以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態による紙葉類処理機およびこの紙葉類処理機に設けられた紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部や収納繰出部)を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙葉類処理機の内部を側方から見たときの構成を模式的に示す構成図であり、図2は、図1に示す紙葉類処理機に設けられた一時保留部や収納繰出部の構成の詳細を示す側面図であり、図3は、図2に示す一時保留部や収納繰出部を上方から見たときの構成を示す上面図である。また、図4は、図1に示す紙葉類処理機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図5は、図2に示す一時保留部や収納繰出部においてテープにより紙葉類がドラムに巻き取られたときの状態を模式的に示す図である。また、図6は、図1に示す紙葉類処理機において、相対位置関係検知手段により検知される、紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートに対する紙葉類の相対位置関係を説明するための図である。また、図7は、図1に示す紙葉類処理機において精査処理を行う際に収納部から一時保留部に送られる新札の紙幣の状態を示す図であり、図8(a)〜(c)は、図1に示す紙葉類処理機において精査処理を行う際に判別部による判別で異常が発生した紙幣を一時保留部から繰り出す際の動作を順に示す図である。
本実施の形態による紙葉類処理機10は、機体外から投入された紙幣や小切手、手形等の紙葉類を機体内に収納するとともに、機体内に収納された各金種の新札の紙幣を機体外に投出するようになっている。また、本実施の形態では、その一部が損傷した損券等を紙葉類処理機10の機体内に収納する場合には、そのままの状態で機体内で例えば搬送部16(後述)により搬送を行うと当該搬送部16において紙葉類が破れてしまい詰まり等のトラブルが発生するおそれがあるため、このような紙葉類は透明または半透明のキャリアシートに収容した状態で処理を行う。より詳細には、キャリアシートは少なくとも一つの端縁が互いに接続された2枚重ねのフィルム等からなり、この2枚重ねのフィルムの間に紙葉類を収容した状態でキャリアシートごと搬送部16により搬送するようになっている。ここで、キャリアシートに収容された状態で搬送部16により搬送される紙葉類を図6に示す。図6において、参照符号Sは紙葉類を示し、参照符号Tは当該紙葉類を収容したキャリアシートを示す。また、このようなキャリアシートにおいて、参照符号T´に示す箇所で2枚のフィルムが互いに接続されている。なお、図6において搬送部16による紙葉類の搬送方向を矢印で示している。
本実施の形態による紙葉類処理機10の全体構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施の形態による紙葉類処理機10は、略直方体形状の筐体11を備えており、この筐体11の前面(すなわち、図1における左側部)には、当該筐体11の外部から内部に紙幣や小切手、手形等の紙葉類を投入するための投入部12、および筐体11の内部から外部に紙葉類を投出するための投出部32がそれぞれ設けられている。投出部32から投出される紙葉類の種類の詳細については後述する。投入部12には、当該投入部12に積層状態で投入された複数の紙葉類を1枚ずつ筐体11の内部に繰り出すための繰出機構12aが設けられている。また、投入部12には紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送部16が接続されており、繰出機構12aにより投入部12から繰り出された紙葉類は搬送部16により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、搬送部16の途中箇所には撮像カメラ等からなる読取部18が設けられており、この読取部18により、搬送部16により搬送される紙葉類の表面および/または裏面が撮像されて当該紙葉類の表面および/または裏面の画像が取得されるようになっている。
また、図1に示すように、読取部18には光透過センサ18aおよび光反射センサ18bがそれぞれ設けられており、これらの光透過センサ18aおよび光反射センサ18bにより紙葉類や紙葉類を収容したキャリアシートが検知されるようになっている。ここで、図1では紙葉類の搬送方向に沿って並ぶよう光透過センサ18aおよび光反射センサ18bが図示されているが、これは光透過センサ18aおよび光反射センサ18bの両方を分かりやすく図示するために模式的に示したに過ぎず、実際には搬送部16により搬送される紙葉類の幅方向に沿って並ぶよう光透過センサ18aおよび光反射センサ18bが配置されている。本実施の形態では、これらの光透過センサ18aおよび光反射センサ18bにより、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で搬送部16により搬送されるときに当該紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートに対する紙葉類の相対位置関係を検知する相対位置関係検知手段18c(図4参照)が構成されている。このような紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートに対する紙葉類の相対位置関係について図6を用いて以下に説明する。
相対位置関係検知手段18cにおける光透過センサ18aは、紙葉類の搬送路を挟むよう対向して設けられた発光素子および受光素子からなり、発光素子と受光素子との間の光軸が紙葉類により遮られることによって当該光透過センサ18aは遮光状態となり、このことにより紙葉類が検知されるようになっている。このような光透過センサ18aによって、搬送部16により搬送される紙葉類について、搬送方向における先端縁(図6における参照符号S1で示される箇所)および後端縁(図6における参照符号S2で示される箇所)がそれぞれ検知されるようになる。具体的には、光透過センサ18aが透光状態から遮光状態となったときに紙葉類の搬送方向における先端縁が光透過センサ18aに到達したことが検知され、また、光透過センサ18aが遮光状態から透光状態となったときに紙葉類の搬送方向における後端縁が光透過センサ18aに到達したことが検知される。なお、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で搬送部16により搬送されているときには、当該キャリアシートが透明または半透明であることによりこのようなキャリアシートは光透過センサ18aでは検知することができない。
また、相対位置関係検知手段18cにおける光反射センサ18bは紙葉類の搬送路に対して同じ側に設けられた発光素子および受光素子からなり、発光素子から発せられた光が紙葉類により反射して受光素子により受けられることにより紙葉類が検知されるようになっている。このような光反射センサ18bによって、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で搬送部16により搬送されているときに、このキャリアシートについて搬送方向における先端縁(図6における参照符号T1で示される箇所)および後端縁(図6における参照符号T2で示される箇所)がそれぞれ検知されるようになる。具体的には、光反射センサ18bにおいて発光素子から発せられた光が受光素子により受けられたときにキャリアシートの搬送方向における先端縁が光反射センサ18bに到達したことが検知され、また、発光素子から発せられた光が受光素子により受けられなくなったときにキャリアシートの搬送方向における後端縁が光反射センサ18bに到達したことが検知される。
本実施の形態では、相対位置関係検知手段18cにおいて、光透過センサ18aによって、搬送部16により搬送される紙葉類について、搬送方向における先端縁(図6における参照符号S1で示される箇所)および後端縁(図6における参照符号S2で示される箇所)がそれぞれ検知され、また、光反射センサ18bによって、紙葉類を収容したキャリアシートについて、搬送方向における先端縁(図6における参照符号T1で示される箇所)および後端縁(図6における参照符号T2で示される箇所)がそれぞれ検知されるため、当該相対位置関係検知手段18cにより、紙葉類の搬送方向における紙葉類の長さ(図6において参照符号Bで示す大きさ)およびキャリアシートの長さ(図6において参照符号A+B+Cで示す大きさ)がそれぞれ検知される。また、相対位置関係検知手段18cにより、紙葉類の搬送方向における紙葉類の先端縁とキャリアシートの先端縁との間の距離(図6において参照符号Cで示す大きさ)も検知される。
また、図1に示すように、搬送部16には一時保留部20、各紙葉類収納カセット22、24、26、28、収納繰出部30がそれぞれ接続されている。一時保留部20は、搬送部16から送られた紙葉類を1枚ずつ収納するとともに収納された紙葉類を1枚ずつ搬送部16に繰り出すようになっている。投入部12から繰出機構12aにより搬送部16に繰り出され、読取部18によりその表面および/または裏面の画像が取得された紙葉類は当該搬送部16により一時保留部20に送られ、この一時保留部20で一時的に保留されるようになっている。このような一時保留部20の構成の詳細については後述する。
