以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明においては、本発明に係る光結合部材により保持される光ファイバがプラスチック光ファイバで構成される場合を例として説明する。しかしながら、本発明に係る光結合部材により保持される光ファイバは、これに限定されるものではなくガラスファイバで構成されてもよい。
図1は、本実施の形態に係る光結合部材の説明図である。図2は、図1に示すA−A矢視断面図である。なお、図1及び図2に示す光結合部材10においては、説明の便宜上、同図に示す左方側を前方側と呼び、同図に示す右方側を後方側と呼ぶものとする。また、図1及び図2においては、説明の便宜上、光結合部材10が有するホルダ11に保持される光ファイバ13を示している。さらに、図1においては、説明の便宜上、磁石14の内側に配置されるホルダ11の一部を破線で示している。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る光結合部材10は、概して円筒形状を有する保持部材としてのホルダ11と、このホルダ11の一端部に保持されるボールレンズ12と、ホルダ11の一端部の外周に設けられた吸着部材としての磁石14とを含んで構成されている。例えば、本実施の形態に係る光結合部材10においては、光ファイバ13としてプラスチック光ファイバが好適に挿入される。
ホルダ11は、例えば、ステンレス等の金属材料で形成される。特に加工性の点から、ホルダ11は、オーステナイト系ステンレスで形成されることが好ましい。図2に示すように、ホルダ11における後端部には、光ファイバ13が挿入される挿入孔11aが設けられている。一方、ホルダ11における前端部(ボールレンズ12側の端部)には、開口部11bが設けられている。この開口部11bの内側には、ボールレンズ12を収容する収容部11cが設けられている。この収容部11cは、ボールレンズ12の表面の損傷を防止するためにボールレンズ12全体をその内側に収容可能な寸法に設けられ、ボールレンズ12が圧入可能に構成されている。
ホルダ11の内部には、光ファイバ13の外径寸法よりも僅かに大径の貫通孔11dが設けられている。この貫通孔11dは、挿入孔11aに連通すると共に、収容部11cに連通して設けられている。さらに、ホルダ11には、その外周部から工具等により押圧加工を施すことで形成される複数の陥没部11eが設けられている。これらの陥没部11eは、収容部11cと貫通孔11dとの間に設けられ、詳細について後述するように、ボールレンズ12及び光ファイバ13の位置決めに利用される。
ボールレンズ12は、例えば、ガラス材料で形成され、球形状を有する。図2に示すように、ボールレンズ12は、その前端部が、ホルダ11の前端部と同一の位置に配置されるように収容部11cに収容される。また、ボールレンズ12は、収容部11c内に収容された状態において、貫通孔11dに挿入された光ファイバ13の先端部に臨むように配置されている。すなわち、ホルダ11に陥没部11eを設けることで形成される内壁面に位置決めされた状態において、ボールレンズ12と光ファイバ13とは、一定の位置関係を有する位置に位置決めされる。このとき、ボールレンズ12は、光ファイバ13の先端面(前端面)に対向して配置された状態となっている。ボールレンズ12は、光ファイバ13から入射される光を平行状態に調整するコリメートレンズで構成することができる。
光ファイバ13は、その中心を貫通して設けられるコア13aと、このコア13aを被覆するクラッド13bと、このクラッド13bを被覆して補強する補強層13cとから構成される。光ファイバ13のボールレンズ12に対向する端面においては、コア13a、クラッド13b及び補強層13cが同一平面上に配置されている。すなわち、ボールレンズ12に対向する端面において、コア13a、クラッド13b及び補強層13cが揃って配置されている。
光ファイバ13は、挿入孔11aを介して貫通孔11dに挿入され、その先端部がボールレンズ12の近傍でその球面に対向するように配置した状態で固定されている。例えば、光ファイバ13は、ホルダ11の内周面に塗布された接着剤により固定される。なお、ホルダ11の一部を変形させることで光ファイバ13を固定するようにしてもよい。
本実施の形態に係る光結合部材10において、光ファイバ13は、例えば、グレーデッドインデックス(GI)型光ファイバで構成され、ファイバ軸に垂直な断面で屈折率が連続的に変化するように構成されている。また、コア13a及びクラッド13bは、例えば、C−H結合のHをFに置換した全フッ素置換光学樹脂で構成されている。このように、光ファイバ13を全フッ素置換光学樹脂で構成すると共に、GI型光ファイバで構成することにより、高速かつ大容量通信を実現することができる。
