以下、実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、共通する参照符号を付す。参照符号を構成する数字の後ろの“アルファベット”は、同じ数字を含んだ参照符号によって参照され且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために用いられている。同じ数字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素は、数字のみを含んだ参照符号により参照される。
図面は模式的なものである。各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、使用方法、構成部品等を下記のものに特定するものではない。
[1]第1実施形態
以下に、第1実施形態に係るデータロガー及びログシステムについて説明する。
[1−1]ログシステム1の構成
まず、図1を用いてログシステムの構成について説明する。図1にはログシステムのブロック図が示されている。図1に示すようにログシステム1は、データロガー10、及び発信機20を備えている。
データロガー10は、各種センサー及び記憶部を備え、所定の間隔でセンサーが検知した測定結果を記憶部に保存する。このデータロガー10は、例えば輸送対象の荷物に設置され、荷物の輸送時における振動や衝撃等を検知して記録する。これによりユーザーは、輸送された荷物が破損する等の影響を受けた場合に、輸送過程のどの時点で荷物に対して振動や衝撃等が加えられたのかを知ることが出来る。
発信機20は、データロガー10の設定情報等を含む無線信号を発信する。この無線信号を受信したデータロガー10は、センサーの感度や測定周期等の各種設定を変更する。この発信機20は、例えばデータロガー10が設置された荷物の輸送経路に少なくとも1つ設置される。発信機20を設置する場所としては、例えば荷物を運搬するトラック等の輸送手段や、荷物を保管する倉庫等が挙げられる。
以下に、データロガー10及び発信機20の構成についてそれぞれ説明する。
まず、図2を用いてデータロガー10の構成について説明する。図2にはデータロガー10のブロック図が示されている。図2に示すようにデータロガー10は、制御部11、無線通信部12、センサー部13、RTC(Real Time Clock)14、及び記憶部15を備えている。
制御部11は、データロガー10の全体を制御する。例えば制御部11は、センサー部13が検知した測定結果を記憶部15に保存させる。また制御部11は、無線通信部12やセンサー部13等、データロガー10の設定を変更することが可能である。この制御部11としては、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等が使用される。また制御部11は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されても良い。
無線通信部12は、データロガー10が外部と通信する手段として使用される。例えば無線通信部12は、発信機20から発信された無線信号を所定の間隔で受信する。ここで所定の間隔とは、連続で受信する場合と、一定の間隔で受信する場合と、ランダムの間隔で受信する場合とを含んでいる。このランダムの間隔は、例えば一定の間隔に対してランダム時間を加えることによって生成される。本実施形態は、無線通信部12が無線信号を一定の間隔で受信する場合を例に説明する。尚、無線通信部12による通信方式としては、例えば無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等が使用される。
センサー部13は、データロガー10が設置された荷物等の状態を検知する。例えばセンサー部13は、加速度センサー、温度センサー、湿度センサー、照度センサー、磁力センサー、気圧センサー、ジャイロスコープセンサー、近接センサー等のセンサーを少なくとも1つ備えている。またセンサー部13は、複数のセンサーを備えている場合、センサー毎に設定を変更したり、電源をオンオフしたりすることが可能である。
RTC14は、時間を測定するモジュールである。このRTC14は、例えば制御部11が時刻及び時間を把握・測定する手段として使用される。