また、各紙葉類収納カセット22、24、26、28は、搬送部16から送られた紙葉類を積層状態で収納するようになっている。より詳細には、各紙葉類収納カセット22、24、26は、一時保留部20に一時的に保留された後に当該一時保留部20から繰り出された紙葉類のうち紙幣以外のもの(具体的には、小切手や手形)を収納するようになっている。また、損券等の紙葉類を収容したキャリアシートは、一時保留部20に一時的に保留された後、この一時保留部20から繰り出されて紙葉類収納カセット28や次に述べる収納繰出部30に収納されるようになる。
また、収納繰出部30は、搬送部16から送られた紙葉類を1枚ずつ収納するとともに収納された紙葉類を1枚ずつ搬送部16に繰り出すようになっている。本実施の形態では、一時保留部20に紙葉類が一時的に保留された後、操作者によって操作表示部46(後述)により承認指令が制御部45(後述)に入力されると、一時保留部20から繰り出された紙葉類の一部または全部が収納繰出部30に収納されるようになっている。このような収納繰出部30の構成の詳細については後述する。
また、搬送部16において一時保留部20や収納繰出部30の近傍には、紙葉類を収容したキャリアシートの検知を行うキャリアシート検知部19が設けられている。具体的には、各キャリアシート検知部19において、紙葉類の搬送方向に沿って並ぶよう2つの光反射センサ19a、19bが設けられている。各光反射センサ19a、19bは紙葉類の搬送路に対して同じ側に設けられた発光素子および受光素子からなり、発光素子から発せられた光が紙葉類により反射して受光素子により受けられることにより紙葉類が検知されるようになっている。このような光反射センサ19a、19bによって、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で一時保留部20や収納繰出部30に送られる際に、このキャリアシートについて搬送方向における先端縁(図6における参照符号T1で示される箇所)および後端縁(図6における参照符号T2で示される箇所)がそれぞれ検知されるようになる。
また、図1に示すように、搬送部16には各金種の新札の紙幣を収納する複数の収納部34、36、38、40がそれぞれ接続されている。ここで、各収納部34、36、38、40にはそれぞれ繰出機構34a、36a、38a、40aが設けられており、これらの繰出機構34a、36a、38a、40aにより各収納部34、36、38、40に収納された新札の紙幣が1枚ずつ搬送部16に繰り出されるようになっている。本実施の形態では、収納部34、36、38にそれぞれ新札の一万円札、千円札、五千円札が収納されるようになっている。また、収納部40には任意の金種の紙幣を収納することができるようになっている。また、搬送部16の途中箇所には判別部42が設けられており、各収納部34、36、38、40から繰出機構34a、36a、38a、40aにより搬送部16に繰り出された紙幣は当該判別部42により予め設定された所定の金種の紙幣であるか否かが判別されるようになっている。なお、判別部42により予め設定された所定の金種の紙幣ではないと判別された紙幣はリジェクト紙幣として一時保留部20に送られるようになっている。また、判別部42により、搬送部16により搬送される紙幣に斜行、連鎖、重送等の搬送異常が発生しているか否かも判別されるようになっている。紙葉類処理機10において新札の紙幣の出金処理を行う場合には、各収納部34、36、38、40から繰出機構34a、36a、38a、40aにより搬送部16に繰り出され、判別部42によりその金種等の判別が行われた紙幣が投出部32に送られるようになる。
図1に示すように、投出部32には、搬送部16から送られた紙葉類を整列するための羽根車32aおよびこの羽根車32aにより整列された紙葉類が積層状態で集積される載置台32bがそれぞれ設けられている。また、操作者は筐体11の外部から投出部32にアクセスすることができるようになっており、このことにより載置台32bに載置された紙葉類を操作者は筐体11の外部に取り出すことができるようになっている。このような投出部32により筐体11の内部から外部に投出される紙葉類の種類としては、投入部12により筐体11の内部に投入された紙葉類のうち各紙葉類収納カセット22、24、26、28や収納繰出部30に収納されることなくリジェクトされた紙葉類、一時保留部20や収納繰出部30から回収されるべき紙葉類、ならびに各収納部34、36、38、40から出金されるべき新札の紙幣等が挙げられる。
次に、このような紙葉類処理機10の制御系の構成について図4を用いて説明する。図4に示すように、本実施の形態の紙葉類処理機10には制御部45が設けられており、この制御部45は投入部12(より詳細には、投入部12の繰出機構12a)、搬送部16、読取部18、相対位置関係検知手段18c、キャリアシート検知部19、一時保留部20、収納繰出部30、収納部34、36、38、40(より詳細には、収納部34、36、38、40の繰出機構34a、36a、38a、40a)、判別部42、投出部32(より詳細には、投出部32の羽根車32a)がそれぞれ通信可能に接続されている。ここで、読取部18により取得された紙葉類の表面および/または裏面の画像、相対位置関係検知手段18cによる検知結果、キャリアシート検知部19による検知結果、および判別部42による紙幣の判別結果に係る情報は制御部45に送られるようになっている。制御部45は、読取部18により取得された紙葉類の表面および/または裏面の画像に基づいて、当該紙葉類の種類や金種、額面等を判別するようになっている。また、制御部45は、投入部12、搬送部16、一時保留部20、収納繰出部30、収納部34、36、38、40、投出部32等に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。
また、図4に示すように、制御部45には操作表示部46、記憶部47、印字部48、通信インターフェース部49がそれぞれ通信可能に接続されている。操作表示部46は例えば筐体11の前面または上面に配設されたタッチパネル等からなり、操作者は操作表示部46により制御部45に対して様々な指令を入力することができるとともに当該操作表示部46には紙葉類処理機10における紙葉類の処理内容や当該紙葉類処理機10の機体内に収納された紙葉類(具体定には、紙幣や小切手)の在高等が表示されるようになっている。また、記憶部47は、紙葉類処理機10における紙葉類の処理内容の履歴や当該紙葉類処理機10の機体内に収納された紙葉類(具体定には、紙幣や小切手)の在高等の情報を記憶するようになっている。また、印字部48は、紙葉類処理機10における紙葉類の処理内容や当該紙葉類処理機10の機体内に収納された紙葉類(具体定には、紙幣や小切手)の在高等の情報をレシート等に印字するようになっている。また、紙葉類処理機10の制御部45は通信インターフェース部49を介して上位端末等の外部装置と通信可能に接続されており、この通信インターフェース部49により当該外部装置に対して信号の送受信が行われるようになっている。なお、本実施の形態の紙葉類処理機10において、操作表示部46や記憶部47が設置されていないものが用いられてもよい。この場合には、紙葉類処理機10に対して通信インターフェース部49によりコンピュータ等が接続され、当該コンピュータに上記の操作表示部46や記憶部47と同等の機能を有するキーボード等の操作部、モニタ等の表示部、および記憶部等が設けられるようになる。
次に、このような紙葉類処理機10における一時保留部20および収納繰出部30の構成の詳細について図2、図3および図5を用いて説明する。本実施の形態では、一時保留部20および収納繰出部30は略同一の構成となっている。具体的には、一時保留部20および収納繰出部30は、それぞれ、一対の帯状のテープ60、62の間に紙葉類を挟み込んだ状態でこれらの一対のテープ60、62をドラム50に巻き取ることによって複数の紙葉類を1枚ずつドラム50に収納するとともに、ドラム50から一対のテープ60、62を巻き戻すことによって紙葉類を1枚ずつドラム50から巻き出す方式のテープ式紙葉類収納繰出装置からなる。
図2に示すように、一時保留部20や収納繰出部30は、回転自在となっているドラム50と、その一端がそれぞれドラム50の外周面に接続された一対の帯状のテープ60、62と、回転自在となっており一対の帯状のテープ60、62のうち一方のテープ60の他端がその外周面に接続された第1のテープリール52と、回転自在となっており一対の帯状のテープ60、62のうち他方のテープ62の他端がその外周面に接続された第2のテープリール54とを有している。
ドラム50は軸50aを中心として図2における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。具体的には、搬送部16から送られた紙葉類を一時保留部20や収納繰出部30に収納する際には、ドラム50は図2における反時計回りの方向に回転し、搬送部16から一対の帯状のテープ60、62の間に送られた紙葉類がこれらのテープ60、62により挟み込まれた状態で一対のテープ60、62ごと紙葉類がドラム50に巻き取られるようになる。図5に、一対のテープ60、62に挟まれた状態にある紙葉類がドラム50に巻き取られたときの構成を模式的に示す。一方、一時保留部20や収納繰出部30に収納された紙葉類を搬送部16に繰り出す際には、ドラム50は図2における時計回りの方向に回転し、ドラム50から一対のテープ60、62を巻き戻すことによってこれらの一対のテープ60、62の間に挟まれた状態にある紙葉類が解放されて搬送部16に送られるようになる。なお、本実施の形態では、一時保留部20や収納繰出部30において紙葉類や紙葉類を収容したキャリアシートはこれらの紙葉類やキャリアシートの長手方向に沿って搬送されてドラム50に巻き取られるようになっている。
また、図2および図3に示すように、一時保留部20や収納繰出部30には、ドラム50を回転駆動させる駆動モータ58が設けられている。より詳細には、駆動モータ58には回転軸を介してプーリ58aが接続されており、このプーリ58aには駆動ベルト59が掛け渡されている。また、ドラム50の軸50aにもプーリ50bが接続されており、このプーリ50bに上記の駆動ベルト59が掛け渡されている。このことにより、駆動モータ58がプーリ58aを回転駆動させると、駆動ベルト59を介して駆動モータ58による回転駆動力が軸50aに伝達され、ドラム50が回転駆動されるようになる。
第1のテープリール52には、一対の帯状のテープ60、62のうち一方のテープ60が巻回される円筒形状の巻回部52aが設けられており、この巻回部52aの外周面にテープ60の他端が接続されている。また、第1のテープリール52は軸52bを中心として図2における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。ここで、第1のテープリール52が図2における時計回りの方向に回転することにより、テープ60が巻回部52aに巻回されるようになり、一方、第1のテープリール52が図2における反時計回りの方向に回転することにより、巻回部52aに巻き取られたテープ60が巻き戻されるようになる。
また、図3に示すように、第1のテープリール52の側面にはトルクリミッタ53が設けられている。ここで、トルクリミッタ53の内側部分は図示しないピン等により軸52bに固定されており、当該トルクリミッタ53の内側部分は軸52bと一体的に回転するようになっている。一方、トルクリミッタ53の外側部分は第1のテープリール52の側面に固定されており、当該トルクリミッタ53の外側部分は第1のテープリール52と一体的に回転するようになっている。また、第1のテープリール52は軸52bに対して回転自在となっている。そして、トルクリミッタ53において、当該トルクリミッタ53の内側部分や外側部分に加えられる外力(回転駆動力)がこれらの内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも小さい場合はトルクリミッタ53の内側部分および外側部分は一体的に回転するが、上記の外力がトルクリミッタ53の内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きい場合はこれらの内側部分および外側部分は互いに対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。また、軸52bには上記の駆動ベルト59が掛け渡されるプーリ52dが接続されており、このプーリ52dにはワンウェイクラッチ(図示せず)が内蔵されている。
ドラム50がテープ60を巻き取る方向に駆動モータ58がプーリ58aを回転駆動させて駆動ベルト59を循環移動させた場合には、プーリ52dに内蔵されたワンウェイクラッチにより駆動ベルト59による駆動力は軸52bに伝達されず、当該軸52bは回転しないようになる。この場合には、ドラム50が図2における反時計回りの方向に回転することによって当該ドラム50にテープ60が巻き取られ、このようなテープ60の巻き取り動作により第1のテープリール52も図2における反時計回りの方向に回転するようになるが、この際に、トルクリミッタ53において外側部分に加えられる外力(回転駆動力)が当該トルクリミッタ53の内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きくなることによりトルクリミッタ53の外側部分は内側部分に対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。一方、ドラム50からテープ60を巻き出す方向に駆動モータ58がプーリ58aを回転駆動させて駆動ベルト59を循環移動させた場合には、駆動ベルト59による駆動力が軸52bに伝達され、トルクリミッタ53を介して回転駆動力が第1のテープリール52に伝達されることにより当該第1のテープリール52が回転駆動されるようになる。この場合には、第1のテープリール52が図2における時計回りの方向に回転することによってドラム50からテープ60が巻き出され、このようなテープ60の巻き出し動作によりドラム50も図2における時計回りの方向に回転するようになるが、第1のテープリール52によるテープ60の巻き取り速度がドラム50からのテープ60の巻き出し速度よりも常に大きくなるようプーリ50b、52dのギヤ比が設定されていることにより、テープ60の張力が維持されるようになっている。また、この際に、トルクリミッタ53において内側部分に加えられる外力(回転駆動力)が当該トルクリミッタ53の内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きくなることによりトルクリミッタ53の内側部分は外側部分に対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。
第2のテープリール54には、一対の帯状のテープ60、62のうち他方のテープ62が巻回される円筒形状の巻回部54aが設けられており、この巻回部54aの外周面にテープ62の他端が接続されている。また、第2のテープリール54は軸54bを中心として図2における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方に回転することができるようになっている。ここで、第2のテープリール54が図2における時計回りの方向に回転することにより、テープ62が巻回部54aに巻回されるようになり、一方、第2のテープリール54が図2における反時計回りの方向に回転することにより、巻回部54aに巻き取られたテープ62が巻き戻されるようになる。
また、第1のテープリール52と同様に、第2のテープリール54の側面にはトルクリミッタ55が設けられている。ここで、トルクリミッタ55の内側部分は図示しないピン等により軸54bに固定されており、当該トルクリミッタ55の内側部分は軸54bと一体的に回転するようになっている。一方、トルクリミッタ55の外側部分は第2のテープリール54の側面に固定されており、当該トルクリミッタ55の外側部分は第2のテープリール54と一体的に回転するようになっている。また、第2のテープリール54は軸54bに対して回転自在となっている。そして、トルクリミッタ55において、当該トルクリミッタ55の内側部分や外側部分に加えられる外力(回転駆動力)がこれらの内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも小さい場合はトルクリミッタ55の内側部分および外側部分は一体的に回転するが、上記の外力がトルクリミッタ55の内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きい場合はこれらの内側部分および外側部分は互いに対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。また、軸54bには上記の駆動ベルト59が掛け渡されるプーリ(図示せず)が接続されており、このプーリにはワンウェイクラッチ(図示せず)が内蔵されている。
ドラム50がテープ62を巻き取る方向に駆動モータ58がプーリ58aを回転駆動させて駆動ベルト59を循環移動させた場合には、軸54bに接続されたプーリに内蔵されたワンウェイクラッチにより駆動ベルト59による駆動力は軸54bに伝達されず、当該軸54bは回転しないようになる。この場合には、ドラム50が図2における反時計回りの方向に回転することによって当該ドラム50にテープ62が巻き取られ、このようなテープ62の巻き取り動作により第2のテープリール54も図2における反時計回りの方向に回転するようになるが、この際に、トルクリミッタ55において外側部分に加えられる外力(回転駆動力)が当該トルクリミッタ55の内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きくなることによりトルクリミッタ55の外側部分は内側部分に対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。一方、ドラム50からテープ62を巻き出す方向に駆動モータ58がプーリ58aを回転駆動させて駆動ベルト59を循環移動させた場合には、駆動ベルト59による駆動力が軸54bに伝達され、トルクリミッタ55を介して回転駆動力が第2のテープリール54に伝達されることにより当該第2のテープリール54が回転駆動されるようになる。この場合には、第2のテープリール54が図2における時計回りの方向に回転することによってドラム50からテープ62が巻き出され、このようなテープ62の巻き出し動作によりドラム50も図2における時計回りの方向に回転するようになるが、第2のテープリール54によるテープ62の巻き取り速度がドラム50からのテープ62の巻き出し速度よりも常に大きくなるようプーリ50bと軸54bに設けられた上記のプーリとのギヤ比が設定されていることにより、テープ62の張力が維持されるようになっている。また、この際に、トルクリミッタ55において内側部分に加えられる外力(回転駆動力)が当該トルクリミッタ55の内側部分および外側部分の間の回転抵抗よりも大きくなることによりトルクリミッタ55の内側部分は外側部分に対して一定荷重の回転抵抗でスリップしながら回転するようになる。
また、図2に示すように、一時保留部20や収納繰出部30には、ドラム50と第1のテープリール52との間で搬送されるテープ60を案内する複数の案内ローラ80、70、84、86、ならびにドラム50と第2のテープリール54との間で搬送されるテープ62を案内する複数の案内ローラ88、89がそれぞれ設けられている。ここで、案内ローラ86とドラム50との間では、一対の帯状のテープ60、62が重ね合わせられた状態となるが、案内ローラ86により一対の帯状のテープ60、62のうち一方のテープ60が案内ローラ84側に向かって案内されることによりこれらのテープ60、62が分離するようになる。すなわち、一対のテープ60、62の間に挟まれた状態でドラム50に巻き取られている紙葉類が搬送部16に繰り出される際にドラム50が図2において時計回りの方向に回転すると、このドラム50に巻き取られている一対のテープ60、62が巻き戻されるようになるが、案内ローラ86、88によりこれらのテープ60、62が分離することにより、紙葉類が案内ローラ86、88の近傍においてテープ60、62の間から図2における左方に放出されるようになる。
また、図2に示すように、一時保留部20や収納繰出部30には、搬送部16からこれらの一時保留部20や収納繰出部30に送られた紙葉類が一対のテープ60、62の間に挟まれるまで当該紙葉類を案内する一対の案内部材90、92が位置固定で設けられている。搬送部16からこれらの一時保留部20や収納繰出部30に送られた紙葉類は、一対の案内部材90、92の間の隙間を通って一対のテープ60、62の間に挟まれるようになる。また、一対のテープ60、62の間に挟まれた状態でドラム50に巻き取られている紙葉類が搬送部16に繰り出される際に、一対のテープ60、62の間から放出された紙葉類は一対の案内部材90、92の間の隙間を通って搬送部16に送られるようになる。また、各案内部材90、92にはそれぞれ例えばゴムローラ等からなる案内ローラ90a、92aが回転自在に取り付けられており、これらの案内ローラ90a、92aの外周面が互いに向かって押圧されて接触した状態となっている。このことにより、搬送部16から一時保留部20や収納繰出部30に送られた紙葉類や、ドラム50に巻き取られている紙葉類が搬送部16に繰り出される際に一対のテープ60、62の間から放出された紙葉類は、案内ローラ90a、92aの間に形成されたニップ部を通るようになる。
案内ローラ84は軸84aを中心として回転自在となっており、案内ローラ86は軸86aを中心として回転自在となっている。これらの案内ローラ84、86は、それぞれ、当該案内ローラ84、86に掛けられたテープ60に連れ回るようになっている。図2に示すように、これらの案内ローラ84、86は案内部材90に設けられている。
また、案内ローラ70は軸70aを中心として回転自在となっている。ここで、案内ローラ70は例えばゴムローラからなり、この案内ローラ70は、当該案内ローラ70に掛けられたテープ60に連れ回るようになっている。案内ローラ70の材料がゴムであることにより、当該案内ローラ70に掛けられたテープ60が案内ローラ70の外周面で滑ってしまうことが抑制される。
図2に示すように、案内ローラ70の軸70aには当該案内ローラ70と同期して回転する検知板76が取り付けられている。また、この検知板76の近傍には、当該検知板76の回転量を検知する検知板回転量検知器としてフォトインタラプタ78が設けられている。より詳細には、図2に示すように検知板76は歯車形状の板状のものからなる。また、フォトインタラプタ78は検知板76の外周縁を挟んで配置された発光素子および受光素子を有しており、検知板76が回転すると当該フォトインタラプタ78における発光素子と受光素子との間の光軸が歯車形状の検知板76の歯部分により断続的に遮光されるようになっている。このように、検知板76が回転するとフォトインタラプタ78は透光状態および遮光状態を繰り返すようになるが、この透光状態および遮光状態の切り替わりの回数(パルス数)に基づいて検知板76の回転量を検知するようになる。そして、フォトインタラプタ78により検知される検知板76の回転量に基づいて、テープ60の移動量が算出されるようになっている。本実施の形態では、このような検知板76およびフォトインタラプタ78により、ドラム50と第1のテープリール52との間でのテープ60の移動量を直接的に検知するテープ移動量検知手段66(図4参照)が構成されている。
また、本実施の形態では、検知板76およびフォトインタラプタ78からなるテープ移動量検知手段66は、ドラム50と第1のテープリール52との間で移動するテープ60に異常が発生しているか否かも検知するようになっている。具体的には、ドラム50と第1のテープリール52との間でテープ60が移動している際に、フォトインタラプタ78における透光状態および遮光状態の周期の時間間隔が予め設定された所定の範囲から外れてしまった場合には、テープ60に異常が発生したことが(具体的には、テープ60が損傷したことが)検知されるようになる。テープ60に異常が発生したことが検知されると、制御部45はテープ62に異常が発生したことについて操作表示部46で警告表示を行ったり通信インターフェース部49により上位端末等の外部装置に送信したりする。
また、図2に示すように、案内ローラ70に対向して、当該案内ローラ70の外周面に向かって押圧される押圧部材としてピンチローラ72が設けられており、案内ローラ70に掛けられたテープ60は、この案内ローラ70とピンチローラ72との間を通ることにより案内ローラ70に押し当てられるようになっている。より詳細には、ピンチローラ72は軸74aを中心として回転する支持部材74により回転自在に支持されるようになっている。また、支持部材74の軸74aには、当該軸74aを中心として支持部材74を図2における反時計回りの方向に付勢するねじりバネ等の付勢手段が設けられており、この付勢手段によりピンチローラ72が案内ローラ70の外周面に向かって押圧されるようになっている。このようなピンチローラ72が設けられていることにより、テープ60が案内ローラ70に押し当てられるようになるため、案内ローラ70に巻かれたテープ60が当該案内ローラ70の外周面で滑ってしまうことが防止されるようになる。このことにより、フォトインタラプタ78により検知される検知板76の回転量に基づいてテープ60の移動量を算出する際に、当該テープ60の移動量を精度良く算出することができるようになる。
また、図2に示すように、案内ローラ80が案内ローラ70と第1のテープリール52との間に設けられており、当該案内ローラ80は軸80bを中心として回転自在となっている。具体的には、案内ローラ80は、当該案内ローラ80に掛けられたテープ60に連れ回るようになっている。また、案内ローラ80の両側方には、当該案内ローラ80やこの案内ローラ80に巻かれるテープ60の幅を規制するための一対のフランジ80aが軸80bに対して位置固定で設けられている。また、案内ローラ80を支持する支持部材82が設けられており、案内ローラ80は当該支持部材82の先端部分に回転自在に取り付けられている。この支持部材82の基端部分は案内ローラ70の軸70aに対して回転自在に取り付けられている。ここで、案内ローラ70の軸70aには、当該軸70aを中心として支持部材82を図2における時計回りの方向に付勢するねじりバネ等の付勢手段が設けられている。このような付勢手段により支持部材82が軸70aを中心として図2における時計回りの方向に付勢されることにより、案内ローラ80が図2における右方向に押圧され、このことにより案内ローラ70と第1のテープリール52との間でのテープ60に張力が与えられるようになる。このように、本実施の形態では、案内ローラ80を支持する支持部材82により、案内ローラ70と第1のテープリール52との間でのテープ60の張力を調整するためのテープ張力調整部が構成されている。このようなテープ張力調整部が設けられていることにより、一対のテープ60、62をドラム50に巻き付けることにより当該ドラム50に紙葉類を収納する際に、第1のテープリール52とテープ移動量検知手段66との間で移動するテープ60の張力を所定の大きさに維持することができるため、第1のテープリール52から案内ローラ70に送られるまでのテープ60が緩んでしまうことが防止される。この場合には、案内ローラ70にテープ60がぴったりと適切に巻かれるようになるため、当該テープ60が当該案内ローラ70の外周面で滑ってしまうことが防止されるようになる。
また、図2に示すように、案内ローラ70と案内ローラ84との間には、これらの案内ローラ70と案内ローラ84との間で移動するテープ60の端部を検知するテープ端検知センサ96が設けられている。具体的には、テープ60自体は透明であるがこのテープ60の端部には遮光シールが貼り付けられている。また、テープ端検知センサ96は発光素子96aおよび受光素子96bからなり、テープ60の端部が発光素子96aと受光素子96bとの間にある光軸に移動して上記の遮光シールによりこの光軸が遮光されたときに、テープ端検知センサ96はテープ60の端部を検知する。
また、図2に示すように、第2のテープリール54の軸54bには、当該第2のテープリール54と同期して回転する検知板56が取り付けられている。また、この検知板56の近傍には、当該検知板56の回転量を検知する検知板回転量検知器としてフォトインタラプタ57が設けられている。より詳細には、図2に示すように検知板56は歯車形状の板状のものからなる。また、フォトインタラプタ57は検知板56の外周縁を挟んで配置された発光素子および受光素子を有しており、検知板56が回転すると当該フォトインタラプタ57における発光素子と受光素子との間の光軸が歯車形状の検知板56の歯部分により断続的に遮光されるようになっている。このように、検知板56が回転するとフォトインタラプタ57は透光状態および遮光状態を繰り返すようになるが、この透光状態および遮光状態の切り替わりの回数(パルス数)に基づいて検知板56の回転量を検知するようになる。また、本実施の形態では、フォトインタラプタ57により、ドラム50と第2のテープリール54との間で移動するテープ62に異常が発生しているか否かが検知されるようになっている。具体的には、ドラム50と第2のテープリール54との間でテープ62が移動している際に、フォトインタラプタ57における透光状態および遮光状態の周期の時間間隔が予め設定された所定の範囲から外れてしまった場合には、テープ62に異常が発生したことが(具体的には、テープ62が損傷したことが)検知されるようになる。テープ62に異常が発生したことが検知されると、制御部45はテープ62に異常が発生したことについて操作表示部46で警告表示を行ったり通信インターフェース部49により上位端末等の外部装置に送信したりする。
また、図2に示すように、ドラム50に巻かれたテープ60、62を押圧するベアリング98が設けられている。このようなベアリング98は可動ガイド97の先端部分において軸98aを中心として回転自在に取り付けられている。また、一対の案内部材90、92および可動ガイド97は一体的に軸93を中心として回転するようになっており、また、軸93を中心として一対の案内部材90、92および可動ガイド97を一体的に図2に反時計回りの方向に付勢するバネ93a等の付勢手段が設けられている。このような付勢手段により一対の案内部材90、92および可動ガイド97が軸93を中心として図2における反時計回りの方向に付勢されることにより、ベアリング98が図2における上方向に押圧され、このことによりドラム50に巻かれたテープ60、62が当該ベアリング98によりこのドラム50の軸50a側に向かって押圧されるようになる。また、バネ93a等の付勢手段により一対の案内部材90、92および可動ガイド97が軸93を中心として図2における反時計回りの方向に付勢されるようになっているため、ドラム50に巻き取られたテープ60、62が当該ドラム50から巻き戻されることによりテープ60、62の外部径が小さくなってもベアリング98は常にテープ60、62に接触して当該テープ60、62を押圧するようになる。このようなベアリング98が設けられていることにより、ドラム50と案内ローラ86や案内ローラ88との間でテープ60、62が緩んでしまうことが防止される。
また、図2に示すように、一対の案内部材90、92の間の領域から送られた紙葉類が一対のテープ60、62により挟まれる箇所の近傍には、紙葉類の検知を行う紙葉類検知センサとして光透過センサ94、95が紙葉類の搬送路に沿って並ぶよう設けられている。より詳細には、光透過センサ94は、各案内部材90、92に設けられた案内ローラ90a、92aと、案内ローラ86や案内ローラ88との間に設けられており、また、光透過センサ95は、案内ローラ86により一対のテープ60、62が互いに接触する箇所に設けられている。ここで、光透過センサ94は、紙葉類の搬送路を挟んで設けられた発光素子94aおよび受光素子94bからなり、発光素子94aと受光素子94bとの間の光軸(すなわち、図2において上下方向に延びる光軸)が紙葉類により遮断されることにより遮光状態となり、このことにより紙葉類を検知するようになっている。同様に、光透過センサ95は、紙葉類の搬送路を挟んで設けられた発光素子95aおよび受光素子95bからなり、発光素子95aと受光素子95bとの間の光軸(すなわち、図2において上下方向に延びる光軸)が紙葉類により遮断されることにより遮光状態となり、このことにより紙葉類を検知するようになっている。一対のテープ60、62により紙葉類が挟まれたりこれらの一対のテープ60、62から紙葉類が放出されたりする箇所の近傍にこのような光透過センサ94、95が設けられていることにより、当該箇所で紙葉類の異常が発生したときにこの異常をすぐに検知することができるようになる。具体的には、ドラム50に巻かれたテープ60、62が当該ドラム50から巻き戻されることによりこれらのテープ60、62の間から紙葉類が放出される際に、紙葉類に粘着物が付着していることにより当該紙葉類がテープ60、62から離間せずに貼り付いてしまった場合でも、テープ60、62から放出されるべき紙葉類が一対の案内部材90、92の間に送られずに滞留してしまっていることを光透過センサ94、95により迅速に検知することができるようになる。
また、本実施の形態では、光透過センサ95により、紙葉類の搬送方向における当該紙葉類の長さが検知されるようになっている。ここで、本実施の形態では、このような光透過センサ95により、紙葉類の検知を行う紙葉類検知部64(図4参照)が構成されている。なお、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で搬送部16から一時保留部20や収納繰出部30に送られたときには、当該キャリアシートが透明または半透明であることによりこのようなキャリアシートは光透過センサ94、95では検知することができない。
次に、本実施の形態による紙葉類処理機10の動作について説明する。具体的には、紙葉類を収容したキャリアシートを投入部12から紙葉類処理機10の機体内に繰り出した後に一時保留部20に一時的に保留させる際の動作や、紙葉類を収容したキャリアシートを一時保留部20から繰り出す際の動作について述べる。なお、以下に示すような紙葉類処理機10の動作は、制御部45が紙葉類処理機10の各構成部材を制御することにより行われる。
その一部が損傷した損券等の紙葉類を紙葉類処理機10の機体内に収納するにあたり、操作者は当該紙葉類をキャリアシートに収容し、キャリアシートに収容された状態にある紙葉類を投入部12に投入する。投入部12に投入された紙葉類は繰出機構12aにより紙葉類処理機10の機体内に繰り出されるが、紙葉類がキャリアシートに収容されている場合は、当該紙葉類はキャリアシートに収容された状態で繰出機構12aにより紙葉類処理機10の機体内に繰り出され、搬送部16により搬送される。そして、搬送部16により搬送される紙葉類は読取部18によりその表面および/または裏面が撮像されて当該紙葉類の表面および/または裏面の画像が取得される。また、この際に、光透過センサ18aおよび光反射センサ18bからなる相対位置関係検知手段18cにより、紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートに対する紙葉類の相対位置関係が検知される。具体的には、相対位置関係検知手段18cにより、紙葉類の搬送方向における紙葉類の長さ(図6において参照符号Bで示す大きさ)およびキャリアシートの長さ(図6において参照符号A+B+Cで示す大きさ)がそれぞれ検知される。また、相対位置関係検知手段18cにより、紙葉類の搬送方向における紙葉類の先端縁とキャリアシートの先端縁との間の距離(図6において参照符号Cで示す大きさ)も検知される。
読取部18を通過した紙葉類は搬送部16により一時保留部20に送られ、この一時保留部20に収納されるようになる。具体的には、一時保留部20に紙葉類を収納する際に、駆動モータ58により駆動ベルト59が駆動されることによってドラム50が図2における反時計回りの方向に回転駆動される。このことにより、第1のテープリール52から巻き戻されたテープ60や第2のテープリール54から巻き戻されたテープ62がドラム50に巻き取られるようになる。そして、搬送部16から一時保留部20に送られた紙葉類は、一対の案内部材90、92の間を通って案内ローラ86に送られる。そして、案内ローラ86において紙葉類は一対のテープ60、62の間に挟まれるようになり、一対のテープ60、62の間に挟まれた紙葉類はこれらのテープ60、62ごとドラム50に巻き取られるようになる。
また、第1のテープリール52から巻き戻されたテープ60や第2のテープリール54から巻き戻されたテープ62がドラム50に巻き取られる際に、第1のテープリール52からドラム50に送られるテープ60の移動量がテープ移動量検知手段66により検知される。具体的には、案内ローラ70が当該案内ローラ70に掛けられたテープ60に連れ回るようになり、歯車形状の検知板76が案内ローラ70と同期して回転するようになる。そして、検知板76が回転するとフォトインタラプタ78は透光状態および遮光状態を繰り返すようになるが、この透光状態および遮光状態の切り替わりの回数(パルス数)に基づいて検知板76の回転量が検知される。テープ移動量検知手段66は、フォトインタラプタ78により検知される検知板76の回転量に基づいて、ドラム50と第1のテープリール52との間で移動するテープ60の移動量を検知する。また、制御部45は、テープ移動量検知手段66により検知されたテープ60の移動量に基づいて、当該テープ60が所定の移動速度になるよう駆動モータ58の制御を行う。
本実施の形態では、読取部18を通過した紙葉類が搬送部16により一時保留部20に送られる際に、当該紙葉類がキャリアシートに収容されている場合には、紙葉類を収容したキャリアシートがキャリアシート検知部19の各光反射センサ19a、19bにより検知されるようになる。具体的には、光反射センサ19a、19bによって、一時保留部20に送られるべき紙葉類を収容したキャリアシートについて、搬送方向における先端縁(図6における参照符号T1で示される箇所)および後端縁(図6における参照符号T2で示される箇所)がそれぞれ検知されるようになる。そして、紙葉類がキャリアシートに収容された状態で一時保留部20のドラム50に収納される際に、制御部45は、キャリアシート検知部19によるキャリアシートの検知情報に基づいて駆動モータ58を制御するようになっている。具体的には、光反射センサ19aによりキャリアシートの先端縁が検知されてから第1の所定の時間が経過した後にドラム50の回転駆動を開始させ、また、光反射センサ19bによりキャリアシートの後端縁が検知されてから第2の所定の時間が経過した後にドラム50の回転駆動を停止させるよう、制御部45は駆動モータ58を制御する。また、この際に、制御部45は、テープ移動量検知手段66により検知されたテープ60の移動量も参照して駆動モータ58を制御する。
このように、本実施の形態では、紙葉類がキャリアシートに収容された状態で一時保留部20のドラム50に収納される際に、制御部45は、キャリアシート検知部19により検知されたキャリアシートの先端縁および後端縁に基づいて、ドラム50の回転駆動開始のタイミングおよび回転駆動終了のタイミングを調整するよう駆動モータ58を制御する。このことにより、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で搬送部16から一時保留部20や収納繰出部30に送られた場合に、当該キャリアシートを光透過センサ94、95で検知することができないときでも、このようなキャリアシートをキャリアシート検知部19によって検知することにより、ドラム50の回転駆動開始のタイミングおよび回転駆動終了のタイミングを適切に調整することができるようになる。このため、キャリアシートに収容された状態にある紙葉類をドラム50に収納する際に当該ドラム50に既に収納されている紙葉類やキャリアシートとの間隔を所定の大きさに維持することができ、よってドラム50における紙葉類の収納効率が落ちたり、ドラム50に既に収納されている紙葉類やキャリアシートの後端縁に、これからドラム50に収納しようとする紙葉類が収容されたキャリアシートの先端縁が接触して当該ドラム50において詰まり等のトラブルが発生したりすることを防止することができるようになる。
また、本実施の形態では、搬送部16から一時保留部20に送られた紙葉類がドラム50に収納される際に、制御部45は、相対位置関係検知手段18cにより検知された紙葉類の長さと、紙葉類検知部64の光透過センサ95により検知された紙葉類の長さとが異なる場合に、ドラム50の回転駆動を停止させるよう駆動モータ58を制御するようになっている。そして、ドラム50の回転駆動が停止した後、制御部45が操作表示部46にエラーメッセージを表示させることによりこのエラーメッセージを見た操作者は上記の光透過センサ95により検知された紙葉類を一時保留部20から取り除くようになる。なお、制御部45は、操作表示部46にエラーメッセージを表示させることに加えて、通信インターフェース部49を介して上位端末等の外部装置にこのことを送信してもよい。このようにして、紙葉類の札長(すなわち、搬送方向における紙葉類の長さ)に異常がある場合にこのような紙葉類を正常と判断してドラム50による巻き取り動作が完了することを防止することができるようになる。とりわけ、損券等の紙葉類をキャリアシートに収容した状態で搬送部16により搬送する場合には、当該搬送部16によりキャリアシートが搬送される間にこのキャリアシートに収容された紙葉類が当該紙葉類の搬送方向において2つ以上に分離してしまうことがある。このような場合には、相対位置関係検知手段18cにより検知された紙葉類の長さと、紙葉類検知部64の光透過センサ95により検知された紙葉類の長さとが異なるようになるため、このようなキャリアシート内で2つ以上に分離した紙葉類を正常と判断してドラム50による巻き取り動作が完了することを防止することができるようになる。
次に、紙葉類を収容するキャリアシートが一時保留部20のドラム50に収納された後、このキャリアシートをドラム50から繰り出す際の動作について述べる。
一時保留部20のドラム50に収納された紙葉類やキャリアシートを搬送部16に繰り出す際に、駆動モータ58により駆動ベルト59が駆動されることによって第1のテープリール52や第2のテープリール54が図2における時計回りの方向に回転駆動される。このことにより、ドラム50から巻き戻された一対のテープ60、62が第1のテープリール52や第2のテープリール54に巻き取られるようになる。ドラム50から巻き戻された一対のテープ60、62が第1のテープリール52や第2のテープリール54に巻き取られる際に、一対のテープ60、62に挟まれた状態でドラム50に巻き取られた紙葉類やキャリアシートは案内ローラ86、88においてこれらの一対のテープ60、62から放出されるようになる。一対のテープ60、62から放出された紙葉類やキャリアシートは案内部材90、92の間を通って搬送部16に送られる。
本実施の形態では、制御部45は、ドラム50に収納されている、キャリアシートに収容された状態の紙葉類を搬送部16に繰り出す際に、相対位置関係検知手段18cにより検知された、紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートに対する紙葉類の相対位置関係に基づいて駆動モータ58を制御して第1のテープリール52や第2のテープリール54を回転駆動させるようになっている。より詳細には、上述したように、相対位置関係検知手段18cにより、搬送部16によって一時保留部20に紙葉類を送る際の当該紙葉類の搬送方向における紙葉類の先端縁とキャリアシートの先端縁との間の距離(図6において参照符号Cで示す大きさ)が検知されるが、制御部45は、ドラム50に収納されている、キャリアシートに収容された状態の紙葉類を搬送部16に繰り出す際に、光透過センサ95により紙葉類の後端縁が検知された後、上記の検知された距離(すなわち、図6において参照符号Cで示す大きさ)分だけキャリアシートが移動した後に第1のテープリール52や第2のテープリール54の回転駆動を停止させる。なお、紙葉類を収容した状態にあるキャリアシートがドラム50から繰り出される際に、当該キャリアシートは図6における左方向(すなわち、図6に示される矢印とは反対方向)に移動するようになる。
このような方法によれば、紙葉類を収容したキャリアシートを光透過センサ94、95により検知できなくても、当該キャリアシートを一対のテープ60、62の間から確実に放出することができるようになり、キャリアシートが一対のテープ60、62から放出されずに詰まり等のトラブルが発生することを防止することができるようになる。
このように、制御部45は、ドラム50に収納されている、キャリアシートに収容された状態の紙葉類を搬送部16に繰り出す際に、相対位置関係検知手段18cにより検知された、紙葉類の繰出方向におけるキャリアシートの後端縁と紙葉類の後端縁との間の距離(すなわち、図6において参照符号Cで示す大きさ)を参照して第1のテープリール52や第2のテープリール54の回転駆動終了のタイミングを調整するよう駆動モータ58を制御するようになっている。このため、紙葉類を収容したキャリアシートをドラム50から繰り出す際に、第1のテープリール52や第2のテープリール54の回転駆動を適切なタイミングで停止させることができるようになる。
次に、紙葉類処理機10において各収納部34、36、38、40に収納されている新札の紙幣の精査処理を行う際の動作について以下に説明する。なお、紙幣の精査処理とは、各収納部34、36、38、40に収納されている紙幣の金種が予め設定されている所定の金種であるか否かを判別部42により判別することによって、各収納部34、36、38、40に収納されている紙幣の在高(具体的には、金種毎の枚数や合計金額)を確認するような処理のことをいう。
各収納部34、36、38、40に収納されている新札の紙幣の精査処理を行うにあたり、まず、一時保留部20に一時的に保留されている紙葉類を各紙葉類収納カセット22、24、26、28や収納繰出部30に送って当該一時保留部20を空状態にする。次に、収納部34に収納されている紙幣を繰出機構34aにより1枚ずつ搬送部16に繰り出し、この搬送部16により当該紙幣を一時保留部20に送る。この際に、搬送部16により搬送される紙幣は判別部42によりその金種や搬送状態について判別が行われる。そして、収納部34に収納されている紙幣が全て当該収納部34から繰り出されて一時保留部20に送られると、一時保留部20から紙幣が1枚ずつ搬送部16に繰り出され、当該搬送部16により元の収納部34に戻される。このような動作が収納部34、36、38、40毎に行われ、このことにより各収納部34、36、38、40に収納されている紙幣の在高(具体的には、金種毎の枚数や合計金額)が確認される。
図7は、紙葉類処理機10において精査処理を行う際に搬送部16により収納部34から一時保留部20に送られる新札の紙幣の状態を示す図である。図7において、搬送部16により収納部34から一時保留部20に送られる紙幣の各々を参照符号a〜gでそれぞれ示している。ここで、判別部42により紙幣eが判別される際に異常が発生した場合には、制御部45は、繰出機構34aによる収納部34からの紙幣の繰り出しを停止させるとともに、搬送部16により搬送されている最中の全ての紙幣(具体的には、図7において参照符号a〜gで示される紙幣)を一時保留部20に一旦送る。この際に、判別部42により紙幣eが判別されてから、当該紙幣eが一時保留部20に送られてこの紙幣eの搬送方向における後端縁が光透過センサ95により検知されるまでのフォトインタラプタ78における透光状態および遮光状態の切り替わりの累積値(累積パルスカウント数)が検知される。
そして、搬送部16により搬送されている最中の全ての紙幣(具体的には、図7において参照符号a〜gで示される紙幣)が一時保留部20に一旦送られた後、判別部42による判別において異常が発生した紙幣e、ならびに搬送部16においてこの紙幣eに引き続いて搬送される紙幣fおよび紙幣gが一時保留部20から搬送部16に繰り出されて元の収納部34に戻される。このような一時保留部20から元の収納部34への紙幣の戻し処理を行うことにより、判別部42による判別において異常が発生した紙幣eについて再び収納部34から搬送部16に繰り出して判別部42により判別させるようなリトライ動作を行うことができるようになり、紙幣そのものに異常がない場合に(すなわち、1回目の判別において斜行、連鎖、重送等の搬送異常であった場合に)当該紙幣をリジェクト紙幣として扱わないようにすることができるため、不要なリジェクト紙幣の発生を防止することができるようになる。
図8(a)〜(c)は、紙葉類処理機10において精査処理を行う際に判別部による紙幣の判別において異常が発生した場合に当該紙幣を一時保留部20から繰り出す際の動作を順に示す図である。なお、図8(a)〜(c)では、一時保留部20から繰り出される紙幣を見やすくするために当該一時保留部20の各構成部材の図示を簡略化している。搬送部16により搬送されている最中の全ての紙幣が一時保留部20に一旦送られた後、当該一時保留部20のドラム50から繰り出す際に、判別部42により紙幣eが判別されてから当該紙幣eが一時保留部20に送られてこの紙幣eの搬送方向における後端縁が光透過センサ95により検知されるまでのフォトインタラプタ78における透光状態および遮光状態の切り替わりの累積値(累積パルスカウント数)分だけ、一対のテープ60、62をドラム50から巻き戻す。具体的には、判別部42により紙幣eが判別されてから当該紙幣eが一時保留部20に送られてこの紙幣eの搬送方向における後端縁が光透過センサ95により検知されるまでは、フォトインタラプタ78における透光状態および遮光状態の切り替わりの回数(パルス数)を加算し、一方、一時保留部20のドラム50から紙幣を繰り出す際に、フォトインタラプタ78における透光状態および遮光状態の切り替わりの回数(パルス数)を0になるまで減算する。このことにより、図8(a)に示すように、ドラム50から巻き出された紙幣のうち、判別部42による判別において異常が発生した紙幣eが特定されるようになる。
そして、判別部42による判別において異常が発生した紙幣eの搬送方向における先端縁が光透過センサ95により検知された後(図8(a)参照)、図8(b)に示すようにこの紙幣eの搬送方向における長さ(言い換えると、紙幣eの札長)の半分だけ当該紙幣eが移動すると、制御部45において、光透過センサ95が遮光状態から透光状態になることについて監視が行われる。そして、このような監視が行われる際に、図8(c)に示すように、判別部42による判別において異常が発生した紙幣eの搬送方向における後端縁が光透過センサ95に到達し、この光透過センサ95が遮光状態から透光状態になると、制御部45は第1のテープリール52や第2のテープリール54の回転駆動を停止させる。言い換えると、図8(a)に示すように判別部42による判別において異常が発生した紙幣eの搬送方向における先端縁が光透過センサ95により検知された後、この紙幣eの搬送方向における長さ(すなわち、紙幣の札長)の半分だけ当該紙幣eが移動するまでに光透過センサ95が遮光状態から透光状態になっても、第1のテープリール52や第2のテープリール54の回転駆動を停止させないようにしている。なお、本実施の形態では、制御部45において光透過センサ95が遮光状態から透光状態になることについて監視が行われる期間は、判別部42による判別において異常が発生した紙幣eの搬送方向における先端縁が光透過センサ95により検知された後、この紙幣eの搬送方向における長さの半分だけ当該紙幣eが移動した後の期間に限定されることはない。他の態様として、判別部42による判別において異常が発生した紙幣eの搬送方向における先端縁が光透過センサ95により検知された後、この紙幣eの搬送方向における長さの例えば1/3の大きさだけ当該紙幣eが移動した後に制御部45において光透過センサ95が遮光状態から透光状態になることについて監視が行われるようになっていてもよい。
このような動作を行うことによって、判別部42による判別において異常が発生した紙幣eは一時保留部20から搬送部16に繰り出されるが、この紙幣eよりも奧側でドラム50に収納されている紙幣(具体的には、図7において参照符号a〜dで示す紙幣)はドラム50から繰り出されないようになる。このようにして、判別部42による判別において異常が発生した紙幣e、ならびに搬送部16においてこの紙幣eに引き続いて搬送される紙幣fおよび紙幣gのみが一時保留部20から搬送部16に繰り出されて元の収納部34に戻されるようになる。また、図8(a)に示すように判別部42による判別において異常が発生した紙幣eの搬送方向における先端縁が光透過センサ95により検知された後、図8(b)に示すようにこの紙幣eの搬送方向における長さ(すなわち、紙幣eの札長)の1/3の大きさや半分だけ当該紙幣eが移動した後に、制御部45において光透過センサ95が遮光状態から透光状態になることについて監視を行うようにしたため、紙幣が判別部42により判別されたときに連鎖状態や重送状態であり、しかもこの紙幣が一時保留部20のドラム50に収納されたときに連鎖状態や重送状態が解消された場合でも、連鎖状態や重送状態が解消された2枚の紙幣をそれぞれ一時保留部20から搬送部16に繰り出して元の収納部34に戻すことができるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態では、搬送部16に設けられた相対位置関係検知手段18cにより、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で搬送部16により搬送されるときに当該紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートに対する紙葉類の相対位置関係を検知することによって、透明または半透明のキャリアシートに収容された状態にある紙葉類を一時保留部20や収納繰出部30のドラム50に収納させる場合でもドラム50に対するキャリアシートの収納動作や繰出動作を適切に行うことができるようになる。このため、紙葉類を収容したキャリアシートをドラム50に適切に収納することができるようになり、よって紙葉類の収納効率が落ちたりドラム50において紙葉類やキャリアシートの詰まり等のトラブルが発生したりすることを防止することができる。
また、本実施の形態では、上述したように、相対位置関係検知手段18cは、紙葉類の検知を行う光透過センサ18a(第1の光透過センサ)および紙葉類を収容したキャリアシートの検知を行う光反射センサ18b(第1の光反射センサ)を組み合わせたものからなる。また、相対位置関係検知手段18cは、紙葉類の搬送方向における紙葉類を収容したキャリアシートの長さも検知するようになっている。
また、本実施の形態では、上述したように、搬送部16において一時保留部20や収納繰出部30のドラム50の近傍には、当該ドラム50に収納されるべき紙葉類を収容したキャリアシートの検知を行うキャリアシート検知部19が設けられており、紙葉類がキャリアシートに収容された状態でドラム50に収納される際に、制御部45は、キャリアシート検知部19によるキャリアシートの検知情報に基づいて駆動モータ58を制御するようになっている。このことにより、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で搬送部16から一時保留部20や収納繰出部30に送られた場合に、当該キャリアシートを光透過センサ94、95で検知することができないときでも、このようなキャリアシートをキャリアシート検知部19によって検知することにより、ドラム50の回転駆動開始のタイミングや回転駆動終了のタイミングを適切に調整することができるようになる。このため、キャリアシートに収容された状態にある紙葉類をドラム50に収納する際に当該ドラム50に収納されている紙葉類やキャリアシートとの間隔を所定の大きさに維持することができ、よってドラム50における紙葉類の収納効率が落ちたり、ドラム50に既に収納されている紙葉類やキャリアシートの後端縁に、これからドラム50に収納しようとする紙葉類が収容されたキャリアシートの先端縁が接触して当該ドラム50において詰まり等のトラブルが発生したりすることを防止することができるようになる。
より詳細には、キャリアシート検知部19は、紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートの先端縁および後端縁を検知するようになっており、紙葉類がキャリアシートに収容された状態でドラム50に収納される際に、制御部45は、キャリアシート検知部19により検知されたキャリアシートの先端縁および後端縁に基づいて、ドラム50の回転駆動開始のタイミングおよび回転駆動終了のタイミングを調整するよう駆動モータ58を制御するようになっている。また、上述したように、キャリアシート検知部19は各光反射センサ19a、19b(第2の光反射センサ)から構成されている。また、上述したように、ドラム50により巻き取られる際のテープ60の移動量を検知するテープ移動量検知手段66が設けられており、制御部45は、テープ移動量検知手段66により検知されたテープ60の移動量も参照して駆動モータ58を制御するようになっている。
なお、本発明では、一時保留部20や収納繰出部30として示される紙葉類収納繰出装置が、上記のキャリアシート検知部19や制御部45を含むようになっていてもよい。この場合には、このような紙葉類収納繰出装置を単体で用いたときに、制御部45は、キャリアシート検知部19によるキャリアシートの検知情報に基づいて駆動モータ58を制御することにより、紙葉類が透明または半透明のキャリアシートに収容された状態で紙葉類収納繰出装置に送られた場合に、当該キャリアシートを光透過センサ94、95で検知することができないときでも、このようなキャリアシートをキャリアシート検知部19によって検知することにより、ドラム50の回転駆動開始のタイミングや回転駆動終了のタイミングを適切に調整することができるようになる。このため、紙葉類収納繰出装置を単体で用いた場合 でも、キャリアシートに収容された状態にある紙葉類をドラム50に収納する際に当該ドラム50に収納されている紙葉類やキャリアシートとの間隔を所定の大きさに維持することができ、よってドラム50における紙葉類の収納効率が落ちたり、ドラム50に既に収納されている紙葉類やキャリアシートの後端縁に、これからドラム50に収納しようとする紙葉類が収容されたキャリアシートの先端縁が接触して当該ドラム50において詰まり等のトラブルが発生したりすることを防止することができるようになる。
また、本実施の形態では、上述したように、搬送部16において一時保留部20や収納繰出部30のドラム50の近傍には、当該ドラム50に収納されるべき紙葉類の検知を行う紙葉類検知部64が設けられており、相対位置関係検知手段18cは、紙葉類の搬送方向における当該紙葉類の長さも検知するようになっている。なお、上述したように、紙葉類検知部64は光透過センサ95(第2の光透過センサ)から構成されている。そして、紙葉類がドラム50に収納される際に、制御部45は、相対位置関係検知手段18cにより検知された紙葉類の長さと、紙葉類検知部64(具体的には、光透過センサ95)により検知された紙葉類の長さとが異なる場合には、ドラム50の回転駆動を停止させるよう駆動モータ58を制御するようになっている。そして、ドラム50の回転駆動が停止した後、制御部45が操作表示部46にエラーメッセージを表示させることによりこのエラーメッセージを見た操作者は上記の紙葉類検知部64により検知された紙葉類を一時保留部20から取り除くようになる。このようにして、紙葉類の札長(すなわち、搬送方向における紙葉類の長さ)に異常がある場合にこのような紙葉類を正常と判断してドラム50による巻き取り動作が完了することを防止することができるようになる。とりわけ、損券等の紙葉類をキャリアシートに収容した状態で搬送部16により搬送する場合には、当該搬送部16によりキャリアシートが搬送される間にこのキャリアシートに収容された紙葉類が当該紙葉類の搬送方向において2つ以上に分離してしまうことがある。このような場合には、相対位置関係検知手段18cにより検知された紙葉類の長さと、紙葉類検知部64の光透過センサ95により検知された紙葉類の長さとが異なるようになるため、このようなキャリアシート内で2つ以上に分離した紙葉類を正常と判断してドラム50による巻き取り動作が完了することを防止することができるようになる。
また、本実施の形態では、上述したように、ドラム50に巻き取られたテープ60、62を巻き戻すための第1のテープリール52や第2のテープリール54が設けられており、制御部45は、ドラム50に収納されている、キャリアシートに収容された状態の紙葉類を搬送部16に繰り出す際に、相対位置関係検知手段18cにより検知された、紙葉類の搬送方向におけるキャリアシートに対する紙葉類の相対位置関係に基づいて第1のテープリール52や第2のテープリール54を制御するようになっている。この場合には、紙葉類を収容したキャリアシートをドラム50から繰り出す際に、紙葉類を収容したキャリアシートを光透過センサ94、95により検知できなくても、第1のテープリール52や第2のテープリール54の回転駆動を適切なタイミングで停止させることができるようになり、よってキャリアシートが一対のテープ60、62から放出されずに詰まり等のトラブルが発生することを防止することができるようになる。
より詳細には、上述したように、制御部45は、ドラム50に収納されている、キャリアシートに収容された状態の紙葉類を搬送部16に繰り出す際に、相対位置関係検知手段18cにより検知された、紙葉類の繰出方向におけるキャリアシートの後端縁と紙葉類の後端縁との間の距離(すなわち、図6において参照符号Cで示す大きさ)を参照して第1のテープリール52や第2のテープリール54の回転駆動終了のタイミングを調整するようになっている。
なお、本実施の形態による紙葉類処理機10やこの紙葉類処理機10に設けられた紙葉類収納繰出装置(具体的には、一時保留部20や収納繰出部30)は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
上述した紙葉類処理機10では、一時保留部20や収納繰出部30において紙葉類やキャリアシートはこれらの紙葉類やキャリアシートの長手方向に沿って搬送されてドラム50に巻き取られるようになっているが、このような態様に限定されることはない。一時保留部20や収納繰出部30において紙葉類やキャリアシートはこれらの紙葉類やキャリアシートの短手方向に沿って搬送されてドラム50に巻き取られるようになっていてもよい。
また、図2、図3、図5等に示す一時保留部20や収納繰出部30では、これらの一時保留部20や収納繰出部30に収納される紙葉類は1本のテープ60と1本のテープ62との間に挟まれた状態でドラム50に巻き取られるようになっているが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。変形例に係る紙葉類収納繰出装置において、紙葉類がドラムに収納される際に、当該ドラムに収納されるべき紙葉類の両面ではなく片面に左右一対のテープがそれぞれ接触し、この左右一対のテープにより紙葉類がドラムに巻かれるようになっていてもよい。また、更なる変形例に係る紙葉類収納繰出装置において、紙葉類がドラムに収納される際に、当該ドラムに収納されるべき紙葉類の一方の側面の中央部分にテープが接触するともに、当該紙葉類の他方の側面の両端部分の近傍にそれぞれテープが接触し、合計で3本のテープにより紙葉類が挟み込まれた状態で当該紙葉類がテープごとドラムに巻かれるようになっていてもよい。