JP6440619B2 - 混合ワクチン用の架橋されていない無細胞百日咳抗原 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋剤によって架橋されていない無細胞百日咳抗原を含有する、安定な組成物、ならびに混合ワクチン中の無細胞百日咳成分としてのその使用に関する。
発明の概要
本発明は、百日咳菌抗原の架橋剤による処理をもはや必要としない、安全で免疫原性のあるワクチン組成物を提供する。本発明のワクチン製剤は、保存中に抗原の分解に起因して効力を失うことなく、無細胞百日咳成分を含有する標準的な混合ワクチンと同様に保存することができる。具体的には、本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有する、ワクチン組成物に関する。
本発明は以下の実施形態を包含する:
1.遺伝的に無毒化された百日咳毒素、ならびにIPV、HBsAg、およびHibから選択される1つもしくは複数の追加の抗原を含有する混合ワクチンであって、遺伝的に無毒化された百日咳毒素がホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドで処理されていないことを特徴とする、前記混合ワクチン。
2.百日咳毒素がアルデヒド架橋剤で処理されていない、実施形態1に記載の混合ワクチン。
3.百日咳毒素が架橋剤で処理されていない、実施形態1に記載の混合ワクチン。
4.百日咳菌(B.pertussis)抗原PT、FHA、およびパータクチンを含有する混合ワクチンであって、百日咳菌抗原のうち少なくとも2つはホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドで処理されていないことを特徴とし、ただしPTが架橋剤で処理されていない場合PTは遺伝的に無毒化された百日咳毒素であることを条件とする、前記混合ワクチン。
5.百日咳菌抗原のうち少なくとも2つがアルデヒド架橋剤で処理されていない、実施形態4に記載の混合ワクチン。
6.百日咳菌抗原のうち少なくとも2つが架橋剤で処理されていない、実施形態4に記載の混合ワクチン。
7.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびにアルミニウム塩アジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
8.Al +++ の濃度が1 mg/ml未満である、実施形態7に記載の混合ワクチン。
9.ワクチンがTLR4アゴニストをさらに含有する、実施形態7に記載の混合ワクチン。
10.ワクチンがアジュバントとしてAS04を含有する、実施形態9に記載の混合ワクチン。
11.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびに水中油型エマルションアジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
12.水中油型アジュバントがMF59および/またはAS03を含む、実施形態11に記載の混合ワクチン。
13.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、非架橋PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、保存剤を含まない混合ワクチン。
14.PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする混合ワクチンであって、PT:FHA:パータクチンの重量比が1:1:2または16:16:5または5:10:6または20:20:3または25:25:8または10:5:3である、前記混合ワクチン。
15.以下の成分を含有する混合ワクチンであって:
− D, T, aP, IPV
− D, T, aP, HBsAg
− D, T, aP, Hib
− D, T, aP, Hib, IPV
− D, T, aP, HBsAg, Hib
− D, T, aP, HBsAg, IPV
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, Spn
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenY
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenW135
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA, MenW135, MenY
ここでaP成分は、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、
前記混合ワクチン。
16.D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたD:Tの比が2:1から3:1の間であり、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
