JP6439197B2 - フレキシブルプリント配線板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板及びその製造方法に関する。
ノイズ耐性を高めるために、回路基板等の配線板に電磁波シールドを設けることがある。フレキシブルプリント配線板(FPC)にも、導電性フィラーを含有する接着剤からなる可撓性の電磁波シールド層や金属蒸着層からなる金属薄膜(導体層)を設けることが提案されている。そのような電磁波シールド層は、配線板上に設けたグランド回路に電気的に接続されるように重畳して敷設されることが多い。また、通常シールド層と他の回路等との短絡を防止するために、電磁波シールド層の外側には絶縁性の樹脂層が設けられる。さらに、金属フィラーを含有する接着性樹脂層を貼着することでシールド層を形成するフレキシブルプリント配線板も提案されている。
他方、携帯電話、ノート型パソコン等は、ヒンジで連結された2つの筐体間にフレキシブルプリント配線板を架け渡す構造が用いられている。近年、これら電子機器は防水性が求められる趨勢にあり、特に携帯電話はプールやバスルーム等での使用機会が増えるに伴い、高い防水性が要求されている。電磁波シールド層を備えるフレキシブルプリント配線板をこのような電気機器に用いる場合、電子機器内部への水分の侵入を防止するために、電磁波シールド層の表面を覆う絶縁層上にシール部材を一体成形することが提案されている(特開2008−109107号公報参照)。
特開2008−109107号公報
上述のような多層体やフィラーを含む電磁波シールドフィルムは、厚みにばらつきを有しやすい。また、フレキシブルプリント配線板に電磁波シールドフィルムを積層する場合、導電パターンが配設される領域のみを被覆することが一般的である。そのため、上記従来のフレキシブルプリント配線板は、電磁波シールドフィルムの積層により表面に凹凸を生じやすいため、電磁波シールドフィルムとシール部材との密着性を高めることが困難である。その結果、上記従来のフレキシブルプリント配線板は、電子機器の挿通孔に挿通するときに電磁波シールドフィルムとシール部材との隙間から電子機器の内部に水分が浸入するおそれがある。
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、ノイズ耐性に優れ、かつ電子機器内部への水分の浸入を防止できるフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、少なくとも1層の導電パターンと、上記導電パターンの両面側に配設され、可撓性を有する絶縁フィルムと、上記絶縁フィルムの外面の少なくとも一部に配設される電磁波シールドフィルムと、上記導電パターン及び絶縁フィルムが挿通される貫通孔を有するシール部材とを備え、上記シール部材の貫通孔内面と絶縁フィルムの外面とが当接している。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、可撓性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に銅箔を積層する工程と、上記銅箔から導電パターンを形成する工程と、上記ベースフィルム及び導電パターンの外面にカバーレイを積層する工程と、上記ベースフィルム又はカバーレイの外面の少なくとも一部に電磁波シールドフィルムを積層する工程と、上記導電パターン、ベースフィルム及びカバーレイが挿通される貫通孔を有するシール部材を形成する工程とを備え、上記シール部材形成工程でシール部材を上記ベースフィルム又はカバーレイの外面に直接形成する。
本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、ノイズ耐性に優れ、かつ電子機器内部への水分の浸入を防止できる。このため、当該フレキシブルプリント配線板は、携帯電話等の防水性を要求される電子機器に好適に用いることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す模式的平面図である。 図2は、図1のX1−X1線における模式的断面図である。 図3は、図1のX2−X2線における模式的断面図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す模式的平面図である。 図5は、図4のY1−Y1線における模式的断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、少なくとも1層の導電パターンと、上記導電パターンの両面側に配設され、可撓性を有する絶縁フィルムと、上記絶縁フィルムの外面の少なくとも一部に配設される電磁波シールドフィルムと、上記導電パターン及び絶縁フィルムが挿通される貫通孔を有するシール部材とを備え、上記シール部材の貫通孔内面と絶縁フィルムの外面とが当接している。
当該フレキシブルプリント配線板は、電磁波シールドフィルムを備えるため、ノイズ耐性に優れる。また、当該フレキシブルプリント配線板は、挿通孔内面が絶縁フィルムの外面と当接するシール部材を備える。つまり、当該フレキシブルプリント配線板は、シール部材が絶縁フィルムの外面に直接配設されることでシール部材と絶縁フィルムとの密着性に優れるため、電子機器の挿通孔にシール部材を挿通した際の電子機器内部への水分の浸入を防止できる。
上記絶縁フィルムの外面において、上記電磁波シールドフィルムとシール部材とが離間して配設されるとよい。このように、電磁波シールドフィルムとシール部材とが離間する領域(離間領域)を設けることで、シール部材を形成するための金型でこの離間領域を把持できる。この離間領域は、電磁波シールドフィルムが配設されていないため厚みが薄く、また高い圧力を加えても電磁波シールドフィルムの導体層の破損のおそれがない。そのため、金型で離間領域を高い圧力で把持することにより、金型と絶縁フィルムとの密着性が向上し、シール部材を形成する樹脂を高い圧力で充填することができる。その結果、シール部材と絶縁フィルムとの密着性をより向上できる。また、電磁波シールドフィルムの厚みにばらつきがあっても金型の把持による圧力が一定であるため、導電パターン等の破損、金型と絶縁フィルムとの隙間からの樹脂の漏出等を防止することで歩留まりを向上できる。