記憶部15は、制御部11の作業領域及び各種情報の保存領域として使用され、例えばRAM(Random Access Memory)、NAND型フラッシュメモリ等の半導体記憶装置によって形成されている。図2に示すように記憶部15は、識別情報保存部、設定情報保存部、及び測定情報保存部を備えている。識別情報保存部及び設定情報保存部にはそれぞれ、データロガー10の1つ又は複数の識別情報IDlog及び設定情報SETlogが保存される。識別情報IDlogは、データロガー10を特定するための識別情報であり、設定情報SETlogは、データロガー10内部の各要素を動かすための設定値等を含む設定情報である。測定情報保存部には、センサー部13の測定結果が保存される。尚、記憶部15の備える各保存部にはそれぞれ、異なる半導体記憶装置を用いても良い。また測定情報保存部として、データロガー10に接続された外部の半導体記憶装置を使用することも可能である。この場合、データロガー10の記憶部15に測定情報保存部が設けられなくても良い。
尚、データロガー10の設定情報には、例えば制御部11の動作モード、無線通信部12の動作モード、センサー部13の動作モード、記憶部15に保存するデータの形式並びに内容、及びデータロガー10を動作開始又は終了させる制御情報等のうち少なくとも一つが含まれている。この無線通信部12の動作モードは、例えば無線信号を受信する間隔等を指示する。このセンサー部13の動作モードは、例えば測定方法、感度(閾値)、間欠動作の時間設定、連続動作の時間設定、及び1つ又は複数の低消費電力モードの設定等を指示する。この低消費電力モードとは、センサーが消費電力を抑制することが可能な設定で動作するモードである。例えば、低消費電力モードにおいてセンサーは、サンプリングレート、デューティ比等を下げて測定をする。これによりセンサーは、測定精度がある程度犠牲になるが、消費電力を抑制することが出来る。
次に、図3を用いて発信機20の構成について説明する。図3には発信機20のブロック図が示されている。図3に示すように発信機20は、制御部21、無線通信部22、及び記憶部23を備えている。
制御部21は、発信機20全体の動作を制御する。例えば制御部21は、記憶部23に保存された設定情報IDtrans及び識別情報SETtransを、無線通信部22を介して外部に発信させる。識別情報IDtransは、設定情報SETtransを適用するデータロガー10を区別するための識別情報である。設定情報SETtransは、データロガー10の各種設定値等を含む設定情報であり、また、発信機20の現在周辺環境を示す属性情報も含んでいる。この制御部21の構成は、例えば制御部11と同様である。
無線通信部22は、発信機20が外部と通信する手段として使用される。例えば無線通信部22は、前述した無線信号を連続的に発信する。この無線通信部22の構成は、例えば無線通信部12と同様である。
記憶部23は、識別情報保存部及び設定情報保存部を備えている。この識別情報保存部及び設定情報保存部にはそれぞれ、識別情報IDtransと、設定情報SETtransとが保存される。この記憶部23の構成は、例えば記憶部15と同様である。
尚、記憶部23は、識別情報IDtrans及び設定情報SETtransを複数有していても良い。例えば、制御部21は、各識別情報IDtransに対してそれぞれ異なる設定情報SETtransを対応付けて、複数のデータロガー10に対してそれぞれ異なる設定情報SETtransを配信するようにしても良い。
[1−2]ログシステム1の動作
次に、図4及び図5を用いてログシステム1の動作について説明する。図4には、ログシステム1を使用する具体例として、(A)輸送対象の荷物30に設置されたデータロガー10が記録を開始し、(B)荷物30が発信機20圏内に移動し、(C)荷物30が発信機20の圏外に移動する過程が示されている。図5には、図4に示す具体例におけるログシステム1の動作フローチャートが示されている。以下に、この詳細について説明する。
まず、図4の(A)に示す過程について説明する。荷物30に設置されたデータロガー10は、電源がオンされると初期設定を開始し、図5に示すようにまず初期設定をロードする(ステップS10)。この初期設定は、記憶部15に保存された設定情報SETlogに基づいて実行される。具体的には、制御部11が記憶部15から各種設定情報を読み出し、例えば無線通信部12が無線信号を受信する間隔、及びセンサー部13の測定感度等が設定される。そしてデータロガー10は、センサー部13及びRTC14を制御して記録を開始する(ステップS11)。具体的には、制御部11は、センサー部13が検知した測定結果と、RTC14の時刻情報を対応付けて記憶部15に保存する。このとき無線通信部12は、発信機20からの無線信号を待ち受ける状態に遷移している。
次に、図4の(B)に示す過程について説明する。発信機20は電源がオンされると初期設定を開始し、図5に示すようにまず識別情報IDtransをロードして(ステップS20)、続けて設定情報SETtransをロードする(ステップS21)。具体的には、制御部21が記憶部23から識別情報IDtrans及び設定情報SETtransを読み出す。そして制御部21は、無線通信部22にこの識別情報IDtrans及び設定情報SETtransを含む無線信号を発信させる(ステップS22)。
