組成物と混合される潤滑剤としては特に限定されないが、例えば、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩の水系分散体、ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス等のワックスエマルションが挙げられる。潤滑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るラテックス組成物及び潤滑剤の分散安定性向上方法において、ラテックス組成物と混合される潤滑剤としては特に限定されないが、例えば、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩の水系分散体、ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス等のワックスエマルションが挙げられる。潤滑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(紙塗工用組成物)
紙塗工用組成物は、例えば、本実施形態に係るラテックス組成物と、潤滑剤と、必要に応じて、顔料、他のバインダー、助剤などとを含むものが挙げられる。
紙塗工用組成物は、例えば、本実施形態に係るラテックス組成物と、潤滑剤と、必要に応じて、顔料、他のバインダー、助剤などとを含むものが挙げられる。
顔料としては、カオリンクレー、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイトなどの無機顔料、ポリスチレンラテックスなどの有機顔料を用いることができる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
他のバインダーとしては、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の変性澱粉、大豆蛋白、カゼイン等の天然バインダー、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性合成バインダー、ポリ酢酸ビニルラテックス、アクリル系ラテックス等の合成ラテックスなどが挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
助剤としては、消泡剤(ポリグリコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーンオイル等)、レベリング剤(ロート油、ジシアンジアミド、尿素等)、防腐剤、蛍光染料、カラー保水性向上剤(アルギン酸ナトリウム等)などが挙げられる。
紙塗工用組成物における共重合体ラテックスを含有するラテックス組成物の含有量は、顔料100質量部に対してラテックス組成物の固形分の含有量が1〜20質量部となることが好ましく、2〜15質量部となることがより好ましい。
紙塗工用組成物において、潤滑剤の固形分の含有量は、ラテックス組成物の固形分100質量部に対して、0.05〜300質量部であることが好ましく、0.1〜100質量部であることがより好ましい。ラテックス組成物に対する潤滑剤の含有量が上記範囲内であることで、潤滑剤の分散安定性の向上効果をより有効に得ることができる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特段の断りが無い限り、%や部は質量を基準とする。
<共重合体ラテックスの製造>
表1に示す材料を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合して反応を行い、共重合体ラテックスNo.1〜4を合成した。各共重合体ラテックスの具体的な合成手順を以下に示す。また、表1中の各成分及び記号は下記の化合物を示す。
表1に示す材料を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合して反応を行い、共重合体ラテックスNo.1〜4を合成した。各共重合体ラテックスの具体的な合成手順を以下に示す。また、表1中の各成分及び記号は下記の化合物を示す。
(a)成分:脂肪族共役ジエン系単量体
BDE:1,3−ブタジエン
(b)成分:エチレン系不飽和カルボン酸単量体
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
FA:フマル酸
(c)成分:シアン化ビニル単量体
ACN:アクリロニトリル
(d)成分:(a)〜(c)成分と共重合可能な単量体
STY:スチレン
(その他の成分)
CHX:シクロヘキセン
TDM:t−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)
乳化剤
E−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
KPS:過硫酸カリウム(重合開始剤)
NaHCO3:炭酸水素ナトリウム(電解質)
重合水:純水
pH調整剤:NaOH
BDE:1,3−ブタジエン
(b)成分:エチレン系不飽和カルボン酸単量体
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
FA:フマル酸
(c)成分:シアン化ビニル単量体
ACN:アクリロニトリル
(d)成分:(a)〜(c)成分と共重合可能な単量体
STY:スチレン
(その他の成分)
CHX:シクロヘキセン
TDM:t−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)
