JP6448974B2 - 地熱タービンの蒸気室、これを備えた地熱タービン、および地熱タービンの蒸気供給方法 - Google Patents
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Description
この難点を補うべく、特許文献1,2に開示されているように、初段ノズル口が設けられている環状の蒸気室の内部を複数の隔壁で仕切り、容積の大きな1つのメイン蒸気室と、容積の小さな1つまたは複数のサブ蒸気室とを画成し、サブ蒸気室を個別に開閉可能にしたノズル調速式地熱タービンが知られている。
上述のようにタービンの出力低下が起きてサブ蒸気室が稼働した時には、不純物が堆積しているメイン蒸気室の初段ノズル口の開口面積は狭まっており、不純物が堆積していないサブ蒸気室の初段ノズル口の開口面積は大きい。
そして、このように開口面積が異なるメイン蒸気室とサブ蒸気室の初段ノズル口にそれぞれ同圧の蒸気が供給されるため、初段タービンに流入する蒸気の量(圧力)がサブ蒸気室の位置だけ大きくなる。言い換えれば、初段タービンの円周方向に沿って均一な蒸気供給ができなくなり、初段タービンの動翼列に金属疲労を招く繰り返し負荷が付与される懸念があった。
また、本発明のさらなる目的は、据付工事や配管工事を容易にするとともに、サブ蒸気室の設置による出力低下を回避し、併せてドレン水を抜く作業を簡略化することにある。
これにより、地熱タービンの定格出力の低下に伴ってサブ蒸気室を稼働させる際には、副蒸気配管に設けられた流量調整弁の開度を徐々に開いてゆくことにより、地熱タービンの運転を継続しながらサブ蒸気室への蒸気導入を行ってゆくことができるので、地熱タービンの運転を停止する必要が無くなり、運転性を向上させることができる。また、副蒸気配管からサブ蒸気室に流入する蒸気の量を、地熱タービンの運転状態に応じて適切に調整することができる。
これにより、サブ蒸気室の稼働時に、メイン蒸気室とサブ蒸気室の両方の初段ノズル口から初段タービンの円周方向に沿って均一に蒸気を供給可能にして初段タービンの動翼列への繰り返し負荷の発生を低減することができ、しかも据付工事や配管工事を容易にするとともに、サブ蒸気室の設置による出力低下を回避し、併せてドレン水を抜く作業を簡略化することができる。
このため、タービンの出力低下が起きてサブ蒸気室を稼働させる時には、不純物が堆積して開口面積が狭まっているメイン蒸気室の初段ノズル口から噴出する蒸気量と、不純物が堆積しておらず開口面積が大きいままのサブ蒸気室の初段ノズル口から噴出する蒸気量との差が少なくなり、初段タービンの円周方向に沿って均一に蒸気を供給して、初段タービンの動翼列への繰り返し負荷の発生を低減することができる。
図1は、本発明に係る蒸気室を適用可能な地熱タービンの一例を示す縦断面図であり、図2は図1のII−II線に沿う縦断面図である。
この地熱タービン1は、例えば発電プラントにおいて図示しない発電機を回転駆動するためのものであり、円錐台形状のタービンケーシング2の内部にタービンロータ3が軸支され、タービンケーシング2の一端に蒸気室ケーシング4が設置されている。
サブ蒸気室15の容積(挟み角θ×2倍の角度)が設定されている。本実施形態では、挟み角θは15°〜25°が好ましく、15°〜20°が更に好ましい。
図3において、この地熱タービン1は、メイン蒸気室14からタービンケーシング2に供給される地熱蒸気量だけで図3の縦軸に示す100%の定格出力が得られるようになっている。このため、運転開始(A点)から所定の運転時間、例えば12ヵ月が経過するまでは開閉弁20が閉じられた状態に保たれ、メイン蒸気室14からサブ蒸気室15に地熱蒸気が流れないようにして運転が行われる。
図4は、本発明の第2実施形態を示す蒸気室ケーシング4の縦断面図である。