そして、荷物30が発信機20の圏内に移動すると(ステップS12)、データロガー10の無線通信部12は、発信機20の無線信号を受信する(ステップS13)。すると無線通信部12は、制御部11に無線信号の受信を通知する。この通知を受けた制御部11は、発信機20から送信された識別情報IDtransと、データロガー10の記憶部15に保存された識別情報IDlogとを照合する(ステップS14)。
識別情報が不一致の場合、データロガー10はそのままの設定で記録を続行する。一方、識別情報が一致した場合、続けて制御部11は無線信号に含まれた設定情報SETtransを確認する(ステップS15)。具体的には、制御部11は、この設定情報SETtransに含まれた属性情報を参照して、設定情報SETtransを記憶部15に保存する必要があるかどうかを判断する。
設定情報が保存不要と判断された場合、データロガー10はそのままの設定で記録を続行する。一方、設定情報が保存必要と判断された場合、制御部11はこの設定情報SETtransを記憶部15に保存する(ステップS16)。そして制御部11は、この設定情報SETtransに基づいてデータロガー10内部の設定を変更する(ステップS17)。するとデータロガー10は、変更された設定で記録を再開する。
次に、図4の(C)に示す過程について説明する。荷物30が発信機20の圏外に移動すると(ステップS18)、無線通信部12は発信機20からの無線信号を受信できなくなる。このときデータロガー10は、変更された設定のまま記録を継続する。そして荷物30が発信機20の圏外に移動してから所定の時間が経過すると、データロガー10は、センサー部13等の設定をステップS10で設定された初期設定に戻す(ステップS19)。つまり、設定情報SETtransを含む無線信号を所定の時間で受信出来なかった場合、データロガー10は初期設定に戻して記録を再開する。
以上のように、データロガー10は発信機20からの無線信号を受信すると、制御部11が受信した設定情報を適用するかどうかを判断する。つまりデータロガー10は、発信機20と組み合わせることで、人の操作を介することなく各種設定を変更する。
上記データロガー10が記録したデータについて、図6を用いて説明する。図6はデータロガー10が記録したデータシートの一例であり、カウント、日付、時刻、及び2つのセンサー(第1センサー及び第2センサー)の測定結果が示されている。
図6に示す例では、データロガー10の記録開始後のデータと、設定変更後のデータとで、測定周期、第1センサーの感度、及び第2センサーの状態が変更されている。具体的には、測定周期が10秒毎から1分毎に変更され、第1センサーの測定結果が感度変更に伴い小数点以下3桁から小数点以下2桁に変更され、第2センサーが設定変更によりオンからオフに変更されている。
このように、データロガー10が記録するデータは、記録途中で設定が変更された場合、設定変更前後でデータの有効桁数やデータの測定周期(測定間隔)等が変化する。またデータロガー10は、データシート上に設定が変更された時刻及びその設定内容を記録するようにしても良い。
[1−3]第1実施形態の効果
次に、第1実施形態の効果について説明する。第1実施形態に係るログシステム1によれば、データロガー10が記録するデータの信頼性を向上することが出来る。また、データロガー10の消費電力を抑制することが出来る。また、データロガー10が記録するデータ量を削減することが出来る。以下に、この効果の詳細について説明する。
データロガーを荷物の輸送環境を記録する手段として利用する場合、データロガーにおけるセンサーや記録頻度等の設定は、固定の設定又は輸送開始時に設定され、輸送の開始から終了まで一定となる。しかし、荷物の輸送環境は自動車、鉄道、船、及び飛行機等でそれぞれ異なる。その為、事前に荷物の運輸環境を予測して、全ての状況に対して最適な設定をデータロガーに適用することは難しい。例えば、自動車で輸送する際に走行中の路面の振動や加減速のノイズが大量に記録されたり、コンテナ等の暗所に保管される際に光強度情報を記録し続けたりする。その結果データロガーは、価値の低いデータが記録され、余計な保存領域が使用される。また、測定の必要の無いセンサーを動作させることにより、余計な電力を消費する。
そこで、本実施形態に係るログシステム1は、外部から受けた無線信号によって設定を変更可能なデータロガー10と、データロガー10の設定情報を含む無線信号を発信する発信機20とを備えている。具体的には、輸送経路に設置された発信機20が輸送環境毎に最適なデータロガー10の設定を発信することによって、データロガー10が動的に内部の設定を変更する。つまりデータロガー10は、人の操作を介すること無く、輸送環境毎に各センサーの感度設定やオンオフ状態等を最適化することが出来る。
