以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。
<A.警報システム500の警報態様>
図1〜図3を参照して、警報システム500における警報態様について説明する。図1は、警報システム500における警報態様の一例を示す図である。
図1に示されるように、警報システム500は、警報器100A〜100Cと、通信端末200とで構成される。図1には、警報システム500が3つの警報器100A〜100Cで構成されている例が示されているが、警報器の数は、2つ以上であれば任意である。以下では、警報器100A〜100Cの少なくとも1つを警報器100とも称する。
警報器100は、通信端末200と通信可能に構成されている。通信端末200は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、または、通信機能を備えたその他の情報処理装置である。警報器100および通信端末200には、無線通信を行うための通信モジュールが搭載されている。警報器100の通信モジュールは子機として機能し、通信端末200の通信モジュールは親機として機能する。警報器100および通信端末200の間に通信の中継機が設けられてもよい。警報器100および通信端末200の通信モジュールは、たとえば、920MHzの通信帯域で無線通信を行う。あるいは、警報器100および通信端末200の通信モジュールは、Bluethooth(登録商標)などの任意の無線通信の規格で無線通信を行う。
図2は、警報器100の外観を示す図である。図2に示されるように、警報器100は、表示器111を含む。表示器111は、任意の表示色で発光することが可能なように構成される。警報器100は、消防隊員に装着可能に構成されている。なお、警報器100の利用者は、消防隊員に限定されるものではなく、警備員や自衛会社の職員などに利用されてもよい。
消防隊員は、通常、複数人で隊を組み、互いに連携を取りながら救助活動を行う。本実施の形態に従う警報器100は、隊の誰かが行動不能状態になった場合に、行動不能状態になった人物に応じた発光色で表示器111を点灯させる。ここでいう、行動不能状態とは、消防隊員が身動きできない状態のことをいう。一例として、行動不能状態は、消防隊員の昏倒状態や失神状態を含む。行動不能状態になった消防隊員が表示色で示されることで、他の消防隊員は、誰が行動不能状態になったのかを救助中に特定することができる。その結果、他の消防隊員は、行動不能状態の消防隊員を迅速に救助できる。
以下では、図1(A)を参照して、消防隊員1Aが行動不能状態になった場合における警報態様について説明する。
ステップS1Aにおいて、警報器100Aは、装着者である消防隊員1Aの行動不能状態を検出したとする。ステップS2Aにおいて、警報器100Aは、消防隊員1Aが行動不能状態であることを示す警報信号を通信端末200に送信する。送信される警報信号には、警報器100Aの識別情報(たとえば、ID:Identification)などが含まれる。
ステップS3Aにおいて、通信端末200は、警報器100A(第1警報器)から警報信号を受信した場合に、図3に示される警報情報224に基づいて、警報器100Aに対応する警報態様を特定する。
図3は、警報情報224のデータ構造の一例を示す図である。警報情報224は、たとえば、通信端末200の記憶装置220(図5参照)などに予め格納されている。図3に示されるように、警報情報224は、警報器100の識別情報225と、警報器100の警報態様226とを含み、識別情報225のそれぞれについて異なる警報態様226が対応付けられている。識別情報225は、たとえば、警報器100の警報器ID225Aと、送信先を示すIP(Internet Protocol)アドレス225Bとの少なくとも1つで規定される。警報態様226は、表示器111での発光色226Aと、警報器100の警報音226Bと、その他の報知態様との少なくとも1つで規定される。
通信端末200は、警報器100Aから警報信号を受信した場合に、警報情報224に基づいて、警報器100Aに対応する警報態様を特定する。より具体的には、通信端末200は、受信した警報信号から警報器100Aの識別情報を取得し、当該識別情報に対応付けられている警報態様を警報情報224から特定する。図3の例では、表示色として「黄色」が特定され、警報音として「警報音1」が特定される。ステップS3Aにおいて、通信端末200は、当該特定された警報態様で警報器(第2警報器)を作動させるための作動命令を他の警報器100B,100Cに送信する。
ステップS4Aにおいて、警報器100B,100Cは、通信端末200から作動命令を受け付けたことに基づいて、当該作動命令が示す警報態様で作動する。図1(A)の例では、警報器100B,100Cは、「黄色」に点灯するとともに、「警報音1」を発する。消防隊員1B,1Cは、自身の警報器100B,100Cの警告態様を確認することで、消防隊員1Aが行動不能状態にあることを把握することができる。
続いて、図1(B)を参照して、消防隊員1Bが行動不能状態になった場合における警報態様について説明する。