17.D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたT:Dの比が1.5より大きく、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
18.百日咳菌抗原の1つが遺伝的に無毒化された百日咳毒素である、実施形態4〜17のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
19.遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
20.a. 遺伝的に無毒化された百日咳毒素を発現する百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。
21.遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、実施形態20に記載の方法。
22.a. 百日咳毒素をコードする遺伝子が欠失した百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。
23.a.百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
酵素活性のある精製PTを含有するバッチだけは架橋剤で処理するが、他の精製百日咳菌抗原を含有するバッチは架橋剤で処理しないことを特徴とする、前記方法。
24.混合ワクチンを調製するために、実施形態19〜23のいずれか1つによって得られるaP成分を、1つもしくは複数の百日咳以外の抗原と混合することを含む、混合ワクチンを製造する方法。
25.実施形態24に記載の方法によって得られ得る、混合ワクチン。
百日咳毒素
百日咳毒素は、S1〜S5と命名された5つのサブユニットからなる105 kDaのタンパク質である。S1サブユニットだけが酵素活性を有し、真核細胞に毒作用を及ぼす。サブユニットS2、S3、S4、およびS5は、1:1:2:1の割合で存在し、毒性のないオリゴマー(Bオリゴマー)を形成するが、これが真核細胞表面上の受容体と結合し、真核細胞膜を横切って毒性サブユニットS1を送達する。百日咳菌株の染色体において、S1サブユニットの酵素活性に不可欠なアミノ酸のコドンを置き換えることによって、遺伝的に無毒化されたPTを産生する百日咳菌株を得ることができる。
ワクチン組成物
本発明は、PTが遺伝的に無毒化されているという条件で、架橋剤により処理されていないPT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの百日咳菌抗原を含有する、ワクチン組成物に関する。ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋剤によるタンパク質抗原の広範な架橋は、抗原提示細胞による抗原の切断や、抗原が天然の状態で存在する場合に、通常、抗原につきものの構造的柔軟性を妨げる可能性がある。たとえば、ホルムアルデヒド処理は、百日咳菌抗原のアミノ酸(主としてリジン)の修飾をもたらすので、構造的および機能的改変を引き起こす。トリプシン消化によって、架橋されていない百日咳菌抗原を架橋された百日咳菌抗原と区別できるのは、架橋された抗原が、非架橋抗原とは異なるプロテアーゼ感受性を示すからである。
aP成分の製造
本発明はさらに、本発明のワクチン組成物中に存在するaP成分を調製するために使用することができる、架橋されていない百日咳菌抗原を調製するための製造プロセス(方法)に関する。百日咳菌培養物から精製され、本発明のaP成分に含めることができる、百日咳菌抗原は、PT、FHA、パータクチン、凝集原2、および凝集原3である。好ましくは、aP成分は、PT、FHA、および(選択肢として)パータクチンを含む。aP成分を形成する精製抗原は、通常、aP成分に含まれるすべての百日咳菌抗原に対して防御抗体反応を生じさせるのに特に適していると判明している、特定の比率で混合される。たとえば、PT、FHA、およびパータクチンは、次のようなPT:FHA:パータクチンの重量比;1:1:2または16:16:5または5:10:6または20:20:3または25:25:8または10:5:3で混合することができる。
混合ワクチン
本発明のワクチン組成物は通常、混合ワクチンとなるが、すなわちそれは、百日咳菌以外の少なくとも1つの病原体由来の防御抗原を含有する。追加の防御抗原(1つまたは複数)は、ウイルス性および/または細菌性とすることができる。典型的な細菌病原体には、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae);破傷風菌(Clostridium tetani);b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae type b);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、血清型A、B、C、W135、および/またはYなど;ならびに肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、血清型6B、14、19F、および23Fなどが挙げられるが、それに限定されない。典型的なウイルス病原体には、ポリオウイルス;A型肝炎ウイルス;B型肝炎ウイルス;麻疹ウイルス;ムンプスウイルス;風疹ウイルス;および水痘帯状疱疹ウイルスがあるが、これらに限定されない。