乳化剤
E−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
KPS:過硫酸カリウム(重合開始剤)
NaHCO3:炭酸水素ナトリウム(電解質)
重合水:純水
pH調整剤:NaOH
以下の各共重合体ラテックスの合成手順において、共重合体ラテックスのポリマー転化率は、反応器内より採取した反応液を秤量し、150℃で1時間乾燥後、再度秤量して固形分量Cを測定して、次式より算出した。
ポリマー転化率(%)={[固形分量C(g)−反応液に含まれる単量体以外の固形分量(g)]/反応系に添加した単量体成分量(g)}×100
ポリマー転化率(%)={[固形分量C(g)−反応液に含まれる単量体以外の固形分量(g)]/反応系に添加した単量体成分量(g)}×100
以下の各共重合体ラテックスの平均粒子径は、JIS Z8826に準拠し、光子相関法による平均粒子径を動的光散乱法により測定したものである。測定に際しては、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)を使用した。
(共重合体ラテックスNo.1〜3の作製)
表1に示す乳化剤、重合開始剤、炭酸水素ナトリウム、重合水を耐圧性の重合反応器に仕込み、十分に攪拌した後、表1に示す1段目の各単量体及びその他の成分を加えて反応器内温度が70℃となった時点から、表1に示す2段目の各単量体及びその他の成分を200分かけて連続的に添加した。2段目の各単量体及びその他の成分の添加終了後、ただちに表1に示す3段目の各単量体及びその他の成分を180分かけて連続的に添加した。その後、重合反応器内を80℃に昇温し、ポリマー転化率が95%を超えた時点で重合を終了した。次いで、得られた共重合体ラテックスについて、表1に示すpH調整剤でpHを調整し、共重合体ラテックスNo.1〜3を得た。共重合体ラテックスNo.1〜3の平均粒子径は表1に示す。
表1に示す乳化剤、重合開始剤、炭酸水素ナトリウム、重合水を耐圧性の重合反応器に仕込み、十分に攪拌した後、表1に示す1段目の各単量体及びその他の成分を加えて反応器内温度が70℃となった時点から、表1に示す2段目の各単量体及びその他の成分を200分かけて連続的に添加した。2段目の各単量体及びその他の成分の添加終了後、ただちに表1に示す3段目の各単量体及びその他の成分を180分かけて連続的に添加した。その後、重合反応器内を80℃に昇温し、ポリマー転化率が95%を超えた時点で重合を終了した。次いで、得られた共重合体ラテックスについて、表1に示すpH調整剤でpHを調整し、共重合体ラテックスNo.1〜3を得た。共重合体ラテックスNo.1〜3の平均粒子径は表1に示す。
(共重合体ラテックスNo.4の作製)
表1に示す乳化剤、重合開始剤、重合水を耐圧性の重合反応器に仕込み、十分に攪拌した後、表1に示す1段目の各単量体及びその他の成分を加えて反応器内温度が70℃となった時点から、表1に示す2段目の各単量体及びその他の成分を400分かけて連続的に添加した。その後、重合反応器内を80℃に昇温し、ポリマー転化率が95%を超えた時点で重合を終了した。次いで、得られた共重合体ラテックスについて、表1に示すpH調整剤でpHを調整し、共重合体ラテックスNo.4を得た。共重合体ラテックスNo.4の平均粒子径は表1に示す。
表1に示す乳化剤、重合開始剤、重合水を耐圧性の重合反応器に仕込み、十分に攪拌した後、表1に示す1段目の各単量体及びその他の成分を加えて反応器内温度が70℃となった時点から、表1に示す2段目の各単量体及びその他の成分を400分かけて連続的に添加した。その後、重合反応器内を80℃に昇温し、ポリマー転化率が95%を超えた時点で重合を終了した。次いで、得られた共重合体ラテックスについて、表1に示すpH調整剤でpHを調整し、共重合体ラテックスNo.4を得た。共重合体ラテックスNo.4の平均粒子径は表1に示す。
[実施例1〜5及び比較例1]
共重合体ラテックスに、場合により分散剤を添加し、十分に攪拌することで、実施例1〜5及び比較例1のラテックス組成物(ラテックス組成物の固形分49〜55質量%)を得た。表2に、各実施例及び各比較例で使用した共重合体ラテックスの種類、そのpH及び平均粒子径、並びに、分散剤の添加量(共重合体ラテックスの固形分100質量部に対する量)を示した。分散剤としては、T−50(ポリアクリル酸ナトリウム、東亞合成株式会社製、重量平均分子量:6000)を用いた。
共重合体ラテックスに、場合により分散剤を添加し、十分に攪拌することで、実施例1〜5及び比較例1のラテックス組成物(ラテックス組成物の固形分49〜55質量%)を得た。表2に、各実施例及び各比較例で使用した共重合体ラテックスの種類、そのpH及び平均粒子径、並びに、分散剤の添加量(共重合体ラテックスの固形分100質量部に対する量)を示した。分散剤としては、T−50(ポリアクリル酸ナトリウム、東亞合成株式会社製、重量平均分子量:6000)を用いた。
<微分分子量分布曲線の作成>
実施例及び比較例で得られたラテックス組成物を蒸留水で5質量%に希釈し、得られたラテックス組成物の希釈液100gに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50g、四塩化炭素を3g添加し、1時間攪拌した。その後、遠心分離装置にてラテックス粒子を遠心沈降させ、上澄み層とラテックス粒子層とに分離し、得られた上澄み層(ラテックス粒子に結合していないカルボキシル基成分を含む)を採取して真空凍結乾燥した。この真空凍結乾燥した試料0.05gを、10mLの50mM−Na2HPO4で希釈し、下記条件でGPC測定した。
