(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例における複合機などの画像形成装置100の概略構成を示すブロック図である。
図1において、画像形成装置100は、CPU101、ROM102、RAM104、プリンタ制御部105、画像読取制御部107、ストレージ制御部110、入力制御部112、及び表示制御部114を備え、これらはバス103で接続される。
また、画像形成装置100は、ストレージ111、プリンタデバイス106、スキャナデバイス108、原稿搬送デバイス109、入力デバイス113、及び表示デバイス115を備えている。
CPU101は、この画像形成装置100全体を制御する。CPU101はROM102に格納されているブートプログラムにより、OS(オペレーティングシステム)を起動する。そして、CPUは、このOSの上でストレージ111に記憶されているプログラムを実行する。RAM104は、CPU101の主メモリやワークエリア等の一時記憶領域として使用される。プログラムをCPU101が実行する際には、当該プログラムをストレージ111から読み出してRAM104に記憶する。
プリンタ制御部105は、プリンタデバイス106を制御して画像データを紙などの用紙に印刷させる。プリンタデバイス106は画像データを用紙上に印刷する。
画像読取制御部107は、スキャナデバイス108を制御して画像データを生成する。また、ADF(オート・ドキュメント・フィーダ)などの原稿搬送デバイス109を制御し、原稿搬送デバイス109の原稿台に載置された原稿を1枚ずつスキャナデバイス108に搬送し画像データを生成させる。スキャナデバイス108はCCDなどの光学読取装置を用いて原稿の走査を行い、原稿の画像情報を電気信号データに変換する。
ストレージ111は、HDDなどの読み書き可能な不揮発性記憶装置である。このストレージ111には、画像形成装置100全体を制御するためのプログラムや各種アプリケーションプログラム、及び、メンテナンス手順を示す動画など様々なデータが記憶される。そして、それらの各プログラムはCPU101により実行される。ストレージ制御部110はストレージ111を制御する。
入力制御部112は、タッチパネルやハードキーなどの入力デバイス113からユーザの操作指示を受け付ける。表示制御部114はLCDやCRTなどの表示デバイス115を制御して、操作画面や動画をユーザに対して表示させる。
図2は、画像形成装置100の外観を示す外観図である。
図2において、画像形成装置100に設けられた右カバー201、前カバー202、トナーカバー203が示されている。
右カバー201は、ジャム紙を除去するために、印刷用紙の搬送路を露出させるためのものである。前カバー202は、後述の転写ユニットを引き出し、ジャム紙を除去するためのものである。また、前カバー202は、ロック機構を備えており、ユーザが誤って前カバー202を開けないようにするために、自動的にロックして開かないようにすることができる。トナーカバー203は、トナーを交換する際に、トナー容器装着箇所を露出させるためのものである。上述した右カバー201、前カバー202、トナーカバー203の開閉状態を検知するセンサを画像形成装置100は備えている。
図3は、画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。図3における内部構造は、例えばCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のフルカラーの画像形成装置での一例を示している。
感光ドラム301は、一次帯電気302により特定の極性電位に帯電処理され、図示しない露光手段によって303に示される位置がCPU101からの指示に従って露光される。このようにして例えばKに対応した静電潜像が形成される。
ロータリー現像機304は、トナーカートリッジと一体となった4つの現像機を具備する。静電潜像が形成されたあと、ロータリー現像機304の現像機の中のひとつにより、感光ドラム301にKに対応する画像が現像される。
中間転写ベルト305は306が示す方向に駆動され、感光ドラムに現像されたKに対応する画像が、感光ドラムと中間転写ベルトの接合部分を通る過程で、一次転写ローラー307により形成された電界によって中間転写ベルトに転写される。中間転写ベルトに転写を終えた感光ドラム301の表面はクリーニング装置308によって清掃される。この処理を順次繰り返し、4色(マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック)の画像を中間転写ベルトに重ね合わせて、カラー画像が形成される。単色の画像を形成する場合は一度だけ転写処理が行われる。