上記電磁波シールドフィルムとシール部材との離間領域の平均幅としては、0.5mm以上2.5mm以下が好ましい。このように、離間領域の平均幅を上記範囲内とすることで、ノイズ耐性を維持しつつ、シール部材と絶縁フィルムとの密着性及び歩留まりをより向上できる。
上記電磁波シールドフィルムとシール部材との離間領域が、上記貫通孔の両側に形成されるとよい。このように、離間領域を貫通孔の両側に形成することで、貫通孔の両側において金型が電磁波シールドフィルムを介さずに導電パターン及び絶縁フィルムを把持できる。そのため、金型と絶縁フィルムとの密着性をより向上することができ、その結果、シール部材と絶縁フィルムとの密着性及び歩留まりをより向上できる。
上記シール部材の主成分がエラストマー樹脂であるとよい。このように、上記シール部材の主成分がエラストマー樹脂であることで、シール部材の可撓性が向上し、当該フレキシブルプリント配線板に曲げ応力が加わった場合であっても、シール部材が破損し難い。そのため、内部への水分の侵入をより確実に防止できる。
また、本発明の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、可撓性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に銅箔を積層する工程と、上記銅箔から導電パターンを形成する工程と、上記ベースフィルム及び導電パターンの外面にカバーレイを積層する工程と、上記ベースフィルム又はカバーレイの外面の少なくとも一部に電磁波シールドフィルムを積層する工程と、上記導電パターン、ベースフィルム及びカバーレイが挿通される貫通孔を有するシール部材を形成する工程とを備え、上記シール部材形成工程でシール部材を上記ベースフィルム又はカバーレイの外面に直接形成する。
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、ノイズ耐性に優れ、かつ電子機器内部への水分の浸入を防止できるフレキシブルプリント配線板を提供できる。
ここで「平均幅」とは、任意の十点において測定した幅の平均値をいい、「幅」とはシール部材の有する貫通孔の中心軸方向の長さをいう。「主成分」とは、最も含有量が多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係るプリント配線板について図面を参照しつつ詳説する。なお、本実施形態において「表面側」とは、当該フレキシブルプリント配線板の厚さ方向のうち導電パターンにカバーフィルムが配設される側を指すものであり、本実施形態の表裏が当該フレキシブルプリント配線板の使用状態における表裏を決定するものではない。
[第1実施形態]
<フレキシブルプリント配線板>
図1〜3の当該フレキシブルプリント配線板1は、導電パターン2と、この導電パターン2の裏面側に配設(積層)されるベースフィルム3と、導電パターン2の表面側に配設(積層)されるカバーレイ4を構成するカバーフィルム4a及び接着層4bと、ベースフィルム3の裏面及びカバーフィルム4aの表面に配設(積層)される電磁波シールドフィルム5と、導電パターン2、ベースフィルム3及びカバーレイ4が挿通される貫通孔7を有するシール部材6とを主に備える。
つまり、当該フレキシブルプリント配線板1は、導電パターン2の両面側に配設される絶縁フィルムとしてベースフィルム3及びカバーフィルム4aを備える。また、シール部材6の貫通孔7内面はベースフィルム3の裏面及びカバーフィルム4aの表面と当接している。さらに、ベースフィルム3の裏面及びカバーフィルム4aの表面において、電磁波シールドフィルム5とシール部材6とが離間して配設される領域(離間領域8)が貫通孔7の両側に形成される。また、当該フレキシブルプリント配線板1は、シール部材6の貫通孔7の軸方向を長手方向とする帯状に形成される。
(ベースフィルム)
ベースフィルム3は、絶縁性及び可撓性を有し、導電パターン2の裏面側に積層される。このベースフィルム3の主成分としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー(LCP)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル等が挙げられ、可撓性及び強度の観点から、ポリイミド、アルキド樹脂、アクリル樹脂及び液晶ポリマーが好ましい。ベースフィルム3は、ポリイミド等の例示した樹脂以外の他の樹脂、帯電防止剤等が含有されていてもよい。また、ベースフィルム3と導電パターン2とは、図示しない接着層により接着されていてもよい。
ベースフィルム3の平均厚みの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。一方、ベースフィルム3の平均厚みの上限としては、特に限定されないが、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。ベースフィルム3の平均厚みが上記下限未満の場合、絶縁性及び機械的強度が不十分となるおそれがある。逆に、ベースフィルム3の平均厚みが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板1の厚みが大きくなりすぎるおそれがあると共に、ベースフィルム3の可撓性が不十分となるおそれがある。
ここで「平均厚み」とは、任意の十点において測定した厚みの平均値をいう。なお、以下において他の部材等に対して「平均厚み」という場合にも同様に定義される。
(導電パターン)
導電パターン2は、当該フレキシブルプリント配線板1の回路を構成する。この導電パターン2の表面側にはカバーフィルム4aが積層され、裏面側にはベースフィルム3が積層される。さらに、導電パターン2は表面処理層を有してもよい。