ジフテリア
ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)は、ジフテリアの原因となる。ジフテリア毒素は、注入後に特異的な抗毒素抗体を誘導する能力を保持しつつ、毒性を除去するように(たとえば、ホルマリンもしくはホルムアルデヒドを用いて)処理することができる。こうしたジフテリアトキソイドはジフテリアワクチンに使用され、参考文献1の13章に、より詳細に記載されている。好ましいジフテリアトキソイドは、ホルムアルデヒド処理によって調製されるものである。ジフテリアトキソイドは、ジフテリア菌を増殖培地(たとえば、Fenton培地、またはLinggoud & Fenton培地)中で増殖させ(この培地にはウシ抽出物を添加してもよい)、続いてホルムアルデヒド処理、限外濾過、および沈殿によって得ることができる。好ましくは、ジフテリア菌を増殖させるための増殖培地は、動物由来成分を含まない。その後、トキソイド化された材料を、無菌濾過および/または透析を含むプロセスで処理することができる。あるいはまた、遺伝的に無毒化されたジフテリア毒素(たとえば、CRM197)を使用してもよいが、これは典型的には、保存中に長期間安定性を維持するためにホルムアルデヒド処理を必要とするものである。
破傷風
破傷風菌(Clostridium tetani)は破傷風の原因となる。破傷風毒素は、防御トキソイドをもたらすように処理することができる。トキソイドは破傷風ワクチンに使用され、参考文献1の27章に、より詳細に記載されている。したがって、本発明の混合ワクチンは、破傷風トキソイドを含有することができる。好ましい破傷風トキソイドは、ホルムアルデヒド処理により調製されたものである。破傷風トキソイドは、破傷風菌を増殖培地(たとえば、ウシのカゼインから得られるLatham培地)中で増殖させ、続いてホルムアルデヒド処理、限外濾過、および沈殿によって得ることができる。好ましくは、破傷風菌を増殖させるための増殖培地は、動物由来成分を含まない。その後、その材料を、無菌濾過および/または透析を含むプロセスで処理することができる。
Hib
b型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae type b)(「Hib」)は細菌性髄膜炎の原因となる。Hibワクチンは典型的には、莢膜多糖体抗原をベースとして(たとえば、参考文献1の14章)、その調製は文献に多数記録されている(たとえば、文献24〜33)。インフルエンザ菌は、動物由来成分なしで培養することができる。Hib多糖体は、特に小児においてその免疫原性を増強するために、キャリアータンパク質と結合している。これらのコンジュゲートにおける典型的なキャリアータンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ジフテリア毒素のCRM197誘導体、または血清型B株髄膜炎菌に由来する外膜タンパク質複合体である。したがって、本発明の混合ワクチンは、キャリアータンパク質と結合したHib莢膜多糖体を含有することができる。
髄膜炎菌(Meningococcus)
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は細菌性髄膜炎の原因となる。この菌の莢膜多糖体に基づいて、髄膜炎菌(N.meningitidis)のさまざまな血清型が同定されており、A、B、C、H、I、K、L、29E、W135、X、Y、およびZがある。もっとも病気と関係のある血清型は、A、B、C、W135、およびYである。血清型A、C、W135、およびY株に対する現在のワクチンは、莢膜多糖体抗原に基づくが、このアプローチは血清型B株には適さないので、タンパク質抗原および外膜小胞をその代わりに使用する[58]。莢膜多糖体は、免疫原性を高めるために、キャリアータンパク質と結合している。典型的なキャリアータンパク質は、破傷風トキソイド(NIMENRIX(商標名)製品の場合など)、ジフテリアトキソイド(MENACTRA(商標名)製品の場合など)、およびジフテリア毒素のCRM197誘導体(MENVEO(商標名)製品の場合など)である。したがって、本発明の混合ワクチンは、キャリアータンパク質と結合した、(1)血清型A株髄膜炎菌;(2)血清型C株髄膜炎菌;(3)血清型W135株髄膜炎菌;(4)血清型Y株髄膜炎菌;から選択される1つもしくは複数(たとえば、2、3、または4)の莢膜多糖体を含有することができる。多糖体は個別に、同じか、または異なるキャリアータンパク質と(たとえば、すべてCRM197または破傷風トキソイドと)結合させた後、混合して、2つ以上の莢膜多糖体を含有する混合ワクチンが得られる。
肺炎球菌(Pneumococcus)
肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)は細菌性髄膜炎の原因となる。Hibおよび髄膜炎菌と同様に、既存のワクチンは莢膜多糖体に基づくものである。肺炎レンサ球菌は、動物由来成分なしで培養することができる。したがって、本発明の混合ワクチンは、キャリアータンパク質と結合した肺炎球菌莢膜多糖体を含有することができる。
B型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルス(HBV)はウイルス性肝炎の原因である。HBVウイルス粒子は、外側のタンパク質コートもしくはカプシドに囲まれた内部コアからなり、コアはウイルスDNAゲノムを含有する。カプシドの主な成分は、HBV表面抗原、すなわちより一般的には、「HBsAg」として知られているタンパク質であるが、これは典型的には226アミノ酸のポリペプチドであって約24 kDaの分子量を有する。既存のB型肝炎ウイルスワクチンはすべてHBsAgを含有するが、この抗原が正常なワクチン被接種者に投与される場合、それは、HBV感染を防ぐ抗HBsAg抗体の産生を刺激する。したがって、本発明の混合ワクチンはHBsAgを含有することができる。
ポリオウイルス
ポリオウイルスは急性灰白髄炎の原因となる。不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)は、参考文献1の24章でより詳細に記載されるように、長年にわたって知られている。したがって、本発明の混合ワクチンは、不活化ポリオウイルス抗原を含有することができる。
混合ワクチンの調製
ワクチンに使用するための上記病原体の抗原成分は通常、略称で呼ばれる:ジフテリアトキソイドは「D」;破傷風トキソイドは「T」;百日咳抗原は「P」で、「aP」は無細胞性である(たとえば、少なくともPTを含有し、場合によってFHAおよび/またはパータクチンを含有してもよい);結合型のb型インフルエンザ菌莢膜多糖体は「Hib」;髄膜炎菌の各血清型は「MenA」、「MenB」、「MenC」、「MenW」、および「MenY」であって、個別にキャリアータンパク質と結合している;3価不活化ポリオウイルスは「IPV」;ならびに、肺炎球菌は「Spn」である。
- D, T, aP
- D, T, aP, IPV
- D, T, aP, HBsAg
- D, T, aP, Hib
- D, T, aP, Hib, IPV
- D, T, aP, HBsAg, Hib
- D, T, aP, HBsAg, IPV
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, Spn
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenY
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenW135
- D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA, MenW135, MenY
これらの混合ワクチンは、記載の抗原で構成されていてもよいが、追加の病原体に由来する抗原をさらに含有してもよい。したがって、抗原は別々に使用することも、他のワクチンの成分として使用することもできる。
コンジュゲートのためのキャリアータンパク質
結合型多糖体抗原はキャリアータンパク質を含有し、これに多糖体が直接、またはリンカーを介して共有結合している。結合法に関する概説は参考文献33に見いだすことができる。
アルミニウム塩アジュバント
本発明のワクチンは、通常、アジュバントを含んでいる。含められるもっとも一般的なアジュバントは、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩である。混合ワクチン中の抗原は、(一部、または全体が)アルミニウム塩に吸着されていてもよい。
水中油型エマルションアジュバント
本発明の組成物は、水中油型エマルションアジュバントを含有することができる。
・スクアレン、ポリソルベート80、およびトリオレイン酸ソルビタンからなるサブミクロンエマルション。容量比によるエマルションの組成は、約5%のスクアレン、約0.5%のポリソルベート80、および約0.5%のソルビタントリオレイン酸エステルとすることができる。重量で言うと、上記の比は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80、および0.48%トリオレイン酸ソルビタンとなる。このアジュバントは「MF59」として知られ[102-104]、より詳細には参考文献89の10章および参考文献94の12章に記載されるとおりである。MF59エマルションは、クエン酸イオン、たとえば10 mMクエン酸ナトリウムバッファーを含有していて有利である。