実施例及び比較例で得られたラテックス組成物を蒸留水で5質量%に希釈し、得られたラテックス組成物の希釈液100gに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を50g、四塩化炭素を3g添加し、1時間攪拌した。その後、遠心分離装置にてラテックス粒子を遠心沈降させ、上澄み層とラテックス粒子層とに分離し、得られた上澄み層(ラテックス粒子に結合していないカルボキシル基成分を含む)を採取して真空凍結乾燥した。この真空凍結乾燥した試料0.05gを、10mLの50mM−Na2HPO4で希釈し、下記条件でGPC測定した。
(GPC条件)
検出器:RID−10A(株式会社島津製作所製)
カラム:SB−802.5HQとSB−803HQ(いずれも昭和電工株式会社製)を直列に連結
ガードカラム:SB−G(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:50mM−Na2HPO4水溶液
流速:0.4mL/分
試料量:100μL
検出器:RID−10A(株式会社島津製作所製)
カラム:SB−802.5HQとSB−803HQ(いずれも昭和電工株式会社製)を直列に連結
ガードカラム:SB−G(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:50mM−Na2HPO4水溶液
流速:0.4mL/分
試料量:100μL
得られたクロマトグラムから、あらかじめ分子量既知のポリカルボン酸5種類(Calibration Kits for GPC/SEC PAA−10(ポリアクリル酸:ピークトップ分子量(Mp)=1,250、2,925、7,500、16,000、62,900)、Agilent Technologies社製)を用いて作成した検量線により溶出時間を分子量に換算し、積分分子量分布曲線、及び、微分分子量分布曲線を作成した。実施例1、2、5及び比較例1のラテックス組成物の水相部の積分分子量分布曲線及び微分分子量分布曲線を、図1〜4にそれぞれ示す。得られた微分分子量分布曲線から、第1のピーク値dW1及び第2のピーク値dW2を求め、ピーク比(dW2/dW1)を算出した。結果を表2に示す。なお、実施例1及び5における微分分子量分布曲線では、分子量2500以上に、第1のピークの肩になる部分はあるものの、第2のピークは存在しなかったため、第2のピーク値dW2は分子量2500での微分分布値とした。また、実施例2及び比較例1における微分分子量分布曲線では、第2のピーク値dW2が得られる第2のピークが分子量2500以上に存在した。この第2のピークは、ラテックス組成物に添加した分散剤に由来するピークであると考えられる。また、共重合体ラテックスの平均粒子径を変化させると、微分分子量分布曲線のピークも変化する傾向がある。なお、実施例3及び4のラテックス組成物の水相部で得られた微分分子量分布曲線(図示せず)では、実施例1及び5と同様に、分子量2500以上に第1のピークの肩になる部分はあるものの、第2のピークは存在しなかったため、第2のピーク値dW2は分子量2500での微分分布値とした。
<潤滑剤分散安定性の評価>
潤滑剤を添加した際の潤滑剤の分散安定性を確認する試験として、実施例及び比較例で得られたラテックス組成物を固形分が38.0質量%になるように蒸留水で希釈した希釈液20gに、潤滑剤として市販のステアリン酸カルシウムの水系分散体(固形分54.2質量%)を0.8mL添加し、2分間静置させた後、スパチュラで1回/1秒の速さで6秒間かき混ぜた。その後、ラテックス組成物と潤滑剤との混合溶液全量を、黒ケント紙上に敷いたPETフィルム上に乗せ、凝集物の有無を観察した。その結果から、凝集物が全く無く、潤滑剤の分散安定性が極めて良好な状態である場合を「優良」、凝集物が少なく、潤滑剤の分散安定性が概ね良好な状態である場合を「良」、凝集物が多く、潤滑剤の分散安定性が劣る状態である場合を「不可」として、潤滑剤分散安定性を評価した。その結果を表2に示す。また、実施例1、2、4、5及び比較例1で得られたラテックス組成物と潤滑剤との混合溶液全量を黒ケント紙上に敷いたPETフィルム上に乗せた状態を撮影した写真を図5〜9に示す。図9中の「A」は凝集物を表す。なお、実施例3で得られたラテックス組成物と潤滑剤との混合溶液全量を黒ケント紙上に敷いたPETフィルム上に乗せた状態は、図7(実施例4)の状態とほぼ同等であった。
潤滑剤を添加した際の潤滑剤の分散安定性を確認する試験として、実施例及び比較例で得られたラテックス組成物を固形分が38.0質量%になるように蒸留水で希釈した希釈液20gに、潤滑剤として市販のステアリン酸カルシウムの水系分散体(固形分54.2質量%)を0.8mL添加し、2分間静置させた後、スパチュラで1回/1秒の速さで6秒間かき混ぜた。その後、ラテックス組成物と潤滑剤との混合溶液全量を、黒ケント紙上に敷いたPETフィルム上に乗せ、凝集物の有無を観察した。その結果から、凝集物が全く無く、潤滑剤の分散安定性が極めて良好な状態である場合を「優良」、凝集物が少なく、潤滑剤の分散安定性が概ね良好な状態である場合を「良」、凝集物が多く、潤滑剤の分散安定性が劣る状態である場合を「不可」として、潤滑剤分散安定性を評価した。その結果を表2に示す。また、実施例1、2、4、5及び比較例1で得られたラテックス組成物と潤滑剤との混合溶液全量を黒ケント紙上に敷いたPETフィルム上に乗せた状態を撮影した写真を図5〜9に示す。図9中の「A」は凝集物を表す。なお、実施例3で得られたラテックス組成物と潤滑剤との混合溶液全量を黒ケント紙上に敷いたPETフィルム上に乗せた状態は、図7(実施例4)の状態とほぼ同等であった。