中間転写ベルト305に転写された画像は二次転写ローラー309部分でカセット310より給紙された用紙に印刷される。画像が印刷された用紙は定着機311で加熱され定着される。定着後、用紙はローラー312によって、排紙口313まで搬送され機外に排出される。両面印刷を行う場合は、反転パス314を通過して用紙を循環させ、印刷処理を繰り返す。また、二次転写ローラー309及び定着機311は、転写ユニットと呼ばれるひとつのユニットになっており、ジャム紙を取り除く際に、ユニットを引き出すことができる。
搬送部センサ315、両面部センサ316、転写部センサ317は、印刷用紙の滞留有無を検知する。また、読取部センサ321は、スキャナデバイス108における原稿用紙の滞留有無を検知する。これらのセンサによりジャムの発生が検知される。重送検知センサ319は、スキャナデバイス108で原稿を読み取る際に、原稿が複数枚重なって搬送されていないか(以下、重送とする)を検知する。重送検知センサ319としては、シート給送中の先行シートと重なった状態で後続シートが連れ送りされたことを検出できさえすれば、どのような方式のセンサを用いても構わない。例えばシート面の一方から超音波を照射し、対向側に到達する波形の減衰特性から重送状態を検出するセンサや、シート厚み方向の電気抵抗を測定することで重送状態を検出するセンサなどを用いることもできる。前カバーロックセンサ320は、前カバー202がロックされているか検知(ロック検知)する。これらのセンサは、メカ・フラグを用いたものでもよいし、光学的な素子を用いたものでもよい。
図4は、図1におけるストレージ111に記憶された動画リストテーブル400、及び動画テーブル410、センサ位置Bitテーブル420を示す図である。
図4(c)は、センサ位置Bitテーブル420を示す図である。センサ位置Bitテーブル420は、センサ421と、センサ位置Bit422とを対応付けるテーブルである。
センサ421は、画像形成装置100の内部のセンサの位置を示している。センサ位置Bit422は、各種センサ421が印刷用紙や原稿用紙の滞留等を検知した際に、それぞれに対応するBitをONにする場所を示す。
搬送部センサ315により搬送部でのジャムが検知された際は、Bit1がONになる。
両面部センサ316により両面部でのジャムが検知された際は、Bit2がONになる。
転写部センサ317により転写部でのジャムが検知された際は、Bit3がONになる。
前カバーロックセンサ320により前カバー202がロックされたことが検知された際は、Bit4がONになる。
重送検知センサ319により重送が検知された際は、Bit5がONになる。
読取部センサ321によりスキャナデバイス108におけるジャムが検知された際は、Bit6がONになる。
図4(a)は、動画リストテーブル400を示す図である。動画リストテーブル400は、メンテナンス事象(ジャム、トナー不足等)と、当該メンテナンス事象の発生を検知した際に再生すべき動画との関連を定義するテーブルである。動画リストテーブル400には、メンテナンスID401と対応センサ位置Bit402、及び動画リスト403が対応付けて記憶されている。メンテナンスIDは、画像形成装置100において発生したメンテナンス事象を識別するためのメンテナンス識別情報である。
図4(a)において、メンテナンスID401の001は搬送部ジャムであり、センサ位置BitのBit1(搬送部センサ315)のみがONのとき検知される。002は転写部ジャムであり、センサ位置BitのBit3(転写部センサ317)のみがONのとき検知される。
003は搬送部ジャム及び転写部ジャムであり、センサ位置BitのBit1(搬送部センサ315)、Bit3(転写部センサ317)、Bit4(前カバーロックセンサ320)がONのとき検知される。なお、ジャム紙が搬送部と転写部に跨る場合、前カバー202を開け、転写ユニットを引き出してしまうと、ジャム紙が切断され、紙が搬送部、転写部に残り、故障の原因になる可能性がある。そこで、搬送部と転写部に跨るようなジャムが発生した際は、前カバー202をロックすることで、誤って転写ユニットを引き出してジャム紙が切断されるのを防ぐよう制御される。よって、搬送部と転写部でのジャムを検出した場合、前カバーがロック状態となりセンサ位置BitのBit4がONとなる。