・スクアレン、トコフェロール、およびポリソルベート80からなるエマルション。このエマルションはリン酸緩衝食塩水を含有することができる。こうしたエマルションは、2から10%のスクアレン、2から10%のトコフェロール、および0.3から3%のポリソルベート80を有することができるが、スクアレン:トコフェロールの重量比は、好ましくは≦1(たとえば0.90)であって、これはより安定したエマルションを与えることができる。スクアレンおよびポリソルベート80は、約5:2の容量比で、もしくは約11:5の重量比で存在することができる。したがって、3つの成分(スクアレン、トコフェロール、ポリソルベート80)は、重量比1068:1186:485、もしくは約55:61:25で存在することができる。このアジュバントは「AS03」として知られている。このタイプの別の有用なエマルションは、ヒト用量あたり0.5-10 mgスクアレン、0.5-11 mgトコフェロール、および0.1-4 mgポリソルベート80を含有することができる[105]が、たとえば上記の割合で含有してもよい。
・サポニン(たとえば、QuilAまたはQS21)およびステロール(たとえば、コレステロール)がヘリカルミセル(helical micelle)として会合しているエマルション[106]。
・0.5-50%の油、0.1-10%のリン脂質、および0.05-5%非イオン性界面活性剤を有するエマルション。参考文献107に記載のように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性界面活性剤(たとえば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)および疎水性非イオン性界面活性剤(たとえば、ソルビタンエステルもしくはマンニド(mannide)エステル(ソルビタンモノオレイン酸エステルもしくは「Span 80」など))を含有するエマルション。このエマルションは、好ましくは、熱可逆性であり、そして/または、その液滴の少なくとも90%(容量)はサイズが200nm未満である[108]。このエマルションはまた、下記のうち1つもしくは複数を含んでいてもよい:アルジトール;凍結保護剤(たとえば、糖(ドデシルマルトシド、および/またはスクロースなど));および/またはアルキルポリグリコシド。このエマルションは、TLR4アゴニスト、たとえばその化学構造が糖環を含まないもの、を含有することができる[109]。このようなエマルションは凍結乾燥することができる。「AF03」製品はそうしたエマルションの1つである。
TLRアゴニスト
本発明の組成物は、TLRアゴニスト、すなわち、Toll様受容体を刺激することができる化合物を含有してもよい。TLRアゴニストはヒトTLRのアゴニストであることがもっとも好ましい。TLRアゴニストは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、もしくはTLR11のいずれかを活性化することができる;好ましくは、ヒトTLR4もしくはヒトTLR7を活性化することができる。
RXおよびRYは、HおよびC1-C6アルキルから独立して選択される;
Xは、共有結合、O、およびNHから選択される;
Yは、共有結合、O、C(O)、S、およびNHから選択される;
Lはリンカーであって、たとえば、C1-C6アルキレン、C1-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C6アルキレンオキシ、および-((CH2)pO)q(CH2)p-から選択されるが、それぞれ1から4個の置換基で置換されていてもよく、置換基はハロ、OH、C1-C4アルキル、-OP(O)(OH)2 および-P(O)(OH)2から独立して選択される;
それぞれのpは、1、2、3、4、5、および6から、独立して選択される;
qは、1、2、3、および4から選択される;
nは、1、2、および3から選択される;ならびに
AはTLRアゴニスト部分である。
Toll様受容体4アゴニスト
本発明の組成物は、TLR4アゴニストを含有することができるが、ヒトTLR4のアゴニストが好ましい。TLR4は、在来の樹状細胞およびマクロファージを含めた、自然免疫系の細胞によって発現される[124]。TLR4によるトリガー作用は、MyD88-およびTRIF-依存性経路をともに利用するシグナル伝達カスケードを誘導し、それぞれNF-κBおよびIRF3/7の活性化をもたらす。TLR4活性化は典型的には、強力なIL-12p70生産を誘導し、Th1型細胞性および液性免疫反応を強く促進する。
(i) 3d-MPL(すなわち3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA;3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドAもしくは3-O-デスアシル-4'-モノホスホリルリピドAとしても知られる)。エンドトキシンのモノホスホリルリピドA部分の上記誘導体は、グルコサミンの還元末端の脱アシル化部分3を有する。それはサルモネラ ミネソタ(Salmonella minnesota)のヘプトース欠損変異株から調製され、リピドAと化学的に類似しているが、酸に不安定なホルホリル基および塩基に不安定なアシル基を欠いている。3d-MPLの調製は、参考文献125に原記載がなされ、その製品はCorixa Corporationにより製造販売されている。これはGSK社製「AS04」に含まれる。これ以上の詳細は参考文献126-129に見いだすことができる。