導電パターン2の主成分としては、例えば無酸素銅等の銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、これらの合金、ステンレス鋼などが挙げられる。これらの中で銅及び銅合金が好ましく、銅がより好ましい。
導電パターン2の平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。一方、導電パターン2の平均厚みの上限としては、500μmが好ましく、100μmがより好ましく、50μがさらに好ましい。導電パターン2の平均厚みが上記下限未満の場合、導電パターン2の強度が低下するおそれがある。逆に、導電パターン2の平均厚みが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板1の厚みが過度に増加するおそれがある。
(表面処理層)
表面処理層は、導電パターン2の表面を被覆するものであり、導電パターン2からの導電成分の漏出、又は導電パターン2への導電成分に対する反応性成分(酸素、硫黄等)の拡散を防止するものである。すなわち、表面処理層は、耐油性を向上させる役割も果たす。この表面処理層は、導電パターン2の表面を被覆しており、導電パターン2の側面を一連に被覆していてもよい。
表面処理層の材質としては、導電パターン2からの導電成分の漏出又は導電パターン2への反応性成分の拡散を防止できるものであれば特に限定されないが、例えば金属、樹脂、セラミック、それらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、表面処理層の材質としては、ニッケル、スズ、金及びアルミニウムが好ましい。表面処理層は、単層として形成しても、複数層として形成してもよい。
表面処理層の平均厚みの下限としては、特に限定されないが、0.01μmが好ましく、0.03μmがより好ましく、0.05μmがさらに好ましい。一方、表面処理層の平均厚みの上限としては、特に限定されないが、6.0μmが好ましく、1.0μmがより好ましく、0.5μmがさらに好ましい。表面処理層の平均厚みが上記下限未満の場合、導電パターン2からの導電成分の漏出及び導電パターン2への反応性成分の拡散が十分に防止されないおそれがある。逆に、表面処理層の平均厚みが上記上限を超える場合、厚みの増加によるコスト上昇に比して、これに見合うだけの導電パターン2からの導電成分の漏出及び導電パターン2への反応性成分の拡散の防止効果の上積みを期待できないおそれがある。
なお、表面処理層を形成することに代えて導電パターン2の表面にカッパーブライトで防錆処理を施してもよい。ここで、カッパーブライトとは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の水溶性高分子を、イソプロピルアルコール及びヒドロキシ酪酸に溶解したものである。
(カバーレイ)
カバーレイ4は、当該フレキシブルプリント配線板1において主に導電パターン2を保護するものである。このカバーレイ4は、カバーフィルム4a及びこのカバーフィルム4aの裏面に積層される接着層4bを備える。なお、カバーレイ4には必要に応じて開口が形成されていてもよい。
〔カバーフィルム〕
カバーフィルム4aは、絶縁性及び可撓性を有し、接着層4bを介して導電パターン2の表面側に積層される。カバーフィルム4aの主成分としては、例えば上述のベースフィルム3と同様のもの等が挙げられる。
カバーフィルム4aの平均厚みの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。一方、カバーフィルム4aの平均厚みの上限としては、特に限定されないが、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。カバーフィルム4aの平均厚みが上記下限未満の場合、絶縁性及び機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、カバーフィルム4aの平均厚みが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板1の厚みが大きくなりすぎるおそれがあると共に、カバーフィルム4aの可撓性が不十分となるおそれがある。
〔接着層〕
接着層4bは、導電パターン2とカバーフィルム4aとを接着するものである。接着層4bの主成分の接着剤としては、公知のものを用いることができる。
接着層4bの平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、接着層4bの平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましい。接着層4bの平均厚みが上記下限未満の場合、カバーフィルム4aと導電パターン2との接着強度が不十分となるおそれがある。逆に、接着層4bの平均厚みが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板1の製造時におけるリフロー炉による半田付け等の際に接着層4b中の残留溶剤が気化しボイドが多数形成され、剥離強度の低下や外観不良を引き起こすおそれがある。
(電磁波シールドフィルム)
電磁波シールドフィルム5は、基材層5aと、この基材層5aの一方の面に積層された導体層5bと、この導体層5bの基材層5aが積層されていない側の面に積層された電磁波シールドフィルム接着剤層5cとを備える。電磁波シールドフィルム5は、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aよりも貫通孔7の中心軸方向と略直交する方向の平均長さが短く、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面のうち導電パターン2が配設される領域を被覆するよう積層される。但し、電磁波シールドフィルム5は、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aにおいてシール部材6が積層される領域及び離間領域8には積層されていない。なお、電磁波シールドフィルム5は、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面の少なくとも一部に積層されていればよく、例えばベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面のうち導電パターン2が配設されない領域にも積層されていてもよい。