004はシアントナー不足であり、プリンタデバイス106により検知される。
005は読取部ジャムであり、センサ位置BitのBit6のみがONのとき検知される。
006は読取部重送検知ジャムであり、センサ位置BitのBit5とBit6がONのとき検知される。
動画リスト403は、各メンテナンス事象が発生した際に再生すべき動画のリストを示している。メンテナンス事象が発生した場合、該メンテナンス事象を解消するために必要な一連の操作手順をユーザに示す必要がある。該一連の操作手順は、例えばカバーを開ける手順、ジャム紙を除去する手順、カバーを閉じる手順など、複数の操作手順から構成されている。本実施形態では、メンテナンス事象毎に一連の操作手順を示す一本の動画を用意しておくのではなく、操作手順(操作要素)毎に動画を用意しておき、これらの動画を複数組み合わせて一連の操作手順をユーザに示すものとする。以下の説明では、該操作手順毎の動画を「部分動画」と呼ぶことにする。動画リスト403には、複数の部分動画の組み合わせと、各部分動画の再生順とがメンテナンスID401と対応づけて記憶されている。部分動画の組み合わせとは、例えばメンテナンスID401が001の場合は、それに対応する動画リスト403に示される部分動画A1、A2、A3、A6である。また、再生順は、記載されている順番であり、メンテナンスID401が001の場合はA1、A2、A3、A6の順に部分動画が再生されることになる。
図4(b)は、動画テーブル410を示す図である。動画テーブル410は、動画ID411と、動画ファイル412と、再生時間413と、カバー開閉フラグ414と、メッセージ415とを対応付けるテーブルである。
動画ID411は、部分動画を識別するためのIDであり、上述した動画リストテーブル400における動画リストでも用いられる。動画ファイル412は、再生する部分動画のファイル名とストレージ111における部分動画ファイルの位置とを示している。なお、ここでは部分動画ファイルがストレージ111内に記憶されているものとするが、ネットワークを介して接続されたサーバや、USBケーブルを介して接続された記憶デバイス等の外部装置に記憶しておき、必要な時に読み出す構成にしてもよい。
再生時間413は、その部分動画を再生してから終了するまでの再生時間を示している。
カバー開閉フラグ414は、画像形成装置100のカバーが開けられる前の手順を示す部分動画であるか、開けられた後の手順を示す部分動画であるかを示している。カバー開閉フラグが0の場合、カバーが開けられる前の手順を示す動画であることを示し、カバー開閉フラグが1の場合、カバーが開けられた後の手順を示す動画であることを示す。
メッセージ415は、対応する部分動画を再生中に表示するメッセージを示している。
各部分動画ファイルに示される操作手順は、以下の通りである。
部分動画A1には、右カバー201を開ける操作手順が示されている。
部分動画A2、A3には、搬送部センサ315付近のジャム紙を除去する操作手順、部分動画A4、A5には、転写部センサ317付近のジャム紙を除去する操作手順が示されている。
部分動画A6には、右カバー201を閉める操作手順が示されている。
部分動画A7には、前カバー202を開ける操作手順が示されている。
部分動画A8には、前カバー202を閉める操作手順が示されている。
部分動画A9には、スキャナデバイス108のカバーを開ける操作手順が示されている。部分動画A10には、読取部センサ321付近のジャム紙を除去する操作手順が示されている。部分動画A11には、スキャナデバイス108のカバーを閉める操作手順が示されている。
部分動画B1には、トナーカバー203を開ける操作手順が示されている。部分動画B2には、空のマゼンタトナーカートリッジを取り出す操作手順、部分動画B3には、新しいマゼンタトナーカートリッジを準備する操作手順、部分動画B4には、新しいマゼンタトナーカートリッジを装着する操作手順が示されている。
部分動画B5には、空のシアントナーカートリッジを取り出す操作手順、部分動画B6には、新しいシアントナーカートリッジを準備する操作手順、部分動画B7には、新しいシアントナーカートリッジを装着する操作手順が示されている。
部分動画B8には、空のイエロートナーカートリッジを取り出す操作手順、部分動画B9には、新しいイエロートナーカートリッジを準備する操作手順、部分動画B10には、新しいイエロートナーカートリッジを装着する操作手順が示されている。