ステップS1Bにおいて、警報器100Bは、装着者である消防隊員1Bの行動不能状態を検出したとする。ステップS2Bにおいて、警報器100Bは、消防隊員1Bが行動不能状態であることを示す警報信号を通信端末200に送信する。送信される警報信号には、警報器100Bの識別情報(たとえば、ID:Identification)などが含まれる。
通信端末200は、警報器100Bから警報信号を受信した場合に、警報情報224に基づいて、警報器100Bに対応する警報態様を特定する。より具体的には、通信端末200は、受信した警報信号から警報器100Bの識別情報を取得し、当該識別情報に対応付けられている警報態様を警報情報224から特定する。図3の例では、表示色として「青色」が特定され、警報音として「警報音2」が特定される。ステップS3Bにおいて、通信端末200は、当該特定された警報態様で警報器を作動させるための作動命令を他の警報器100A,100Cに送信する。
ステップS4Bにおいて、警報器100A,100Cは、通信端末200から作動命令を受け付けたことに基づいて、当該作動命令が示す警報態様で作動する。図1(B)の例では、警報器100A,100Cは、「青色」に点灯するとともに、「警報音2」を発する。消防隊員1A,1Cは、自身の警報器100A,100Cの警告態様を確認することで、消防隊員1Bが行動不能状態にあることを把握することができる。
以上のように、警報システム500は、消防隊員の行動不能状態を検出した場合に、行動不能状態となった消防隊員に応じて警報態様を変える。これにより、各消防隊員は、誰が行動不能状態になったのかを特定することができる。行動不能状態となった消防隊員が発光色の違いで報知されることで、消防隊員は、行動不能状態となった消防隊員を視覚情報から逸早く特定することができる。あるいは、行動不能状態となった消防隊員が音の違いで報知されることで、消防隊員は、行動不能状態となった消防隊員を聴覚情報から特定することができる。
なお、図1では、複数の警報器100が通信端末200を介して通信する例について説明を行ったが、複数の警報器100は、通信端末200を介さずに互いに通信可能なように構成されてもよい。一例として、通信端末200が警報器100であってもよい。
<B.ハードウェア構成>
図4および図5を参照して、警報器100および通信端末200のハードウェア構成について説明する。図4は、警報器100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5は、通信端末200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
[B1.警報器100のハードウェア構成]
まず、図4を参照して、警報器100のハードウェア構成について説明する。図4に示されるように、警報器100は、制御装置101と、不揮発性メモリ102と、無線通信モジュール103と、ジャイロセンサ104と、地磁気センサ105と、タイマー106と、スピーカ107と、起動ボタン108と、手動警報ボタン109と、警報解除ボタン110と、表示器111と、電源113とを含む。これらのハードウェア構成は、内部バスを介して電気的に接続されている。
制御装置101は、警報器100を制御する。制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
不揮発性メモリ102は、非通電時でもデータを保持することが可能な記録媒体であり、たとえば、ROM(Read Only Memory)である。不揮発性メモリ102は、警報器100の制御プログラム102A、制御プログラム102Aの実行時に用いられる各種データ(図示しない)などを格納する。
無線通信モジュール103は、通信端末200などの他の通信機器と通信を実現するための構成である。無線通信モジュール103は、たとえば、920MHzの通信帯域で無線通信を行う。あるいは、無線通信モジュール103は、Bluethoothなどの任意の無線通信の規格で無線通信を行ってもよい。警報器100は、無線通信モジュール103を介して、通信端末200から警報命令などのデータを受信する。
ジャイロセンサ104は、警報器100の動きを検出するためのセンサであり、たとえば、警報器100の傾きや警報器100の加速度などを検出する。好ましくは、ジャイロセンサ104は、互いに直交するX,Y,Z軸の各軸方向における加速度(または速度)と、各軸周りの角加速度(角速度)とを検出する。ジャイロセンサ104による検出値は、警報器100の装着者が行動不能状態にあるか否かを判断するための基準として用いられる。行動不能状態の検出方法の詳細については後述する。
地磁気センサ105は、磁場(磁界)の向きを計測し、方位を検出するためのセンサである。地磁気センサ105の検出値は、警報器100の装着者に方位を知らせるために用いられるだけでなく、装着者の行動不能状態を検出するために用いられてもよい。一例として、地磁気センサ105の検出値の変化量が所定閾値を下回っている状態が一定時間以上継続した場合に、警報器100の装着者の行動不能状態が検出されてもよい。なお、装着者の行動不能状態を検出するためには、ジャイロセンサ104および地磁気センサ105の両方が設けられる必要がなく、いずれか一方が設けられればよい。