このログシステム1の運用例について、図7を用いて説明する。図7には、ログシステム1を運用する具体例として、データロガー10が設置された荷物30が(A)トラックで輸送される場合、(B)船で輸送される場合、及び(C)倉庫に保管される場合が示されている。この場合データロガー10は、トラック、船、及び倉庫にそれぞれ設置された発信機20A、20B、及び20Cからの無線信号を受けて、以下のような設定にされる。
トラックで輸送される場合、荷物30は運転時に路面からの小さな振動を受けることが考えられる。そこでデータロガー10は、加速度センサーの採集閾値を高めに設定する。つまり、加速度センサーを路面からの振動を記録しないような閾値に設定することにより、運転時に発生する路面からの小さな振動を無視する。このように、実質的にノイズ成分となる小さな振動を無視することで、データロガー10は、荷物30に対して影響が大きい、トラックの急加速や急ブレーキを効果的に検出出来る。
船で輸送される場合、荷物30は暗所のコンテナ内に長時間置かれることが考えられる。そこでデータロガー10は、無線で通信する頻度を減らし、且つライトセンサーの電源をオフにする。つまり、無線通信の頻度を減らし且つこの輸送環境において価値の低いライトセンサーの電源をオフすることで、データロガー10は消費電力を抑制することが出来る。
倉庫に保管される場合、荷物30は人の手によって仕分け等の作業がされることが考えられる。そこでデータロガー10は、加速度センサーの感度及び記録頻度を高く設定する。つまり、荷物30の状態を細かく記録することで、荷物30が落とされる又は衝撃が加えられる等の影響を受けた瞬間を検出し易くなる。また、保管した倉庫が営業時間か否かによって、倉庫に設置された発信機20Cが発信する設定情報を変更しても良い。この場合、例えば営業時間内にはセンサーの感度及び記録頻度を高く設定し、営業時間外には無線通信の頻度やセンサーの記録頻度を下げる。これによりデータロガー10は、データ量を削減し、且つ消費電力を抑制することが出来る。
以上のように、本実施形態に係るログシステム1におけるデータロガー10は、輸送環境毎に設置された発信機20から最適な設定情報を受信する。そしてデータロガー10は受信した設定情報に基づいて一時的にセンサー部13等の設定を変更する。これにより、データロガー10は、記録したデータに含まれるノイズを環境毎に低減することが出来、記録するデータの信頼性を向上することが出来る。
また、データロガー10は、センサー部13等の電源を環境毎にオンオフしたり記録動作の実行頻度を減らしたりすることによって、消費電力を抑制することが出来る。これによりデータロガー10は、記録するデータ量が削減されるため、データの保存領域を節約することが出来る。
また、ログシステム1においてデータロガー10は、発信機20によって、人の操作を介すること無く設定を変更することが可能となる。これにより、人の手によって設定を変更する場合と比べて、誤った設定が適用されるリスクを低減することが出来る。
尚、本項目において説明した運用例はあくまで一例であり、環境毎の最適設定は、輸送する荷物や環境等によって様々な設定を適用することが考えられる。
[2]第2実施形態
次に、第2実施形態に係るデータロガー及びログシステムについて説明する。第2実施形態は、上記第1実施形態において、データロガーが発信機から受信した設定情報を初期設定情報に上書きするものである。以下に、第1実施形態と異なる点を説明する。
[2−1]ログシステム1の動作
まず、図8を用いてログシステム1の動作について説明する。図8には、図4で説明した具体例に対応する、ログシステム1の動作フローチャートが示されている。第2実施形態に係るログシステム1の動作は、第1実施形態で説明した図5において、データロガー10が発信機20から受信した設定信号SETtransを確認するステップS15以降の動作が異なる。
ステップS15において、発信機20から受信した設定情報SETtransが保存必要と判断された場合、制御部11はこの設定情報SETtransを記憶部15に保存された初期設定(設定情報SETlog)に対して上書き保存する(ステップS30)。そして制御部11は、この設定情報に基づいてデータロガー10の設定を変更する(ステップS31)。するとデータロガー10は、変更された設定で記録を再開する。
荷物30が発信機20の圏外に移動すると(ステップS32)、無線通信部12は発信機20からの無線信号を受信できなくなる。このときデータロガー10は、初期設定が発信機20から受けた設定情報に変更されているため、そのままの設定で記録を継続する。