基材層5aは、電磁波シールドフィルム5の強度を確保する部材である。導体層5bは、電磁波を遮蔽する電磁シールドを提供する層である。電磁波シールドフィルム接着剤層5cは、電磁波シールドフィルム5をベースフィルム3及びカバーフィルム4aに貼着して積層可能とする層である。
電磁波シールドフィルム5の平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、電磁波シールドフィルム5の平均厚みの上限としては、200μmが好ましく、50μmがより好ましい。電磁波シールドフィルム5の平均厚みが上記下限未満の場合、基材層5a、導体層5b及び電磁波シールドフィルム接着剤層5cの各層の厚みを十分に確保することができないおそれがある。電磁波シールドフィルム5の平均厚みが上記上限を超える場合、電磁波シールドフィルム5ひいては当該フレキシブルプリント配線板1が不要に厚くなったり、可撓性が不十分となったりするおそれがある。
〔基材層〕
基材層5aは、フィルム状に形成された絶縁性を有する合成樹脂を主成分とする層であり、可撓性を有する。上記合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンツイミダゾール、アラミド樹脂、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂等が挙げられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えばエポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート、それらのメタクリレート変性品等が挙げられる。なお、基材層5aは、異なる合成樹脂を主成分とする複数の層を積層した多層構造を有していてもよい。
基材層5aの平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましい。一方、基材層5aの平均厚みの上限としては、200μmが好ましく、100μmがより好ましい。基材層5aの平均厚みが上記下限未満の場合、電磁波シールドフィルム5の強度が不十分となるおそれがある。逆に、基材層5aの平均厚みが上記上限を超える場合、電磁波シールドフィルム5ひいては当該フレキシブルプリント配線板1が不要に厚くなったり、可撓性が不十分になったりするおそれがある。
基材層5aの引っ張り強度の下限としては、0.5MPaが好ましく、1MPaがより好ましい。一方、基材層5aの引っ張り強度の上限としては、30MPaが好ましく、20MPaがより好ましい。基材層5aの引っ張り強度が上記下限未満の場合、電磁波シールドフィルム5の強度が不十分となるおそれがある。逆に、基材層5aの引っ張り強度が上記上限を越える場合、電磁波シールドフィルム5の可撓性が不十分となるおそれがある。なお、基材層5aの引っ張り強度は、JIS−K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して測定される。
〔導体層〕
導体層5bは、金属又は金属化合物を主成分とする層である。導体層5bを形成する金属としては、例えばニッケル、銅、銀、アルミニウム、金等が使用でき、導体層5bを形成する金属化合物としては、例えばITOのような導電性の金属化合物等が使用できる。導体層5bは、蒸着等の公知の製膜技術を用いて基材層5aに積層してもよく、金属箔を導体層5bとして利用し、この導体層5bの表面に塗工等の公知の樹脂成形技術を用いて基材層5aを形成してもよい。導体層5bは、電磁波シールドフィルム5を折り曲げたときに弾性変形することが好ましいが、現実的には、電磁波シールドフィルム5の折り曲げ半径が小さくなると、組成変形及び微少な亀裂を生じることによって、電磁波シールドフィルム5に可撓性を提供する。
導体層5bの平均厚みの下限としては、0.01μmが好ましく、0.1μmがより好ましい。一方、導体層5bの平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、20μmがより好ましい。導体層5bの平均厚みが上記下限未満の場合、連続した層の形成が比較的難しい上、導体層5bが断裂し易くなるおそれがある。逆に、導体層5bの平均厚みが上記上限を超える場合、電磁波シールドフィルム5ひいては当該フレキシブルプリント配線板1の可撓性が不十分となるおそれがある。
〔電磁波シールドフィルム接着剤層〕
電磁波シールドフィルム接着剤層5cを形成する接着剤の主成分としては、例えばポリイミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。電磁波シールドフィルム接着剤層5cを形成する接着剤の主成分としてアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を用いれば、電磁波シールドフィルム5をベースフィルム3及びカバーフィルム4aに簡単に貼着できる。
電磁波シールドフィルム接着剤層5cの平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、5μmがより好ましい。一方、電磁波シールドフィルム接着剤層5cの平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、50μmがより好ましい。電磁波シールドフィルム接着剤層5cの平均厚みが上記下限未満の場合、均一な電磁波シールドフィルム接着剤層5cの形成が困難となるおそれがある。逆に、電磁波シールドフィルム接着剤層5cの平均厚みが上記上限を超える場合、電磁波シールドフィルム5ひいては当該フレキシブルプリント配線板1が不要に厚くなるおそれがある。