タイマー106は、時間を計測するための装置である。なお、タイマー106は、制御装置101に備えられる計時機能に代用されてもよい。
スピーカ107は、警報器100における警告出力部の一例である。スピーカ107は、圧電振動板などで構成され、制御装置101からの制御指令に従って圧電振動板を振動させることで種々の音を出力する。一例として、スピーカ107は、制御装置101からの制御指令に従って警報音を出力する。
起動ボタン108は、警報器100の起動操作を受け付けるためのボタンである。警報器100の装着者が起動ボタン108を押下することで、電源113から警報器100の各種装置に電力が供給され、警報器100が起動される。
手動警報ボタン109は、警報出力を有効にするためのボタンである。警報器100の装着者が手動警報ボタン109を押下すると、警報器100から警報が出力される。
警報解除ボタン110は、警報出力の解除を受け付けるためのボタンである。警報器100の装着者が警報解除ボタン110を押下すると、警報器100における警報出力が停止される。
表示器111は、警報器100における警告出力部の一例である。表示器111は、メイン表示器111Aと、サブ表示器111Bとで構成される。メイン表示器111Aおよびサブ表示器111Bは、それぞれ、赤色で発光する発光素子、緑色で発光する発光素子、青色で発光する発光素子で構成される。各発光素子は、制御装置101からの制御指令に応じて発光強度を変える。各発光素子の発光強度が調整されることで、メイン表示器111Aおよびサブ表示器111Bは、それぞれ、任意の色で発光する。メイン表示器111Aは、警報器100の装着者について行動不能状態が検出された場合に予め定められた表示色で点灯したり、他の警報器100の装着者について行動不能状態が検出された場合に、当該行動不能状態にある人物に応じた発光色で点灯する。サブ表示器111Bは、メイン表示器111Aと協働して表示態様を変えることで、警報器100の装着者に対して種々の警告を報知する。
電源113は、警報器100の各種装置に電力を供給する。電源113は、たとえば、電池であり、交換可能に構成される。
[B2.通信端末200のハードウェア構成]
次に、図5を参照して、通信端末200のハードウェア構成について説明する。図5に示されるように、通信端末200は、制御装置201と、不揮発性メモリ202と、揮発性メモリ203と、無線通信モジュール204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス206と、記憶装置220とを含む。
制御装置201は、通信端末200を制御する。制御装置201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
不揮発性メモリ202は、非通電時でもデータを保持することが可能な記録媒体であり、たとえば、ROMである。制御装置201は、通信端末200の制御プログラム222などの各種プログラムを実行することで通信端末200の動作を制御する。制御装置201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220から不揮発性メモリ202に制御プログラム222を読み出す。揮発性メモリ203は、通電時のみデータを保持することができる記録媒体であり、たとえば、RAM(Random Access Memory)である。揮発性メモリ203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
無線通信モジュール204は、警報器100などの他の通信機器と通信を実現するための構成である。無線通信モジュール204は、たとえば、920MHzの通信帯域で無線通信を行う。あるいは、無線通信モジュール204は、Bluethoothなどの任意の無線通信の規格で無線通信を行ってもよい。通信端末200は、無線通信モジュール204を介して、警報器100から警報信号などのデータを受信する。
表示インターフェイス205は、ディスプレイ210と接続され、制御装置201などからの指令に従って、ディスプレイ210に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ210は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示器である。ディスプレイ210は、図5に示されるように通信端末200と別に設けられてもよいし、通信端末200と一体的に構成されてもよい。
入力インターフェイス206は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)端子であり、入力デバイス211に接続される。入力インターフェイス206は、入力デバイス211からのユーザ操作を示す信号を受け付ける。入力デバイス211は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。入力デバイス211は、図5に示されるように通信端末200と別に設けられてもよいし、通信端末200と一体的に構成されてもよい。