[2−2]第2実施形態の効果
次に、第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態に係るログシステム1によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが出来、さらにデータロガー10の初期設定作業が簡便になる。以下に、この詳細について説明する。
複数の荷物の輸送環境を記録する場合、各荷物に対してそれぞれデータロガーが設置される。例えば、国際運輸環境を測定するデータロガーは、国によって異なる初期設定を使用することがあるため、複数のデータロガー10に対して個別に初期設定を行う必要がある。このような場合、データロガーの設定更新時の作業量が多くなってしまう。
そこで、本実施形態に係るログシステム1においてデータロガー10は、発信機20から受けた設定情報を初期設定に対して上書き保存する。これにより、大量にあるデータロガー10に対して一斉に初期設定を更新することが出来、設定更新時の作業量を軽減することが出来る。このように、本実施形態のデータロガー10は、運用する際のメンテナンス性が向上する。
尚、発信機20が発信する設定情報に対して、データロガー10が受信した設定情報を初期設定に対して上書き保存するか、初期設定とは別に保存するかを指示する判別情報を追加しても良い。例えば、設定情報を受信した際に制御部11がこの判別情報を確認することによって、第1及び第2実施形態を同時に運用することが出来る。
[3]第3実施形態
次に、第3実施形態に係るデータロガー及びログシステムについて説明する。第3実施形態は、上記第1及び第2実施形態において、データロガーが発信機から予約情報を受信する。そしてデータロガーは、この予約情報に基づいて内部の設定を変更する。以下に、第1及び第2実施形態と異なる点を説明する。
[3−1]ログシステム1の動作
まず、図9及び図10を用いてログシステム1の動作について説明する。図9には、ログシステム1を使用する具体例として、(A)空港で空輸予定の荷物が発信機20の予約情報を受信し、(B)荷物30が飛行機で輸送される過程が示されている。図10には、図9で説明した具体例に対応する、ログシステム1の動作フローチャートが示されている。第2実施形態に係るログシステム1の動作は、第1実施形態で説明した図5において、発信機20が発信する情報と、受信した情報に基づいたデータロガー10の動作が異なる。以下に、この詳細について説明する。
まず、図9の(A)に示す過程について説明する。本実施形態において発信機20は、予約情報を含む無線信号を発信する。この予約情報は、例えば対象の荷物30を空輸する予定の便に対応して設定され、設定情報SETtransを適用する時刻及び時間が示されている。
そして、荷物30が発信機20の圏内に移動すると(ステップS12)、データロガー10の無線通信部12は、予約情報を含む無線信号を受信する(ステップS40)。ここで、データロガー10の制御部11がこの無線信号を確認する動作(ステップS14及びS15)は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
ステップS15において、発信機20から受信した設定情報SETtransが保存必要と判断された場合、制御部11はこの設定情報SETtransを記憶部15に保存する(ステップS41)。そして制御部11は、予約情報に基づいてデータロガー10の設定変更予約をする(ステップS42)。ここでデータロガー10は、この設定変更予約が実行されるまで、そのままの設定で記録を継続する。
次に、図9の(B)に示す過程について説明する。荷物30が発信機20の圏外に移動すると(ステップS43)、無線通信部12は発信機20からの無線信号を受信できなくなる。そして荷物30が飛行機に積載されて飛行時刻が近くなると、データロガー10は、先程の設定変更予約に基づいてデータロガー10内部の設定を変更する(ステップS44)。具体的には、RTC14の示す時刻と予約情報の指示する時刻が一致したら、制御部11は例えば無線通信部12の電源をオフにして、センサー部13の閾値設定を飛行機に最適化したものにする。これによりデータロガー10は、空輸中に無線通信を切った状態で、センサー部13の測定結果を記録することが出来る。
[3−2]第3実施形態の効果
次に、第3実施形態の効果について説明する。第3実施形態に係るログシステム1によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが出来、さらに発信機20の圏外であっても、所望の時刻にデータロガー10を最適な設定に変更することが出来る。以下に、この効果の詳細について説明する。