光結合部材10においては、コストの上昇を抑制しつつ、簡易にボールレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うためにホルダ11に設けた陥没部11eを利用する。具体的には、ホルダ11に陥没部11eを設けることで形成される当接面(傾斜面)に、ボールレンズ12及び光ファイバ13の一部を当接させて位置決めを行うことにより、これらの位置決め用のスペーサなどの構成を不要とし、コストの上昇を抑制しつつ、簡易にボールレンズ12と光ファイバ13との位置決めを可能とする。
ここで、ホルダ11におけるボールレンズ12及び光ファイバ13の位置決め方法について図3を用いて説明する。図3は、図2に示す2点鎖線B内の拡大図である。図3に示すように、陥没部11eを設けることで形成される傾斜面のうち、ボールレンズ12に対向する部分には、ボールレンズ12の一部が当接する一方、光ファイバ13に対向する部分には、光ファイバ13を構成するコア13a以外のクラッド13b又は補強層13c、或いはクラッド13b及び補強層13cの一部が当接する。このように当接した状態でボールレンズ12及び光ファイバ13がそれぞれホルダ11の所定位置に位置決めされる。
図3に示すように、陥没部11eは、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図3に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの中心を通過する平面C)に対して、ボールレンズ12に対向する部分の角度と、光ファイバ13に対向する部分の角度とが異なる角度に設けられている。このような陥没部11eは、例えば、先端部の形状が異なる先細の工具を用いて押圧加工を施すことにより設けられる。このような工具で押圧加工することにより、陥没部11eは、その押圧加工時における中心軸を基準として、ボールレンズ12に対向する部分の角度と、光ファイバ13に対向する部分の角度とを異なる角度とすることで、形状の異なるボールレンズ12と光ファイバ13とを効果的に位置決めすることが可能となる。
また、ホルダ11においては、このような陥没部11eがホルダ11の同一周上に複数(本実施の形態においては、3つ)設けられている。同一周上への陥没部11eの形成は、例えば、上述した先端形状の異なる工具によりホルダ11の外周から同時に押圧加工を施すことが考えられる。このように同一周上に複数の陥没部11eを設けることにより、ボールレンズ12及び光ファイバ13をそれぞれ複数の位置で当接させることができるので、より高精度にボールレンズ12及び光ファイバ13の位置決めを行うことが可能となる。
陥没部11eにおけるボールレンズ12に対向する部分は、傾斜面11e1を構成する。この傾斜面11e1は、図3に矢印で示す光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図3に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの基端部を通過する平面D)に対する角度θ1が0°以上45°以下となるように設けられている。このようにボールレンズ12側の傾斜面11e1の角度θ1を光ファイバ13の挿入方向と直交する平面Dに対して0°以上45°以下に設定することにより、ボールレンズ12における光ファイバ13側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、ボールレンズ12の位置精度を高めることができる。
一方、陥没部11eにおける光ファイバ13に対向する部分は、傾斜面11e2を構成する。傾斜面11e2は、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、図3に示す光ファイバ13の端面と平行に配置される平面E)に対する角度θ2が20°以下となるように設けられている。このように傾斜面11e2の角度を平面Eに対して20°以下に設けることにより、光ファイバ13が、上述したように、コア13a、クラッド13b及び補強層13cが同一平面上に配置される光ファイバで構成される場合に、当該光ファイバ13の端面を陥没部11eに当接させることにより、これらの位置精度を確保し易くすることができる。
このように光結合部材10においては、ホルダ11に設けた陥没部11eにボールレンズ12の一部及び光ファイバ13の一部を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11eを基準としてボールレンズ12及び光ファイバ13を位置決めできるので、別部品をホルダ11に挿入する場合と比べて、作業効率を向上させることができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にボールレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。
磁石14は、ホルダ11における前端部(ボールレンズ12側の端部)の外周に設けられている。例えば、磁石14は、概して円筒形状を有している。磁石14は、その内部にホルダ11の一部を収容した状態でホルダ11に固定されている。例えば、磁石14は、ホルダ11の外周面に塗布された接着剤により固定される。なお、溶接等によりホルダ11の外周面に磁石14を固定するようにしてもよい。
磁石14は、図3に示すように、その前端部の断面14sが平面形状を有している。磁石14の前端部の断面14sは、ホルダ11の前端部と同一の位置に配置されるようにホルダ11に固定される。上述したように、収容部11cに収容されたボールレンズ12の前端部は、ホルダ11の前端部と同一の位置に配置される。したがって、磁石14の前端部の断面14sは、ボールレンズ12の前端部の位置と同一の位置に配置されている。
また、磁石14は、図1に示すように、前端部近傍がN極に着磁され、後端部近傍がS極に着磁されている。詳細について後述するように、磁石14は、結合対象となる光結合部材20の磁石24と互いに吸着し、ボールレンズ12の中心を、光結合部材20のレンズ22の中心に位置合わせする役割を果たす(図4参照)。
以下、本実施の形態に係る光結合部材10の結合作業について説明する。図4は、本実施の形態に係る光結合部材10の結合作業の説明図である。図4においては、本実施の形態に係る光結合部材10の結合対象として、光結合部材10と同様の構成を有する光結合部材20と結合する場合について説明する。なお、図4においては、説明の便宜上、光結合部材20が有するホルダ21に保持される光ファイバ23を示している。
図4に示すように、光結合部材20は、光結合部材10と同様に、ホルダ21、ボールレンズ22及び磁石24を含んで構成されている。光結合部材20は、磁石24の着磁形態のみにおいて光結合部材10と相違する。光結合部材20において、磁石24は、磁石14と異なり、ボールレンズ22側の先端部近傍がS極に着磁され、反対側の端部近傍がN極に着磁されている。ボールレンズ22と光ファイバ23との位置決めや、ボールレンズ22とホルダ21や磁石24との位置関係などについては、光結合部材10と同一である。
ここでは、光結合部材20の位置がデバイス等に固定され、この光結合部材20に対して光結合部材10を結合する場合について説明する。光結合部材20に対して光結合部材10を結合する場合、図4Aに示すように、作業者等は、磁石24の近傍に磁石14を接近させる。磁石24に対して一定距離まで磁石14を接近させると、これらの吸着力によって磁石14が磁石24側に引き寄せられる。これにより、磁石24と磁石14とが接触した状態となる(図4B参照)。
そして、図4Bに示す状態から、更に磁石24及び磁石14の吸着力によって、磁石24の光結合部材10側の断面24sと、磁石14の光結合部材14側の断面14sとが対向して配置するように磁石14が移動する。ここでは、磁石14が下方側に移動する。これにより、図4Cに示すように、磁石24の光結合部材10側の断面24sと、磁石14の光結合部材20側の断面14sとが密着した状態となる。
光結合部材10と光結合部材20とは、それぞれの構成部品の位置関係が同一である。このため、磁石24の光結合部材10側の断面24sと、磁石14の光結合部材20側の断面14sとが密着した状態となることにより、ボールレンズ12の中心と、ボールレンズ22の中心とが一致した状態となる。
このように光結合部材10においては、ホルダ11に設けられた磁石14の吸着力によって、ボールレンズ12の中心が光結合部材20のボールレンズ22の中心に位置合わせされることから、ホルダ11を光結合部材20に接近させるだけでボールレンズ12と、ボールレンズ22とを簡単に位置合わせすることができる。これにより、複雑な結合作業を必要とすることなく、光ファイバ13内の光の伝搬効率を向上することが可能となる。
特に、本実施の形態に係る光結合部材10においては、磁石14からの吸着力によりボールレンズ12の中心と光結合部材20のボールレンズ22の中心とが位置合わせされる。このため、光結合部材20に対して容易に着脱することができると共に、長期間に亘って繰り返し着脱することが可能となる。
磁石14は、光結合部材20側の断面14sの形状が、磁石24の断面24sの形状と同一に構成されている。このため、これらの磁石14、24の吸着力により断面14s、24s同士を密着させることができる。これにより、光結合部材20に対して安定して光結合部材10を結合させることが可能となる。
特に、磁石14は、光結合部材20側の断面14sの外形形状が、ボールレンズ12の中心を中心点とした真円形状に構成されている。このため、光結合部材20の磁石24と吸着する際に磁石14が回転することがない。このため、磁石14が設けられるホルダ11の回転を防止できるので、ホルダ11に保持される光ファイバ13が捻じれる事態を防止することが可能となる。
また、磁石14における光結合部材20側の断面14sは、ボールレンズ12の前端部(光結合部材20側の端部)と同一の位置に配置されている。これにより、ボールレンズ12と光結合部材20のボールレンズ22との間の距離を短縮することができるので、ホールレンズ12、22間の間隙の増大に伴って光ファイバ13内の光の伝搬効率が低下するのを回避することが可能となる。
なお、上記実施の形態に係る光結合部材10においては、磁石14における光結合部材20側の断面14sは、ボールレンズ12の前端部(光結合部材20側の端部)と同一の位置に配置される場合について説明している。しかしながら、磁石14の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。以下、磁石14の異なる構成について図5を参照して説明する。
図5は、本実施の形態の変形例に係る光結合部材10(10A、10B)の説明図である。図5A、図5Bにそれぞれ示す光結合部材10A、10Bにおいては、磁石14A、14Bが磁石14と異なる構成を有する点のみで上記実施の形態に係る光結合部材10と相違する。なお、図5において、図3と共通の構成要素については、同一の符号を付与してその説明を省略する。
図5においては、説明の便宜上、光結合部材10A、10Bが結合対象となる光結合部材20に結合された状態について示している。この場合において、光結合部材10Aと結合される光結合部材20は、光結合部材10Aと同様の構成を有するものとする。また、光結合部材10Bと結合される光結合部材20は、上記実施の形態で説明した光結合部材20と同様の構成を有するものとする。
図5Aに示す光結合部材10Aにおいて、磁石14Aは、光結合部材20側の断面14sが、ボールレンズ12の前端部(光結合部材20側の端部)よりも光結合部材20側の位置に配置される点で上記実施の形態に係る磁石14と相違する。このように変更した場合には、磁石14Aの断面14sがボールレンズ12よりも光結合部材20に配置されることから、意図しない接触等に起因してボールレンズ12の表面が損傷する事態を防止することが可能となる。なお、このように磁石14Aの断面14sがボールレンズ12よりも光結合部材20に配置される場合であっても、ボールレンズ12とボールレンズ22との間の距離は1mm以下であることが好ましい。
図5Bに示す光結合部材10Bにおいて、磁石14Bは、光結合部材20側の前端部に光結合部材20の先端部を収容可能な凹部141を有する点で上記実施の形態に係る磁石14と相違する。このように変更した場合には、凹部141で光結合部材20の先端部を収容することができるので、光結合部材10Bと光結合部材20とを結合した後に、外力等により光結合部材20が脱落する事態を抑制することが可能となる。
なお、上記実施の形態に係る光結合部材10においては、磁石14、24が発生する吸着力によって光結合部材10と光結合部材20とを結合する場合について説明している。しかしながら、光結合部材10の構成については、これに限定されるものではない。結合部材10と光結合部材20との結合を強固にしたり、結合部材10と光結合部材20とを結合し易くしたりすることは実施の形態として好ましい。
図6は、本実施の形態の変形例に係る光結合部材10(10C、10D)の説明図である。なお、図6A、図6Bにおいては、説明の便宜上、固定部材15及びガイド部材16の内部に配置される光結合部材10C、10D、20及び光ファイバ13、23の一部を破線で示している。
図6Aに示す光結合部材10Cにおいては、光結合部材20と結合した状態の磁石14、24を固定する固定部材15を有する点で上記実施の形態に係る光結合部材10と相違する。また、図6Bに示す光結合部材10Dにおいては、光結合部材20を磁石14の断面14s側に案内するガイド部材16を有する点で上記実施の形態に係る光結合部材10と相違する。
図6Aに示す光結合部材10Cにおいては、ホルダ11の後端部(図6に示す右方側端部)近傍に設けられた一対の軸部15aを回転軸として前方側(図6に示す左方側)の部分が回動可能に構成された上下一対の固定部材15(151、152)を有する点で光結合部材10と相違する。これらの固定部材15(151、152)は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形される。
これらの固定部材15のうち、上方側に配置される固定部材151の下面には、下方がWに開口する凹部153が形成されている。一方、下方側に配置される固定部材152の上面には、上方側に開口する凹部154が形成されている。これらの凹部153、154は、固定部材15(151、152)が閉じられた状態において、結合した状態の光結合部材10、20のホルダ11、21及び磁石14、24を収容可能な形状を有している。
また、固定部材151の前端部には、固定部材152に係止されるフック155が設けられている。固定部材151、152内の凹部153、154に結合した状態の光結合部材10C、20の構成部品を収容し、固定部材151のフック155を固定部材152に係止させることにより、吸着した状態の磁石14、24が固定されることから、光結合部材10C、20の位置がずれるのを防止することができる。これにより、位置ずれに伴って光ファイバ13、23内の光の伝搬効率が低下する事態を防止することが可能となる。
なお、図6Aにおいては、固定部材15によって、結合した状態の光結合部材10、20のホルダ11、21及び磁石14、24を固定する場合について説明している。しかしながら、固定部材15の構成についてはこれに限定されるものではなく適宜変更が可能である。固定部材15については、互いに吸着状態の磁石14、24を固定することを前提として任意の構成を採用することができる。
図6Bに示す光結合部材10Dにおいては、磁石14の前端部(図6に示す左方側端部)近傍の外周部分にガイド部材16が装着されている点で光結合部材10と相違する。このガイド部材16は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形される。ガイド部材16は、概して円筒形状を有し、その内部に磁石14の一部を収容した状態で磁石14に固定されている。例えば、ガイド部材16は、磁石14の外周面に塗布された接着剤により固定される。
ガイド部材16は、磁石14の断面14sよりも結合対象(例えば、光結合部材20)側に突出した形状を有する。この突出部した部分の内側には、テーパ面16aが設けられている。テーパ面16aは、磁石14の断面14sから前方側に向けて、ガイド部材16内の空間が広くなる傾斜面を構成している。言い換えると、テーパ面16aは、ガイド部材16の内側又は近傍に配置された結合対象を磁石14の断面14sに案内する傾斜面を有している。
図4Aに示す要領で光結合部材10Dを結合対象となる光結合部材20に接近させると、光結合部材10Dは、磁石24をガイド部材16内に収容するように光結合部材20に接近していく。このとき、光結合部材10Dにおいては、ガイド部材16のテーパ面16aに沿って磁石24を案内しながら接近し、磁石14が光結合部材20側の磁石24に吸着される。そして、磁石14、24が吸着した後は、断面14s、24sが密着し、ボールレンズ12の中心と、ボールレンズ22の中心とが一致した状態となる(図4C参照)。
このように図6Bに示す光結合部材10Dにおいては、ガイド部材16により結合対象(例えば、光結合部材20)が磁石14の断面14sに案内されることから、ガイド部材16に沿って磁石14に結合対象を吸着させることができる。これにより、結合対象と光結合部材10とを容易に結合させることが可能となる。
以上のように説明した本実施の形態に係る光結合部材10は、図4に示すように、同一構成を有する光結合部材20と共に光コネクタを構成することができる。この場合、光結合部材10においては、作業者等によりホルダ11等を把持された状態で結合作業が行われる。すなわち、本実施の形態に係る光結合部材10は、光コネクタの一部を構成することができる。この場合には、上述したいずれかの光結合部材10、10A〜10Dで得られる効果を光コネクタで享受することができる。
また、本実施の形態に係る光結合部材10は、独立して構成されるのではなく他のコネクタの一部に組み込むこともできる。以下、本実施の形態に係る光結合部材10の適用例について、図7及び図8を参照して説明する。図7及び図8は、本実施の形態に係る光結合部材10の適用例の説明図である。図7においては、USB(Universal Serial Bus)規格に対応した電気コネクタの斜視図を示している。図7Aにおいては、Aタイプの雄側のUSBコネクタ30を示し、図7Bにおいては、Aタイプの雌側のUSBコネクタ40を示している。図8においては、AタイプのUSBコネクタ30、40を側面から見た模式図を示している。なお、図8においては、説明の便宜上、USBコネクタ30、40から接点端子32、42を省略している。
図7Aに示すように、雄側のUSBコネクタ30には、下方側部分に台座部31が設けられ、この台座部31の上面に4つの電気信号の伝達用の接点端子32が設けられている。また、台座部31の上方には、空間33が形成されている。一方、図7Bに示すように、雌側のUSBコネクタ40には、上方側部分に台座部41が設けられ、この台座部41の下面に4つの接点端子42が設けられている。また、台座部41の下方には、空間43が形成されている。
本実施の形態に係る光結合部材10は、例えば、雄側のUSBコネクタ30に組み込まれる。光結合部材10は、図7Aに示すように、空間33の奥側の位置に配置される。空間33には、複数(ここでは、2つ)の光結合部材10が配置されている。それぞれの光結合部材10は、空間33内において僅かに前後方向(図8に示す左右方向)、左右方向(図8に示す紙面奥行き方向)及び上下方向に移動可能に保持される。例えば、光結合部材10には、光ファイバ13の周囲にコイルばね17が取り付けられている。このコイルばね17は、前端部がホルダ11の後端部に固定される一方、後端部がUSBコネクタ30の内壁面18の前面に固定される。このコイルばね17を介してUSBコネクタ30に接続されることにより、光結合部材10は、空間33内での移動可能に保持される。そして、このコイルばね17の付勢力によって、光結合部材10は、空間33内で周囲の部材に接触しない初期位置に配置される。なお、光結合部材10を空間33内において僅かに移動可能に保持する構成としては、コイルばね17に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、柔軟性を有するエラストマ材料で光結合部材10を囲む構成とし、その移動を許容しながら保持するようにしてもよい。
一方、結合対象となる光結合部材20は、例えば、雌側のUSBコネクタ40に組み込まれる。光結合部材20は、USBコネクタ30の光結合部材10に対応する台座部41の位置に配置されている。雄側のUSBコネクタ30が図7Aに示す構成を有する場合、台座部41には、複数(ここでは、2つ)の光結合部材20が埋め込まれる。例えば、光結合部材20は、磁石24の断面24sが、台座部41の端面41sと同一平面上に位置するように配置される(図8B参照)。なお、光結合部材20の位置は、僅かに台座部41の端面41sの内側に配置されていてもよい。この場合、台座部41には、光結合部材20を中心としてテーパ面を形成することが好ましい。
このような構成を有し、雌側のUSBコネクタ40に雄側のUSBコネクタ30を挿入することにより、接点端子32の上面が接点端子42の下面に接触した状態となり、電気信号を伝達することが可能となる。また、光結合部材10の磁石14の断面14sが、光結合部材20の磁石24の断面24sに密着した状態となる。これにより、ホルダ11に保持されたボールレンズ12の中心がホルダ21に保持されたボールレンズ24の中心と位置合わせされる。この結果、光ファイバ13(23)を伝搬される光信号をボールレンズ12、22(22、12)を介して光ファイバ23(13)に伝達することが可能となる。
上述したように、光結合部材10は、空間33内において僅かに移動可能に保持されている。USBコネクタ40にUSBコネクタ30を挿入する際、光結合部材10は、磁石14、24の吸着力により僅かに位置を調整しながら光結合部材20に結合される(図8B参照)。このため、使用者は、光結合部材10、20の位置を意識することなく、USBコネクタ30を挿入するだけで光結合部材10、20を結合することが可能となる。なお、光結合部材10、20の結合を解除する場合には、USBコネクタ40からUSBコネクタ30を抜き取るだけでよい。したがって、このようなUSBコネクタ30、40に光結合部材10、20が適用される場合においても、複雑な結合作業を必要とすることなく光信号を光ファイバ13、23に伝達することが可能となる。
このように本実施の形態に係る光結合部材10は、USBコネクタ30等の電気コネクタに組み込むことができる。この場合には、USBコネクタ30をUSBコネクタ40に接続するだけで、USBコネクタ40が搭載されるコンピュータ等の接続対象との間で光ファイバ13によって伝搬される光信号と共に電気信号を伝達することができるので、使用者の接続作業を簡素化することが可能となる。
以上説明したように、本実施の形態に係る光結合部材10においては、前端にボールレンズ12を収容する収容部11cが形成され、後端に光ファイバ13が挿入される挿入孔11aが形成されるホルダ11と、このホルダ11の前端におけるボールレンズ12の収容方向(図1に示す左右方向)と交差する方向の外側に設けられる磁石14と、を具備し、磁石14は、ボールレンズ12の中心を、結合対象に設けられる光学要素の中心に位置合わせする吸着力を発生させる構成としている。この構成によれば、ホルダ11に設けられた磁石14の吸着力によって、ボールレンズ12の中心が結合対象に設けられる光学要素の中心に位置合わせされることから、ホルダ11を結合対象に接近させるだけでボールレンズ12と光学要素とを簡単に位置合わせすることができる。これにより、複雑な結合作業を必要とすることなく、光ファイバ13内の光の伝搬効率を向上することが可能となる。
特に、本実施の形態に係る光結合部材10においては、コリメート機能を有するボールレンズ12を備えており、同じくコリメート機能を有するボールレンズ22を備えた光結合部材20と結合することができる。この構成によれば、ボールレンズ12、22間の厳密な位置合わせを必要とすることなく光ファイバ13(23)を伝搬される光を結合することができる。このため、ボールレンズ12、22間を厳密に位置合わせするような複雑な結合作業を行う必要はなく、磁石14、24により吸着力のみで光結合部材10、20を結合することが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、光結合部材10が備えるレンズがボールレンズ12で構成される場合について説明している。しかしながら、光結合部材10に適用されるレンズについてはボールレンズ12に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、結合対象との間で適切に伝搬される光を結合可能であることを前提として、凸レンズや凹レンズ等の任意のレンズを適用することができる。
また、上記実施の形態においては、光結合部材10が吸着部材として磁石14を備える場合について説明している。しかしながら、光結合部材10が備える吸着部材については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、吸着部材として、結合対象に設けられた磁石に吸着する磁性体を光結合部材10に備えるようにしてもよい。このように変更する場合にも、上記実施の形態と同様に、複雑な結合作業を必要とすることなく、光ファイバ13内の光の伝搬効率を向上することが可能となる。
さらに、上記実施の形態においては、光結合部材10が備える磁石14が円筒形状を有する場合について説明している。しかしながら、光結合部材10が備える磁石14の形状については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、結合対象に設けられる磁石との関係において、ボールレンズ12の中心を結合対象側の光学要素の中心と位置合わせできることを前提として任意の形状とすることができる。例えば、磁石14は、断面形状が多角形の筒状体で構成するようにしてもよい。また、磁石14は、ホルダ11の前端部の周囲全体に囲む形状でなく、その一部に配置される形状であってもよい。さらに、磁石14は、前端部の断面が平面形状ではなく凹凸形状を有するようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態においては、光結合部材10の結合対象として同一の構成を有する光結合部材20と結合する場合を例に説明している。しかしながら、光結合部材10の結合対象については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、光結合部材10は、光学要素としてレンズを含まない結合対象、異なる断面形状を有する磁石24を備えた結合対象や、磁石24の代わりに磁性体を備えた結合対象と結合することができる。