JP6440619B2 - 混合ワクチン用の架橋されていない無細胞百日咳抗原 - Google Patents

混合ワクチン用の架橋されていない無細胞百日咳抗原 Download PDF

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Description

本出願は、2012年10月12日出願の米国仮特許出願第61/713,356号の利益を主張するものであって、その内容全体は、あらゆる目的のために参考として本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋剤によって架橋されていない無細胞百日咳抗原を含有する、安定な組成物、ならびに混合ワクチン中の無細胞百日咳成分としてのその使用に関する。
百日咳菌(Bordetella pertussis)は百日咳の原因となる。ワクチン中の百日咳抗原は、細胞性(全細胞、不活化百日咳菌(B. pertussis)細胞の形をとる;「wP」)であるか、または無細胞(「aP」)である。細胞性百日咳抗原の調製は十分に立証されており(たとえば、参考文献1の21章を参照されたい)、たとえば、百日咳菌のフェーズI培養物の熱失活によって得られる。無細胞百日咳抗原は、無毒化された百日咳毒素(百日咳トキソイド、すなわち「PT」);(2)繊維状赤血球凝集素(「FHA」);および(3)パータクチン(「69 kDa外膜タンパク質」としても知られている)を含んでいる。これら3つの抗原は、典型的には、改変Stainer-Scholte液体培地中で増殖させた百日咳菌培養物から単離することによって調製される。百日咳菌線毛(たとえば、凝集原2および3)は、一部の百日咳ワクチンに追加して含まれる。
PTおよびFHAは、発酵ブロスから(たとえば、ヒドロキシアパタイトゲルへの吸着によって)単離することができるのに対して、パータクチンは、細胞から、熱処理および(たとえば、塩化バリウムを用いた)凝集によって抽出することが出来る。これらの抗原は,その後、クロマトグラフィーおよび/または沈殿ステップを次々に行うことによって精製される。PTおよびFHAは、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィーによって精製することができる。パータクチンは、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィーによって精製することができる。
FHAおよびパータクチンは、典型的には、それらをワクチン製剤に加える前に、架橋剤としてホルムアルデヒドを用いて処理される。PTは、典型的には、ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋剤による処理によって無毒化される。こうした化学的な無毒化法に代わる方法として、酵素活性のために必要とされ、したがって抗原の毒性の原因となる、アミノ酸を置換することによって、PTを遺伝的に無毒化することができる[2]。しかしながら、遺伝的に無毒化されたPTは、液体の状態で保存すると、不安定で分解しやすい場合がある[3]ので、PTの物理化学的および免疫学的パラメーターに影響を及ぼすことなく、そのタンパク質を安定化するために、低濃度のホルムアルデヒドによる処理が用いられてきた[4]。
ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋剤による抗原の架橋は、ワクチンの調製に伴うコストを増加させる追加的加工段階であって、全製造工程に追加の変動要素を導入するものである。しかしながら、安全上の懸念から、特にFHAおよびパータクチンが酵素的に活性のあるPTと同じ百日咳菌培養物から単離される場合には、ワクチンに加える前に、好ましくはホルムアルデヒド処理によって、すべての百日咳菌抗原成分を不活化する製造工程を採用することとなった。さらに、ホルムアルデヒド処理は、液体ワクチン製剤中の、個別の百日咳菌抗原それぞれの安定性を高めるのに有効であると見なされる。
Vaccines. (eds. Plotkin & Orenstein). 4th edition, 2004 Rappuoli et al. (1991) TIBTECH 9:232-238 Nencioni et al. (1990) Infect Immun 58(5):1308-15 Nencioni et al. (1991) Infect Immun 59(2):625-30
遺伝的に無毒化されたPTをコードする遺伝子を保有する百日咳菌株から、遺伝的に無毒化されたPT、および他の百日咳菌抗原を大規模に精製すると、PTおよび他の百日咳菌抗原の化学的架橋は不要になることが今判明した。個別に精製された成分は、高温で長期間保存した後でも(少なくとも37℃で1月)、ホルムアルデヒドまたは他の架橋剤で処理する必要なしに、安定性および免疫原性を保持する。
発明の概要
本発明は、百日咳菌抗原の架橋剤による処理をもはや必要としない、安全で免疫原性のあるワクチン組成物を提供する。本発明のワクチン製剤は、保存中に抗原の分解に起因して効力を失うことなく、無細胞百日咳成分を含有する標準的な混合ワクチンと同様に保存することができる。具体的には、本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有する、ワクチン組成物に関する。
本発明はまた、遺伝的に無毒化された百日咳毒素、ならびにIPV、HBsAg、およびHibから選択される1つもしくは複数の追加の抗原を含有する混合ワクチン(組合せワクチン)に関するが、それは、遺伝的に無毒化された百日咳毒素が架橋剤で処理されていないことを特徴とする。
別の実施形態において、本発明は、百日咳菌抗原PT、FHA、およびパータクチンを含有する混合ワクチンに関するが、それは、百日咳菌抗原のうち少なくとも2つが架橋剤で処理されていないことを特徴とするものであって、ただし、PTが架橋剤で処理されていない場合は、PTが遺伝的に無毒化された百日咳毒素であることを条件とする。
さらに他の実施形態において、本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、およびアルミニウム塩アジュバントを含有する、混合ワクチンに関する。Al+++の濃度は、好ましくは1 mg/ml未満である。本発明の混合ワクチンは、1つもしくは複数のToll様受容体(TLR)アゴニストを追加して含有してもよいが、これはアルミニウム塩アジュバントに吸着されていてもよい。たとえば、本発明の混合ワクチンは、典型的にはアルミニウム塩アジュバントに吸着されている、TLR4アゴニスト(たとえば3d-MPL)またはTLR7アゴニスト(たとえば、化合物T、下記を参照されたい)を含有することができる。
また他の態様において、本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、および油中水型エマルションアジュバントを含有する、混合ワクチンに関する。本発明の混合ワクチンに使用される油中水型エマルションアジュバントには、MF59および/またはAS03が含まれる。
ある実施形態において、本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有する、保存剤を含まない混合ワクチンに関する。
もう1つの実施形態において、本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有する、混合ワクチンに関するが、そのPT:FHA:パータクチンの重量比は、1:1:2、または16:16:5、または5:10:6、または20:20:3、または25:25:8、または10:5:3である。
また他の実施形態において、本発明は、D、T、aPを含有する混合ワクチンに関するが、Lfユニットの単位で測定されたこのTに対するDの比率は、2:1から3:1の間であり、aP成分は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有する。
別の実施形態において、本発明は、D、T、aPを含有する混合ワクチンに関するが、Lfユニットの単位で測定されたこのDに対するTの比率は、1.5より大きく、aP成分は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有する。
好ましい実施形態において、本発明の混合ワクチンは、PT-9K/129Gなどの、遺伝的に無毒化された百日咳毒素を含有する。
本発明はさらに、aP成分を調製するためのプロセス(方法)に関するが、そのプロセスは、遺伝的に無毒化されたPTを発現する百日咳菌株の培養物を増殖させること、異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること、ならびにaP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合することを含むものであって、このプロセスは、精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする。
別の実施形態において、本発明はaP成分を調製するためのプロセスに関するが、そのプロセスは、PTをコードする遺伝子が欠失した百日咳菌株の培養物を増殖させること、異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること、ならびにaP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合することを含むものであって、このプロセスは、精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする。
本発明は以下の実施形態を包含する:
1.遺伝的に無毒化された百日咳毒素、ならびにIPV、HBsAg、およびHibから選択される1つもしくは複数の追加の抗原を含有する混合ワクチンであって、遺伝的に無毒化された百日咳毒素がホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドで処理されていないことを特徴とする、前記混合ワクチン。
2.百日咳毒素がアルデヒド架橋剤で処理されていない、実施形態1に記載の混合ワクチン。
3.百日咳毒素が架橋剤で処理されていない、実施形態1に記載の混合ワクチン。
4.百日咳菌(B.pertussis)抗原PT、FHA、およびパータクチンを含有する混合ワクチンであって、百日咳菌抗原のうち少なくとも2つはホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドで処理されていないことを特徴とし、ただしPTが架橋剤で処理されていない場合PTは遺伝的に無毒化された百日咳毒素であることを条件とする、前記混合ワクチン。
5.百日咳菌抗原のうち少なくとも2つがアルデヒド架橋剤で処理されていない、実施形態4に記載の混合ワクチン。
6.百日咳菌抗原のうち少なくとも2つが架橋剤で処理されていない、実施形態4に記載の混合ワクチン。
7.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびにアルミニウム塩アジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
8.Al +++ の濃度が1 mg/ml未満である、実施形態7に記載の混合ワクチン。
9.ワクチンがTLR4アゴニストをさらに含有する、実施形態7に記載の混合ワクチン。
10.ワクチンがアジュバントとしてAS04を含有する、実施形態9に記載の混合ワクチン。
11.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびに水中油型エマルションアジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
12.水中油型アジュバントがMF59および/またはAS03を含む、実施形態11に記載の混合ワクチン。
13.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、非架橋PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、保存剤を含まない混合ワクチン。
14.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする混合ワクチンであって、PT:FHA:パータクチンの重量比が1:1:2または16:16:5または5:10:6または20:20:3または25:25:8または10:5:3である、前記混合ワクチン。
15.以下の成分を含有する混合ワクチンであって:
− D, T, aP, IPV
− D, T, aP, HBsAg
− D, T, aP, Hib
− D, T, aP, Hib, IPV
− D, T, aP, HBsAg, Hib
− D, T, aP, HBsAg, IPV
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, Spn
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenY
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenW135
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA, MenW135, MenY
ここでaP成分は、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、
前記混合ワクチン。
16.D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたD:Tの比が2:1から3:1の間であり、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
17.D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたT:Dの比が1.5より大きく、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
18.百日咳菌抗原の1つが遺伝的に無毒化された百日咳毒素である、実施形態4〜17のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
19.遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
20.a. 遺伝的に無毒化された百日咳毒素を発現する百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。
21.遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、実施形態20に記載の方法。
22.a. 百日咳毒素をコードする遺伝子が欠失した百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。
23.a.百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
酵素活性のある精製PTを含有するバッチだけは架橋剤で処理するが、他の精製百日咳菌抗原を含有するバッチは架橋剤で処理しないことを特徴とする、前記方法。
24.混合ワクチンを調製するために、実施形態19〜23のいずれか1つによって得られるaP成分を、1つもしくは複数の百日咳以外の抗原と混合することを含む、混合ワクチンを製造する方法。
25.実施形態24に記載の方法によって得られ得る、混合ワクチン。
パータクチンについて力価を示す。 FHAについて力価を示す。 PTについて力価を示す。
発明の詳細な説明
百日咳毒素
百日咳毒素は、S1〜S5と命名された5つのサブユニットからなる105 kDaのタンパク質である。S1サブユニットだけが酵素活性を有し、真核細胞に毒作用を及ぼす。サブユニットS2、S3、S4、およびS5は、1:1:2:1の割合で存在し、毒性のないオリゴマー(Bオリゴマー)を形成するが、これが真核細胞表面上の受容体と結合し、真核細胞膜を横切って毒性サブユニットS1を送達する。百日咳菌株の染色体において、S1サブユニットの酵素活性に不可欠なアミノ酸のコドンを置き換えることによって、遺伝的に無毒化されたPTを産生する百日咳菌株を得ることができる。
コレラ毒素(CT)および大腸菌(E. coli)易熱性毒素(LT)のアミノ酸配列と配列相同性を共有し、PTのADP-リボシルトランスフェラーゼ活性の原因となる、百日咳毒素の2つの領域を、置換変異誘発によって同定した。第1の領域は、残基8から13の間にある。より詳細には、Arg-9がLys-9で置換された変異S1は大幅に低下した酵素活性を有することが判明した[5]。残基51から59の間にあるS1の第2の領域も、たとえば、Arg-58をGlu-58に変えたときに、百日咳毒素の毒性に関与することが示された[6]。S1サブユニットの129位のグルタミン酸残基は、放射性標識NADを用いた光架橋実験によって、酵素部位の一部であることが判明した[7]。残基129の置換は、大きく減少した酵素活性を有し、したがって非常に低い毒性を有する、PT変異体を生じる。百日咳毒素は、Trp-26、His-35、およびCys-41を変異させることによっても無毒化された[6]。
S1の単一変異は、百日咳毒素の毒性および酵素活性の、最大1,000倍の低下をもたらすが、S1サブユニットに複数の置換を有する変異体(Lys-9 Gly-129、Glu-58 Gly-129、およびLys-9 Glu-58 Gly-129)は約106倍無毒化される[6]。
本発明によれば、百日咳毒素の好ましい変異型は、低下した、または検出不能の毒性を有するが、防御免疫を誘導する能力を保っている。これらの変異型には、S1二重変異体PT-9K/129G、PT-13L/129G、およびPT-26I/129Gが含まれる。好ましくは、遺伝的に無毒化されたPTはPT-9K/129Gであって、すなわち、参考文献8に記載のように、残基9にリジン、残基129にグリシンを有する。
ワクチン組成物
本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、架橋剤により処理されていないPT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの百日咳菌抗原を含有する、ワクチン組成物に関する。ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋剤によるタンパク質抗原の広範な架橋は、抗原提示細胞による抗原の切断や、抗原が天然の状態で存在する場合に、通常、抗原につきものの構造的柔軟性を妨げる可能性がある。たとえば、ホルムアルデヒド処理は、百日咳菌抗原のアミノ酸(主としてリジン)の修飾をもたらすので、構造的および機能的改変を引き起こす。トリプシン消化によって、架橋されていない百日咳菌抗原を架橋された百日咳菌抗原と区別できるのは、架橋された抗原が、非架橋抗原とは異なるプロテアーゼ感受性を示すからである。
本発明の架橋されていない百日咳菌抗原は、従来の架橋された百日咳菌抗原より高い効力を示し得る。したがって、すべての百日咳菌抗原が架橋されている従来のワクチンと比較して、同様レベルの防御免疫を生じるためには、より小量の架橋されていない百日咳菌抗原がそれぞれ必要とされ得る。それに加えて、またはその代わりに、架橋されていない百日咳菌抗原が、従来の架橋された百日咳菌抗原と同一用量で投与されると、免疫原性は、従来の架橋された百日咳菌抗原で達成される免疫原性レベルと比べて強化され得る。
本発明の好ましい実施形態において、百日咳菌抗原のうち1つは、遺伝的に無毒化された百日咳毒素(たとえば、PT-9K/129G)である。遺伝的に無毒化されたPTは、従来の無毒化によって製造されたPTよりも免疫原性が高いことが判明しているので、遺伝的に無毒化された百日咳毒素を含有するワクチン組成物は、典型的には、従来のホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドによる架橋によって無毒化されたPTと同等の、またはそれより高い免疫原性を達成するために、より小量のPTを必要とする[9,10]。架橋されていない、遺伝的に無毒化されたPTは、抗原提示細胞によってより効果的にプロセシングされ、その高い構造的柔軟性に起因して、より広範なT細胞受容体によりよい基質を提供するので、免疫原性はさらに増強され得る[11]。したがって、架橋ステップを除いた、本発明のワクチン組成物中の遺伝的に無毒化されたPTの量は、ワクチン組成物の免疫原性に影響を与えずにさらに減少させることができる。あるいはまた、従来の架橋されたPT成分の代わりに、同量の遺伝的に無毒化されたPTをワクチン組成物に使用して、いっそう強い、PT抗原に対する免疫原性を達成することができる。
本発明のさらに好ましい実施形態において、3つすべての百日咳菌抗原PT、FHA、およびパータクチンが、ワクチン製剤に加える前に架橋剤で処理されなかった。このような実施形態において、PTの無毒化は、百日咳毒素のS1サブユニットをコードする遺伝子が変異した結果、その変異型が酵素活性のすべて、または実質的にすべてを欠いている、百日咳菌株を用いて、遺伝学的に達成される。
しかしながら、FHAおよびパータクチンだけが架橋剤による処理を受けていない組成物も、架橋剤の使用を減らすことで製造が簡素化され、化学廃棄物の生成が減少するので、有用であり得る。それに加えて、最終的なワクチン製剤中に存在する残存ホルムアルデヒドの総含有量は、検出不能となるのに十分なほど低下していると考えられるので、ホルムアルデヒドに対するネガティブな反応の可能性を、とくにそうした反応を起こしやすい患者において低下させることができる。
したがって、本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHAおよびパータクチンから選択される、少なくとも2つの架橋されていない百日咳菌抗原を含有する、無細胞百日咳(aP)成分に関する。好ましくは、本発明のaP成分は、架橋されていないFHA、架橋されていないパータクチン、および架橋されていない、遺伝的に無毒化されたPTを含有するか、またはこれらから構成される。あるいはまた、FHAおよびパータクチンだけがホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋剤によって架橋されていない。
aP成分中の各抗原の量は、典型的には、μgで表される。本発明のワクチンは、典型的には、単位用量当たり2-30μg PTを含む。第1のタイプのワクチンにおいて、PTは単位用量当たり5-30μgの間で(たとえば5、7.5、20、または25μg)存在しうるが、第2のタイプのワクチンでは、組成物は概して、単位用量当たり2-10μgの間(たとえば、2.5μg、または8μg)のPTを含有することになる。ワクチンがFHAを含有する場合、FHAは典型的には単位用量当たり2-30μgの間で存在する。第1のタイプのワクチンにおいて、FHAは単位用量当たり2.5-25μgの間で(たとえば、2.5、5、10、20、または25μg)存在しうるが、第2のタイプでは、FHAは単位用量当たり4-10μgの間で(たとえば、5μg、または8μg)存在しうる。ワクチンがパータクチンを含有する場合、これは典型的には、単位用量当たり2-10μgの間で存在する。第1のタイプのワクチンにおいて、パータクチンは、単位用量当たり2.5-10μgの間で(たとえば、2.5、3、8、または10μg)存在しうるが、第2のタイプのワクチンでは、パータクチンは単位用量当たり2-3μgの間で(たとえば、2.5μg、または3μg)存在しうる。
したがって、青年および成人用の追加免疫ワクチンは典型的には、単位用量当たり2.5〜8μg PT、4〜8μg FHA、および2.5〜8μgパータクチンを含有する。好ましくは、追加免疫ワクチンは、4μg PT、4μg FHA、および8μgパータクチン、より好ましくは、単位用量当たり5μg PT、2.5μg FHA、および2.5μgパータクチンを含有する。小児用ワクチンは,好ましくは、単位用量当たり7μgもしくは7.5μg PT、10μg FHA、および10μgパータクチンを含有する。通常投与される単位用量の体積は0.5 mlである。
ワクチンは通常、全体として単位用量当たり≦80μgの無細胞百日咳抗原を含有する。個別の抗原はそれぞれ、通常、単位用量当たり≦30μg存在する。
PT、FHA、およびパータクチンがそれぞれ本発明のワクチン中に存在するのが通例である。これらは、さまざまな量、たとえば、PT:FHA:パータクチンの量(μg)として20:20:3、25:25:8、16:16:5、5:10:6、4:4:8、5:2.5:2.5、7.5:10:10、または10:5:3で存在することができる。上記の量の倍数、たとえば、10:10:1.5、または30:30:4.5、または20:10:6なども用いることができる。ある有用なワクチンは、4μg PT、4μg FHA、および8μgパータクチンを含有する。FHAとパータクチンが両方存在する場合、パータクチンに対して質量過剰のFHAを有するのが通例である。
ワクチンがアルミニウム塩アジュバントを含有する場合は、ワクチン中のPTはアルミニウム塩、好ましくは水酸化アルミニウムアジュバント上に吸着されていることが好ましい(完全に吸着されていることもある)。FHAもアルミニウム塩に吸着できる。パータクチンはアルミニウム塩アジュバントに吸着できるが、パータクチンの存在は、通常、安定な吸着を確保するために、その組成物が水酸化アルミニウムの存在を必要とすることを意味する[12]。
無細胞百日咳ワクチンについて、改変された脳内マウス防御アッセイ(MICA)を用いて力価を測定する。MICAは、無細胞百日咳ワクチンによって与えられるマウス防御活性を検出する、マウスにおける致死的攻撃モデルである。それぞれの最終原体の力価は、基準となるワクチンに対する相対力価として表される。その基準ワクチンは、無細胞百日咳ワクチンの国際標準に対して検定され(現行はJINH-3)、防御活性は国際単位として表される。ワクチンの力価は、ヒト1回投与量に推奨される容量中に少なくとも4.0 IU、すなわち、少なくとも8 IU/mlとすべきである。
aP成分の製造
本発明はさらに、本発明のワクチン組成物中に存在するaP成分を調製するために使用することができる、架橋されていない百日咳菌抗原を調製するための製造プロセス(方法)に関する。百日咳菌培養物から精製され、本発明のaP成分に含めることができる、百日咳菌抗原は、PT、FHA、パータクチン、凝集原2、および凝集原3である。好ましくは、aP成分は、PT、FHA、および(選択肢として)パータクチンを含む。aP成分を形成する精製抗原は、通常、aP成分に含まれるすべての百日咳菌抗原に対して防御抗体反応を生じさせるのに特に適していると判明している、特定の比率で混合される。たとえば、PT、FHA、およびパータクチンは、次のようなPT:FHA:パータクチンの重量比;1:1:2または16:16:5または5:10:6または20:20:3または25:25:8または10:5:3で混合することができる。
ある態様において、本発明は、aP成分を調製するためのプロセス(方法)に関するが、そのプロセスは、遺伝的に無毒化されたPTを発現する百日咳菌株の培養物を増殖させること、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製して、それぞれ異なる精製百日咳菌抗原を含有する2つ以上のバッチを得ること、ならびに、その2つ以上のバッチを望ましい比率(上記を参照されたい)で混合してaP成分を調製することを含むものであって、このプロセスは、精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されない(すなわち、抗原が最終的なワクチン中で、架橋されていない天然型のままである)ことを特徴とする。遺伝的に無毒化されたPTをコードする百日咳菌株を使用することは、発酵培地から、別の百日咳菌抗原を含有する成分への、毒性作用の持ち越しを回避することができるので、安全上の理由でPT以外の百日咳菌抗原を予防処理することが不要になるという利点を有する。培養物を調製するために使用される百日咳菌株によってコードされる、遺伝的に無毒化された百日咳毒素は、好ましくはPT-9K/129Gである。
もう1つの態様において、本発明は、aP成分を調製するためのプロセス(方法)に関するが、そのプロセスは、PTをコードする遺伝子が欠失した百日咳菌株の培養物を増殖させること、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製して、それぞれ異なる精製百日咳菌抗原を含有する2つ以上のバッチを得ること、ならびに、その2つ以上のバッチを望ましい比率で混合してaP成分を調製することを含むものであって、このプロセスは、精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする。PTを欠失した百日咳菌変異株は、遺伝的に無毒化されたPTをコードする百日咳菌株の使用に関わる、同一の利点を有しており、すなわち、毒素の活性による他の百日咳菌抗原の汚染、ならびにその結果としての架橋剤による百日咳菌抗原の予防的処理が回避される。
上記ほどは好ましくない第3の態様において、本発明は、aP成分を調製するためのプロセスに関するが、そのプロセスは、百日咳菌株の培養物を増殖させること、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製して、それぞれ異なる精製百日咳菌抗原を含有する2つ以上のバッチを得ること;ならびに、その2つ以上のバッチを望ましい比率で混合してaP成分を調製することを含むものであって、このプロセスは、酵素的に活性のある精製PTを含有するバッチだけを架橋剤で処理するが、他の精製百日咳菌抗原を含むバッチは架橋剤で処理しないことを特徴とする。百日咳菌培養物からの、酵素的に活性なPT以外の百日咳菌抗原の精製は、これらの百日咳菌抗原を架橋する必要なしに行うことができる。しかしながら、毒素の活性が、培養物から、酵素的に活性のあるPT以外の百日咳菌抗原を含有するバッチに持ち越されていないことを確認するために、追加的な安全性試験が必要となるかもしれない。
製造工程の中の架橋ステップを除外することによって、工程をかなり短縮し、エネルギー効率をよくすることができる。たとえば、ホルムアルデヒドによる百日咳毒素の無毒化は、37℃で24-32日のインキュベーション期間を必要とする可能性がある(参考文献13を参照されたい)。製造工程短縮の結果として、多価ワクチンの製造は、初めに無毒化の必要のあるDおよびT成分を製造し、次に無毒化する必要のない百日咳菌抗原および他の成分を製造することによって、最適化することができる。これによって、発酵および精製設備の最適な利用が可能となり、ワクチン製造は小規模な設備でも商業的に存立可能となる。たとえば、そうでなければ百日咳菌抗原を架橋剤とともにインキュベートするのに必要となる空き容量は、もはや必要ない。その上、残留架橋剤を含有する水溶液状の化学廃棄物が、aP成分の製造中にまったく、または少ししか生じず、百日咳菌抗原のための37℃で長期にわたるインキュベーション期間を除外することによりエネルギー消費が減少するので、製造プロセスの環境影響は減少する。
概して、本発明は、製造工程の中の架橋ステップを除外するので、免疫源は、「架橋剤で処理されていない」、「架橋されていない」などと称される。しかしながら、一部の実施形態において本発明は架橋剤を使用する可能性があるが、アルデヒド架橋剤の使用は回避する。たとえば、本発明は架橋剤を使用することがあるが、ホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドの使用は避ける。そうはいっても、百日咳菌抗原の処理に架橋剤は使用しないことが好ましい。
混合ワクチン
本発明のワクチン組成物は通常、混合ワクチンとなるが、すなわちそれは、百日咳菌以外の少なくとも1つの病原体由来の防御抗原を含有する。追加の防御抗原(1つまたは複数)は、ウイルス性および/または細菌性とすることができる。典型的な細菌病原体には、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae);破傷風菌(Clostridium tetani);b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae type b);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、血清型A、B、C、W135、および/またはYなど;ならびに肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、血清型6B、14、19F、および23Fなどが挙げられるが、それに限定されない。典型的なウイルス病原体には、ポリオウイルス;A型肝炎ウイルス;B型肝炎ウイルス;麻疹ウイルス;ムンプスウイルス;風疹ウイルス;および水痘帯状疱疹ウイルスがあるが、これらに限定されない。
ジフテリア
ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)は、ジフテリアの原因となる。ジフテリア毒素は、注入後に特異的な抗毒素抗体を誘導する能力を保持しつつ、毒性を除去するように(たとえば、ホルマリンもしくはホルムアルデヒドを用いて)処理することができる。こうしたジフテリアトキソイドはジフテリアワクチンに使用され、参考文献1の13章に、より詳細に記載されている。好ましいジフテリアトキソイドは、ホルムアルデヒド処理によって調製されるものである。ジフテリアトキソイドは、ジフテリア菌を増殖培地(たとえば、Fenton培地、またはLinggoud & Fenton培地)中で増殖させ(この培地にはウシ抽出物を添加してもよい)、続いてホルムアルデヒド処理、限外濾過、および沈殿によって得ることができる。好ましくは、ジフテリア菌を増殖させるための増殖培地は、動物由来成分を含まない。その後、トキソイド化された材料を、無菌濾過および/または透析を含むプロセスで処理することができる。あるいはまた、遺伝的に無毒化されたジフテリア毒素(たとえば、CRM197)を使用してもよいが、これは典型的には、保存中に長期間安定性を維持するためにホルムアルデヒド処理を必要とするものである。
ジフテリアトキソイドは、好ましくは、水酸化アルミニウムアジュバント上に吸着されている。
組成物中のジフテリア毒素および/またはトキソイドの量は通常、「Lf」ユニット(「凝集単位」または「限界凝集量」または「凝集の閾値」)の単位で測定されるが、これは、1国際単位の抗毒素と混合したときに、最適に凝集した混合物を生じる、毒素/トキソイドの量として定義される[14,15]。たとえば、NIBSCは、「Diphtheria Toxoid, Plain」を供給する[16]が、これはアンプル当たり300 Lfを含有し、また「The 1st International Reference Reagent For Diphtheria Toxoid For Flocculation Test」[17]も供給するが、これはアンプル当たり900 Lfを含有する。組成物中のジフテリア毒素またはトキソイドの濃度は、凝集アッセイを用いて、このような基準試薬と対照して検定された基準物質と比較することで、容易に測定することができる。
組成物中のジフテリアトキソイドの免疫力は通常、国際単位(IU)で表される。力価は、実験動物(典型的にはモルモット)において組成物により生じた防御を、IUの単位で検定済みの基準ワクチンと比較することによって評価することができる。NIBSCは「Diphtheria Toxoid Adsorbed Third International Standard 1999」[18,19]を供給するが、これはアンプル当たり160 IUを含んでおり、こうしたアッセイを検定するのに適している。
3希釈アッセイを用いて、本発明の組成物の力価を測定することができる。免疫化した後、モルモットは、採血され、または皮下もしくは皮内経路で免疫源の投与を受ける。別の実施形態において、モルモットの代わりにマウスが使用される。モルモットもしくはマウスを採血したら、テストされるタイプのワクチンについて有効と確認された、in vivoもしくはin vitroの血清学的方法を用いて実施される毒素中和試験によって、個別の動物の抗毒素レベルを定量する。ある実施形態において、動物由来成分を含有する発酵培地中で産生されたジフテリアトキソイドが検証のために使用される。本発明の組成物の力価は、適当な統計的手法を用いて算出される。3希釈アッセイに関して、力価の推定値の95%信頼区間の限界は、推定力価の95%信頼区間の下限がヒト1回投与量あたり30 IUを上回らない限り、推定力価の50-200%の範囲内である。1希釈試験を行う場合、試験ワクチンの力価は、ヒト投与量あたり30 IUよりかなり大きいことが立証されている。
IU測定値により、組成物は通常、少なくとも30 IU/用量を含有する。組成物は典型的には、20〜80 Lf/mlのジフテリアトキソイド、典型的には約50 Lf/mlを含有する。青年および成人用の追加免疫ワクチンは、典型的には、4 Lf/ml〜8 Lf/mlのジフテリアトキソイド、たとえば0.5 ml投与量あたり2.5 Lf、好ましくは4 Lfを含有する。小児用ワクチンは典型的には、20〜50 Lf/mlのジフテリアトキソイド、たとえば0.5 ml投与量あたり10 Lf、または25 Lfを含有する。
タンパク質製剤の純度は、総タンパク質量に対する特定のタンパク質の割合によって表すことができる。組成物中のジフテリアトキソイドの純度は通常、タンパク質(非透析性)態窒素の単位質量あたりの、ジフテリアトキソイドLfを単位として表される。たとえば、非常に高純度の毒素/トキソイドは、1700 Lf/mg Nより高い純度を有すると考えられ、これは組成物中のタンパク質の大半もしくはすべてがジフテリア毒素/トキソイドであることを示す[20]。
破傷風
破傷風菌(Clostridium tetani)は破傷風の原因となる。破傷風毒素は、防御トキソイドをもたらすように処理することができる。トキソイドは破傷風ワクチンに使用され、参考文献1の27章に、より詳細に記載されている。したがって、本発明の混合ワクチンは、破傷風トキソイドを含有することができる。好ましい破傷風トキソイドは、ホルムアルデヒド処理により調製されたものである。破傷風トキソイドは、破傷風菌を増殖培地(たとえば、ウシのカゼインから得られるLatham培地)中で増殖させ、続いてホルムアルデヒド処理、限外濾過、および沈殿によって得ることができる。好ましくは、破傷風菌を増殖させるための増殖培地は、動物由来成分を含まない。その後、その材料を、無菌濾過および/または透析を含むプロセスで処理することができる。
破傷風トキソイドは好ましくは、水酸化アルミニウムアジュバント上に吸着されている。
破傷風トキソイドの量は、「Lf」ユニット(下記を参照されたい)の単位で表すことができるが、これは、1国際単位の抗毒素と混合したときに、最適に凝集した混合物を生じるトキソイドの量として定義される[14]。NIBSCは、「The 1st International Reference Reagent For Tetanus Toxoid For Flocculation Test」[21]を供給するが、これはアンプル当たり1000 Lfを含有しており、それによって測定値を検定することができる。
青年用および成人用の追加免疫ワクチンは、典型的には、0.5 ml投与量あたり5 Lfの破傷風トキソイドを含有する。小児用ワクチンは典型的には、0.5 ml投与量あたり5〜10 Lfの破傷風トキソイドを含有する。
破傷風トキソイドの免疫力は、国際単位(IU)で表され、たとえば、アンプル当たり469 IUを含有するNIBSC製「Tetanus Toxoid Adsorbed Third International Standard 2000」[22、23]を用いて、組成物が実験動物(典型的にはモルモット)にもたらす防御を基準ワクチンと比較することにより評価される。本発明の組成物中の破傷風トキソイドの力価は、少なくとも投与量あたり35 IU、たとえば70 IU/mlとすべきである。より好ましくは、本発明の組成物中の破傷風トキソイドの力価は、少なくとも投与量あたり40 IUである。しかしながら、成人用および青年用の追加免疫ワクチンは、一次免疫を目的とする小児用ワクチンと比べれば抗原含量が減少するので、20 IU/mlという減少した力価を許容することができる。
多段階希釈アッセイを用いて、本発明の組成物の力価を測定することができる。免疫化した後、モルモットは、採血され、または皮下もしくは皮内経路で免疫源の投与を受ける。別の実施形態において、モルモットの代わりにマウスが使用される。モルモットもしくはマウスを採血したら、テストされるタイプのワクチンについて有効と確認された、in vivoもしくはin vitroの血清学的方法を用いて実施される毒素中和試験によって、個別の動物の抗毒素レベルを定量する。本発明の組成物の力価は、適当な統計的手法を用いて算出される。多段階希釈アッセイが使用される場合、95%信頼区間の下限および上限は、それぞれ推定力価の50-200%の範囲内とすべきである。小児の一次免疫に使用される破傷風ワクチンの推定力価の下側95%信頼限界は、ヒト1回投与量あたり40 IUを下回ってはならない。
組成物中の破傷風トキソイドの純度は通常、タンパク質(非透析性)態窒素の単位質量あたりの、破傷風Lfを単位として表される。破傷風トキソイドは少なくとも1000 Lf/mg Nの純度を有するべきである。
Hib
b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae type b)(「Hib」)は細菌性髄膜炎の原因となる。Hibワクチンは典型的には、莢膜多糖体抗原をベースとして(たとえば、参考文献1の14章)、その調製は文献に多数記録されている(たとえば、文献24〜33)。インフルエンザ菌は、動物由来成分なしで培養することができる。Hib多糖体は、特に小児においてその免疫原性を増強するために、キャリアータンパク質と結合している。これらのコンジュゲートにおける典型的なキャリアータンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ジフテリア毒素のCRM197誘導体、または血清型B株髄膜炎菌に由来する外膜タンパク質複合体である。したがって、本発明の混合ワクチンは、キャリアータンパク質と結合したHib莢膜多糖体を含有することができる。
Hib多糖体の結合には、任意の適当な、活性化および/またはリンカー化学成分を使用することができる。多糖体は、典型的には結合に先立って活性化または官能基化される。活性化は、たとえば、CDAPなどのシアニル化試薬(たとえば1-シアノ-4-ジメチルアミノ ピリジニウム テトラフルオロボラート[34, 35])を関与させてもよい。他の適当な方法は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン(norborane)、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを使用する;参考文献36の序論も参照されたい)。
リンカー基を介した結合は、任意の既知の方法、たとえば、参考文献37および38に記載の方法を用いて行うことができる。結合の一形態は、多糖体の還元的アミノ化を伴うものであって、その結果生じたアミノ基をアジピン酸リンカー基の一方の末端に結合し、次にアジピン酸リンカー基のもう一方の末端にタンパク質を結合する[39, 40, 41]。他のリンカーとしては、B-プロピオンアミド[42]、ニトロフェニル-エチルアミン[43]、ハロゲン化ハロアシル[44]、グリコシド結合[45, 46, 47]、6-アミノカプロン酸[48]、ADH [49]、C4 〜C12 部分[50]などがある。リンカーを使用する代わりに、直接結合を用いてもよい。タンパク質との直接結合は、たとえば、参考文献46および51に記載のように、多糖体を酸化した後タンパク質とともに還元的アミノ化を行うことを含んでいてもよい。
破傷風トキソイドは、一般に「PRP-T」と称される製品に使用されるように、好ましいキャリアーである。PRP-Tは、臭化シアンを用いてHib莢膜多糖体を活性化し、活性化された多糖体をアジピン酸リンカー(たとえば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド、典型的には塩酸塩)に結合した後、統合された実体としてのリンカー-多糖体を破傷風トキソイドキャリアータンパク質と反応させることによって、作製することができる。
CRM197ジフテリアトキソイドは、もう1つの好ましいHibキャリアータンパク質である[52, 53, 54]。好ましいコンジュゲートは、アジピン酸コハク酸ジエステルを介してCRM197と共有結合したHib多糖体を含む[55, 56]。
コンジュゲートの糖部分は、Hib菌から調製される全長ポリリボシルリビトールリン酸(PRP)、および/または全長PRPの断片を含有することができる。多糖体:タンパク質比(w/w)が1:5(すなわちタンパク質過剰)から5:1(すなわち多糖体過剰)の間のコンジュゲートを使用することができるが、たとえば、1:2から5:1の間の比、および1:1.25から1:2.5の間の比を有するコンジュゲートを使用してもよい。しかしながら、好ましいワクチンにおいて、キャリアータンパク質に対する多糖体の重量比は、1:2.5から1:3.5の間である。破傷風トキソイドが抗原としてもキャリアータンパク質としても存在するようなワクチンでは、コンジュゲート中の多糖体のキャリアータンパク質に対する重量比は、1:0.3から1:2の間とすることができる[57]。
Hib抗原の量は、典型的には多糖体のμg単位で表される。ワクチン中の多糖体の濃度は典型的には、10-30μg/ml、たとえば、20μg/mlである。Hibコンジュゲートの投与は結果として、好ましくは≧0.15μg/ml、より好ましくは≧1μg/mlの抗PRP抗体濃度をもたらすが、これらは標準的な反応閾値である。
髄膜炎菌(Meningococcus)
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は細菌性髄膜炎の原因となる。この菌の莢膜多糖体に基づいて、髄膜炎菌(N.meningitidis)のさまざまな血清型が同定されており、A、B、C、H、I、K、L、29E、W135、X、Y、およびZがある。もっとも病気と関係のある血清型は、A、B、C、W135、およびYである。血清型A、C、W135、およびY株に対する現在のワクチンは、莢膜多糖体抗原に基づくが、このアプローチは血清型B株には適さないので、タンパク質抗原および外膜小胞をその代わりに使用する[58]。莢膜多糖体は、免疫原性を高めるために、キャリアータンパク質と結合している。典型的なキャリアータンパク質は、破傷風トキソイド(NIMENRIX(商標名)製品の場合など)、ジフテリアトキソイド(MENACTRA(商標名)製品の場合など)、およびジフテリア毒素のCRM197誘導体(MENVEO(商標名)製品の場合など)である。したがって、本発明の混合ワクチンは、キャリアータンパク質と結合した、(1)血清型A株髄膜炎菌;(2)血清型C株髄膜炎菌;(3)血清型W135株髄膜炎菌;(4)血清型Y株髄膜炎菌;から選択される1つもしくは複数(たとえば、2、3、または4)の莢膜多糖体を含有することができる。多糖体は個別に、同じか、または異なるキャリアータンパク質と(たとえば、すべてCRM197または破傷風トキソイドと)結合させた後、混合して、2つ以上の莢膜多糖体を含有する混合ワクチンが得られる。
そのコンジュゲートの糖部分は、髄膜炎菌から調製される全長多糖体、および/またはその断片を含有することができる。血清型C株多糖体は、OAc+またはOAc-株から調製することができる。血清型A株多糖体に関しては、好ましくは、マンノサミン残基の少なくとも50%(たとえば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%以上)が、C-3位でO-アセチル化されている。多糖体:タンパク質比(w/w)が1:10(すなわちタンパク質過剰)から10:1(すなわち多糖体過剰)の間の髄膜炎菌性コンジュゲートを使用することができるが、たとえば、1:5から5:1、1:2.5から2.5:1、または1:1.25から1.25:1の間の比を有するコンジュゲートを使用してもよい。
髄膜炎菌は動物由来成分なしで培養することができる。
髄膜炎菌抗原の量は、典型的には多糖体のμg単位で表される。ワクチン中の多糖体の濃度は典型的には、血清型ごとに5-30μg/ml、たとえば、10μg/mlまたは20μg/mlである。コンジュゲートの投与は結果として、当該血清型について少なくとも4倍、好ましくは少なくとも8倍の血清殺菌アッセイ(SBA)力価の増加をもたらすことが好ましい。SBA力価は仔ラット補体またはヒト補体を用いて測定することができる[59]。
肺炎球菌(Pneumococcus)
肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)は細菌性髄膜炎の原因となる。Hibおよび髄膜炎菌と同様に、既存のワクチンは莢膜多糖体に基づくものである。肺炎レンサ球菌は、動物由来成分なしで培養することができる。したがって、本発明の混合ワクチンは、キャリアータンパク質と結合した肺炎球菌莢膜多糖体を含有することができる。
肺炎レンサ球菌の2つ以上の血清型、そして特に少なくとも血清型6B、14、19F、および23Fの多糖体を含有することが好ましい。血清型はさらに、1、3、4、5、7F、9V、および18Cから選択されることが好ましい。たとえば、23の異なる血清型に由来する多糖体の混合物が、5から11の異なる血清型に由来する多糖体を有する結合ワクチンと同様に、広く使用されている[60]。たとえば、PREVNAR(商標名)は、7つの血清型(4、6B、9V、14、18C、19F、および23F)に由来する結合型多糖体を含有し、SYNFLORIX(商標名)は、10の血清型(1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F、23F)に由来する結合型多糖体を含有し、PREVNAR 13(商標名)は13の血清型(1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、および23F)由来する結合型多糖体を含有する。多糖体はキャリアータンパク質に結合されることが好ましい[たとえば、参考文献62〜64]。典型的なキャリアータンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ジフテリア毒素のCRM197誘導体、およびインフルエンザ菌プロテインDである。PREVNAR(商標名)製品中の多糖体は、個別に、還元的アミノ化によりCRM197に結合され、0.5 ml投与量あたりそれぞれ2μgの多糖体(血清型6Bは4μg)である。SYNFLORIX(商標名)は、3つの異なるキャリアータンパク質、および異なる血清型について異なる多糖体量の混合物を使用する。
肺炎球菌抗原の量は典型的には,多糖体のμg単位で表される。多糖体として測定される肺炎球菌コンジュゲートの濃度は、典型的には、それぞれの血清型について2から20μg/mlの間である。
B型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルス(HBV)はウイルス性肝炎の原因である。HBVウイルス粒子は、外側のタンパク質コートもしくはカプシドに囲まれた内部コアからなり、コアはウイルスDNAゲノムを含有する。カプシドの主な成分は、HBV表面抗原、すなわちより一般的には、「HBsAg」として知られているタンパク質であるが、これは典型的には226アミノ酸のポリペプチドであって約24 kDaの分子量を有する。既存のB型肝炎ウイルスワクチンはすべてHBsAgを含有するが、この抗原が正常なワクチン被接種者に投与される場合、それは、HBV感染を防ぐ抗HBsAg抗体の産生を刺激する。したがって、本発明の混合ワクチンはHBsAgを含有することができる。
ワクチン製造のために、2つの方法でHBsAgを作製することができる。第1の方法は、慢性B型肝炎キャリアの血漿から粒子の形で抗原を精製することを含むが、それは、HBV感染中に大量のHBsAgが肝臓で合成されて血流中に放出されるからである。第2の方法は、組換えDNA法によってタンパク質を発現させることを含む。本発明の方法で使用するためのHBsAgは、たとえば酵母細胞内で、組換え発現される必要がある。適当な酵母は、サッカロミセス属(Saccharomyces)(S.cerevisiaeなど)、ハンゼヌラ属(Hansenula)(H.polymorphaなど)、またはピキア属(Pichia)宿主などである。酵母は動物由来成分なしで培養することができる。
天然のHBsAg(すなわち血漿精製製品中の場合など)とは異なり、酵母発現HBsAgは通常、グリコシル化されていないが、これは本発明で使用するためにもっとも好ましいHBsAgの形である。酵母発現HBsAgは免疫原性が高く、血液製剤汚染のリスクなしに調製することができる。組換え酵母からHBsAgを精製するために多くの方法が当技術分野で知られている。
HBsAgは通常、ほぼ球形の粒子(平均直径は約20 nm)の形をとり、リン脂質を含む脂質マトリックスを含有する。酵母発現HBsAg粒子は、ホスファチジルイノシトールを含んでいることがあるが、これは天然のHBVウイルス粒子には見られない。粒子はまた、免疫系を刺激するために、毒性のない量のLPSを含んでいてもよい[65]。粒子は、酵母の破砕時に非イオン界面活性剤(たとえば、ポリソルベート20)を使用する場合、これを保持していることがある[66]。
HBsAgはHBVサブタイプadw2由来であることが好ましい。
HBsAg精製のための好ましい方法は、細胞破砕後:限外濾過;サイズ排除クロマトグラフィー;陰イオン交換クロマトグラフィー;超遠心;脱塩;および無菌濾過を含む。細胞破砕後に溶解液を(たとえば、ポリエチレングリコールを用いて)沈殿させ、HBsAgを溶液中に残して、そのまま限外濾過できるようにしてもよい。
精製後、HBsAgを(たとえばシステインとともに)透析に供してもよく、それを用いて、HBsAg調製時に使用された可能性のあるチメロサールなどの水銀系保存剤を除去することができる[67]。
HBsAgの量は、典型的にはマイクログラム単位で表される。HBsAgを含有する混合ワクチンは通常、5から60μg/mlを含む。本発明の組成物中のHBsAgの濃度は、好ましくは60μg/ml未満であり、たとえば、≦55μg/ml、≦50μg/ml、≦45μg/ml、≦40μg/mlなどである。約20μg/mlの濃度は典型的には、たとえば投与量あたり10μgである。本発明の一部の実施形態では、組成物は「低用量」のHBsAgを含有する。このことは、組成物中のHBsAg濃度が、≦5μg/ml、たとえば<4、<3、<2.5、<2、<1などであることを意味する。したがって、典型的な0.5 ml単位用量容積中、HBsAgは2.5μg/ml未満、たとえば、<2、<1.5、<1、<0.5などである。
ポリオウイルス
ポリオウイルスは急性灰白髄炎の原因となる。不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)は、参考文献1の24章でより詳細に記載されるように、長年にわたって知られている。したがって、本発明の混合ワクチンは、不活化ポリオウイルス抗原を含有することができる。
ポリオウイルスは、細胞培養で増殖させることができるが、好ましい培養はサル腎臓に由来するベロ細胞株を使用する。ベロ細胞は通常、マイクロキャリアで培養することができる。増殖後、ウイルス粒子は、限外濾過、透析濾過、およびクロマトグラフィーなどの技法を用いて精製することができる。動物性(特にウシの)材料が細胞の培養に使用される場合には、そうした材料は伝達性海綿状脳症(TSE)のない起源から、そして特にウシ海綿状脳症(BSE)のない起源から、得る必要がある。好ましくは、ポリオウイルスは、動物由来成分のない培地で培養された細胞内で増殖させる。
患者に投与する前に、ポリオウイルスを不活化しなければならないが、これはホルムアルデヒド(もしくは、好ましくは非アルデヒド剤)による処理によって達成することができる。急性灰白髄炎は、3種類のポリオウイルスのうち1つによって引き起こされる可能性がある。3種類は類似しており、同じ症状を引き起こすが、抗原性は非常に異なっており、1種類による感染が他の感染を防御しない。したがって、本発明では3つのポリオウイルス抗原:ポリオウイルス1型(たとえば、Mahoney株)、ポリオウイルス2型(たとえば、MEF-1株)、およびポリオウイルス3型(たとえば、Saukett型)を使用することが好ましい。ウイルスは、好ましくは、個別に増殖させ、精製、および不活化した後、合わせて、本発明で使用するためのバルク3価混合物が与えられる。
IPVの量は典型的には「DU」単位(「D抗原単位」[68])で表される。混合ワクチンは通常、投与量あたりポリオウイルス型ごとに1-100 DUの間、たとえば、1型ポリオウイルス約40 DU、2型ポリオウイルス約8 DU、および3型ポリオウイルス約32 DUを含有するが、これより低用量[69,70]、たとえば、1型は約10-20 DU、2型は約2-4 DU、および3型は約8-20 DUを使用することができる。本発明の混合ワクチンは、「低用量」のポリオウイルスを含有することができる。1型ポリオワクチンについては、これは、組成物中のウイルス濃度が≦20 DU/ml、たとえば<18、<16、<14、<12、<10などであることを意味する。2型ポリオワクチンについては、これは、組成物中のウイルス濃度が≦4 DU/ml、たとえば<3、<2、<1、<0.5などであることを意味する。3型ポリオワクチンについては、これは、組成物中のウイルス濃度が≦16 DU/ml、たとえば<14、<12、<10、<8、<6などであることを意味する。1型、2型、および3型ポリオウイルスの3つすべてが存在する場合、Sabin株を使用すると、その3抗原はそれぞれ5:1:4のDU比で存在することができるが、他の任意の適当な比、たとえば15:32:45の割合で存在してもよい[71]。Sabin株由来の低用量の抗原は、特に有用であって、1型は≦10 DU、2型は≦20 DU、3型は≦30 DU(単位用量、典型的には0.5 mlあたり)である。
IPV成分を使用し、そのポリオウイルスがベロ細胞で増殖した場合、ワクチン組成物は、10ng/ml未満、好ましくは≦1ng/ml、たとえば≦500pg/mlまたは≦50 pg/mlのベロ細胞DNA、たとえば、10ng/ml未満の≧50塩基対の長さのベロ細胞DNAを含有することが好ましい。
混合ワクチンの調製
ワクチンに使用するための上記病原体の抗原成分は通常、略称で呼ばれる:ジフテリアトキソイドは「D」;破傷風トキソイドは「T」;百日咳抗原は「P」で、「aP」は無細胞性である(たとえば、少なくともPTを含有し、場合によってFHAおよび/またはパータクチンを含有してもよい);結合型のb型インフルエンザ菌莢膜多糖体は「Hib」;髄膜炎菌の各血清型は「MenA」、「MenB」、「MenC」、「MenW」、および「MenY」であって、個別にキャリアータンパク質と結合している;3価不活化ポリオウイルスは「IPV」;ならびに、肺炎球菌は「Spn」である。
本発明の実施形態は、下記の成分を含有する混合ワクチンを含むが、それらに限定されない:
- D, T, aP
- D, T, aP, IPV
- D, T, aP, HBsAg
- D, T, aP, Hib
- D, T, aP, Hib, IPV
- D, T, aP, HBsAg, Hib
- D, T, aP, HBsAg, IPV
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, Spn
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenY
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenW135
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA, MenW135, MenY
これらの混合ワクチンは、記載の抗原で構成されていてもよいが、追加の病原体に由来する抗原をさらに含有してもよい。したがって、抗原は別々に使用することも、他のワクチンの成分として使用することもできる。
小児用混合ワクチンに関しては、D:T比は典型的には1より大であり(すなわち、小児用ワクチンは通常Lf単位として過剰のDを有する)、概して2:1から3:1(Lf単位で表される)の間であり、たとえば、2.5:1である。これに対して、(通常、DおよびTを含有する小児用混合ワクチンを少なくとも1回受けたことがある)青年もしくは成人に投与される追加免疫ワクチンに関しては、T:D比が典型的には1より大であり(すなわち、追加免疫ワクチンは通常Lf単位として過剰のTを有する)、概して1.5:1から2.5:1(の間であり、たとえば、2:1である。
ある有用なワクチンは、(単位用量あたり)2Lf D、5Lf T、4μg PT-9K/129G、4μg FHA、および8μgパータクチンを含有する。別の有用なワクチンは、(単位用量あたり)25Lf D、10Lf T、25μg PT-9K/129G、25μg FHA、および8μgパータクチンを含有する。
抗原成分を合わせて多価組成物を調製する場合、抗原は個々に添加することができるが、あらかじめ混合しておくこともできる。混合ワクチンがDおよびT抗原、ならびに追加の抗原を含有する場合、あらかじめ混合されたD-T成分を混合ワクチンの調製に使用することができる。この2価成分をさらに他の抗原と混合することができる。混合ワクチンを調製するためにD-T混合物を使用する場合、混合物中のジフテリアトキソイドの破傷風トキソイドに対する比は、2:1から3:1の間とすることができる(Lf単位で表される)が、好ましくは2.4:1から2.6:1の間、たとえば、好ましくは2.5:1とすることができる。
コンジュゲートのためのキャリアータンパク質
結合型多糖体抗原はキャリアータンパク質を含有し、これに多糖体が直接、またはリンカーを介して共有結合している。結合法に関する概説は参考文献33に見いだすことができる。
キャリアーとして使用するためにさまざまなタンパク質が知られているが、好ましいキャリアータンパク質は、ジフテリアトキソイドもしくは破傷風トキソイドなどの細菌トキソイドである。他の適当なキャリアータンパク質には、ジフテリア毒素のCRM197変異体[52-54]、髄膜炎菌外膜タンパク質[72]、合成ペプチド[73,74]、熱ショックタンパク質[75,76]、百日咳タンパク質[77,78]、サイトカイン[79]、リンホカイン[79]、ホルモン[79]、増殖因子[79]、さまざまな病原体由来抗原に由来する多数のヒトCD4+ T細胞エピトープを含む人工タンパク質[80]、たとえばN19 [81]、インフルエンザ菌のプロテインD [82,83]、肺炎球菌表面タンパク質PspA [84]、ニューモリシン[85]、鉄取り込みタンパク質[86]、C.difficileに由来するトキシンAもしくはB [87]、S.agalactiaeタンパク質[88]などがあるが、それらに限定されない。
多糖体とキャリアーとの結合は好ましくは、たとえばキャリアータンパク質のリジン残基の、またはアルギニン残基の、側鎖にある-NH2基を介する。-SH基(たとえばシステインの側鎖にある)との結合も可能である。
多糖体:タンパク質比(w/w)が1:5(すなわちタンパク質過剰)から5:1(すなわち多糖体過剰)の間であるコンジュゲートが好ましい。
組成物は小量の遊離キャリアーを含有してもよい。分離された抗原として含まれるキャリアーを無視するとして、非結合キャリアーは、全体として、好ましくは組成物中のキャリアータンパク質総量のわずか5%であり、より好ましくは2重量%未満存在する。
SYNFLORIX(商標名)製品のように、組成物中に2種類以上のキャリアータンパク質を含有することが可能であり、たとえば、キャリアー抑制のリスクを減らすことができる。
コンジュゲートの量は、通常、キャリアーの選択に起因する変動を避けるために、多糖体の質量を単位として与えられる(すなわち、コンジュゲート全体としての投与量(すなわちキャリアー+多糖体)は、記載された投与量より多い)。
アルミニウム塩アジュバント
本発明のワクチンは、通常、アジュバントを含んでいる。含められるもっとも一般的なアジュバントは、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩である。混合ワクチン中の抗原は、(一部、または全体が)アルミニウム塩に吸着されていてもよい。
「水酸化アルミニウム」として広く知られているアジュバントは、典型的にはオキシ水酸化アルミニウム塩であって、これは通常少なくともある程度は結晶性である。オキシ水酸化アルミニウムは、AlO(OH)の式で表すことができるが、赤外線(IR)分光法によって水酸化アルミニウムAl(OH)3など他のアルミニウム化合物と区別され、具体的には、1070cm-1における吸収バンド、および3090-3100cm-1における大きな肩の存在によって、区別することができる(参考文献89の9章)。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶性の程度は、半値での回折バンドの幅(WHH)に反映されるので、結晶性の低い粒子は、結晶サイズが小さいほど、それに起因して大きな線広がりを示す。表面積はWHHの増加に応じて増大するので、WHH値の高いアジュバントは抗原吸着能力が高いことが判明している。(たとえば、透過型電子顕微鏡像で見られるような)繊維状の形態は、水酸化アルミニウムアジュバントに典型的なものであって、たとえば、直径約2nmの針状粒子の状態である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは典型的には約11であって、すなわちアジュバントそれ自体が、生理的pHにおいて正の表面電荷を有する。pH 7.4においてmg Al+++あたり1.8-2.6 mgタンパク質の吸着能が、水酸化アルミニウムアジュバントについて報告されている。
一般に「リン酸アルミニウム」として知られているアジュバントは、典型的にはヒドロキシリン酸アルミニウムであって、小量の硫酸塩(すなわちヒドロキシリン酸硫酸アルミニウム)も含有することが多い。これは沈降によって得られるが、沈降させる時の反応条件および濃度が、塩の中で水酸基がリン酸に置き換えられる程度に影響を及ぼす。ヒドロキシリン酸塩は概して、0.3から1.2の間のPO4/Alモル比を有する。ヒドロキシリン酸塩は、水酸基の存在によって、厳密なAlPO4と区別することができる。たとえば、3164cm-1におけるIRスペクトルバンドは(たとえば、200℃に加熱したとき)、構造的な水酸基の存在を示す(参考文献89の9章)。リン酸アルミニウムのPO4/Al3+モル比は、通常0.3から1.2の間であるが、好ましくは0.8から1.2の間であり、より好ましくは0.95±0.1である。リン酸アルミニウムは通常、とくにヒドロキシリン酸塩については、非晶質である。典型的なアジュバントは、PO4/Alモル比が0.84から0.92の間の非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムであって、0.6mg Al3+/ml含まれる。リン酸アルミニウムは通常、粒子状である(たとえば、透過型電子顕微鏡像で見られるように板状の形態であって、一次粒子は50nmの範囲内である)。任意の抗原を吸着した後、粒子の典型的な直径は、0.5-20μm(たとえば約5-10μm)の範囲内である。pH 7.4においてmg Al+++あたり0.7-1.5 mgタンパク質の吸着能が、リン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。
リン酸アルミニウムのPZCは、水酸基のリン酸による置換の程度に逆相関するが、この置換の程度は、沈降によって塩を調製するために用いられる反応条件および反応物質濃度に応じて変動する可能性がある。PZCも、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変更することによって(より多くのリン酸 = より酸性のPZC)、またはヒスチジンバッファーなどのバッファーを添加することによって(PZCをより塩基性にする)、変化する。本発明にしたがって使用されるリン酸アルミニウムは、概して、4.0から7.0の間のPZCを有するが、好ましくは5.0から6.5の間、たとえば約5.7である。
患者投与用の組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは10 mg/ml未満、たとえば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。本発明の組成物中の好ましいAl+++の範囲は、0.3から1mg/mlの間、または0.3-0.5mg/mlの間である。最大0.85mg/用量が典型的である。
本発明のワクチン組成物において、百日咳菌抗原を、1つもしくは複数のアルミニウム塩アジュバント上に吸着させることができるが、非吸着状態で添加することもできる。本発明の組成物中にパータクチンが存在する場合、それは水酸化アルミニウムアジュバント上に吸着されることが好ましい。PTおよびFHAは、本発明の組成物において、水酸化アルミニウムアジュバントもしくはリン酸アルミニウム上に吸着されていてもよい。好ましい実施形態において、PT、FHA、およびパータクチンは水酸化アルミニウムに吸着されている。
ジフテリアトキソイドを含有する混合ワクチンにおいて、ジフテリアトキソイドはアルミニウム塩アジュバント上に吸着されており、たとえば、水酸化アルミニウムアジュバントもしくはリン酸アルミニウムアジュバントに吸着されている。
破傷風トキソイドを含有する混合ワクチンにおいて、破傷風トキソイドは、水酸化アルミニウムアジュバント上に吸着されていてもよいが、これは必要ではない(たとえば、破傷風トキソイド全体の0-10%の吸着を用いることができる)。あるいはまた、破傷風トキソイドはリン酸アルミニウムアジュバント上に吸着されていてもよい。
Hib抗原およびアルミニウム塩を含有する混合ワクチンにおいて、Hibコンジュゲートは、吸着されていなくてもよいが、吸着されることもある(たとえば、リン酸アルミニウムアジュバントに吸着される[90])。このような吸着は、D-T-Pw-Hib-HBsAg抗原を含有するワクチンに特に有用である。他の結合型抗原(たとえば、髄膜炎菌、肺炎球菌)は、同様に、アルミニウム塩(たとえばリン酸塩)に吸着されていてもよいが、未吸着でもよい[91]。
IPV抗原は、混合ワクチンの他成分と混合する前に、いかなるアジュバントにも吸着される必要はないが、こうした他成分を起源とする1つもしくは複数のアルミニウムアジュバント上に吸着されることになってもよい。
HBsAgを含有する混合ワクチンにおいて、HBsAgは、参考文献92に記載の方法を用いてリン酸アルミニウム上に吸着させることができる。リン酸アルミニウムへの吸着は、周知のENGERIX-B(商標名)製品(HBsAgが水酸化アルミニウムに吸着されている)とは対照的である。参考文献93に記載のように、リン酸アルミニウムは、HBsAgにとって水酸化アルミニウムよりすぐれたアジュバントであるといえる。
HBsAgと合わせるのに先だってジフテリアおよび破傷風トキソイドを配合しておいた成分を、本発明のプロセスが利用する場合、このD-T混合物は水酸化アルミニウムアジュバントを含有することが好ましく、そのアジュバントにDおよびT抗原はいずれも吸着される。
アジュバントが本発明のワクチン中に含まれる場合、さまざまな段階でそれを添加することができる。抗原は、混合ワクチンの調製に用いる前にアジュバントと混合することができる(たとえば、2価D-T混合物を、本発明のプロセスにおいて使用する前に、1つもしくは複数のアルミニウム塩アジュバントに吸着させることができる)が、抗原を混合した後にアジュバントを加えること、または一連の抗原をアジュバントに加えることも可能である(たとえば、水性アジュバントから始めて、次に抗原を、個別に、またはあらかじめ混合して、加える)。
水中油型エマルションアジュバント
本発明の組成物は、水中油型エマルションアジュバントを含有することができる。
さまざまな上記のアジュバントが知られており、たとえば、MF59およびAS03はともにヨーロッパで承認されている。
有用なエマルションアジュバントは典型的には、少なくとも1つの油および少なくとも1つの界面活性剤を含有しており、この1つもしくは複数の油および1つもしくは複数の界面活性剤は、生分解性(代謝可能)であり、生体適合性でもある。エマルション中の油滴は概して、μm未満の直径を有しており、こうした小型のサイズは、安定したエマルションを与えるマイクロフルイダイザーを用いて、または他の方法、たとえば転相によって、容易に達成することができる。液滴の少なくとも80%(数を単位として)が220 nm未満の直径を有するようなエマルションが好ましいが、それは、そうしたエマルションであれば濾過滅菌に供することができるからである。
エマルションは、動物(魚類など)および/または植物起源の1つもしくは複数の油を含有することができる。植物油の起源には、堅果、種子、および穀物が挙げられる。ピーナッツ油、大豆油、ココナツ油、およびオリーブ油は、もっとも広く利用されており、堅果油の好例である。ホホバ油を使用することができるが、これはたとえばホホバの実から得ることができる。種子油には、紅花油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ油などがある。穀物群では、トウモロコシ油がもっとも利用しやすいが、他の穀物、たとえば小麦、カラス麦、ライ麦、米、テフ、ライ小麦などの油も使用することができる。グリセロールおよび1,2-プロパンジオールの6-10炭素脂肪酸エステルは、種子油中に天然では存在しないが、堅果および種子油を出発として適当な材料を加水分解、分離、およびエステル化することによって調製することができる。哺乳類の乳の油脂は、代謝可能であり、したがって本発明に使用することができる。動物起源から純粋な油を得るために必要な、分離、精製、けん化、および他の方法の手順は、当技術分野で周知である。
魚類の大半は、容易に回収することができる代謝可能な油を含有する。たとえば、タラ肝油、サメ肝油、および鯨ろうなどの鯨油が、本発明で使用することができる魚油のいくつかを例示する。多数の分岐鎖オイルが5炭素イソプレン単位として生化学的に合成されており、通常、テルペノイドと称される。サメ肝油は、スクアレンとして知られている、分岐鎖不飽和テルペノイド、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエンを含有するが、これは、本発明で使用するのに特に好ましい(下記を参照されたい)。スクアレンの飽和したアナログである、スクアランも、有用な油である。魚油は、スクアレンおよびスクアランを含めて、商業的起源から容易に入手することができるが、当技術分野で既知の方法によって得ることもできる。他の好ましい油はトコフェロールである(下記を参照されたい)。油の混合物を使用することができる。
アジュバントエマルション中の好ましい総油量(容量%)は、1から20%の間、たとえば2-10%の間である。5容量%のスクアレン含量が特に有用である。
界面活性剤は、その「HLB」(親水性/親油性バランス)で分類することができる。本発明で使用される好ましい界面活性剤は、少なくとも10、たとえば約15のHLBを有する。本発明は、下記の界面活性剤とともに行うことができるが、それらに限定されない:ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般にTweenと呼ばれる)、特にポリソルベート20もしくはポリソルベート80;エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、および/もしくはブチレンオキシド(BO)のコポリマーであって、DOWFAX(商標名)の商品名で販売される、たとえば線状EO/POブロックコポリマー;オクトキシノール、これは、エトキシ (オキシ-1,2-エタンジイル)基の繰り返し数でさまざまに異なる可能性があるが、オクトキシノール-9(Triton X-100、言い換えるとt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)は特に注目される;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40);ホスファチジルコリンなどのリン脂質(レシチン);Tergitol(商標名)NPシリーズなどのノニルフェノールエトキシレート;ラウリル、セチル、ステアリル、およびオレイルアルコールから誘導されるポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として知られる)、たとえば、トリエチレングリコール モノラウリルエーテル(Brij 30);ならびにソルビタンエステル(Spanとして広く知られる)、たとえばソルビタントリオレイン酸エステル(Span 85)またはソルビタンモノラウリン酸エステル。
本発明で使用されるエマルションは好ましくは、1つもしくは複数の非イオン性界面活性剤を含有する。エマルション中に含めるのに好ましい界面活性剤は、ポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン;Tween 80)、Span 85(トリオレイン酸ソルビタン)、レシチン、またはTriron X-100である。界面活性剤の混合物、たとえば、ポリソルベート80とソルビタントリオレイン酸エステルの混合物を使用することができる。ポリソルベート80(Tween 80)などのポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X-100)の組み合わせも有用である。もう1つの有用な組み合わせは、ラウレス-9+ポリオキシエチレンソルビタンエステル、および/またはオクトキシノールを含む。界面活性剤の混合物を使用する場合、混合物のHLBは相対的な重み付け(容量比で)にしたがって計算され、たとえば、ポリソルベート80とトリオレイン酸ソルビタンの、好ましい容量比1:1混合物は8.4のHLBを有する。
アジュバントエマルション中の界面活性剤全体の好ましい量(容量%)は、0.1から2%の間であり、たとえば0.25-2%の間である。1容量%の全含量が特に有用であって、たとえば、0.5容量%のポリソルベート80、および0.5容量%のトリオレイン酸ソルビタンである。
有用なエマルションは、既知の方法を用いて調製することができるが、たとえば、参考文献94-101を参照されたい。
本発明に有用な、具体的な水中油型エマルションアジュバントには下記のものがあるが、それらに限定されない:
・スクアレン、ポリソルベート80、およびトリオレイン酸ソルビタンからなるサブミクロンエマルション。容量比によるエマルションの組成は、約5%のスクアレン、約0.5%のポリソルベート80、および約0.5%のソルビタントリオレイン酸エステルとすることができる。重量で言うと、上記の比は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80、および0.48%トリオレイン酸ソルビタンとなる。このアジュバントは「MF59」として知られ[102-104]、より詳細には参考文献89の10章および参考文献94の12章に記載されるとおりである。MF59エマルションは、クエン酸イオン、たとえば10 mMクエン酸ナトリウムバッファーを含有していて有利である。
・スクアレン、トコフェロール、およびポリソルベート80からなるエマルション。このエマルションはリン酸緩衝食塩水を含有することができる。こうしたエマルションは、2から10%のスクアレン、2から10%のトコフェロール、および0.3から3%のポリソルベート80を有することができるが、スクアレン:トコフェロールの重量比は、好ましくは≦1(たとえば0.90)であって、これはより安定したエマルションを与えることができる。スクアレンおよびポリソルベート80は、約5:2の容量比で、もしくは約11:5の重量比で存在することができる。したがって、3つの成分(スクアレン、トコフェロール、ポリソルベート80)は、重量比1068:1186:485、もしくは約55:61:25で存在することができる。このアジュバントは「AS03」として知られている。このタイプの別の有用なエマルションは、ヒト用量あたり0.5-10 mgスクアレン、0.5-11 mgトコフェロール、および0.1-4 mgポリソルベート80を含有することができる[105]が、たとえば上記の割合で含有してもよい。
・サポニン(たとえば、QuilAまたはQS21)およびステロール(たとえば、コレステロール)がヘリカルミセル(helical micelle)として会合しているエマルション[106]。
・0.5-50%の油、0.1-10%のリン脂質、および0.05-5%非イオン性界面活性剤を有するエマルション。参考文献107に記載のように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性界面活性剤(たとえば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)および疎水性非イオン性界面活性剤(たとえば、ソルビタンエステルもしくはマンニド(mannide)エステル(ソルビタンモノオレイン酸エステルもしくは「Span 80」など))を含有するエマルション。このエマルションは、好ましくは、熱可逆性であり、そして/または、その液滴の少なくとも90%(容量)はサイズが200nm未満である[108]。このエマルションはまた、下記のうち1つもしくは複数を含んでいてもよい:アルジトール;凍結保護剤(たとえば、糖(ドデシルマルトシド、および/またはスクロースなど));および/またはアルキルポリグリコシド。このエマルションは、TLR4アゴニスト、たとえばその化学構造が糖環を含まないもの、を含有することができる[109]。このようなエマルションは凍結乾燥することができる。「AF03」製品はそうしたエマルションの1つである。
本発明で使用される、好ましい水中油型エマルションは、スクアレンおよびポリソルベート80を含有する。
ワクチン製造時にエマルションを抗原と混合することができるが、投与時にその場で混合してもよい。したがって、一部の実施形態において、アジュバントおよび抗原は、包装された、もしくは流通しているワクチンの中で、別々に保管されていてもよく、いつでも使用時に最終的な製剤とすることができる。混合するときに(バルク製造時か使用時点かを問わず)、抗原は通常、水溶液の形をとるので、最終的なワクチンは2つの液体を混合することによって調製される。混合用の2つの液体の容量比はさまざまとすることができる(たとえば、5:1から1:5の間)が、通常1:1である。エマルションおよび抗原がキット内で別々に保管される場合、製品は、アジュバントで増強された液体ワクチン(単回投与もしくは複数回投与)を与えるように混合するための、エマルションを入れたバイアル、および抗原水溶液を入れたバイアルとして与えられる。
本発明の好ましいエマルションは、スクアレン油を含有する。これは通常、サメ油から調製されるが、別の供給源も知られており、たとえば参考文献110(酵母)および111(オリーブ油)を参照されたい。本発明で使用するために、参考文献112に記載のように、スクアレンのグラムあたり661ピコグラム(TEQ)未満のPCBを含有するスクアレンが好ましい。エマルションは、たとえば、参考文献113に記載のように再蒸留によって調製される、高純度のスクアレンから作製することが好ましい。
組成物がトコフェロールを含有する場合、α、β、γ、δ、ε、またはζトコフェロールのいずれも使用することができるが、αトコフェロールが好ましい。トコフェロールは、たとえば、さまざまな塩および/または異性体などの、いくつかの形をとることができる。塩には、有機塩、たとえばコハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩などがある。D-αトコフェロール、およびDL-αトコフェロールはいずれも使用することができる。トコフェロールは、エマルションを安定化するのに役立つ可能性のある、抗酸化特性を有する[114]。好ましいαトコフェロールはDL-αトコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩はコハク酸塩である。
TLRアゴニスト
本発明の組成物は、TLRアゴニスト、すなわち、Toll様受容体を刺激することができる化合物を含有してもよい。TLRアゴニストはヒトTLRのアゴニストであることがもっとも好ましい。TLRアゴニストは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、もしくはTLR11のいずれかを活性化することができる;好ましくは、ヒトTLR4もしくはヒトTLR7を活性化することができる。
任意の個別のToll様受容体に対する、化合物のアゴニスト活性は、標準的なアッセイによって測定することができる。ImgenexおよびInvivogenなどの会社は、TLR活性化経路を評価するために、ヒトTLG遺伝子およびNFκBに加えて、適当なレポーター遺伝子によって安定に同時トランスフェクトされる細胞株を供給する。それは、感度、幅広い動作範囲動態を求めてデザインされており、ハイスループットスクリーニングに使用することができる。1つもしくは2つの特定のTLRの構成的発現は、そのような細胞株に特徴的である。参考文献115も参照されたい。多くのTLRアゴニストが当技術分野で知られているが、たとえば、参考文献116は、TLR2アゴニストである特定のリポペプチド分子を記載し、参考文献117-120はそれぞれ、TLR7の小分子アゴニスト類を記載し、参考文献121および122は疾病治療のためのTLR7およびTLR8アゴニストを記載する。
TLRアゴニストをアルミニウム塩に吸着させることが可能であり、その結果、アジュバントの免疫増強効果を向上させる[123]。これは、よりすぐれた(より強い、もしくはより早く達成される)免疫応答をもたらすことができ、加えて/または、同等のアジュバント効果を維持する一方で組成物中のアルミニウム量を減少させることを可能にする。したがって、本発明の組成物は、TLRアゴニストが吸着されているアルミニウム塩を含有することができる。アゴニストおよび塩は、抗原を吸着する塩の能力を(少なくともある程度は)保っている、安定なアジュバント複合体を形成することができる。
リンを含む吸着部分は特に有用であるので、吸着部分は、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスホン酸、亜ホスフィン酸などを含有することができる。これらの基は、アルミニウム塩の表面の基とのリガンド交換を受ける可能性があり、特に塩は表面水酸基を有している。
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、ホスホン酸基を包含するTLRアゴニスト(より好ましくはTLR7アゴニスト)を含有する。このホスホン酸基は、アゴニストが不溶性アルミニウム塩に吸着されるのを可能にする[123]。
本発明に有用なTLRアゴニストは、1つの吸着部分を含有してもよいが、2つ以上、たとえば、2〜15の吸着部分を含有してもよい。典型的には、化合物は1、2、または3つの吸着部分を含有する。
本発明に有用な、リンを含むTLRアゴニストは、式(A1)で表すことができる:
Figure 0006440619
(A1)
式中:
RXおよびRYは、HおよびC1-C6アルキルから独立して選択される;
Xは、共有結合、O、およびNHから選択される;
Yは、共有結合、O、C(O)、S、およびNHから選択される;
Lはリンカーであって、たとえば、C1-C6アルキレン、C1-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C6アルキレンオキシ、および-((CH2)pO)q(CH2)p-から選択されるが、それぞれ1から4個の置換基で置換されていてもよく、置換基はハロ、OH、C1-C4アルキル、-OP(O)(OH)2 および-P(O)(OH)2から独立して選択される;
それぞれのpは、1、2、3、4、5、および6から、独立して選択される;
qは、1、2、3、および4から選択される;
nは、1、2、および3から選択される;ならびに
AはTLRアゴニスト部分である。
ある実施形態において、式(A1)のTLRアゴニストは、次のとおりである:RX およびRY はHである;XはOである;LはC1-C6 アルキレンおよび-((CH2)pO)q(CH2)p-から選択されるが、それぞれ1つまたは2つのハロゲン原子で置換されていてもよい;pは1、2、および3から選択される;qは1および2から選択される;ならびにnは1である。したがって、これらの実施形態において、吸着部分は1つのリン酸基を含有する。
他の実施形態において、式(A1)のTLRアゴニストは、次のとおりである:RX およびRY はHである;Xは共有結合である;LはC1-C6 アルキレンおよび-((CH2)pO)q(CH2)p-から選択されるが、それぞれ1つまたは2つのハロゲン原子で置換されていてもよい;pは1、2、および3から選択される;qは1および2から選択される;ならびにnは1である。したがって、これらの実施形態において、吸着部分は1つのリン酸基を含有する。
一部の実施形態において、TLRアゴニスト部分「A」は、1000 Da未満の分子量を有する。一部の実施例において、式(A1)のTLRアゴニストは、1000 Da未満の分子量を有する。
好ましいTLRアゴニストは、水溶性である。したがって、そうしたアゴニストは、25℃にて1気圧でpH 7において、水とともに水性バッファー中に混入したとき、均一な溶液を形成し、少なくとも50μg/mlの濃度を有する溶液を与えることができる。したがって、「水溶性」という用語は、上記の条件下でわずかしか溶解しない物質を除外する。
有用なTLRアゴニストは、参考文献123に記載の式(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(II)、(IV)、または(J)を有するものを含める。他の有用なTLRアゴニストは、参考文献123に記載の化合物1〜102である。好ましいTLR7アゴニストは、参考文献123からの式(IV)を有し、たとえば下記で同定される化合物K1もしくはK2などである。これらは塩、たとえばK2のアルギニン塩として、使用することができる。
単位用量中のTLRアゴニストの量は、所定の試験によって決定することができる、比較的幅のある範囲に収まるものである。用量あたり1-1000μgの量を使用することができるが、たとえば、用量あたり5-100μg、または用量あたり10-100μgであって、理想的には用量あたり≦300μg、たとえば用量あたり約5μg、10μg、20μg、25μg、50μg、または100μgである。したがって、本発明の組成物中のTLRアゴニストの濃度は、2-2000μg/mlとすることができるが、たとえば、10-200μg/ml、または約5、10、20、40、50、100、もしくは200μg/mlであり、理想的には≦600μg/mlである。
総じて、組成物中のTLRアゴニストのAl+++に対する重量比は、5:1未満、たとえば、4:1未満、3:1未満、2:1未満、または1:1未満である。したがって、たとえば、Al+++濃度が0.5mg/mlであれば、TLRアゴニストの最高濃度は2.5 mg/mlとなるであろう。しかし、もっと高濃度でも低濃度でも使用することができる。Al+++より低い質量のTLRアゴニストがもっとも典型的であって、たとえば用量あたり0.2mgのAl+++についてTLRアゴニストは100μgなどとなる。たとえば、Fendrix製品は、用量あたり50μgの3d-MPLおよび0.5mgのAl+++を含有する。
組成物中少なくとも50%(質量比)のTLRアゴニストがアルミニウム塩に吸着されていることが好ましく、たとえば、≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%、≧92%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または100%であっても、好ましい。
本発明の組成物が金属塩に吸着されたTLRアゴニストを含有し、バッファーも含有する場合、バッファー中のリン酸イオンの濃度は、50mM未満(たとえば1-15mMの間)とすべきであるが、それは高濃度のリン酸イオンが脱離を引き起こす可能性があるためである。ヒスチジンバッファーの使用が好ましい。
Toll様受容体4アゴニスト
本発明の組成物は、TLR4アゴニストを含有することができるが、ヒトTLR4のアゴニストが好ましい。TLR4は、在来の樹状細胞およびマクロファージを含めた、自然免疫系の細胞によって発現される[124]。TLR4によるトリガー作用は、MyD88-およびTRIF-依存性経路をともに利用するシグナル伝達カスケードを誘導し、それぞれNF-κBおよびIRF3/7の活性化をもたらす。TLR4活性化は典型的には、強力なIL-12p70生産を誘導し、Th1型細胞性および液性免疫反応を強く促進する。
さまざまな有用なTLR4アゴニストが当技術分野で知られているが、その多くはエンドトキシンもしくはリポ多糖(LPS)のアナログである。たとえば、TLR4アゴニストは、下記のものとすることができる:
(i) 3d-MPL(すなわち3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA;3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドAもしくは3-O-デスアシル-4'-モノホスホリルリピドAとしても知られる)。エンドトキシンのモノホスホリルリピドA部分の上記誘導体は、グルコサミンの還元末端の脱アシル化部分3を有する。それはサルモネラ ミネソタ(Salmonella minnesota)のヘプトース欠損変異株から調製され、リピドAと化学的に類似しているが、酸に不安定なホルホリル基および塩基に不安定なアシル基を欠いている。3d-MPLの調製は、参考文献125に原記載がなされ、その製品はCorixa Corporationにより製造販売されている。これはGSK社製「AS04」に含まれる。これ以上の詳細は参考文献126-129に見いだすことができる。
(ii) アミノアルキルグルコサミニドホスフェート、たとえばRC-529もしくはCRX-524 [130-132]。RC-529およびCRX-524は次の構造を有し、そのR2基で異なっている:
Figure 0006440619
(iii) リン酸含有非環式骨格に結合した脂質を含有する化合物、たとえばTLR4アゴニストE5564 [133,134]:
Figure 0006440619
(iv) グルコピラノシルリピドA(GLA)[135]、またはそのアンモニウム塩、たとえば
Figure 0006440619
(v) 参考文献136に記載の式I、II、もしくはIIIの化合物、またはそれらの塩、たとえば、化合物「ER 803058」、「ER 803732」、「ER 804053」、「ER 804058」、「ER 804059」、「ER 804442」、「ER 804680」、「ER 803022」、「ER 804764」、もしくは「ER 804057」。ER 804057はE6020として知られており、次の構造を有する:
Figure 0006440619
一方、ER 803022は次の構造を有する:
Figure 0006440619
(vi) 参考文献137に記載のポリペプチドリガンドの1つ。
これらのTLR4アゴニストのいずれでも、本発明で使用することができる。
本発明での使用に好ましいTLR4アゴニストは3d-MPLである。これは、リン酸アルミニウムアジュバントにも、水酸化アルミニウムアジュバントにも、両者の混合物にも吸着されることが可能である[138]。
3d-MPLは、アシル化がさまざまに異なる(たとえば、3、4、5、もしくは6アシル鎖を有し、長さが異なっていてもよい)、関連分子の混合物の形をとることができる。2グルコサミン(2-デオキシ-2-アミノ-グルコースとしても知られる)モノサッカライドが、2位の炭素で(すなわち2および2'位で)N-アシル化され、3'位にO-アシル化も存在する。炭素2に結合した基は、式-NH-CO-CH2-CR1R1'を有する。炭素2'に結合した基は、式-NH-CO-CH2-CR2R2'を有する。炭素3'に結合した基は、式-O-CO-CH2-CR3R3'を有する。代表的な構造は下記である:
Figure 0006440619
R1、R2、およびR3基はそれぞれ独立して、-(CH2)n-CH3である。nの値は好ましくは8から16の間であり、より好ましくは9から12の間であり、もっとも好ましくは10である。
R1'、R2'、およびR3'基はそれぞれ独立して:(a) -H;(b) -OHまたは、(c) -O-CO-R4であって、このR4は-Hもしくは-(CH2)m-CH3であるが、式中mの値は好ましくは8から16の間であり、より好ましくは10、12、または14である。2位において、mは14が好ましい。2'位では、mは10が好ましい。3'位では、mは12であることが好ましい。したがって、R1'、R2'、およびR3'基は、ドデカン酸、テトラデカン酸、またはヘキサデカン酸のO-アシル基であることが好ましい。
R1'、R2'、およびR3'がすべて、-Hである場合、3d-MPLは3つのアシル鎖のみを有する(2、2'、および3'位にそれぞれ1つ)。R1'、R2'、およびR3'のうち2つだけが-Hである場合、3d-MPLは4つのアシル鎖を有することができる。R1'、R2'、およびR3'のうち1つだけが-Hである場合、3d-MPLは5つのアシル鎖を有することができる。R1'、R2'、およびR3'のうちどれも-Hでない場合、3d-MPLは6つのアシル鎖を有することができる。本発明にしたがって使用される3d-MPLは、3から6つのアシル鎖を有するこれらの形の混合物とすることができるが、混合物中に6つのアシル鎖を有する3d-MPLを含有することが好ましく、特に、6アシル鎖型が、確実に、全3d-MPLの少なくとも10重量%、たとえば≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、もしくはそれ以上を構成するようにすることが好ましい。6アシル鎖を有する3d-MPLはもっともアジュバント活性の高い形であることが判明している。
したがって、本発明で使用するためにもっとも好ましい3d-MPLの形は下記である:
Figure 0006440619
3d-MPLが混合物の状態で使用される場合、本発明の組成物中の3d-MPLの量もしくは濃度の基準は、混合物中の3d-MPL種の組み合わせに言及する。
典型的な組成物は、25μg/mlから200μg/mlの間、たとえば50-150μg/ml、75-125μg/ml、90-110μg/mlの範囲、または約100μg/mlの濃度の3d-MPLを含有する。用量あたり25-75μgの3d-MPL、たとえば用量あたり45-55μg、または約50μgの3d-MPL投与するのが通例である。
水性条件において、3d-MPLは、さまざまなサイズ、たとえば直径<150nmまたは>500nmの、ミセル凝集体もしくは粒子を形成することができる。上記のどちらか、または両方を本発明で使用することができるが、よりよい粒子を通常のアッセイで選択することができる。小さいほうの粒子(3d-MPLの透明な水性懸濁液を与えるのに十分なほど小さい)は、そのすぐれた活性により、本発明に使用するために好ましい[139]。好ましい粒子は、150nm未満の平均直径を有するが、より好ましくは120nm未満であり、100nm未満の平均直径を有することもある。しかしながら、ほとんどの場合、平均直径は50nm未満にはならない。3d-MPLがアルミニウム塩に吸着されている場合、3d-MPL粒子サイズを直接測定することはできないと考えられるが、粒子サイズは吸着が生じる前に測定することができる。粒径は、動的光散乱の通常の方法によって評価することが可能であり、これは平均粒径を明らかにする。粒子がχnmの直径を有するとされる場合、通常この平均のまわりに粒子の分布があるが、粒子数で少なくとも50%(たとえば、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、もしくはそれ以上)は、χ±25%の範囲内の直径を有する。
Toll様受容体7アゴニスト
本発明の組成物はTLR7アゴニスト、好ましくはヒトTLR7のアゴニストを含有することができる。このTLRアゴニストは、式(K)の化合物とすることができる:
Figure 0006440619
(K)
式中:
R1はH、C1-C6アルキル、-C(R5)2OH、-L1R5、-L1R6、-L2R5、-L2R6、-OL2R5、もしくは-OL2R6である;
L1は-C(O)- もしくは-O-である;
L2 は、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、もしくは-((CR4R4)pO)q(CH2)pであって、このL2のC1-C6アルキレンおよびC2-C6アルケニレンは、1〜4つのフルオロ基で置換されていてもよい;
L3はそれぞれ独立して、C1-C6アルキレンおよび-((CR4R4)pO)q(CH2)p-から選択され、このL3のC1-C6アルキレンは、1〜4つのフルオロ基で置換されていてもよい;
L4は、アリーレンもしくはヘテロアリーレンである;
R2は、HもしくはC1-C6アルキルである;
R3は、C1-C4アルキル、-L3R5、-L1R5、-L3R7、-L3L4L3R7、-L3L4R5、-L3L4L3R5、-OL3R5、-OL3R7、-OL3L4R7、-OL3L4L3R7、-OR8、-OL3L4R5、-OL3L4L3R5、および-C(R5)2OHから選択される;
R4はそれぞれ独立して、Hおよびフルオロから選択される;
R5は、-P(O)(OR9)2である;
R6 は、-CF2P(O)(OR9)2もしくは-C(O)OR10である;
R7 は、-CF2P(O)(OR9)2もしくは-C(O)OR10である;
R8 は、HもしくはC1-C4アルキルである;
R9はそれぞれ独立して、HおよびC1-C6アルキルから選択される;
R10は、HもしくはC1-C4アルキルである;
pはそれぞれ独立して、1、2、3、4、5、および6から選択される、ならびに
qは1、2、3、もしくは4である。
式(K)の化合物は好ましくは、式(K')を有する:
Figure 0006440619
(K')
式中:
P1は、H、C1-C6アルキル(COOHで置換されていてもよい)、および-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)から選択される;
P2は、H、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、および-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)から選択される;
ただし、P1 およびP2のうち少なくとも1つは、-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)である;
RBは、HおよびC1-C6アルキルから選択される;
RXおよびRY は独立して、HおよびC1-C6アルキルから選択される;
X は、共有結合、O、およびNHから選択される;
Y は、共有結合、O、C(O)、S、およびNHから選択される;
L は、共有結合、C1-C6アルキレン、C1-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C6アルキレンオキシ、および-((CH2)pO)q(CH2)p-から選択されるが、それぞれ1〜4つの置換基で置換されていてもよく、置換基は独立してハロ、OH、C1-C4アルキル、-OP(O)(OH)2 、および-P(O)(OH)2から選択される;
pはそれぞれ独立して、 1、2、3、4、5、および6から選択される;ならびに
qは、1、2、3、および4から選択される。
式(K')の一部の実施形態において:P1 は、C1-C6アルキル(COOHで置換されていてもよい)および-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)から選択される;P2 はC1-C6アルコキシ、および-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)から選択される; RB はC1-C6アルキルである;Xは、共有結合である;Lは、C1-C6アルキレン、および-((CH2)pO)q(CH2)p- から選択されるが、それぞれ1〜4つの置換基で置換されていてもよく、置換基は独立してハロ、OH、C1-C4アルキル、-OP(O)(OH)2 、および-P(O)(OH)2から選択される;pはそれぞれ独立して、 1、2、および3から選択される;qは、1および2から選択される。
ある有用なTLR7アゴニストは、「化合物K1」(参考文献140の80ページの化合物6A)である:
Figure 0006440619
(K1)
化合物K1は、水中の溶解度が約4mg/mlであって、水酸化アルミニウムによく吸着する。
もう1つの好ましいTLR7アゴニストは、化合物「K2」(参考文献140の83ページの化合物21A)である:
Figure 0006440619
(K2)
これらのTLR7アゴニストは塩として使用することができるが、その例は、式(K2)のアルギニン塩、たとえばアルギニン塩一水和物である。
その他の非抗原成分
本発明のワクチン組成物は、担体、添加剤、バッファーなどを含有することができる。
浸透圧を調節するために、組成物は生理的な塩、たとえばナトリウム塩を含有してもよい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、それは、1から20 mg/mlの間で存在することができる。特定の実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、8から9 mg/mlの間である(たとえば、約8.5 mg/ml)。
組成物は通常、200 mOsm/kgから400 mOsm/kgの間の浸透圧濃度を有するが、好ましくは240-360 mOsm/kgの間であり、より好ましくは280-320 mOsm/kgの範囲内にある。浸透圧濃度はこれまで、ワクチン接種に起因する痛みに影響を与えないと報告されてきたが、この範囲内に浸透圧濃度を保持することは、それでもやはり好ましい。
本発明の組成物は、1つもしくは複数のバッファーを含有することができる。典型的なバッファーには:リン酸バッファー;Trisバッファー;ホウ酸バッファー;コハク酸バッファー;ヒスチジンバッファー;またはクエン酸バッファーがある。バッファーは典型的には、5-20mMの範囲内で含まれる。
本発明の組成物は、1つもしくは複数の保存剤を含有することができるが、一部の実施形態では、組成物は保存剤を含まない。吸着される抗原の性質によって、ワクチン製品は白濁した外観をもつ懸濁液となる可能性がある。この外観は、微生物汚染が容易には見えないことを意味するので、ワクチンは保存剤を含有することが好ましい。これは、ワクチンが複数回投与分の容器にパッケージされている場合、特に重要である。含めるのに好ましい保存剤は、2-フェノキシエタノール、およびチメロサールである。しかしながら、本発明のプロセスでは、水銀系保存剤(たとえば、チメロサール)を使用しないことが好ましい。したがって、そのプロセスで使用される成分は1つずつすべてにわたって、水銀系保存剤を実質的に含まないようにすることができる。しかしながら、本発明に使用される前に成分がそうした保存剤で処理されたならば、微量の存在は避けられない可能性がある。安全のために、最終組成物が含有する水銀は約25 ng/ml未満であることが好ましい。より好ましくは、最終ワクチン製品は、検出可能なチメロサールを含有しない。これは、通常、本発明のプロセスにおいて抗原標品の添加前にその標品から水銀系保存剤を除去することによって、または組成物を作製するために使用される成分の調製時にチメロサールの使用を避けることによって、達成されるものである。水銀を含まない組成物が好ましい。
本発明の組成物は、さらに、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、抗原成分の凝集を減らすために添加される。1つもしくは複数の抗原の沈殿は、ワクチン成分を水溶液中で長期間保存したときに生じる可能性がある。ポリソルベート20(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;Tween 20)、およびポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン;Tween 80)などの界面活性剤の添加は、たとえば、液体混合ワクチンからの、抗原の沈殿を減少させるか、または防止することができる。界面活性剤の濃度は、0.05容量%を超えないことが好ましい。組成物がHBsAgを含有する場合、たとえば、ポリソルベート20が酵母破砕時に使用されたとすれば、その組成物は通常、ポリソルベート20を含有することになる[66]。
本発明の組成物のpHは、通常5.0から7.5の間であり、最高の安定性のために、より典型的には5.0から6.0の間であるが、ジフテリアトキソイドおよび/または破傷風トキソイドが存在する場合には、6.0から7.0の間である。したがって、本発明のプロセスは、パッケージングの前にバルクワクチンのpHを調整するステップを含むことができる。
本発明の組成物は好ましくは、非発熱性であって、たとえば、用量あたり<1 EU(エンドトキシン単位、標準的な基準;1 EUは、0.2 ng FDA標準品エンドトキシンEC-2「RSE」に等しい)を含有するが、用量あたり<0,1 EUが好ましい。
本発明の組成物はグルテンを含まないことが好ましい。
本発明の組成物は無菌であることが好ましい。
本発明の組成物は水性の状態であることが好ましい。製造時に、望ましい終濃度を与えるための抗原の希釈は、通常WF1(注射用水)を用いて行われる。
個々の抗原成分由来の残留物質も、本発明の最終ワクチン組成物中に微量存在するかもしれない。たとえば、ジフテリア、破傷風、および百日咳のトキソイドを調製するためにホルムアルデヒドが使用されているならば、最終的なワクチン製品は、微量のホルムアルデヒド(たとえば10μg/ml未満、好ましくは<5μg/ml)を保持している可能性がある。ポリオウイルスを調製する際に培地もしくは安定化剤が使用された可能性があり(たとえばMedium 199)、これらは最終ワクチンに残る可能性がある。同様に、遊離アミノ酸(たとえば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システインおよび/もしくはシスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリンおよび/もしくはヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、ならびに/またはバリン)、ビタミン(たとえば、コリン、アスコルビン酸塩など)、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、カルシウム、グルコース、アデニン硫酸塩、フェノールレッド、酢酸ナトリウム、塩化カリウムなどが、それぞれ≦100μg/ml、好ましくは<10μg/ml、最終ワクチン中に保持される可能性がある。抗原標品由来の他の成分、たとえば、ネオマイシン(たとえばネオマイシン硫酸塩、特にIPV成分から)、ポリミキシンB(たとえばポリミキシンB硫酸塩、特にIPV成分から)なども、用量あたりナノグラム以下の量で存在しうる。抗原標品に由来する、他に考えられる、最終的なワクチンの成分は、抗原の完全とはいえない精製に起因する。したがって、小量の百日咳菌(B. pertussis)、ジフテリア菌(C.diphtheriae)、破傷風菌(C.tetani)、および酵母(S.cerevisiae)タンパク質、ならびに/またはゲノムDNAが存在する可能性がある。これらの残留成分の量を最小限にするために、抗原標品は、本発明のプロセスで抗原を使用する前にそうした成分を除去するように処理されることが好ましい。
本発明の組成物のパッケージング
本発明は、個別投与量にパッケージするのに適したバルク材料を提供することができるが、次にそれを、患者に投与するために配布することができる。上記の濃度は、典型的には、最終包装された投与分における濃度であるので、バルクワクチン中の濃度はもっと高くてもよい(たとえば、希釈によって最終濃度まで引き下げられる)。
ヒト筋肉注射用ワクチンは通常、個別投与容量0.5 mlの単位用量として投与される。したがって、本発明のプロセスは、混合物の0.5 mlサンプルを取り出して容器にパッケージするステップを含むと考えられる。0.5 mlの投与量ということは、当然のことながら、標準分散、たとえば0.5ml±0.05mlを含む。複数回投与状況に向けて、複数回投与分の総量たとえば、10回分の複数回投与容器用に5 ml(または10%過剰充填して5.5 ml)を取り出して1つの容器に合わせて入れてパッケージすることができる。
本発明のプロセスは、ワクチンを、使用する容器内にパッケージするステップを含めることができる。適当な容器には、バイアルおよび使い捨て注射器(滅菌済みのものが好ましい)がある。
本発明の組成物がバイアル中にパッケージされる場合、こうしたバイアルはガラス製もしくはプラスチック素材製であることが好ましい。バイアルは、それに組成物を入れる前に滅菌されていることが好ましい。ラテックス感受性の患者に関する問題を回避するために、バイアルは、ラテックスを含まない栓で密封することが好ましい。バイアルは投与1回分のワクチンを含有してもよいが、投与2回分以上、たとえば10回投与分を含有してもよい(「複数回投与」バイアル)。複数回投与バイアルを使用する場合、各回の投与分は、厳密な無菌条件下で滅菌針付き注射器により吸引されるべきであり、バイアル内容物を汚染しないように注意しなければならない。好ましいバイアルは、無色ガラス製である。
バイアルは、充填済みシリンジをキャップに挿入することができるように適合したキャップ(たとえば、ルアーロック)を有することができるが、シリンジの内容物をバイアル内に放出し(たとえば、バイアル内の凍結乾燥材料を再構成するために)、それからバイアルの内容物を、シリンジ内に戻して抜き取ることができる。バイアルからシリンジを抜き去った後、針を付けて、組成物を患者に投与することができる。キャップにアクセスする前にシールもしくはカバーを除去しなければならないように、キャップはシールもしくはカバーの内側にあることが好ましい。
組成物がシリンジ内にパッケージされる場合、そのシリンジには通常、針が取り付けられていないが、組み立てて使用するために、別の針がそのシリンジとともに供給されてもよい。セイフティニードルが好ましい。1インチ23ゲージ、1インチ25ゲージ、および5/8インチ25ゲージの針が一般的である。シリンジには、内容物のロット番号および有効期限をプリントすることができる剥離式ラベルを付けて、記録の保持を容易にすることができる。シリンジ内のプランジャーは、そのプランジャーが吸引時にうっかり外れてしまわないように、ストッパーを有することが好ましい。シリンジはまた、ラテックスゴムのキャップおよび/またはプランジャーを有していてもよい。使い捨てシリンジには、投与1回分のワクチンが入っている。シリンジは通常、針の装着前に先端を密封するためのキャップを有しており、その先端キャップはブチルゴム製であることが好ましい。シリンジおよび針が別々に包装されている場合、針はブチルゴムの保護カバーを装着されていることが好ましい。グレーのブチルゴムが好ましい。有用なシリンジは、「Tip-Lok」の商標名で販売されているものである。
ガラス容器(たとえば、シリンジまたはバイアル)を使用する場合、ソーダ石灰ガラス製よりホウケイ酸ガラス製の容器を使用することが好ましい。
組成物を容器内にパッケージした後、その容器を配達用の箱の内部に、たとえば段ボール箱の内側に、収納することができるが、その箱には、ワクチンの詳細、たとえばワクチンの商標名、ワクチン中の抗原リスト(たとえば「B型肝炎ウイルス組換え体」など)、体裁容器(たとえば「使い捨て充填済みTip-Lokシリンジ」または「10 x 0.5 ml 1回投与量バイアル」)、その投与量(たとえば、「それぞれ1回分0.5mlを含有」)、警告(たとえば、「成人用に限る」または「小児用に限る」)、有効期限、適応、特許番号などのラベルが付けられる。箱にはそれぞれ2パック以上のワクチン、たとえば、5パックまたは10パックのワクチンが入っていてもよい(特にバイアルについて)。ワクチンがシリンジに入っている場合、パッケージはシリンジの写真を示してもよい。
ワクチンは、リーフレットとともに(たとえば同じ箱の中に)包装されてもよく、そのリーフレットには、ワクチンの詳細、たとえば、投与説明書、ワクチン中の抗原の詳細などが収載される。説明書は、たとえば、ワクチン接種後のアナフィラキシー反応の場合に備えて、アドレナリンの溶液をすぐ利用できる状態にしておくこと、などの警告も含めることができる。
パッケージされたワクチンは、2℃から8℃の間の温度で保管することが好ましい。それは凍結してはならない。
ワクチンは、製造に際して完全に液体の形で提供することができる(すなわち、すべての抗原成分が水溶液もしくは懸濁液である場合)が、液体状の成分もあり、凍結乾燥状態の成分もあるという形で調製することもできる。したがって、最終的なワクチンは、使用時に2成分を混合することによって即座に調製することができる:(a) 第1の成分は水性抗原液を含む;ならびに(b) 第2の成分は凍結乾燥抗原を含む。2つの成分は好ましくは、別々の容器(たとえば、バイアルおよび/またはシリンジ)に入っていることが好ましく、本発明は成分(a)および(b)を含むキットを提供する。この形式は、コンジュゲート成分、具体的にはHibおよび/または髄膜炎菌および/または肺炎球菌コンジュゲートを含むワクチンに特に有用であるが、それは、前記成分が凍結乾燥状態でより安定となり得るからである(これに対して、D、T、P、およびHBsAg成分は液体状であることが好ましい)。したがって、コンジュゲートは本発明で使用される前に凍結乾燥することができる。他の成分は、たとえば、安定化剤のように、凍結乾燥する前に添加してもよい。含有するのに好ましい安定化剤は、ラクトース、スクロース、およびマンニトール、ならびにそれらの混合物、たとえば、ラクトース/スクロース混合物、スクロース/マンニトール混合物などである。したがって、最終的なワクチンは、ラクトースおよび/またはスクロースを含有することができる。スクロース/マンニトール混合物の使用は乾燥プロセスをスピードアップすることができる。
このように、本発明は、2容器の混合ワクチン(組合せワクチン)を調製するためのプロセスを提供するが、それは下記ステップを含む:
- 上記のように水性混合ワクチンを調製するが、前記の1つもしくは複数の抗原は結合型莢膜多糖体抗原を含まない;
- 前記水性混合ワクチンを第1の容器(たとえばシリンジ)にパッケージする;
- 結合型莢膜多糖体抗原を凍結乾燥された形で調製する;
- 前記凍結乾燥抗原を第2の容器(たとえばバイアル)にパッケージする;ならびに
- 第1の容器および第2の容器を1つのキットに合わせてパッケージする。
その後キットは医師に配布することができる。診療所において、ワクチン接種前に、2つの容器の内容物を混合して、いつでも投与できる状態の1つの液体ワクチンを得ることになる。
ワクチンの治療および投与の方法
本発明の組成物は、ヒト患者への投与に適しており、本発明は、患者において免疫反応を生じさせる方法を提供するが、その方法は、本発明の組成物を患者に投与するステップを含む。本発明の組成物は、好ましくは、(上記のように)0.5 mlの投与量で患者に投与される。
本発明はまた、医薬に使用するための本発明の組成物を提供する。本発明はまた、少なくとも百日咳の予防に本発明の組成物を使用することを提供する。
本発明はまた、ワクチンの製造に、本明細書に記載の抗原成分(本発明の無細胞百日咳抗原を含む)を使用することを提供する。
十分に有効であるために、小児のための典型的な一次免疫スケジュールは、2回以上の投与を含むことができる。たとえば、投与は、0および6ヶ月(タイム0は初回投与である);0、1、2、および6ヶ月;0日、21日、およびその後6〜12ヶ月の間に3回目の投与;2、4、および6ヶ月;3、4、および5ヶ月;6、10、および14週間;または0、1、2、6、および12ヶ月に行うことができる。小児用組成物は、たとえば小児用の、生後2年での追加投与分として使用することもできる。
本発明の青年用追加免疫ワクチン組成物は、10才以上の個体に1回投与で投与することができる。
本発明の組成物は、たとえば腕または脚に、筋肉注射によって投与することができる。
本発明によって製造されたワクチンは、別のワクチンと同時に、たとえば、PREVNAR(商標名)などの肺炎球菌結合型ワクチンと同時に、インフルエンザワクチンと同時に、ロタウイルスワクチンと同時に、MMRワクチンと同時に、さらにその他も同様に、患者に投与することができる。
本発明の組成物がアルミニウムをベースとするアジュバントを含有する場合、保存中に成分の沈殿が生じることがある。したがって、組成物は、患者に投与する前に振り混ぜるべきである。振り混ぜた組成物は、白濁した懸濁液となる。
一般原則
「含んでなる(comprising)」という用語は、「含む(including)」ならびに「構成される(consisting)」を包含しており、たとえば、Xを「含んでなる」組成物は、Xだけで構成されていてもよいが、追加のものを含んでいてもよい(たとえば、X + Y)。
「実質的に」という単語は、「完全に」を除外しないので、たとえば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないこともある。必要に応じて、「実質的に」という単語は本発明の定義から省くことができる。
数値χに関する「約」という用語は任意であって、たとえば、χ±10%を意味する。
特に指定のない限り、2つ以上の成分を混合するステップを含むプロセスは、混合について特定の順序を要求しない。したがって、2つの成分を互いに混合した後、その配合物を第3の成分と混合することができ、それ以上も同様である。
抗原がアジュバントに「吸着されている」と記載されている場合、抗原の少なくとも50%(重量比)、たとえば、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、またはそれ以上が吸着されていることが好ましい。ジフテリアトキソイドおよびHBsAgは2つとも少なくとも90%吸着されていることが好ましいが、理想的には完全に吸着されていること、すなわち遠心後の上清に何も検出されないことが好ましい。
図面の説明
図1〜3は、下記の実施例6に記載のように、ホルミル化されていないaP抗原かホルミル化されたaP抗原かのいずれかを含有するTdap製剤で免疫したマウスにおける、IgG力価を示す。IgG力価は、Luminexアッセイにより測定した。結果は、相対的な光の単位(RLU)/mlとして表される。定量の下限(LLOQ)は点線で示される。パータクチン(図1)、FHA(図2)、およびPT(図3)について力価を示す。1/5もしくは1/50という数字は、ヒト投与量に対する相対抗原投与量を示す。14および42という数字は、初回免疫後に血清を評価した日を示す。+記号はホルミル化抗原を示すのに対して、−はホルミル化されていない抗原を示す。*印はp = 0.02を示す。
発明を実施するための形態
ホルミル化および非ホルミル化FHAバッチの安定性
百日咳菌(B. pertussis)培養物の上清からFHAを精製することによって、2つのFHAバッチを調製した。上清を濃縮して透析濾過した。濾過した濃縮物をヒドロキシアパタイトカラム上に添加した。FHAを含有する溶出液を、ブチル650Mセファロース(Sepharose)カラムおよびQセファロースFFカラムを含む一連のクロマトグラフィーステップによって、さらに精製した。その結果得られた精製FHAバッチを濃縮し、透析濾過に供した。一方のFHAバッチは、ホルムアルデヒドおよびリジンの存在下でさらにインキュベートし、もう一方のバッチは未処理のままとした。
各バッチのサンプルを、室温(RT)にて最大1月間、または2-8℃にて最大3月間インキュベートした。各サンプルのタンパク質の初濃度は、280nmの吸収を計測することによって測定した。2週間および1月間(RTでインキュベートしたサンプル)、または2週間、1月、および3月間(2-8℃でインキュベートしたサンプル)インキュベートした後、計測を繰り返した。構造的な安定性は、3-8%勾配SDS-PAGEで確認した。RTおよび2-8℃での安定性は、ホルムアルデヒド処理バッチおよび未処理バッチの双方で同等であった。RTで1月後、または2-8℃で1もしくは3月後に、タンパク質濃度の統計上有意な減少は、2つのバッチのいずれについても、観察されなかった。
Superdex 200(登録商標)HPLCカラムを用いたサイズ排除高圧液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によって、サンプルの完全性も確認した。サンプルをカラムに通して流す前に、濾過した。この場合もやはり、各バッチのサンプルを1月または3月の間2-8℃でインキュベートした後、ホルムアルデヒド処理バッチと未処理バッチの間で、相違は見られなかった。
ホルミル化ならびに非ホルミル化FHAバッチにおける凝集物形成
インキュベーション中のFHA凝集物/沈殿の形成は、動的光散乱(DLS)によってチェックした。テスト前にサンプルを遠心分離した。2つのピークが確認された:ピーク1は、単量体型に対応し、ピーク2は凝集型に対応するものであった。60°の角度を用いて、凝集物/沈殿形成を評価した。DLS分析から、FHAをホルムアルデヒドで処理しても、しなくても、2-8℃にて3月の保存中に沈殿が生じることが明らかになった。0.05% Tween-80をホルムアルデヒド処理サンプルに添加することによって沈殿を減らすことが可能であったが、未処理FHAサンプルでは不可能であった。凝集はホルムアルデヒド処理の後でのみ生じたが、さらに他の研究から、FHAを処理するために使用するホルムアルデヒドの濃度を低下させることによって凝集を減らすことができることが判明した。
ホルミル化ならびに非ホルミル化FHAを含有するワクチン組成物の安定性
2つのTdaPワクチン組成物を調剤したが、それらは下記の抗原を含有した:破傷風トキソイド(T)、ジフテリアトキソイド(D)、および無細胞百日咳(aP)に由来する3つの精製抗原(PT、FHA、およびパータクチン)。ワクチンは、NaCl(9 mg/ml)を添加したヒスチジンバッファー(100 mM、pH 6.5)中で製剤し、水酸化アルミニウム(2 mg/ml)で免疫増強した。一方のワクチン組成物中のFHAは、ホルムアルデヒド処理バッチに由来し、もう一方のワクチン組成物中のFHAは未処理のままとしたバッチからのFHAとした。
短期安定性実験は、ホルミル化ならびに非ホルミル化FHAをそれぞれ含有する2つのワクチン組成物由来のサンプルを、2-8℃、および36-38℃にて、2週間または4週間インキュベートすることによって実施した。
aP抗原の吸着率を、サンドイッチELISAを用いて定量した。結果を表1および2にまとめる。2-8℃もしくは36-38℃のいずれでも、0時間の時点で、および最大1月のインキュベーション後に、非ホルミル化、またはホルミル化FHAバルクで調剤されたTdaPワクチン組成物の間に、吸着率の差は見られなかった。
インキュベーション後の完全性/同一性を、RT-、FHA-、およびパータクチン-特異的抗体を用いたウェスタンブロッティングによって確認した。0時間の時点で、ならびに2-8℃および36-38℃にて2週間もしくは1月インキュベートした後にそれぞれ、ワクチン組成物がホルミル化FHAを含有しようが、非ホルミル化FHAを含有しようが、サンプル間に相違は観察されなかった。
表1:非ホルミル化FHAを含有するTdapワクチンの安定性の結果:
Figure 0006440619
表2:ホルミル化FHAを含有するTdapワクチンの安定性の結果:
Figure 0006440619
aP抗原のin vivo免疫原性特性(ELISA)
8匹のCD1マウス群を、非ホルミル化FHAもしくはホルミル化FHAのいずれか一方を含有するTdaPワクチン組成物による皮下注射で免疫した(投与量1)。さらに、テストされるTdaPワクチンを生理食塩水で4倍(投与量2)および16倍(投与量3)に希釈し、その希釈物を調製後ただちに使用して、追加のマウスに皮下注射した。テストされるワクチンはすべて、ホルミル化PTおよびホルミル化パータクチンの同一バッチを使用して調製した。
注射の5週間後にマウスから採血した。血液から得られる血清を用いてELISAアッセイを行った。ホルミル化FHAまたは非ホルミル化FHAをそれぞれ含有する2つのTdaPワクチンの有効性を評価するために、それぞれのaP抗原の免疫原性を、PT、FHA、およびパータクチンに対する幾何平均抗体価を計測することによって測定した。ELISAアッセイの結果を表3〜5にまとめる。
表3:PT抗原に関する免疫原性結果(GMT(UI/ml)):
Figure 0006440619
表4:FHA抗原に関する免疫原性結果(GMT(UI/ml)):
Figure 0006440619
表5:パータクチン抗原に関する免疫原性結果(GMT(UI/ml)):
Figure 0006440619
非ホルミル化およびホルミル化FHAを含有するTdapワクチン組成物に関する免疫原性結果は非常によく似ており、そのことは、ホルムアルデヒド処理ステップを省くことがFHA成分それ自体の免疫原性にも、PTおよびパータクチン成分にも影響を及ぼさないことを示唆する。
aP抗原の相対力価
European Pharmacopoeiaに記載された方法論を用いて、基準となるTdapワクチンと比較して各ワクチン製剤の相対力価を決定するために、1つのマウス力価(IU/ml)を使用した。結果を表6にまとめる。
表6:相対力価の結果(力価(95%CI)):
Figure 0006440619
ホルムアルデヒド処理ステップを省くことは、テストしたTdapワクチンにおいてFHAおよびパータクチン成分の相対力価に影響を及ぼさなかった。非ホルミル化FHAを含有するワクチンの予想外に高いPT力価は、さらに検討の要があろう。
非ホルミル化ならびにホルミル化aP抗原のin vivo免疫原性特性
非ホルミル化FHAについて得られた上記の結果が、TdapワクチンのaP抗原成分中に通常含まれる他の抗原にも同様に適用可能であることを確認するために、2バッチの実験用Tdapワクチンを調製したが、このワクチン中の3つのaP抗原はホルミル化するか、または非ホルミル化とした。
各12匹の5群のマウス(雌、Balb/Cマウス、6週齢)を以下のように免疫した:第1および第2群は、3つのaP抗原がホルミル化されていないTdapワクチンを受けたが、第3および第4群は、aP抗原すべてがホルミル化されたTdapワクチンを受けた。第1および第3群のマウスは、Tdapワクチンのヒト用量の1/5を受けたが、第2および第4群のマウスはヒト用量の1/50を受けた。マウスはi.m.2回(0日および28日)100μl(2×各回50μl)により注射を受けた。第5群のマウスは免疫化を受けず、無処置対照群として用いた。
免疫化前の血清試料を0日に採取した。免疫化後の血清試料は14および42日に採取し、血清IgG力価を、テストしたaP抗原について測定した(図1-3を参照されたい)。力価はt検定、Mann-Whitney検定によって統計的に評価した。
14日のPTを除いて、ホルミル化されたaPのみを含有するバッチと、1つの非ホルミル化aPを含有するバッチとの間で、IgG力価について統計的有意差は観察されなかった。PTに関しては、14日におけるヒト用量の1/5での免疫後IgG力価が、非ホルミル化抗原に関して、ホルミル化抗原で得られたIgG力価より統計的に有意に高かった(図3を参照されたい)。
予想されたとおり、検討した各抗原について、42日時点での免疫後IgG力価は、14日時点での免疫後IgG力価より統計的に有意に高かった。同様に、42日時点での力価は、すべてのケースで、無処置マウスより、たとえ1/50用量でも有意に高く(いずれの場合もp ≦ 0.003)、1/5用量での力価は、1/50用量を用いた場合より有意に高かった(いずれの場合もp ≦ 0.001)。
当然のことながら、本発明は、例として記載されただけであって、本発明の範囲および精神の内にとどまりつつ変更を行うことができる。
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Claims (21)

  1. 百日咳菌(B.pertussis)抗原PT、FHA、およびパータクチンを含有する混合ワクチンであって、百日咳菌抗原のうち少なくとも2つはホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドで処理されていないことを特徴とし、ただしPTが架橋剤で処理されていない場合PTは遺伝的に無毒化された百日咳毒素であることを条件とする、前記混合ワクチン。
  2. 百日咳菌抗原のうち少なくとも2つがアルデヒド架橋剤で処理されていない、請求項1に記載の混合ワクチン。
  3. 百日咳菌抗原のうち少なくとも2つが架橋剤で処理されていない、請求項1に記載の混合ワクチン。
  4. PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびにアルミニウム塩アジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
  5. Al+++の濃度が1 mg/ml未満である、請求項4に記載の混合ワクチン。
  6. ワクチンがTLR4アゴニストをさらに含有する、請求項4に記載の混合ワクチン。
  7. ワクチンがアジュバントとしてAS04を含有する、請求項6に記載の混合ワクチン。
  8. PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびに水中油型エマルションアジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
  9. 水中油型アジュバントがMF59および/またはAS03を含む、請求項8に記載の混合ワクチン。
  10. PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、非架橋PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、保存剤を含まない混合ワクチン。
  11. PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする混合ワクチンであって、PT:FHA:パータクチンの重量比が1:1:2または16:16:5または5:10:6または20:20:3または25:25:8または10:5:3である、前記混合ワクチン。
  12. 以下の成分を含有する混合ワクチンであって:
    − D, T, aP, IPV
    − D, T, aP, HBsAg
    − D, T, aP, Hib
    − D, T, aP, Hib, IPV
    − D, T, aP, HBsAg, Hib
    − D, T, aP, HBsAg, IPV
    − D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib
    − D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, Spn
    − D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC
    − D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA
    − D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenY
    − D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenW135
    − D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA, MenW135, MenY
    ここでaP成分は、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、
    前記混合ワクチン。
  13. D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたD:Tの比が2:1から3:1の間であり、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
  14. D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたT:Dの比が1.5より大きく、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
  15. 百日咳菌抗原の1つが遺伝的に無毒化された百日咳毒素である、請求項1〜14のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
  16. 遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、請求項1〜15のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
  17. a. 遺伝的に無毒化された百日咳毒素を発現する百日咳菌株の培養物を増殖させること;
    b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
    c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
    を含む、aP成分を調製する方法であって、
    精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。
  18. 遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、請求項17に記載の方法。
  19. a. 百日咳毒素をコードする遺伝子が欠失した百日咳菌株の培養物を増殖させること; b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
    c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
    を含む、aP成分を調製する方法であって、
    精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。
  20. a.百日咳菌株の培養物を増殖させること;
    b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
    c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
    を含む、aP成分を調製する方法であって、
    酵素活性のある精製PTを含有するバッチだけは架橋剤で処理するが、他の精製百日咳菌抗原を含有するバッチは架橋剤で処理しないことを特徴とする、前記方法。
  21. 混合ワクチンを調製するために、請求項17〜20のいずれか1つによって得られるaP成分を、1つもしくは複数の百日咳菌以外の抗原と混合することを含む、混合ワクチンを製造する方法。
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