例えば荷物を空輸する場合、この荷物に設置されたデータロガーは、航空法に対応するために、飛行機に積載されている間の無線通信をオフにする必要がある。このような場合、荷物を飛行機に積載する前にデータロガーの設定を変更しなければならず、積載時の作業量が多くなってしまう。
そこで、本実施形態に係るログシステム1は、発信機20が設定情報とこれに関連付けられた予約情報を発信し、これらの情報を受信したデータロガー10が設定変更予約をする。具体的には、データロガー10の制御部11は、無線通信部12が受信した設定情報を記憶部15に一時的に保存し、予約情報に基づいて設定変更予約をする。そして制御部11は、RTC14の示す時刻とこの設定変更予約とに基づいて、発信機20から受信した設定情報をデータロガー10内部に適用する。
例えば、データロガー10を設置した荷物30が空輸される場合、空港に設置された発信機20は、荷物30が空輸される予定の便の飛行時刻及び飛行時間に対応した予約情報をデータロガー10に送信する。するとデータロガー10は、飛行時刻前までは初期設定又はその他の発信機20によって変更された設定で動作する。そして予約飛行時刻になると、データロガー10は、保存された飛行用の設定に切り替える。
これにより、飛行中はデータロガー10が無線通信を停止し、センサー部13の設定を航空向けにして記録することが出来る。またデータロガー10は、飛行終了時刻になったら設定変更予約を終了し、飛行用の設定から初期設定等に戻すようにしても良い。
尚、本項目において説明した運用例はあくまで一例であり、本実施形態の活用手段は飛行機に限定されない。予約情報は、輸送する荷物や環境等による様々な条件下で活用することが可能である。
[4]第4実施形態
次に、第4実施形態に係るデータロガー及びログシステムについて説明する。第4実施形態は、上記第1〜第3実施形態において、データロガーが複数の発信機から無線信号を受信した場合の動作である。以下に、第1〜第3実施形態と異なる点を説明する。
[4−1]ログシステム1の動作
まず、図11及び図12を用いてログシステム1の動作について説明する。図11には、ログシステム1を使用する具体例として、(A)発信機の設置されたトラックによって荷物が輸送され、(B)発信機の設置された車庫にそのトラックが入る過程が示されている。図12には、図11で説明した具体例に対応する、ログシステム1の動作フローチャートが示されている。以下に、この詳細について説明する。
まず、図11の(A)に示す過程について説明する。荷物30に設置されたデータロガー10は、第1実施形態と同様の方法で記録を開始する(ステップS10及びS11)。また、トラックに設置された第1発信機20Aは、第1実施形態と同様の手順で発信を開始する(ステップS20A〜S22A)。そして荷物30がトラックに積載され、データロガー10が発信機20Aの圏内に移動すると(ステップS50)、データロガー10は第1発信機20Aの発信する第1識別情報及び第1設定情報を受信する(ステップS51)。するとデータロガー10は、第1実施形態と同様の手順で動作する。その結果、第1設定情報は記憶部15に保存され(ステップS52)、データロガー10内部の設定は第1設定情報に変更される(ステップS53)。
次に、図11の(B)に示す過程について説明する。車庫に設置された第2発信機20Bは、第1実施形態と同様の手順で発信を開始する(ステップS20B〜S22B)。そして荷物30を積載したトラックが第2発信機20Bの圏内に移動すると(ステップS54)、データロガー10は第2発信機20Bの発信する第2識別情報及び第2設定情報を受信する(ステップS55)。するとデータロガー10は、第1実施形態と同様の方法で第2識別情報を照合し(ステップS56)、続けて第2設定情報を確認する(ステップS57)。
ステップS57において第2設定情報が保存必要と判断された場合、制御部11はこの第2設定情報を記憶部15に保存する(ステップS58)。このとき記憶部15には、第1及び第2設定情報が保存されている。すると制御部11は、第1及び第2設定情報にそれぞれ含まれている優先順位情報を確認する(ステップS59)。
ステップS59において第1設定情報の優先順位よりも第2設定情報の優先順位の方が低い場合、データロガー10内部の設定は第1設定情報から変更されない。一方、第1設定情報の優先順位よりも第2設定情報の優先順位の方が高い場合、データロガー10は、内部の設定を第2設定情報に変更して(ステップS60)、記録を再開する。
以上のように、データロガー10は、一定時間内に複数の発信機20から無線信号を受信した場合、受信及び保存された複数の設定情報に含まれた優先順位情報を参照する。これにより、データロガー10は適切な設定情報を選択することが出来る。