部分動画B11には、空のブラックトナーカートリッジを取り出す操作手順、部分動画B12には、新しいブラックトナーカートリッジを準備する操作手順、部分動画B13には、新しいブラックトナーカートリッジを装着する操作手順が示されている。
部分動画B14には、トナーカバー203を閉める操作手順が示されている。
図4(a)の動画リスト403の説明に戻る。例えば搬送部ジャムが発生した場合(メンテナンスIDが001)、最初に右カバー201を開ける操作手順を示す部分動画A1が再生される。そして、続いて搬送部センサ315付近のジャム紙を除去する操作手順を示す部分動画A2、A3、右カバー201を閉める操作手順を示す部分動画A6の順に再生される。ここで、メンテナンス事象である搬送部ジャムを解消するための操作手順を示しているのは部分動画A2、A3であり、部分動画A1はその準備のための操作手順を示していると言える。以下の説明では、メンテナンス事象を解消する手順の前に実施すべき操作手順を示す部分動画を「事前準備動画」と呼ぶことにする。また、メンテナンス事象を解消するための操作手順、言い換えると、事前準備動画で示される操作手順を実施した後に行う操作手順を示す部分動画を「本編動画」と呼ぶことにする。例えば、メンテナンスIDが001の場合、部分動画A1が事前準備動画、部分動画A2、A3、A6が本編動画となり、メンテナンスIDが004の場合、部分動画B1が事前準備動画、部分動画B5、B6、B7、B14が本編動画となる。本実施形態では、カバー開閉フラグ414が0の部分動画が事前準備動画となり、カバー開閉フラグ414が1の部分動画が本編動画となる。
図5〜図7は、本実施例における表示デバイス115に表示される画面例を示す図である。以下、図5〜図7を用いて、本実施形態における表示画面の遷移の全体像について説明する。
図5における画面500は、CPU101がストレージ111に記憶されているプログラムを実行することで表示データを生成し、表示制御部114を介して表示デバイス115に表示される。
図5(a)は、メンテナンス事象の発生を検知した際に表示される画面例である。ここでは、搬送部ジャムの発生を検知した場合(メンテナンスIDが001)を例として説明する。メンテナンスIDが001の場合、動画リストテーブル400によれば、動画IDがA1、A2、A3、A6の部分動画が順に再生されることとなる。図5(a)では、事前準備動画である部分動画A1の先頭で停止された状態の画面が表示されている。
画面500には、動画表示領域501、再生ボタン502、再生マーク503、再生時間表示ラベル504、バー505、スライダ506、チャプタ507、メッセージ領域508、アイコン509が表示されている。また、チャプタ507まで再生位置を移動させる、チャプタスキップ戻るボタン510、チャプタスキップ進むボタン511が表示されている。
動画表示領域501は、メンテナンス手順を示す動画を表示するための領域である。再生ボタン502は、動画の再生を指示するためのボタンである。再生マーク503は、再生ボタン502と同じく、動画の再生を指示するためのマークである。再生ボタン502又は再生マーク503が押下(タッチ)されると、CPU101は動画の再生を開始する。
再生時間表示ラベル504は、再生する複数の部分動画の再生時間の総和(「総再生時間」と呼称する)と、これに対する現在の再生位置に対応する時間を示すものである。
バー505およびスライダ506は、動画全体における再生位置を示すとともに再生位置の移動を指示するためのシークバーを構成する。バー505は、総再生時間を模式的に示している。スライダ506は現在の再生位置を示すと共に再生位置の移動を指示するために使用される。スライダ506は、動画の再生状態に応じてバー505の範囲内で移動する。また、スライダ506をドラッグ(移動)することで、再生位置を任意の位置に移動させることができる。また、バー505の任意の位置が押下されると、その位置まで動画の再生を進めることができ、スライダ506もその再生位置に付随して移動する。チャプタ507は、動画の区切りの位置を示し、その位置まで動画が再生されると、自動で停止される。