(ii) アミノアルキルグルコサミニドホスフェート、たとえばRC-529もしくはCRX-524 [130-132]。RC-529およびCRX-524は次の構造を有し、そのR2基で異なっている:
Toll様受容体7アゴニスト
本発明の組成物はTLR7アゴニスト、好ましくはヒトTLR7のアゴニストを含有することができる。このTLRアゴニストは、式(K)の化合物とすることができる:
R1はH、C1-C6アルキル、-C(R5)2OH、-L1R5、-L1R6、-L2R5、-L2R6、-OL2R5、もしくは-OL2R6である;
L1は-C(O)- もしくは-O-である;
L2 は、C1-C6アルキレン、C2-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、もしくは-((CR4R4)pO)q(CH2)pであって、このL2のC1-C6アルキレンおよびC2-C6アルケニレンは、1〜4つのフルオロ基で置換されていてもよい;
L3はそれぞれ独立して、C1-C6アルキレンおよび-((CR4R4)pO)q(CH2)p-から選択され、このL3のC1-C6アルキレンは、1〜4つのフルオロ基で置換されていてもよい;
L4は、アリーレンもしくはヘテロアリーレンである;
R2は、HもしくはC1-C6アルキルである;
R3は、C1-C4アルキル、-L3R5、-L1R5、-L3R7、-L3L4L3R7、-L3L4R5、-L3L4L3R5、-OL3R5、-OL3R7、-OL3L4R7、-OL3L4L3R7、-OR8、-OL3L4R5、-OL3L4L3R5、および-C(R5)2OHから選択される;
R4はそれぞれ独立して、Hおよびフルオロから選択される;
R5は、-P(O)(OR9)2である;
R6 は、-CF2P(O)(OR9)2もしくは-C(O)OR10である;
R7 は、-CF2P(O)(OR9)2もしくは-C(O)OR10である;
R8 は、HもしくはC1-C4アルキルである;
R9はそれぞれ独立して、HおよびC1-C6アルキルから選択される;
R10は、HもしくはC1-C4アルキルである;
pはそれぞれ独立して、1、2、3、4、5、および6から選択される、ならびに
qは1、2、3、もしくは4である。
P1は、H、C1-C6アルキル(COOHで置換されていてもよい)、および-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)から選択される;
P2は、H、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、および-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)から選択される;
ただし、P1 およびP2のうち少なくとも1つは、-Y-L-X-P(O)(ORX)(ORY)である;
RBは、HおよびC1-C6アルキルから選択される;
RXおよびRY は独立して、HおよびC1-C6アルキルから選択される;
X は、共有結合、O、およびNHから選択される;
Y は、共有結合、O、C(O)、S、およびNHから選択される;
L は、共有結合、C1-C6アルキレン、C1-C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1-C6アルキレンオキシ、および-((CH2)pO)q(CH2)p-から選択されるが、それぞれ1〜4つの置換基で置換されていてもよく、置換基は独立してハロ、OH、C1-C4アルキル、-OP(O)(OH)2 、および-P(O)(OH)2から選択される;
pはそれぞれ独立して、 1、2、3、4、5、および6から選択される;ならびに
qは、1、2、3、および4から選択される。
その他の非抗原成分
本発明のワクチン組成物は、担体、添加剤、バッファーなどを含有することができる。
本発明の組成物のパッケージング
本発明は、個別投与量にパッケージするのに適したバルク材料を提供することができるが、次にそれを、患者に投与するために配布することができる。上記の濃度は、典型的には、最終包装された投与分における濃度であるので、バルクワクチン中の濃度はもっと高くてもよい(たとえば、希釈によって最終濃度まで引き下げられる)。
- 上記のように水性混合ワクチンを調製するが、前記の1つもしくは複数の抗原は結合型莢膜多糖体抗原を含まない;
- 前記水性混合ワクチンを第1の容器(たとえばシリンジ)にパッケージする;
- 結合型莢膜多糖体抗原を凍結乾燥された形で調製する;
- 前記凍結乾燥抗原を第2の容器(たとえばバイアル)にパッケージする;ならびに
- 第1の容器および第2の容器を1つのキットに合わせてパッケージする。
ワクチンの治療および投与の方法
本発明の組成物は、ヒト患者への投与に適しており、本発明は、患者において免疫反応を生じさせる方法を提供するが、その方法は、本発明の組成物を患者に投与するステップを含む。本発明の組成物は、好ましくは、(上記のように)0.5 mlの投与量で患者に投与される。
一般原則
「含んでなる(comprising)」という用語は、「含む(including)」ならびに「構成される(consisting)」を包含しており、たとえば、Xを「含んでなる」組成物は、Xだけで構成されていてもよいが、追加のものを含んでいてもよい(たとえば、X + Y)。
図面の説明
図1〜3は、下記の実施例6に記載のように、ホルミル化されていないaP抗原かホルミル化されたaP抗原かのいずれかを含有するTdap製剤で免疫したマウスにおける、IgG力価を示す。IgG力価は、Luminexアッセイにより測定した。結果は、相対的な光の単位(RLU)/mlとして表される。定量の下限(LLOQ)は点線で示される。パータクチン(図1)、FHA(図2)、およびPT(図3)について力価を示す。1/5もしくは1/50という数字は、ヒト投与量に対する相対抗原投与量を示す。14および42という数字は、初回免疫後に血清を評価した日を示す。+記号はホルミル化抗原を示すのに対して、−はホルミル化されていない抗原を示す。*印はp = 0.02を示す。
発明を実施するための形態
百日咳菌(B. pertussis)培養物の上清からFHAを精製することによって、2つのFHAバッチを調製した。上清を濃縮して透析濾過した。濾過した濃縮物をヒドロキシアパタイトカラム上に添加した。FHAを含有する溶出液を、ブチル650Mセファロース(Sepharose)カラムおよびQセファロースFFカラムを含む一連のクロマトグラフィーステップによって、さらに精製した。その結果得られた精製FHAバッチを濃縮し、透析濾過に供した。一方のFHAバッチは、ホルムアルデヒドおよびリジンの存在下でさらにインキュベートし、もう一方のバッチは未処理のままとした。
インキュベーション中のFHA凝集物/沈殿の形成は、動的光散乱(DLS)によってチェックした。テスト前にサンプルを遠心分離した。2つのピークが確認された:ピーク1は、単量体型に対応し、ピーク2は凝集型に対応するものであった。60°の角度を用いて、凝集物/沈殿形成を評価した。DLS分析から、FHAをホルムアルデヒドで処理しても、しなくても、2-8℃にて3月の保存中に沈殿が生じることが明らかになった。0.05% Tween-80をホルムアルデヒド処理サンプルに添加することによって沈殿を減らすことが可能であったが、未処理FHAサンプルでは不可能であった。凝集はホルムアルデヒド処理の後でのみ生じたが、さらに他の研究から、FHAを処理するために使用するホルムアルデヒドの濃度を低下させることによって凝集を減らすことができることが判明した。
2つのTdaPワクチン組成物を調剤したが、それらは下記の抗原を含有した:破傷風トキソイド(T)、ジフテリアトキソイド(D)、および無細胞百日咳(aP)に由来する3つの精製抗原(PT、FHA、およびパータクチン)。ワクチンは、NaCl(9 mg/ml)を添加したヒスチジンバッファー(100 mM、pH 6.5)中で製剤し、水酸化アルミニウム(2 mg/ml)で免疫増強した。一方のワクチン組成物中のFHAは、ホルムアルデヒド処理バッチに由来し、もう一方のワクチン組成物中のFHAは未処理のままとしたバッチからのFHAとした。
表1:非ホルミル化FHAを含有するTdapワクチンの安定性の結果:
8匹のCD1マウス群を、非ホルミル化FHAもしくはホルミル化FHAのいずれか一方を含有するTdaPワクチン組成物による皮下注射で免疫した(投与量1)。さらに、テストされるTdaPワクチンを生理食塩水で4倍(投与量2)および16倍(投与量3)に希釈し、その希釈物を調製後ただちに使用して、追加のマウスに皮下注射した。テストされるワクチンはすべて、ホルミル化PTおよびホルミル化パータクチンの同一バッチを使用して調製した。
表3:PT抗原に関する免疫原性結果(GMT(UI/ml)):
European Pharmacopoeiaに記載された方法論を用いて、基準となるTdapワクチンと比較して各ワクチン製剤の相対力価を決定するために、1つのマウス力価(IU/ml)を使用した。結果を表6にまとめる。
表6:相対力価の結果(力価(95%CI)):
非ホルミル化FHAについて得られた上記の結果が、TdapワクチンのaP抗原成分中に通常含まれる他の抗原にも同様に適用可能であることを確認するために、2バッチの実験用Tdapワクチンを調製したが、このワクチン中の3つのaP抗原はホルミル化するか、または非ホルミル化とした。
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Claims (21)
- 百日咳菌(B.pertussis)抗原PT、FHA、およびパータクチンを含有する混合ワクチンであって、百日咳菌抗原のうち少なくとも2つはホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドで処理されていないことを特徴とし、ただしPTが架橋剤で処理されていない場合PTは遺伝的に無毒化された百日咳毒素であることを条件とする、前記混合ワクチン。
- 百日咳菌抗原のうち少なくとも2つがアルデヒド架橋剤で処理されていない、請求項1に記載の混合ワクチン。
- 百日咳菌抗原のうち少なくとも2つが架橋剤で処理されていない、請求項1に記載の混合ワクチン。
- PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびにアルミニウム塩アジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
- Al+++の濃度が1 mg/ml未満である、請求項4に記載の混合ワクチン。
- ワクチンがTLR4アゴニストをさらに含有する、請求項4に記載の混合ワクチン。
- ワクチンがアジュバントとしてAS04を含有する、請求項6に記載の混合ワクチン。
- PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原、ならびに水中油型エマルションアジュバントを含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、混合ワクチン。
- 水中油型アジュバントがMF59および/またはAS03を含む、請求項8に記載の混合ワクチン。
- PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、非架橋PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、保存剤を含まない混合ワクチン。
- PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする混合ワクチンであって、PT:FHA:パータクチンの重量比が1:1:2または16:16:5または5:10:6または20:20:3または25:25:8または10:5:3である、前記混合ワクチン。
- 以下の成分を含有する混合ワクチンであって:
− D, T, aP, IPV
− D, T, aP, HBsAg
− D, T, aP, Hib
− D, T, aP, Hib, IPV
− D, T, aP, HBsAg, Hib
− D, T, aP, HBsAg, IPV
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, Spn
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenY
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenW135
− D, T, aP, HBsAg, IPV, Hib, MenC, MenA, MenW135, MenY
ここでaP成分は、PT、FHA、およびパータクチンから選択される、少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、
前記混合ワクチン。 - D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたD:Tの比が2:1から3:1の間であり、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
- D、T、aPを含有する混合ワクチンであって、Lf単位で計測されたT:Dの比が1.5より大きく、aP成分が、PT、FHA、およびパータクチンから選択される少なくとも2つの非架橋百日咳菌抗原を含有し、PTは遺伝的に無毒化されていることを条件とする、前記混合ワクチン。
- 百日咳菌抗原の1つが遺伝的に無毒化された百日咳毒素である、請求項1〜14のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
- 遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、請求項1〜15のいずれか1つに記載の混合ワクチン。
- a. 遺伝的に無毒化された百日咳毒素を発現する百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。 - 遺伝的に無毒化された百日咳毒素がPT-9K/129Gである、請求項17に記載の方法。
- a. 百日咳毒素をコードする遺伝子が欠失した百日咳菌株の培養物を増殖させること; b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
精製百日咳菌抗原が架橋剤で処理されないことを特徴とする、前記方法。 - a.百日咳菌株の培養物を増殖させること;
b. 異なる精製百日咳菌抗原をそれぞれ含有する2つ以上のバッチを得るために、培養物から2つ以上の百日咳菌抗原を精製すること;ならびに
c. aP成分を調製するために2つ以上のバッチを混合すること;
を含む、aP成分を調製する方法であって、
酵素活性のある精製PTを含有するバッチだけは架橋剤で処理するが、他の精製百日咳菌抗原を含有するバッチは架橋剤で処理しないことを特徴とする、前記方法。 - 混合ワクチンを調製するために、請求項17〜20のいずれか1つによって得られるaP成分を、1つもしくは複数の百日咳菌以外の抗原と混合することを含む、混合ワクチンを製造する方法。
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