尚、以上の説明は、データロガー10が2つの発信機20からの無線信号を受信する場合の動作について説明したが、これに限定されない。例えば、3つ以上の発信機20からの無線信号を受けた場合においても、受信した複数の設定情報を記憶部15に一時的に保存し、優先順位情報を参照することによって適切な設定情報を選択することが出来る。
また、適切な設定情報を判断する手段としては、上述した優先順位情報に限定されない。例えば、優先順位情報の替わりに、無線信号を受信した際における電波の強度情報を使用しても良い。この場合、例えば電波強度の高い無線信号の設定情報が選択される。
[4−2]第4実施形態の効果
次に、第4実施形態の効果について説明する。第4実施形態に係るログシステム1によれば、第1〜第3実施形態と同様の効果を得ることが出来る。さらにデータロガー10は、複数の発信機20から無線信号を受信した際に、最適な設定情報を選択することが出来る。以下に、この効果の詳細について説明する。
例えば、倉庫内でデータロガーが設置された貨物をトラックに積載する際には、データロガーの周辺に複数の発信機がある場合がある。この場合データロガーは、複数の発信機のどれが最適な設定情報に対応するのかを判別することが出来ない。
そこで、第4実施形態に係るログシステム1は、発信機20に優先順位情報を付加した設定情報を発信させる。そしてデータロガー10は、複数の発信機20から無線信号を受信し、複数の設定情報が記憶部15に保存された場合にこの優先順位情報を参照する。これによりデータロガー10は、どの設定情報が最適な設定情報に対応するのかを判別することが出来、最適な設定情報をデータロガー10内部に設定することが出来る。
[5]第5実施形態
次に、第5実施形態に係るデータロガー及びログシステムについて説明する。第5実施形態は、上記第1〜第4実施形態において、データロガーが記録する情報に識別情報を含むものである。以下に、第1〜第4実施形態と異なる点を説明する。
[5−1]データシートの構成
まず、図13を用いてログシステム1においてデータロガー10が記録したデータについて説明する。図13はデータロガー10が記録したデータシートの一例であり、カウント、日付、時刻、センサーの測定結果、及び識別情報が示されている。
第5実施形態において、発信機20の記憶部23に保存された識別情報は、発信機20の共通する特徴を示す属性情報を含んでいる。この属性情報は、例えば倉庫、トラック、船等に対応する場所又は輸送手段を示す情報である。また属性情報としては、発信機20の個体を特定できるユニークな情報を用いても良い。このような属性情報としては、例えば発信機20の管理番号や、発信機20のアドレス番号等の情報が挙げられる。
データロガー10が設定情報を受信すると、制御部11は発信機20から受信した識別情報を記憶部15に保存する。そしてデータロガー10は、記録するデータに対して、この識別情報から抽出した発信機20の属性情報を関連付けて、記憶部15に保存する。
図13に示す例は、第1実施形態において図6で説明したデータシートに対して、第2センサーの情報を識別情報に置き換えたものと同様である。図13に示すように、データロガー10の記録開始後のデータと、設定変更後のデータとで、異なる識別情報が記録されている。具体的には、識別情報が“トラック”から“倉庫”に変わっている。つまり図13に示す設定変更の前後で、荷物の輸送環境がトラックから倉庫に変わり、データロガー10はそれぞれに最適な設定情報に変更されたことが示されている。
尚、データロガー10が発信機20の識別情報を記録する場合、図13に示すように全ての測定結果と識別情報とを関連付けてデータシートを作成しなくても良い。例えばデータシート上に識別情報の項目を設けずに、設定が変更された時刻及び対応する識別情報のみを別に記録するようにしても良い。
[5−2]第5実施形態の効果
次に、第5実施形態の効果について説明する。第5実施形態に係るログシステム1によれば、第1〜第4実施形態と同様の効果を得ることが出来る。さらにデータロガー10は、記録時の設定内容を後で調べることが可能となる。以下に、この効果の詳細について説明する。
データロガーは、記録の途中で内部の設定が変更されると、記録されたデータから記録時の設定内容を読み取ることが出来ない。
そこで、第5実施形態に係るログシステム1においてデータロガー10は、発信機20の識別情報を記憶部15に保存する。そしてデータロガー10は、測定結果を記録する際に発信機20の識別情報を関連付ける。これにより、ユーザーは記録時の設定内容を後で調べることが出来るようになる。例えば、データロガー10が測定時に使用したセンサーの種類や、各センサーの設定等を知ることが出来る。
また、記録された発信機20の識別情報と、その識別情報の受信時刻とを確認することによって、データロガー10が設置された荷物の移動経路を後で判別及び証明することが出来る。例えば、激しい加速度を測定した記録が残された場合、その記録がなされた記録時刻の識別情報を確認する。これにより、例えば識別情報がトラックと示した場合、トラック移動時において発生した加速度と推定することができる。
[6]変形例等
上記実施形態に係るデータロガー≪10、図1≫は、センサー≪13、図2≫と、無線通信部≪12、図2≫と、制御部≪11、図2≫と、を備える。センサーは、検知したデータが記憶部≪15、図2≫に記録される。無線通信部は、第1期間毎に定期的に、無線信号を受信する。制御部は、無線信号に基づいてセンサーの感度、センサーの測定間隔、センサーの電源のオンオフ状態、及びセンサーの1つ又は複数の低消費電力モードの設定のうち少なくとも1つの設定を変更する。制御部は、受信した無線信号に含まれた第1識別信号≪IDtrans、図3≫と、記憶部に保存された第2識別情報≪IDlog、図3≫とに基づいて、第1の場合≪一致、図5≫センサーの設定を変更し、第2の場合≪不一致、図5≫センサーの設定を変更しない。
また、上記実施形態に係るログシステム≪1、図1≫は、上記のデータロガーと、発信機≪20、図1≫と、を備える。
これにより、記録するデータの信頼性を向上することが可能なデータロガー及びログシステムを提供することが出来る。
尚、実施形態は上記第1〜第5実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば上記実施形態について、データロガー10を設置した荷物の輸送環境を記録する場合を例に説明したが、用途はこれに限定されない。例えば、データロガー10を用いて人や物の活動状況等を記録しても良い。このような場合においても、データロガー10は環境毎に最適化された設定で記録することが出来るため、上記実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
また、上記実施形態において、データロガー10の記憶部15は、プリセットされた幾つかの設定情報を保持していても良い。この場合データロガー10の制御部11は、発信機20の識別信号に基づいてデータロガー10内部の設定を選択及び適用する。また、発信機20がこのプリセットされた設定情報に対応する情報を出力することによって、データロガー10の制御部11が適用する設定情報を選択するようにしても良い。これにより、発信機20が発信する情報量を削減することが出来る。
また、上記実施形態において、発信機20が例えば測位衛星からの電波を補足して現在位置を知る手段を備え、発信する無線信号に現在位置情報を含めるようにしても良い。この場合データロガー10は、発信機20からの現在位置情報とセンサーが検知した測定結果を対応付けて記録する。これにより、データロガー10の記録結果を解析することによって、事象が発生した所在地を判別することが可能になる。
また、上記実施形態において、制御部11が発信機20から送信された識別情報IDtransと、データロガー10の記憶部15に保存された識別情報IDlogとを照合する際の判定条件は、一致又は不一致で判定する直接一致判定に限定されない。例えば、識別情報として、暗号化された識別情報を使用しても良い。この場合、識別情報を照合する前に、暗号化された識別情報が復号化される。そして制御部11は、復号化された識別情報のデータが一致するかどうかを判定する。尚、データロガー10の識別情報IDlogと、発信機20の識別情報IDtransの両方の識別情報を暗号化しても良いし、一方の識別情報のみを暗号化するようにしても良い。また、「識別情報が一致する」とは、識別情報が完全に一致する場合と、一部分が一致する場合とを含む。この条件は、データロガー10及び発信機20の設定によって使い分けることが出来る。
また、上記実施形態においてセンサー部13が測定したデータを記録する期間、及び無線通信部12が無線信号を受信する期間とは、それぞれ連続的であること及び間欠的であることを含む。
また、上記実施形態において発信機20がRTCを備える場合、予約された時刻に基づいて制御部21が無線通信部22の電源をオンオフするようにしても良い。
尚、上記実施形態の説明に用いたフローチャートは、可能な限り入れ替え可能である。例えば、第1実施形態で説明した図5において、発信機20が識別情報及び設定情報をロードする順番は入れ替えても良い。
尚、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。