再生時間表示ラベル504、チャプタ507について具体的に説明する。メンテナンスIDが001の場合、動画リストテーブル400によれば、部分動画A1、A2、A3、A6が順に再生されることとなる。これらの部分動画の再生時間は、動画テーブル410によればそれぞれ10秒(00:10)、20秒(00:20)、20秒(00:20)、10秒(00:10)である。総再生時間は、再生する部分動画の再生時間の総和であるため、この場合は1分00秒(01:00)となる。一方、再生時間は、総再生時間に対する現在の再生位置を示す。例えば、1番目に再生する部分動画A1の先頭から5秒(00:05)経過したシーンを表示しているとする。この場合には、そのまま5秒が再生時間となる。また、2番目に再生する部分動画A2の先頭から10秒が経過したシーンを表示しているとする。この場合には、部分動画A1の再生を終えているので、A1の再生時間10秒と、A2の再生済みの時間10秒を加算して20秒(00:20)が再生時間となる。再生時間表示ラベル504は、このようにして計算した再生時間と総再生時間とが、スラッシュ(/)で連結した文字列として表示される。
チャプタ507は一連の操作手順のうち、区切りとなる位置に表示され、動画がその位置まで再生されると、動画の再生が自動で一時停止される。チャプタ507は、部分動画の再生が切り替わる位置(A1とA2、A2とA3、A3とA6)の3箇所に表示される。また、動画全体の先頭と末尾の2箇所にもチャプタ507を表示してもよい。
図5(a)では、上記の5箇所にチャプタ507を表示した場合の例を示している。
チャプタスキップ戻るボタン510、チャプタスキップ進むボタン511は、動画の再生位置をチャプタ507まで移動させるボタンである。例えば、再生時間00:00の状態で、チャプタスキップ進むボタン511が押下されると、再生時間00:10のチャプタ507に再生位置とスライダ506が移動される。また、再生時間01:00の状態で、チャプタスキップ戻るボタン510が押下されると、再生時間00:50のチャプタ507に再生位置とスライダ506が移動される。
メッセージ領域508には、再生中の部分動画の内容を補足するメッセージが表示される。具体的には、部分動画A1が再生されているときは、動画テーブル410内のメッセージ415に基づいて、“右カバーを開けてください。”が表示される。尚、メッセージ領域508は、対応する部分動画の再生を開始してから一定時間後に非表示にしても良いし、対応する部分動画が表示されている間は表示し続けても良い。
アイコン509は、画像形成装置100においてメンテナンス事象が発生している箇所を示す。具体的には、メンテナンスIDが001の場合、搬送部ジャムが発生しているため、アイコン509では搬送部が示されている。
メッセージ516は、前カバーがロックされており、前カバーロックセンサ320が検知している際に、ユーザにその旨を知らせるメッセージが表示される。
図5(a)の画面において、再生ボタン502又は再生マーク503が押下されると、動画の再生が開始される。メンテナンスIDが001の場合、CPU101は事前準備動画である部分動画A1の再生を開始する。図5(b)は、部分動画A1の再生が開始されてから2秒後の画面例を示している。動画の再生開始に応じて、再生ボタン502及び再生マーク503が非表示となり、再生ボタン502に代わって同位置に一時停止ボタン512が表示される。
図5(c)は、再生位置が部分動画A2の末尾まで到達した時の画面例を示した図である。部分動画A2の再生が終了した時点、すなわちチャプタ516の位置で動画の再生が自動的に一時停止される。そして、再生マーク513と共にリプレイマーク514が表示される。また、一時停止ボタン512は非表示となり、同表示位置に再生ボタン515が表示される。リプレイマーク514は、現在停止されている部分動画の先頭からの再生を指示するためのマークである。具体的には、チャプタ516の位置で停止中に、リプレイマーク514が押下されると、CPU101は部分動画A2の先頭に移動して動画の再生を再開する。このように、作業単位でチャプタを配置し、そこまでの再生が終了した時点で動画の再生を自動的に一時停止することにより、ユーザの意図とは関係なく、先の操作手順を示す動画に進んでしまうのを防ぐことができる。また、一時停止した際には、再生マーク513と共にリプレイマーク514を表示するので、次の操作手順の動画に進むのか、もう一度動画を見直すのかを容易に選択することができる。
図5(c)の画面において、再生マーク513又は再生ボタン515が押下されると、部分動画A3の再生が開始される。