この図中の構成において、図2に示す第1実施形態の構成と異なるのは、蒸気室21の蒸気室ケーシング4内にサブ蒸気室15を画成している隔壁111,112のうち、タービンロータ3(タービン軸6)の回転方向の進角側に位置する隔壁111が屈曲または湾曲成形されている点のみであり、その他の構成については図2の構成と同一であるため、各部に同一符号を付して説明を省略する。
なお、初段タービン7aの動翼形状や配置は、地熱タービン1の仕様に応じて異なり、必ずしも同じ設計にはならないが、隔壁111(112)に屈曲形状や挟み角θ1,θ2を設けることで適切に対応することができる。
図5は、本発明の第3実施形態を示す蒸気室ケーシング4の縦断面図である。
この図中の構成において、図2に示す第1実施形態の構成と異なるのは、メイン蒸気室14とサブ蒸気室15との間を接続する副蒸気配管19の中間部に、開閉弁20の代わりに流量調整弁22が設けられている点のみであり、その他の構成については図2の構成と同一であるため、各部に同一符号を付して説明を省略する。
3 タービンロータ
4 蒸気室ケーシング
7a 初段タービン
8a 初段ノズル口
11,12,111,112 隔壁
14 メイン蒸気室
15 サブ蒸気室
18 主蒸気配管
19 副蒸気配管
20 開閉弁(弁)
21 蒸気室
22 流量調整弁(弁)
C タービンロータの軸心線を通る鉛直中心線
O タービンロータの軸心線
θ サブ蒸気室の挟み角
Claims (8)
- タービンロータを囲む環状であり、その円周方向に沿って初段ノズル口が形成された蒸気室ケーシングと、
前記蒸気室ケーシングの内部を、メイン蒸気室と、該メイン蒸気室よりも容積の小さなサブ蒸気室とに区画する隔壁と、
前記メイン蒸気室に地熱蒸気を供給する主蒸気配管と、
前記メイン蒸気室と前記サブ蒸気室とを接続し、前記メイン蒸気室に供給された前記地熱蒸気の一部を前記サブ蒸気室に分配する副蒸気配管と、
前記副蒸気配管に設けられた弁と、
を備えていることを特徴とする地熱タービンの蒸気室。 - 前記隔壁は、前記タービンロータの軸方向視で、前記タービンロータの軸心線を通る鉛直中心線を基点に、前記タービンロータの回転方向と、逆方向とに、それぞれ軸心線を中心とする挟み角を形成するように前記蒸気室ケーシングの円周方向の所定位置に固定され、該隔壁は、前記挟み角が変化するように、その固定位置を前記蒸気室ケーシングの円周方向に変更可能である請求項1に記載の地熱タービンの蒸気室。
- 前記隔壁は、前記タービンロータに設けられた初段タービンの動翼列の翼形状に沿うように屈曲または湾曲成形されている請求項2に記載の地熱タービンの蒸気室。
- 前記サブ蒸気室は前記蒸気室ケーシングの鉛直最上部付近に設けられ、
前記副蒸気配管は、前記タービンロータの軸心線よりも鉛直方向で高い位置から前記メイン蒸気室より延出して前記サブ蒸気室に鉛直上方から繋がり、
前記弁は、前記副蒸気配管の鉛直最上部付近に設けられている請求項1から3のいずれかに記載の地熱タービンの蒸気室。 - 前記弁は、流量調整弁である請求項1から4のいずれかに記載の地熱タービンの蒸気室。
- 請求項1から5のいずれかに記載の地熱タービンの蒸気室を備えたことを特徴とする地熱タービン。
- タービンロータを囲む環状であり、その円周方向に沿って初段ノズル口が設けられた蒸気室ケーシングの内部を、メイン蒸気室と、該メイン蒸気室よりも容積の小さなサブ蒸気室とに区画し、前記サブ蒸気室には、前記メイン蒸気室に供給された地熱蒸気の一部を、前記メイン蒸気室と前記サブ蒸気室とを接続する蒸気配管を経て分配することを特徴とする地熱タービンの蒸気供給方法。
- 前記地熱タービンの運転開始時には、前記地熱蒸気を前記メイン蒸気室のみから前記タービンロータ側に供給し、運転開始から所定の運転時間が経過した時点、または前記地熱タービンの出力が所定量低下した時点で、前記メイン蒸気室に供給された前記地熱蒸気の一部を前記サブ蒸気室に分配することを特徴とする請求項7に記載の地熱タービンの蒸気供給方法。
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