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。記憶装置220は、通信端末200の制御プログラム222、上述の警報情報224(図3参照)などを格納する。制御プログラム222および警報情報224の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御装置201の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、不揮発性メモリ202、揮発性メモリ203、外部機器(たとえば、警報器100やサーバ)などに格納されていてもよい。
<C.警報システム500の機能構成>
図6および図7を参照して、警報器100および通信端末200の機能構成について説明する。図6は、警報器100および通信端末200の機能構成の一例を示す図である。
図6に示されるように、警報器100の制御装置101は、異常検出部150と、通信部152と、出力制御部154とを含む。通信端末200の制御装置101は、通信部250と、特定部252とを含む。
異常検出部150は、ジャイロセンサ104(図4参照)の出力値に基づいて、装着者の行動不能状態を検出する。図7を参照して、異常検出部150による行動不能状態の検出方法について説明する。図7は、警報器100の装着者の移動量を時系列に表わした図である。
警報器100の装着者の移動量は、たとえば、ジャイロセンサ104の検出値から算出される。上述したように、ジャイロセンサ104は、互いに直交するX,Y,Z軸の各軸方向における加速度(または速度)と、各軸周りの角加速度(角速度)とを検出する。ある局面において、異常検出部150は、ジャイロセンサ104によって検出される各種検出値の少なくとも1つの移動平均を装着者の移動量として算出する。他の局面において、異常検出部150は、ジャイロセンサ104によって検出される各種検出値の少なくとも2つを合成(たとえば、積算または平均)し、合成値の移動平均を装着者の移動量として算出する。
図7に示されるように、時刻T1において、装着者の移動量が所定閾値thを下回ったとする。これにより、異常検出部150は、タイマー106(図4参照)によるカウント値を初期化するとともに、当該カウント値のカウントを開始する。当該カウント値は、装着者が動作していない非動作時間に相当する。
時刻T2において、装着者の移動量が閾値thを上回ったとする。これにより、異常検出部150は、非動作時間のカウントを停止する。異常検出部150は、装着者の非動作時間「ΔT1」が所定時間Tthよりも短いので、装着者が静止していた判断する。すなわち、この場合には、異常検出部150は、装着者の行動不能状態にあるとは判断しない。
時刻T3において、装着者の移動量が所定閾値thを下回ったとする。異常検出部150は、タイマー106(図4参照)によるカウント値を初期化するとともに、当該カウント値のカウントを開始する。
時刻T4において、装着者の非動作時間が所定時間Tthを超えたとする。このことに基づいて、異常検出部150は、装着者の行動不能状態を検出する。このように、異常検出部150は、装着者の非動作状態が一定時間以上継続した場合に、装着者が行動不能状態にあると判断する。異常検出部150は、行動不能状態を検出したことに基づいて、そのことを通信部152に出力する。
再び図6を参照して、通信部152は、警報器100の無線通信モジュール103(図4参照)を制御する。通信部152は、異常検出部150によって行動不能状態が検出されたことに基づいて、装着者が行動不能状態にあることを示す警報信号を通信端末200に送信する。送信される警報信号には、警報器100の識別情報などが含まれる。
通信部250は、通信端末200の無線通信モジュール204(図5参照)を制御する。通信部250は、警報器100から警報信号を受信したことに基づいて、当該警報信号を特定部252に出力する。
特定部252は、通信部250から警報信号を受け付けると、警報情報224に基づいて、警報信号の発信元である警報器100に対応する警報態様を特定する。より具体的には、特定部252は、受信した警報信号から発信元の警報器の識別情報を取得し、警報情報224において当該識別情報に対応付けられている警報態様を特定する。特定部252は、特定した警報態様を通信部250に出力する。通信部250は、特定部252によって特定された警報態様で作動させるための作動命令を警報信号の発信元とは異なる警報器に送信する。送信先のIPアドレスは、たとえば、警報情報224を参照して特定される。
出力制御部154は、通信部152が通信端末200から作動命令を受信したことに基づいて、当該作動命令が示す警報態様でスピーカ107や表示器111などを作動する。
なお、図6に示される警報器100の機能の一部は、通信端末200や外部装置に実装されてもよい。同様に、図6に示される通信端末200の機能の一部は、警報器100や外部装置に実装されてもよい。たとえば、特定部252は、警報器100に実装されてもよいし、通信端末200とは異なる外部装置に実装されてもよい。このような一部の機能を含まない場合であっても、本実施の形態に従う警報システム500の趣旨を逸脱するものではない。さらに、警報システム500の機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