表2に示した結果から明らかなように、本発明のラテックス組成物及び潤滑剤の分散安定性向上方法によれば、ラテックス組成物の水相部の微分分子量分布曲線におけるピーク比(dW2/dW1)が0.95以下であることにより、ラテックス組成物と潤滑剤との混合物中での潤滑剤の分散安定性を向上できることが確認された。
Claims (8)
- 共重合体ラテックスを含有するラテックス組成物と潤滑剤とを混合した混合物における前記潤滑剤の分散安定性を向上させる方法であって、
前記ラテックス組成物の水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たすように前記ラテックス組成物を調製する、潤滑剤の分散安定性向上方法。 - 前記共重合体ラテックスの平均粒子径を135nm以下とする、請求項1に記載の方法。
- 前記ラテックス組成物中の分散剤の含有量を、前記共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して2.0質量部以下とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記共重合体ラテックスのpHを6.0以上とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 共重合体ラテックスを含有するラテックス組成物と、潤滑剤と、を含む、紙塗工用組成物であって、
前記ラテックス組成物の水相部のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される微分分子量分布曲線において、分子量2500未満に微分分布値のピークが存在し、且つ、当該ピークの微分分布値を第1のピーク値dW1とし、分子量2500以上での微分分布値の最大値を第2のピーク値dW2とした場合に、(dW2/dW1)≦0.95の条件を満たす、紙塗工用組成物。 - 前記共重合体ラテックスの平均粒子径が135nm以下である、請求項5に記載の紙塗工用組成物。
- 前記ラテックス組成物中の分散剤の含有量が、前記共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して2.0質量部以下である、請求項5又は6に記載の紙塗工用組成物。
- 前記共重合体ラテックスのpHが6.0以上である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の紙塗工用組成物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017143609 | 2017-07-25 | ||
JP2017143609 | 2017-07-25 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6454435B1 true JP6454435B1 (ja) | 2019-01-16 |
JP2019026829A JP2019026829A (ja) | 2019-02-21 |
Family
ID=65020554
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018099484A Active JP6454435B1 (ja) | 2017-07-25 | 2018-05-24 | 潤滑剤の分散安定性向上方法及び紙塗工用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6454435B1 (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1112328A (ja) * | 1997-06-27 | 1999-01-19 | Asahi Chem Ind Co Ltd | カルボン酸オリゴマー、それを用いたラテックス組成物およびそれを用いた紙塗工組成物 |
JP2011195972A (ja) * | 2010-03-17 | 2011-10-06 | Nippon A&L Inc | 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 |
WO2011122595A1 (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-06 | Jsr株式会社 | 共重合体ラテックス並びにそれを含有する組成物およびその応用製品 |
JP2012140518A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Nippon A&L Inc | 共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 |
WO2012133002A1 (ja) * | 2011-03-31 | 2012-10-04 | 日本エイアンドエル株式会社 | 共重合体ラテックス |
JP2013032605A (ja) * | 2011-06-28 | 2013-02-14 | Nippon A&L Inc | カーテンコーター用紙塗工用組成物 |
-
2018
- 2018-05-24 JP JP2018099484A patent/JP6454435B1/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1112328A (ja) * | 1997-06-27 | 1999-01-19 | Asahi Chem Ind Co Ltd | カルボン酸オリゴマー、それを用いたラテックス組成物およびそれを用いた紙塗工組成物 |