(シール部材)
シール部材6は、樹脂を主成分とする。また、シール部材6は、導電パターン2、ベースフィルム3及びカバーレイ4を含む積層体の外周面のうち表面、裏面及び側面(表面及び裏面と略垂直な面)に直接積層され、上記積層体が挿通される貫通孔7を有する。このシール部材6は、電子機器に当該フレキシブルプリント配線板1を挿通するときに電子機器内部への水等の浸入を防ぐため、電子機器の挿通孔と当該フレキシブルプリント配線板1との隙間を封止する役割を果たす。
シール部材6の主成分である樹脂としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー(LCP)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
なお、シール部材6は添加剤を含んでもよい。この添加剤としては、例えば顔料、耐熱剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、溶媒、滑剤、充填剤、強化繊維、補強剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤等が挙げられる。
上記樹脂は、エラストマー樹脂であってもよい。エラストマー樹脂としては、公知の熱可塑性エラストマー及び非熱可塑性エラストマーの中から適宜選択して用いることができる。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素樹脂系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記非熱可塑性エラストマーとしては、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、多硫化ゴム、ノルボルネンゴムなどが挙げられる。
上記エラストマー樹脂としてはこれらの中で、非熱可塑性エラストマーがより好ましく、シリコーンゴムがさらに好ましい。このシリコーンゴムとしては、自己接着性を有するポリマーにより形成されるものが好ましい。このように、シール部材6の主成分として自己接着性を有するポリマーを材料とするシリコーンゴムを用いることにより、シール部材6とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性をより向上できる。また、接着剤層やプライマー層を設けることなくシリコーンゴムをベースフィルム3及びカバーフィルム4aに接着することができるため、製造工程の簡素化を図ることができる。
シール部材6の形状は、電子機器の形状等に応じて適宜変更可能であるが、例えば略円筒状、略四角筒状等とすることができる。シール部材6を略円筒状とする場合、断面形状の平均外径の下限としては、例えば1cmである。一方、上記断面形状の平均外径の上限としては、例えば10cmである。また、シール部材6を略四角筒状とする場合、断面形状の一片の平均長さの下限としては、例えば1cmである。一方、上記断面形状の一片の平均長さの上限としては、例えば10cmである。
シール部材6の平均幅(貫通孔7の軸方向平均長さ)の下限としては、2mmが好ましく、4mmがより好ましく、5mmがさらに好ましい。一方、シール部材6の平均幅の上限としては、20mmが好ましく、10mmがより好ましく、8mmがさらに好ましい。シール部材6の平均幅が上記下限未満の場合、当該フレキシブルプリント配線板1の電子機器への配設が困難となるおそれがある。逆に、シール部材6の平均幅が上記上限を超える場合、電磁波シールドフィルム5が積層されない領域が増すことによってノイズ耐性が不十分となるおそれや、当該フレキシブルプリント配線板1の可撓性が不十分となるおそれがある。
シール部材6の平均厚みの下限としては、0.5mmが好ましく、1mmがより好ましく、1.5mmがさらに好ましい。一方、シール部材6の平均厚みの上限としては、10mmが好ましく、5mmがより好ましく、3mmがさらに好ましい。シール部材6の平均厚みが上記上限未満の場合、シール部材6の耐久性が低くなるおそれがある。逆に、シール部材6の平均厚みが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板1の可撓性が不十分になるおそれや、電子機器に設ける挿通孔が不要に大きくなるおそれがある。
貫通孔7の内面は、導電パターン2、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aを含む積層体のシール部材6の積層領域における外周面に略一致する。
(離間領域)
離間領域8は、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面において、電磁波シールドフィルム5及びシール部材6が積層されていない領域である。つまり、離間領域8においては、ベースフィルム3又はカバーフィルム4aが露出している。離間領域8は、シール部材6の形成時にベースフィルム3及びカバーフィルム4aに装着される金型が把持する箇所となる。
離間領域8の平均幅(貫通孔7の軸方向平均長さ)の下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましく、0.9mmがさらに好ましい。一方、離間領域8の平均幅の上限としては、2.5mmが好ましく、2.2mmがより好ましく、2mmがさらに好ましい。離間領域8の平均幅が上記下限未満の場合、金型の把持領域として不十分となるおそれがある。逆に、離間領域8の平均幅が上記上限を超える場合、電磁波シールドフィルム5が積層されない領域が増すため、ノイズ耐性が不十分となるおそれがある。
離間領域8は、シール部材6の貫通孔7の片側に形成されてもよく、シール部材6の貫通孔7の両側に形成されてもよいが、シール部材6の貫通孔7の両側に形成されることが好ましい。離間領域8を貫通孔7の両側に形成することで、金型が貫通孔7の両側において電磁波シールドフィルム5を介さずに導電パターン2、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aを含む積層体を把持できる。そのため、金型とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性をより向上することができ、その結果、シール部材6とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性及び歩留まりをより向上できる。
<フレキシブルプリント配線板の製造方法>
当該フレキシブルプリント配線板1は、ベースフィルム3の表面側に銅箔を積層する工程(銅箔積層工程)、この銅箔をエッチング等することで導電パターン2を形成する工程(導電パターン形成工程)、ベースフィルム3及び導電パターン2の表面にカバーレイ4を積層する工程(カバーレイ積層工程)、ベースフィルム3の裏面及びカバーレイ4の表面の少なくとも一部に電磁波シールドフィルム5を積層する工程(電磁波シールドフィルム積層工程)、並びに上記導電パターン2とベースフィルム3及びカバーレイ4とが挿通される貫通孔7を有するシール部材6を形成する工程(シール部材形成工程)を主に備え、このシール部材形成工程でシール部材6をベースフィルム3及びカバーレイ4の外面に直接形成する製造方法により、容易かつ確実に製造することができる。
(銅箔積層工程)
本工程では、ベースフィルム3の表面側に銅箔を積層する。銅箔をベースフィルム3に積層する方法としては、例えば接着剤により銅箔とベースフィルム3とを接着する方法、銅箔とベースフィルム3とを重ね合わせた後プレスする方法等が挙げられる。
銅箔は、銅又は銅合金を主成分とするものであり、公知の方法で製造することができる。銅箔の平均厚みの上限としては、500μmが好ましく、100μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。一方、上記平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。上記平均厚みが上記上限を超えると、プリント配線板1の厚みが過度に増加するおそれがある。一方、上記平均厚みが上記下限未満の場合、導電パターン2の強度が低下するおそれがある。
なお、後述する両面プリント配線板や多層プリント配線板の場合、ベースフィルム3の裏面側にも銅箔を積層してもよい。
(導電パターン形成工程)
本工程では、銅箔をエッチング等することにより導電パターン2を形成する。この導電パターン2の形成方法としては公知の方法を採用でき、このような方法としては例えばサブトラクティブ法等が挙げられる。このサブトラクティブ法では、銅箔の表面に所定形状のレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして銅箔をエッチングした後、レジストパターンを剥離することで導電パターン2を形成する。
導電パターン2形成後、発光ダイオード等の電子素子を当該フレキシブルプリント配線板1に配設してもよい。このような電子素子としては、発光ダイオードの他、例えばコンデンサ、インダクタ、抵抗、光センサ、ICチップ、光電変換素子、アンテナ等が挙げられる。
また、当該フレキシブルプリント配線板1にスルーホールを形成する場合、このスルーホールは、導電パターン2を形成した後の当該フレキシブルプリント配線板1に貫通孔を形成し、この貫通孔に金属メッキをすることで形成できる。この金属メッキとしては、例えば銅、金、ニッケル等が挙げられ、銅が好ましい。また、導電性のペーストを上記貫通孔に注入して加熱硬化させることによってもスルーホールを形成できる。この導電性のペーストとしては、例えば銀ペースト、銅ペースト等が挙げられ、銅ペーストが好ましい。
(カバーレイ積層工程)
本工程では、接着層4bを介してカバーフィルム4aをベースフィルム3及び導電パターン2の表面側に積層する。つまり、カバーレイ4をベースフィルム3及び導電パターン2の外面に積層する。具体的には、カバーフィルム4aと接着層4bとの積層体(カバーレイ4)を接着層4b側の面を導電パターン2と対向するように積層し、加圧及び加熱することでカバーレイ4を導電パターン2に接着する。
上記加圧及び加熱条件としては、接着層4bに用いる接着剤の種類に応じ適宜変更可能であるが、加圧力の下限としては、例えば1MPaとすることができる。一方、加圧力の上限としては、例えば5MPaとすることができる。また、加熱温度の下限としては、例えば150℃とすることができる。一方、加熱温度の上限としては、例えば200℃とすることができる。また、加熱時間の下限としては、例えば30分とすることができる。一方、加熱温度の上限としては、1時間とすることができる。
(電磁波シールドフィルム積層工程)
本工程では、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面の少なくとも一部に電磁波シールドフィルム5を積層する。ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面の少なくとも一部に電磁波シールドフィルム5を積層する方法としては、例えばカバーフィルム4aを導電パターン2に積層する方法と同様の方法等が挙げられる。
電磁波シールドフィルム5を積層する領域は、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面のうち、シール部材6が直接積層される領域と、この領域の幅方向両端から一定幅の領域(離間領域8)とを除く領域である。さらに、電磁波シールドフィルム5を積層する領域としては、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面のうち導電パターン2を被覆する(導電パターン2と平面視で重複する)領域とすることが好ましい。この領域に電磁波シールドフィルム5を積層する方法としては、例えばベースフィルム3及びカバーフィルム4aよりも貫通孔7の中心軸方向と略直交する方向の平均長さが短い電磁波シールドフィルム5を積層する方法等が挙げられる。
(シール部材形成工程)
本工程では、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面にシール部材6を形成する。シール部材6の形成方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。まず、導電パターン2、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aを含む積層体のシール部材6を形成する領域にシール部材6と略同形状のキャビティを有する金型を配設した後、シール部材6を形成する樹脂組成物をキャビティ内に充填する。その後、冷却等により樹脂を固化させることによりシール部材6を形成する。
シール部材6の主成分が熱可塑性樹脂の場合、シール部材6を充填する際の温度の上限としては、200℃が好ましく、190℃がより好ましい。一方、上記温度の下限としては、150℃が好ましく、160℃がより好ましい。上記温度が上記上限を超える場合、ベースフィルム3、カバーレイ4等が破損するおそれがある。逆に、上記温度が上記下限未満の場合、シール部材6を形成する樹脂組成物が十分に軟化しないおそれがある。
シール部材6の主成分が非熱可塑性樹脂の場合、シール部材6を固化させる際の温度の上限としては、150℃が好ましく、130℃がより好ましい。一方、上記温度の下限としては、50℃が好ましく、40℃がより好ましい。上記温度が上記上限を超える場合、ベースフィルム3、カバーフィルム4a等が破損するおそれがある。逆に、上記温度が上記下限未満の場合、シール部材6を形成する樹脂組成物の固化時間が不要に長くなるおそれがある。
シール部材6を形成するための金型は、通常上型と下型との組み合わせによって構成される。この金型は、電磁波シールドフィルム5が積層されていない領域(離間領域8)を把持することが好ましい。つまり、キャビティ部分が離間領域8の間に来るよう金型を配設することが好ましい。この離間領域8は、厚みが薄く、また高い圧力を加えても電磁波シールドフィルム5の導体層5bの破損のおそれがない。そのため、金型が離間領域8を高い圧力で把持することにより、金型とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性が向上し、シール部材6を形成する樹脂を高い圧力で充填することができる。その結果、形成されるシール部材6とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性がより向上する。また、電磁波シールドフィルム5の厚みにばらつきがあっても金型の把持による圧力が一定であるため、導電パターン2等の破損、金型とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの隙間からの樹脂の漏出等を防止でき、歩留まりを向上できる。
なお、導電パターン2の形成方法は上記工程に限定されず、ベースフィルム3の表面に導電パターン2を印刷する方法、導電パターン2を別途形成した後ベースフィルム3に積層する方法等も採用できる。また、導電パターン2を形成する際、銅以外の金属を用いてもよい。
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板1は、電磁波シールドフィルム5を備えるため、ノイズ耐性を有する。また、当該フレキシブルプリント配線板1は、シール部材6がベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面に直接積層され、シール部材6とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性に優れるため、電子機器内部への水分の浸入を防止できる。
さらに、当該フレキシブルプリント配線板1は、電磁波シールドフィルム5とシール部材6とが離間してベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面に積層される。この離間領域8は、シール部材6を形成するための金型によって把持される箇所となる。離間領域8は、電磁波シールドフィルム5が積層されていないため厚みが薄く、また高い圧力を加えても電磁波シールドフィルム5の導体層5bが破損するおそれがない。そのため、金型が離間領域8を高い圧力で把持することにより、金型とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性を向上し、シール部材6を形成する樹脂を高い圧力で充填することができる。その結果、シール部材6とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性をより向上できる。また、電磁波シールドフィルム5の厚みにばらつきがあっても金型の把持による圧力が一定であるため、導電パターン2、ベースフィルム3及びカバーフィルム4aの破損、金型とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの隙間からの樹脂の漏出等を防止でき、歩留まりを向上できる。
[第2実施形態]
<フレキシブルプリント配線板>
図4及び図5の当該フレキシブルプリント配線板11は、導電パターン2と、この導電パターン2の裏面側に配設されるベースフィルム3と、導電パターン2の表面側に配設されるカバーレイ4を構成するカバーフィルム4a及び接着層4bと、ベースフィルム3の外面及びカバーフィルム4aの外面に配設される電磁波シールドフィルム5と、導電パターン2、ベースフィルム3及びカバーレイ4が挿通される貫通孔7を有するシール部材6とを主に備える。また、このシール部材6の貫通孔7内面はベースフィルム3の裏面及びカバーフィルム4aの表面と当接している。導電パターン2、ベースフィルム3、カバーフィルム4a、接着層4b、電磁波シールドフィルム5、シール部材6、及び貫通孔7は第1実施形態と同様であるので同一番号を付して説明を省略する。
当該フレキシブルプリント配線板11は、上記図1のフレキシブルプリント配線板1と異なり電磁波シールドフィルム5とシール部材6との離間領域が設けられていない。つまり、電磁波シールドフィルム5とシール部材6とが平面視で隣接している。なお、電磁波シールドフィルム5はシール部材6の積層領域には存在しない。
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板11は、電磁波シールドフィルム5を備えるため、ノイズ耐性を有する。また、当該フレキシブルプリント配線板11は、シール部材6がベースフィルム3及びカバーフィルム4aの外面に直接積層され、シール部材6とベースフィルム3及びカバーフィルム4aとの密着性に優れるため、電子機器内部への水分の浸入を防止する。さらに、当該フレキシブルプリント配線板11は、電磁波シールドフィルム5とシール部材6とが離間する領域を設けていないため、ノイズ耐性が低下しにくい。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該フレキシブルプリント配線板は、上記実施形態のように導電パターンが1層のみ形成されるものに限定されず、導電パターンが2層以上形成され、それらの両面側に絶縁フィルムが配設された両面プリント配線板や多層プリント配線板であってもよい。
当該フレキシブルプリント配線板は、絶縁フィルムの一方の面側にのみ電磁波シールドフィルムが積層されてもよい。また、当該フレキシブルプリント配線板は、導電パターンを2層以上備える多層構造であってもよい。
当該フレキシブルプリント配線板は、電磁波シールドフィルム接着剤層が絶縁性を有する樹脂である場合には、ベースフィルム及び/又はカバーフィルムを備えずこの電磁波シールドフィルム接着剤層が絶縁フィルムとしての機能を担ってもよい。この場合、シール部材が直接積層される領域及び離間領域においては、電磁波シールドフィルムの電磁波シールドフィルム接着剤層よりも外側の層は積層されない。
当該フレキシブルプリント配線板が備える電磁波シールドフィルムは、上記実施形態のように3層構造のものに限定されず、1層構造、2層構造、4層構造又はそれ以上の多層構造であってもよい。
当該フレキシブルプリント配線板は、複数のシール部材を備えていてもよい。
また、シール部材は金型に樹脂組成物を充填することで形成されるものに限定されない。例えば組み合わせによりシール部材を形成する複数の副部材を予め樹脂組成物により成形し、これらの副部材を導電パターン及び絶縁フィルムの外周面を囲繞するように組み合わせることで貫通孔を有するシール部材を形成してもよい。
さらに、シール部材は多層構造であってもよい。当該フレキシブルプリント配線板は、例えば貫通孔を有するシール本体と、この本体の貫通孔の内面側に充填される接着樹脂層とを有するシール部材を備えてもよい。この場合、予めシール本体を成形しておき、シール本体の貫通孔に導電パターン及び絶縁フィルムを挿通後、絶縁フィルムの外面とシール本体の貫通孔との間に上記接着樹脂層を充填する。
本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、ノイズ耐性に優れ、かつ電子機器内部への水分の浸入を防止できる。このため、当該フレキシブルプリント配線板は、携帯電話等の防水性を要求される電子機器に好適に用いることができる。
1、11 フレキシブルプリント配線板
2 導電パターン
3 ベースフィルム
4 カバーレイ
4a カバーフィルム
4b 接着層
5 電磁波シールドフィルム
5a 基材層
5b 導体層
5c 電磁波シールドフィルム接着剤層
6 シール部材
7 貫通孔
8 離間領域

Claims (6)

  1. 少なくとも1層の導電パターンと、
    上記導電パターンの両面側に配設され、可撓性を有する絶縁フィルムと、
    上記絶縁フィルムの外面の少なくとも一部に配設される電磁波シールドフィルムと、
    上記導電パターン及び絶縁フィルムが挿通される貫通孔を有するシール部材と
    を備え、
    上記シール部材の貫通孔内面と絶縁フィルムの外面とが当接し
    上記電磁波シールドフィルムが上記絶縁フィルムにおいて上記シール部材が積層される領域とは異なる領域に積層されるフレキシブルプリント配線板。
  2. 上記絶縁フィルムの外面において、上記電磁波シールドフィルムとシール部材とが離間して配設される請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
  3. 上記電磁波シールドフィルムとシール部材との離間領域の平均幅が0.5mm以上2.5mm以下である請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板。
  4. 上記電磁波シールドフィルムとシール部材との離間領域が、上記貫通孔の両側に形成される請求項2又は請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板。
  5. 上記シール部材の主成分がエラストマー樹脂である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
  6. 可撓性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に銅箔を積層する工程と、
    上記銅箔から導電パターンを形成する工程と、
    上記ベースフィルム及び導電パターンの外面にカバーレイを積層する工程と、
    上記ベースフィルム又はカバーレイの外面の少なくとも一部に電磁波シールドフィルムを積層する工程と、
    上記導電パターン、ベースフィルム及びカバーレイが挿通される貫通孔を有するシール部材を形成する工程と
    を備え、
    上記シール部材形成工程でシール部材を上記ベースフィルム又はカバーレイの外面に直接形成し、
    上記電磁波シールドフィルムが上記ベースフィルム及びカバーレイにおいて上記シール部材が積層される領域とは異なる領域に積層されるフレキシブルプリント配線板の製造方法。
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