<D.周囲への警告の報知フロー>
図8〜図12を参照して、警報器100の制御構造について説明する。図8は、装着者が行動不能状態になったことを周囲に知らせるための報知処理を表わすフローチャートである。図8の処理は、警報器100の制御装置101がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS110において、制御装置101は、ジャイロセンサ104の検出値に基づいて、警報器100の装着者の単位時間辺りの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図7参照)を下回ったか否かを判断する。制御装置101は、警報器100の移動量が閾値thを下回ったと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御装置101は、ステップS110の処理を再び実行する。
ステップS112において、制御装置101は、タイマー106(図4参照)によるカウント値を初期化するとともに、当該カウント値のカウントをタイマー106に開始させる。
ステップS120において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、警報器100の装着者の非動作時間が第1閾値を超えたか否かを判断する。第1閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。制御装置101は、警報器100の装着者の非動作時間が第1閾値を超えたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS124に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御装置101は、制御をステップS122に切り替える。
ステップS122において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、ジャイロセンサ104の検出値に基づいて、警報器100の装着者の単位時間辺りの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図7参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置101は、警報器100の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS122においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS122においてNO)、制御装置101は、制御をステップS120に戻す。
ステップS124において、制御装置101は、上述の出力制御部154として、プレアラームモード「1」を示す警報態様で周囲への警告処理を開始する。図9は、プレアラームモード「1」における警報態様の一例を示す図である。プレアラームモード「1」においては、制御装置101は、所定間隔(たとえば、2秒間隔)で音の出力および停止を繰り返すようにスピーカ107を作動させ、メイン表示器111Aの表示色を所定間隔(たとえば、2秒間隔)で切り替える。図9の例では、メイン表示器111Aは、緑色および黄色で交互に点灯している。なお、プレアラームモード「1」においては、制御装置101は、サブ表示器111Bを作動させない。
ステップS130において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、警報器100の装着者の非動作時間が第2閾値を超えたか否かを判断する。第2閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。第2閾値は、ステップS120に示される第2閾値よりも大きい。制御装置101は、警報器100の装着者の非動作時間が第2閾値を超えたと判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS134に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御装置101は、制御をステップS132に切り替える。
ステップS132において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、ジャイロセンサ104の検出値に基づいて、警報器100の装着者の単位時間辺りの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図7参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置101は、警報器100の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS132においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS132においてNO)、制御装置101は、制御をステップS130に戻す。
ステップS134において、制御装置101は、上述の出力制御部154として、プレアラームモード「1」よりも警告の出力レベルを上げ、プレアラームモード「2」を示す警報態様で周囲への警告処理を開始する。図10は、プレアラームモード「2」における警報態様の一例を示す図である。プレアラームモード「2」においては、制御装置101は、所定間隔(たとえば、1.5秒間隔)で音の出力および停止を繰り返すようにスピーカ107を作動させ、メイン表示器111Aの表示色を所定間隔(たとえば、1.5秒間隔)で切り替える。図10の例では、メイン表示器111Aは、黄色および赤色で交互に点灯している。なお、プレアラームモード「2」においては、制御装置101は、サブ表示器111Bを作動させない。
ステップS140において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、警報器100の装着者の非動作時間が第3閾値を超えたか否かを判断する。第3閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。第3閾値は、ステップS130に示される第2閾値よりも大きい。制御装置101は、警報器100の装着者の非動作時間が第3閾値を超えたと判断した場合(ステップS140においてYES)、制御をステップS144に切り替える。そうでない場合には(ステップS140においてNO)、制御装置101は、制御をステップS142に切り替える。
ステップS142において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、ジャイロセンサ104の検出値に基づいて、警報器100の装着者の単位時間辺りの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図7参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置101は、警報器100の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS142においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS142においてNO)、制御装置101は、制御をステップS140に戻す。
ステップS144において、制御装置101は、上述の出力制御部154として、プレアラームモード「2」よりも警告の出力レベルを上げ、プレアラームモード「3」を示す警報態様で周囲への警告処理を開始する。図11は、プレアラームモード「3」における警報態様の一例を示す図である。プレアラームモード「3」においては、制御装置101は、所定間隔(たとえば、1秒間隔)で音の出力および停止を繰り返すようにスピーカ107を作動させ、メイン表示器111Aおよびサブ表示器111Bの表示色を所定間隔(たとえば、1秒間隔)で切り替える。図11の例では、メイン表示器111Aおよびサブ表示器111Bのそれぞれは、黄色および赤色で交互に点灯している。
ステップS150において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、警報器100の装着者の非動作時間が第4閾値を超えたか否かを判断する。第4閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。第4閾値は、ステップS140に示される第3閾値よりも大きい。制御装置101は、警報器100の装着者の非動作時間が第4閾値を超えたと判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS154に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御装置101は、制御をステップS152に切り替える。
ステップS152において、制御装置101は、上述の異常検出部150として、ジャイロセンサ104の検出値に基づいて、警報器100の装着者の単位時間辺りの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図7参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置101は、警報器100の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS152においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS152においてNO)、制御装置101は、制御をステップS150に戻す。
ステップS154において、制御装置101は、上述の出力制御部154として、アラームモードとしての警報態様で周囲への警告処理を開始する。図12は、アラームモードにおける警報態様の一例を示す図である。アラームモードにおいては、制御装置101は、継続的にスピーカ107に音を出力させ、メイン表示器111Aおよびサブ表示器111Bの表示色を所定間隔(たとえば、0.5秒間隔)で切り替える。図12の例では、メイン表示器111Aは、赤色、緑色、黄色、紫色、ピンク色、深緑色、および白色で順次繰り返し点灯している。
ステップS160において、制御装置101は、上述の通信部152として、装着者が行動不能状態であることを示す警報信号を通信端末200に送信する。
このように、制御装置101は、装着者の非動作時間が長くなるにつれて警報の出力レベルを順次上げる。これにより、制御装置101は、動作可能な状態においてはアラームモードになる前に動くなどして警報を解除することができ、アラームモードの誤作動を防止することができる。
<E.警報態様の決定フロー>
図13を参照して、通信端末200の制御構造について説明する。図13は、行動不能状態にある装着者に応じた警報態様の決定処理を表わすフローチャートである。図13の処理は、通信端末200の制御装置201がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS210において、制御装置201は、上述の通信部250として、警報器100の1つから警報信号を受信したか否かを判断する。制御装置201は、警報器100の1つから警報信号を受信したと判断した場合(ステップS210においてYES)、制御をステップS212に切り替える。そうでない場合には(ステップS210においてNO)、制御装置201は、ステップS210の処理を再び実行する。
ステップS212において、制御装置201は、上述の特定部252として、警報情報224(図3参照)を参照して、警報信号の発信元の警報器100に対応する警報態様を特定する。
ステップS214において、制御装置201は、上述の通信部250として、ステップS212で特定した警報態様で警報器を作動させるための作動命令を生成し、警報信号の発信元とは異なる他の警報器に当該作動命令を送信する。
<F.警報態様の決定フロー>
図14を参照して、警報器100の制御構造について説明する。図14は、行動不能状態の消防隊員を他の消防隊員に知らせるための警報処理を表わすフローチャートである。図14の処理は、警報器100の制御装置101がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS250において、制御装置101は、上述の通信部152として、通信端末200から作動命令を受信したか否かを判断する。制御装置101は、通信端末200から作動命令を受信したと判断した場合(ステップS250においてYES)、制御をステップS252に切り替える。そうでない場合には(ステップS250においてNO)、制御装置101は、ステップS250の処理を再び実行する。
ステップS252において、制御装置101は、上述の出力制御部154として、ステップS250で受信した作動命令を示す警報態様でスピーカ107や表示器111を作動させる。スピーカ107や表示器111は、行動不能状態である消防隊員に応じた表示態様を変える。図15は、他者危険アラームモードにおける警報態様の一例を示す図である。他者危険アラームモードは、他者が行動不能状態にあることを警告する動作モードである。他者危険アラームモードにおいては、制御装置101は、継続的にスピーカ107に音を出力させ、行動不能状態の消防隊員に合わせた表示色でメイン表示器111Aおよびサブ表示器111Bを点灯させる。図15の例では、メイン表示器111Aおよびサブ表示器111Bは、緑色に点灯している。
好ましくは、行動不能状態の消防隊員が複数いる場合には、制御装置101は、当該複数の消防隊員が行動不能状態であることを示す警告態様で警報器100を作動させる。より具体的には、通信端末200は、警報情報224を参照して、行動不能状態の消防隊員の全員について対応する警報態様を特定し、他の消防隊員の警報器100にこれらの警報態様を通知する。これらの警報態様を受信した警報器100は、各警報態様で交互に作動する。これにより、複数の消防隊員が行動不能状態になった場合であっても、他の消防隊員は、行動不能状態の消防隊員を把握することができる。
<G.変形例>
上述では、警報器100は、行動不能状態になった消防隊員を表示態様で報知していた。これに対して、変形例に従う警報器100は、行動不能状態になった消防隊員の警報器100までの距離に応じて表示態様を変える。これにより、他者は、行動不能状態になった消防隊員がいる方向などを特定することができ、当該消防隊員を迅速に救助することができる。
より具体的には、警報器100の各々には、GPS(Global Positioning System)などの位置検出装置が搭載されている。警報器100の各々は、自身の現在位置を定期的に通信端末200に送信する。通信端末200は、警報器100の1つ(第1警報器)が装着者の行動不能状態を検出した場合に、他の警報器100(第2警報器)の各々について第1警報器と第2警報器との間の距離を算出する。通信端末200は、各距離に応じた警報態様で作動させるための作動命令を生成し、対応する第2警報器に当該作動命令を送信する。第2警報器は、受信した作動命令に従った警報態様で作動する。一例として、第2警報器は、第1警報器との距離が短くなるほど、スピーカ107のオンオフ間隔を短くしたり、表示器111の点滅間隔を短くしたりする。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。