図6(a)は、部分動画A3の再生が開始されてから3秒後の画面例を示した図である。
図6(b)は、部分動画A3の再生途中で一時停止ボタン又は動画表示領域が押下された時の画面例を示した図である。一時停止ボタン又は動画表示領域が押下されると、動画の再生が停止され、再生マーク601と共にリプレイマーク602が表示される。
図6(c)は、図6(b)の画面におけるリプレイマーク602、又はチャプタスキップ戻るボタン603が押下された時に表示される画面例を示した図である。リプレイマーク602又はチャプタスキップ戻るボタン603が押下されると、部分動画A3の先頭(チャプタ606)に移動して動画の再生が再開される。
このように、ユーザによる意図的な操作によって動画が一時停止した場合も、部分動画の再生終了により自動的に一時停止された場合と同様に、再生マークと共にリプレイマークが表示される。
図7は特定のメンテナンス事象が発生した場合に、詳細なメンテナンス手順を示す動画(図5、6)を表示する前に表示される専用画面の例を示した図である。
図7(a)は、メンテナンスIDが003、すなわち搬送部ジャム及び転写部ジャムが発生し前カバーがロックされた際に最初に表示される画面例を示した図である。上述した通り、搬送部と転写部に跨るようなジャムが発生した際は、誤って転写ユニットを引き出してジャム紙が切断されるのを防ぐために、前カバー202をロックするよう制御される。しかし、ユーザが、前カバー202のロックに気づかずに無理やり開けようとしてしまうと、前カバー202の故障の原因になってしまう。そこで、ジャムが発生した際に、図5、図6のような詳細の手順を表示する前に図7(a)で示す画面を表示することにより、前カバー202がロックされていることをユーザに注意喚起することができる。
詳細手順へボタン701は、図5、図6のようなジャム紙を取り除くための手順を示す動画へ表示を切替えるためボタンである。
図7(b)は、メンテナンスIDが006、すなわち原稿搬送デバイス109で原稿を読み取る際に原稿の重送が起き、ジャムが発生した場合に最初に表示される画面例を示した図である。重送が起きた際は、複数枚の原稿同士がくっついた状態になっている場合があり、ジャムの解除後にそのままの状態で原稿の読み取りを再開すると、再び重送が起きてしまう可能性がある。そこで、図7(b)の画面例のように、その解消方法(原稿の読み取り再開前に原稿をさばく)をユーザに示すことで、重送の再発を防止することができる。
図8は、CPU101により実行されるメンテナンス手順の表示処理を示すフローチャートである。
図8における処理は、上述した各種センサが示す値の変化をプリンタ制御部105及び画像読取制御部107が検知することにより開始される。
まず、CPU101は、いずれのメンテナンス事象が発生したかを判定し、メンテナンスIDを特定する(S801)。例えば、搬送部センサ315付近でジャムが発生した場合、センサ位置Bit1のみがONとなることから、CPU101は、図4(a)の動画リストテーブル400より、メンテナンスIDを001(搬送部ジャム)と特定する。また、搬送部と転写部に跨る位置でジャムが発生した場合、センサ位置Bit1、3、4がONとなることから、CPU101はメンテナンスIDを003(搬送部転写部ジャム)と特定する。
続いて、CPU101は、特定のセンサ位置BitがONか否かを判断する(S802)。ここで言う特定のセンサ位置Bitとは、Bit4(前カバーロックセンサ320)とBit5(重送検知センサ319)のことを指しており、これらのセンサ位置BitがどちらかONであれば、CPU101は、S803の処理に進む。これらのセンサ位置BitがどちらかONでなければ、CPU101は、S806の処理に進む。
特定のセンサ位置BitがONである場合(S802でYes)、CPU101は、図7で示すようなユーザの注意喚起を行うための専用画面を表示デバイス115に出力する(S803)。Bit4がONの場合は図7(a)に示す画面、Bit5がONの場合は図7(b)に示す画面が、それぞれ表示デバイス115に出力される。
続いて、CPU101は、詳細手順へボタン701の押下を検知したか否か判断する(S804)。詳細手順へボタン701の押下を検知した場合、CPU101は、自動再生フラグをONにしてRAM104に記憶する(S805)。