JP2011195972A (ja) * | 2010-03-17 | 2011-10-06 | Nippon A&L Inc | 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 |
WO2011122595A1 (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-06 | Jsr株式会社 | 共重合体ラテックス並びにそれを含有する組成物およびその応用製品 |
JP2012140518A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Nippon A&L Inc | 共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 |
WO2012133002A1 (ja) * | 2011-03-31 | 2012-10-04 | 日本エイアンドエル株式会社 | 共重合体ラテックス |
JP2013032605A (ja) * | 2011-06-28 | 2013-02-14 | Nippon A&L Inc | カーテンコーター用紙塗工用組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019026829A (ja) | 2019-02-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5274924B2 (ja) | カーテンコーター用共重合体ラテックスおよびカーテンコーター用紙塗工用組成物 | |
JP2012188797A (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 | |
JP5993366B2 (ja) | 共重合体ラテックスの製造方法 | |
JP6454435B1 (ja) | 潤滑剤の分散安定性向上方法及び紙塗工用組成物 | |
JP5503205B2 (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 | |
JP2009091670A (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス | |
JP6605546B2 (ja) | 潤滑剤の分散安定化剤及び潤滑剤の分散安定性向上方法 | |
JP5242115B2 (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス | |
JP2008248446A (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス | |
JP5466044B2 (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 | |
JP2009068129A (ja) | 高炭酸カルシウム含有紙塗工用組成物 | |
JP7122351B2 (ja) | 共重合体ラテックスおよび組成物 | |
JP5602466B2 (ja) | 紙塗工用組成物及び塗工紙 | |
JP3106292B2 (ja) | 共重合体ラテックスの製造方法 | |
JP5721892B1 (ja) | 共重合体ラテックス及び該ラテックスを含有する紙塗工用組成物 | |
JP4117942B2 (ja) | 紙塗工用組成物 | |
JP2008297421A (ja) | 非球状型共重合体ラテックスおよびそれからなる紙塗工用共重合体ラテックス | |
JP5613316B1 (ja) | 共重合体ラテックス | |
JP2015042726A (ja) | 共重合体ラテックス | |
JP2012092485A (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物 | |
JP2013173921A (ja) | 共重合体ラテックス及び該共重合体ラテックスを含有する組成物 | |
JP5535460B2 (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックスおよび高炭酸カルシウム含有紙塗工用組成物 | |
JP3115837B2 (ja) | 共重合体ラテックスの製造方法 | |
JP2009013541A (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス。 | |
JP2009068130A (ja) | 高炭酸カルシウム含有紙塗工用組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181011 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20181127 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20181214 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6454435 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |