以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットまたは数字を付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
<1.自動取引装置の概要>
以下、本発明の実施形態に係る自動取引装置1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の外観を示す斜視図である。まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の外部構成について説明する。
自動取引装置1は、紙幣を還流させるタイプのATMに代表される顧客操作型端末であってよい。また、自動取引装置1は、銀行、駅構内およびコンビニエンスストアなど、多様な場所に設置され得る。
図1に示されるように、自動取引装置1は、表示入力部2、通帳挿入排出口3、レシート排出口4、カード挿入排出口5、および接客口6を備える。表示入力部2は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部および顧客入力を検出する顧客入力部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、LCD(Liquid Crystal Display)装置、またはOLED(Organic Light Emitting Diode)装置等により実現される。また、顧客入力部としての機能は例えばタッチパネル等により実現される。なお、図1においては表示部および顧客入力部の機能が自動取引装置1において一体的に構成される例を示しているが、表示部及び顧客入力部の機能は分離して構成されてもよい。
通帳挿入排出口3は、顧客の通帳の挿入及び排出を行う。また、レシート排出口4は、取引情報が印字されたレシートを排出するための開口部である。また、カード挿入排出口5は、顧客の磁気カードの挿入及び排出を行うための開口部である。また、接客口6は、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。
次に、自動取引装置1の動作例について説明する。まず、顧客が通帳挿入排出口3に通帳を挿入し、または、顧客が磁気カードをカード挿入排出口5に挿入することにより、暗証情報の入力案内が表示入力部2に表示される。顧客は、例えば、表示入力部2を操作して暗証情報を入力する。磁気カードから読み取られたデータに基づいて暗証情報の照合が成功すると、顧客は払い戻したい金額を表示入力部2に入力し、表示入力部2に表示された確認ボタンを押下する操作を行う。入力された金額に相当する現金が接客口6に排出されると、顧客は現金を受け取り、取引が完了する。取引完了後、通帳挿入排出口3から顧客の通帳が、レシート排出口4からレシートが、およびカード挿入排出口5から顧客の磁気カードが排出される。
本発明の実施形態は、上述した自動取引装置1に関し、特に、自動取引装置1におけるレシート排出口4の周辺の構成に関する。そこで、以下、本発明の比較例による自動取引装置1におけるレシート排出口4の周辺の構造について説明した後に、本発明の各実施形態について詳細に説明する。
<2.比較例による自動取引装置>
(構成)
図2Aおよび図2Bは、本発明の比較例による自動取引装置の構成を示した図である。図2Aおよび図2Bに示したように、比較例による自動取引装置は、レシートプリンタ90を有する。
図2Aを参照すると、レシートプリンタ90は、レシート排出口4、連続用紙20、印字用搬送モータ21、排出用搬送モータ22、プラテンローラ23、搬送ローラ24〜27、サーマルヘッド30、カッタ40、および開閉搬送路91を有する。
連続用紙20は、例えば、感熱により印字可能な感熱紙で構成された、長尺の紙葉状媒体である。連続用紙20は、例えば、不図示のレシートロールに巻き回され、上記レシートロールから印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22から伝達される駆動力によりレシート排出口4方向へ搬送される。連続用紙20は、その可撓性により容易に弛むことが可能である。なお、連続用紙20は、紙状媒体の一例である。
印字用搬送モータ21は、不図示のギア等を介してプラテンローラ23に駆動力を伝達することにより、連続用紙20を、サーマルヘッド30を経由してカッタ40に向けて搬送する。サーマルヘッド30は、プラテンローラ23上に搬送された連続用紙20に取引情報を印字する。カッタ40は、連続用紙20の取引情報が印字された部分をレシート(不図示)に切断する。排出用搬送モータ22は、不図示のギア等を介して搬送ローラ24〜27に駆動力を伝達し、連続用紙20またはレシートは、搬送ローラ24〜27から受ける駆動力によって、レシート排出口4に向けて搬送する。
開閉搬送路91は、連続用紙20の搬送路の一部に設けられる開閉可能な搬送路である。図2Aに示したように、開閉搬送路91は、回転軸92を中心に回転可能な状態で取り付けられており、回転することにより開閉される。まず、連続用紙20がカッタ40からレシート排出口4まで一直線に搬送されている場合、開閉搬送路91は、閉位置に位置することにより連続用紙20の搬送路の一部を構成する。
一方、図2Bに示したように、開閉搬送路91が開位置に位置する場合、連続用紙20の搬送路が開放される。そして、連続用紙20は、上記搬送路の開放により生じる開口から弛み出ることが可能である。なお、開閉搬送路91は、連続用紙20の剛性(コシ)を利用して押圧されることにより開位置に移動してもよいし、また、アクチュエータ等から得られる駆動力により開位置に移動してもよい。
(動作)
続いて、上記の構成を有する比較例による自動取引装置のレシート搬送動作について説明する。顧客が自動取引装置を介して行った取引が完了すると、レシートがレシート排出口4から排出される。まず、サーマルヘッド30により連続用紙20に顧客の取引情報が印字される。連続用紙20は、印字用搬送モータ21の駆動力を得たプラテンローラ23、および排出用搬送モータ22の駆動力を得た搬送ローラ24〜27が回転することにより、レシート排出口4の方向に所定量送られ、カッタ40によりレシートとして切断される。その後、上記レシートは、搬送ローラ24〜27が回転することにより、レシート排出口4へ向けて搬送される。
しかし、サーマルヘッド30により連続用紙20に印字される取引情報が増加すると、排出されるレシートの長さが、カッタ40からレシート排出口4までの長さを超える場合が想定される。かかる場合の自動取引装置のレシート搬送動作について説明する。サーマルヘッド30により取引情報が印字された連続用紙20は、プラテンローラ23および搬送ローラ24〜27の回転によりレシート排出口4の方向に送られる。そして、連続用紙20の印字長さが所定の基準長さを超えた場合、搬送ローラ24〜27の回転が停止する。そうすると、プラテンローラ23によりレシート排出口4の方向へ送られている連続用紙20は弛み始める。このとき、開閉搬送路91が、連続用紙20の弛みにより、もしくは上記駆動モータのいずれかの駆動力により、開位置に移動する。すると、図2Bで示したように、連続用紙20は、開閉搬送路91の開位置への移動により生じた上記搬送路の開口から弛み出る。印字終了後、連続用紙20はカッタ40によりレシートとして切断され、上記レシートは搬送ローラ24〜27の回転によりレシート排出口4へ向けて搬送される。
かかる構成により、レシートプリンタ90の構造をコンパクトに保ったまま、多くの取引情報を有するレシートを印字し排出することが可能であった。
(課題の整理)
しかしながら、比較例による自動取引装置は、開閉搬送路91の開位置への移動により生じた開口から弛み出た連続用紙20が損傷してしまうというおそれがあった。例えば、上記開口から弛み出た連続用紙20が、自動取引装置の有するアクチュエータ等から発生する振動により揺動するため、連続用紙20が自動取引装置内の他の構造と接触して損傷するおそれがあった。また、自動取引装置を制御するユニットや自動取引装置が作動するための電源ユニット等からの放熱の影響を受けて、上記開口から弛み出た連続用紙20が感熱してしまうというおそれがあった。
そこで、上記事情を一着眼点にして本実施形態による自動取引装置を創作するに至った。本実施形態による自動取引装置は、弛み出た紙状媒体を保護することが可能である。以下、本実施形態について、図3〜図20を参照して説明する。
<3.本実施形態の詳細な説明>
[3−1.本実施形態に係る自動取引装置の構成]
図3Aおよび図3Bは、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の構成を示した図である。図3Aに示したように、本実施形態に係る自動取引装置1は、レシートプリンタ10を備える。
本実施形態に係るレシートプリンタ10は、レシート排出口4、開閉搬送路11、連続用紙20、印字用搬送モータ21、排出用搬送モータ22、プラテンローラ23、搬送ローラ24〜27、サーマルヘッド30、およびカッタ40を有する。また、開閉搬送路11は、搬送面部材12、支持部材13、および軸孔14により構成されている。開閉搬送路11の詳細な構成は、「3−2.開閉搬送路の構成」にて説明する。
連続用紙20は、例えば、感熱により印字可能な感熱紙で構成された、長尺の紙葉状媒体である。連続用紙20は、例えば、不図示のレシートロールに巻き回され、上記レシートロールから印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22から伝達される駆動力によりレシート排出口4方向へ搬送される。連続用紙20は、その可撓性により容易に弛むことが可能である。なお、連続用紙20は、紙状媒体の一例である。
印字用搬送モータ21は、不図示のギア等を介してプラテンローラ23に駆動力を伝達することにより、連続用紙20を、サーマルヘッド30を経由してカッタ40に向けて搬送する。サーマルヘッド30は、プラテンローラ23上に搬送された連続用紙20に取引情報を印字する。カッタ40は、連続用紙20の取引情報が印字された部分をレシート(不図示)に切断する。排出用搬送モータ22は、不図示のギア等を介して搬送ローラ24〜27に駆動力を伝達し、連続用紙20またはレシートは、搬送ローラ24〜27から受ける駆動力によって、レシート排出口4に向けて搬送する
開閉搬送路11は、連続用紙20の搬送路の一部に設けられる開閉可能な搬送路である。図3Aに示したように、開閉搬送路11は、搬送面部材12から延設された支持部材13上に設けられた軸孔14を中心に回転可能な状態で取り付けられており、回転することにより開閉される。本実施形態の構成においては、図3Aに示したように、開閉搬送路11は、支持部材13が搬送面部材12の下側に位置するように設けられている。開閉搬送路11は、閉位置に位置することにより連続用紙20の搬送路の一部を構成する。
一方、図3Bに示したように、開閉搬送路11が開位置に位置する場合、上記搬送路を構成する搬送面部材12が上記搬送路から退避するので、連続用紙20の搬送路が開放される。そして、連続用紙20は、開閉搬送路11の開位置への移動により生じる開口から弛み出ることが可能である。なお、開閉搬送路11は、連続用紙20の剛性(コシ)を利用して押圧されることにより開位置に移動してもよいし、また、アクチュエータ等から得られる駆動力により開位置に移動してもよい。
なお、印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22の回転方向および回転量の制御、サーマルヘッド30による連続用紙20への印字制御、並びにカッタ40による連続用紙20の切断制御は、自動取引装置1が備える不図示の制御部により実行されてもよい。
[3−2.開閉搬送路の構成]
図4は、本発明の実施形態に係る開閉搬送路11の外観を示す図である。図4に示したように、開閉搬送路11は、搬送面部材12、支持部材13Aおよび13B、並びに軸孔14Aおよび14Bを有する。
搬送面部材12は、開閉搬送路11が閉位置に位置するときに搬送路の一部を形成し、連続用紙20の搬送を案内する。なお、搬送面部材12の大きさや厚みについては特に限定されないが、連続用紙20を確実に搬送するために、例えば、連続用紙20の搬送方向と水平に直交する搬送面部材12の端辺の長さは、連続用紙20の幅以上の長さであることが望ましい。また、搬送面部材12の材質は特に制限されない。
支持部材13Aおよび13Bは、図4に示したように、例えば、搬送面部材12の端辺のうち、連続用紙20の搬送方向と平行な一対の端辺の各々から延設される。すると、図3Bに示したように、開閉搬送路11が開位置に位置する場合に搬送路に生じた開口から連続用紙20が弛み出たとき、連続用紙20は、搬送面部材12、支持部材13Aおよび13Bの間に収まるように弛み出る。これにより、開閉搬送路11は、上記開口から弛み出た連続用紙20の周囲を仕切る構成となり、自動取引装置1の揺動や発熱による連続用紙20への影響を抑えることが可能となる。また、開閉搬送路11の上記構成を用いることにより、例えば、上記開口から弛み出た連続用紙20の周囲を仕切る構成を、予め上記開口の下部に固定的に設けておく必要がないため、装置の小型化や部品点数の抑制などの効果が享受されると考えられる。
なお、図4に示された例においては、支持部材13は、搬送面部材12の端辺のうち、連続用紙20の搬送方向と平行な一対の端辺の各々から延設されているが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、支持部材13Aおよび13Bは、搬送面部材12の一端の面から同一の方向に延設され、かつ、支持部材13Aおよび13Bは、連続用紙20の幅以上の間隔を空けて設けられてもよい。かかる例においても、開閉搬送路11が開位置に位置する場合に搬送路に生じた開口から連続用紙20が弛み出たとき、連続用紙20は、搬送面部材12、支持部材13Aおよび13Bの間に収まるように弛み出ることが可能である。
また、支持部材13の延設方向は搬送面部材12の一端の面から同一の方向であれば特に限定されないが、例えば図4に示したように、搬送面部材12と直交する方向であってもよく、支持部材13Aおよび13Bは互いに平行に設けられてもよい。これにより、開閉搬送路11と他の部品との設計上の干渉を減らすことが可能となる。
また、図4に示したように、支持部材13は、搬送面部材12の面の端辺を一辺とする三角形構造を形成しているが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、支持部材13の形状は、搬送面部材12の面を端辺を一辺とする矩形構造でもよく、搬送面部材12の角部を中心とし、搬送面部材12の面を半径とする扇形構造でもよい。また、支持部材13は、搬送面部材12から延設される梁構造であってもよい。支持部材13の形状が上記の例であっても、支持部材13は、開口から弛み出た連続用紙20を仕切ることが可能である。
なお、開閉搬送路11は、例えば、搬送面部材12と支持部材13が一体に形成されてもよいし、搬送面部材12および支持部材13が個々に設けられ、各部材が締結部材等により締結されることにより形成されてもよい。また、支持部材13の材質は特に限定されない。
軸孔14Aおよび14Bは、開閉搬送路11を回動させるための回転軸を構成する軸孔である。上記回転軸は、第1の軸の一例である。開閉搬送路11は、軸孔14Aおよび14Bと嵌合する不図示の回転軸を構成する軸部材を中心として回転することにより、開位置および閉位置に移動する。軸孔14Aおよび14Bの位置は特に限定されない。例えば図4に示したように、軸孔14Aおよび14Bは、支持部材13Aおよび13B上のうち、搬送面部材と離れた位置に設けられてもよい。また、軸孔14Aおよび14Bは、「3−4.開閉搬送路の変形例」において説明されるように、搬送面部材の側部に設けられてもよい。また、上記軸部材は、例えば、軸孔14Aおよび14Bを貫通し、レシートプリンタ10により保持されるシャフトであってもよいし、レシートプリンタ10内に形成され、軸孔14Aおよび14Bとそれぞれ個別に係合する円柱または円筒型の突起であってもよい。
[3−3.自動取引装置の動作例]
続いて、上記の構成を有する本実施形態の自動取引装置のレシート搬送動作について説明する。まず、図3Aを参照して、開閉搬送路11が閉位置に位置する場合のレシート搬送動作について説明する。まず、サーマルヘッド30により連続用紙20に顧客の取引情報が印字される。連続用紙20は、印字用搬送モータ21の駆動力を得たプラテンローラ23、および排出用搬送モータ22の駆動力を得た搬送ローラ24〜27が回転することにより、レシート排出口4の方向に所定量送られ、カッタ40によりレシートとして切断される。その後、上記レシートは、搬送ローラ24〜27が回転することにより、レシート排出口4へ向けて搬送される。
次に、図3Bを参照して、開閉搬送路11が開位置に位置する場合のレシート搬送動作について説明する。サーマルヘッド30により取引情報が印字された連続用紙20は、プラテンローラ23および搬送ローラ24〜27の回転によりレシート排出口4の方向に送られる。連続用紙20の印字長さが所定の基準長さを超えた場合、搬送ローラ24〜27の回転が停止する。そうすると、プラテンローラ23によりレシート排出口4の方向へ送られている連続用紙20は弛み始める。このとき、開閉搬送路11は、例えば上記駆動モータの駆動力により、開位置に移動する。開閉搬送路11の開位置への移動に伴い、上記搬送路を構成する搬送面部材12が上記搬送路から退避する。すると、連続用紙20は、開閉搬送路11の開位置への移動により生じた上記搬送路の開口から弛み出る。上記開口から弛み出た連続用紙20は、搬送面部材12、支持部材13Aおよび13Bの間に収まる位置まで弛み出る。印字終了後、上記開口から弛み出た連続用紙20はカッタ40によりレシートとして切断され、上記レシートは搬送ローラ24〜27の回転によりレシート排出口4へ向けて搬送される。
以上説明したように、本実施形態における開閉搬送路11によれば、開閉搬送路11が開位置に位置する場合、連続用紙20は開閉搬送路11の開位置への移動により生じた開口から、支持部材13等に仕切られた空間内に弛み出ることが可能である。これにより、弛み出た連続用紙20が自動取引装置の揺動や発熱から損傷を受ける可能性を低減させることが可能である。
[3−4.開閉搬送路の変形例]
図5Aおよび図5Bは、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の変形例の構成を示した図である。図5Aに示したように、本実施形態に係る自動取引装置1は、レシートプリンタ10を備える。
本変形例に係るレシートプリンタ10は、レシート排出口4、開閉搬送路11、連続用紙20、印字用搬送モータ21、排出用搬送モータ22、プラテンローラ23、搬送ローラ24〜27、サーマルヘッド30、およびカッタ40を有する。また、開閉搬送路11は、搬送面部材12、支持部材13、および軸孔14により構成されている。
ここで、図3Aおよび図3Bに示した開閉搬送路11においては、軸孔14が支持部材13上に形成され、また、開閉搬送路11は、支持部材13が搬送面部材12の下側に位置するようにレシートプリンタ10内に設置されている。一方、本変形例における開閉搬送路11においては、軸孔14が搬送面部材12の側面に形成され、開閉搬送路11は、支持部材13が搬送面部材12の上側に位置するようにレシートプリンタ10内に設置される。軸孔14は、開閉搬送路11を回動させるための回転軸を構成する軸孔であり、上記回転軸は、第2の軸の一例である。
図5Aおよび図5Bに示したように、開閉搬送路11は、搬送面部材12の側面に形成された軸孔14を中心として回転することにより、開位置に移動する。そして、開閉搬送路11が開位置に位置する場合、連続用紙20の搬送路が搬送面部材12の退避により開放される。すると、連続用紙20は、開閉搬送路11の開位置への移動により生じる開口から弛み出ることが可能である。上記開口から弛み出た連続用紙20は、図3Aおよび図3Bに示した例と同様に、搬送面部材12、および支持部材13の間に収まるように弛み出る。これにより、開閉搬送路11は、上記開口から弛み出た連続用紙20の周囲を仕切る構成となり、自動取引装置1の揺動や発熱による連続用紙20への影響を抑えることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の変形例における開閉搬送路11は、開閉搬送路11が開位置に位置する場合、連続用紙20は開閉搬送路11の開位置への移動により生じた開口から、支持部材13等に仕切られた空間内に弛み出ることが可能である。これにより、弛み出た連続用紙20を、自動取引装置の揺動や発熱から受ける損傷の可能性を低減することが可能である。
また、開閉搬送路11が開位置に位置した際に、搬送面部材12および支持部材13により仕切られる空間の位置が、本変形例と先の実施例において異なる。つまり、上記開口から弛み出た連続用紙20に損傷を与え得る原因の位置および特性に応じて開閉搬送路11の形状を変更することが可能となる。例えば、上記開口部の直下近傍において連続用紙20に損傷を与え得る原因が存在する場合は、本変形例における開閉搬送路11が設置されてもよい。また、上記開口部より離れた位置において連続用紙20に損傷を与え得る原因が存在する場合は、先の実施例における開閉搬送路11が設置されてもよい。
[3−5.第1の伝達機構の構成と動作例]
(背景)
続いて、開閉搬送路11を開閉するための駆動力を伝達する第1の伝達機構50−1の構成について説明する。上述したように、開閉搬送路11は、連続用紙20から受けるコシによる押圧の加減により、また、アクチュエータ等から得られる駆動力により、開位置および閉位置に移動してもよい。
しかしながら、連続用紙20の弛みによるコシの力は、連続用紙20のサイズや材質に左右されるため、必ずしも開閉搬送路11を押し開けられるとは限らない。また、開閉搬送路11の開閉にアクチュエータ等を用いることは、装置の大型化や部品点数の増加による作業性悪化、およびコストアップが生じるという問題がある。
そこで、本実施形態に係る自動取引装置1は、印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22等の駆動力を利用して開閉搬送路11の開閉を行う。これにより、既設の駆動力を活かして、確実に開閉搬送路11を開閉することが可能である。以下、印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22の駆動力を開閉搬送路11に伝達し、連続用紙20およびレシートの搬送および開閉搬送路11の開閉動作を制御するための第1の伝達機構50−1の構成および動作例について説明する。なお、印字用搬送モータ21、排出用搬送モータ22、および第1の伝達機構50−1の組み合わせによる構成は、駆動部の一例である。
(第1の伝達機構の構成)
図6は、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の第1の伝達機構50−1の構成を示した図である。本発明の実施形態に係る自動取引装置1は、プラテンローラ23、搬送ローラ24〜27、サーマルヘッド30、第1の伝達機構50−1、不図示の印字用搬送モータ、不図示の排出用搬送モータ、不図示のカッタ、不図示の開閉搬送路、および不図示のレシート排出口を備える。上記の構成は、例えば、図3Aに示したようなレシートプリンタ10内の位置に対応した位置に設置されてもよい。また、第1の伝達機構50−1は、レシートプリンタ10内に格納されてもよく、もしくは、第1の伝達機構50−1を構成する以下のギア群の一部がレシートプリンタ10外に設置されてもよい。
第1の伝達機構50−1は、差動ギア100、印字用搬送モータギア111、第1アイドルギア112、プラテンローラギア113、第2アイドルギア114、排出用搬送モータギア121、第3アイドルギア122、第4アイドルギア123、第5アイドルギア124、第1遊星ギア125、搬送ローラギア126、第6アイドルギア127、開閉ギア131、第2遊星ギア132、および第3遊星ギア133を有する。また、差動ギア100は、第1サイドギア101、デフリングギア102、および第2サイドギア103を有する。
印字用搬送モータギア111は印字用搬送モータ21のモータ軸に固定されており、第1アイドルギア112と噛み合い、第1アイドルギア112に印字用搬送モータ21による駆動力を伝達する。
第1アイドルギア112は、一方は印字用搬送モータギア111と、他方はプラテンローラギア113と噛み合い、印字用搬送モータギア111から伝達された駆動力を、プラテンローラギア113に伝達する。
プラテンローラギア113は、プラテンローラ23と一体となって形成されており、プラテンローラ23は、プラテンローラギア113と同一の方向に同一の回転速度で回転する。また、プラテンローラギア113は、一方は第1アイドルギア112と、他方は第2アイドルギア114と噛み合い、第1アイドルギア112から伝達された駆動力を、第2アイドルギア114に伝達する。
第2アイドルギア114は、一方はプラテンローラギア113と、他方は第1サイドギア101と噛み合い、プラテンローラギア113から伝達された駆動力を、第1サイドギア101に伝達する。
排出用搬送モータギア121は排出用搬送モータ22のモータ軸に固定されており、第3アイドルギア122および第5アイドルギア124と噛み合う。そして、排出用搬送モータギア121は、第3アイドルギア122および第5アイドルギア124に排出用搬送モータ22による駆動力を伝達する。
第3アイドルギア122は、一方は排出用搬送モータギア121と、他方は第4アイドルギア123と噛み合い、排出用搬送モータギア121から伝達された駆動力を、第4アイドルギア123に伝達する。
第4アイドルギア123は、一方は第3アイドルギア122と、他方はデフリングギア102と噛み合い、第3アイドルギア122から伝達された駆動力を、デフリングギア102に伝達する。
第5アイドルギア124は、一方は排出用搬送モータギア121と、他方は第1遊星ギア125と噛み合い、排出用搬送モータギア121から伝達された駆動力を、第1遊星ギア125に伝達する。
第1遊星ギア125は、一方は第5アイドルギア124と、他方は搬送ローラギア126または第6アイドルギア127と噛み合い、第5アイドルギア124から伝達された駆動力を、搬送ローラギア126または第6アイドルギア127に伝達する。また、第1遊星ギア125は、第5アイドルギア124を太陽ギアとして第5アイドルギア124の回転軸まわりに移動し、第5アイドルギア124の回転方向に応じて搬送ローラギア126または第6アイドルギア127と噛み合う。
搬送ローラギア126は搬送ローラ27と一体となって形成されており、搬送ローラ27は、搬送ローラギア126と同一の方向に同一の回転速度で回転する。また、搬送ローラギア126は、第6アイドルギア127と噛み合う。さらに、第1遊星ギア125が搬送ローラギア126と噛み合う位置にある場合、搬送ローラギア126は、第1遊星ギア125から伝達される駆動力により回転する。一方で、第1遊星ギア125が搬送ローラギア126と噛み合わない位置にある場合、搬送ローラギア126は、第6アイドルギア127から伝達される駆動力により回転する。なお、図9を参照すると、搬送ローラギア126は、搬送ローラ27のみ回転させる機構となっているが、例えば、不図示の他のギアやベルト等を用いて搬送ローラ24〜26を回転させてもよい。
第6アイドルギア127は、搬送ローラギア126と噛み合う。また、第1遊星ギア125が第6アイドルギア127と噛み合う位置にある場合、第6アイドルギア127は、第1遊星ギア125から伝達された駆動力を、搬送ローラギア126に伝達する。
開閉ギア131は、開閉搬送路11を開位置および閉位置に移動させるためのギアであり、開閉搬送路11に取り付けられ、第2遊星ギア132または第3遊星ギア133と噛み合う。開閉ギア131は、第2遊星ギア132または第3遊星ギア133から伝達される駆動力により回転する。開閉ギア131の開閉に伴い、開閉搬送路11は、開位置および閉位置に移動する。
第2遊星ギア132および第3遊星ギア133は、一方は第2サイドギア103と噛み合う。また、第2遊星ギア132および第3遊星ギア133のいずれかが、各遊星ギアの位置および第2サイドギア103の回転方向に応じて、開閉ギア131と噛み合い、第2サイドギア103から伝達された駆動力を、開閉ギア131に伝達する。
(差動ギアの構成)
続いて差動ギア100の構成について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の第1の伝達機構50−1の一部の構成を示した図である。差動ギア100は、第1サイドギア101、デフリングギア102、第2サイドギア103、およびピニオンギア104を有する。第1サイドギア101、デフリングギア102、および第2サイドギア103は、同一の回転軸上に位置する。ピニオンギア104は、デフリングギア102に組み込まれて設けられる。
第1サイドギア101は、第2アイドルギア114から伝達される印字用搬送モータ21の駆動力により回転する。そして、第1サイドギア101は、ピニオンギア104Aおよび104Bと噛み合う小径のギアを、デフリングギア102と対向する面にさらに有する。第1サイドギア101が受けた駆動力は、ピニオンギア104Aおよび104Bを介してデフリングギア102および第2サイドギア103に伝達する。
デフリングギア102は、第4アイドルギア123から伝達される排出用搬送モータ22の駆動力により回転する。また、デフリングギア102が受けた駆動力は、デフリングギア102内部に組み込まれたピニオンギア104Aおよび104Bを介して第1サイドギア101および第2サイドギア103に伝達される。
第2サイドギア103はピニオンギア104Aおよび104Bと噛み合う小径のギアを、デフリングギア102と対向する面にさらに有し、第1サイドギア101およびデフリングギア102からピニオンギア104Aおよび104Bを介して伝達される駆動力により回転する。そして、第2サイドギア103が受けた駆動力は、第2遊星ギア132または第3遊星ギア133を介して、開閉ギア131に伝達される。
ここで、第1サイドギア101、デフリングギア102、および第2サイドギア103の歯数を同一とし、第1サイドギア101の角速度をωS1、デフリングギア102の角速度をωR、第2サイドギア103の角速度をωS2とすると、差動ギア100について、以下の数式1に示される式が成立する。
上記数式1は、例えば、第2サイドギア103が回転しない場合、第1サイドギア101は、デフリングギア102の2倍の角速度で回転することを意味する。また、例えば、デフリングギア102が回転しない場合、第1サイドギア101と第2サイドギア103は、同一の角速度で、互いに反対の方向に回転することを意味する。
以上の構成により、自動取引装置1は、印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22の駆動力を利用して、開閉搬送路11を開位置および閉位置に移動させることが可能となる。
(開閉ギアの構成と動作例)
図8Aおよび図8Bは、本発明の実施形態に係る開閉搬送路11の構成を示した図である。図8に示したように、開閉搬送路11は、開閉ギア131およびディテント機構134を有する。
開閉ギア131は、例えば、扇形構造の形状を有し、開閉搬送路11の軸孔14と同一の回転軸を中心として回転する。また、開閉ギア131の歯は、131Aおよび131Bの部分的に設けられる。
ディテント機構134は、例えば、スプリングやゴム等の弾性体により構成され、一方は自動取引装置1に、他方は開閉ギア131に係止される。ディテント機構134は、開閉搬送路11を開位置および閉位置において保持する役割を果たす。
開閉ギア131による開閉搬送路11の動作例について、図8Aおよび図8Bを参照しながら説明する。ここでは、図8Aに示したように、開閉搬送路11が閉位置から開位置に移動するケースを想定する。まず、第2サイドギア103が矢印の方向に回転する場合、第2遊星ギア132は、第2サイドギア103の回転方向に沿って移動し、開閉ギア131の歯131Aと噛み合う。そして第2遊星ギア132は、歯131Aを介して開閉ギア131を回転させる。この際、ディテント機構134は、開閉ギア131の矢印で示される方向に付勢される。
そして、開閉ギア131がある段階まで回転すると、図8Bに示したように、ディテント機構134に付勢された力が矢印の方向に解放される。すると、上記力の解放により開閉ギア131は強制的に開位置まで移動される。このとき、第2遊星ギア132は、ディテント機構134に付勢された力が解放されるまでは開閉ギア131の歯131Aと噛み合い、上記力が解放される瞬間に、歯131Aと離れる。そして、開閉ギア131が開位置に移動した場合、第2遊星ギア132および第3遊星ギア133は、いずれも開閉ギア131と噛み合わない状態となり、また、開閉ギア131は、ディテント機構134により開位置に保持される。
以上の構成により、自動取引装置1は、開閉ギア131を確実に開位置および閉位置に移動させることができる。
なお、開閉ギア131が開位置から閉位置に移動する場合は、第3遊星ギア133が開閉ギア131の歯131Bと噛み合うことで、開閉ギア131は回転可能となる。
(第1の動作例)
図9は、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の第1の動作例を示したフローチャートである。図9に示したフローチャートに従って、本実施形態に係る自動取引装置1の第1の伝達機構50−1を利用した第1の動作例について説明する。
なお、図9に示されている印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22の「正転」および「逆転」とは、各搬送モータの回転方向を意味する。「正転」は、各モータが連続用紙20をレシート排出口4の方向に搬送する場合の回転方向を指す。具体的には、印字用搬送モータ21の正転の方向は、本実施形態においては、図10に示される印字用搬送モータギア111の回転方向(図に向かって時計回り)である。また、排出用搬送モータ22の正転の方向は、本実施形態においては、図10に示される印字用搬送モータギア111の回転方向(図に向かって反時計回り)である。「逆転」は、正転の反対方向の回転を指す。
また、図10〜図13に示される第1の伝達機構50−1の動作例を示した図は、図9に示した第1の伝達機構50−1の構成と同じ構成を有する。各図はいずれも各ギアの回転状態を示しているが、開閉搬送路11に関しては開閉搬送路11の移動が生じた場合、開閉搬送路11の移動後の状態を示している。また、各図において示されている一点鎖線は同一の回転軸を有する各ギアの回転軸を示している。各図においては、説明の都合上、第1サイドギア101、デフリングギア102、および第2サイドギア103、並びに、開閉ギア131、および開閉搬送路11は、お互い離間されて描画される。
まずレシートプリンタ10は、サーマルヘッド30により連続用紙20に取引情報の印字を開始する(S201)。このとき、連続用紙20はプラテンローラ23および搬送ローラ24〜27によりレシート排出口4の方向に搬送されており、印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22はどちらも正転方向に回転する。
図10は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第1の伝達機構50−1の動作例を示した図である。印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22の正転方向の回転により、プラテンローラギア113および搬送ローラギア126は、ともに連続用紙20をレシート排出口4に搬送させるための方向に回転する。これにより、連続用紙20は、印字動作に応じてレシート排出口4の方向に送られる。また、図10に示したように、第1サイドギア101およびデフリングギア102は同一の方向に回転する。これに応じて、第2サイドギア103も、上記2つのギアと同一の方向に回転する。なお、開閉搬送路11が印字開始前に開位置に位置していた場合は、第3遊星ギア133を介して第2サイドギア103から伝達される駆動力により閉位置に移動する。
そして、印字後の連続用紙20の印字長さが所定の基準長さを超える場合(S202/YES)、排出用搬送モータ22は回転を停止し、それに伴い搬送ローラ24〜27の回転も停止する(S203)。一方、印字用搬送モータ21は排出方向へ搬送を継続しているので、連続用紙20は弛み始める。
図11は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第1の伝達機構50−1の動作例を示した図である。排出用搬送モータ22の停止によりデフリングギア102は静止状態となるため、第2サイドギア103は、第1サイドギア101と反対の方向(図に向かって反時計まわり)に回転する。すると、開閉搬送路11は、第2遊星ギア132から伝達される駆動力により開位置に移動する。
排出用搬送モータ22の回転停止と同時に、開閉搬送路11が開位置へ移動するので、弛み始めた連続用紙20は、開閉搬送路11の開位置への移動により生じた開口から弛み出ることが可能となる。
図9に戻ると、サーマルヘッド30による連続用紙20への印字が終了すると、カッタ40は連続用紙20を切断して不図示のレシートを生成する(S204)。この際、印字用搬送モータ21は回転を停止し、排出用搬送モータ22が回転している場合も排出用搬送モータ22は回転を停止する。
続いて、レシートプリンタ10はレシートの排出を行う。ここで、開閉搬送路11が開位置に位置する場合(S205/YES)、排出用搬送モータ22は、逆転方向に回転する(S206)。
図12は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第1の伝達機構50−1の動作例を示した図である。排出用搬送モータ22が逆転方向に回転することにより、排出用搬送モータギア121も同様に図に向かって時計回りに回転する。すると、第5アイドルギア124は図に向かって反時計回りに回転する。このとき、第5アイドルギア124を太陽ギアとする第1遊星ギア125は、第5アイドルギア124の回転軸を中心として第5アイドルギア124の円周方向に沿って反時計まわりに移動する。すると、第1遊星ギア125は、第6アイドルギア127と噛み合う。この場合、第1遊星ギア125は図に向かって時計回りに回転しているので、第6アイドルギア127は図に向かって反時計回りに回転する。すると、第6アイドルギア127と噛み合う搬送ローラギア126は図に向かって時計回りに回転する。搬送ローラギア126の回転方向は、図10における搬送ローラギア126の回転方向と同一であるので、搬送ローラ24〜27により搬送されるレシートは、レシート排出口4の方向に搬送される。なお、第2サイドギア103が回転する方向は開閉搬送路11が開位置に移動する方向であるため、第2サイドギア103から受ける駆動力により回転する第2遊星ギア132および第3遊星ギア133は、対向する開閉ギア131と離れた状態となっている。よって開閉搬送路11は開位置に保持されたままとなる。
また、第1サイドギア101は静止しているので、第2サイドギア103はデフリングギア102と同一の方向に回転する。すると、図11に示した例と同様に、開閉搬送路11は、開位置のまま保持される。
図9に戻って説明を続ける。レシートの排出時において開閉搬送路11が閉位置に位置する場合(S205/NO)、排出用搬送モータ22は、正転方向に回転する(S207)。
図13は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第1の伝達機構50−1の動作例を示した図である。排出用搬送モータ22の正転方向の回転により、搬送ローラギア126は、レシートをレシート排出口4に搬送させるための方向に回転する。これにより、搬送ローラ24〜27により搬送されるレシートは、レシート排出口4の方向に搬送される。なお、第2サイドギア103が回転する方向は開閉搬送路11が閉位置に移動する方向であるため、第2サイドギア103から受ける駆動力により回転する第2遊星ギア132および第3遊星ギア133は、対向する開閉ギア131と離れた状態となっている。よって開閉搬送路11は閉位置に保持されたままとなる。
以上より、自動取引装置1は、連続用紙20の印字長さが所定の基準長さよりも超える場合、または超えない場合に応じて開閉搬送路11を開閉し、連続用紙20およびレシートの搬送を正確に制御することが可能となる。
[3−6.第2の伝達機構の構成と動作例]
続いて、開閉搬送路11を開閉するための駆動力を伝達する第2の伝達機構50−2の構成について説明する。第2の伝達機構50−2は、第1の伝達機構50−1におけるギアの構成を一部変更したものである。かかる構成により、一度レシート排出口4に搬送されたレシートを、開閉搬送路11の開位置への移動により生じた開口へ取り込むことが可能となる。なお、印字用搬送モータ21、排出用搬送モータ22、および第2の伝達機構50−2の組み合わせによる構成は、駆動部の一例である。
(第2の伝達機構の構成)
図14は、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の第2の伝達機構50−2の構成を示した図である。本発明の実施形態に係る自動取引装置1は、プラテンローラ23、搬送ローラ24〜27、サーマルヘッド30、第2の伝達機構50−2、不図示の印字用搬送モータ、不図示の排出用搬送モータ、不図示のカッタ、不図示の開閉搬送路、および不図示のレシート排出口を備える。上記の構成は、例えば、図3Aに示したようなレシートプリンタ10内の位置に対応した位置に設置されてもよい。また、第2の伝達機構50−2は、レシートプリンタ10内に格納されてもよく、もしくは、第2の伝達機構50−2を構成する以下のギア群の一部がレシートプリンタ10外に設置されてもよい。
第2の伝達機構50−2は、差動ギア100、印字用搬送モータギア111、第1アイドルギア112、プラテンローラギア113、第4遊星ギア115、第5遊星ギア116、排出用搬送モータギア121、第3アイドルギア122、第4アイドルギア123、第5アイドルギア124、第1遊星ギア125、搬送ローラギア126、第6遊星ギア128、開閉ギア131、第2遊星ギア132、および第3遊星ギア133を有する。また、差動ギア100は、第1サイドギア101、デフリングギア102、および第2サイドギア103を有する。なお、第1の伝達機構50−1が有する第2アイドルギア114、および第6アイドルギア127は第2の伝達機構50−2には含まれない。以下、第1の伝達機構50−1の構成から変更された構成について説明する。
プラテンローラギア113は、一方は第1アイドルギア112と、他方は第4遊星ギア115または第5遊星ギア116と噛み合い、第1アイドルギア112から伝達された駆動力を、第4遊星ギア115または第5遊星ギア116に伝達する。
第4遊星ギア115および第5遊星ギア116は、一方はプラテンローラギア113と噛み合う。また、第4遊星ギア115および第5遊星ギア116のいずれかが、各遊星ギアの位置およびプラテンローラギア113の回転方向に応じて、第1サイドギア101と噛み合い、プラテンローラギア113から伝達された駆動力を、第1サイドギア101に伝達する。
第1サイドギア101は、第4遊星ギア115および第5遊星ギア116の位置、並びにプラテンローラギア113の回転方向に応じて、第4遊星ギア115または第5遊星ギア116のいずれかと噛み合い、いずれかのギアより伝達される駆動力により回転する。
第5アイドルギア124は、一方は排出用搬送モータギア121と、他方は第1遊星ギア125または第6遊星ギア128と噛み合い、排出用搬送モータギア121から伝達された駆動力を、第4遊星ギア115または第5遊星ギア116に伝達する。
第1遊星ギア125および第6遊星ギア128は、一方は第5アイドルギア124と噛み合う。また、第1遊星ギア125および第6遊星ギア128のいずれかが、各遊星ギアの位置および第5アイドルギア124の回転方向に応じて、搬送ローラギア126と噛み合い、第5アイドルギア124から伝達された駆動力を、搬送ローラギア126に伝達する。
搬送ローラギア126は、第1遊星ギア125および第6遊星ギア128の位置、並びに第5アイドルギア124の回転方向に応じて、第1遊星ギア125または第6遊星ギア128のいずれかと噛み合い、いずれかのギアより伝達される駆動力により回転する。
(第2の動作例)
図15は、本発明の実施形態に係る自動取引装置1の第2の動作例を示したフローチャートである。図15に示したフローチャートに従って、本実施形態に係る自動取引装置1の第2の伝達機構50−2を利用した第2の動作例について説明する。
まず、レシートプリンタ10は、連続用紙20への印字を開始する前に、開閉搬送路11の位置を確認する(S301)。開閉搬送路11が開位置に位置する場合(S301/YES)、開閉搬送路11は、印字用搬送モータ21の逆転方向への回転により、閉位置へ移動する(S302)。
図16は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第2の伝達機構50−2の動作例を示した図である。印字用搬送モータ21は逆転方向に回転し、排出用搬送モータ22は静止している。すると第1サイドギア101は、第1アイドルギア112、プラテンローラギア113、および第5遊星ギア116を介して、図に向かって反時計まわりに回転する。そして、デフリングギア102は静止しているので、第2サイドギア103は、第1サイドギア101とは反対の方向(図に向かって時計まわり)に回転する。すると、図16に示したように、開閉搬送路11は、第3遊星ギア133を介して第2サイドギア103から伝達される駆動力により閉位置に移動する。
次に、レシートプリンタ10は、サーマルヘッド30により連続用紙20に取引情報の印字を開始する(S303)。このとき、連続用紙20はプラテンローラ23および搬送ローラ24〜27によりレシート排出口4の方向に搬送されており、印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22はどちらも正転方向に回転する。
図17は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第2の伝達機構50−2の動作例を示した図である。印字用搬送モータ21および排出用搬送モータ22の正転方向の回転により、プラテンローラギア113および搬送ローラギア126は、ともに連続用紙20をレシート排出口4に搬送させるための方向に回転する。これにより、連続用紙20は、印字動作に応じてレシート排出口4の方向に送られる。また、各モータが正転方向に回転することにより、第1サイドギア101およびデフリングギア102は同一の方向に回転する。これに応じて、第2サイドギア103も、上記2つのギアと同一の方向に回転する。ただし、第2サイドギア103が回転する方向は開閉搬送路11が閉位置に移動する方向であるため、第2サイドギア103から受ける駆動力により回転する第2遊星ギア132および第3遊星ギア133は、対向する開閉ギア131と離れた状態となっている。よって開閉搬送路11は閉位置に保持されたままとなる。
そして、印字後の連続用紙20の印字長さが所定の基準長さを超える場合(S304/YES)、排出用搬送モータ22は回転を停止し、それに伴い搬送ローラ24〜27の回転も停止する(S305)。一方、印字用搬送モータ21は排出方向へ搬送を継続しているので、連続用紙20は弛み始める。
図18は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第2の伝達機構50−2の動作例を示した図である。排出用搬送モータ22の停止によりデフリングギア102は静止状態となるため、第2サイドギア103は、第1サイドギア101と反対の方向(図に向かって反時計まわり)に回転する。すると、開閉搬送路11は、第2遊星ギア132から伝達される駆動力により開位置に移動する。
排出用搬送モータ22の回転停止と同時に、開閉搬送路11が開位置へ移動するので、弛み始めた連続用紙20は、開閉搬送路11の開位置への移動により生じた開口から弛み出ることが可能となる。
図15に戻ると、サーマルヘッド30による連続用紙20への印字が終了すると、カッタ40は連続用紙20を切断して不図示のレシートを生成する(S306)。この際、印字用搬送モータ21は回転を停止し、排出用搬送モータ22が回転している場合も排出用搬送モータ22は回転を停止する。
続いて、レシートプリンタ10はレシートの排出を行う(S307)。
図19は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第2の伝達機構50−2の動作例を示した図である。搬送ローラギア126は図に向かって時計回りに回転するので、搬送ローラ27はレシートをレシート排出口4の方向に搬送する。また、デフリングギア102の回転方向は図に向かって時計回りである。このとき、第2サイドギア103は、開閉ギア131を係止するディテント機構134により回転が抑止される。その一方で、第1サイドギア101は、印字用搬送モータ21の停止により第4遊星ギア115および第5遊星ギア116と離れた状態となっているため、第1サイドギア101は、デフリングギア102の回転させる駆動力により、同一の方向に自由に回転する。これにより、デフリングギア102からの駆動力がすべて第1サイドギア101へ流れるので、開閉搬送路11は開位置に保持されたままとなる。
なお、開閉搬送路11が閉位置にある場合においては、レシートの排出時において、開閉ギア131は第2遊星ギア132および第3遊星ギア133のいずれとも噛み合わないため、開閉搬送路11は閉位置に保持されたままとなる。
図15に戻ると、レシートプリンタ10は、顧客がレシート排出口4から排出されたレシートを取り忘れたと検知した場合(S308/YES)、レシートの取り込み処理を行う。まずレシートプリンタ10は、開閉搬送路11の位置を判定する。開閉搬送路11が閉位置に位置する場合(S309/YES)、開閉搬送路11は開位置へ移動する(S310)。その際の動作は、ステップS305における動作(図18)と同一である。
そして、開閉搬送路11が開位置に位置する場合、レシートプリンタ10はレシートの取り込み処理を行う(S311)。
図20は、本発明の実施形態に係る自動取引装置の第2の伝達機構50−2の動作例を示した図である。搬送ローラギア126は図に向かって反時計回りに回転するので、搬送ローラ27はレシートをレシート排出口4の方向と逆の方向に搬送する。つまり搬送ローラ27は、レシートをレシートプリンタ10内の方向へと搬送する。また、第1サイドギア101は対向する第4遊星ギア115および第5遊星ギア116と離れており、第2サイドギア103から受ける駆動力により回転する第2遊星ギア132および第3遊星ギア133は対向する開閉ギア131と離れている。そのため、第1サイドギア101および第2サイドギア103は、デフリングギア102の回転させる駆動力により、同一の方向に自由に回転する。よって、開閉搬送路11は開位置に保持されたままとなる。
そしてレシート排出口4と逆の方向に搬送されたレシートは、開閉搬送路11の開位置への移動により生じた開口を通過して、レシートプリンタ10内に取り込まれる。
以上より、自動取引装置1は、連続用紙20の印字長さが所定の基準長さよりも超える場合、または超えない場合に応じて、開閉搬送路11を開閉し、連続用紙20およびレシートの搬送を正確に制御することが可能となる。それに加えて、自動取引装置1は、顧客が取り忘れたレシートを再度装置内に取り込むことが可能となる。
<4.まとめ>
以上説明したように、本実施形態によれば、支持部材13を有する開閉搬送路11の構造により、開閉搬送路11の開位置への移動により生じた開口から弛み出た連続用紙20を、自動取引装置の揺動や発熱から受ける損傷の可能性を低減することが可能である。
また、本実施形態によれば、本実施形態に係る開閉搬送路11を用いることにより、例えば、上記開口から弛み出た連続用紙20の周囲を仕切る構成を、予め上記開口の下部に固定的に設けておく必要がないため、装置の小型化や部品点数の抑制などの効果が享受されると考えられる
また、本実施形態によれば、第1の伝達機構50−1の構成により、連続用紙20の印字長さが所定の基準長さよりも超える場合、または超えない場合に応じて開閉搬送路11を開閉し、連続用紙20およびレシートの搬送を正確に制御することが可能である。
また、本実施形態によれば、第2の伝達機構50−2の構成により、上記の連続用紙20およびレシートの搬送の制御における効果に加えて、顧客が取り忘れたレシートを再度装置内に取り込むことが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、第1の伝達機構50−1および第2の伝達機構50−2はギアにより構成されるが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、各伝達機構は、プーリやベルト、チェーン等の他の伝動部品やその組み合わせにより構成されてもよい。また、各図において示された各伝達機構のギアの数、配置、および大きさ等は本明細書において記載された例に限定されず、各伝達機構が解決しようとする課題を達成する構成であれば、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書においては上記実施形態に係る自動取引装置をATMに適用する例を説明したが、本発明は、例えば、電子マネーのチャージ機、券売機、およびレジスタ等の多様な自動取引装置にも適用可能である。