S806では、CPU101は、動画リストテーブル400を参照し、S801で特定したメンテナンスIDに対応する部分動画のリストを読み込む。そして、CPU101は、読み込んだ部分動画のリストに従って、部分動画の取得を行う(S807)。例えば、特定したメンテナンスIDが001の場合、再生する部分動画はA1、A2、A3、A6である。また、特定したメンテナンスIDが003の場合、再生する部分動画はA1、A2、A3、A6、A7、A4、A5、A8である。CPU101は、特定した複数の部分動画をその再生順で、例えば配列情報としてRAM104に一時的に記憶しておく。
S808では、CPU101は、S806で読み込んだリストの部分動画を全て取得したか判断し、全て取得した場合はS809に、全て取得していない場合はS807の処理に進む。
続いて、CPU101は、動画の総再生時間を算出する(S809)。CPU101は、動画テーブル410に基づいて、S807で取得した部分動画各々の再生時間413を取得し、これらの総計を算出する。CPU101は、算出した総再生時間に基づいて再生時間表示ラベル(図5(a)の504等)を表示する。
S810では、CPU101は、RAM104に記憶されている自動再生フラグがONか否か判断し、ONである場合はS811に、ONでない場合はS813の処理に進む。
自動再生フラグがOFFの場合、CPU101は、先頭の動画IDの部分動画をRAM104に読み込み、停止状態で表示デバイス115に出力する(S813)。例えば、メンテナンスIDが001の場合、CPU101は、先頭の部分動画A1をRAM104に読み込み、停止状態で表示デバイス115に出力する。併せて、CPU101は再生マーク及び再生ボタンを表示デバイス115に出力する(S814)。図5(a)はこのときの画面例である。そして、CPU101はユーザによる再生ボタン502又は再生マーク503の押下を検知すると(S815)、先頭の部分動画の再生を開始する(S816)。ジャムの発生等のメンテナンス事象は、画像形成装置100によるスキャン動作、プリント動作等を実行中はいつでも発生する可能性があり、当該メンテナンス事象が発生した時点で、ユーザが表示デバイス115を見ているとは限らない。よって、メンテナンス事象の発生に従ってメンテナンス手順を示す動画の画面に遷移した場合には、自動的に動画の再生を開始せずにユーザによる再生開始の操作を待ってから動画の再生を開始する。これにより、ユーザによる手順の見逃しを防ぐことができる。
一方、自動再生フラグがONの場合、CPU101は、先頭の動画IDの部分動画をRAM104に読み込み、再生状態で表示デバイス115に出力する(S811)。例えば、メンテナンスIDが003の場合、CPU101は、先頭の部分動画A1をRAM104に読み込み、再生を開始する。CPU101は、動画の再生開始後に自動再生フラグをOFFにする(S812)。上述の通り、メンテナンス事象が発生した時点ではユーザが表示デバイス115を見ているとは限らないが、図7のような画面を表示中に詳細手順へボタン701が押下されたということは、ユーザが表示デバイス115を見ながら操作しているということである。このような場合にまでユーザによる動画再生開始の操作を行わせるようにすると、操作ステップ数が増えてしまい、かえって操作性を低下させてしまう恐れがある。よって、特定のメンテナンス事象の発生に従って図7に示す画面を表示した後、ユーザによる操作に応じてメンテナンス手順を示す動画の画面に遷移した場合には、自動的に動画の再生を開始する。これにより、ユーザが詳細手順へボタン701を押下した後に、再生ボタン502又は再生マーク503を押下して動画を再生させる、といった操作の手間を省くことができる。
なお、S809において、CPU101は、動画テーブル410の再生時間413を利用して総再生時間の算出を行っているが、再生時間413を使用しなくても良い。つまり、CPU101は、対応する複数の部分動画をRAM104に読み込み、それぞれの部分動画のフレームレートと総フレーム数から各部分動画の再生時間を計算し、その値から総再生時間を算出するようにしても良い。
また、動画の形式やコーデックについては、本発明により特に制限するものではなく、様々な形態を取ることができる。
以上のように、本実施形態における画像形成装置は、複数のメンテナンス事象のうち、特定のメンテナンス事象の発生が検出された場合には、詳細なメンテナンス手順を示す動画の表示前に、ユーザへ注意喚起させるための特定の画面を表示する。これにより、画像形成装置100の故障の要因となる行為や再度のメンテナンス事象の発生を防ぐことができる。
また、上記特定のメンテナンス事象以外のメンテナンス事象が発生した場合は、動画を停止した状態で表示し、ユーザによる再生開始の操作を受けてから動画の再生が開始される。これにより、メンテナンス事象の発生に応じてメンテナンス手順を示す動画の再生が自動的に開始されることによる、ユーザによる手順の見逃しを防ぐことができる。また、上記特定のメンテナンス事象を検出したことに従って上記特定の画面を表示後、ユーザによる操作に応じてメンテナンス手順を示す動画の画面に遷移した場合には、自動的に動画の再生を開始する。これにより、動画の画面遷移時に一律停止状態で表示することによるユーザによる操作性の低下を防ぐことができる。
(第2の実施形態)
次に本発明を実施するための第2の実施形態について、第1の実施形態との差分を中心に説明する。本実施形態では、専用画面を表示している状態で、メンテナンス事象に関連するカバーがオープンされた場合、カバーオープン後の動画に再生位置を移動した上で、自動で動画の再生を開始する例について説明する。
図9は、CPU101により実行されるメンテナンス手順の表示処理を示すフローチャートである。
S901〜S916は、図8のS801〜S816と同様のため、説明を割愛する。
S903において専用画面が表示された後、CPU101は、現在発生しているメンテナンス状態に対応するカバーが開けられたか判断する(S917)。例えば、メンテナンスIDが003の状態(搬送部ジャム及び転写部ジャム)が発生した場合、動画リストテーブル400より、最初に表示される動画は、右カバー201を開ける操作手順を示す部分動画A1である。よって、CPU101は、右カバー201のセンサを検知し、右カバー201が開けられたか判断する。対応するカバーが開けられたと判断した場合、CPU101は、カバーオープンフラグをONにしてRAM104に記憶する(S918)。対応するカバーが開けられていないと判断した場合、CPU101は、詳細手順へボタン701が押下されたか否かを判断する(S904)。こうして、専用画面を表示中に対応するカバーが開けられるか、詳手順へボタン701が押下されると、S905以降の処理に進む。
S910において自動再生フラグがONであると判断された場合、CPU101は、RAM104に記憶されているカバーオープンフラグがONか否か判断し(S919)、ONである場合はS920に、ONでない場合はS911の処理に進む。
S920では、CPU101は、カバー開閉フラグ414より、動画の再生位置を、カバーが開けられた後の動画ID群の先頭に移動する。例えば、メンテナンスIDが003の場合、カバーが開けられた後の動画ID群の先頭は、動画リストテーブル400より、部分動画A2であるため、CPU101は、部分動画A2の先頭に動画の再生位置を移動する。そして、S911において部分動画A2から動画の再生が開始される。S921では、CPU101は、カバーオープンフラグをOFFにしてRAM104に記憶する。
このように本実施形態の画像形成装置100は、特定のメンテナンス事象の検出に従って特定の画面を表示した後、当該メンテナンス事象に関連するカバーが開けられたことを検知した場合には、詳細手順を示す動画の画面に自動的に画面遷移する。上述した通り、メンテナンス事象が発生した時点ではユーザが表示デバイス115を見ているとは限らない。一方、メンテナンス事象に関連するカバーが開けられたということは、ユーザは表示デバイス115を見てメンテナンス事象の発生を認識し、該メンテナンス事象を解消するための操作を開始したものと想定される。よって、このような場合には自動的に動画の画面に遷移させることで、ユーザによる操作の手間を省くことができる。更に、当該カバーが開けられたことを検知した場合には、当該カバーを開ける手順を示す部分動画の再生を省略し、次の手順の部分動画から動作の再生を開始することで、ユーザによる操作性を向上させることが出来る。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態ではコピー機能、スキャナ機能等の複数の機能を有する画像形成装置100を例として説明したが、このうち一部の機能のみを有する画像処理装置にも本発明は適用可能である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのコンピュータプログラム、及び該コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。